説明

焼却灰運搬システム及び焼却灰運搬方法

【課題】 焼却場等で発生する煤塵等の有害物質を含有する焼却灰を粉体の状態のまま運搬することを可能とするとともに、車道又は鉄道を適宜利用することを可能にする焼却灰運搬システム及び焼却灰運搬方法の提供。
【解決手段】 ごみ焼却場等から発生する焼却灰を密閉容器又は密容器へ収容し運搬するシステムであって、前記密閉容器又は密容器内を真空状態にするとともに焼却灰を圧送して該密閉容器又は密容器へ送る収容手段と、前記収容手段によって焼却灰を収容した前記密閉容器又は密容器を密閉にして運搬する運搬手段と、前記運搬手段によって運搬された前記密閉容器又は密容器の焼却灰を該密閉容器又は密容器から圧縮空気を利用して排出する排出手段とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却灰運搬システム及び焼却灰運搬方法に関し、より詳しくは、焼却場等で発生する煤塵等の有害物質を含有する焼却灰を粉体の状態のまま運搬することを可能とするとともに、車道又は鉄道を適宜利用することを可能にする焼却灰運搬システム及び焼却灰運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼却場等で発生する煤塵等の有害物質を含有する焼却灰は、粉体(灰状)の状態で貯蔵されていた。
このため、運搬する際に粉体の焼却灰が拡散しないように、発生する焼却灰を運搬する際には、水等の液体と懸濁させることによって、焼却灰をスラリー状として、焼却灰の粉体が拡散しないように処理してから運搬されていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このように焼却灰に液状化する処理を施してから運搬することは、粉体のまま運搬する場合と比べて、液状化することによる重量の増加、更には、運搬費の増加を招いていた。
【0003】
上記するような問題点を解決するため、焼却灰(焼却残渣)を乾燥させた状態で搬送することができる灰搬送車が創出されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この灰搬送車は、焼却灰中の磁選分離装置では分離することのできない金属片等を除去する分離装置を備えた灰搬送車であるので、焼却灰を排出する際に、金属片等を除去して排出することはできるが、焼却灰をこの灰搬送車に供給したり、灰搬送車から排出したりする際に拡散することを防止することが確実にできず、焼却灰が漏れ出てしまい、焼却灰に含まれる有害物質(ダイオキシン等)が拡散する危険性を有していた。
このため、焼却灰を灰搬送車へ供給及び灰搬送車から排出するために焼却場やサイロに焼却灰の拡散を抑止する装置を設けなければならず、反って大掛りな装置を必要としており、作業工程の増加及び運搬費の増加を招いていた。
【0004】
【特許文献1】特開平8−133475号公報
【特許文献2】特開平9−95173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、大掛りな装置を必要とせず、従来ある吸引圧送車両に除塵手段を設けることにより、焼却場等で発生する煤塵等の有害物質を含有する焼却灰を粉体の状態のまま運搬することを可能とするとともに、車道又は鉄道を適宜利用することを可能にし、効率よく焼却灰を運搬することを可能にする焼却灰運搬システム及び焼却灰運搬方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、ごみ焼却場等から発生する焼却灰を密閉容器又は密容器へ収容し運搬するシステムであって、前記密閉容器又は密容器内を真空状態にするとともに焼却灰を圧送して該密閉容器又は密容器へ送る収容手段と、前記収容手段によって焼却灰を収容した前記密閉容器又は密容器を密閉にして運搬する運搬手段と、前記運搬手段によって運搬された前記密閉容器又は密容器の焼却灰を該密閉容器又は密容器から圧縮空気を利用して排出する排出手段とからなることを特徴とする焼却灰運搬システムを提供する。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記収容手段が、前記密閉容器又は密容器内を真空状態にする吸引手段と、前記吸引手段によって吸引される空気を外部へ放出するための放出通路が設けられ、前記放出通路は、HEPAフィルタ及び除塵用バグフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1記載の焼却灰運搬システムを提供する。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記排出手段が、前記密閉容器又は密容器から焼却灰を他の密閉容器又は密容器へ排出する際に、該他の密閉容器又は密容器に放出通路が連結されていることを特徴とする請求項2記載の焼却灰運搬システムを提供する。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記運搬手段は、車道又は線路に沿って走行することができることを特徴とする請求項1記載の焼却灰運搬システムを提供する。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記収容手段は、車両に設けられていることを特徴とする請求項1記載の焼却灰運搬システムを提供する。
【0011】
請求項6記載の発明は、ごみ焼却場等から発生する焼却灰を密閉容器又は密容器に収容して運搬する方法であって、前記密閉容器又は密容器を真空状態にするとともに焼却灰を圧送して、前記焼却灰を該密閉容器又は密容器に収容し、前記焼却灰を収容した前記密閉容器又は密容器を密閉にして所望する目的地へ運搬し、前記目的地において、前記密閉容器又は密容器内の前記焼却灰を圧縮空気を利用して排出することを特徴とする焼却灰運搬方法を提供する。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記密閉容器又は密容器を運搬する際に、車道又は鉄道を利用することを特徴とする請求項6記載の焼却灰運搬方法を提供する。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記密閉容器又は密容器を真空状態にするとともに焼却灰を圧送する手段を車両に具備させていることを特徴とする請求項6記載の焼却灰運搬方法を提供する。
これらの発明を提供することで上記課題を悉く解決する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、焼却灰を粉体の状態のまま密閉容器又は密容器に吸引して運搬し、該密閉容器又は密容器から圧送することができるので、焼却灰を液状化されたスラリー状にする必要がないため、作業工程を減少させることができるとともに、焼却灰のみを運搬することになり、運搬重量を極めて軽量化することができるので、焼却灰を極めて効率よく運搬することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、放出通路にHEPAフィルタ及び除塵用バグフィルタが設けられているので、密閉容器又は密容器を真空状態にする際に吸引される密閉容器又は密容器内の空気から、ダイオキシンや煤塵等の有害物質を含有する焼却灰を確実に除去することができ、吸引手段によって吸引された空気を清浄化して外気へ排出することができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、他の密閉容器又は密容器と放出通路が連結されているので、排出手段によって、焼却灰が他の密閉容器又は密容器へと圧送され、他の密閉容器又は密容器からの空気を外部へ放出する際に、放出通路に設けられるフィルタによってダイオキシン等の有害物質を含む焼却灰が外部へ拡散されることを防止することができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、運搬手段が車道又は線路を走行することができるので、交通量や交通費に応じて、貨車を利用する鉄道輸送や運搬車を利用する車両輸送に適宜変更することができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、吸引手段が車両に設けられていることによって、焼却灰を吸引する密閉容器又は密容器へ焼却灰を運搬することができ、焼却灰が発生する焼却場に密閉容器又は密容器を準備しておく必要がなく、作業工程を減少させることができるとともに作業効率を挙げることができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、焼却灰を粉体の状態のまま密閉容器又は密容器に吸引して運搬し、該密閉容器又は密容器から圧送することができるので、焼却灰を液状化されたスラリー状にする必要がないため、作業工程を減少させることができるとともに、焼却灰のみを運搬することができ、運搬重量を極めて軽量化することができるので、焼却灰を極めて効率よく運搬することができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、密閉容器又は密容器を運搬する際に車道又は鉄道を利用することができるので、交通量や交通費に応じて、貨車を利用する鉄道輸送や運搬車を利用する車両輸送に適宜変更することができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、吸引手段が車両に設けられていることによって、焼却灰を吸引する密閉容器又は密容器へ焼却灰を運搬することができ、焼却灰が発生する焼却場に密閉容器又は密容器を準備しておく必要がなく、作業工程を減少させることができるとともに作業効率を挙げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の概略構成図を示す。
本発明の焼却灰運搬システム(1)は、焼却灰を排出する排出事業者(11)、収容手段(2)、密閉容器又は密容器(3)、排出手段(5)、焼却灰を処理する処理施設(12)と、排出事業者(11)から処理施設(12)へ密閉容器又は密容器(3)を運搬する運搬手段(4)を有している。密閉容器又は密容器(3)は、詳細は後述するが、説明の便宜上密閉容器(3)と称する。
尚、焼却灰は、ゴミ等を焼却した際に発生する乾燥した粉体であり、焼却した際に生じる有害物質である煤塵等を含んでいる。
排出事業者(11)は、ごみ等の廃棄物を燃焼して燃焼灰を排出する施設やその事業者を指し示し、例えば、ごみ焼却場が該当する。
処理施設(12)は、焼却灰に無害化を行う処理施設を指し示し、例えば、焼却灰を加熱無害化処理し、セメント製品と混入させるセメント工場が該当する。
【0023】
収容手段(2)は、吸引手段(21)、タンク(22)、圧送手段(23)、放出通路(24)、圧送通路(25)を有している(図2参照)。
吸引手段(21)は、後述する密閉容器(3)内の空気を排出することのできるブロワー(B)が設けられている。このブロワー(B)を設けることによって、密閉容器(3)内の空気を吸引することができ、密閉容器(3)を真空状態にすることができる。
この吸引手段(21)は、密閉容器(3)を真空状態にするように吸気することができれば特に限定されないが、図2では、ブロワー(B)を2つ直列に配置し、大気へ排気するように設けられている。
尚、図2で示す如く、吸引手段(21)の通気路内に、空気とその他の物(空気よりも重い物質)を分離する(沈殿させる)分離室(21a)を設けて、空気に含有される不要物を分離することが好ましい。
【0024】
タンク(22)は、排出事業者(11)が排出する焼却灰を一時的に貯蔵する。このタンク(22)は、焼却灰を確実に貯蔵しておく、密閉容器である。
圧送手段(23)は、タンク(22)に貯蔵される焼却灰を、圧縮空気を利用することによって、密閉容器(3)へ圧送する。この圧送手段(23)の構成は、圧縮空気を発生して、この圧縮空気を使用して焼却灰を圧送することができれば特に限定されず、図2では、圧送ポンプ(A1)により外気を取り込み、キャッチ弁(A2)、安全弁(A3)、圧力計(A4)、圧送バルブ(A5)や圧送調整バルブ(A6)を利用して所望する圧縮空気を得られる構成としている。
【0025】
放出通路(24)は、密閉容器(3)と吸引手段(21)、タンク(22)と吸引手段(21)とを夫々連通連結している。図2では、三ツ又に分かれる交差部(24a)から密閉容器(3)、タンク(22)と吸引手段(21)へと夫々接続されている。
この放出通路(24)の交差部(24a)から吸引手段(21)までの放出通路(24)には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ(26a)及び除塵バグフィルタ(26b)が設けられている。尚、HEPAフィルタは、半導体工場のクリーンルームなどで使用されているひだ状の高性能フィルタであり、ガラス繊維やポリテトラフルオロエチレン樹脂多孔質膜で成形されている。
これらフィルタは、焼却灰を含む空気が放出通路(24)を通り、吸引手段(21)へ移動する際に、空気中の焼却灰を取り除き、清浄な空気を吸引手段(21)へと送ることを可能にする。
これらのフィルタ(26a,26b)は、直列に配置することが好ましい。これらのフィルタ(26a、26b)を直列に配置することによって、極めて優れた除塵効果を奏するからである。
尚、除塵バグフィルタ(26b)は、図2で示す如く、下方に除塵バグフィルタ(26b)を通過することのできない焼却灰を収集する収集用のキャッチャ(26c)を複数設けてもよいし、コンプレッサ(27a)、エアタンク(27b)とエアフィルタ(27c)を有する除塵装置(27)を設けても構わない。
尚、図2では、キャッチャ(26c)は、サイクロンで形成されており、除塵装置(27)はフィルタ(26b)の上方からエアを噴出してフィルタ(26b)に捕捉された焼却灰を除去させるように設けられている。
このように、キャッチャ(26c)や除塵装置(27)を設けることによって、焼却灰を確実に空気から分離除去することができ、極めて清浄な空気を得ることができるからである。
尚、吸引手段(21)は、圧送手段(23)が密閉容器(3)へ焼却灰を圧送している場合は、稼動していないことが好ましい。
【0026】
圧送通路(25)は、タンク(22)と密閉容器(3)を連通連結する。
圧送通路(25)の一端は、図2で示す如く、タンク(22)の下方に配置されるとともに、圧送手段(23)の圧送によってタンク(22)内の焼却灰を搬送することができる位置に設けられる。
【0027】
上記する収容手段(2)の構成を、車両に具備させても構わない。収容手段(2)を車両に具備させることによって、収容手段(2)を移動させることができるようになり、例えば、収容手段(2)のタンク(22)内に焼却灰を収容して、処理施設(12)まで運搬したり、鉄道に載置されている密閉容器(3)まで、焼却灰を運搬したりすることができる。このように、鉄道を利用して運搬する際には、収容手段(2)を有する車両で鉄道に載置される密閉容器(3)へ直接搬送することができ、鉄道を利用するためのターミナル駅等まで運搬するための車両を必要としないので作業効率の軽減を図ることができる。
このように収容手段(2)を車両に設ける際には、タンク(22)を圧送通路(25)側へ傾斜させることのできる傾斜機構を設けることが好ましい。このように傾斜機構を設けることによって、焼却灰を効率よく、圧送通路(25)へ送ることができるからである。
【0028】
密閉容器(3)は、粉体を密閉して貯蔵することのできる密閉容器又は密容器等の内容物(粉体)を密閉可能に収容することのできる容器である。
この密閉容器(3)は、粉体を密閉して収容することができるのであれば、車両等に搭載される密容器やタンクを採用することもできる。
また、密閉容器(3)は、鉄道又は車両の輸送において使用されるコンテナで形成されるとともに、密閉状態を維持することができるように改良された容器を採用することもできる。
コンテナ等の大型の容器を利用することによって、焼却灰を一度に且つ大量に運搬することができ、焼却灰の収集運搬効率を向上させることができる。
密閉容器(3)が密閉状態を維持することができるようにすることによって、密閉容器(3)内を吸引して減圧することや、密閉容器(3)内の焼却灰を加圧圧送して排出することができる。
尚、図2で示す如く、この密閉容器(3)の上部には、放出及び圧送通路(24,25)と連結可能なマンホール部(31,32)を有している。このマンホール部(31,32)は、第1及び圧送通路(24,25)等の通路(通風路)が連結されるときのみこれらのマンホール部(31,32)が開口されるように設けられている。
尚、この密閉容器(3)は、上記した如く、コンテナ貨車及び車両が有するコンテナ台(コンテナ車)に載置して運搬することが可能であるので、鉄道網(線路網)及び道路網を適宜選択して利用することができる。
【0029】
運搬手段(4)は、排出事業者(11)から処理施設(12)まで、密閉容器(3)を運搬する。この運搬手段(5)は、密閉容器(3)を安全に運搬することのできる運搬(輸送)を採用することができる。
また、密閉容器(3)がコンテナであることから、密閉容器(3)を載置することのできるコンテナ台を有する運搬手段であれば全ての手段を採用することができる。例えば、コンテナ貨車やコンテナ台を有する運搬車であれば、密閉容器(3)を輸送することが可能となり、線路(鉄道)及び車道に関わらず密閉容器(3)を運搬することができる。
尚、鉄道及び車道を利用することができるので、運搬を行う地理的条件に対応した効率のよい運搬を行うことができる。例えば、交通混雑が常態化した都市圏においては、排出事業者から処理施設まで、一般道路及び高速道路(車道)を利用すると時間がかかり過ぎてしまう問題点があるが、このような場合、鉄道を利用して、密閉容器(3)を運搬することによって、このような問題点を解決することができる。
【0030】
処理施設(12)は、上記する如く、焼却灰の無害化を行う処理施設を指し示し、例えば、焼却灰を加熱無害化処理し、セメント製品と混入させるセメント工場が該当する。
この処理施設(12)は、密閉容器(3)の焼却灰を、圧縮空気を利用して排出するための排出手段(5)が設けられている。排出手段(5)は、密閉容器(3)内の焼却灰を圧送することができれば、特に限定されるものではなく、通常の圧送装置が利用される。
この排出手段(5)の圧縮空気を利用することによって、密閉容器(3)内の焼却灰を処理施設(12)へ圧送することになる。このように排出手段(5)の圧縮空気を利用して密閉容器(3)から排出することによって、密閉容器(3)内の乾燥した焼却灰を確実に処理施設(12)へ排出することができる。
尚、排出手段(5)は、上記する圧送手段(23)と同様に、圧縮空気を利用して焼却灰を圧送する。
【0031】
本発明の焼却灰運搬システムの動作について図面を参照しつつ説明する。
図3は、本発明の焼却灰運搬システムの第1実施例を示す。
排出事業者(11)において排出された焼却灰を、この焼却灰を貯蔵する貯蔵容器(11a)から収容手段(2)を具備する車両のタンク(22)へ収容する。
収容手段(2)を有する車両のタンク(22)に焼却灰が収容されると、密閉容器(3)であるコンテナが準備されているターミナル駅へとこの車両(4)によって運搬する。
【0032】
コンテナである密閉容器(3)が準備されているターミナル駅へ車両が到着すると、第1及び圧送通路(24,25)を密閉容器(3)のマンホール部(31,32)へ夫々連結する。
第1及び圧送通路(24,25)の連結が完了すると、吸引手段(21)によって、密閉容器(3)内の空気が吸引され真空状態にされる。この時、密閉容器(3)内の空気は、放出通路(24)を通り、フィルタ(26a,26b)へ搬送される。フィルタ(26a,26b)へ搬送された空気は、これらのフィルタ(26a,26b)を介することによって、煤塵等の有害物質である焼却灰が確実に除去されることになる。
焼却灰が除去された空気は、吸引手段(21)に設けられる排出口から排出される。この排出口から排出される空気は、焼却灰を全く含んでいない清浄化された空気であるので、外気(大気)を汚染することがない。
【0033】
吸引手段(21)によって、密閉容器(3)が真空状態になるように空気が吸引されるとともに、圧送手段(23)によってタンク(22)内の焼却灰が密閉容器(3)内へ圧送される。
この時、圧送手段(23)によって、外気から空気が取り込まれ、空気が圧縮される。圧縮された空気は、適度に調整されて、タンク(22)へ送られ、タンク(22)内の焼却灰を圧送する。
圧送された焼却灰は、圧送通路(25)を介して密閉容器(3)へと搬送され、焼却灰は密閉容器(3)内へ収容される。
このように、吸引手段(21)によって、密閉容器(3)が真空状態となり自ら吸引力を有するとともに、圧送手段(23)によってタンク(22)の焼却灰を圧送することになるので、密閉容器(3)へと効率よく焼却灰を収容することができる。
また、吸引手段(21)によって、密閉容器(3)内の空気が吸引され、外気へと排出されるが、フィルタ(26a、26b)を有しているので、有害物質である焼却灰が外気へ拡散されることがない。
【0034】
焼却灰が収容された密閉容器(3)は、図3で示す如く、コンテナ貨車に載置されているので、鉄道(4)を利用して所望する場所まで運搬される。
所望する駅(場所)まで鉄道輸送された密閉容器(3)は、フォークリフト等を利用してコンテナを運搬することのできる車両(運搬車)のコンテナ台へ移され、載置される。
密閉容器(3)が載置された運搬車は、処理施設(12)まで密閉容器(3)を運搬する。
このように、鉄道輸送することができるので、混雑の予想される車道を利用することを回避することができとともに、長距離輸送を行うことができる。このため、交通渋滞等による遅延を心配する必要がなくなり、効率よくしかも時間に正確に且つ運搬費を軽減して輸送することが可能になる。
【0035】
運搬車(4)によって、処理施設(12)へ運搬された密閉容器(3)は、処理施設(12)に設けられる排出手段(5)に接続され、圧縮空気を密閉容器(3)内に供給することによって、焼却灰を圧送して排出される。
排出された焼却灰は、処理施設(12)に設けられるサイロ(12a)等に蓄積される。
【0036】
本発明の焼却灰運搬システムの他の動作について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本発明の焼却灰運搬システムの第2実施例を示す。
まず、コンテナである密閉容器(3)を運搬車(コンテナ台にコンテナを載置して運搬可能な車両)に載置して、排出事業者(11)に準備する。
この密閉容器(3)に焼却灰を収容するために、収容手段(2)を具備する車両(運搬手段(4))を準備する。
密閉容器(3)の一方のマンホール部と収容手段(2)の放出通路(24)を連結し、排出事業者(11)に設けられる焼却灰が蓄積されている貯蔵容器(11a)と他方のマンホール部とを連結する。
次いで、吸引手段(21)によって、密閉容器(3)内の空気を吸引して、密閉容器(3)内を真空状態にする。この時、密閉容器(3)内が真空状態になるので、密閉容器(3)内に吸引力が生じ、貯蔵容器(11a)内の焼却灰を吸引することができるようになる。
このようにして、焼却灰が密閉容器(3)内に収容されることになる。この時、吸引手段(21)によって、吸引される空気は、フィルタ(26a、26b)を通過して排出されるので、有害物質である焼却灰を全く含有することなく、排出することができる。
【0037】
焼却灰が収容された密閉容器(3)は、この運搬車(4)によって、密閉容器(3)を運搬する貨車(4)が準備される駅へ運搬される。
所定の駅へ運搬車によって運搬された密閉容器(3)は、フォークリフト等によって、貨車へ載置される。
貨車へ載置された密閉容器(3)は、鉄道を利用して、所望する場所(処理施設(12)へ最も近い駅)へと運搬される。
【0038】
所望する駅(場所)まで鉄道輸送された密閉容器(3)は、フォークリフト等を利用してコンテナを運搬することのできる車両(運搬車(4))のコンテナ台へ移され、載置される。
密閉容器(3)が載置された運搬車(4)は、処理施設(12)まで密閉容器(3)を運搬する。
このように、鉄道輸送することができるので、混雑の予想される車道を利用することを回避することができる。このため、交通渋滞等による遅延を心配する必要がなくなり、効率よくしかも時間に正確に輸送することが可能になる。
【0039】
運搬車(4)によって、処理施設(12)へ運搬された密閉容器(3)は、処理施設(12)に設けられる排出手段(5)に接続され、圧縮空気を密閉容器(3)内に供給することによって、焼却灰が圧送して排出される。
密閉容器(3)から排出された焼却灰は、処理施設(12)内に設けられるサイロ(12a)等に貯蔵されることになる。
このようにして排出事業者(11)から処理施設(12)へと運搬されることになる。
【0040】
本発明の焼却灰運搬システムの更に他の実施形態について説明する。
この第3実施形態では、運搬手段(4)である車両に、収容手段(2)、密閉容器(3)(又は、密容器又はタンク(22))及び排出手段(5)が具備されている(尚、以下、運搬手段(4)を作業車両(4)と称する)。
尚、この排出手段(5)は、収容手段(2)内に設けられる圧送手段(23)で構わない。
上記する排出事業者(11)において、作業車両(4)を準備する。排出事業者(11)の貯蔵容器(11a)に、作業車両(4)の放出通路(24)及び圧送通路(25)を夫々接続する。
次に、作業車両(4)の収容手段(2)の吸引手段(21)によって、タンク(22)内の空気を吸引して、タンク(22)内を真空状態にする。この時、タンク(22)内が真空状態になるので、タンク(22)内に吸引力が生じ、貯蔵容器(11a)内の焼却灰を吸引することができるようになる。
また、この時、吸引された焼却灰は、タンク(22)内に貯蔵され、タンク(22)内の空気は、放出通路(24)を介して外部へ放出される。この放出される空気はHEPAフィルタ及び除塵用バグフィルタ(26a及び26b)を通過するので、焼却灰が全く含まれず放出することができる。
【0041】
所定量の焼却灰をタンク(22)に収容した作業車両(4)は、タンク(22)を密閉状態にし、処理施設(12)へ移動する。
処理施設(12)へ移動した作業車両(4)は、サイロ(12a)に作業車両(4)の放出通路(24)及び圧送通路(25)が夫々接続される。
次いで、圧送手段(23)によって、タンク(22)内の焼却灰をサイロ(12a)へ圧送する。
この時、サイロ(12a)内の空気は、放出通路(24)を介して外部へ放出されることになる。この放出される空気は、放出通路(24)に設けられるHEPAフィルタ及び除塵用バグフィルタ(26a及び26b)を通過するので、焼却灰が全く含まれず放出することができる。
このようにして、排出事業者(11)から処理施設(12)へと焼却灰が運搬されることになる。
【0042】
本発明の焼却灰運搬システムでは、密閉容器(3)を運搬するので、交通状況、輸送ルート、輸送距離等に応じて、貨車を利用する鉄道輸送及び車両を利用する車道輸送を容易に選択することができるので、最も効率よく運搬する方法を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の概略構成図を示す。
【図2】収容手段と密閉容器の構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明の焼却灰運搬システムの第1実施例を示す。
【図4】本発明の焼却灰運搬システムの第2実施例を示す。
【符号の説明】
【0044】
1・・・・焼却灰運搬システム
2・・・・収容手段
21・・・吸引手段
24・・・放出通路
3・・・・密閉容器又は密容器
4・・・・運搬手段
5・・・・排出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ焼却場等から発生する焼却灰を密閉容器又は密容器へ収容し運搬するシステムであって、
前記密閉容器又は密容器内を真空状態にするとともに焼却灰を圧送して該密閉容器又は密容器へ送る収容手段と、
前記収容手段によって焼却灰を収容した前記密閉容器又は密容器を密閉にして運搬する運搬手段と、
前記運搬手段によって運搬された前記密閉容器又は密容器の焼却灰を該密閉容器又は密容器から圧縮空気を利用して排出する排出手段と
からなることを特徴とする焼却灰運搬システム。
【請求項2】
前記収容手段が、前記密閉容器又は密容器内を真空状態にする吸引手段と、前記吸引手段によって吸引される空気を外部へ放出するための放出通路が設けられ、
前記放出通路は、HEPAフィルタ及び除塵用バグフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1記載の焼却灰運搬システム。
【請求項3】
前記排出手段が、前記密閉容器又は密容器から焼却灰を他の密閉容器又は密容器へ排出する際に、該他の密閉容器又は密容器に放出通路が連結されていることを特徴とする請求項2記載の焼却灰運搬システム。
【請求項4】
前記運搬手段は、車道又は線路に沿って走行することができることを特徴とする請求項1記載の焼却灰運搬システム。
【請求項5】
前記収容手段は、車両に設けられていることを特徴とする請求項1記載の焼却灰運搬システム。
【請求項6】
ごみ焼却場等から発生する焼却灰を密閉容器又は密容器に収容して運搬する方法であって、
前記密閉容器又は密容器を真空状態にするとともに焼却灰を圧送して、前記焼却灰を該密閉容器又は密容器に収容し、
前記焼却灰を収容した前記密閉容器又は密容器を密閉して所望する目的地へ運搬し、
前記目的地において、前記密閉容器又は密容器内の前記焼却灰を圧縮空気を利用して排出することを特徴とする焼却灰運搬方法。
【請求項7】
前記密閉容器又は密容器を運搬する際に、車道又は鉄道を利用することを特徴とする請求項6記載の焼却灰運搬方法。
【請求項8】
前記密閉容器又は密容器を真空状態にするとともに焼却灰を圧送する手段を車両に具備させていることを特徴とする請求項6記載の焼却灰運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−273568(P2006−273568A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99770(P2005−99770)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(505116828)有隣興業株式会社 (1)
【出願人】(000165343)兼松エンジニアリング株式会社 (23)
【Fターム(参考)】