説明

無線中継装置、中継方法

【課題】送信局から受信局への無線信号を中継するときに、受信局との間で送信ダイバーシティを適用可能とすること。
【解決手段】無線中継装置(RS)の受信アンテナRAは、データ信号をそれぞれ隣接する無線周波数のキャリアに割り当てた受信信号を、基地局(BS)などの送信局から受信する。無線中継装置(RS)は、受信信号に空間周波数ブロック符号化を施す。そして、RSは、空間周波数ブロック符号化を施した送信信号を、2個の送信アンテナSA0,SA1から移動局(MS)などの受信局へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局等の送信局から移動局等の受信局への無線信号を中継する中継技術に関する。
【背景技術】
【0002】
100M〜1Gビット/秒の高速伝送が要求される次世代無線通信システムでは高い周波数帯域の割り当てが想定されているが、一般に高い周波数帯の信号は、低い周波数帯の信号に比べて直進性が強く、電波が到達しない不感地帯が多く発生することが知られている。そのため、基地局の送信電力が現在商用化されている無線通信システムと同一であると仮定した場合、高い周波数帯域の割り当てによりセルのカバレッジ(サービスエリア)が減少することになる。このことは、基地局の増加によるコスト上昇を招来する点だけでなく、頻繁なハンドオーバーが発生する点からも好ましくない。
【0003】
そこで、基地局と移動局との無線通信を中継する無線中継装置を備えた無線通信システムが提案されている。一般に無線中継装置は基地局よりも低コストであるため、無線中継装置の導入により十分なカバレッジを確保しながら、システム全体を低コストで実現することが可能となる。無線中継装置を備えた無線通信システムは、特にIEEE802.16jのタスクグループにおいて検討がなされている。上述したIEEE802.16に関する事項は、例えば次の非特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE Std 802.16TM−2004
【非特許文献2】IEEE Std 802.16eTM−2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フェージング環境下で無線通信の品質を確保するための技術としてダイバーシティが知られている。特に2本以上の送信アンテナを使用する送信ダイバーシティは、受信局においてアンテナを増加させる必要がないことから移動通信システムで利用されている。しかしながら、従来、無線中継装置に送信ダイバーシティを適用することは想定されていなかった。無線中継装置に2本の送信アンテナを設けたと仮定し、この送信アンテナから同一の信号を移動局(受信局)へ送信することにしたならば、移動局における受信信号はマルチパスを経た信号となり、送信ダイバーシティで期待される所望の受信性能(符号誤り率の低減)は得られない。
【0006】
よって、発明の1つの側面では、送信局から受信局への無線信号を中継するときに、受信局との間で送信ダイバーシティを適用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点では、送信局から受信局への無線信号を中継する無線中継装置が提供される。
この無線中継装置は、
(A)第1及び第2データ信号をそれぞれ隣接する無線周波数のキャリアに割り当てた受信信号、を送信局から受信する受信アンテナと、
(B)第1及び第2送信アンテナと、
(C)前記第1及び第2データ信号の電力スペクトラムとはそれぞれ周波数軸上で対称な電力スペクトラムを有するスペクトラム反転信号を生成するとともに、前記第1及び第2データ信号、前記スペクトラム反転信号、及び/又は当該スペクトラム反転信号の極性反転信号を、前記第1及び第2送信アンテナによる空間周波数ブロック符号化が行われるように、隣接する無線周波数のキャリアに割り当てる符号化部と、
を備える。
第2の観点では、この無線中継装置の各部と同様の処理を行う、中継方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
送信局から受信局への無線信号を中継するときに、受信局との間で送信ダイバーシティを適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の無線中継装置を含む無線通信システムの概略構成を示す図。
【図2】第1実施形態の送信ダイバーシティの原理を説明するための図。
【図3】第1実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図。
【図4】第1無線中継装置のSFBC符号化部の構成を示すブロック図。
【図5】第2実施形態の送信ダイバーシティの原理を説明するための図。
【図6】第2実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図。
【図7】第3実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図。
【図8】第4実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図。
【図9】実施形態の変形例に係る無線中継装置の要部の構成を示すブロック図。
【図10】実施形態の変形例に係る無線中継装置の要部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の無線中継装置の複数の実施形態について説明する。
【0011】
1.第1実施形態
(1−1)無線通信システム
先ず、第1実施形態の無線中継装置を含む無線通信システムの概略構成について、図1を参照して説明する。図1に示す無線通信システムにおいて、実施形態の無線中継装置(RS:Relay Station)は、送信局としての基地局(BS:Base Station)と、受信局としての移動局(MS:Mobile Station)との間の無線信号を中継する。実施形態の無線中継装置は、受信アンテナRAと、2本の送信アンテナSA0,SA1とを備え、無線中継装置と移動局との間で送信ダイバーシティが適用される。
以下の説明の便宜のため、図1に示す無線通信システムにおいて、基地局のアンテナ(図示せず)と無線中継装置の受信アンテナRAとの間のチャネル特性をh、無線中継装置の送信アンテナSA0と移動局のアンテナ(図示せず)との間のチャネル特性をh、無線中継装置の送信アンテナSA1と移動局のアンテナ(図示せず)との間のチャネル特性をh、と定義する。なお、図1に示す無線通信システムの概略構成は、以下で説明するすべての実施形態について共通である。
【0012】
また、この無線通信システムでは、FDM(Frequency Division Multiplexing;周波数分割多重)方式により、割り当てられた周波数リソースを複数に分割して利用するものとする。
【0013】
(1−2)送信ダイバーシティの原理
次に、この無線通信システムにおいて、無線中継装置と移動局との間で適用される送信ダイバーシティについて、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態の送信ダイバーシティの原理を説明するための図である。この無線通信システムでは、SFBC符号化(Space Frequency Block Coding:空間周波数ブロック符号化)を利用した送信ダイバーシティが行われる。
【0014】
図2において、(a)に示すように、基地局からの送信信号は、データ信号(又はデータシンボル)S0(第1データ信号),S1(第2データ信号)がそれぞれ隣接する無線周波数F,Fのキャリアに割り当てられた無線信号であるとする。この無線信号は、無線中継装置の受信アンテナRAで受信される。無線中継装置では、受信した無線信号に対してSFBC符号化が行われる。すなわち、無線中継装置は、データ信号S0,S1に対して割り当てられたキャリアの入れ替え、複素共役演算処理、極性反転処理を行う。これにより、データ信号−S1*,S0*(*は、元の信号に対する複素共役信号を意味する。)がそれぞれ無線周波数F,Fのキャリアに割り当てられ、送信アンテナSA1から移動局へ送信される(図2の(c))。送信アンテナSA0からは、受信した無線信号がそのまま移動局へ送信される(図2の(b))。送信アンテナSA0,SA1から移動局へ送信される無線信号(電波)は空間で合成され、移動局における受信信号は、図2(d)に示すようになる。すなわち、移動局は、無線周波数F,Fのキャリアにより、それぞれ(S0,−S1*)、(S1,+S0*)を受信する。
【0015】
ここで、複素共役演算は、処理対象の信号(複素信号)の虚部(Q成分)の符号を反転する、あるいは−1を乗じる演算をいう。このような複素共役演算は、処理対象の信号の電力スペクトラム(以下、単に「スペクトラム」という。)を反転させる目的で行われる。なお、スペクトラム反転処理として、上述した複素共役演算のほか、実部(I成分)の符号を反転させる処理、又は実部(I成分)と虚部(Q成分)を入れ替える処理を行ってもよい。
【0016】
ここで、移動局における無線周波数F,Fのキャリアによる受信信号をr(0),r(1)とすると、受信信号r(0),r(1)は、図1に示したチャネル特性h〜hを用いて、以下の式(1)のとおり表される。
【数1】

【0017】
移動局において、隣接する無線周波数のキャリアによる無線中継装置から移動局までのチャネル特性が概ね等しいという前提の下で、式(1)に示す受信信号は、以下の式(2)に示すようにSFBC復号処理される。すなわち、各データ信号S0,S1が移動局において分離される。
【数2】

【0018】
なお、上述したSFBC符号化の例では、データ信号−S1*,S0*をそれぞれ無線周波数F,Fのキャリアに割り当てているが、極性反転対象の信号を逆にして、データ信号S1*,−S0*をそれぞれ無線周波数F,Fのキャリアに割り当ててもよい。
【0019】
(1−3)無線中継装置の構成
次に、図2に示した、SFBC符号化を適用した送信ダイバーシティを実現するための無線中継装置の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図である。図4は、無線中継装置のSFBC符号化部の構成を示すブロック図である。
【0020】
図3に示すように、この無線中継装置は、受信アンテナRA、局部発振器2、周波数変換部3,5,6、SFBC符号化部4(符号化部)、送信アンテナSA0,SA1を備える。
図3において、周波数変換部3は、局部発振器2からの信号により、受信アンテナRAにおいて基地局から受信した無線信号に対して直交検波を行い、中間周波数(IF)の信号、又はベースバンド信号にダウンコンバートする。この中間周波数(IF)の信号、又はベースバンド信号に対して、SFBC符号化部4にてSFBC符号化(空間周波数ブロック符号化)処理が行われる。SFBC符号化部4により得られる符号化信号は、周波数変換部5,6において局部発振器2からの信号により無線周波数帯にアップコンバートされた後、送信アンテナSA0,SA1から移動局へ送信される。
【0021】
図4に示すように、SFBC符号化部4は、局部発振器40−1,40−2、直交検波部42−1,42−2、フィルタ44−1,44−2、スペクトラム反転処理部46−1,46−2、極性反転部48、直交変調部49−1〜49−4、フィルタ50−1〜50−4、合成部60,61を備える。
図4において、直交検波部42−1,42−2は、周波数変換部3により生成される中間周波数(IF)の信号、又はベースバンド信号に対して、局部発振器40−1,40−2にてそれぞれ生成される周波数F,Fのキャリアを用いて直交検波する。これにより、直交検波部42−1,42−2からそれぞれ、データ信号S0,S1が抽出される。これらのデータ信号S0,S1は、直交変調部49−1,49−2により周波数F,Fのキャリアを用いて直交変調される。直交変調後の信号は、フィルタ50−1,50−2によって不要成分が除去された後、合成部60で合成(キャリア合成)され、周波数変換部5(すなわち、送信アンテナSA0)へ送出される。
【0022】
図4において、直交検波部42−1,42−2から抽出されたデータ信号S0,S1はまた、それぞれスペクトラム反転処理部46−1,46−2へ与えられる。各スペクトラム反転処理部では、入力シンボルに対して、I成分又はQ成分の符号を反転するか、又はI成分とQ成分を入れ替える処理が行われる。これにより、スペクトラム反転処理部46−1,46−2では、データ信号S0*,S1*(*:複素共役信号)が生成される。データ信号S1*はさらに、極性反転部48により極性が反転させられる。このようにして生成されたデータ信号S0*,−S1*はそれぞれ、直交変調部49−3,49−4により周波数F,Fのキャリアを用いて直交変調される。直交変調後の信号は、フィルタ50−3,50−4によって不要成分が除去された後、合成部61で合成(キャリア合成)され、周波数変換部6(すなわち、送信アンテナSA1)へ送出される。
【0023】
以上説明したように、本実施形態の無線中継装置は2本の送信アンテナを備え、隣接する無線周波数のキャリアに割り当てられた信号(基地局からの信号)を、中間周波数(IF)の信号、又はベースバンド信号にダウンコンバートした後に、SFBC符号化し、再度、隣接する無線周波数のキャリアに割り当てて移動局へ送信するように構成した。よって、無線中継装置と受信局(この場合、移動局)との間で送信ダイバーシティが実現され、無線中継装置と受信局(移動局)間の符号誤り率の改善が見込まれる。
【0024】
2.第2実施形態
次に、本発明の無線中継装置の第2実施形態について説明する。本実施形態の無線中継装置が含まれる無線通信システムにおいても、SFBC符号化を利用した送信ダイバーシティが行われる。
【0025】
(2−1)送信ダイバーシティの原理
先ず、本実施形態の無線中継装置で実現される送信ダイバーシティについて、図5を参照して説明する。図5は、第2実施形態の送信ダイバーシティの原理を説明するための図である。
【0026】
図5(a)に示すように、本実施形態の無線通信システムでは、基地局からの送信信号には、データ信号(又はデータシンボル)S0(第1データ信号),S1(第2データ信号)がそれぞれ隣接する無線周波数F,Fのキャリアに割り当てられるとともに、所定の中心周波数(図5のCF)を基準にF(第1無線周波数),F(第2無線周波数)とそれぞれ対称となる無線周波数F(第3無線周波数),Fn−1(第4無線周波数)のキャリアにデータ信号−S1(S1の極性反転信号;第3データ信号),S0(第1データ信号)が割り当てられている。この無線信号は、無線中継装置の受信アンテナRAで受信される。無線中継装置では、受信した無線信号に対してSFBC符号化が行われる。
【0027】
すなわち、無線中継装置では、無線周波数F,F,F,Fn−1のキャリアに割り当てられたデータ信号の各々に対して、無線周波数帯よりも低い周波数帯にダウンコンバートするとともに、元の信号とはスペクトラムが反転した同一周波数の信号を生成する。これにより、アップコンバージョン後において、中心周波数を基準に受信信号とはスペクトラムが対称となる信号が生成される。
【0028】
ここでは、図5(b)に示すように、図5(a)において無線周波数Fのキャリアに割り当てられたデータ信号S0に対応して、中心周波数CFに対してFと対称のFのキャリアに割り当てられるデータ信号S0*(*は、元の信号に対する複素共役信号を意味する。)が生成される。
同様に、図5(a)において無線周波数Fのキャリアに割り当てられたデータ信号S1に対応して、中心周波数CFに対してFと対称のFn−1のキャリアに割り当てられるデータ信号S1*が生成される。図5(a)において無線周波数Fn−1のキャリアに割り当てられたデータ信号S0に対応して、中心周波数CFに対してFと対称のFのキャリアに割り当てられるデータ信号S0*が生成される。図5(a)において無線周波数Fのキャリアに割り当てられたデータ信号−S1に対応して、中心周波数CFに対してFと対称のFのキャリアに割り当てられるデータ信号−S1*が生成される。
【0029】
図5(b)に示すように、基地局から受信した無線信号(S0,S1,S0,−S1)はそのまま、送信アンテナSA0から移動局へ送信される。図5(c)に示すように、無線中継装置において生成される複素共役信号(−S1*,S0*,S1*,S0*)は、送信アンテナSA1から移動局へ送信される。送信アンテナSA0,SA1から移動局へ送信される無線信号(電波)は空間で合成され、移動局における受信信号は、図5(d)に示すとおりになる。移動局では、互いに隣接する無線周波数F,Fのキャリアにより受信される受信信号と、互いに隣接する無線周波数F,Fn−1のキャリアにより受信される受信信号とが、それぞれSFBC復号化される。
【0030】
なお、図5では、基地局からの送信信号には、無線周波数F,Fn−1のキャリアにデータ信号−S1(S1の極性反転信号),S0が割り当てられている場合について示したが、極性反転対象の信号を逆にしてもよい。すなわち、無線周波数F,Fn−1のキャリアにデータ信号S1,−S0が割り当てられるようにしてもよい。
【0031】
(2−2)無線中継装置の構成
次に、図5に示した、SFBC符号化を適用した送信ダイバーシティを実現するための無線中継装置の構成について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図である。
【0032】
図6に示すように、本実施形態の無線中継装置は、受信アンテナRA、周波数変換部10,11,30,31(それぞれ第1,第2,第3,第4周波数変換部)を備える。図6では、基地局からの受信信号の中心周波数(複数のサブキャリアの周波数の中心の周波数)の一例として2GHzを想定している。なお、図6に示す無線中継装置では、周波数変換部10及び11が符号化部を構成する。
周波数変換部10は、中間周波数(図6の例では、1.93GHz;第5周波数)の信号を生成する局部発振器13と、ミキサ14と、フィルタ15とを含む。周波数変換部10では、ミキサ14で得られる変調信号の内、受信信号の周波数と中間周波数との差分の周波数の信号(この場合、70MHz帯の信号)のみがフィルタ15により抽出される。この場合、受信信号の周波数は中間周波数よりも高いので、得られる信号は70MHz帯の正転スペクトラムの信号である。
【0033】
一方、周波数変換部11は、局部発振器21と、ミキサ22,24と、フィルタ23,25とを含む。局部発振器21とミキサ22とフィルタ23は、受信信号の周波数よりも高い周波数の信号を生成するために設けられる。局部発振器21からの信号の周波数は140MHzに設定されている。周波数変換部11において、ミキサ22で得られる周波数変換された信号の内、局部発振器21からの信号の周波数と中間周波数との和の周波数の信号(この場合、2.07GHzの信号)のみがフィルタ23により抽出される。
さらに、ミキサ24で得られる変調信号の内、受信信号の周波数(中心周波数:2GHz)とフィルタ23により抽出される信号の周波数(2.07GHz;第6周波数)との差分の負の周波数の信号(この場合、−70MHz帯の信号)のみがフィルタ25により抽出される。この負の周波数の信号は、実信号のスペクトラムとしては、正の周波数の信号(+70MHz帯)に折り返したもの、すなわち、70MHz帯の反転スペクトラムの信号である。
【0034】
図6において、周波数変換部30,31はそれぞれ、70MHz帯の正転スペクトラムの信号と反転スペクトラムの信号に対して、中心周波数2GHzの無線信号となるようにアップコンバージョンを施す。これにより、送信アンテナSA0,SA1から移動局へ送信される送信信号は互いに、中心周波数に対して互いに対称な無線周波数のキャリアに割り当てられ、かつスペクトラムが反転した信号となる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の無線中継装置は2本の送信アンテナを備え、送信局としての基地局から、所定の中心周波数を基準に対称な周波数の複数のキャリアにデータ信号を割り当てた信号を受信し、各データ信号の反転スペクトラム信号を受信時のキャリアと所定の中心周波数を基準に対称な周波数のキャリアに割り当てた信号を生成する。そして、この無線中継装置は、SFBC符号化が行われるように、受信した信号と生成した信号を2本の送信アンテナに割り当てて移動局へ送信する。よって、第1実施形態と同様に、無線中継装置と受信局(この場合、移動局)との間で送信ダイバーシティが実現され、無線中継装置と受信局(移動局)間の符号誤り率の改善が見込まれる。
【0036】
なお、図6では具体的な周波数の値を例示して説明したが、図6に示した具体的な周波数は適宜変更可能であることは勿論である。より一般的には、受信信号の中心周波数をX[Hz]、局部発振器13が発生する信号の周波数をY[Hz]としたときに、局部発振器21が発生する信号の周波数を2×(X−Y)[Hz]とすればよく、このときフィルタ23からミキサ24に与えられる信号の周波数は(2X−Y)[Hz]となる。
【0037】
3.第3実施形態
次に、本発明の無線中継装置の第3実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態の無線中継装置は、図6に示した第2実施形態の無線中継装置の構成に対して、別の構成を示すものである。なお、SFBC符号化を利用した送信ダイバーシティの原理は、第2実施形態で示したものと同一である。
【0038】
図7は、本実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態の無線中継装置は、受信アンテナRA、直交検波部32、スペクトラム反転部33、局部発振器34、直交変調部35,36、送信アンテナSA0,SA1を備える。
この無線中継装置では、第2実施形態と同様、基地局からの送信信号には、データ信号S0,S1がそれぞれ隣接する無線周波数F,Fのキャリアに割り当てられるとともに、所定の中心周波数(例えば2GHz)を基準にF,Fとそれぞれ対称となる無線周波数F,Fn−1のキャリアにデータ信号−S1,S0が割り当てられている。この無線信号は、無線中継装置の受信アンテナRAで受信される。
【0039】
受信アンテナRAで受信した受信信号は、局部発振器34からの信号により直交検波部32で検波され、ベースバンド信号(I成分、Q成分)に変換される。このベースバンド信号は、直交変調部35によって無線周波数にアップコンバージョンが施された後、送信アンテナSA0から移動局へ送信される。すなわち、アンテナSA0からの送信信号は、データ信号S0,S1がそれぞれ隣接する無線周波数F,Fのキャリアに割り当てられ、中心周波数を基準にF,Fとそれぞれ対称となる無線周波数F,Fn−1のキャリアにデータ信号−S1,S0が割り当てられたものである。
【0040】
一方、スペクトラム反転部33は、直交検波部32により生成されるベースバンド信号に対してスペクトラム反転処理を行う。このスペクトラム反転処理は、I成分或いはQ成分の符号を反転する、又はI成分とQ成分を入れ替えることにより行われる。スペクトラム反転部33の出力信号は、直交変調部36によって無線周波数にアップコンバージョンが施された後、送信アンテナSA1から移動局へ送信される。ベースバンドレベルでのスペクトラム反転により、アンテナSA1からの送信信号は、データ信号−S1*,S0*がそれぞれ隣接する無線周波数F,Fのキャリアに割り当てられ、中心周波数を基準にF,Fとそれぞれ対称となる無線周波数F,Fn−1のキャリアにデータ信号S1*,S0*が割り当てられたものとなる。
【0041】
図7に示す構成の無線中継装置においても、第2実施形態の場合と同様、ベースバンドレベルで、同一周波数で正転スペクトラムの信号と反転スペクトラムの信号を得た後、これらの信号を無線周波数帯にアップコンバージョンを施される。よって、第2実施形態と同様に、無線中継装置と受信局(この場合、移動局)との間で、SFBC符号化による送信ダイバーシティが実現される。
【0042】
4.第4実施形態
次に、本発明の無線中継装置の第4実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態の無線中継装置は、第1及び第2実施形態の無線中継装置に対して、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)方式を適用した場合の構成を備えたものである。なお、SFBC符号化を利用した送信ダイバーシティの原理は、第1及び第2実施形態で示したものと同一である。
【0043】
図8は、本実施形態の無線中継装置の要部の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、本実施形態の無線中継装置は、受信アンテナRA、周波数変換部70、局部発振器71、OFDMシンボル同期検出部72、FFT(Fast Fourier Transform)部73、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部74,79、サブキャリア調整部75、スペクトラム反転部76,77、極性反転部78、周波数変換部80,81、送信アンテナSA0,SA1を備える。
【0044】
この無線中継装置において、受信アンテナRAで受信した受信信号は、局部発振器71からの信号により周波数変換部70で検波され、ベースバンドの信号系列に変換される。OFDMシンボル同期検出部72は、FFT用の時間窓を設定するために、周波数変換部70からの信号系列のシンボルタイミングを検出する。このタイミング検出は例えば、信号系列の先頭の信号区間にプリアンブルと呼ばれる既知信号を基地局が付加して送信し、無線中継装置ではこの信号区間での受信信号を既知のプリアンブルとの間で相関をとることにより行われる。
FFT部73は、OFDMシンボル同期検出部72で検出されたシンボルタイミングに基づいてFFT用の時間窓を設定し、周波数変換部70で得られたベースバンド信号(デジタル化されているものとする。)をサブキャリアごとの周波数領域の信号に変換する。
【0045】
FFT部73により得られた、サブキャリアごとの周波数領域の信号は、IFFT部74によって再度時間領域の信号に戻された後に多重化される。この時間領域の信号(ベースバンド信号)は所望のレベルまで増幅された後、周波数変換部80によって無線周波数にアップコンバージョンが施され、送信アンテナSA0から移動局へ送信される。
【0046】
一方、FFT部73により得られた、サブキャリアごとの周波数領域の信号は、サブキャリア調整部75にも入力される。サブキャリア調整部75は、SFBC符号化が可能となるように、各サブキャリアに割り当てられた信号の入れ替えを行う。サブキャリア調整部75は、例えば図2に示したSFBC符号化を実現するために、隣接するサブキャリア間において、サブキャリアに割り当てられた信号(図2では、データ信号S0,S1に相当)の入れ替えを行う。入れ替えられたデータ信号は、スペクトラム反転部76,77でスペクトラム反転処理がなされる(図2では、データ信号S1*,S0*を生成する処理に相当)。さらに、入れ替えられたデータ信号の一方は、極性反転部78により極性が反転させられる(図2では、データ信号−S1*を生成する処理に相当)。
【0047】
また、サブキャリア調整部75では、図5に示したSFBC符号化を実現するような処理を行ってもよい。サブキャリア調整部75は、受信信号のサブキャリアに割り当てられたデータ信号の入れ替えをベースバンドレベルで行う。例えば、図5で周波数F,F,Fn−1,Fのキャリアに対応する、ベースバンド上のサブキャリアの周波数をf,f,fn−1,fとすれば、f,fのキャリアに割り当てられたデータ信号間、及びf,fn−1のキャリアに割り当てられたデータ信号間で入れ替えが行われる。すなわち、中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な無線周波数のサブキャリア間でのデータ信号の入れ替え処理が行われる。
【0048】
所望の複素共役信号が各サブキャリアに割り当てられた後、IFFT部79によって再度時間領域の信号に戻された後に多重化される。この時間領域の信号(ベースバンド信号)は所望のレベルまで増幅された後、周波数変換部81によって無線周波数にアップコンバージョンが施され、送信アンテナSA1から移動局へ送信される。
【0049】
5.変形例
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、各実施形態の無線中継装置に対し、種々の改良や変更を行ってもよいのは勿論である。ここでは、実施形態の無線中継装置に対し、無線中継装置内の信号処理の精度を高める目的でなされる変形例(改良例)について説明する。
【0050】
(5−1)第1の変形例
実施形態の無線中継装置の第1の変形例について、図9を参照して説明する。
図9は、実施形態の変形例に係る無線中継装置の要部の構成を示すブロック図である。図9は、例えば図6に示した無線中継装置に対して、局部発振器の周波数を調整するための構成を加えたものである。なお、この第1の変形例は、図6の構成に限らず、他の実施形態の無線中継装置にも適用可能である。
【0051】
図9に示す無線中継装置は、図6に示したものと比較して、GPS(Global Positioning System)アンテナ90とGPS受信機91が追加されている。GPSアンテナ90は、GPS衛星から所定期間ごとに基準信号を受信する。GPS受信機91は、GPSアンテナ90が受信した基準信号を局部発振器13,21へ入力し、各局部発振器は基準信号に同期して動作する。また、図示しないが、基地局(送信局)の送信機の局部発振器も同様に、GPS衛星からの基準信号に同期させられている。このような構成をとることで、基地局から送信される無線信号の周波数の精度、並びに無線中継装置内の局部発振器で生成される信号の周波数の精度が向上するため、無線中継装置内で生成される信号(例えば図6では、70MHzの正転及び反転スペクトラムの信号、及びそれに対応する無線信号)の周波数の精度が向上する。
【0052】
(5−2)第2の変形例
実施形態の無線中継装置の第2の変形例について、図10を参照して説明する。
図10は、実施形態の変形例に係る無線中継装置の要部の構成を示すブロック図である。図10は、例えば図7に示した無線中継装置に対して、局部発振器の周波数を調整するための構成を加えたものである。なお、第2の変形例では、図7の構成に限らず、他の実施形態の無線中継装置にも適用可能である。
【0053】
図10に示す無線中継装置は、図7に示したものと比較して、周波数誤差検出部92、局部発振器93及びミキサ94,95が追加されている。周波数誤差検出部92は、直交検波部32で生成されるベースバンド信号の周波数誤差を検出する。周波数誤差検出方法は問わないが、例えば基地局から受信する既知の基準信号(例えば、パイロット信号、プリアンブル信号)の位相変動を微分することで周波数誤差が検出される。局部発振器93は、周波数誤差検出部92で検出された周波数誤差に相当する周波数の信号を生成してミキサ94,95に与える。これにより、ミキサ94,95の出力は、直交検波部が出力するベースバンド信号の周波数誤差が補正されたものとなる。
【0054】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
送信局から受信局への無線信号を中継する無線中継装置であって、
第1及び第2データ信号をそれぞれ隣接する無線周波数のキャリアに割り当てた受信信号、を送信局から受信する受信アンテナと、
第1及び第2送信アンテナと、
前記第1及び第2データ信号の電力スペクトラムとはそれぞれ周波数軸上で対称な電力スペクトラムを有するスペクトラム反転信号を生成するとともに、前記第1及び第2データ信号、前記スペクトラム反転信号、及び/又は当該スペクトラム反転信号の極性反転信号を、前記第1及び第2送信アンテナによる空間周波数ブロック符号化が行われるように、隣接する無線周波数のキャリアに割り当てる符号化部と、
を備えた無線中継装置。(1)
【0055】
(付記2)
前記受信アンテナは、
前記第1及び第2データ信号を、それぞれ隣接する第1及び第2無線周波数のキャリアに割り当てた第1及び第2無線信号と、
前記第2データ信号を極性反転した第3データ信号を、前記第1無線周波数とは所定の中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第3無線周波数のキャリアに割り当てた第3無線信号と、
前記第1データ信号を、前記第2無線周波数とは前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第4無線周波数のキャリアに割り当てた第4無線信号と、
を含む受信信号を受信し、
前記符号化部は、前記第1、第2、第3及び第4データ信号の各々について、各データ信号の電力スペクトラムとは周波数軸上で対称な電力スペクトラムを有するスペクトラム反転信号を生成するとともに、各スペクトラム反転信号を、前記第1及び第2送信アンテナによる空間周波数ブロック符号化が行われるように、対応するデータ信号が受信時に割り当てられていたキャリアの無線周波数とは前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な無線周波数のキャリア、にそれぞれ割り当てる、
付記1に記載された無線中継装置。(2)
【0056】
(付記3)
前記受信信号を、前記中心周波数よりも低い第5周波数により検波し、中心周波数と第5周波数の差分に相当する周波数の正転スペクトラム信号を生成する第1周波数変換部と、
前記受信信号を、前記中心周波数よりも前記差分だけ高い第6周波数により検波し、前記正転スペクトラム信号と同一周波数の反転スペクトラム信号を生成する第2周波数変換部と、
前記正転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて、前記第1送信アンテナから送信される無線周波数の送信信号に変換する第3周波数変換部と、
前記反転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて、前記第2送信アンテナから送信される無線周波数の送信信号に変換する第4周波数変換部と、を備えた、
付記2に記載された無線中継装置。(3)
【0057】
(付記4)
送信局から受信局への無線信号の送信が直交周波数分割多重方式に従って行われ、前記第1及び第2データ信号が隣接するサブキャリアに割り当てられており、
前記符号化部の処理は、前記隣接するサブキャリア間でのデータ信号の入れ替え処理を含む、
付記1に記載された無線中継装置。(4)
【0058】
(付記5)
送信局から受信局への無線信号の送信が直交周波数分割多重方式に従って行われ、前記第1、第2、第3及び第4無線信号が各々サブキャリアに相当し、
前記符号化部の処理は、前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な無線周波数のサブキャリア間でのデータ信号の入れ替え処理を含む、
付記2に記載された無線中継装置。(5)
【0059】
(付記6)
1又は複数の局部発振器を備え、各局部発振器は、GPS(Global Positioning System)により得られる基準信号に同期させられて動作する、
付記1〜5のいずれかに記載された無線中継装置。
【0060】
(付記7)
送信局からの受信信号に含まれる既知の基準信号に基づいて周波数誤差を検出し、検出した周波数誤差により前記受信信号、又は受信信号から得られたベースバンド信号の周波数を補正する、
付記1〜5のいずれかに記載された無線中継装置。
【0061】
(付記8)
送信局から受信局への無線信号を中継する中継方法であって、
受信アンテナにより、第1及び第2データ信号をそれぞれ隣接する無線周波数のキャリアに割り当てた受信信号、を送信局から受信し、
前記第1及び第2データ信号の電力スペクトラムとはそれぞれ周波数軸上で対称な電力スペクトラムを有するスペクトラム反転信号を生成し、
第1及び第2送信アンテナによる空間周波数ブロック符号化が行われるように、前記第1及び第2データ信号、前記スペクトラム反転信号、及び/又は当該スペクトラム反転信号の極性反転信号を、隣接する無線周波数のキャリアに割り当てて、前記第1及び第2送信アンテナから送信する、
中継方法。(6)
【0062】
(付記9)
送信局から受信局への無線信号を中継する中継方法であって、
受信信号として、
第1及び第2データ信号を、それぞれ隣接する第1及び第2無線周波数のキャリアに割り当てた第1及び第2無線信号と、
前記第2データ信号を極性反転した第3データ信号を、前記第1無線周波数とは所定の中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第3無線周波数のキャリアに割り当てた第3無線信号と、
前記第1データ信号を、前記第2無線周波数とは前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第4無線周波数のキャリアに割り当てた第4無線信号と、
を受信アンテナから受信し、
前記受信信号を、前記中心周波数よりも低い第5周波数により検波し、中心周波数と第5周波数の差分に相当する周波数の正転スペクトラム信号を生成し、
前記受信信号を、前記中心周波数よりも前記差分だけ高い第6周波数により検波し、前記正転スペクトラム信号と同一周波数の反転スペクトラム信号を生成し、
前記正転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて無線周波数の送信信号に変換して、第1送信アンテナから送信し、
前記反転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて無線周波数の送信信号に変換して、前記第1送信アンテナとは異なる第2送信アンテナから送信する、
中継方法。(7)
【符号の説明】
【0063】
RS…無線中継装置
RA…受信アンテナ
SA0,SA1…送信アンテナ
2,34,71…局部発振器
3,5,6,10,11,30,31,70,80,81…周波数変換部
4…SFBC符号化部
32…直交検波部
33,76,77…スペクトラム反転部
35,36…直交変調部
72…OFDMシンボル同期検出部
73…FFT部
74,79…IFFT部
75…サブキャリア調整部
78…極性反転部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信局から受信局への無線信号を中継する無線中継装置であって、
第1及び第2データ信号をそれぞれ隣接する無線周波数のキャリアに割り当てた受信信号、を送信局から受信する受信アンテナと、
第1及び第2送信アンテナと、
前記第1及び第2データ信号の電力スペクトラムとはそれぞれ周波数軸上で対称な電力スペクトラムを有するスペクトラム反転信号を生成するとともに、前記第1及び第2データ信号、前記スペクトラム反転信号、及び/又は当該スペクトラム反転信号の極性反転信号を、前記第1及び第2送信アンテナによる空間周波数ブロック符号化が行われるように、隣接する無線周波数のキャリアに割り当てる符号化部と、
を備えた無線中継装置。
【請求項2】
前記受信アンテナは、
前記第1及び第2データ信号を、それぞれ隣接する第1及び第2無線周波数のキャリアに割り当てた第1及び第2無線信号と、
前記第2データ信号を極性反転した第3データ信号を、前記第1無線周波数とは所定の中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第3無線周波数のキャリアに割り当てた第3無線信号と、
前記第1データ信号を、前記第2無線周波数とは前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第4無線周波数のキャリアに割り当てた第4無線信号と、
を含む受信信号を受信し、
前記符号化部は、前記第1、第2、第3及び第4データ信号の各々について、各データ信号の電力スペクトラムとは周波数軸上で対称な電力スペクトラムを有するスペクトラム反転信号を生成するとともに、各スペクトラム反転信号を、前記第1及び第2送信アンテナによる空間周波数ブロック符号化が行われるように、対応するデータ信号が受信時に割り当てられていたキャリアの無線周波数とは前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な無線周波数のキャリア、にそれぞれ割り当てる、
請求項1に記載された無線中継装置。
【請求項3】
前記受信信号を、前記中心周波数よりも低い第5周波数により検波し、中心周波数と第5周波数の差分に相当する周波数の正転スペクトラム信号を生成する第1周波数変換部と、
前記受信信号を、前記中心周波数よりも前記差分だけ高い第6周波数により検波し、前記正転スペクトラム信号と同一周波数の反転スペクトラム信号を生成する第2周波数変換部と、
前記正転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて、前記第1送信アンテナから送信される無線周波数の送信信号に変換する第3周波数変換部と、
前記反転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて、前記第2送信アンテナから送信される無線周波数の送信信号に変換する第4周波数変換部と、を備えた、
請求項2に記載された無線中継装置。
【請求項4】
送信局から受信局への無線信号の送信が直交周波数分割多重方式に従って行われ、前記第1及び第2データ信号が隣接するサブキャリアに割り当てられており、
前記符号化部の処理は、前記隣接するサブキャリア間でのデータ信号の入れ替え処理を含む、
請求項1に記載された無線中継装置。
【請求項5】
送信局から受信局への無線信号の送信が直交周波数分割多重方式に従って行われ、前記第1、第2、第3及び第4無線信号が各々サブキャリアに相当し、
前記符号化部の処理は、前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な無線周波数のサブキャリア間でのデータ信号の入れ替え処理を含む、
請求項2に記載された無線中継装置。
【請求項6】
送信局から受信局への無線信号を中継する中継方法であって、
受信アンテナにより、第1及び第2データ信号をそれぞれ隣接する無線周波数のキャリアに割り当てた受信信号、を送信局から受信し、
前記第1及び第2データ信号の電力スペクトラムとはそれぞれ周波数軸上で対称な電力スペクトラムを有するスペクトラム反転信号を生成し、
第1及び第2送信アンテナによる空間周波数ブロック符号化が行われるように、前記第1及び第2データ信号、前記スペクトラム反転信号、及び/又は当該スペクトラム反転信号の極性反転信号を、隣接する無線周波数のキャリアに割り当てて、前記第1及び第2送信アンテナから送信する、
中継方法。
【請求項7】
送信局から受信局への無線信号を中継する中継方法であって、
受信信号として、
第1及び第2データ信号を、それぞれ隣接する第1及び第2無線周波数のキャリアに割り当てた第1及び第2無線信号と、
前記第2データ信号を極性反転した第3データ信号を、前記第1無線周波数とは所定の中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第3無線周波数のキャリアに割り当てた第3無線信号と、
前記第1データ信号を、前記第2無線周波数とは前記中心周波数を基準にして周波数軸上で対称な第4無線周波数のキャリアに割り当てた第4無線信号と、
を受信アンテナから受信し、
前記受信信号を、前記中心周波数よりも低い第5周波数により検波し、中心周波数と第5周波数の差分に相当する周波数の正転スペクトラム信号を生成し、
前記受信信号を、前記中心周波数よりも前記差分だけ高い第6周波数により検波し、前記正転スペクトラム信号と同一周波数の反転スペクトラム信号を生成し、
前記正転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて無線周波数の送信信号に変換して、第1送信アンテナから送信し、
前記反転スペクトラム信号を、前記第5周波数の信号を用いて無線周波数の送信信号に変換して、前記第1送信アンテナとは異なる第2送信アンテナから送信する、
中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−278611(P2010−278611A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127431(P2009−127431)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】