説明

無線LANにおけるパケット伝送方法及び装置

【課題】通話品質を損なうことなく最大同時通話数を向上させることができる無線LANにおけるパケット伝送方法及び装置を提供する。
【解決手段】無線LANを介して無線LAN基地局に各無線端末が接続されている。無線LAN基地局から各無線端末へは、各無線端末にフレームバーストパケットの信号形式でACKを使用しないで伝送し、その一連のパケットのヘッダ情報は通知パケットとしてマルチキャストの信号形式で伝送する。各無線端末から無線LAN基地局へは、各個別のデータパケットをACKを使用したユニキャストで伝送する。各無線端末は通知パケットで通知されたフレームパケットの中での未受信のパケットを、無線LAN基地局へ再送要求をし、無線LAN基地局は、再送要求に対応するパケットをACKを使用したユニキャストで再送要求を送出した無線端末に再伝送し、受信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANに関し、より詳しくは、無線LANにおけるパケット伝送方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LAN(Local Area Network)は当初、有線ネットワークとして開発され利用されてきたが、近年、無線LANの高速化,低価格化や、モバイル・コンピューティング技術およびモバイル端末技術の発達と相俟って、有線ネットワークの少なくとも一部を無線化した無線LANの利用が広まりつつある。
IP電話の普及に伴い、無線LANにおいても音声が主要なアプリケーションの一つとなりつつあり、音声と他のアプリケーションとの連携が重要となってきている(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】IEEE802.11標準
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在最も普及しているIEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANシステムにおいては、最大同時通話数が6通話程度しかとれず、無線電話システムとして十分な同時通話数が得られないという課題がある。
この原因は、現在最も普及しているIEEE802.11標準に準拠した2.4GHz帯を用いた伝送速度11Mbps の無線LANでは、パケット伝送時間におけるオーバヘッドが大きく、音声のようにデータ長の短いパケット伝送においては伝送効率が非常に小さくなってしまうことにある。
ところで、パケット伝送におけるオーバヘッドの大きさはパケット周期には依存しないため、パケット周期を大きくすることにより、オーバヘッドの割り合いを小さくし、音声伝送の効率を高めて最大同時通話数を大きくすることができる。ただし、パケットの周期を大きくすると、音声伝送における遅延が増大するだけでなく、パケットロス発生時において通話品質が大きく劣化するという通話品質上の問題が生じる。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために、音声伝送において通話品質を損なうことなく最大同時通話数を向上させることができる無線LANにおけるパケット伝送方法及び装置を提供することを目的とする。
また、将来的に普及が見込まれるIP携帯電話では、バッテリー性能を確保するために、通話中にもパワーセーブ動作を行うが、IEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANでは、パワーセーブ動作のためのパケットを生成するため、これに起因して最大同時通話数は、さらに7割程度にまで減少してしまう欠点が存在するが、本発明による無線LANでは、通話中にパワーセープ動作を行う場合にも、これに起因した最大同時通話数の減少はなく、バッテリーに関する要求条件の厳しいIP携帯電話システムに適用することができる無線LANシステムを実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の無線LANにおけるパケット伝送方法は、無線LAN基地局と、無線LANを介して前記無線LAN基地局に接続される複数の無線端末とを備え、
前記無線LAN基地局から前記複数の無線端末へは、該複数の無線端末にそれぞれ対応する複数のデータパケットをフレームバーストパケットの信号形式でACK(Acknowledge :確認応答)を使用しないで伝送し、さらに、前記フレームバーストパケットの信号形式で伝送した一連のヘッダ情報を通知パケットとしてマルチキャストの信号形式で伝送し、
前記複数の無線端末のおのおのから前記無線LAN基地局へは、該複数の無線端末の各個別のデータパケットを確認応答を使用したユニキャストパケットで順次伝送し、
前記複数の無線端末のおのおのは前記確認応答を使用しないフレームバーストパケットのうちの当該無線端末に対応するパケットと前記通知パケットとを受信し、該通知パケットで通知された当該無線端末宛てのフレームパケットの中で未受信のパケットが存在することが検知された場合には、当該無線端末から前記無線LAN基地局へ当該未受信パケットの再送要求を再送ヘッダを付加して行う再送要求情報を伝送し、
前記無線LAN基地局は、前記再送要求情報を受信したときに、当該再送要求情報に対応するパケットを通常の確認応答を使用したユニパケットで前記再送要求情報を送出した前記無線端末に再伝送し、
該再送要求情報を送出した当該無線端末は、該再伝送されたパケットを受信するように構成されている。
前記無線LAN基地局から前記複数の無線端末へは、該複数の無線端末にそれぞれ対応する複数のデータパケットを確認応答なしフレームバーストパケットの信号形式でマルチキャストにより単一シーケンスとして伝送することができる。
【0006】
上記の無線LANにおけるパケット伝送方法を実施するために、
複数の前記無線端末に宛てた複数のデータパケットを、確認応答なしに最小フレーム間隔で連続して送信するための確認応答なしフレームバースト送信手段と、
前記無線端末から送信されるデータパケットに含まれる再送要求情報に基づいて、再送すべきデータパケットを送出するための処理を行う再送処理手段と、
ビーコン間において、確認応答パケットなしに最小フレーム間隔で連続して送信したすべてのデータパケットであるフレームバーストパケットに関するフレームバースト構成情報を、複数の前記無線端末に通知するための通知パケットを生成する通知パケット生成手段と、
前記再送すべきデータパケットの送出を、所定のフレーム間隔と確認応答パケットを用いた再送制御手順を用いて前記通知パケットを付加して行う確認応答ありフレーム送信手段と、
を備えていることを特徴とする無線LAN基地局装置を用いることができる。
上記の無線LANにおけるパケット伝送方法を実施するために、
前記通知パケットに含まれるフレーム構成情報で通知された当該無線端末宛てのフレームバーストパケットの中に未受信パケットが存在することが検知された場合には、再送要求情報を生成する再送要求処理手段と、
該再送要求処理手段で生成した再送要求情報を、前記無線LAN基地局宛てのデータパケットに付随して再送ヘッダを付加して再送信するための再送ヘッダ付加手段と、
前記再送されたデータパケットを受信する再送パケット受信手段と、
を備えたことを特徴とする無線端末装置を用いることができる。
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の無線LANにおけるパケット伝送装置は、無線LAN基地局と、無線LANを介して前記無線LAN基地局に接続される無線端末とを備え、
前記無線LAN基地局は、
複数の前記無線端末に宛てた複数のデータパケットを、確認応答なしに最小フレーム間隔で連続して送信するための確認応答なしフレームバースト送信手段と、
前記無線端末から送信されるデータパケットに含まれる再送要求情報に基づいて、再送すべきデータパケットを送出するための処理を行う再送処理手段と、
ビーコン間において、確認応答パケットなしに最小フレーム間隔で連続して送信したすべてのデータパケットであるフレームバーストパケットに関するフレームバースト構成情報を、複数の前記無線端末に通知するための通知パケットを生成する通知パケット生成手段と、前記再送すべきデータパケットの送出を、所定のフレーム間隔と確認応答パケットを用いた再送制御手順を用いて前記通知パケットを付加して行う確認応答ありフレーム送信手段とを備え、
前記無線端末は、
前記通知パケットに含まれるフレーム構成で通知された当該無線端末宛てのフレームバーストパケットの中に未受信パケットが存在することが検知された場合には、再送要求情報を生成する再送要求処理手段と、
該再送要求処理手段で生成した再送要求情報を、前記無線LAN基地局宛てのデータパケットに付随して再送ヘッダを付加して再送信するための再送ヘッダ付加手段と、
前記再送されたデータパケットを受信する再送パケット受信手段と、
を備えた構成を有している。
【0008】
なお、前記無線LAN基地局の前記確認応答なしフレームバースト送信手段は、フレームバーストで送信するパケットに対してシーケンス番号を付与するシーケンス番号付与手段を含み、
前記無線端末の前記再送要求処理手段は、前記シーケンス番号を含めた再送要求情報を生成し、
前記無線LAN基地局の前記再送処理手段では、前記無線端末から送信されるデータパケットに付随した再送要求情報に含まれる前記シーケンス番号を参照して再送処理を行ってもよい。
また、前記無線端末は、前記無線LAN基地局に対して、予め、自端末宛てのデータパケットをフレームバーストを用いたデータパケットの送信を要求するためのフレームバースト要求パケット生成手段を備え、
前記無線LAN基地局は、前記フレームバースト要求パケットを受信した場合に、当該前記無線端末宛のデータパケット送信におけるフレームバースト適用の有無を、当該前記無線端末に通知するためのフレームバースト応答パケット生成手段を備え、
前記無線LAN基地局の前記フレームバースト送信手段は、フレームバーストの適用を有りとした前記無線端末宛てのパケットのみフレームバーストで送信を行い、その外の前記無線端末宛てのパケットについては、フレームバーストを用いず、確認応答ありで送信し、
前記無線端末の再送要求処理手段は、フレームバーストの適用をありとするフレームバースト応答パケットを受信した場合のみ、再送要求情報をデータパケットに付随して送信し、フレームバーストの適用をなしとするフレームバースト応答パケットを受信した場合には、再送要求情報を付加することなしにデータパケットを送信してもよい。
また、前記無線LAN基地局の前記フレームバースト送信手段は、所定の優先度を有するデータパケットのみをフレームバーストで送信を行い、それ以外の優先度のデータパケットについては、フレームバーストを用いず、確認応答ありで送信し、
前記無線端末の再送要求処理手段は、所定の優先度を有するデータパケットに対してのみ、再送要求情報を付随させて送信し、それ以外の優先度のデータパケットについては、再送要求情報を付加することなしに該データパケットを送信してもよい。
前記無線端末が通話中にもパワーセーブモードで動作を行う場合には、再送要求情報を前記無線LAN基地局宛てのデータパケットに付随して送信するときに、
付随する再送要求情報がフレームバーストで受信したデータパケットの再送を要求する場合には、送信するデータパケットのヘッダ情報によりパワーセーブモードをアクティブモードに移行することを前記無線LAN基地局に通知し、
付随する再送要求情報がフレームバーストで受信したデータパケットの再送を要求しない場合には、送信するデータパケットのヘッダ情報によりパワーセーブモードをスリープモードに移行することを前記無線LAN基地局に通知してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線LANでは、無線LAN基地局が、無線端末宛てのデータパケットを、確認応答なしに最小フレーム間隔で連続的に送信し、無線端末から無線LAN基地局宛てのデータパケットを利用して再送処理を行うことにより、データパケットの伝送の効率を向上し、特に無線LANを用いたVoIPシステムにおいて最大同時通話数を大幅に向上させている。
本発明の無線LANでは、パケット周期を大きくすることなく最大同時通話数を増大しているので通話品質の劣化はなく、また、通話中にパワーセープ動作を行っても最大同時通話数は減少しないので、高品質な無線LANによるVoIPシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である無線LANシステムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示した無線LANシステムは、複数の無線LAN基地局(1a,1b…)と、無線LAN基地局と無線LANを介して接続される複数の無線電話機(無線端末2a,2b…)と、無線電話機の呼制御を行うVoIPゲートウェイ3とから構成されている。VoIPゲートウェイ3は、インターネット網5や公衆網6とのインターフェイスを含んでいる。なお、無線LAN基地局1a,1b…とVoIPゲートウェイ3との接続に関しては、構内の有線LAN4を介してもよいし、あるいはさらに他の無線LAN基地局との無線LAN接続を介してもよい。
【0011】
次に、図2および図3を参照し、無線LAN基地局および無線端末のより詳しい構成を説明する。図2は、本発明に用いる無線LAN基地局の一構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本発明に用いる無線LAN基地局1は、有線LAN4における送受信動作のために、有線LAN送受信手段1−1と、有線LAN送信制御手段1−2と、有線LAN送信バッファ手段1−3と、有線LAN受信バッファ手段1−4を有する。また、無線LANにおける送受信動作のために、無線LAN送受信手段1−5と、無線LAN送信制御手段1−6と、無線LAN送信バッファ手段1−7と、無線LAN受信バッファ手段1−8を備えている。
無線LAN送信バッファ手段1−7は、確認応答を用いた再送制御を行わず、かつ最小フレーム間隔で連続的にフレーム送信を行う確認応答なしフレームバースト適用キュー1−7−1と、確認応答を用いた再送制御を行い、かつ所定のフレーム間隔で送信を行う確認応答ありフレームバースト非適用キュー1−7−2の両方を備えている。
【0012】
また、本発明による無線LAN基地局1は、ブリッジ動作のために、有線LANヘッダ解析手段1−9とこの結果を受けてブリッジ処理を行う有線LAN制御手段1−10と、無線LANヘッダ解析手段1−11と、この結果を受けてブリッジ処理を行う無線LAN制御手段1−12と、当該無線LAN基地局に連絡している端末に関する情報等からなるトラフィック管理テーブル1−13を備えている。
本発明による無線LAN基地局1は、無線端末へのデータパケット送信において、確認応答を用いた再送制御を行わない。確認応答パケットの代わりとして、無線端末からのデータパケットに付随した再送要求情報を用いている。すなわち、再送要求情報を解析して再送要求がある場合にのみ、データパケットの再送を行う。
このため、無線LANヘッダ解析手段1−11において再送要求情報を取り出し、再送要求処理手段1−14においてその内容を解析する。
【0013】
一方、有線LAN制御手段1−10あるいは無線LAN制御手段1−12から無線LAN送信バッファ手段1−7に転送されたデータトラフィックは、ビーコン後に、確認応答による再送制御なしで最小フレーム間隔で連続的にフレーム送信を確認応答なしフレームバースト適用キュー1−7−1に格納する。また、さらに、無線LAN送信バッファ手段1−7に転送されたデータトラフィックは、再送処理手段1−15および通知パケット生成手段1−16にも印加される。
【0014】
再送処理手段1−15では、前記再送要求処理手段1−14から出力される再送要求情報に基づいて、再送要求が必要となるデータトラフィックを、確認応答を用いた再送制御を行い、かつ所定のフレーム間隔で送信を行う確認応答ありフレームバースト非適用キュー1−7−2に格納する。このため、再送データパケットの伝送においては、確認応答パケットを用いた再送制御が行われるので、高い成功確率で当該無線端末に伝送される。
通知パケット生成手段1−16では、ビーコン間にフレームバーストパケットにより無線端末に送信されたデータパケットに関する情報(MACアドレスとシーケンス番号等のヘッダ情報)を取得し、この情報(以下通知パケットと称する)を複数の無線端末宛てにブロードキャストあるいはマルチキャストを用いて通知する。
【0015】
次に、図3を用いて、無線端末の詳細な構成について説明する。
図3は、本発明に用いる無線端末の一構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、本発明に用いる無線端末2は、無線LANにおける送受信動作を行うために、無線LAN送受信手段2−1と、無線LAN送信制御手段2−2と、無線LAN送信バッファ手段2−3と、無線LAN受信バッファ手段2−4を備えている。
無線端末2における無線LAN送信バッファ手段2−3は、確認応答パケットを用いた再送制御を行う。ただし、フレームバーストの適用は行わず、所定のフレーム間隔でフレーム送信を行う。このため、無線端末2から無線LAN基地局1へのデータパケットは、確認応答パケットを用いた再送処理により高い成功確率で伝送される。
【0016】
また、無線端末2は音声端末であるものとし、マイクロホン2−5およびスピーカ2−6が具備されている。無線音声端末においては、音声トラフィックの送受信を行うために、音声用バッファ手段2−7と、音声トラフィック生成手段2−8と、音声トラフィック分解手段2−9を備えている。
【0017】
本発明に用いる無線端末2は、無線LAN受信バッファ手段2−4から出力される受信データパケットを音声トラフィック分解手段2−9に印加すると同時に、受信したデータパケットに関する情報を受信トラフィック管理テーブル2−10に保持する。
【0018】
無線LANヘッダ解析手段2−11により、通知パケットを検出すると、通知パケット処理手段2−12において、無線LAN基地局1から送信されたすべての無線端末2宛てのパケットに関する情報を取得する。再送要求処理手段2−13では、前記受信トラフィック管理テーブル2−10の情報を参照して再送の必要性の有無を判定し、再送ヘッダ付加手段2−14に通知する。
【0019】
再送ヘッダ付加手段2−14では、無線端末2が送信するデータパケットのヘッダ部分に、再送要求の有無に関する再送要求情報を付加し、そのデータパケットを無線LAN送信バッファ手段2−3に印加する。
【0020】
次に、図4を用いて、本発明による無線LANにおける音声データパケット伝送動作について詳細に説明する。図4は、本発明による無線LANにおける音声データパケット伝送動作の一例を表すタイミング図である。
【0021】
図4において、“B”は無線上におけるビーコンを表している。また、ND(N=1〜3)は、無線LAN基地局1から無線端末2−Nに伝送される音声データトラフィックを表しており、NU(N=1〜3)は、無線端末2−Nから無線LAN基地局1に伝送される音声データトラフィックを表している。Nは各通話を区別して表示するためにつけた番号である。
【0022】
無線LAN基地局1においては、これらの音声データトラフィックに対して、無線伝送路−有線伝送路間でのブリッジ動作を行う。以下では、このブリッジ動作について、詳細に説明する。有線LAN送受信手段1−1において受信した有線LAN4からの音声データパケットは、有線LAN受信バッファ手段1−4に格納される。有線LAN制御手段1−10では、有線LANヘッダ解析手段1−9において検出された宛て先情報と、トラフィック管理テーブル1−13に格納されている自基地局配下の無線端末2のテーブルとから、当該トラフィックが自基地局配下の無線端末2宛てであるかを判断する。自基地局配下の無線端末2宛てである場合には、当該トラフィックを無線LAN送信バッファ手段1−7に格納する。音声データトラフィックについては、無線LAN送信バッファ手段1−7の中の確認応答なしフレームバースト適用キュー1−7−1に格納され、無線LAN送信制御手段1−6,無線LAN送受信手段1−5を経て、ビーコン周期でビーコンに引き続いて単一バーストとして送信される。図4においては、ビーコン周期は、音声データパケットの周期と一致するものとしている。図4において、無線端末2−1,2−2,2−3宛てのデータパケットがSIFS(Short Inter-Frame Space )間隔で送信されている。
また、無線LAN送受信手段1−5において無線LAN経由で受信した無線端末2からの音声データパケットは、無線LAN受信バッファ手段1−8に格納される。無線LAN制御手段1−12は、無線LANヘッダ解析手段1−11において検出された宛て先情報と、トラフィック管理テーブル1−13に格納されている自基地局配下の無線端末2のテーブルとから、当該トラフィックが自基地局配下の無線端末2宛てでない場合には、当該トラフィックを有線LAN送信バッファ手段1−3に格納する。有線LAN送信バッファ手段1−3に格納されたトラフィックは、有線LAN送受信制御手段1−2,有線LAN送受信手段1−1を経て、有線LAN4上に送信される。
【0023】
ところで、有線LAN制御手段1−10からの音声データトラフィックの情報は通知パケット生成手段1−16および再送処理手段1−15にも印加されており、各々通知パケットおよび再送パケットの生成に使用される。
通知パケット生成手段1−16においては、フレームバースト期間に伝送したすべてのデータパケットのMACアドレス,シーケンス番号等の情報を、すべての無線端末2に報知するための通知パケットを生成し、無線LAN送信バッファ手段1−7に格納する。図4においては、通話パケットはFEと表記されている。図4の例では、通知パケットは、確認応答なしフレームバースト適用キュー1−7−1に格納されており、音声データトラフィックに引き続きSIFS間隔で送信されている。通知パケットは、マルチキャストあるいはブロードキャストで全無線端末2に対して送信される。通知パケットの信頼性を高めるために、あらかじめ複数の同一内容の通知パケットを生成し、送信することもできる。
ところで、無線端末2−Nから無線LAN基地局1に伝送される音声データトラフィックには、再送要求情報が付随している。再送要求処理手段1−14では、MACアドレス,シーケンス番号等の再送要求情報を解析し、その結果を再送処理手段1−15に通知する。再送要求を受け取った場合には、再送処理手段1−15は、保持していた当該MACアドレス,当該シーケンス番号のトラフィックを確認応答ありフレームバースト非適用キューに格納する。この再送パケットは、無線LAN送信制御手段1−6,無線LAN送受信手段1−5を経て、無線LAN上に送信される。この再送パケットは、確認応答ありで送信される。すなわち、無線LAN送信制御手段1−6により再送制御が行われるので、伝送における信頼性は高い。
【0024】
一方、図4に示した一実施例においては、無線端末2は、自端末においてマイクロホン2−5から生起した音声データトラフィックを、次回の通知パケット受信まで音声用バッファ手段2−7に保持しておき、さらに音声トラフィック生成手段2−8,再送ヘッダ付加手段2−14,無線LAN送信バッファ手段2−3,無線LAN送信制御手段2−2によりランダムな遅延を与えた後に、無線伝送路上に音声データパケットとして送信する。
この音声データパケットのヘッダには、直前の通知パケットにより無線LANヘッダ解析手段2−11,通知パケット処理手段2−12で判明した再送要求情報が再送要求処理手段2−13,再送ヘッダ付加手段によって付加されている。
通知パケットにおいては、例えば、フレームバースト期間に送信したパケットの宛て先MACアドレス,シーケンス番号等の情報を通知することができる。ネットワーク上での遅延ゆらぎに起因して、1つのフレームバーストにおいて同一端末宛てに複数のパケットが送信される場合があるが、シーケンス番号はこれらを識別するために使用することができる。
無線端末2は、無線LANヘッダ解析手段2−11において通知パケットにより通知された情報に基づいて、自端末宛てのパケットをすべて受信できたかどうかを確認し、正常に受信できなかったパケットがある場合には再送ヘッダ付加手段2−14において、再送要求処理手段を用いて送信データパケットのヘッダに再送要求情報を付加する。
無線LAN基地局1は、音声データパケットを受信すると、無線LANヘッダ解析手段1−11においてそのヘッダに含まれる再送要求情報を取得し、再送が要求されている場合には無線LAN受信バッファ手段1−8において保持していた当該データの再送を行う。この再送においては確認応答パケットを用いた伝送が行われる。無線LAN基地局1は、確認応答パケットを受信するか、あるいは再送回数が規定値に達するまで再送を繰り返すので、再送要求に基づいた再送動作の信頼性は高く、これ以上の再送処理は必要ではない。
【0025】
図5は、無線区間の音声パケット伝送の要領をさらに分かり安く説明するためのタイムチャートの1例である。図5に示した例の動作条件は次の通りである。
(1)ビーコンの周期は、VoIPパケットと同一周期とする。
(2)ビーコンのPIFS(Point Inter Frame Space )後に、AP(Access Point:アクセスポイント)から無線端末2への下りVoIPパケット(以下、下りVoIPパケット)の送信を単一シーケンスとして行う。すなわち、複数の下りVoIPパケットを伝送する場合には、送信権の獲得は先頭パケットのみで行い、2番目以降のパケットは前パケット送信完了のSIFS後に送信する。下りVoIPパケット伝送時間が物理媒体占有時間の上限値(4ms)を超える場合には、一旦シーケンスを終了し、そのDIFS後に残りの下りVoIPパケットの送信を単一シーケンスとして行う。
(3)下りVoIPパケットの送信は、確認応答なしで行うために、例えば、マルチキャストで行う。下りVoIPパケットには、独自の拡張領域(以下、独自ヘッダ)を設け、再送制御のためのシーケンス番号を格納する。以下では、独自ヘッダを含むパケットを独自パケットと呼ぶ。
(4)下りVoIPパケットの伝送に引き続き、アクセスポイントAPは通知パケットを同一シーケンス内で送信する。ただし、同一シーケンス内での通知パケットの送信が処理タイミング上実行困難である場合には、通知パケットの送信は下りVoIPパケットとは別のシーケンスとしてもよい。また、通知パケットの送信を確認応答を用いた通常のユニキャストで送信してもよい。通知パケットでは、ビーコン後にフレームバーストの信号形式で送信したすべての下りVoIPパケットに関する情報が通知される。
(5)通知パケットの送信は、マルチキャストで行う。通知パケット伝送の信頼性を高めるために、通知パケットの伝送では同一パケットを複数回送信してもよい。
(6)無線端末2は、通知パケットを受信した後に、上りVoIPパケットの送信を行う。上りVoIPパケットの送信は、ユニキャストで行う。
(7)上りVoIPパケットには、独自ヘッダを設け、下りVoIPパケットの再送制御のための情報を格納する。
(8)アクセスポイントAPは、上りVoIPパケットを受信すると独自ヘッダの解析を行い、再送要求が含まれる場合には、下りVoIPパケット再送を行う。再送時の下りVoIPパケット(以下、再送下りVoIPパケット)の送信は、ユニキャストで行う。
(9)再送下りVoIPパケットには、独自ヘッダを設け、シーケンス番号情報を格納する。無線端末2は、この情報に基づいて、1ビーコン周期内において受信した複数VoIPパケットの順序の入れ替わりを補正することができる。
【0026】
次に、本発明の無線LANにおける最大同時通話数の改善について、図6,図7,図8および表1を用いて説明する。
図6は、現時点での標準無線LANを用いて音声パケットを伝送する場合における、1パケットシーケンスの媒体占有時間を示している。
図6に示した時間は、音声コーデックをG.711、音声パケット周期を20msとした場合の数値である。また、無線伝送速度は11Mbps とし、音声パケットでは伝送効率のよいショートプリアンブルを用いるものとしている。現状の製品に合わせて、確認応答(ACK)パケットにおいては、ロングプリアンブルを用いたものとした。
音声パケットシーケンスの時間長は839μs であるが、その中に含まれる音声パケットの時間長は267μs であり、さらに音声データの正味の伝送時間は116μs である。すなわち、この場合の伝送効率は約14%である。
このときの最大同時通話数は、次式(1)より11通話と求まる。ただし、ビーコンの時間長を1msとした。
(20ms−1ms)/ 839μs /2=11.3 (1)
【0027】
図7は、本発明の無線LANにおける、無線LAN基地局1から無線端末2宛てに送信される音声パケットシーケンスの媒体占有時間を示している。
図7に示した時間も、音声コーデックをG.711、音声パケット周期を20msとした場合の数値である。また、無線伝送速度も11Mbps とし、音声パケットでは伝送効率のよいショートプリアンブルを用いるものとしている。
音声パケットシーケンスの時間長は277μs 、その中に含まれる音声パケットの時間長は267μs であり、さらに音声データの正味の伝送時間は116μs である。すなわち、この場合の伝送効率は約42%である。
【0028】
図8は、本発明の無線LANにおける、無線端末2から無線LAN基地局1宛てに送信される音声パケットシーケンスの媒体占有時間を示している。
図8に示した時間も、音声コーデックをG.711、音声パケット周期を20msとした場合の数値である。また、無線伝送速度も11Mbps とし、音声パケットでは伝送効率のよいショートプリアンブルを用いるものとしている。
音声パケットシーケンスの時間長は559μs 、その中に含まれる音声パケットの時間長は267μs であり、さらに音声データの正味の伝送時間は116μs である。すなわち、この場合の伝送効率は約21%である。
このときの最大同時通話数は、次式(2)より22通話と求まる。ただし、ビーコンの時間長を1msとした。
(20ms−1ms)/(277μs + 559μs)=22.7 (2)
【0029】
ただし、図8におけるフレーム間隔は80μs であり、図6におけるフレーム間隔の360μs と比較すると1/4〜1/5程度となっている。これは、図6に示したシーケンスにおいては、衝突回避のためのランダム値の取り得る値が32値であるのに対して、図8に示したシーケンスにおけるランダム値の取り得る値は4値しかないためである。
【0030】
このため、図8に示したシーケンスにおいては、トラフィック輻輳時に、約1 /4確率で送信タイミングの一致によるパケット衝突が発生した場合に、両方のパケットが誤るものとすると、無線端末2から無線LAN基地局1宛てに送信されるパケットのうち、約1/4のパケットは無効なパケットとなる。これを考慮した場合の最大同時通話数は17となる。
複数の前記無線端末2における送信タイミングが一致した場合には、前記無線LAN基地局1は、ほぼ同時に複数のデータパケットを受信する。この場合において、一般に、複数のデータパケットの受信レベル差が10dB以内であれば、両方のパケットを誤って受信する確率が高い。この場合には、1パケットの無効パケットが発生する。
一方、複数データパケットの無線LAN基地局1における受信レベル差が20dB以上あれば、受信レベルの高い方のパケットを正常に受信し、受信レベルの低い方のパケットは受信しない確率が高い。この場合には、無効パケットは発生しない。
従って、実環境における最大同時通話数は、17〜22間となると考えられる。
【0031】
本発明の無線LANにおいて、音声をデータパケットとして伝送した場合の最大同時通話数を表1に示す。比較のために、現在、最も普及しているIEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANにおける最大同時通話数も合わせて示している。
【0032】
【表1】

【0033】
無線LANを用いたVoIPシステムにおいては、レイヤ2における再送処理に起因して、最大同時通話数が減少する。特に、無線端末2が圏外となると、無線端末2は予め規定された上限回数まで音声パケットの再送を繰り返し、最大同時通話数は大幅に減少する。この場合には、一般に無線LAN基地局1も、当該無線端末2宛ての音声パケットの再送を予め規定された上限回数まで繰り返すので、最大同時通話数の減少はさらに大きくなる。そこで、表1においては、圏外となり音声パケットの再送を繰り返す無線端末2を再送端末と呼び、その台数ごとの最大同時通話数を示している。表1においては、無線端末2および無線LAN基地局1における再送の上限回数を4回としている。
【0034】
表1より、本発明による無線LANによれば、現在最も普及しているIEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANシステムと比較して、最大同時通話数を2倍〜3倍に改善できることが分かる。
【0035】
本発明の無線LANにおける最大同時通話数の改善効果は、無線端末2が通話中にパワーセーブ動作を行う場合において一層顕著となる。
本発明の無線LANにおいて、無線端末2が通話中にパワーセーブ動作を行う場合の最大同時通話数を表2に示す。比較のために、現在、最も普及しているIEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANにおいて、無線端末2が通話中にパワーセーブ動作を行う場合の最大同時通話数も合わせて示している。
【0036】
表1および表2を比較すると、本発明による無線LANにおいては、無線端末2が通話中パワーセーブ動作を行うかどうかによらず最大同時通話数は同じであることが分かる。
一方、IEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANにおいては、無線端末2が通話中パワーセーブ動作を行う場合には、最大同時通話数が7割程度まで減少している。
【0037】
【表2】

【0038】
本発明による無線LANにおける無線端末2の通話中パワーセーブ動作を図9に示す。また、参考として、IEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANシステムにおける無線端末2の通話中バワーセーブ動作を図10に示す。
【0039】
図9において、無線端末2のパワーセーブモード変更の無線LAN基地局1への通知は、無線端末2から無線LAN基地局宛ての音声パケットにより行っている。すなわち、再送要求を含まない音声パケットにおいては、アクティブモードへの移行を通知し、再送要求を含む音声パケットにおいては、パワーセーブモードへの移行の通知を行っている。
図9から分かるように、本発明による無線LANでは、パワーセーブ動作だけのためのパケットは使用していない。
【0040】
一方、図10に示すように、IEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANシステムにおいては、ビーコン直後の無線LAN基地局1から無線端末2宛ての音声パケットを無線端末2が受け取るためには、無線端末2はPS−Pollと呼ばれる要求パケットを送信しなければならない。
また、その後の無線LAN基地局1から無線端末2宛ての音声パケットを無線端末2が受け取るためには、無線端末2から無線LAN基地局1宛ての音声パケットを用いて、アクティブモードへの移行を、無線LAN基地局1に通知しなければならない。無線LAN基地局1は、無線端末2のアクティブモードへの移行の通知を受け取ると、保持していた当該無線端末2宛ての音声パケットの送信を行う。無線端末2は、この音声パケットの受信後に再びパワーセーブモードに移行するために、Nullパケットと呼ばれるデータ部分を含まないレイヤ2パケットを用いて、パワーセーブモードへの移行を無線LAN基地局1に通知しなければならない。
【0041】
このように、IEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANシステムにおいて、無線端末2が通話中にパワーセーブモードで動作する場合には、無線LAN基地局1から無線端末2への音声パケット伝送のたびにPS−PollまたはNullパケットが発生するので、これに起因して最大同時通話数は減少してしまう。
【0042】
表2より、本発明による無線LANによれば、無線端末2が通話中パワーセーブ動作を行う場合には、現在、最も普及しているIEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANシステムと比較して、最大同時通話数を3倍〜4倍に改善できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、音声伝送において通話品質を損なうことなしに最大同時通話数を向上させることができる。また、通話中にパワーセーブ動作を行う場合にも最大同時通話数の減少はない。バッテリーに関する要求条件の厳しいIP携帯電話システムにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例である無線LAN装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に用いる無線LAN基地局の一構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明に用いる無線端末の一構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明による無線LANにおけるデータパケット伝送動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明による無線LANにおけるデータパケット伝送動作をさらに分かり易く説明するためのタイミングチャートである。
【図6】現在用いられている標準無線LANにおける音声パケット伝送の1パケットシーケンスの媒体占有時間を示すタイムチャートである。
【図7】本発明による無線LANにおける無線基地局が無線端末宛てに伝送されている音声パケットシーケンスの媒体占有時間を示すタイムチャートである。
【図8】本発明による無線LANにおける無線端末から無線基地局宛てに伝送されている音声パケットシーケンスの媒体占有時間を示すタイムチャートである。
【図9】本発明による無線LANにおける無線端末の通話中パワーセーブ動作を説明するためのタイムチャートである。
【図10】IEEE802.11標準に準拠した一般的な無線LANにおける無線端末の通話中パワーセーブ動作を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1,1a,1b,1c 無線LAN基地局
1−1 有線LAN送受信手段
1−2 有線LAN送信制御手段
1−3 有線LAN送信バッファ手段
1−4 有線LAN受信バッファ手段
1−5 無線LAN送受信手段
1−6 無線LAN送信制御手段
1−7 無線LAN送信バッファ手段
1−7−1 確認応答なしフレームバースト適用キュー
1−7−2 確認応答ありフレームバースト非適用キュー
1−8 無線LAN受信バッファ手段
1−9 有線LANヘッダ解析手段
1−10 有線LAN制御手段
1−11 無線LANヘッダ解析手段
1−12 無線LAN制御手段
1−13 トラフィック管理テーブル
1−14 再送要求処理手段
1−15 再送処理手段
1−16 通知パケット生成手段
2,2a,2b,2c 無線端末
2−1 無線LAN送受信手段
2−2 無線LAN送信制御手段
2−3 無線LAN送信バッファ手段
2−4 無線LAN受信バッファ手段
2−5 マイクロホン
2−6 スピーカ
2−7 音声用バッファ手段
2−8 音声トラフィック生成手段
2−9 音声トラフィック分解手段
2−10 受信トラフィック管理テーブル
2−11 無線LANヘッダ解析手段
2−12 通知パケット処理手段
2−13 再送要求処理手段
2−14 再送ヘッダ付加手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN基地局と、無線LANを介して前記無線LAN基地局に接続される複数の無線端末とを備え、
前記無線LAN基地局から前記複数の無線端末へは、該複数の無線端末にそれぞれ対応する複数のデータパケットをフレームバーストパケットの信号形式で確認応答を使用しないで伝送し、さらに、前記フレームバーストパケットの信号形式で伝送した一連のヘッダ情報を通知パケットとしてマルチキャストの信号形式で伝送し、
前記複数の無線端末のおのおのから前記無線LAN基地局へは、該複数の無線端末の各個別のデータパケットを確認応答を使用したユニキャストパケットで順次伝送し、
前記複数の無線端末のおのおのは前記確認応答を使用しないフレームバーストパケットのうちの当該無線端末に対応するパケットと前記通知パケットとを受信し、該通知パケットで通知された当該無線端末宛てのフレームパケットの中で未受信のパケットが存在することが検知された場合には、当該無線端末から前記無線LAN基地局へ当該未受信パケットの再送要求を再送ヘッダを付加して行う再送要求情報を伝送し、
前記無線LAN基地局は、前記再送要求情報を受信したときに、当該再送要求情報に対応するパケットを通常の確認応答を使用したユニパケットで前記再送要求情報を送出した前記無線端末に再伝送し、
該再送要求情報を送出した当該無線端末は、該再伝送されたパケットを受信する
ことを特徴とする無線LANにおけるパケット伝送方法。
【請求項2】
前記無線LAN基地局から前記複数の無線端末へは、該複数の無線端末にそれぞれ対応する複数のデータパケットを確認応答を使用しないフレームバーストパケットの信号形式でマルチキャストにより単一シーケンスとして伝送することを特徴とする請求項1に記載の無線LANにおけるパケット伝送方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無線LANにおけるパケット伝送方法を実施するために、
複数の前記無線端末に宛てた複数のデータパケットを、確認応答なしに最小フレーム間隔で連続して送信するための確認応答なしフレームバースト送信手段と、
前記無線端末から送信されるデータパケットに含まれる再送要求情報に基づいて、再送すべきデータパケットを送出するための処理を行う再送処理手段と、
ビーコン間において、確認応答パケットなしに最小フレーム間隔で連続して送信したすべてのデータパケットであるフレームバーストパケットに関するフレームバースト構成情報を、複数の前記無線端末に通知するための通知パケットを生成する通知パケット生成手段と、
前記再送すべきデータパケットの送出を、所定のフレーム間隔と確認応答パケットを用いた再送制御手順を用いて前記通知パケットを付加して行う確認応答ありフレーム送信手段と、
を備えていることを特徴とする無線LAN基地局装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の無線LANにおけるパケット伝送方法を実施するために、
前記通知パケットに含まれるフレーム構成情報で通知された当該無線端末宛てのフレームバーストパケットの中に未受信パケットが存在することが検知された場合には、再送要求情報を生成する再送要求処理手段と、
該再送要求処理手段で生成した再送要求情報を、前記無線LAN基地局宛てのデータパケットに付随して再送ヘッダを付加して再送信するための再送ヘッダ付加手段と、
前記再送されたデータパケットを受信する再送パケット受信手段と
を備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項5】
無線LAN基地局と、無線LANを介して前記無線LAN基地局に接続される無線端末とを備え、
前記無線LAN基地局は、
複数の前記無線端末に宛てた複数のデータパケットを、確認応答なしに最小フレーム間隔で連続して送信するための確認応答なしフレームバースト送信手段と、
前記無線端末から送信されるデータパケットに含まれる再送要求情報に基づいて、再送すべきデータパケットを送出するための処理を行う再送処理手段と、
ビーコン間において、確認応答パケットなしに最小フレーム間隔で連続して送信したすべてのデータパケットであるフレームバーストパケットに関するフレームバースト構成情報を、複数の前記無線端末に通知するための通知パケットを生成する通知パケット生成手段と、
前記再送すべきデータパケットの送出を、所定のフレーム間隔と確認応答パケットを用いた再送制御手順を用いて前記通知パケットを付加して行う確認応答ありフレーム送信手段とを備え、
前記無線端末は、
前記通知パケットに含まれるフレーム構成で通知された当該無線端末宛てのフレームバーストパケットの中に未受信パケットが存在することが検知された場合には、再送要求情報を生成する再送要求処理手段と、
該再送要求処理手段で生成した再送要求情報を、前記無線LAN基地局宛てのデータパケットに付随して再送ヘッダを付加して再送信するための再送ヘッダ付加手段と、
前記再送されたデータパケットを受信する再送パケット受信手段と、
を備えたことを特徴とする無線LANにおけるパケット伝送装置。
【請求項6】
前記無線LAN基地局の前記確認応答なしフレームバースト送信手段は、フレームバーストで送信するパケットに対してシーケンス番号を付与するシーケンス番号付与手段を含み、
前記無線端末の前記再送要求処理手段は、前記シーケンス番号を含めた再送要求情報を生成し、
前記無線LAN基地局の前記再送処理手段では、前記無線端末から送信されるデータパケットに付随した再送要求情報に含まれる前記シーケンス番号を参照して再送処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の無線LANにおけるパケット伝送装置。
【請求項7】
前記無線端末は、前記無線LAN基地局に対して、予め、自端末宛てのデータパケットをフレームバーストを用いたデータパケットの送信を要求するためのフレームバースト要求パケット生成手段を備え、
前記無線LAN基地局は、前記フレームバースト要求パケットを受信した場合に、当該前記無線端末宛のデータパケット送信におけるフレームバースト適用の有無を、当該前記無線端末に通知するためのフレームバースト応答パケット生成手段を備え、
前記無線LAN基地局の前記フレームバースト送信手段は、フレームバーストの適用を有りとした前記無線端末宛てのパケットのみフレームバーストで送信を行い、その外の前記無線端末宛てのパケットについては、フレームバーストを用いず、確認応答ありで送信し、
前記無線端末の再送要求処理手段は、フレームバーストの適用をありとするフレームバースト応答パケットを受信した場合のみ、再送要求情報をデータパケットに付随して送信し、フレームバーストの適用をなしとするフレームバースト応答パケットを受信した場合には、再送要求情報を付加することなしにデータパケットを送信することを特徴とする請求項5に記載の無線LANにおけるパケット伝送装置。
【請求項8】
前記無線LAN基地局の前記フレームバースト送信手段は、所定の優先度を有するデータパケットのみをフレームバーストで送信を行い、それ以外の優先度のデータパケットについては、フレームバーストを用いず、確認応答ありで送信し、
前記無線端末の再送要求処理手段は、所定の優先度を有するデータパケットに対してのみ、再送要求情報を付随させて送信し、それ以外の優先度のデータパケットについては、再送要求情報を付加することなしに該データパケットを送信することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の無線LANにおけるパケット伝送装置。
【請求項9】
前記無線端末が、再送要求情報を前記無線LAN基地局宛てのデータパケットに付随して送信するときに、
付随する再送要求情報がフレームバーストで受信したデータパケットの再送を要求する場合には、送信するデータパケットのヘッダ情報によりパワーセープモードをアクティブモードに移行することを前記無線LAN基地局に通知し、
付随する再送要求情報がフレームバーストで受信したデータパケットの再送を要求しない場合には、送信するデータパケットのヘッダ情報によりパワーセーブモードをスリーブモードに移行することを前記無線LAN基地局に通知することを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の無線LANにおけるパケット伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−54853(P2006−54853A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184404(P2005−184404)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】