説明

無線ICデバイスの供給方法、電子部品の供給方法、および供給テープ

【課題】無線ICデバイスを担持するテープにデータコード記載部を設けることなく、それにともなうコストアップ、データコードの誤読の問題を回避し、且つ多くの情報を記録できるようにした無線ICデバイスの供給方法および無線ICデバイス供給テープを構成する。
【解決手段】無線ICチップ12と給電回路とで電磁結合モジュール10を構成するとともに、複数の電磁結合モジュールを紙テープ基材20に担持させ、放射電極24a,24bを形成したカバーフィルム21で紙テープ基材20を覆って無線ICデバイス供給テープ100を構成する。この無線ICデバイス供給テープ100をリーダ・ライタ側アンテナ30に近接するように、リールからリールへ搬送することによって無線ICデバイスの記録情報の書き込みまたは読出しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線ICデバイスや電子部品を供給先へ供給するとともに、供給先で個々の無線ICデバイスのデータや電子部品の特性情報等のデータの読み書きを可能とした無線ICデバイスの供給方法、電子部品の供給方法、およびその供給テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の電気的特性に関する情報を電子部品の供給とともに提供する電子部品の供給方法が特許文献1に開示されている。
図1は特許文献1に基づく水晶振動子の供給方法の一実施例を示した斜視図である。水晶振動子1は、梱包容器であるキャリアテープ2の凹部3内に収納された状態にて供給される。キャリアテープ2の表面上且つ凹部3の開口部に近隣したキャリアテープ2の表面上には水晶振動子1の周波数温度特性等の電気的特性を印字したデータコード記載部(データコード)4として例えば二次元バーコードを配置し、更に、水晶振動子1または水晶振動子1およびデータコード記載部4の表面を覆うよう例えば透明なカバーテープ5をキャリアテープ2に貼り合わせてリールテープ6とし、これをリール7に巻き取った状態で供給される。この水晶振動子1を実装基板に実装する際に、データコード記載部4に表されている温度補償条件がカメラ認識により読み取られ、その条件を基に、水晶振動子1の実装先の温度補償回路の設定条件が選択されて温度補償回路が適正に動作するように構成される。
【特許文献1】特開2002−173106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1の方法では以下のような問題点があった。
(a)キャリアテープ側にデータコード記載部を作製する必要があり、その作製にコストと時間を要する。
【0004】
(b)データコード記載部と対応する部品との間で位置ずれが生じると、別の部品の情報を誤認識するおそれがある。
【0005】
(c)面積の限られたキャリアテープ表面に二次元バーコードなどを形成するため、その中に多くの情報を記録することができない。
【0006】
(d)カメラによりデータコードを読み取るため、バーコードヘの光の照射具合が適切でないと読み取り不良が生じやすいという問題がある。
【0007】
上記問題点は水晶振動子に限らず生じる。供給しようとする電子部品が例えばRFIDタグとして用いる無線ICデバイスであれば、上記温度補償条件は各無線ICデバイスの記録情報を書き出したものということになる。
【0008】
この発明は、無線ICデバイスや電子部品を供給する際に同様に生じる上記問題を解消するものであり、無線ICデバイスや電子部品を担持するテープにデータコード記載部を設けることなく、それにともなうコストアップ、データコードの誤読の問題を回避し、且つ多くの情報を記録できるようにした、無線ICデバイスの供給方法、電子部品の供給方法、およびそれらの供給テープを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記課題を解決するために次のように構成する。
(1) 記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた無線ICデバイスの供給方法であって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、複数の前記電磁結合モジュールをテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆って無線ICデバイス供給テープを構成し、
前記無線ICデバイス供給テープを、前記無線ICチップの記録情報の読み取りまたは書き込みを行うリーダ・ライタへ搬送することを特徴とする。
【0010】
(2)記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた電子部品の供給方法であって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、複数の前記電磁結合モジュールを備えた電子部品をテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆って電子部品供給テープを構成し、
前記電子部品供給テープを、前記無線ICチップの記録情報の読み取りまたは書き込みを行うリーダ・ライタへ搬送することを特徴とする。
【0011】
(3)記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた無線ICデバイスの供給テープであって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、当該電磁結合モジュールをテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆ったことを特徴とする。
【0012】
(4)記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた電子部品の供給テープであって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、当該電磁結合モジュールを備えた電子部品をテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆ったことを特徴とする。
【0013】
(5)また、必要に応じて、前記放射電極を形成した前記カバーフィルムで前記テープ基材の両面を覆う。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、次のような効果を奏する。
(a)無線ICデバイス供給テープ側や電子部品供給テープの側にデータコード記載部などが不要になり、それを作製するコストや時間を削減できる。
【0015】
(b)無線ICデバイス供給テープまたは電子部品供給テープの状態で、リーダ・ライタによって無線ICデバイスまたは電子部品の記録情報の読み書きを行えるので、無線ICデバイスまたは電子部品の供給を極めて効率良く行えるようになる。
【0016】
(c)無線ICチップに情報を記録できるため、二次元データコード等に比べ多くの情報を記録することができる。
【0017】
(d)上記の情報は、無線により読み取るので、カメラ認識時の読み取り不良が発生しない。
【0018】
(e)テープ基材の両面にカバーフィルムを覆い、いずれのカバーフィルムにも放射電極を形成することにより、リーダ・ライタは無線ICデバイス供給テープや電子部品供給テープのいずれの面に配置しても通信できるようになり、無線ICデバイスや電子部品の供給先でリーダ・ライタとの配置の自由度が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
《第1の実施形態》
図2は第1の実施形態に係る無線ICデバイスおよび無線ICデバイス供給テープについて示す図である。図2(A)は無線ICデバイス供給テープの部分平面図である。また図2(B)は図2(A)と同一部分の無線ICデバイス供給テープの断面図である。
【0020】
図2(B)に示すように、紙テープ基材20には部品収納域23を設けていて、その内部に電磁結合モジュール10を収納している。紙テープ基材20の下面には下部カバーフィルム22、上面には上部カバーフィルム21をそれぞれ貼着している。
【0021】
前記電磁結合モジュール10は、記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップ12と、後に述べる放射電極と無線ICチップ12との間のインピーダンス整合をとる整合回路を含む給電回路とを備えている。結合電極11は上記放射電極と結合する電極である。
【0022】
図2(A)に示すように、上部カバーフィルム21の上面には、それぞれL字型に延びる2つの放射電極24a,24bを形成している。上記結合電極11は放射電極24a,24bの根元部との間で容量を形成して電界結合(容量結合)する。
【0023】
上記電磁結合モジュール10と放射電極24a,24bとによって無線ICデバイスを構成している。図2に示した部分は、無線ICデバイス供給テープの1つの無線ICデバイス部分であり、これに隣接する部品収納域23には同一構造の別の無線ICデバイスを収納している。この無線ICデバイス供給テープ100は従来の電子部品のテープ供給方法と同様にリールに巻いていて、供給側リールから巻き取り側リールへ搬送するとともに、図2(B)に示したリーダ・ライタ側アンテナ30によって各無線ICデバイスとの間で通信を行う。
【0024】
この無線ICデバイス供給テープの供給先では、例えばこの無線ICデバイスが取り付けられる先の物品に関する情報の書き込みまたは既に書き込まれている情報の読み出し、更にはそれらが正常に機能するか否かの判定等を行う。
【0025】
電磁結合モジュールを物品に取り付ける場合、ピックアップ装置で無線ICデバイスの上部カバーフィルムまたは下部カバーフィルムを剥がすとともに、部品収納域から電磁結合モジュールをピックアップし、物品へ実装する。物品側には放射電極を予め形成しておき、その放射電極と電磁結合モジュールとによって再び無線ICデバイスを構成することになる。
【0026】
《第2の実施形態》
図3は、第2の実施形態に係る無線ICデバイス供給テープの構造を示す部分断面図である。図3(B)は無線ICデバイス供給テープの部分断面図、図3(A)はその無線ICデバイス供給テープに適用する電磁結合モジュールの断面図である。
【0027】
図3(A)において符号15は電磁結合モジュールであり、給電回路基板40および無線ICチップ12を備えている。電磁結合モジュール15は、その結合電極41,42,43,44で後述する放射電極と電界結合(容量結合)する。
【0028】
電磁結合モジュール15は図3(B)に示すように紙テープ基材20の部品収納域23に収納する。紙テープ基材20の下面には下部カバーフィルム22、上面には上部カバーフィルム21をそれぞれ貼着する。上部カバーフィルム21の表面には、2つの放射電極25a,25bを予め形成している。上記結合電極41,42は放射電極25a,25bの根元部との間で容量を形成して電界結合(容量結合)する。また、下部カバーフィルム22の表面には、2つの放射電極26a,26bを予め形成している。上記結合電極43,44は放射電極26a,26bの根元部との間で容量を形成して電界結合(容量結合)する。
【0029】
給電回路基板40内にはインダクタL1,L2,L3からなる整合回路51を設けている。この整合回路51は無線ICチップ12と放射電極25,26との間のインピーダンス整合をとる。また、整合回路51は共振回路でもある。給電回路基板40においては、インダクタL1,L2,L3と放射電極とで構成される共振回路にて共振周波数が決定される。また、給電回路基板内の回路としてL,Cによる共振回路を形成し、その共振回路により共振周波数を決定してもよい。放射電極25または26から放射される信号の周波数は、共振回路の自己共振周波数によって実質的に決まる。例えばUHF帯などの周波数になるようにインダクタンス値を調整することにより、無線ICデバイスとしての動作周波数に合わせることができる。
【0030】
図4は上記電磁結合モジュール15の内部の構成を示す分解斜視図である。電磁結合モジュール15は多層基板からなる給電回路基板40、無線ICチップ12、および保護膜(モールド樹脂)17から構成している。
【0031】
給電回路基板40は、それぞれに電極パターンを形成した複数の誘電体層を積層してなる多層基板であり、最上層の誘電体層40Aには無線ICチップ実装用ランド35a〜35dおよび結合電極41,42を形成している。誘電体層40Bにはインダクタ電極45a,46a,47aを形成している。誘電体層40Cにはインダクタ電極45b,46b,47bを形成している。誘電体層40Dにはインダクタ電極45c,46c,47cを形成している。誘電体層40Eにはインダクタ電極45d,46d,47dを形成している。誘電体層40Fにはインダクタ電極45e,46e,47eを形成している。さらに誘電体層40Gには結合電極43,44を形成している。各誘電体層の電極同士は図4に示すようにビアホールを介して接続している。
【0032】
上記インダクタ電極45a〜45eによってインダクタL1を構成している。またインダクタ電極46a〜46eによってインダクタL2を構成している。さらにインダクタ電極47a〜47eによってインダクタL3を構成している。これらのインダクタL1,L2,L3による整合回路は図3に示したとおりである。
【0033】
上記各誘電体層は誘電体セラミックであり、それらを積層し一体焼成することによってセラミック多層基板を構成する。セラミック以外に液晶ポリマー(LCP)等の樹脂材料を用いることもできる。
【0034】
給電回路基板40上に前記無線ICチップ12を搭載してなる無線ICデバイスは、図示しないリーダ・ライタから放射される高周波信号(例えばUHF周波数帯)を放射電極25または26で受信し、給電回路基板40内の共振回路を共振させ、所定の周波数帯の受信信号のみを無線ICチップ12に供給する。一方、この受信信号から所定のエネルギーを取り出し、このエネルギーを駆動源として無線ICチップ12にメモリされている情報を、共振回路にて所定の周波数に整合させた後、放射電極25または26に伝え、該放射電極25または26からリーダ・ライタに送信・転送する。
【0035】
《第3の実施形態》
図5は第3の実施形態に係る電磁結合モジュールと無線ICデバイスの構成を示す図である。図5(A)は電磁結合モジュールの断面図、図5(B)は無線ICデバイスの平面図、図5(C)は無線ICデバイスの断面図である。
【0036】
図5(A)に示すように、この例では給電回路基板40の内部にヘリカル状の結合電極48を構成し、その結合電極48と無線ICチップ12との間に、インダクタL1,L3およびキャパシタC1からなる整合回路52を設けている。この図では矩形ヘリカル状の結合電極48の断面が現れている。この結合電極48の一端は、整合回路52のインダクタL1とキャパシタC1との接続点に接続し、結合電極48の他端は、整合回路52のインダクタL3とキャパシタC1との接続点に接続している。
【0037】
無線ICチップ12は給電回路基板40の上面に搭載し、無線ICチップ12の周囲および給電回路基板40の上面に保護膜17を被覆している。
【0038】
電磁結合モジュール16は図5(C)に示すように紙テープ基材20の部品収納域23に収納する。紙テープ基材20の下面には下部カバーフィルム22、上面には上部カバーフィルム21をそれぞれ貼着する。上部カバーフィルム21の表面には、放射電極27a,27b,27cを予め形成している。また、下部カバーフィルム22の表面には、放射電極28a,28b,28cを予め形成している。
【0039】
図5(B)に示すように、上部放射電極27a,27b,27cのうち中央の放射電極27cはリング状である。図中破線Bで囲んだ部分が電磁結合モジュール16の載置位置であり、電磁結合モジュール16の結合電極48と放射電極27cとが磁界結合する。下部放射電極28a,28b,28cのうち中央の放射電極28cもリング状である。電磁結合モジュール16の結合電極48は放射電極28cと磁界結合する。
【0040】
このように電磁結合モジュールと放射電極とを、互いの結合部をヘリカル状およびリング状にして磁界結合させることにより、部品収納域23内で電磁結合モジュール16の位置が多少変位しても結合度が大きく変化することがない。また、カバーフィルムの接着剤などによる誘電率や導電率の変化の影響を受けにくくなる。
【0041】
《第4の実施形態》
図6は、第4の実施形態に係る二つの無線ICデバイス供給テープの構造を示す部分断面図である。
【0042】
図6(A)に示す無線ICデバイス供給テープ101は、紙テープ基材20に部品収納域23を設けていて、その内部に電磁結合モジュール14を収納している。電磁結合モジュール14は、記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップ12と、この無線ICチップ12と放射電極25との間でインピーダンス整合をとる整合回路を有する給電回路基板13とを備えている。給電回路基板13には放射電極25との間で電界結合または磁界結合する結合電極を備えている。電磁結合モジュール14は、給電回路基板13に対して無線ICチップ12を搭載するとともに全体を樹脂モールドすることによって構成している。
【0043】
紙テープ基材20の上面に貼付する上部カバーフィルム21には上部放射電極25を形成している。給電回路基板13と電界結合する場合には、この放射電極25は図2に示したものと同様のパターンである。磁界結合する場合には給電回路基板13に形成したループ状の電極と磁界結合するループ状部分を有する放射電極パターンとなる。
【0044】
図6(B)に示す無線ICデバイス供給テープ102は、紙テープ基材20に貼付する下部カバーフィルム22にも下部放射電極26を形成している。給電回路基板13に形成した結合電極は上部放射電極25に結合するとともに下部放射電極26とも結合する。したがってリーダ・ライタ側アンテナを上部放射電極25側に近接させた場合にはこの上部放射電極25を介して通信を行い、下部放射電極26側に近接した場合には下部放射電極26を介して通信を行うことになる。すなわち無線ICデバイス供給テープ102のいずれの面にリーダ・ライタのアンテナを近接させても通信を行うことができる。そのため無線ICデバイスの供給先で無線ICデバイスのピックアップ装置とリーダ・ライタとの配置の自由度が増すという利点がある。
【0045】
《第5の実施形態》
図7は、第5の実施形態に係る二つの電子部品供給テープの構造を示す部分断面図である。
【0046】
図7(A)に示す電子部品供給テープ103は、紙テープ基材20に部品収納域23を設けていて、その内部に電子部品18を収納している。電子部品18は、例えば高周波スイッチモジュール等であり、その表面に、記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップ12と、この無線ICチップ12と放射電極25との間でインピーダンス整合をとる整合回路を有する給電回路基板13とを配置している。図7(A)の例では、給電回路基板13に無線ICチップ12を実装したモジュールを電子部品18の表面に接着剤で接着し、電子部品18の表面を樹脂モールドしている。
【0047】
給電回路基板13には放射電極25との間で電界結合または磁界結合する結合電極を備えている。この給電回路基板13、無線ICチップ12、および放射電極25によって電磁結合モジュールを構成することになる。
【0048】
上記無線ICチップ12の機能により、電子部品18の電気的特性を記憶させたり、その情報を読み出したりすることができる。
【0049】
図7(B)に示す電子部品供給テープ104は、紙テープ基材20に部品収納域23を設けていて、その内部に電子部品19を収納している。電子部品19は、例えば高周波スイッチモジュール等であり、その表面にキャビティを形成している。この電子部品19のキャビティ内に、無線ICチップ12および給電回路基板13からなるモジュールを配置している。無線ICチップ12および給電回路基板13の機能は図7(A)の場合と同様である。
【0050】
なお、以上に示した各実施形態では、すべての部品収納域に対応してカバーフィルム表面に放射電極を形成したが、例えば複数の部品収納域おきに一つなど、所定の箇所に放射電極を形成してもよい。そのような構成でも、例えば連続して同種の電磁結合モジュールや電子部品を収納するような場合に、電磁結合モジュールや電子部品の品種の確認やIDの推定等を行うことができる。この場合、放射電極を隣の部品収納域に対応する位置にまで形成することができるため、放射電極のサイズを大きくすることができる。これにより、放射電極の利得が上がり、遠距離からの読み取りも可能となる。また、放射電極が形成されている位置が離れているため、隣のIDを誤って読み取るといったことを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の水晶振動子の供給方法の例を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る無線ICデバイスの供給方法および無線ICデバイス供給テープの構成を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係る電磁結合モジュールと無線ICデバイス供給テープの主要部の断面図である。
【図4】同無線ICデバイスに適用する電磁結合モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【図5】第3の実施形態に係る電磁結合モジュールと無線ICデバイス供給テープの主要部の平面図および断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る無線ICデバイス供給テープの断面図である。
【図7】第5の実施形態に係る電子部品供給テープの断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10,14,15,16−電磁結合モジュール
11−結合電極
12−無線ICチップ
13−給電回路基板
14−電子部品
17−保護膜(モールド樹脂)
18,19−電子部品
20−紙テープ基材
21−上部カバーフィルム
22−下部カバーフィルム
23−部品収納域
24a,24b−放射電極
25,27−上部放射電極
26,28−下部放射電極
30−リーダ・ライタ側アンテナ
35−無線ICチップ実装用ランド
40−給電回路基板
41,42,43,44−結合電極
45,46,47−インダクタ電極
48−結合電極
51,52−整合回路
100,101,102−無線ICデバイス供給テープ
103,104−電子部品供給テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた無線ICデバイスの供給方法であって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、複数の前記電磁結合モジュールをテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆って無線ICデバイス供給テープを構成し、
前記無線ICデバイス供給テープを、前記無線ICチップの記録情報の読み取りまたは書き込みを行うリーダ・ライタへ搬送することを特徴とする無線ICデバイスの供給方法。
【請求項2】
記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた電子部品の供給方法であって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、複数の前記電磁結合モジュールを備えた電子部品をテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆って電子部品供給テープを構成し、
前記電子部品供給テープを、前記無線ICチップの記録情報の読み取りまたは書き込みを行うリーダ・ライタへ搬送することを特徴とする電子部品の供給方法。
【請求項3】
記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた無線ICデバイスの供給テープであって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、当該電磁結合モジュールをテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆ったことを特徴とする無線ICデバイス供給テープ。
【請求項4】
記録情報を保持する機能および無線通信機能を有する無線ICチップと、
放射電極と、
インダクタンス素子を含み、前記無線ICチップに導通するとともに前記放射電極に電磁界結合する給電回路を備えた給電回路基板と、
を備えた電子部品の供給テープであって、
前記無線ICチップと前記給電回路基板とで電磁結合モジュールを構成するとともに、当該電磁結合モジュールを備えた電子部品をテープ基材に担持させ、前記放射電極を形成したカバーフィルムで前記テープ基材を覆ったことを特徴とする電子部品供給テープ。
【請求項5】
前記放射電極を形成した前記カバーフィルムで前記テープ基材の両面を覆った請求項3に記載の無線ICデバイス供給テープ。
【請求項6】
前記放射電極を形成した前記カバーフィルムで前記テープ基材の両面を覆った請求項4に記載の電子部品供給テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−53964(P2009−53964A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220477(P2007−220477)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】