説明

物品供給装置

【課題】包装機への物品送出タイミングに一時的遅れが発生する場合の物品搬送処理を良好に行う。
【解決手段】駆動モータ7により走行駆動される複数の搬送コンベヤ3のうち包装機に向けて物品9を供給するタイミングに遅れが生じた際に包装機と第一搬送コンベヤC0,C1とを停止させる。第一搬送コンベヤC0,C1より上流側に配設された第二搬送コンベヤC2〜C6のうち特定の搬送コンベヤC2,C3が物品9を受け入れる際に、特定の搬送コンベヤC2,C3の上流側に隣接する搬送コンベヤC4〜C6で搬送される物品9の検知に基づき、特定の搬送コンベヤC2,C3を物品略一つ分ずつ搬送するよう間欠的に走行駆動して物品9を貯留し、包装機が運転可能な状態となり、特定の搬送コンベヤC2,C3への物品貯留数が所定数を越える時に、第一搬送コンベヤC0,C1の走行を再開させて、物品9を第一搬送コンベヤC0,C1に向けて搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前工程からランダムに搬送されてくる物品を包装機等の処理機に向けて所定間隔毎にタイミングを合わせて供給する複数の搬送コンベヤを備えた物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品供給装置においては、前工程から所定期間以上、物品が搬送されて来ない場合、包装機の運転停止を行うと共に、搬送コンベヤ上に所定数の物品を貯留した後に、運転を再開するようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3983626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品を連続的に搬送する過程で、前工程からの物品の送り込み間隔が所定間隔以上となってしまった場合に、包装機への物品送出タイミングが包装機の受入タイミングより遅れてしまう。例えば、500個/分程度の包装能力で高速処理される包装機では、このような物品送出タイミングの遅れに対して包装機の運転をその都度一時停止させようとすると、瞬間的な停止起動を行っても、その動作に必要な時間内では処理時間が追い付かない場合がある。
【0005】
この為、このような前記した従来技術に係る物品供給装置においては、前工程から搬送されてくる物品が包装機への送出時に一時的な物品送出タイミングの遅れとなる場合に、物品が供給されないまま空包装品を発生させて、包装機から空包装品が搬出される際に搬送経路外に排出するようにしていた。また、物品送出タイミングの遅れが発生した都度、包装機の運転の停止と起動とをくり返すようにすると、それに伴い搬送コンベヤでの搬送物品に位置ずれが発生して安定した物品搬送が阻害されてしまう。
【0006】
特に、物品の高速搬送処理時における搬送コンベヤの瞬間的起動停止に伴って、例えば、そろばん玉形状をしている物品のように、貯留する物品の周縁形状がフラットに形成されていない為に物品同士が重なり易い形状であると、搬送コンベヤ上の物品が相互に重なり合ってしまう。また、物品同士が衝突して、ビスケット等のもろい物品やパン・ケーキ類等の軟質物品等においては、物品に割れや欠けが発生したり形崩れてしまう。
【0007】
本発明は、前記従来技術に内在している問題点に鑑み、包装機等の処理機への物品送出タイミングに一時的遅れが発生する場合の物品搬送処理を良好に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかる物品供給装置1は、搬送されてくる物品9を順次受け入れてその物品9を包装機等の処理機に向けて所定間隔毎にタイミングを合わせて供給するよう駆動モータ7によって走行駆動される複数の搬送コンベヤ3を備えている。複数の搬送コンベヤ3は搬送方向へ直列状に配列されており、各搬送コンベヤ3は駆動モータ7により各々駆動される。該複数の搬送コンベヤ3のうち処理機に向けて物品9を供給するタイミングに遅れが生じた際に処理機と第一搬送コンベヤ3(C0,C1)とを停止させ、その第一搬送コンベヤ3(C0,C1)より上流側に配設された第二搬送コンベヤ3(C2〜C6)のうち特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)が物品9を受け入れる際に、該特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)の上流側に隣接する搬送コンベヤ3(C4〜C6)で搬送される物品9の検知に基づき、前記駆動モータ7により該特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)を物品略一つ分ずつ搬送するよう間欠的に走行駆動して物品9を貯留する。前記処理機が運転可能な状態となり、前記特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)への物品貯留数が所定数を越える時に、前記第一搬送コンベヤ3(C0,C1)の走行を再開させて、物品9を該第一搬送コンベヤ3(C0,C1)に向けて搬送する。
【0009】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明においては、前記搬送コンベヤ3毎に物品検知センサ13(C0〜C6)が配設され、該物品検知センサ13(C0〜C6)による物品9の検知に基づき、駆動モ−タ7を変速制御する。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記第二搬送コンベヤ3(C2〜C6)は、前記第一搬送コンベヤ3(C0,C1)の走行が再開する時に、前記第二搬送コンベヤ3(C2〜C6)における物品9の搬送速度を、上流側から下流側へ向けた各搬送コンべヤ3を経る毎に段階的に減速させてから物品9を前記特定の搬送コンべヤ3(C2,C3)に渡す。
【0011】
請求項1〜3のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項4の発明において、前記第一搬送コンベヤ3(C0,C1)は複数の搬送コンベヤ3からなり、前記処理機と第一搬送コンベヤ3(C0,C1)の走行の再開後に、前記第一搬送コンベヤ3(C0,C1)は、前記特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)から受け入れた物品9の搬送速度を、上流側から下流側へ向けた各搬送コンべヤ3を経る毎に段階的に増速させてから物品9を処理機に供給する。
【0012】
請求項1〜4のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項5の発明においては、搬送コンベヤ3の搬送ベルト8の搬送面8aに設けた吸引孔11で物品9を吸着して搬送する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、処理機が運転可能な状態で特定の搬送コンベヤに貯留される物品が所定数を超える時に第一搬送コンベヤの走行を再開させて特定の搬送コンベヤに載置されている複数の物品を第一搬送コンベヤに向けて搬送し、前工程から物品を第二搬送コンベヤへ不規則に受け入れても、物品を略一つ分ずつ貯留して搬送するので、慣性による物品の位置ずれがなくなり、特に物品を高速で搬送処理する時に、物品の周縁形状がフラットに形成されていない物品同士が重なり合ったり、物品同士の衝突により物品自体が崩れたりするのを防止することができる。また、物品の間隔調整に必要な時間的ロスを吸収することができ、空包装品を発生させることなく、物品送出タイミングの遅れが発生したその都度、処理機の運転の停止と起動とをくり返すことなく、物品が供給されなくなるまで、走行再開後、連続運転時における処理機の作動を安定させ、物品を処理機に位置ずれを発生させることなく確実に供給することができる。従って、処理機への物品送出タイミングに一時的遅れが発生する場合の物品搬送処理を良好に行うことができる。
【0014】
請求項2の発明では、搬送コンベヤの搬送中に慣性によって物品が滑って物品の位置がずれても、各搬送コンベヤ毎に配設した物品検知センサによる物品検知情報に基づき、各搬送コンベヤ毎に配設した駆動モータに対する変速制御を円滑に行うことができるので、物品を処理機に確実に供給することができる。
【0015】
請求項3の発明では、第一搬送コンベヤの走行再開時に、前工程から第二搬送コンベヤに受け入れた物品の搬送速度を、特定の搬送コンベヤより上流側の搬送コンベヤにおいて上流側から下流側へ搬送コンベヤを経る毎に段階的に減速させてから、特定の搬送コンベヤに物品を搬送するので、特定の搬送コンベヤは、他の搬送コンベヤと比べて、物品に慣性力を与え難い状態で駆動することができる。このことから、特定の搬送コンベヤ上に貯留された先行の物品に対する後続の物品の乗り上げや、物品同士の衝突による物品自体の崩れを防止することができるので、物品を処理機に確実に供給することができる。
【0016】
請求項4の発明では、処理機と第一搬送コンベヤの走行再開時に、第二搬送コンベヤにおいて複数の物品を貯留している特定の搬送コンベヤから受け入れた物品の搬送速度を、第一搬送コンベヤにおいて上流側から下流側へ搬送コンベヤを経る毎に段階的に増速したので、物品間隔が狭くならない状態で物品検知センサにより物品を検知して、特に高速包装時に、物品を物品略一つ分ずつ確実に検知することができる。また、特定の搬送コンベヤは、他の搬送コンベヤと比べて、物品に慣性力を与え難い状態で駆動することができるから、特定の搬送コンベヤ上に貯留された先行の物品に対する後続の物品の乗り上げや、物品同士の衝突による物品自体の崩れを防止することができる。このことから、物品を処理機に確実に供給することができる。
【0017】
請求項5の発明では、搬送面上の物品を吸引して物品の滑りを防止するので、特に高速包装時に、物品検知センサによる物品検知情報とエンコーダのパルス信号とに基づき算出される物品の移動拒離と実際の移動距離とに誤差が生じることを防止することができ、物品を処理機に確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は物品供給装置を示す側面図であり、(b)は同じく平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す物品供給装置1は、図示しない前工程と、処理機としての横形製袋充填機からなる包装機の供給コンベヤ2との間に設置され、搬送方向へ直列状に並べて配列された複数(7台)の搬送コンベヤ3(C0〜C6)を搬送コンベヤ群として備え、供給コンベヤ2に隣接する搬送コンベヤ3(C0)を含む2台の搬送コンベヤ3(C0,C1)を第一搬送コンベヤとする前側搬送部4と、前記前工程に隣接する搬送コンベヤ3(C6)を含む3台の搬送コンベヤ3(C4〜C6)を第二搬送コンベヤの一部とする後側搬送部5と、この前側搬送部4と後側搬送部5との間に設置された2台の搬送コンベヤ3(C2,C3)を第二搬送コンベヤの一部である特定の搬送コンベヤとする中間搬送部6とに区分される。
【0020】
各搬送コンベヤ3は、駆動制御に関する制御処理等の各種設定などを簡単にする為に図1に示すように同一構造をなすベルトコンベヤであって、駆動モータとしてのサーボモータ7(M0〜M6)により回転する無端状の搬送ベルト8において複数の物品9が載置されて搬送される搬送面8aは、一平面上で搬送方向へ直列状に並べて配列され、各物品9を搬送方向へ並べて載置可能な載置長さを有している。夫々のサーボモータ7にはエンコーダ10(E0〜E6)が付設されている。各搬送ベルト8には幅方向の中央部で長手方向の全体にわたり多数の吸引孔11が等間隔で並設されている。各搬送ベルト8の搬送面8aの下側には図示しない吸引源に接続された吸引チャンバ12が設置され、搬送ベルト8の回転に伴い搬送面8aに位置する各吸引孔11に吸引チャンバ12からの吸引力が作用して、物品9が搬送面8aに吸着保持されながら各搬送コンベヤ3(C0〜C6)により順次搬送される。各搬送ベルト8の搬送面8aの下流側の上方位置には物品9を検知する為の物品検知センサ13(S0〜S6)が配設されている。
【0021】
前記包装機の供給コンベヤ2においては、前記搬送コンベヤ3(C0)と搬送ベッド14との間に渡りコンベヤ15が設置され、搬送ベッド14から渡りコンベヤ15にわたり設置された送りコンベヤ16には複数の供給アタッチメント17が等間隔で配置され、駆動モータとしてのサーボモータ18により回転する駆動軸19により、送りコンベヤ16が渡りコンベヤ15と連動して回転する。駆動軸19にはエンコーダ20が付設されていると共に、駆動軸19と同期して回動する箇所に原点センサ21が付設されている。
【0022】
図示しない前工程から前記物品供給装置1へランダムな間隔で搬送されてくる物品9は、後側搬送部5の各搬送コンベヤ3(C4〜C6)に順次受け入れられた後、中間搬送部6の各搬送コンベヤ3(C2,C3)を順次経て、前側搬送部4の各搬送コンベヤ3(C0,C1)に順次至り、その際に前記各物品検知センサ13(S0〜S6)により検知される。
【0023】
図示しない制御処理手段は、物品9の品種毎に各種制御データを記憶し、前記各物品検知センサ13(S0〜S6)から得られる物品検知信号や、各エンコーダ10(E0〜E6のパルス信号や、包装機から得られるエンコーダ20のパルス信号や運転可能な状態か否かの信号などの信号に基づき、各サーボモータ7(M0〜M6)及びサーボモータ18について物品9の品種毎に演算処理して後述するように増速や減速や停止などの変速制御を行う。
【0024】
複数の搬送コンベヤ3(C0〜C6)のうち物品供給装置1の下流側に配設された前側搬送部4の各搬送コンベヤ3(C0,C1)は、各搬送コンベヤ3(C0,C1)の下流側の上方位置に配設された物品検知センサ13(S0,S1)が物品9の先端部を検知して得られる物品検知情報と、送りコンベヤ16で駆動軸19の回転を検出可能なエンコーダ20によって認識される供給アタッチメント17の走行位置検出情報とに基づき、包装機の供給コンべヤ2における供給アタッチメント17の走行位置と同期するように制御される。その際、まず、搬送コンべヤ3(C1)で供給アタッチメント17の走行位置とのタイミング調整を図り、そのタイミング調整ができない場合には搬送コンべヤ3(C0)でタイミングを図る。搬送コンべヤ3(C0)は供給アタッチメント17と略同じ速度まで増速され、物品9が供給アタッチメント17間に位置するように搬送される。供給アタッチメント17の走行位置を認識する為には、駆動軸19、或いは、駆動軸19と同期する原点センサ21により原点信号を得るようにしてもよい。この原点センサ21からの原点信号は供給コンべヤ2の運転開始時などに発信されたものを記憶して用いてもよい。
【0025】
搬送コンベヤ3(C2〜C6)においては、搬送コンベヤ3(C2〜C6)毎に対応させて配設した各物品検知センサ13(S2〜S6)のうちの所定の物品検知センサ13によってその下方位置の搬送コンべヤ3(C2〜C6)上の物品9の有無が検知され、各物品検知センサ13(S2〜S6)の物品検知信号と各エンコーダ10(E2〜E6)のパルス信号とに基づき、各搬送コンべヤ3(C2〜C6)の搬送速度が夫々後述するように調整される。
【0026】
第一搬送コンベヤである搬送コンベヤ3(C0,C1)の走行を再開させる際の包装機の包装能力に対応させて数値化させた、搬送コンべヤ3(C4〜C6)の搬送速度の値、即ち搬送能力の変化を示す表1のごとく、例えば、所定時間当たりの包装数即ち包装能力が600個/分の時、図示しない前工程から搬送されてくる物品9の搬送速度と同じペースで、物品9が各搬送コンべヤ3(C0〜C6)により搬送された後に包装機の供給コンベヤ2で搬送される。前工程から搬送されてくる物品9の間隔が開いている場合には、以下のような制御が行われる。
【表1】

【0027】
例えば、搬送コンベヤ3(C5)では、図1(a)の(イ)の状態で示すように、物品検知センサ13(S5)で先行の物品9が検知されたにも関わらず、後続の物品9が物品検知センサ13(S6)で検知されない場合、物品9の間隔が開き過ぎであると、図示しない制御処理手段が判断すると、後続の物品9に対する先行の物品9の間隔を求めると共に、物品検知センサ13(S5)による物品検知情報とエンコーダ10(E5)のパルス信号とに基づき、物品検知センサ13(S5)を通過した先行の物品9を搬送コンベヤ3(C5)より下流側の搬送コンベヤ3(C4)に渡すタイミングを求め、そのタイミング以後、後続の物品9が物品検知センサ13(S5)で検知されるまで、搬送コンベヤ3(C4)より上流側の搬送コンベヤ3(C5,C6)の搬送速度を増速する。
【0028】
また、搬送コンベヤ3(C3)では、図1(a)の(ロ)の状態で示すように、同様に物品検知センサ13(S4)による物品検知情報とエンコーダ10(E4)のパルス信号とに基づき、物品9の間隔が若干開き過ぎであると、図示しない制御処理手段が判断すると、後続の物品9に対する先行の物品9の間隔を求めると共に、物品検知センサ13(S3)による物品検知情報とエンコーダ10(E3)のパルス信号とに基づき、物品検知センサ13(S3)を通過した先行の物品9を搬送コンベヤ3(C3)より下流側の搬送コンベヤ3(C2)に渡すタイミングを求め、そのタイミング以後、後続の物品9が物品検知センサ13(S3)で検知されるまで、搬送コンベヤ3(C2)より上流側の搬送コンベヤ3(C3)の搬送速度を増速する。
【0029】
このように、図示しない前工程よりランダムな間隔で搬送されてくる物品9を各物品検知センサ13で検知し、物品9を下流側の搬送コンべヤ3に渡した後に、その下流側の搬送コンべヤ3の搬送速度より過渡的に上流側の搬送コンべヤ3の搬送速度を増速し、上流側の搬送コンべヤ3で互いに隣接する物品9の間隔を狭くして物品9の間隔が等間隔なるように整列させる。
【0030】
物品9の間隔が詰まり過ぎている場合は、物品検知センサ13が二物品を一物品として検知する恐れがあるので、このような物品9は搬送コンべヤ3に受け入れられることなく、前工程で事前に排除される。そして、前工程から物品9が供給されなくなり、後述する搬送コンべヤ3(C2)上に貯留された物品9の数が残り1個になった際に、包装機を間欠的に作動させること、即ち、非効率的な運転を避ける為に、その残り1個の物品9を搬送コンべヤ3(C2)から搬送コンベヤ3(C1)に搬送した瞬間、包装機に運転停止信号を送信して自動的に運転を停止させ、また、搬送コンべヤ3(C0,C1)を走行停止させて、夫々待機状態にする。この走行停止の間、搬送コンべヤ3(C4〜C6)については、前工程で物品9が検知されるまで走行を停止させて待機状態になるが、継続して走行させ続けてもよく、或いは、搬送コンべヤ3(C6)のみを走行させ続け、物品検知センサ13(S6)で物品9が検知された時に搬送コンべヤ3(C4,C5)の走行を再開させてもよい。なお、包装機に異常が生じた場合には包装機と共に前記前工程や物品供給装置1も停止させる。
【0031】
包装機及び搬送コンべヤ3(C0,C1)の待機状態を解除して搬送コンべヤ3(C0,C1)の走行を再開させる為に、前工程から搬送されてくる物品9を物品9同士が押圧しない程度の集積状態になるように搬送コンべヤ3(C2,C3)上に所定数貯留する駆動制御が行われる。即ち、物品検知センサ13(S4)による物品検知情報とエンコーダ10(E4)のパルス信号とに基づき、物品検知センサ13(S4)を通過した物品9が搬送コンべヤ3(C4)より下流側の搬送コンべヤ3(C3)に渡されるタイミングを求め、そのタイミングに合わせてサーボモータ7(M3)を駆動し、物品9を物品略一つ分移動させるように搬送コンべヤ3(C3)を走行させて搬送コンべヤ3(C3)上に物品9を順次載置させる。物品検知センサ13(S4)によって物品9が検知される都度、これと同様の制御処理を繰り返し、物品9が搬送コンべヤ3(C3)上の全域に貯留されたことが、物品検知センサ13(S3)の物品検知情報から得られたら、物品検知センサ13(S4)による物品9の検知に基づき、搬送コンべヤ3(C3)と共に搬送コンべヤ3(C2)も物品9を物品略一つ分移動させて、搬送コンべヤ3(C2,C3)上に物品9を所定数貯留する。
【0032】
そして、制御処理手段は、物品検知センサ13(S4)による物品検知信号に基づき、貯留した物品9の数をカウントしていて、貯留される物品9が所定数を越える時、包装機に運転再開信号を送信して運転を再開させると共に、搬送コンべヤ3(C0,C1)の走行停止を解除して、搬送コンべヤ3(C0,C1)上に残された物品9を搬送すると共に、搬送コンべヤ3(C2〜C6)に載置されている複数の物品9を搬送コンべヤ3(C0,C1)に向けて搬送する。過渡的な搬送コンべヤ3(C4〜C6)の処理については、表1に示すように、包装機が停止状態から連続運転(本例では包装能力が600個/分)になるまで、搬送コンべヤ3(C4〜C6)と包装機との関係が維持される。具体的には、包装機が停止状態の時に、下流側の搬送能力が上流側の搬送能力より150個/分ずつ段階的に低くなるように減速され、搬送コンべヤ3(C6)の搬送能力が50個/分向上する間に、搬送コンべヤ3(C5)の搬送能力が100個/分、搬送コンべヤ3(C4)の搬送能力が150個/分、包装機の包装能力が200個/分になる比率を維持するように、連続運転時の包装能力に向けて順次増加させる。
【0033】
運転が再開された後、包装機の包装能力に対する搬送コンべヤ3(C0〜C3)の搬送能力については包装機≧C0>C1>C2,C3の関係となる所定の比率が夫々保たれ、搬送コンべヤ3(C2,C3)は搬送コンべヤ3(C0,C1)の走行速度以下の所定の速度で走行すると共に、物品供給装置1の前側搬送部4においては搬送コンべヤ3(C1)から搬送コンべヤ3(C0)を経る毎に段階的に増速される。
【0034】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 包装機が運転可能な状態で、物品検知センサ13(S4)より下流側の特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)に貯留される物品9が所定数を超える時に第一搬送コンベヤ3(C0,C1)の走行を再開させて特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)に載置されている複数の物品9を第一搬送コンベヤ3(C0,C1)に向けて搬送するので、前工程から物品9を第二搬送コンベヤ3(C2〜C6)へ不規則に受け入れても、物品9を略一つ分ずつ貯留して搬送し、慣性による物品9の位置ずれがなくなる。特に、物品9を高速で搬送処理する時に、物品9の周縁形状がフラットに形成されていない物品同士が重なり合ったり、物品同士の衝突により物品自体が崩れたりするのを防止することができる。また、物品9の間隔調整に必要な時間的ロスを吸収することができ、空包装品を発生させることなく、物品送出タイミングの遅れが発生したその都度、包装機の運転の停止と起動とをくり返すことなく、物品9が供給されなくなるまで、走行再開後、連続運転時における包装機の作動を安定させ、物品9を包装機に位置ずれを発生させることなく確実に供給することができる。従って、包装機への物品送出タイミングに一時的遅れが発生する場合の物品搬送処理を良好に行うことができる。
【0035】
* 第一搬送コンべヤ3(C0,C1)の走行再開時に、物品検知センサ13(S4)より下流側の特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)を第一搬送コンベヤ3(C0,C1)の走行速度以下の所定の速度で走行させ、また、前工程から第二搬送コンベヤ3(C2〜C6)に受け入れた物品9の搬送速度を、特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)より上流側の搬送コンベヤ3(C4〜C6)において上流側から下流側へ搬送コンベヤ3を経る毎に夫々の搬送コンベヤ3の搬送能力が所定の比の関係を保ちながら段階的に減速してから、特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)に物品9を搬送する。即ち、走行再開時に物品同士が押圧しない程度に集積されて貯留された特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)は、他の搬送コンベヤ3と比べて物品9に慣性力を与え難い状態で駆動される。このことから、例えば、そろばん玉のように、貯留する物品9の周縁形状がフラットに形成されていない為に物品同士が重なり易い形状の物品9を特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)に貯留した状態で特に高速で搬送させて運転を再開させると、搬送コンベヤ3(C2,C3)上で先行の物品9に対し後続の物品9が乗り上げたり、軟らかい物品9を搬送する場合に物品同士が衝突して物品自体が崩れてしまうような不都合の発生頻度を低減することができ、その物品9を包装機に確実に供給することができる。
【0036】
* 第一搬送コンべヤ3(C0,C1)の走行停止時に、第二搬送コンべヤ3(C2〜C6)において設けた物品検知センサ13(S4)による物品9の検知に基づき、その物品検知センサ13(S4)より上流側の搬送コンべヤ3(C4〜C6)から下流側の連続する複数の搬送コンベヤ3(C2,C3)へ物品9を物品略一つ分ずつ移動させて、物品9の間隔が物品検知センサ13(S4)より上流側よりも下流側で狭くなる状態で第二搬送コンベヤ3(C2〜C6)の特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)に複数の物品9を貯留するので、物品9同士が押圧しない程度の集積状態で物品9の間隔を詰めることができると共に貯留可能な物品9の数を増やすことができる。
【0037】
* 第一搬送コンベヤ3(C0,C1)の走行再開時に、複数の物品9を貯留している特定の搬送コンベヤ3(C2,C3)から受け入れた物品9の搬送速度を、第一搬送コンベヤ3(C0,C1)において上流側から下流側へ搬送コンベヤ3を経る毎に段階的に増速したので、物品9の間隔が狭くならない状態で物品検知センサ13により物品9を検知して、特に100個/分以上で処理する高速包装時に、物品9を物品略一つ分ずつ確実に検知することができ、その物品9を包装機に確実に供給することができる。
【0038】
* 各搬送コンベヤ3毎に物品検知センサ13を配設したので、搬送コンベヤ3上で慣性によって物品9が滑って物品9の位置がずれても、物品検知センサ13による物品検知情報に基づき、各搬送コンベヤ3毎に配設したサーボモータ7に対する変速制御を円滑に行って、その物品9を包装機に確実に供給することができる。
【0039】
* 各搬送コンベヤ3の搬送面8aに設けた吸引孔11でその搬送面8aの下側から吸引チャンバ12で物品9を吸引して物品9の滑りを防止するので、物品検知センサ13による物品検知情報とエンコーダ10のパルス信号とに基づき算出される物品9の移動距離と実際の移動距離とに誤差が生じることを防止することができる。特に、100個/分以上で処理される高速包装で物品9を搬送する際には物品9の滑りを確実に防止することができ、その物品9を包装機に確実に供給することができる。
【0040】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記駆動モータとしてサーボモータ7を採用したが、そのサーボモータ7以外に速度制御モータや位置制御モータ等の直流電動機や交流電動機等、駆動力を制御可能なものであればよい。
【0041】
・ 前記複数の搬送コンベヤ3において物品9を載置して搬送する搬送面8aの下側から吸引チャンバ12で物品9を吸引して物品9の滑りを防止したが、すべり難い材質でベルトコンベヤの表面を構成するなど、物品9の滑りを防止する構成を採用することにより、特に、物品9を高速搬送する際に有効である。
【0042】
・ 前記物品検知センサ13を各搬送コンベヤ3の下流側に配設したが、物品9の通過を物品検知センサ13で確認すれば、エンコーダのパルス信号などの情報に基づき演算で物品の移動距離が予測可能である為、物品検知センサ13を各搬送コンベヤ3の下流側に配設することに代えて、例えば、中流側に配設してもよい。このように物品検知センサ13を配設する場合、100個/分以上の包装能力での高速処理時に、物品9に働く慣性力を抑えて物品9の位置ずれを抑える上で特に有効である。
【0043】
・ 前記搬送コンベヤ3の数を7台にしたが、その搬送コンベヤ3の数を7台以外の台数にしたり、その複数の搬送コンベヤ3において前側搬送部4と後側搬送部5と中間搬送部6とで搬送コンベヤ3の数の配分を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…物品供給装置、3(C0〜C6)…搬送コンベヤ、3(C0,C1)…第一搬送コンベヤ、3(C2〜C6)…第二搬送コンベヤ、3(C2,C3)…特定の搬送コンベヤ、7(M0〜M6)…サーボモータ(駆動モータ)、8…搬送ベルト、8a…搬送面、9…物品、11…吸引孔、13(S0〜S6)…物品検知センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる物品を順次受け入れてその物品を包装機等の処理機に向けて所定間隔毎にタイミングを合わせて供給するよう駆動モータによって走行駆動される複数の搬送コンベヤを備えた物品供給装置であって、
複数の搬送コンベヤは搬送方向へ直列状に配列されており、各搬送コンベヤは駆動モータにより各々駆動され、
該複数の搬送コンベヤのうち処理機に向けて物品を供給するタイミングに遅れが生じた際に処理機と第一搬送コンベヤとを停止させ、その第一搬送コンベヤより上流側に配設された第二搬送コンベヤのうち特定の搬送コンベヤが物品を受け入れる際に、該特定の搬送コンベヤの上流側に隣接する搬送コンベヤで搬送される物品の検知に基づき、前記駆動モータにより該特定の搬送コンベヤを物品略一つ分ずつ搬送するよう間欠的に走行駆動して物品を貯留し、
前記処理機が運転可能な状態となり、前記特定の搬送コンベヤへの物品貯留数が所定数を越える時に、前記第一搬送コンベヤの走行を再開させて、物品を該第一搬送コンベヤに向けて搬送する
ことを特徴とする物品供給装置。
【請求項2】
前記搬送コンベヤ毎に物品検知センサが配設され、該物品検知センサによる物品の検知に基づき、駆動モ−タを変速制御することを特徴とする請求項1に記載の物品供給装置。
【請求項3】
前記第二搬送コンベヤは、前記第一搬送コンベヤの走行が再開する時に、前記第二搬送コンベヤにおける物品の搬送速度を、上流側から下流側へ向けた各搬送コンべヤを経る毎に段階的に減速させてから物品を前記特定の搬送コンべヤに渡すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品供給装置。
【請求項4】
前記第一搬送コンベヤは複数の搬送コンベヤからなり、前記処理機と第一搬送コンベヤの走行の再開後に、前記第一搬送コンベヤは、前記特定の搬送コンベヤから受け入れた物品の搬送速度を、上流側から下流側へ向けた各搬送コンべヤを経る毎に段階的に増速させてから物品を処理機に供給することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の物品供給装置。
【請求項5】
搬送コンベヤの搬送ベルトの搬送面に設けた吸引孔で物品を吸着して搬送することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の物品供給装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−260685(P2010−260685A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112870(P2009−112870)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】