説明

無線受信機及び電子機器

【課題】低消費電力の振幅変調無線受信機を提供すること。
【解決手段】無線受信機は、無線周波数入力信号および利得制御信号を受信し、増幅信号
を提供する増幅器と、高閾値コンパレーターの出力を受信し利得制御信号を提供する自動
利得制御回路と、増幅信号および局部振動信号を組み合わせて混合出力を提供するミキサ
ーと、混合出力を基準レベルと比較し高閾値コンパレーターの出力を提供する高閾値コン
パレーターと、混合出力を基準レベルと比較し無線受信機の出力を提供する低閾値コンパ
レーターとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線受信機及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線受信機は、「ベースバンド」信号(例えば第1周波数を有する無線信号)を伝送デ
ータ(例えば通常第1周波数より高い第2周波数を有する)から再生するために用いるこ
とができる。ベースバンド信号は0Hzに近い周波数を含むことができる。例えば、リア
ルタイムクロックの用途では、ベースバンド信号の周波数は、一般的に約1Hzである。
【0003】
無線通信信号システムにおいて、伝送信号は、元の低周波数の無線信号部分を含むこと
ができる。無線信号部分は、伝送用に元の無線信号部分より高い搬送周波数の信号、例え
ば無線周波数[RF]信号に変調される。変調された相対的に高い周波数成分を変換又は
再生することで、元の低周波数成分、すなわちベースバンド無線信号を復元することがで
きる。
【0004】
ベースバンド信号周波数への通常の変換の場合、「直接降下(ダイレクトダウン)」変
換方法に1又は2つのミキサー若しくは乗算回路を用いることができる。この場合、入力
データ(例えば無線信号)が、伝送周波数または放送チャンネル(例えば通常約40から
約60kHz)からベースバンド周波数(例えば約1Hz)に直接変換される。
【0005】
現在のAM無線受信機の構造は一般的に「ヘテロダイン」変換または「直接」変換(ダ
イレクトコンバージョン)のいずれかである。例えば、ヘテロダイン受信機は非線形デバ
イス(例えばトランジスター)で2つ以上の信号を混合することにより新規周波数(例え
ば中間周波数(IF))を生成する生成器を含む。一般的に、直接変換は比較的簡単なベ
ースバンド復調のスキームに用いられる。一方、ヘテロダイン受信機によるIFはより複
雑なベースバンド復調のスキームに用いられる。
【0006】
図5はAM復調に使用される従来の直接変換スキーム100のブロック図を示す。「搬
送」周波数(Fc)を有するAM変調信号(RF入力、例えば正弦波)が増幅器104(
例えば低雑音増幅器[LNA])により増幅され、ミキサー106およびミキサー118
に送信される。位相ロックループ(以降、PLLという)114を用いて搬送周波数Fc
での局部振動(LO)信号を生成する。IQ生成器116が、同相(I)および直交(Q
)クロック信号を生成する。例えば、PLLの出力信号と同じ搬送周波数Fcの同相成分
Iの信号112及び直交成分Qの信号124を生成する。これらの信号112及び信号1
24は、増幅RF信号と合成される。例えば、ミキサー118はPLL114が基準クロ
ック信号と受信RF信号とを同期化できるようPLLループの位相検出器として用いられ
る。さらに、ミキサー106は増幅RF入力信号およびLO信号120の和および差周波
数を形成することができる。合成低周波数信号(例えばRF入力信号およびLO信号12
0の周波数の差)がAM変調のベースバンド信号の信号112であり、低域通過フィルタ
ー(以降、LPFという)108を用いてミキサー出力から抽出することができる。この
ように、LPF108を用いて低周波数の差信号を通過させることができ、一方で、より
高い周波数の和周波数を遮断することができる。次にベースバンド信号の信号112をデ
コーダー110を用いてデジタル信号に変換する。さらに、伝送されたベースバンド信号
のより忠実な再生を得るために増幅器104の利得を自動利得制御(AGC)回路102
を用いて調節することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4339728号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6は図5の従来の直接変換スキームにおけるデコーダーの入力(信号112)および出
力信号を示す。図示されるように閾値202(信号112のスルーレートと併せて)はデ
コーダーの入力波形に対するデコーダーの出力信号のデューティサイクルを決定する。通
常、CMOSインバーターまたはバッファーがデコーダーとして用いられ、性能向上のた
めデコーダーへの入力信号の振幅は比較的大きくなければならない。従って、入力信号と
しての信号112において適切な大きい振幅を生み出すために増幅器104からLPF1
08への信号パスに沿ってより大きな利得が必要となる。このようなより大きい信号利得
を生成すると一般的にシステムの電力消費が増加する。従って、このような従来の方法は
、携帯機器のように消費電力に配慮する必要がある用途では望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無線受信機は、無線周波数入力信号および利得制御信号を受信し、増幅信号を
出力する増幅器と、前記増幅器の利得を制御する前記利得制御信号を出力する自動利得制
御回路と、前記増幅信号およびローカル振幅信号を組み合わせ、混合出力を出力するミキ
サーと、前記混合出力を第1の基準レベルと比較し、第1の比較結果を前記自動利得制御
回路に出力する第1のコンパレーターと、前記混合出力を第2の基準レベルと比較し、第
2の比較結果を無線受信機の外部に出力する第2のコンパレーターと、を含むことを特徴
とする。
【0010】
本発明の無線受信機は、さらに、基準クロック信号から前記ローカル振幅信号を生成す
る位相ロックループをさらに含むように構成しても良い。
【0011】
本発明の無線受信機は、さらに、前記ローカル振幅信号の周波数は、前記無線周波数入
力信号の周波数と略同一であり、前記ローカル振幅信号の周波数と前記無線周波数入力信
号の周波数の差は、前記基準クロック信号の周波数と前記無線周波数入力信号の周波数の
差より小さく、前記ローカル振幅信号の位相は、前記無線周波数入力信号の位相と略同一
であってもよい。
【0012】
本発明の無線受信機は、さらに、前記第1の基準レベル及び前記第2の基準レベルは、
外部から調整可能であってもよい。
【0013】
本発明の無線受信機は、さらに、前記第1のコンパレーターは、前記混合出力の振幅を
検出し、前記第2のコンパレーターは、前記混合出力の立ち上がり及び立ち下がりを検出
してもよい。
【0014】
本発明の無線受信機は、さらに、前記第1の基準レベルの絶対値は、前記第2の基準レ
ベルの絶対値より大きくなるよう構成してもよい。
【0015】
本発明の無線受信機は、さらに、前記混合出力に接続され、前記第1のコンパレーター
及び前記第2のコンパレーターにベースバンド信号を供給するローパスフィルターをさら
に含んでも良い。
【0016】
本発明の無線受信機は、さらに、前記混合出力を受信し、前記混合出力の高周波成分を
除去し前記第1のコンパレーターに供給する第1のローパスフィルターと、前記第1のロ
ーパスフィルターの出力を受信し、高周波成分を除去し前記第2のコンパレーターに供給
する第2のローパスフィルターと、を含み、前記第2のローパスフィルターが通過させる
信号の周波数は、前記第1のローパスフィルターが通過させる信号の周波数より帯域が小
さくなるよう構成してもよい。
【0017】
本発明の無線受信機は、さらに、前記混合出力を受信し、前記混合出力の高周波成分を
除去し前記第1のコンパレーターに供給する第1のローパスフィルターと、前記混合出力
を受信し、前記混合出力の高周波成分を除去し前記第2のコンパレーターに供給する第2
のローパスフィルターと、を含み、前記第2のローパスフィルターが通過させる信号の周
波数は、前記第1のローパスフィルターが通過させる信号の周波数より帯域が小さくても
良い。
【0018】
本発明の無線受信機は、さらに、前記第1のコンパレーターによる信号の遅延量は、前
記第2のコンパレーターによる信号の遅延量より小さくしてもよい。
【0019】
本発明の無線受信機は、無線周波数入力信号を受信し増幅信号を提供するよう構成され
る第1増幅器と、前記増幅信号および局部振動信号を組み合わせて混合出力を出力するミ
キサーと、前記混合出力を受信して中間周波数信号を提供するよう構成される第2増幅器
と、前記中間周波数信号を第1基準レベルと比較し、比較結果を出力する第1のコンパレ
ーターと、前記中間周波数信号を第2基準レベルと比較し、前記無線受信機の出力を提供
する第2のコンパレーターとを有する。
【0020】
本発明の無線受信機は、さらに、前記第1増幅器は低雑音増幅器を有するように構成し
てもよい。
【0021】
本発明の無線受信機は、さらに、さらに前記局部振動信号を基準クロック信号から生成
するよう構成される位相ロックループと同相および直交信号ジェネレーターとを有してい
てもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態による二重閾値直接変換スキームを示すブロック図。
【図2】図1におけるコンパレーターの閾値および入力/出力信号を示す波形図。
【図3】本発明の実施形態による二重閾値を用いた復調の代表的な方法を示すフロー。
【図4】本発明の実施形態による二重閾値ヘテロダイン受信機を示すブロック図。
【図5】AM復調に用いられる従来の直接変換スキームを示すブロック図。
【図6】図5の従来の直接変換スキームにおけるデコーダーの入力および出力信号を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、はじめに本発明の実施形態の概要を述
べる。
【0024】
本発明の実施形態は振幅変調(AM)無線受信機における復調の方法、アルゴリズム、
回路、および/またはシステムに関する。
【0025】
一実施形態で、無線受信機は無線周波数入力信号(以降、RF入力信号という)および
利得制御信号を受信し、増幅信号を提供するよう構成される増幅器、高閾値コンパレータ
ーの出力を受信し利得制御信号を提供するよう構成される自動利得制御回路(以降、AG
C回路ブロックという)、増幅信号および局部振動信号を組み合わせて混合出力を提供す
るよう構成されるミキサー、混合出力を基準レベルと比較し、高閾値コンパレーターの出
力を提供するよう構成される高閾値コンパレーター、および混合出力を基準レベルと比較
し、無線受信機の出力を提供するよう構成される低閾値コンパレーターを含むことができ
る。
【0026】
一実施形態で、AGCループ回路はRF入力信号および利得制御信号を受信し、増幅信
号を提供するよう構成される増幅器、高閾値コンパレーターの出力を受信し利得制御信号
を提供するよう構成されるAGC回路ブロック、増幅信号および局部振動信号を組み合わ
せて混合出力を提供するよう構成されるミキサー、混合出力を受信してそこからベースバ
ンド信号を提供するよう構成されるフィルターでベースバンド信号はベースバンド信号と
基準レベルとの低閾値比較によりデジタル再生ベースバンド信号に変換されるフィルター
、およびベースバンド信号を基準レベルと比較し高閾値コンパレーターの出力を提供する
よう構成される高閾値コンパレーターを含むことができる。
【0027】
別の実施形態で、RF入力信号を復調する方法は、RF入力信号を無線受信機の増幅器
で受信すること、増幅器の出力を局部振動信号と組み合わせて第1信号を形成すること、
第1信号と基準レベルとの高閾値比較を行い第2信号を提供することで第2信号は増幅器
の利得制御を提供すること、および第1信号と基準レベルとの低閾値比較を行いRF入力
信号からデジタル再生ベースバンド信号を提供することを含むことができる。
【0028】
本発明の実施形態は停電力用途における使用に適した二重閾値コンパレーター使用の信
頼があり簡略化されたAM復調方法を有利に提供することができる。
【0029】
次に発明の好ましい実施形態について詳細に言及し、これらの例は添付図面に図示され
る。発明は好ましい実施形態に関連して説明されるが、これは発明をこれらの実施形態に
限定する意図ではないことが理解されよう。むしろ発明は添付クレームで定義される発明
の精神および範囲内に含まれる別方法、修正、および同等のものを包含することが意図さ
れる。さらに、続く本発明の詳細な説明において、本発明の充分な理解を供するために多
数の具体的な詳細が記述される。しかし当業者であれば本発明はこれらの具体的な詳細な
しに実施し得ることを容易に理解しよう。逆に、本発明の態様を不必要にあいまいにしな
いよう周知の方法、手順、構成要素、および回路は詳細に説明されていない。
【0030】
続く詳細な説明のある部分はコンピューター、プロセッサー、コントローラー、および
/またはメモリー内のコード、データビット、データストリーム、または波形の操作のプ
ロセス、手順、論理ブロック、機能ブロック、処理、および他の象徴的表現として呈され
る。これらの説明および表現はデータ処理技術の当業者により他の当業者に自分の仕事の
内容を伝えるために一般的に使用される。プロセス、手順、論理ブロック、機能、プロセ
ス等々は本明細書において、かつ一般的に、望ましい、および/または予期される結果に
つながる工程または命令の筋の通ったシーケンスであるとみなされる。工程は一般的に物
理量の物理的操作を含む。かならずしもではないが、通常これらの量は記憶、転送、組み
合わせ、比較、およびその他コンピューターまたはデータ処理システムでの操作が可能な
電気、磁気、光、または量子信号の形を取る。主に一般的な慣用の理由から、時にこれら
の信号をビット、波、波形、ストリーム、値、要素、記号、文字、項、数字、等々と呼び
、コンピュータープログラムまたはソフトウェアにおけるこれらの表現をコードと呼ぶこ
とが便利であった。
【0031】
しかしこれらすべておよび類似した用語はしかるべき量および/または信号と結び付い
ており、単にこれらの量および/または信号に適用される便利なラベルである。具体的に
別途記述され、および/または以下の考察から明らかでない限り、本発明を通じて「処理
」、「動作」、「演算」、「計算」、「判定」、「操作」、「変換」等々の用語を用いた
考察は物理的(例えば電子的)な量として表されるデータを操作し変換するコンピュータ
ーもしくはデータ処理システム、または類似した処理装置(例えば電気、光、または領事
演算または処理装置または回路)の行為およびプロセスを指す。これらの用語は回路、シ
ステム、またはアーキテクチャの構成要素(例えばレジスター、メモリー、その他の同様
な情報記憶、伝送、または表示装置、等々)内で物理量を同じまたは異なるシステムまた
はアーキテクチャの他の構成要素内の物理量として表される他のデータに操作または変換
する処理装置の行為およびプロセスを指す。
【0032】
さらに本発明との関連で、「電線」、「配線」、「線」、「信号」、「導体」、および
「バス」の用語は信号を物理的に回路の1点から別の点に転送する任意の知られる構造、
構成、配列、手法、方法、および/またはプロセスを指す。また、本明細書におけるその
使用の脈絡から別途示されない限り、「知られる」、「固定の」、「定められた」、「特
定の」、および「所定の」の用語は一般的に理論的には可変であるが、通常は前以て設定
されその後使用の際、変更されない値、量、パラメーター、制限、条件、状態、プロセス
、手順、措置、またはこれらの組み合わせを指す。
【0033】
同様に便宜上および平易さから、「クロック」、「時間」、「タイミング」、「率」、
「周期」、および「周波数」は一般的に互換性があり、本明細書において互換性をもって
使用できるが、全般的に技術上認められる意味を持つ。また便宜上および平易さから、「
データ」、「データストリーム」、「波形」、および「情報」は互換性をもって使用でき
、同様に(a)「フリップフロップ」、「ラッチ」、および「レジスター」の用語、また
(b)「に接続される」、「と連結される」、「に連結される」、および「と通信する」
(直接的または間接的な接続、連結、または通信を指すことができる)も互換性をもって
使用できるが、これらの用語も全般的に技術上認められる意味を持つ。
【0034】
本発明は本構造、方法、および回路のハードウェア、ファームウェア、およびソフトウ
ェアによる実施に関する。本発明の実施形態は二重閾値コンパレーターを利用した、信頼
性が有り簡単な振幅変調(AM)の復調方法を有利に提供でき、特に低電力用とに適して
いる。さらに、本発明の実施形態は1つのコンパレーターからの出力における増幅器利得
を制御するために自動利得制御(AGC)を用いる一方、別のコンパレーターからの出力
が無線受信機の出力を提供する。発明はその各種態様において、以下に代表的な実施形態
に関連してより詳細に説明される。
【0035】
本発明の各種実施形態によると、無線受信機は僧服器、AGC回路入力を提供する第1
コンパレーター、無線受信機からの復調信号出力を提供する第2コンパレーターを含むこ
とができる。本明細書で示す具体的な回路例に対する目標用途は直接変換またはヘテロダ
イン型のいずれかのAM無線受信機で、AMデータは無線周波数(RF)正弦波として通
信されることができる。一実施形態で、増幅器の出力は局部振動信号と混合され、フィル
ターされ、次に各々のコンパレーターに供給される。もちろん具体的な用途において他種
の回路および/またはデジタル論理クロックも利用することができる。
【0036】
無線受信機の一実施形態
本発明による無線受信機の一実施形態は、(i)RF入力信号および利得制御信号を受
信し増幅信号を提供するよう構成される増幅器、(ii)高閾値コンパレーターの出力を受
信し利得制御信号を提供するよう構成されるAGC回路ブロック、(iii)増幅信号およ
び局部振動信号を組み合わせて混合出力を提供するよう構成されるミキサー、(iv)混合
出力を基準レベルと比較し、高閾値コンパレーターの出力を提供するよう構成される高閾
値コンパレーター、および(v)混合出力を基準レベルと比較し、無線受信機の出力を提
供するよう構成される低閾値コンパレーターを含む。
【0037】
図1は本発明の実施形態による二重閾値直接変換AM受信機300を示す。
【0038】
増幅器304(例えば、低雑音増幅器LNA)は、搬送周波数Fcを有するAM変調信
号(RF入力信号)を受信し、増幅RF信号を生成する。増幅RF信号は、ミキサー30
6及びミキサー318に供給される。
【0039】
位相ロックループ(以降、PLLという)314は、RF変調信号の周波数に近い基準
クロック信号を受信し、ローカル振幅(LO)信号320を生成する。基準クロック信号
の周波数の精度は、RF変調信号の周波数の制度より低いので、PLL314で基準クロ
ック信号の周波数が調整され、ローカル振幅(LO)信号320は、搬送周波数Fcと略
同一の周波数を有する。もしくは、ローカル振幅(LO)信号320は、搬送周波数Fc
の整数倍又は整数で割った周波数に略同一の周波数を有していても良い。
【0040】
IQジェネレーター316は、PLL314から出力されたローカル振幅(LO)信号
320から、同相(I成分)クロック信号322および直交(Q成分)クロック信号32
4生成する。前述したようにPLLループでローカル振幅信号の周波数を調整することで
、同相(I成分)クロック信号322及び直交(Q成分)クロック信号324は、それぞ
れ搬送周波数Fcと略同一の周波数を有する。また、同相(I成分)クロック信号322
および直交(Q成分)クロック信号324は、互いに90°位相がずれている。同相(I
成分)クロック信号322はRF入力信号と同相であり、直交(Q成分)クロック信号3
24はRF入力信号と位相が90°ずれている。同相(I成分)クロック信号322は、
ミキサー318を用いて増幅RF信号と混合される。同様に、直交(Q成分)クロック信
号324は、ミキサー306を用いて増幅RF信号と混合される。
【0041】
IQジェネレーター316は一般的な構成でよい。例えば、一実施形態として、米国特
許出願公開第11/740159号明細書で開示されるI/Qジェネレーターを用いるこ
とができる。
【0042】
基準クロック信号とRF入力信号の位相がずれているため、ミキサー318は、PLL
314が基準クロック信号をRF信号と同期化するために、PLLループの位相検出器と
して用いることができる。PLLループには、例えば増幅器304を介してRF入力信号
を増幅した増幅RF信号が用いられる。
【0043】
ミキサー306は、増幅RF入力信号およびローカル振幅(LO)信号320の和周波
数および増幅RF入力信号およびローカル振幅(LO)信号320の差周波数を有する信
号を生成することができる。ローカル振幅(LO)信号320の代わりに、ローカル振幅
(LO)信号320に基づいた直交(Q成分)クロック信号324を用いることができる
。ミキサー306で合成された低周波数信号は、AM変調のベースバンド信号となる。本
実施形態において、低周波数信号は、例えば増幅RF入力信号およびローカル振幅(LO
)信号320の差である周波数を有する信号である。低周波数信号は、和成分と積成分を
含む。
【0044】
低域通過フィルターとしてのローパスフィルター(以降、LPFという)308は、ミ
キサー306から出力された信号の高周波成分としての高周波数の和信号を除去して積信
号を残すことにより、ベースバンド信号312を抽出する。
【0045】
次に、第1のコンパレーターとしての高閾値コンパレーター330を用いて、ベースバ
ンド信号312をデジタル信号に変換することができる。伝送ベースバンド信号を再生す
るために増幅器304の利得をAGC回路ブロック302を用いて調節する。AGC回路
ブロック302は一般的な構成でよく、例えば、一実施形態でとして米国特許出願公開第
11/877447号明細書に開示されるデジタル利得論理およびロック検出論理を含む
AGC回路を用いることができる。
【0046】
二重閾値コンパレーターブロック336で、2つのデコーダーまたは他の機能的に同等
のデジタル論理は各々固定基準コンパレーター(例えば低閾値コンパレーター310およ
び高閾値コンパレーター330)として実施することができる。特定の実施形態では他種
のデコーダーおよび/またはコンパレーター(例えば差動増幅器、可変基準レベルコンパ
レーター、事前充電ダイナミック論理、等々)も使用できる。
【0047】
図1の固定基準(fixed reference)コンパレーターの例について説明する。閾値生成
回路としての基準レベルジェネレーター332は、第1の閾値電圧としての第1の基準レ
ベル334−1及び第2の閾値電圧としての第2の基準レベル334−2を生成する。第
1の基準レベル334−1の値は、第2の基準レベル334−2の値より大きい(電圧が
高い)。第1の基準レベル334−1は、第2のコンパレーターとしての低閾値コンパレ
ーター310に供給され、第2の基準レベル334−2は、第1のコンパレーターとして
の高閾値コンパレーター330に供給される。別の実施形態として、基準レベルジェネレ
ーター332から同電位の基準信号を出力し、高閾値コンパレーター330及び低閾値コ
ンパレーター310の内部で閾値電圧の調整をしてもよい。例えば、高閾値コンパレータ
ー330で基準レベルジェネレーター332の出力を昇圧したり、低閾値コンパレーター
310で基準レベルジェネレーター332の出力を降圧したりして、閾値電圧として使用
することもできる。
【0048】
高閾値コンパレーター330は、AGCループの一部として用いることができる。例え
ばAGCループは、増幅器304、ミキサー306、LPF308、高閾値コンパレータ
ー330、およびAGC回路ブロック302によって構成される。高閾値コンパレーター
330は、LPF308から出力されたベースバンド信号312の振幅の大きさを検出す
る。例えば、ベースバンド信号312が第1の基準レベル334−1の値を超えている期
間の長さにより、ベースバンド信号312の振幅を測定する。高閾値コンパレーター33
0は、増幅器304から出力される信号の振幅が最適な値になるように、AGC回路ブロ
ック302に第1の比較結果としての高閾値コンパレーター出力信号408を出力する。
【0049】
このように、高閾値コンパレーター330はベースバンド信号312を認識し、高閾値
コンパレーター330の出力のデューティサイクルがベースバンド信号312のデューテ
ィサイクルに対し理想的とはいえない相関関係にあってもAGCループのロックを維持す
るよう機能することができる。例えば、AGC回路ブロック302が増幅器304の利得
を制御することにより、AGCループのロックを維持することができる。
【0050】
低閾値コンパレーター310は、LPF308から出力されたベースバンド信号312
の立ち上がり及び立ち下がりを検出し、矩形波を生成する。その矩形波を二重閾値直接変
換AM受信機300から出力する。すなわち、低閾値コンパレーター310は、低閾値コ
ンパレーター出力信号406を出力することによって、外部インターフェイスに対しベー
スバンド信号表示を生成するために用いることができる。高閾値コンパレーター330の
出力によってAGCループをロックすることにより、増幅器304の利得を適切に調整で
きる。増幅器304の利得が最適化することで、高閾値コンパレーター330及び低閾値
コンパレーター310に入力するベースバンド信号312の振幅の大きさが最適化され、
実質的に高閾値コンパレーター330の閾値が遷移し、それに応じて低閾値コンパレータ
ー310の閾値も適切な値に切り換えられる。
【0051】
低閾値コンパレーター310の閾値を適切な値に設定することにより、ベースバンド信
号は受信機の出力においてデジタルの形で、かつベースバンド信号312に対し良好なデ
ューティサイクルの相関関係をもって再生することができる。
【0052】
低閾値コンパレーター310および高閾値コンパレーター330の閾値を適切な値に設
定するためにユーザーによりプログラム可能な調節を行うことができる。例えば、メタル
オプションまたはレジスターに基づく制御手段により閾値を調整することができる。例え
ば、高閾値コンパレーター330の高閾値レベルおよび低閾値コンパレーター310の低
閾値レベルを適切に調節し設定するために、本発明の二重閾値直接変換AM受信機300
(または下記図4の例示AM受信機)を含む集積回路の製品は、閾値を調整するための抵
抗器、コンデンサー、および/もしくはトランジスターを含むことができる。又は、二重
閾値直接変換AM受信機300を含む集積回路又は集積回路を含む電子機器が、デバイス
(例えばプログラムされたメモリービット)をイネーブルまたはディスエーブルすること
で、閾値を調整することもできる。さらに、基準レベルジェネレーター332も同様にユ
ーザー調節可能な第1の基準レベル334−1、第2の基準レベル334−2を提供する
ことができる。
【0053】
別の実施形態として低閾値コンパレーター310に入力するベースバンド信号312に
は、高閾値コンパレーター330に入力するベースバンド信号312より帯域の狭いロー
パスフィルターを用いることもできる。
【0054】
例えば、第1のローパスフィルターとしてのLPF308の出力が低閾値コンパレータ
ー310と高閾値コンパレーター330への経路に分岐した後段で、低閾値コンパレータ
ー310の前段に第2のローパスフィルターを設けることができる(図示せず)。すなわ
ち、二重閾値直接変換AM受信機300の出力は第1のローパスフィルターとしてのLP
F308と前述の第2のローパスフィルター(図示せず)を介した信号に基づいて生成さ
れ、AGC回路ブロック302への入力は、第1のローパスフィルターとしてのLPF3
08を介した信号に基づいて生成される。ここで、前述の第2のローパスフィルター(図
示せず)は、第1のローパスフィルターとしてのLPF308より通過帯域が狭い。
【0055】
更に別の実施形態としてミキサー306の出力としてのベースバンド信号312に対し
て、高閾値コンパレーター330に入力する信号に対しては第1のローパスフィルターを
用いて高周波数成分を除去し、低閾値コンパレーター310に入力する信号に対しては第
2のローパスフィルター(図示せず)を用いて高周波数成分を除去するように構成するこ
とができる。すなわち、ミキサー306の出力としてのベースバンド信号312は、第1
のローパスフィルターまたは第2のローパスフィルターを通過する前に分岐するように構
成することができる。ここで、第2のローパスフィルターは第1のローパスフィルターよ
り通過帯域が狭い。
【0056】
このように、出力用の矩形信号を生成する低閾値コンパレーター310に入力する信号
には高閾値コンパレーター330に入力する信号よりも精度の高いローパスフィルターを
用いることで、ノイズの小さい出力信号を生成することができる。すなわち、二重閾値直
接変換AM受信機300の出力をより適切なデューティサイクルの矩形波にすることがで
きる。しかしながら、精度の高いローパスフィルターを用いると信号の出力が遅延してし
まう。二重閾値直接変換AM受信機300の出力信号は、ローパスフィルターによる信号
の遅延よりもノイズ除去の重要度が高い。一方、高閾値コンパレーター330に入力する
信号は、リアルタイムに増幅器304の利得を制御する必要がある。低閾値コンパレータ
ー310に入力する信号の振幅が所望の範囲からずれていると、信号の立ち上がり及び立
ち下がりを検出できず、最適な矩形波を生成することができない。そのため、低閾値コン
パレーター310に入力する信号よりも精度は低いものの処理速度の速いローパスフィル
ターを用いることが好ましい。
【0057】
図2は、図1のブロック図での第2の基準レベルとしての低閾値402、第1の基準レ
ベルとしての高閾値404、低閾値コンパレーター310および高閾値コンパレーター3
30へ入力信号としてのベースバンド信号312、低閾値コンパレーター310の第2の
比較結果としての低閾値コンパレーター出力信号406及び高閾値コンパレーター330
の第1の比較結果としての高閾値コンパレーター出力信号408の波形を示す。
【0058】
AGCループがロックされている場合、安定した出力を低閾値コンパレーター310か
ら出力することができる。このような低閾値コンパレーター出力信号406はコンパレー
ター入力としてのベースバンド信号312と比較的良好なデューティサイクルの相関関係
を有することができる。ベースバンド信号を受信機の出力で再生するために低閾値コンパ
レーター310および高閾値コンパレーター330は必ずしも大振幅の入力信号(例えば
ベースバンド信号312において)を必ずしも必要としない。
【0059】
しかし上述のように、低閾値コンパレーター310および高閾値コンパレーター330
は双方とも類似し、対応する遷移をしなければならず、各コンパレーターにおける上昇ま
たは下降遷移は実質的に同じ周期を有する必要がある。従って高閾値コンパレーターの出
力はAGCループ(増幅器304を含む)に含まれ、低閾値コンパレーターの出力は設計
上自動的に切替えられる。その結果、増幅器304からLPF308までの信号パスにお
けるさまざまな利得(例えばベースバンド信号312を駆動するため)は高閾値コンパレ
ーターの出力が所定の状態(例えば高状態)である時間の長さTにより制御できる。これ
により、増幅器304の出力を適切な振幅に制御することができるので、従来の方法に比
べ増幅器304から出力される信号の振幅を小さくすることができる。従来よりも利得が
低く設定された結果、システム全体の消費電力が削減され、電池式の無線装置(例えば電
波時計およびリアルタイム時計、携帯電話、携帯端末、ラップトップコンピューター、等
々)などの低電力用途に本発明のAM受信機を用いることができる。このように、低閾値
コンパレーター出力信号406は一般的にデューティサイクル向けに最適化され(一例で
は50%のデューティサイクルが理想的)、高閾値コンパレーター出力信号408は一般
的に電力消費の削減向けに最適化される。さらに、この方法はヘテロダインのAM受信機
構造において利用することができる。
【0060】
本実施形態では、低閾値コンパレーター310と高閾値コンパレーター330に同じコ
ンパレーター入力としてのベースバンド信号312が入力されているが、前述したように
低閾値コンパレーター310の前段に高精度のフィルターを設けた場合、低閾値コンパレ
ーター310に入力するコンパレーター入力としてのベースバンド信号312は、高閾値
コンパレーター330に入力するコンパレーター入力としてのベースバンド信号312よ
り遅延する。低閾値コンパレーター310への入力信号が全体的に遅延しても、低閾値コ
ンパレーター310が出力する信号の高状態の長さは変化しないので矩形波の形状は変化
しない。例えば、低閾値コンパレーター出力信号406が高状態の期間は、高閾値コンパ
レーター出力信号408の高状態の期間より長いが、低閾値コンパレーター出力信号40
6の立ち上がりが高閾値コンパレーター出力信号408の立ち上がりよりも遅れる可能性
もある。
第1のコンパレーターとしての高閾値コンパレーター330による信号である高閾値コ
ンパレーター出力信号408の遅延量は、第2のコンパレーターとしての低閾値コンパレ
ーター310による信号である低閾値コンパレーター出力信号406の遅延量より小さい

【0061】
本実施形態は、正弦波の正の振幅を取り出す全波整流に用いられるが、別の実施形態と
して、正弦波の負の振幅を取り出す全波整流に用いられた場合は、第2の基準レベルを0
V以下に設定し、第1の基準レベルを第2の基準レベルより低いレベルに設定することも
できる。
【0062】
復調の方法
RF入力信号を復調する方法の一実施形態は、(i)RF入力信号を無線受信機の増幅
器で受信すること、(ii)増幅器の出力を局部振動信号と組み合わせて第1信号を形成す
ること、(iii)第1信号と基準レベルとの高閾値比較を行い第2信号を提供することで
第2信号は増幅器の利得制御を提供すること、および(iv)第1信号と基準レベルとの低
閾値比較を行いRF入力信号からデジタル再生ベースバンド信号を提供すること、の工程
を含む。
【0063】
図3は本発明の実施形態による二重閾値を用いた復調方法のフロー500を示す。二重
閾値として、例えば、第1の閾値(高閾値)と第1の閾値よりも絶対値の小さい(値が小
さい)第2の閾値(低閾値)を用いる。
【0064】
ステップS502で復調方法のフローが開始される。次いで、ステップS504におい
て、直接変換型受信機またはヘテロダイン型受信機などのAM無線受信機の増幅器(例え
ば低雑音増幅器LNA)によりRF入力信号が受信される。ステップS506で、ミキサ
ー(例えば、図1のミキサー306)を用いて増幅器の出力を局部振動信号(例えば信号
としての直交(Q成分)クロック信号324)と組み合わせ、ミキサー出力を生成する。
【0065】
ここで、このミキサー出力をフィルターする。例えば図1のLPF308を用いてフィ
ルターする。そして、周波数差のミキサー出力(例えば所望のベースバンド信号)を周波
数和のミキサー出力から分離する。あるいは、他の用途においてミキサー出力は二重閾値
コンパレーターに直接接続することもできる。または、別種のフィルター、例えば帯域通
過フィルター(バンドパスフィルター)、高域通過フィルター(ハイパスフィルター、H
PF)等々を経由して接続することもできる。
【0066】
ステップS508において、ミキサー出力又はミキサー出力のフィルターされた信号は
、ベースバンド信号312として提供される。ベースバンド信号312を高閾値コンパレ
ーターにおける基準レベルと比較して増幅器の利得を制御する。例えば、増幅器の利得は
AGCループ構造(例えば増幅器304、ミキサー306、LPF308、高閾値コンパ
レーター330、およびAGC回路ブロック302;図1参照)の一部としてAGC回路
を用いて制御することができる。
【0067】
ステップS510において、ミキサー出力はさらに低閾値コンパレーターにおける共通
基準レベルと比較して無線受信機の出力を提供し、好ましくは所定のデューティサイクル
を有するベースバンド信号を再生する。以上のようにして、ステップS512において、
復調方法のフローが終了する。
【0068】
別の実施形態の無線受信機
図4は本発明の実施形態による代表的な二重閾値ヘテロダイン受信機600のブロック
図を示す。ヘテロダイン受信機において、受信されるAM無線信号は入力されるRF入力
信号を、入力されるRF入力信号の搬送周波数からIF周波数、例えば455kHzを引
いたものに等しい周波数を有する局部的に生成された信号と混合して共通中間(IF)周
波数(FIF)に変換される。
【0069】
この変換によりその周波数帯域における任意の無線局からの信号に対し単同調IF増幅
器の使用を可能にする。IF増幅器は例えば約10kHzの帯域を有するように設計する
ことができ、これにより伝送信号の帯域と合致する。あるいは、IF増幅器はより広い帯
域を有するように設計されても良い。
【0070】
図4の具体的な例として、搬送周波数(Fc)を有するAM変調信号(RF入力信号)
は第1増幅器としてのRF増幅器604により増幅され、ミキサー606に供給される。
ここで、局部発信器614を用い、局部振動(LO)信号620を生成する。局部振動(
LO)信号620は、搬送周波数(Fc)からIF周波数(FIF)を引いた周波数を有
する。局部発信器614は単純な可変周波数発信器であっても良く、あるいはPLLでも
良い。局部発信器614により生成される周波数は周波数選択入力621により制御され
る。RF入力信号から中間周波数信号(IF信号)への周波数変換はRF増幅器604と
ミキサー606との組み合わせにより行うことができる。RF増幅器604は受信される
すべての周波数の増幅を提供できる広帯域RF増幅器であっても良く、または受信される
信号に同調される狭帯域増幅器であっても良い。狭帯域増幅器において、所望のRF周波
数への同調は例えばRF増幅器604に含まれる可変コンデンサーによって行うことがで
きる。
【0071】
ミキサー606は増幅RF入力信号および局部振動(LO)信号620の周波数の和と
差で代表される複数の信号を形成することができる。IFフィルター616(例えば、ロ
ーパスフィルター又はバンドパスフィルター)を用いて、ミキサー606の出力信号のう
ち合成低周波数信号のみが通過する。IFフィルター616を通過した合成低周波数信号
は、第2増幅器としてのIF増幅器640で増幅されAM変調の増幅IF信号612が供
給される。増幅IF信号612は次に高閾値コンパレーター630を用いてデジタル信号
に変換することができ、IF増幅器640の利得は実質的に図1におけるAGC回路ブロ
ック302と同じのAGC回路ブロック602を用いて調節することができる。
【0072】
図4の二重閾値コンパレーターブロック636において、2つのデコーダー各々または
他の機能的に同等のデジタル論理が固定基準コンパレーター(例えば低閾値コンパレータ
ー610および高閾値コンパレーター630)として実施されることができる。ある実施
形態によっては他種のデコーダーおよび/またはコンパレーター(例えば差分増幅器、可
変基準レベルコンパレーター、動的事前充電論理、等々)も用いることができる。
【0073】
図4の固定基準コンパレーターの例において、基準レベル634は直交信号ジェネレー
ターとしての基準レベルジェネレーター632によって生成される。基準レベル634は
、次に低閾値コンパレーター610および高閾値コンパレーター630の各々に供給され
る。高閾値コンパレーター630に供給される基準レベル634は、低閾値コンパレータ
ー610に供給される基準レベルよりレベルが高い。高閾値コンパレーター630はAG
Cループの一部として用いることができる。AGCループは、例えばIF増幅器640、
高閾値コンパレーター630、およびAGC回路ブロック602、さらにはAGC回路ブ
ロック602の出力がRF増幅器604に提供される場合随意的にRF増幅器およびミキ
サー606によって構成される。このように高閾値コンパレーター630は増幅IF信号
612を認識することができ、高閾値コンパレーター630における出力のデューティサ
イクルが増幅IF信号612の出力と相関関係が悪い場合でもAGCループのロックを維
持することができる。
【0074】
低閾値コンパレーター310は外部インターフェイスに対しIF信号表示を生成するた
めに用いることができる(信号「出力」経由で)。次に信号「出力」を用い、例えばダイ
オード検出器などのIF復調器によりIFからベースバンド信号を再生することができる
。AGCループをロックすることにより高閾値コンパレーター630の出力が遷移すると
、低閾値コンパレーター610もそれに応じて切り替わるようにIF増幅器640の利得
が適切に調節される。低閾値コンパレーター610の閾値を適切な値に設定することによ
り、IF信号は受信機の出力においてデジタルの形で、かつ増幅IF信号612に対し良
好なデューティサイクルの相関関係をもって再生することができる。特定の用途において
低閾値コンパレーター610および高閾値コンパレーター630双方における閾値を正し
く設定するためにユーザーによりプログラム可能な調節を行うことができる(例えば金属
のオプションまたはレジスターに基づく制御手段により)。例えば製品の特徴付けは、コ
ンパレーターの高および低閾値レベルを適切に調節し設定するために二重閾値直接変換A
M受信機300(または下記図4の例示AM受信機)を含む集積回路における抵抗器、コ
ンデンサー、および/もしくはトランジスターの部分またはデバイスをイネーブルまたは
ディスエーブルすることを含むことができる(例えば上記図2およびそれに関し対応する
考察を参照)。さらに、基準レベルジェネレーター632も同様にユーザー調節可能な第
1の基準レベル334−1、第2の基準レベル334−2、または複数のこのような独立
した基準レベルを提供することができる。
【0075】
結論
上記例は一般的に直接変換およびヘテロダインAM無線受信機の実施を示しているが、
当業者であれば発明の各種実施形態に従い他の実施および/または技術も用い得ることが
理解されよう。さらに当業者であればこのような実施形態に従い電流に基づく差分信号お
よび/あるいは制御も用い得ることを理解しよう。
【0076】
本発明の具体的な実施形態に関する前記の記述は例示および説明の目的で呈示された。
網羅的であることまたは発明を開示される厳密な形に限定することは意図されず、明らか
に上記の教示に照らし多数の修正および変更が可能である。実施形態は発明の原理および
その実際的な適用を最も良く説明し、それにより他の当業者が発明および予期される特定
の使用に適した各種修正を含めた各種実施形態を最も良く利用できるように選ばれ説明さ
れた。発明の範囲は本明細書に添付されるクレームおよびそれらと同等のものにより定義
されることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
300…二重閾値直接変換AM受信機、312…ベースバンド信号、336…二重閾値
コンパレーターブロック、402…低閾値、404…高閾値、600…二重閾値ヘテロダ
イン受信機、636…二重閾値コンパレーターブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数入力信号および利得制御信号を受信し、増幅信号を出力する増幅器と、
前記増幅器の利得を制御する前記利得制御信号を出力する自動利得制御回路と、
前記増幅信号およびローカル振幅信号を組み合わせ、混合出力を出力するミキサーと、
前記混合出力を第1の基準レベルと比較し、第1の比較結果を前記自動利得制御回路に
出力する第1のコンパレーターと、
前記混合出力を第2の基準レベルと比較し、第2の比較結果を無線受信機の外部に出力
する第2のコンパレーターと、
を含むことを特徴とする無線受信機。
【請求項2】
基準クロック信号から前記ローカル振幅信号を生成する位相ロックループをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の無線受信機。
【請求項3】
前記ローカル振幅信号の周波数は、前記無線周波数入力信号の周波数と略同一であり、
前記ローカル振幅信号の周波数と前記無線周波数入力信号の周波数の差は、前記基準ク
ロック信号の周波数と前記無線周波数入力信号の周波数の差より小さく、
前記ローカル振幅信号の位相は、前記無線周波数入力信号の位相と略同一であることを
特徴とする請求項2に記載の無線受信機。
【請求項4】
前記第1の基準レベル及び前記第2の基準レベルは、外部から調整可能であることを特
徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の無線受信機。
【請求項5】
前記第1のコンパレーターは、前記混合出力の振幅の大きさを検出し、
前記第2のコンパレーターは、前記混合出力の立ち上がり及び立ち下がりを検出するこ
とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の無線受信機。
【請求項6】
前記第1の基準レベルの絶対値は、前記第2の基準レベルの絶対値より大きいことを特
徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の無線受信機。
【請求項7】
前記混合出力に接続され、前記第1のコンパレーター及び前記第2のコンパレーターに
ベースバンド信号を供給するローパスフィルターをさらに含むことを特徴とする請求項1
乃至請求項6のいずれか一項に記載の無線受信機。
【請求項8】
前記混合出力を受信し、前記混合出力の高周波成分を除去し前記第1のコンパレーター
に供給する第1のローパスフィルターと、
前記第1のローパスフィルターの出力を受信し、高周波成分を除去し前記第2のコンパ
レーターに供給する第2のローパスフィルターと、
を含み、
前記第2のローパスフィルターが通過させる信号の周波数は、前記第1のローパスフィ
ルターが通過させる信号の周波数より帯域が小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項
6のいずれか一項に記載の無線受信機。
【請求項9】
前記混合出力を受信し、前記混合出力の高周波成分を除去し前記第1のコンパレーター
に供給する第1のローパスフィルターと、
前記混合出力を受信し、前記混合出力の高周波成分を除去し前記第2のコンパレーター
に供給する第2のローパスフィルターと、
を含み、
前記第2のローパスフィルターが通過させる信号の周波数は、前記第1のローパスフィ
ルターが通過させる信号の周波数より帯域が小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項
6のいずれか一項に記載の無線受信機。
【請求項10】
前記第1のコンパレーターによる信号の遅延量は、前記第2のコンパレーターによる信
号の遅延量より小さいことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の無線受信機。
【請求項11】
無線周波数入力信号を受信し増幅信号を提供するよう構成される第1増幅器と、
前記増幅信号および局部振動信号を組み合わせて混合出力を出力するミキサーと、
前記混合出力を受信して中間周波数信号を提供するよう構成される第2増幅器と、
前記中間周波数信号を第1の基準レベルと比較し、比較結果を出力する第1のコンパレ
ーターと、
前記中間周波数信号を第2の基準レベルと比較し、前記無線受信機の出力を提供する第
2のコンパレーターとを有することを特徴とする無線受信機。
【請求項12】
前記第1増幅器は低雑音増幅器を有することを特徴とする請求項11に記載の無線受信
機。
【請求項13】
前記局部振動信号を基準クロック信号から生成するよう構成される位相ロックループと
同相および直交信号ジェネレーターとを有することを特徴とする請求項11又は請求項1
2に記載の無線受信機。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の無線受信機を用いることを特徴とする
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−253973(P2009−253973A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60732(P2009−60732)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】