無線通信装置および測距方法
【課題】データ通信と測距とが物理層を共用する場合であっても、データ通信と測距とを好適に実現するための技術を提案する。
【解決手段】無線通信装置は、データを送信するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する。無線通信装置は、無線部と測距部を含む。無線部は、例えば、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号を送受信する。また、測距部は、ビーコン区間を利用して、無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する。
【解決手段】無線通信装置は、データを送信するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する。無線通信装置は、無線部と測距部を含む。無線部は、例えば、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号を送受信する。また、測距部は、ビーコン区間を利用して、無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置においてデータ通信と測距とを実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になり、ウルトラワイドバンド(UWB)が注目されている。UWBで使用される無線信号は、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有している。そのため、大量のデータを高速に通信することができる。
【0003】
一方で、UWBは、精度の高い測距機能を実現しやすいことも知られている。特許文献1によれば、UWBパルスが送信されてから障害物に反射して返ってくるまでの時間を計測することで、障害物まで距離を求める方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2によれば、OFDM(直交周波数分割変調)方式を採用するUWBにおいて、測距を行なう方法が提案されている。
【特許文献1】特開2003−174368号公報
【特許文献2】特開2005−065072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近になり、Wireless(無線)USBの標準化作業が進んでいる。このWireless USBも上述したUWB方式を物理層に採用する可能性が高い。現在のところ、Wireless USBでは、スーパーフレームを構成するMAS(メディア・アクセス・スロット)を使用してデータ通信が行われることになりそうである。なお、スーパーフレームには65msごとにビーコンが挿入される。
【0006】
しかしながら、Wireless USBにおいて、測距を行なうための具体的な方法が提案されていない。そこで、本発明は、データ通信と測距とが物理層を共用する場合であっても、データ通信と測距とを好適に実現するための技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、データを送信するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置に対して好適に適用される。当該無線通信装置は、無線部と測距部を含む。無線部は、例えば、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号を送受信する。また、測距部は、ビーコン区間を利用して、無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、データ区間とビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置が、ビーコン区間を利用して、測距対象物までの距離を測距する。そのため、Wireless USBのように、データ通信機能と測距機能とが物理層を共用する場合であっても、好適にデータ通信と測距とを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の一実施形態を示す。もちろん以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、実施形態に係る無線通信装置の一例を示すブロック図である。CPU101は、無線通信装置の各部を統括的に制御する制御ユニットである。メモリ102は、制御用のプログラムコードやデータを記憶する記憶ユニットである。内部バス103は、CPU101、メモリ102および他のユニットがデータをやり取りするためのバスである。データ通信制御104は、主にWireless USBに関するデータの通信を制御する。データ通信制御104は、パーソナルコンピュータ(PC)や各種の小型携帯機器と接続してデータ通信を行なう。もちろん、PC等には同種の無線通信装置が内蔵または接続されている。すなわち、データ通信制御104は、無線部106を介して接続される他の無線通信装置との間で送受信されるデータを中継することになる。
【0011】
一方、測距部105は、無線部(PHY)106を用いて測距を実行する。無線部106は、物理層(PHY)に関する回路からなる。本実施形態において、物理層は、データ通信と測距とによって共用される。アンテナ107は、無線信号を受信するための空中線である。
【0012】
無線部106の実現方式は、様々である。例えば、IR(インパルス無線)−UWB方式、DS(直接拡散)−UWB方式、または、MB(マルチバンド)−OFDM−UWB方式などを無線部106に採用できる。IR−UWB方式は、最も単純な方法であり、搬送波を用いずに微細なパルス幅(0<パルス幅=<1ナノ秒(ns))のパルスを使用する方式である。なお、現時点では、数百ピコ秒(ps)から1ns以下の幅を有するパルスが検討されている。
【0013】
DS−UWB方式およびMB−OFDM−UWB方式は、マルチバンド方式の一種で、UWBで使用する周波数帯を複数のバンドに分割し、各バンドで搬送波を変調する方式である。DS−UWB方式は、直接拡散技術を使用するが、MB−OFDM−UWB方式は、OFDMと周波数ホッピングとを組み合わせて使用する。
【0014】
図2は、実施形態に係る無線部の一例を示す図である。ここでは、IR―UWB方式の無線部について説明する。無線部106は、送信部200と受信部250を含む。送信部200において、パルス発生器201は、入力されたデータに対応するパルス信号を生成する。増幅器202は、生成されたパルス信号を増幅する。一方、受信部250において、増幅器251は、受信したパルス信号を増幅する。相関器252は、受信したパルス信号からデータを取り出すために、受信したパルス信号とテンプレートパルス信号との相関値を求める。相関値は、基本的に0か1となるので、相関値に基づいてデータが決定される。
【0015】
また、CPU101は、ビーコン区間において、測距部105に測距の開始を指示する。測距部105は、測距用のUWBパルス信号が無線部200から送出されてから測距対象物に反射して受信部250により受信されるまでの時間を測定する。測距部105は、この時間を電波の伝播速度と乗算することで距離を算出する。なお、この距離は無線通信装置と測距対象物との間の往復距離となるため、往復距離を2で除算することで、片道の距離が決定される。
【0016】
なお、測距対象物が他の無線通信装置であれば、測距部105は、他の無線通信装置が折り返して送信する信号を受信することで、信号の往復時間を測定してもよい。但し、折り返し信号を利用する場合は、反射信号を利用する場合に比較し、測距精度が相対的に低下する傾向にある。
【0017】
複数の無線通信装置が同期して通信する場合は、同期時刻からのビーコン到着のずれ時間に基づいて、測距部105は、相手側の無線通信装置まで距離を測定することもできる。但し、複数の無線通信装置間に同期ずれがあると、この測距方法は測距精度が低下してしまう。よって、測距精度に関しては、反射信号を利用する方法が優れているだろう。一般に、測距情報を利用するアプリケーションによって、必要とされる測距精度が異なってくる。そのため、アプリケーションを考慮した上で測距方法を決定してもよい。
【0018】
図3は、実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。ここでは、DS―UWB方式の無線部について説明する。無線部106は、送信部300と受信部350を含む。送信部300の符号変調器301は、入力されたデータについて位相変調や振幅変調などの1次変調を実行する。拡散変調器302は、1次変調された信号に対して拡散変調(2次変調)を実行する。一方、受信部350の拡散復調器351は、受信した信号を逆拡散する。なお、逆拡散する際には、送信側で使用された拡散符号と同一の拡散符号が用いられる。このような拡散符号の相関演算により、相関ピークが得られる。よって、測距部105は、この相関ピークを用いて、測距を行なうことができる。符号復調器352は、逆拡散された信号を復調することでデータを抽出する。
【0019】
図4は、実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。ここでは、OFDM―UWB方式の無線部について説明する。送信部400において、シリアルパラレル変換器(S/P)401は、入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換する。複数の変調器(mod)401は、各パラレルデータに対して符号変調を実行する。逆フーリエ変換器403は、符号変調された信号(周波数軸の信号)を時間軸の信号に変換する。一方、受信部450の低域通過フィルタ(LPF)452は、受信した信号のうち低域成分を抽出する。フーリエ変換器452は、抽出された信号をフーリエ変換することで周波数軸上の複数の信号成分に変換する。複数の復調器(dmod)453は、各信号成分を復調することで、それぞれデータを抽出する。パラレルシリアル変換器(P/S)454は、パラレルデータをシリアルデータに変換する。
【0020】
ここで、測距に関しては、フーリエ変換器452からの信号を逆フーリエ変換することで時間軸でのパルス列を抽出する。パルス決定部456は、複数のパルス列のうち最も早く到達したパルスを決定し、決定したパルスのみを測距部105に出力する。よって、測距部105は、この最も早く到達したパルスに基づいて測距をすることができる。
【0021】
図5は、実施形態に係るWireless USBのフレームの構成例を示す図である。各フレームの先頭には、ビーコン区間が設けられている。さらに、ビーコン区間に続いて、データ区間が設けられている。なお、n番目のフレームだけでなく、n−1番目のフレーム、n+1番目のフレームも同様の構成である。なお、ビーコン区間は定期的に設けられている。すなわち、無線部106は、定期的(例:65ms)にビーコンを送信する。これは、フレームの長さが一定(例:65ms)であることを意味する。フレームは、例えば、256個のメディア・アクセス・スロット(MAS)に分割されている。ビーコンは、同期やMASを予約するために使用される。なお、データ区間内に設けられているDRP(Distributed Reservation Protocol) WUSBは、Wireless USBのデータが行われるMASである。
【0022】
図6は、実施形態に係る通信路の使用状態と無線通信装置の内部処理との時間的な関係を示す図である。図6が示すように、測距部105は、ビーコン区間においてビーコンの送信と、反射してきたビーコンの受信とを無線部106に実行させ、データ区間で無線部105から得られた信号に基づいて距離を決定してもよい。例えば、n番目のフレームで測距を行なう場合、測距部105は、次のn+1番目のビーコンを送信するタイミングとなるまでに距離の決定を終了すればよい。
【0023】
このように、1つのフレーム周期内で測距を完了できれば、測距部105は、フレームごとに測距を実行できることになる。すなわち、無線部106は、定期的にビーコンを送信するための、定期的に測距を実行できる。
【0024】
さらに、測距部105は、定期的に送信されるビーコンに基づいて決定された時間的な距離の変動量から測距対象物の相対速度を測定することができる。例えば、測距部105は、n番目のフレームで検出された距離と、n+1番目のフレームで検出された距離との差分をフレーム周期(例:65ms)で除算することで、移動速度を算出できる。なお、この移動速度は、無線通信装置と測距対象物についての相対速度に相当することはいうまでもない。
【0025】
図7は、実施形態に係る測距方法の一例を示すフローチャートである。ステップS701において、CPU101は、例えば、フレーム周期を計測するタイマーにより、現時点がビーコン区間か否かを判定する。ビーコン区間でなければ、CPU101は、データ通信制御部104にデータの通信を許可し、ステップS710に進む。
【0026】
ステップS710において、データ通信制御部104は、PC等から受信したデータがあるか否かを判定する。データがなければ、ステップS701に戻る。一方、データがあれば、ステップS711に進み、データ通信制御部104は、データを無線部106に出力する。無線部106は、データ区間内で予約されているMASを使用してこのデータを送信する。その後、ステップS707に進む。
【0027】
一方、ステップS701において、ビーコン区間であると判定されると、ステップS702に進む。ステップS702において、CPU101は、無線部106にビーコンを送信するよう指示する。また、CPU101は、測距部105に測距の開始を指示する。
【0028】
ステップS703において、無線部106は、最初に帰ってきた反射信号を受信すると、受信したことを表す信号を測距部105に出力する。
【0029】
ステップS704において、測距部105は、反射信号を受信したことを表す信号が入力されると、そのときの時刻情報をタイマーから取得する。例えば、タイマーがビーコンを送信するときにリセットされるのであれば、反射信号を受信したときにこのタイマーが示しているカウント値が求めるべき時刻情報に相当する。実際に、この時刻情報は、無線通信装置から測距対象物までをUWBのパルス信号が往復する時間と一致する。
【0030】
ステップS705において、測距部105は、取得した時刻情報に基づいて、無線基地局から測距対象物までの距離を算出する。CPU101は、測距部105により算出された距離の情報をメモリ102に記憶してもよい。
【0031】
ステップS706において、測距部105またはCPU101は、過去のフレームで測定された距離と今回算出された距離との差分から、無線通信装置と測距対象物との相対速度を算出する。なお、ステップS706はオプションである。
【0032】
ステップS707において、CPU101は、通信を終了すべきか否かを判定する。通信を継続する場合に限り、ステップS701に戻る。
【0033】
以上説明したように、本発明は、例えば、データを送信するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置に対して好適に適用される。実施形態によれば、無線通信装置は、例えば、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有するUWBの無線信号を送受信する無線部105を備える。とりわけ、測距部105は、ビーコン区間を利用して、無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する。よって、データ区間で実行されるデータの転送を妨害することなく、測距を実現できる。
【0034】
例えば、測距部105は、ビーコンが無線部106から送信されてから、測距対象物により反射されて無線部106により受信されるまでの時間を計時することで測距を実現できる。UWBの無線信号は、極めて狭いパルス幅を用いることできるので、従来よりも高精度で測距を実現できる。
【0035】
測距部105は、無線部106がデータ区間でデータを転送している間に、測距対象物から反射されてきたビーコンに基づいて距離を算出する。そのため、フレーム周期ごとに測距を実行できる利点がある。また、単一の物理層をデータの転送と測距とで共用することが可能となる。
【0036】
無線部106は、ビーコンの少なくとも一部として、0を超え、かつ、1ナノ秒以下となるパルス幅を有するパルス信号を送信する。このように超微細なパルス幅を採用することで、測距精度が格段に改善される。
【0037】
測距部105は、定期的に送信されるビーコンに基づいて決定された時間的な距離の変動量から測距対象物の相対速度を測定することもできる。Wireless USBにおいて65msごとにビーコンが送信されることを利用すれば、65msごとに取得される距離から簡単に相対速度を決定できる利点がある。
【0038】
なお、無線部106の構成は、IR−UWB方式、DS−UWB方式またはMB−OFDM−UWB方式だけでなく、他の方式が採用されてもよい。例えば、測距部105は、他の無線通信装置から送信されるビーコンの時間応答特性に基づいて、測距対象物である他の無線通信装置までの距離を決定してもよい。より具体的には、測距部105は、他の無線通信装置から送信されるOFDM方式のビーコンをフーリエ変換して得られる周波数応答特性をさらに逆フーリエ変換することで時間応答特性を取得することができる。また、測距部105は、他の無線通信装置から送信される直接拡散方式のビーコンを逆拡散することで時間応答特性を取得してもよい。
【0039】
いずれのUWB方式が採用されたとしても、本発明は、ビーコン区間において伝送されるビーコンを利用して測距ができるため、データの転送が妨害されることがない。すなわち、本発明では、単一の物理層をデータ転送機能と測距機能とで共用できるのである。
【0040】
[第2の実施形態]
図8は、実施形態に係るシステム構成を説明するための図である。本実施形態では、壁800により囲まれた室内において、デジタルカメラ801が使用されることを想定している。もちろん、このデジタルカメラ801の通信部には、第1の実施形態で説明した無線通信装置が採用されている。この壁800の材質は、Wireless USB規格に従って動作する無線通信装置が利用する電波を反射するものとする。
【0041】
デジタルカメラ801は、この無線通信装置を利用して、パーソナルコンピュータ802やデジタルテレビ803に画像データを転送できる。パーソナルコンピュータ802やデジタルテレビ803にも上述した無線通信装置が採用されているものとする。なお、804は、デジタルカメラ801を用いて撮影すべき被写体である。
【0042】
<デジタルカメラの構成>
図9は、実施形態に係るデジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。デジタルカメラ801は、いわゆる撮像装置であり、スチルカメラであってもよいし、ビデオカメラであってもよい。
【0043】
撮影レンズ901は、被写体の光学像を撮像素子902に結像する。撮像素子902は、光学像をアナログ信号に変換する。A/D変換器903は、撮像素子902から出力されるアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換する。画像処理回路907は、画像データに画像処理を行なう。DRAM905は、撮影された画像データ等を一時記憶すると共に各種処理でワーキングメモリとして使用される。不揮発性メモリ911は、画像データ等を記憶する。メモリ制御回路904は、DRAM905又は不揮発性メモリ911への画像データの出入力を制御する。
【0044】
D/A変換器908は、DRAM905又は不揮発性メモリ911に記憶された画像データをアナログ信号に変換する。画像表示部909は、この画像データを表示する。タイミング発生回路906は、撮像素子902、A/D変換器903及びD/A変換器908にクロック信号や制御信号を供給する。
【0045】
圧縮・伸長回路910は、画像データを圧縮・伸長する。システム制御回路912は、デジタルカメラ801の各ユニットを統括的に制御する。メモリカードコントローラ920は、メモリカード921への画像データの出入力を制御する。
【0046】
有線通信コントローラ922は、USBコネクタ923又はIEEE1394コネクタ924を介して接続された外部機器との通信を制御する。有線通信コントローラ922は、その内部に、USBコネクタ923に接続された不図示のUSBコントローラと、IEEE1394コネクタ924に接続された不図示のIEEE1394コントローラとを有する。
【0047】
無線通信コントローラ925は、第1の実施形態で説明した無線通信装置に相当する。すなわち、無線通信コントローラ925は、上述したデータ転送機能と測距機能とを備えている。なお、有線通信コントローラ922と無線通信コントローラ925とを一体構成としても構わない。
【0048】
<通信電力制御>
次に、測距結果を利用した通信電力制御について説明する。図8に示した事例で快適に無線通信を行なうためには、室内においてデジタルカメラ801から最も遠い位置に存在する通信相手と通信できれば十分である。図8では、図中の左下の隅が、最も遠い位置となる。左下の隅は、単なる例示に過ぎない。もし過剰な電力で信号を送信してしまうと、電力が無駄に消費されるだけでなく、また室外への電波の漏洩によって、他の機器の通信を妨害してしまうおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、室内においてデジタルカメラ801から最も遠い位置を測距によって特定し、特定された位置までの距離に応じて送信電力を制御するものとする。なお、マルチパスやシャドーイングの影響は無視できるものとする。
【0050】
図10は、実施形態に係る通信電力を好適に制御する方法の一例を示すフローチャートである。ステップS1001において、システム制御回路912は、ユーザにより無線通信モードに設定されると、不揮発性メモリ911から送信電力の初期値を読み出し、無線通信コントローラ925に設定する。無線通信コントローラ925のCPU101は、設定された送信電力に応じて無線部106から信号を送信する。ここでの通信は、例えば、デジタルテレビ803に対して撮影画像の転送等を行なうことである
ステップS1002において、CPU101は、ビーコン区間を利用して測距を開始する。ステップS1003において、無線通信コントローラ925のCPU101は、データ区間においてデータ転送を実行するのと並行し、距離の算出処理を実行する。なお、距離の決定方法は、算出以外の方法が採用されてもよい。本発明は、距離の算出方法によって制限を受けることはないからである。
【0051】
ステップS1004において、CPU101は、測距により得られた距離の情報に応じて、送信電力のレベルを決定する。例えば、CPU101は、取得された複数の距離のうち最も遠い距離を基準に送信電力レベルを決定する。なお、予め距離と送信電力レベルとの対応関係を登録したテーブルを不揮発性メモリ911に記憶しておいてもよい。なお、システム制御回路912は、CPU101から取得した各距離情報をDRMA905に時系列の距離情報として記憶してもよい。なお、システム制御回路912は、距離情報と、距離情報を取得した時刻の情報とをペアにしてDRAM905に記憶してもよい。距離情報と、取得時刻の情報とはテーブル化されてもよい。
【0052】
ステップS1005において、CPU101は、データ通信が終了したか否かを判定する。終了していなければ、ステップS1002戻る。一方、データ通信が終了したならば、本フローチャートを終了する。
【0053】
本実施形態によれば、室内800で好適に無線通信を行なうための送信電力制御を、データ通信と並行してリアルタイムで実行できる。これにより、電力消費を抑制できるだけでなく、室外への妨害を低減できる利点がある。
【0054】
例えば、デジタルカメラ801がデジタルテレビ803とデータ転送を行いながら被写体804に近づいていった場合などにも、上記処理は効果的である。すなわち、被写体804に近づくにつれデジタルカメラ801から最も遠い位置が変化する。例えば、デジタルテレビ803が設置されている室内の右上隅が最も遠い位置になることもある。よって、デジタルカメラ801が移動する場合であっても、無線通信コントローラ925は、リアルタイムで好適に送信電力を制御できる。
【0055】
[第3の実施形態]
本実施形態では、デジタルカメラ801が、被写体804を連続撮影しながら、PC802へとその撮影画像を転送する場合について説明する。
【0056】
一般に、システム制御回路912は、データ転送に際して、撮影画像データとその付属情報をExif形式のファイルとして転送することができる。Exif形式は例示に過ぎない。ここで、付属情報には、デジタルカメラ801から被写体804までの距離情報を含めることができる。
【0057】
一般には、AFや赤外線センサによって取得された距離情報が付属情報として利用されるが、ここでは、第1または第2の実施形態で説明した距離情報が利用されるものとする。
【0058】
図11は、実施形態に係る撮影処理の一例を示すフローチャートである。この撮影処理と、第1の実施形態で説明した距離情報の取得は並行して実行されるものとする。但し、取得される距離情報は、デジタルカメラ801から被写体804までの距離情報とする。被写体804までの距離情報を取得するには、例えば、アンテナ107の指向性を被写体804の方向に向けることが望ましい。実際には、取得された距離のうち最短距離が被写体までの距離となろう。通常、デジタルカメラ801と被写体804の間には障害物が存在しないことが多いからである。
【0059】
ステップS1101において、システム制御回路912は、撮影モードを連続撮影モードに設定する。ステップS1102において、シャッタボタンの押下指示に応答して被写体を連続撮影するとともに、その撮影時刻をタイマー等から取得する。
【0060】
ステップS1103において、システム制御回路91は、DRAM905に保持されている距離情報の取得時刻のうち、撮影時刻に最も近い取得時刻を特定し、特定された時刻に対応する距離情報をDRAM905から読み出す。
【0061】
ステップS1104において、システム制御回路912は、読み出した距離情報を、撮影画像の付属情報として付加し、メモリカード921に記憶する。また、撮影画像データと付属情報は、無線通信コントローラ925によって、PC802等に転送される(S711)。以上の処理を連続撮影が終了する(S1105)まで、システム制御回路912が繰り返す。
【0062】
以上説明したように本実施形態によれば、第1の実施形態等で説明した距離情報をExifの付属情報と利用することができる。すなわち、本実施形態では、撮影画像データを取得および転送しながら、距離情報も取得して一緒に転送することができる。
【0063】
したがって、被写体が連続して動く場合など、リアルタイムでデジタルカメラと被写体との距離が変動する場合においても、正確な距離情報を取得して転送することが可能となる。
【0064】
本実施形態では、主に静止画の転送について説明したが、本発明は、動画の撮影および転送に対して適用できることはいうまでもない。例えば、動画を構成する各フレーム単位で距離情報を付加して転送することも可能である。
【0065】
[他の実施形態]
以上、様々な実施形態を詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。例えば、撮像装置、スキャナ、プリンタ、PC、複写機、複合機及びファクシミリ装置の如くである。
【0066】
本発明は、前述した実施形態の各機能を実現するソフトウェアプログラムを、システム若しくは装置に対して直接または遠隔から供給し、そのシステム等に含まれるコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0067】
従って、本発明の機能・処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、上記機能・処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0068】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0069】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、記録媒体としては、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0070】
また、プログラムは、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページからダウンロードしてもよい。すなわち、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードしてもよいのである。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の構成要件となる場合がある。
【0071】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布してもよい。この場合、所定条件をクリアしたユーザにのみ、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報で暗号化されたプログラムを復号して実行し、プログラムをコンピュータにインストールしてもよい。
【0072】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現されてもよい。なお、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ってもよい。もちろん、この場合も、前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0073】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ってもよい。このようにして、前述した実施形態の機能が実現されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施形態に係る無線通信装置の一例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る無線部の一例を示す図である。
【図3】実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。
【図5】実施形態に係るWireless USBのフレームの構成例を示す図である。
【図6】実施形態に係る通信路の使用状態と無線通信装置の内部処理との時間的な関係を示す図である。
【図7】実施形態に係る測距方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係るシステム構成を説明するための図である。
【図9】実施形態に係るデジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態に係る通信電力を好適に制御する方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】実施形態に係る撮影処理の一例を示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置においてデータ通信と測距とを実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になり、ウルトラワイドバンド(UWB)が注目されている。UWBで使用される無線信号は、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有している。そのため、大量のデータを高速に通信することができる。
【0003】
一方で、UWBは、精度の高い測距機能を実現しやすいことも知られている。特許文献1によれば、UWBパルスが送信されてから障害物に反射して返ってくるまでの時間を計測することで、障害物まで距離を求める方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2によれば、OFDM(直交周波数分割変調)方式を採用するUWBにおいて、測距を行なう方法が提案されている。
【特許文献1】特開2003−174368号公報
【特許文献2】特開2005−065072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近になり、Wireless(無線)USBの標準化作業が進んでいる。このWireless USBも上述したUWB方式を物理層に採用する可能性が高い。現在のところ、Wireless USBでは、スーパーフレームを構成するMAS(メディア・アクセス・スロット)を使用してデータ通信が行われることになりそうである。なお、スーパーフレームには65msごとにビーコンが挿入される。
【0006】
しかしながら、Wireless USBにおいて、測距を行なうための具体的な方法が提案されていない。そこで、本発明は、データ通信と測距とが物理層を共用する場合であっても、データ通信と測距とを好適に実現するための技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、データを送信するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置に対して好適に適用される。当該無線通信装置は、無線部と測距部を含む。無線部は、例えば、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号を送受信する。また、測距部は、ビーコン区間を利用して、無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、データ区間とビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置が、ビーコン区間を利用して、測距対象物までの距離を測距する。そのため、Wireless USBのように、データ通信機能と測距機能とが物理層を共用する場合であっても、好適にデータ通信と測距とを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の一実施形態を示す。もちろん以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、実施形態に係る無線通信装置の一例を示すブロック図である。CPU101は、無線通信装置の各部を統括的に制御する制御ユニットである。メモリ102は、制御用のプログラムコードやデータを記憶する記憶ユニットである。内部バス103は、CPU101、メモリ102および他のユニットがデータをやり取りするためのバスである。データ通信制御104は、主にWireless USBに関するデータの通信を制御する。データ通信制御104は、パーソナルコンピュータ(PC)や各種の小型携帯機器と接続してデータ通信を行なう。もちろん、PC等には同種の無線通信装置が内蔵または接続されている。すなわち、データ通信制御104は、無線部106を介して接続される他の無線通信装置との間で送受信されるデータを中継することになる。
【0011】
一方、測距部105は、無線部(PHY)106を用いて測距を実行する。無線部106は、物理層(PHY)に関する回路からなる。本実施形態において、物理層は、データ通信と測距とによって共用される。アンテナ107は、無線信号を受信するための空中線である。
【0012】
無線部106の実現方式は、様々である。例えば、IR(インパルス無線)−UWB方式、DS(直接拡散)−UWB方式、または、MB(マルチバンド)−OFDM−UWB方式などを無線部106に採用できる。IR−UWB方式は、最も単純な方法であり、搬送波を用いずに微細なパルス幅(0<パルス幅=<1ナノ秒(ns))のパルスを使用する方式である。なお、現時点では、数百ピコ秒(ps)から1ns以下の幅を有するパルスが検討されている。
【0013】
DS−UWB方式およびMB−OFDM−UWB方式は、マルチバンド方式の一種で、UWBで使用する周波数帯を複数のバンドに分割し、各バンドで搬送波を変調する方式である。DS−UWB方式は、直接拡散技術を使用するが、MB−OFDM−UWB方式は、OFDMと周波数ホッピングとを組み合わせて使用する。
【0014】
図2は、実施形態に係る無線部の一例を示す図である。ここでは、IR―UWB方式の無線部について説明する。無線部106は、送信部200と受信部250を含む。送信部200において、パルス発生器201は、入力されたデータに対応するパルス信号を生成する。増幅器202は、生成されたパルス信号を増幅する。一方、受信部250において、増幅器251は、受信したパルス信号を増幅する。相関器252は、受信したパルス信号からデータを取り出すために、受信したパルス信号とテンプレートパルス信号との相関値を求める。相関値は、基本的に0か1となるので、相関値に基づいてデータが決定される。
【0015】
また、CPU101は、ビーコン区間において、測距部105に測距の開始を指示する。測距部105は、測距用のUWBパルス信号が無線部200から送出されてから測距対象物に反射して受信部250により受信されるまでの時間を測定する。測距部105は、この時間を電波の伝播速度と乗算することで距離を算出する。なお、この距離は無線通信装置と測距対象物との間の往復距離となるため、往復距離を2で除算することで、片道の距離が決定される。
【0016】
なお、測距対象物が他の無線通信装置であれば、測距部105は、他の無線通信装置が折り返して送信する信号を受信することで、信号の往復時間を測定してもよい。但し、折り返し信号を利用する場合は、反射信号を利用する場合に比較し、測距精度が相対的に低下する傾向にある。
【0017】
複数の無線通信装置が同期して通信する場合は、同期時刻からのビーコン到着のずれ時間に基づいて、測距部105は、相手側の無線通信装置まで距離を測定することもできる。但し、複数の無線通信装置間に同期ずれがあると、この測距方法は測距精度が低下してしまう。よって、測距精度に関しては、反射信号を利用する方法が優れているだろう。一般に、測距情報を利用するアプリケーションによって、必要とされる測距精度が異なってくる。そのため、アプリケーションを考慮した上で測距方法を決定してもよい。
【0018】
図3は、実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。ここでは、DS―UWB方式の無線部について説明する。無線部106は、送信部300と受信部350を含む。送信部300の符号変調器301は、入力されたデータについて位相変調や振幅変調などの1次変調を実行する。拡散変調器302は、1次変調された信号に対して拡散変調(2次変調)を実行する。一方、受信部350の拡散復調器351は、受信した信号を逆拡散する。なお、逆拡散する際には、送信側で使用された拡散符号と同一の拡散符号が用いられる。このような拡散符号の相関演算により、相関ピークが得られる。よって、測距部105は、この相関ピークを用いて、測距を行なうことができる。符号復調器352は、逆拡散された信号を復調することでデータを抽出する。
【0019】
図4は、実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。ここでは、OFDM―UWB方式の無線部について説明する。送信部400において、シリアルパラレル変換器(S/P)401は、入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換する。複数の変調器(mod)401は、各パラレルデータに対して符号変調を実行する。逆フーリエ変換器403は、符号変調された信号(周波数軸の信号)を時間軸の信号に変換する。一方、受信部450の低域通過フィルタ(LPF)452は、受信した信号のうち低域成分を抽出する。フーリエ変換器452は、抽出された信号をフーリエ変換することで周波数軸上の複数の信号成分に変換する。複数の復調器(dmod)453は、各信号成分を復調することで、それぞれデータを抽出する。パラレルシリアル変換器(P/S)454は、パラレルデータをシリアルデータに変換する。
【0020】
ここで、測距に関しては、フーリエ変換器452からの信号を逆フーリエ変換することで時間軸でのパルス列を抽出する。パルス決定部456は、複数のパルス列のうち最も早く到達したパルスを決定し、決定したパルスのみを測距部105に出力する。よって、測距部105は、この最も早く到達したパルスに基づいて測距をすることができる。
【0021】
図5は、実施形態に係るWireless USBのフレームの構成例を示す図である。各フレームの先頭には、ビーコン区間が設けられている。さらに、ビーコン区間に続いて、データ区間が設けられている。なお、n番目のフレームだけでなく、n−1番目のフレーム、n+1番目のフレームも同様の構成である。なお、ビーコン区間は定期的に設けられている。すなわち、無線部106は、定期的(例:65ms)にビーコンを送信する。これは、フレームの長さが一定(例:65ms)であることを意味する。フレームは、例えば、256個のメディア・アクセス・スロット(MAS)に分割されている。ビーコンは、同期やMASを予約するために使用される。なお、データ区間内に設けられているDRP(Distributed Reservation Protocol) WUSBは、Wireless USBのデータが行われるMASである。
【0022】
図6は、実施形態に係る通信路の使用状態と無線通信装置の内部処理との時間的な関係を示す図である。図6が示すように、測距部105は、ビーコン区間においてビーコンの送信と、反射してきたビーコンの受信とを無線部106に実行させ、データ区間で無線部105から得られた信号に基づいて距離を決定してもよい。例えば、n番目のフレームで測距を行なう場合、測距部105は、次のn+1番目のビーコンを送信するタイミングとなるまでに距離の決定を終了すればよい。
【0023】
このように、1つのフレーム周期内で測距を完了できれば、測距部105は、フレームごとに測距を実行できることになる。すなわち、無線部106は、定期的にビーコンを送信するための、定期的に測距を実行できる。
【0024】
さらに、測距部105は、定期的に送信されるビーコンに基づいて決定された時間的な距離の変動量から測距対象物の相対速度を測定することができる。例えば、測距部105は、n番目のフレームで検出された距離と、n+1番目のフレームで検出された距離との差分をフレーム周期(例:65ms)で除算することで、移動速度を算出できる。なお、この移動速度は、無線通信装置と測距対象物についての相対速度に相当することはいうまでもない。
【0025】
図7は、実施形態に係る測距方法の一例を示すフローチャートである。ステップS701において、CPU101は、例えば、フレーム周期を計測するタイマーにより、現時点がビーコン区間か否かを判定する。ビーコン区間でなければ、CPU101は、データ通信制御部104にデータの通信を許可し、ステップS710に進む。
【0026】
ステップS710において、データ通信制御部104は、PC等から受信したデータがあるか否かを判定する。データがなければ、ステップS701に戻る。一方、データがあれば、ステップS711に進み、データ通信制御部104は、データを無線部106に出力する。無線部106は、データ区間内で予約されているMASを使用してこのデータを送信する。その後、ステップS707に進む。
【0027】
一方、ステップS701において、ビーコン区間であると判定されると、ステップS702に進む。ステップS702において、CPU101は、無線部106にビーコンを送信するよう指示する。また、CPU101は、測距部105に測距の開始を指示する。
【0028】
ステップS703において、無線部106は、最初に帰ってきた反射信号を受信すると、受信したことを表す信号を測距部105に出力する。
【0029】
ステップS704において、測距部105は、反射信号を受信したことを表す信号が入力されると、そのときの時刻情報をタイマーから取得する。例えば、タイマーがビーコンを送信するときにリセットされるのであれば、反射信号を受信したときにこのタイマーが示しているカウント値が求めるべき時刻情報に相当する。実際に、この時刻情報は、無線通信装置から測距対象物までをUWBのパルス信号が往復する時間と一致する。
【0030】
ステップS705において、測距部105は、取得した時刻情報に基づいて、無線基地局から測距対象物までの距離を算出する。CPU101は、測距部105により算出された距離の情報をメモリ102に記憶してもよい。
【0031】
ステップS706において、測距部105またはCPU101は、過去のフレームで測定された距離と今回算出された距離との差分から、無線通信装置と測距対象物との相対速度を算出する。なお、ステップS706はオプションである。
【0032】
ステップS707において、CPU101は、通信を終了すべきか否かを判定する。通信を継続する場合に限り、ステップS701に戻る。
【0033】
以上説明したように、本発明は、例えば、データを送信するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置に対して好適に適用される。実施形態によれば、無線通信装置は、例えば、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有するUWBの無線信号を送受信する無線部105を備える。とりわけ、測距部105は、ビーコン区間を利用して、無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する。よって、データ区間で実行されるデータの転送を妨害することなく、測距を実現できる。
【0034】
例えば、測距部105は、ビーコンが無線部106から送信されてから、測距対象物により反射されて無線部106により受信されるまでの時間を計時することで測距を実現できる。UWBの無線信号は、極めて狭いパルス幅を用いることできるので、従来よりも高精度で測距を実現できる。
【0035】
測距部105は、無線部106がデータ区間でデータを転送している間に、測距対象物から反射されてきたビーコンに基づいて距離を算出する。そのため、フレーム周期ごとに測距を実行できる利点がある。また、単一の物理層をデータの転送と測距とで共用することが可能となる。
【0036】
無線部106は、ビーコンの少なくとも一部として、0を超え、かつ、1ナノ秒以下となるパルス幅を有するパルス信号を送信する。このように超微細なパルス幅を採用することで、測距精度が格段に改善される。
【0037】
測距部105は、定期的に送信されるビーコンに基づいて決定された時間的な距離の変動量から測距対象物の相対速度を測定することもできる。Wireless USBにおいて65msごとにビーコンが送信されることを利用すれば、65msごとに取得される距離から簡単に相対速度を決定できる利点がある。
【0038】
なお、無線部106の構成は、IR−UWB方式、DS−UWB方式またはMB−OFDM−UWB方式だけでなく、他の方式が採用されてもよい。例えば、測距部105は、他の無線通信装置から送信されるビーコンの時間応答特性に基づいて、測距対象物である他の無線通信装置までの距離を決定してもよい。より具体的には、測距部105は、他の無線通信装置から送信されるOFDM方式のビーコンをフーリエ変換して得られる周波数応答特性をさらに逆フーリエ変換することで時間応答特性を取得することができる。また、測距部105は、他の無線通信装置から送信される直接拡散方式のビーコンを逆拡散することで時間応答特性を取得してもよい。
【0039】
いずれのUWB方式が採用されたとしても、本発明は、ビーコン区間において伝送されるビーコンを利用して測距ができるため、データの転送が妨害されることがない。すなわち、本発明では、単一の物理層をデータ転送機能と測距機能とで共用できるのである。
【0040】
[第2の実施形態]
図8は、実施形態に係るシステム構成を説明するための図である。本実施形態では、壁800により囲まれた室内において、デジタルカメラ801が使用されることを想定している。もちろん、このデジタルカメラ801の通信部には、第1の実施形態で説明した無線通信装置が採用されている。この壁800の材質は、Wireless USB規格に従って動作する無線通信装置が利用する電波を反射するものとする。
【0041】
デジタルカメラ801は、この無線通信装置を利用して、パーソナルコンピュータ802やデジタルテレビ803に画像データを転送できる。パーソナルコンピュータ802やデジタルテレビ803にも上述した無線通信装置が採用されているものとする。なお、804は、デジタルカメラ801を用いて撮影すべき被写体である。
【0042】
<デジタルカメラの構成>
図9は、実施形態に係るデジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。デジタルカメラ801は、いわゆる撮像装置であり、スチルカメラであってもよいし、ビデオカメラであってもよい。
【0043】
撮影レンズ901は、被写体の光学像を撮像素子902に結像する。撮像素子902は、光学像をアナログ信号に変換する。A/D変換器903は、撮像素子902から出力されるアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換する。画像処理回路907は、画像データに画像処理を行なう。DRAM905は、撮影された画像データ等を一時記憶すると共に各種処理でワーキングメモリとして使用される。不揮発性メモリ911は、画像データ等を記憶する。メモリ制御回路904は、DRAM905又は不揮発性メモリ911への画像データの出入力を制御する。
【0044】
D/A変換器908は、DRAM905又は不揮発性メモリ911に記憶された画像データをアナログ信号に変換する。画像表示部909は、この画像データを表示する。タイミング発生回路906は、撮像素子902、A/D変換器903及びD/A変換器908にクロック信号や制御信号を供給する。
【0045】
圧縮・伸長回路910は、画像データを圧縮・伸長する。システム制御回路912は、デジタルカメラ801の各ユニットを統括的に制御する。メモリカードコントローラ920は、メモリカード921への画像データの出入力を制御する。
【0046】
有線通信コントローラ922は、USBコネクタ923又はIEEE1394コネクタ924を介して接続された外部機器との通信を制御する。有線通信コントローラ922は、その内部に、USBコネクタ923に接続された不図示のUSBコントローラと、IEEE1394コネクタ924に接続された不図示のIEEE1394コントローラとを有する。
【0047】
無線通信コントローラ925は、第1の実施形態で説明した無線通信装置に相当する。すなわち、無線通信コントローラ925は、上述したデータ転送機能と測距機能とを備えている。なお、有線通信コントローラ922と無線通信コントローラ925とを一体構成としても構わない。
【0048】
<通信電力制御>
次に、測距結果を利用した通信電力制御について説明する。図8に示した事例で快適に無線通信を行なうためには、室内においてデジタルカメラ801から最も遠い位置に存在する通信相手と通信できれば十分である。図8では、図中の左下の隅が、最も遠い位置となる。左下の隅は、単なる例示に過ぎない。もし過剰な電力で信号を送信してしまうと、電力が無駄に消費されるだけでなく、また室外への電波の漏洩によって、他の機器の通信を妨害してしまうおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、室内においてデジタルカメラ801から最も遠い位置を測距によって特定し、特定された位置までの距離に応じて送信電力を制御するものとする。なお、マルチパスやシャドーイングの影響は無視できるものとする。
【0050】
図10は、実施形態に係る通信電力を好適に制御する方法の一例を示すフローチャートである。ステップS1001において、システム制御回路912は、ユーザにより無線通信モードに設定されると、不揮発性メモリ911から送信電力の初期値を読み出し、無線通信コントローラ925に設定する。無線通信コントローラ925のCPU101は、設定された送信電力に応じて無線部106から信号を送信する。ここでの通信は、例えば、デジタルテレビ803に対して撮影画像の転送等を行なうことである
ステップS1002において、CPU101は、ビーコン区間を利用して測距を開始する。ステップS1003において、無線通信コントローラ925のCPU101は、データ区間においてデータ転送を実行するのと並行し、距離の算出処理を実行する。なお、距離の決定方法は、算出以外の方法が採用されてもよい。本発明は、距離の算出方法によって制限を受けることはないからである。
【0051】
ステップS1004において、CPU101は、測距により得られた距離の情報に応じて、送信電力のレベルを決定する。例えば、CPU101は、取得された複数の距離のうち最も遠い距離を基準に送信電力レベルを決定する。なお、予め距離と送信電力レベルとの対応関係を登録したテーブルを不揮発性メモリ911に記憶しておいてもよい。なお、システム制御回路912は、CPU101から取得した各距離情報をDRMA905に時系列の距離情報として記憶してもよい。なお、システム制御回路912は、距離情報と、距離情報を取得した時刻の情報とをペアにしてDRAM905に記憶してもよい。距離情報と、取得時刻の情報とはテーブル化されてもよい。
【0052】
ステップS1005において、CPU101は、データ通信が終了したか否かを判定する。終了していなければ、ステップS1002戻る。一方、データ通信が終了したならば、本フローチャートを終了する。
【0053】
本実施形態によれば、室内800で好適に無線通信を行なうための送信電力制御を、データ通信と並行してリアルタイムで実行できる。これにより、電力消費を抑制できるだけでなく、室外への妨害を低減できる利点がある。
【0054】
例えば、デジタルカメラ801がデジタルテレビ803とデータ転送を行いながら被写体804に近づいていった場合などにも、上記処理は効果的である。すなわち、被写体804に近づくにつれデジタルカメラ801から最も遠い位置が変化する。例えば、デジタルテレビ803が設置されている室内の右上隅が最も遠い位置になることもある。よって、デジタルカメラ801が移動する場合であっても、無線通信コントローラ925は、リアルタイムで好適に送信電力を制御できる。
【0055】
[第3の実施形態]
本実施形態では、デジタルカメラ801が、被写体804を連続撮影しながら、PC802へとその撮影画像を転送する場合について説明する。
【0056】
一般に、システム制御回路912は、データ転送に際して、撮影画像データとその付属情報をExif形式のファイルとして転送することができる。Exif形式は例示に過ぎない。ここで、付属情報には、デジタルカメラ801から被写体804までの距離情報を含めることができる。
【0057】
一般には、AFや赤外線センサによって取得された距離情報が付属情報として利用されるが、ここでは、第1または第2の実施形態で説明した距離情報が利用されるものとする。
【0058】
図11は、実施形態に係る撮影処理の一例を示すフローチャートである。この撮影処理と、第1の実施形態で説明した距離情報の取得は並行して実行されるものとする。但し、取得される距離情報は、デジタルカメラ801から被写体804までの距離情報とする。被写体804までの距離情報を取得するには、例えば、アンテナ107の指向性を被写体804の方向に向けることが望ましい。実際には、取得された距離のうち最短距離が被写体までの距離となろう。通常、デジタルカメラ801と被写体804の間には障害物が存在しないことが多いからである。
【0059】
ステップS1101において、システム制御回路912は、撮影モードを連続撮影モードに設定する。ステップS1102において、シャッタボタンの押下指示に応答して被写体を連続撮影するとともに、その撮影時刻をタイマー等から取得する。
【0060】
ステップS1103において、システム制御回路91は、DRAM905に保持されている距離情報の取得時刻のうち、撮影時刻に最も近い取得時刻を特定し、特定された時刻に対応する距離情報をDRAM905から読み出す。
【0061】
ステップS1104において、システム制御回路912は、読み出した距離情報を、撮影画像の付属情報として付加し、メモリカード921に記憶する。また、撮影画像データと付属情報は、無線通信コントローラ925によって、PC802等に転送される(S711)。以上の処理を連続撮影が終了する(S1105)まで、システム制御回路912が繰り返す。
【0062】
以上説明したように本実施形態によれば、第1の実施形態等で説明した距離情報をExifの付属情報と利用することができる。すなわち、本実施形態では、撮影画像データを取得および転送しながら、距離情報も取得して一緒に転送することができる。
【0063】
したがって、被写体が連続して動く場合など、リアルタイムでデジタルカメラと被写体との距離が変動する場合においても、正確な距離情報を取得して転送することが可能となる。
【0064】
本実施形態では、主に静止画の転送について説明したが、本発明は、動画の撮影および転送に対して適用できることはいうまでもない。例えば、動画を構成する各フレーム単位で距離情報を付加して転送することも可能である。
【0065】
[他の実施形態]
以上、様々な実施形態を詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。例えば、撮像装置、スキャナ、プリンタ、PC、複写機、複合機及びファクシミリ装置の如くである。
【0066】
本発明は、前述した実施形態の各機能を実現するソフトウェアプログラムを、システム若しくは装置に対して直接または遠隔から供給し、そのシステム等に含まれるコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0067】
従って、本発明の機能・処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、上記機能・処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0068】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0069】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、記録媒体としては、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0070】
また、プログラムは、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページからダウンロードしてもよい。すなわち、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードしてもよいのである。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の構成要件となる場合がある。
【0071】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布してもよい。この場合、所定条件をクリアしたユーザにのみ、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報で暗号化されたプログラムを復号して実行し、プログラムをコンピュータにインストールしてもよい。
【0072】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現されてもよい。なお、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ってもよい。もちろん、この場合も、前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0073】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ってもよい。このようにして、前述した実施形態の機能が実現されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施形態に係る無線通信装置の一例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る無線部の一例を示す図である。
【図3】実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る他の無線部の一例を示す図である。
【図5】実施形態に係るWireless USBのフレームの構成例を示す図である。
【図6】実施形態に係る通信路の使用状態と無線通信装置の内部処理との時間的な関係を示す図である。
【図7】実施形態に係る測距方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係るシステム構成を説明するための図である。
【図9】実施形態に係るデジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態に係る通信電力を好適に制御する方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】実施形態に係る撮影処理の一例を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを転送するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置であって、
500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号を送受信する無線部と、
前記ビーコン区間を利用して、前記無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する測距部と
を含むことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記測距部は、前記ビーコンが前記無線部から送信されてから測距対象物により反射されて前記無線部により受信されるまでの時間を計時することで、前記無線通信装置から前記測距対象物までの距離を決定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記測距部は、前記無線部が前記データ区間でデータを送信している間に、前記測距対象物から反射されてきたビーコンに基づく距離の算出を実行することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線部は、前記ビーコンの少なくとも一部として、0を超え、かつ、1ナノ秒以下となるパルス幅を有するパルス信号を送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記測距部は、他の無線通信装置から送信されるビーコンの時間応答特性に基づいて、測距対象物である該他の無線通信装置までの距離を決定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記測距部は、他の無線通信装置から送信されるOFDM方式のビーコンをフーリエ変換して得られる周波数応答特性をさらに逆フーリエ変換することで前記時間応答特性を取得することを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記測距部は、他の無線通信装置から送信される直接拡散方式のビーコンを逆拡散することで前記時間応答特性を取得することを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項8】
定期的に送信される前記ビーコンに基づいて決定された時間的な距離の変動量から前記測距対象物の相対速度を測定する速度測定部をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記無線通信装置が位置する室内において取得された距離に応じて、前記無線部から送信される無線信号の送信電力を制御する送信電力制御部をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項10】
被写体の画像を撮像する撮像装置であって、
請求項1ないし9のいずれかに記載された無線通信装置と、
前記無線通信装置により取得された被写体までの距離の情報と、該被写体の画像データとを該無線通信装置を介して送信するよう制御する制御部と
を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
測距対象物までの距離を測距する測距方法であって、
少なくともデータ区間とビーコン区間とを含むフレームを使用して、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号として送信するステップと、
前記ビーコン区間を利用して測距対象物までの距離を測距するステップと
を含むことを特徴とする測距方法。
【請求項1】
データを転送するためのデータ区間とビーコンを送信するためのビーコン区間とを少なくとも含むフレームを用いて通信する無線通信装置であって、
500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号を送受信する無線部と、
前記ビーコン区間を利用して、前記無線通信装置から測距対象物までの距離を測距する測距部と
を含むことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記測距部は、前記ビーコンが前記無線部から送信されてから測距対象物により反射されて前記無線部により受信されるまでの時間を計時することで、前記無線通信装置から前記測距対象物までの距離を決定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記測距部は、前記無線部が前記データ区間でデータを送信している間に、前記測距対象物から反射されてきたビーコンに基づく距離の算出を実行することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線部は、前記ビーコンの少なくとも一部として、0を超え、かつ、1ナノ秒以下となるパルス幅を有するパルス信号を送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記測距部は、他の無線通信装置から送信されるビーコンの時間応答特性に基づいて、測距対象物である該他の無線通信装置までの距離を決定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記測距部は、他の無線通信装置から送信されるOFDM方式のビーコンをフーリエ変換して得られる周波数応答特性をさらに逆フーリエ変換することで前記時間応答特性を取得することを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記測距部は、他の無線通信装置から送信される直接拡散方式のビーコンを逆拡散することで前記時間応答特性を取得することを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項8】
定期的に送信される前記ビーコンに基づいて決定された時間的な距離の変動量から前記測距対象物の相対速度を測定する速度測定部をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記無線通信装置が位置する室内において取得された距離に応じて、前記無線部から送信される無線信号の送信電力を制御する送信電力制御部をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項10】
被写体の画像を撮像する撮像装置であって、
請求項1ないし9のいずれかに記載された無線通信装置と、
前記無線通信装置により取得された被写体までの距離の情報と、該被写体の画像データとを該無線通信装置を介して送信するよう制御する制御部と
を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
測距対象物までの距離を測距する測距方法であって、
少なくともデータ区間とビーコン区間とを含むフレームを使用して、500MHz以上の帯域幅または中心周波数の20%以上となる帯域幅を有する無線信号として送信するステップと、
前記ビーコン区間を利用して測距対象物までの距離を測距するステップと
を含むことを特徴とする測距方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−174244(P2007−174244A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368683(P2005−368683)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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