説明

無線端末装置

【課題】送信電力制御におけるゲインの切り替えにおいて、送信電力が不連続になることによる影響を低減すること。
【解決手段】第1から第2ゲインへと段階的な切り替えが可能な第1ゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2ゲイン調整手段とを備えた無線端末装置は、第1ゲイン調整手段において、第1ゲインが設定されている場合に、第2ゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第1合成ゲイン範囲と、第1ゲイン調整手段において、第2ゲインが設定されている場合に、第2ゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第2合成ゲイン範囲とが重複する範囲を有し、所望の合成ゲインが重複する範囲内であり、該所望の合成ゲインと第1合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差が、該所望の合成ゲインと第2合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差より大きい場合に、第1ゲイン調整手段に対して第1ゲインを設定する制御手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおいて使用される無線端末装置及び送信電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信の技術の進歩により、基地局(BS: Base Station)と無線端末(MS: Mobile Station)との間において、高い通信速度を得ることができる無線通信方式の提案や標準化が行われている。
【0003】
例えば、近年、IEEE802.16eとして標準化が進められているモバイルWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)(以下、WiMAXと記す)が挙げられる。WiMAXでは、無線通信方式にOFDMAが採用され、高い符号化速度で変調したサブキャリアを多数用いることにより、通信速度を稼ぐことができる。例えば、変調方式には、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)が含まれる。また、WiMAXでは、複数の無線端末(MS)で、同一周波数の帯域の共用を実現する。例えば、WiMAXでは、周波数分割複信(FDD: Frequency Division Duplex)/時分割複信(TDD: Time Division Duplex)の両方を取り決めたバーストという領域に分ける。
【0004】
WiMAXでは、このような多重化方式が採用される。BSは、複数のMSからの電波を同時に受信し、一括して復調処理を行う。このため、BSでは、各MSからの受信レベルがあるレベルで揃っている必要がある。BSにおいて、MSからの受信レベルをあるレベルに揃えるために、一般に送信電力制御(TPC: Transmission Power Control)が適用される。TPCとは、BSとMS間で送信電力を制御するコントロールプロトコルである。MSは、このTPCに基づいて適切に電力を調整する。ここで、モバイル通信において、TPCを適用する場合、MSはBSの近くに位置する場合もあれば、遠くに位置する場合もある。このような環境下で、BSに届く電力が適切であるためには、MSは送信電力レベルを細かく、かつ幅広く制御できる必要がある。
【0005】
例えば、MSは、複数の可変ゲインアンプを有する。そして、MSは、これら複数の可変ゲインアンプを複数段配置する。このようにすることにより、MSは、電力の制御範囲を広くとることができ、広い出力範囲を得ることができる。
【0006】
しかし、連続出力可変機構を有するアンプ又はアッテネータを用意するのは部品コストがかかる。従って、MSに2つの可変ゲインアンプを有するようにした場合、2つの可変ゲインアンプのうちの一方は、2段階でゲインを切り替えることができる程度の簡易な可変機構とする場合もある。このようにすることにより、部品のコストを抑制することができる。
【0007】
例えば、最大40dBの連続可変アンプと、減衰量を0dB/−20dBで切換えできるアッテネータとを内蔵する送信アンプを使用する場合には、最大60dBの可変幅を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−358601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した背景技術には以下に示すような問題点がある。
【0010】
MSに2つの可変ゲインアンプを有するようにし、該2つの可変ゲインアンプのうちの一方の可変ゲインアンプにおけるゲイン切り替えの段差が大きい場合について説明する。
【0011】
この場合、ゲイン切り替えの段差が大きい可変ゲインアンプにおけるゲインの切換ポイントにおいて送信電力の不連続点が生じやすい。
【0012】
2つの可変ゲインアンプのゲインの切換えがともに連続可変であれば、一方の可変ゲインアンプのゲインを固定して、他方の可変ゲインアンプのゲインを調整するような制御を行うことにより、このような不連続ポイントを回避できる。
【0013】
例えば、最大利得に対して、−30dB低い送信電力を得る場合について説明する。この場合、2段階でゲインを切り替えるアンプ側を0dBとして、連続可変できるアンプ側で−30dB利得を落とす設定と、2段階でゲインを切り替えるアンプ側を−20dBとして、連続可変できるアンプ側で−10dB利得を落とす設定の両方が選べる。しかし、部品の個体差や、温度差等の環境要因により、連続可変側と2段階ゲイン切換側との減衰量差20dBが必ずしも一致しない場合が生じる。この場合、ゲイン配分を切り替えるポイントで、送信電力に段差が生じる。
【0014】
この送信電力の段差を調整等の手法で抑えるには、キャリブレーションのための回路を追加する必要がある。このキャリブレーション回路は、2つの動作点の電力を揃うように調整する。しかし、こうしたキャリブレーション回路を追加すると、追加の回路や制御手順の実装が必要となるため、好ましくない。
【0015】
本無線端末装置及び送信電力制御方法は、送信電力制御におけるゲインの切り替えにおいて、送信電力が不連続になることによる影響を低減することができる無線端末装置及び送信電力制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、無線端末装置の一実施例は、
第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2のゲイン調整手段とを備えた無線端末装置において、
前記第1のゲイン調整手段において、第1のゲインが設定されている場合に、前記第2のゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第1合成ゲイン範囲と、
前記第1のゲイン調整手段において、第2のゲインが設定されている場合に、前記第2のゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第2合成ゲイン範囲と
が重複する範囲を有し、
所望の合成ゲインが前記重複する範囲内であり、該所望の合成ゲインと前記第1合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差が、該所望の合成ゲインと前記第2合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差より大きい場合に、前記第1のゲイン調整手段に対して前記第1のゲインを設定する制御手段
を有する。
【発明の効果】
【0017】
開示の無線端末装置によれば、送信電力制御におけるゲインの切り替えにおいて、送信電力が不連続になることによる影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施例に係る無線通信システムを示す説明図である。
【図2】フレームフォーマットの一例を示す説明図である。
【図3】一実施例に係る無線端末装置を示す部分ブロック図である。
【図4】送信電力制御を示す説明図である。
【図5】送信電力制御を示す説明図である。
【図6】送信電力制御を示す説明図である。
【図7】送信電力制御を示す説明図である。
【図8】一実施例に係る送信電力制御を示す説明図である。
【図9】一実施例に係る送信電力制御を示す説明図である。
【図10】一実施例に係る送信電力制御方法を示すフロー図である。
【図11】一実施例に係る送信電力制御方法を示すフロー図である。
【図12】一実施例に係る無線端末装置を示す部分ブロック図である。
【図13】一実施例に係る送信電力制御を示す説明図である。
【図14】一実施例に係る無線端末装置を示す部分ブロック図である。
【図15】一実施例に係る送信電力制御を示す説明図である。
【図16】一実施例に係る無線端末装置を示す部分ブロック図である。
【図17】一実施例に係る無線端末装置を示す部分ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施例)
本実施例に係る無線通信システムについて、図1を参照して説明する。
【0020】
本実施例に係る無線通信システムは、時分割複信(TDD: Time Division Duplex)方式が適用される。TDDでは、下りリンクと上りリンクとが高速に切り替えられることにより、全二重通信が行われる。上りリンクの送信信号、下りリンクの送信信号は同じ送信帯域で送信することもできる。例えば、時分割複信方式における伝送フレームには、下りリンクの信号が送信される下りリンクサブフレームと、上りリンクの信号が送信される上りリンクサブフレームとが含まれる。そして、下りリンクサブフレームと上りリンクサブフレームは、複数のOFDMシンボルが含まれる。下りリンクサブフレームに含まれるOFDM信号シンボル数と上りリンクサブフレームに含まれるOFDM信号シンボル数は、同数であってもよいし、異なってもよい。OFDMシンボル間には、サイクリック プレフィックス(CP: Cyclic Prefix)が位置する。例えば、シンボルの最後部から所定長の部分の信号をそのままコピーした信号をシンボルの先頭に付加することによりシンボル間にCPを配置する。
【0021】
また、本実施例に係る無線通信システムは、直交周波数分割多重(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing)又は直交周波数分割多重接続(OFDMA: Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が適用される。これらの要件を有する無線通信システムには、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)が含まれる。そこで、本実施例では、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)を一例として説明する。しかし、RF部に、第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整部と、ゲインの微調整ができる第2のゲイン調整部とを備えた無線通信装置を有する通信システムであれば、WiMAX以外にも適用できる。
【0022】
本実施例に係る無線通信システムは、無線基地局(BS: Base Station)100(100、100、100)を有する。例えば、無線基地局100は、アクセスネットワークに含まれる。図1には、3つの無線基地局が記載されているが、1つでもよいし、2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、本実施例に係る通信システムは、無線端末装置200(200、200、200)を有する。無線端末装置200には、無線通信が可能であるPC、携帯端末、車に搭載される車載端末が含まれる。
【0023】
また、本実施例に係る無線通信システムには、宅内機器(CPE: Customer Premises Equipment)が含まれるようにしてもよい。
【0024】
また、本実施例に係る無線通信システムは、ASN-GW(access service network-gateway)300を有する。ASN-GW300は、無線基地局を上位のIPネットワークに接続する。また、ASN-GW300は、無線基地局間のハンドオーバを制御する。ASN-GW300は、数台の無線基地局200を収容し,コアIP網のルータに接続する。
【0025】
また、本実施例に係る無線通信システムは、BRAS(Broadband Remote Access Server) 400を有する。BRAS400は、ブロードバンドアクセス回線から、インターネットへのアクセスを行う。
【0026】
また、本実施例に係る無線通信システムは、ルータ(router)500を有する。ルータ(router)500は、ネットワーク上を流れるデータを他のネットワークに中継する。例えば、ルータ500は、MMD(Multimedia Domain)/IMS(IP Multimedia Subsystem)上を流れるデータをインターネットに中継する。そして、該データは、インターネットに接続された他の無線端末装置200に送信される。
【0027】
また、本実施例に係る無線通信システムは、HA(Home Agent)700を有するようにしてもよい。また、本実施例に係る無線通信システムは、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ800を有するようにしてもよい。
【0028】
無線基地局100と無線端末装置200は、時分割複信方式により無線通信を行う。時分割複信方式における伝送フレームは、図2に示すように、下りリンクサブフレーム(DL Subframe)と上りリンクサブフレーム(UL Subframe)により構成され、一対の下りリンクサブフレームと上りリンクサブフレームにより、1フレームが構成される。また、下りリンクサブチャネルには、プリアンブル(Preamble)と、フレーム制御ヘッダ(FCH: Frame Control Header)と、DL-MAPと、UL-MAPと、下りリンクバースト(DL burst)とが含まれる。例えば、フレーム制御ヘッダには、サブチャネルの数、DL-MAPのコーディング情報が含まれるようにしてもよい。また、DL-MAPには、バーストの位置、サイズの情報が含まれるようにしてもよい。下りリンクバーストは、複数の領域に区分(分割)されてもよい。また、上りリンクサブチャネルには、レンジング領域と、上りリンクバースト(UL burst)とが含まれる。上りリンクバーストは、複数の領域に区分(分割)されてもよい。
【0029】
本実施例に係る無線端末装置200について、図3を参照して説明する
本実施例に係る無線端末装置200は、送信RF部202を有する。送信RF部202は、無線基地局100に、上りリンクの信号を送信する。例えば、送信RF部202は、D/A変換が行われたデータを無線周波数に変換し、送信電力制御を行い送信する。
【0030】
本実施例に係る無線端末装置200は、ゲイン2段階切換アンプ204を有する。ゲイン2段階切換アンプ204は、2段階でゲインを切換える。
【0031】
本実施例に係る無線端末装置200は、ゲイン連続可変アンプ206を有する。ゲイン連続可変アンプ206は、ゲインを連続的に変化させる。
【0032】
本実施例に係る無線端末装置200は、D/A変換器208を有する。D/A変換器208は、後述するUL信号生成部214により入力されたベースバンド信号をアナログ信号に変換する。そして、D/A変換器208は、アナログ信号に変換したベースバンド信号を、送信RF部202に入力する。
【0033】
本実施例に係る無線端末装置200は、ベースバンド処理部210を有する。ベースバンド処理部210は、ベースバンド信号に関する処理を行う。
【0034】
本実施例に係る無線端末装置200は、制御部212を有する。制御部212は、上述したゲイン2段階切換アンプ204及びゲイン連続可変アンプ206の切換え制御を行う。
【0035】
本実施例に係る無線端末装置200は、UL信号生成部214を有する。UL信号生成部214は、上りリンクの信号を生成する。UL信号生成部214は、生成した上りリンクの信号をD/A208に入力する。
【0036】
本実施例に係る無線端末装置200は、受信部/受信処理部216を有する。受信部/受信処理部216は、受信RF部218により入力されたベースバンド信号に関する処理を行う。
【0037】
本実施例に係る無線端末装置200は、受信RF部218を有する。受信RF部218は、無線基地局100により送信された下りリンクの信号をベースバンド信号に変換する。
【0038】
本実施例に係る無線端末装置200は、送信電力を調整する場合に、該送信電力制御指示の変化量に基づいて、制御を行う。
【0039】
本実施例に係る無線端末装置200は、ゲイン2段階切換アンプ204と、ゲイン連続可変アンプ206とを有する。このため、無線端末装置200における送信電力は、図4に示すように制御される。図4には、設定ゲインと送信ゲインとの関係が示される。
【0040】
図4に示すように、最終的な送信ゲインは、ゲインを連続的に変化させるゲイン連続可変アンプ206によるゲインと、2段階でゲインを切換えるゲイン2段階切換アンプ204によるゲインとの合計となる。ゲインの可変幅は、ゲイン連続可変アンプ206による調整だけではカバーできない場合がある。このため、ある送信ゲインにおいて、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインを切換える場合が生じる。この場合、その切換点では、ゲイン2段階切換アンプ204によるゲインの変化分を相殺するようにゲイン連続可変アンプ206のゲインを下げる制御が行われる。例えば、図4に示すように、動作切換点において、ゲイン2段階切換アンプ204は、ゲインを切換える。例えば、ゲイン2段階切換アンプ204は、ゲインをbだけ上昇させる。一方、ゲイン連続可変アンプ206は、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインの変化分bを相殺するために、該ゲインをaだけ減少させる。
【0041】
このような制御が行われる場合には、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインの減少量aと、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインの上昇量bとが等しくなるように設計される。しかし、特に、ゲインの調整やゲインの温度補正等の対応を行わないと、アンプ自体の個体差や環境による両者の特性変化の相違により, 必ずしもa=bとはならなくなる。
【0042】
例えば、図5に示すように、a=bである場合には、設定ゲインに対し送信ゲインはスムーズとなる。言い換えれば、設定ゲインの増加に対して、送信ゲインも単調増加する。しかし、図6に示すように、a>bである場合には、動作切換点において、送信ゲインが一時的に減少し、送信ゲインに段差が生じる。また、図7に示すように、a<bである場合には、動作切換点において、送信ゲインが一時的に増加し、送信ゲインに段差が生じる。従って、a<b及びa>bである場合には、そのaとbとの差に応じて、動作切換点において、設定ゲインに対し、送信ゲインが不連続になる。
【0043】
ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインの切換え動作について、図8を参照して説明する。図8において、横軸はゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインを示し、縦軸は送信ゲインを示す。送信ゲインは、出力ゲイン(合計ゲイン)と呼ばれてもよい。
【0044】
図8には、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが高い場合と低い場合の2つの状態におけるゲインカーブが示される。
【0045】
ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが切換えられるということは、動作切換点において、ゲイン連続可変アンプ206のゲインが高い場合の特性と、ゲイン連続可変アンプ206のゲインが低い場合の特性との間で切換えられることで示される。図8の破線では、動作切換点において、ゲイン2段階切換えアンプ204におけるゲインが高い方に切換えられる場合が示される。この場合、送信ゲインを示す特性は、ゲイン連続可変アンプ206のゲインが低い場合の特性からゲイン連続可変アンプ206のゲインが高い場合の特性に切換えられる。
【0046】
図8において、「ゲイン2段階切換アンプ、ゲイン連続可変アンプの両方で調整可能である領域」とは、ゲイン2段階切換アンプにおけるゲインが低い場合でも高い場合でも選択可能な領域である。言い換えれば、ゲイン2段階切換アンプ204において第1のゲインが設定されている場合に、ゲイン連続可変アンプ206によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲(以下、第1合成ゲイン範囲と呼ぶ)と、ゲイン2段階切換アンプ204において第2のゲインが設定されている場合に、ゲイン連続可変アンプ206によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲(以下、第2合成ゲイン範囲と呼ぶ)との重複する部分である。例えば、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインが−40dBから0dBまで調整可能であり、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが−20dBと0dBとの間で切換え可能である場合について説明する。この場合、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが−20dBである場合には、合計ゲインは−60dBから−20dBで調整可能である。また、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが0dBである場合には、合計ゲインは−40dBから0dBで調整可能である。この場合、「ゲイン2段階切換アンプ、ゲイン連続可変アンプの両方で調整可能である領域」は、−40dBから−20dBの範囲となる。
【0047】
例えば、動作切換点を「ゲイン2段階切換アンプ、ゲイン連続可変アンプの両方で調整可能である領域」の中央、すなわち−30dBとした場合について説明する。この場合、ゲインの調整が不十分な状況では、送信電力制御の結果、この動作切換点を通過する度に、設定されたゲインに対して、送信ゲインが不連続になる。例えば、ゲインを上昇させるように設定ゲインが設定された場合にも送信ゲインが下降する場合がある、また、ゲインを下降させるように設定ゲインが設定された場合にも送信ゲインが上昇する場合がある。ここで、ゲインの調整が不十分な状況には、2段階切換アンプ204におけるゲインの変化分bと、該ゲインの変化分を相殺するために、ゲイン連続可変アンプ206により変化させるゲインの変化分aとが等しくない場合が含まれる。このような動作は無線端末装置200としては好ましくない。
【0048】
そこで、本実施例に係る無線端末装置200は、送信電力の変更が行われる場合に、該変更後の送信電力を得るために必要なゲインが、「ゲイン2段階切換アンプ、ゲイン連続可変アンプの両方で調整可能である領域」に含まれる場合に以下の処理を行う。無線端末装置200は、送信電力の変更量が微小である場合には、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインの変更により、所望の送信電力になるようにゲインを設定する。この場合、無線端末装置200は、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインの切換えは行わない。また、無線端末装置200は、送信電力の変更量がある程度大きい場合には、該変更後の送信電力を得るために必要なゲインに対し、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが同じである場合に、ゲインの調整範囲が広く取れるように、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインを設定する。
【0049】
例えば、図9には、送信電力の変更量が微小である場合、言い換えれば送信電力を小刻みに変更する場合における、出力ゲインの動作点の遷移が示される。この場合、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインの変更により、所望の送信電力になるゲインを設定する(1)。そして、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインの変更で対応しきれなくなった場合に、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが切換えられる(2)。
【0050】
また、図9には、送信電力の変更量がある程度大きい場合における、出力ゲインの動作点の遷移が示される。この場合、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインの変更で対応しきれなくなる前に、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが切換えられる(3)。
【0051】
本実施例に係る無線端末装置200における送信電力制御方法について説明する。
【0052】
送信電力の変更量が微小である場合、言い換えれば、電力変更量が閾値未満である場合における送信制御方法について、図10を参照して説明する。
【0053】
制御部212は、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲイン(G2)が高い方(G2high)に切換えられているかを判断する(ステップS1002)。
【0054】
ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが高い方に切換えられている場合(ステップS1002:YES)、制御部212は、変更後の送信電力(Pnew)が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが高い方に切換えられた場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力(PHmin)以上であるかを判断する(ステップS1004)。
【0055】
一方、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられている場合(ステップS1002:NO)、制御部212は、変更後の送信電力(Pnew)が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられた場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力(PLmax)未満であるかを判断する(ステップS1006)。
【0056】
変更後の送信電力が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが高い方に切換えられた場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力以上である場合(ステップS1004:YES)及び変更後の送信電力が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられた場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力未満でない場合(ステップS1006:NO)、制御部212は、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインを高い方に設定する。そして、制御部212は、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲイン(G1)を、変更後の送信電力(P)と、合計ゲインを0dBとしたときの電力(PBB)の差からゲイン2段階切換アンプ204におけるゲイン(ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインの高い方)(G2high)を引いたゲインに設定する(ステップS1008)。
【0057】
一方、変更後の送信電力が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが高い方に切換えられた場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力以上でない場合(ステップS1004:NO)及び変更後の送信電力が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられた場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力未満である場合(ステップS1006:YES)、制御部212は、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインを低い方に設定する。そして、制御部212は、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲイン(G1)を、変更後の送信電力と、合計ゲインを0dBとしたときの電力(PBB) の差からゲイン2段階切換アンプ204におけるゲイン(ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインの低い方)(G2low)を引いたゲインに設定する(ステップS1010)。
【0058】
送信電力の変更量がある程度大きい場合、言い換えれば、電力変更量が閾値以上である場合における送信制御方法について、図11を参照して説明する。
【0059】
制御部212は、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられている場合に、変更後の送信電力(Pnew)が、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力(PLmax)以上であるかを判断する(ステップS1102)。
【0060】
変更後の送信電力が、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力未満である場合(ステップS1102:NO)、制御部212は、変更後の送信電力(Pnew)が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが高い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力(PHmin)未満であるかを判断する(ステップS1104)。
【0061】
変更後の送信電力が、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが高い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力以上である場合(ステップS1104:NO)、制御部212は、変更後の送信電力(Pnew)からゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが高い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力(PHmin)を引いた値が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力(PLmax)から変更後の送信電力(Pnew)を引いた値以上であるかを判断する(ステップS1106)。
【0062】
ステップS1102において、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられている場合に、変更後の送信電力が、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力以上であると判断された場合(ステップS1102:YES)及びステップS1106において、変更後の送信電力からゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが高い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力を引いた値が、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが低い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力から変更後の送信電力を引いた値以上であると判断された場合(ステップS1106:YES)、制御部212は、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインを高い方に設定する。そして、制御部212は、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲイン(G1)を、変更後の送信電力(P)と、合計ゲインを0dBとしたときの電力(PBB)の差から、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲイン(G2high)を引いたゲインに設定する(ステップS1108)。
【0063】
一方、ステップS1104において、変更後の送信電力が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが高い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力未満であると判定された場合(ステップS1104:YES)及びステップS1106において、変更後の送信電力からゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインが高い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最小値とした場合に得られる送信電力を引いた値が、ゲイン2段階切換アンプ204においてゲインが低い方に切換えられている場合に、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインを最大値とした場合に得られる送信電力から変更後の送信電力を引いた値未満であると判断した場合(ステップS1106:NO)、制御部212は、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインを低い方に設定する。そして、制御部212は、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲイン(G1)を、変更後の送信電力(P)と、合計ゲインを0dBとしたときの電力(PBB)の差から、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲイン(G2low)を引いたゲインに設定する(ステップS1110)。
【0064】
上述したように、WiMAXにおいては、ダウンリンク(DL)とアップリンク(UL)とが時分割多重となっている。このため、WiMAXでは、送信は間欠的に行われる。従って、送信電力の変化がUL信号の送信停止期間中に生じることを前提とした場合、ULの送信が連続するような無線方式に比べれば送信電力制御における精度の要求は低い。しかし、WiMAXでは、少なくとも閉ループ(Closed Loop)の電力制御において電力の微調整が行われる場合には、その微調整の範囲で適切に電力を上下できることが重要である。一方、変化量の大きい電力制御指示の場合は、該変化量の偏差に対して、動作切換点における送信ゲインの下降又は上昇、言い換えれば、誤差は微小となる。このため、ゲイン2段階切換えアンプ204におけるゲインの切換え動作により、該切換点における不連続が多少あったとしても無視できる。
【0065】
したがって、本実施例によれば、2つのゲイン調整機構のゲインにばらつきや偏差が生じても、その偏差に起因する制御動作の不連続性による影響を低減できる。
(第2の実施例)
本実施例に係る無線通信システムは、図1を参照して説明した無線通信システムと同様である。
【0066】
本実施例に係る無線通信システムでは、上述したように無線通信のプロトコルとしてモバイルWiMAXとして知られるIEEE802.16e(以下、WiMAXと記す)を採用する。また、本実施例に係る無線通信システムでは、無線端末装置200は、WiMAXのI/FカードとPCとにより構成される。
【0067】
本実施例に係る無線端末装置200について、図12を参照して説明する。
【0068】
本実施例に係る無線端末装置200は、送信RF部202を有する。送信RF部202は、無線基地局100に、上りリンクの信号を送信する。例えば、送信RF部202は、D/A変換が行われたデータを無線周波数に変換し、送信電力制御を行い送信する。
【0069】
本実施例に係る無線端末装置200は、ゲイン2段階切換アンプ204を有する。ゲイン2段階切換アンプ204は、2段階でゲインを切換える。
【0070】
本実施例に係る無線端末装置200は、ゲイン連続可変アンプ206を有する。ゲイン連続可変アンプ206は、ゲインを連続的に変化させる。
【0071】
本実施例に係る無線端末装置200は、制御部212を有する。制御部212は、上述したゲイン2段階切換アンプ204及びゲイン連続可変アンプ206の切換え制御を行う。
【0072】
本実施例に係る無線端末装置200は、プロトコル処理部220を有する。プロトコル処理部220は、モバイルWiMAXとして知られるIEEE802.16eに規定されるプロトコルの処理を行う。
【0073】
本実施例に係る無線端末装置200は、送信電力決定部222を有する。送信電力決定部222は、送信電力を決定する。そして、送信電力決定部222は、決定した送信電力をゲイン振り分け指示部224に入力する。また、送信電力決定部222は、決定した送信電力に基づいて、該送信電力を得るためのゲイン(利得)を決定する。そして、送信電力決定部222は、決定したゲインをゲイン振り分け指示部224に入力するようにしてもよい。
【0074】
本実施例に係る無線端末装置200は、ゲイン振り分け指示部224を有する。ゲイン振り分け指示部224は、送信電力決定部222により入力されたゲインに基づいて、上述したゲイン2段階切換アンプ204及びゲイン連続可変アンプ206の切換え制御を行う。
【0075】
WiMAXにおいては、無線端末装置の送信電力を制御する方式として閉ループ送信電力制御(closed loop transmission power control)と開ループ送信電力制御(open loop transmission power control)の両方が選択可能である。
【0076】
閉ループ送信電力制御が適用される場合について説明する。この場合、無線基地局100は、ある無線端末装置200の送信電力が適正値から外れている場合、相対的に送信電力を上げる処理を行う。又は、送信電力を下げる指示を含む制御メッセージをその無線端末装置200に送信する。無線基地局100により送信された制御メッセージを受信した無線端末装置200は、送信する際の送信電力を調整する。具体的には、送信電力決定部222は、無線基地局100により送信された制御メッセージに含まれる送信電力の指示に基づいて、送信電力を決定する。そして、送信電力決定部222は、決定した送信電力をゲイン振り分け指示部224に入力する。
【0077】
無線端末装置200のゲイン振り分け判定部224は、前回の送信電力との差分がある閾値未満か以上かを判断する。ゲイン振り分け判定部224は、前回の送信電力との差分がある閾値未満である場合、図10を参照して説明した送信電力制御を行う。一方、ゲイン振り分け判定部224は、前回の送信電力との差分がある閾値以上である場合、図11を参照して説明した送信電力制御を行う。
【0078】
その結果、ゲイン振り分け判定部224において、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインと、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインとが決定される。
【0079】
一例として、送信電力の変更量の閾値が3dBとした場合について説明する。この場合、送信電力の変更量の閾値が2dBである場合には図10を参照して説明した送信電力制御が行われる。また、送信電力の変更量が4dBである場合には図11を参照して説明した送信電力制御が行われる。
【0080】
開ループ送信電力制御が適用される場合について説明する。この場合、無線端末装置200は、無線基地局100からの電波の強さの変化に応じて、送信電力を適応的に調整する。例えば、無線基地局100からの電波が3dB低下した場合、無線端末装置200の送信電力も同様に3dB上げないと、無線基地局100側において適正な受信レベルにならないと仮定する。従って、この場合、無線端末装置200の送信電力決定部222は、送信電力を3dB上げることを決定する。そして、送信電力決定部222は、決定した送信電力をゲイン振り分け指示部224に入力する。
【0081】
無線端末装置200のゲイン振り分け判定部224は、前回の送信電力との差分がある閾値未満か以上かを判断する。ゲイン振り分け判定部224は、前回の送信電力との差分がある閾値未満である場合、図10を参照して説明した送信電力制御を行う。一方、ゲイン振り分け判定部224は、前回の送信電力との差分がある閾値以上である場合、図11を参照して説明した送信電力制御を行う。
【0082】
その結果、ゲイン振り分け判定部224において、ゲイン連続可変アンプ206におけるゲインと、ゲイン2段階切換アンプ204におけるゲインとが決定される。
(第3の実施例)
本実施例に係る無線通信システムは、図1を参照して説明した無線通信システムと同様である。
【0083】
無線基地局100との新規接続時には、これまでの電力との連続性は重要ではない。従って、新規接続における送信電力を決定する場合には、設定しようとする電力に対する、2つの可変ゲイン部分の配分を、図11を参照して説明した送信電力制御方法で決定する。このようにすることにより、無線端末装置200は、無線基地局100との接続後において、不連続動作となる動作点までのマージンを広く取れ、不連続動作点をまたぐケースを低減できるように送信電力制御を行うことができる。
【0084】
また、新規接続を行う場合には、無線端末装置200は、接続要求を行う。該接続要求に対して無線基地局100から応答がない場合には、無線端末装置200は、接続要求を再送信する。この場合、無線端末装置200は、前回の接続要求における送信電力よりも高い送信電力で送信するようにしてもよい。このような場合、無線基地局100では、前回送信された接続要求に適用された送信電力を知らない。このため、無線基地局100では、送信電力の絶対値のみが重要である。すなわち、この場合、送信電力の相対値は意味をなさない。この場合においても、無線端末装置200は、図11を参照して説明した送信電力制御方法により、送信電力を決定する。図13には、この動作の動作点が示される。ゲイン振分指示部224は、ゲイン2段階切換アンプ204において、調整範囲を広くとれる方の動作点を選択する。具体的には、ゲイン振分指示部224は、所望の合成ゲインがゲイン2段階切換アンプ204、ゲイン連続可変アンプ206の両方で調整可能な領域内であり、該所望の合成ゲインと第1合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差が、該所望の合成ゲインと前記第2合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差より大きい場合に、ゲイン2段階切換アンプ204に対して第1のゲインを設定する。逆の場合には、ゲイン振分指示部224は、ゲイン2段階切換アンプ204に対して第2のゲインを設定する。
【0085】
同様に、前回の送信から十分間を空けての送信の際も、時間経過による環境変化による電波状況の変動度合いが前記不連続点の電力ギャップより大きいとみなせる。このため、同様に図11の手順で決定すればよい。この動作の動作点についても、図13と同様である。
【0086】
WiMAXにおいては、無線基地局100との接続は、イニシャルレンジング(Initial Ranging)と呼ばれるメッセージを、無線端末装置200が、無線基地局100に送信することから開始される。このメッセージは、無線基地局100からInitial Ranging送信用としてUL-MAPメッセージで告知されるバースト中に、ある手順に従って決定された送信位置にレンジングコード(Ranging Code)を送信することによって実施される。この送信を行うとき、無線基地局100からの電波強度と無線基地局100が広報するメッセージ中に収容し告知する無線基地局100の送信電力から、無線端末装置200は、送るべき適切な送信電力を決定する。また、“Initial Ranging”に対し、無線基地局100からの応答なく、無線端末装置200が再度“Initial Ranging”を送る際は、前回の電力より少々高い電力値でリトライする。これらのシーケンスにおいては、無線基地局100は前回の送信電力との相対的な差を認識できない。この為、不連続点をまたぐ送信電力の変化があっても無線基地局100は検知できない。このため、送信電力の増減が、不連続部分の分狂っても問題ない。それよりも以降の無線基地局100との通信で極力不連続点をまたがないような電力制御をすることが好ましい。
【0087】
そこで、本実施例に係る無線端末装置200は、図14に示すように、図12を参照して説明した無線端末装置に切換抑止条件判定部226を有する。切換抑止条件判定部226は、不連続点をまたぐ動作が好ましくないときに切換抑止指示をゲイン振り分け判定部224に通知する。
【0088】
無線基地局100との接続中は、切換抑止条件判定部226は、プロトコル処理部220による接続状態通知を受信する。また、切換抑止条件判定部226は、Initial Ranging中は抑止指示を出さず、無線基地局100と接続完了以降に抑止指示を出す。ゲイン振り分指示部224は、切換抑止条件判定部226から抑止指示が出ているときは電力制御変化量が閾値未満であるか以上であるかに従って図10を参照して説明したシーケンスと図11を参照して説明したシーケンスとを使い分ける。ゲイン振分指示部224は、抑止指示が出ていないときは、図11を参照して説明したシーケンスを用いて電力制御を実施する。
【0089】
また、プロトコル制御部220は、前回の送信からの経過時間を判定し、該経過時間がある閾値を越えたら接続状態通知として、前回の送信から十分時間経過のあったことを切換抑止条件判定部226に通知する。これを受け、切換抑止条件判定部226はゲイン振分指示部224に対し抑止指示を止める。
【0090】
ゲイン振分指示部224は、無線基地局100との接続中であっても次回の送信には、図11を参照して説明したシーケンスにより送信電力を制御する。この結果、無線基地局100との接続後、不連続点に到達するまでの電力調整幅が大きいように各部のゲイン配分を設定することができる。
(実施の形態4)
本実施例に係る無線通信システムは、図1を参照して説明した無線通信システムと同様である。
【0091】
同じ無線基地局と接続していても、送信電力制御の手順自体が変わることがある。このようなケースでは送信電力の変化の連続性は一般に必要とされない。したがって、このような送信電力制御手順の切換時には、切換後の電力について、2つの可変ゲイン部分の配分を、図11を参照して説明した手順で決定する。これにより、以降の電力制御について不連続動作となる動作点までのマージンを広く取れ、不連続動作点をまたぐケースを最低限に抑制できる。
【0092】
WiMAXにおいては、上述したように。閉ループ送信電力制御と開ループ送信電力制御の両方が利用できる。但し、後者は、プロトコル上はオプション扱いである。そして、これら制御手順を切り換える指示を無線基地局100が出すメッセージが規定されている。そこで、上述した第3の実施例と同様な構成で、図14を参照して説明した無線端末装置200のプロトコル処理部220は、電力制御手順の切換を切換抑止条件判定部226に通知する。そして、切換後の最初の送信完了まで、切換抑止条件判定部226は、ゲイン振分指示部224に対し、抑止指示を止める。この結果、送信電力制御手順を切り換える場合、最初の送信においては、不連続点通過動作回避の手順を使わず、図11を参照して説明したシーケンスにより送信電力を制御する。不連続点通過動作回避の手順は、前回送信の電力との差の精度に配慮する場合に必要な手順である。ここで、送信電力制御手順が切り換えられる場合には、例えば、閉ループ送信電力制御から開ループ送信電力制御に移行する場合が含まれる。送信電力制御手順の切換後、ゲイン振分指示部224は、不連続点に到達するまでの電力調整幅が大きくなるようにゲイン配分を設定する。
(実施の形態5)
本実施例に係る無線通信システムは、図1を参照して説明した無線通信システムと同様である。
【0093】
本実施例に係る無線通信システムは、ハンド・オーバ(H/O: handover)に対応している。また、本実施例に係る無線通信システムでは、無線端末装置200は、ハンドオーバ先の無線基地局(以下、新無線基地局と呼ぶ)との電力制御を初期接続手順から開始しない。具体的には、無線端末装置200は、電力制御に関するパラメータを事前に受領し、ハンドオーバ先の無線基地局に送信を行う際の電力を事前に決定する。そして、本実施例に係る無線端末装置200は、事前に決定された電力を指示する指示電力値に対し、2つの可変ゲイン部分の配分を、図11を参照して説明した手順で決定する。これにより、無線端末装置200は、ハンドオーバ以降の電力制御について不連続動作となる動作点までのマージンを広く取れ、不連続動作点をまたぐケースを最低限に抑制できる。
【0094】
WiMAXにおいては、H/O候補の無線基地局に関する情報が、無線端末装置100に送信される。この中には、各無線基地局についての送信電力の値が含まれている。H/O候補の無線基地局に関する情報は、近隣無線基地局情報と呼ばれてもよい。そして、無線端末装置100は、H/Oの前に、事前に近隣無線基地局情報に基づき、近隣無線基地局からの送信信号をスキャンする。このようにすることにより、無線端末装置100は、近隣無線基地局と十分な受信レベルで通信可能かどうかを調べることができる。また、このとき、無線端末装置100は、各無線基地局からの受信電波強度を計測する。受信電波強度には、例えばRSSI(receive signal strength indicator)が含まれる。
【0095】
そして、無線端末装置100は、H/O先の無線基地局に送信する際の電力を、H/O前の無線基地局に送信しているときの電力から、(新無線基地局の送信電力)−(新無線基地局のRSSI)−((現無線基地局の送信電力)−(現無線基地局のRSSI))だけ変化させる。
【0096】
これにより、新たな無線基地局と接続した際、とくに電力調整を行わなくても妥当な電力レベルに調整される。
【0097】
本実施例に係る無線端末装置200は、図14を参照して説明した無線端末装置と同様である。
【0098】
無線端末装置100は、新無線基地局に対し、制御結果を決定された送信電力で送信する。この場合、無線端末装置100のプロトコル処理部220は、H/Oの発生を切換抑止条件判定部226に通知する。そして、切換抑止条件判定部226は、H/O後の最初の送信完了まで、ゲイン振分指示部224に対し抑止指示を止める。ゲイン振分指示部224は、たとえH/O後の送信電力がH/O前の送信電力とほぼ同等であっても、図11を参照して説明したシーケンスで送信電力を制御する。言い換えれば、ゲイン振分指示部224は、最初の送信においては前回送信の電力との差の精度に配慮する場合に必要な不連続点通過動作回避の手順を使わない。この結果、ゲイン振分指示部224は、新無線基地局に対し不連続点に到達するまでの電力幅が大きいように各部のゲイン配分を設定する。
(実施の形態6)
本実施例に係る無線通信システムは、図1を参照して説明した無線通信システムと同様である。
【0099】
本実施例に係る無線通信システムは、H/Oに対応している。本実施例に係る無線通信システムでは、無線端末装置200は、複数のH/O先候補となる無線基地局との電力制御に関するパラメータを事前に受領あるいは取得したのち、H/O先の無線基地局を決定する。この場合、無線端末装置200は、各H/O候補の無線基地局との接続に際しての初期送信電力を事前に決定する。H/O先の無線基地局に対する送信電力が上述した「ゲイン2段階切換アンプ、ゲイン連続可変アンプの両方で調整可能な領域」にある場合、無線端末装置200は、他のH/O先候補の無線基地局に対して接続した場合の初期送信電力の分布に基づいて、送信電力を決定する。例えば、無線端末装置200は、ゲイン2段階切換アンプ204において、どちらのゲインも選べる領域としても“低”側とする。無線端末装置200は、H/O先と決定された無線基地局との間の距離がさらなる移動で離れ、より高い送信電力が必要となったとしても、低い送信電力で通信可能な無線基地局にH/Oできる場合があるためである。例えば、無線端末装置200は、ゲイン2段階切換アンプ204において、そのゲインを“高”側でなければ必要な送信電力が得られない領域にまで送信電力を上げる必要が生じる前に、他のより低い送信電力で通信可能な無線基地局にH/Oする。このようにすることにより、無線端末装置200は、送信電力制御の不連続点を超える以前にH/Oでき結果的に不連続点を通過しないで済む。
【0100】
このように、無線端末装置200は、H/Oが行われる場合に、他の無線基地局と接続する場合に必要とされる送信電力に基づいて、ゲイン2段階切換アンプ204のゲインを選択する。このようにすることによって、無線端末装置200は、不連続動作点をまたぐケースを最低限に抑制できる。図15には、この場合の動作が示される。ゲイン振分指示部224は、所望の合成ゲインがゲイン2段階切換アンプ204、ゲイン連続可変アンプ206の両方で調整可能な領域内であり、該所望の合成ゲインと第1合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差が、該所望の合成ゲインと前記第2合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差より大きい場合及び小さい場合にかかわらず、ゲイン2段階切換アンプ204に対して第1のゲインを設定する。例えば、第1のゲインは、ゲイン2段階切換アンプにおけるゲインが小さい方である。
【0101】
WiMAXにおいては、H/O候補の無線基地局に対して送信する際の適切な送信電力を無線端末装置は知ることができる。
【0102】
本実施例に係る無線端末装置200は、図16に示すように、図14を参照して説明した無線端末装置において、隣接BS情報管理部228を有する。隣接BS情報管理部228は、各無線基地局における適切な初期送信電力を保持する。
【0103】
切換抑止条件判定部226は、プロトコル処理部220からH/O実施の通知を受けると、各H/O候補となる無線基地局への初期送信電力を調べる。また、切換抑止条件判定部226は、再度H/Oが発生しても十分低い送信電力で通信可能と判断できる場合にはゲイン2段階切換アンプ204のゲインとして、“低”を選択するようにゲイン振分指示部224に指示する。これを受けたゲイン振分指示部224は、図10及び図11を参照して説明したシーケンスによらず、ゲイン2段階切換アンプ204にゲインとして“低”を、また、ゲイン連続可変アンプ206にはゲイン2段階切換アンプ204として“低”側に設定された場合におけるゲインの場合に所望の送信電力となるゲインを指示する。「再度H/Oが発生しても十分低い送信電力で通信可能と判断」する条件としては、例えば、他に3つ以上の無線基地局について、その無線基地局に対する初期送信電力が「ゲイン2段階切換えアンプ、ゲイン連続可変アンプの両方で調整可能な領域」の中間より低い場合が挙げられる。また、ゲイン振分指示部224は、過去のH/O発生後から次のH/Oまでの期間で、ゲイン2段階切換アンプ204が“低”側のゲインのままであった場合における、隣接無線基地局への初期送信電力の相関を学習し、動的に閾値を変えるようにしてもよい。
【0104】
このような制御を行うことによって、無線端末装置200は、次のH/Oまでゲイン2段階切換アンプ204が“低”のままで事足りるケースが生じた場合において、単純にH/O先無線基地局への送信電力値のみでゲイン2段階切換アンプ204のゲインとして“高”と判定してしまうことにより生じる不連続な送信電力制御が発生するケースを抑止できる。
【0105】
なお、上述した第1−第6の実施例において“電力調整幅が大きい(広い)”の尺度として、単純に送信電力のデシベル(dB)値で比較してもよいし、電力のリニア値表現、例えばmWとして幅が広い方としてもよい。また、出力特性を確保するうえで都合のよい尺度を別途導入してもよい。
(第7の実施例)
本実施例に係る無線通信システムは、図1を参照して説明した無線通信システムと同様である。
【0106】
本実施例に係る無線端末装置200は、図17に示すように、ホスト部250とI/F部260を有する。ホスト250側のソフトウェアにより、送信電力制御が実施される。具体的には、上述した第1−第6の実施例の機能を実現する複数のアプリを有し、電力制御を行う。
【0107】
また、I/F部260は、ゲイン連続可変アンプとゲイン2段階切換アンプにより、送信電力制御を行う。具体的には、上述した第1−第6の実施例に示されるように送信電力制御を行う。このようにすることにより、送信部のゲイン調整を行うことができる。
【0108】
上述した実施例によれば、送信電力が不連続に変化するような動作点をまたぐ送信電力制御の発生を最小限にとどめ、通常の運用下で、ほぼその発生を回避できる。このため、連続可変と2段階可変の2つのゲイン可変機構というシンプルな送信回路構成において、潜在的に存在する電力制御の不連続点をキャリブレーション等で解消するためのしくみを特にもたなくても目的とする電力制御能力を達成できる。
【0109】
また、無線端末装置の送信回路が、連続可変ゲイン調整部と高/低2段階ゲイン切換可能なゲイン調整部を有することにより、無線基地局に接続する場合の電力値や隣接無線基地局情報により、送信電力変化の不連続点を極力使わないことで、潜在的に不連続動作要因を持つような回路構成においても、電力制御不連続点を回避することできる。
【0110】
以上の第1−第7の実施例を含む実施形態に関し、更に、以下の付記を開示する。
(付記1)
第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2のゲイン調整手段とを備えた無線端末装置であって、
前記第1のゲイン調整手段において、該第1のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と、
前記第1のゲイン調整手段において、該第2のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と
が少なくとも重複する部分を有し、
前記合成ゲインが重複する範囲内であって、ゲインの変更幅が所定幅を超える場合、又は、合成ゲインが重複する範囲内であって間欠的な送信若しくは受信を行う状況において送信若しくは受信を行わない期間に属する場合に、前記第1のゲインと前記第2のゲインとの間の切り替えを実行する制御手段
を有する無線端末装置。
(付記2)
付記1に記載の無線端末装置において、
前記制御手段は、前記第1のゲインと前記第2のゲインのうち、送信電力の調整幅が広くとれる方に切換える無線端末装置。
(付記3)
第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2のゲイン調整手段とを備えた無線端末装置において、
前記第1のゲイン調整手段において、第1のゲインが設定されている場合に、前記第2のゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第1合成ゲイン範囲と、
前記第1のゲイン調整手段において、第2のゲインが設定されている場合に、前記第2のゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第2合成ゲイン範囲と
が重複する範囲を有し、
所望の合成ゲインが前記重複する範囲内であり、該所望の合成ゲインと前記第1合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差が、該所望の合成ゲインと前記第2合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差より大きい場合に、前記第1のゲイン調整手段に対して前記第1のゲインを設定する制御手段
を有する無線端末装置。
(付記4)
第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2のゲイン調整手段とを備えた無線端末装置であって、
前記第1のゲイン調整手段において、該第1のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と、
前記第1のゲイン調整手段において、該第2のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と
が少なくとも重複する部分を有し、
ハンドオーバ閾値、近隣無線基地局情報及び無線基地局に対して行うスキャンにより得られた電力レベルに基づいて判定された送信電力範囲に基づいて、前記第1のゲインと前記第2のゲインとの間の切り替えを実行する制御手段
を有する無線端末装置。
(付記5)
付記4に記載の無線端末装置において、
前記制御手段は、前記送信電力範囲を広く網羅できるように前記第1のゲインと前記第2のゲインとの間の切り替えを実行する無線端末装置。
(付記6)
付記4に記載の無線端末装置において、
前記制御手段は、前記第1のゲイン及び第2のゲインのうち、ゲインの低い方に切り替えを実行する無線端末装置。
(付記7)
第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2のゲイン調整手段とを備えた無線端末装置における送信電力制御方法であって、
前記第1のゲイン調整手段において、該第1のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と、
前記第1のゲイン調整手段において、該第2のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と
が少なくとも重複する部分を有し、
前記合成ゲインが重複する範囲内であって、ゲインの変更幅が所定幅を超える場合、合成ゲインが重複する範囲内であって間欠的な送信若しくは受信を行う状況において送信若しくは受信を行わない期間に属する場合、該所望の合成ゲインと前記第1合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差が、該所望の合成ゲインと前記第2合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差より大きい場合、又はハンドオーバ閾値、近隣無線基地局情報及び無線基地局に対してスキャンを行うことにより電力レベルを取得した場合に、前記第1のゲインと前記第2のゲインとの間の切り替えを実行する送信電力制御方法。
【符号の説明】
【0111】
200 無線端末装置
202 送信RF部
204 ゲイン2段階切換アンプ
206 ゲイン連続切換アンプ
208 D/A変換器
210 ベースバンド処理部
212 制御部
214 UL信号生成部
216 受信部/受信処理部
218 受信RF部
220 プロトコル処理部
222 送信電力決定部
224 ゲイン振分指示部
226 切換抑止条件判定部
228 隣接BS情報管理部
260 I/F部
270 ホスト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2のゲイン調整手段とを備えた無線端末装置において、
前記第1のゲイン調整手段において、第1のゲインが設定されている場合に、前記第2のゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第1合成ゲイン範囲と、
前記第1のゲイン調整手段において、第2のゲインが設定されている場合に、前記第2のゲイン調整手段のゲイン調整によって得られる第2合成ゲイン範囲と
が重複する範囲を有し、
所望の合成ゲインが前記重複する範囲内であり、該所望の合成ゲインと前記第1合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差が、該所望の合成ゲインと前記第2合成ゲイン範囲の端のうち近い方の端との間のゲイン差より大きい場合に、前記第1のゲイン調整手段に対して前記第1のゲインを設定する制御手段
を有する無線端末装置。
【請求項2】
第1のゲインから第2のゲインへと段階的なゲインの切り替えが可能な第1のゲイン調整手段と、ゲインを微調整可能な第2のゲイン調整手段とを備えた無線端末装置であって、
前記第1のゲイン調整手段において、該第1のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と、
前記第1のゲイン調整手段において、該第2のゲインが設定されている場合に、該第2のゲイン調整手段によるゲイン調整によって得られる合成ゲイン範囲と
が少なくとも重複する部分を有し、
ハンドオーバ閾値、近隣無線基地局情報及び無線基地局に対して行うスキャンにより得られた電力レベルに基づいて判定された送信電力範囲に基づいて、前記第1のゲインと前記第2のゲインとの間の切り替えを実行する制御手段
を有する無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−161089(P2012−161089A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92235(P2012−92235)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2008−53336(P2008−53336)の分割
【原出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】