説明

燃料電池システムを運転するためのシステムおよび方法

本発明は、溶融炭酸塩形燃料電池システムを運転するシステムおよび方法を対象とする。溶融炭酸塩形燃料電池を運転する方法は、1つまたは複数の高温水素分離膜を含む、高温水素分離装置からの分子状水素を含む水素含有流を溶融炭酸塩形燃料電池に供給すること;第1の改質装置に供給されるまたは供給された炭化水素の少なくとも一部を溶融炭酸塩形燃料電池からのアノード排気と混合すること;第1の改質装置において炭化水素の一部を少なくとも部分的に改質して、水蒸気改質供給燃料を生産すること;ならびに水蒸気改質供給燃料を第2の改質装置に供給することを含み、第2の改質装置が高温水素分離装置を含むか、または第2の改質装置が高温水素分離装置に作動可能に連結され、高温水素分離装置が、溶融炭酸塩形燃料電池に供給される分子状水素を含む流れの少なくとも一部を発生するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関し、また燃料電池を運転する方法に関する。特に、本発明は、溶融炭酸塩形燃料電池システムを運転するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融炭酸塩形燃料電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。溶融炭酸塩形燃料電池は、高品質で信頼できる電力を供給し、汚染物質を排出せずに動作し、比較的小型の発電装置である点において有用である。これらの特徴があるため、溶融炭酸塩形燃料電池の用途は、都市部、輸送船舶または電力供給を利用する方法が限られている遠隔地における電源として魅力的なものとなる。
【0003】
溶融炭酸塩形燃料電池は、アノード、カソードおよびアノードとカソードの間にはさまれた電解質層から構成されている。電解質は、多孔性、絶縁性で、化学的に不活性のマトリックスに懸濁されていてよい、アルカリ炭酸塩、アルカリ土類炭酸塩、溶融アルカリ炭酸塩またはそれらの混合物を含む。易酸化性燃料ガス、または燃料電池中で易酸化性燃料ガスに改質することができるガスをアノードに供給する。アノードに供給される易酸化性燃料ガスは、一般的に合成ガス、すなわち、易酸化性成分、分子状水素、二酸化炭素および一酸化炭素の混合物である。酸化剤含有ガス、一般的に空気および二酸化炭素をカソードに供給して、炭酸陰イオンを生成するための化学反応物を供給することができる。燃料電池の稼働中、炭酸陰イオンは絶えず補給される。
【0004】
溶融炭酸塩形燃料電池は、高温、一般的に550℃から700℃で運転され、酸化剤含有ガス中の酸素を二酸化炭素と反応させて、炭酸陰イオンを生成する。炭酸陰イオンは、電解質を通過して、アノードにおいて燃料ガスの水素および/または一酸化炭素と相互作用する。カソードにおける酸素および二酸化炭素の炭酸イオンへの変換ならびにアノードにおける炭酸イオンと水素および/または一酸化炭素との化学反応によって、電力が発生する。以下の反応は、一酸化炭素が存在しない場合の電池中の電気的電気化学反応を記述している。
【0005】
カソード電荷移動: CO+0.5O+2e→CO
アノード電荷移動: CO+H→HO+CO+2eおよび
全反応: H+0.5O→H
【0006】
一酸化炭素が燃料ガス中に存在する場合、下の化学反応が電池中の電気化学反応を記述している。
【0007】
カソード電荷移動: CO+O+4e→2CO
アノード電荷移動: CO+H→HO+CO+2eおよび
CO+CO→2CO+2e
全反応: H+CO+O→HO+CO
【0008】
アノードとカソードの間に電流を流れさせるために、電気負荷または貯蔵装置をアノードとカソードの間に接続することができる。電流は、電気負荷に電力を供給または貯蔵装置に電力を供給する。
【0009】
燃料ガスは、一般的に、低分子量炭化水素と水蒸気を水素と酸化炭素に改質する水蒸気改質装置によりアノードに供給される。例えば、天然ガス中のメタンは、燃料電池用の燃料ガスを製造するのに用いられる好ましい低分子量炭化水素である。或いは、燃料電池のアノードは、燃料電池のアノードに供給されるメタンなどの低分子量炭化水素および水蒸気に対して水蒸気改質反応を内部で起こさせるように設計することができる。
【0010】
メタンの水蒸気改質により、次の反応に従って水素および一酸化炭素を含む燃料ガスが得られる:CH+HO⇔CO+3H。一般的に、水蒸気改質反応は、実質的な量のメタンおよび水蒸気を水素および一酸化炭素に変換するのに有効な温度で行わせる。HO+CO⇔CO+Hの水性ガスシフト反応による水蒸気および一酸化炭素の水素および二酸化炭素への変換により、さらなる水素の生成を水蒸気改質装置中で起こさせることができる。
【0011】
しかし、溶融炭酸塩形燃料電池に燃料ガスを供給するために用いられる従来通り運転される水蒸気改質装置において、水蒸気改質装置が水蒸気改質反応による一酸化炭素および水素の生成にエネルギー的に有利である温度で運転されるので、水性ガスシフト反応によって水素はほとんど生成しない。そのような温度での運転は、水性ガスシフト反応による二酸化炭素および水素の生成に不利である。
【0012】
一酸化炭素は燃料電池中で酸化されて電気エネルギーを供給することができるが、二酸化炭素はできないので、炭化水素および水蒸気の水素および一酸化炭素への改質に有利な温度で改質反応を実施することは、燃料電池に燃料を供給する好ましい方法として一般的に受け入れられている。燃料ガスは、一般的に外部または内部での水蒸気改質によりアノードに供給され、したがって、水素、一酸化炭素ならびに少量の二酸化炭素、未反応のメタンおよび水蒸気としての水を含む。
【0013】
しかし、一酸化炭素などの非水素化合物を含む燃料ガスは、より純粋な水素燃料ガス流より溶融炭酸塩形燃料電池において電力を発生する効率が低い。所定の温度において、溶融炭酸塩形燃料電池において発生させることができる電力は、水素濃度の増加とともに増加する。これは、他の化合物と比較した分子状水素の電気学的酸化電位に起因する。例えば、Watanabeらは、「Applicability of molten carbonate fuel cells to various fuels」、Journal of Power Sources、2006年、868−871頁において、50%の分子状水素および50%の水を含む供給燃料を用い、90%燃料利用率、0.49MPaの圧力、1500A/mの電流密度で運転される10kW溶融炭酸塩形燃料電池スタックは、0.12W/cmの電力密度および0.792ボルトの電池電圧を発生し得るが、50%の一酸化炭素および50%の水を含む供給燃料を用い、同じ運転条件で運転される同じ溶融炭酸塩形燃料電池スタックは、わずか0.11W/cmの電力密度および0.763ボルトの電池電圧を発生し得ることを述べている。したがって、かなりの量の非水素化合物を含む燃料ガス流は、主として水素を含む燃料ガスほど溶融炭酸塩形燃料電池において電力を発生するのに効率が高くない。
【0014】
しかし、溶融炭酸塩形燃料電池は、例えば、水蒸気改質による燃料ガスの製造の条件が燃料ガス中の燃料電池から出る水素の量を制限するように選択される、「水素希薄」モードで一般的に商業的に運転される。これは、燃料ガス中の水素の電気エネルギーポテンシャルを電気エネルギーに変換されずに電池から出る水素によるポテンシャルエネルギー(電気化学的+熱的)損失と均衡させるために行われる。
【0015】
燃料電池を出る水素のエネルギーを再捕捉するためのある種の処置が講じられたが、これらは、水素が燃料電池中で電気化学的に反応した場合より著しくエネルギー効率が低い。例えば、燃料電池中で燃料ガスを電気化学的に反応させることにより生ずるアノード排気は、燃焼されて、タービンエキスパンダーを駆動して電気を発生する。しかし、熱エネルギーの多くは、エキスパンダーにより電気エネルギーに変換されるよりもむしろ失われるので、アノード排気を燃焼して電気を発生させることは、燃料電池中で水素の電気化学的ポテンシャルを捕捉することよりも著しく効率が低い。燃料電池から出る燃料ガスも燃焼されて、様々な熱交換適用例に熱エネルギーを供給する。しかし、熱エネルギーのほぼ50%が燃焼後にそのような熱交換適用例において失われる。水素は、非効率的なエネルギー回収システムに利用されるバーナーを燃焼させるために使用するには高価なガスであり、したがって、通常、溶融炭酸塩形燃料電池に用いられる水素の量は、電力を発生させるために燃料電池に供給される水素の大部分を利用し、燃料電池排気中の燃料電池から出る水素の量を最小限にするように調節する。
【0016】
後改質装置および/またはガス分離装置に燃料ガスを供給することによりアノード排気中に存在する燃料ガスからより多くの水素を生成させ、および/またはアノードガス中の水素をリサイクルするための他の処置が講じられた。水素および/または二酸化炭素を回収するために、アノードに存在する燃料ガスを後改質装置中で改質してアノードガス流を水素に富ませ、および/または水性ガスシフト反応に供して水素および二酸化炭素を生成させる。熱は、アノードガス流により供給することができる。
【0017】
水蒸気改質装置におけるメタン水蒸気改質反応を誘導および/または液体燃料を水蒸気改質装置の供給原料に変換するための熱は、バーナーによっても供給された。燃料、一般的に天然ガスなどの炭化水素燃料を含む酸素含有ガスを燃焼させるバーナーは、水蒸気改質装置に必要な熱を供給するために用いることができる。無炎燃焼も水蒸気改質反応を促進するための熱を供給するために用いられており、無炎燃焼は、火炎燃焼を誘導することを避ける相対的量で無炎燃焼装置に炭化水素燃料および酸化剤を供給することによっても促進される。水蒸気改質反応および/または水性ガスシフト反応を促進するために必要な熱を供給するこれらの方法は、燃焼によって供給される熱エネルギーのかなりの量が捕捉されずに失われるので、エネルギー的に比較的非効率的である。
【0018】
改質ガス流中の水素および二酸化炭素は、例えば、圧力スイング吸着装置および/または膜分離装置を用いてアノード排気から分離することができる。アノード排気の温度は、商業用水素および/または二酸化炭素分離装置により要求される温度より一般的に高い。該流れは、例えば、熱交換器により冷却することができるが、熱エネルギーが冷却過程で失われ得る。
【0019】
分離された水素は、燃料電池のアノード部に供給される。水素をアノードにリサイクルすることにより、溶融炭酸塩形燃料電池に入る燃料ガスに水素を混入することができる。分離された二酸化炭素は、燃料電池のカソード部に供給される。二酸化炭素をカソードにリサイクルすることにより、溶融炭酸塩形燃料電池に入る空気に二酸化炭素を富化することができる。
【0020】
米国特許第7,097,925号は、溶融炭酸塩形燃料電池、アノードリサイクルのための水素を濃縮し、二酸化炭素を燃料電池のアノード側からカソード側に移動させるための燃焼装置(燃焼の完全性を保証するために触媒を含んでいてよい)と協働するアノードガス分離PSAユニットならびにガスの圧縮および膨張のための統合ガスタービンユニットを含む燃料電池発電システムを提供する。供給燃料の一部を変換してアノード内の内部改質により水素を発生させる。供給燃料ガスは、実例として天然ガスである。アノードガス混合物は、アノード出口から取り出される。水蒸気がアノードガス混合物に加えられ、混合物が場合による後改質装置に導入される。後改質装置は、吸熱性水蒸気改質反応CH+HO⇔CO+3HおよびCH+2HO⇔CO+4Hを行うための水蒸気改質触媒を含む。後改質装置における反応の後、アノードガス混合物は、第1のエキスパンダーの入口に供給される。エキスパンダーにおける膨張の後、改質後アノードガスは、燃焼装置からの熱により再加熱され、第2のエキスパンダーに搬送される。改質後アノードガス流は、第2のエキスパンダーにおいて膨張して作動圧力を実質的に低くし、次に水性ガスシフト反応器に搬送される。アノードガス混合物は、水性ガスシフト反応器から冷却のための熱回収熱交換器を経て水を除去するために冷却器に、次にアノードガス混合物から水素を分離するために圧力スイング吸着ユニットに搬送される。圧力スイング吸着ユニットからの富化水素軽生成物ガスは、燃料と混合され、前処理ユニットに、次に燃料電池のアノード入口に供給される。
【0021】
燃焼によってもたらされる熱エネルギーを捕捉することより効率的であるが、当方法は、水素および/または二酸化炭素を生成するのに複数の加熱、冷却および/または分離ステップが必要であるので、比較的に熱的に非効率的である。さらに、改質装置は、液体炭化水素原料を水蒸気改質装置用の低分子量供給原料に変換せず、そうするために燃料電池から不十分な熱が供給される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第7,097,925号明細書
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Watanabeら、「Applicability of molten carbonate fuel cells to various fuels」、Journal of Power Sources、2006年、868−871頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
電気を発生させるための溶融炭酸塩形燃料電池システムの運転における効率のさらなる改善および溶融炭酸塩形燃料電池の電力密度の増大が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の要旨)
本発明は、
1つまたは複数の高温水素分離膜を含む、高温水素分離装置からの分子状水素を含む流れを溶融炭酸塩形燃料電池に供給すること;
第1の改質装置に供給されるまたは供給された炭化水素の少なくとも一部を、溶融炭酸塩形燃料電池からのアノード排気および/またはアノード排気からの熱を含む、熱源により加熱すること;
第1の改質装置において炭化水素の一部を少なくとも部分的に改質して、供給燃料流を生成すること;ならびに
供給燃料流を第2の改質装置に供給し、前記高温水素分離装置を含むか、または高温水素分離装置に作動可能に連結され、前記高温水素分離装置が溶融炭酸塩形燃料電池に供給される分子状水素を含む流れの少なくとも一部を発生するように構成されていること
を含む、溶融炭酸塩形燃料電池システムを運転する方法を対象とする。
【0026】
本発明の他の態様において、溶融炭酸塩形燃料電池システムは、
溶融炭酸塩形燃料電池;
溶融炭酸塩形燃料電池に連結され、溶融炭酸塩形燃料電池からのアノード排気および炭化水素を受け入れるように構成されており、アノード排気またはアノード排気からの熱が、炭化水素の一部を少なくとも部分的に改質して供給燃料流を生成するのに十分に炭化水素と混合することを可能にするように構成されている、第1の改質装置;
第1の改質装置に連結され、第1の改質装置からの供給燃料流を受け入れるように構成されている、第2の改質装置;および
第2の改質装置の一部でありまたはそれに連結され、また溶融炭酸塩形燃料電池に作動可能に連結されており、1つまたは複数の高温水素分離膜を含み、分子状水素を含む流れを溶融炭酸塩形燃料電池に供給するように構成されている、高温水素分離装置
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本明細書で述べる方法を実施するための第1の改質装置および第2の改質装置と組合された高温水素分離装置を含むシステムの実施形態の概略図である。
【図2】図2は、本明細書で述べる方法を実施するための熱交換器を含む第1の改質装置、および第2の改質装置と組合された高温水素分離装置を含むシステムの実施形態の概略図である。
【図3】図3は、高温水素分離装置が第2の改質装置の外部にある、システムの一部の実施形態の概略図である。
【図4】図4は、絶対圧1バールで運転された溶融炭酸塩形燃料電池システムの実施形態の電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す図である。
【図5】図5は、絶対圧1バールで運転された溶融炭酸塩形燃料電池システムの実施形態の電力密度(W/cm)対電流密度を示す図である。
【図6】図6は、絶対圧7バールで運転された溶融炭酸塩形燃料電池システムの実施形態の電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す図である。
【図7】図7は、絶対圧7バールで運転された溶融炭酸塩形燃料電池システムの実施形態の電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で述べる本発明は、高い電力密度の電気を発生させるための溶融炭酸塩形燃料電池を運転する高度に効率的な方法およびそのような方法を実施するためのシステムを提供する。第一に、本明細書で述べる方法は、当技術分野で開示されている方法より熱的およびエネルギー的により効率的である。燃料電池排気からの熱エネルギーは、第1の改質装置に直接移動する。移動した熱エネルギーの一部は、その後、第1の改質装置から第2の改質装置に移動する。移動が、燃料電池からの熱アノード排気流を第1の改質装置中で炭化水素および水蒸気を含む炭化水素流と直接的に分子的に混合することによって引き起こされるので、燃料電池のアノード排気から第1の改質装置への直接的な熱エネルギーの移動は、高度に効率的である。熱供給燃料は、第1の改質装置により生産され、その後、第2の改質装置に供給される。熱エネルギーが第1の改質装置から第2の改質装置に供給される供給燃料に含まれるので、第1の改質装置から第2の改質装置への熱エネルギーの移動も高度に効率的である。
【0029】
本明細書で述べる方法はまた、アノード排気からの熱が一般的な水蒸気改質法より低い温度で水素を生成するのに用いられるので、当技術分野で開示されている方法より熱的に効率的である。本発明の方法において、水素は、膜分離装置である高温水素分離装置を用いて改質生成物ガスから分離することができる。高温水素分離装置は、改質反応が第2の改質装置において起こるときに水素を改質ガスから分離することができるように、第2の改質装置に作動可能に連結されていてよい。水素の分離は、平衡を水素の生成の方向に移動させ、水素を生成するのに必要な温度を低下させる。さらに、水性ガスシフト反応(HO+CO⇔CO+H)は、より低い改質温度における水素の生成に有利であるが、通常の改質反応温度においてはそれが有利でないので、より多くの水素がより低い改質温度で生成し得る。第2の改質装置により生成された実質的な量またはすべての分子状水素が溶融炭酸塩形燃料電池に供給される。
【0030】
本明細書で述べる方法は、液体燃料が利用されることを可能にする。アノード排気から供給される熱、酸化ユニットからの流出物流またはそれらの組合せが、第1の改質装置の運転温度を断熱条件以上に上昇させる。断熱条件を上回る温度の上昇により、4より大きい炭素数を有する燃料の効率のよい分解および/または改質が可能となる。液体燃料の使用は、1つの燃料が複数の動力源に使用されることを可能にするものである。例えば、ディーゼル燃料は、溶融炭酸塩形燃料電池とエンジンに動力源を供給するために船上で用いることができるであろう。アノード排気と液体供給燃料との混合により、水素が第1の改質装置に加えられる。水素のリサイクルにより、液体供給燃料の熱分解用の別個の水素源の必要が無くなる。多少の水素が消費されるが、分解炭化水素の改質によって水素が発生する。改質装置と高温水素分離装置の統合により、システムが工程に必要な実質的にすべての水素を発生することが可能となる。
【0031】
6を超える炭素数を有する燃料(例えば、ディーゼルおよびナフサ)の場合に6未満の炭素数を有する燃料(例えば、メタン)の場合より水素と炭素との比が低いため、液体燃料の改質および/または水素化分解により、生成する水素1モル当たりより多くの二酸化炭素が発生する。生成する水素1モル当たりより多くの二酸化炭素が発生することにより、溶融炭酸塩形燃料電池に必要な実質的にすべてまたはすべての二酸化炭素を液体燃料から発生させることが可能となる。この方法で二酸化炭素を発生させることにより、二酸化炭素を発生させるためにアノードガスおよび/または熱的に非効率的な燃焼バーナー用の燃料としての供給燃料ガスの一部を使用する必要が無くなるまたは少なくなることがあり得る。本明細書で述べる方法において、水素をシステムを通してリサイクルさせることを可能にする過剰の水素が生成する。
【0032】
本明細書で述べる方法において、溶融炭酸塩形燃料電池のカソードは、電気化学反応に利用できるカソード電極における二酸化炭素の濃度が全カソード経路長にわたって高レベルに維持されるようにカソードの全経路長にわたって二酸化炭素であふれている。したがって、燃料電池の電力密度および/または電池電圧は、最大である。
【0033】
本明細書で述べる方法は、溶融炭酸塩形燃料電池のカソード部の大部分またはすべてにおける二酸化炭素分圧が溶融炭酸塩形燃料電池のアノード部の大部分における二酸化炭素分圧より高くなるように二酸化炭素に富む酸化剤ガスを含む流れを利用し、燃料電池を運転することにより、当技術分野で開示されているシステムより高い電力密度も発生する。
【0034】
本明細書で述べる方法は、水素に富む燃料を使用し、燃料電池の1回通過燃料利用率を最大にするよりもむしろ、最小にすることにより、当技術分野で開示されているシステムより溶融炭酸塩形燃料電池システムにおいて高い電力密度を生じさせる。最小にすることは、燃料電池の燃料排気、例えば、アノード排気から捕捉された水素を分離し、リサイクルし、供給燃料およびリサイクル流からの水素を1回通過燃料利用率を最小にするように選択される率で供給することによって達成される。
【0035】
本明細書で述べる方法において、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードは、電気化学反応に利用できるアノード電極における水素の濃度が全アノード経路長にわたって高レベルに維持されるようにアノードの全経路長にわたって水素であふれている。したがって、燃料電池の電力密度は、最大である。水素は、溶融炭酸塩形燃料電池システムに一般的に用いられている他の易酸化性化合物(例えば、一酸化炭素)より著しく大きい電気化学的ポテンシャルを有するので、主として、好ましくはほぼすべて水素である水素に富む燃料を本方法で使用することにより、燃料電池システム電力密度が最大となる。
【0036】
本明細書で述べる方法はまた、溶融炭酸塩形燃料電池における燃料の1回通過燃料利用率を最大にするよりもむしろ、最小にすることにより、燃料電池システムの電力密度を最大にする。アノード経路長全体にわたって高い水素濃度が維持されるように燃料電池のアノード経路長全体にわたって二酸化炭素および酸化生成物、特に水の濃度を低下させるために、1回通過燃料利用率を最小にする。燃料電池の全アノード経路長に沿ったアノード電極における電気化学反応のための過剰の水素が存在するので、高い電力密度が燃料電池によってもたらされる。高い1回通過燃料利用率、例えば、60%を超える燃料利用率を達成することを指向する方法において、二酸化炭素および酸化生成物の濃度は、燃料が燃料電池の途中に移動する前に燃料流の40%超を含むことがあり得る。二酸化炭素および酸化生成物の濃度は、アノード経路に沿ってもたらされる電力が燃料電池に供給された燃料がアノード中を進むときに著しく減少するように燃料電池排気中の水素の濃度の数倍であり得る。本発明の方法は、溶融炭酸塩形燃料電池が約0.1MPa(1気圧)またはそれより低い圧力で運転されることを可能にし、少なくとも0.12W/cmおよび/または少なくとも800mVの電池電圧を提供する。
【0037】
本明細書で述べる方法はまた、燃料電池において電気を発生するのに利用されない水素および二酸化炭素が燃料電池システムを通して連続的にリサイクルされるので、高度に効率的である。これにより、電気エネルギーに変換されずに電池から出る水素および/または二酸化炭素によるエネルギーの損失に伴う問題が解消されることによる燃料の最低発熱量に関連する高い電力密度の発生が可能になる。
【0038】
本明細書で述べるシステムは、従来のシステムと比較して燃料電池に供給される炭化水素の量を最小にすると同時に、水素に富む燃料の流れおよび二酸化炭素に富む燃料の流れが溶融炭酸塩形燃料電池に供給されることを可能にするものである。該システムは、溶融炭酸塩形燃料電池のアノード部に直接導入することができる水素に富む水素を含む流れを発生させる。該システムは、燃料電池のアノードにおける燃料としての十分な水素の生成を保証するために溶融炭酸塩形燃料電池のアノードに直接連結され、および/またはアノードに位置する改質装置を必要としない。溶融炭酸塩形燃料電池における改質装置または改質帯域を取り除くまたは無くすことにより、アノード排気からの熱の大部分を第1の改質装置に供給すると同時に、溶融炭酸塩形燃料電池を水素であふれさせることが可能となる。内部改質帯域を既に備えている燃料電池は、本明細書で述べるシステムと組み合わせることができる。そのような燃料電池は、当技術分野で開示されているシステムより経済的で、効率的に運転することができる。
【0039】
本発明で述べる燃料電池システムを用いることにより、溶融炭酸塩形燃料電池を0.1MPa(1気圧)で高い電力密度で運転することができる。一般的に、溶融炭酸塩形燃料電池は、大気圧から約1MPa(10気圧)までの圧力で運転される。大気圧を超える圧力で運転することは、溶融炭酸塩形燃料電池における様々な部分のシールの寿命に影響を及ぼす可能性がある。大気圧または大気圧近くで溶融炭酸塩形燃料電池を運転することは、所与の電池電圧での高い電流密度および/または電力密度の電気を発生させると同時に、溶融炭酸塩形燃料電池におけるシールの寿命を延長させ得る。
【0040】
本明細書で述べる方法において、方法により発生した電気の単位当たり比較的少ない二酸化炭素が発生する。燃料電池からの熱アノード排気流を第1の改質装置に供給することにより、燃料電池で発生した熱が第1の改質装置内で直接移動し、その後、第1の改質装置の生成物を第2の改質装置内に直接供給し、次に、第2の改質装置の生成物を高温水素分離装置に供給するという、燃料電池と第1の改質装置、第2の改質装置および高温水素分離装置の熱的統合により、1つまたは両方の改質装置における吸熱性の改質反応を促進するために供給する必要がある追加のエネルギーが減少、好ましくは無くなる。そのような熱的統合により、例えば、燃焼により追加のエネルギーを供給する必要が少なくなる。したがって、改質反応(単数または複数)を促進するためにエネルギーを供給する際に生成する二酸化炭素の量が減少する。
【0041】
システムを通してのアノード排気流のリサイクル、および改質ガス生成物から二酸化炭素を分離し、次いで二酸化炭素含有ガス流を燃料電池に供給することによる二酸化炭素ガス流の燃料電池への供給により、燃焼により生成させる必要がある二酸化炭素の量が減少する。そのようなリサイクルにより、方法の電気効率が増加し、それにより、すべての二酸化炭素の排出が減少する。
【0042】
さらに、システムを通してのアノード排気流のリサイクル、および改質ガス生成物から水素含有ガス流を分離し、次いで水素含有ガス流を燃料電池に供給することによる燃料電池への分子状水素に富む水素含有ガス流の供給により、第2の改質装置により生成させる必要がある水素の量が減少する。アノード排気のそのようなリサイクルにより、方法の電気効率が増加する。さらに、溶融炭酸塩形燃料電池の電力密度が改善され、したがって、発生する同じ量の電力について、従来の燃料電池より小さい寸法を有する燃料電池を用いて電力を発生させることができる。
【0043】
本明細書で用いているように、「水素」という用語は、別途指定のない限り、分子状水素を意味する。
【0044】
本明細書で用いているように、「水素源」という用語は、遊離水素を発生させることができる化合物を意味する。例えば、水素源は、メタンなどの炭化水素、またはそのような化合物の混合物、または天然ガスなどの炭化水素含有混合物であってよい。
【0045】
本明細書で用いているように、2つまたはそれ以上の要素が「作動可能に接続した」または「作動可能に連結した」と記述されている場合、要素は、要素の間の直接的または間接的な流体の流れを可能にするように直接的または間接的に結合されていると定義される。「流体の流れ」という用語は、本明細書で用いているように、ガスまたは流体の流れを意味する。「作動可能に接続した」または「作動可能に連結した」の定義で用いているように、「間接的な流体の流れ」という用語は、2つの定義された要素の間の流体またはガスの流れが、流体またはガスが2つの定義された要素の間に流れるときに1つまたは複数のその他の要素により、流体またはガスの1つまたは複数の状況を変化させるように導かれ得ることを意味する。間接的な流体の流れにおいて変化させられ得る流体またはガスの状況は、ガスもしくは流体の温度もしくは圧力などの物理的特性、および/または例えば、ガスもしくは流体の成分を分離することによる、または水蒸気を含むガス流から水を凝縮させることによる、ガスもしくは流体の組成などである。「間接的な流体の流れ」は、本明細書で定義するように、流体もしくはガスの1つまたは複数の要素の化学反応、例えば、酸化または還元により2つの定義された要素の間のガスもしくは流体の組成を変化させることを除外する。
【0046】
本明細書で用いているように、「水素に対して選択的に透過性」という用語は、分子状水素または元素状水素に対して透過性であり、非水素元素または化合物の多くて10%、または多くて5%、または多くて1%が分子状水素または元素状水素に対して透過性であるものを透過し得るような他の元素または化合物に対して不透過性であると定義される。
【0047】
本明細書で用いているように、「高温水素分離装置」という用語は、少なくとも250℃の温度(例えば、300℃から650℃までの温度)でガス流から分子または元素状の水素を分離するのに有効な装置または器具と定義される。
【0048】
本明細書で用いているように、溶融炭酸塩形燃料電池における燃料中の水素の利用を指す「1回通過水素利用率」は、当該通過における燃料電池への投入燃料中の水素の総量に対する溶融炭酸塩形燃料電池への1回通過で電気を発生するために利用された燃料中の水素の量と定義される。1回通過水素利用率は、燃料電池のアノードに供給された燃料中の水素の量を測定し、燃料電池のアノード排気中の水素の量を測定し、燃料電池のアノード排気中の水素の測定量を燃料電池に供給された燃料中の水素の測定量から差し引いて、燃料電池で使用された水素の量を求め、燃料電池で使用された水素の計算量を燃料電池に供給された燃料中の水素の測定量で割ることによって計算することができる。1回通過水素利用率は、計算1回通過水素利用率に100を掛けることによって、百分率として表してもよい。
【0049】
図1−3に電気を発生する溶融炭酸塩形燃料電池を運転するための本発明による方法を実施するための本発明のシステムの実施形態の概略図を示す。燃料電池システム10は、溶融炭酸塩形燃料電池12、第1の改質装置14、第2の改質装置16、高温水素分離装置18および酸化ユニット20を含む。好ましい実施形態において、第2の改質装置16、高温水素分離装置18および酸化ユニット20は、1つのユニットである。好ましい実施形態において、酸化ユニット20は、触媒部分酸化改質装置である。一実施形態において、高温水素分離装置18は、分子状水素膜分離装置である。一実施形態において、第2の改質装置16は、改質帯、高温水素分離装置18、触媒部分酸化改質装置20および熱交換器22を含む。熱的に統合されたシステムは、電気を発生させるための溶融炭酸塩形燃料電池の連続運転のための十分な水素および二酸化炭素を供給する。
【0050】
溶融炭酸塩形燃料電池12は、アノード24、カソード26および電解質28を含む。電解質28は、アノード24とカソード26の間に置かれ、それらに接触している。溶融炭酸塩形燃料電池12は、従来の溶融炭酸塩形燃料電池であってよく、好ましくは管または平面形状を有していてよい。溶融炭酸塩形燃料電池12は、一緒に積み重ねられた複数の個別の燃料電池を含んでいてよい。個々の燃料電池は、インターコネクトにより電気的に接続され、1つまたは複数のガス流が積層燃料電池のアノード中を流れ、酸化剤含有ガスが積層燃料電池のカソード中を流れることができるように作動可能に接続されていてよい。本明細書で用いているように、「溶融炭酸塩形燃料電池」という用語は、単一溶融炭酸塩形燃料電池または複数の作動可能に接続されたもしくは積み重ねられた溶融炭酸塩形燃料電池と定義される。溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24は、多孔質焼結ニッケル化合物、ニッケル−クロム合金、リチウム−クロム酸化物を含むニッケルおよび/またはニッケル−銅合金、もしくは溶融炭酸塩形燃料電池のアノードとして使用するのに適する任意の材料から形成されていてよい。溶融炭酸塩形燃料電池12のカソード26は、酸化ニッケル、リチウム−ニッケル−鉄酸化物などの多孔質焼結材料、または溶融炭酸塩形燃料電池のカソードとして使用するのに適する任意の材料から形成されていてよい。
【0051】
燃料電池12で電気を発生させるのに必要な反応物を供給するために、ガス流をアノードおよびカソードに供給する。水素含有流がアノード24に入り、酸化剤含有ガス流がカソード26に入る。電解質部分28は、水素含有ガス流(単数または複数)がカソードに入ることを防ぎ、酸化剤含有ガス流(単数または複数)−酸素および二酸化炭素流−がアノードに入ることを防ぐために燃料電池中に置かれている。酸化剤含有ガス流(単数または複数)は、酸素および/または二酸化炭素を含む1つまたは複数の流れを含む。
【0052】
電解質部分28は、1つまたは複数のアノード電極における水素および、場合によって、一酸化炭素などのアノードガス流中の易酸化性化合物との電気化学反応のために炭酸イオンをカソードからアノードに導く。電解質部分28は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩またはそれらの組合せの溶融塩から形成されていてよい。電解質材料の例としては、炭酸リチウムナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムナトリウムバリウム、炭酸リチウムナトリウムカルシウムおよび炭酸リチウムカリウムから形成されている多孔質材料などがある。
【0053】
燃料電池12は、水素含有ガス流(単数または複数)がアノード入口30からアノード24を通って流れ、アノード排気出口32から流出することを可能にするように構成されている。水素含有ガス流は、アノード入口30からアノード排気出口32までのアノード経路長にわたる1つまたは複数のアノード電極と接触する。
【0054】
一実施形態において、分子状水素を含むガス流、以後、「水素含有流」または水素源は、管路34を経てアノード入口30に供給される。計量弁36は、アノード入口30への水素含有流の流量を選択し、制御するために用いることができる。好ましい実施形態において、水素は、下で詳細に述べるように膜ユニットである高温水素分離装置18から燃料電池12のアノード24に供給される。一実施形態において、水素含有ガス流は、少なくとも0.6、または少なくとも0.7、または少なくとも0.8、または少なくとも0.8、または少なくとも0.9、または少なくとも0.95、または少なくとも0.98モル分率の水素を含んでいてよい。
【0055】
カソードに供給されるガスは、酸化剤を含む。本明細書で言及しているように、「酸化剤」は、分子状水素との相互作用により還元される能力がある化合物を意味する。いくつかの実施形態において、カソードに供給される酸化剤含有ガスは、酸素、二酸化炭素、不活性ガスまたはそれらの混合物を含む。一実施形態において、酸化剤含有ガスは、酸素含有ガス流および二酸化炭素含有ガス流、または酸素/二酸化炭素含有流の組合せである。好ましい実施形態において、カソードに供給される酸化剤含有ガスは、二酸化炭素と酸素のモル比が少なくとも2または少なくとも2.5であるように十分な二酸化炭素と混合された空気または酸素富化空気である。
【0056】
酸化剤含有ガスは、カソード入口38からカソード26を通って流れ、次にカソード排気出口40を経て流出し得る。酸化剤含有ガスは、カソード入口38からカソード排気出口40までのカソード経路長にわたる1つまたは複数のカソード電極に接触する。一実施形態において、酸化剤含有ガスは、燃料電池12のアノード24に流れる水素含有ガスの流れと向流で流れてよい。
【0057】
一実施形態において、酸化剤含有ガス流は、酸化剤含有ガス源42から管路44を経てカソード入口38に供給される。計量弁46は、ガス流がカソード26に供給される速度を選択し、制御するために用いることができる。いくつかの実施形態において、酸化剤含有ガスは、空気圧縮機により供給される。酸化剤含有ガス流は、空気であってよい。一実施形態において、酸化剤含有ガスは、純酸素であってよい。一実施形態において、酸化剤含有ガス流は、酸素、および/または少なくとも13重量%の酸素および/または少なくとも26重量%の二酸化炭素を含む二酸化炭素富化空気であってよい。好ましい実施形態において、空気および/または二酸化炭素の流れは、二酸化炭素と空気中の分子状酸素のモル比が少なくとも約2または少なくとも2.5であるように制御されている。
【0058】
一実施形態において、酸化剤含有ガス流は、二酸化炭素含有ガス流および酸素含有ガス流により供給される。二酸化炭素流および酸素含有ガス流は、2つの別個の源によってもたらされてよい。好ましい実施形態において、溶融炭酸塩形燃料電池12用の大部分または実質的にすべての二酸化炭素は、第1の改質装置14に供給された炭化水素を含む炭化水素流由来である。二酸化炭素含有ガス流は、二酸化炭素源から管路44を経てカソード入口38に供給される。燃料電池12に供給される二酸化炭素含有ガス流は、酸素含有ガス流と同じカソード入口38に供給されてよく、またはカソード入口38に供給される前に酸素含有ガス流と混合されてよい。或いは、二酸化炭素含有ガス流は、別個のカソード入口を経てカソード26に供給されてよい。
【0059】
好ましい実施形態において、二酸化炭素流は、本明細書で述べるように高温水素分離装置18から管路48および44を経て燃料電池12のカソード26に供給される。酸素は、管路44を経て燃料電池12のカソード26に供給される。
【0060】
カソードおよび/またはアノードに供給されるガスは、1つの流れであるか、複数の流れであるかを問わず、好ましくはカソード排気口40から出て、管路50を経て熱交換器22につながる酸素枯渇カソード排気流と熱を交換することにより、カソード26および/またはアノード24に供給される前に熱交換器22または他の熱交換器で加熱することができる。
【0061】
本発明の方法において、水素含有ガス流(単数または複数)は、電気を発生させるために溶融炭酸塩形燃料電池12の1つまたは複数のアノード電極において酸化剤と混合される。酸化剤は、好ましくは、カソード26を通って流れる二酸化炭素と酸素の反応により得られ、燃料電池の電解質を横切って運ばれる炭酸である。下でさらに詳細に論じるように、水素含有ガス流および/または酸化剤含有ガス流を選択される独立した速度で燃料電池に供給することにより、水素含有ガス流と酸化剤が燃料電池12のアノードにおける1つまたは複数のアノード電極において混合される。水素含有ガス流と酸化剤が好ましくは燃料電池の1つまたは複数のアノード電極において混合されて、絶対圧1バールで少なくとも0.1W/cm、または少なくとも0.15W/cm、または少なくとも0.2W/cm、または少なくとも0.3W/cm、または少なくとも0.6W/cmの電力密度の電気を発生する。より高い電力密度は、より高い圧力でおよび/または富化酸化剤含有ガス流(例えば、富化空気)を用いることにより得ることができる。
【0062】
溶融炭酸塩形燃料電池12は、炭酸がカソード26からアノード24まで電解質部28を横断することを可能にするのに有効な温度で運転される。溶融炭酸塩形燃料電池12は、550℃から700℃まで、または600℃から650℃までの温度で運転することができる。1つまたは複数のアノード電極における炭酸による水素の酸化は、発熱反応である。反応の熱は、溶融炭酸塩形燃料電池12を運転するのに必要な熱を発生する。
【0063】
溶融炭酸塩形燃料電池が運転される温度は、水素含有ガスおよび酸化剤含有ガスの供給温度および供給流量の調節を含むが、これらに限定されない、いくつかの因子により制御することができる。水素利用率は最小にされているので、過剰な水素がシステムに供給され、未反応の水素が、第1の改質装置に過剰な熱を運ぶことにより、溶融炭酸塩形燃料電池を部分的に冷却することができる。約2の二酸化炭素と分子状酸素のモル比を維持するために二酸化炭素流および/または酸化剤含有流の流量を調節するには、アノードで利用される水素の一部と反応することが必要な量の約1.3−2.0倍の分子状酸素の過剰を達成するのに十分な酸化剤含有ガスが必要である。したがって、カソード排気口から出る過剰な酸素枯渇空気または酸化剤含有ガスは、溶融炭酸塩形燃料電池からかなりの熱を運ぶことができる。高温水素分離装置18から溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給される下で述べる水素含有流の温度は、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードに供給される前に熱回収(例えば、熱交換器22による)によって低下させることができる。高温水素分離装置18から溶融炭酸塩形燃料電池12のカソード26に供給される下で述べる高圧二酸化炭素流の温度は、溶融炭酸塩形燃料電池のカソードに供給される前に熱回収(例えば、熱交換器22による)によって低下させることができる。触媒部分酸化改質装置20から生じた流出物流の温度は、溶融炭酸塩形燃料電池のカソードに供給される前に熱回収(例えば、熱交換器22による)によって低下させることができる。燃料電池からの廃熱は、システムで利用される1つまたは複数の流れを加熱するために用いることができる。必要な場合、当技術分野で公知の溶融炭酸塩燃料を冷却するための任意の補助システムを用いて、溶融炭酸塩形燃料電池の温度を制御することができる。
【0064】
一実施形態において、水素含有ガス流の温度は、溶融炭酸塩形燃料電池の運転温度を550℃から700℃までの範囲に、好ましくは600℃から650℃までの範囲に維持するために高くても550℃の温度に制御される。
【0065】
一実施形態において、カソードに供給される酸化剤含有ガス流(単数または複数)は、カソード26に供給される前に少なくとも150℃または150℃から350℃までの温度に加熱されていてよい。一実施形態において、酸素含有ガスを用いる場合、酸素含有ガス流の温度は、150℃から350℃までの温度に制御される。
【0066】
燃料電池12の運転を開始するために、燃料電池をその運転温度、すなわち、炭酸イオンの流れを可能にするために電解質塩を融解するのに十分な温度に加熱する。図1に示すように、溶融炭酸塩形燃料電池12の運転は、触媒部分酸化改質装置20において水素含有ガス流を発生させ、水素含有ガス流を管路52および34を経て溶融炭酸塩形燃料電池のアノード24に供給することによって開始することができる。
【0067】
水素含有ガス流は、通常の部分酸化触媒の存在下での触媒部分酸化改質装置20中で下で述べる炭化水素を含む炭化水素流、または異なる炭化水素流、例えば、天然ガスに富む燃料流の一部、および酸化剤含有ガスを燃焼させることにより触媒部分酸化改質装置20において発生させることができ、触媒部分酸化改質装置20に供給される酸化剤含有ガス中の酸素の量は、炭化水素流中の炭化水素の量に対して化学量論量以下である。水素含有ガス流の流量は、弁60により制御することができる。
【0068】
図2に示すように、水素含有ガス流を酸化ユニット20中で発生させ、水素含有ガス流を管路96、104および34を経て溶融炭酸塩形燃料電池のアノード24に供給することにより、燃料電池は、その運転温度に加熱される。水素含有ガス流が酸化ユニット20から管路96、104を経てアノード24に供給される速度は、三方弁102により調節される。水素含有ガス流からの熱の一部は、管路96を経て熱交換器98を通過させて、第1の改質装置14および/または第1の改質装置に入る炭化水素を含む炭化水素流に熱を供給することができる。
【0069】
図1および2を参照すると、触媒部分酸化改質装置20に供給される燃料は、液体もしくは気体炭化水素または炭化水素の混合物であってよく、好ましくは第1の改質装置14に供給される炭化水素を含む炭化水素流と同じである。燃料は、管路62を経て触媒部分酸化改質装置20に供給することができる。一実施形態において、触媒部分酸化改質装置20に供給される燃料は、天然ガスに富むものおよび/または水素源64からの水素である。
【0070】
触媒部分酸化改質装置20に供給される酸化剤は、純酸素、空気または酸素富化空気(以後「酸化剤含有ガス」)であってよい。好ましくは、酸化剤含有ガスは、空気である。酸化剤は、酸化剤中の酸素の量が触媒部分酸化改質に供給される炭化水素に対して化学量論量以下であるように触媒部分酸化改質装置20に供給すべきである。好ましい実施形態において、酸化剤含有ガスは、酸化剤源42から管路56を経て触媒部分酸化改質装置20に供給される。弁58は、酸化剤含有ガス(空気)が触媒部分酸化改質装置20および/または燃料電池12のカソード26に供給される速度を制御することができる。一実施形態において、触媒部分酸化改質装置20に入る酸化剤含有ガスは、カソード排気口40から出る酸素枯渇カソード排気流と熱を交換することによって加熱され得る。
【0071】
触媒部分酸化改質装置20において、通常の部分酸化触媒の存在下で炭化水素および酸化剤を燃焼させることにより、水素含有ガス流が生成し、酸化剤は、炭化水素に対して化学量論量以下である。触媒部分酸化改質装置20において炭化水素と酸化剤の接触により生成した水素含有ガス流は、1つまたは複数のアノード電極における炭酸イオンとの接触により燃料電池のアノード24において酸化され得る化合物を含む。触媒部分酸化改質装置20からの水素含有ガス流は、好ましくは、燃料電池12のアノード24における1つまたは複数のアノード電極を酸化する化合物を含まない。
【0072】
触媒部分酸化改質装置20において生成した水素含有ガス流は、熱く、少なくとも700℃、または700℃から1100℃まで、800℃から1000℃までの温度を有する可能性がある。溶融炭酸塩形燃料電池12の起動を開始するために触媒部分酸化改質装置20からの熱水素ガス流を使用することは、燃料電池の温度を燃料電池の運転温度にほぼ瞬間的に上昇させることができるので、本発明の方法において好ましい。一実施形態において、燃料電池の運転を開始するとき、触媒部分酸化改質装置20からの熱水素含有ガスとカソード26に供給される酸化剤含有ガスとの間で熱を熱交換器22で交換することができる。
【0073】
図1を参照すると、弁36を開けることにより水素含有ガス流をアノード24内に供給すると同時に、触媒部分酸化改質装置20からの熱水素含有ガス流の燃料電池12内への流量を弁60を用いて調節することができる。触媒部分酸化改質装置20への管路62を経る炭化水素の供給および管路56を経る酸化剤の供給の流量を減少または停止すると同時に高温水素分離装置18からの水素含有ガス流の流出を開始した後に、弁60を閉止することができる。
【0074】
図2を参照すると、弁36を開けることにより水素含有ガス流をアノード24内に供給すると同時に、触媒部分酸化改質装置20からの熱水素含有ガス流の管路96を経る燃料電池12内への流量を弁102を用いて調節することができる。触媒部分酸化改質装置20への管路62を経る炭化水素の供給および管路56を経る酸化剤の供給の流量を減少または停止すると同時に高温水素分離装置18からの水素含有ガス流を発生させた後に、弁102を閉止することができる。次に燃料電池の連続運転を本発明の方法により実施することができる。
【0075】
三方計量弁102は、アノード24またはカソード26への触媒部分酸化改質装置20からの流出物の流量を制御する。起動時に、触媒部分酸化改質装置20からの流出物は、水素に富んでおり、したがって、流出物は、管路96を経て熱交換器98を通過した後に管路104を経てアノード24に導かれる。起動が始まった後、触媒部分酸化改質装置20がカソード26用の二酸化炭素を生成するために使用される場合、計量弁102は、管路96を経るカソード26への触媒部分酸化改質装置20からの流出物の流量を制御する。
【0076】
他の実施形態において、燃料電池の運転は、図1に示すように、水素含有ガス流を管路66を経て燃料電池12に導入する前に燃料電池をその運転温度に到達させるために起動ヒーター(示さず)に通過させることができる水素源64からの水素起動ガス流を用いて開始することができる。水素源64は、高温水素分離装置18から水素を受け入れることができる貯蔵タンクであってよい。水素源は、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードへの水素起動ガス流の導入を可能にするように燃料電池に作動可能に接続することができる。起動ヒーターは、水素起動ガス流を750℃から1000℃までの温度に間接的に加熱し得る。或いは、起動ヒーターは、ヒーターに供給される水素源64からの水素の不完全な燃焼による水素を供給し得る。起動ヒーターは、電気ヒーターであってよくまたは燃焼ヒーターであってよい。燃料電池の運転温度に到達した後、燃料電池内への水素起動ガス流の流れを弁により止めることができ、燃料電池の運転を開始するために燃料電池のアノードへの水素発生器の弁を開けることにより水素含有ガス流を燃料電池に導入することができる。
【0077】
一実施形態において、第1の改質装置14は、起動時に水素を溶融炭酸塩形燃料電池に供給するために用いられる触媒部分酸化改質装置を含む。第1の改質装置14は、自己熱改質のために、および次に溶融炭酸塩形燃料電池が運転温度に到達したならば水蒸気改質のために第1の改質装置が使用されることを可能にする1つまたは複数の触媒床を含んでいてよい。
【0078】
燃料電池12が運転を開始したならば、カソード26およびアノード24はどちらも、排気を放出する。カソード26およびアノード24からの排気は、熱く、排気からの熱は、他のユニットと熱的に統合されて、燃料電池の運転に必要なすべての燃料(水素)および酸化剤(炭酸イオン)をもたらす熱的に統合されたシステムを形成する。
【0079】
図1および2に示すように、本明細書で述べる方法は、熱的に統合された水素分離分離装置18、溶融炭酸塩形燃料電池12、第1の改質装置14および第2の改質装置16ならびに、いくつかの実施形態における触媒部分酸化改質装置20を含むシステムを利用する。高温水素分離装置18は、1つまたは複数の高温水素分離膜68を含み、溶融炭酸塩形燃料電池12に作動可能に連結されている。高温水素分離装置18は、主として分子状水素を含む水素含有ガス流を燃料電池12のアノード24に供給し、一方、溶融炭酸塩形燃料電池12のアノードからの排気は、第1の改質装置14に供給される。第1の改質装置14および第2の改質装置16は、1つのユニットまたは作動可能に連結された2つのユニットであってよい。第1の改質装置14および第2の改質装置16は、1つまたは複数の改質帯を含んでいてよい。一実施形態において、第1の改質装置14および第2の改質装置16は、第1の改質帯および第2の改質帯を含む1つのユニットである。
【0080】
炭化水素を含む炭化水素流は、管路62を経て第1の改質装置14に供給され、アノード排気は、炭化水素と混合される。工程(process)は、熱的に統合されており、第1の改質装置14における吸熱改質反応を促進するための熱は、発熱性溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード排気から第1の改質装置内に直接的に、および/または第1の改質装置に供給される炭化水素流中の炭化水素とともに供給することができる。一実施形態において、アノード排気からの熱の一部は、第1の改質装置内またはそれに作動可能に連結された熱交換器中で炭化水素と混合される。図2に示すように、第1の改質装置14への付加的な熱は、触媒部分酸化改質装置20からの熱流出流から供給することができる。第1の改質装置14において、炭化水素流の炭化水素の少なくとも一部は、分解されおよび/または改質されて、管路70を経て第2の改質装置16に供給される供給燃料流を生成する。
【0081】
第2の改質装置16は、高温水素分離装置18に作動可能に連結されており、高温水素分離装置は、溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に入る水素含有ガスの少なくとも一部、大部分、少なくとも75容積%または少なくとも90容積%または実質的にすべてを生産する。高温水素分離装置は、第2の改質装置16の後、溶融炭酸塩形燃料電池12の前に配置することができる。好ましい実施形態において、高温水素分離装置18は、第2の改質装置16の一部である膜分離ユニットである。高温水素分離装置18は、改質生成物から水素を分離する。分離された水素は、溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給される。
【0082】
本方法の一実施形態において、炭化水素流は、大気圧で20℃で液体であり(場合によって酸素化されている)、大気圧で400℃までの温度で揮発性である1つまたは複数の任意の揮発性炭化水素を含む。そのような炭化水素は、50℃から360℃までの沸点範囲を有するナフサ、ディーゼル、ジェット燃料、ガス油およびケロセンなどの石油留分を含み得るが、これらに限定されない。炭化水素流は、メタン、エタン、プロパンなどの25℃で気体であるいくつかの炭化水素、または25℃で気体である1個から4個までの炭素原子を含む他の化合物を場合によって含んでいてよい。一実施形態において、炭化水素流は5から25までの炭素数を有する炭化水素を含む。炭化水素流は、高分子量炭化水素の低分子量炭化水素への変換のために第1の改質装置において使用される任意の触媒を被毒させる可能性のある任意の物質を除去するために、第1の改質装置14に供給され、および/または熱交換器72で加熱される前に処理されてよい。例えば、炭化水素流は、金属、硫黄および/または窒素化合物を除去するために一連の処理を受けていてよい。
【0083】
好ましい実施形態において、炭化水素流は、少なくとも0.5または少なくとも0.6または少なくとも0.7または少なくとも0.8モル分率の、少なくとも5個または少なくとも6個または少なくとも7個の炭素原子を含む炭化水素を含む。一実施形態において、炭化水素流は、デカンである。好ましい実施形態において、炭化水素流は、ディーゼル燃料である。
【0084】
本方法の一実施形態において、炭化水素流は、少なくとも20容積%または少なくとも50容積%または少なくとも80容積%の二酸化炭素を含む天然ガスと混合される。必要な場合、天然ガスは、硫化水素を除去するために処理された。一実施形態において、少なくとも20容積%の二酸化炭素、少なくとも50容積%の二酸化炭素または少なくとも70容積%の二酸化炭素を有する炭化水素流を燃料源として用いることができる。
【0085】
一実施形態において、炭化水素流は、少なくとも150℃、好ましくは200℃から400℃までの温度で第1の改質装置14に供給することができ、炭化水素流は、下で述べるように熱交換器で所望の温度に加熱することができる。炭化水素流が第1の改質装置14に供給される温度は、コークスを生成することなく炭化水素を蒸発させるためにできる限り高くなるように選択することができる。炭化水素流の温度は、150℃から400℃までの範囲にあってよい。或いは、さほど好ましくはないが、炭化水素流は、炭化水素流の硫黄含量が低いならば、150℃未満の温度で、例えば、炭化水素流を加熱せずに第1の改質装置14に直接供給することができる。
【0086】
図1に示すように、炭化水素流を1つまたは複数の熱交換器72に通して供給物を加熱することができる。炭化水素流は、溶融炭酸塩形燃料電池12のカソードから分離され、管路74を経て熱交換器72に供給されたカソード排気流と熱を交換することにより加熱され得る。カソード排気流が熱交換器72および22に供給される速度は、計量弁76および78を調節することにより制御することができる。
【0087】
好ましい実施形態において、分離されたアノード排気流は、管路80を経て第1の改質装置14の1つまたは複数の改質帯に供給される。アノード排気流が第1の改質装置14に供給される速度は、計量弁82を調節することにより制御することができる。アノード排出口の温度は、約500℃から約700℃までの範囲にあってよく、好ましくは約650℃である。
【0088】
アノード排気流は、水素、水蒸気ならびに燃料電池12のアノード24に供給された燃料の酸化による反応生成物および未反応燃料を含む。一実施形態において、アノード排気流は、少なくとも0.5または少なくとも0.6または少なくとも0.7モル分率の水素を含む。第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯に供給されるアノード排気流中の水素は、第1の改質装置中のコークスの生成を妨げる助けとなり得る。一実施形態において、アノード排気流は、0.0001から約0.3または0.001から約0.25または0.01から約0.2モル分率の水(水蒸気としての)を含む。水素に加えて、第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯に供給されるアノード排気流中に存在する水蒸気も第1の改質装置中のコークスの生成を妨げる助けとなり得る。アノード排気流は、コークス化を抑制するのに十分な水素ならびに炭化水素流中の炭化水素の大部分をメタン、水素および一酸化炭素に改質するのに十分な水蒸気を含み得る。したがって、第1の改質装置および/または第2の改質装置中で炭化水素を改質するためのより少ない水蒸気が必要であり得る。
【0089】
場合によって、水蒸気は、第1の改質装置または第1の改質装置の改質帯において炭化水素流と混合するために管路84を経て第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯に供給してもよい。水蒸気は、第1の改質装置中のコークスの生成を抑制もしくは防止するために、また第1の改質装置中で起こる改質反応に場合によって利用されるように第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯に供給してもよい。一実施形態において、水蒸気は、第1の改質装置に加えられる全水蒸気のモル比が第1の改質装置に加えられる炭化水素流中の炭素のモルの少なくとも2倍または少なくとも3倍である、率で第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯に供給される。第1の改質装置に加えられる全水蒸気は、アノード排気口からの水蒸気、例えば、管路84を経る外部の源からの水蒸気またはそれらの混合物を含み得る。第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯における炭化水素流中の水蒸気と炭素との少なくとも2:1または少なくとも2.5:1または少なくとも3:1または少なくとも3.5:1のモル比を用意することは、第1の改質装置におけるコークスの生成を抑制するのに有用である。計量弁86を用いて、水蒸気が管路84を経て第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯に供給される速度を制御することができる。アノード排気はかなりの量の水素を含むので、改質時により少ないコークス化が起こる傾向がある。したがって、第1の改質装置14に供給される場合による水蒸気の量は、従来の改質ユニットに使用される水蒸気の量よりかなり少なくてよい。
【0090】
水蒸気は、少なくとも125℃、好ましくは150℃から300℃までの温度で第1の改質装置14に供給してよく、0.1MPaから0.5MPaまでの圧力を有していてよく、好ましくは、本明細書で述べたような第1の改質装置に供給されるアノード排気流の圧力と同等またはそれを下回る圧力を有する。水蒸気は、高圧水を管路88を経て熱交換器90に通すことにより、少なくとも1.0MPa、好ましくは1.5MPaから2.0MPaまでの圧力を有する高圧水を加熱することによって発生させることができる。高圧水は、カソード排気流(feed)が管路74を経て熱交換器72を通過した後に、供給されたカソード排気と熱を交換することによって加熱され、高圧水蒸気を生成する。或いは、カソード排気を熱交換器90(示さず)にまたは1つもしくは複数の熱交換器に直接供給してよい。熱交換器90または複数の熱交換器を利用する場合には最終熱交換器から出た後、高圧蒸気を管路92を経て管路84に供給することができる。高圧水蒸気は、膨張装置により高圧水蒸気を膨張させることによって所望の圧力に減圧し、次いで、それを第1の改質装置に供給することができる。或いは、水蒸気は、低圧水を1つまたは複数の熱交換器90に供給し、得られた水蒸気を第1の改質装置に通すことによって、第1の改質装置14に用いるために発生させることができる。
【0091】
場合によって、第1の改質装置14もしくは第2の改質装置16で利用されない高圧水蒸気は、任意の未利用の高圧二酸化炭素流と一緒にまたは場合によって高圧二酸化炭素流なしにタービンなどの他の発電用装置(示さず)に通して膨張させることができる。電源は、電気を発生させるために、および/または燃料電池12により発生した電気に加えて用いてよい。電源および/または燃料電池により発生した電力は、本発明の方法に用いられる圧縮機94および/または任意の他の圧縮機に電力を供給するのに用いることができる。
【0092】
炭化水素流、場合による水蒸気およびアノード排気流は、混合され、第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯において蒸気の形でない任意の炭化水素を蒸発させ、炭化水素を分解して供給燃料を生成するのに有効な温度で改質触媒と接触する。
【0093】
改質触媒は、通常の改質触媒であってよく、当技術分野で公知の任意の改質触媒であってよい。用いることができる一般的な改質触媒は、VIII族遷移金属、特にニッケルおよび高温反応条件下で不活性である担体または基体を含むが、これらに限定されない。高温改質/水素化分解触媒用の担体として使用するのに適する不活性化合物は、α−アルミナおよびジルコニアを含むが、これらに限定されない。
【0094】
好ましい実施形態において、炭化水素流、アノード排気および場合による水蒸気は、混合され、約500℃から約650℃までまたは約550℃から600℃までの温度で触媒と接触し、改質反応に必要なすべての熱がアノード排気により供給される。一実施形態において、炭化水素流、場合による水蒸気およびアノード排気流は、混合され、少なくとも400℃または450℃から650℃までまたは500℃から600℃までの範囲の温度で触媒と接触する。
【0095】
発熱性溶融炭酸塩形燃料電池12から供給されるアノード排気流から第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯に供給される熱は、第1の改質装置における吸熱性分解および改質反応を促進する。溶融炭酸塩形燃料電池12から第1の改質装置14および/または第1の改質装置の改質帯に供給されるアノード排気流は、非常に熱く、少なくとも500℃の温度を有し、550℃から700℃までまたは600℃から650℃までの温度を一般的に有する。燃料電池からの熱エネルギーが、アノード排気流に含まれ、アノード排気流と炭化水素流および水蒸気とが直接的に混合することによって第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯における炭化水素流、場合による水蒸気およびアノード排気流の混合物に移動するので、第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯への溶融炭酸塩形燃料電池12からの熱エネルギーの移動は、極めて効率的である。
【0096】
本明細書で述べる方法の好ましい実施形態において、アノード排気流は、炭化水素流、場合による水蒸気およびアノード排気流の混合物から供給燃料を生成させるのに必要な熱の少なくとも99%または実質的にすべてを供給する。特に好ましい実施形態において、炭化水素流を供給燃料に変換するのにアノード排気流以外の熱源は、第1の改質装置14に供給されない。
【0097】
一実施形態において、アノード排気流、炭化水素流および場合による水蒸気が第1の改質装置14中で改質触媒と接触する圧力は,0.07MPaから3.0MPaまでの範囲にあってよい。高圧水蒸気を第1の改質装置14に供給しない場合、アノード排気流、炭化水素流および場合による低圧水蒸気は、一般的に0.07MPaから0.5MPaまでまたは0.1MPaから0.3MPaまでの範囲の下限の圧力で第1の改質装置中の改質触媒と接触させてよい。高圧蒸気を第1の改質装置14に供給する場合、アノード排気流、炭化水素流および水蒸気は、一般的に1.0MPaから3.0MPaまでまたは1.5MPaから2.0MPaまでの圧力範囲の上限で改質触媒と接触させてよい。
【0098】
図2を参照すると、第1の改質装置14は、管路96を経る触媒部分酸化改質装置20からの流出物と熱を交換することにより630℃より高いまたは650℃から900℃までまたは700℃から800℃までの温度に加熱される。管路96は、熱交換器98と作動可能に連結されている。熱交換器98は、管路96の一部であってよい。熱交換器98は、第1の改質装置14中に存在していてよくまたは熱が、第1の改質装置に入る炭化水素流と交換され得るように第1の改質装置に接続されていてよい。触媒部分酸化改質装置20からの流出物が第1の改質装置14に供給される速度は、計量弁100および三方計量弁102を調節することにより制御することができる。
【0099】
第1の改質装置14中で少なくとも500℃または550℃から950℃までまたは600℃から800℃までまたは650℃から750℃までの温度で炭化水素流、水蒸気、触媒およびアノード排気流を接触させることにより、炭化水素の少なくとも一部が分解および/または改質され、供給燃料が生成する。炭化水素流中の炭化水素の分解および/または改質により、炭化水素流中の炭化水素化合物の炭素原子の数が減少し、それにより、減少した分子量の炭化水素化合物が生成する。一実施形態において、炭化水素流は、多くて4個または多くて3個または多くて2個の炭素原子を含む第2の改質装置16への供給燃料として有用な炭化水素に変換される少なくとも5個、少なくとも6個または少なくとも7個の炭素原子を含む炭化水素を含んでいてよい。一実施形態において、炭化水素流中の炭化水素は、第1の改質装置により生産された供給燃料が0.1以下または0.05以下または0.01以下のモル分率の4個またはそれ以上の炭素原子を有する炭化水素を含むように第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯において反応させることができる。一実施形態において、炭化水素流中の炭化水素は、炭化水素流中の炭化水素から生成した供給燃料中の得られた炭化水素の少なくとも0.7または少なくとも0.8または少なくとも0.9または少なくとも0.95モル分率がメタンであるように分解および/または改質させることができる。一実施形態において、炭化水素流中の炭化水素の分解および/または改質により、多くて1.3、多くて1.2または多くて1.1である供給燃料中の炭化水素の平均炭素数を有する供給燃料が生成する。
【0100】
上記のように、アノード排気流からの水素および水蒸気ならびに第1の改質装置14に加えられた場合による水蒸気は、炭化水素が分解されて供給燃料を生成するときに第1の改質装置におけるコークスの生成を抑制する。好ましい実施形態において、アノード排気流、炭化水素流および水蒸気を第1の改質装置14に供給する相対速度は、アノード排気流中の水素および水蒸気ならびに管路84を経て第1の改質装置に加えられた水蒸気が第1の改質装置におけるコークスの生成を防止するように選択される。
【0101】
一実施形態において、炭化水素流、水蒸気およびアノード排気を第1の改質装置14中で少なくとも500℃または550℃から700℃までまたは600℃から650℃までの温度で改質触媒と接触させることにより、炭化水素流中の炭化水素および第1の改質装置14中で生成した供給燃料中の炭化水素の少なくとも一部の改質も起こって水素および酸化炭素、特に一酸化炭素が生成する。改質の量は、実質的であり得、第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯における分解および改質の両方によって生ずる供給燃料は、少なくとも0.05、少なくとも0.1または少なくとも0.15モル分率の一酸化炭素を含み得る。
【0102】
第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯における温度および圧力条件は、第1の改質装置中で生産された供給燃料が20℃で気体であり、一般的に1−4個の炭素原子を含む軽質炭化水素を含むように選択することができる。好ましい実施形態において、第1の改質装置により生産された供給燃料中の炭化水素(以後「水蒸気改質供給燃料」)は、少なくとも0.6または少なくとも0.7または少なくとも0.8または少なくとも0.9モル分率のメタンを含む。水蒸気改質供給燃料は、アノード排気流からの、およびさらなる改質が第1の改質装置中で起こる場合、改質された炭化水素からの水素も含む。水蒸気改質供給燃料は、アノード排気流からの、および場合によって、改質装置水蒸気供給燃料からの水蒸気も含む。実質的な改質が第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯において起こる場合、第2改質装置16に供給される、第1の改質装置により生産された水蒸気改質供給燃料は、二酸化炭素に加えて一酸化炭素を含み得る。
【0103】
本発明の方法において、水蒸気改質供給燃料は、第1の改質装置14から管路70を介して第1の改質装置に作動可能に接続されている第2の改質装置16に供給される。第1の改質装置14から出る水蒸気改質供給燃料は、500℃から650℃までまたは550℃から600℃までの温度を有し得る。第1の改質装置14から出る水蒸気改質供給燃料の温度は、第2の改質装置16に供給される前に1つまたは複数の熱交換器90において熱を交換することにより、第2の改質装置16に供給される前に低下させることができる。場合によって、水蒸気改質供給燃料は、第2の改質装置に入る前に冷却されない。第1の改質装置14が他の熱源(例えば、図2に示すように、触媒部分酸化改質装置20からの水蒸気および/または熱)により加熱される場合の実施形態において、第1の改質装置から出る水蒸気改質供給燃料は、650℃から950℃までまたは700℃から900℃までまたは750℃から800℃までの温度を有していてよい。
【0104】
水蒸気改質供給燃料は、システムに供給された水と熱を交換すること、水蒸気改質供給燃料を冷却すること、および上述のように第1の改質装置14に供給することができる水蒸気を発生させることにより冷却することができる。複数の熱交換器90を利用する場合、水蒸気改質供給燃料および水/水蒸気は、熱交換器のそれぞれに直列に、好ましくは向流で供給して水蒸気改質供給燃料を冷却し、水/水蒸気を加熱することができる。水蒸気改質供給燃料は、150℃から650℃までまたは150℃から300℃までまたは400℃から650℃までまたは450℃から550℃までの温度に冷却することができる。
【0105】
冷却された水蒸気改質供給燃料は、熱交換器90から圧縮機94に供給することができ、または他の実施形態において、第2の改質装置16に直接供給することができる。或いは、さほど好ましくはないが、第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯から出る水蒸気改質供給燃料は、冷却せずに圧縮機94または第2の改質装置16に供給することができる。圧縮機94は、高温で稼働することができる圧縮機であり、好ましくは市販のStarRotor圧縮機である。水蒸気改質供給燃料は、少なくとも0.5MPaの圧力および400℃から800℃まで、好ましくは400℃から650℃の温度を有していてよい。供給燃料は、第2の改質装置16の改質帯108における十分な圧力を維持するために圧縮機94により少なくとも0.5MPaまたは少なくとも1.0MPaまたは少なくとも1.5MPaまたは少なくとも2MPaまたは少なくとも2.5MPaまたは少なくとも3MPaの圧力に圧縮することができる。一実施形態において、水蒸気改質供給燃料は、第2の改質装置に供給燃料流を供給する前に0.5MPaから6.0MPaまでの圧力に圧縮する。
【0106】
水素、軽質炭化水素、水蒸気および場合による一酸化炭素を含む、場合によって圧縮され、場合によって冷却された供給燃料は、第2の改質装置16に供給される。水蒸気改質供給燃料は、少なくとも0.5MPaの圧力および400℃から800℃まで、好ましくは400℃から650℃の温度を有していてよい。一実施形態において、第1の改質装置14による水蒸気改質供給燃料の温度は、必要な場合には熱交換器90および/または72を経て供給燃料の一部を循環させることにより、圧縮機94から出た後に上昇させることができる。
【0107】
場合によって、供給燃料を改質するために必要な場合、水蒸気改質供給燃料と混合するために、付加的な水蒸気を第2の改質装置16の改質帯108中に加えることができる。好ましい実施形態において、付加的な水蒸気は、供給燃料が圧縮機で圧縮されるときに供給燃料と混合するために水入口管路88から高圧水を管路110を経て圧縮機94に注入することによって加えることができる。一実施形態(示さず)において、高圧水は、熱交換器90中で高圧水と供給燃料を混合することによって供給燃料に注入することができる。他の実施形態(示さず)において、高圧水は、供給燃料を熱交換器90に通す前もしくは後または供給燃料を圧縮機94に通す前もしくは後に管路110内で供給燃料に注入することができる。一実施形態において、高圧水は、管路70中にまたは圧縮機94中にまたは熱交換器90中に注入することができ、圧縮機も熱交換器もシステムに含まれていない。
【0108】
高圧水は、水蒸気改質供給燃料との混合によって加熱されて水蒸気を形成し、水蒸気改質供給燃料は、水との混合によって冷却される。注入された水によって水蒸気改質供給燃料にもたらされる冷却により、熱交換器90の必要性が無くなりまたは少なくなり、好ましくは水蒸気改質供給燃料を冷却するために使用する熱交換器の数が多くて1つに制限される。
【0109】
或いは、さほど好ましくはないが、高圧水蒸気は、第2の改質装置16の改質帯108中または水蒸気改質供給燃料と混合されるように第2の改質装置への管路70中に注入することができる。高圧水蒸気は、第1の改質装置14から出た供給燃料と熱を交換することによって熱交換器90において水入口管路88を経てシステムに注入された高圧水を加熱することにより発生した水蒸気であってよい。高圧水蒸気は、管路112を経て第2の改質装置16に供給することができる。計量弁114を用いて第2の改質装置への水蒸気の流量を制御することができる。高圧水蒸気は、第2の改質装置に供給される供給燃料の圧力と同様な圧力を有してよい。或いは、高圧水蒸気は、供給燃料が圧縮機94に供給される前に供給燃料と混合されるように管路70に供給することができ、したがって、水蒸気と供給燃料の混合物は、選択される圧力に一緒に圧縮することができる。高圧水蒸気は、200℃から500℃までの温度を有していてよい。
【0110】
高圧水または高圧水蒸気をシステム内に供給する速度は、水素含有ガス流を生産するための改質装置における反応を最適化するのに有効な量の水蒸気を第1の改質装置供給燃料14および/または第2の改質装置16に供給するように選択し、制御することができる。アノード排気流中の水蒸気以外の水蒸気が第1の改質装置14に供給される速度は、水がシステムに供給される速度を制御する計量弁116および118を調節することにより、または水蒸気が第1の改質装置14、第2の改質装置16に供給される速度を制御する計量弁86、120および114を調節することにより制御することができる。蒸気は、例えば、タービンなどのシステムにおける付加的な構成要素に供給することができる。
【0111】
高圧水を第2の改質装置16に注入する場合、計量弁114および120を調節して水が管路112を経て第2の改質装置に注入される速度を制御することができる。高圧水蒸気を第2の改質装置16または管路70に注入する場合、計量弁114、116および118を調節して水蒸気が第2の改質装置16または管路70に注入される速度を制御することができる。水蒸気の流量は、少なくとも2:1または少なくとも2.5:1または少なくとも3:1または少なくとも3.5:1の水蒸気と炭素のモル比が得られるように調節することができる。
【0112】
第1の改質装置により生産された水蒸気改質燃料および場合による付加的水蒸気は、第2の改質装置16の改質帯108中に供給される。改質帯は、改質触媒をその中に含んでいてよく、好ましくは含んでいる。改質触媒は、通常の水蒸気改質触媒であってよく、当技術分野で公知であってよい。用いることができる一般的な水蒸気改質触媒は、VIII族遷移金属、特にニッケルを含むが、これらに限定されない。改質触媒を耐火基体(または担体)に担持することがしばしば望ましい。担体は、用いる場合、好ましくは不活性化合物である。担体として用いるのに適する不活性化合物は、例えば、Al、Si、Ti、Mg、CeおよびZrの酸化物または炭化物などの周期表のIIIおよびIV族の元素を含む。
【0113】
水蒸気改質供給燃料および場合による付加的な水蒸気を混合し、水素および酸化炭素を含む改質生成物ガスを生成するのに有効な温度で改質帯108において改質触媒と接触させる。改質生成物ガスは、供給燃料中の炭化水素を水蒸気改質することにより生成させることができる。改質生成物ガスは、供給燃料中の水蒸気と一酸化炭素の水性ガスシフト反応により生成させ、および/または供給燃料を水蒸気改質することにより生成させることもできる。一実施形態において、第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯において実質的な量の改質が起こり、水蒸気改質供給燃料が実質的な量の一酸化炭素を含んでいる場合、第2の改質装置16は、水性ガスシフト反応器としての役割をさらに果たし得る。改質生成物ガスは、水素および少なくとも1つの酸化炭素を含む。一実施形態において、改質生成物ガスは、ガス状炭化水素、水素および少なくとも1つの酸化炭素を含む。改質生成物ガス中に存在し得る酸化炭素は、一酸化炭素および二酸化炭素を含む。
【0114】
一実施形態において、触媒部分酸化改質装置20からの流出物からの熱は、改質帯108に供給される、および/または改質帯108における水蒸気改質供給燃料と熱交換させることができる。触媒部分酸化改質装置20からの流出物の温度は、750℃から1050℃までまたは800℃から1000℃までまたは850℃から900℃までの範囲にあり得る。流出物からの熱は、第2の改質装置16の改質帯108を約500℃から約850℃までまたは約550℃から700℃までの温度に加熱し得る。第2の改質装置16の改質帯108における温度は、第1の改質装置14からの供給燃料の実質的にすべてまたはすべてを改質して水素および少なくとも1つの酸化炭素を含む改質生成物ガスを生じさせるのに十分であり得る。
【0115】
改質生成物ガスは、第2の改質装置16に作動可能に連結されている高温水素分離装置18に入り得る。図1および2に示すように、高温水素分離装置18は、第2の改質装置16の一部である。図3に示すように、高温水素分離装置18は、第2の改質装置16から分離されており、管路122を介して第2の改質装置に作動可能に連結されている。
【0116】
高温水素分離装置18は、1つまたは複数の高温管状水素分離膜68を含んでいてよい。膜68は、第2の改質装置16の改質帯108に設置し、供給燃料および改質生成物ガスが膜68に接触し得るように配置することができる。水素は、膜68の膜壁(示さず)を経て膜68内に設置されている水素導管124に移動し得る。各膜の膜壁は、第2の改質装置16の改質帯108における改質生成物ガスの非水素化合物、供給燃料および水蒸気との気体連絡から水素導管124を隔てている。膜壁は、元素状および/または分子状の水素に対して選択的に透過性であり、そのため、改質帯108における水素は、膜68の膜壁を経て水素導管124に移動し得るが、改質帯における他のガスは、膜壁によって水素導管に移動することを妨げられる。高温水素分離装置18を通る水素の流束は、第2の改質装置16における圧力を調節することにより増加または減少させることができる。第2の改質装置16における圧力は、アノード排気流を第1の改質装置14に供給する速度により制御することができる。
【0117】
図3を参照すると、第2の改質装置16からの供給燃料は、管路122を経て高温水素分離装置18に供給される。高温水素分離装置18は、分子または元素状の水素に対して選択的に透過性である膜を含んでいてよい。好ましい実施形態において、高温水素分離装置は、水素に対して選択的に透過性である膜を含む。一実施形態において、高温水素分離装置は、水素に対して選択的に透過性であるパラジウムまたはパラジウム合金で被覆された管状膜を含む。
【0118】
管路122を経て高温水素分離装置18に入るガス流は、水素、酸化炭素および炭化水素を含み得る。ガス流は、管状水素分離膜(単数または複数)68に接触することができ、水素は、膜壁を経て膜68内に設置されている水素導管124に移動し得る。膜壁は、非水素化合物との気体連絡から水素導管124を隔てており、元素状および/または分子状の水素に対して選択的に透過性であり、そのため、入ってくるガス中の水素は、膜壁を経て水素導管124に移動し得るが、他のガスは、膜壁によって水素導管に移動することを妨げられる。
【0119】
図1および2における高温管状水素分離膜(単数または複数)68は、水素に対して選択的に透過性である金属または合金の薄層で被覆された支持体を含み得る。支持体は、水素に対して多孔性であるセラミックまたは金属材料から形成されていてよい。多孔性ステンレススチールまたは多孔性アルミナは、膜68の支持体の好ましい材料である。支持体に被覆された水素選択的金属または合金は、特に合金の形のPd、Pt、Ni、Ag、Ta、V、Y、Nb、Ce、In、Ho、La、AuおよびRuを含むが、これらに限定されないVIII族の金属から選択することができる。パラジウムおよび白金合金が好ましい。本発明の方法で用いた特に好ましい膜68は、多孔性ステンレススチール支持体にコーティングした高表面積を有するパラジウム合金の非常に薄い膜を有する。この種の膜は、米国特許第6,152,987号に開示されている方法を用いて調製することができる。高表面積を有する白金または白金合金の薄膜も水素選択的材料として適切であると思われる。
【0120】
第2の改質装置16の改質帯108内の圧力は、水素が第2の改質装置16の改質帯108から膜壁を経て水素導管124に強制流入するように、管状膜68の水素導管124内の圧力をかなり上回るレベルに維持される。一実施形態において、水素導管124は、大気圧または大気圧近くに維持され、改質帯108は、少なくとも0.5MPaまたは少なくとも1.0MPaまたは少なくとも2MPaまたは少なくとも3MPaの圧力に維持される。上記のように、改質帯108は、第1の改質装置14からの供給燃料を圧縮機94で圧縮し、供給燃料の混合物を改質帯108に高圧で注入することによりそのような高い圧力に維持することができる。或いは、改質帯108は、上述のように高圧蒸気を供給燃料と混合し、高圧混合物を第2の改質装置16の改質帯108に注入することによりそのような高い圧力に維持することができる。或いは、改質帯108は、第1の改質装置14または第1の改質装置の改質帯において高圧蒸気と炭化水素流を混合し、第1の改質装置中で生じた高圧供給燃料を直接または1つもしくは複数の熱交換器90を経て第2の改質装置16に注入することにより、そのような高い圧力に維持することができる。第2の改質装置16の改質帯108は、少なくとも0.5MPaまたは少なくとも1.0MPaまたは少なくとも2.0MPaまたは少なくとも3.0MPaの圧力に維持することができる。
【0121】
水蒸気改質供給燃料および場合による追加の水蒸気が第2の改質装置16の改質帯108において混合され、改質触媒と接触させられる温度は、少なくとも400℃であり、好ましくは400℃から650℃までの範囲、最も好ましくは450℃から550℃までの範囲にあってよい。一般的な水蒸気改質装置は、十分に高い平衡転化率を得るために750℃以上の温度で運転される。本発明の方法において、改質反応は、400℃から650℃までの改質装置運転温度範囲において改質帯108から水素が膜68の水素導管124内に連続的に除去され、ひいては第2の改質装置16から除去されることによって水素の生成の方向に促進される。このようにして、本発明の方法は、平衡制限なしに、反応物の水素へのほぼ完全な転化を得ることができるものである。400℃から650℃までの運転温度は、酸化炭素と水蒸気をより多くの水素に転化させる、シフト反応にも有利であり、水素は、改質帯108から膜(単数または複数)の膜壁を経て水素導管124内に除去される。第2の改質装置から水素が連続的に除去されるために平衡に決して到達しないので、改質および水性ガスシフト反応による炭化水素および一酸化炭素の水素および二酸化炭素へのほぼ完全な転化が第2の改質装置16において達成され得る。
【0122】
一実施形態において、第1の改質装置14および/または第1の改質装置の改質帯から第2の改質装置16に供給される供給燃料は、第2の改質装置における反応を促進する熱を供給する。第1の改質装置14および/または第1の改質装置の改質帯から生産された第2の改質装置16への水蒸気改質供給燃料は、第2の改質装置における反応を促進するのに十分な熱エネルギーを含み、400℃から950℃までの温度を有し得る。第1の改質装置14および/または第1の改質装置の改質帯から生産された水蒸気改質供給燃料の熱エネルギーは、第2の改質装置16における反応を促進するのに必要な熱エネルギーを上回っている可能性があり、上述のように、供給燃料は、熱交換器90において、および/または第2の改質装置16に供給燃料が供給される前に水を供給燃料に注入することにより400℃から600℃未満の温度に冷却することができる。1)第2の改質装置16内の温度を水性ガスシフト反応における水素の生成に有利であるように調節できるように;2)膜(単数または複数)68の寿命を延長させることができるように;および3)圧縮機94の性能が改善されるように、第2の改質装置16に必要な温度またはそれに近い温度の供給燃料を有することが好ましいことがあり得る。第1の改質装置からの熱エネルギーが、第2の改質装置内の反応に密接に関係する供給燃料に含まれるので、第1の改質装置14から第2の改質装置16への熱エネルギーの移動は、極めて効率的である。
【0123】
水素含有ガス流は、水素分離膜(単数または複数)68の膜壁を介して水素導管124内に水素を選択的に移動させて改質生成物ガスから水素含有ガス流を分離することによって、高温水素分離装置18における改質生成物ガスから形成される。水素含有ガス流は、非常に高濃度の水素を含み得、少なくとも0.9または少なくとも0.95または少なくとも0.98モル分率の水素を含み得る。
【0124】
水素含有ガス流は、水素分離膜(単数または複数)68を経る水素の流束が高いため、比較的高い速度で改質生成物ガスから分離することができる。一実施形態において、水素が水素分離膜(単数または複数)68を経て改質生成物ガスから分離される温度は、少なくとも300℃または約350℃から約600℃までまたは400℃から500℃までである。水素は第2の改質装置16内に高い分圧で存在するので、水素は、水素分離膜(単数または複数)68を高い流動速度で通過する。第2の改質装置16内の水素の高い分圧は、1)アノード排気流中のかなりの量の水素が第1の改質装置14に供給され、供給燃料に含まれて第2の改質装置に移動する;2)水素が第1の改質装置内で生産され、第2の改質装置に供給される;3)水素が第2の改質装置内で改質およびシフト反応により生産されるためである。水素が改質生成物から分離される速度が高いため、水素導管124および高温水素分離装置18から水素を除去することを促進するためのスイープガスは必要でない。
【0125】
図1−2に示すように、水素含有ガス流は、高温水素分離装置18を出て、水素導管124から管路126および34を経てアノード入口30に入ることにより溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に入る。或いは、水素含有ガスは、管路126を経てアノード入口30に直接供給される。水素ガス流は、燃料電池12におけるアノード経路長に沿った1つまたは複数のアノード電極における酸化剤との電気化学反応のためにアノード24に水素を供給する。第2の改質装置16に入る分子状水素の分圧は、高温水素分離装置18を出る水素含有ガス流中の分子状水素の分圧より高い。第2の改質装置16と高温水素分離装置18を出る水素含有ガス流中の分子状水素の分圧との分圧の差は、改質反応および/または水性ガスシフト反応がより多くの水素を生成することを促進する。いくつかの実施形態において、スイープガス、例えば水蒸気を水素導管に注入して、膜壁部材の内側部分から水素導管中に水素をスイープし、それにより、水素が水素分離膜により改質帯から分離され得る速度を増加させることができる。
【0126】
水素含有ガス流をアノード24に供給する前に、水素含有ガス流またはその一部を熱交換器72に供給して、炭化水素流を加熱し、管路128を経る水素ガス流を冷却することができる。水素含有ガス流は、高温水素分離装置18を出るときに400℃から650℃までの温度、一般的に450℃から550℃までの温度を有していてよい。高温水素分離装置18を出る水素含有ガスの圧力は、約0.1MPaまたは0.01MPaから0.5MPaまでまたは0.02MPaから0.4MPaまでまたは0.3から0.1MPaまでの圧力を有していてよい。好ましい実施形態において、高温水素分離装置18を出る水素含有ガス流は、約450℃の温度および約0.1MPaの圧力を有する。高温水素分離装置18を出る水素含有ガス流の圧力および温度は、水素含有ガス流を溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード入口30に直接供給するのに適し得る。
【0127】
炭化水素流は、熱交換器72において水素ガス流と熱を交換することにより、また場合によって、下で述べるように二酸化炭素ガス流と熱を交換することにより場合によって加熱することができる。溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給される水素ガス流は、溶融炭酸塩形燃料電池12のカソード26に供給される酸化剤含有ガス流の温度を選択し、制御することと相まって、溶融炭酸塩形燃料電池の運転温度を600℃から700℃までの範囲内に制御するために、高くて400℃または高くて300℃または高くて200℃または高くて150℃の温度にまたは20℃から400℃までまたは25℃から250℃までの温度に冷却することができる。水素含有ガス流またはその一部は、熱交換器72において炭化水素流と熱を交換することにより、200℃から400℃までの温度に一般的に冷却することができる。場合によって、水素ガス流またはその一部は、水素ガス流またはその一部を熱交換器72から1つまたは複数の追加の熱交換器(示さず)に通して、1つまたは複数の追加の熱交換器のそれぞれにおいて炭化水素流とまたは水流とさらなる熱を交換することによってさらに冷却することができる。追加の熱交換器をシステムにおいて用いる場合、水素ガス流またはその一部は、20℃から200℃まで、好ましくは25℃から100℃までの温度に冷却することができる。一実施形態において、水素ガス流の一部は、熱交換器72および場合による1つまたは複数の追加の熱交換器において冷却することができ、また水素ガス流の一部は、熱交換器において冷却せずに溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給することができ、この場合、水素ガス流の合わせた部分を高くて400℃または高くて300℃または高くて200℃または高くて150℃の温度にまたは20℃から400℃までまたは25℃から100℃までの温度で燃料電池のアノードに供給することができる。
【0128】
熱交換器72、22および場合による1つまたは複数の追加の熱交換器への水素ガス流またはその一部の流量は、溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給される水素ガス流の温度を制御するために選択し、制御することができる。熱交換器22および場合による追加の熱交換器(単数または複数)への水素ガス流またはその一部の流量は、計量弁36、130および132を調節することにより選択し、制御することができる。計量弁36および130は、水素ガス流またはその一部を冷却せずに管路126を経る溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24への水素ガス流またはその一部の流量を制御するために調節することができる。計量弁130はまた、熱交換器22への水素ガス流またはその一部の流量を制御し得る。計量弁132は、管路128を経る熱交換器72および任意の場合による追加の熱交換器への水素ガス流またはその一部の流量を制御するために調節することができる。計量弁130および132は、溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に水素ガス流を供給する前に、水素ガス流に所望の程度の冷却をもたらすために連係して調節することができる。一実施形態において、計量弁130および132は、燃料電池12を出るアノード排気流および/またはカソード排気流の温度のフィードバック測定に応答して自動的に連係して調節することができる。水素ガス流は、燃料電池12におけるアノード経路長にわたる1つまたは複数のアノード電極における酸化剤との電気化学反応のためにアノード24に水素を供給する。水素ガス流が溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給される速度は、供給燃料が第2の改質装置16に供給される速度を選択することにより選択することができ、それは、ひいては炭化水素流が第1の改質装置14に供給される速度により選択することができ、それは、炭化水素流入口弁106を調節することにより制御することができる。
【0129】
熱交換器72および場合による追加の熱交換器(単数または複数)に供給される水素含有ガス流の任意の一部は、熱交換器を回って溶融炭酸塩形燃料電池のアノードに送られる水素ガス流の任意の一部により水素含有ガス流を冷却するために用いられる熱交換器から、または最終の追加の熱交換器を経て供給することができる。一実施形態において、水素含有ガス流または高温水素分離装置18を出た水素含有ガス流の合わせた部分は、圧縮機(示さず)で圧縮して水素ガス流の圧力を増加させ、次いで水素ガス流をアノードに供給することができる。一実施形態において、水素ガス流は、0.15MPaから0.5MPaまでまたは0.2MPaから0.3MPaまでまたは0.7MPaまでまたは1MPaまでの圧力に圧縮することができる。圧縮機を駆動するのに必要なエネルギーのすべてまたは一部は、下で述べるように形成された高圧二酸化炭素流および/または1つもしくは複数のタービンによる高圧水蒸気の膨張により供給され得る。
【0130】
或いは、水素ガス流が溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給される速度は、計量弁36および134を連係した形で制御することにより選択することができる。計量弁36は、アノード24中への水素ガス流の流量を増加または減少させるために調節することができる。計量弁134は、水素源64への水素ガス流の流量を増加または減少させるために調節することができる。計量弁36および134は、選択される速度の水素ガス流が管路34を経て溶融炭酸塩形燃料電池12のアノード24に供給することができ、一方、選択される速度をもたらすのに必要な水素ガス流の量を超える水素ガス流の一部を管路136を経て水素源64に供給することができるように連係した形で制御することができる。
【0131】
水素枯渇改質生成物ガス流は、管路48を経て高温水素分離装置18から除去することができ、水素枯渇改質生成物ガス流は、未反応の供給燃料および改質生成物ガス中のガス状の非水素改質生成物を含むことができる。非水素改質生成物および未反応の供給燃料は、二酸化炭素、水(水蒸気としての)ならびに少量の一酸化炭素および未反応炭化水素を含み得る。少量の水素も水素枯渇改質生成物ガス流にも含まれ得る。
【0132】
一実施形態において、高温水素分離装置18を出る水素枯渇改質生成物ガス流は、乾燥量基準で少なくとも0.8または少なくとも0.9または少なくとも0.95または少なくとも0.98モル分率の二酸化炭素を含む二酸化炭素ガス流であり得る。二酸化炭素ガス流は、少なくとも0.5MPaまたは少なくとも1MPaまたは少なくとも2MPaまたは少なくとも2.5MPaの圧力を有する高圧ガス流である。以後、水素枯渇改質生成物ガス流は、高圧二酸化炭素ガス流と呼ぶこととする。水素分離装置18を出る高圧二酸化炭素ガス流の温度は、少なくとも400℃であるまたは一般的に425℃から600℃までまたは450℃から550℃までである。
【0133】
高圧二酸化炭素ガス流は、高温水素分離装置18を出て、管路48および44を経て燃料電池12のカソード26に供給され得る。示すように、高圧二酸化炭素ガス流は、熱交換器22を通過し、酸化剤ガス流を加熱するのに利用され得る。一実施形態において、二酸化炭素流の一部は、管路44を経てカソード26に入る酸化剤ガス流と直接的に混合される。
【0134】
好ましい実施形態において、高圧二酸化炭素ガス流は、管路48を経て触媒部分酸化改質装置20に供給される。触媒部分酸化改質装置20において、二酸化炭素流中の残留炭化水素(例えば、メタン、エタン、プロパン)は、管路56を経て酸化剤源42から供給される酸素または空気の存在下で燃焼して、管路138を経て熱交換器22を通過する熱流出物燃焼流を形成し、管路44を経てカソード26に供給される。一実施形態において、燃焼流は、管路138および44を経てカソード26に直接供給される。触媒部分酸化改質装置20に供給される酸化剤含有流中の分子状酸素の量は、二酸化炭素流中の炭化水素の完全燃焼に必要な化学量論量の少なくとも0.9倍であるが、1.1倍以下である
熱燃焼流は、実質的な量の二酸化炭素を含み得るが、窒素ガスおよび水も含み得る。触媒部分酸化改質装置20を出た熱燃焼流は、少なくとも750℃から1050℃までまたは800℃から1000℃までまたは850℃から900℃までの範囲にある温度を有し得る。熱燃焼ガスからの熱は、熱交換器22において水素含有ガス流および/または該熱交換器において酸化剤含有ガス流と交換され得る。図2に示すように、触媒部分酸化改質装置20を出た燃焼流からの熱の少なくとも一部は、管路96を経て熱交換器98において第1の改質装置14と交換され得る。
【0135】
一実施形態において、熱燃焼ガスは、カソード排気入口38に直接供給することができる。酸化剤含有ガスの温度は、燃料電池を出たカソード排気流の温度が550℃から700℃までの範囲になるように調節することができる。酸化剤含有ガスの温度は、熱交換器22における冷却および/または加熱により150℃から450℃までの温度に調節することができる。高温水素分離装置18から熱交換器22および/または触媒部分酸化改質装置20への酸化剤含有ガス流の流量は、計量弁46、58および140を調節することにより制御することができる。
【0136】
熱燃焼ガス流は、触媒部分酸化改質装置20を出るときに水蒸気としてかなりの量の水を含み得る。一実施形態において、水蒸気は、熱燃焼ガス流を、熱交換器22および/または熱交換器72で、ならびに必要な場合、1つまたは複数の追加の熱交換器(示さず)および熱燃焼ガス流からの凝縮水で冷却することにより、熱燃焼ガス流から除去することができる。
【0137】
高温水素分離装置18からの高圧二酸化炭素ガス流は、炭化水素流管路62を経て炭化水素流を熱交換器72に供給すると同時に二酸化炭素含有ガス流を管路142を経て熱交換器72に通すことによって炭化水素流を加熱するために利用することができる。熱交換器72への高温水素分離装置18からの高圧二酸化炭素流の流量は、計量弁144を調節することにより制御することができる。計量弁144を調節して熱交換器72への二酸化炭素流の流量を制御し、炭化水素流を選択される温度に加熱することができる。炭化水素流は、炭化水素流が第1の改質装置14に供給されるときに炭化水素流が少なくとも150℃または200℃から500℃までの温度を有するような温度に加熱することができる。
【0138】
計量弁46、58および140は、フィードバック機構により自動的に調節することができるものであり、フィードバック機構は、燃料電池12を出るカソード排気流の温度および/または第1の改質装置14に入る炭化水素流の温度を測定し、第2の改質装置16および/または高温水素分離装置18内の内圧を所望のレベルに維持すると同時に、カソード排気流および/または第1の改質装置14に入る炭化水素流の温度を設定限界内に維持するために計量弁46、58および140を調節することができる。
【0139】
水素ガス流および酸化剤(炭酸)(カソードにおける酸素と二酸化炭素の反応により生成した)を上述のように燃料電池12の1つまたは複数のアノード電極において好ましくは混合して、少なくとも0.1W/cm、より好ましくは少なくとも0.15W/cmまたは少なくとも0.2W/cmまたは少なくとも0.3W/cmの電力密度の電気を発生する。電気は、水素ガス流が燃料電池12のアノード24に供給される速度および酸化剤含有ガス流が燃料電池12のカソード26に供給される速度を選択し、制御することによってそのような電力密度で発生させることができる。燃料電池12のカソード26への酸化剤含有ガス流の流量は、酸化剤ガス入口弁46を調節することにより選択し、制御することができる。
【0140】
上述のように、燃料電池12のアノード24への水素ガス流の流量は、供給燃料が第2の改質装置16に供給される速度を選択し、制御することにより制御することができ、それは、ひいては炭化水素流が第1の改質装置14に供給される速度により選択し、制御することができ、それは、炭化水素流入口弁106を調節することにより選択し、制御することができる。或いは、上述のように、水素ガス流が燃料電池12のアノード24に供給される速度は、計量弁36、130、132および134を連係した形で制御することにより選択し、制御することができる。一実施形態において、計量弁36、130、132および134をフィードバック機構により自動的に調節して、アノード24への水素ガス流の選択される流量を維持することができ、フィードバック機構は、アノード排気流中の水素含量またはアノード排気流中の水含量またはアノード排気流中の水素に対する燃料電池で生成した水の比に基づいて機能し得る。
【0141】
本発明の方法において、1つまたは複数のアノード電極における水素ガス流と酸化剤の混合により、燃料電池12に供給された水素ガス流に存在する水素の一部の酸化剤による酸化による水(水蒸気として)が発生する。酸化剤による水素の酸化により発生した水は、アノード排気流の一部としてアノード24を出る水素ガス流の未反応部分によって燃料電池12のアノード24を通してスイープされる。
【0142】
本発明の方法の一実施形態において、水素ガス流がアノード24に供給される流量は、単位時間当たりに燃料電池12において生成する水の量と単位時間当たりのアノード排気中の水素の量との比が多くて1.0または多くて0.75または多くて0.67または多くて0.43または多くて0.25または多くて0.11であるように選択し、制御することができる。一実施形態において、燃料電池12において生成した水の量およびアノード排気中の水素の量は、単位時間当たりに燃料電池において生成する水の量と単位時間当たりのモル単位での単位時間当たりにアノード排気中の水素の量との比が多くて1.0または多くて0.75または多くて0.67または多くて0.43または多くて0.25または多くて0.11であるようにモル単位で測定することができる。一実施形態において、水素ガス流がアノード24に供給される流量は、燃料電池12における1回通過水素利用率が50%未満または多くて45%または多くて40%または多くて30%または多くて20%または多くて10%であるように選択し、制御することができる。
【0143】
本発明の方法の他の実施形態において、水素ガス流がアノード24に供給される流量は、アノード排気流が少なくとも0.6または少なくとも0.7または少なくとも0.8または少なくとも0.9モル分率の水素を含むように選択し、制御することができる。他の実施形態において、水素ガス流がアノード24に供給される流量は、アノード排気流が、アノード24に供給された水素ガス流中の水素の50%超または少なくとも60%または少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%を含むように選択し、制御することができる。
【0144】
(実施例)
非限定的な実施例を下に示す。
【0145】
電池電位の計算と組み合わせたUniSim(登録商標)シミュレーションプログラム(Honeywell)を用いて、詳細な工程シミュレーションを構築した。UniSimプログラムを用いて、物質収支およびエネルギー収支データを得た。詳細な工程シミュレーションは、水素利用率の種々の値および他の関連するシステムパラメーターについて繰り返して解いた。詳細な工程シミュレーション出力は、MCFCに入り、出るすべての工程流の詳細な組成データを含んでいた。
【0146】
高温燃料電池については、活性化損失は小さく、電池電位は、オームおよび電極損失のみを考慮することにより、実際的な範囲の電流密度にわたって得ることができる。したがって、溶融炭酸塩形燃料電池の電池電位(V)は、式(1)に示すように開回路電圧(E)と損失(iR)との差である。
V=E−iR (1)
ここで、VおよびEは、ボルトまたはミリボルトの単位を有し、iは、電流密度(mA/cm)であり、R(Ωcm)は、式(2)に示すように電解質、カソードおよびアノードを一緒に合わせたオーム(Rohm)、カソード(η)およびアノード(η)抵抗の組合せである。
R=Rohm+η+η (2)
Eは、以下のネルンスト式から得られる。
E=E゜+(RT/2F)ln(PH2O20.5/PH2O)+(RT/2F)ln(PCO2/PCO2) (3)
ここで、Eは、標準電池電位であり、Rは、8.314472JK−1mol−1の普遍ガス定数であり、Tは、絶対温度であり、Fは、9.64853399×10Cmol−1のファラデー定数である。示されているように、溶融炭酸塩形燃料電池の電池電圧は、二酸化炭素、水素および酸素の濃度を変化させることによって変化させることができる。
【実施例1】
【0147】
上述の詳細な工程シミュレーションを用いて、第1の改質装置をアノード排気により加熱し、他の加熱をしなかった、本明細書で述べた溶融炭酸塩形燃料電池システムの電池電圧対電流密度および電力密度構成をシミュレートした。例えば、システムを図1に示す。第2の改質装置用の熱は、触媒部分酸化改質装置からの熱流出物との交換により加熱されたものであった。触媒部分酸化改質装置からの流出物の出力温度は、触媒酸化改質装置供給空気を予熱するのにカソード排気を用いることにより上昇した。
【実施例2】
【0148】
上述のシミュレーションを用いて、第1の改質装置がアノード排気および触媒部分酸化改質装置からの熱により加熱される、本明細書で述べた溶融炭酸塩形燃料電池システムの電池電圧対電流密度および電力密度構成をシミュレートした。例えば、システムを図2に示す。
【0149】
実施例1および2について、溶融炭酸塩形燃料電池を絶対圧1バール(約0.1MPaまたは約1気圧)の圧力および650℃の温度で運転した。溶融炭酸塩形燃料電池のカソードへの供給燃料の流れは、アノードへの供給燃料の流れに対して向流であった。空気を酸素の源として用いた。空気の値は、種々の水素利用率において二酸化炭素と分子状酸素のモル比2をもたらすように用いた。実施例1および2シミュレーションのための溶融炭酸塩形燃料電池の水素利用率(%)、第1および第2の改質装置の運転条件、水蒸気と炭素の比およびベンゼンの水素への転化率(%)を表1に示す。式2におけるRは、J.Power Sources、2002年、112巻、509−518頁から得られ、0.75Ωcmに等しいと仮定した。
【0150】
実施例1および2シミュレーションのデータを、「Fuel Cell Systems Explained」、2003年、Wiley & Sons、199頁にLarmineらにより記載されている最先端の溶融炭酸塩形燃料電池の状態の電池電圧、電流密度および電力密度の文献値と比較した。
【0151】
【表1】

【0152】
図4に実施例1および2でシミュレートした溶融炭酸塩形燃料電池システムの電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)ならびに供給燃料として改質物を有する溶融炭酸塩形燃料電池の文献値を示す。溶融炭酸塩形燃料電池は、20%および30%の水素利用率で運転した。データ直線160は、実施例1および2の溶融炭酸塩形燃料電池システムの20%の水素利用率における電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す。データ直線162は、実施例1および2の30%の水素利用率における電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す。データ直線164は、「Fuel Cell Systems Explained」、2003年、Wiley & Sons、199頁にLarmineらにより記載されている最先端の溶融炭酸塩形燃料電池システムの状態の電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す。図4に示すように、所与の電流密度について、本明細書で述べた溶融炭酸塩形燃料電池システムの電池電圧は、供給燃料として改質物ガスを有する最先端の溶融炭酸塩形燃料電池の状態の電池電圧より高い。
【0153】
図5に20%および30%の水素利用率で運転した実施例1および2でシミュレートした溶融炭酸塩形燃料電池システムの電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)ならびに供給燃料として改質物ガスを有する溶融炭酸塩形燃料電池の文献値を示す。データ直線166は、実施例1および2の20%の水素利用率における電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)を示す。データ直線168は、実施例1および2の30%の水素利用率における電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)を示す。データ直線170は、「Fuel Cell Systems Explained」、2003年、Wiley & Sons、199頁にLarmineらにより記載されている最先端の溶融炭酸塩形燃料電池システムの状態の電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)を示す。図5に示すように、所与の電流密度について、本明細書で述べた溶融炭酸塩形燃料電池システムの電力密度は、供給燃料として改質物ガスを有する溶融炭酸塩形燃料電池の電力密度より高い。
【実施例3】
【0154】
上述のシミュレーションを用いて、アノード排気により加熱される第1の改質装置を含む溶融炭酸塩形燃料電池システム(例えば、図1に示すシステム)における絶対圧7バール(約0.7MPaまたは約7気圧)で運転される溶融炭酸塩形燃料電池の電流密度、電池電圧および電力密度を求めた。溶融炭酸塩形燃料電池は、20%または30%の水素利用率で絶対圧7バールの圧力および650℃の温度で運転した。第1の改質装置は、2.5の水蒸気対炭素比を有していた。第1の改質装置の温度を変化させた。高温水素分離装置と組み合わせた第2の改質装置は、500℃の温度および絶対圧15バールの圧力を有していた。空気を酸素の源として用いた。カソード供給燃料中の二酸化炭素と分子状酸素の比が化学量論的であるように空気の値を用い、それにより、カソード側濃度分極を最小限にした。すべての場合に、供給燃料としてベンゼンを用いたシステムにおける総合炭素転化率値は、93%から95%であった。第2の改質装置の反応の熱は、システム内の熱統合により供給した。Rは、J.Electrochem.Soc.、138巻、12号、1991年12月にC.Y.YuhおよびJ.R.Selmanにより記載された方法により上の式2における個々の項を別個に計算することによって計算した。実施例3について、Rは、0.57Ω.cmと計算された。
【0155】
図6に図1に示した溶融炭酸塩形燃料電池の電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す。データ直線180は、20%の水素利用率における電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す。データ直線182は、30%の水素利用率における電池電圧(mV)対電流密度(mA/cm)を示す。図4と図8を比較すると、所与の電流密度において、絶対圧1バールで運転した溶融炭酸塩形燃料電池システムの電池電圧と比較して絶対圧約7バールの圧力で運転した溶融炭酸塩形燃料電池システムにおいてより高い電池電圧が観測されている。
【0156】
図7に図1に示す溶融炭酸塩形燃料電池システムおよび最先端の溶融炭酸塩形燃料電池の電力密度(W/cm)対電流密度を示す。データ直線184は、20%の水素利用率における電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)を示す。データ直線186は、30%の水素利用率における電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)を示す。データ点188は、Journal of Power Sources、2006年、852−857頁にJ.R.Selmanにより記載された最先端の溶融炭酸塩形燃料電池の電力密度(W/cm)対電流密度(mA/cm)を示す。図9に示すように、約300mA/cmの電流密度において、本明細書で述べた溶融炭酸塩形燃料電池システムの電力密度は、最先端の溶融炭酸塩形燃料電池の電力密度より高い。
【0157】
実施例1−3に示すように、本明細書で述べた溶融炭酸塩形燃料電池を運転するためのシステムおよび方法は、高温水素分離装置からの分子状水素流の一部を溶融炭酸塩形燃料電池に供給し、第1の改質装置に供給されるまたは供給された炭化水素の少なくとも一部を熱源(溶融炭酸塩形燃料電池からのアノード排気および/またはアノード排気からの熱を含む)により加熱し、第1の改質装置において炭化水素の一部を少なくとも部分的に改質して供給燃料流を生成し、供給燃料流を第2の改質装置に供給し、最先端の溶融炭酸塩形燃料電池システムより所与の電池電圧での高い電流密度および所与の電流密度での高い電力密度を発生する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の高温水素分離膜を含む高温水素分離装置からの分子状水素を含む水素含有流を溶融炭酸塩形燃料電池に供給すること;
第1の改質装置に供給されるまたは供給された炭化水素の少なくとも一部を溶融炭酸塩形燃料電池からのアノード排気と混合すること;
第1の改質装置において炭化水素の一部を少なくとも部分的に改質して、水蒸気改質供給燃料を生産すること;ならびに
水蒸気改質供給燃料を第2の改質装置に供給し、前記高温水素分離装置を含むか、または高温水素分離装置に作動可能に連結され、前記高温水素分離装置が溶融炭酸塩形燃料電池に供給される分子状水素を含む流れの少なくとも一部を発生するように構成されていること
を含む、溶融炭酸塩形燃料電池を運転する方法。
【請求項2】
高温水素分離装置からの水素含有流中の分子状水素のモル分率が少なくとも約0.6または少なくとも約0.95である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水蒸気改質供給燃料が1つまたは複数のガス状炭化水素、分子状水素および少なくとも1つの酸化炭素を含み、方法が水蒸気改質供給燃料の少なくとも一部を第2の改質装置中で触媒と接触させて、分子状水素および二酸化炭素を含む改質生成物ガスを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
触媒が水性ガスシフト触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アノード排気流中の水と分子状水素とのモル比が多くて1.0になるように溶融炭酸塩形燃料電池への水素含有流の流量を制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
高温水素分離装置からの1つまたは複数のガス状炭化水素および少なくとも1つの酸化炭素を含む水素枯渇流の少なくとも一部を分離するステップ、分離された水素枯渇流の少なくとも一部を酸化剤と接触させて二酸化炭素を含む熱流出物流を発生させるステップ、熱流出物流からの熱の少なくとも一部を第1の改質装置に供給するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アノード排気と混合された炭化水素の少なくとも1つが少なくとも4の炭素数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の改質装置において改質される炭化水素の少なくとも一部が少なくとも10容積%または少なくとも50容積%または少なくとも80容積%の少なくとも1つの酸化炭素を含む水素源から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶融炭酸塩形燃料電池のアノードにおける1つまたは複数のアノード電極において分子状水素を含む水素含有流の少なくとも一部を酸化剤と混合し、溶融炭酸塩形燃料電池から少なくとも0.1W/cmの電力密度の電気を発生させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
溶融炭酸塩形燃料電池;
溶融炭酸塩形燃料電池に連結され、溶融炭酸塩形燃料電池からのアノード排気および炭化水素を受け入れるように構成されており、アノード排気が、炭化水素の一部を少なくとも部分的に改質して水蒸気改質供給燃料を生産するのに十分に炭化水素と混合することを可能にするように構成されている、第1の改質装置;
第1の改質装置に連結され、第1の改質装置からの水蒸気改質供給燃料を受け入れるように構成されている、第2の改質装置;および
第2の改質装置の一部でありまたはこれに連結されており、溶融炭酸塩形燃料電池に作動可能に連結され、1つまたは複数の高温水素分離膜を含み、分子状水素を含む水素含有流を溶融炭酸塩形燃料電池に供給するように構成されている高温水素分離装置
を含む、溶融炭酸塩形燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−530352(P2012−530352A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516163(P2012−516163)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038495
【国際公開番号】WO2010/147886
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】