物品のラベル付けおよび検出の方法、およびその装置
【解決手段】 本発明は物品のラベル付け、検出、および管理するための方法、およびその装置を提供する。本発明の方法は物品のラベルを定義する工程を含む。前記ラベルは、前記物品の少なくとも1つの固有の化学元素および/または付加的化学元素を有し、ラベル付けされたデータを含有するデータベースを提供する工程と、物品により送信される信号を検出して検出データを生成し、前記データを前記データベース内のデータと比較する工程と、前記比較テストにしたがって、検出される物品が前記ラベル付けされた物品であるか否かを決定する工程と、前記データベース内の前記物品の少なくとも1つのメッセージを読み込む工程とを有する。本発明の物品ラベル付けおよび検出ソリューションは、識別、物品ラベル付け、別の物品との交換の防止、ロジスティック管理、統計分析、資産の保護、および責任所在の追跡など様々な分野の社会経済的管理および経営管理に使用可能なものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2005年8月3日付で出願された中国特許出願第200510089020.1号明細書に対して優先権を主張し、この参照によりその全体が本書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は物品のラベル付けおよび検出するための方法、およびそのような方法を実現するための装置およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
物品のラベル付けに現在広く使用されている方法は、主に以下のタイプを含む。
【0004】
1.液体コード
表面に塗布される塗料と同じように、通常、液体は筆と共に小瓶に入れられる。データベースで各クライアントの専門コードを生成するこのタイプは、商業資産または世帯資産の保護に広く適している。ラベル付けされた物品から小さい検体を抽出し、専用のセンターで分析する。しかし、ラベル付けされたオーナーシップのみを確認可能であり、ラベル付けされた物品の表面から検体を抽出する工程は、前記物品の表面に損傷を与える可能性がある。例えば、前記表面の磨耗または溶解が起こり得る。検証工程全体を終えるまでに1〜2日かかる場合がある。この分析システムが特定するのはラベル付け用液体のコードであり、ラベル付けされた物品のコードではないため、ラベル付けされた物品のオーナーのオーナーシップを区別することはできず、データホストと遠隔通信して前記物品のオーナーシップを検証することはできない。
【0005】
2.ダイヤモンドのレーザー識別
現在、ダイヤモンドの検証および買い戻しの工程はレーザー電子技術を使っている。そのような技術はダイヤモンドに「指紋」を与える。低密度のレーザー光線を生成する装置でダイヤモンドの表面を照射する。単一のレーザー光線を前記ダイヤモンドの数多くの切削表面に照射し、屈折させて多くのレーザー光線にする。そのような特定の屈折をしたレーザー光線は、各ダイヤモンドの唯一の光信号である。そのような信号を電子的に分析し、測定したダイヤモンドの限定的テキスト情報と共にデータベースに格納する。買い戻したダイヤモンドを照合するコンピュータの情報を用いて、正確に前記ダイヤモンドをテストすることができる。使用者は販売会社が発行する鑑定書のコピーを受領することができ、それにより前記ダイヤモンドの質が保証される。しかし、そのような識別方法は、切削および研磨済みの完成ダイヤモンドのような特定の品のみに限定される。これに類似した方法は、適用範囲が非常に狭い。
【0006】
3.顆粒
排他的なデジタルコードを有する微小網状の液体を適用し、物品にラベル付けする。そのような少量の液体を特別の小型読み取り機で検出することができる。この顆粒デジタルコードの読み取りは、定められたオーナーシップにそのような顆粒デジタルコードを通信方法により提供することができるので、第1段落で説明した液体コードより高速である。前記顆粒デジタルコードは第1段落で説明した液体コードにはない2つの主要な長所(すなわちポータブル検出装置が利用可能であること、およびオーナーシップ検証能力があること)を有し、これら長所によって盗難を防止することができる。
【0007】
4.マイクロチップ
マイクロチップは米粒ほどの大きさしかなく、その重量は統合電子回路よりはるかに軽い。前記マイクロチップはサイズ10mmのガラスのカプセルに封入されることが多く、任意のコンテンツを追加可能な排他的且つ設定済みのデジタルシーケンスを発することができる。バーコードと異なり、この「チップ」はほとんどの品の中に配置することができ、読み取り機で検出することができる。この方法は、可視ラベル付け(ラベルおよびシリアル番号など)にはないより優れた利点を提供する。マイクロチップはメンテナンスの必要がなく、健康に害を与えない。電池駆動式やポータブル式など様々なタイプがある。チップが近くにあれば、ボタンを押すだけで前記チップを駆動し、一意のデジタルコードを迅速に取得することができる。マイクロチップは、盗難による損失の防止のほか、多くの商業用途で補助的な役割を果たしている。しかし、金属によって遮へいされたマイクロチップを検出することはできない。加えて、可視マークとしての使用には適さない。
【0008】
5.エッチング加工ラベル
予め定められたコードを刻み込んだ耐久性のあるエッチング加工ラベルは、化学物質を適用することによりラベル上に特殊な多孔性構造を作ることによって保存される。この方法は、非常に重要な表面を持つ物品およびエッチング加工をできない物品には適さない。また、解読器による検出は可視光を必要とする。
【0009】
6.安全ラベル
通常、このような盗難防止ラベルは有形のラベルと組み合わされ、その表面に高濃度のエポキシ接着剤で接着される。これらは、会社のロゴおよびバーコードを有するラベルにすることができる。しかし、ほとんどの供給業者はデータベースシステムを設定することができない。通常、そのようなラベルの貼付では、アップロードする転送機に詳細な登録証明または監査証明を提供する必要がある。
【0010】
7.フレキシブル安全ラベル
照合規則を用いるこれらのラベルは商業分野に適用されており、コンピュータや他の高価値の商品に接続することによって作られるラベルである。より遠距離での読み取り範囲を制御するために電池駆動式であり、通常、盗難防止装置を生成する。タッチ式装置およびモニタリング装置との組み合わせにより、そのようなシステムはより容易に関連産業を保護することができる。特定の桁を適用し、自由に変更することができる。
【0011】
しかし、上述の様々なタイプのラベル付け技術の多くは表面に付着または適用されるものであるか、特定の材料のみに有用である。これらは物品の中に浸透すること、あるいは物品の中に浸透したマークを読み取ることはできない。ほとんどのラベルは可視であるので、簡単に盗難または破壊される。十分な安全は得られず、前記ラベルの機能不良も容易に起きる。一部の技術はより長い時間を検証に必要とし、識別後に取得されるデータ量に限りがある。よって、完璧なラベルおよび検証方法の作成は容易でない。
【0012】
よって、物品に安全で耐久性のあるラベル付けを行うだけでなく、物品の情報を安全・正確・便利に識別、検出、および抽出する方法、およびそれに伴う装置およびシステムはなお必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
よって、物品に安全で耐久性のあるラベル付けを行うだけでなく、物品の情報を安全・正確・便利に識別、検出、および抽出する方法、および対応する装置およびシステムはなお必要とされている。そのような方法は完全な解決策となり得る。
【0014】
本発明の目的は、対応する装置およびシステムを提供することでもある。
【0015】
本発明は、ラベルが容易に盗難または破壊される、ラベルの検証に時間がかかる、ラベルに浸透性がない、あるいは物品の内部に浸透したラベルを読み取れない、あるいは識別後に取得されるデータ量に限りがあるといった既存の物品ラベルの欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の化学元素ラベル付け法は、物品の特性の差異に基づき化学元素配合および配合比を調整することによって人の安全と健康を確保することができるものであり、環境に害を与えることまたは環境を汚染することがない。本発明の化学元素ラベル付け法は、化学元素ラベル付け構成要素によって形成することができる。この元素ラベルを複製、模倣、剥離、および移動することはできない。この元素ラベルは物品に隠蔽することおよび前記物品の一部にすることができる。したがって使用が容易である。加えて、配合比は正確であり、前記元素ラベルは迅速に浸透する。複数の元素を用いるので、配合比の範囲は比較的大きい。配合の複製を効果的に防ぐ設計配合を数多く作り、各配合を排他的にすることができる。また、本発明の方法は蛍光X線分光法を用いてラベルの化学物質配合比を測定するので、反復性および精度が高い。化学元素ラベル付けは永久である。元素によりラベル付けされた物品が燃焼によって破壊されても、前記元素の担体が存在する限り元の全情報を分析および識別することができ、責任を示す証拠を提供することができるので、事前予防のみで事後検索ができないという欠陥が補われる。
【0017】
本発明のポータブルな検出器および分析器は元素ラベル付け情報を検証し、通常の包装を通して物品を識別することができる。本発明の化学元素ラベル付け法は安全および管理のデータベースを生成し、データの安全な使用を保証し、現場でリアルタイムのテスト、検証、および情報提供を迅速に行うことができるので、使用者の必要を効果的に満たすことができる。コンピュータ化された正確なテスト分析およびデータベース管理システムは、一意の物品識別ラベル、検証、および使用を前記使用者に提供することができる。
【0018】
本発明は広範な用途を有する。衣料、ジュエリー、時計、チップ、芸術品、プラスチック、ゴム、鉄鋼、機械、ギャンブル、電子部品、冶金、文化遺産、メモ、証票、出版物、楽器、工芸品、化学産業・石油製品、液体など、従来の技術を使うことができない多くの製品に本発明の技術を用い、識別、検証、情報収集を行うことができる。
【0019】
このポータブルなコンピュータ化された分析・テストシステムに関連する追跡、位置検出、遠隔承認、および制御の技術により、前記ポータブルなコンピュータ化された分析・テストシステムが損失または違法利用された場合でも、オーナーは遠隔且つ安全な制御を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下は詳細な説明である。当業者であれば、本発明の実施形態は以下の特定の形態に限定されないことを理解できる。本発明の特許請求の範囲の要旨から逸脱せずに、当該技術分野の理解に基づき変更および修正を行うことができる。
【0021】
要約すれば、本発明は物品をラベル付けおよび検出するための方法、および物品を管理するための装置およびシステムを提供するものであり、
(1)物品に使用されるラベルを定義する工程であって、前記ラベルは、前記物品に固有であり当該物品から選択される少なくとも1つの化学元素および/または付加的化学元素を含むものである、前記ラベルを定義する工程と、
(2)前記ラベルに関するデータを含むデータベースを提供する工程と、
(3)前記物品が発する信号を検出して検出データを生成し、さらに前記検出データを使用して前記データベース内のデータと比較する工程と。
(4)前記比較の結果に基づいて、前記データベースにより、検出された物品がラベル付けされた物品かラベル付けされていない物品かを決定する工程とを含むものである。
【0022】
管理されている物品の場合、前述のラベルに含まれるデータに加え、前記データベースは前記物品に対応する少なくとも1つの情報も含むべきであり、検出中に前記物品に関する少なくとも1つの情報を読み込む。
【0023】
本発明は、前記方法を実現するための装置および様々な適用も含む。
【0024】
元素ラベル付け技術
本発明のラベル付けおよび検証方法は主に蛍光分光法に基づくものであり、最適には蛍光X線分光法に基づくものである。
【0025】
蛍光X線分光法自体はすでに成熟した技術であり、物質に含まれる元素、元素濃度、および元素のパーセンテージを特定するために用いることができる。元素に特定のX線波長またはエネルギーの放射によって元素は特定される。発見される元素のパーセンテージは、それらが放射する特徴的強度の測定によって決定される。
【0026】
すべての原子は固有の電子数を持ち、それら電子は原子核周囲の軌道に配列されている。蛍光X線分光法では、放射線は励起源から放射され(例えばX線、γ線、α線、電子ビームなど)、検体を照射する。励起源からの放射線は、内側の軌道の電子の照射に十分なエネルギーを有する。そのような照射が起きると、内側層の電子は電子の形ではじき出される。電子の内側層軌道上に穴が開き、不安定な状態になる。このとき、外側層の軌道上の電子は内側層の軌道上の穴へと移動し、安定を回復しようとする。外側層の軌道から内側層の軌道へと電子が移動するので、放射線が放射される。そのような放射線が蛍光X線である。前記蛍光X線のエネルギーは、最初の軌道と最終的な軌道との間の移動エネルギーの一意の差によって決定される。
【0027】
蛍光X線分光法によって検出されるのは内側層の原子(化学元素)の電子の移動によって生成されるX線であるため、化学反応(化学結合)の変化による影響を受けない。各化学元素から放射されるX線は特定の排他的なスペクトルを有するので、物品に特定の化学ラベルが存在するかどうかを決定することができる。
【0028】
元素ラベルの物理的および化学的性質は非常に安定しており、無毒性、無害であり、汚染することがなく、高温(1650°C〜3000°C)に耐える。また、揮発性でなく、磨耗および剥離しない。耐強酸性および耐強アルカリ性を有し、水および通常の有機および無機溶剤に溶解しない。元素ラベルは選択的に浸透することができ、物品の表面に付着することができ、加工ガラスおよび研磨後のダイヤモンド以外のすべての物品に浸透可能である。分子結合され、物品と一体化されるが、前記物品の表面および内部構造を損傷しない。元素ラベル付けされた物品が磨耗、洗浄、燃焼、変形、または腐食しても、その元素ラベル付け情報は存続する。ラベル付けのニーズに合わせ、可視または不可視の目的を達成するために、元素ラベルを液体または気体の状態で、有色または無色に作ることができる。元素ラベルは1原子の体積より大きい任意の物質(液体、金属、ゴム、プラスチック、ガラス、石、セラミック、布、木、インク、紙製品、接着剤、皮革、または特別な物的性質を有する物品を含む(ただし限定せず))に付加することができ、ラベル付けされる物品の形またはサイズの違いによる影響を受けず、前記物品自体の性質を変えることがなく、前記物品の元来の成分比に影響を与えない。「元素ラベル」を純金に付加しても、その金含有率は99.99%に達することができる。加えて、前記物品の性状によって化学元素配合および配合比を調整することにより、人の安全と健康を確保し、環境に害を与えることまたは環境を汚染することがないようにすることができる。元素ラベルはすべての物品に適している。蛍光X線分光法によるラベル元素配合比の測定は高い反復性と精度を有し、既知の様々な種類の技術より包括的な使用範囲と使用価値を有する。よって、化学元素ラベルは物品のラベル付けへの使用に十分に適している。
【0029】
実施例
以下は、化学元素ラベル付け法およびその実用性の予備的説明を提供する一例である。
【0030】
通常の一枚の紙に化学元素ラベルを付加する。そのようなラベルを含有する紙を蛍光X線試験装置でスキャンし、前記紙の蛍光X線スペクトルを得る。図3において、ピーク1および2は前記紙の他の成分であり、ピーク3はこの化学元素ラベルのピーク値である。
【0031】
次に前記紙を燃焼する。紙が完全に燃焼しきった後、蛍光X線スキャナを用いて残留物を再度スキャンし、前記紙の燃焼後の蛍光X線スペクトルを得る。図4が示すように、上記2つのスペクトルを比較する。
【0032】
図に明らかに示されているように、物品自体の状態が変化(あるいは燃焼さえ)しても、そのラベルは変わらずにそのまま維持され、完全に保存され得る。前記ラベルの摩擦または何らかの処置が行われても、前記ラベルは前記物品にそのまま存在する。
【0033】
この元素ラベルは物質の内部構造に浸透可能な化学物質である。これを我々は物品の合成DNA(S−DNA:synthetic DNA)と呼ぶ。
【0034】
以下は、本発明の元素ラベル付け技術の詳細な説明である。
【0035】
図1を見ると、少なくとも1つの化学元素を含有するラベル100が存在する若しくはラベル付けされる物品に配置される。前記少なくとも1つの化学元素は前記物品に固有のものおよび/またはそれに付加されるものである場合がある。
【0036】
励起源(X線放射装置101によって放射されるX線11など)を用いて前記物品をスキャンし、少なくとも1つの化学元素を含有するラベルを励起する。蛍光X線試験装置の検出器102は少なくとも1つの化学元素を含有する前記ラベルが放射する蛍光X線12を検出し、AD変換によって前記蛍光X線スペクトルのデジタル信号が生成される(スペクトルデータ)。蛍光X線スペクトルの一例として図2を参照(図の蛍光X線スペクトルは複数の元素が存在する場合のものである)。次に、前記データをPDA103およびリンク34を介して送信し、少なくとも1つの化学元素を含有する前記ラベルのデータとして格納する。これと同時またはこの後に、前記物品の特性情報を前記ラベルに対応するデータおよび前記物品に関する他の様々な情報と共に入力することができる。ここで説明すべき点として、蛍光X線スペクトルのデジタル信号をさらに符号化して様々なタイプのコードデータにすること、例えばいわゆる指紋データにすること、すなわちその元素を含有する情報、その元素の濃度に関する情報、その元素の濃度の比率に関する情報、配合情報、および物品に関する情報にすることができる。この指紋情報は将来の比較のためにデータベース104に格納される。ここではそのような符号化または非符号化データを総じて「ラベル付けデータ」と呼ぶ。
【0037】
本発明に基づき、前記ラベル付けデータをいくつかの方法で生成することができる。前記方法は、検出およびスキャン・検出という手段によってラベルのデータを得る方法である。本発明は、スペクトル情報など予めそのデータベースに格納された情報を基に計算によってラベルのデータを得ることもできる。蛍光X線スペクトル自体はすでに成熟した技術であるので、様々な配合で前記物品を処理した後に生成される大量のスペクトルデータに応じてデータベースに大量の情報を格納することができる。よって、データベースは、ラベル付けする物品を処理するためにランダムな計算によって任意の適切な配合を選択すること、または1つの物品を処理するためにいくつかの基本的配合の組み合わせを使うこと、および前記物品を処理するためのそのようなデータの計算後に、そのような物品のラベルとしてのデータを格納することができる。そのような方法は実際の検出をせずにラベルに関するデータを得ることができるので、計算または組み合わせによりラベルのデータを取得する方法という分類の範疇に入る。当然、手計算および/または組み合わせ方法により得られたデータも含まれる。要約すると、本発明のデータとしては、物品のスキャン、データベース計算、および前述の方法の組み合わせ(複数の組み合わせまたは1つの組み合わせ)という手段によって得られたデータが含まれる。
【0038】
本発明に基づき、物品の蛍光X線スペクトルが複数(少なくとも2つ以上)の元素を含む場合、前記データベースは1つの物品のすべての元素が放射するスペクトルを変換してラベルのデータ(指紋データ)にするのではなく、前記物品の1つ若しくは複数の元素が放射するスペクトルを選択してラベルに関するデータ(例えば指紋データ。関連する説明として以下の説明を参照)に変換し、格納することができる。すなわち、データベースを通して選択的にスペクトルデータを読み込むことができる。より詳細な説明を以下に提供する。
【0039】
S−DNA
合成DNA(S−DNA:Synthetic DNA)は、当業者に既知または未知の、蛍光X線による検出を含む検出により検出可能な任意の適切な元素および/または化学物質が可能である。理論上は、元素として周期表に記載されている任意の1若しくはいくつかの元素またはそれらの化学物質が可能であるが、検出の容易さやスペクトルの低毒性のためなど当然の要因を考慮し、5より大きい原子番号を有する元素が最適である。さらにより最適なのは22(チタン)より大きい原子番号を有する元素であり、周期表のdブロックおよびfブロック周期の元素である。より最適なのは、ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、イッテルビウムの15の化学元素から選択される元素である。
【0040】
ラベルは外部に付加する元素および/または化学物質とすることも、あるいは物品に固有の元素および/または化学物質として内部にコンカレントに含めることもできる。特定のラベルが物品に固有の元素および/または化学物質である場合、前記ラベルを前記物品の少なくとも一部に存在する成分とすることが可能である。
【0041】
元素ラベルへの付加量は、使用する元素の量および必要なエネルギーに基づいて決定することができる。例えば、標識元素の最低量は蛍光X線分析器の検出制限によって決定することができる。通常、標識元素の最低量は100ppb〜50ppmの範囲とすることができる。例えば、ラベルの濃度が少なくとも1ppmであり1〜1000ppmで変動する場合、各元素について少なくとも1,000段階の濃度を持つラベルを生成する。より多くの量のラベルまたはより低い最低濃度を用いることは可能である(例えば、技術の進歩により、最低含有量をさらに低減することが可能)。多くの適用工程において、担体溶液の蒸発によって濃度は増す。例えば、乾燥した書籍のページの表面の印刷インクに存在する標識元素の濃度は、当初のインクの濃度の3倍であるが、この時点で各元素の相対比は変化せず維持される。
【0042】
標識元素は様々な形で物品に存在し得る。例えば、前記標識元素は任意の化学物質(塩など)またはそのような元素を含有する大分子または小分子として存在することができ、個別に若しくは他の成分と共に前記物品に付加することができる。事実、標識元素は様々な成分および/または添加剤と共に混合物および/または溶液を構成することができる。蛍光X線の特徴の調整、組み合わされた特徴の調整、および安定性の改善など様々な目的のために、様々な成分および添加剤を付加することが可能である。例えば、そのような元素は、硝酸ナトリウム、塩酸ナトリウム、および/またはシュウ酸ナトリウムのような無機塩および/または有機塩の形で存在することができる。前記有機および/または無機ナトリウム溶液はきわめて高い浸透性を有する溶液であり、溶剤との混合により極めて高い浸透性を有する溶液を生成するものである。使用中は、その他の様々な要因への適切な配慮が可能である。例えば、前記有機および/または無機塩を選択する場合、硝酸ナトリウムが最適であるが、塩酸ナトリウムの方が価格が低い。同一のラベル群に用いられる塩は、同一のタイプの塩とすることが最適である。
【0043】
物品に付ける上記ラベルの少なくとも1つによって結果的に生成されるスペクトルは、物品の特徴的な「コード」を提供する。そのようなコードは、ラベル数、タイプが存在するかどうか、同一または異なるラベルの濃度比、物品におけるラベルの位置、および前記特徴の様々な任意の組み合わせに基づく場合がある。例えば、同一の元素が濃度1ppm〜1,000ppmの範囲で1ppmの増分で存在する場合、1,000コードが提供される。また、異なるラベルの様々な濃度を付加すれば、より多くのコードが提供される。物品と組み合わされた同一または異なるラベルに固有の成分は、付加的ラベルとしてさらに多くのコードを提供することができる。物品をいくつかの異なる部分に分割し、各部分に異なるラベルの様々な濃度を提供すれば、さらに多くのコードが提供される。
【0044】
例えば、図2が示す蛍光X線スペクトルにおいて、Fe、Cu、Rb、Sr、およびMoのような様々な標識元素が存在し、各元素のピーク値強度および背景強度はそのような元素の既存の濃度を表すことができる。あるいは、各元素のピーク値強度比は様々な元素の相対濃度比を表す。上記パラメータの様々な形を任意に組み合わせ、より多くのコードを提供することができる。
【0045】
元の生産工程に変更を加えず、且つ企業の装置を加えずに、製品の製造中に物品の生産段階(例えば、プラスチック製品の加工段階)で、および/または製造後に、元素ラベルを付加することが可能である。物品の製造中に前記元素ラベルを付加する場合、ラベルを外部付加成分として混ぜ込むことが可能であるが、製造される物品の成分として付加することも可能である。ラベルは物品の表面に付着されるか、複製、模倣、移動、および剥離を不可能にするために情報ポイントとして物品の内部に浸透される。
【0046】
ラベルは物品の任意の位置(表面を含む)に付加することができる。例えば、生産中、物品の全体積に均等にラベルを付加することができる。この場合も、例えば、物品の特定の部分(立方体の4つの角など)に混ぜ込むことによって、前記物品の特定の位置でのみ前記物品のラベルを検出可能にすることができる。また、ラベルの質、タイプ、および濃度の様々な組み合わせを用いて1次元、2次元、または3次元の様々な形またはパターンを生成することができるので、物品のラベルをスキャンすると、その標識元素は、前記物品の位置に相対した1次元、2次元、または3次元の濃度分布に相対したコードを構成する。
【0047】
物品の作成後にラベルを付加する場合、前記ラベルを混入物として注入すること、メッキ付けすること、または様々な既知の化学的および物理的方法を用いて被覆または膜の層として沈着させることが可能である。また、生成された被覆または膜の層と組み合わせてラベル部分とすることも可能であり、物品と組み合わせるため若しくは物品の包装と組み合わせるために、塗布、噴霧、沈着、含浸、混合、および/または印刷など多くの方法(限定せず)を採用することができる。例えば、1実施形態において、ラベルを溶液または懸濁液と組み合わせることができる。物品に噴霧した後、担体溶剤は蒸発または凝固し、そこに含まれるラベルはラベル付けされる物品または包装の表面に付着および/または前記物品の内部に浸透し、安定したラベルを形成する。
【0048】
また、付加される化学元素ラベルを無色にして不可視のラベルとすること、あるいは着色して可視ラベルとすることが可能である。
【0049】
以下は代表的な外部付加元素の工程の例示的説明であるが、当業者であれば以下の説明が本発明を一切制限しないことを理解できる。この工程中に付加された標識元素は異なるラベル配合を設計するための質に主に基づくものであり、次に、配合された標準標識元素溶液を用い、特定の体積を有する担体に前記標識元素を付加し、その後に、必要な付加的確認成分を付加することにより、化学元素ラベルを形成する。要約すると、以下のようになる。
【0050】
1. 必要な標識元素を含有する化学物質および元素比率を選択する。
【0051】
2. 担体を選択し、選択した配合にしたがって前記標識元素の化学物質の特定量を前記担体と混合する。
【0052】
3. 第2工程で混合した、化学元素ラベルを含有するこの物質を、ラベル付けされる物品と組み合わせて化学元素ラベルを形成する。
【0053】
前記標識元素の化学物質は、前記標識元素の無機塩および/または有機塩を含む。同一の化学元素ラベルにおいては、最適な同一のタイプのナトリウムが選択される。前記担体としては、有機溶剤および/または無機溶剤、および固形粉末などが含まれる。
【0054】
付加的確認成分を前記第2工程中に付加することも可能である。前記付加的確認成分を可視被覆、可視紫外線色、試薬、および/またはマイクロラベルなどにすることができる。
【0055】
前記第3工程中、物品の生産工程中にラベルを付加することが可能であり、すでに混合された化学元素ラベルを含有する物質を、塗布、噴霧、沈着、含浸、混合、および/または印刷によって(限定せず)、ラベル付けされる物品と組み合わせることができる。前記担体溶剤は蒸発または凝固し、そこに含まれるラベル部分は前記物品の表面に付着され、前記物品の内部に前記ラベル部分の一部が浸透することにより、化学元素ラベルが形成される。
【0056】
より具体的には、以下の工程を考慮することができる。
【0057】
前記標識元素の標準溶液を作成する。設計に基づき、前記標準溶液を配合する方法を用い、様々な化学元素ラベルのための特定の濃度の標準溶液を配合することができる。通常、そのような溶液の溶剤は水であり、次に、そのような標準溶液を用い、前記化学元素ラベルを配合し、さらなる作業を可能にする。
【0058】
担体を選択する。担体とは、ラベル付けされる物質と化学元素の結合を可能にする物質である。前述の標識元素水和物の標準溶液に溶解しない担体が可能であり、その標識元素を前記担体溶剤から分離することができる。適用中の主要件は、そのような標識元素を可能にする表面が、ラベル付けされる物品の表面に付着し、且つ前記物品内部に浸透することである。代わりに、前記溶剤タイプの担体を水またはアルコールなどにし、均質相の溶液とすることにより、前記標識元素を部分的または全体的に前記物品の内部に浸透させることができる。この適用中、前記担体を前記標識元素と混合し、前記物品の表面に付着し、必要最少量を用いて前記物品の内部に浸透させる。前記標識元素は任意の温度または任意の環境で任意の表面に用いることができる。前記担体の主な役割は、十分な時間にわたり物品の表面に付着することであり、それによりその化学元素ラベルが前記物品の表面に付着し、前記物品の内部に浸透できるようにすることである。木材、紙、ゴム、または軽量鋼など多くの物品の表面で、この浸透工程は迅速に完了される。より密度の高い物質、例えばプラスチックおよびニッケル合金などでは、特別の支持担体溶剤を用いるという条件で、より長い時間がこの浸透工程にかかる場合がある。
【0059】
より具体的には、最適な担体として、以下のいくつかのタイプの担体を選択することができる。
【0060】
I. 標識元素と共に多相混合物を生成することができる担体。そのような担体溶剤は有機担体溶剤であり、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、またはアルコールなどが含まれる(代表的なものとして、油溶性塗料、ラッカー、および防虫塗料がある)。職務上の接触により暴露される作業者の安全のために考慮すべき問題も、適した担体溶液の選択における別の因子である。そのような点を考慮し、最も不快でない匂いを与える可能性があるのは水およびアルコール基の溶液である。流動性を有する様々なタイプのラッカーは、触媒なしに自然硬化できる。これらは乾燥後に清潔な硬い表面となり、多くの表面に密着することができる。これらは非常に薄く、多くの物品の表面でほぼ不可視である。これらは乾燥後(3〜5日)、ほとんどの通常の溶液に対し耐溶解性である。通常、そのような塗料の溶剤は、例えばトルエンのような芳香族炭化水素である。本発明の最適な担体溶液はラッカーである。ラッカーは金属およびプラスチックなどのような物品に用いることができ、約10分以内に乾燥する。また、ラッカーはほとんど匂いはなく約30日で加硫処理され、硬い表面および優れた耐酸性を有するので、様々な用途に用いることができる。ほとんどの物品で、ラッカーは、化学元素が物品の表面により強く付着して前記物品の内部に浸透することを可能にする。
【0061】
II. 標識元素と共に均質相の混合物を生成する担体。水溶性担体溶剤としては、アルコール、エチレングリコール、およびその構成成分の大きな割合を占める他の水溶性界面活性剤が可能である。これらは非常に安定した均質相のラベル構成要素となる。前記担体溶剤は迅速に乾燥し、標識元素は前記物品にそのまま残る。そのような担体溶剤をプラスチック製品に用いることもできる。
【0062】
III. エポキシ樹脂。そのような樹脂を用いる場合、前記樹脂は別の触媒と混合し、後に凝固する。しかし、使用前に有意な量が硬化によって失われるため、使用できない。そのようなエポキシ樹脂は強い浸透性を有し、耐酸性および耐溶解性に非常に優れている。そのような担体溶剤を用いた場合、ラベルは可視となる。
【0063】
物品の特定の位置にラベルを位置づけることを可能にするなど、化学元素ラベルの効果をさらに高めるために、既存の確認成分を前述の化学元素ラベル構成要素に付加することもできる。通常、これらは補助的成分としてすべての化学元素ラベル構成要素に含まれ、クライアントの要求にしたがって取り除くことができる。以下は、付加的決定成分のいくつかの例である(限定せず)。
【0064】
I. 可視被覆:蛍光被覆を用いて可視化学元素ラベル構成要素を生成する。前記被覆は顧客の必要性に応じて混合するが、一意のスペクトルを生成するために、多くの被覆を混合する方がよい。例えば、体積比25%を有する混合被覆を用い、前記被覆を担体溶剤に粉体で付加し、前記被覆が完全に溶解するまで機械的に振動させる。そのような混合物は定性的に測定されるラベル添加剤の基礎となる。
【0065】
II. 不可視紫外線色:高性能の紫外線色であり、質量比で測定される。これは正確な測定であり、維持を必要とする。例えば、1〜200W/Wを計算に用いる。その染料はその液体担体に粉末で付加され、機械的振動により溶解される。そのような色は具体的なほぼすべての識別の要求を満たすことができる。
【0066】
III. 試薬:粉末フェノールフタレイン試薬を試験に用いる。これは強アルカリに反応して赤紫色になる。当然、チモールフェノールフタレインを用いてもよい。混合し機械的に振動させる。その他の酸・アルカリ指示薬を用いることもできる。
【0067】
IV. マイクロラベル:予め設定したコードを有するマイクロラベルを付加すること、あるいは顧客の特定の要求に応えるマイクロラベルを付加することができる。担体溶剤と混合せず、懸濁液として維持する。前記担体液を動かさずに置いておくと、前記マイクロラベルは重力によって沈降する。例えば、各液体25gを有する使用体積では、マイクロラベル1gを用いることができる。
【0068】
加えて、物品にラベルを結合することにより、ラベルまたは物品自体の情報を総合的に決定し、そのようにラベル付けされた物品の正確で包括的な情報を決定することができる。例えば、物品にバーコード識別主ラベル(可視、前記物品の外面に貼付または印刷)と潜伏元素ラベル(この元素は前記物品の物質の中に隠されており、不可視であり潜伏している)を並行に含めることができる。試験中、識別が両方のラベルの特徴を満たす場合のみ合格する。偽造品として偽造可能なのは前記主ラベルのみで、前記潜伏ラベルを偽造することはできない。
【0069】
本発明の1つの観点に基づき、本発明の前述の工程を自動割り当て工程として設定することができる。上述したように、本発明のデータベースシステム(K−MACデータベースのK−MACシステムのK−MAC−Labサブシステムデータベースなどだが、これについてはより詳細に以下に説明する)は様々な材料および条件での数多くの配合を格納する。配合選択を自動化し、前記データベースで自動生成および記録することができる。例えば、1つの無作為な配合選択スキームは以下のとおり:前記データベースシステム(K−MACシステムのK−MAC−Labサブシステムなどだが、これについては以下により詳細に説明する)は既存の配合を無作為に抽出する。例えば、前記データベースは特定製品の材料に基づき条件を付加し、1より多くの(例えば5つより多くの)配合を選択的項目として生成し、選択対象の配合数として無作為に1から5を生成する。続いて、前記データベースシステムによるモニタおよび指令、および選択された配合に基づき、制御および使用される各工程の副配合を、システム装置および異なる現場の生産要員に送信する。同時に、実際の測定をせずに前記データベースは計算または組み合わせによって物品のラベルに関するデータを獲得および格納することができる。したがって、顧客の機密情報のセキュリティは保証される。S−DNA元素ラベルは密閉された多くの独立の生産工程を経て作成および完成されるものであり、S−DNA元素ラベルの合成中、顧客の身元、元素ラベル配合成分、およびラベル液・担体混合物などのような重要な情報は前記データベースが予め定めたようにシステム装置および異なる現場の生産要員によって別に管理され、その中央データベースのみが最終配合を制御する。S−DNA元素ラベルの合成中、処理のために多くの特別なソフトウェアが必要であり、そのようなソフトウェアは前記中央データベースでのみ設定可能である。前記ソフトウェアにアクセスするには一連のパスワードが要求され、前記パスワードは識別担当要員のみが使用可能である。前記特別のソフトウェアを作動する元素ラベル合成中央ネットワークは独立しており、総務および営業部門またはインターネットにネットワーク接続されない。生産および管理担当要員でない者は、その生産領域またはコンピュータネットワークに近づく権限を持たない。
【0070】
さらに、数多くの物品にラベル付けする工程では、自動組み立てラインを設定し、データベースシステムで各処理工程における作業を中央管理および指揮することができる。このように、前記データベースの使用は管理を可能にして利便性を与えるだけでなく、前記データベースが選択した配合を知る者がいないという事実によって、「紙に記録された」配合の存在若しくは必要をなくし、前記配合の情報に機密性とセキュリティを与える。
【0071】
加えて、前記配合情報のセキュリティ管理に関し、追加的元素ラベルが人的または非人的要因を経るのを防ぐために、最新の定量的配合技術で前記データベースを支援することができる。前記のいわゆる定量的配合技術とは、その使用者の要求に従い、特定のS−DNA元素ラベルを付加する必要のある製品の生産量を決定した後、割り当てられた前記S−DNA元素ラベルが前記データベースによって計算可能な定格のセキュリティ値を有し、次に、割り当てられた適切な材料がシステム装置および異なる現場にいる生産要員に分配されることを意味する。承認を受けずに製品の生産が人工的に増加すると、前記元素ラベルは結果として希薄化し、前記配合のセキュリティ比の値は変化し、そのような製品に割り当てられたS−DNA元素ラベルは無効化し、不合格になる。これによって人工的な過度のラベル付けによる否定的影響が防がれ、セキュリティ管理のレベルが高まる。
【0072】
不注意によってS−DNA元素ラベルを盗難または損失した場合は、関連情報およびポータブル検出器のセキュリティ承認(これについては以下により詳細に説明する)を改訂することによって、制御できなくなった前記S−DNA元素ラベルの最初の承認を取り消し、読み取りを不可能にすることにより、前記S−DNA元素ラベル情報のセキュリティを保証することができる。
【0073】
化学元素ラベル構成要素の一群を設計するに当たり、本発明の最適のスキームは、ベンチマークラベル法で決定を行うことである。ベンチマークラベルの選択は、前記ラベルと物品間の接触、および使用者または使用者の場所などに関するオーナーおよび担体の専有情報を設定することを可能にする。例えば、同一の製造業者からの異なる材料の商品は、それらのベンチマークラベルとして1つ若しくはいくつかの元素ラベルを組み合わせることができ、同一の国および地域で販売される製品は、それらのベンチマークラベルとして1つ若しくはいくつかの元素ラベルを組み合わせることができ、データベース管理、統計、および計算が可能である。当然、1若しくはいくつかの元素をベンチマークラベルとして任意に選択することも可能である。そのようなベンチマークラベルとして、使用されている1若しくはいくつかの標識元素が可能である。すなわち、5より大きい原子番号を有する元素が最適である。さらにより適しているのは22(チタン)より大きい原子番号を有する元素であり、周期表のdブロックおよびfブロック周期の元素である。より適しているのは、以下の15の化学元素から選択される元素である。ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、イッテルビウム。ラベルの組み合わせの設計に当たり、例えば、3〜6元素およびベンチマークラベルを含める。そのラベル構成要素の他の元素の体積は、前記ベンチマークとして使用するラベルの体積に整数若しくは小数を掛けた体積となる。よって、様々な元素の配合比は体積比の一群である。より適しているのは、整数比の一群である。配合比の各群は特定のデータコードを有する。そのような配合比設計は管理および試験を可能にする。例えば、そのラベル元素の1つのみを選択的に読み取ることによって、そのラベル全体を読み取らずにそのような物品の性状情報またはその使用者の特定の特徴を得ることができる。また、前記ラベルの原材料を誰かが動かそうとした場合(すべての原材料を動かすことは不可能である)、または期待される濃度レベルが自然の風化により変化した場合、特定の元素の体積は低下するが、それら元素間の比率は変わらずに維持される。
【0074】
例えば、上述の15元素を用いて一意のラベルを生成することができる。そのベンチマークラベルはそれら元素内に存在する必要がある。標準である0〜9にしたがって残りの14元素を組み合わせた場合、
1014−1=99,999,999,999,999の可能な一意の化学元素ラベルが存在可能である。加えて、前記元素の濃度レベル、相対濃度レベル、およびラベル位置があるので化学元素の数は非常に多く、したがって適用中に繰り返し使用する必要はない。
【0075】
物品符号化規則は、上記一群に含まれる15の化学元素からの2若しくはそれ以上の化学元素を用い、偶数および奇数法を用いて配合比の組み合わせを実行することができる。
【0076】
外部付加元素およびその固有の元素を有する物品は、より多くの元素を有することができるので、数多くの元素のスペクトルを生成する。本発明の最適の実施形態のスキームに基づき、物品の蛍光X線スペクトルがいくつか(少なくとも2より多く)の元素のスペクトルを含有する場合、そのラベルのデータとしてスキャンされるすべてのスペクトルを読み取る代わりに、前記データベースを介して前記元素のスペクトルを選択的に読み取ることができ、その元素のいくつかのスペクトルのみを前記ラベルのデータとして選択して格納することができる。将来的に前記物品のために新しい定義が必要になった場合、この自己定義情報を直接変更するという方法に加え、前記物品に関し前に保存された元素を新しく選択された元素として符号化することにより、前記物品に新しい情報の定義を与えることができるので、この同一の物品がいったんラベル付けされた後に異なる時点で異なる必要に応じて異なる情報を実質的に繰り返し定義することができる。また、特定の適用について、データ比較のための計算量を低減することができる。また、前記スペクトルの選択的読み取りは適用中のセキュリティを可能にする。何者かが物品のラベルを偽造しようとしても、数多くの元素ラベルがあるため、データベースシステムに読み取られることになるスペクトルデータがどれであるか知り得ない。加えて、前記データベースに格納されている前記ラベルのデータはスキャンのみでは取得できず、偽造を試みる者は前記データベースに認証を求める必要があるので、その試験データを偽造するのはさらに難しい。選択的読み取りを用いた場合、ラベルデータが実際のスキャンによって獲得されたものかデータベースの計算および組み合わせによって獲得されたものかに関わらず、コンピュータは選択および読み取りの対象となる元素を自動的且つ無作為に選択すること、若しくは特定のパターンにしたがって選択することができる。例えば、特定の状況下では、読み取り対象の元素としてそのベンチマークラベルのみが選択される。さらに別の状況下では、最大の原子番号を有する1若しくはいくつかの元素など、その他の元素が読み取り対象の元素として選択される。あるいは単に無作為の選択が用いられる。識別が行われると、前記コンピュータは同じロジックを用いて測定対象のスペクトルの選択的読み取りを実行し、測定されたデータとラベルデータの一貫性を決定する。
【0077】
本発明は無制限に元素の原子をラベルとして使用できるものと理解されるべきであり、加えて本発明は具体的なラベルとして元素の原子および分子化学物質を用いることができるものと理解されるべきである。試験対象の蛍光放射線はX線波長帯の蛍光放射線に限定されず、紫外線、可視、および赤外線などのような波長帯の蛍光放射線も含むことができる。この場合の元素分子または分子化学物質および試験の原則は、上述したX線試験の原則と同様であるが、そのスペクトルには分子構造に特徴的なエネルギーレベルの変化が反映されるので、適切な分子および分子化学物質として存在する特定のラベルを検出することができる。また、本発明は、核共鳴技術を用いて元素を励起し、核磁気モーメント核分裂の精密なスペクトル構造を検出することもできるので、複数のスペクトル構造の組み合わせを通し、より豊富なラベルスペクトルを選択的に検出することができる。
【0078】
特定の状況下では、特定のラベルの設計として、本発明の元素分子および分子化学物質は非常に有用である。例えば、同一の炭素という元素が、異なる黒鉛およびダイヤモンドの分子構造を有する場合がある。これによって同一の元素の異なる分子構造のコード数が増し、分子または原子ラベルの組み合わせによる符号化の柔軟性が増す。例えば、同一のタイプまたは同一の用途の物品は、同一の元素の原子のラベルの特徴を用いることができ、さらに、異なるタイプまたは用途のより詳細な定義は、同一の元素の異なる分子形のラベルの特徴を用いることができる。
【0079】
ラベル情報検出および分析技術
図1を参照する。ラベル付けされた物品かどうかを決定するために物品を検出する必要がある場合、励起源(例えばX線放射装置101が発するX線11)を用い、検出対象である前記物品をスキャンする。蛍光X線検出器の検出器は前記物品の化学元素ラベルが発する蛍光X線を検出し、ADを介して検出データに変換する。前記検出データをデータベース104に格納されているラベルデータと比較し、それら2つが同一であるかどうかによって、検出対象である前記物品がラベル付けされた物品かどうかを決定する。ラベル付けされた物品であれば、前記物品に関して必要な情報をデータベースから取得することができる。当業者であれば、前記2つのデータが同一であるかどうかを決定するための前述の原則は、前記2つのデータが同一であるか、若しくはそれらの差異が許容範囲内であることだと理解できる。物品の定義をラベル付けする工程に応じて、検出される蛍光X線スペクトルのデジタル信号をさらに符号化して様々な符号化データにすることが可能であり、例えば、元素を含む情報、元素濃度レベルに関する情報、元素濃度レベル比の情報、配合情報、および物品の情報に関するいわゆる指紋データを生成することができる。そのような指紋データを送信し、予めデータベース104に格納されているデータと比較する。ここではそのような符号化または非符号化データを総じて「検出データ」と呼ぶ。
【0080】
本発明の検出装置は、主に蛍光X線検出装置または蛍光X線検出器であり、ここでは蛍光X線検出器と呼ぶ。前記蛍光X線検出器は、通常の包装を通過し、物品の包装を損傷せずに前記物品の識別に関する元素ラベル情報を検証することができる。本発明の完全なシステムの使用では、任意の1若しくはいくつかの蛍光X線検出器を含めることができる。
【0081】
図1の蛍光X線検出器は以下を含む。
【0082】
励起源としてX線放射装置101を用い、ラベル100を有する物品にレーザー光線11を照射し、前記物品をスキャンする。図の実施形態の蛍光X線検出器が使用する励起源はX線放射装置であるが、当業者であれば、この励起源が前記X線放射装置に限定されず、元素ラベルへの照射によって任意の放射装置が起動して蛍光X線を発する限り、X線、γ線、α線、および電子光線、またはそれらの様々な組み合わせなどでもよいことを理解できる。1実施形態において、前記励起源はX線波長帯およびより長い波長を有する紫外線、可視、および赤外線領域を含む周波数範囲を有する連続調整可能または範囲調整可能な周波数変換電磁放射線管である場合があり、したがって、広範な(すなわちラベルのX線を励起および検出するだけでなく、紫外線、可視、および赤外線領域の放射線も励起および検出する)蛍光X線検出器を成すものである。紫外線、可視放射線、赤外線を励起可能なそのような励起源により、元素の原子または分子化学物質の形で存在する本発明の特定のラベルを同時または個別に励起することができる。上述の様々な光励起源に加え、本発明は電流コイルまたは永久磁石を用いて物品に磁場励起源を同時に適用し、元素の精密な核共鳴スペクトルを励起することができる。前記核共鳴スペクトルは元素の特徴的なスペクトルも現すので、より豊富なラベルスペクトルを選択的に検出することができる。そのような特徴はすべて、本発明で考慮されている。X線放射装置を励起源として用いる場合、例えば、照射装置および誘導装置が支援する、放射性同位体を有する放射線源タイプの励起源、あるいは本発明の分野で既知の、X線管およびフィルタシステムを有する単色X線励起装置のような励起装置が可能である。
【0083】
蛍光X線検出器102を用い、ラベルから送信される蛍光X線12を受信し、AD変換によってデジタル信号(検出データ)に変換し、インターフェイス23を介してデータ処理および分析装置103に送信する。元素の原子または分子化学物質の形で存在する本発明の特定のラベルが同時または個別に励起されると、蛍光X線検出器102は紫外線、可視放射線、および赤外線領域からの蛍光線も受信し、電気信号に変換してデータ処理および分析装置103に送信することができる。この蛍光検出器としては、例えば、比例計数管、多線式比例計数管、およびSi−PiNダイオードなどが可能である。
【0084】
データ処理および分析装置103はPDA(personal digital assistant:パーソナル・デジタル・アシスタント。データ処理装置、データメモリ装置(ROMおよびRAMなど)、データ発信装置、およびデータ受信装置を含むことができる)として例示されているが、当業者であれば、様々なタイプのPDA、パームトップ、セル式携帯電話(例えばHP社のiPAQスマートセル式携帯電話機)などのような通信機能を有する任意の演算処理装置が可能であることを理解できる。以下の説明においては、例示を目的とした一例として主にPDAを用いる。様々な機能を行うソフトウェアを前記データ処理および分析装置に格納する。一般に、前記データ処理および分析装置は常にデータベースを含み、このデータベースは本発明のシステムの端末データベースと呼ばれる。検出される物品のラベルに関するデータは、データ処理および分析装置103の端末データベースにすでに格納されている場合がある。よって、蛍光X線検出器102から送信される測定結果の受信後、格納されているラベルデータとの比較が直接行われ、顧客および前記物品に関する詳細な情報の読み取りのためのアクセスが前記データベースから行われる。前記蛍光X線検出器は前記蛍光X線検出器のローカルデータベース、遠隔中央データベース、および/または別の端末データベースに有線または無線方式で接続可能であり(より詳細に以下に説明する)、したがって、ローカルデータベースおよび/または遠隔データベースからの承認があれば、その独自の端末データベースに存在しないラベルデータをダウンロードすることおよびそれにアクセスすることができ、現場での測定および識別に用いることができる。現場での測定に関するデータおよび情報を前記端末データベースに格納すること、あるいは前記蛍光X線検出器のローカルデータベース、遠隔中央データベース、および/または別の端末データベースに有線または無線方式でアップロードすることにより、データを相互にタイムリーに更新することができる。1実施形態において、本発明のシステムの使用を容易にするために、前記蛍光X線検出器を組織のネットワークに無線方式(WEP)で接続し、後にインターネットまたはローカルデータベースおよび遠隔中央データベースを介して接続することができる。加えて、前記蛍光X線検出器は、視覚または触覚による検知が可能なインジケータ、発音器、または振動器のような装置を選択的に含むことも可能である。例えば、蛍光X線検出器を使用する場合、S−DNA元素によるラベル付けをした物品は前記検出器のハウジングに緑のライトを点灯させ、ブザー音を発するか振動を起こすことができ、そのような元素でラベル付けされていない物品が検出された場合は前記検出器に赤いライトのみが点滅する。
【0085】
本発明の1つの観点において、前記蛍光X線検出器は承認を受けた制御装置および/または追跡装置と、位置検出装置と、遠隔制御装置(これらをまとめて管理装置と呼ぶ)とを有する。例えば、前記蛍光X線検出器自体の制御または他の蛍光X線検出器の承認または承認取り消しなどの制御のために、それらすべてを前記データ処理および分析装置に配置すること、または前記装置本体の別の固定された位置に配置することが可能である。ローカルな起動パスワードまたは生体センサー(指紋センサーなど)によって承認を行うことも可能であり、遠隔制御端末から承認または承認制御取り消しを行うこともできる。前記追跡装置、位置検出装置、および/または遠隔制御装置を管理することによって、前記遠隔制御端末は任意の蛍光X線検出器をリアルタイムで追跡、位置検出、および/または遠隔制御することができる(データベースの項でより詳細に説明する)。
【0086】
本発明の代表的な実施形態において、現場での検出を可能にするために前記蛍光X線検出器は小型且つポータブル(最長30cm、最大重量1.6kg)に作られる。これは現在の技術的条件の下で実現可能である。小型軽量の携帯可能な蛍光X線検出器は現場で使用しやすい。これまでは、分析および試験結果がラボに送られてから完了するまでに数日を要したが、ポータブル蛍光X線検出器を使うことはいわば「ポータブルラボ」を得るようなようなものであり、この工程をわずか数秒で現場で完了できるようになる。前記蛍光X線検出器のポータブルな設計、無線送信、およびローカルまたは中央データベースとの通信能力によって、リアルタイムに現場で検出作業を行うことが可能となり、現状において検証、検出、認証、および管理のための最も便利で信頼できるシステムが作られる。
【0087】
本発明の出願者が設計したポータブル蛍光X線検出器の励起源X線放射装置は銀またはタングステンの陽極、10〜40kV、10〜50μAを用い、5層のフィルタ装置を有する。前記検出器はSi−PiNダイオード検出器を用いる(<230eVFWHM、5.95keV、MnKα線)。温度範囲は−10°C〜+50°Cである。電源はLi−on充電電池(充電器を含む)であり、PDAを同時充電することができる。PDAプロセッサはIntel 400MHzであり、Microsoft Windows CEオペレーティングシステムを有する。データ格納は128Mbのメモリで行い、これは20,000の結果を格納することができる。1Gbのメモリは100,000の結果を格納することができる。表示装置は高解像度のカラー・タッチ・スクリーンである。そのようなPDAはGPSポジショニングに基づく受信および発信装置を有し、それによって遠隔データベースによる位置検出および追跡を行う。端末データベースを有する前記PDAはGPRS/CDMA/GSMを用いたネットワーキングまたはWiFi/Bluetooth(登録商標)によるネットワーキングを行うことができる。これに基づく方法の1つを用いてインターネットに接続し、データベースネットワーク(K−MACネットワークなど)にアクセスすることにより、無線送信および移動読み取り、およびリアルタイムでのデータまたは指紋データの無線送信を実現する。送信されるデータサイズは約20K未満が可能である。上記方法を用い、すべてのデータ送信を3秒以内に完了することができ、これはリアルタイムの読み取りの要求を満たすに十分である。
【0088】
前記蛍光X線検出器の外観を図5に示す。前記検出器は装置本体501と、機械本体と一体化したハンドル502とを有し、ここにスタートスイッチを配置することができる。そのようなスイッチを例えば指紋センサーとすることにより、承認を受けて前記検出器全体を使用するよう制御することが可能である。検出器頭部503に、前記仕様を有するX線放射装置および蛍光X線検出器を取り付ける。使用中、前記頭部の先端513は検出対象の物品の表面または特定の位置の表面に垂直に接近または接触する。すなわち、前記頭部の先端を検出対象の物品に向けることによって前記励起源による発射およびスキャンを実行する。同時に、前記蛍光X線検出器は前記物品が発射する蛍光X線を受信する。あるいは、前記物品の表面にバーコードのような支配的な識別の特徴も含まれている場合は、頭部503にバーコード読み取りを同時に含めることもできる。あるいは、本発明は前記頭部または機械本体内に複数の読み取り機(バーコード読み取り機、接触式ICカード読み取り機、RFID読み取り機、磁気カード読み取り機、2Dコード読み取り機、および生体読み取り機など)をコンカレントに統合して含めることも可能であり、したがって、1つの機械に複数の技術アプリケーションを統合することができる。前記機械本体は末部504も含み、ここに、データ処理および分析装置506(PDA)への挿入に用いるカードスロット505が配置される。データ処理および分析装置506はカードスロット505のインターフェイスを介して前記蛍光X線検出器に接続され、前記蛍光X線検出器によって検出されるスペクトルから変換されたデータを受信および分析することにより決定を行うか、若しくはネットワークを介して前記データベースとデータを双方向伝送する。
【0089】
データ処理および分析装置506とは別に、前記蛍光X線検出器の残りの部分を一体化統合することができる。すなわち、データ処理および分析装置506を着脱可能なPDAとして設計することにより、分離したポータブル装置を形成することができる。着脱可能な設計の利点は、異なる目的のPDAとの交換およびそれらの挿入ができること(すなわち異なるタイプのデータベースを含められること)、あるいは複数のタイプのデータ処理および分析装置506の挿入に対応することである。例えば、オーバーラップさせたカード領域の形にカードスロット505を作ることによって、異なる容積および外部仕様を有するPDAまたはセル式携帯電話の挿入に適したものとすることができる。着脱可能な設計の別の利点は、前記蛍光X線検出器のうちデータ処理および分析装置506と分離した部分を用いて汎用の蛍光X線検出プラットフォーム(例えばスーパーマーケットのような大規模な公共の場所に配置する)を構築できることであり、ショッピングモールに置かれた蛍光X線検出器の内蔵カードスロットに、個人が使用する一般的なPDAまたはセル式携帯電話を挿入し、ローカルまたは遠隔のデータベースから受信されダウンロードされる情報を即座に得ることができることであり、検出「知性」のある装置が得られることである。
【0090】
当然、前記蛍光X線検出器を、上記の部分(データ処理および分析装置506を含む)をすべて統合した1つの総合ポータブル装置として設計することもできる。また、例えば汎用の蛍光X線検出を構築した場合、そのような蛍光X線検出プラットフォームをポータブルな機械の形とせず、デスクトップまたは縦型端末装置の形にすることも可能なものと理解される。
【0091】
1実施形態において、同一の組織の異なる蛍光X線検出器を用い、無線および/または有線方式でそれらを相互接続する。第1の位置からレベル1検出器を用い、第2の位置にあるレベル2検出器にデータを送信する。よって、前記第1の位置で前記レベル1検出器を用いて予備的決定を行い、前記第2の位置で前記レベル2検出器を用いて追加的決定を行うことができる。
【0092】
1実施形態において、特定の物品の化学元素ラベル付けを可能にするために、物質の名称一覧およびラベル付けされた元素を含む指紋データ(様々な標識元素の配合比である場合もあれば、前記配合比について取得されたデータあるいはデータの再度の符号化の後に取得されたデータである場合もある)を前記蛍光X線検出器の端末データベースに格納することができる。したがって、前記蛍光X線検出器の使用中、化学元素ラベルS−DNAの存在を決定する。前記蛍光X線検出器に含まれる分析ソフトウェアは、検出対象の物質の標識元素に関するデータを読み込む。したがって、前記検出器は前記S−DNA信号出力を検出することによってデータを受信し、そのように受信されたデータは前記データベースに格納されたデータとすでに比較されており、前記物品がラベル付けされているかどうかが決定される。
【0093】
1実施形態において、異なる蛍光X線検出器を使用する。前記蛍光X線検出器からのデータ出力は前記データ処理および分析装置の端末データベースに格納されたデータと直接比較することができるので、即座に決定を行い前記物品に関する情報を提供することができる。別の実施形態において、前記蛍光X線検出器からのデータ出力を遠隔データベース(データセンターなど)に送信し、前記データベースに格納されているデータと比較し、前記遠隔データベースから返信される前記物品に関する情報を用いて決定を行う。前記2つの結果は、使用者には同一のものに見える。データ計算または検証の工程がどういうものか前記使用者にはわからない。しかし、現実には、後者の方法では前記遠隔データベース(データセンター)はクラスターシステムおよび分散型計算方式を用いてデータ処理を実行することができ、これはコンピュータリソースを有効利用するものであり、計算精度および性能を向上させ、検出所要時間を低減する。その理由は、大量の計算がある場合、前記蛍光X線検出器の端末データベースで大量の計算を行うことが難しいからである。加えて、前記端末データベースの容量が限られているのに対し、前記遠隔データベースの用量は「無制限」である。前記計算および格納作業を前記端末データベースから遠隔データセンターへ移動することができ、前記使用者は、前記検出器の端末データベースに「無制限」の容量があり、その計算速度は非常に速いと感じる。これは、本発明のデータベースシステムを持たない先行技術では不可能なことであった。よって、前記後者の方法は本発明における最適の方法である(データベースの項でより詳細に説明する)。
【0094】
ローカルまたは遠隔データベースとの接続を介した相互データ伝送によって決定および情報取得をする必要がある場合、1実施形態に基づき、前記データ処理および分析装置は前記蛍光X線検出器が受信するデータ出力を図2のスペクトルのような標準または非標準のコードデータ形式に変換することができる。横軸(X軸方向)の限られた位置に異なる元素があり、そこでそれらを識別し、各々の排他的値または特徴を割り当てることができる。縦軸(Y軸方向)の各元素が示す異なる濃度レベル情報に異なる値または特徴を与え、位置の組み合わせ関係に基づき、様々なデータマトリクス記号として2次元の記号コードを生成するか、あるいは一定の規則にしたがって対応するASCIIコードを生成することができる。前記データ処理および分析装置は直接得られたスペクトルデータ出力をコードデータ出力に変換し、無線または有線方式でそのデータをローカルまたは遠隔データベースと相互伝送する。これによる利点は、前記蛍光X線が出力する表現を標準化できることである。標準化が行われたコード伝送データベース、すなわち、例えば、特定の2次元コード伝送およびロジック関係が作成されたデータベースを直接に使うことができ、スペクトルデータ出力をデータコードに「変換」する方法を既存のデータベースに理解させるあるいは「学習」させる必要がないので、既存データベースに学習させる必要はない。当然、前記データ処理および分析装置は、(例えば符号化の後に)受信したデータ出力を、ローカルまたは遠隔データベースと完全且つ直接に相互伝送することができる。前記蛍光X線検出装置について概略を説明したが、当業者であれば、前記蛍光X線検出器が複数の柔軟な設計スキームを持つことができ、複数の目的および用途を可能とするものであることを理解できる。
【0095】
例えば、前記蛍光X線検出器の使用を可能にするために、前記蛍光X線検出器は、プレート・レベル・スキーム、モジュールスキーム、および追加的に含まれるチップ・レベル・スキームを含む内蔵スキームを使用することができる。例えば、デスクトップまたは縦型の機械の形にし、指紋データを格納するRAMまたはROMを使用し、本発明の分析および処理プログラムを前記ROMに固定する。同時に、コンピュータカード/Bluetooth(登録商標)などのような通信インターフェイスのような周辺的割り当てインターフェイスを提供する。同時に、様々なコンピュータ装置で動作するプログラムを提供し、セル式携帯電話のような装置での使用を可能にする。例えば、直接的にチップレベルで提供する方法を用いる。ROMチップおよびRAMチップをDSPと統合してパッケージにし、そこに分析および処理プログラムを取り付け、1つのEPGAチップを作る。前記チップは上述の汎用装置機能をすべて満たすことができる。読み取り機のセンサー部分を汎用外付け装置として作成する場合、前記センサー部分も、X線、レーザー、赤外線、紫外線のような他の装置との相互接続のための多くの周辺割り当てインターフェイスを提供することができる。
【0096】
データベースおよびネットワーク技術
本発明の方法およびシステムは物品のラベル付けおよび検出工程中の完全なソリューションを構成することができるものであり、その重要な特徴は、安全および管理のためのデータベースシステムを有することである。
【0097】
代表的なシステムフレームワーク600を図6に示す。システム600は、遠隔中央データベース602と呼ぶことのできる中央データベースを含み、ローカルデータベース603および604をローカル端末に、中央データベース602を遠隔端末にそれぞれ配置する。あるいは、各データベースは、ソフトウェアおよび関連ハードウェアを含み、データ処理および制御などのような管理機能を有するシステムとも言える。前記ローカルデータベースおよび/または前記中央データベースは、検出を行っている検出器611〜615または既存の追跡および位置検出技術によってラベル付けされた物品を追跡、位置検出、および遠隔制御することができる。加えて、異なる蛍光X線検出器を介して承認制御を実行することもできる。端末データベースを各検出器611〜615に配置する。前記データベースは現場で必要な使用者および物品に関する情報を格納することも、そのような情報を格納しないことも可能であり、他のベータベースから前記情報にアクセスすることができる。ネットワーク601は、一般にアクセス可能な公共通信ネットワーク(インターネットなど)または専用ネットワーク、または公共および専用部分を含む混合ネットワーク、無線通信ネットワークおよび/またはデータ通信ネットワークとすることができ、複数のネットワーク(CDMAおよびGSMなど)間のデータ伝送および共有に対応することができる。図6には2つのローカルデータベースと、各々が前記2つのローカルデータベースに無線方式で接続された5つの検出器が図示されている。しかし、当業者であればこれは必要な制限ではないことを理解できる。実際、より多くの検出器またはより少ない検出器をローカルデータベースに接続可能である。前記検出器を有線方式でローカルデータベースと接続すること、あるいはローカル・エリア・ネットワークおよびインターネットを介して接続することも可能である。また、当業者であれば、本発明のシステムは1若しくはいくつかの検出器を有することもできることを理解できる。すなわち、前記ローカルデータベースは全体の中央データベースとしての働きをし、さらに他のデータベースに接続されない。
【0098】
上述のように、前記蛍光X線検出器は、励起源および蛍光検出器のほかに、データ処理および分析装置も有する。前記データ処理および分析装置は、例えば、PDAまたは他のタイプの任意の移動式、携帯、および/または計算装置である。代表的なデータ処理および分析装置は、データ処理装置、データ格納装置、データ発信装置、データ受信装置、および表示装置を含む。上述の端末データベースは前記データ処理および分析装置内にある。前記蛍光X線検出器は、有線または無線方式によって他の蛍光X線検出器のローカルデータベース、中央データベースおよび/または端末データベースに接続することができる。例えば、図5が図示する検出器のPDAはGPRS/CDMAを用いたネットワークまたはWiFi/Bluetooth(登録商標)を用いたネットワークが可能である。前記PDAはこれらに基づく方法の1つを用いてインターネットに接続することによって、他のデータベースとの通信のためのネットワークにアクセスすること、無線方式でデータを送信すること、および結果として得られたデータおよび情報などを送信することができる。
【0099】
PDAからインターネットにアクセスするためにGPRS技術を具体的に用いる設計では、GPRSネットワーク装置を前記PDAに加える。長距離でデータ送信する必要がある場合、まずGPRSモデムでインターネットにダイアルアップでアクセスすると、前記PDAがデータベースネットワークに自動接続され、前記データベースネットワークによって前記PDAの識別情報が認証されると、前記データベースネットワークによって前記PDAのための符号化された伝送パスが作成され、データ伝送が開始する。ここで、前記PDAはCFカードインターフェイス、Bluetooth(登録商標)のGPRS装置、および有線(例えばUSBによる)GPRS装置に対応するGPRS装置を用いることができる。
【0100】
ローカルデータベースはネットワークによって中央データベースに接続され、データはタイムリーに相互更新される。使用を可能にするために、前記検出器を組織のネットワークに無線方式(WEP)で接続し、後にインターネットまたはローカルデータベースおよび遠隔中央データベースを介して接続することができる。同一の組織の異なる検出器を有線および/または無線方式(直接1対1(ポイント・ツー・ポイント)ネットワーク)で相互接続することもできる。例えば、第1の位置からレベル1検出器を用い、第2の位置にあるレベル2検出器にデータを送信する。よって、前記レベル1検出器を前記第1の位置で用いて予備的決定を行った後、前記レベル2検出器を前記第2の位置で用いて追加的決定を行う。
【0101】
本発明の1つの観点に基づき、顧客および物品に関する情報データを、本発明のデータベースネットワークの各レベルでデータベースに生成することができる。よって、検出対象の物品がラベル付けされた物品であると確認された場合、そのような情報データを開き、より多くの関連情報を取得することができる。例えば、S−DNA元素ラベルの合成中、元素コードが自動的に生成される。ラベル付け対象の物品の識別資料および情報を作成し、後にカスタム化によって完成し、そのすべてを中央データベースに格納することができる。例えば、物品の性状、特徴、およびオーナーシップなどのようなカスタム情報を含むことができる。さらに、より詳細に、以下の項目の1若しくはいくつかを含めることができる。ラベル(前記物品の特徴的コード)、SKU(stock keeping unit:最少在庫管理単位。前記物品の物品コードであり、バーコードに似ている)、製品内容(前記物品の名称)、製造日(前記物品が製造された日付)、前記物品のバッチ番号(製造された物品のバッチ番号)、製造業者(製品の製造業者)、顧客(物品の検出を必要とする可能性のある顧客)、メモ(物品に関するルーチン的情報)など。
【0102】
上述の静的情報に加え、具体的な用途に基づき物品または物品所有者に関する「動的」情報を含めることもできる。例えば、物品の所有者による検出対象場所へのアクセスに関する時刻情報(駐車許可など)および時間情報も含めることができるので、適切な料金などを計算することができる。
【0103】
要約すると、前述の情報データは以下の1若しくはいくつかの組み合わせを含む。物品の識別または前記物品の所有者の識別に用いられる情報、物品または前記物品の所有者の管理に用いられる情報、およびラベル付け後のデータベースで継続的に追加、削除、および変更される他のカスタム情報。したがって、物品に必要でありその所有者によって使用される特定のデータに基づき、前記物品に関係する任意のタイプおよび内容の情報をカスタム化することが可能である。そのような情報を様々なレベルで並行または段階的にデータベースに格納し、相互にアクセスおよび利用することができる。
【0104】
本発明の1つの観点に基づき、ローカルデータベースおよび遠隔中央データベースには以下も含まれる。有線および/または無線方式による、蛍光X線検出器と前記ローカルデータベースおよび遠隔中央データベース間のデータ伝送。例えば、無線ネットワーク、インターネット、またはローカル・エリア・ネットワークのような通信ネットワークを介し、前記蛍光X線検出器は検出データなどを前記ローカルデータベースおよび遠隔中央データベースに送信する。前記ローカルデータベースおよび遠隔中央データベースは、次に、結果データをそのような蛍光X線検出器に送信する。前記結果データは、測定対象のデータが前記データベース内に格納されたデータと照合するかどうかについての単純な「はい」(肯定)または「いいえ」(否定)による決定(物品がラベル付けされたものかどうかをこの情報を用いて決定する)を行うが、より重要なのは、前記検出対象の物品に関係する前述の様々な静的または動的情報も含むこともできる(照合した場合)ことであり、これにより、様々な適用に基づき処理を行うことができる。この点に関し、前記蛍光X線検出器は、前記データベースから必要なすべてのデータおよび情報もダウンロードし、それをタイムリーに更新および検証することにより、データの同期を確実に行う。よって、当業者は、本発明のデータベースの各レベルは、データ比較のための比較装置と、データ格納装置と、データ発信装置と、データ受信装置とを有することができるものと理解できる。データの符号化のために承認装置および符号化装置も設定することができる。前記データは、スペクトルデータおよび符号化データなどを含む様々なタイプのデータを含む。前記データを承認および符号化の後に前記データベースに格納すること、または承認および符号化の後に前記データベース内のデータと比較することができる。
【0105】
本発明の1つの観点に基づき、使用者が検出作業を完了した後、前記使用者はその検出結果を専用コンピュータにダウンロードし、同時に、そのような検出情報を様々なレベルのデータベースに送信することができる。前記中央データベースは、現場モニタリングおよび検証手順を含む電子報告書を上級管理者に提供する。その後、前記報告書は毎日要約され、前記使用者が指定した部門または他の指定された部門に転送される。
【0106】
本発明の1つの観点に基づき、データベースのデータとして符号化データが可能である。そのような状況において、比較の前に、検出されたデータも符号化および計算する必要がある。1実施形態において(K−MACシステム[原文のまま]など)、データベースおよびPDAで用いられるデータは3−DESの符号化アルゴリズムを経る。まず、データベースネットワーク(前記K−MACネットワークなど)で、指紋データを前記3−DES符号化アルゴリズムで符号化する。この符号化されたデータをデータベースに格納する。承認後、PDAは前記データベースネットワーク(前記K−MACネットワークなど)の指紋データベースの特定のデータ領域にアクセスすることができる。次に、必要な指紋データを、符号化パスを介してそのランダムメモリにダウンロードする。前記PDAの符号解読プログラムは、指紋データが必要とされる場合のみデータ解読作業を実行する。この解読データは分析プログラムに直接に提供され、どのファイル形式でも保存されない。よって、標識元素およびコンテンツが既知であっても、符号化方法が未知であれば、限定された物品の適切な認証をこのセキュアなデータベースから取得することはできない。この符号化工程を蛍光X線検出器のPDAによって行うことも可能である。
【0107】
本発明のデータ伝送は、パスワード保護およびSSL(secure socket layer:セキュア・ソケット・レイヤー)のような業界標準若しくは非標準の保護技術を用い、データ保存およびデータ伝送の様々な工程およびプロセスにおいてセキュリティおよび信頼性を保護することができる。図6が図示する例では、SSL保護技術およびネットワークのファイアウォール保護技術が適用されている。
【0108】
本発明の1つの観点に基づき、機密保持、セキュリティ、および正当性評価のために、ローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースは、管理、追跡、および位置検出技術を用いることにより、識別に用いられる蛍光X線検出器および/またはラベル付けされた物品の管理、追跡、位置検出、および遠隔制御などを行うことができる。例えば、遠隔制御中央データベースおよび/またはローカルデータベースは、特定の蛍光X線検出器による作業承認の実行または作成または制限、または特定の作業の実行を許可するかどうかを制御することにより、蛍光X線検出器の損失または乱用を効果的に制御することができる。例えば、承認を行う場合、蛍光X線検出器を作動すると、前記検出器はその端末データベースまたはローカルデータベースまたは遠隔データベースに承認要求を送信し、本発明のデータベースの柔軟な配置というポジティブな特徴により、検出器の承認をデータベースの任意のレベルで制御することができる。例えば、端末データベースは、前記蛍光X線検出器のスイッチ自体にある生体センサー(指紋センサーなど)によって送信される使用者の指紋パターンデータを前記端末データベースの有効な指紋パターンデータと比較し、その比較に基づき前記端末データベースは直ちに承認を与えるか否かを決定することができる。承認を与える決定の場合、開始プログラムが作動する。承認を与えない決定の場合、「承認が得られませんでした」のような情報が画面に表示される。遠隔データベースによって承認を制御する場合、請求者の指紋パターンに関する決定に加え、前記検出器の追跡および位置検出を同時に実行することにより、正当な使用領域で前記請求者が前記検出器を使用しているかどうかを決定し、承認を与えるかどうか、および承認する作業の制限を決定することができる。1実施形態において、前記システムが使用者に承認を与える場合、前記システムは前記使用者の名前および番号を即座に取得することができるが、不正使用者は前記システムを継続して動作することができなくなる。物品をスキャンおよび検出することによって、前記システムは、その物品の商標の使用者および商標の名称に変換することが可能な情報を取得する。このとき、前記システムに保存されているファイルは、検出時刻、検出者、および検出品に関する情報をすでに含んでいる。いくつかの実施形態において、遠隔データベースは、毎回、受信される指紋データに基づき送信者の地理的場所の決定を行い、そこで送信された指紋パターンデータの比較を行うことによって、データを処理するかどうかの決定を行うこともできる。代表的な実施形態において、データベースシステムは異なるレベルで承認を与えるパターンを用いる。異なるレベルの権限を有する蛍光X線検出器は、その承認権限の範囲内でのみデータおよび情報の読み取りをすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、前記データベースは検出された物品に関する特定の情報を特定の使用者(例えば指紋に基づいて決定される)または特定の検出器(例えば送信されてきた検出器番号に基づく)に対して表示することを許可し、何らかの情報を特定の使用者または特定の検出器に示す。
【0109】
具体的な実施形態において、ローカルまたは遠隔データベースは、128ビットの対称秘密鍵システムを用いるPDAと共にアクセスを承認することができる。(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークは、各検出器について一意の一対の秘密鍵を生成し、それらの鍵の1つをPDAに提供し、その読み取り専用メモリに格納する。その秘密鍵によって、前記PDAは、(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークで内部リソースにアクセスするための承認を受け取る。前記遠隔データベースまたはローカルデータベースは、特定の検出器または特定の使用者に与えられた承認を一時的または永久に取り消すことができる。例えば、PDAを盗難または損失した場合、またはPDAが何らかの制御不能な状況になった場合、(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークで対応する秘密鍵を単純に無効化することによって、このPDAに与えられた承認を直ちに使用不能にすることができる。PDAの再承認が必要な場合、(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークは、前記PDAのために新しい一対の秘密鍵を生成し、前記PDAの読み取り専用メモリで前記秘密鍵を更新する必要がある。
【0110】
加えて、いくつかの実施形態において、異なる蛍光X線検出器を有線または無線方式で相互接続してデータを相互伝送することも可能であるので、異なる蛍光X線検出器のPDAを制御し、同様の方法で承認を制御することができる。
【0111】
追跡および位置検出については、前記ローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースは、受信したデータまたは信号に基づき検出器またはラベル付けされた物品の位置づけを実行することができる。本発明は主にDGPS+GSM+GPRS/CDMA方法を用いる。
【0112】
GPS(global positioning system:グローバル・ポジショニング・システム)は中距離の円軌道衛星位置検出システムであり、正確な位置検出および非常に正確な時刻基準により地球表面のほとんどの情報を提供することができる。このシステムは宇宙の24GPS衛星によって行われている。地球上の標的目標を迅速に決定するには、そのうち少なくとも3つの衛星が必要である。受信可能な衛星の数が多いほど、解読される位置は正確である。このシステムは現在2つのタイプに分けられる。軍事用および民生用である。民生用の信号の精度は約100m、軍事用信号の精度は10m未満である。民生用の精度を向上するために、本発明の追跡および位置検出技術は、近くの既知の基準座標点(他の手段によって測定される)を用いてGPSの誤差を修正するディファレンシャル・グローバル・ポジショニング・システム(DGPS:differential global positioning system)を用い、前記座標の計算にそのようなリアルタイムの誤差値を取り入れることにより、より正確な値を得る。
【0113】
GSMポジショニング技術(TOA/E−OTD/A−GPS)は、A−GPSの方法を主に用いる。A−GPSの原則では、GPS補助ポジショニング法によって以下の工程を達成する。GSMネットワークが補助GPS情報を受信する。
【0114】
前記GSMネットワークは前記補助情報をセル式携帯電話に送信する。前記セル式携帯電話は前記GPS情報を受信し、それ自体の正確な位置を計算し、取得する。前記セル式携帯電話はこの位置情報を前記GSMネットワークに送信する。この方法は2つの方法に分類される。セル式携帯電話支援法およびセル式携帯電話独立法である。(1)セル式携帯電話支援法:このようなソリューションは、従来のGPS受信機のほとんどの機能をネットワークプロセッサに転送することによって達成される。前記方法はアンテナ、RF装置、およびデータプロセッサなどの装置を必要とする。前記GSMネットワークは、時刻、表示可能な衛星一覧、衛星信号ドップラーパラメータ、およびコード位相検索ウィンドウを含む一連の極めて短い補助的情報をセル式携帯電話に送信する。そのようなパラメータは、内蔵されたGPSモジュールによるGPS信号収集の所要時間を短縮するのに役立つ。補助データを前記GPSモジュールによって前記セル式携帯電話から処理した後、約数分間で擬似距離が生成される。そのような擬似距離データを受信後、適切なネットワークプロセッサまたは位置検出サーバは、前記セル式携帯電話の位置を概算することができる。必要な修正を前記GSMネットワークが加えると、前記位置の精度は向上する。(2)セル式携帯電話の独立GPS位置検出法:このようなセル式携帯電話は完全な機能を有するGPS受信機を含み、(1)のセル式携帯電話のすべての機能、およびその他の衛星位置およびセル式携帯電話位置計算機能を有する。計算が始まると、必要なデータは前記セル式携帯電話の補助的手段を超過する。そのようなデータは4時間以上継続するか、または必要に応じて更新可能であり、通常、時刻、基準位置、衛星カレンダー、および時間較正パラメータなどを含む。より高い精度が一部の適用で必要とされる場合、ディファレンシャルGPS(DGPS)信号を前記セル式携帯電話に継続的(約30秒ごと)に送信する必要がある。DGPS信号は非常に広範な地理的領域で有効であり、センターとして用いれば、1つの基準受信機をより広範な地理的領域で利用できる。最終的な位置情報は、前記セル式携帯電話が行う計算によって前記セル式携帯電話が取得する。必要であれば、そのような位置検出情報を任意の他のアプリケーションに送信することができる。データはGPRS/CDMAによって送信される。当業者であれば、既存または将来の様々な位置検出の原則および方法も本発明で考慮されることを理解できる。
【0115】
以下は、本発明の出願者が開発した具体的なデータベース実施形態の説明である(K−MACデータおよび情報管理システム)。
【0116】
前記K−MACデータおよび情報管理システムは、物品に関するすべての元素ラベル情報を格納することができ、そのような情報の調査、アクセス、統計作成、分析、および管理を行う。前記K−MACデータおよび情報管理システムは、その元素ラベル合成システムをそのコンピュータ分析および認証システムと有機的に組み合わせることにより、物品ラベル情報の定義づけ、格納、管理、認証、識別、および前記情報に対するフィードバックの提供という複数の機能を達成する完全なシステムを形成する。
【0117】
前記K−MACシステムはUnixコンピュータクラスターおよび分散型グリッド計算を用いるシステムである。その基本的構成設定の概略を図6に示すことができる。前記システムのより詳細な具体的構成設定については図7を参照する。図示するように、前記K−MACデータおよび情報管理システムは連帯してデータセンターと、認証センターと、遠隔分析/認証システムとを有し、前記データセンターおよび前記認証センターは基本的に図6の遠隔データベース602と等しい。前記K−MACシステムは、Ethernet(登録商標)、無線Ethernet(登録商標)、および光ファイバーネットワークなどのような現在一般に使用されている統合ネットワークを現在の企業システムと共に提供する。前記図は、会社Aおよび会社Bのローカル・エリア・ネットワークであるローカルデータベースを図示する。分析サブシステムA、分析サブシステムB、および分析サブシステムCはそれぞれ会社Aを表し、会社Bでは、検出器611〜615の端末データベースは異なる検出作業を実行する。現在、前記システムは図5が図示する検出器のみを使用している。
【0118】
図8は前記データセンターの中心的構造を示す。この中央データベースは2つのバックアップシステムを有し、これらはファイアウォールおよび交換機と共に構成設定されてから一群のサーバに接続され、その後にルータ、ファイアウォール、および交換機を介して外部ネットワークに接続される。
【0119】
本発明の適用に合わせ、その格納スペースを計算性能と調整し、計算性能をできるだけ高め、高度な信頼性の要求に対応するために、前記システムは以下の特徴を有する。
1.情報ポイントサンプリング:
前記システムは専用ADC(analog to digital converter:アナログ−デジタル変換器)を用い、蛍光X線フィードバックをアナログからデジタルに変換し、そのデジタルデータをエネルギースペクトルで受信し、分析および処理を行うためにコンピュータ通信インターフェイスを介してその取得された予備的データをコンピュータに送信する。
2.データ分析:
最初に、前記コンピュータは、送信された前記データを存続性のために遠隔通信手段によって処理し、前記データセンターで前記コンピュータのメモリ媒体に格納する。次に、前記データセンターの前記コンピュータは指紋データとの比較を行い、標的データとソースデータの類似度指数を取得し、そのような類似度指数に基づき前記物品の適合性を決定した後、最終的に前記適合性を端末処理プログラムに返信する。
3.遠隔通信および遠隔制御:
検出器にケーブルで直接接続されるコンピュータ装置は高度な拡張性を有し(ポータブル検出器上のPDAなど)、その遠隔通信モジュール(WiFi、Bluetooth(登録商標)、およびGPRS)を介して遠隔コンピュータまたはコンピュータ代用品と交信する。前記遠隔コンピュータは、前記遠隔通信モジュールを介して前記検出器の作動/停止、承認、有効化/無効化を遠隔制御し、リアルタイムに前記検出器のステータスおよび位置を追跡することができる。
4.分散型計算:
前記データセンターで、前記コンピュータはクラスターシステムおよび分散型計算を用い、前記検出器が返信したデータを処理する。前記クラスターシステムはネットワークによって相互接続されており、計算リソースを共有する。高速ネットワークで接続されたクラスターシステムでは、主制御ノードが1つの試験の結果データをいくつかのデータブロックに分割する(1データブロックは1つの計算タスクであり、1データブロックはある範囲内の元素データを含む)。この時点で、前記主制御ノードは、様々な計算ノードが計算リソースを完全に利用して確実に前記データの分析および処理をするよう、計算タスクダイナミクスを周囲の計算ノードに分散して計算させる。前記計算が完了した後、前記計算ノードは結果を前記主制御ノードに返信する。前記主制御ノードは前記計算結果をソートし、前記結果データの処理を行う。計算を繰り返す必要がある場合、結論が得られるまで上述の動作を繰り返す。試験の計算では、計算の精度を高め、より低い誤差の結論を得るよう、計算とソートのために前記主制御ノードと前記計算ノード間のやり取りを何度も必要とする場合がある。本システムはコンピュータリソースを有効利用し、計算の精度と性能を向上し、試験時間を短縮する。
【0120】
5.グリッド格納:
データの無作為なアクセス性はかなり高く、個別データのサイズは制限される。しかし、総合データ量はかなり大きい。伝送されるデータは存続性のための処理を毎回必要とし、そのために大きなデータ格納スペースを必要とする。本システムはグリッド格納システムを用い、格納スペースを物理的に分離して中央管理する。このようなスペースの拡張はシンプル且つセキュアであり、データの保全性を確保する。グリッド・データ・システムは計算性能および格納性能を別々に拡張することにより、試験データの比較のための精度要求を満たすことができる。
【0121】
適用という観点からは、前記K−MACシステムを3つのサブシステムに分割することができる。
【0122】
K−MAC−LabはK−MACシステムのサブシステムであり、元素ラベルの合成、格納、および移動に用いられる。例えば、そのようなサブシステムは既知の大量の配合データおよび対応するデータを格納するものであり、計算および組み合わせという手段により様々な状況下で物品のラベル配合を自動生成し、対応するデータを格納することができる。また、測定されたデータを選択的に読み取りおよび記憶することができる。自動組み立てラインという状況では、前記自動配合生成を行う組み立て作業および数多くの物品へのラベルの付加を、そのようなサブシステムで完了する。K−MAC−Labは本システムのデータセンターで動作するものであり、機密情報の開示を防ぐために、堅固な物理的孤立およびモニタリングによって、任意のオフィスのローカル・エリア・ネットワークおよびインターネットから独立している。
【0123】
K−MAC−CSはK−MACシステムのサブシステムであり、元素ラベルをすでに使用している製品の管理に用いられる。K−MAC−CSは前記データセンターで動作するものであり、あらゆる会社およびオフィスのローカル・エリア・ネットワークから独立している。前記K−MAC−CSはインターネットを使ってVPNを設定し、SSLおよびケルベロスなどのような複数の符号化された伝送プロトコルを用いてネットワークの情報伝送のセキュリティおよび信頼性を確保する。
【0124】
K−MAC−WebはK−MACシステムのウェブ管理サブシステムであり、インターネットを介して元素ラベルの使用に関係する取り引きを管理する。K−MAC−Webの使用により、使用者はインターネットを使い任意の場所で遠隔モニタリング、制御、および管理を行うことができる。K−MAC−Webは前記データセンターで動作するものであり、インターネットに接続されており、ハードウェアのネットワークファイアウォールおよび侵入検出システムを用いてシステムのセキュリティを確保する。
【0125】
前記K−MACシステムは役割割り当てシステムを使用する。前記システムは各使用者に合わせてカスタム化することができる。そのようなシステムは、各使用者がその作業領域に入るための排他的権限を保証するものであり、前記使用者の権限を越えるメニューおよび領域を表示しない。前記システムに入るには、前記使用者は使用者名、パスワード、および確認コードを入力する必要がある。本K−MACデータおよび情報管理システムは、そのような情報に基づき各使用者のアクセスメニュー構造を生成するので、前記使用者に最良のセキュリティおよび柔軟性を提供する。
【0126】
そのようなデータシステムは上述の様々な機能を実行することができる。例えば、元素ラベルの合成中、元素コードは自動的に生成される。ラベル付けされる物品の識別資料および情報が作成され、後にカスタム化によって完成され、そのすべては中央データベースに格納される。コンピュータ化されたポータブル分析および認証システム(すなわち図5が示す検出器およびその端末データベース)は、様々なデータセンターから必要なデータおよび情報をダウンロードし、タイムリーにそれを更新および検証してデータを確実に同期することができる。本発明のデータおよび情報管理システムは段階的承認モードを用いるので、異なる権限を有する前記コンピュータ化されたポータブル分析および認証システムは、それぞれの承認権限範囲内のデータおよび資料のみを読み込むことができる。簡潔にするために、これに関する詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0127】
以下は、本発明のシステムのラベル付けソリューションを北京市の9つの行政区域で用いた、物品検査の統計および分析の実例である。このシステムシミュレーションは12ヶ月間行われた。コンピュータ化されたポータブル分析および認証システム(すなわち図5の検出器)が製品を認証すると、それが元素によるラベル付けを受けた製品であるかどうかに関わらず、前記システムは読み取られる情報について調査し、前記システムのデータベースに格納されている正しい情報と比較する。前記情報の受信後、データおよび情報管理システムは前記情報を分類および格納し、それに関する統計を収集し、表示可能なテキストまたは表として結果を生成する。次に、前記システムは前記結果に関するフィードバックを関連部門または使用者に自動的に送信し、前記管連部門または使用者は前記フィードバックを基に決定を行う。
【0128】
図9は、前記システムのデータセンターによる統計収集の後に表示および印刷されたK−MACシステム明細書であり、各試験の検出時刻(読み取り時刻)、製品番号(製品)、位置検出システムによる位置検出に合格した領域情報(場所)、前記システムの検出器の指紋センサーによって返信された指紋パターン検証に合格し前記データセンターが承認した検出器使用者(検査官)、前記データセンターが受信および識別した検出器番号(読み取り機)、および各読み取り結果を示しており、ラベルを有するものはラベル付けされた物品であり、ラベルのないものはラベル付けされていない物品である。前記製品番号をクリックすることにより、そのような製品のカスタム化に関するすべての関連情報に関する調査を行うことができる(図示せず)。承認があれば、前記明細書にアクセスし、任意のレベルでデータシステムに表示することができる。
【0129】
検出データを入力後は、そのような明細書を自動生成することができる。使用者はK−MAC−Webを介しインターネットの任意の場所で、明細書の様々な他の形式を表示することもできる。以下は、前記データセンターで生成された明細書データの例である。図10は、この検出データに基づき生成された、各管理領域でラベル付けされた物品のヒストグラムである。図11は、年間を通し北京市東城区でラベル付けされた物品の線グラフである。図12は、年間を通し北京市東城区でラベル付けされた物品のレーダー図である(図11に対応)。
【0130】
以下は本発明の実際の適用例である。本発明の物品ラベル付けおよび検出スキームは、社会経済的管理および経営管理の分野に広範に適用可能なものであり、前記分野としては、識別、物品の印付け、セキュリティ認証、商品取り違え防止、ロジスティック管理、統計分析、および責任の所在の追跡などが含まれ(限定せず)、適用の可能性は広範である。本発明を用いてラベル付けおよび検出可能な物品としては、以下の分野のものが可能である(ただし限定せず)。政府、企業、軍、警察、税関、司法、税務、産業および商業管理当局、商品検査、品質検査、国境検査、輸送、機械、自動車、オートバイ、ロジスティック、航空、鉄道、消火、タバコ、酒類、食品、医薬、ゲーム、宝くじ、化学産業、電子、電力、教育、出版、衣料、建材、冶金、通信、医療、計器/器具、証明書、メモ、証票、芸術品、化粧品、文化的物品およびスポーツ用品、工芸品、福祉、保険および金融などであり、世界経済の将来的発展に欠かせない重要なステップであり、広範な市場を有する。
【0131】
以下は、いくつかの具体的な用途である。これらのような実例により、当業者は本発明の多くの特徴および利点をさらに認識することができる。
【0132】
商品の検証
商品の検証および識別によって製造業者、ブランド品、および有名ブランドの利益を保護することができ、消費者の正当な利益の保護性を高めることができる。
【0133】
ラベル付け技術については、主に元素ラベルは商品の表面または包装に付加されるか、または前記商品自体の物質に付加される。以下は、いくつかの商品のラベル付け方法の具体的実施例である。
【0134】
食品および非主食食品の場合、S−DNA元素ラベル付け情報技術を食品および非主食食品の大小すべての包装に適用することができる。この適用方法は以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)食品の包装材の生産工程中にS−DNAラベルを付加する(例えばパルプを付加することにより)、(2)食品包装の印刷工程中に、印刷インクに前記S−DNA元素を付加する、(3)完成包装品の任意の情報ポイントを選択し(特に開封およびシール開封を行う位置)、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを付加する、および(4)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを前記食品包装に用いる。
【0135】
書籍のような製品の場合、以下の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して用いる。(1)書籍の表紙印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(2)前記書籍に用いられる用紙の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する、(3)書籍の任意の情報ポイント(表紙または裏表紙)を選択し、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接筆で塗布または適用する、(4)前記S−DNA元素ラベルを含む専用ステッカーを書籍に用いる。
【0136】
CDおよび磁気テープのような製品の場合、以下の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して用いる。(1)S−DNA元素ラベルをCDおよび磁気テープのような製品の外側包装の印刷インクに付加する、(2)S−DNA元素ラベルをCDおよび磁気テープのような製品の商標または内部装飾ラベルの印刷インクに付加する、(3)S−DNA元素ラベルをCDおよび磁気テープのような製品の材料の生産工程中に付加する、(4)CDおよび磁気テープのような製品を任意に選択し、ラベル付けする情報ポイントに前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用ステッカーをCDおよび磁気テープのような製品に用いる。
【0137】
元素ラベル付け技術を医薬および医療品に適用する場合、主にそれらの様々なタイプの包装に適用する(大小の箱、錠剤、水、注射、カプセルなどの包装)。以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)多層包装材料(紙の包装およびプラスチック包装など)の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する(例えばパルプを付加することによって)、(2)医薬および医療品の包装の印刷工程中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(3)完成した医薬および医療品包装製品の任意の情報ポイントを選択し(特にシール開封位置)、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、(4)ガラス製の医薬および医療品包装の場合、S−DNA元素ラベルをそれらの商標、ラベル、またはテキストの印刷インクに付加することができる、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを、医薬および医療品の内側および外側包装に用いる。
【0138】
酒類製品の場合、主にそれらの様々な包装に適用する。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)酒類製品の外側包装材料(紙、木材、プラスチック、および金属包装など)の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する、(2)酒類製品の外側包装の印刷工程中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(3)完成した酒類製品包装の任意の情報ポイントを選択し(特にその外側包装のシール開封位置)、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、(4)酒類製品包装がガラスまたはセラミック容器である場合、S−DNA元素ラベルをそれらの商標および瓶の蓋の印刷インクに付加することができる、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを、酒類製品の外側包装または容器に用いる。
【0139】
タバコ製品に前記元素ラベル付け技術を適用する場合、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを用いる。(1)タバコ製品の包装材料(大型および小型の包装)の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する(例えばパルプを付加することによって)、(2)タバコ製品の包装の印刷工程中にS−DNA元素ラベルをその印刷インクに付加する、(3)完成したタバコ製品包装の任意の情報ポイントを選択し、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接筆で塗布、または適用する、(4)前記タバコ製品包装の開封および引き出し工程中にS−DNA元素ラベルを付加する、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーをタバコ製品の包装に用いる。
【0140】
衣料および皮革のような製品の場合、製品自体、およびそれらに関する証明書に主に適用する。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)衣料および皮革のような製品の生産工程中に、それらの材料(布、綿/亜麻、皮革など)にS−DNA元素ラベルを付加する、(2)衣料および皮革のような製品の染料にS−DNA元素ラベルを付加する、(3)衣料および皮革のような製品の外側包装の印刷工程中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(4)完成した衣料および皮革のような製品の任意の情報ポイントを選択し、ラベル付けする製品の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接筆で塗布、または適用する、(5)衣料および皮革のような製品の装飾品(ボタン、ジッパー、および装飾的品など)にS−DNA元素を筆で塗布する、(6)衣料および皮革のような製品の商標、または前記商標の印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(7)衣料および皮革のような製品に関連する証明書の印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加することができる、および(8)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを衣料および皮革のような製品に用いる。
【0141】
商品の検証および識別の間、上述のラベル付け方法およびK−MACシステムを用いて、各製造業者の各商品は、それらの方法によって得られる排他的なS−DNA元素の一群を符号化する。各S−DNA元素コードを合成するにあたり、承認を有する製造業者、販売者、および管理部門は、そのような情報をカスタム化することができ、そのような情報は使用中いつでも追加、改訂、および削除することができる。
【0142】
製造業者、警察当局および検査当局、卸売業者、購入者および消費者などは、ポータブル蛍光X線検出器のような支援装置の提供を受け、様々なレベルでデータベースが対応するこの装置によって、各商品をリアルタイムに現場で検出および識別することができる。そのような検出および識別の間、前記検出器の端末表示装置は、商品が「ラベル付けされた物品」か「ラベル付けされていない物品」かを表示できるだけでなく、様々なタイプの情報に様々なレベルでデータベースから(承認管理の下で)アクセスすることにより、前記商品の様々な特徴に関する詳細情報を得ることができる。
【0143】
通常、先行技術は様々なタイプのラベルを商品の表面に貼付することによって識別および検証をするが、これは前記商品の表面体積または表面積の優位な部分を占有する必要があり、本発明のような柔軟性はなく、偽造されやすい。本発明のほとんどの元素ラベル付け方法は物品の材料に深く浸透することができ、本発明のステッカーまたは包装識別方法を用いる場合であっても、表面積のごくわずかな部分のみを占有する。元素ラベルの識別はごくわずかな量を用い、ppmレベルで可能であるので見えにくく、手作業で剥離することはできない。よって、それらを偽造することは容易ではなく、むしろ偽造は不可能である。元素ラベルは、ラベル付け対象の物品の材料、形、および体積による制限を受けない。よって、単一の各商品に綿密に貼付することができ、多くの柔軟性を与える。元素ラベルを使用すれば、物品の識別情報の永久ラベルが得られる。同時に、元素ラベルは従来のバーコードまたは2次元コードと併用するための適合性を有する。
【0144】
本発明の大きな利点は、元素ラベルを強力な支援データベースと接続できることである。本発明の様々なレベルでのデータベースによる支援がなければ、元素ラベル付けソリューションは単純な「はい」または「いいえ」の決定のみを得る。しかし、本発明のソリューションは先行技術の制限を克服する。前記データベースの支援により、使用者は各商品のすべての関連情報を格納および学習することができる(当然、承認管理の下で)。よって、商品の循環、消費者の学習権、責任の所在の検索、および遡及決定などの管理はすべて非常に重要となる。
【0145】
例えば、商品の差し替えは、製造業者および企業にとって常に難しい問題であった。ここで言う差し替えとは、利益を求める販売者が、場所Aで販売すべき商品を場所Bで販売することを指す。各商品をラベル付けした後、各商品は独立した元素コードの一群を受ける。各S−DNA元素コードを合成すると、ラベル付けされた物品のそのような元素コードが表す全情報が収集され、K−MACシステムに格納される。前記ラベル付けされた物品の情報は、その販売地域の情報を含むことができる。よって、監督者はポータブル検出器を用いてリアルタイムに現場で前記ラベル付けされた物品の検出および検証を行うことができる。Aと印された地域での販売用にラベル付けされた製品が場所Bで見つかった場合、そのような差し替え行為に対する懲戒処分をとることができ、よって、そのような差し替えの発生を防ぐことができる。
【0146】
ショッピングモール、スーパーマーケット、および消費者のソリューション
本発明の技術を用いることにより、ショッピングモールおよびスーパーマーケットは多くのソリューションを設計することができる。
【0147】
例えば、本発明に基づくポータブル、デスクトップ、または縦型蛍光X線検出器のような装置を提供する公共の検出プラットフォームを特定の場所または特定の商品カウンターの横に設定することができる。消費者は、上記の方法を用いて製造業者がすでにラベル付けした商品について、自分で検出を行い情報を得ることができる。前記検出器は様々なレベルでデータベースに接続されるので、前記消費者は商品に関する様々な情報を受け取ることができる。例えば、前記消費者に表示可能な情報として以下が含まれる。ラベル付けされた製品か否か、製造業者、製造日、前記製造業者の提案価格、商品の仕様および使用に関する注意、および商品の写真など。前記消費者がこれらの情報を理解することにより、明らかにショッピングモールの評価は向上する。
【0148】
あるいは、前記ショッピングモールは公共の検出器プラットフォームを1つだけ一般に提供することができる。そのようなプラットフォームは、そのデータ処理および分析装置以外の全部品を含む。消費者は、遠隔受信機能を有する自分のPDAまたはセル式携帯電話を使うことができる。前記検出器プラットフォームの汎用インターフェイスを挿入し、公共センターから検出プログラムおよびデータを遠隔受信する。そのような公共センターは遠隔中央データベースであり、このデータベースには、製造業者が予め公開し提供したすべての商品情報が収集されている。前記製造業者はそのウェブサイトも一般に公開しており、使いやすいオペレーティングインターフェイスを提供することにより、普通の消費者が携帯しているPDAまたはセル式携帯電話を使い、信頼性があると思われるプログラムおよびデータをダウンロードすることを可能にする。このような公共検出プラットフォームを使い、前記消費者は、購入を希望する商品を任意の時と場所で便利に検出することができ、そのような検出装置を提供するショッピングモールはその評判および競争力を大いに向上する。例えば、深刻な偽造の問題を抱えるタバコおよび酒類のような商品の場合、容易に偽造可能なラベルに基づき偽造品と本物を区別するという困難な作業をするのでなく、偽造が困難な識別を可能にするために専門の検出装置が提供されるショッピングモールであれば、消費者はそのような商品をそのようなショッピングモールで購入しない理由がない。
【0149】
ショッピングモールおよびスーパーマーケットは本発明の技術的ソリューションを使って消費者に利便性を与えるだけでなく、バーコード式ソリューションとの組み合わせまたはその代用を管理する手段として本発明の技術的ソリューションを使うことができる。1つの利益は、製造業者がラベル付けをした商品の場合、ショッピングモールは人的労働力および資材を使って各商品にバーコードを付け直す必要がなく、前記製造業者から引き継いだデータベースからのカスタム化された価格のような情報を加えるだけでよいことである。製造業者がまだラベル付けをしていない商品の場合、前記ショッピングモールは本発明が提供する元素ラベル技術をすべて利用し、前記商品の特定の場所で明確なステッカーを貼付することができる。前記元素ラベルは、可視バーを含むパターンのない透明の接着剤として作ること、および(非常に少ない量が用いられるので)非常に小さく作ることができる。これは真に「グリーン」なラベルであり、商品の外観および美観に一切の影響を与えない。移行のソリューションとして、本発明が提供するスキームをバーコードと組み合わせて使用することも可能であり、この場合、本発明の蛍光X線検出器のような、本発明が提供する装置の前面にバーコード読み取り機を並行に追加するだけでよい。本発明はすでに、POS端末でキャッシャーが携帯使用するために完全に適したコンパクト且つポータブルな蛍光X線端末検出器を設計済みである。
【0150】
本発明は、本発明の元素ラベル付け技術に接続されるデータベースシステムを設計済みであるので、先行技術が提供可能であった「検証システム」の代わりに、決済機能を含む「管理システム」スキームを設計することが可能である。これは、本発明の技術を一般に普及させるための広範な用途の展望を提供する。
【0151】
加えて、消費者の携帯電話に必要な機能を、3Gネットワークの付加価値コンテンツとして表示することができ、物品の識別の認証、データ情報、グラフィック情報、およびビデオ伝送のような付加価値コンテンツをそこから前記消費者に提供することができる。付加価値サービスのない3Gネットワークには、効果的且つ実行可能なサービスコンテンツが導入される。
【0152】
自動車サービスおよび保守
自動車は高価な商品であり、その製造業者および消費者の両者にとって自動車のラベル付けおよびモニタリングは非常に重要である。評判に対する要求が極めて高い中古車市場ではその重要性はさらに高まる。
【0153】
S−DNA元素ラベル付け情報技術を自動車、オートバイ、およびそれらの付属品のような製品に適用する場合、主に前記製品自体および関連する証明書に適用する。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)自動車製品の生産工程中にS−DNA元素ラベルを前記自動車製品の主要部品(エンジン、シャーシ、車体など)の材料またはメッキ層に付加する、(2)完成自動車製品の任意の情報ポイントを選択し、前記製品の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、(3)自動車製品の関連証明書の印刷工程中にS−DNA元素ラベルをその印刷インクに付加することができる、および(4)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを前記自動車製品に用いる。
【0154】
本発明のデータベース管理システムによって、各自動車およびオートバイ製品(各部品の場所も含め)は、排他的な一群のS−DNA元素コードを受け取る。各S−DNA元素コードが合成されると、そのような元素コードが表す前記自動車製品および製造業者に関するすべての情報が収集され、データベース管理システムに格納されるので、前記製造業者、代理店、修理工場、および消費者による将来的検証および使用が可能となる。加えて、使用者は、例えば車両全体または特定部品の保守機関による保守記録、交通管理当局の登録記録、および点検記録など、車両の使用および修理の既存データベースの情報を継続的に交換することができる。一方、これによって管理当局者による管理が可能になり、K−MACシステムおよびネットワークに様々なレベルで接続されている管理部分については、ポータブル蛍光X線検出器を使うだけで簡単なスキャン動作を行うことができ、前記K−MACシステムから送信される情報は直ちに前記管理当局者のローカルデータベースにダウンロードされ、そこで入力および登録作業が完了される。車両保守情報および交通違反などのような履歴をダウンロードすることもできる。また、車両識別を介し、前記車両保守機関は前記データベースへの問合せおよび前記車両に関する保守情報の記録をすることができ、それにより顧客情報管理および料金管理をすることが可能である。また、自動車の購入者(特に中古車購入者)は、本発明の検出装置を用いて前記データベースから車両に関する全情報、すなわち、例えば製造業者情報、工場渡し日に関する情報、購入日情報、保守情報、交通違反および事故情報、および主要部品が製造業者のオリジナルの部品であるかどうかに関する情報のような客観的情報を、即座に取得することができる。本発明のラベルは非常に信頼性が高く、偽造が不可能であることを理解すべきである。使用者が取得するデータベース情報は、前記使用者のPDAまたはセル式携帯電話を介して公共中央局(すなわち遠隔データベース)から収集可能である。よって、そのような情報の真実性に疑いの余地はない。よって、中古車購入者は自動車購入時に自分の「感覚」および「経験」を心配する必要がなくなる。
【0155】
ここでも、偽造不能なラベルスキームを強力なデータベースシステムと組み合わせることにより本発明が形成するシステムは、絶対的に単純な識別スキームではなく、社会管理、市場開発、情報のコンピュータ化、および評価機構の多くの側面で大きな役割を果たすことができる包括的なスキームである。
【0156】
証明書、免許、ドアアクセス、および証票
証明書および免許は主に以下を含む。自然人が所有する身分証明書、世帯登録カード、パスポート、パス、雇用に関する身分証明書、学歴証明書、結婚許可証、医療保険カード、不動産権利書、車両運転許可証、運転免許証、車両ナンバープレート、および様々な技能証明書など、および事業許可証、組織コード証明書、税金登録証明書、権利書、出生許可証、販売許可証、衛生許可証、およびCCC証明書RS9000証明書、および環境保護証明書などのような様々な証明書。証票は、主に、請求書、税務当局の税金証明書および税金支払い済み証明書、税関の税関申告書および関税書式、金融機関の入金伝票、小切手、手形、融資契約書、および信用状など、郵便局の郵便切手、郵便受領書、および送金通知など、交通関係当局の航空券、列車乗車券、バス乗車券、船舶乗船券、タクシー料金領収書、および発送書類など、芸能関係当局の映画館入場券、演劇等のチケットおよび入場券、裁判所の召喚状など。
【0157】
証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票に前記S−DNA元素ラベル付け情報を適用する主な方法は、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用する。(1)、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の生産中に、前記証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票にS−DNA元素ラベルを付加する(例えばパルプ、プラスチック、および磁気カードなどを加えることによって)、(2)証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の印刷中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(3)証明書およびドアアクセスの場合、その印刷オイルにS−DNA元素ラベルを付加することができる、(4)証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の完成品の任意の情報ポイントを選択し、その表面にS−DNA元素ラベルを直接に筆で適用する。
【0158】
前記K−MACシステムの使用により、各証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票はその独自のS−DNA元素コードを受け取る。各S−DNA元素コードが合成されると、そのような元素コードによって表されるそのような証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の全情報は収集され、前記K−MACシステムに格納される。前記情報は以下を含むことができる。標識元素のコード、元素の特徴的コード、証明書および免許証番号、発行日、使用条件、証明書および免許証発行者および所有者に関する情報(所有者の写真を含む)および材料など。
【0159】
証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の管理部門および使用者部門は、ポータブル検出器を用い、データベースシステムの支援を得て、様々なタイプの証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票についてリアルタイムで検出を行い、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の信憑性および条件を検証し、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の信憑性、有効性、およびセキュリティを確保することができる。例えば、ローカルまたは遠隔のデータベースが接続されると、「はい」または「いいえ」の決定に加え、前記ポータブル検出器の表示装置に返信される情報は、前記所有者の写真のような個人的資料および情報も返信することができるので、完全な安全を確保することができる。
【0160】
本発明のソリューションはデータベースシステムと組み合わされるので、一般的意味合いにおいての証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の静的管理の制限を克服する。同時に、動的管理および包括的管理の両方の機能を有する。すなわち、使用工程の管理、およびコンピュータ化された包括的情報管理である。例えば、組織のドア・アクセス・カードは、入場の都度、駐車料金支払いカードとしての役割も同時に果たすことができ、本発明の検出器は、その所有者の身元認証と共にスキャン時刻をローカルデータベースに入力し、前記ローカルデータベースには出車時のスキャン時刻も格納される。前記データベースのソフトウェアは、別々に記録された時刻間の時間に基づき迅速に料金を計算し、前記ドアの表示画面にそれを表示する。同時に、前記ソフトウェアは、前記所有者のデータベース記録にアカウント形式で項目を格納する。同一のドア・アクセス・カードを用い、異なるタスクの管理をすることも可能であり、例えば、前記組織のローカルデータベースが共有されている限り、食堂の電子料金計算にも用いることができるので、このカードは部門のシステム内の「唯一のカード」となる。本発明の利益的特徴に基づき、元素ラベルは様々な隠された形式および無形で様々なタイプの媒体に個別に存在することができるので、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票は「カード」の形を有する必要はない。例えば、アタッシュケースの表面をラベルとして使用したい場合もあれば、ブレスレットをラベル材料として使用したい場合もある。本発明を用い前記のいずれも容易に実現可能であるが、先行技術を用いたどの電子証明書および免許証も、ICチップまたはラベルを入れる専用スペースを必要とする。そのような個人用証明書またはラベルを盗難しても、犯人は自分が何を盗難したのか全くわからず、そこに含まれる証明書の機能を知る方法がないので、そのような個人用証明書またはラベルが盗難される恐れはない。前本発明のデータシステムはそのような証明書の権限を取り消し、永久に無効化するだけでよい。
【0161】
銃および弾薬の管理
銃および弾薬の安全な管理は重要である。銃および弾薬の管理が制御されていない場合、あるいはそのような物品の盗難および損失が起きた場合、深刻な結果を生むことがある。本発明のS−DNA元素ラベルが有する強力な浸透性および金属物質の表面および分子構造を抜ける浸透能力のような技術的特徴および性能を用いて、銃および弾薬に直接にラベル付けをすることができる。
【0162】
ラベル付けおよび処理の後、各銃および各タイプの弾薬は、それぞれの分類または特別な必要に基づき、一群のS−DNA元素コードを受け取る。各S−DNA元素コードが合成されると、そのような元素コードによって表されるそのような銃および弾薬の全情報が収集され、そのデータベース管理システムに格納される。
【0163】
ポータブル検出器を用い、前記データベース管理システムの支援を受け、州および政府当局の保安管理要員は、様々なタイプの銃および弾薬について現場でのリアルタイムの検出を行い、銃および弾薬を絶対的に安全に保管することができる。例えば、(1)各銃に割り当てられた使用者の情報を、S−DNA元素ラベルを介して前記データベース管理システムに格納することができる。銃の損失と同時に、前記データベースに含まれる前記元素ラベルに対応する管理人に関する情報を基に、損失した前記銃の追跡を行うことができる。(2)元素でラベル付けされた銃が承認なしに特定領域から持ち出されると同時に、本発明の検出装置はそのドア・アクセス・システムと共に警告を発することができる。(3)前記S−DNA元素は高温に対する抵抗性を有するので、発砲後の弾丸であっても、弾丸または弾丸ケースが発見されれば、前記弾丸または弾丸ケースが変形しているかどうかに関わらず、検出器を用いて正確に前記S−DNA元素ラベルを見つけることができる。前記データベースシステムを頼りに、そのような弾丸に関係する情報を迅速に検証し、直接の責任者を見つけることができる。現在、公共保安組織が行う事故調査中、弾薬の製造日およびバッチ番号などを決定するために弾丸または弾丸ケースの成分も分析されるが、人工的に付加されたラベルを対象とした分析ではなく、異なる製造業者および異なるバッチなどの材料および成分の違いを見つけるための間接的調査が行われる。本発明の人造合成S−DNA元素ラベルのラベル付けおよび検出システムの適用、および各ラベルに接続された強力なデータベースからの情報による支援により、前記システムは各弾丸の追跡および位置検出を正確に行うことができる。大規模な自動組み立てライン作業および前記データベースによる無作為符号化スキームを用いれば、各銃および弾薬のラベル付けおよびコンピュータ化された管理を行うことは困難ではない。工業化された大規模な製造の場合、各品のラベル付けに多額の費用は必要ない。大規模なラベル付けを要するすべての品の製造を、同様の方法で実行することができる。
【0164】
芸術品および文化遺産。
【0165】
芸術品、文化遺産、および文学は、それらの信憑性ゆえに貴重なものである。本物の品および書物と偽造品では価値に大きな違いがある。
【0166】
新たに製作または収集された芸術品、文化遺産、および歴史的文献への元素ラベル適用方法は以下のとおりである。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)芸術品、文化遺産、および歴史的文献の情報ポイントを選択し、そのような芸術品、文化遺産、および歴史的文献の表面にS−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布する、(2)芸術品、文化遺産、および歴史的文献に関係する証明書の印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加することができる、および(3)芸術品、文化遺産、および歴史的文献の前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを用いる。
【0167】
各芸術品、文化遺産、および歴史的文献のS−DNA元素符号化により、各芸術品、文化遺産、および歴史的文献の全情報およびその収集家の履歴を収集し、データベース管理システムに格納することができる。ポータブル検出器を用い、前記データベース管理システムの支援を受け、管理責任者は様々なタイプの芸術品、文化遺産、および歴史的文献を現場でリアルタイムに検出し、前記芸術品、文化遺産、および歴史的文献の盗難、交換、偽造、および密輸などを確実に防ぐ。芸術品、文化遺産、および歴史的文献の将来的なオークション、取り引き、および回覧に際しては、ラベル付けされた物品の検査およびそれについての情報の収集によってそれらの信憑性が証明される。
【0168】
本発明の特徴の重要な観点に基づき、識別可能な標識元素は外部に付加される元素だけでなく、物品自体の物質に固有の元素も含む。本発明の技術的ソリューションを用い、古代文化遺産を検証することができる。例えば、高温焼結された古代の磁器に含まれる主な微量元素の特定の値のような指紋情報は、時間を経ても変化しない。したがって、蛍光X線技術を用いることにより、古代磁気の分析、検証、および認証のための信頼できる科学的根拠を提供することができる。例えば、唐、宋、および晋王朝時代の確認および定量化された文化遺産の測定に基づき、定窯(Ding Kiln)の磁器内層に含まれるZnとFeのピーク領域内計数比は0.01〜0.04の範囲内で変動し、TiとFeの比率は0.02〜0.05であり、MnとFeの比率は0.03〜0.15であった。「文化遺産」と称される品の壁面のグレーズ層が約1.1〜1.2のZn対Fe比、約0.06〜0.08のTi対Fe比、および約0.01のMn対Fe比を有するという検出結果が得られた場合、前記「文化遺産」と称される品は唐、宋、および晋王朝時代に作られたものではないと基本的に結論付けることができる。現在、文化遺産の検証のほとんどは「見た目」に頼っており、一部の検証は技術的手段によって行われる。しかし通常は、様々なパラメータを研究所に戻して測定し、本物の文化遺産と比較するか、比較のために歴史情報を検索する。これは時間およびエネルギーの両方を費やす。この点、本発明のK−MAC−Labデータベースを介し、統計および検査に基づき、計算および組み合わせ方法を用いて、本発明は、適切な時代および窯からの数多くの古代磁器検体の主要元素および微量元素成分および特徴的パラメータを有する非常に信頼できる完全な基準スペクトルデータベースを最初に作成する。本発明のポータブル蛍光X線検出器を用い、前記データベースとの遠隔接続を設立することにより、ポータブル蛍光X線検出器を持つ普通の誰もが、文化遺産のある場所で「文化遺産の専門家」になることができる。
【0169】
本発明の異なる実施形態について上記に説明してきたが、これらはあくまで例示的であり、限定するものではない。当然、当業者であれば、本発明の意図および範囲から逸脱せずに様々な変更および改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、本発明の実施形態における蛍光X線ラベル付けおよび検出の構造ブロック図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態における蛍光X線によって検出されるスペクトルの検体を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態における蛍光X線によって検出される紙の燃焼前のスペクトルを示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態における蛍光X線によって検出される紙の燃焼後のスペクトルを示す。
【図5】図5は、本発明の実施形態におけるポータブル読み取り機の外部の透視図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態におけるデータシステムの構造を図示する。
【図7】図7は、本発明の実施形態におけるK−MACシステムの構造を図示する。
【図8】図8は、前記K−MACデータセンターの構造を図示する。
【図9】図9は、前記データセンターが統計をまとめ、表示および印刷した後のK−MACシステム文書の一種である。
【図10】図10は、前記K−MACシステムにより生成されたヒストグラムである。
【図11】図11は、前記K−MACシステムにより生成された線グラフである。
【図12】図12は、前記K−MACシステムにより生成された線グラフである。
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2005年8月3日付で出願された中国特許出願第200510089020.1号明細書に対して優先権を主張し、この参照によりその全体が本書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は物品のラベル付けおよび検出するための方法、およびそのような方法を実現するための装置およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
物品のラベル付けに現在広く使用されている方法は、主に以下のタイプを含む。
【0004】
1.液体コード
表面に塗布される塗料と同じように、通常、液体は筆と共に小瓶に入れられる。データベースで各クライアントの専門コードを生成するこのタイプは、商業資産または世帯資産の保護に広く適している。ラベル付けされた物品から小さい検体を抽出し、専用のセンターで分析する。しかし、ラベル付けされたオーナーシップのみを確認可能であり、ラベル付けされた物品の表面から検体を抽出する工程は、前記物品の表面に損傷を与える可能性がある。例えば、前記表面の磨耗または溶解が起こり得る。検証工程全体を終えるまでに1〜2日かかる場合がある。この分析システムが特定するのはラベル付け用液体のコードであり、ラベル付けされた物品のコードではないため、ラベル付けされた物品のオーナーのオーナーシップを区別することはできず、データホストと遠隔通信して前記物品のオーナーシップを検証することはできない。
【0005】
2.ダイヤモンドのレーザー識別
現在、ダイヤモンドの検証および買い戻しの工程はレーザー電子技術を使っている。そのような技術はダイヤモンドに「指紋」を与える。低密度のレーザー光線を生成する装置でダイヤモンドの表面を照射する。単一のレーザー光線を前記ダイヤモンドの数多くの切削表面に照射し、屈折させて多くのレーザー光線にする。そのような特定の屈折をしたレーザー光線は、各ダイヤモンドの唯一の光信号である。そのような信号を電子的に分析し、測定したダイヤモンドの限定的テキスト情報と共にデータベースに格納する。買い戻したダイヤモンドを照合するコンピュータの情報を用いて、正確に前記ダイヤモンドをテストすることができる。使用者は販売会社が発行する鑑定書のコピーを受領することができ、それにより前記ダイヤモンドの質が保証される。しかし、そのような識別方法は、切削および研磨済みの完成ダイヤモンドのような特定の品のみに限定される。これに類似した方法は、適用範囲が非常に狭い。
【0006】
3.顆粒
排他的なデジタルコードを有する微小網状の液体を適用し、物品にラベル付けする。そのような少量の液体を特別の小型読み取り機で検出することができる。この顆粒デジタルコードの読み取りは、定められたオーナーシップにそのような顆粒デジタルコードを通信方法により提供することができるので、第1段落で説明した液体コードより高速である。前記顆粒デジタルコードは第1段落で説明した液体コードにはない2つの主要な長所(すなわちポータブル検出装置が利用可能であること、およびオーナーシップ検証能力があること)を有し、これら長所によって盗難を防止することができる。
【0007】
4.マイクロチップ
マイクロチップは米粒ほどの大きさしかなく、その重量は統合電子回路よりはるかに軽い。前記マイクロチップはサイズ10mmのガラスのカプセルに封入されることが多く、任意のコンテンツを追加可能な排他的且つ設定済みのデジタルシーケンスを発することができる。バーコードと異なり、この「チップ」はほとんどの品の中に配置することができ、読み取り機で検出することができる。この方法は、可視ラベル付け(ラベルおよびシリアル番号など)にはないより優れた利点を提供する。マイクロチップはメンテナンスの必要がなく、健康に害を与えない。電池駆動式やポータブル式など様々なタイプがある。チップが近くにあれば、ボタンを押すだけで前記チップを駆動し、一意のデジタルコードを迅速に取得することができる。マイクロチップは、盗難による損失の防止のほか、多くの商業用途で補助的な役割を果たしている。しかし、金属によって遮へいされたマイクロチップを検出することはできない。加えて、可視マークとしての使用には適さない。
【0008】
5.エッチング加工ラベル
予め定められたコードを刻み込んだ耐久性のあるエッチング加工ラベルは、化学物質を適用することによりラベル上に特殊な多孔性構造を作ることによって保存される。この方法は、非常に重要な表面を持つ物品およびエッチング加工をできない物品には適さない。また、解読器による検出は可視光を必要とする。
【0009】
6.安全ラベル
通常、このような盗難防止ラベルは有形のラベルと組み合わされ、その表面に高濃度のエポキシ接着剤で接着される。これらは、会社のロゴおよびバーコードを有するラベルにすることができる。しかし、ほとんどの供給業者はデータベースシステムを設定することができない。通常、そのようなラベルの貼付では、アップロードする転送機に詳細な登録証明または監査証明を提供する必要がある。
【0010】
7.フレキシブル安全ラベル
照合規則を用いるこれらのラベルは商業分野に適用されており、コンピュータや他の高価値の商品に接続することによって作られるラベルである。より遠距離での読み取り範囲を制御するために電池駆動式であり、通常、盗難防止装置を生成する。タッチ式装置およびモニタリング装置との組み合わせにより、そのようなシステムはより容易に関連産業を保護することができる。特定の桁を適用し、自由に変更することができる。
【0011】
しかし、上述の様々なタイプのラベル付け技術の多くは表面に付着または適用されるものであるか、特定の材料のみに有用である。これらは物品の中に浸透すること、あるいは物品の中に浸透したマークを読み取ることはできない。ほとんどのラベルは可視であるので、簡単に盗難または破壊される。十分な安全は得られず、前記ラベルの機能不良も容易に起きる。一部の技術はより長い時間を検証に必要とし、識別後に取得されるデータ量に限りがある。よって、完璧なラベルおよび検証方法の作成は容易でない。
【0012】
よって、物品に安全で耐久性のあるラベル付けを行うだけでなく、物品の情報を安全・正確・便利に識別、検出、および抽出する方法、およびそれに伴う装置およびシステムはなお必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
よって、物品に安全で耐久性のあるラベル付けを行うだけでなく、物品の情報を安全・正確・便利に識別、検出、および抽出する方法、および対応する装置およびシステムはなお必要とされている。そのような方法は完全な解決策となり得る。
【0014】
本発明の目的は、対応する装置およびシステムを提供することでもある。
【0015】
本発明は、ラベルが容易に盗難または破壊される、ラベルの検証に時間がかかる、ラベルに浸透性がない、あるいは物品の内部に浸透したラベルを読み取れない、あるいは識別後に取得されるデータ量に限りがあるといった既存の物品ラベルの欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の化学元素ラベル付け法は、物品の特性の差異に基づき化学元素配合および配合比を調整することによって人の安全と健康を確保することができるものであり、環境に害を与えることまたは環境を汚染することがない。本発明の化学元素ラベル付け法は、化学元素ラベル付け構成要素によって形成することができる。この元素ラベルを複製、模倣、剥離、および移動することはできない。この元素ラベルは物品に隠蔽することおよび前記物品の一部にすることができる。したがって使用が容易である。加えて、配合比は正確であり、前記元素ラベルは迅速に浸透する。複数の元素を用いるので、配合比の範囲は比較的大きい。配合の複製を効果的に防ぐ設計配合を数多く作り、各配合を排他的にすることができる。また、本発明の方法は蛍光X線分光法を用いてラベルの化学物質配合比を測定するので、反復性および精度が高い。化学元素ラベル付けは永久である。元素によりラベル付けされた物品が燃焼によって破壊されても、前記元素の担体が存在する限り元の全情報を分析および識別することができ、責任を示す証拠を提供することができるので、事前予防のみで事後検索ができないという欠陥が補われる。
【0017】
本発明のポータブルな検出器および分析器は元素ラベル付け情報を検証し、通常の包装を通して物品を識別することができる。本発明の化学元素ラベル付け法は安全および管理のデータベースを生成し、データの安全な使用を保証し、現場でリアルタイムのテスト、検証、および情報提供を迅速に行うことができるので、使用者の必要を効果的に満たすことができる。コンピュータ化された正確なテスト分析およびデータベース管理システムは、一意の物品識別ラベル、検証、および使用を前記使用者に提供することができる。
【0018】
本発明は広範な用途を有する。衣料、ジュエリー、時計、チップ、芸術品、プラスチック、ゴム、鉄鋼、機械、ギャンブル、電子部品、冶金、文化遺産、メモ、証票、出版物、楽器、工芸品、化学産業・石油製品、液体など、従来の技術を使うことができない多くの製品に本発明の技術を用い、識別、検証、情報収集を行うことができる。
【0019】
このポータブルなコンピュータ化された分析・テストシステムに関連する追跡、位置検出、遠隔承認、および制御の技術により、前記ポータブルなコンピュータ化された分析・テストシステムが損失または違法利用された場合でも、オーナーは遠隔且つ安全な制御を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下は詳細な説明である。当業者であれば、本発明の実施形態は以下の特定の形態に限定されないことを理解できる。本発明の特許請求の範囲の要旨から逸脱せずに、当該技術分野の理解に基づき変更および修正を行うことができる。
【0021】
要約すれば、本発明は物品をラベル付けおよび検出するための方法、および物品を管理するための装置およびシステムを提供するものであり、
(1)物品に使用されるラベルを定義する工程であって、前記ラベルは、前記物品に固有であり当該物品から選択される少なくとも1つの化学元素および/または付加的化学元素を含むものである、前記ラベルを定義する工程と、
(2)前記ラベルに関するデータを含むデータベースを提供する工程と、
(3)前記物品が発する信号を検出して検出データを生成し、さらに前記検出データを使用して前記データベース内のデータと比較する工程と。
(4)前記比較の結果に基づいて、前記データベースにより、検出された物品がラベル付けされた物品かラベル付けされていない物品かを決定する工程とを含むものである。
【0022】
管理されている物品の場合、前述のラベルに含まれるデータに加え、前記データベースは前記物品に対応する少なくとも1つの情報も含むべきであり、検出中に前記物品に関する少なくとも1つの情報を読み込む。
【0023】
本発明は、前記方法を実現するための装置および様々な適用も含む。
【0024】
元素ラベル付け技術
本発明のラベル付けおよび検証方法は主に蛍光分光法に基づくものであり、最適には蛍光X線分光法に基づくものである。
【0025】
蛍光X線分光法自体はすでに成熟した技術であり、物質に含まれる元素、元素濃度、および元素のパーセンテージを特定するために用いることができる。元素に特定のX線波長またはエネルギーの放射によって元素は特定される。発見される元素のパーセンテージは、それらが放射する特徴的強度の測定によって決定される。
【0026】
すべての原子は固有の電子数を持ち、それら電子は原子核周囲の軌道に配列されている。蛍光X線分光法では、放射線は励起源から放射され(例えばX線、γ線、α線、電子ビームなど)、検体を照射する。励起源からの放射線は、内側の軌道の電子の照射に十分なエネルギーを有する。そのような照射が起きると、内側層の電子は電子の形ではじき出される。電子の内側層軌道上に穴が開き、不安定な状態になる。このとき、外側層の軌道上の電子は内側層の軌道上の穴へと移動し、安定を回復しようとする。外側層の軌道から内側層の軌道へと電子が移動するので、放射線が放射される。そのような放射線が蛍光X線である。前記蛍光X線のエネルギーは、最初の軌道と最終的な軌道との間の移動エネルギーの一意の差によって決定される。
【0027】
蛍光X線分光法によって検出されるのは内側層の原子(化学元素)の電子の移動によって生成されるX線であるため、化学反応(化学結合)の変化による影響を受けない。各化学元素から放射されるX線は特定の排他的なスペクトルを有するので、物品に特定の化学ラベルが存在するかどうかを決定することができる。
【0028】
元素ラベルの物理的および化学的性質は非常に安定しており、無毒性、無害であり、汚染することがなく、高温(1650°C〜3000°C)に耐える。また、揮発性でなく、磨耗および剥離しない。耐強酸性および耐強アルカリ性を有し、水および通常の有機および無機溶剤に溶解しない。元素ラベルは選択的に浸透することができ、物品の表面に付着することができ、加工ガラスおよび研磨後のダイヤモンド以外のすべての物品に浸透可能である。分子結合され、物品と一体化されるが、前記物品の表面および内部構造を損傷しない。元素ラベル付けされた物品が磨耗、洗浄、燃焼、変形、または腐食しても、その元素ラベル付け情報は存続する。ラベル付けのニーズに合わせ、可視または不可視の目的を達成するために、元素ラベルを液体または気体の状態で、有色または無色に作ることができる。元素ラベルは1原子の体積より大きい任意の物質(液体、金属、ゴム、プラスチック、ガラス、石、セラミック、布、木、インク、紙製品、接着剤、皮革、または特別な物的性質を有する物品を含む(ただし限定せず))に付加することができ、ラベル付けされる物品の形またはサイズの違いによる影響を受けず、前記物品自体の性質を変えることがなく、前記物品の元来の成分比に影響を与えない。「元素ラベル」を純金に付加しても、その金含有率は99.99%に達することができる。加えて、前記物品の性状によって化学元素配合および配合比を調整することにより、人の安全と健康を確保し、環境に害を与えることまたは環境を汚染することがないようにすることができる。元素ラベルはすべての物品に適している。蛍光X線分光法によるラベル元素配合比の測定は高い反復性と精度を有し、既知の様々な種類の技術より包括的な使用範囲と使用価値を有する。よって、化学元素ラベルは物品のラベル付けへの使用に十分に適している。
【0029】
実施例
以下は、化学元素ラベル付け法およびその実用性の予備的説明を提供する一例である。
【0030】
通常の一枚の紙に化学元素ラベルを付加する。そのようなラベルを含有する紙を蛍光X線試験装置でスキャンし、前記紙の蛍光X線スペクトルを得る。図3において、ピーク1および2は前記紙の他の成分であり、ピーク3はこの化学元素ラベルのピーク値である。
【0031】
次に前記紙を燃焼する。紙が完全に燃焼しきった後、蛍光X線スキャナを用いて残留物を再度スキャンし、前記紙の燃焼後の蛍光X線スペクトルを得る。図4が示すように、上記2つのスペクトルを比較する。
【0032】
図に明らかに示されているように、物品自体の状態が変化(あるいは燃焼さえ)しても、そのラベルは変わらずにそのまま維持され、完全に保存され得る。前記ラベルの摩擦または何らかの処置が行われても、前記ラベルは前記物品にそのまま存在する。
【0033】
この元素ラベルは物質の内部構造に浸透可能な化学物質である。これを我々は物品の合成DNA(S−DNA:synthetic DNA)と呼ぶ。
【0034】
以下は、本発明の元素ラベル付け技術の詳細な説明である。
【0035】
図1を見ると、少なくとも1つの化学元素を含有するラベル100が存在する若しくはラベル付けされる物品に配置される。前記少なくとも1つの化学元素は前記物品に固有のものおよび/またはそれに付加されるものである場合がある。
【0036】
励起源(X線放射装置101によって放射されるX線11など)を用いて前記物品をスキャンし、少なくとも1つの化学元素を含有するラベルを励起する。蛍光X線試験装置の検出器102は少なくとも1つの化学元素を含有する前記ラベルが放射する蛍光X線12を検出し、AD変換によって前記蛍光X線スペクトルのデジタル信号が生成される(スペクトルデータ)。蛍光X線スペクトルの一例として図2を参照(図の蛍光X線スペクトルは複数の元素が存在する場合のものである)。次に、前記データをPDA103およびリンク34を介して送信し、少なくとも1つの化学元素を含有する前記ラベルのデータとして格納する。これと同時またはこの後に、前記物品の特性情報を前記ラベルに対応するデータおよび前記物品に関する他の様々な情報と共に入力することができる。ここで説明すべき点として、蛍光X線スペクトルのデジタル信号をさらに符号化して様々なタイプのコードデータにすること、例えばいわゆる指紋データにすること、すなわちその元素を含有する情報、その元素の濃度に関する情報、その元素の濃度の比率に関する情報、配合情報、および物品に関する情報にすることができる。この指紋情報は将来の比較のためにデータベース104に格納される。ここではそのような符号化または非符号化データを総じて「ラベル付けデータ」と呼ぶ。
【0037】
本発明に基づき、前記ラベル付けデータをいくつかの方法で生成することができる。前記方法は、検出およびスキャン・検出という手段によってラベルのデータを得る方法である。本発明は、スペクトル情報など予めそのデータベースに格納された情報を基に計算によってラベルのデータを得ることもできる。蛍光X線スペクトル自体はすでに成熟した技術であるので、様々な配合で前記物品を処理した後に生成される大量のスペクトルデータに応じてデータベースに大量の情報を格納することができる。よって、データベースは、ラベル付けする物品を処理するためにランダムな計算によって任意の適切な配合を選択すること、または1つの物品を処理するためにいくつかの基本的配合の組み合わせを使うこと、および前記物品を処理するためのそのようなデータの計算後に、そのような物品のラベルとしてのデータを格納することができる。そのような方法は実際の検出をせずにラベルに関するデータを得ることができるので、計算または組み合わせによりラベルのデータを取得する方法という分類の範疇に入る。当然、手計算および/または組み合わせ方法により得られたデータも含まれる。要約すると、本発明のデータとしては、物品のスキャン、データベース計算、および前述の方法の組み合わせ(複数の組み合わせまたは1つの組み合わせ)という手段によって得られたデータが含まれる。
【0038】
本発明に基づき、物品の蛍光X線スペクトルが複数(少なくとも2つ以上)の元素を含む場合、前記データベースは1つの物品のすべての元素が放射するスペクトルを変換してラベルのデータ(指紋データ)にするのではなく、前記物品の1つ若しくは複数の元素が放射するスペクトルを選択してラベルに関するデータ(例えば指紋データ。関連する説明として以下の説明を参照)に変換し、格納することができる。すなわち、データベースを通して選択的にスペクトルデータを読み込むことができる。より詳細な説明を以下に提供する。
【0039】
S−DNA
合成DNA(S−DNA:Synthetic DNA)は、当業者に既知または未知の、蛍光X線による検出を含む検出により検出可能な任意の適切な元素および/または化学物質が可能である。理論上は、元素として周期表に記載されている任意の1若しくはいくつかの元素またはそれらの化学物質が可能であるが、検出の容易さやスペクトルの低毒性のためなど当然の要因を考慮し、5より大きい原子番号を有する元素が最適である。さらにより最適なのは22(チタン)より大きい原子番号を有する元素であり、周期表のdブロックおよびfブロック周期の元素である。より最適なのは、ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、イッテルビウムの15の化学元素から選択される元素である。
【0040】
ラベルは外部に付加する元素および/または化学物質とすることも、あるいは物品に固有の元素および/または化学物質として内部にコンカレントに含めることもできる。特定のラベルが物品に固有の元素および/または化学物質である場合、前記ラベルを前記物品の少なくとも一部に存在する成分とすることが可能である。
【0041】
元素ラベルへの付加量は、使用する元素の量および必要なエネルギーに基づいて決定することができる。例えば、標識元素の最低量は蛍光X線分析器の検出制限によって決定することができる。通常、標識元素の最低量は100ppb〜50ppmの範囲とすることができる。例えば、ラベルの濃度が少なくとも1ppmであり1〜1000ppmで変動する場合、各元素について少なくとも1,000段階の濃度を持つラベルを生成する。より多くの量のラベルまたはより低い最低濃度を用いることは可能である(例えば、技術の進歩により、最低含有量をさらに低減することが可能)。多くの適用工程において、担体溶液の蒸発によって濃度は増す。例えば、乾燥した書籍のページの表面の印刷インクに存在する標識元素の濃度は、当初のインクの濃度の3倍であるが、この時点で各元素の相対比は変化せず維持される。
【0042】
標識元素は様々な形で物品に存在し得る。例えば、前記標識元素は任意の化学物質(塩など)またはそのような元素を含有する大分子または小分子として存在することができ、個別に若しくは他の成分と共に前記物品に付加することができる。事実、標識元素は様々な成分および/または添加剤と共に混合物および/または溶液を構成することができる。蛍光X線の特徴の調整、組み合わされた特徴の調整、および安定性の改善など様々な目的のために、様々な成分および添加剤を付加することが可能である。例えば、そのような元素は、硝酸ナトリウム、塩酸ナトリウム、および/またはシュウ酸ナトリウムのような無機塩および/または有機塩の形で存在することができる。前記有機および/または無機ナトリウム溶液はきわめて高い浸透性を有する溶液であり、溶剤との混合により極めて高い浸透性を有する溶液を生成するものである。使用中は、その他の様々な要因への適切な配慮が可能である。例えば、前記有機および/または無機塩を選択する場合、硝酸ナトリウムが最適であるが、塩酸ナトリウムの方が価格が低い。同一のラベル群に用いられる塩は、同一のタイプの塩とすることが最適である。
【0043】
物品に付ける上記ラベルの少なくとも1つによって結果的に生成されるスペクトルは、物品の特徴的な「コード」を提供する。そのようなコードは、ラベル数、タイプが存在するかどうか、同一または異なるラベルの濃度比、物品におけるラベルの位置、および前記特徴の様々な任意の組み合わせに基づく場合がある。例えば、同一の元素が濃度1ppm〜1,000ppmの範囲で1ppmの増分で存在する場合、1,000コードが提供される。また、異なるラベルの様々な濃度を付加すれば、より多くのコードが提供される。物品と組み合わされた同一または異なるラベルに固有の成分は、付加的ラベルとしてさらに多くのコードを提供することができる。物品をいくつかの異なる部分に分割し、各部分に異なるラベルの様々な濃度を提供すれば、さらに多くのコードが提供される。
【0044】
例えば、図2が示す蛍光X線スペクトルにおいて、Fe、Cu、Rb、Sr、およびMoのような様々な標識元素が存在し、各元素のピーク値強度および背景強度はそのような元素の既存の濃度を表すことができる。あるいは、各元素のピーク値強度比は様々な元素の相対濃度比を表す。上記パラメータの様々な形を任意に組み合わせ、より多くのコードを提供することができる。
【0045】
元の生産工程に変更を加えず、且つ企業の装置を加えずに、製品の製造中に物品の生産段階(例えば、プラスチック製品の加工段階)で、および/または製造後に、元素ラベルを付加することが可能である。物品の製造中に前記元素ラベルを付加する場合、ラベルを外部付加成分として混ぜ込むことが可能であるが、製造される物品の成分として付加することも可能である。ラベルは物品の表面に付着されるか、複製、模倣、移動、および剥離を不可能にするために情報ポイントとして物品の内部に浸透される。
【0046】
ラベルは物品の任意の位置(表面を含む)に付加することができる。例えば、生産中、物品の全体積に均等にラベルを付加することができる。この場合も、例えば、物品の特定の部分(立方体の4つの角など)に混ぜ込むことによって、前記物品の特定の位置でのみ前記物品のラベルを検出可能にすることができる。また、ラベルの質、タイプ、および濃度の様々な組み合わせを用いて1次元、2次元、または3次元の様々な形またはパターンを生成することができるので、物品のラベルをスキャンすると、その標識元素は、前記物品の位置に相対した1次元、2次元、または3次元の濃度分布に相対したコードを構成する。
【0047】
物品の作成後にラベルを付加する場合、前記ラベルを混入物として注入すること、メッキ付けすること、または様々な既知の化学的および物理的方法を用いて被覆または膜の層として沈着させることが可能である。また、生成された被覆または膜の層と組み合わせてラベル部分とすることも可能であり、物品と組み合わせるため若しくは物品の包装と組み合わせるために、塗布、噴霧、沈着、含浸、混合、および/または印刷など多くの方法(限定せず)を採用することができる。例えば、1実施形態において、ラベルを溶液または懸濁液と組み合わせることができる。物品に噴霧した後、担体溶剤は蒸発または凝固し、そこに含まれるラベルはラベル付けされる物品または包装の表面に付着および/または前記物品の内部に浸透し、安定したラベルを形成する。
【0048】
また、付加される化学元素ラベルを無色にして不可視のラベルとすること、あるいは着色して可視ラベルとすることが可能である。
【0049】
以下は代表的な外部付加元素の工程の例示的説明であるが、当業者であれば以下の説明が本発明を一切制限しないことを理解できる。この工程中に付加された標識元素は異なるラベル配合を設計するための質に主に基づくものであり、次に、配合された標準標識元素溶液を用い、特定の体積を有する担体に前記標識元素を付加し、その後に、必要な付加的確認成分を付加することにより、化学元素ラベルを形成する。要約すると、以下のようになる。
【0050】
1. 必要な標識元素を含有する化学物質および元素比率を選択する。
【0051】
2. 担体を選択し、選択した配合にしたがって前記標識元素の化学物質の特定量を前記担体と混合する。
【0052】
3. 第2工程で混合した、化学元素ラベルを含有するこの物質を、ラベル付けされる物品と組み合わせて化学元素ラベルを形成する。
【0053】
前記標識元素の化学物質は、前記標識元素の無機塩および/または有機塩を含む。同一の化学元素ラベルにおいては、最適な同一のタイプのナトリウムが選択される。前記担体としては、有機溶剤および/または無機溶剤、および固形粉末などが含まれる。
【0054】
付加的確認成分を前記第2工程中に付加することも可能である。前記付加的確認成分を可視被覆、可視紫外線色、試薬、および/またはマイクロラベルなどにすることができる。
【0055】
前記第3工程中、物品の生産工程中にラベルを付加することが可能であり、すでに混合された化学元素ラベルを含有する物質を、塗布、噴霧、沈着、含浸、混合、および/または印刷によって(限定せず)、ラベル付けされる物品と組み合わせることができる。前記担体溶剤は蒸発または凝固し、そこに含まれるラベル部分は前記物品の表面に付着され、前記物品の内部に前記ラベル部分の一部が浸透することにより、化学元素ラベルが形成される。
【0056】
より具体的には、以下の工程を考慮することができる。
【0057】
前記標識元素の標準溶液を作成する。設計に基づき、前記標準溶液を配合する方法を用い、様々な化学元素ラベルのための特定の濃度の標準溶液を配合することができる。通常、そのような溶液の溶剤は水であり、次に、そのような標準溶液を用い、前記化学元素ラベルを配合し、さらなる作業を可能にする。
【0058】
担体を選択する。担体とは、ラベル付けされる物質と化学元素の結合を可能にする物質である。前述の標識元素水和物の標準溶液に溶解しない担体が可能であり、その標識元素を前記担体溶剤から分離することができる。適用中の主要件は、そのような標識元素を可能にする表面が、ラベル付けされる物品の表面に付着し、且つ前記物品内部に浸透することである。代わりに、前記溶剤タイプの担体を水またはアルコールなどにし、均質相の溶液とすることにより、前記標識元素を部分的または全体的に前記物品の内部に浸透させることができる。この適用中、前記担体を前記標識元素と混合し、前記物品の表面に付着し、必要最少量を用いて前記物品の内部に浸透させる。前記標識元素は任意の温度または任意の環境で任意の表面に用いることができる。前記担体の主な役割は、十分な時間にわたり物品の表面に付着することであり、それによりその化学元素ラベルが前記物品の表面に付着し、前記物品の内部に浸透できるようにすることである。木材、紙、ゴム、または軽量鋼など多くの物品の表面で、この浸透工程は迅速に完了される。より密度の高い物質、例えばプラスチックおよびニッケル合金などでは、特別の支持担体溶剤を用いるという条件で、より長い時間がこの浸透工程にかかる場合がある。
【0059】
より具体的には、最適な担体として、以下のいくつかのタイプの担体を選択することができる。
【0060】
I. 標識元素と共に多相混合物を生成することができる担体。そのような担体溶剤は有機担体溶剤であり、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、またはアルコールなどが含まれる(代表的なものとして、油溶性塗料、ラッカー、および防虫塗料がある)。職務上の接触により暴露される作業者の安全のために考慮すべき問題も、適した担体溶液の選択における別の因子である。そのような点を考慮し、最も不快でない匂いを与える可能性があるのは水およびアルコール基の溶液である。流動性を有する様々なタイプのラッカーは、触媒なしに自然硬化できる。これらは乾燥後に清潔な硬い表面となり、多くの表面に密着することができる。これらは非常に薄く、多くの物品の表面でほぼ不可視である。これらは乾燥後(3〜5日)、ほとんどの通常の溶液に対し耐溶解性である。通常、そのような塗料の溶剤は、例えばトルエンのような芳香族炭化水素である。本発明の最適な担体溶液はラッカーである。ラッカーは金属およびプラスチックなどのような物品に用いることができ、約10分以内に乾燥する。また、ラッカーはほとんど匂いはなく約30日で加硫処理され、硬い表面および優れた耐酸性を有するので、様々な用途に用いることができる。ほとんどの物品で、ラッカーは、化学元素が物品の表面により強く付着して前記物品の内部に浸透することを可能にする。
【0061】
II. 標識元素と共に均質相の混合物を生成する担体。水溶性担体溶剤としては、アルコール、エチレングリコール、およびその構成成分の大きな割合を占める他の水溶性界面活性剤が可能である。これらは非常に安定した均質相のラベル構成要素となる。前記担体溶剤は迅速に乾燥し、標識元素は前記物品にそのまま残る。そのような担体溶剤をプラスチック製品に用いることもできる。
【0062】
III. エポキシ樹脂。そのような樹脂を用いる場合、前記樹脂は別の触媒と混合し、後に凝固する。しかし、使用前に有意な量が硬化によって失われるため、使用できない。そのようなエポキシ樹脂は強い浸透性を有し、耐酸性および耐溶解性に非常に優れている。そのような担体溶剤を用いた場合、ラベルは可視となる。
【0063】
物品の特定の位置にラベルを位置づけることを可能にするなど、化学元素ラベルの効果をさらに高めるために、既存の確認成分を前述の化学元素ラベル構成要素に付加することもできる。通常、これらは補助的成分としてすべての化学元素ラベル構成要素に含まれ、クライアントの要求にしたがって取り除くことができる。以下は、付加的決定成分のいくつかの例である(限定せず)。
【0064】
I. 可視被覆:蛍光被覆を用いて可視化学元素ラベル構成要素を生成する。前記被覆は顧客の必要性に応じて混合するが、一意のスペクトルを生成するために、多くの被覆を混合する方がよい。例えば、体積比25%を有する混合被覆を用い、前記被覆を担体溶剤に粉体で付加し、前記被覆が完全に溶解するまで機械的に振動させる。そのような混合物は定性的に測定されるラベル添加剤の基礎となる。
【0065】
II. 不可視紫外線色:高性能の紫外線色であり、質量比で測定される。これは正確な測定であり、維持を必要とする。例えば、1〜200W/Wを計算に用いる。その染料はその液体担体に粉末で付加され、機械的振動により溶解される。そのような色は具体的なほぼすべての識別の要求を満たすことができる。
【0066】
III. 試薬:粉末フェノールフタレイン試薬を試験に用いる。これは強アルカリに反応して赤紫色になる。当然、チモールフェノールフタレインを用いてもよい。混合し機械的に振動させる。その他の酸・アルカリ指示薬を用いることもできる。
【0067】
IV. マイクロラベル:予め設定したコードを有するマイクロラベルを付加すること、あるいは顧客の特定の要求に応えるマイクロラベルを付加することができる。担体溶剤と混合せず、懸濁液として維持する。前記担体液を動かさずに置いておくと、前記マイクロラベルは重力によって沈降する。例えば、各液体25gを有する使用体積では、マイクロラベル1gを用いることができる。
【0068】
加えて、物品にラベルを結合することにより、ラベルまたは物品自体の情報を総合的に決定し、そのようにラベル付けされた物品の正確で包括的な情報を決定することができる。例えば、物品にバーコード識別主ラベル(可視、前記物品の外面に貼付または印刷)と潜伏元素ラベル(この元素は前記物品の物質の中に隠されており、不可視であり潜伏している)を並行に含めることができる。試験中、識別が両方のラベルの特徴を満たす場合のみ合格する。偽造品として偽造可能なのは前記主ラベルのみで、前記潜伏ラベルを偽造することはできない。
【0069】
本発明の1つの観点に基づき、本発明の前述の工程を自動割り当て工程として設定することができる。上述したように、本発明のデータベースシステム(K−MACデータベースのK−MACシステムのK−MAC−Labサブシステムデータベースなどだが、これについてはより詳細に以下に説明する)は様々な材料および条件での数多くの配合を格納する。配合選択を自動化し、前記データベースで自動生成および記録することができる。例えば、1つの無作為な配合選択スキームは以下のとおり:前記データベースシステム(K−MACシステムのK−MAC−Labサブシステムなどだが、これについては以下により詳細に説明する)は既存の配合を無作為に抽出する。例えば、前記データベースは特定製品の材料に基づき条件を付加し、1より多くの(例えば5つより多くの)配合を選択的項目として生成し、選択対象の配合数として無作為に1から5を生成する。続いて、前記データベースシステムによるモニタおよび指令、および選択された配合に基づき、制御および使用される各工程の副配合を、システム装置および異なる現場の生産要員に送信する。同時に、実際の測定をせずに前記データベースは計算または組み合わせによって物品のラベルに関するデータを獲得および格納することができる。したがって、顧客の機密情報のセキュリティは保証される。S−DNA元素ラベルは密閉された多くの独立の生産工程を経て作成および完成されるものであり、S−DNA元素ラベルの合成中、顧客の身元、元素ラベル配合成分、およびラベル液・担体混合物などのような重要な情報は前記データベースが予め定めたようにシステム装置および異なる現場の生産要員によって別に管理され、その中央データベースのみが最終配合を制御する。S−DNA元素ラベルの合成中、処理のために多くの特別なソフトウェアが必要であり、そのようなソフトウェアは前記中央データベースでのみ設定可能である。前記ソフトウェアにアクセスするには一連のパスワードが要求され、前記パスワードは識別担当要員のみが使用可能である。前記特別のソフトウェアを作動する元素ラベル合成中央ネットワークは独立しており、総務および営業部門またはインターネットにネットワーク接続されない。生産および管理担当要員でない者は、その生産領域またはコンピュータネットワークに近づく権限を持たない。
【0070】
さらに、数多くの物品にラベル付けする工程では、自動組み立てラインを設定し、データベースシステムで各処理工程における作業を中央管理および指揮することができる。このように、前記データベースの使用は管理を可能にして利便性を与えるだけでなく、前記データベースが選択した配合を知る者がいないという事実によって、「紙に記録された」配合の存在若しくは必要をなくし、前記配合の情報に機密性とセキュリティを与える。
【0071】
加えて、前記配合情報のセキュリティ管理に関し、追加的元素ラベルが人的または非人的要因を経るのを防ぐために、最新の定量的配合技術で前記データベースを支援することができる。前記のいわゆる定量的配合技術とは、その使用者の要求に従い、特定のS−DNA元素ラベルを付加する必要のある製品の生産量を決定した後、割り当てられた前記S−DNA元素ラベルが前記データベースによって計算可能な定格のセキュリティ値を有し、次に、割り当てられた適切な材料がシステム装置および異なる現場にいる生産要員に分配されることを意味する。承認を受けずに製品の生産が人工的に増加すると、前記元素ラベルは結果として希薄化し、前記配合のセキュリティ比の値は変化し、そのような製品に割り当てられたS−DNA元素ラベルは無効化し、不合格になる。これによって人工的な過度のラベル付けによる否定的影響が防がれ、セキュリティ管理のレベルが高まる。
【0072】
不注意によってS−DNA元素ラベルを盗難または損失した場合は、関連情報およびポータブル検出器のセキュリティ承認(これについては以下により詳細に説明する)を改訂することによって、制御できなくなった前記S−DNA元素ラベルの最初の承認を取り消し、読み取りを不可能にすることにより、前記S−DNA元素ラベル情報のセキュリティを保証することができる。
【0073】
化学元素ラベル構成要素の一群を設計するに当たり、本発明の最適のスキームは、ベンチマークラベル法で決定を行うことである。ベンチマークラベルの選択は、前記ラベルと物品間の接触、および使用者または使用者の場所などに関するオーナーおよび担体の専有情報を設定することを可能にする。例えば、同一の製造業者からの異なる材料の商品は、それらのベンチマークラベルとして1つ若しくはいくつかの元素ラベルを組み合わせることができ、同一の国および地域で販売される製品は、それらのベンチマークラベルとして1つ若しくはいくつかの元素ラベルを組み合わせることができ、データベース管理、統計、および計算が可能である。当然、1若しくはいくつかの元素をベンチマークラベルとして任意に選択することも可能である。そのようなベンチマークラベルとして、使用されている1若しくはいくつかの標識元素が可能である。すなわち、5より大きい原子番号を有する元素が最適である。さらにより適しているのは22(チタン)より大きい原子番号を有する元素であり、周期表のdブロックおよびfブロック周期の元素である。より適しているのは、以下の15の化学元素から選択される元素である。ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、イッテルビウム。ラベルの組み合わせの設計に当たり、例えば、3〜6元素およびベンチマークラベルを含める。そのラベル構成要素の他の元素の体積は、前記ベンチマークとして使用するラベルの体積に整数若しくは小数を掛けた体積となる。よって、様々な元素の配合比は体積比の一群である。より適しているのは、整数比の一群である。配合比の各群は特定のデータコードを有する。そのような配合比設計は管理および試験を可能にする。例えば、そのラベル元素の1つのみを選択的に読み取ることによって、そのラベル全体を読み取らずにそのような物品の性状情報またはその使用者の特定の特徴を得ることができる。また、前記ラベルの原材料を誰かが動かそうとした場合(すべての原材料を動かすことは不可能である)、または期待される濃度レベルが自然の風化により変化した場合、特定の元素の体積は低下するが、それら元素間の比率は変わらずに維持される。
【0074】
例えば、上述の15元素を用いて一意のラベルを生成することができる。そのベンチマークラベルはそれら元素内に存在する必要がある。標準である0〜9にしたがって残りの14元素を組み合わせた場合、
1014−1=99,999,999,999,999の可能な一意の化学元素ラベルが存在可能である。加えて、前記元素の濃度レベル、相対濃度レベル、およびラベル位置があるので化学元素の数は非常に多く、したがって適用中に繰り返し使用する必要はない。
【0075】
物品符号化規則は、上記一群に含まれる15の化学元素からの2若しくはそれ以上の化学元素を用い、偶数および奇数法を用いて配合比の組み合わせを実行することができる。
【0076】
外部付加元素およびその固有の元素を有する物品は、より多くの元素を有することができるので、数多くの元素のスペクトルを生成する。本発明の最適の実施形態のスキームに基づき、物品の蛍光X線スペクトルがいくつか(少なくとも2より多く)の元素のスペクトルを含有する場合、そのラベルのデータとしてスキャンされるすべてのスペクトルを読み取る代わりに、前記データベースを介して前記元素のスペクトルを選択的に読み取ることができ、その元素のいくつかのスペクトルのみを前記ラベルのデータとして選択して格納することができる。将来的に前記物品のために新しい定義が必要になった場合、この自己定義情報を直接変更するという方法に加え、前記物品に関し前に保存された元素を新しく選択された元素として符号化することにより、前記物品に新しい情報の定義を与えることができるので、この同一の物品がいったんラベル付けされた後に異なる時点で異なる必要に応じて異なる情報を実質的に繰り返し定義することができる。また、特定の適用について、データ比較のための計算量を低減することができる。また、前記スペクトルの選択的読み取りは適用中のセキュリティを可能にする。何者かが物品のラベルを偽造しようとしても、数多くの元素ラベルがあるため、データベースシステムに読み取られることになるスペクトルデータがどれであるか知り得ない。加えて、前記データベースに格納されている前記ラベルのデータはスキャンのみでは取得できず、偽造を試みる者は前記データベースに認証を求める必要があるので、その試験データを偽造するのはさらに難しい。選択的読み取りを用いた場合、ラベルデータが実際のスキャンによって獲得されたものかデータベースの計算および組み合わせによって獲得されたものかに関わらず、コンピュータは選択および読み取りの対象となる元素を自動的且つ無作為に選択すること、若しくは特定のパターンにしたがって選択することができる。例えば、特定の状況下では、読み取り対象の元素としてそのベンチマークラベルのみが選択される。さらに別の状況下では、最大の原子番号を有する1若しくはいくつかの元素など、その他の元素が読み取り対象の元素として選択される。あるいは単に無作為の選択が用いられる。識別が行われると、前記コンピュータは同じロジックを用いて測定対象のスペクトルの選択的読み取りを実行し、測定されたデータとラベルデータの一貫性を決定する。
【0077】
本発明は無制限に元素の原子をラベルとして使用できるものと理解されるべきであり、加えて本発明は具体的なラベルとして元素の原子および分子化学物質を用いることができるものと理解されるべきである。試験対象の蛍光放射線はX線波長帯の蛍光放射線に限定されず、紫外線、可視、および赤外線などのような波長帯の蛍光放射線も含むことができる。この場合の元素分子または分子化学物質および試験の原則は、上述したX線試験の原則と同様であるが、そのスペクトルには分子構造に特徴的なエネルギーレベルの変化が反映されるので、適切な分子および分子化学物質として存在する特定のラベルを検出することができる。また、本発明は、核共鳴技術を用いて元素を励起し、核磁気モーメント核分裂の精密なスペクトル構造を検出することもできるので、複数のスペクトル構造の組み合わせを通し、より豊富なラベルスペクトルを選択的に検出することができる。
【0078】
特定の状況下では、特定のラベルの設計として、本発明の元素分子および分子化学物質は非常に有用である。例えば、同一の炭素という元素が、異なる黒鉛およびダイヤモンドの分子構造を有する場合がある。これによって同一の元素の異なる分子構造のコード数が増し、分子または原子ラベルの組み合わせによる符号化の柔軟性が増す。例えば、同一のタイプまたは同一の用途の物品は、同一の元素の原子のラベルの特徴を用いることができ、さらに、異なるタイプまたは用途のより詳細な定義は、同一の元素の異なる分子形のラベルの特徴を用いることができる。
【0079】
ラベル情報検出および分析技術
図1を参照する。ラベル付けされた物品かどうかを決定するために物品を検出する必要がある場合、励起源(例えばX線放射装置101が発するX線11)を用い、検出対象である前記物品をスキャンする。蛍光X線検出器の検出器は前記物品の化学元素ラベルが発する蛍光X線を検出し、ADを介して検出データに変換する。前記検出データをデータベース104に格納されているラベルデータと比較し、それら2つが同一であるかどうかによって、検出対象である前記物品がラベル付けされた物品かどうかを決定する。ラベル付けされた物品であれば、前記物品に関して必要な情報をデータベースから取得することができる。当業者であれば、前記2つのデータが同一であるかどうかを決定するための前述の原則は、前記2つのデータが同一であるか、若しくはそれらの差異が許容範囲内であることだと理解できる。物品の定義をラベル付けする工程に応じて、検出される蛍光X線スペクトルのデジタル信号をさらに符号化して様々な符号化データにすることが可能であり、例えば、元素を含む情報、元素濃度レベルに関する情報、元素濃度レベル比の情報、配合情報、および物品の情報に関するいわゆる指紋データを生成することができる。そのような指紋データを送信し、予めデータベース104に格納されているデータと比較する。ここではそのような符号化または非符号化データを総じて「検出データ」と呼ぶ。
【0080】
本発明の検出装置は、主に蛍光X線検出装置または蛍光X線検出器であり、ここでは蛍光X線検出器と呼ぶ。前記蛍光X線検出器は、通常の包装を通過し、物品の包装を損傷せずに前記物品の識別に関する元素ラベル情報を検証することができる。本発明の完全なシステムの使用では、任意の1若しくはいくつかの蛍光X線検出器を含めることができる。
【0081】
図1の蛍光X線検出器は以下を含む。
【0082】
励起源としてX線放射装置101を用い、ラベル100を有する物品にレーザー光線11を照射し、前記物品をスキャンする。図の実施形態の蛍光X線検出器が使用する励起源はX線放射装置であるが、当業者であれば、この励起源が前記X線放射装置に限定されず、元素ラベルへの照射によって任意の放射装置が起動して蛍光X線を発する限り、X線、γ線、α線、および電子光線、またはそれらの様々な組み合わせなどでもよいことを理解できる。1実施形態において、前記励起源はX線波長帯およびより長い波長を有する紫外線、可視、および赤外線領域を含む周波数範囲を有する連続調整可能または範囲調整可能な周波数変換電磁放射線管である場合があり、したがって、広範な(すなわちラベルのX線を励起および検出するだけでなく、紫外線、可視、および赤外線領域の放射線も励起および検出する)蛍光X線検出器を成すものである。紫外線、可視放射線、赤外線を励起可能なそのような励起源により、元素の原子または分子化学物質の形で存在する本発明の特定のラベルを同時または個別に励起することができる。上述の様々な光励起源に加え、本発明は電流コイルまたは永久磁石を用いて物品に磁場励起源を同時に適用し、元素の精密な核共鳴スペクトルを励起することができる。前記核共鳴スペクトルは元素の特徴的なスペクトルも現すので、より豊富なラベルスペクトルを選択的に検出することができる。そのような特徴はすべて、本発明で考慮されている。X線放射装置を励起源として用いる場合、例えば、照射装置および誘導装置が支援する、放射性同位体を有する放射線源タイプの励起源、あるいは本発明の分野で既知の、X線管およびフィルタシステムを有する単色X線励起装置のような励起装置が可能である。
【0083】
蛍光X線検出器102を用い、ラベルから送信される蛍光X線12を受信し、AD変換によってデジタル信号(検出データ)に変換し、インターフェイス23を介してデータ処理および分析装置103に送信する。元素の原子または分子化学物質の形で存在する本発明の特定のラベルが同時または個別に励起されると、蛍光X線検出器102は紫外線、可視放射線、および赤外線領域からの蛍光線も受信し、電気信号に変換してデータ処理および分析装置103に送信することができる。この蛍光検出器としては、例えば、比例計数管、多線式比例計数管、およびSi−PiNダイオードなどが可能である。
【0084】
データ処理および分析装置103はPDA(personal digital assistant:パーソナル・デジタル・アシスタント。データ処理装置、データメモリ装置(ROMおよびRAMなど)、データ発信装置、およびデータ受信装置を含むことができる)として例示されているが、当業者であれば、様々なタイプのPDA、パームトップ、セル式携帯電話(例えばHP社のiPAQスマートセル式携帯電話機)などのような通信機能を有する任意の演算処理装置が可能であることを理解できる。以下の説明においては、例示を目的とした一例として主にPDAを用いる。様々な機能を行うソフトウェアを前記データ処理および分析装置に格納する。一般に、前記データ処理および分析装置は常にデータベースを含み、このデータベースは本発明のシステムの端末データベースと呼ばれる。検出される物品のラベルに関するデータは、データ処理および分析装置103の端末データベースにすでに格納されている場合がある。よって、蛍光X線検出器102から送信される測定結果の受信後、格納されているラベルデータとの比較が直接行われ、顧客および前記物品に関する詳細な情報の読み取りのためのアクセスが前記データベースから行われる。前記蛍光X線検出器は前記蛍光X線検出器のローカルデータベース、遠隔中央データベース、および/または別の端末データベースに有線または無線方式で接続可能であり(より詳細に以下に説明する)、したがって、ローカルデータベースおよび/または遠隔データベースからの承認があれば、その独自の端末データベースに存在しないラベルデータをダウンロードすることおよびそれにアクセスすることができ、現場での測定および識別に用いることができる。現場での測定に関するデータおよび情報を前記端末データベースに格納すること、あるいは前記蛍光X線検出器のローカルデータベース、遠隔中央データベース、および/または別の端末データベースに有線または無線方式でアップロードすることにより、データを相互にタイムリーに更新することができる。1実施形態において、本発明のシステムの使用を容易にするために、前記蛍光X線検出器を組織のネットワークに無線方式(WEP)で接続し、後にインターネットまたはローカルデータベースおよび遠隔中央データベースを介して接続することができる。加えて、前記蛍光X線検出器は、視覚または触覚による検知が可能なインジケータ、発音器、または振動器のような装置を選択的に含むことも可能である。例えば、蛍光X線検出器を使用する場合、S−DNA元素によるラベル付けをした物品は前記検出器のハウジングに緑のライトを点灯させ、ブザー音を発するか振動を起こすことができ、そのような元素でラベル付けされていない物品が検出された場合は前記検出器に赤いライトのみが点滅する。
【0085】
本発明の1つの観点において、前記蛍光X線検出器は承認を受けた制御装置および/または追跡装置と、位置検出装置と、遠隔制御装置(これらをまとめて管理装置と呼ぶ)とを有する。例えば、前記蛍光X線検出器自体の制御または他の蛍光X線検出器の承認または承認取り消しなどの制御のために、それらすべてを前記データ処理および分析装置に配置すること、または前記装置本体の別の固定された位置に配置することが可能である。ローカルな起動パスワードまたは生体センサー(指紋センサーなど)によって承認を行うことも可能であり、遠隔制御端末から承認または承認制御取り消しを行うこともできる。前記追跡装置、位置検出装置、および/または遠隔制御装置を管理することによって、前記遠隔制御端末は任意の蛍光X線検出器をリアルタイムで追跡、位置検出、および/または遠隔制御することができる(データベースの項でより詳細に説明する)。
【0086】
本発明の代表的な実施形態において、現場での検出を可能にするために前記蛍光X線検出器は小型且つポータブル(最長30cm、最大重量1.6kg)に作られる。これは現在の技術的条件の下で実現可能である。小型軽量の携帯可能な蛍光X線検出器は現場で使用しやすい。これまでは、分析および試験結果がラボに送られてから完了するまでに数日を要したが、ポータブル蛍光X線検出器を使うことはいわば「ポータブルラボ」を得るようなようなものであり、この工程をわずか数秒で現場で完了できるようになる。前記蛍光X線検出器のポータブルな設計、無線送信、およびローカルまたは中央データベースとの通信能力によって、リアルタイムに現場で検出作業を行うことが可能となり、現状において検証、検出、認証、および管理のための最も便利で信頼できるシステムが作られる。
【0087】
本発明の出願者が設計したポータブル蛍光X線検出器の励起源X線放射装置は銀またはタングステンの陽極、10〜40kV、10〜50μAを用い、5層のフィルタ装置を有する。前記検出器はSi−PiNダイオード検出器を用いる(<230eVFWHM、5.95keV、MnKα線)。温度範囲は−10°C〜+50°Cである。電源はLi−on充電電池(充電器を含む)であり、PDAを同時充電することができる。PDAプロセッサはIntel 400MHzであり、Microsoft Windows CEオペレーティングシステムを有する。データ格納は128Mbのメモリで行い、これは20,000の結果を格納することができる。1Gbのメモリは100,000の結果を格納することができる。表示装置は高解像度のカラー・タッチ・スクリーンである。そのようなPDAはGPSポジショニングに基づく受信および発信装置を有し、それによって遠隔データベースによる位置検出および追跡を行う。端末データベースを有する前記PDAはGPRS/CDMA/GSMを用いたネットワーキングまたはWiFi/Bluetooth(登録商標)によるネットワーキングを行うことができる。これに基づく方法の1つを用いてインターネットに接続し、データベースネットワーク(K−MACネットワークなど)にアクセスすることにより、無線送信および移動読み取り、およびリアルタイムでのデータまたは指紋データの無線送信を実現する。送信されるデータサイズは約20K未満が可能である。上記方法を用い、すべてのデータ送信を3秒以内に完了することができ、これはリアルタイムの読み取りの要求を満たすに十分である。
【0088】
前記蛍光X線検出器の外観を図5に示す。前記検出器は装置本体501と、機械本体と一体化したハンドル502とを有し、ここにスタートスイッチを配置することができる。そのようなスイッチを例えば指紋センサーとすることにより、承認を受けて前記検出器全体を使用するよう制御することが可能である。検出器頭部503に、前記仕様を有するX線放射装置および蛍光X線検出器を取り付ける。使用中、前記頭部の先端513は検出対象の物品の表面または特定の位置の表面に垂直に接近または接触する。すなわち、前記頭部の先端を検出対象の物品に向けることによって前記励起源による発射およびスキャンを実行する。同時に、前記蛍光X線検出器は前記物品が発射する蛍光X線を受信する。あるいは、前記物品の表面にバーコードのような支配的な識別の特徴も含まれている場合は、頭部503にバーコード読み取りを同時に含めることもできる。あるいは、本発明は前記頭部または機械本体内に複数の読み取り機(バーコード読み取り機、接触式ICカード読み取り機、RFID読み取り機、磁気カード読み取り機、2Dコード読み取り機、および生体読み取り機など)をコンカレントに統合して含めることも可能であり、したがって、1つの機械に複数の技術アプリケーションを統合することができる。前記機械本体は末部504も含み、ここに、データ処理および分析装置506(PDA)への挿入に用いるカードスロット505が配置される。データ処理および分析装置506はカードスロット505のインターフェイスを介して前記蛍光X線検出器に接続され、前記蛍光X線検出器によって検出されるスペクトルから変換されたデータを受信および分析することにより決定を行うか、若しくはネットワークを介して前記データベースとデータを双方向伝送する。
【0089】
データ処理および分析装置506とは別に、前記蛍光X線検出器の残りの部分を一体化統合することができる。すなわち、データ処理および分析装置506を着脱可能なPDAとして設計することにより、分離したポータブル装置を形成することができる。着脱可能な設計の利点は、異なる目的のPDAとの交換およびそれらの挿入ができること(すなわち異なるタイプのデータベースを含められること)、あるいは複数のタイプのデータ処理および分析装置506の挿入に対応することである。例えば、オーバーラップさせたカード領域の形にカードスロット505を作ることによって、異なる容積および外部仕様を有するPDAまたはセル式携帯電話の挿入に適したものとすることができる。着脱可能な設計の別の利点は、前記蛍光X線検出器のうちデータ処理および分析装置506と分離した部分を用いて汎用の蛍光X線検出プラットフォーム(例えばスーパーマーケットのような大規模な公共の場所に配置する)を構築できることであり、ショッピングモールに置かれた蛍光X線検出器の内蔵カードスロットに、個人が使用する一般的なPDAまたはセル式携帯電話を挿入し、ローカルまたは遠隔のデータベースから受信されダウンロードされる情報を即座に得ることができることであり、検出「知性」のある装置が得られることである。
【0090】
当然、前記蛍光X線検出器を、上記の部分(データ処理および分析装置506を含む)をすべて統合した1つの総合ポータブル装置として設計することもできる。また、例えば汎用の蛍光X線検出を構築した場合、そのような蛍光X線検出プラットフォームをポータブルな機械の形とせず、デスクトップまたは縦型端末装置の形にすることも可能なものと理解される。
【0091】
1実施形態において、同一の組織の異なる蛍光X線検出器を用い、無線および/または有線方式でそれらを相互接続する。第1の位置からレベル1検出器を用い、第2の位置にあるレベル2検出器にデータを送信する。よって、前記第1の位置で前記レベル1検出器を用いて予備的決定を行い、前記第2の位置で前記レベル2検出器を用いて追加的決定を行うことができる。
【0092】
1実施形態において、特定の物品の化学元素ラベル付けを可能にするために、物質の名称一覧およびラベル付けされた元素を含む指紋データ(様々な標識元素の配合比である場合もあれば、前記配合比について取得されたデータあるいはデータの再度の符号化の後に取得されたデータである場合もある)を前記蛍光X線検出器の端末データベースに格納することができる。したがって、前記蛍光X線検出器の使用中、化学元素ラベルS−DNAの存在を決定する。前記蛍光X線検出器に含まれる分析ソフトウェアは、検出対象の物質の標識元素に関するデータを読み込む。したがって、前記検出器は前記S−DNA信号出力を検出することによってデータを受信し、そのように受信されたデータは前記データベースに格納されたデータとすでに比較されており、前記物品がラベル付けされているかどうかが決定される。
【0093】
1実施形態において、異なる蛍光X線検出器を使用する。前記蛍光X線検出器からのデータ出力は前記データ処理および分析装置の端末データベースに格納されたデータと直接比較することができるので、即座に決定を行い前記物品に関する情報を提供することができる。別の実施形態において、前記蛍光X線検出器からのデータ出力を遠隔データベース(データセンターなど)に送信し、前記データベースに格納されているデータと比較し、前記遠隔データベースから返信される前記物品に関する情報を用いて決定を行う。前記2つの結果は、使用者には同一のものに見える。データ計算または検証の工程がどういうものか前記使用者にはわからない。しかし、現実には、後者の方法では前記遠隔データベース(データセンター)はクラスターシステムおよび分散型計算方式を用いてデータ処理を実行することができ、これはコンピュータリソースを有効利用するものであり、計算精度および性能を向上させ、検出所要時間を低減する。その理由は、大量の計算がある場合、前記蛍光X線検出器の端末データベースで大量の計算を行うことが難しいからである。加えて、前記端末データベースの容量が限られているのに対し、前記遠隔データベースの用量は「無制限」である。前記計算および格納作業を前記端末データベースから遠隔データセンターへ移動することができ、前記使用者は、前記検出器の端末データベースに「無制限」の容量があり、その計算速度は非常に速いと感じる。これは、本発明のデータベースシステムを持たない先行技術では不可能なことであった。よって、前記後者の方法は本発明における最適の方法である(データベースの項でより詳細に説明する)。
【0094】
ローカルまたは遠隔データベースとの接続を介した相互データ伝送によって決定および情報取得をする必要がある場合、1実施形態に基づき、前記データ処理および分析装置は前記蛍光X線検出器が受信するデータ出力を図2のスペクトルのような標準または非標準のコードデータ形式に変換することができる。横軸(X軸方向)の限られた位置に異なる元素があり、そこでそれらを識別し、各々の排他的値または特徴を割り当てることができる。縦軸(Y軸方向)の各元素が示す異なる濃度レベル情報に異なる値または特徴を与え、位置の組み合わせ関係に基づき、様々なデータマトリクス記号として2次元の記号コードを生成するか、あるいは一定の規則にしたがって対応するASCIIコードを生成することができる。前記データ処理および分析装置は直接得られたスペクトルデータ出力をコードデータ出力に変換し、無線または有線方式でそのデータをローカルまたは遠隔データベースと相互伝送する。これによる利点は、前記蛍光X線が出力する表現を標準化できることである。標準化が行われたコード伝送データベース、すなわち、例えば、特定の2次元コード伝送およびロジック関係が作成されたデータベースを直接に使うことができ、スペクトルデータ出力をデータコードに「変換」する方法を既存のデータベースに理解させるあるいは「学習」させる必要がないので、既存データベースに学習させる必要はない。当然、前記データ処理および分析装置は、(例えば符号化の後に)受信したデータ出力を、ローカルまたは遠隔データベースと完全且つ直接に相互伝送することができる。前記蛍光X線検出装置について概略を説明したが、当業者であれば、前記蛍光X線検出器が複数の柔軟な設計スキームを持つことができ、複数の目的および用途を可能とするものであることを理解できる。
【0095】
例えば、前記蛍光X線検出器の使用を可能にするために、前記蛍光X線検出器は、プレート・レベル・スキーム、モジュールスキーム、および追加的に含まれるチップ・レベル・スキームを含む内蔵スキームを使用することができる。例えば、デスクトップまたは縦型の機械の形にし、指紋データを格納するRAMまたはROMを使用し、本発明の分析および処理プログラムを前記ROMに固定する。同時に、コンピュータカード/Bluetooth(登録商標)などのような通信インターフェイスのような周辺的割り当てインターフェイスを提供する。同時に、様々なコンピュータ装置で動作するプログラムを提供し、セル式携帯電話のような装置での使用を可能にする。例えば、直接的にチップレベルで提供する方法を用いる。ROMチップおよびRAMチップをDSPと統合してパッケージにし、そこに分析および処理プログラムを取り付け、1つのEPGAチップを作る。前記チップは上述の汎用装置機能をすべて満たすことができる。読み取り機のセンサー部分を汎用外付け装置として作成する場合、前記センサー部分も、X線、レーザー、赤外線、紫外線のような他の装置との相互接続のための多くの周辺割り当てインターフェイスを提供することができる。
【0096】
データベースおよびネットワーク技術
本発明の方法およびシステムは物品のラベル付けおよび検出工程中の完全なソリューションを構成することができるものであり、その重要な特徴は、安全および管理のためのデータベースシステムを有することである。
【0097】
代表的なシステムフレームワーク600を図6に示す。システム600は、遠隔中央データベース602と呼ぶことのできる中央データベースを含み、ローカルデータベース603および604をローカル端末に、中央データベース602を遠隔端末にそれぞれ配置する。あるいは、各データベースは、ソフトウェアおよび関連ハードウェアを含み、データ処理および制御などのような管理機能を有するシステムとも言える。前記ローカルデータベースおよび/または前記中央データベースは、検出を行っている検出器611〜615または既存の追跡および位置検出技術によってラベル付けされた物品を追跡、位置検出、および遠隔制御することができる。加えて、異なる蛍光X線検出器を介して承認制御を実行することもできる。端末データベースを各検出器611〜615に配置する。前記データベースは現場で必要な使用者および物品に関する情報を格納することも、そのような情報を格納しないことも可能であり、他のベータベースから前記情報にアクセスすることができる。ネットワーク601は、一般にアクセス可能な公共通信ネットワーク(インターネットなど)または専用ネットワーク、または公共および専用部分を含む混合ネットワーク、無線通信ネットワークおよび/またはデータ通信ネットワークとすることができ、複数のネットワーク(CDMAおよびGSMなど)間のデータ伝送および共有に対応することができる。図6には2つのローカルデータベースと、各々が前記2つのローカルデータベースに無線方式で接続された5つの検出器が図示されている。しかし、当業者であればこれは必要な制限ではないことを理解できる。実際、より多くの検出器またはより少ない検出器をローカルデータベースに接続可能である。前記検出器を有線方式でローカルデータベースと接続すること、あるいはローカル・エリア・ネットワークおよびインターネットを介して接続することも可能である。また、当業者であれば、本発明のシステムは1若しくはいくつかの検出器を有することもできることを理解できる。すなわち、前記ローカルデータベースは全体の中央データベースとしての働きをし、さらに他のデータベースに接続されない。
【0098】
上述のように、前記蛍光X線検出器は、励起源および蛍光検出器のほかに、データ処理および分析装置も有する。前記データ処理および分析装置は、例えば、PDAまたは他のタイプの任意の移動式、携帯、および/または計算装置である。代表的なデータ処理および分析装置は、データ処理装置、データ格納装置、データ発信装置、データ受信装置、および表示装置を含む。上述の端末データベースは前記データ処理および分析装置内にある。前記蛍光X線検出器は、有線または無線方式によって他の蛍光X線検出器のローカルデータベース、中央データベースおよび/または端末データベースに接続することができる。例えば、図5が図示する検出器のPDAはGPRS/CDMAを用いたネットワークまたはWiFi/Bluetooth(登録商標)を用いたネットワークが可能である。前記PDAはこれらに基づく方法の1つを用いてインターネットに接続することによって、他のデータベースとの通信のためのネットワークにアクセスすること、無線方式でデータを送信すること、および結果として得られたデータおよび情報などを送信することができる。
【0099】
PDAからインターネットにアクセスするためにGPRS技術を具体的に用いる設計では、GPRSネットワーク装置を前記PDAに加える。長距離でデータ送信する必要がある場合、まずGPRSモデムでインターネットにダイアルアップでアクセスすると、前記PDAがデータベースネットワークに自動接続され、前記データベースネットワークによって前記PDAの識別情報が認証されると、前記データベースネットワークによって前記PDAのための符号化された伝送パスが作成され、データ伝送が開始する。ここで、前記PDAはCFカードインターフェイス、Bluetooth(登録商標)のGPRS装置、および有線(例えばUSBによる)GPRS装置に対応するGPRS装置を用いることができる。
【0100】
ローカルデータベースはネットワークによって中央データベースに接続され、データはタイムリーに相互更新される。使用を可能にするために、前記検出器を組織のネットワークに無線方式(WEP)で接続し、後にインターネットまたはローカルデータベースおよび遠隔中央データベースを介して接続することができる。同一の組織の異なる検出器を有線および/または無線方式(直接1対1(ポイント・ツー・ポイント)ネットワーク)で相互接続することもできる。例えば、第1の位置からレベル1検出器を用い、第2の位置にあるレベル2検出器にデータを送信する。よって、前記レベル1検出器を前記第1の位置で用いて予備的決定を行った後、前記レベル2検出器を前記第2の位置で用いて追加的決定を行う。
【0101】
本発明の1つの観点に基づき、顧客および物品に関する情報データを、本発明のデータベースネットワークの各レベルでデータベースに生成することができる。よって、検出対象の物品がラベル付けされた物品であると確認された場合、そのような情報データを開き、より多くの関連情報を取得することができる。例えば、S−DNA元素ラベルの合成中、元素コードが自動的に生成される。ラベル付け対象の物品の識別資料および情報を作成し、後にカスタム化によって完成し、そのすべてを中央データベースに格納することができる。例えば、物品の性状、特徴、およびオーナーシップなどのようなカスタム情報を含むことができる。さらに、より詳細に、以下の項目の1若しくはいくつかを含めることができる。ラベル(前記物品の特徴的コード)、SKU(stock keeping unit:最少在庫管理単位。前記物品の物品コードであり、バーコードに似ている)、製品内容(前記物品の名称)、製造日(前記物品が製造された日付)、前記物品のバッチ番号(製造された物品のバッチ番号)、製造業者(製品の製造業者)、顧客(物品の検出を必要とする可能性のある顧客)、メモ(物品に関するルーチン的情報)など。
【0102】
上述の静的情報に加え、具体的な用途に基づき物品または物品所有者に関する「動的」情報を含めることもできる。例えば、物品の所有者による検出対象場所へのアクセスに関する時刻情報(駐車許可など)および時間情報も含めることができるので、適切な料金などを計算することができる。
【0103】
要約すると、前述の情報データは以下の1若しくはいくつかの組み合わせを含む。物品の識別または前記物品の所有者の識別に用いられる情報、物品または前記物品の所有者の管理に用いられる情報、およびラベル付け後のデータベースで継続的に追加、削除、および変更される他のカスタム情報。したがって、物品に必要でありその所有者によって使用される特定のデータに基づき、前記物品に関係する任意のタイプおよび内容の情報をカスタム化することが可能である。そのような情報を様々なレベルで並行または段階的にデータベースに格納し、相互にアクセスおよび利用することができる。
【0104】
本発明の1つの観点に基づき、ローカルデータベースおよび遠隔中央データベースには以下も含まれる。有線および/または無線方式による、蛍光X線検出器と前記ローカルデータベースおよび遠隔中央データベース間のデータ伝送。例えば、無線ネットワーク、インターネット、またはローカル・エリア・ネットワークのような通信ネットワークを介し、前記蛍光X線検出器は検出データなどを前記ローカルデータベースおよび遠隔中央データベースに送信する。前記ローカルデータベースおよび遠隔中央データベースは、次に、結果データをそのような蛍光X線検出器に送信する。前記結果データは、測定対象のデータが前記データベース内に格納されたデータと照合するかどうかについての単純な「はい」(肯定)または「いいえ」(否定)による決定(物品がラベル付けされたものかどうかをこの情報を用いて決定する)を行うが、より重要なのは、前記検出対象の物品に関係する前述の様々な静的または動的情報も含むこともできる(照合した場合)ことであり、これにより、様々な適用に基づき処理を行うことができる。この点に関し、前記蛍光X線検出器は、前記データベースから必要なすべてのデータおよび情報もダウンロードし、それをタイムリーに更新および検証することにより、データの同期を確実に行う。よって、当業者は、本発明のデータベースの各レベルは、データ比較のための比較装置と、データ格納装置と、データ発信装置と、データ受信装置とを有することができるものと理解できる。データの符号化のために承認装置および符号化装置も設定することができる。前記データは、スペクトルデータおよび符号化データなどを含む様々なタイプのデータを含む。前記データを承認および符号化の後に前記データベースに格納すること、または承認および符号化の後に前記データベース内のデータと比較することができる。
【0105】
本発明の1つの観点に基づき、使用者が検出作業を完了した後、前記使用者はその検出結果を専用コンピュータにダウンロードし、同時に、そのような検出情報を様々なレベルのデータベースに送信することができる。前記中央データベースは、現場モニタリングおよび検証手順を含む電子報告書を上級管理者に提供する。その後、前記報告書は毎日要約され、前記使用者が指定した部門または他の指定された部門に転送される。
【0106】
本発明の1つの観点に基づき、データベースのデータとして符号化データが可能である。そのような状況において、比較の前に、検出されたデータも符号化および計算する必要がある。1実施形態において(K−MACシステム[原文のまま]など)、データベースおよびPDAで用いられるデータは3−DESの符号化アルゴリズムを経る。まず、データベースネットワーク(前記K−MACネットワークなど)で、指紋データを前記3−DES符号化アルゴリズムで符号化する。この符号化されたデータをデータベースに格納する。承認後、PDAは前記データベースネットワーク(前記K−MACネットワークなど)の指紋データベースの特定のデータ領域にアクセスすることができる。次に、必要な指紋データを、符号化パスを介してそのランダムメモリにダウンロードする。前記PDAの符号解読プログラムは、指紋データが必要とされる場合のみデータ解読作業を実行する。この解読データは分析プログラムに直接に提供され、どのファイル形式でも保存されない。よって、標識元素およびコンテンツが既知であっても、符号化方法が未知であれば、限定された物品の適切な認証をこのセキュアなデータベースから取得することはできない。この符号化工程を蛍光X線検出器のPDAによって行うことも可能である。
【0107】
本発明のデータ伝送は、パスワード保護およびSSL(secure socket layer:セキュア・ソケット・レイヤー)のような業界標準若しくは非標準の保護技術を用い、データ保存およびデータ伝送の様々な工程およびプロセスにおいてセキュリティおよび信頼性を保護することができる。図6が図示する例では、SSL保護技術およびネットワークのファイアウォール保護技術が適用されている。
【0108】
本発明の1つの観点に基づき、機密保持、セキュリティ、および正当性評価のために、ローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースは、管理、追跡、および位置検出技術を用いることにより、識別に用いられる蛍光X線検出器および/またはラベル付けされた物品の管理、追跡、位置検出、および遠隔制御などを行うことができる。例えば、遠隔制御中央データベースおよび/またはローカルデータベースは、特定の蛍光X線検出器による作業承認の実行または作成または制限、または特定の作業の実行を許可するかどうかを制御することにより、蛍光X線検出器の損失または乱用を効果的に制御することができる。例えば、承認を行う場合、蛍光X線検出器を作動すると、前記検出器はその端末データベースまたはローカルデータベースまたは遠隔データベースに承認要求を送信し、本発明のデータベースの柔軟な配置というポジティブな特徴により、検出器の承認をデータベースの任意のレベルで制御することができる。例えば、端末データベースは、前記蛍光X線検出器のスイッチ自体にある生体センサー(指紋センサーなど)によって送信される使用者の指紋パターンデータを前記端末データベースの有効な指紋パターンデータと比較し、その比較に基づき前記端末データベースは直ちに承認を与えるか否かを決定することができる。承認を与える決定の場合、開始プログラムが作動する。承認を与えない決定の場合、「承認が得られませんでした」のような情報が画面に表示される。遠隔データベースによって承認を制御する場合、請求者の指紋パターンに関する決定に加え、前記検出器の追跡および位置検出を同時に実行することにより、正当な使用領域で前記請求者が前記検出器を使用しているかどうかを決定し、承認を与えるかどうか、および承認する作業の制限を決定することができる。1実施形態において、前記システムが使用者に承認を与える場合、前記システムは前記使用者の名前および番号を即座に取得することができるが、不正使用者は前記システムを継続して動作することができなくなる。物品をスキャンおよび検出することによって、前記システムは、その物品の商標の使用者および商標の名称に変換することが可能な情報を取得する。このとき、前記システムに保存されているファイルは、検出時刻、検出者、および検出品に関する情報をすでに含んでいる。いくつかの実施形態において、遠隔データベースは、毎回、受信される指紋データに基づき送信者の地理的場所の決定を行い、そこで送信された指紋パターンデータの比較を行うことによって、データを処理するかどうかの決定を行うこともできる。代表的な実施形態において、データベースシステムは異なるレベルで承認を与えるパターンを用いる。異なるレベルの権限を有する蛍光X線検出器は、その承認権限の範囲内でのみデータおよび情報の読み取りをすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、前記データベースは検出された物品に関する特定の情報を特定の使用者(例えば指紋に基づいて決定される)または特定の検出器(例えば送信されてきた検出器番号に基づく)に対して表示することを許可し、何らかの情報を特定の使用者または特定の検出器に示す。
【0109】
具体的な実施形態において、ローカルまたは遠隔データベースは、128ビットの対称秘密鍵システムを用いるPDAと共にアクセスを承認することができる。(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークは、各検出器について一意の一対の秘密鍵を生成し、それらの鍵の1つをPDAに提供し、その読み取り専用メモリに格納する。その秘密鍵によって、前記PDAは、(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークで内部リソースにアクセスするための承認を受け取る。前記遠隔データベースまたはローカルデータベースは、特定の検出器または特定の使用者に与えられた承認を一時的または永久に取り消すことができる。例えば、PDAを盗難または損失した場合、またはPDAが何らかの制御不能な状況になった場合、(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークで対応する秘密鍵を単純に無効化することによって、このPDAに与えられた承認を直ちに使用不能にすることができる。PDAの再承認が必要な場合、(K−MACネットワークのような)前記データベースネットワークは、前記PDAのために新しい一対の秘密鍵を生成し、前記PDAの読み取り専用メモリで前記秘密鍵を更新する必要がある。
【0110】
加えて、いくつかの実施形態において、異なる蛍光X線検出器を有線または無線方式で相互接続してデータを相互伝送することも可能であるので、異なる蛍光X線検出器のPDAを制御し、同様の方法で承認を制御することができる。
【0111】
追跡および位置検出については、前記ローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースは、受信したデータまたは信号に基づき検出器またはラベル付けされた物品の位置づけを実行することができる。本発明は主にDGPS+GSM+GPRS/CDMA方法を用いる。
【0112】
GPS(global positioning system:グローバル・ポジショニング・システム)は中距離の円軌道衛星位置検出システムであり、正確な位置検出および非常に正確な時刻基準により地球表面のほとんどの情報を提供することができる。このシステムは宇宙の24GPS衛星によって行われている。地球上の標的目標を迅速に決定するには、そのうち少なくとも3つの衛星が必要である。受信可能な衛星の数が多いほど、解読される位置は正確である。このシステムは現在2つのタイプに分けられる。軍事用および民生用である。民生用の信号の精度は約100m、軍事用信号の精度は10m未満である。民生用の精度を向上するために、本発明の追跡および位置検出技術は、近くの既知の基準座標点(他の手段によって測定される)を用いてGPSの誤差を修正するディファレンシャル・グローバル・ポジショニング・システム(DGPS:differential global positioning system)を用い、前記座標の計算にそのようなリアルタイムの誤差値を取り入れることにより、より正確な値を得る。
【0113】
GSMポジショニング技術(TOA/E−OTD/A−GPS)は、A−GPSの方法を主に用いる。A−GPSの原則では、GPS補助ポジショニング法によって以下の工程を達成する。GSMネットワークが補助GPS情報を受信する。
【0114】
前記GSMネットワークは前記補助情報をセル式携帯電話に送信する。前記セル式携帯電話は前記GPS情報を受信し、それ自体の正確な位置を計算し、取得する。前記セル式携帯電話はこの位置情報を前記GSMネットワークに送信する。この方法は2つの方法に分類される。セル式携帯電話支援法およびセル式携帯電話独立法である。(1)セル式携帯電話支援法:このようなソリューションは、従来のGPS受信機のほとんどの機能をネットワークプロセッサに転送することによって達成される。前記方法はアンテナ、RF装置、およびデータプロセッサなどの装置を必要とする。前記GSMネットワークは、時刻、表示可能な衛星一覧、衛星信号ドップラーパラメータ、およびコード位相検索ウィンドウを含む一連の極めて短い補助的情報をセル式携帯電話に送信する。そのようなパラメータは、内蔵されたGPSモジュールによるGPS信号収集の所要時間を短縮するのに役立つ。補助データを前記GPSモジュールによって前記セル式携帯電話から処理した後、約数分間で擬似距離が生成される。そのような擬似距離データを受信後、適切なネットワークプロセッサまたは位置検出サーバは、前記セル式携帯電話の位置を概算することができる。必要な修正を前記GSMネットワークが加えると、前記位置の精度は向上する。(2)セル式携帯電話の独立GPS位置検出法:このようなセル式携帯電話は完全な機能を有するGPS受信機を含み、(1)のセル式携帯電話のすべての機能、およびその他の衛星位置およびセル式携帯電話位置計算機能を有する。計算が始まると、必要なデータは前記セル式携帯電話の補助的手段を超過する。そのようなデータは4時間以上継続するか、または必要に応じて更新可能であり、通常、時刻、基準位置、衛星カレンダー、および時間較正パラメータなどを含む。より高い精度が一部の適用で必要とされる場合、ディファレンシャルGPS(DGPS)信号を前記セル式携帯電話に継続的(約30秒ごと)に送信する必要がある。DGPS信号は非常に広範な地理的領域で有効であり、センターとして用いれば、1つの基準受信機をより広範な地理的領域で利用できる。最終的な位置情報は、前記セル式携帯電話が行う計算によって前記セル式携帯電話が取得する。必要であれば、そのような位置検出情報を任意の他のアプリケーションに送信することができる。データはGPRS/CDMAによって送信される。当業者であれば、既存または将来の様々な位置検出の原則および方法も本発明で考慮されることを理解できる。
【0115】
以下は、本発明の出願者が開発した具体的なデータベース実施形態の説明である(K−MACデータおよび情報管理システム)。
【0116】
前記K−MACデータおよび情報管理システムは、物品に関するすべての元素ラベル情報を格納することができ、そのような情報の調査、アクセス、統計作成、分析、および管理を行う。前記K−MACデータおよび情報管理システムは、その元素ラベル合成システムをそのコンピュータ分析および認証システムと有機的に組み合わせることにより、物品ラベル情報の定義づけ、格納、管理、認証、識別、および前記情報に対するフィードバックの提供という複数の機能を達成する完全なシステムを形成する。
【0117】
前記K−MACシステムはUnixコンピュータクラスターおよび分散型グリッド計算を用いるシステムである。その基本的構成設定の概略を図6に示すことができる。前記システムのより詳細な具体的構成設定については図7を参照する。図示するように、前記K−MACデータおよび情報管理システムは連帯してデータセンターと、認証センターと、遠隔分析/認証システムとを有し、前記データセンターおよび前記認証センターは基本的に図6の遠隔データベース602と等しい。前記K−MACシステムは、Ethernet(登録商標)、無線Ethernet(登録商標)、および光ファイバーネットワークなどのような現在一般に使用されている統合ネットワークを現在の企業システムと共に提供する。前記図は、会社Aおよび会社Bのローカル・エリア・ネットワークであるローカルデータベースを図示する。分析サブシステムA、分析サブシステムB、および分析サブシステムCはそれぞれ会社Aを表し、会社Bでは、検出器611〜615の端末データベースは異なる検出作業を実行する。現在、前記システムは図5が図示する検出器のみを使用している。
【0118】
図8は前記データセンターの中心的構造を示す。この中央データベースは2つのバックアップシステムを有し、これらはファイアウォールおよび交換機と共に構成設定されてから一群のサーバに接続され、その後にルータ、ファイアウォール、および交換機を介して外部ネットワークに接続される。
【0119】
本発明の適用に合わせ、その格納スペースを計算性能と調整し、計算性能をできるだけ高め、高度な信頼性の要求に対応するために、前記システムは以下の特徴を有する。
1.情報ポイントサンプリング:
前記システムは専用ADC(analog to digital converter:アナログ−デジタル変換器)を用い、蛍光X線フィードバックをアナログからデジタルに変換し、そのデジタルデータをエネルギースペクトルで受信し、分析および処理を行うためにコンピュータ通信インターフェイスを介してその取得された予備的データをコンピュータに送信する。
2.データ分析:
最初に、前記コンピュータは、送信された前記データを存続性のために遠隔通信手段によって処理し、前記データセンターで前記コンピュータのメモリ媒体に格納する。次に、前記データセンターの前記コンピュータは指紋データとの比較を行い、標的データとソースデータの類似度指数を取得し、そのような類似度指数に基づき前記物品の適合性を決定した後、最終的に前記適合性を端末処理プログラムに返信する。
3.遠隔通信および遠隔制御:
検出器にケーブルで直接接続されるコンピュータ装置は高度な拡張性を有し(ポータブル検出器上のPDAなど)、その遠隔通信モジュール(WiFi、Bluetooth(登録商標)、およびGPRS)を介して遠隔コンピュータまたはコンピュータ代用品と交信する。前記遠隔コンピュータは、前記遠隔通信モジュールを介して前記検出器の作動/停止、承認、有効化/無効化を遠隔制御し、リアルタイムに前記検出器のステータスおよび位置を追跡することができる。
4.分散型計算:
前記データセンターで、前記コンピュータはクラスターシステムおよび分散型計算を用い、前記検出器が返信したデータを処理する。前記クラスターシステムはネットワークによって相互接続されており、計算リソースを共有する。高速ネットワークで接続されたクラスターシステムでは、主制御ノードが1つの試験の結果データをいくつかのデータブロックに分割する(1データブロックは1つの計算タスクであり、1データブロックはある範囲内の元素データを含む)。この時点で、前記主制御ノードは、様々な計算ノードが計算リソースを完全に利用して確実に前記データの分析および処理をするよう、計算タスクダイナミクスを周囲の計算ノードに分散して計算させる。前記計算が完了した後、前記計算ノードは結果を前記主制御ノードに返信する。前記主制御ノードは前記計算結果をソートし、前記結果データの処理を行う。計算を繰り返す必要がある場合、結論が得られるまで上述の動作を繰り返す。試験の計算では、計算の精度を高め、より低い誤差の結論を得るよう、計算とソートのために前記主制御ノードと前記計算ノード間のやり取りを何度も必要とする場合がある。本システムはコンピュータリソースを有効利用し、計算の精度と性能を向上し、試験時間を短縮する。
【0120】
5.グリッド格納:
データの無作為なアクセス性はかなり高く、個別データのサイズは制限される。しかし、総合データ量はかなり大きい。伝送されるデータは存続性のための処理を毎回必要とし、そのために大きなデータ格納スペースを必要とする。本システムはグリッド格納システムを用い、格納スペースを物理的に分離して中央管理する。このようなスペースの拡張はシンプル且つセキュアであり、データの保全性を確保する。グリッド・データ・システムは計算性能および格納性能を別々に拡張することにより、試験データの比較のための精度要求を満たすことができる。
【0121】
適用という観点からは、前記K−MACシステムを3つのサブシステムに分割することができる。
【0122】
K−MAC−LabはK−MACシステムのサブシステムであり、元素ラベルの合成、格納、および移動に用いられる。例えば、そのようなサブシステムは既知の大量の配合データおよび対応するデータを格納するものであり、計算および組み合わせという手段により様々な状況下で物品のラベル配合を自動生成し、対応するデータを格納することができる。また、測定されたデータを選択的に読み取りおよび記憶することができる。自動組み立てラインという状況では、前記自動配合生成を行う組み立て作業および数多くの物品へのラベルの付加を、そのようなサブシステムで完了する。K−MAC−Labは本システムのデータセンターで動作するものであり、機密情報の開示を防ぐために、堅固な物理的孤立およびモニタリングによって、任意のオフィスのローカル・エリア・ネットワークおよびインターネットから独立している。
【0123】
K−MAC−CSはK−MACシステムのサブシステムであり、元素ラベルをすでに使用している製品の管理に用いられる。K−MAC−CSは前記データセンターで動作するものであり、あらゆる会社およびオフィスのローカル・エリア・ネットワークから独立している。前記K−MAC−CSはインターネットを使ってVPNを設定し、SSLおよびケルベロスなどのような複数の符号化された伝送プロトコルを用いてネットワークの情報伝送のセキュリティおよび信頼性を確保する。
【0124】
K−MAC−WebはK−MACシステムのウェブ管理サブシステムであり、インターネットを介して元素ラベルの使用に関係する取り引きを管理する。K−MAC−Webの使用により、使用者はインターネットを使い任意の場所で遠隔モニタリング、制御、および管理を行うことができる。K−MAC−Webは前記データセンターで動作するものであり、インターネットに接続されており、ハードウェアのネットワークファイアウォールおよび侵入検出システムを用いてシステムのセキュリティを確保する。
【0125】
前記K−MACシステムは役割割り当てシステムを使用する。前記システムは各使用者に合わせてカスタム化することができる。そのようなシステムは、各使用者がその作業領域に入るための排他的権限を保証するものであり、前記使用者の権限を越えるメニューおよび領域を表示しない。前記システムに入るには、前記使用者は使用者名、パスワード、および確認コードを入力する必要がある。本K−MACデータおよび情報管理システムは、そのような情報に基づき各使用者のアクセスメニュー構造を生成するので、前記使用者に最良のセキュリティおよび柔軟性を提供する。
【0126】
そのようなデータシステムは上述の様々な機能を実行することができる。例えば、元素ラベルの合成中、元素コードは自動的に生成される。ラベル付けされる物品の識別資料および情報が作成され、後にカスタム化によって完成され、そのすべては中央データベースに格納される。コンピュータ化されたポータブル分析および認証システム(すなわち図5が示す検出器およびその端末データベース)は、様々なデータセンターから必要なデータおよび情報をダウンロードし、タイムリーにそれを更新および検証してデータを確実に同期することができる。本発明のデータおよび情報管理システムは段階的承認モードを用いるので、異なる権限を有する前記コンピュータ化されたポータブル分析および認証システムは、それぞれの承認権限範囲内のデータおよび資料のみを読み込むことができる。簡潔にするために、これに関する詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0127】
以下は、本発明のシステムのラベル付けソリューションを北京市の9つの行政区域で用いた、物品検査の統計および分析の実例である。このシステムシミュレーションは12ヶ月間行われた。コンピュータ化されたポータブル分析および認証システム(すなわち図5の検出器)が製品を認証すると、それが元素によるラベル付けを受けた製品であるかどうかに関わらず、前記システムは読み取られる情報について調査し、前記システムのデータベースに格納されている正しい情報と比較する。前記情報の受信後、データおよび情報管理システムは前記情報を分類および格納し、それに関する統計を収集し、表示可能なテキストまたは表として結果を生成する。次に、前記システムは前記結果に関するフィードバックを関連部門または使用者に自動的に送信し、前記管連部門または使用者は前記フィードバックを基に決定を行う。
【0128】
図9は、前記システムのデータセンターによる統計収集の後に表示および印刷されたK−MACシステム明細書であり、各試験の検出時刻(読み取り時刻)、製品番号(製品)、位置検出システムによる位置検出に合格した領域情報(場所)、前記システムの検出器の指紋センサーによって返信された指紋パターン検証に合格し前記データセンターが承認した検出器使用者(検査官)、前記データセンターが受信および識別した検出器番号(読み取り機)、および各読み取り結果を示しており、ラベルを有するものはラベル付けされた物品であり、ラベルのないものはラベル付けされていない物品である。前記製品番号をクリックすることにより、そのような製品のカスタム化に関するすべての関連情報に関する調査を行うことができる(図示せず)。承認があれば、前記明細書にアクセスし、任意のレベルでデータシステムに表示することができる。
【0129】
検出データを入力後は、そのような明細書を自動生成することができる。使用者はK−MAC−Webを介しインターネットの任意の場所で、明細書の様々な他の形式を表示することもできる。以下は、前記データセンターで生成された明細書データの例である。図10は、この検出データに基づき生成された、各管理領域でラベル付けされた物品のヒストグラムである。図11は、年間を通し北京市東城区でラベル付けされた物品の線グラフである。図12は、年間を通し北京市東城区でラベル付けされた物品のレーダー図である(図11に対応)。
【0130】
以下は本発明の実際の適用例である。本発明の物品ラベル付けおよび検出スキームは、社会経済的管理および経営管理の分野に広範に適用可能なものであり、前記分野としては、識別、物品の印付け、セキュリティ認証、商品取り違え防止、ロジスティック管理、統計分析、および責任の所在の追跡などが含まれ(限定せず)、適用の可能性は広範である。本発明を用いてラベル付けおよび検出可能な物品としては、以下の分野のものが可能である(ただし限定せず)。政府、企業、軍、警察、税関、司法、税務、産業および商業管理当局、商品検査、品質検査、国境検査、輸送、機械、自動車、オートバイ、ロジスティック、航空、鉄道、消火、タバコ、酒類、食品、医薬、ゲーム、宝くじ、化学産業、電子、電力、教育、出版、衣料、建材、冶金、通信、医療、計器/器具、証明書、メモ、証票、芸術品、化粧品、文化的物品およびスポーツ用品、工芸品、福祉、保険および金融などであり、世界経済の将来的発展に欠かせない重要なステップであり、広範な市場を有する。
【0131】
以下は、いくつかの具体的な用途である。これらのような実例により、当業者は本発明の多くの特徴および利点をさらに認識することができる。
【0132】
商品の検証
商品の検証および識別によって製造業者、ブランド品、および有名ブランドの利益を保護することができ、消費者の正当な利益の保護性を高めることができる。
【0133】
ラベル付け技術については、主に元素ラベルは商品の表面または包装に付加されるか、または前記商品自体の物質に付加される。以下は、いくつかの商品のラベル付け方法の具体的実施例である。
【0134】
食品および非主食食品の場合、S−DNA元素ラベル付け情報技術を食品および非主食食品の大小すべての包装に適用することができる。この適用方法は以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)食品の包装材の生産工程中にS−DNAラベルを付加する(例えばパルプを付加することにより)、(2)食品包装の印刷工程中に、印刷インクに前記S−DNA元素を付加する、(3)完成包装品の任意の情報ポイントを選択し(特に開封およびシール開封を行う位置)、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを付加する、および(4)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを前記食品包装に用いる。
【0135】
書籍のような製品の場合、以下の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して用いる。(1)書籍の表紙印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(2)前記書籍に用いられる用紙の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する、(3)書籍の任意の情報ポイント(表紙または裏表紙)を選択し、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接筆で塗布または適用する、(4)前記S−DNA元素ラベルを含む専用ステッカーを書籍に用いる。
【0136】
CDおよび磁気テープのような製品の場合、以下の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して用いる。(1)S−DNA元素ラベルをCDおよび磁気テープのような製品の外側包装の印刷インクに付加する、(2)S−DNA元素ラベルをCDおよび磁気テープのような製品の商標または内部装飾ラベルの印刷インクに付加する、(3)S−DNA元素ラベルをCDおよび磁気テープのような製品の材料の生産工程中に付加する、(4)CDおよび磁気テープのような製品を任意に選択し、ラベル付けする情報ポイントに前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用ステッカーをCDおよび磁気テープのような製品に用いる。
【0137】
元素ラベル付け技術を医薬および医療品に適用する場合、主にそれらの様々なタイプの包装に適用する(大小の箱、錠剤、水、注射、カプセルなどの包装)。以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)多層包装材料(紙の包装およびプラスチック包装など)の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する(例えばパルプを付加することによって)、(2)医薬および医療品の包装の印刷工程中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(3)完成した医薬および医療品包装製品の任意の情報ポイントを選択し(特にシール開封位置)、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、(4)ガラス製の医薬および医療品包装の場合、S−DNA元素ラベルをそれらの商標、ラベル、またはテキストの印刷インクに付加することができる、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを、医薬および医療品の内側および外側包装に用いる。
【0138】
酒類製品の場合、主にそれらの様々な包装に適用する。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)酒類製品の外側包装材料(紙、木材、プラスチック、および金属包装など)の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する、(2)酒類製品の外側包装の印刷工程中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(3)完成した酒類製品包装の任意の情報ポイントを選択し(特にその外側包装のシール開封位置)、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、(4)酒類製品包装がガラスまたはセラミック容器である場合、S−DNA元素ラベルをそれらの商標および瓶の蓋の印刷インクに付加することができる、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを、酒類製品の外側包装または容器に用いる。
【0139】
タバコ製品に前記元素ラベル付け技術を適用する場合、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを用いる。(1)タバコ製品の包装材料(大型および小型の包装)の生産工程中にS−DNA元素ラベルを付加する(例えばパルプを付加することによって)、(2)タバコ製品の包装の印刷工程中にS−DNA元素ラベルをその印刷インクに付加する、(3)完成したタバコ製品包装の任意の情報ポイントを選択し、ラベル付けする包装の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接筆で塗布、または適用する、(4)前記タバコ製品包装の開封および引き出し工程中にS−DNA元素ラベルを付加する、および(5)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーをタバコ製品の包装に用いる。
【0140】
衣料および皮革のような製品の場合、製品自体、およびそれらに関する証明書に主に適用する。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)衣料および皮革のような製品の生産工程中に、それらの材料(布、綿/亜麻、皮革など)にS−DNA元素ラベルを付加する、(2)衣料および皮革のような製品の染料にS−DNA元素ラベルを付加する、(3)衣料および皮革のような製品の外側包装の印刷工程中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(4)完成した衣料および皮革のような製品の任意の情報ポイントを選択し、ラベル付けする製品の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接筆で塗布、または適用する、(5)衣料および皮革のような製品の装飾品(ボタン、ジッパー、および装飾的品など)にS−DNA元素を筆で塗布する、(6)衣料および皮革のような製品の商標、または前記商標の印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(7)衣料および皮革のような製品に関連する証明書の印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加することができる、および(8)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを衣料および皮革のような製品に用いる。
【0141】
商品の検証および識別の間、上述のラベル付け方法およびK−MACシステムを用いて、各製造業者の各商品は、それらの方法によって得られる排他的なS−DNA元素の一群を符号化する。各S−DNA元素コードを合成するにあたり、承認を有する製造業者、販売者、および管理部門は、そのような情報をカスタム化することができ、そのような情報は使用中いつでも追加、改訂、および削除することができる。
【0142】
製造業者、警察当局および検査当局、卸売業者、購入者および消費者などは、ポータブル蛍光X線検出器のような支援装置の提供を受け、様々なレベルでデータベースが対応するこの装置によって、各商品をリアルタイムに現場で検出および識別することができる。そのような検出および識別の間、前記検出器の端末表示装置は、商品が「ラベル付けされた物品」か「ラベル付けされていない物品」かを表示できるだけでなく、様々なタイプの情報に様々なレベルでデータベースから(承認管理の下で)アクセスすることにより、前記商品の様々な特徴に関する詳細情報を得ることができる。
【0143】
通常、先行技術は様々なタイプのラベルを商品の表面に貼付することによって識別および検証をするが、これは前記商品の表面体積または表面積の優位な部分を占有する必要があり、本発明のような柔軟性はなく、偽造されやすい。本発明のほとんどの元素ラベル付け方法は物品の材料に深く浸透することができ、本発明のステッカーまたは包装識別方法を用いる場合であっても、表面積のごくわずかな部分のみを占有する。元素ラベルの識別はごくわずかな量を用い、ppmレベルで可能であるので見えにくく、手作業で剥離することはできない。よって、それらを偽造することは容易ではなく、むしろ偽造は不可能である。元素ラベルは、ラベル付け対象の物品の材料、形、および体積による制限を受けない。よって、単一の各商品に綿密に貼付することができ、多くの柔軟性を与える。元素ラベルを使用すれば、物品の識別情報の永久ラベルが得られる。同時に、元素ラベルは従来のバーコードまたは2次元コードと併用するための適合性を有する。
【0144】
本発明の大きな利点は、元素ラベルを強力な支援データベースと接続できることである。本発明の様々なレベルでのデータベースによる支援がなければ、元素ラベル付けソリューションは単純な「はい」または「いいえ」の決定のみを得る。しかし、本発明のソリューションは先行技術の制限を克服する。前記データベースの支援により、使用者は各商品のすべての関連情報を格納および学習することができる(当然、承認管理の下で)。よって、商品の循環、消費者の学習権、責任の所在の検索、および遡及決定などの管理はすべて非常に重要となる。
【0145】
例えば、商品の差し替えは、製造業者および企業にとって常に難しい問題であった。ここで言う差し替えとは、利益を求める販売者が、場所Aで販売すべき商品を場所Bで販売することを指す。各商品をラベル付けした後、各商品は独立した元素コードの一群を受ける。各S−DNA元素コードを合成すると、ラベル付けされた物品のそのような元素コードが表す全情報が収集され、K−MACシステムに格納される。前記ラベル付けされた物品の情報は、その販売地域の情報を含むことができる。よって、監督者はポータブル検出器を用いてリアルタイムに現場で前記ラベル付けされた物品の検出および検証を行うことができる。Aと印された地域での販売用にラベル付けされた製品が場所Bで見つかった場合、そのような差し替え行為に対する懲戒処分をとることができ、よって、そのような差し替えの発生を防ぐことができる。
【0146】
ショッピングモール、スーパーマーケット、および消費者のソリューション
本発明の技術を用いることにより、ショッピングモールおよびスーパーマーケットは多くのソリューションを設計することができる。
【0147】
例えば、本発明に基づくポータブル、デスクトップ、または縦型蛍光X線検出器のような装置を提供する公共の検出プラットフォームを特定の場所または特定の商品カウンターの横に設定することができる。消費者は、上記の方法を用いて製造業者がすでにラベル付けした商品について、自分で検出を行い情報を得ることができる。前記検出器は様々なレベルでデータベースに接続されるので、前記消費者は商品に関する様々な情報を受け取ることができる。例えば、前記消費者に表示可能な情報として以下が含まれる。ラベル付けされた製品か否か、製造業者、製造日、前記製造業者の提案価格、商品の仕様および使用に関する注意、および商品の写真など。前記消費者がこれらの情報を理解することにより、明らかにショッピングモールの評価は向上する。
【0148】
あるいは、前記ショッピングモールは公共の検出器プラットフォームを1つだけ一般に提供することができる。そのようなプラットフォームは、そのデータ処理および分析装置以外の全部品を含む。消費者は、遠隔受信機能を有する自分のPDAまたはセル式携帯電話を使うことができる。前記検出器プラットフォームの汎用インターフェイスを挿入し、公共センターから検出プログラムおよびデータを遠隔受信する。そのような公共センターは遠隔中央データベースであり、このデータベースには、製造業者が予め公開し提供したすべての商品情報が収集されている。前記製造業者はそのウェブサイトも一般に公開しており、使いやすいオペレーティングインターフェイスを提供することにより、普通の消費者が携帯しているPDAまたはセル式携帯電話を使い、信頼性があると思われるプログラムおよびデータをダウンロードすることを可能にする。このような公共検出プラットフォームを使い、前記消費者は、購入を希望する商品を任意の時と場所で便利に検出することができ、そのような検出装置を提供するショッピングモールはその評判および競争力を大いに向上する。例えば、深刻な偽造の問題を抱えるタバコおよび酒類のような商品の場合、容易に偽造可能なラベルに基づき偽造品と本物を区別するという困難な作業をするのでなく、偽造が困難な識別を可能にするために専門の検出装置が提供されるショッピングモールであれば、消費者はそのような商品をそのようなショッピングモールで購入しない理由がない。
【0149】
ショッピングモールおよびスーパーマーケットは本発明の技術的ソリューションを使って消費者に利便性を与えるだけでなく、バーコード式ソリューションとの組み合わせまたはその代用を管理する手段として本発明の技術的ソリューションを使うことができる。1つの利益は、製造業者がラベル付けをした商品の場合、ショッピングモールは人的労働力および資材を使って各商品にバーコードを付け直す必要がなく、前記製造業者から引き継いだデータベースからのカスタム化された価格のような情報を加えるだけでよいことである。製造業者がまだラベル付けをしていない商品の場合、前記ショッピングモールは本発明が提供する元素ラベル技術をすべて利用し、前記商品の特定の場所で明確なステッカーを貼付することができる。前記元素ラベルは、可視バーを含むパターンのない透明の接着剤として作ること、および(非常に少ない量が用いられるので)非常に小さく作ることができる。これは真に「グリーン」なラベルであり、商品の外観および美観に一切の影響を与えない。移行のソリューションとして、本発明が提供するスキームをバーコードと組み合わせて使用することも可能であり、この場合、本発明の蛍光X線検出器のような、本発明が提供する装置の前面にバーコード読み取り機を並行に追加するだけでよい。本発明はすでに、POS端末でキャッシャーが携帯使用するために完全に適したコンパクト且つポータブルな蛍光X線端末検出器を設計済みである。
【0150】
本発明は、本発明の元素ラベル付け技術に接続されるデータベースシステムを設計済みであるので、先行技術が提供可能であった「検証システム」の代わりに、決済機能を含む「管理システム」スキームを設計することが可能である。これは、本発明の技術を一般に普及させるための広範な用途の展望を提供する。
【0151】
加えて、消費者の携帯電話に必要な機能を、3Gネットワークの付加価値コンテンツとして表示することができ、物品の識別の認証、データ情報、グラフィック情報、およびビデオ伝送のような付加価値コンテンツをそこから前記消費者に提供することができる。付加価値サービスのない3Gネットワークには、効果的且つ実行可能なサービスコンテンツが導入される。
【0152】
自動車サービスおよび保守
自動車は高価な商品であり、その製造業者および消費者の両者にとって自動車のラベル付けおよびモニタリングは非常に重要である。評判に対する要求が極めて高い中古車市場ではその重要性はさらに高まる。
【0153】
S−DNA元素ラベル付け情報技術を自動車、オートバイ、およびそれらの付属品のような製品に適用する場合、主に前記製品自体および関連する証明書に適用する。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)自動車製品の生産工程中にS−DNA元素ラベルを前記自動車製品の主要部品(エンジン、シャーシ、車体など)の材料またはメッキ層に付加する、(2)完成自動車製品の任意の情報ポイントを選択し、前記製品の表面に前記S−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布または適用する、(3)自動車製品の関連証明書の印刷工程中にS−DNA元素ラベルをその印刷インクに付加することができる、および(4)前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを前記自動車製品に用いる。
【0154】
本発明のデータベース管理システムによって、各自動車およびオートバイ製品(各部品の場所も含め)は、排他的な一群のS−DNA元素コードを受け取る。各S−DNA元素コードが合成されると、そのような元素コードが表す前記自動車製品および製造業者に関するすべての情報が収集され、データベース管理システムに格納されるので、前記製造業者、代理店、修理工場、および消費者による将来的検証および使用が可能となる。加えて、使用者は、例えば車両全体または特定部品の保守機関による保守記録、交通管理当局の登録記録、および点検記録など、車両の使用および修理の既存データベースの情報を継続的に交換することができる。一方、これによって管理当局者による管理が可能になり、K−MACシステムおよびネットワークに様々なレベルで接続されている管理部分については、ポータブル蛍光X線検出器を使うだけで簡単なスキャン動作を行うことができ、前記K−MACシステムから送信される情報は直ちに前記管理当局者のローカルデータベースにダウンロードされ、そこで入力および登録作業が完了される。車両保守情報および交通違反などのような履歴をダウンロードすることもできる。また、車両識別を介し、前記車両保守機関は前記データベースへの問合せおよび前記車両に関する保守情報の記録をすることができ、それにより顧客情報管理および料金管理をすることが可能である。また、自動車の購入者(特に中古車購入者)は、本発明の検出装置を用いて前記データベースから車両に関する全情報、すなわち、例えば製造業者情報、工場渡し日に関する情報、購入日情報、保守情報、交通違反および事故情報、および主要部品が製造業者のオリジナルの部品であるかどうかに関する情報のような客観的情報を、即座に取得することができる。本発明のラベルは非常に信頼性が高く、偽造が不可能であることを理解すべきである。使用者が取得するデータベース情報は、前記使用者のPDAまたはセル式携帯電話を介して公共中央局(すなわち遠隔データベース)から収集可能である。よって、そのような情報の真実性に疑いの余地はない。よって、中古車購入者は自動車購入時に自分の「感覚」および「経験」を心配する必要がなくなる。
【0155】
ここでも、偽造不能なラベルスキームを強力なデータベースシステムと組み合わせることにより本発明が形成するシステムは、絶対的に単純な識別スキームではなく、社会管理、市場開発、情報のコンピュータ化、および評価機構の多くの側面で大きな役割を果たすことができる包括的なスキームである。
【0156】
証明書、免許、ドアアクセス、および証票
証明書および免許は主に以下を含む。自然人が所有する身分証明書、世帯登録カード、パスポート、パス、雇用に関する身分証明書、学歴証明書、結婚許可証、医療保険カード、不動産権利書、車両運転許可証、運転免許証、車両ナンバープレート、および様々な技能証明書など、および事業許可証、組織コード証明書、税金登録証明書、権利書、出生許可証、販売許可証、衛生許可証、およびCCC証明書RS9000証明書、および環境保護証明書などのような様々な証明書。証票は、主に、請求書、税務当局の税金証明書および税金支払い済み証明書、税関の税関申告書および関税書式、金融機関の入金伝票、小切手、手形、融資契約書、および信用状など、郵便局の郵便切手、郵便受領書、および送金通知など、交通関係当局の航空券、列車乗車券、バス乗車券、船舶乗船券、タクシー料金領収書、および発送書類など、芸能関係当局の映画館入場券、演劇等のチケットおよび入場券、裁判所の召喚状など。
【0157】
証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票に前記S−DNA元素ラベル付け情報を適用する主な方法は、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用する。(1)、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の生産中に、前記証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票にS−DNA元素ラベルを付加する(例えばパルプ、プラスチック、および磁気カードなどを加えることによって)、(2)証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の印刷中に、その印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加する、(3)証明書およびドアアクセスの場合、その印刷オイルにS−DNA元素ラベルを付加することができる、(4)証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の完成品の任意の情報ポイントを選択し、その表面にS−DNA元素ラベルを直接に筆で適用する。
【0158】
前記K−MACシステムの使用により、各証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票はその独自のS−DNA元素コードを受け取る。各S−DNA元素コードが合成されると、そのような元素コードによって表されるそのような証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の全情報は収集され、前記K−MACシステムに格納される。前記情報は以下を含むことができる。標識元素のコード、元素の特徴的コード、証明書および免許証番号、発行日、使用条件、証明書および免許証発行者および所有者に関する情報(所有者の写真を含む)および材料など。
【0159】
証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の管理部門および使用者部門は、ポータブル検出器を用い、データベースシステムの支援を得て、様々なタイプの証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票についてリアルタイムで検出を行い、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の信憑性および条件を検証し、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の信憑性、有効性、およびセキュリティを確保することができる。例えば、ローカルまたは遠隔のデータベースが接続されると、「はい」または「いいえ」の決定に加え、前記ポータブル検出器の表示装置に返信される情報は、前記所有者の写真のような個人的資料および情報も返信することができるので、完全な安全を確保することができる。
【0160】
本発明のソリューションはデータベースシステムと組み合わされるので、一般的意味合いにおいての証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票の静的管理の制限を克服する。同時に、動的管理および包括的管理の両方の機能を有する。すなわち、使用工程の管理、およびコンピュータ化された包括的情報管理である。例えば、組織のドア・アクセス・カードは、入場の都度、駐車料金支払いカードとしての役割も同時に果たすことができ、本発明の検出器は、その所有者の身元認証と共にスキャン時刻をローカルデータベースに入力し、前記ローカルデータベースには出車時のスキャン時刻も格納される。前記データベースのソフトウェアは、別々に記録された時刻間の時間に基づき迅速に料金を計算し、前記ドアの表示画面にそれを表示する。同時に、前記ソフトウェアは、前記所有者のデータベース記録にアカウント形式で項目を格納する。同一のドア・アクセス・カードを用い、異なるタスクの管理をすることも可能であり、例えば、前記組織のローカルデータベースが共有されている限り、食堂の電子料金計算にも用いることができるので、このカードは部門のシステム内の「唯一のカード」となる。本発明の利益的特徴に基づき、元素ラベルは様々な隠された形式および無形で様々なタイプの媒体に個別に存在することができるので、証明書および免許証、ドアアクセスおよび証票は「カード」の形を有する必要はない。例えば、アタッシュケースの表面をラベルとして使用したい場合もあれば、ブレスレットをラベル材料として使用したい場合もある。本発明を用い前記のいずれも容易に実現可能であるが、先行技術を用いたどの電子証明書および免許証も、ICチップまたはラベルを入れる専用スペースを必要とする。そのような個人用証明書またはラベルを盗難しても、犯人は自分が何を盗難したのか全くわからず、そこに含まれる証明書の機能を知る方法がないので、そのような個人用証明書またはラベルが盗難される恐れはない。前本発明のデータシステムはそのような証明書の権限を取り消し、永久に無効化するだけでよい。
【0161】
銃および弾薬の管理
銃および弾薬の安全な管理は重要である。銃および弾薬の管理が制御されていない場合、あるいはそのような物品の盗難および損失が起きた場合、深刻な結果を生むことがある。本発明のS−DNA元素ラベルが有する強力な浸透性および金属物質の表面および分子構造を抜ける浸透能力のような技術的特徴および性能を用いて、銃および弾薬に直接にラベル付けをすることができる。
【0162】
ラベル付けおよび処理の後、各銃および各タイプの弾薬は、それぞれの分類または特別な必要に基づき、一群のS−DNA元素コードを受け取る。各S−DNA元素コードが合成されると、そのような元素コードによって表されるそのような銃および弾薬の全情報が収集され、そのデータベース管理システムに格納される。
【0163】
ポータブル検出器を用い、前記データベース管理システムの支援を受け、州および政府当局の保安管理要員は、様々なタイプの銃および弾薬について現場でのリアルタイムの検出を行い、銃および弾薬を絶対的に安全に保管することができる。例えば、(1)各銃に割り当てられた使用者の情報を、S−DNA元素ラベルを介して前記データベース管理システムに格納することができる。銃の損失と同時に、前記データベースに含まれる前記元素ラベルに対応する管理人に関する情報を基に、損失した前記銃の追跡を行うことができる。(2)元素でラベル付けされた銃が承認なしに特定領域から持ち出されると同時に、本発明の検出装置はそのドア・アクセス・システムと共に警告を発することができる。(3)前記S−DNA元素は高温に対する抵抗性を有するので、発砲後の弾丸であっても、弾丸または弾丸ケースが発見されれば、前記弾丸または弾丸ケースが変形しているかどうかに関わらず、検出器を用いて正確に前記S−DNA元素ラベルを見つけることができる。前記データベースシステムを頼りに、そのような弾丸に関係する情報を迅速に検証し、直接の責任者を見つけることができる。現在、公共保安組織が行う事故調査中、弾薬の製造日およびバッチ番号などを決定するために弾丸または弾丸ケースの成分も分析されるが、人工的に付加されたラベルを対象とした分析ではなく、異なる製造業者および異なるバッチなどの材料および成分の違いを見つけるための間接的調査が行われる。本発明の人造合成S−DNA元素ラベルのラベル付けおよび検出システムの適用、および各ラベルに接続された強力なデータベースからの情報による支援により、前記システムは各弾丸の追跡および位置検出を正確に行うことができる。大規模な自動組み立てライン作業および前記データベースによる無作為符号化スキームを用いれば、各銃および弾薬のラベル付けおよびコンピュータ化された管理を行うことは困難ではない。工業化された大規模な製造の場合、各品のラベル付けに多額の費用は必要ない。大規模なラベル付けを要するすべての品の製造を、同様の方法で実行することができる。
【0164】
芸術品および文化遺産。
【0165】
芸術品、文化遺産、および文学は、それらの信憑性ゆえに貴重なものである。本物の品および書物と偽造品では価値に大きな違いがある。
【0166】
新たに製作または収集された芸術品、文化遺産、および歴史的文献への元素ラベル適用方法は以下のとおりである。適用方法としては、以下の方法の任意の1若しくはいくつかの組み合わせを選択して使用することができる。(1)芸術品、文化遺産、および歴史的文献の情報ポイントを選択し、そのような芸術品、文化遺産、および歴史的文献の表面にS−DNA元素ラベルを直接に筆で塗布する、(2)芸術品、文化遺産、および歴史的文献に関係する証明書の印刷インクにS−DNA元素ラベルを付加することができる、および(3)芸術品、文化遺産、および歴史的文献の前記S−DNA元素ラベルを含む専用IDステッカーを用いる。
【0167】
各芸術品、文化遺産、および歴史的文献のS−DNA元素符号化により、各芸術品、文化遺産、および歴史的文献の全情報およびその収集家の履歴を収集し、データベース管理システムに格納することができる。ポータブル検出器を用い、前記データベース管理システムの支援を受け、管理責任者は様々なタイプの芸術品、文化遺産、および歴史的文献を現場でリアルタイムに検出し、前記芸術品、文化遺産、および歴史的文献の盗難、交換、偽造、および密輸などを確実に防ぐ。芸術品、文化遺産、および歴史的文献の将来的なオークション、取り引き、および回覧に際しては、ラベル付けされた物品の検査およびそれについての情報の収集によってそれらの信憑性が証明される。
【0168】
本発明の特徴の重要な観点に基づき、識別可能な標識元素は外部に付加される元素だけでなく、物品自体の物質に固有の元素も含む。本発明の技術的ソリューションを用い、古代文化遺産を検証することができる。例えば、高温焼結された古代の磁器に含まれる主な微量元素の特定の値のような指紋情報は、時間を経ても変化しない。したがって、蛍光X線技術を用いることにより、古代磁気の分析、検証、および認証のための信頼できる科学的根拠を提供することができる。例えば、唐、宋、および晋王朝時代の確認および定量化された文化遺産の測定に基づき、定窯(Ding Kiln)の磁器内層に含まれるZnとFeのピーク領域内計数比は0.01〜0.04の範囲内で変動し、TiとFeの比率は0.02〜0.05であり、MnとFeの比率は0.03〜0.15であった。「文化遺産」と称される品の壁面のグレーズ層が約1.1〜1.2のZn対Fe比、約0.06〜0.08のTi対Fe比、および約0.01のMn対Fe比を有するという検出結果が得られた場合、前記「文化遺産」と称される品は唐、宋、および晋王朝時代に作られたものではないと基本的に結論付けることができる。現在、文化遺産の検証のほとんどは「見た目」に頼っており、一部の検証は技術的手段によって行われる。しかし通常は、様々なパラメータを研究所に戻して測定し、本物の文化遺産と比較するか、比較のために歴史情報を検索する。これは時間およびエネルギーの両方を費やす。この点、本発明のK−MAC−Labデータベースを介し、統計および検査に基づき、計算および組み合わせ方法を用いて、本発明は、適切な時代および窯からの数多くの古代磁器検体の主要元素および微量元素成分および特徴的パラメータを有する非常に信頼できる完全な基準スペクトルデータベースを最初に作成する。本発明のポータブル蛍光X線検出器を用い、前記データベースとの遠隔接続を設立することにより、ポータブル蛍光X線検出器を持つ普通の誰もが、文化遺産のある場所で「文化遺産の専門家」になることができる。
【0169】
本発明の異なる実施形態について上記に説明してきたが、これらはあくまで例示的であり、限定するものではない。当然、当業者であれば、本発明の意図および範囲から逸脱せずに様々な変更および改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、本発明の実施形態における蛍光X線ラベル付けおよび検出の構造ブロック図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態における蛍光X線によって検出されるスペクトルの検体を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態における蛍光X線によって検出される紙の燃焼前のスペクトルを示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態における蛍光X線によって検出される紙の燃焼後のスペクトルを示す。
【図5】図5は、本発明の実施形態におけるポータブル読み取り機の外部の透視図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態におけるデータシステムの構造を図示する。
【図7】図7は、本発明の実施形態におけるK−MACシステムの構造を図示する。
【図8】図8は、前記K−MACデータセンターの構造を図示する。
【図9】図9は、前記データセンターが統計をまとめ、表示および印刷した後のK−MACシステム文書の一種である。
【図10】図10は、前記K−MACシステムにより生成されたヒストグラムである。
【図11】図11は、前記K−MACシステムにより生成された線グラフである。
【図12】図12は、前記K−MACシステムにより生成された線グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をラベル付および検出するための方法であって、
(1)物品に使用されるラベルを定義する工程であって、前記ラベルは、当該物品に固有であり当該物品から選択される少なくとも1つの化学元素および/または付加的化学元素を含むものである、前記ラベルを定義する工程と、
(2)前記ラベルに関するデータを含むデータベースを提供する工程と、
(3)前記物品が発する信号を検出して検出データを生成し、さらに前記検出データを使用して前記データベース内のデータと比較する工程と、
(4)前記比較結果に基づいて、前記データベースにより、検出された物品がラベル付けされた物品か、またはラベル付けされていない物品かを決定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
物品を管理する方法であって、
(1)前記物品に使用されるラベルを定義する工程であって、前記ラベルは、当該物品に固有であり当該物品から選択された少なくとも1つの化学元素および/または付加的化学元素を含むものである、前記ラベルを定義する工程と、
(2)前記ラベルに関するデータを含むデータベースを提供する工程と、
(3)前記物品が発する信号を検出して検出データを生成し、さらに前記検出データを使用して前記データベース内のデータと比較する工程と、
(4)前記比較結果に基づいて、前記データベースにより、検出された物品がラベル付けされた物品か、またはラベル付けされていない物品かを決定し、前記物品に関する少なくとも1つの情報を読み込む工程と
を含む方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記ラベルは少なくとも2つの化学元素を含むことを特徴とするものである。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記化学元素の少なくとも1つは5より大きい原子番号を有する元素であることを特徴とし、最適な元素は22より大きい原子番号を有し、さらにこれらの元素は周期表のdブロックおよびfブロック元素であり、より最適な元素は、ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、およびイッテルビウムの化学元素から選択される元素である。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、この方法は、前記元素の1若しくはいくつかをベンチマークとして使用する標識元素として定義することを特徴とするものであり、前記ベンチマークとして使用する標識元素として最適な元素は22より大きい原子番号を有し、さらにこれらの元素は周期表のdブロックおよびfブロック元素であり、より最適な元素は、ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、およびイッテルビウムの化学元素から選択される元素であり、さらに最適な元素は、イットリウム、ランタン、セリウム、ユウロピウム、およびイッテルビウムから選択される元素であり、その他の元素の体積は、前記ベンチマークとして使用する標識元素の体積に整数または小数を掛けた体積となるものである。
【請求項6】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記標識元素の最低含有量は100ppb〜50ppmであり、当該最低含有量は技術の進歩と共にさらに減少し得ることを特徴とするものである。
【請求項7】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記データソースは1若しくは複数の元素と、元素の濃度レベルと、前記元素間の濃度レベル比と、前記物品に対する1次元、2次元、または3次元の分布と、それらの任意の組み合わせとを含むことを特徴とするものである。
【請求項8】
請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記元素ラベルを物品の生産工程前および/または生産工程中、または生産工程後に付加することができること、および被覆、噴霧、沈着、含浸、混合、および印刷などの方法を用いることができることを特徴とするものである。
【請求項9】
請求項1または請求項2記載の方法において、ラベル付けに用いられる化学物質および/または前記元素の単体は担体物質によって結合することが可能であり、前記担体物質は気体、液体、および/または固体を含むことを特徴とするものである。
【請求項10】
請求項1〜5、および請求項9のうちのいずれかに1つに記載の方法において、元素ラベル付けのための特定の配合はデータベースシステムおよび/または人により選択および生成され、且つ当該データはデータベースに格納されることを特徴とするものである。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、定量的配合管理はデータベースシステムおよび/または人および/または自動装置によって行われることを特徴とするものである。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の方法において、この方法は、励起源を含む装置を用いて物品をスキャンして検出することを特徴とし、前記励起源は、X線励起源、γ線励起源、α線励起源、電子ビーム励起源、紫外線励起源、可視光励起源、赤外線励起源、レーザー励起源、核共鳴励起源、またはそれらの組み合わせから選択されるものである。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、物品の検出に用いられる前記検出装置は蛍光X線検出器が最適であることを特徴とするものである。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記データベースは、前記蛍光X線検出器自体が有する端末データベース、および/または前記蛍光X線検出器に接続されたローカルデータベース、および/または前記蛍光X線検出器および/またはローカルデータベースに接続された遠隔中央データベースを含むことを特徴とするものである。
【請求項15】
請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記蛍光X線検出器は有線または無線ネットワークを介して前記ローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースに接続され、前記ローカルデータベースと遠隔中央データベースは有線または無線ネットワークを介して接続されることを特徴とするものである。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記ネットワークは、CDMAネットワークおよびGSMネットワーク間などの複数のネットワーク間のデータの伝送および共有を支援することを特徴とするものである。
【請求項17】
請求項11〜16のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記データは、物品のスキャン、データベースによる計算および/または組み合わせ、手計算および/または組み合わせ、または前記方法の組み合わせなどの方法によって取得される、スペクトルデータを含むデータを含むことを特徴とするものである。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記取得されるデータは選択的に定義され、さらに、定義された後、当該データは指紋データに形成されることを特徴し、前記指紋データは、さらに、前記元素に関する情報、前記元素の濃度レベルに関する情報、前記元素の濃度レベル比に関する情報、配合に関する情報、および前記物品に関する情報を含むものである。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記データベースは指紋データを格納し、物品の検出によって取得されたデータを前記データベースに格納された指紋データと比較することにより、検出対象の物品がラベル付けされた物品か、またはラベル付けされていない物品かを決定し、前記物品に関する少なくとも1つの情報を読み込むことを特徴とするものである。
【請求項20】
請求項12〜16のうちのいずれか1つに記載の方法において、DGPS+GSM+GPRS/CDMA追跡技術および位置検出技術によって、前記方法の遠隔中央データベースは前記方法の蛍光X線検出器の端末データベース、および/または前記蛍光X線検出器に接続されたローカルデータベースを追跡、位置検出、および遠隔制御することを特徴とするものである。
【請求項21】
請求項12〜16のうちのいずれか1つに記載の方法において、この方法は、前記蛍光X線検出器を承認すること、または前記承認を取り消すことが可能であることを特徴とし、前記承認または承認の取り消しは、前記蛍光X線検出器に具備される承認制御装置を介して完了され、および/または前記承認または承認の取り消しは、前記蛍光X線検出器に接続された端末データベースを介して、および/または前記蛍光X線検出器に接続されたローカルデータベースを介して、および/または前記遠隔中央データベースを介して、遠隔制御されるものであり、前記承認制御装置は開始パスワードと、生体センサーと、機械的スイッチと、電源スイッチとを含むものである。
【請求項22】
請求項19記載の方法において、承認および符号化の後に前記データは前記データベースに格納されること、若しくは承認および符号化の後に前記データは前記データベース内の指紋データと比較されることを特徴とするものである。
【請求項23】
上記請求項のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記情報は、物品の識別または前記物品の所有者の識別に用いられる情報、前記物品または前記物品の所有者の管理に用いられる情報、および他のカスタム情報のうちの1若しくは複数の組み合わせを含むことを特徴とし、前記他のカスタム情報は、ラベル付けの後に前記データベース内で継続的に追加、削除、および変更され、これにより、前記物品に必要な特定のデータ、および前記所有者によって使用される特定のデータに基づいて、前記物品に関連する任意のタイプおよび内容の情報をカスタム化することが容易になるものであり、前記情報は様々なレベルで並行または段階的にデータベースに格納され、相互にアクセスおよび使用することが可能になるものである。
【請求項24】
請求項19記載の方法において、前記データベースはクラスターシステムおよび分散型計算を用いることを特徴とするものである。
【請求項25】
請求項1〜24のうちのいずれか1つに記載の装置において、この装置は、前記化学元素ラベルを検出するために用いられる試験装置と、前記試験装置に接続されたデータベースとを有することを特徴とするものである。
【請求項26】
請求項25記載の装置において、前記試験装置には、励起源、検出器、データ処理装置および分析装置、前記データ処理および分析装置に配置された表示装置または独立した表示装置が具備されており、
前記データベースは、前記試験装置自体の端末データベース、および/または前記試験装置に接続されたローカルデータベース、および/または前記試験装置および/またはローカルデータベースに接続された遠隔中央データベースであり、
前記試験装置は、前記端末データベース、および/またはローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースに有線または無線のネットワークを介して接続され、前記端末データベース、およびローカルデータベースおよび遠隔中央データベースは有線または無線ネットワークを介して相互接続されることを特徴とするものである。
【請求項27】
請求項25または請求項26記載の装置において、前記励起源は、X線励起源、γ線励起源、α線励起源、電子ビーム励起源、紫外線励起源、可視光励起源、赤外線励起源、レーザー励起源、核共鳴励起源、またはそれらの組み合わせから選択されることを特徴とするものである。
【請求項28】
請求項25〜27のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記データ処理および分析装置は、様々なパームトップコンピュータ、PDA、また高性能携帯電話のような、有線および/または無線伝送能力を有する電子装置であることを特徴とするものである。
【請求項29】
請求項25〜28のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は、さらに、
承認制御装置、追跡装置、位置検出装置、および/または遠隔制御装置を含むことを特徴とするものである。
【請求項30】
請求項25〜29のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は、さらに、
バーコード読取り機と、ICカード読取り機と、RFID読取り機と、磁気カード読取り機と、2次元コード読取り機と、生体読取り機とを含むことを特徴とするものである。
【請求項31】
請求項25〜30のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は一体型携帯機器または着脱式携帯機器から選択されることが最適的であることを特徴とするものである。
【請求項32】
請求項25〜31のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は前記DGPS+GSM+GPRS/CDMA追跡技術および位置検出技術に基づく装置およびソフトウェアも含むことを特徴とするものである。
【請求項33】
請求項25〜32のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は、プレート・レベル・スキーム、モジュールスキーム、およびさらにチップ・レベル・スキームを含む内蔵スキームを提供することを特徴とし、DSPと、分析プログラムおよび処理プログラムを有するROMチップと、RAMチップとが統合されて1つのFPGAチップとして包括され、読み込みのためのセンサー部分は汎用外部装置として製造され、豊富な周辺割り当てインターフェイスが提供されることにより、X線、レーザー、および赤外線などの他の装置と接続されるものである。
【請求項1】
物品をラベル付および検出するための方法であって、
(1)物品に使用されるラベルを定義する工程であって、前記ラベルは、当該物品に固有であり当該物品から選択される少なくとも1つの化学元素および/または付加的化学元素を含むものである、前記ラベルを定義する工程と、
(2)前記ラベルに関するデータを含むデータベースを提供する工程と、
(3)前記物品が発する信号を検出して検出データを生成し、さらに前記検出データを使用して前記データベース内のデータと比較する工程と、
(4)前記比較結果に基づいて、前記データベースにより、検出された物品がラベル付けされた物品か、またはラベル付けされていない物品かを決定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
物品を管理する方法であって、
(1)前記物品に使用されるラベルを定義する工程であって、前記ラベルは、当該物品に固有であり当該物品から選択された少なくとも1つの化学元素および/または付加的化学元素を含むものである、前記ラベルを定義する工程と、
(2)前記ラベルに関するデータを含むデータベースを提供する工程と、
(3)前記物品が発する信号を検出して検出データを生成し、さらに前記検出データを使用して前記データベース内のデータと比較する工程と、
(4)前記比較結果に基づいて、前記データベースにより、検出された物品がラベル付けされた物品か、またはラベル付けされていない物品かを決定し、前記物品に関する少なくとも1つの情報を読み込む工程と
を含む方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記ラベルは少なくとも2つの化学元素を含むことを特徴とするものである。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記化学元素の少なくとも1つは5より大きい原子番号を有する元素であることを特徴とし、最適な元素は22より大きい原子番号を有し、さらにこれらの元素は周期表のdブロックおよびfブロック元素であり、より最適な元素は、ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、およびイッテルビウムの化学元素から選択される元素である。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、この方法は、前記元素の1若しくはいくつかをベンチマークとして使用する標識元素として定義することを特徴とするものであり、前記ベンチマークとして使用する標識元素として最適な元素は22より大きい原子番号を有し、さらにこれらの元素は周期表のdブロックおよびfブロック元素であり、より最適な元素は、ストロンチウム、ルビジューム、イットリウム、セシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ルビジューム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、およびイッテルビウムの化学元素から選択される元素であり、さらに最適な元素は、イットリウム、ランタン、セリウム、ユウロピウム、およびイッテルビウムから選択される元素であり、その他の元素の体積は、前記ベンチマークとして使用する標識元素の体積に整数または小数を掛けた体積となるものである。
【請求項6】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記標識元素の最低含有量は100ppb〜50ppmであり、当該最低含有量は技術の進歩と共にさらに減少し得ることを特徴とするものである。
【請求項7】
請求項1または請求項2記載の方法において、前記データソースは1若しくは複数の元素と、元素の濃度レベルと、前記元素間の濃度レベル比と、前記物品に対する1次元、2次元、または3次元の分布と、それらの任意の組み合わせとを含むことを特徴とするものである。
【請求項8】
請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記元素ラベルを物品の生産工程前および/または生産工程中、または生産工程後に付加することができること、および被覆、噴霧、沈着、含浸、混合、および印刷などの方法を用いることができることを特徴とするものである。
【請求項9】
請求項1または請求項2記載の方法において、ラベル付けに用いられる化学物質および/または前記元素の単体は担体物質によって結合することが可能であり、前記担体物質は気体、液体、および/または固体を含むことを特徴とするものである。
【請求項10】
請求項1〜5、および請求項9のうちのいずれかに1つに記載の方法において、元素ラベル付けのための特定の配合はデータベースシステムおよび/または人により選択および生成され、且つ当該データはデータベースに格納されることを特徴とするものである。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、定量的配合管理はデータベースシステムおよび/または人および/または自動装置によって行われることを特徴とするものである。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の方法において、この方法は、励起源を含む装置を用いて物品をスキャンして検出することを特徴とし、前記励起源は、X線励起源、γ線励起源、α線励起源、電子ビーム励起源、紫外線励起源、可視光励起源、赤外線励起源、レーザー励起源、核共鳴励起源、またはそれらの組み合わせから選択されるものである。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、物品の検出に用いられる前記検出装置は蛍光X線検出器が最適であることを特徴とするものである。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記データベースは、前記蛍光X線検出器自体が有する端末データベース、および/または前記蛍光X線検出器に接続されたローカルデータベース、および/または前記蛍光X線検出器および/またはローカルデータベースに接続された遠隔中央データベースを含むことを特徴とするものである。
【請求項15】
請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記蛍光X線検出器は有線または無線ネットワークを介して前記ローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースに接続され、前記ローカルデータベースと遠隔中央データベースは有線または無線ネットワークを介して接続されることを特徴とするものである。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記ネットワークは、CDMAネットワークおよびGSMネットワーク間などの複数のネットワーク間のデータの伝送および共有を支援することを特徴とするものである。
【請求項17】
請求項11〜16のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記データは、物品のスキャン、データベースによる計算および/または組み合わせ、手計算および/または組み合わせ、または前記方法の組み合わせなどの方法によって取得される、スペクトルデータを含むデータを含むことを特徴とするものである。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記取得されるデータは選択的に定義され、さらに、定義された後、当該データは指紋データに形成されることを特徴し、前記指紋データは、さらに、前記元素に関する情報、前記元素の濃度レベルに関する情報、前記元素の濃度レベル比に関する情報、配合に関する情報、および前記物品に関する情報を含むものである。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記データベースは指紋データを格納し、物品の検出によって取得されたデータを前記データベースに格納された指紋データと比較することにより、検出対象の物品がラベル付けされた物品か、またはラベル付けされていない物品かを決定し、前記物品に関する少なくとも1つの情報を読み込むことを特徴とするものである。
【請求項20】
請求項12〜16のうちのいずれか1つに記載の方法において、DGPS+GSM+GPRS/CDMA追跡技術および位置検出技術によって、前記方法の遠隔中央データベースは前記方法の蛍光X線検出器の端末データベース、および/または前記蛍光X線検出器に接続されたローカルデータベースを追跡、位置検出、および遠隔制御することを特徴とするものである。
【請求項21】
請求項12〜16のうちのいずれか1つに記載の方法において、この方法は、前記蛍光X線検出器を承認すること、または前記承認を取り消すことが可能であることを特徴とし、前記承認または承認の取り消しは、前記蛍光X線検出器に具備される承認制御装置を介して完了され、および/または前記承認または承認の取り消しは、前記蛍光X線検出器に接続された端末データベースを介して、および/または前記蛍光X線検出器に接続されたローカルデータベースを介して、および/または前記遠隔中央データベースを介して、遠隔制御されるものであり、前記承認制御装置は開始パスワードと、生体センサーと、機械的スイッチと、電源スイッチとを含むものである。
【請求項22】
請求項19記載の方法において、承認および符号化の後に前記データは前記データベースに格納されること、若しくは承認および符号化の後に前記データは前記データベース内の指紋データと比較されることを特徴とするものである。
【請求項23】
上記請求項のうちのいずれか1つに記載の方法において、前記情報は、物品の識別または前記物品の所有者の識別に用いられる情報、前記物品または前記物品の所有者の管理に用いられる情報、および他のカスタム情報のうちの1若しくは複数の組み合わせを含むことを特徴とし、前記他のカスタム情報は、ラベル付けの後に前記データベース内で継続的に追加、削除、および変更され、これにより、前記物品に必要な特定のデータ、および前記所有者によって使用される特定のデータに基づいて、前記物品に関連する任意のタイプおよび内容の情報をカスタム化することが容易になるものであり、前記情報は様々なレベルで並行または段階的にデータベースに格納され、相互にアクセスおよび使用することが可能になるものである。
【請求項24】
請求項19記載の方法において、前記データベースはクラスターシステムおよび分散型計算を用いることを特徴とするものである。
【請求項25】
請求項1〜24のうちのいずれか1つに記載の装置において、この装置は、前記化学元素ラベルを検出するために用いられる試験装置と、前記試験装置に接続されたデータベースとを有することを特徴とするものである。
【請求項26】
請求項25記載の装置において、前記試験装置には、励起源、検出器、データ処理装置および分析装置、前記データ処理および分析装置に配置された表示装置または独立した表示装置が具備されており、
前記データベースは、前記試験装置自体の端末データベース、および/または前記試験装置に接続されたローカルデータベース、および/または前記試験装置および/またはローカルデータベースに接続された遠隔中央データベースであり、
前記試験装置は、前記端末データベース、および/またはローカルデータベースおよび/または遠隔中央データベースに有線または無線のネットワークを介して接続され、前記端末データベース、およびローカルデータベースおよび遠隔中央データベースは有線または無線ネットワークを介して相互接続されることを特徴とするものである。
【請求項27】
請求項25または請求項26記載の装置において、前記励起源は、X線励起源、γ線励起源、α線励起源、電子ビーム励起源、紫外線励起源、可視光励起源、赤外線励起源、レーザー励起源、核共鳴励起源、またはそれらの組み合わせから選択されることを特徴とするものである。
【請求項28】
請求項25〜27のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記データ処理および分析装置は、様々なパームトップコンピュータ、PDA、また高性能携帯電話のような、有線および/または無線伝送能力を有する電子装置であることを特徴とするものである。
【請求項29】
請求項25〜28のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は、さらに、
承認制御装置、追跡装置、位置検出装置、および/または遠隔制御装置を含むことを特徴とするものである。
【請求項30】
請求項25〜29のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は、さらに、
バーコード読取り機と、ICカード読取り機と、RFID読取り機と、磁気カード読取り機と、2次元コード読取り機と、生体読取り機とを含むことを特徴とするものである。
【請求項31】
請求項25〜30のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は一体型携帯機器または着脱式携帯機器から選択されることが最適的であることを特徴とするものである。
【請求項32】
請求項25〜31のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は前記DGPS+GSM+GPRS/CDMA追跡技術および位置検出技術に基づく装置およびソフトウェアも含むことを特徴とするものである。
【請求項33】
請求項25〜32のうちのいずれか1つに記載の装置において、前記試験装置は、プレート・レベル・スキーム、モジュールスキーム、およびさらにチップ・レベル・スキームを含む内蔵スキームを提供することを特徴とし、DSPと、分析プログラムおよび処理プログラムを有するROMチップと、RAMチップとが統合されて1つのFPGAチップとして包括され、読み込みのためのセンサー部分は汎用外部装置として製造され、豊富な周辺割り当てインターフェイスが提供されることにより、X線、レーザー、および赤外線などの他の装置と接続されるものである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−503521(P2009−503521A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524348(P2008−524348)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001946
【国際公開番号】WO2007/014532
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
【出願人】(508035632)トゥルー プロダクト アイディー テクノロジー(ベイジン)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001946
【国際公開番号】WO2007/014532
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
【出願人】(508035632)トゥルー プロダクト アイディー テクノロジー(ベイジン)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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