説明

熱可塑性高分子から成る予備成形体からボトルなどの容器を形成する方法

熱可塑性高分子により形成される予備成形体(1)から、ボトル(2)などの首部を備える長尺な本体を有する容器を形成する方法であって、前記ボトル(2)が特別な寸法パラメータを有する方法。前記方法は、その壁(10)の平均厚さ(e)が2mm未満で且つ45を上回るアスペクト比u=l/eを有する薄壁(10)予備成形体(1)を延伸ブロー成形するステップを本質的に備え、lは薄壁予備成形体(1)の長さである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルにより形成される予備成形体(プリフォーム)からボトルなどの首部を備える長尺な本体を有する容器を形成する方法に関する。本発明の他の主題は、前記方法によって得られるボトルまたは同様の容器、および、前記方法によって得られるそのようなボトルまたは同様の容器を形成するようになっている薄壁の予備成形体である。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、水、ジュース、炭酸清涼飲料などを内部に有するようになっているポリエステル材料から成るボトルが知られている。テレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルのうちでは、液体用のボトルを製造するために幅広く使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)が知られている。その主要な属性は、透明性、低重量、ポリプロピレンよりも良好なガス障壁、および、得ることが望まれるボトルなどの容器の外形に応じて様々な形状を製造できる可能性である。
【0003】
試験管の形状を成すPETなどのポリエステルから形成される予備成形体を発端とする射出成形によってボトルを製造することが知られており、予備成形体の開放端は首部の寸法および最終形状を既に有している。この予備成形体は、再加熱された後、延伸シャフトまたはロッドによって長手方向に延伸され、予備成形体内に加圧空気を導入することにより金型内でブロー成形される。予備成形体の全方向変形によってこのように形成されるボトルは、その後、滅菌環境内で、その標準的な充填の前にその内外面を殺菌するようになっている無菌充填に晒された後、70℃の温度の熱い空気を用いて乾燥される。無菌処理は、140℃の温度で例えば過酸化水素(H)および滅菌水を使用することにある。
【0004】
しかしながら、PETの機械的特性は、その初期の形状に戻る傾向を有するその形状記憶に起因して、それが材料の変形をもたらす高温に晒されるときに大きく低下する。したがって、特定の処理時間にわたって高温ガスに晒されるボトルを殺菌するステップ中に、ボトルが収縮し、また、特定の重量のボトルが更に低重量のボトルよりも収縮する傾向があることが分かった。
【0005】
したがって、ボトルの収縮を制限するため、標準的な解決策は、PET材料の量、したがって予備成形体およびボトルの重量を、その寸法、長さおよび/または周長、および、その壁厚を変えることによって増大することにある。
【0006】
それにもかかわらず、これらの寸法変化は、更に短いおよび/または更に小さい周長および/または更に小さい壁厚を有する予備成形体に起因するPET材料の量の減少による、容器の製造コストの幾らかの低減に対する障害である。
【0007】
予備成形体の重量を、長さあるいは周長等のその寸法パラメータの変化によって保ちあるいは増大しつつ、製造コストを低減する1つの解決策としては、補償的に、前記予備成形体の壁の厚さを減少させることが可能である。
【0008】
しかしながら、PET材料から形成される予備成形体などの部品の射出成形の分野では、金型の容易で且つ効果的な充填を確保するために、特に、2.0mmよりも大きい値を有していなければならない前記予備成形体の壁の厚さに関して、および、45を下回っていなければならない前記予備成形体の壁厚に対する予備成形体の長さの比率に関して、特定の閾値を超えないことが必要不可欠である。
【0009】
これらの閾値を超えることが予想される場合、1つの解決策としては、予備成形体の射出成形プロセス中に、キャビティ温度または射出速度および圧力を増大させることが可能である。しかしながら、キャビティ温度の変更は、PET材料の結晶化をもたらし、容器の透明度を低下させるというマイナスの影響を及ぼす。また、射出速度および圧力の増大は、高い剪断速度に起因してPET材料から成る構造体の損傷を引き起こす。
【0010】
更に、食品用途のためのボトルの製造で使用されるPETなどのポリエステルは、使用特性、特に、使用される材料の固有粘度(IV)に伴って、すなわち、使用されるポリマー鎖の長さに伴って高まる様々なガス(蒸気、酸素、二酸化炭素など)に対する「バリア効果」として知られる効果を有する。したがって、良好なガス不浸透特性を有する材料は一般に粘性がある(0.72dl/g〜0.83dl/gのIV)。
【0011】
固有粘度(IV)とは、高分子の溶液のゼロ濃度での粘度を意味し、この値は、以下の式、すなわち、IV=−10−1VI+0.94VI+0.0122によって粘度指数(VI)dl/gを決定することにより計算され、また、前記指数は、15/06/1986の日付の規準ISO 1628/5にしたがってオルトジクロロベンゼンおよびフェノール(重量で50/50)を混合して成る100mlの溶媒中に高分子が25℃で溶解された0.5gの高分子溶液に関して測定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ボトルの収縮効果を制限する、したがって、高温無菌充填段階中に得られる、熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルにより形成される予備成形体から、ボトルなどの首部を備える長尺な本体を有する容器を形成する方法を提供することにより、これらの欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人によって行なわれた研究によれば、このボトル収縮の原因は、材料の量、したがって、結果として得られる重量ではなく、非常に高い延伸比をもたらす予備成形体および最終ボトルの寸法パラメータ値であることが明らかになった。延伸比のうちの3つ、すなわち、周長の延伸比「a」、長さの延伸比「b」、および、表面の延伸比「c」が重要であると考えられる。
【0014】
特に、異なる寸法およびほぼ同じ重量を有する2つの予備成形体に関して、延伸比a,b,cは、小さい寸法を有する予備成形体の方が高く、そのため、小さい寸法を有する予備成形体から得られるボトルの収縮は、大きい寸法を有する他方の予備成形体を用いて得られるボトルの収縮よりも大きいことが分かった。
【0015】
つまり、これらの結果は、PET材料の量(重量)がボトルの収縮の原因であろうと主張する現在の先入観に反して、予備成形体の重量を維持できあるいは減少できるとともに、その寸法パラメータを変更することにより更に低い延伸比を得ることができ、したがって、前記ボトルの収縮を制限できることを示している。
【0016】
これらの結果を考慮して、本発明は、最終ボトルの収縮を特にその殺菌のステップ中に前記最終ボトルが高温に晒されるときに制限できる、熱可塑性高分子により形成される予備成形体から、ボトルなどの首部を備える長尺な本体を有する容器を形成する方法を提供する。
【0017】
熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルにより形成される予備成形体から、ボトルなどの首部を備える長尺な本体を有する容器を形成する本発明に係る方法であって、前記予備成形体の開放端が、最終ボトルの首部の形状および寸法を有し、前記ボトルが、以下の寸法パラメータ、すなわち、
Pb:最終ボトルの最大外周長と、
L(1/2):最終ボトルの側半分長さ、すなわち、最終ボトルのその形状に沿ってその底面から首部まで測定された長さと
を有する方法は、
一方では、以下の寸法パラメータ、すなわち、
Pp:予備成形体の底面から首部まで測定された薄壁の予備成形体の中立ファイバの平均周長であり、予備成形体の断面における中立ファイバの長さと、
l(1/2):薄壁の予備成形体の側半分長さ、すなわち、薄壁の予備成形体の、その形状に沿ってその底面から首部まで測定された長さと、
l:予備成形体の長さと、
e:薄壁の予備成形体の壁の、前記底面から前記首部までの平均厚さと、
u:アスペクト比、u=l/eと
を有し、他方では、最終ボトルに関して、延伸比a,b,c(a=Pb/Pp、b=L(1/2)/l(1/2)、c=a×b)を有する薄壁の予備成形体を延伸させてブロー成形するステップを本質的に備え
前記寸法パラメータが以下の閾値条件、すなわち、
e<2mm、および、u>45
を満たすように設定され、
延伸およびブロー成形ステップは、前記延伸比が以下の条件、すなわち、
a<5;b<4、および、c<16
を満たすように行なわれることを特徴とする。
【0018】
本発明は、非限定的な一例として与えられ且つ添付の概略図を参照して説明される1つの好ましい実施形態に関連する以下の説明により更に良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る薄壁の予備成形体から形成されるボトルの概略断面図を示している。
【図2a】壁厚がその本体に沿って変化する本発明に係る薄壁の予備成形体の概略断面図を示している。
【図2b】予備成形体の前記断面の中立ファイバを示す図2aのA−Aにしたがった断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、首部20を備える長尺な本体を備えるとともに、熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルにより形成される予備成形体1から製造される最終ボトル2を示しており、予備成形体1の開放端は、最終ボトル2の首部20の形状および寸法を有し、最終ボトル2は、以下の寸法パラメータ、すなわち、
Pb:最終ボトル2の最大外周長と
L(1/2):最終ボトル2の側半分長さ、すなわち、最終ボトル2のその形状に沿ってその底面20’から首部20まで測定された長さと
を有する。
【0021】
本発明に係る方法は、本質的に、一方では、以下の寸法パラメータ、すなわち、
Pp:予備成形体1の底面11から首部20(図2a)まで測定された予備成形体1の中立ファイバ3(図2b)の平均周長であり、薄壁10の予備成形体1の断面における中立ファイバ3の長さと、
l(1/2):予備成形体1の側半分長さ、すなわち、薄壁10の予備成形体1の、その形状に沿ってその底面11から首部20まで測定された長さと、
l:薄壁10の予備成形体1の長さと、
e:薄壁10の予備成形体1の壁10の、底面11から首部20までの平均厚さと、
u:アスペクト比、u=l/eと
を有し、他方では、最終ボトル2に関して、延伸比a,b,c(a=Pb/Pp、b=L(1/2)/l(1/2)、c=a×b)を有する薄壁10予備成形体1を延伸させてブロー成形するステップを備え
前記寸法パラメータが以下の閾値条件、すなわち、
e<2mm、および、u>45
を満たすように設定され、
延伸およびブロー成形ステップは、前記延伸比が以下の条件、すなわち、
a<5;b<4、および、c<16
を満たすように行なわれる。
【0022】
本発明に係る薄壁10の予備成形体1は、熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるPETなどのポリエステルから形成されるのが好ましい。
【0023】
本発明に係る薄壁10の予備成形体1は、
高分子から成る高温のプラスチック溶融物を完全に閉じられていない金型内に注入するステップと、
金型を閉じるステップと、
その溶融物をその最終形状に押圧するステップと、
薄壁10の予備成形体1を金型から引き抜くステップと、
から本質的に成るプロセスによって製造されてもよい。
【0024】
変形例において、薄壁10の予備成形体1は、
成形用高分子を開放金型内に置くステップと、
金型を閉じるステップと、
その溶融物をその最終形状に押圧するステップと、
薄壁10の予備成形体1を金型から引き抜くステップと、
から成るプロセスによって製造されてもよい。
【0025】
なお、プラスチック製品を形成するための様々な圧縮成形工程が知られている。これについては、例えば欧州特許第1480803号明細書または国際公開第01/32390号を参照されたい。
【0026】
本発明に係る薄壁10の予備成形体1は、ガスまたは流体注入技術によって、非常に高い圧力または溶融物温度(圧力>150barおよび温度>280℃)を伴って、複数の注入ゲートにより注入されてもよい。また、薄壁10の予備成形体1をチューブとして押し出して1つの開放端と首部20とを有する予備成形体1へ仕上げることもでき、あるいは、薄壁10の予備成形体1を2部品から形成して、例えば摩擦溶着により首部20を予備成形体1の本体に接続することもできる。
【0027】
他の変形例では、固有粘度(IV)高分子を使用することにより薄壁10の予備成形体1を製造してもよい。固有粘度(IV)とは、高分子の溶液のゼロ濃度での粘度を意味し、この値は、以下の式、すなわち、IV=−10−1VI+0.94VI+0.0122によって粘度指数(VI)を決定することにより計算され、また、前記指数は、1986年6月15日の規準ISO 1628/5にしたがってオルトジクロロベンゼンおよびフェノール(重量で50/50)を混合して成る100mlの溶媒中に高分子が25℃で溶解された0.5gの高分子溶液に関して測定される。固有粘度(IV)は0.7dl/g以下であるのが有益である。好ましくは0.45dl/g〜0.65dl/g、最も好ましくは0.5dl/g〜0.6dl/gのIVを有する高分子が選択されるのが好ましい。
【0028】
ポリエステルは、テレフタル酸、そのエステル、または、それと脂肪族ジオールとの混合物、例えばエチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオール、または、1,4−ブタンジオールから得られることが有益である。
【0029】
好ましいモノマーは、前述したように略称PETにより良く知られるポリエチレンテレフタレートをもたらすテレフタル酸およびエチレングリコールである。
【0030】
本明細書において、用語PETは、テレフタル酸またはそれらのエステル、例えばジメチルテレフタレート、および、エチレングリコールのモノマーのみから得られるホモポリマー、並びに、繰り返しエチレンテレフタレート単位の数が少なくとも92.5%である共重合体も網羅する。
【0031】
本発明の好ましい特徴によれば、ポリエステルは、球粒状結晶化を回避しつつ非常に小さい結晶への結晶化を得るため、また、その壁がぼんやりとしない許容できる機械的特性を有する透明な物品を製造できるように、特に予備成形体などの成形されたあるいは注入された物品の冷却中にポリエステルの結晶化を減速させるあるいは遅らせるための、少なくとも1つの結晶化抑制剤を含む。
【0032】
これらの結晶化抑制剤は、ポリエステルの重合前または重合中にモノマーの混合物に対して加えられる二塩基酸および/またはジオールなどの二官能性化合物であり、当業者によって良く知られる(欧州特許第041035号明細書および欧州特許第1417247号明細書参照)。
【0033】
これは、高分子、更に小さい寸法の巨大分子で固有粘度の減少が発生するからであり、また、薄壁10の予備成形体1を形成する目的でキャビティが充填されるときにキャビティ全長にわたって圧力降下が少ないからであり、それにより、同じ注入圧力に関して、高いアスペクト比u、特に現在の予備成形体を成形するために課される値45よりも大きいアスペクト比uを得ることができる。
【0034】
これらのプロセスおよび先に規定されたような低IV高分子の使用は、2mm未満の厚さeおよび45よりも大きいアスペクト比uをもって薄壁10予備成形体1を製造し、溶融物が薄壁キャビティを通って流れることを防ぐために、成形キャビティの充填を容易に且つ効果的に確保できるようにする。また、それらは、前記薄壁10の予備成形体1の延伸の段階中に薄壁10が裂けない薄壁10の予備成形体1を得ることもできるようにする。
【0035】
厚さeおよびアスペクト比uの閾値を超えると、予備成形体の寸法を増大させることができ、したがって、延伸比を減少させて、そのような薄壁の予備成形体を用いて本発明の方法により得られる最終ボトルの収縮効果をその消毒処理段階中に制限することができる。一方、予備成形体の壁厚eを減少させることによりその寸法の増大にもかかわらず予備成形体の同じ量の材料を保つことができ、あるいは、同じ寸法の現在の予備成形体と比べて材料を節約することができる。
【0036】
例えば、重量p=14.5g、長さl=78.0mm、中立ファイバの平均周長Pp=52.0mm、側半分長さl(1/2)=64.2mmの予備成形体Xから形成される最大外周長Pb=196.5mm、側半分長さL(1/2)=253.7mmの50clの最終ボトルに関しては、延伸比がa=3.87、b=3.90、および、c=15.1に等しく、また、予備成形体Xの重量とほぼ同じ重量p=14.2gであるが更に大きい寸法、すなわち、l=86.0mm、Pp=56.5mm、l(1/2)=72.83mmの寸法を有する予備成形体Yから形成される50clボトルに関しては、延伸比a=3.56、b=3.44、および、c=12.2が予備成形体Xのそれよりも小さいことが分かった。
【0037】
同様に、予備成形体Xの重量よりも小さい重量p=12.3gを有するが更に大きい寸法、すなわち、l=86.0mm、Pp=58.4mm、l(1/2)=72.8mmの寸法を有する予備成形体Zから形成される50clボトルに関しても、延伸比は予備成形体Xのそれよりも小さい。
【0038】
このように、予備成形体Yまたは予備成形体Zから得られる50clボトルは、予備成形体Zの重量以上および予備成形体Yの重量以上の重量に関して、予備成形体Yおよび予備成形体Zの寸法よりも小さい寸法(Pp,l,l(1/2))を有する予備成形体Xを用いて得られるボトルよりも小さい収縮効果を受ける。
【0039】
従来の予備成形体の寸法よりも大きい寸法(Pp,l,l(1/2))を有する予備成形体1の壁10厚の減少は、結果として起こる重量増大を補償できる。
【0040】
また、そのような壁厚の減少は、予備成形体を成形する過程での冷却時間が予備成形体の壁厚の平方に比例して減少することを考慮することにより、冷却時間の減少を達成することができるようにする。
【0041】
また、薄壁予備成形体1の壁10の厚さeは、前記予備成形体1の本体に沿って、すなわち、前記予備成形体1の首部20からその底面11へ変化、例えば増大してもよい(図2a)。
【0042】
この場合、本発明の方法は、薄壁予備成形体1の壁10のその本体に沿う平均厚さeを計算することにある。前記予備成形体1の壁10の厚さeは、約2.0mm以下であり、50clの容量を有するボトルを形成するようになっている薄壁10予備成形体1に関しては1.5mmに等しいことが好ましい。
【0043】
この特定のケースでは、薄壁予備成形体1の寸法パラメータを、例えば、長さl=86.0mm、周長Pp=58.4mm、l(1/2)=72.8mmに等しくすることができ、それにより、好ましくは約12.3gに等しい予備成形体1の重量に関して、a=3.44、b=3.44、c=11.8に等しい延伸比がもたらされる。
【0044】
したがって、更にこの特定のケースにおいて、アスペクト比uは、57.3に等しく、すなわち、PETなどのポリエステルから形成される現在の予備成形体を成形するための制約によって課される閾値45よりも大きい値を有する。
【0045】
最後に、本発明の他の主題は、本発明にしたがって予備成形体1の延伸ブロー成形により、特に2軸延伸ブロー成形により得られる、熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルにより形成される、ボトル2または同様の容器(フラスコ、ドラムなど)である。そのようなボトルは、食品産業において、特に湧き水またはミネラルウォーターなどのパッケージ飲料において特に有用である。
【0046】
本発明の他の目的は、その容積に応じて以下の重量を有してもよい、特に水、ジュース、炭酸清涼飲料などを内部に有するようになっている、本発明の方法にしたがって薄壁予備成形体から形成されるボトルまたは同様の容器である。
0.5lの容積に関して:重量<15g
1.0lの容積に関して:重量<25g
1.5lの容積に関して:重量<30g
【0047】
言うまでもなく、当業者は、本発明に係る薄壁の予備成形体1を使用できるように前記ボトルを形成するための従来のプロセスのパラメータを適合させる仕方を知っており、そのため、本明細書中では、ボトル自体を製造するためのプロセスについて更に詳しく説明しない。
【0048】
無論、本発明は、添付図面に示される前述した実施形態に限定されない。それにより、本発明の保護範囲から逸脱することなく、特に様々な要素の組成の観点から、あるいは、等価な技術の代用により、変更が依然として可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルにより形成される予備成形体(1)から、ボトル(2)などの首部を備える長尺な本体を有する容器を形成する方法であって、
前記予備成形体(1)の開放端が、前記最終ボトル(2)の前記首部(20)の形状および寸法を有し、前記ボトル(2)が、以下の寸法パラメータ、すなわち、
Pb:前記最終ボトル(2)の最大外周長と、
L(1/2):前記最終ボトル(2)の側半分長さ、すなわち、前記最終ボトル(2)のその形状に沿ってその底面(20’)から前記首部(20)まで測定された長さと
を有する方法において、
一方では、以下の寸法パラメータ、すなわち、
Pp:前記予備成形体(1)の底面から前記首部(20)まで測定された前記予備成形体(1)の中立ファイバ(3)の平均周長であり、前記予備成形体(1)の断面における前記中立ファイバ(3)の長さと、
l(1/2):前記予備成形体(1)の側半分長さ、すなわち、薄壁(10)の前記予備成形体(1)の、その形状に沿ってその底面(11)から前記首部(20)まで測定された長さと、
l:前記薄壁の予備成形体(1)の長さと、
e:前記薄壁の予備成形体(1)の前記薄壁(10)の、前記底面(11)から前記首部(20)までの平均厚さと、
u:アスペクト比、u=l/eと
を有し、他方では、前記最終ボトル(2)に関して、延伸比a,b,c(a=Pb/Pp、b=L(1/2)/l(1/2)、c=a×b)を有する薄壁(10)の予備成形体(1)を延伸させてブロー成形するステップを本質的に備え、
前記寸法パラメータが以下の閾値条件、すなわち、
e<2mm、および、u>45
を満たすように設定され、
前記延伸およびブロー成形ステップが、前記延伸比が以下の条件、すなわち、
a<5;b<4、および、c<16
を満たすように行なわれることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記薄壁(10)の前記予備成形体(1)が、
高分子から成る高温のプラスチック溶融物を完全に閉じられていない金型内に注入するステップと、
前記金型を閉じるステップと、
前記溶融物をその最終形状に押圧するステップと、
前記薄壁(10)の予備成形体(1)を前記金型から引き抜くステップと
から本質的に成るプロセスによって製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薄壁(10)予備成形体(1)が、
成形用高分子を開放金型内に置くステップと、
前記金型を閉じるステップと、
前記高分子の溶融物をその最終形状に押圧するステップと、
前記薄壁(10)の予備成形体(1)を前記金型から引き抜くステップと
から成るプロセスによって製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記薄壁(10)の予備成形体(1)が、高分子の溶液のゼロ濃度での粘度を示す固有粘度(IV)を使用することにより製造され、この値は、1986年6月15日付けの規準ISO 1628/5にしたがって、オルトジクロロベンゼンおよびフェノール(重量で50/50)を混合して成る100mlの溶媒中に、高分子が25℃で溶解された0.5gの高分子溶液に関して測定されるdl/gを単位とする粘度指数(VI)を決定することにより計算され、
固有粘度(IV)が0.7dl/g以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
好ましくは0.45dl/g〜0.65dl/g、最も好ましくは0.5dl/g〜0.6dl/gの固有粘度(IV)を有する高分子が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
50clの容量を有するボトル(2)の製造に関して、前記薄壁(10)の予備成形体(1)の寸法パラメータが、
l=86.0mm
Pp=58.4mm、
l(1/2)=72.8mm
となるように設定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法で使用される、熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルから形成される、薄壁(10)の予備成形体(1)。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の薄壁(10)の予備成形体(1)から延伸ブロー成形方法により得られる、熱可塑性高分子、好ましくは熱可塑性ポリエステル、最も好ましくはテレフタル酸およびエチレングリコールから誘導される単体の数が少なくとも92.5%を占めるポリエステルから形成される、ボトル(2)または同様の容器。
【請求項9】
0.5lに等しい容積に関して15g未満の重量を有する、請求項8に記載のボトル(2)または同様の容器。
【請求項10】
1.0lに等しい容積に関して25g未満の重量を有する、請求項8に記載のボトル(2)または同様の容器。
【請求項11】
1.5lに等しい容積に関して30g未満の重量を有する、請求項8に記載のボトル(2)または同様の容器。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【公表番号】特表2012−504056(P2012−504056A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528319(P2011−528319)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062362
【国際公開番号】WO2010/034766
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】