説明

無線伝送装置及びその制御方法

【課題】 消費電力を少なくし、より安定な伝送が行われるようにする。
【解決手段】 DSP112では、チューナー111から供給される映像信号と音声信号がそれぞれの無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換され、この振幅値データが、例えば5.2GHz帯の送受信機114、及び例えば2.4GHz帯の送受信機115に供給される。さらに制御部116にてTMCC信号から判別された精細度の情報に応じて、送受信機114及び115の切り替え制御信号が形成される。そして判別された精細度の情報が高精細度である場合には、5.2GHz帯の送受信機114が動作されると共に、映像信号と音声信号が5.2GHz帯の無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。また標準精細度である場合には、2.4GHz帯の送受信機115が動作されると共に、映像信号と音声信号が2.4GHz帯の無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば無線LANシステムを用いてテレビジョン信号の伝送を行う場合に使用して好適な無線伝送装置及びその制御方法に関する。詳しくは、例えば無線LANシステムで規定されるデータレートの異なる複数の送受信手段を内蔵し、これらを任意に切り替えて用いることで良好な運用が行われるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】例えば無線LANシステムを用いてテレビジョン信号の伝送を行う技術が開発されている。すなわち図4は、例えば無線LANシステムを用いて従来のアナログテレビジョン信号の伝送を行う場合を示している。この図4において無線伝送装置40は、親機である無線アクセスポイント装置41と、子機である無線携帯端末装置42とを有している。そしてこれらのアクセスポイント装置41と携帯端末装置42との間が、例えば無線LANシステムを用いて接続されている。
【0003】さらにアクセスポイント装置41では、例えば受信アンテナ(図示せず)から入力された受信信号がアナログテレビジョン用のチューナー(選局手段)411に供給される。そして受信信号中の所望のアナログテレビジョン信号が、チューナー411で中間周波信号にダウンコンバート(選局)された後、検波されて映像信号と音声信号として抽出される。さらにこれらの映像信号と音声信号がデジタルシグナルプロセッサ(以下、DSPと略称する)412に供給される。
【0004】ここでDSP412においては、上述のチューナー411から供給される映像信号と音声信号が無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。さらに変換された振幅値データが、例えば無線LANシステムで規定される2.4GHz帯の送受信機413に供給される。そしてこの振幅値データは、送受信機413で符号化、変調されたのち無線周波信号にアップコンバートされ、電力増幅されてアンテナ414から無線伝送信号として送信される。
【0005】一方、携帯端末装置42では、上述のアクセスポイント装置41のアンテナ414から送信された無線伝送信号がアンテナ420で受信される。この受信信号が例えば2.4GHz帯の送受信機421にてダウンコンバートされ、復調、復号を経て、DSP422に振幅値データとして入力され、映像信号と音声信号に再生される。そして再生された映像信号は表示装置423に、音声信号はスピーカ424にそれぞれ出力される。
【0006】また、携帯端末装置42にはコントロール部425が設けられ、このコントロール部425においては、選局チャンネルの変更等の制御を行うことができる。すなわち携帯端末装置42のコントロール部425で操作された制御は、制御信号としてDSP422に入力され、上述のアナログテレビジョン信号とは逆の経路を辿ってアクセスポイント装置41に伝送される。これによって携帯端末装置42からアクセスポイント装置41に対する制御が行われる。
【0007】なお上述のシステムは、例えば無線LANの規格であるIEEE802.11bに準拠したものである。その場合に、使用される送受信周波数は2.4GHzであり、データレートは最大11Mbpsである。従って、例えば6Mbps程度といわれる標準精細度のアナログテレビジョン信号であれば、充分にその映像信号と音声信号を伝送することが可能なものである。これによって、例えば無線LANシステムを用いてテレビジョン信号の伝送を行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年実施が始まっているデジタルテレビジョン放送においては、従来と同様の標準精細度のテレビジョン信号に加えて、高精細度のテレビジョン信号の放送も行われている。その場合に、標準精細度のテレビジョン信号のデータレートは従来のアナログテレビジョン信号と同様に6Mbps程度であるが、高精細度のテレビジョン信号のデータレートは20Mbpsにも達し、上述のIEEE802.11bの無線LANの規格では伝送することができない。
【0009】これに対してIEEE802.11aの無線LANの規格が公表されている。この規格によれば、使用される送受信周波数は5.2GHzであり、データレートは最大54Mbpsにもすることができる。従ってこの企画を採用することにより、例えば6Mbpsの標準精細度のデジタルテレビジョン信号はもちろんのこと、例えば20Mbpsの高精細度のデジタルテレビジョン信号も伝送することが可能になる。
【0010】すなわち図5は、例えばIEEE802.11aの無線LANの規格を用いてデジタルテレビジョン信号の伝送を行う場合を示している。この図5において、無線伝送装置50は、親機である無線アクセスポイント装置51と、子機である無線携帯端末装置52とを有している。そしてこれらのアクセスポイント装置51と携帯端末装置52との間が、例えばIEEE802.11aの規格の無線LANシステムを用いて接続されている。
【0011】さらにアクセスポイント装置51では、例えば受信アンテナ(図示せず)から入力された受信信号がデジタルテレビジョン用のチューナー(選局手段)511に供給される。そして受信信号中の所望のデジタルテレビジョン信号が、チューナー511で中間周波信号にダウンコンバート(選局)された後、検波されて映像信号と音声信号として抽出される。さらにこれらの映像信号と音声信号がデジタルシグナルプロセッサ(以下、DSPと略称する)512に供給される。
【0012】ここでDSP512においては、上述のチューナー511から供給される映像信号と音声信号が無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。さらに変換された振幅値データが、例えば無線LANシステムで規定される5.2GHz帯の送受信機513に供給される。そしてこの振幅値データは、送受信機513で符号化、変調されたのち無線周波信号にアップコンバートされ、電力増幅されてアンテナ514から無線伝送信号として送信される。
【0013】一方、携帯端末装置52では、上述のアクセスポイント装置51のアンテナ514から送信された無線伝送信号がアンテナ520で受信される。この受信信号が例えば5.2GHz帯の送受信機521にてダウンコンバートされ、復調、復号を経て、DSP522に振幅値データとして入力され、映像信号と音声信号に再生される。そして再生された映像信号は表示装置523に、音声信号はスピーカ524にそれぞれ出力される。
【0014】また、携帯端末装置52にはコントロール部525が設けられ、このコントロール部525においては、選局チャンネルの変更等の制御を行うことができる。すなわち携帯端末装置52のコントロール部525で操作された制御は、制御信号としてDSP522に入力され、上述のデジタルテレビジョン信号とは逆の経路を辿ってアクセスポイント装置51に伝送される。これによって携帯端末装置52からアクセスポイント装置51に対する制御が行われる。
【0015】なお上述のシステムは、例えば無線LANの規格であるIEEE802.11aに準拠したものである。その場合に、使用される送受信周波数は5.2GHzであり、データレートは最大54Mbpsである。従って、例えば20Mbpsの高精細度のデジタルテレビジョン信号であっても、充分にその映像信号と音声信号を伝送することが可能なものである。これによって、例えば無線LANシステムを用いてデジタルテレビジョン信号の伝送を行うことができる。
【0016】ところが一般的に無線伝送では周波数が高い方が空中伝播減衰が大きいことが知られている。従って上述の規格においては、周波数5.2GHzによる送受信は、周波数2.4GHzによる送受信に比べて減衰量が大きく、同一条件下であれば周波数2.4GHzによる送受信の方が伝送効率が大きいことになる。このことは、例えば同一条件下であれば周波数2.4GHzによる送受信の方がより遠方まで届くことも意味している。
【0017】また上述の規格において、周波数5.2GHzによる送受信は、周波数2.4GHzによる送受信に比べて消費電力が大きくなることも知られており、すなわち同一条件下であれば、周波数2.4GHzによる送受信の方が電力効率が優れている。そしてこのような電力効率の問題は、例えば携帯端末装置52においては、内蔵電池の消耗の進み具合が異なることを意味しているものである。さらに表示装置523においても高精細度の表示の方がより多くの電力を消費する。
【0018】この出願はこのような点に鑑みて成されたものであって、解決しようとする問題点は、従来の装置では、高精細度のデジタルテレビジョン信号の伝送を行うことができず、また送受信周波数の高い規格を用いた場合には、伝送効率が小さくなり、さらに消費電力が大きくなって、良好な無線伝送を安定に行うことができなかったというものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】このため本発明においては、第1及び第2のデータレートで情報の送受信を行う第1及び第2の送受信手段と、これらの送受信手段を切り替える切り替え手段を備えるようにしたものであって、これによれば、必要に応じてデータレートが切り替えられるので、全体的な消費電力を少なくすることができると共に、必要なときには例えば精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】すなわち本発明においては、デジタルテレビジョン信号を選局する選局手段と、第1のデータレートで情報の送受信を行う第1の送受信手段と、第1のデータレートより高い第2のデータレートで情報の送受信を行う第2の送受信手段と、選局されたデジタルテレビジョン信号の変調方式を検出する変調方式検出手段とを有し、検出された変調方式に従って第1及び第2の送受信手段を切り替える切り替え手段を備えてなるものである。
【0021】また、本発明においては、デジタルテレビジョン信号を選局する選局手段と、第1及び第2のデータレートで情報の送受信を行う第1及び第2の送受信手段と、選局されたデジタルテレビジョン信号の変調方式を検出する変調方式検出手段と、検出された変調方式に従って第1及び第2の送受信手段を切り替える切り替え手段とを備えた無線伝送装置の制御方法であって、検出された変調方式が標準精細度のときは第1の送受信手段に切り替え、検出された変調方式が高精細度のときは第2の送受信手段に切り替えると共に、送受信される信号のレベル及び/または内蔵電池の残量を検出し、信号レベルが規定値以下または電池残量が規定値以下になったときは、検出された変調方式に係わらず第1の送受信手段に切り替えてなるものである。
【0022】以下、図面を参照して本発明を説明するに、図1は本発明による無線伝送装置及びその制御方法を適用したデジタルテレビジョン信号の伝送システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0023】図1においては、例えばIEEE802.11a及びbの両方の無線LANの規格を用いてデジタルテレビジョン信号の伝送が行われる。この図1において、無線伝送装置10は、親機である無線アクセスポイント装置11と、子機である無線携帯端末装置12とを有している。そしてこれらのアクセスポイント装置11と携帯端末装置12との間が、例えばIEEE802.11a及びbの両方の規格の無線LANシステムを用いて接続されている。
【0024】すなわちアクセスポイント装置11では、例えば受信アンテナ(図示せず)から入力された受信信号がデジタルテレビジョン用のチューナー(選局手段)111に供給される。そして受信信号中の所望のデジタルテレビジョン信号が、チューナー111で中間周波信号にダウンコンバート(選局)された後、検波されて映像信号と音声信号として抽出される。さらにこれらの映像信号と音声信号がデジタルシグナルプロセッサ(以下、DSPと略称する)112に供給される。
【0025】また、チューナー111においては、例えば放送衛星を用いたデジタルテレビジョン放送に規定されたTMCC(time multiplexing configuration control:伝送多重制御)信号が復号回路113にて復号される。このTMCC信号には、例えば選局されたデジタルテレビジョン信号が、標準精細度のデジタルテレビジョン信号であるか、高精細度のデジタルテレビジョン信号であるかなどの情報も含まれている。そしてこの復号された情報がDSP112に供給される。
【0026】ここでDSP112においては、上述のチューナー111から供給される映像信号と音声信号に対して、TMCC信号から判別された精細度の情報に応じて、それぞれ無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。そして変換された振幅値データが、例えば5.2GHz帯の送受信機114、及び2.4GHz帯の送受信機115に供給される。さらに、DSP112内の制御部116にてTMCC信号から判別された精細度の情報に応じて、送受信機114及び115の切り替え制御信号が形成される。
【0027】すなわち、上述のTMCC信号から判別された精細度の情報が高精細度である場合には、例えば5.2GHz帯の送受信機114が動作されると共に、映像信号と音声信号が例えば5.2GHz帯の無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。また、精細度の情報が標準精細度である場合には、例えば2.4GHz帯の送受信機115が動作されると共に、映像信号と音声信号が例えば2.4GHz帯の無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。
【0028】そして上述の切り替え制御信号に応じて、例えばDSP112からの振幅値データは、送受信機114で符号化、変調されたのち無線周波信号にアップコンバートされ、電力増幅されてアンテナ117から無線伝送信号として送信される。あるいはDSP112からの振幅値データは、送受信機115で符号化、変調されたのち無線周波信号にアップコンバートされ、電力増幅されてアンテナ118から無線伝送信号として送信される。
【0029】一方、携帯端末装置12では、上述のアクセスポイント装置11のアンテナ117から送信された無線伝送信号がアンテナ120で受信される。この受信信号が例えば5.2GHz帯の送受信機121にてダウンコンバートされて復調、復号される。また、アクセスポイント装置11のアンテナ118から送信された無線伝送信号がアンテナ122で受信される。この受信信号が例えば2.4GHz帯の送受信機123にてダウンコンバートされて復調、復号される。
【0030】さらにこれらの送受信機121及び123にて復調、復号された信号が、DSP124に振幅値データとして入力され、映像信号と音声信号に再生される。なお送受信機121及び123にて復調、復号される信号には、相互に送受信機121及び123の切り替えを決定する制御信号等も含まれており、この制御信号に従って送受信機121及び123の動作が制御される。そして再生された映像信号は表示装置125に、音声信号はスピーカ126にそれぞれ出力される。
【0031】また、携帯端末装置12にはコントロール部127が設けられ、このコントロール部127においては、選局チャンネルの変更等の制御を行うことができる。すなわち携帯端末装置12のコントロール部127で操作された制御は、制御信号としてDSP124に入力され、上述のデジタルテレビジョン信号とは逆の経路を辿ってアクセスポイント装置11に伝送される。これによって携帯端末装置12からアクセスポイント装置11に対する制御が行われる。
【0032】なお上述のシステムは、例えば無線LANの規格であるIEEE802.11a及びbに準拠したものである。その場合に、11aの規格の送受信周波数は5.2GHzであって、例えば高精細度のデジタルテレビジョン信号の映像信号と音声信号を伝送することが可能なものである。また11bの規格の送受信周波数は2.4GHzであって、例えば標準精細度のデジタルテレビジョン信号の映像信号と音声信号を伝送することが可能なものである。
【0033】そしてこの装置においては、例えば選局されたデジタルテレビジョン信号の精細度の情報が高精細度であるときだけ、例えば5.2GHz帯の送受信機114が動作され、精細度の情報が標準精細度であるときには、例えば2.4GHz帯の送受信機115が動作される。これによって、例えば消費電力の大きくなる高い周波数(5.2GHz)での送受信の機会を減少させ、装置全体の消費電力を削減することができる。
【0034】また、例えば携帯端末装置12側で高精細度のデジタルテレビジョン信号の映像信号と音声信号の受信を行っている際に、伝送状態が不安定な場合には、例えばコントロール部127において送受信周波数を2.4GHzに切り替える操作を行うことにより、この制御信号がアクセスポイント装置11に伝送され、アクセスポイント装置11に対して、TMCC信号から判別された精細度の情報に係わらず送受信周波数を2.4GHzに切り替える制御が行われる。
【0035】これによって、伝送状態が不安定な場合には、例えば伝送効率の大きい低い周波数(2.4GHz)での送受信とするこことにより、安定な伝送状態を得ることができる。なお、このときアクセスポイント装置11のDSP112では、例えば高精細度の映像信号を、間引き等によって標準精細度の映像信号に変換する処理が併せて行われる。すなわち例えば映像信号の精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることができるものである。
【0036】従ってこの実施形態において、第1及び第2のデータレートで情報の送受信を行う第1及び第2の送受信手段と、これらの送受信手段を切り替える切り替え手段を備えるようにしたことによって、必要に応じてデータレートが切り替えられるので、全体的な消費電力を少なくすることができると共に、必要なときには例えば精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることもできる。
【0037】これによって、従来の装置では、高精細度のデジタルテレビジョン信号の伝送を行うことができず、また送受信周波数の高い規格を用いた場合には、伝送効率が小さくなり、さらに消費電力が大きくなって、良好な無線伝送を安定に行うことができなかったものを、本発明によればこれらの問題点を容易に解消することができるものである。
【0038】さらに図2を用いて、本発明による無線伝送装置及びその制御方法を適用したデジタルテレビジョン信号の伝送システムの他の実施形態について説明する。なお図2は、本発明による無線伝送装置及びその制御方法を適用したデジタルテレビジョン信号の伝送システムの他の実施形態の構成を示すブロック図である。また、以下の説明で、上述の図1の実施形態と対応する部分には同一の符号を附して重複の説明を省略する。
【0039】すなわち図2においては、例えば上述の段落〔0035〕で述べた「携帯端末装置12側で高精細度のデジタルテレビジョン信号の映像信号と音声信号の受信を行っている際に、伝送状態が不安定な場合には、例えばコントロール部127において送受信周波数を2.4GHzに切り替える操作を行う」等の制御を自動的に行わせるようにするものである。
【0040】そこで図2において、例えば携帯端末装置12には受信信号レベル検出回路128が設けられる。またこの他に、電池残量検出回路129等も設けられる。そしてこれらの受信信号レベル検出回路128や電池残量検出回路129等からの検出信号がDSP124に入力され、上述のデジタルテレビジョン信号とは逆の経路を辿ってアクセスポイント装置11に伝送される。なおこの伝送は、例えばIEEE802.11a及びbに準拠して行うことができるものである。
【0041】そしてこのような検出信号に対して、例えば図3に示すようなフローチャートに従って制御が行われる。すなわち図3において、動作が開始されると、まずステップ〔1〕でデジタルテレビジョン信号が受信される。また、ステップ〔2〕で受信信号の変調方式が検出される。なおこの検出は、例えば上述のTMCC復号回路113で復号されたTMCC信号に基づくものであり、選局されたデジタルテレビジョン信号の精細度の情報等を含んでいるものである。
【0042】さらにステップ〔3〕で、選局されたデジタルテレビジョン信号の精細度の情報が高精細度を示しているか否か判断される。すなわちこの判断は、例えば上述のTMCC復号回路113で復号されたTMCC信号に基づいて行われるものである。そしてこの判断で選局されたデジタルテレビジョン信号の精細度の情報が高精細度を示していないとき(No)は、ステップ〔4〕に進められて、例えば2.4GHz帯の送受信機115による無線伝送が行われる。
【0043】また、ステップ〔3〕の判断で選局されたデジタルテレビジョン信号の精細度の情報が高精細度を示しているとき(Yes)はステップ〔5〕に進められる。このステップ〔5〕では、上述の携帯端末装置12から伝送された電池残量の検出信号に従って電池残量の確認が行われる。さらにステップ〔6〕で、電池残量が任意の閾値を越えているか否か判断される。そして電池残量が任意の閾値を越えていないとき(No)は、ステップ〔4〕に進められて、例えば2.4GHz帯の送受信機115による無線伝送が行われる。
【0044】さらにステップ〔6〕で電池残量が任意の閾値を越えているとき(Yes)はステップ〔7〕に進められる。このステップ〔7〕では、上述の携帯端末装置12から伝送された受信レベル電池残量の検出信号に従って受信レベルの確認が行われる。また、ステップ〔8〕で、受信レベルが任意の閾値を越えているか否か判断される。そして受信レベルが任意の閾値を越えていないとき(No)は、、ステップ〔4〕に進められて、例えば2.4GHz帯の送受信機115による無線伝送が行われる。
【0045】これに対してステップ〔8〕で受信レベルが任意の閾値を越えているとき(Yes)はステップ〔9〕に進められる。そしてこのステップ〔9〕においては、例えば5.2GHz帯の送受信機114による無線伝送が行われる。
【0046】すなわちこのフローチャートにおいて、選局されたデジタルテレビジョン信号の精細度の情報が高精細度を示し、電池残量が任意の閾値を越え、さらに受信レベルが任意の閾値を越えているときのみ、例えば5.2GHz帯の送受信機114による無線伝送が行われる。従って、例えば伝送状態が不安定な場合には、伝送効率の大きい低い周波数(2.4GHz)での送受信とするこことにより、安定な伝送状態を得ることができる。
【0047】また、例えば電池残量が少なくなった場合には、電力消費の少ない低い周波数(2.4GHz)での送受信とするこことにより、より長時間にわたって無線伝送を行うことができる。このようにして例えば映像信号の精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることができるものである。なお、上述の動作は、例えば一定の時間ごとに繰り返し行われる。これにより、時間経過による伝送状態の変動や電池の消耗等にも対処することができる。
【0048】こうして上述の無線伝送装置によれば、デジタルテレビジョン信号を選局する選局手段と、第1のデータレートで情報の送受信を行う第1の送受信手段と、第1のデータレートより高い第2のデータレートで情報の送受信を行う第2の送受信手段と、選局されたデジタルテレビジョン信号の変調方式を検出する変調方式検出手段とを有し、検出された変調方式に従って第1及び第2の送受信手段を切り替える切り替え手段を備えることにより、全体的な消費電力を少なくすることができると共に、必要なときには例えば精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることもできるものである。
【0049】また、上述の無線伝送装置の制御方法によれば、デジタルテレビジョン信号を選局する選局手段と、第1及び第2のデータレートで情報の送受信を行う第1及び第2の送受信手段と、選局されたデジタルテレビジョン信号の変調方式を検出する変調方式検出手段と、検出された変調方式に従って第1及び第2の送受信手段を切り替える切り替え手段とを備えた無線伝送装置の制御方法であって、検出された変調方式が標準精細度のときは第1の送受信手段に切り替え、検出された変調方式が高精細度のときは第2の送受信手段に切り替えると共に、送受信される信号のレベル及び/または内蔵電池の残量を検出し、信号レベルが規定値以下または電池残量が規定値以下になったときは、検出された変調方式に係わらず第1の送受信手段に切り替えることにより、全体的な消費電力を少なくすることができると共に、必要なときには例えば精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることもできるものである。
【0050】なお本発明は、上述の説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
【0051】
【発明の効果】従って請求項1の発明によれば、第1及び第2のデータレートで情報の送受信を行う第1及び第2の送受信手段と、これらの送受信手段を切り替える切り替え手段を備えるようにしたことによって、必要に応じてデータレートが切り替えられるので、全体的な消費電力を少なくすることができると共に、必要なときには例えば精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることもできものである。
【0052】また、請求項2の発明によれば、検出された変調方式が標準精細度のときは第1の送受信手段に切り替え、検出された変調方式が高精細度のときは第2の送受信手段に切り替えると共に、送受信される信号のレベルを検出する信号レベル検出手段及び/または内蔵電池の残量を検出する電池残量検出手段を有し、信号レベルが規定値以下または電池残量が規定値以下になったときは、検出された変調方式に係わらず第1の送受信手段に切り替える制御手段を備えたことによって、送受信手段に切り替えを自動的に行うことができるものである。
【0053】さらに請求項3の発明によれば、第1及び第2のデータレートで情報の送受信を行う第1及び第2の送受信手段を有し、これらの送受信手段を検出信号を用いて切り替えるようにしたことによって、必要に応じてデータレートが切り替えられるので、全体的な消費電力を少なくすることができると共に、必要なときには例えば精細度を犠牲にすることで、より安定な伝送が行われるようにすることもでき、さらに送受信手段の切り替えを自動的に行うことができるものである。
【0054】これによって、従来の装置では、高精細度のデジタルテレビジョン信号の伝送を行うことができず、また送受信周波数の高い規格を用いた場合には、伝送効率が小さくなり、さらに消費電力が大きくなって、良好な無線伝送を安定に行うことができなかったものを、本発明によればこれらの問題点を容易に解消することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無線伝送装置及びその制御方法を適用したデジタルテレビジョン信号の伝送システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による無線伝送装置及びその制御方法を適用したデジタルテレビジョン信号の伝送システムの他の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】その動作の説明のためのフローチャート図である。
【図4】従来の伝送システムのブロック図である。
【図5】従来の伝送システムのブロック図である。
【符号の説明】
10…無線伝送装置、11…無線アクセスポイント装置、12…無線携帯端末装置、111…デジタルテレビジョン用チューナー、112,124…デジタルシグナルプロセッサ、113…TMCC信号復号回路、114…5.2GHz帯の送受信機、115…2.4GHz帯の送受信機、116…制御部、117,118,120,122…アンテナ、121…5.2GHz帯の送受信機、123…2.4GHz帯の送受信機、125…表示装置、126…スピーカ、127…コントロール部、128…受信信号レベル検出回路、129…電池残量検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 デジタルテレビジョン信号を選局する選局手段と、第1のデータレートで情報の送受信を行う第1の送受信手段と、前記第1のデータレートより高い第2のデータレートで情報の送受信を行う第2の送受信手段と、前記選局されたデジタルテレビジョン信号の変調方式を検出する変調方式検出手段とを有し、前記検出された変調方式に従って前記第1及び第2の送受信手段を切り替える切り替え手段を備えたことを特徴とする無線伝送装置。
【請求項2】 請求項1記載の無線伝送装置において、前記検出された変調方式が標準精細度のときは前記第1の送受信手段に切り替え、前記検出された変調方式が高精細度のときは前記第2の送受信手段に切り替えると共に、前記送受信される信号のレベルを検出する信号レベル検出手段及び/または内蔵電池の残量を検出する電池残量検出手段を有し、前記信号レベルが規定値以下または前記電池残量が規定値以下になったときは、前記検出された変調方式に係わらず前記第1の送受信手段に切り替える制御手段を備えたことを特徴とする無線伝送装置。
【請求項3】 デジタルテレビジョン信号を選局する選局手段と、第1及び第2のデータレートで情報の送受信を行う第1及び第2の送受信手段と、前記選局されたデジタルテレビジョン信号の変調方式を検出する変調方式検出手段と、前記検出された変調方式に従って前記第1及び第2の送受信手段を切り替える切り替え手段とを備えた無線伝送装置の制御方法であって、前記検出された変調方式が標準精細度のときは前記第1の送受信手段に切り替え、前記検出された変調方式が高精細度のときは前記第2の送受信手段に切り替えると共に、前記送受信される信号のレベル及び/または内蔵電池の残量を検出し、前記信号レベルが規定値以下または前記電池残量が規定値以下になったときは、前記検出された変調方式に係わらず前記第1の送受信手段に切り替えることを特徴とする無線伝送装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−304412(P2003−304412A)
【公開日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−106864(P2002−106864)
【出願日】平成14年4月9日(2002.4.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】