説明

熱硬化性樹脂組成物、Bステージ化した樹脂フィルム、金属箔、銅張板および多層ビルドアップ基板

【課題】 ある程度の屈曲性と薄膜絶縁層化が可能であり、かつハロゲンフリーFR-4に匹敵する信頼性、加工特性を有するエポキシ系の熱硬化性樹脂を提供する。
【解決手段】 熱硬化性樹脂組成物は、(a1)液状エポキシ樹脂、(a2)軟化点125℃以下の固形エポキシ樹脂、(b)ベンゾアート基と主鎖にポリメチレン基を有する芳香族ジアミン化合物、(c) Tgが200℃以上であり、重量平均分子量Mwが50000以下である溶剤可溶性ポリイミド樹脂、および(d)Tgが130℃以上のフェノキシ樹脂を含み、(a1)前記液状エポキシ樹脂、(a2)前記固形エポキシ樹脂および(b)前記芳香族ジアミン化合物の合計量を100重量部としたとき、(c)前記溶剤可溶性ポリイミド樹脂と(d)前記フェノキシ樹脂との合計量が15重量部以上、150重量部以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、プリプレグ、塗料等に使用され、フレキシブル基板用ベース材料や主にフレキシブル基材をコア材料としたビルドアップ基板やアルミニウム等をベースとしたメタルベース基板も作製できる熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いて作製したBステージ化した樹脂フィルム、金属箔の片面に塗布してBステージ化した、例えば接着剤付き銅箔及び銅張板等に関するものであり、屈曲が可能で高耐熱性、高接着強度、高信頼性の高密度フレキシブルビルドアッププリント配線板用、一括成形基板用や放熱基板用等に使用され、得られたプリント配線板は携帯機器やLED基板、モジュール基板等に使用される。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器の高機能化や液晶テレビに代表される薄型化に見られるように、それらの機器に使用されるプリント配線板やモジュール基板には、薄型化に加えて高機能化が要求されている。これらのプリント配線板には、従来からその一部にフレキシブルプリント配線板が使用されていた。
【0003】
従来、屈曲可能で基材なしのフレキシブル基板用材料は、ポリイミド系材料以外では、一般的にはカルボキシル基変性したゴムや熱可塑性樹脂、フェノキシ樹脂等を変性材料としたエポキシ樹脂系の接着剤がボンディングシートに用いられていた。これらは、銅張板やカバーレイにも用いられていた。しかし、これらの材料は一般的にTgが低く、信頼性もリジッド材料には及ばないものであった。
【0004】
また、これらの接着剤は異種材料との接着強度にも優れることが多いことから、金属ベース基板用の接着剤として使用されることもあった。しかし、この金属の中には純アルミは含まれず、その接着にはアルマイト処理を行なわなければならないという難点もあった。純アルミニウムは屈曲性に優れるため、屈曲配線ができる金属ベース基板等に好適である。
【0005】
そのため、フレキシブルプリント配線板の高密度化、薄型化に対しては、リジッド材料における多層化やビルドアップ基板化をプリプレグ、樹脂フィルムやRCCによって行なっているのと違い、両面FPCと両面FPC、片面FPCと片面FPC、又は片面FPCと両面FPCという組合せにより多層化する例や、その構造や製造方法により対応している例が多く、材料での特性改善が図られているものもあるが、加工性、信頼性をも含めた改善には至っていない。例えば次の特許文献1〜7にその具体例が見られる。この原因の一つはリジッド基板における樹脂フィルム、RCC等のビルドアップ材料に相当する材料がないことによる。
【0006】
なお、本出願人は、特許文献8において、主としてリジッド材料用途として、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤および溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物を開示した。また、本出願人は、主としてリジッド材料用途として、特許文献9において、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、および Tgが120℃以上のフェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物を開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2007/46459
【特許文献2】特許第4237726
【特許文献3】特開2005-126543
【特許文献4】特開2005-347414
【特許文献5】特開2006-299209
【特許文献6】特開2006-179679
【特許文献7】特開2011-40607
【特許文献8】特開2007−224242
【特許文献9】特開2008−037957
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、材料的にはオールポリイミドの銅張板以外は、屈曲特性と薄厚化、軽量化以外では、それらの要求に十分に対応できるだけの特性や加工性、信頼性を備えているものがなかった。
【0009】
また、オールポリイミドフレキシブル配線板においても、それに適合するビルドアップ材料に好適なものがないのが現状である。
【0010】
従ってこれらの要求を十分に満たす材料は現在なく、特にフレキシブル基板用材料の特長である屈曲性、薄膜絶縁層と同時に、ハロゲンフリーFR-4に匹敵する信頼性、加工特性を有するエポキシ系のフレキシブル基板材料はなかった。ここで言う加工特性とは、高密度実装基板やビルドアップ基板では必須となる、例えばレーザービア加工性、デスミアエッチング性等である。
【0011】
即ち、材料単体として屈曲性、厚さのバリエーション以外の特性において、FR-4やハロゲンフリーFR-4のプリプレグに匹敵する、屈曲可能で基材なしのフレキシブル基板用材料が求められる。
【0012】
本発明の課題は、ある程度の屈曲性と薄膜絶縁層化が可能であり、かつハロゲンフリーFR-4に匹敵する信頼性、加工特性を有するエポキシ系の熱硬化性樹脂を提供することである。
【0013】
また、本発明の課題は、こうした熱硬化性樹脂を用いたフレキシブル基板材料を提供することであり、純アルミニウム等の金属との接着強度に優れる放熱基板用接着材料を提供することである。更にこれらを用いた高密度フレキシブルビルドアッププリント配線板、モジュール基板や放熱基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、(a1)液状エポキシ樹脂、(a2)軟化点125℃以下の固形エポキシ樹脂、(b)ベンゾアート基と主鎖にポリメチレン基を有する芳香族ジアミン化合物、(c) Tgが200℃以上であり、重量平均分子量Mwが50000以下である溶剤可溶性ポリイミド樹脂、および(d)Tgが130℃以上のフェノキシ樹脂を含み、(a1)前記液状エポキシ樹脂、(a2)前記固形エポキシ樹脂および(b)前記芳香族ジアミン化合物の合計量を100重量部としたとき、(c)前記溶剤可溶性ポリイミド樹脂と(d)前記フェノキシ樹脂との合計量が15重量部以上、150重量部以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物から作成された、Bステージ化した樹脂フィルムに係るものである。
【0016】
また、本発明は、Bステージ化した樹脂フィルムが設けられている金属箔および銅張板に係るものである。
【0017】
更に、本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物を層間絶縁材料として用いて製造された多層ビルドアップ基板に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
従来、エポキシ樹脂の屈曲性向上のためには、フェノキシ樹脂、熱可塑性樹脂やカルボキシル変性ゴム等を変性材として使用することにより実現してきた。しかし、これらの手法のみでは、ハロゲンフリーFR-4並の信頼性と加工性を実現することは非常に困難であった。
【0019】
本発明においては、エポキシ樹脂の屈曲性向上を、信頼性、加工性を低下させることなく実現するためには、耐熱性の硬化剤の骨格にある程度の可とう性を持たせることと、特定のフェノキシ樹脂と可溶性ポリイミド樹脂を併用することにより可能となることを発見した。
【0020】
また、これらの樹脂の特性を樹脂組成物としても発現させるためには、硬化時の樹脂の相溶状態が重要であることも発見し、それぞれの樹脂構成成分の溶融(見かけの溶融状態を含む)が連続的に起こるように選定することにより実現できることも発見した。
【0021】
更に本発明の組成物は、イミドフィルム、銅、金属ベース基板材料(特に純アルミニウム)などへの接着性能を向上付与することを基本としているが、この作用はベンゾアート基を有する芳香族ジアミン硬化剤および可溶性ポリイミドを併用することの相乗効果により実現できることも発見し、本発明に到達した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
((a1)液状エポキシ樹脂および(a2)軟化点125℃以下の固形エポキシ樹脂)
いずれも、2個以上のグリシジル基を持つエポキシ樹脂であれば目的により適宜選択が可能であるが、好適には、液状エポキシ樹脂としてビスA型エポキシ樹脂、ビスF型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂を例示できる。また、固形エポキシ樹脂としてノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などを例示できる。これらは、単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
固形エポキシ樹脂の軟化点を125℃以下とするのは、変性材として用いるフェノキシ樹脂のTgをTg130℃以上と限定していることによる。ポリマーであるフェノキシ樹脂には軟化点の定義は当てはまり難いが、Tgがその代替特性になることが実験的に明らかになっている。この目的は、組成物として硬化する際にエポキシ樹脂がフェノキシ樹脂層の溶融前に溶融していることにより、硬化樹脂層の均一化を図るためである。
【0024】
また、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂を併用するのは、硬化物性をFR-4樹脂に近づけるためには固形エポキシ樹脂を使用するのが良いが、それでは硬化の際の樹脂組成物全体を均一の溶融状態にするのが難しい。そこで、常温でも液状であるエポキシ樹脂を用いることにより溶融を連続的に起こさせることにより、それを可能にするためである。
【0025】
液状エボキシ樹脂の粘度は、25℃で1.0〜120Pa・sであることが好ましく、1.2〜100Pa・sであることが更に好ましい。ただし、この粘度は、E型粘度計を用いて測定した値で定義する。
【0026】
固形エポキシ樹脂の軟化点は125℃以下であるが、本発明の観点からは、100℃以下が好ましい。ただし、液状エポキシ樹脂との混合時に固形エポキシ樹脂の前記作用効果を発揮するという観点からは、軟化点は50℃以上が好ましい。
【0027】
液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂との比率は、求める特性と溶融制御の観点から決定するのが良い。そのため、この最適併用割合は必ずしも制限されない。しかし、両者の合計量を100重量部としたとき、液状エポキシ樹脂の比率を20〜50重量部とすることが好ましい。
【0028】
((b)ベンゾアート基および主鎖にポリメチレン基を有する芳香族ジアミン化合物)
エステル結合を持つ芳香族ジアミン系硬化剤がポリイミドフィルムやアルミニウムなどのメタルベースとの接着強度に優れることと、骨格の中にポリメチレン構造を導入することにより、耐熱性と同時にエポキシ樹脂骨格の中にある程度の可とう性を持たせることができる。
【0029】
ここで、主鎖に設けられるポリメチレン基が有するメチレン基の個数は、3個以上が好ましく、また16個以下が好ましい。
【0030】
この硬化剤は、具体的には、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾアート)[融点 122℃]やポリ(テトラ/3-メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4-アミノベンゾアート) )[液状]、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾアート)[融点 15〜60℃]等が挙げられる。
【0031】
また、(a2)固形エポキシ樹脂と同様の理由により、この硬化剤の融点も125℃以下であることが好ましい。
【0032】

本発明の組成物において、(a1)液状エポキシ樹脂とのエポキシ当量数と(a2)固形エポキシ樹脂のエポキシ当量数との合計値を1としたとき、(b)芳香族ジアミン化合物の使用量は、活性水素当量数として0.95〜1.50とすることが最適である。
【0033】
ここで、各エポキシ樹脂のエポキシ当量数は、以下のものである。
各エポキシ樹脂の各エポキシ当量数=
(組成物中の各エポキシ樹脂の重量(固形分重量))/(各エポキシ樹脂の各エポキシ当量)
(b)
芳香族ジアミン化合物の活性水素当量数は、以下のものである。
(b)
芳香族ジアミン化合物の活性水素当量数=
(組成物中の芳香族ジアミン化合物の重量)/
(芳香族ジアミン化合物の活性水素当量)
【0034】
エポキシ樹脂のエポキシ当量数(合計値)を1としたときの芳香族ジアミン化合物の活性水素当量数は、両者の比率(無名数)なので、以下の式で計算される。
(芳香族ジアミン化合物の活性水素当量数)/
(エポキシ樹脂のエポキシ当量数(合計値))
【0035】
((c) Tgが200℃以上であり、重量平均分子量Mwが50000以下である溶剤可溶性ポリイミド樹脂)
(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂は、組成物の製造に使用する有機溶剤に可溶性のポリイミド樹脂である。(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂は、高Tg、低C.T.E、優れたフィルム物性、優れた接着性能を持つものが好適である。分子量としては、重量平均分子量(Mw)で50000以下のものが好適であり、35000以下が更に好適である。また、重量平均分子量(Mw)は、20000以上が好ましく、25000以上が更に好ましい。
【0036】
(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂は、フェニルインダン構造を有することが好ましい。更には、ジアミノトリアルキルインダンと、テトラカルボン酸2無水物またはその誘導体とを反応させて得られる完全イミド化した可溶性ポリイミド樹脂が好ましい。ここで、ジアミノトリアルキルインダンとしては、ジアミノトリメチルインダン、ジアミノトリエチルインダンを例示でき、テトラカルボン酸2無水物の誘導体としては、ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物を例示できる。
【0037】
ジアミノトリメチルフェニルインダンとベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物を反応させて得られる完全イミド化した可溶性ポリイミド樹脂を(1式)に示す。また、ジアミノトリメチルフェニルインダンとテトラカルボン酸2無水物を反応させて得られる完全イミド化した可溶性ポリイミド樹脂も好ましい。
【0038】
【化1】

【0039】
溶剤可溶性ポリイミド樹脂、特にフェニルインダン構造を有する樹脂は、銅、イミドフィルム、純アルミニウムなどとの接着強度に優れる。また、この可溶性ポリイミド樹脂を樹脂組成物中に組み込むことにより、Tgの向上も図れるため、FR-4レベルの信頼性を確保する上で更に好ましい。
【0040】
本発明の組成物は、基本的にイミドフィルム、銅、金属ベース基板材料(特に純アルミニウム)への接着性能を向上付与することを基本としているが、この作用はベンゾアート基を有した芳香族ジアミン硬化剤、可溶性ポリイミドを構成成分として含むことの相乗効果により成立している。
【0041】
((d) Tg130℃以上のフェノキシ樹脂)
ここで、Tg130℃以上のフェノキシ樹脂に限定するのは、接続信頼性をFR-4レベルに設定するためである。すなわち、FR-4基板における接続信頼性は、125℃と -65℃との間の冷熱サイクル試験により判定されることが多い。フェノキシ樹脂は末端にエポキシ基を残す場合が多いため硬化剤と反応する可能性もあるが、分子鎖が長いために可塑剤的な挙動を示すことが多い。そのため、そのT gが粘弾性挙動の境目となる。そのため、Tg130℃以上が接続信頼性を向上させるための必要条件となる。すなわち、接続信頼性の一つの要素であるC.T.EがTg前後で大きく変化するため、その影響を軽減するためである。
【0042】
フェノキシ樹脂のTg(ガラス転移温度)はDSC法で測定する。フェノキシ樹脂の種類は限定されないが、樹脂骨格としては、BPA/BPS型、BP/BPS型、BP型、BPS型などのようなもので耐熱骨格を有するものが好適である。また、 フェノキシ樹脂の重量平均分子量Mwは10000以上が好ましい。
【0043】
フェノキシ樹脂は、硬化時には均一溶融する必要があるため、成形温度以下のT gであることが好ましい。成形温度は必ずしも限定されないが、エポキシ樹脂組成物であるため通常は180℃以下の成形温度である。この場合には、フェノキシ樹脂のT gは180℃以下が望ましい。
【0044】
フェノキシ樹脂は、市販のものを用いてもよく、例えば、YL6954BH30(JER社製、Tg 130℃)、ERF-001M30(新日鐵化学社製、Tg 146℃)、YX8100BH30(JER社製、Tg 150℃)等が挙げられる。
【0045】
また、Tg130℃以上のフェノキシ樹脂と前記溶剤可溶性ポリイミド樹脂を併用しているが、これは溶剤可溶性ポリイミド樹脂の軟化点が高いために、硬化時(成形時)における樹脂溶融過程において軟化が起こらず他成分との相溶が均一になり難いことが判明したため、成形時に軟化し、溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含む全ての構成成分を擬似相溶状態で硬化させるために効果があることが判明したためでもある。このことにより硬化後の硬化物性が均一化される。
【0046】
また、この均一硬化物は、加工特性の向上にも効果がある。即ち、屈曲性を付与した従来の樹脂組成物に見られる、レーザー加工の不均一化やデスミアエッチング工程におけるデスミア面の粗化面の粗度バラツキを大幅に改善でき、ひいては信頼性の向上に繋がる。
【0047】
(a1) 液状エポキシ樹脂、(a2)固形エポキシ樹脂および(b)芳香族ジアミン化合物の合計量を100重量部としたとき、(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂と(d)フェノキシ樹脂の合計量は、15重量部以上、150重量部以下の範囲で選択される。これが15重量部未満では、組成物の接着強度と可とう性の効果が少ないので、15重量部以上とする。この観点からは、25重量部以上とすることが更に好ましい。また、これが150重量部を超えると、フィルムとしての破断強度が低下するので、150重量部以下とするが、100重量部以下とすることが好ましく、50重量部以下とすることが更に好ましく、30重量部以下とすることが最も好ましい。
【0048】

(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂と(d)フェノキシ樹脂との比率は特に限定されない。しかし、(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂と(d)フェノキシ樹脂との合計量を100重量部としたとき、(d)フェノキシ樹脂の量は、前述した溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含む全ての構成成分を(擬似)相溶状態で硬化させるという観点からは、60重量部以上が好ましい。また、(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の作用を発揮させるという観点からは、(d)フェノキシ樹脂の量は、95重量部以下が好ましい。
【0049】
( (e)フィラー)
フィラーは、組成物に求められる物性に応じて、添加してもよく、添加しなくともよい。フィラーとしては、具体的には、アルミナ(熱伝導率 32W/mK)、窒化アルミニウム(熱伝導率 150W/mK)、窒化ホウ素(熱伝導率 33-55W/mK)、窒化ケイ素(熱伝導率 20W/mK)などが好適である。ただし、薄膜厚での放熱性を目的とするものであれば、単体での熱伝導率は低いがシリカ(熱伝導率 1.3W/mK)、水酸化アルミニウム(熱伝導率 7.1W/mK)等の使用も可能である。
このフィラー添加は、主には放熱基板用の接着剤として用いる時の熱伝導率を向上させる目的のためであるため、これらのフィラーの選択が好適となる。
【0050】
(a1) 液状エポキシ樹脂,(a2)固形エポキシ樹脂、(b)芳香族ジアミン化合物、(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂、および(d)フェノキシ樹脂の合計量を100体積部としたとき、(e)フィラーの量は、求める物性、例えば熱伝導率により決められる。一般的には、フィラーの量の下限は特にないが、フィラーの物性を発揮させるという観点からは、5体積部以上が好ましく、50体積部以上が更に好ましい。また、組成物の物性を保持するという観点からは、フィラーの量は、200体積部以下が好ましい。また、放熱特性は、熱伝導率と厚さに関係するため、両方の要素を加味して添加量を決定するのが好ましい。具体的な熱伝導率としては、2W/mK以上が有機系放熱材料として求められることが多いため、この観点からは、フィラーの量は、100体積部以上が好適である。
【0051】
(添加剤)
また本発明の組成物には、必要に応じて硬化促進剤を併用することができる。硬化促進剤としては各種イミダゾール類などの一般的なものを使用することができる。主に反応速度、ポットライフの観点から選択する。
【0052】
例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、4,4’-メチレンビス(2-エチル-5-メチルイミダゾール)やTPPなどがある。
【0053】
さらに本発明の成分には、難燃性の付与のために難燃剤を添加することができる。ハロゲンフリーの難燃剤としては、縮合型リン酸エステル類、ホスファゼン類、ポリリン酸塩類、HCA(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド)誘導体、水酸化アルミニウム等があるが、特に限定されない。
【0054】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用可能な溶媒は特に限定されないが、NMP(N−メチルピロリドン)やγ-ブチロラクトンなどの高沸点溶剤とシクロヘキサノンやMEK(メチルエチルケトン)などの中、低沸点溶剤を組み合わせることが特に好ましい。更には、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAC(ジメチルアセトアミド)を例示出来る。
【0055】
本発明の熱硬化性樹脂組成物をBステージ化することにより、樹脂フィルムを得ることができる。すなわち、以上述べてきた本発明の樹脂組成物は、これを好適な混合有機溶剤で希釈してワニスとなし、これを必要に応じて離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にダイコーターなどで塗布し、乾燥するという通常の方法によりB状態の熱硬化性樹脂フィルムを製造する事が出来る。Bステージとは、樹脂組成物を半硬化させた状態をさす。
【0056】
又、本発明の熱硬化性樹脂組成物を金属箔に塗工することにより、接着剤付き金属箔を製造する事ができる。この金属箔としては、表面粗化した銅箔、アルミニウム箔を例示できるが、銅箔が特に好ましい。
【0057】
本発明の樹脂フィルム及びRCCは、リジッドコア又はFPCコアを有するビルドアップ多層板のHDI材料としてレーザービアなどの非貫通ビアホールを持つプリント配線板にも使用することができる。
【実施例】
【0058】
以下に、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
98重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、147重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、126重量部のエラストマー250P (ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾアート) イハラケミカル社製、融点60℃)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂ERF-001M30(新日鐵化学社製、Tg 146℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0059】
(実施例2)
111重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、167重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、92重量部のCUA-4 ( トリメチレンビス(4-アミノベンゾアート、融点122℃)
イハラケミカル社製)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂ERF-001M30(新日鐵化学社製、Tg 146℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0060】
(実施例3)
98重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、147重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、126重量部のエラストマー250P (ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾアート) イハラケミカル社製、融点60℃)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂YL6954BH30(JER社製、Tg 130℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0061】
(実施例4)
98重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、147重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、126重量部のエラストマー250P (ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾアート) イハラケミカル社製、融点60℃)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂YX8100BH30(JER社製、Tg 150℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0062】
(実施例5)
98重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、147重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、126重量部のエラストマー250P (ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾアート) イハラケミカル社製、融点60℃)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂YX8100BH30(JER社製、Tg 150℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCA、1600重量部の表面処理した球状アルミナからなる混合物を調製し樹脂固形分75重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0063】
(比較例1)
103重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、155重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、112重量部のBAPP ( 2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン 和歌山精化工業社製 、融点128℃)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂ERF-001M30(新日鐵化学社製、Tg 146℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0064】
(比較例2)
97重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、145重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、213重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂LA-7054(大日本インキ化学工業社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂ERF-001M30(新日鐵化学社製、Tg 146℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0065】
(比較例3)
237重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂N-695(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量215、軟化点98℃)、134重量部のエラストマー250P (ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾアート) イハラケミカル社製、融点60℃)、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂ERF-001M30(新日鐵化学社製、Tg 146℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0066】
(比較例4)
98重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、147重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、126重量部のエラストマー250P (ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾアート) イハラケミカル社製、融点60℃)、370重量部のフェノキシ樹脂YX8100BH30(JER社製、Tg 150℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0067】
(比較例5)
97重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、145重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、213重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂LA-7054(大日本インキ化学工業社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、111重量部のカルボキシ含有アクリロニトリルブタジエンゴム、ニポール1072(日本ゼオン社製)、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0068】
(比較例6)
97重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、145重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、213重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂LA-7054(大日本インキ化学工業社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、111重量部のフェノキシ樹脂YP-55(東都化成社製Tg 84℃)、18重量部のHCAからなる混合物を調製し樹脂固形分40重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0069】
(比較例7)
97重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン850-S(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、145重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、軟化点83℃)、213重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂LA-7054(大日本インキ化学工業社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%、100重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、Tg 246℃、樹脂固形分20重量%)、303重量部のフェノキシ樹脂YX8100BH30(JER社製、Tg 150℃、樹脂固形分30重量%))、18重量部のHCA、1600重量部の表面処理した球状アルミナからなる混合物を調製し樹脂固形分75重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0070】
前記各例の樹脂ワニスのうちフィラー含有品およびゴム含有品については、3本ロールで良く分散した。これらを離型処理した25μmポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にダイコーターで塗布し120℃の温度で乾燥して厚さ51μmのB状態の熱硬化性樹脂フィルム(A)を製造した。揮発分は0.5wt%に調整した。また保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(PEフィルム)をラミネートした。
これを18μmの表面処理なし銅箔と重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×120分、1Mpaで加熱・加圧(真空度5torr)成形した。(成形物(1))
【0071】
同様に処理足付きの銅箔と重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×120分、1Mpaで加熱・加圧(真空度5torr)成形した。(成形物(2))
【0072】
一方、25μm厚、オールポリイミド銅張板(銅箔18μm)に回路及びスルーホールを形成し、導体に黒色酸化銅処理後に、この面に上記フィルム(A)を保護フィルムを剥離してラミネートを両面に行う。更に両面に銅箔を重ねこれを真空プレスに仕込み180℃×90分、1MPaで加熱・加圧(真空度1torr)成形する。冷却取り出し後、コンフォーマルマスク法でCO2レーザで所定孔径のブラインドビアを形成した。
【0073】
過マンガン酸デスミア溶液で表面粗化を行い、孔内底部の残存樹脂も溶解除去した。これに無電解銅メッキ0.5μm、電解銅メッキ20μmを付け、180℃×30分のアフターベーキングを行った。これに回路形成し、ビルドアップ層が片側1層の4層ビルドアップ多層プリント配線板(PWB(I))を作製した。
【0074】
上記各例の各パラメーターを表1、表2に示す。また、各例の特性評価結果を表3、表4に示す。
【0075】
なお、表2のPWB(II)は、PWB(I)の製造方法に準拠して作製したJPCA-HD01のテストパターン基板である。
PWB(II)
: PWB(I)の製造方法に準拠して作製したJPCA-HD01のテストパターン基板。
*1) 成形物(2)の銅箔の替わりにAL1060を使用
*2) 成形物(2)の銅箔の替わりにポリイミドフィルムを使用
【0076】
信頼性 : JPCA-BU01による。
(a)熱衝撃試験 125℃×30min ←→ −65℃×30min
(1 cycle)
(b)高温高湿バイアス試験 85℃×85%RH,DC=30V (ただし槽内測定)
レーザー加工性 : CO2レーザー加工後の穴径、トップ径/ボトム径、ビア底残レジン量から判定。
デスミアエッチング性 : 過マンガン酸デスミア後の残レジン量と表面粗度及び粗面均一性から判定。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
以上述べたように、本発明によれば、屈曲が可能で高耐熱性、高接着強度、高信頼性の高密度フレキシブルビルドアッププリント配線板用、高密度薄物ビルドアッププリント配線板用や放熱基板用として使用することができ、得られたプリント配線板は携帯機器やLED基板用等に使用することができる。
【0082】
なお、参考として述べると、FR-4基材・FR-4樹脂での表中の信頼性は、「(a) >500」「(b) >1,000」であり、本発明実施例と同等であることもわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)液状エポキシ樹脂、(a2)軟化点125℃以下の固形エポキシ樹脂、(b)ベンゾアート基および主鎖にポリメチレン基を有する芳香族ジアミン化合物、(c) Tgが200℃以上であり、重量平均分子量Mwが50000以下である溶剤可溶性ポリイミド樹脂、および(d)Tgが130℃以上のフェノキシ樹脂を含み、(a1)前記液状エポキシ樹脂、(a2)前記固形エポキシ樹脂および(b)前記芳香族ジアミン化合物の合計量を100重量部としたとき、(c)前記溶剤可溶性ポリイミド樹脂と(d)前記フェノキシ樹脂との合計量が15重量部以上、150重量部以下であることを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(c)前記溶剤可溶性ポリイミド樹脂が、フェニルインダン構造を有する完全イミド化した可溶性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
更に (e)フィラーを含有しており、前記(e)フィラーが、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、シリカおよび水酸化アルミニウムからなる群より選ばれた一種以上の材質からなることを特徴とする、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の組成物から作成された、Bステージ化した樹脂フィルム。
【請求項5】
請求項4記載のBステージ化した樹脂フィルム層を有する金属箔。
【請求項6】
請求項4記載のBステージ化した樹脂フィルムと銅箔を成形硬化して得られる銅張板。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる層間絶縁材料を含む、多層ビルドアップ基板。

【公開番号】特開2013−35881(P2013−35881A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170165(P2011−170165)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】