説明

物品検査装置,重量検査装置及び異物検査装置

【課題】 製造ラインを停止させずに検査結果が正しいか否か、或いは検査結果の確からしさを容易に確認できることから検査結果の検証が容易となり、検査結果の誤差を自動的に補正できる。
【解決手段】 被検査物2を所定の搬送方向Yに搬送しながら計量する計量手段3と、計量手段3による計量値と設定値とを比較判定して判定信号を出力する制御手段6と、判定信号を受けて被検査物2を良品と不良品とに選別する排出手段7と、計量値を出力する出力手段9とを備える重量検査装置1において、計量値の確からしさを確認するために被検査物2aを搬送方向Yと異なる方向に排出するようにモード切換信号を出力する排出指示手段5を備え、制御手段6は、モード切換信号を受けて計量値を確認用計量値として記憶するとともに被検査物2aを搬送方向Yと異なる方向に排出する排出信号を出力し、出力手段9は、確認用計量値を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物を搬送しながら検査し、この検査結果に応じて被検査物を良品と不良品とに選別する物品検査装置,重量検査装置及び異物検査装置において、被検査物の検査結果を検証する技術及び検査結果を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ライン中に搬送される被検査物の重量や異物混入の有無などを検査し、この検査結果に応じて当該被検査物を良品と不良品とに選別する物品検査装置(重量検査装置,異物検査装置)では、被検査物の検査を正確に行うために、一定時間ごとに検査手段による検査結果が正しいか否かを検証しなければならない。従来より、製造ラインの検査手段による検査結果と外部の検査手段による静止状態での検査結果とを比較して検証する方法が用いられていた。なお、その際には、製造ラインを一旦停止させていた。また、製造ラインの稼動中において、作業者が被検査物の中から任意に1つ選択し、この選択した被検査物が検査手段による検査を終えたところで表示手段に表示された検査結果を記憶するとともに、この被検査物を製造ラインから取り出して静止状態にある外部の検査手段で検査し、これら2つの検査結果を比較して誤差を検証していた。
【0003】
ところで、搬送中の被選別物品を計量する重量選別機などでは、計量コンベアの低周波の振動成分を完全に除去することは難しく、また、選別速度を低下させないために計量コンベアの搬送距離はできるだけ短いことが望ましいことから、選別部に入力される入力値(動的重量値)は、被選別物品の静止重量に対して異なる場合が多く、このことが検査結果に誤差が生じる原因となっていた。このため、静止重量の既知な被選別物品を何回か計量コンベアによって搬送計量し、この計量ごとに動的重量値が静止重量に等しくなるように増幅器やAD変換器の感度などを手動で補正していた。下記特許文献1に開示された重量選別機は、被選別物品の動的計量値をその静止重量に基づいて補正を行うものである。
【特許文献1】特公平6−95034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の物品検査装置では、被検査物の検証を行う際に製造ラインを停止させることは製品の生産効率を著しく低下させるという問題がある。また、作業者が表示手段を記憶して行う検証作業などは熟練を必要とし、製造ラインのラインスピード(生産能力)が上昇するとこの作業が追いつかなくなることがある。
【0005】
さらに、上記特許文献1に開示されるような補正は、予め(被選別物品を搬送計量する計量コンベアを本稼動させる前に)補正値を算出するものであり、したがって、計量コンベアの稼動中における自動補正(ダイナミック補正)には対応していない。
【0006】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、製造ラインを停止させずに、被検査物を搬送しながら検査するときの検査結果が正しいか否か、或いは検査結果の確からしさを容易に確認できることから検査結果の検証が容易となり、また、製造ラインの稼動中において、検査結果の誤差を自動的に補正することができる物品検査装置,重量検査装置及び異物検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の物品検査装置1は、被検査物2(2a)を所定の搬送方向Yに搬送しながら検査する検査手段3と、前記検査手段3による検査結果と設定条件とを比較判定して判定信号を出力する制御手段6と、前記判定信号を受けて前記被検査物2(2a)を良品と不良品とに選別する排出手段7と、前記検査結果を出力する出力手段9とを備える物品検査装置1において、
前記検査結果の確からしさを確認するために前記被検査物2aを前記搬送方向Yと異なる方向に排出するようにモード切換信号を出力する排出指示手段5を備え、
前記制御手段6は、前記モード切換信号を受けて前記検査結果を確認用検査結果として記憶するとともに前記被検査物2aを前記搬送方向Yと異なる方向に排出する排出信号を出力し、前記出力手段9は、前記確認用検査結果を出力することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の重量検査装置1は、被検査物2(2a)を所定の搬送方向Yに搬送しながら計量する前記計量手段3と、前記計量手段3による計量値と設定値とを比較判定して判定信号を出力する制御手段6と、前記判定信号を受けて前記被検査物2(2a)を良品と不良品とに選別する排出手段7と、前記計量値を出力する出力手段9とを備える重量検査装置1において、
前記計量値の確からしさを確認するために前記被検査物2aを前記搬送方向Yと異なる方向に排出するようにモード切換信号を出力する排出指示手段5を備え、
前記制御手段6は、前記モード切換信号を受けて前記計量値を確認用計量値として記憶するとともに前記被検査物2aを前記搬送方向Yと異なる方向に排出する排出信号を出力し、前記出力手段9は、前記確認用計量値を出力することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の重量検査装置1は、前記排出指示手段5からの前記モード切換信号を受けて前記被検査物2aの排出が複数回実施され、
前記制御手段6は、前記モード切換信号を受けて前記被検査物2aが排出される度に該被検査物2aの実質重量が入力され、更に、該入力された前記被検査物2aの実質重量と前記計量手段3による前記被検査物2aの計量値とから算出される統計結果を記憶する記憶手段と、前記統計結果を出力する統計結果出力手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の重量検査装置1は、前記排出指示手段5からの前記モード切換信号を受けて排出された前記被検査物2aの実質重量が、例えば、前記被検査物2aを静止状態で計量したり、該被検査物2aを長時間かけて計量するなど前記計量手段3よりもより確からしい第2の計量手段8から入力されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の重量検査装置1は、前記制御手段6は、前記統計結果と予め記憶されている許容値とを比較して比較結果を表示することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載に重量検査装置1は、前記制御手段6は、前記統計結果から算出される補正係数に基づいて前記計量値を補正することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の異物検査装置1は、被検査物2(2a)を所定の搬送方向Yに搬送しながら該被検査物2(2a)に異物が混入しているか否かを検査する検査手段3と、前記検査手段3による検査結果と設定条件とを比較判定して判定信号を出力する制御手段6と、前記判定信号を受けて前記被検査物2(2a)を良品と不良品とに選別する排出手段7と、前記検査結果を出力する出力手段9とを備える異物検査装置1において、
前記検査結果の確からしさを確認するために前記被検査物2aを前記搬送方向Yと異なる方向に排出するようにモード切換信号を出力する排出指示手段5を備え、
前記制御手段6は、前記モード切換信号を受けて前記検査結果を確認用検査結果として記憶するとともに前記被検査物2aを前記搬送方向Yと異なる方向に排出する排出信号を出力し、前記出力手段9は、前記確認用検査結果を出力することを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の異物検査装置1は、前記制御手段6は、前記検査結果が不良品と判定されたときに初めて前記モード切換信号を有効にすることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の異物検査装置1は、前記制御手段6は、前記被検査物2(2a)の重量を計量する重量検出手段を備え、該重量検出手段による前記被検査物2aの計量値に予め記憶されたテストピース重量が上乗せされているときに前記モード切換信号を有効にすることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の物品検査装置,重量検査装置及び異物検査装置1は、前記排出指示手段5からの前記モード切換信号を受けて選択された前記被検査物2aの前後に搬送されている被検査物2のうちいずれか一方が不良品と判定されているときに前記モード切換信号を無効にして再度モードの切り換えを促すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による請求項1記載の物品検査装置によれば、排出指示手段からのモード切換信号を受けて搬送される被検査物の中から検証のための比較対象となる被検査物を任意に選択し、この選択した被検査物を自動的に製造ラインから取り出すことが可能となる。この結果、比較対象となる被検査物の特定が確実且つ容易となる。また、検査手段による被検査物の検査結果を確認用検査結果として記憶し、この確認用検査結果を出力することから、製造ラインを停止させずに、被検査物の検査結果が正しいか否か、或いは検査結果の確からしさを容易に確認できるようになる。これにより、検査手段による検査結果を容易に検証できるようになる。
【0018】
請求項2記載の重量検査装置によれば、上記した請求項1記載の物品検査装置による効果と同様に、排出指示手段からのモード切換信号を受けて搬送される被検査物の中から検証のための比較対象となる被検査物を任意に選択し、この選択した被検査物を自動的に製造ラインから取り出すことが可能となり、比較対象となる被検査物の特定が確実且つ容易となる。また、計量手段による被検査物の計量値を確認用検査結果として記憶し、この確認用検査結果を出力することから、製造ラインを停止させずに、被検査物の計量値が正しいか否か、或いは計量値の確からしさを容易に確認できるようになる。これにより、計量手段による計量値を容易に検証できるようになる。
【0019】
請求項3記載の重量検査装置によれば、被検査物の排出を複数回実施したときの実質重量が記憶手段に入力され、この記憶手段において、計量手段による計量値と比較して統計結果を算出することが可能となる。これにより、計量手段による計量値の確からしさを容易に確認できるようになる。
【0020】
請求項4記載の重量検査装置によれば、排出された被検査物を第2の計量手段で計量し、この第2の計量手段から入力される被検査物の実質重量を計量手段による計量値と比較するための基準とし、これにより、計量手段による計量値のより正しい確からしさの確認が可能となる。
【0021】
請求項5記載の重量検査装置によれば、前記統計結果と許容値とを比較した比較結果を表示することで計量手段による計量値の誤差が許容範囲内にあるか否かを容易に判断することができるようになる。
【0022】
請求項6記載の重量検査装置によれば、被検査物の計量手段による計量値とこの被検査物の実質重量との間に差(誤差)がある場合に、生産ラインを停止させずに自動的に誤差を補正することが可能となる。
【0023】
請求項7記載の異物検査装置によれば、上記した請求項1記載の物品検査装置又は請求項2記載の重量検査装置による効果と同様に、排出指示手段からのモード切換信号を受けて搬送される被検査物の中から検証のための比較対象となる被検査物を選択し、この選択した被検査物を自動的に製造ラインから取り出すことが可能となる。この結果、比較対象となる被検査物の特定が確実且つ容易となる。また、検査手段による被検査物の検査結果(異物混入の有無)を確認用検査結果として記憶し、この確認用検査結果を出力することから、製造ラインを停止させずに、被検査物の検査結果が正しいか否か、或いは検査結果の確からしさを容易に確認できるようになる。これにより、検査手段による検査結果を容易に検証できるようになる。
【0024】
請求項8記載の異物検査装置によれば、被検査物の異物混入を確認するために無作為に発生する不良品として判定された被検査物を選択的に取り出すことが可能となる。例えば、被検査物にテストピースを付加して検査手段によるこの被検査物の検査結果が正しいか否かを確認する場合などに、排出指示手段からのモード切換信号を受けた後、制御手段により不良品と判定されたときに初めてモード切換信号が有効になるため、テストピースを付加した被検査物を選択的に特定して排出できる。
【0025】
請求項9記載の異物検査装置によれば、被検査物にテストピースを付加して検査手段による検査結果が正しいか否かを確認する場合、排出指示手段からモード切換信号が出力された後、本来検出すべき異物が混入された被検査物が誤ってテストピースが付加された被検査物として判別されることを防止できる。
【0026】
請求項10記載の物品検査装置,重量検査装置及び異物検査装置によれば、排出指示手段からのモード切換信号を受けて排出された被検査物の中に不良品として判定された被検査物と比較対象となる被検査物とが混在し、作業者が誤った(比較対象ではない)被検査物を取り出してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による物品検査装置(重量検査装置)を示す概略的な平面図、図2は図1における要部の機能ブロック図である。
【0028】
本発明の物品検査装置(重量検査装置,異物検査装置)は、図1に示すように、製造ラインの一部を構成し、搬送コンベア4で被検査物2を搬送しながら検査(計量値を算出,異物混入の有無を検出)し、この検査結果に応じて当該被検査物2を良品と不良品とに選別するものである。本発明は、この物品検査装置1において、選択した被検査物2(2a)を検査終了後に自動的に搬送方向Yと異なる方向に排出し、排出された被検査物2aを製造ラインの外部に設けられ、前記検査結果よりもより確からしい検査結果を得て、これら検査結果を比較して検証することを要旨としている。
【0029】
第1の実施の形態(重量検査装置)
図3は本発明による重量検査装置の表示手段における表示状態を示す図、図4は動作フローチャート、図5は計量値の処理手順を示す動作フローチャートである。
なお、図4の動作フローチャートは、図2の機能ブロック図の各部に対応した動作を示している。
【0030】
物品検査装置の第1の実施の形態としての重量検査装置1は、被検査物2を搬送しながら計量値を算出し、この計量値を設定値と比較して当該被検査物2を良品と不良品とに選別するものである。
【0031】
図2に示すように、この重量検査装置1の要部は、検査手段としての計量手段3と、排出指示手段5と、制御手段6と、排出手段7と、第2の計量手段8(図1参照)と、出力手段9とで略構成されている。
【0032】
計量手段3は、被検査物2を適当な間隔をあけて連続的に所定の搬送方向Yに搬送する搬送コンベア4と、搬送コンベア4によって搬送される被検査物2の実質重量を計量する計量部(図示せず)と、この実質重量に基づいて被検査物2の計量値を算出する計量値算出手段(図示せず)とを有している。この計量手段3では被検査物2を搬送しながら計量(ダイナミック計量)する。
【0033】
排出指示手段としての排出ボタン5(図3参照)は、後述する出力手段に設けられている。この排出ボタン5は、前記計量手段3に送り込まれる直前で被検査物2(2a)を任意に選択し、選択した被検査物2aの計量値が計量手段3によって算出されると後述する排出手段を作動させて搬送方向Yと異なる方向に排出するように指示するモード切換信号を出力する。なお、この第1の実施の形態では、選択した被検査物2aは排出手段によって排出されるが、専用の排出手段を別途設けて更に搬送方向Yと異なる方向に排出する構成としてもよい。
【0034】
制御手段6は、前記排出ボタン5からのモード切換信号を受けて計量値を確認用計量値として記憶するとともに、被検査物2aを搬送方向Yと異なる方向に排出する排出信号を出力する。制御手段6は、前記計量手段3により算出された計量値を予め設定されている設定値と比較して被検査物2を良品又は不良品として判定する判定手段(図示せず)と、モード切換信号を受けて被検査物2aが排出される度にこの被検査物2aの実質重量が入力され、この入力された実質重量と計量手段3による計量値とから算出される統計結果を記憶する記憶手段(図示せず)と、この統計結果を出力手段に出力する統計結果出力手段(図示せず)とを有している。
【0035】
前述した排出手段としての排出アーム7は、図1に示すように、搬送コンベア4によって搬送される被検査物2をそのまま通過させる搬送方向Yと平行な基本位置と、搬送方向Yと交差して搬送される被検査物2を阻止する動作位置との間でアクチュエータなどの駆動力により揺動可能に構成されている。この排出アーム7は、前記制御手段6の判定データを受信してその判定結果に応じて被検査物2を良品と不良品とに選別する。また、この第1の実施の形態では、不良品と判定された被検査物2を排出アーム7で排出する構成としているが、これに限定されず、例えば、エアーを吹きかけて排出したり、搬送コンベア4上で開口部が開いて被検査物2を下方へ落として排出するなどの構成としてもよい。
【0036】
第2の計量手段8は、製造ラインの外部に設けられ、前記排出ボタン5からのモード切換信号を受けて排出された被検査物2aの実質重量を静止状態で計量する。
【0037】
前述した出力手段としての表示手段9は、図3に示すように、モード表示部20と、前記計量手段3により算出された被検査物2aの計量値を表示する計量値表示部21と、前記排出ボタン5と、排出ボタン5からのモード切換信号を受けて排出された被検査物2aの第2の計量手段により計量された実質重量を表示する実質重量表示部22と、統計結果表示部23と、表示画面上の各情報をクリアするクリアボタン24とを有している。さらに、統計結果表示部23は、平均値(X−bar),平均標準偏差(S),排出回数(Count)の差分統計(第1の計量手段での計量値−第2の計量手段での実質重量)を表示する。
【0038】
なお、表示手段6には、前記計量手段3により算出された計量値は自動的に入力されるが、第2の計量手段8により計量された実質重量は手動入力又は自動入力のどちらで行われてもよい。また、自動入力の場合には、通信手段などを用いて数値を入力することで数値の誤入力などを防ぐことが可能となる。
【0039】
ここで、この第1の実施の形態において計量手段3により算出された被検査物2aの計量値が正しいか否か、或いは計量値の確からしさを確認する手順について説明する。
【0040】
まず、排出ボタン5(図3参照)を押す。これにより、搬送コンベア4によって搬送される被検査物2のうち計量手段3の直前にある被検査物2aが比較対象として選択される。
【0041】
次に、計量手段3による計量を終えて排出アーム7によって搬送方向Yと異なる方向に排出された被検査物2aを第2の計量手段8まで移動させる(図1参照)。このとき、計量手段3により算出された被検査物2aの計量値が表示手段9の計量値表示部21に表示される。
【0042】
次に、被検査物2aを第2の計量手段8で計量する。
【0043】
最後に、計量手段3による被検査物2aの計量値と第2の計量手段8による被検査物2aの実質重量とを比較して統計結果が算出されるとともに、表示手段9の統計結果表示部21に表示され、この統計結果に基づいて計量手段3による計量値が正しいか否か、或いは計量値の確からしさを確認する。
【0044】
次に、図4を参照して第1の実施の形態における被検査物2(2a)の計量から排出までの動作について説明する。
【0045】
図4に示すように、計量手段3は、被検査物2(2a)の計量処理を行う(S1)。この計量処理では、被検査物2(2a)を搬送しながら実質重量を計量し、この実質重量をデジタル値に変換する。
次に、計量手段3は、計量処理により得られた被検査物2(2a)の実質重量のデジタル値を補正係数によって補正して計量値を得る計量値算出処理を行う(S2)。なお、前記補正係数は、生産ラインの本稼働前に、被検査物2の実質重量とこの被検査物2を搬送しながら計量した計量値の差(誤差)を補正するため計量手段3に複数回流して算出される係数であり、計量手段3に記憶される。
【0046】
次に、制御手段6は、排出ボタン5が押されたか否かを判別する(S3)。このとき、排出ボタン5が押されていなければ、通常計量モードに移行する。これに対し、排出ボタン5が押されていれば、この排出ボタン5からのモード切換信号を受けて計量確認モードに移行する。
【0047】
ここから、通常計量モードの動作と計量確認モードの動作とを別けて説明する。
【0048】
通常計量モード
この通常計量モードでは、計量手段3で算出された計量値を予め設定されている良品範囲と比較(リミット比較)し、計量値が前記良品範囲内にあるか否かを判別する(S4)。このとき、計量値が前記良品範囲内にあるとき、その被検査物2を良品として判定する。これに対し、計量値が前記良品範囲外であるとき、その被検査物2を不良品として判定する。
次に、制御手段6は、前記判定結果に応じて被検査物2の排出方向を決定する(S5)。
【0049】
次に、表示手段9は、計量手段3による計量値に基づいて制御手段6で判定処理された計量値を表示する(S6)。
【0050】
最後に、排出アーム7は、制御手段6からの排出方向決定結果を受けて被検査物2を所定方向に排出する(S7)。ここでは、被検査物2が良品の場合は、排出アーム7が作動せずにそのまま搬送方向Yに搬送させる。また、被検査物2が不良品の場合は、排出アーム7が作動し、この被検査物2の搬送を阻止して当該被検査物2を搬送方向Yと異なる方向に排出する。
【0051】
計量確認モード
この計量確認モードでは、強制的に被検査物2aの排出方向を決定する(S8)。
【0052】
次に、表示手段9は、排出された被検査物2aの計量手段3による計量値を表示する(S9)。
【0053】
最後に、排出アーム7(排出手段)は、制御手段6からの排出方向決定結果を受けて被検査物2aを所定方向に排出する(S7)。ここでは、強制的に排出アーム7が作動し、この被検査物2aの搬送を阻止して当該被検査物2aを搬送方向Yと異なる方向に排出する。
【0054】
次に、図5を参照して第1の実施の形態の制御手段6において被検査物2(2a)の計量手段3による計量値の誤差を補正するための動作について説明する。
【0055】
図5に示すように、まず、第2の計量手段8により計量された被検査物2aの実質重量を入力する(S11)。
【0056】
次に、制御手段6は、第2の計量手段8により計量された被検査物2aの実質重量を手動で入力するか否かを判別する(S12)。ここで、手動入力以外と判別された場合、被検査物2aの実質重量が通信による入力か否かを判別する(S13)。なお、通信入力以外と判別されたときには再度手動入力の判別に戻る。
【0057】
次に、制御手段6は、被検査物2aの実質重量が前記手動又は通信により入力されると、これらの数値の統計を算出する(S14)。
【0058】
次に、制御手段6は、算出された統計結果の値を予め設定された許容値と比較(リミット比較)する(S15)。
【0059】
次に、制御手段6は、前記統計結果が前記許容値の許容範囲内にあるか否かを判別する(S16)。このとき、統計結果が許容値の許容範囲外と判別されると、統計結果と許容値から補正係数を算出する(S17)。そして、算出された補正係数は、予め記憶する補正係数を更新する。
【0060】
最後に、表示手段9の実質重量表示部22に手動入力または通信入力された被計量物2aの実質重量を表示するとともに、統計結果表示部23に統計結果を表示する。
【0061】
この第1の実施の形態によれば、排出ボタン5を押すことにより搬送される被検査物2の中から検証のための比較対象となる被検査物2aを任意に選択し、この選択した被検査物2aを自動的に製造ラインから取り出すことが可能となり、比較対象となる被検査物2aの特定が確実且つ容易となる。また、計量手段3による被検査物2aの計量値を確認用検査結果として記憶し、この確認用検査結果を出力することから、製造ラインを停止させずに、被検査物2aの計量値が正しいか否か、或いは計量値の確からしさを容易に確認できるようになる。これにより、計量手段3による計量値を容易に検証できるようになる。
【0062】
また、被検査物2aの排出を複数回実施したときの実質重量が記憶手段に入力され、この記憶手段において、計量手段3による計量値と比較して統計結果を算出することが可能となる。これにより、計量手段3による計量値の確からしさを容易に確認できるようになる。
【0063】
さらに、排出ボタン5を押して排出された被検査物2aを第2の計量手段8で計量し、この第2の計量手段8から入力される被検査物2aの実質重量を計量手段3による計量値と比較するための基準とし、これにより、計量手段3による計量値のより正しい確からしさの確認が可能となる。
【0064】
また、被検査物2aの統計結果と許容値とを比較した比較結果を表示手段9に表示することで計量手段3による計量値の誤差が許容範囲内にあるか否かを容易に判断することができるようになる。
【0065】
さらに、被検査物2aの計量手段3による計量値とこの被検査物2aの実質重量との間に差(誤差)がある場合に、生産ラインを停止させずに自動的に誤差を補正することが可能となる。
【0066】
なお、第1の実施の形態では、排出ボタン5を押す作業と、この排出ボタン5からのモード切換信号を受けて排出された被検査物2aを第2の計量手段8まで移動させる作業とを手動で行っていたが、これらの作業を自動化することで作業者にかかる負担を減らすことが可能となる。具体的に説明すると、まず、排出ボタン5に予め設定された時間や時間単位ごとに排出指示がなされるタイマーが設けられることで、これまで、作業者が所定時間ごとに排出ボタン5を押していた作業を自動で行うことができる。また、排出された被検査物2aを第2の計量手段8までコンベアなどで搬送させることで、被検査物2aを第2の計量手段8まで移動させる作業を自動で行うことができる。このとき、図6に示すように、第2の計量装置8を構成している搬送コンベア14は、搬送速度が遅く構成されているか、或いは、計量時間を十分に確保できるほど長く構成されている。これにより、上述した第1の実施の形態と同様に、被計量物2aのより確からしい実質重量が得られる。なお、このような構成は、通常、計量効率を低下させるため製造ラインに組み込み難いが、搬送コンベア14の搬送路が製造ラインから外れていることで計量効率には影響しない。さらに、第2の計量手段8での計量を終えた被検査物2aを再度製造ラインに戻すことも可能となる。
【0067】
また、第1の実施の形態では、制御手段6により算出された被検査物2(2a)の計量値や判定結果(良品,不良品の判定)をこの制御手段6に記録する構成としてもよい。これにより、作業者は、計量値や判定結果の履歴を確認することが可能となり、計量値の誤差の傾向などを把握することができる。
【0068】
さらに、第1の実施の形態では、排出ボタン5からのモード切換信号の出力や判定結果の記録などを外部コンピュータで行う構成としてもよい。
【0069】
また、第1の実施の形態では、排出ボタン5からのモード切換信号を受けて排出されるべく選択された被検査物2aの前後に搬送されている被検査物2のうちいずれか一方が不良品と判定されているときには、モード切換信号を一旦無効にして表示手段9に再度排出ボタン5を押してモードの切り換えを促すようにメッセージを表示する構成としてもよい。これにより、排出された被検査物2(2a)の中に不良品として判定された被検査物2と比較対象となる被検査物2aとが混在し、作業者が誤った(比較対象ではない)被検査物2を取り出してしまうことを防止できる。
【0070】
第2の実施の形態(異物検査装置)
図7は本発明による異物検査装置の動作フローチャートである。
なお、図7の動作フローチャートは、図2の機能ブロック図の各部に対応した動作を示している。また、以下で説明する第2の実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同等あるいは同一箇所には同一の符号を付す。
【0071】
物品検査装置の第2の実施の形態の異物検査装置1は、被検査物2を搬送しながら異物混入の有無を検出する信号を出力し、この信号のレベルを設定条件と比較して当該被検査物2を良品と不良品とに選別する。
【0072】
なお、第2の実施の形態では、X線によって異物混入の有無が検出される。これは、搬送される被検査物2に所定の検出位置にてX線を照射し、その透過量に基づいて当該被検査物2に混入している金属やガラスなどの異物を検出するものである。また、搬送される被検査物2のうち比較対象となる被検査物2aには予めテストピース(金属片)が付加される。
【0073】
図2に示すように、この異物検査装置1の要部は、検査手段としての異物検出手段3と、排出指示手段5と、制御手段6と、排出手段7と、第2の異物検出手段(図示せず)と、出力手段9とで略構成されている。
【0074】
異物検出手段3は、被検査物2を適当な間隔をあけて連続的に所定の搬送方向Yに搬送する搬送コンベア4と、搬送コンベア4によって搬送される被検査物2内に異物が混入しているか否かを検出する検出部(図示せず)とを有している。
【0075】
検出部は、筐体を有し、この筐体内部に搬送コンベア4が貫通して設けられている。また、検出部は、筐体内部にX線発生器とX線検出器とを備えている。X線発生器は、筐体内部における上方に設けられ、搬送される被検査物2に向けてX線を照射する。また、X線検出器は、筐体内部における下方に設けられ、複数の素子が搬送方向Yと直交して直線状に配列されてなる。これらの素子は、フォトダイオード上にシンチレータが配設された構成となっている。
【0076】
このような構成による検出部では、筐体内部において、搬送される被検査物2に対してX線発生器からX線が照射される。この照射に伴って被検査物2を透過してくるX線は、X線検出器のシンチレータで光に変換される。シンチレータで変換された光はフォトダイオードで受光され、更に電気信号に変換されて出力される。そして、この信号のレベルと予め設定された閾値とを比較し、その結果に基づいて異物混入の有無が検出される。
【0077】
排出指示手段としての排出ボタン5は、後述する出力手段に設けられている。この排出ボタン5は、テストピースが付加された被検査物2aが前記異物検出手段3にて異物検出がなされると後述する排出手段を作動させて搬送方向Yと異なる方向に排出するモード切換信号を出力する。この排出ボタン5からのモード切換信号による排出指示は、テストピースが付加された被検査物2aが排出されるまで継続される。なお、この第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、被検査物2aは排出手段によって排出されるが、専用の排出手段を別途設けて更に搬送方向Yと異なる方向に排出する構成としてもよい。
【0078】
制御手段6は、前記排出ボタン5からのモード切換信号を受けて検査結果を確認用検査結果として記憶するとともに、被検査物2aを搬送方向Yと異なる方向に排出する排出信号を出力する。制御手段6は、前記異物検出手段3により出力された信号のレベルを予め設定された設定条件と比較して被検査物2を良品又は不良品として判定する判定手段(図示せず)と、その判定結果を記憶する記憶手段(図示せず)とを有している。また、制御手段6は、予めテストピース重量が上乗せされた設定値を有する重量検出手段(図示せず)を備えている。これにより、排出ボタン5からのモード切換信号が出力された後、本来検出すべき異物が混入された被検査物2が誤ってテストピースが付加された被検査物2aと判別されることを防止する。さらに、モード切換信号による排出指示は、テストピースが付加された被検査物2aが排出されるまで継続される。
【0079】
前述した排出手段としての排出アーム7は、上述した第1の実施の形態と同様に、図1に示すように、搬送コンベア4によって搬送される被検査物2をそのまま通過させる搬送方向Yと平行な基本位置と、搬送方向Yと交差して搬送される被検査物2を阻止する動作位置との間でアクチュエータなどの駆動力により揺動可能に構成されている。この排出アーム7は、前記制御手段6の判定データを受信してその判定結果に応じて被検査物2を良品と不良品とに選別する。また、この第2の実施の形態では、不良品と判定された被検査物2を排出アーム7で排出する構成としているが、これに限定されず、例えば、エアーを吹きかけて排出したり、搬送コンベア4上で開口部が開いて被検査物2を下方へ落として排出するなどの構成としてもよい。
【0080】
第2の異物検出手段(図示せず)は、製造ラインの外部に設けられ、前記排出ボタン5からのモード切換信号を受けて排出された被検査物2aにおける異物混入の有無を検出する。
【0081】
前述した出力手段としての表手手段9は、図示しないが、前記異物検出手段3による信号レベルと、この信号レベルに基づいて前記制御手段6により判定された判定結果とを表示する。
【0082】
ここで、この第2の実施の形態において異物検出手段3から出力される信号レベルに基づいた判定が正しいか否か、或いは検査結果の確からしさを確認する手順について説明する。
【0083】
まず、搬送される被検査物2にテストピースを付加する。これにより、比較対象となる被検査物2aが決定する。
【0084】
次に、排出ボタン5を押す。この排出ボタン5から出力されるモード切換信号による排出指示は、異物検出手段3により被検査物2aの検査結果が不良品と判定されたときに有効になる。なお、上述した被検査物2にテストピースを付加する手順と排出ボタン5を押す手順はどちらを先に行ってもよい。
【0085】
次に、異物検出手段3による信号レベルから不良品と判定されて排出アーム7によって搬送方向Yと異なる方向に排出された被検査物2aを製造ラインから取り出す。このとき、異物検出手段3から出力された被検査物2aの信号レベルが表示手段9に表示される。
【0086】
次に、第2の異物検出手段により被検査物2aの異物混入の有無を検出する。
【0087】
最後に、異物検出手段3による信号と第2の異物検出手段による信号とのレベルを比較して異物検出手段3による信号レベルが正しいか否か、或いは検査結果の確からしさを確認する。
【0088】
次に、図7を参照して第2の実施の形態における被検査物2(2a)の異物検出から排出までの動作について説明する。
【0089】
図7に示すように、異物検出手段3は、被検査物2(2a)の異物混入の有無を検出する信号を出力する(S21)。
【0090】
次に、制御手段6は、排出ボタン5が押されているか否かを判別する(S22)。このとき、排出ボタン5が押されていなければ、通常検査モードに移行する。これに対し、排出ボタン5が押されていれば、この排出ボタン5からのモード切換信号は出力待機状態となる。そして、制御手段6により不良品と判定されたときに初めてモード切換信号が有効になり、このモード切換信号を受けて検査確認モードに移行する。
【0091】
ここから、通常検査モードの動作と検査確認モードの動作とを別けて説明する。
【0092】
通常検査モード
この通常検査モードでは、異物検出手段3からの信号レベルを予め設定された設定条件と比較(リミット比較)し、信号レベルが設定条件の許容範囲内つまり良品範囲内にあるか否かを判別する(S23)。このとき、信号レベルが前記良品範囲内と判別すると、その被検査物2を良品として判定する。これに対し、前記良品範囲外と判別すると、その被検査物2を不良品として判定する。そして、この判定結果を受けて、図示しない計数手段は、良品数及び不良品数をそれぞれ計数する。
次に、制御手段6は、前記判定結果に応じて被検査物2の排出方向を決定する(S24)。
【0093】
次に、表示手段9は、異物検出手段3からの信号レベルに基づいて制御手段6で判定処理された判定結果とその信号レベルとを表示する(S25)。
【0094】
最後に、排出アーム7は、制御手段6からの排出方向決定結果を受けて被検査物2を所定方向に排出する(S26)。ここでは、被検査物2が良品の場合は、排出アーム7が作動せずにそのまま搬送方向Yに搬送させる。また、被検査物2が不良品の場合は、排出アーム7が作動し、この被検査物2の搬送を阻止して当該被検査物2を搬送方向Yと異なる方向に排出する。
【0095】
検査確認モード
この検査確認モードでは、異物検出手段3からの信号に基づいて被検査物2aに異物が混入しているか否かを判別する(S27)。このとき、異物混入が確認されなければ上述した通常検査モードに移行する。つまり、この被検査物2は、誤った(比較対象ではない)被検査物2ということになる。
次に、制御手段6は、重量検出手段によって被検査物2aの計量値がテストピース重量が上乗せされた値か否かを判別する(S28)。ここでは、予めテストピース重量が上乗せされた設定値と比較して判別し、計量値がテストピース重量が上乗せされた値でなければ被検査物2を通常検査モードに移行する。
次に、制御手段6は、強制的に被検査物2aの排出方向を決定する(S29)。
次に、制御手段6は、排出ボタン5からのモード切換信号が無効になる(S30)。
【0096】
次に、表示手段9は、排出された被検査物2aの信号レベルを表示する(S31)。このとき、表示する信号レベルは自動(通信)入力される。
【0097】
最後に、排出アーム7(排出手段)は、制御手段6からの排出方向決定結果を受けて被検査物2aを所定方向に排出する(S27)。ここでは、強制的に排出アーム7が作動し、この被検査物2aの搬送を阻止して当該被検査物2aを搬送方向Yと異なる方向に排出する。
【0098】
この第2の実施の形態によれば、排出ボタン5からのモード切換信号を受けて搬送される被検査物2の中からテストピースが付加された被検査物2aを比較対象に選択し、且つこの選択した被検査物2aを自動的に製造ラインから取り出すことが可能となる。つまり、異物検出などのような比較対象となる被検査物2aを任意に選択できない場合であっても自動的に製造ラインから取り出し特定することができる。この結果、上述した第1の実施の形態と同様に、比較対象となる被検査物2aの特定が確実且つ容易となる。また、異物検出手段3からの信号レベルを確認用検査結果として記憶し、この確認用検査結果を出力することから、製造ラインを停止させずに、異物検出手段3による被検査物2aの検査結果が正しいか否か、或いは検査結果の確からしさを容易に確認できるようになる。これにより、異物検出手段3による検査結果を容易に検証できるようになる。
【0099】
また、被検査物2aにテストピースを付加して異物検出手段3による検査結果が正しいか否かを確認する場合に、排出ボタン5からのモード切換信号を受けた後、制御手段6により不良品と判定されたときに初めてモード切換信号が有効になるため、テストピースを付加した被検査物2aを選択的に特定して排出できる。
【0100】
さらに、被検査物2aにテストピースを付加して異物検出手段3による検査結果が正しいか否かを確認する場合、排出ボタン5からモード切換信号が出力された後、本来検出すべき異物が混入された被検査物2が誤ってテストピースが付加された被検査物2aとして判別されることを防止できる。
【0101】
なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、排出ボタン5を押す作業と、この排出ボタン5からのモード切換信号を受けて排出された被検査物2aを第2の異物検出手段まで移動させる作業とを手動で行っていたが、これらの作業を自動化することで作業者にかかる負担を減らすことが可能となる。具体的に説明すると、まず、排出ボタン5に予め設定された時間や時間単位ごとに排出指示がなされるタイマーが設けられることで、これまで、作業者が所定時間ごとに排出ボタン5を押していた作業を自動で行うことができる。また、排出された被検査物2aを第2の異物検出手段までコンベアなどで搬送させることで、被検査物2aを第2の異物検出手段まで移動させる作業を自動で行うことができる。
【0102】
また、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、排出ボタン5からのモード切換信号を受けて排出されるべく選択された被検査物2aの前後に搬送されている被検査物2のうちいずれか一方が不良品と判定されているときには、モード切換信号を一旦無効にして表示手段9に再度排出ボタン5を押すようにメッセージを表示する構成としてもよい。これにより、排出された被検査物2の中に不良品と判定された被検査物2と比較対象となる被検査物2aとが混在し、作業者が誤った(比較対象ではない)被検査物2を取り出してしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明による物品検査装置(重量検査装置)を示す概略的な平面図である。
【図2】図1における要部を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明による重量検査装置の表示手段における表示状態を示す図である。
【図4】本発明による重量検査装置の動作フローチャートである。
【図5】本発明による重量検査装置における計量値の処理手順を示す動作フローチャートである。
【図6】本発明による重量検査装置の他の実施の形態を示す概略的な平面図である。
【図7】本発明による異物検査装置の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1…物品検査装置,重量検査装置及び異物検査装置
2…被検査物
2a…比較対象となる被検査物
3…検査手段としての計量手段,検査手段としての異物検出手段
5…排出指示手段としての排出ボタン
6…制御手段
7…排出手段としての排出アーム
8…第2の計量手段
9…出力手段としての表示手段
Y…搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物(2)を所定の搬送方向(Y)に搬送しながら検査する検査手段(3)と、前記検査手段による検査結果と設定条件とを比較判定して判定信号を出力する制御手段(6)と、前記判定信号を受けて前記被検査物を良品と不良品とに選別する排出手段(7)と、前記検査結果を出力する出力手段(9)とを備える物品検査装置(1)において、
前記検査結果の確からしさを確認するために前記被検査物(2a)を前記搬送方向と異なる方向に排出するようにモード切換信号を出力する排出指示手段(5)を備え、
前記制御手段は、前記モード切換信号を受けて前記検査結果を確認用検査結果として記憶するとともに前記被検査物を前記搬送方向と異なる方向に排出する排出信号を出力し、前記出力手段は、前記確認用検査結果を出力することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
被検査物(2)を所定の搬送方向(Y)に搬送しながら計量する計量手段(3)と、前記計量手段による計量値と設定値とを比較判定して判定信号を出力する制御手段(6)と、前記判定信号を受けて前記被検査物を良品と不良品とに選別する排出手段(7)と、前記計量値を出力する出力手段(9)とを備える重量検査装置(1)において、
前記計量値の確からしさを確認するために前記被検査物(2a)を前記搬送方向と異なる方向に排出するようにモード切換信号を出力する排出指示手段(5)を備え、
前記制御手段は、前記モード切換信号を受けて前記計量値を確認用計量値として記憶するとともに前記被検査物を前記搬送方向と異なる方向に排出する排出信号を出力し、前記出力手段は、前記確認用計量値を出力することを特徴とする重量検査装置。
【請求項3】
前記排出指示手段(5)からの前記モード切換信号を受けて前記被検査物(2a)の排出が複数回実施され、
前記制御手段(6)は、前記モード切換信号を受けて前記被検査物が排出される度に該被検査物の実質重量が入力され、更に、該入力された前記被検査物の実質重量と前記計量手段(3)による前記被検査物の計量値とから算出される統計結果を記憶する記憶手段と、前記統計結果を出力する統計結果出力手段とを備えることを特徴とする請求項2記載の重量検査装置。
【請求項4】
前記排出指示手段(5)からの前記モード切換信号を受けて排出された前記被検査物( 2a)の実質重量が第2の計量手段(8)から入力されることを特徴とする請求項3記載の重量検査装置。
【請求項5】
前記制御手段(6)は、前記統計結果と予め記憶されている許容値とを比較して比較結果を表示することを特徴とする請求項3又は4記載の重量検査装置。
【請求項6】
前記制御手段(6)は、前記統計結果から算出される補正係数に基づいて前記計量値を補正することを特徴とする請求項5記載の重量検査装置。
【請求項7】
被検査物(2)を所定の搬送方向(Y)に搬送しながら該被検査物に異物が混入しているか否かを検査する検査手段(3)と、前記検査手段による検査結果と設定条件とを比較判定して判定信号を出力する制御手段(6)と、前記判定信号を受けて前記被検査物を良品と不良品とに選別する排出手段(7)と、前記検査結果を出力する出力手段(9)とを備える異物検査装置(1)において、
前記検査結果の確からしさを確認するために前記被検査物(2a)を前記搬送方向と異なる方向に排出するようにモード切換信号を出力する排出指示手段(5)を備え、
前記制御手段は、前記モード切換信号を受けて前記検査結果を確認用検査結果として記憶するとともに前記被検査物を前記搬送方向と異なる方向に排出する排出信号を出力し、前記出力手段は、前記確認用検査結果を出力することを特徴とする異物検査装置。
【請求項8】
前記制御手段(6)は、前記検査結果が不良品と判定されたときに初めて前記モード切換信号を有効にすることを特徴とする請求項7記載の異物検査装置。
【請求項9】
前記制御手段(6)は、前記被検査物(2,2a)の重量を計量する重量検出手段を備え、該重量検出手段による前記被検査物の計量値に予め記憶されたテストピース重量が上乗せされているときに前記モード切換信号を有効にすることを特徴とする請求項7記載の異物検査装置。
【請求項10】
前記排出指示手段(5)からの前記モード切換信号を受けて選択された前記被検査物(2a)の前後に搬送されている被検査物(2)のうちいずれか一方が不良品と判定されているときに前記モード切換信号を無効にして再度モードの切り換えを促すことを特徴とする請求項1〜9の何れか1つに記載の物品検査装置,重量検査装置及び異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−322750(P2006−322750A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144469(P2005−144469)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】