説明

物品検査装置

【課題】判定結果の信頼性を向上させることができる物品検査装置を提供すること。
【解決手段】被検査物Wを搬送する搬送部2と、搬送部2により搬送される被検査物Wを同一検査条件で複数回検査して、検査毎に被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う仮判定部5と、仮判定部5が検査毎に複数行った仮判定に基づいて、被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの本判定を行う本判定部6と、を備えた。また、本判定部6が、仮判定部5が行った複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関し、特に、食品、医薬等の種々の製品を検査して良否判定を行う物品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、生産される食品や薬品等の製品の品質や状態を検査するために、物品検査装置が生産ラインに組み入れられ、広く用いられている。
【0003】
従来の物品検査装置は、順次搬送されてくる被検査物の所定の物理量をセンサで検出し、設定された基準値と比較して良否判定を行い、その判定結果を出力するようになっている。また、被検査物は、物品検査装置と一体または別体の選別部により、判別結果に応じて生産ラインの後段に搬出されたり、生産ラインから排除されるようになっている。
【0004】
ところで、従来の物品検査装置としては、判定結果の信頼性向上と歩留りの向上を目的として、不良と判定された物品を再度検査するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−220774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の物品検査装置においては、不良と判定された後に再検査で良と判定されたものを良品として取り扱うから、再検査で初めの検査での不良判定を覆して良判定とされたこととなり、初めの検査での判定が覆されたということからして、初めの検査での良判定が覆されて不良判定となることもあり得ることとなるので、初めの検査で良判定であったものが必ずしも良品とはいえなくなる。すなわち、初めの検査および再検査のいずれであっても、1回の検査の判定結果は信頼性の高いものではないという問題があった。
【0006】
特に、検査条件を厳しくして再検査を行う場合にあっては、初回のゆるい検査での良判定を信じてよいのか疑問であるし、加えてそれぞれ異なる検査条件での検査を1回ずつしか実施していないから、複数回検査することのメリットを享受できていない。言い換えれば、歩留りや検査効率を悪化させずに検査品質をも向上させようとしているものの、実質的には判定の信頼性はうすく、検査品質が向上しているとはいえない。
【0007】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、判定結果の信頼性を向上させることができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る物品検査装置は、被検査物を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被検査物を同一検査条件で複数回検査して、検査毎に前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う仮判定手段と、前記仮判定手段が検査毎に複数行った仮判定に基づいて、前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの本判定を行う本判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、同一検査条件で複数の検査を行って検査毎に良否の仮判定を行うので、1回のみ検査を行って判定をする場合よりも判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記本判定手段が、前記仮判定手段が行った複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、前記被検査物が良品であるとの本判定を行うことを特徴とする。
【0011】
この構成により、複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物が良品であるとの本判定が行われるので、判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記仮判定手段が、前記搬送手段の搬送方向に配列された複数の検査部を有し、該検査部による検査毎に前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うことを特徴とする。
【0013】
この構成により、複数の検査部で検査して行われた2つの仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物が良品であるとの本判定が行われるので、判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記搬送手段が同一の被検査物を複数回搬送し、前記仮判定手段が、前記搬送手段が複数回搬送する前記同一の被検査物を検査し、検査毎に前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うことを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0015】
この構成により、1つの検査部によって複数の仮判定を行うことができ、簡易な装置構成で判定結果の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、判定結果の信頼性を向上させることができる物品検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
まず構成について説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。また、図2(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置の検査部の構成例を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、物品検査装置1は、搬送部2と、設定部4と、検査部31、32を有する仮判定部5と、本判定部6と、表示部7と、投受光器8とを備えている。
【0021】
搬送部2は、例えば、食品、医薬等の様々の製品の被検査物Wの中から予め設定部4で設定された品種の被検査物Wを順次搬送するもので、例えば装置本体に対して水平に配置されたベルトコンベアにより構成される。搬送部2は、図示しない駆動モータにより駆動され、搬入された被検査物Wを予め設定された所定の搬送速度で搬送するようになっている。
【0022】
仮判定部5は、搬送部2の搬送方向に並んで配列されて被検査物Wの物理量を検出する検査部31、32を有し、検査部31、32がそれぞれ物理量を検出する毎に、被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかを仮判定し、検査部31および検査部32のそれぞれの仮判定を仮判定信号K1、K2として生成して本判定部6に出力するようになっている。
【0023】
検査部31、32は、搬送部2の搬送方向に近接して配列されており、搬送部2に搬送される被検査物Wを検査部31、32の順で連続して検査するようになっており、同一の被検査物Wに対して検査を行う場所が概ね同一であり、検査を行う時間も概ね同一なため、同一の検査条件で検査を行うことができるようになっている。
【0024】
検査部31、32としては、図2(a)に示すように、交番磁界中を通過する被検査物Wによる磁界の変化を検出して被検査物W中の金属の混入の有無を検知し、この検知結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う金属検出装置の構成を備えたもの、または、図2(b)に示すように、X線発生器30が発生して被検査物Wを透過するX線をX線検出器31a、32aにより検出して被検査物W中の異物の混入の有無や被検査物Wの内部構造や品質について検査し、この検査結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うX線検査装置の構成を備えたもの、または、図2(c)に示すように、被検査物Wの重量を検出して閾値との比較し、この比較結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う計量器としての構成を備えたものを採用することができる。なお、図2(c)に示す計量器としての構成においては、搬送部2が、検査部31に対応する上段側の搬送部2aと、検査部32に対応する上段側の搬送部2bとに分割されている。検査部31、32の検査条件とは、金属検出装置として構成されている場合は、磁界の周波数や強度、受信回路の感度、搬送速度であり、X線検査装置として構成されている場合は、X線発生器30の管電圧や管電流、画像処理の種類と有無、搬送速度であり、計量器として構成されている場合は、計量タイミングや信号処理、搬送速度である。これらの検査条件は、検査部31と検査部32に共通の同一のものが設定部4から設定される。
【0025】
設定部4は、搬送部2によって搬送される被検査物Wの品種の設定操作や、仮判定部5の検査部31、32が被検査物Wに対して検査を行って仮判定信号K1、K2を出力するための検査条件の設定値、本判定部6が仮判定信号K1、K2に基づいて本判定を行うための設定値等の入力操作を含め、被検査物Wの動作に関する各種設定や指示を行うためのものであり、設定や指示のために操作する複数のキーやスイッチ等および設定値を記憶しておく記憶部を備えている。
【0026】
本判定部6は、仮判定部5から受け取った仮判定信号K1、K2に基づいて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの本判定を行い、本判定の結果を本判定信号Hとして生成して表示部7や図示しない選別部に出力するようになっている。
【0027】
具体的には、本判定部6は、仮判定部5から受け取った2つの仮判定信号K1、K2が、良品:不良品=2:0であるとき、すなわち、仮判定部5の複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定を行うようになっている。また、本判定部6は、仮判定部5から受け取った2つの仮判定信号K1、K2が、良品:不良品=0:2であるとき、被検査物Wが不良品であるとの本判定を行う。換言すると、本判定部6は、2つの仮判定が一致しているとき、その一致した仮判定を本判定として採用して本判定信号Hを出力する。
【0028】
なお、良品:不良品=1:1であるときの被検査物Wに対する本判定は、設定部4から予め設定しておく。このとき、同数判定時用の判定基準となる閾値を設けておいて、検査時の閾値よりも厳しくするようにしてもよく、この同数判定時用の判定基準となる閾値を、1つの被検査物Wを繰り返し検査したときに検査部31、32が検出する物理量のばらつきに基づいて設定するようにすれば、物理量のばらつきによる閾値付近での判定の不安定さに影響されないようにもできる。
【0029】
表示部7は、例えば液晶表示器等により構成され、設定部4から設定操作をするときの設定値、仮判定部5の仮判定の結果、本判定部6の本判定の結果等を表示するようになっている。
【0030】
投受光器8は、搬送部2上の被検査物Wの通過を検出する通過検出手段として構成され、図示しない投光器および受光器を有している。投受光器8の検出信号は、仮判定部5の検査部31、32が被検査物Wを検査すべきタイミングを算出するために用いられる。
【0031】
次に、物品検査装置1の動作について説明する。
【0032】
まず、設定部4にて被検査物Wの品種が設定され、この設定された品種の被検査物Wは上段の生産ラインからまたは手投入によって搬送部2に搬入される。
【0033】
ついで、搬送部2により搬送される被検査物Wは、投受光器8によりその通過が検知されたタイミングに基づいて、仮判定部5の検査部31、32により検査および仮判定が行われ、仮判定信号K1、K2が本判定部6に出力される。
【0034】
ついで、本判定部6は、仮判定部5から受け取った仮判定信号K1、K2に基づいて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの本判定を行い、本判定の結果を本判定信号Hとして生成する。本判定の結果は、表示部7に表示されるとともに、図示しない選別部に出力される。
【0035】
以上のように、本実施の形態に係る物品検査装置1は、被検査物Wを搬送する搬送部2と、搬送部2により搬送される被検査物Wを同一検査条件で複数回検査して、検査毎に被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う仮判定部5と、仮判定部5が検査毎に複数行った仮判定に基づいて、被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの本判定を行う本判定部6と、を備えたことを特徴とする。
【0036】
このため、同一検査条件で複数の検査を行って検査毎に良否の仮判定を行うので、1回のみ検査を行って判定をする場合よりも判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、1つの検査による測定値のみが他の複数の検査による測定値から極端に異なるような場合であっても、全ての検査結果が良または不良のいずれかに仮判定されるので、極端に異なる測定値の影響を減少することができる。
【0038】
また、本実施の形態に係る物品検査装置1は、本判定部6が、仮判定部5が行った複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定を行うことを特徴とする。
【0039】
このため、複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定が行われるので、判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る物品検査装置1は、仮判定部5が、搬送部2の搬送方向に配列された複数の検査部31、32を有し、検査部31、32による検査毎に被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うことを特徴とする。
【0041】
このため、複数の検査部31、32で検査して行われた2つの仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定が行われるので、判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。また、図4(a)〜(c)は、本発明の第2の実施の形態に係る物品検査装置の検査部の構成例を示すブロック図である。なお、前述の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、物品検査装置1は、搬送部2と、設定部4と、検査部31、32、33を有する仮判定部5と、本判定部6と、表示部7と、投受光器8とを備えている。
【0044】
仮判定部5は、搬送部2の搬送方向に並んで配列されて被検査物Wの物理量を検出する検査部31、32、33を有し、検査部31、32、33がそれぞれ物理量を検出する毎に、被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかを仮判定し、検査部31、検査部32および検査部33のそれぞれの仮判定を仮判定信号K1、K2、K3として生成して本判定部6に出力するようになっている。
【0045】
検査部31、32、33としては、その数が異なる外は第1の実施の形態と概ね同様であるが、図4(a)に示すように、交番磁界中を通過する被検査物Wによる磁界の変化を検出して被検査物W中の金属の混入の有無を検知し、この検知結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う金属検出装置の構成を備えたもの、または、図4(b)に示すように、X線発生器30が発生して被検査物Wを透過するX線をX線検出器31a、32a、33aにより検出して被検査物W中の異物の混入の有無や被検査物Wの内部構造や品質について検査し、この検査結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うX線検査装置の構成を備えたもの、または、図4(c)に示すように、被検査物Wの重量を検出して閾値と比較し、この比較結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う計量器としての構成を備えたものを採用することができる。なお、図4(c)に示す計量器としての構成においては、搬送部2が、検査部31に対応する上段側の搬送部2aと、検査部32に対応する中段側の搬送部2bと、検査部33に対応する下段側の搬送部2cとに分割されている。3つの検査部31、32、33には、第1の実施の形態と同様、同一の検査条件が設定部4から設定される。
【0046】
本判定部6は、仮判定部5から受け取った仮判定信号K1、K2、K3に基づいて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの本判定を行い、本判定の結果を本判定信号Hとして生成して表示部7や図示しない選別部に出力するようになっている。
【0047】
具体的には、本判定部6は、仮判定部5から受け取った3つの仮判定信号K1、K2、K3が、良品:不良品=3:0または2:1であるとき、すなわち、仮判定部5の複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定を行うようになっている。また、本判定部6は、仮判定部5から受け取った2つの仮判定信号K1、K2、K3が、良品:不良品=1:2または0:3であるとき、被検査物Wが不良品であるとの本判定を行う。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る物品検査装置1は、仮判定部5が、搬送部2の搬送方向に配列された複数の検査部31、32、33を有し、検査部31、32、33による検査毎に被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うことを特徴とする。
【0049】
このため、仮判定部5は1つの被検査物Wに対し3つの仮判定を行い、本判定部6は仮判定部5の複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定を行うことになるので、良品の仮判定が不良品の仮判定と同数になることがなく、常に明確な本判定の結果を得ることができる。
【0050】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。また、図6(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る物品検査装置の検査部の構成例を示すブロック図である。なお、前述の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
図5に示すように、物品検査装置1は、搬送部2と、設定部4と、検査部31を有する仮判定部5と、本判定部6と、表示部7と、投受光器8とを備えている。
【0052】
搬送部2は、搬入された被検査物Wを図における右方向、左方向、右方向の順で、次の被検査物Wが搬入されるまでの間に検査部31を3回通過させるようになっている。
【0053】
仮判定部5は、搬送部2の搬送経路途中に配置されて被検査物Wの物理量を検出する検査部31を有し、被検査物Wが通過して検査部31が物理量を検出する毎に、被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかを仮判定し、仮判定を仮判定信号K1、K2、K3として生成して本判定部6に出力するようになっている。
【0054】
検査部31としては、その数が異なる外は第1の実施の形態および第2の実施の形態と概ね同様であるが、図6(a)に示すように、交番磁界中を通過する被検査物Wによる磁界の変化を検出して被検査物W中の金属の混入の有無を検知し、この検知結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う金属検出装置の構成を備えたもの、または、図6(b)に示すように、X線発生器30が発生して被検査物Wを透過するX線をX線検出器31aにより検出して被検査物W中の異物の混入の有無や被検査物Wの内部構造や品質について検査し、この検査結果に応じて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うX線検査装置の構成を備えたものを採用することができる。
【0055】
本判定部6は、仮判定部5から受け取った仮判定信号K1、K2、K3に基づいて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの本判定を行い、本判定の結果を本判定信号Hとして生成して表示部7や図示しない選別部に出力するようになっている。
【0056】
具体的には、本判定部6は、仮判定部5から受け取った3つの仮判定信号K1、K2、K3が、良品:不良品=3:0または2:1であるとき、すなわち、仮判定部5の複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、被検査物Wが良品であるとの本判定を行うようになっている。また、本判定部6は、仮判定部5から受け取った2つの仮判定信号K1、K2、K3が、良品:不良品=1:2または0:3であるとき、被検査物Wが不良品であるとの本判定を行う。
【0057】
なお、人手により搬送部2に被検査物Wが投入されるような場合、不良と本判定された被検査物W(不良品)を搬送部2の搬入側に戻すように構成することがある。このようなときには1回目と2回目の検査の仮判定がいずれも不良であったときには、3回目の検査の仮判定が良、不良いずれであっても本判定は不良となるから、3回目の検査を実施しないようにしてもよい。これにより、検査を速やかに実行でき、さらに不良品が搬送部2の搬入側に戻っているから人手により容易に排除できる。
【0058】
以上のように、本実施の形態に係る物品検査装置1は、搬送部2が同一の被検査物Wを複数回搬送し、仮判定部5が、搬送部2が複数回搬送する同一の被検査物Wを検査し、検査毎に被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うことを特徴とする。
【0059】
このため、1つの検査部31によって複数の仮判定を行うことができ、簡易な装置構成で判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0060】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、4つ以上の検査部を設けたり、1つの検査部に4回以上通過させるようにしたりすることにより、さらに多くの仮判定を行うように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明に係る物品検査装置は、判定結果の信頼性を向上させることができるという効果を有し、特に、食品、医薬等の種々の製品を検査して良否判定を行う物品検査装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置の検査部の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施の形態に係る物品検査装置の検査部の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る物品検査装置の構成を示すブロック図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る物品検査装置の検査部の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
1 物品検査装置
2 搬送部(搬送手段)
4 設定部
5 仮判定部(仮判定手段)
6 本判定部(本判定手段)
7 表示部
8 投受光器
30 X線発生器
31、32、33 検査部
31a、32a、33a X線検出器
W 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物(W)を搬送する搬送手段(2)と、
前記搬送手段により搬送される前記被検査物を同一検査条件で複数回検査して、検査毎に前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行う仮判定手段(5)と、
前記仮判定手段が検査毎に複数行った仮判定に基づいて、前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの本判定を行う本判定手段(6)と、を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記本判定手段が、前記仮判定手段が行った複数の仮判定のうち良品の仮判定が不良品の仮判定よりも多かったとき、前記被検査物が良品であるとの本判定を行うことを特徴とする物品検査装置。
【請求項3】
前記仮判定手段が、前記搬送手段の搬送方向に配列された複数の検査部(31、32)を有し、該検査部による検査毎に前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うことを特徴とする物品検査装置。
【請求項4】
前記搬送手段が同一の被検査物を複数回搬送し、
前記仮判定手段が、前記搬送手段が複数回搬送する前記同一の被検査物を検査し、検査毎に前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかの仮判定を行うことを特徴とする物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−96670(P2010−96670A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268765(P2008−268765)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】