説明

無線通信システム、通信制御装置、通信端末装置および制御プログラム

【課題】同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を実現する。
【解決手段】複数の第1の通信装置が第2の通信装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムであって、各第1の通信装置が第2の通信装置に対して再送信号を送信する場合は、初送信号1、2の一部である部分スペクトル6、8のみを第2の通信装置に対して送信する。また、部分スペクトル6、8は、各第1の通信装置が初送信号を送信した際に重複した周波数に配置されたスペクトル4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、重複を許容した信号の再送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の携帯電話の無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの標準化がほぼ完了し、最近ではLTEシステムをより発展させたLTE−A(LTE-Advanced)が、第4世代の無線通信システム(IMT-Aなどとも称する。)の候補の一つとして標準化が行なわれている。一般的に、移動通信システムの上り回線(移動局から基地局への通信)では、移動局が送信局となるため、限られた送信電力で増幅器の電力利用効率を高く維持でき、ピーク電力の低いシングルキャリア方式(LTEではSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が採用されている)が有効とされている。なお、SC−FDMAはDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やDFT−precoded OFDMなどとも呼ばれる。
【0003】
LTE−Aでは、さらに周波数利用効率を改善させるために、送信電力に余裕のある端末については、SC−FDMAスペクトルを複数のサブキャリアから構成されるクラスタに分割し、各クラスタを周波数軸の任意の周波数に配置するClustered DFT−S−OFDM(ダイナミックスペクトル制御(DSC:Dynamic Spectrum Control)、SC-ASA(Single Carrier Adaptive Spectrum Allocation)などとも称される。)と呼ばれるアクセス方式を新たにサポートすることが決定されている。さらに、受信処理にターボ等化を前提に、各ユーザのスペクトル割当の際に周波数分割多重ではなく、伝搬路特性を優先して受信側で重複することを許容するスペクトル重複リソースマネジメント(SORM:Spectrum-Overlapped Resource Allocation、非特許文献1では、Spectrum-Overlapped Resource Managementと書かれている)が提案されている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
図9は、SORMの一例を示す図である。一般的に、接続する全ユーザの信号を検出可能な上り回線に対してSORMを適用するものとする。同図では、基地局装置(受信装置、第2の通信装置)に同時に接続する移動局装置(送信装置、第1の通信装置)が2局である場合を例としている。なお、全ユーザの信号を検出可能である場合は上り回線としているが、他のユーザを検出することが許容される場合には下り回線にも勿論適用できる。図9において、第1の移動局装置101−1と、第2の移動局装置101−2(以下、第1の移動局装置101−1、第2の移動局装置101−2を合わせて、移動局装置101と表す。)が、それぞれ周波数軸上に信号を送信信号102−1、送信信号102−2のように配置して送信するものとする。それぞれの信号を基地局装置103が受信する。このときの周波数軸上の受信信号104は、図9のようになるものとする。このとき、受信信号104に含まれる、受信信号104の部分スペクトル104−Aは移動局装置101−1、101−2の両方が信号を配置したため、重複されて受信される。SORMでは、このように重複された信号をターボ等化により分離することで、それぞれの移動局装置からの送信信号を分離できる。
【0005】
SORMでは、ターボ等化技術により、部分スペクトルが重複したとしても各移動局装置101からの信号を分離することができる。そのため、重複してもよいということを考慮すれば伝搬路特性を優先して各移動局装置101に信号を伝送する周波数を割り当てることができるようになり、伝送特性を高めることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】K. Yokomakura, et. al., “A Spectrum-Overlapped Resource Allocation in Dynamic Spectrum Control Technique” in Proc. IEEE PIMRC2008, Cannes, France, Sept. 2008.
【非特許文献2】T. Ohnishi, et. al., “A Partial Spectrum Retransmission Scheme using a Dynamic Spectrum Control for Broadband Single Carrier Transmission Systems”, in Proc. IEEE PIMRC2007, Athens, Greece, Sept. 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、SORMはターボ等化が正しく収束しない、即ち、ターボ等化の1回目の処理でシンボル間干渉(ISI:Inter-Symbol Interference)やユーザ間干渉(IUI:Inter-User Interference)を抑圧できない場合には、そこからの改善が見られなくなるため、何回繰り返しても信号を分離することができず、検出誤りとなる。このような検出誤りが発生した場合に、同一データや前の伝送機会で送信したパケットや同一のパケットの冗長ビットを送信することで受信品質を高める、あるいは誤り訂正能力を高めるハイブリッド自動再送制御(HARQ:Hybrid Automatic Repeat-reQuest)が存在するが、ターボ等化が正しく収束しない理由が重複した部分スペクトルであることを考慮すると、効率的な再送方法とはいえない。
【0008】
一方、シングルキャリアの再送方法として、部分スペクトル再送制御(非特許文献2)が提案されている。上記文献には、初送において伝搬路特性の著しく劣化した周波数の信号スペクトルのみを再送するということが記載されているが、SORMに関して記載されておらず、SORMの特性劣化の原因が重複によるものであることを考慮すると、この文献の方法を利用しても効率的な再送ができないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を可能とする無線通信システム、通信制御装置、通信端末装置および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の無線通信システムは、複数の第1の通信装置が第2の通信装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムであって、前記各第1の通信装置が前記第2の通信装置に対して再送信号を送信する場合は、初送信号の一部である部分スペクトルのみを前記第2の通信装置に対して送信することを特徴としている。
【0011】
このように、各第1の通信装置が第2の通信装置に対して再送信号を送信する場合は、初送信号の一部である部分スペクトルのみを第2の通信装置に対して送信するので、第1の通信装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【0012】
(2)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記部分スペクトルは、前記各第1の通信装置が初送信号を送信した際に重複した周波数に配置されたスペクトルであることを特徴としている。
【0013】
このように、部分スペクトルは、各第1の通信装置が初送信号を送信した際に重複した周波数に配置されたスペクトルであるので、第1の通信装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【0014】
(3)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記部分スペクトルは、前記第2の通信装置において、前記各第1の通信装置から受信した無線信号の受信SNR(Signal to Noise power Ratio)または受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいて設定されることを特徴としている。
【0015】
このように、部分スペクトルは、第2の通信装置において、各第1の通信装置から受信した無線信号の受信SNR(Signal to Noise power Ratio)または受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいて設定されるので、第2の通信装置は、制御信号に含まれる初送時の信号から、重複した部分スペクトルを検出することができる。
【0016】
(4)また、本発明の無線通信システムにおいて、いずれかの前記第1の通信装置は、いずれか他の前記第1の通信装置が使用する周波数とは重複しない周波数に配置された部分スペクトルを前記第2の通信装置に対して送信することを特徴としている。
【0017】
このように、第1の通信装置は、いずれか他の第1の通信装置が使用する周波数とは重複しない周波数に配置された部分スペクトルを第2の通信装置に対して送信するので、第1の通信装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【0018】
(5)また、本発明の無線通信システムにおいて、複数の第1の通信装置が第2の通信装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムであって、前記各第1の通信装置が前記第2の通信装置に対して再送信号を送信する場合は、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトして前記第2の通信装置に対して送信することを特徴としている。
【0019】
このように、各第1の通信装置が第2の通信装置に対して再送信号を送信する場合は、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトして第2の通信装置に対して送信するので、第1の通信装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【0020】
(6)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトする量は、前記第2の通信装置において、前記各第1の通信装置が初送信号を送信した際に重複した周波数に配置されたスペクトルに基づいて決定されることを特徴としている。
【0021】
このように、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトする量は、第2の通信装置において、各第1の通信装置が初送信号を送信した際に重複した周波数に配置されたスペクトルに基づいて決定されるので、第1の通信装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【0022】
(7)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトする量は、前記第2の通信装置において、前記各第1の通信装置から受信した無線信号の受信SNR(Signal to Noise power Ratio)または受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいて設定されることを特徴としている。
【0023】
このように、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトする量は、第2の通信装置において、各第1の通信装置から受信した無線信号の受信SNR(Signal to Noise power Ratio)または受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいて設定されるので、第2の通信装置は、制御信号に含まれる初送時の信号から、重複した部分スペクトルを検出することができる。
【0024】
(8)また、本発明の無線通信システムにおいて、いずれかの前記第1の通信装置は、いずれか他の前記第1の通信装置が使用する周波数とは重複しないように、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトして前記第2の通信装置に対して送信することを特徴としている。
【0025】
このように、いずれかの第1の通信装置は、いずれか他の第1の通信装置が使用する周波数とは重複しないように、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトして前記第2の通信装置に対して送信するので、第1の通信装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【0026】
(9)また、本発明の通信制御装置は、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置であって、前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する判定部(データ検出・合成部、誤り検出部に該当)と、前記判定の結果、誤りがあった場合は、前記各通信端末装置が初送信号を送信した際に重複した周波数を検出する重複周波数検出部と、を備え、前記検出した周波数を示す情報を、前記各通信端末装置に送信することを特徴としている。
【0027】
このように、通信制御装置が、判定の結果、誤りがあった場合は、前記各通信端末装置が初送信号を送信した際に重複した周波数を検出するので、通信端末装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【0028】
(10)また、本発明の通信端末装置は、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置であって、前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する応答信号検出部と、前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信した重複した周波数を示す情報に基づいて、初送信号の一部である部分スペクトルを抽出する部分スペクトル抽出部と、を備え、前記抽出した部分スペクトルのみを再送信号として前記通信制御装置に対して送信することを特徴としている。
【0029】
このように、通信端末装置は、検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、通信制御装置から受信した重複した周波数を示す情報に基づいて、初送信号の一部である部分スペクトルを抽出し、抽出した部分スペクトルのみを再送信号として通信制御装置に対して送信するので、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【0030】
(11)また、本発明の通信制御装置は、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置であって、前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する判定部と、前記判定の結果、誤りがあった場合は、周波数軸上のサイクリックシフト量を算出するサイクリックシフト算出部と、を備え、前記算出したサイクリックシフト量を示す情報を、前記各通信端末装置に送信することを特徴としている。
【0031】
このように、通信制御装置が、判定の結果、誤りがあった場合は、周波数軸上のサイクリックシフト量を算出し、算出したサイクリックシフト量を示す情報を、各通信端末装置に送信するので、通信端末装置が、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【0032】
(12)また、本発明の通信端末装置は、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置であって、前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する応答信号検出部と、前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信したサイクリックシフト量を示す情報に基づいて、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトを行なうモジュロ部と、を備え、前記サイクリックシフトした再送信号を前記通信制御装置に対して送信することを特徴としている。
【0033】
このように、通信端末装置は、検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、通信制御装置から受信したサイクリックシフト量を示す情報に基づいて、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトを行ない、サイクリックシフトした再送信号を通信制御装置に対して送信するので、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【0034】
(13)また、本発明の制御プログラムは、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置の制御プログラムであって、前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する処理と、前記判定の結果、誤りがあった場合は、前記各通信端末装置が初送信号を送信した際に重複した周波数を検出する処理と、前記検出した周波数を示す情報を、前記各通信端末装置に送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴としている。
【0035】
このように、通信制御装置が、判定の結果、誤りがあった場合は、各通信端末装置が初送信号を送信した際に重複した周波数を検出し、検出した周波数を示す情報を、各通信端末装置に送信するので、通信端末装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【0036】
(14)また、本発明の制御プログラムは、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置の制御プログラムであって、前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する処理と、前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信した重複した周波数を示す情報に基づいて、初送信号の一部である部分スペクトルを抽出する処理と、前記抽出した部分スペクトルのみを再送信号として前記通信制御装置に対して送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴としている。
【0037】
このように、通信端末装置は、検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、通信制御装置から受信した重複した周波数を示す情報に基づいて、初送信号の一部である部分スペクトルを抽出し、抽出した部分スペクトルのみを再送信号として通信制御装置に対して送信するので、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【0038】
(15)本発明の制御プログラムは、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置の制御プログラムであって、前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する処理と、前記判定の結果、誤りがあった場合は、周波数軸上のサイクリックシフト量を算出する処理と、前記算出したサイクリックシフト量を示す情報を、前記各通信端末装置に送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴としている。
【0039】
このように、通信制御装置が、判定の結果、誤りがあった場合は、周波数軸上のサイクリックシフト量を算出し、算出したサイクリックシフト量を示す情報を、各通信端末装置に送信するので、通信端末装置が同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【0040】
(16)本発明の制御プログラムは、複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置の制御プログラムであって、前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する処理と、前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信したサイクリックシフト量を示す情報に基づいて、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトを行なう処理と、前記サイクリックシフトした再送信号を前記通信制御装置に対して送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴としている。
【0041】
このように、通信端末装置は、検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、通信制御装置から受信したサイクリックシフト量を示す情報に基づいて、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトを行ない、サイクリックシフトした再送信号を通信制御装置に対して送信するので、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう場合において、効率的な再送を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る再送方法の概念の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局装置101の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置103の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るデータ検出・合成部21−1〜21−Uの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る再送方法の概念の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る移動局装置101の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る基地局装置103の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るサイクリックシフト設定方法を具体的に示す概念図である。
【図9】SORMの一例を示す図である。
【図10】移動局装置101の基本構成の一例を示すブロック図である。
【図11】基地局装置103の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、SORMを前提として説明をするが、例えば、MIMO(Multiple Input Multiple Output)など、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数を用いて信号を重複させて通信を行なう方法であれば本発明を適用できる。
【0045】
図10は、移動局装置101の基本構成の一例を示すブロック図である。まず、移動局装置101は基地局装置103から下り回線で通知された制御信号をアンテナ111で受信し、無線受信部112により、ベースバンド信号にダウンコンバートし、A/D変換する。得られたベースバンド信号から、制御信号検出部113により、データ信号を生成するために必要な変調方式や符号化率に関する情報(MCS)や、参照信号の系列に関する情報、周波数割当情報などを検出する。
【0046】
これら得られた制御情報に基づき、まずデータ信号生成部114により、送信するデータの周波数信号を生成する。データ信号生成部114では、MCSに関する情報に基づいて情報ビット列が誤り訂正符号化され、QPSKや16QAMなどの変調シンボルが生成され、DFTにより周波数信号に変換される。次に、参照信号の系列に関する情報に基づいて参照信号生成部115により伝搬路推定用の参照信号(RS)が生成され、参照信号多重部116においてデータ信号と多重される。次に、周波数割当部117により通知された周波数割当情報に基づいて周波数に配置され、IFFT部118により時間信号に変換される。その後、CP挿入部119により、時間信号の後方の一部を前方にコピーする。その後、無線送信部120において、D/A変換し、無線周波数にアップコンバートした後、アンテナ111から送信する。
【0047】
図11は、基地局装置103の構成を示すブロック図である。ここでは、U局の移動局装置101が基地局装置103と接続しているものとする。アンテナ201で受信した受信信号は、無線受信部202により、ベースバンド信号に変換された後、ディジタル信号に変換される。その後、CP除去部203によりCPを除去し、FFT部204により周波数信号に変換される。次に、多重されている各移動局装置101の参照信号を参照信号分離部205により分離し、伝搬路特性・雑音電力推定部206−1〜206−Uにより伝搬路特性と、雑音電力を推定する。ここで、移動局装置101毎に処理が必要なユニットについては、*−1〜*−Uのように標記している。また、雑音には、回路内で生じる熱雑音や他の移動局装置101の通信による干渉も含む。
【0048】
参照信号を分離された受信信号は、信号キャンセル部207により、無線伝搬路の遅延波に起因して生じるシンボル間干渉(ISI)、および異なる移動局装置101の信号に起因した干渉であるユーザ間干渉(IUI)を除去する。ただし、1回目の処理では、ISIやIUIに関する情報が未知であることから何もキャンセルされない。その後、周波数デマッピング部208により各移動局装置101の信号を分離する。その後、データ検出部209−1〜209−Uにより送信データを検出する。データ検出部209−1〜209−Uでは、ISIおよびIUIに関する残留干渉成分の抑圧と、希望信号の合成を行なう等化処理の後、IDFTにより時間領域に変換し、符号ビットの受信信号(LLR)に分解され、誤り訂正復号が行なわれる。即ち、データ検出部209−1〜209−Uから情報ビットおよび符号ビットのLLRが出力される。
【0049】
まず、得られた符号ビットのLLRは、軟推定生成部210−1〜210−Uにおいて、各移動局装置101からの受信信号の振幅の期待値(以後、軟推定と称する。)が出力され、再び信号キャンセル部207に入力される。軟推定生成部210−1〜210−Uでは、符号ビットのLLRから、ソフトレプリカと呼ばれる各変調シンボルの振幅の期待値を算出し、DFTにより周波数信号に変換し、各移動局装置101が送信する際に割り当てた周波数と同一の周波数に信号をマッピングする。その後、伝搬路特性・雑音電力推定部206−1〜206−Uにより推定された伝搬路特性を乗算することで軟推定を算出している。この信号キャンセル部207、周波数デマッピング部208、データ検出部209−1〜209−U、軟推定生成部210−1〜210−Uの一連の処理の繰り返しがターボ等化技術と一般的に称され、これを任意の回数、所望の回数、或いは検出誤りがなくなるまで繰り返し、データ検出部209−1〜209−Uから出力された情報ビットのLLRを硬判定することで、復号ビットを得る。
【0050】
一方で、伝搬路特性・雑音電力推定部206−1〜206−Uで推定された各移動局装置101の伝搬路特性から算出されるMCSや周波数割当、その他の制御を目的とする参照信号系列を示す情報や応答信号などの制御情報を制御情報生成部211−1〜211−Uにより生成し、無線送信部212においてD/A変換、無線周波数へのアップコンバートが行なわれた後、アンテナ201から各移動局装置101に送信される。
【0051】
このように、SORMでは、信号キャンセル部207から軟推定生成部210−1〜210−Uまでで構成されるターボ等化技術により、部分スペクトルが重複したとしても各移動局装置101からの信号を分離することができる。そのため、重複してもよいということを考慮すれば伝搬路特性を優先して各移動局装置101に信号を伝送する周波数を割り当てることができるようになり、伝送特性を高めることができる。
【0052】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る再送方法の概念の一例を示す図である。ここでは、周波数信号の様子を例とし、同時に基地局装置103と接続する移動局装置数を2とする。まず、第1の移動局装置101−1と第2の移動局装置101−2は、送信信号1および送信信号2のように信号を周波数軸上に配置し、送信する(これを初送と呼ぶ)。このときの受信信号3は、図1のように表され、部分スペクトル4は重複して受信されている。
【0053】
ここで、第1の移動局装置101−1および第2の移動局装置101−2の復号ビットの誤り(信号検出誤り)があったものとする。このとき、第1の移動局装置101−1および第2の移動局装置101−2は再送処理を行なうことになるが、信号の検出誤りの原因が重複した部分スペクトル4であるため、重複していた部分スペクトル4のみを再送する。すなわち、初送時の部分スペクトル4の位置に配置されている部分スペクトルのみを配置したもの(再送信号5、7の部分スペクトル6、8)のみを再送する。さらにこのとき、他の移動局装置101と重複しないように部分スペクトルのみを配置して送信することも可能とする。これにより、再送の効率が高まる。
【0054】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る移動局装置101の構成の一例を示すブロック図である。図2において、図10の構成に対して、再送処理を行なえるよう応答信号検出部11、再送信号生成部12、部分スペクトル抽出部13、初送/再送切替部14を追加しており、本実施形態の特徴は、部分スペクトル抽出部13である。なお、図10と同じ符号が付してあるユニットについては、図10で述べた機能と同一であるため、説明を省略する。ここでは、後述するが基地局装置103において制御情報に応答信号と重複したスペクトルの周波数に関する情報が多重されているものとしている。
【0055】
情報ビット列はデータ信号生成部114に入力されると同時に、再送信号生成部12に入力される。制御信号検出部113から検出された応答信号は、応答信号検出部11に入力され、ACKかNACKかを判断する。得られたACKおよびNACKの情報は再送信号生成部12および初送/再送切替部14に入力される。再送信号生成部12では、応答信号検出部11による応答信号がNACKであれば前の伝送機会で送信した情報ビット列から同一の周波数信号を生成し、部分スペクトル抽出部13に入力される。部分スペクトル抽出部13では、制御信号に含まれる初送時の信号で、重複したスペクトルの周波数に関する情報に基づいて重複した部分スペクトルを抽出する。なお、重複したスペクトルがどの周波数であるかは、基地局装置103における移動局装置101からの受信信号の受信信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise power Ratio)に基づいても良い。さらに、雑音に干渉を含んだSINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいても良い。
【0056】
これを、初送/再送切替部14に入力し、初送/再送切替部14では応答信号がACKの場合ではデータ信号生成部114からの信号を参照信号多重部116に入力し、NACKの場合は、部分スペクトル抽出部13から出力された部分スペクトルの再送信号を参照信号多重部116に入力するよう切り替える。ここでは、情報ビット列から再送信号を再び生成するような構成を一例としているが、前の伝送機会で送信した送信データと同一の信号を生成するので、前の伝送機会における送信データをバッファしておく機能を有する機能ブロックを再送信号生成部12と置き換えてもよい。
【0057】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置103の構成の一例を示すブロック図である。基本的には、図11と同じ構成だが、再送信号を合成する手段も含めて図11のデータ検出部209−1〜209−Uをデータ検出・合成部21−1〜21−U(以下、データ検出・合成部21−1〜21−Uを合わせて、データ検出・合成部21と表す。)に置き換えている。また、復号ビット列が正しいかを検出する誤り検出部22−1〜22−U、重複したスペクトルの周波数に関する情報を検出する重複周波数検出部23−1〜23−U、正しく復号できた場合にACKおよび復号結果に誤りがある場合にNACKとする応答信号生成部24−1〜24−Uが図11と異なる点であり、本実施形態の特徴は重複周波数検出部23−1〜23−Uである。
【0058】
各移動局装置101からの受信信号は、データ検出・合成部21−1〜21−Uにより初送であれば図11のデータ検出部209−1〜209−Uと同じ処理を行ない、再送信号であれば、初送時の受信信号との合成を行なう。データ検出・合成部21−1〜21−Uから出力された復号ビット列は誤り検出部22−1〜22−Uにより復号結果が正しいか否かが判定され、その判定結果が重複周波数検出部23−1〜23−Uおよび応答信号生成部24−1〜24−Uに入力される。重複周波数検出部23−1〜23−Uでは、誤りが検出された場合に、重複した部分スペクトルの周波数位置が出力され、応答信号生成部24−1〜24−UではACKあるいはNACKが出力される。制御情報生成部211−1〜211−Uにそれぞれ入力する。次に、データ検出・合成部21−1〜21−Uについて説明する。
【0059】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るデータ検出・合成部21−1〜21−Uの構成の一例を示すブロック図である。基本的に、どの移動局装置101のデータ検出・合成部21も同一であるため、ここではU番目の移動局装置101のデータ検出・合成部21−Uとして説明する。データ検出・合成部21−Uは、等化部31−U、初送信号保持部32−U、合成部33−U、切替部34−U、IDFT部35−U、復調部36−U、復号部37−Uから構成される。周波数デマッピング部208より入力された信号は、等化部31−Uにより、信号の等化が行なわれる。等化後の信号は、もし受信信号が初送信号であれば初送信号保持部32−Uにより復号ビットが正しく検出されるまで保持される。また、もし再送信号であれば、初送信号保持部32−Uにより保持されている初送時の送信信号を呼び出し、合成部33−Uにより信号を合成する。このとき、再送信号は少なくとも初送信号の周波数帯域幅以下の帯域幅の部分スペクトルであるため、周波数位置を合わせて合成する。
【0060】
次に、部分スペクトルの合成法について述べる。初送におけるサブキャリア数をNDFT、再送に使用した部分スペクトルを、初送信号のmからM番目の部分スペクトルとする。このとき、等化後の信号を単純に加算する場合、合成された周波数信号は、次式で表される。
【0061】
【数1】

式(1)において、Scom(k)は、k番目のサブキャリアの合成後の振幅、Sestは、k番目のサブキャリアの初送信号の振幅、SestReは、k番目のサブキャリアの再送信号の振幅である。また、サブキャリアのインデックスは、信号が実際に配置された周波数から、希望信号が割り当てられた周波数信号だけを抽出するデマッピング処理を行なった後の仮想的な周波数インデックスである。このように、合成することで、重複したスペクトルのみ再送・合成することで、効率的な再送が可能となる。なお、合成法としては、単純な加算でもよいし、初送信号と再送信号の各離散周波数のスペクトルの振幅について、振幅の大きさが大きい方を選択する方法でもよいし、最大比合成のような重みづけ合成を行なってもよい。また、本実施形態では、重複したスペクトルに関する情報(周波数インデックスなど)を通知したが、予め決まったパターンで、部分スペクトルを再送してもよい。この場合は、特に通知する必要はない。
【0062】
[第2の実施形態]
第1の実施形態は、重複した部分スペクトルのみを再送時に再配置して送信する方法について開示したが、第2の実施形態では、周波数スペクトルを周波数軸でサイクリックシフト(モジュロ、剰余)することで、重複する部分スペクトルを再配置する。
【0063】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る再送方法の概念の一例を示す図である。同図に示されるように、再送時に周波数信号をサイクリックシフトする。ここでは、重複する周波数に配置されていた部分スペクトル4が、それぞれ第1の移動局装置101−1の再送信号41では部分スペクトル42、第2の移動局装置101−2の再送信号43では部分スペクトル44に配置されるようにサイクリックシフトしたものとする。これにより、再送時に初送と同じ部分スペクトルが重複する確率が低くなるため、再送効率が高まる。
【0064】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る移動局装置101の構成の一例を示すブロック図である。基本的には図2の構成と同じだが、図2の部分スペクトル抽出部13がモジュロ部51になっており、これが本実施形態の特徴である。否定応答を検出した場合には、モジュロ部51により、制御信号検出部113により検出されたサイクリックシフト量と再送信号生成部12から出力された初送信号と同じ周波数信号にサイクリックシフトを与える。u番目の移動局装置101に与えられるサイクリックシフト量をK(u)、u番目の移動局装置101の元の信号帯域幅をNDFT(u)とすると、サイクリックシフトしたk番目の周波数における周波数信号の複素数で表される振幅Scyc(u,k)は式(2)で表される。
【0065】
【数2】

ただし、kは0からNDFT(u)−1までの自然数、S(u,k)はu番目の移動局装置101の元の周波数信号のk番目の周波数における周波数信号の複素数で表される振幅である。
【0066】
後述するサイクリックシフト算出部61−1〜61−Uでは、式(2)の処理が出来るようK(u)を原則として移動局装置101毎に設定する。この設定方法としては、原則として初送で重複した部分スペクトルが再送時に重複しないようにする。なお、重複したスペクトルがどの周波数であるかは、基地局装置103における移動局装置101からの受信信号の受信信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise power Ratio)に基づいてもよい。さらに、雑音に干渉を含んだSINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいてもよい。これにより、SORMにおける再送効率が高まる。また、本実施形態はサイクリックシフトだが、ミラーリングのように、周波数配置を初送信号の周波数順を反転させてもよい。
【0067】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る基地局装置103の構成の一例を示すブロック図である。基本的には図3の構成と同一であるが、モジュロするための、サイクリックシフト算出部61−1〜61−Uが追加されており、これが本実施形態のポイントである。サイクリックシフト算出部61−1〜61−Uでは、重複周波数検出部23−1〜23−Uで検出された重複している周波数の情報から、サイクリックシフトする量を算出する。このサイクリックシフトする量は、全移動局装置101で同時に同じだけの量に設定してもよいし、移動局装置101ごとに決定してもよい。ここでは、その設定方法の一例について説明する。まず、ある移動局装置101において、デマッピング後の仮想的なサブキャリアのp番目からP番目の周波数信号が他の移動局装置101と重複したものとする。この場合、p番目からP番目の周波数信号が再送で重複しない可能性が高くなるよう、pだけサイクリックシフトするように設定する。
【0068】
図8は、本発明の第2の実施形態に係るサイクリックシフト設定方法を具体的に示す概念図である。なお、本発明は重複したスペクトルを高い精度で再送することを本質としているため、重複したスペクトルが再び重複する確率を低くするような再送方法は本発明に含まれる。データ検出・合成部21の基本的な構成については、図4と同一であるが、合成処理は、モジュロによりサイクリックシフトしたスペクトルを元の順番に戻した上で、合成を行なう。なお、この合成処理については、具体的に記載していないが、スペクトルを元に戻し、初送信号と再送信号を合成するというのは技術的常識であり、本発明の本質は、SORMにおいて再送する際に重複したスペクトルが再送時になるべく重複しないよう制御または重複する確率を低くすることである。なお、これまで述べた実施形態はSORMを前提としたが、複数の移動局装置101からの信号を空間多重するマルチユーザMIMOにも勿論適用できる。
【0069】
本発明に関わる移動局装置101および基地局装置103で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0070】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置101および基地局装置103の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置101および基地局装置103の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0071】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1、2 送信信号
3 受信信号
4 部分スペクトル
5、7 再送信号
6、8 部分スペクトル
11 応答信号検出部
12 再送信号生成部
13 部分スペクトル抽出部
14 初送/再送切替部
21、21−1〜21−U データ検出・合成部
22−1〜22−U 誤り検出部
23−1〜23−U 重複周波数検出部
24−1〜24−U 応答信号生成部
31−U 等化部
32−U 初送信号保持部
33−U 合成部
34−U 切替部
35−U IDFT部
36−U 復調部
37−U 復号部
41、43 再送信号
42、44 部分スペクトル
51 モジュロ部
61−1〜61−U サイクリックシフト算出部
101、101−1、101−2 移動局装置
102−1、102−2 送信信号
103 基地局装置
104 受信信号
104−A 部分スペクトル
111 アンテナ
112 無線受信部
113 制御信号検出部
114 データ信号生成部
115 参照信号生成部
116 参照信号多重部
117 周波数割当部
118 IFFT部
119 CP挿入部
120 無線送信部
201 アンテナ
202 無線受信部
203 CP除去部
204 FFT部
205 参照信号分離部
206 伝搬路特性・雑音電力推定部
207 信号キャンセル部
208 周波数デマッピング部
209−1〜209−U データ検出部
210−1〜210−U 軟推定生成部
211−1〜211−U 制御情報生成部
212 無線送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の通信装置が第2の通信装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムであって、
前記各第1の通信装置が前記第2の通信装置に対して再送信号を送信する場合は、初送信号の一部である部分スペクトルのみを前記第2の通信装置に対して送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記部分スペクトルは、前記各第1の通信装置が初送信号を送信した際に重複した周波数に配置されたスペクトルであることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記部分スペクトルは、前記第2の通信装置において、前記各第1の通信装置から受信した無線信号の受信SNR(Signal to Noise power Ratio)または受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいて設定されることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
いずれかの前記第1の通信装置は、いずれか他の前記第1の通信装置が使用する周波数とは重複しない周波数に配置された部分スペクトルを前記第2の通信装置に対して送信することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
複数の第1の通信装置が第2の通信装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムであって、
前記各第1の通信装置が前記第2の通信装置に対して再送信号を送信する場合は、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトして前記第2の通信装置に対して送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
前記再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトする量は、前記第2の通信装置において、前記各第1の通信装置が初送信号を送信した際に重複した周波数に配置されたスペクトルに基づいて決定されることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトする量は、前記第2の通信装置において、前記各第1の通信装置から受信した無線信号の受信SNR(Signal to Noise power Ratio)または受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)に基づいて設定されることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【請求項8】
いずれかの前記第1の通信装置は、いずれか他の前記第1の通信装置が使用する周波数とは重複しないように、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトして前記第2の通信装置に対して送信することを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【請求項9】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置であって、
前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する判定部と、
前記判定の結果、誤りがあった場合は、前記各通信端末装置が初送信号を送信した際に重複した周波数を検出する重複周波数検出部と、を備え、
前記検出した周波数を示す情報を、前記各通信端末装置に送信することを特徴とする通信制御装置。
【請求項10】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置であって、
前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する応答信号検出部と、
前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信した重複した周波数を示す情報に基づいて、初送信号の一部である部分スペクトルを抽出する部分スペクトル抽出部と、を備え、
前記抽出した部分スペクトルのみを再送信号として前記通信制御装置に対して送信することを特徴とする通信端末装置。
【請求項11】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置であって、
前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する判定部と、
前記判定の結果、誤りがあった場合は、周波数軸上のサイクリックシフト量を算出するサイクリックシフト算出部と、を備え、
前記算出したサイクリックシフト量を示す情報を、前記各通信端末装置に送信することを特徴とする通信制御装置。
【請求項12】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置であって、
前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する応答信号検出部と、
前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信したサイクリックシフト量を示す情報に基づいて、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトを行なうモジュロ部と、を備え、
前記サイクリックシフトした再送信号を前記通信制御装置に対して送信することを特徴とする通信端末装置。
【請求項13】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置の制御プログラムであって、
前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する処理と、
前記判定の結果、誤りがあった場合は、前記各通信端末装置が初送信号を送信した際に重複した周波数を検出する処理と、
前記検出した周波数を示す情報を、前記各通信端末装置に送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする制御プログラム。
【請求項14】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置の制御プログラムであって、
前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する処理と、
前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信した重複した周波数を示す情報に基づいて、初送信号の一部である部分スペクトルを抽出する処理と、
前記抽出した部分スペクトルのみを再送信号として前記通信制御装置に対して送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする制御プログラム。
【請求項15】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信制御装置の制御プログラムであって、
前記各通信端末装置から受信した無線信号の復号結果に誤りがあるか否かを判定する処理と、
前記判定の結果、誤りがあった場合は、周波数軸上のサイクリックシフト量を算出する処理と、
前記算出したサイクリックシフト量を示す情報を、前記各通信端末装置に送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする制御プログラム。
【請求項16】
複数の通信端末装置が通信制御装置に対して無線信号を送信する際に使用する周波数の一部または全部が重複することを許容する無線通信システムに適用される通信端末装置の制御プログラムであって、
前記通信制御装置から受信した応答信号を検出する処理と、
前記検出した応答信号が、NACK(Negative Acknowledge)である場合は、前記通信制御装置から受信したサイクリックシフト量を示す情報に基づいて、再送信号を周波数軸上でサイクリックシフトを行なう処理と、
前記サイクリックシフトした再送信号を前記通信制御装置に対して送信する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする制御プログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−44611(P2012−44611A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186404(P2010−186404)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】