無線電話装置
【課題】 従来の無線電話装置の自動発呼方法では,単に電界強度の瞬時レベルを二値判別して通信の可否を判断しているため,一瞬でも電界強度が閾値を超えると自動発呼処理が実行されてしまい,発呼してもすぐに回線が切断されてしまうなど,通信コスト,作業効率等のあらゆる面で無駄が多い。
【解決手段】 基地局から出力される制御信号中に含まれる基地局IDを検出し,該基地局IDの変化周期に基づいて移動状態を推定する。また,上記推定された移動状態と,所定時間内における電界強度の平均と分散とに基づいて,基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間(接続時間)を予測し,例えば送信データの送信にかかる時間が上記接続時間よりも短ければ自動的に発呼処理を行うようにする。これにより,通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性が高い場合に限って発呼が行われるため,極めて効率的なデータ通信が可能となる。
【解決手段】 基地局から出力される制御信号中に含まれる基地局IDを検出し,該基地局IDの変化周期に基づいて移動状態を推定する。また,上記推定された移動状態と,所定時間内における電界強度の平均と分散とに基づいて,基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間(接続時間)を予測し,例えば送信データの送信にかかる時間が上記接続時間よりも短ければ自動的に発呼処理を行うようにする。これにより,通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性が高い場合に限って発呼が行われるため,極めて効率的なデータ通信が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,有線電話に比べて通信品質の不安定な無線電話装置に係り,例えば通信品質が良好な時にデータ通信を自動的に行わせることができる無線電話装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディジタル携帯電話(PDC),簡易型携帯電話(PHS)などの無線電話や携帯型情報端末(例えばミニノート型パソコン)等の急激な普及により,出先や移動中の電車の中などでデータ通信を行う,いわゆるモバイル通信が盛んに行われるようになってきた。しかしながら,PHS等の無線電話を用いたデータ通信は,有線によるデータ通信と比べて通信品質が不安定であり,移動による環境条件の変化に伴って通信品質が大きく変化したり,或いは通信ができたりできなかったりといった様々な状態に遷移するという欠点があり,有線によるデータ通信ほど容易ではない。このような通信品質の不安定性に対し,従来はユーザが電話機に表示される通信状態のレベルを示すいわゆる「アンテナ本数」などの簡易的な情報を参照し,ユーザ自身が通信可能か否かを判断し,通信可能であれば電話番号入力や認証処理に対する入力や発呼作業を手動で行っていた。また,通信中に回線が切断した場合には,通信可能エリアに移動したところで再度手動による発呼作業を行っていた。このように,従来はユーザに対して極めて煩雑な作業が要求されていた。このようなことから,通信可能エリア内に入った時に予め設定された手順に従って全て自動でデータ通信を行うことのできる電話装置の実現が期待されていた。上記のような要請に応えるべく,例えば特開平7−107548号公報,特開平8−340308号公報等には,基地局から発せられている制御信号の電界強度を検出手段により監視させると共に,この電界強度が所定のレベル以上の値をとるとき,通信品質が良いと判断して自動的に発呼処理を実行させる技術が提案されている。これにより,通信品質が良い場合に限って発呼処理を自動実行させることが可能となり,煩わしい手続を手動で行うことなく,効率的にデータ通信を行うことが可能になるとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記のような自動発呼方法では,単に電界強度の瞬時レベルを二値判別して通信の可否を判断しているため,一瞬でも電界強度が閾値を超えると自動発呼処理が実行されてしまうという問題点があった。PHS等の無線電話では,通信品質は劣悪な状態から良好な状態へ,またその逆へと常に変動しているため,上記のような発呼方法では,発呼してもすぐに回線が切断されてしまい,一度送りかけたデータを再度送信しなければならないなど,通信コスト,作業効率等のあらゆる面で無駄が多い。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,無駄のない効率的なデータ通信を行うことが可能な無線電話装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために第1の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,上記基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間を予測する接続時間予測手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されている。例えば,上記接続時間予測手段で予測された接続時間に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,所定の送信データの送信に必要な時間が上記接続時間予測手段で予測された接続時間以下である場合に上記基地局との接続を行うようにすれば,1回の接続で1つの送信データの送信が完了できる,即ち最も通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性が高い場合に限って発呼が行われるため,極めて効率的なデータ通信が可能となる。また,上記接続時間予測手段は,例えば,統計量算出手段によって基地局から送出される制御信号の所定時間内の電界強度の所定の統計量(例えば平均,分散など)を求め,得られた統計量に基づいて上記接続時間を予測するように構成できる。具体的には,上記統計量を予め設定されたテーブル(例えば図4)に適用したり,或いは上記統計量を入力層,接続時間を出力層とするニューラルネットワークを用いることによって,上記接続時間を予測することが考えられる。更に,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備し,上記接続時間予測手段が,上記推定された移動状態に基づいて上述のような方法で接続時間を予測するように構成すれば,更に高精度の接続時間予測が可能となり,データ通信の効率を更に高めることができる。
【0005】また,上記目的を達成するために第2の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されている。例えば,上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,上記移動状態が所定の状態にある場合にのみ上記基地局との接続を行うようにすれば,連続的な区間で判断して通信状態が良好な場合にのみ発呼を行うことができるため,無駄の少ない効率的なデータ通信が可能となる。また,上記第1の発明,及び第2の発明に係る上記移動状態推定手段は,例えば,基地局ID取得手段によって取得された基地局IDの所定時間内における変化状態に基づいて上記移動状態を推定するように構成できる。或いは,統計量算出手段によって基地局から送出される制御信号の所定時間内の電界強度の所定の統計量(例えば平均,分散など)を求め,得られた統計量に基づいて上記移動状態を推定するように構成してもよい。具体的には,上記統計量を予め設定されたテーブル(例えば図8上図)に適用したり,或いは上記統計量を入力層,接続時間を出力層とするニューラルネットワークを用いることによって,上記移動状態を予測することが考えられる。また,上記移動状態推定手段は,当該無線電話装置の移動速度を検出する速度検出手段からの出力に基づいて上記移動状態を推定するように構成することもできる。上記速度検出手段としては,例えばGPSや加速度センサを具備するものなどが考えられる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して,本発明の実施の形態及び実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,図1は本発明の実施の形態に係る無線電話装置A1の概略構成を示すブロック図,図2は上記無線電話装置A1による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図3は基地局IDの変化周期に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図,図4は電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図,図5は図4に示す接続時間予測テーブルを用いた二値判別による接続時間判別方法の説明図,図6は実施例1−2に係る無線電話装置A2の概略構成を示すブロック図,図7は上記無線電話装置A2による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図8は電界強度の平均,分散に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図,図9は基地局IDの変化周期に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図,図10は実施例2−1に係る無線電話装置A3の概略構成を示すブロック図,図11は上記無線電話装置A3による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図12は実施例2−2に係る無線電話装置A4の概略構成を示すブロック図,図13は上記無線電話装置A4による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図14はニューラルネットワークを用いた接続時間予測の説明図である。本実施の形態では,上記第1の発明の一実施例について説明する。
【0007】本実施の形態に係る無線電話装置A1は,図1に示す如く,基地局Pを介して無線通信を行うPHS等の電話機1と,該電話機1に接続されたワイヤレスエージェント部WAとで構成されている。更に,上記ワイヤレスエージェント部WAは,データ通信制御部2,アプリケーション3,電界強度検出部4(電界強度検出手段),基地局ID検出部5(基地局ID取得手段),移動状態推定部6(移動状態推定手段),接続時間予測部7(接続時間予測手段及び統計量算出手段),及びリンク判定部8で構成されている。尚,上記データ通信制御部2及びリンク判定部8が,通信制御手段の一例である。上記ワイヤレスエージェント部WAは,例えば,上記構成各部の処理手順を記述したプログラムが搭載されたミニノート型パソコン等の携帯情報機器であり,上記電話機1とは例えばPCカード等のインターフェイスを介して接続される。尚,上記ワイヤレスエージェント部WAの一部若しくは全てを上記電話機1に内蔵してもよく,逆に上記ワイヤレスエージェント部WAを構成する携帯情報機器内に電話機1の機能を内蔵してもよい。
【0008】上記電話機1は,従来からの一般的な通信機能の他に,上記ワイヤレスエージェント部WAからの問い合わせに対し,上記基地局Pから受信した制御信号の電界強度や,上記制御信号中に含まれる上記基地局のID情報を返答する機能を有している。上記データ通信制御部2は,上記電話機1との間のデータのやり取りをはじめ,上記ワイヤレスエージェント部WAによるデータ通信を集中的に制御する。上記アプリケーション3は,例えば電子メールプログラムなど,通信を伴う処理を行うアプリケーションプログラムであり,上記データ通信制御部2に対して任意のデータの送信要求を出力する。上記電界強度検出部4は,上記データ通信制御部2を介して上記電話機1に対して上記電界強度の要求信号を出力し,その返答として出力される上記電界強度を受け取って所定時間分蓄積する。上記基地局ID検出部5は,上記データ通信制御部2を介して上記電話機1に対して上記基地局IDの要求信号を出力し,その返答として出力される上記基地局IDを受け取って所定時間分蓄積する。上記移動状態推定部6は,上記基地局ID検出部5から上記基地局IDを受け取って蓄積し,これに基づいて当該無線電話装置A1の移動速度を推定する。上記接続時間予測部7は,上記電界強度検出部4から上記電界強度の情報を受け取って蓄積し,これと上記移動状態推定部6で推定された移動速度とに基づいて,今基地局Pとの間で接続を行った場合にその接続が継続できる時間(接続時間という)を予測する。上記リンク判定部8は,上記接続時間予測部7で予測された接続時間に基づいて,上記アプリケーション3から上記データ通信制御部2に対して送信要求のあったデータを送信するための発呼を行うか否かを判断し,その結果を上記データ通信制御部2に出力する。
【0009】続いて,以上のような構成を有する無線電話装置A1による自動発呼処理の手順を,図2に示すフローチャートに従って説明する。尚,前提条件として,アプリケーション3からデータ通信制御部2に対して,ある1又は複数のデータの送信要求が出されており,所定の優先順位に従って送信待ち状態にあるものとする。まず,基地局ID検出部5と電界強度検出部4は,電話機1からそれぞれ基地局IDと電界強度の情報を逐次受け取り,蓄積する(ステップS1)。上記基地局IDと上記電界強度とが所定時間分(例えば,基地局IDで60秒間,電界強度で10秒間程度)継続して蓄積されると,続いて,移動状態推定部6により,上記基地局ID検出部5に蓄積された所定時間分の基地局IDの変化周期ωi (iは現在時刻)が例えば次式により計算される(ステップS2→S3)。
【数1】
そして,得られた変化周期と,予め用意された基地局IDの変化周期と移動速度の対応テーブルとを用いて,現在の移動速度が推定される(ステップS4)。Tを60(秒)としたときの上記対応テーブルの一例を図3(上図)に示す。同テーブルに示すように,基地局IDの変化周期が短いほど,即ち短い周期で次々と相手の基地局が切り替わるほど,移動速度が速いと推定できる。また,上記ステップS3,S4と並行して,接続時間予測部7により,上記電界強度検出部4に蓄積された所定時間分の電界強度の平均mi と分散σi (iは現在時刻)とが次式により計算される(ステップS5)。
【数2】
続いて,上記接続時間予測部7において,上記移動状態推定部6で推定された移動速度に基づいて接続時間予測用のテーブルが選択され(ステップS6),このテーブルと上記算出された電界強度の平均,分散とに基づいて接続時間が予測される(ステップS7)。
【0010】上記移動速度毎に用意された上記各テーブルは,例えば図4に示すように,電界強度の平均,分散の2軸グラフであり,この2次元空間が,{接続時間0秒,10秒,20秒,30秒}の4領域に分けられており,上記電界強度の平均,分散と接続時間とを対応付けるものとなっている。このように,接続時間予測に電界強度の平均と分散を用いるのは,例えば平均が同じでも分散が小さい方が通信状態が安定していると考えられ,両者を考慮することによってより正確な接続時間予測が可能となるからである。また,電界強度の平均と分散が同じであっても,移動速度が異なれば予測される接続時間も異なると考えられるため,上記のように移動速度毎に異なるテーブルを用いることによって更に正確な接続時間予測が可能となる。ここで,図4に示すような接続時間予測用テーブルを用いた接続時間の判別方法の具体例として,二値判別による方法を簡単に説明する。まず,図4に示す3本の判別曲線のうち,0秒の領域と10秒の領域とを分ける曲線を取り出し,その曲線上に判別点をとる(図5参照)。そして,上記判別点を所定の方向に移動させながら,測定値(電界強度の平均,分散)が次の条件を満たしているか否かを判定する。
測定値の平均 ≧ 判別点の示す平均且つ測定値の分散 ≦ 判別点の示す分散上記判別点が上記曲線上のいずれかの位置において上記条件を満たせば,上記測定値は上記曲線の右側の領域(ここでは10秒以上の領域)にあると判定できる。逆に,上記判別点が上記曲線上の全ての位置において上記条件を満たさなければ,上記測定値は上記曲線の左側の領域(ここでは10秒未満の領域)にあると判定できる。以上の処理を,上記測定値が存在する領域を特定できるまで上記各判別曲線について順次行い,その領域の属する接続時間を予測接続時間とする。以上のような処理により接続時間が予測されると,続いてリンク判定部8において,上記接続時間予測部7で予測された接続時間と,送信待ち状態にある送信データの送信に必要な時間とが比較され,例えば上記接続時間が上記送信データの送信に必要な時間を上回っていれば,データ通信制御部2に対して発呼処理の開始が指示される(ステップS8)。データ通信制御部2は,上記リンク判定部8からの発呼開始要求に基づいて,予め設定された所定の手順に従って自動的に発呼処理を行う(ステップS9)。
【0011】以上説明したように,本実施の形態に係る無線電話装置A1では,電界強度の所定時間内の平均と分散に基づいて接続時間が予測され,それに基づいて発呼処理を行うか否かが判断されるため,通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性の高い場合に限って発呼を行うことができ,極めて効率的なデータ通信が可能となる。また,上記電界強度の平均と分散とに基づく接続時間予測を,基地局IDの変化周期に基づいて推定された移動状態毎に例えば異なるテーブルを用いて行っているため,上記接続時間予測の精度は極めて高くなる。
【0012】
【実施例】上記実施の形態では,上記第1の発明の一実施例,即ち基地局IDを用いて移動状態(移動速度)推定を行い,更に推定された移動速度と電界強度の平均,分散とを用いて接続時間予測を行い,これに基づいて自動発呼処理を行う例を説明したが,上記第1の発明については次のような変形例も考えられる。
【0013】[移動状態推定を省略(実施例1−1)]移動状態推定を経ることなく,図3の下図に示す接続時間予測テーブルをただ1つ用いて接続時間予測を行うこともできる。この場合,図1に示す構成図では基地局ID検出部5と移動状態推定部6とが省略され,図2に示すフローチャートではステップS3〜S6が省略される。勿論,この例の場合には移動状態が考慮されないため,上記実施の形態の例に比べると接続時間予測の精度は多少なりとも低下することに注意しなければならない。
【0014】[電界強度の平均と分散を用いた移動状態推定(実施例1−2)]上記移動状態推定部6による移動状態(移動速度)推定を,電界強度検出部4で検出された電界強度に基づいて行うこともできる。この場合の無線電話装置A2の構成例を図6に,自動発呼処理のフローチャートを図7に示す。本無線電話装置A2の自動発呼手順(図7)において,図2に示す手順と異なるのは,ステップS3aにおいて電界強度の平均と分散(ステップS5における平均と分散よりも長い区間(例えば60秒間)での値)を求め,ステップS4aで上記電界強度の平均と分散に基づいて移動速度を推定する部分のみである。ここで,ステップS4aにおける移動速度の推定は,例えば図8の上図に示すような移動速度推定テーブルを用いて行われる。この移動速度推定テーブルは,長区間平均と長区間分散の2軸グラフであり,この2次元空間が,{静止,低速移動,中速移動,高速移動}の4領域に分けられており,上記電界強度の平均,分散と移動速度とを対応付けるものとなっている。上記移動速度推定テーブルを用いて移動速度が推定されると,その移動速度に基づいて接続時間予測用のテーブルが選択され(ステップS6),このテーブルと上記算出された電界強度の平均,分散とに基づいて接続時間が予測される(ステップS7)が,これ以降は既に説明した図2に示す手順と同様である。
【0015】[基地局IDの変化周期を用いた接続時間予測(実施例1−3)]上記実施の形態,及び実施例1−1,1−2では,接続時間予測部7による接続時間予測に電界強度の平均と分散とを用いた例を示したが,これら全ての例において接続時間予測に基地局IDの変化周期を用いることもできる。即ち,図2,図7のステップS5において基地局IDの変化周期を算出すると共に,ステップS6,S7において用いられる接続時間予測用テーブルとして,図4に示すようなテーブルに代えて,例えば図9に示すような,基地局IDの変化周期と接続時間とを対応付けるテーブルを用いるようにしてもよい。
【0016】以上説明した第1の発明では,接続時間予測を行い,その結果に基づいて自動発呼を行うようにした。しかしながら,接続時間の予測まで行わなくても,移動状態の推定結果のみに基づく簡易的な判断で自動発呼を行うようにする(第2の発明)ことも可能である。以下,このような考えに基づく上記第2の発明についての実施例を示す。
【0017】[基地局IDの変化周期を用いた移動状態推定(実施例2−1)]まず,移動状態推定に基地局IDの変化周期を用いた例を示す。本実施例に係る無線電話装置A3の構成を図10に,自動発呼処理のフローチャートを図11に示す。これは,上記実施の形態に係る無線電話装置A1の構成(図1)及びフローチャート(図2)から,接続時間予測に係る部分を省略したものとなる。図11に示す処理手順において,ステップS3で移動状態推定部6により基地局IDの変化周期が計算され,ステップS4で上記変化周期と移動速度推定テーブル(図3上図参照)とを用いて現在の移動速度が推定されると,続くステップS8aでは,リンク判定部8aにより,例えば上記移動速度と所定のルールとに基づいて発呼を行うか否かが判断される。ここで,上記所定のルールとは,例えば次のようなものが考えられる。
ルール1:高速移動中は発呼しない。
ルール2:中速移動中に待ちデータの緊急度が2以上であれば発呼する。
ルール3:低速移動中に待ちデータの緊急度が4以上であれば発呼する。
ルール4:静止中に待ちデータがある場合は発呼する。
この方法により,接続時間の予測を行うことなく,移動状態の推定結果のみに基づいて簡易的に発呼の判断を行うことが可能である。
【0018】[電界強度の平均と分散を用いた移動状態推定(実施例2−2)]続いて,移動状態推定に電界強度の平均と分散を用いた例を示す。本実施例に係る無線電話装置A4の構成を図12に,自動発呼処理のフローチャートを図13に示す。これは,上記実施例1−2に係る無線電話装置A2の構成(図6)及びフローチャート(図7)から,接続時間予測に係る部分を省略したものとなる。図13に示す処理手順において,ステップS3aで移動状態推定部6により電界強度の平均と分散が計算され,ステップS4aで上記電界強度の平均,分散と移動速度推定テーブル(図8上図参照)とを用いて現在の移動速度が推定されると,続くステップS8aでは,リンク判定部8aにより,例えば上記移動速度と所定のルール(上記実施例2−2と同様)とに基づいて発呼を行うか否かが判断される。この方法でも,上記実施例2−1と同様,接続時間の予測を行うことなく,移動状態の推定結果のみに基づいて簡易的に発呼の判断を行うことが可能である。
【0019】以上説明した第1,第2の発明に係る実施例に関し,更に次のような変形例も考えられる。まず,移動状態推定においては,上述したような基地局IDの変化周期等を用いる代わりに,加速度センサやGPS等の各種センサを用いることも可能である。例えば,上記加速度センサを用いる場合には,加速度センサから出力される加速度値を一定時間蓄積し,積分することによってその区間の移動速度が推定できる。またGPSを用いる場合には,GPSから出力される位置情報を一定時間蓄積し,その間に移動した距離を求めることでその区間の移動速度が推定できる。また,電界強度に関する所定の統計量の例として,平均と分散を用いた例を示したが,上記統計量としてはこれらに限られるものではない。例えば,分散に代えて標準偏差を用いても同様の結果が得られることは言うまでもない。
【0020】また,電界強度の統計量(例えば平均と分散)を用いた接続時間予測,若しくは移動状態推定においては,上述したようなテーブル(図4,図8)を用いる方法以外に,例えば上記統計量を入力層とし,接続時間(若しくは移動状態)を出力層とするニューラルネットワークを用いる方法(図14参照)なども考えられる。例えば,図14において,電界強度の平均が25.7,分散が7.6であったとすると,入力ベクトルXは例えば次のようになる。
X=(0,0,0,0,0,0,0,0,1,…,0,1,0,0,…)
そして,上記入力ベクトルXに対して例えば出力ベクトルYが,Y=(0,1,0,0)
として得られたとすると,接続時間予測値は10秒となる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように,第1の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,上記基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間を予測する接続時間予測手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されているため,例えば,上記接続時間予測手段で予測された接続時間に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,所定の送信データの送信に必要な時間が上記接続時間予測手段で予測された接続時間以下である場合に上記基地局との接続を行うようにすれば,1回の接続で1つの送信データの送信が完了できる,即ち最も通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性が高い場合に限って発呼が行われるため,極めて効率的なデータ通信が可能となる。また,上記接続時間予測手段は,例えば,統計量算出手段によって基地局から送出される制御信号の所定時間内の電界強度の所定の統計量を求め,得られた統計量に基づいて上記接続時間を予測するように構成できるが,上記所定の統計量として例えば平均と分散を用いれば,極めて精度の高い接続時間予測が可能である。更に,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備し,上記接続時間予測手段が,上記推定された移動状態に基づいて上述のような方法で接続時間を予測するように構成すれば,更に高精度の接続時間予測が可能となり,データ通信の効率を更に高めることができる。
【0022】また,第2の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されているため,例えば,上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,上記移動状態が所定の状態にある場合にのみ上記基地局との接続を行うようにすれば,連続的な区間で判断して通信状態が良好な場合にのみ発呼を行うことができ,無駄の少ない効率的なデータ通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る無線電話装置A1の概略構成を示すブロック図。
【図2】 上記無線電話装置A1による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図3】 基地局IDの変化周期に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図。
【図4】 電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図。
【図5】 図4に示す接続時間予測テーブルを用いた二値判別による接続時間判別方法の説明図。
【図6】 実施例1−2に係る無線電話装置A2の概略構成を示すブロック図。
【図7】 上記無線電話装置A2による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図8】 電界強度の平均,分散に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図。
【図9】 基地局IDの変化周期に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図。
【図10】 実施例2−1に係る無線電話装置A3の概略構成を示すブロック図。
【図11】 上記無線電話装置A3による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図12】 実施例2−2に係る無線電話装置A4の概略構成を示すブロック図。
【図13】 上記無線電話装置A4による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図14】 ニューラルネットワークを用いた接続時間予測の説明図。
【符号の説明】
1…電話機
2…データ通信制御部(通信制御手段の一部を構成)
3…アプリケーション
4…電界強度検出部(電界強度検出手段)
5…基地局ID検出部(基地局ID取得手段)
6,6a…移動状態推定部(移動状態推定手段)
7…接続時間予測部(統計量算出手段及び接続時間予測手段)
8,8a…リンク判定部(通信制御手段の一部を構成)
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,有線電話に比べて通信品質の不安定な無線電話装置に係り,例えば通信品質が良好な時にデータ通信を自動的に行わせることができる無線電話装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディジタル携帯電話(PDC),簡易型携帯電話(PHS)などの無線電話や携帯型情報端末(例えばミニノート型パソコン)等の急激な普及により,出先や移動中の電車の中などでデータ通信を行う,いわゆるモバイル通信が盛んに行われるようになってきた。しかしながら,PHS等の無線電話を用いたデータ通信は,有線によるデータ通信と比べて通信品質が不安定であり,移動による環境条件の変化に伴って通信品質が大きく変化したり,或いは通信ができたりできなかったりといった様々な状態に遷移するという欠点があり,有線によるデータ通信ほど容易ではない。このような通信品質の不安定性に対し,従来はユーザが電話機に表示される通信状態のレベルを示すいわゆる「アンテナ本数」などの簡易的な情報を参照し,ユーザ自身が通信可能か否かを判断し,通信可能であれば電話番号入力や認証処理に対する入力や発呼作業を手動で行っていた。また,通信中に回線が切断した場合には,通信可能エリアに移動したところで再度手動による発呼作業を行っていた。このように,従来はユーザに対して極めて煩雑な作業が要求されていた。このようなことから,通信可能エリア内に入った時に予め設定された手順に従って全て自動でデータ通信を行うことのできる電話装置の実現が期待されていた。上記のような要請に応えるべく,例えば特開平7−107548号公報,特開平8−340308号公報等には,基地局から発せられている制御信号の電界強度を検出手段により監視させると共に,この電界強度が所定のレベル以上の値をとるとき,通信品質が良いと判断して自動的に発呼処理を実行させる技術が提案されている。これにより,通信品質が良い場合に限って発呼処理を自動実行させることが可能となり,煩わしい手続を手動で行うことなく,効率的にデータ通信を行うことが可能になるとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記のような自動発呼方法では,単に電界強度の瞬時レベルを二値判別して通信の可否を判断しているため,一瞬でも電界強度が閾値を超えると自動発呼処理が実行されてしまうという問題点があった。PHS等の無線電話では,通信品質は劣悪な状態から良好な状態へ,またその逆へと常に変動しているため,上記のような発呼方法では,発呼してもすぐに回線が切断されてしまい,一度送りかけたデータを再度送信しなければならないなど,通信コスト,作業効率等のあらゆる面で無駄が多い。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,無駄のない効率的なデータ通信を行うことが可能な無線電話装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために第1の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,上記基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間を予測する接続時間予測手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されている。例えば,上記接続時間予測手段で予測された接続時間に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,所定の送信データの送信に必要な時間が上記接続時間予測手段で予測された接続時間以下である場合に上記基地局との接続を行うようにすれば,1回の接続で1つの送信データの送信が完了できる,即ち最も通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性が高い場合に限って発呼が行われるため,極めて効率的なデータ通信が可能となる。また,上記接続時間予測手段は,例えば,統計量算出手段によって基地局から送出される制御信号の所定時間内の電界強度の所定の統計量(例えば平均,分散など)を求め,得られた統計量に基づいて上記接続時間を予測するように構成できる。具体的には,上記統計量を予め設定されたテーブル(例えば図4)に適用したり,或いは上記統計量を入力層,接続時間を出力層とするニューラルネットワークを用いることによって,上記接続時間を予測することが考えられる。更に,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備し,上記接続時間予測手段が,上記推定された移動状態に基づいて上述のような方法で接続時間を予測するように構成すれば,更に高精度の接続時間予測が可能となり,データ通信の効率を更に高めることができる。
【0005】また,上記目的を達成するために第2の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されている。例えば,上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,上記移動状態が所定の状態にある場合にのみ上記基地局との接続を行うようにすれば,連続的な区間で判断して通信状態が良好な場合にのみ発呼を行うことができるため,無駄の少ない効率的なデータ通信が可能となる。また,上記第1の発明,及び第2の発明に係る上記移動状態推定手段は,例えば,基地局ID取得手段によって取得された基地局IDの所定時間内における変化状態に基づいて上記移動状態を推定するように構成できる。或いは,統計量算出手段によって基地局から送出される制御信号の所定時間内の電界強度の所定の統計量(例えば平均,分散など)を求め,得られた統計量に基づいて上記移動状態を推定するように構成してもよい。具体的には,上記統計量を予め設定されたテーブル(例えば図8上図)に適用したり,或いは上記統計量を入力層,接続時間を出力層とするニューラルネットワークを用いることによって,上記移動状態を予測することが考えられる。また,上記移動状態推定手段は,当該無線電話装置の移動速度を検出する速度検出手段からの出力に基づいて上記移動状態を推定するように構成することもできる。上記速度検出手段としては,例えばGPSや加速度センサを具備するものなどが考えられる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して,本発明の実施の形態及び実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,図1は本発明の実施の形態に係る無線電話装置A1の概略構成を示すブロック図,図2は上記無線電話装置A1による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図3は基地局IDの変化周期に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図,図4は電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図,図5は図4に示す接続時間予測テーブルを用いた二値判別による接続時間判別方法の説明図,図6は実施例1−2に係る無線電話装置A2の概略構成を示すブロック図,図7は上記無線電話装置A2による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図8は電界強度の平均,分散に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図,図9は基地局IDの変化周期に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図,図10は実施例2−1に係る無線電話装置A3の概略構成を示すブロック図,図11は上記無線電話装置A3による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図12は実施例2−2に係る無線電話装置A4の概略構成を示すブロック図,図13は上記無線電話装置A4による自動発呼手順の一例を示すフローチャート,図14はニューラルネットワークを用いた接続時間予測の説明図である。本実施の形態では,上記第1の発明の一実施例について説明する。
【0007】本実施の形態に係る無線電話装置A1は,図1に示す如く,基地局Pを介して無線通信を行うPHS等の電話機1と,該電話機1に接続されたワイヤレスエージェント部WAとで構成されている。更に,上記ワイヤレスエージェント部WAは,データ通信制御部2,アプリケーション3,電界強度検出部4(電界強度検出手段),基地局ID検出部5(基地局ID取得手段),移動状態推定部6(移動状態推定手段),接続時間予測部7(接続時間予測手段及び統計量算出手段),及びリンク判定部8で構成されている。尚,上記データ通信制御部2及びリンク判定部8が,通信制御手段の一例である。上記ワイヤレスエージェント部WAは,例えば,上記構成各部の処理手順を記述したプログラムが搭載されたミニノート型パソコン等の携帯情報機器であり,上記電話機1とは例えばPCカード等のインターフェイスを介して接続される。尚,上記ワイヤレスエージェント部WAの一部若しくは全てを上記電話機1に内蔵してもよく,逆に上記ワイヤレスエージェント部WAを構成する携帯情報機器内に電話機1の機能を内蔵してもよい。
【0008】上記電話機1は,従来からの一般的な通信機能の他に,上記ワイヤレスエージェント部WAからの問い合わせに対し,上記基地局Pから受信した制御信号の電界強度や,上記制御信号中に含まれる上記基地局のID情報を返答する機能を有している。上記データ通信制御部2は,上記電話機1との間のデータのやり取りをはじめ,上記ワイヤレスエージェント部WAによるデータ通信を集中的に制御する。上記アプリケーション3は,例えば電子メールプログラムなど,通信を伴う処理を行うアプリケーションプログラムであり,上記データ通信制御部2に対して任意のデータの送信要求を出力する。上記電界強度検出部4は,上記データ通信制御部2を介して上記電話機1に対して上記電界強度の要求信号を出力し,その返答として出力される上記電界強度を受け取って所定時間分蓄積する。上記基地局ID検出部5は,上記データ通信制御部2を介して上記電話機1に対して上記基地局IDの要求信号を出力し,その返答として出力される上記基地局IDを受け取って所定時間分蓄積する。上記移動状態推定部6は,上記基地局ID検出部5から上記基地局IDを受け取って蓄積し,これに基づいて当該無線電話装置A1の移動速度を推定する。上記接続時間予測部7は,上記電界強度検出部4から上記電界強度の情報を受け取って蓄積し,これと上記移動状態推定部6で推定された移動速度とに基づいて,今基地局Pとの間で接続を行った場合にその接続が継続できる時間(接続時間という)を予測する。上記リンク判定部8は,上記接続時間予測部7で予測された接続時間に基づいて,上記アプリケーション3から上記データ通信制御部2に対して送信要求のあったデータを送信するための発呼を行うか否かを判断し,その結果を上記データ通信制御部2に出力する。
【0009】続いて,以上のような構成を有する無線電話装置A1による自動発呼処理の手順を,図2に示すフローチャートに従って説明する。尚,前提条件として,アプリケーション3からデータ通信制御部2に対して,ある1又は複数のデータの送信要求が出されており,所定の優先順位に従って送信待ち状態にあるものとする。まず,基地局ID検出部5と電界強度検出部4は,電話機1からそれぞれ基地局IDと電界強度の情報を逐次受け取り,蓄積する(ステップS1)。上記基地局IDと上記電界強度とが所定時間分(例えば,基地局IDで60秒間,電界強度で10秒間程度)継続して蓄積されると,続いて,移動状態推定部6により,上記基地局ID検出部5に蓄積された所定時間分の基地局IDの変化周期ωi (iは現在時刻)が例えば次式により計算される(ステップS2→S3)。
【数1】
そして,得られた変化周期と,予め用意された基地局IDの変化周期と移動速度の対応テーブルとを用いて,現在の移動速度が推定される(ステップS4)。Tを60(秒)としたときの上記対応テーブルの一例を図3(上図)に示す。同テーブルに示すように,基地局IDの変化周期が短いほど,即ち短い周期で次々と相手の基地局が切り替わるほど,移動速度が速いと推定できる。また,上記ステップS3,S4と並行して,接続時間予測部7により,上記電界強度検出部4に蓄積された所定時間分の電界強度の平均mi と分散σi (iは現在時刻)とが次式により計算される(ステップS5)。
【数2】
続いて,上記接続時間予測部7において,上記移動状態推定部6で推定された移動速度に基づいて接続時間予測用のテーブルが選択され(ステップS6),このテーブルと上記算出された電界強度の平均,分散とに基づいて接続時間が予測される(ステップS7)。
【0010】上記移動速度毎に用意された上記各テーブルは,例えば図4に示すように,電界強度の平均,分散の2軸グラフであり,この2次元空間が,{接続時間0秒,10秒,20秒,30秒}の4領域に分けられており,上記電界強度の平均,分散と接続時間とを対応付けるものとなっている。このように,接続時間予測に電界強度の平均と分散を用いるのは,例えば平均が同じでも分散が小さい方が通信状態が安定していると考えられ,両者を考慮することによってより正確な接続時間予測が可能となるからである。また,電界強度の平均と分散が同じであっても,移動速度が異なれば予測される接続時間も異なると考えられるため,上記のように移動速度毎に異なるテーブルを用いることによって更に正確な接続時間予測が可能となる。ここで,図4に示すような接続時間予測用テーブルを用いた接続時間の判別方法の具体例として,二値判別による方法を簡単に説明する。まず,図4に示す3本の判別曲線のうち,0秒の領域と10秒の領域とを分ける曲線を取り出し,その曲線上に判別点をとる(図5参照)。そして,上記判別点を所定の方向に移動させながら,測定値(電界強度の平均,分散)が次の条件を満たしているか否かを判定する。
測定値の平均 ≧ 判別点の示す平均且つ測定値の分散 ≦ 判別点の示す分散上記判別点が上記曲線上のいずれかの位置において上記条件を満たせば,上記測定値は上記曲線の右側の領域(ここでは10秒以上の領域)にあると判定できる。逆に,上記判別点が上記曲線上の全ての位置において上記条件を満たさなければ,上記測定値は上記曲線の左側の領域(ここでは10秒未満の領域)にあると判定できる。以上の処理を,上記測定値が存在する領域を特定できるまで上記各判別曲線について順次行い,その領域の属する接続時間を予測接続時間とする。以上のような処理により接続時間が予測されると,続いてリンク判定部8において,上記接続時間予測部7で予測された接続時間と,送信待ち状態にある送信データの送信に必要な時間とが比較され,例えば上記接続時間が上記送信データの送信に必要な時間を上回っていれば,データ通信制御部2に対して発呼処理の開始が指示される(ステップS8)。データ通信制御部2は,上記リンク判定部8からの発呼開始要求に基づいて,予め設定された所定の手順に従って自動的に発呼処理を行う(ステップS9)。
【0011】以上説明したように,本実施の形態に係る無線電話装置A1では,電界強度の所定時間内の平均と分散に基づいて接続時間が予測され,それに基づいて発呼処理を行うか否かが判断されるため,通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性の高い場合に限って発呼を行うことができ,極めて効率的なデータ通信が可能となる。また,上記電界強度の平均と分散とに基づく接続時間予測を,基地局IDの変化周期に基づいて推定された移動状態毎に例えば異なるテーブルを用いて行っているため,上記接続時間予測の精度は極めて高くなる。
【0012】
【実施例】上記実施の形態では,上記第1の発明の一実施例,即ち基地局IDを用いて移動状態(移動速度)推定を行い,更に推定された移動速度と電界強度の平均,分散とを用いて接続時間予測を行い,これに基づいて自動発呼処理を行う例を説明したが,上記第1の発明については次のような変形例も考えられる。
【0013】[移動状態推定を省略(実施例1−1)]移動状態推定を経ることなく,図3の下図に示す接続時間予測テーブルをただ1つ用いて接続時間予測を行うこともできる。この場合,図1に示す構成図では基地局ID検出部5と移動状態推定部6とが省略され,図2に示すフローチャートではステップS3〜S6が省略される。勿論,この例の場合には移動状態が考慮されないため,上記実施の形態の例に比べると接続時間予測の精度は多少なりとも低下することに注意しなければならない。
【0014】[電界強度の平均と分散を用いた移動状態推定(実施例1−2)]上記移動状態推定部6による移動状態(移動速度)推定を,電界強度検出部4で検出された電界強度に基づいて行うこともできる。この場合の無線電話装置A2の構成例を図6に,自動発呼処理のフローチャートを図7に示す。本無線電話装置A2の自動発呼手順(図7)において,図2に示す手順と異なるのは,ステップS3aにおいて電界強度の平均と分散(ステップS5における平均と分散よりも長い区間(例えば60秒間)での値)を求め,ステップS4aで上記電界強度の平均と分散に基づいて移動速度を推定する部分のみである。ここで,ステップS4aにおける移動速度の推定は,例えば図8の上図に示すような移動速度推定テーブルを用いて行われる。この移動速度推定テーブルは,長区間平均と長区間分散の2軸グラフであり,この2次元空間が,{静止,低速移動,中速移動,高速移動}の4領域に分けられており,上記電界強度の平均,分散と移動速度とを対応付けるものとなっている。上記移動速度推定テーブルを用いて移動速度が推定されると,その移動速度に基づいて接続時間予測用のテーブルが選択され(ステップS6),このテーブルと上記算出された電界強度の平均,分散とに基づいて接続時間が予測される(ステップS7)が,これ以降は既に説明した図2に示す手順と同様である。
【0015】[基地局IDの変化周期を用いた接続時間予測(実施例1−3)]上記実施の形態,及び実施例1−1,1−2では,接続時間予測部7による接続時間予測に電界強度の平均と分散とを用いた例を示したが,これら全ての例において接続時間予測に基地局IDの変化周期を用いることもできる。即ち,図2,図7のステップS5において基地局IDの変化周期を算出すると共に,ステップS6,S7において用いられる接続時間予測用テーブルとして,図4に示すようなテーブルに代えて,例えば図9に示すような,基地局IDの変化周期と接続時間とを対応付けるテーブルを用いるようにしてもよい。
【0016】以上説明した第1の発明では,接続時間予測を行い,その結果に基づいて自動発呼を行うようにした。しかしながら,接続時間の予測まで行わなくても,移動状態の推定結果のみに基づく簡易的な判断で自動発呼を行うようにする(第2の発明)ことも可能である。以下,このような考えに基づく上記第2の発明についての実施例を示す。
【0017】[基地局IDの変化周期を用いた移動状態推定(実施例2−1)]まず,移動状態推定に基地局IDの変化周期を用いた例を示す。本実施例に係る無線電話装置A3の構成を図10に,自動発呼処理のフローチャートを図11に示す。これは,上記実施の形態に係る無線電話装置A1の構成(図1)及びフローチャート(図2)から,接続時間予測に係る部分を省略したものとなる。図11に示す処理手順において,ステップS3で移動状態推定部6により基地局IDの変化周期が計算され,ステップS4で上記変化周期と移動速度推定テーブル(図3上図参照)とを用いて現在の移動速度が推定されると,続くステップS8aでは,リンク判定部8aにより,例えば上記移動速度と所定のルールとに基づいて発呼を行うか否かが判断される。ここで,上記所定のルールとは,例えば次のようなものが考えられる。
ルール1:高速移動中は発呼しない。
ルール2:中速移動中に待ちデータの緊急度が2以上であれば発呼する。
ルール3:低速移動中に待ちデータの緊急度が4以上であれば発呼する。
ルール4:静止中に待ちデータがある場合は発呼する。
この方法により,接続時間の予測を行うことなく,移動状態の推定結果のみに基づいて簡易的に発呼の判断を行うことが可能である。
【0018】[電界強度の平均と分散を用いた移動状態推定(実施例2−2)]続いて,移動状態推定に電界強度の平均と分散を用いた例を示す。本実施例に係る無線電話装置A4の構成を図12に,自動発呼処理のフローチャートを図13に示す。これは,上記実施例1−2に係る無線電話装置A2の構成(図6)及びフローチャート(図7)から,接続時間予測に係る部分を省略したものとなる。図13に示す処理手順において,ステップS3aで移動状態推定部6により電界強度の平均と分散が計算され,ステップS4aで上記電界強度の平均,分散と移動速度推定テーブル(図8上図参照)とを用いて現在の移動速度が推定されると,続くステップS8aでは,リンク判定部8aにより,例えば上記移動速度と所定のルール(上記実施例2−2と同様)とに基づいて発呼を行うか否かが判断される。この方法でも,上記実施例2−1と同様,接続時間の予測を行うことなく,移動状態の推定結果のみに基づいて簡易的に発呼の判断を行うことが可能である。
【0019】以上説明した第1,第2の発明に係る実施例に関し,更に次のような変形例も考えられる。まず,移動状態推定においては,上述したような基地局IDの変化周期等を用いる代わりに,加速度センサやGPS等の各種センサを用いることも可能である。例えば,上記加速度センサを用いる場合には,加速度センサから出力される加速度値を一定時間蓄積し,積分することによってその区間の移動速度が推定できる。またGPSを用いる場合には,GPSから出力される位置情報を一定時間蓄積し,その間に移動した距離を求めることでその区間の移動速度が推定できる。また,電界強度に関する所定の統計量の例として,平均と分散を用いた例を示したが,上記統計量としてはこれらに限られるものではない。例えば,分散に代えて標準偏差を用いても同様の結果が得られることは言うまでもない。
【0020】また,電界強度の統計量(例えば平均と分散)を用いた接続時間予測,若しくは移動状態推定においては,上述したようなテーブル(図4,図8)を用いる方法以外に,例えば上記統計量を入力層とし,接続時間(若しくは移動状態)を出力層とするニューラルネットワークを用いる方法(図14参照)なども考えられる。例えば,図14において,電界強度の平均が25.7,分散が7.6であったとすると,入力ベクトルXは例えば次のようになる。
X=(0,0,0,0,0,0,0,0,1,…,0,1,0,0,…)
そして,上記入力ベクトルXに対して例えば出力ベクトルYが,Y=(0,1,0,0)
として得られたとすると,接続時間予測値は10秒となる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように,第1の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,上記基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間を予測する接続時間予測手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されているため,例えば,上記接続時間予測手段で予測された接続時間に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,所定の送信データの送信に必要な時間が上記接続時間予測手段で予測された接続時間以下である場合に上記基地局との接続を行うようにすれば,1回の接続で1つの送信データの送信が完了できる,即ち最も通信ロスの少ないデータ送信が行える可能性が高い場合に限って発呼が行われるため,極めて効率的なデータ通信が可能となる。また,上記接続時間予測手段は,例えば,統計量算出手段によって基地局から送出される制御信号の所定時間内の電界強度の所定の統計量を求め,得られた統計量に基づいて上記接続時間を予測するように構成できるが,上記所定の統計量として例えば平均と分散を用いれば,極めて精度の高い接続時間予測が可能である。更に,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備し,上記接続時間予測手段が,上記推定された移動状態に基づいて上述のような方法で接続時間を予測するように構成すれば,更に高精度の接続時間予測が可能となり,データ通信の効率を更に高めることができる。
【0022】また,第2の発明は,基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置として構成されているため,例えば,上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備し,上記移動状態が所定の状態にある場合にのみ上記基地局との接続を行うようにすれば,連続的な区間で判断して通信状態が良好な場合にのみ発呼を行うことができ,無駄の少ない効率的なデータ通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る無線電話装置A1の概略構成を示すブロック図。
【図2】 上記無線電話装置A1による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図3】 基地局IDの変化周期に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図。
【図4】 電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図。
【図5】 図4に示す接続時間予測テーブルを用いた二値判別による接続時間判別方法の説明図。
【図6】 実施例1−2に係る無線電話装置A2の概略構成を示すブロック図。
【図7】 上記無線電話装置A2による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図8】 電界強度の平均,分散に基づく移動状態推定テーブルと,電界強度の平均,分散に基づく接続時間予測テーブル,及びその対応関係の一例を示す図。
【図9】 基地局IDの変化周期に基づく接続時間予測テーブルの一例を示す図。
【図10】 実施例2−1に係る無線電話装置A3の概略構成を示すブロック図。
【図11】 上記無線電話装置A3による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図12】 実施例2−2に係る無線電話装置A4の概略構成を示すブロック図。
【図13】 上記無線電話装置A4による自動発呼手順の一例を示すフローチャート。
【図14】 ニューラルネットワークを用いた接続時間予測の説明図。
【符号の説明】
1…電話機
2…データ通信制御部(通信制御手段の一部を構成)
3…アプリケーション
4…電界強度検出部(電界強度検出手段)
5…基地局ID検出部(基地局ID取得手段)
6,6a…移動状態推定部(移動状態推定手段)
7…接続時間予測部(統計量算出手段及び接続時間予測手段)
8,8a…リンク判定部(通信制御手段の一部を構成)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,上記基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間を予測する接続時間予測手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置。
【請求項2】 上記接続時間予測手段で予測された接続時間に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備してなる請求項1記載の無線電話装置。
【請求項3】 上記通信制御手段が,所定の送信データの送信に必要な時間が上記接続時間予測手段で予測された接続時間以下である場合に上記基地局との接続を行う請求項2記載の無線電話装置。
【請求項4】 上記基地局から送出される制御信号の電界強度を検出する電界強度検出手段と,所定時間内に上記電界強度検出手段で検出された上記電界強度より所定の統計量を求める統計量算出手段とを具備し,上記接続時間予測手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量に基づいて上記接続時間を予測する請求項1〜3のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項5】 上記所定の統計量として分散及び平均を用いる請求項4記載の無線電話装置。
【請求項6】 上記接続時間予測手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を,予め設定されたテーブルに適用することによって上記接続時間を予測する請求項4又は5記載の無線電話装置。
【請求項7】 上記接続時間予測手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を入力層とし,接続時間を出力層とするニューラルネットワークによって上記接続時間を予測する請求項4又は5記載の無線電話装置。
【請求項8】 当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備し,上記接続時間予測手段が,上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて接続時間を予測する請求項1〜7のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項9】 基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置。
【請求項10】 上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備してなる請求項9記載の無線電話装置。
【請求項11】 上記基地局から送出される制御信号から基地局IDを取得する基地局ID取得手段を具備し,上記移動状態推定手段が,上記基地局ID取得手段によって取得された基地局IDの所定時間内における変化状態に基づいて上記移動状態を推定する請求項8〜10のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項12】 上記基地局から送出される制御信号の電界強度を検出する電界強度検出手段と,所定時間内に上記電界強度検出手段で検出された上記電界強度より所定の統計量を求める統計量算出手段とを具備し,上記移動状態推定手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量に基づいて上記移動状態を推定する請求項8〜11のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項13】 上記所定の統計量として分散及び平均を用いる請求項12記載の無線電話装置。
【請求項14】 上記移動状態推定手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を,予め上記移動状態に応じて設定されたテーブルに適用することによって上記移動状態を推定する請求項12又は13記載の無線電話装置。
【請求項15】 上記移動状態推定手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を入力層とし,接続時間を出力層とするニューラルネットワークによって上記移動状態を推定する請求項12又は13記載の無線電話装置。
【請求項16】 上記移動状態推定手段が,当該無線電話装置の移動速度を検出する速度検出手段からの出力に基づいて上記移動状態を推定する請求項8〜15のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項17】 上記速度検出手段がGPSを具備して構成される請求項16記載の無線電話装置。
【請求項18】 上記速度検出手段が加速度センサを具備して構成される請求項16記載の無線電話装置。
【請求項1】 基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,上記基地局と接続した場合にその接続状態を維持しうる時間を予測する接続時間予測手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置。
【請求項2】 上記接続時間予測手段で予測された接続時間に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備してなる請求項1記載の無線電話装置。
【請求項3】 上記通信制御手段が,所定の送信データの送信に必要な時間が上記接続時間予測手段で予測された接続時間以下である場合に上記基地局との接続を行う請求項2記載の無線電話装置。
【請求項4】 上記基地局から送出される制御信号の電界強度を検出する電界強度検出手段と,所定時間内に上記電界強度検出手段で検出された上記電界強度より所定の統計量を求める統計量算出手段とを具備し,上記接続時間予測手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量に基づいて上記接続時間を予測する請求項1〜3のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項5】 上記所定の統計量として分散及び平均を用いる請求項4記載の無線電話装置。
【請求項6】 上記接続時間予測手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を,予め設定されたテーブルに適用することによって上記接続時間を予測する請求項4又は5記載の無線電話装置。
【請求項7】 上記接続時間予測手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を入力層とし,接続時間を出力層とするニューラルネットワークによって上記接続時間を予測する請求項4又は5記載の無線電話装置。
【請求項8】 当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備し,上記接続時間予測手段が,上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて接続時間を予測する請求項1〜7のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項9】 基地局を介して無線によりデータ通信を行う無線電話装置において,当該無線電話装置の移動状態を推定する移動状態推定手段を具備してなることを特徴とする無線電話装置。
【請求項10】 上記移動状態推定手段で推定された移動状態に基づいて通信状態を制御する通信制御手段を具備してなる請求項9記載の無線電話装置。
【請求項11】 上記基地局から送出される制御信号から基地局IDを取得する基地局ID取得手段を具備し,上記移動状態推定手段が,上記基地局ID取得手段によって取得された基地局IDの所定時間内における変化状態に基づいて上記移動状態を推定する請求項8〜10のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項12】 上記基地局から送出される制御信号の電界強度を検出する電界強度検出手段と,所定時間内に上記電界強度検出手段で検出された上記電界強度より所定の統計量を求める統計量算出手段とを具備し,上記移動状態推定手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量に基づいて上記移動状態を推定する請求項8〜11のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項13】 上記所定の統計量として分散及び平均を用いる請求項12記載の無線電話装置。
【請求項14】 上記移動状態推定手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を,予め上記移動状態に応じて設定されたテーブルに適用することによって上記移動状態を推定する請求項12又は13記載の無線電話装置。
【請求項15】 上記移動状態推定手段が,上記統計量算出手段で得られた上記統計量を入力層とし,接続時間を出力層とするニューラルネットワークによって上記移動状態を推定する請求項12又は13記載の無線電話装置。
【請求項16】 上記移動状態推定手段が,当該無線電話装置の移動速度を検出する速度検出手段からの出力に基づいて上記移動状態を推定する請求項8〜15のいずれかに記載の無線電話装置。
【請求項17】 上記速度検出手段がGPSを具備して構成される請求項16記載の無線電話装置。
【請求項18】 上記速度検出手段が加速度センサを具備して構成される請求項16記載の無線電話装置。
【図4】
【図5】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図9】
【図11】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図5】
【図1】
【図2】
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【図10】
【図12】
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【図14】
【公開番号】特開2000−209654(P2000−209654A)
【公開日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−8875
【出願日】平成11年1月18日(1999.1.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年1月18日(1999.1.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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