説明

燃料タンク用弁装置

【課題】弁装置をできるだけコンパクトに構成可能とすると共に、予期せず閉弁状態が作り出されてしまうことがないようにする。
【解決手段】ケース1は、下端110fをタンク内に開放させた外殻部110と、弁体2及びフロート体3を納めると共に外殻部110の内面との間を気体の主流路12としフロート体3の外面との間を気体の副流路13とし、かつ、下端側に入り口111bを備えた内殻部111とを有している。弁体2は絞り孔20を備えており、第一液位Fa1に達したときに内殻部111の入り口111bより流れ込む気体によって上昇して通気弁口10aに着座し気体の流路を絞り、第二液位Fa2に達したとき内殻部111の入り口111bから流れ込む燃料Fによりフロート体3が上昇して弁体2の絞り孔20を閉塞するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車や二輪自動車などの燃料タンクに取り付けられて、開弁状態において燃料タンク内外を連通させるように機能される弁装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンク用のフロートバルブにおいて、フロートの上部にメインバルブを上下動可能に支持させ、燃料の液面上昇によりフロートが所定位置まで上昇したときにメインバルブが吸い上げられてタンク外と連通した連絡孔に着座されるようにしたものがある。(特許文献1参照)
【0003】
しかるに、かかるフロートバルブにおいては、メインバルブの着座にフロートの所定位置までの上昇を必要とさせるため、(1)メインバルブの着座を生じる燃料の液面以下のバルブを構成するケースの寸法を最小にしがたく、(2)また、給油時の燃料の液面の揺らぎや波立ちや給油速度などにより、メインバルブの着座を生じさせる必要のない量の給油しかされていないにもかかわらず、フロートの上昇によってメインバルブの吸い上げ着座を生じさせてしまう可能性を払拭しきれない。
【特許文献1】特許第3928062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、開弁状態において燃料タンク内外を連通させるように機能される弁装置をできるだけコンパクトに構成可能とすると共に、燃料タンク内の液面が所定のレベルに達しない量の給油しかされていない段階で予期せず閉弁状態が作り出されてしまうことがないようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、燃料タンク用弁装置を、以下の(1)〜(7)の構成を備えたものとした。
(1)燃料タンクに取り付け用いられる弁装置であって、
(2)タンク外と通じる通気弁口を上部に備えたケースと、
(3)このケース内に上下動可能に納められた弁体及びフロート体とを備えており、
(4)ケースは、下端をタンク内に開放させた外殻部と、
弁体及びフロート体を納めると共に、外殻部の内面との間を気体の主流路とし、フロート体の外面との間を気体の副流路とし、かつ、下端側に入り口を備えた内殻部とを有しており、
(5)外殻部の下端より内殻部の入り口の下縁が上方に位置されていると共に、
(6)弁体は絞り孔を備えており、外殻部の下端に燃料の液面が達したとき(以下、このときの液面レベルを第一液位という。)に内殻部の入り口より流れ込む気体によって上昇して通気弁口に着座し気体の流路を絞り、
(7)燃料の液面がさらに所定のレベルまで上昇したとき(以下このときの液面レベルを第二液位という。)に内殻部の入り口から流れ込む燃料によりフロート体が上昇して弁体の絞り孔を閉塞するようになっている。
【0006】
燃料タンク内の燃料の液位が第一液位以下であるときは、弁体及びフロート体は共に下降しており、通気弁口を通じたタンク内外の通気が確保される。給油により燃料の液位が第一液位に達すると、ケースの外殻部の下端、つまり、主流路のタンク内側の流路口が閉鎖されることから、タンク内の気体は内殻部の入り口から副流路を通じて通気弁口に流れることとなり弁体が上昇して通気弁口に着座する。弁体がこのように着座すると通気弁口は絞り孔の範囲に減少、つまり気体の流路は絞られるので、タンク内圧は急激に上昇し、これによりフィラーパイプ内の燃料の液位を上昇させて給油ガンのセンサに満タンを検知させ給油を一旦停止させることができる。かかる主流路はケースの外殻部の下端がすべて燃料の液面に触れない限り閉鎖されないことから、給油時の液面のゆらぎや波立ちなどにより第一液位に達しない量の給油しかなされていないが液面の一部が第一液位のレベルに達することがあっても弁体は通気弁口を塞ぐ位置まで上昇されないようにすることができ、こうしたときに給油ガンのセンサに満タンを検知させることはない。また、ケースの外殻部の下端に第一液位に達したことをもって前記満タンを検知させることができるので、バルブ装置の上下方向の寸法を最小のものとさせることができる。給油が一旦停止されると弁体は下降し通気弁口から離座することから、タンク内圧は下がりフィラーパイプ内の燃料の液位も下がり満タンの検知が解除され、第二液位までの追加給油が許容される。第二液位に達すると内殻部の入り口から流入した燃料によりフロート体が上昇して弁体の絞り孔をこのフロート体により塞いだ状態で通気弁口を閉塞することから、フィラーパイプ内の燃料の液位は給油ガンのセンサに満タンを検知させる位置まで最終的に上昇し、追加給油は停止される。燃料が消費されて燃料の液面が第二液位以下に下がるとフロート体が下降し、弁体の絞り孔が開かれ、この絞り孔を通じた通気によりタンク内圧が下がることから、弁体も下降し通気弁口から離座する。前記弁体をフロート体の上側に上下動可能に配させておけば、燃料の液面が第一液位に達したとき、弁体のみを上昇させて通気弁口に着座させ、また、燃料の液面が第二液位からそれ以下に下がったときは先ずフロート体を下降させて、この後弁体が下降離座するように動作させることができる。
【0007】
前記ケースの内殻部の入り口の開口面積を、外殻部の下端における主流路の開口面積より小さくさせておけば、燃料の液面が第一液位に達するまでは、給油によるタンク外への気体の流出をおおむね主流路を通じてのみなさしめ、このときは弁体が上昇することがないようにすることができる。
【0008】
また、前記内殻部の底面を閉塞させ、入り口をこの内殻部の側部に形成させておけば、給油時の気体の上方への流れの影響を燃料の液面が第一液位に達するまでは弁体が被ることがないようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明にかかる弁装置にあっては、ケースの外殻部の下端に第一液位が達したときに弁体を通気弁口に着座させてタンク内圧を急激に上昇させることができるので、弁装置をできるだけコンパクトに構成させることができる。また、ケースの外殻部の下端がすべて燃料の液面に触れない限り主流路は閉鎖されないことから、第一液位に達しない量の給油しかされていない段階で液面の揺らぎなどにより予期せず弁体が通気弁口に着座されてタンク内圧を上昇させてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1〜図9に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
なお、ここで図1及び図7〜図9は実施の形態にかかる弁装置Vの使用状態を、図2〜図6はかかる弁装置Vをそれぞれ表している。
【0012】
この実施の形態にかかる弁装置Vは、自動車や二輪自動車などの燃料タンクTに取り付けられて、開弁状態において燃料タンクT内外を連通させるように機能されるものである。
【0013】
かかる弁装置Vは、典型的には、燃料タンクTの上部に取り付けられて、燃料タンクTに対する接続通路R(通気路)の一部を構成する。そして、かかる弁装置Vは、燃料タンクTへの給油を許容すると共に、燃料タンクT内の燃料Fの液面Faが所定のレベルに達したときに閉弁状態に移行して燃料タンクT内の圧力を上昇させこれにより給油ガンG側のセンサに満タンを検知させて給油を停止させるように機能する、いわゆるベントバルブとして用いられるものとなっている。
【0014】
より具体的には、かかる弁装置Vは、(1)給油により燃料タンクT内の燃料Fの液面Faが所定の第一液位Fa1に達したときに、後述する通気弁口10aを弁体2の着座により絞って燃料タンクT内の圧力を上昇させ、これによってフィラーパイプP内の燃料Fの液位を上昇させて給油ガンGのセンサに満タンを検知させ給油を一旦中止させると共に、(2)給油の中止後のかかる弁体2の離座によって燃料タンクT内の圧力を下降させ、これによってフィラーパイプP内の燃料の液位を下降させて給油ガンGのセンサの満タンの検知を解除して前記第一液位Fa1より高い第二液位Fa2に至るまでの追加給油を許容し、(3)燃料タンクTの液面が所定の第二液位Fa2に達したときは、前記通気弁口10aを弁体2及びフロート体3によって閉塞してフィラーパイプP内の燃料の液位を上昇させて給油ガンGのセンサに満タンを検知させ前記追加給油を終了させるように機能する。
【0015】
かかる弁装置Vは、ケース1と、このケース1内に上下動可能に納められた弁体2及びフロート体3とを備えている。
【0016】
ケース1は、アッパーボディ10と、ロアボディ11とを組み合わせて構成されている。
【0017】
アッパーボディ10は、筒下端を開放させた円筒状をなすように構成されている。アッパーボディ10の筒上端は、中央に円形の通気弁口10aを貫通状態に備えた天板10bによって閉塞されている。天板10bの下面には通気弁口10aを縁取る周回リブ状の弁座部10cが形成されている。
【0018】
図示の例では、かかるアッパーボディ10は、下面を開放させると共にこの開放部を巡る外鍔40を備えた円筒状をなすフランジ4に組み合わされるようになっている。かかるフランジ4の下部の内径はアッパーボディ10の外径と略等しく、フランジ4の開放部にアッパーボディ10の上部をはめ込み気密状態に固着させることでアッパーボディ10の上方に前記接続通路Rの一部をなす空間が形成されるようになっている。フランジ4の側部にはかかる接続通路Rの一部をなす接続管41が備えられている。図示の例では、燃料タンクTの上壁に貫通状態に設けられた取り付け穴Taに前記フランジ4の外鍔40が外側から引っかかる位置までケース1を入れ込んだ状態において、この外鍔40を溶着などによって燃料タンクTに止着させることで、弁装置Vの燃料タンクTへの取り付けがなされるようになっている。給油時においては燃料タンクT内の燃料蒸気などの気体は、ケース1の上部、つまり、アッパーボディ10の天板10bに備えられた通気弁口10aからフランジ4内の空間を経て接続管41よりタンク外に送り出される。かかる接続管41には必要に応じて前記接続通路Rを構成する図示しない通気管などが接続される。
【0019】
ロアボディ11は、内殻とこれを取り巻く外殻とを備えた復殻構造となっており、これによりケース1は、外殻部110と内殻部111とを備えている。
【0020】
外殻部110は、アッパーボディ10の内径と略等しい外径を備え、かつ、筒上端と筒下端100fを共に開放させた円筒状をなすように構成されている。図示の例では、外殻部110の上部側の外面には周回リブ110aが形成されており、この周回リブ110aがアッパーボディ10の下端に突き当たる位置までアッパーボディ10内にロアボディ11の上側を入れ込ませて両者を気密状態に組み付け合わせることで、ケース1が構成されている。
【0021】
これにより、外殻部110の筒上端はアッパーボディ10の天板10bにより覆われ、外殻部110は筒下端110fのみをタンク内に開放させている。
【0022】
内殻部111は、外殻部110の内径よりも外径を小さくした円筒状をなすように構成されている。内殻部111の筒上端は開放されており、筒下端すなわち底面111aは閉塞されている。内殻部111の内部には、弁体2及びフロート体3が上下動可能に納められている。
【0023】
内殻部111と外殻部110とは、内殻部111の外面と外殻部110の内面との間に、その筒軸を巡るどの位置においても略等しい間隔を形成させるようにして、組み合わされている。図示の例では、板内端を内殻部111の外面に一体に連接させると共に、板外端を外殻部110の内面に一体に連接させた上下方向に長い隔壁板112が、前記筒軸を巡る向きに隣り合う隔壁板112との間に略等しい間隔を開けて四箇所に形成されており、これらの隔壁板112によって外殻部110の内側に内殻部111が前記のように位置づけられている。そして、かかる内殻部111の外面と外殻部110の内面との間が気体の主流路12となるようにしてある。
【0024】
また、内殻部111の下端側には、この内殻部111への入り口111bが形成されている。かかる入り口111bは内殻部111の側部111dを割欠く窓穴状をなすように形成されている。入り口111bの下縁111cは内殻部111の底板の上面、つまり底面111aによって形成されている。図示の例では、かかる入り口111bは、内殻部111の直径方向両側にそれぞれ形成されている。外殻部110の筒下端110f側にはこの入り口111bへの連通開口110bが形成されている。連通開口110bと入り口111bとの間は、一対の縦向き壁100d、110dと、この一対の縦向き壁110d、110dの上端間を塞ぐ横向き壁110eとにより形成された通路110cで連絡されており、前記主流路12とは区分されている。
【0025】
フロート体3は、内殻部111の内側に上下動可能に納められる筒状をなすように構成されている。そして、内殻部111に燃料Fが流入していないときはフロート体3はその筒下端を内殻部111の底面111aに接しさせた下降位置にあり、前記入り口111bを通じて内殻部111に燃料Fが流入すると上昇し、前記第二液位Fa2において上昇されきるようになっている。
【0026】
図示の例では、フロート体3は、下端開口の筒状をなすアウターパーツ30内に、その下側から同じく下端開口の筒状をなすインナーパーツ31をはめ込み両者をその下端側で掛合爪32とこれが弾発して入り込む窓穴33とによって掛合させ合って構成されている。図中符号5で示されるのは、インナーパーツ31内に納められて内殻部111の底面111aにバネ下端を接しさせ、かつ、インナーパーツ31の上部内面にバネ上端を接しさせる圧縮コイルバネであり、このバネ5によってフロート体3には一定の上方に向けた付勢力が作用されるようになっている。
【0027】
アウターパーツ30の外周部にはその筒軸方向に沿ったリブ30aがこの筒軸を巡る向きに隣り合うリブ30aとの間に略等しい間隔を開けて形成されており、これらのリブ30aによって内殻部111の内面とフロート体3の外面との間に気体の副流路13が形成されている。
【0028】
また、アウターパーツ30の上部30bは上方に向かうに連れて次第に径を小さくする截頭円錐状をなすように形成されていると共に、その上端面の略中央にはフロート体3が上昇されきったときに弁体2の後述する絞り孔20を下方から塞ぐ弁突起30cが形成されている。また、アウターパーツ30の上部30bには前記截頭円錐の軸を巡る向きに隣り合うリブ30dとの間に略等しい間隔を開けてこの軸に沿う向きに長く続く弁体2をガタつき少なく支持案内するリブ30dが形成されている。
【0029】
弁体2は、筒下端を開放させると共に、筒上端の中央に絞り孔20を貫通状態に備えた短寸の筒状をなすように構成されている。図示の例では、弁体2の絞り孔20は、その筒上端の外面において周回リブ21により縁取られており、弁体2の筒上端にはこの周回リブ21を通す貫通穴22aを中央に備えた円板状をなすシール体22が取り付けられている。かかるシール体22はゴム又はゴム状弾性を備えた合成樹脂によって構成される。かかる弁体2は、燃料タンクT内の燃料Fが前記第一液位Fa1に達するまでは、フロート体3のアウターパーツ30の截頭円錐状をなす上部30bをその内側に入れ込ませるようにして、このフロート体3上に載置され、通気弁口10aから離座した下降位置にある。(図2、図7)すなわち、かかる弁体2は、フロート体3の上側に上下動可能に配されている。
【0030】
そして、この実施の形態にあっては、前記外殻部110の下端(筒下端)110f、つまり、主流路12のタンク内側の流路口12aよりも、内殻部111の入り口111bの下縁111cが上方に位置されている。また、弁体2は、外殻部110の下端110fに燃料Fの液面Faが達したとき(前記第一液位Fa1)に内殻部111の入り口111bより流れ込む気体によって上昇して通気弁口10aに着座し気体の流路を絞り孔20に減少させるように構成されている。(図8)すなわち、前記弁体2は、燃料タンクT内の液面が給油により第一液位Fa1に達して主流路12が閉塞されることによって気体の流路が副流路13に限定されたときに、この副流路13を流れる気体によって通気弁口10aに着座する位置まで上昇される重さと形状を持つように構成されている。具体的には、気体の流路が副流路13に限定されると、内殻部111の入り口111bを通じてフロート体3の外面と内殻部111の内面との狭い隙間状をなす副流路13を気体は通って截頭円錐状をなす上部の外面に案内されながら弁体2の内側に入り込み弁体2を持ち上げる。
【0031】
それと共に、この実施の形態にあっては、燃料Fの液面Faが第一液位Fa1を超えるさらに所定のレベル(第二液位Fa2)まで上昇したときに内殻部111の入り口111bから流れ込む燃料Fによりフロート体3が上昇して弁体2の絞り孔20を下方から閉塞するようになっている。具体的には、燃料タンクT内の液面が追加給油により第二液位Fa2に達すると、弁体2の絞り孔20に弁突起30cを入れ込ませるようにしてフロート体3が上昇されきり、通気弁口10aを弁体2を介して完全に閉塞するようになっている。(図9)
【0032】
燃料タンクT内の燃料Fの液位が第一液位Fa1以下であるときは、弁体2及びフロート体3は共に下降しており、通気弁口10aを通じたタンク内外の通気が確保される。給油により燃料Fの液位が第一液位Fa1に達すると、ケース1の外殻部110の下端110f、つまり、主流路12のタンク内側の流路口12aが閉鎖されることから、タンク内の気体は内殻部111の入り口111bから副流路13を通じて通気弁口10aに流れることとなり弁体2が上昇して通気弁口10aに着座する。弁体2がこのように着座すると通気弁口10aは絞り孔20の範囲に減少されるので、タンク内圧は急激に上昇し、これによりフィラーパイプP内の燃料Fの液位を上昇させて給油ガンGのセンサに満タンを検知させ給油を一旦停止させることができる。かかる主流路12はケース1の外殻部110の下端110fがすべて燃料Fの液面Faに触れない限り閉鎖されないことから、給油時の液面のゆらぎや波立ちなどにより第一液位Fa1に達しない量の給油しかなされていないが液面Faの一部が第一液位Fa1のレベルに達することがあっても弁体2は通気弁口10aを塞ぐ位置まで上昇されることがなく、こうしたときに給油ガンGのセンサに満タンを検知させることはない。また、ケース1の外殻部110の下端110fに第一液位Fa1に達したことをもって前記満タンを検知させることができるので、バルブ装置の上下方向の寸法を最小のものとさせることができる。給油が一旦停止されると弁体2は下降し通気弁口10aから離座することから、タンク内圧は下がりフィラーパイプP内の燃料Fの液位も下がり満タンの検知が解除され、第二液位Fa2までの追加給油が許容される。第二液位Fa2に達すると内殻部111の入り口111bから流入した燃料によりフロート体3が上昇して弁体2の絞り孔20をこのフロート体3により塞いだ状態で通気弁口10aを閉塞することから、フィラーパイプP内の燃料Fの液位は給油ガンGのセンサに満タンを検知させる位置まで最終的に上昇し、追加給油は停止される。燃料Fが消費されて燃料Fの液面Faが第二液位Fa2以下に下がるとフロート体3が下降し、弁体2の絞り孔20が開かれ、この絞り孔20を通じた通気によりタンク内圧が下がることから、弁体2も下降し通気弁口10aから離座する。
【0033】
また、この実施の形態にあっては、前記ケース1の内殻部111の入り口111bの開口面積が、外殻部110の下端110fにおける主流路12の開口面積、つまり、タンク内側の主流路12の流路口12aの開口面積より小さくなっている。これにより、この実施の形態にあっては、燃料Fの液面Faが第一液位Fa1に達するまでは、給油によるタンク外への気体の流出をおおむね主流路12を通じてのみなさしめ、このときは弁体2が上昇することがないようにすることができる。
【0034】
また、この実施の形態にあっては、内殻部111の底面111aは閉塞され、入り口111bは内殻部111の側部111dに形成されていることから、給油時の気体の上方への流れの影響を燃料Fの液面Faが第一液位Fa1に達するまでは弁体2が被ることがないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】弁装置Vの使用状態を示した断面構成図
【図2】同要部破断斜視構成図
【図3】同分解斜視構成図
【図4】同側面図
【図5】図4におけるA−A線断面図
【図6】図4におけるB−B線断面図
【図7】弁装置Vの使用状態を示した断面構成図
【図8】弁装置Vの使用状態を示した断面構成図
【図9】弁装置Vの使用状態を示した断面構成図
【符号の説明】
【0036】
V 弁装置
T 燃料タンク
F 燃料
Fa 液面
1 ケース
10b 通気弁口
110 外殻部
110f 下端
111 内殻部
111b 入り口
111c 下縁
12 主流路
13 副流路
2 弁体
3 フロート体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクに取り付け用いられる弁装置であって、
タンク外と通じる通気弁口を上部に備えたケースと、
このケース内に上下動可能に納められた弁体及びフロート体とを備えており、
ケースは、下端をタンク内に開放させた外殻部と、
弁体及びフロート体を納めると共に、外殻部の内面との間を気体の主流路とし、フロート体の外面との間を気体の副流路とし、かつ、下端側に入り口を備えた内殻部とを有しており、
外殻部の下端より内殻部の入り口の下縁が上方に位置されていると共に、
弁体は絞り孔を備えており、外殻部の下端に燃料の液面が達したときに内殻部の入り口より流れ込む気体によって上昇して通気弁口に着座し気体の流路を絞り、
燃料の液面がさらに所定のレベルまで上昇したときに内殻部の入り口から流れ込む燃料によりフロート体が上昇して弁体の絞り孔を閉塞するようになっていることを特徴とする燃料タンク用弁装置。
【請求項2】
内殻部の入り口の開口面積が、外殻部の下端における主流路の開口面積より小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク用弁装置。
【請求項3】
内殻部の底面は閉塞され、入り口は内殻部の側部に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料タンク用弁装置。
【請求項4】
弁体はフロート体の上側に上下動可能に配されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料タンク用弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−184628(P2009−184628A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29357(P2008−29357)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】