説明

物標検出装置,壁判定方法

【課題】車両の周囲に存在する物体を検出する物標検出装置において、壁状の静止物体が移動物体として誤認識される頻度を低減する。
【解決手段】探査周期毎に測距データを取得し(S100)、取得した測距データをクラスタリング(S110)し、自車両が停止中ではない場合(S120-N)、クラスタが単一の反射点からなる場合、即ち、クラスタが示す物標が壁であるか否かを判定できない場合(S140-N)、または、クラスタが複数の反射点からなり(S140-Y)、かつ同一クラスタに属する二つの反射点間を結ぶ直線の傾き(基準方向と交差する角度)Yが許容壁範囲内(X−ΔX≦Y≦X+ΔX)にある場合、即ち、クラスタが示す物標が壁であると判定された場合(S150,S160-Y)、そのクラスタを、トラッキング処理や移動/停止判定の処理対象から除去する(S170)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲に存在する物標を検出する物標検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両に接近する物標を検知して報知することによりドライバの運転を支援する運転支援システムとして、図8に示すように、車両M1の正面および左右両側方を探査範囲とするレーダ装置100を用い、レーダ波を反射した物標までの距離を繰り返し測定することによって、交差点進入時等に左右方向から接近してくる物体を検出して、ドライバに報知するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−103482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、レーダ装置の探査範囲が車両の進行方向に対して側方に設定されていることによって、自車両が移動している場合には、探査範囲内に存在する壁(壁状の静止物体)を、横方向(自車両の進行方向に対して直行する方向)への速度を有する移動物体として誤検知してしまう可能性があるという問題があった。
【0005】
ここで、図9(a)は、探査範囲が車両の進行方向に対して側方に設定されている場合に、壁上の反射点が検出される様子を示す説明図である。
なお、図中一点鎖線で区切られた扇状の領域は、個別に測距データが取得される単位領域を示しており、ここでは探査範囲が4個の単位領域A1〜A4によって構成されているものとする。
【0006】
また、太い点線で示した領域は、自車両M1が一定速度で前進している場合、壁との相対的な位置関係を、自車両M1の位置を固定して、時間の経過t,t+1,t+2,…に合わせて示したものである。
【0007】
単位領域A1で検出される測距データ(反射点P1)に着目すると、時刻の経過に従って、反射点P1が自車両M1に接近してくることがわかる。つまり、静止物体であるにも拘わらず、見かけ上は、横方向の速度を持った移動物体として検出されてしまうのである。
【0008】
また、図9(b)は、探査範囲が車両の進行方向に設定されており、且つ、車両側方に存在する壁に接近する方向に斜行している場合に、壁上の反射点が検出される様子を示す説明図である。
【0009】
図9(a)の場合と同様に、レーダ波の照射方向に沿って設置された壁等は、静止物体であるにも拘わらず、見かけ上は、自車両に接近する方向の速度を持った移動物体として検出されてしまう。
【0010】
そして、このような誤認に基づいて運転支援システムが誤警報を頻発すると、運転支援システムに対する不信感や煩わしさをドライバに与えてしまうという問題があった。
本発明は、車両の周囲に存在する物体を検出する物標検出装置において、壁状の静止物体が移動物体として誤認識される頻度を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の物標検出装置では、データ取得手段が、予め設定された探査範囲にレーダ波を照射して、その反射波を受信することにより、レーダ波を反射した物標までの距離を表す測距データを、周期的にかつ探査範囲を複数に分割した単位領域毎に取得する。
【0012】
すると、クラスタリング手段が、データ取得手段により取得した測距データを、測距データおよび該測距データが取得された単位領域とに基づいて特定される反射点の位置に基づいてクラスタリングする。
【0013】
そして、壁判定手段が、クラスタリング手段により抽出されたクラスタが複数の反射点で構成され、且つ、その反射点を結ぶ直線の自車両の進行方向に対する傾きが、予め設定された許容壁範囲内である場合、そのクラスタが表す物標は、道路に沿って設置された壁状の物体であると判定する。
【0014】
このように本発明の物標検出装置によれば、クラスタを構成する複数の反射点間を結ぶ直線の傾きが許容壁範囲内にある場合に、そのクラスタが表す物標は壁であるものとして判定しているため、壁を移動物体として誤認識することを抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の物標検出装置では、移動判定手段が、クラスタリング手段によって抽出されたクラスタが移動物体であるか静止物体であるかを判定し、第1除去手段が、壁判定手段により壁状の物体であると判定されたクラスタを、移動判定手段の判定対象から除去する。
【0016】
このように構成された本発明の物標検出装置によれば、移動判定手段の処理対象が削減されるため、移動判定手段での処理負荷を軽減することができる。
請求項3に記載の物標検出装置では、トラッキング手段が、クラスタリング手段によって抽出されたクラスタのそれぞれを追跡物標として、前回の測定サイクルで検出された追跡物標である前サイクル追跡物標と今回の測定サイクルで検出された追跡物標である今サイクル追跡物標とを両者の位置関係に基づいて対応付ける。そして、移動判定手段は、トラッキング手段によって前サイクル追跡物標に対応付けられた今サイクル追跡物標を判定対象とする。
【0017】
このように構成された本発明の物標検出装置によれば、複数サイクルで検出された物標である可能性の高いクラスタが移動判定手段の処理対象となるため、移動判定手段での処理負荷を更に軽減することができる。
【0018】
なお、壁判定手段及び第1除去手段は、請求項4に記載のように、トラッキング手段による処理前のクラスタを処理対象としてもよいし、請求項5に記載のように、トラッキング手段による処理後のクラスタを処理対象としてもよい。
【0019】
特に前者(請求項4)の場合、壁状の物体を表すクラスタがトラッキング手段での処理の対象から除去されるため、壁状の物体が多数検出される環境において、トラッキング手段での処理負荷を効果的に軽減することができる。
【0020】
請求項6に記載の物標検出装置では、第2除去手段が、クラスタリング手段により抽出されたクラスタが単一の反射点で構成されている場合、該クラスタを移動判定手段の判定対象から除去する。
【0021】
なお、単一の反射点からなるクラスタは、比較的離れた距離に位置するものである場合が多く、また、近距離で検出される単一の反射点からなるクラスタは誤検出である可能性が高い。
【0022】
従って、このように構成された物標検出装置によれば、壁判定手段では壁状の物体であるか否かを判定することができない、単一の反射点で構成されているクラスタも、移動判定手段での判定対象から除去されるため、移動判定手段での処理負荷を更に削減することができる。また、第2除去手段の処理対象を、トラッキング手段による処理前のクラスタとした場合、第1除去手段の場合と同様に、トラッキング手段での処理負荷を効果的に軽減することができる。
【0023】
請求項7に記載の物標検出装置では、報知手段が、移動判定手段により移動物体であると判定されたクラスタが存在する場合、車両の乗員に対して注意を促すための聴覚的または視覚的な報知を実行する。
【0024】
このように構成された本発明の物標検出装置によれば、移動物体が存在することについて、車両の乗員の注意を促すことができる。
請求項8に記載の物標検出装置では、探査範囲が、自車両の進行方向に対して側方に向けて設定されており、許容壁範囲は、自車両が走行中の道路を走行道路、該走行道路と交差する道路を交差道路として、走行道路と交差道路の交差角度を中心とした値に設定されている。
【0025】
この場合、自車両が走行中の道路を走行道路、走行道路に対して交差する道路を交差道路として、自車両が走行道路と交差道路とが交差する交差点に進入する状況を考えると以下のようになる。
【0026】
即ち、交差道路に沿って設置された壁(或いは壁状の物体)では、交差道路に沿った壁面が反射点となるため、反射点を結ぶ直線は、交差道路に沿った直線とほぼ平行なものとなる。これに対して、交差道路を走行する車両等の移動物体では、移動物体の側面だけでなく、移動体の正面や後面も反射点となり、正面や後面上の反射点を含んでいる場合、反射点を結ぶ直線は、交差道路に沿った直線とは異なった傾きを有したものとなる。このため、許容壁範囲を上述のように設定することによって、複数の反射点からなるクラスタが、壁であるか否かを識別することができるのである。
【0027】
請求項9に記載の物標検出装置では、探査範囲が、自車両の進行方向に向けて設定されており、許容壁範囲は、自車両の進行方向を中心とした値に設定されている。
この場合、自車両が走行中の道路を走行道路に沿って設置された壁(或いは壁状の物体)では、走行道路に沿った壁面が反射点となるため、反射点を結ぶ直線は、走行道路に沿った直線とほぼ平行なものとなる。これに対して、走行道路を走行する車両等の移動物体では、移動物体の単一の面だけでなく、複数の面が反射点となるため、反射点を結ぶ直線は、交差道路に沿った直線とは異なった傾きを有したものとなる。このため、許容壁範囲を上述のように設定することによって、複数の反射点からなるクラスタが、壁であるか否かを識別することができるのである。
【0028】
次に、請求項10に記載された本発明の壁判定方法では、まず、データ取得ステップにて、予め設定された探査範囲にレーダ波を照射して、その反射波を受信することにより、レーダ波を反射した物標までの距離を表す測距データを、周期的に、かつ探査範囲を複数に分割した単位領域毎に取得する。
【0029】
続く、クラスタリングステップでは、データ取得ステップにより取得した測距データを、測距データおよび該測距データが取得された単位領域に基づいて特定される反射点の位置に基づいてクラスタリングする。
【0030】
そして、壁判定ステップでは、クラスタリングステップにより抽出されたクラスタが複数の反射点で構成されている場合、該反射点を結ぶ直線の自車両の進行方向に対する傾きが、予め設定された許容壁範囲内である場合に、該クラスタが表す物標は、道路に沿って設置された壁状の物体であると判定する。
【0031】
このような本発明の壁判定方法によれば、検出された物標が壁であるか否かの判定に要する処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】運転支援システム1の概略を示したものであり、(a)がシステム構成を示すブロック図、(b)がレーダ装置の取付位置および探査範囲を示す説明図である。
【図2】レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】制御装置が実行する側方監視処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】交差角度の定義、およびクラスタリング処理やトラッキング処理の概要を示す説明図である。
【図5】左探査範囲で物標(反射点)が検出される様子を示す説明図であり、(a)は、物標が壁である場合、(b)は、物標が自車両の左方向から接近してくる車両である場合を示す。
【図6】第2実施形態での側方監視処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態でのレーダ装置の取付位置および探査範囲を示す説明図である。
【図8】従来装置の概要を示す説明図である。
【図9】従来装置の問題点を示す説明図であり、(a)は、探査範囲が車両の進行方向に対して側方に設定されている場合、(b)は、探査範囲が車両の進行方向に設定されている場合である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本発明が適用された運転支援システム1の構成等を示す説明図であり、(a)が全体構成を示すブロック図、(b)がレーダ装置の設置場所および探査範囲を示す模式図である。
【0034】
図1に示すように、運転支援システム1は、レーダ波(レーザ光,電波,超音波等)を照射し、その反射波を受信することにより、予め設定された探査範囲内に存在する物標を検知するレーダ装置2と、図示しないGPS装置から自車両の位置を取得し、自車両周辺の地図表示の他、経路設定,経路案内等の処理を実行するナビゲーション装置3と、車両の挙動やドライバの運転操作を検出するために用いる各種情報を取得するために車両の各部設けられたセンサ群4とを備えている。
【0035】
また、運転支援システム1は、運転支援のための各種表示を行う表示装置5と、音声や警報音を発生させる音響装置6と、レーダ装置2,ナビゲーション装置3,センサ群4を介して取得した各種情報を用いて、自車両周辺に存在する各種物標(移動物体,静止物体)を検出し、表示装置5や音響装置6を介して車両の乗員に報知することでドライバの運転を支援する各種の運転支援制御を実行する制御装置(本発明の物標検出装置に相当)7とを備えている。
【0036】
<レーダ装置>
レーダ装置2は、図1(b)に示すように、車両の前端に取り付けられ、その取り付け位置から左右両側方に向けてレーダ波を照射するように構成されている。なお、車両の前進方向に向かって右を単に「右」、車両の前進方向に向かって左を単に「左」と称し、車両の右に向けて照射されるレーダ波によって形成される探査範囲を右探査範囲SR、車両の左に向けて照射されるレーダ波によって形成される探査範囲を左探査範囲SLという。
【0037】
いずれの探査範囲SR,SLも、レーダ装置2の設置位置からみた左右方向を基準として、その左右方向より前進方向に所定角度(例えば15°)向いた方向までの範囲をカバーするように設定されている。
【0038】
また、レーダ装置2は、予め設定された探査周期毎に、レーダ波を送受信することで各探査範囲SR,SLに存在する物標との距離を表す測距データを制御装置7に供給する。但し、探査範囲SR,SLは、いずれも水平面内での角度範囲が異なる複数の単位領域A1〜Am(図では、見やすくするためm=4の場合を示す)からなり、測距データは、この単位領域Ai(i=1,2,…,m)毎に求められる。
【0039】
つまり、単位領域Aiの中心を通る方位角と、その単位領域Aiについて検出された測距データとによって、レーダ波を反射した反射点の位置(水平面内での座標)を特定できるように構成されている。
【0040】
ここで、図2は、レーダ装置2の構成を示すブロック図である。但し、図2では、探査範囲SL用に設けられた構成だけを示したものであり、図示を省略するが、探査範囲SR用に同様の構成を備えている。以下では、探査範囲SL,SRを特に区別しない場合は、単に探査範囲と記す。
【0041】
レーダ装置2は、図2に示すように、送信タイミング信号STに従ってパルス状のレーザ光(送信波)を、探査範囲に向けて照射する発光部10と、レーザ光を反射した物標からの反射光(反射波)を受光して受光強度に応じた電気信号(受信信号)R1〜R4に変換する受光部20と、発光部10に供給する送信タイミング信号STを生成すると共に、受光部20から供給される受信信号R1〜R4に基づいて、単位領域A1〜A4毎に、レーザ光を反射した物標(反射物標)についての測距データ(距離,速度等)を生成して、制御装置7に供給する測距部30とを備えている。
【0042】
<<発光部>>
発光部10は、送信タイミング信号STに従って、レーザ光を発生させるレーザダイオード等からなる発光素子11、レーザ光が探査範囲に照射されるように発光素子11から放射されたレーザ光の照射範囲を調整するコリメートレンズ12等で構成されている。
【0043】
<<受光部>>
受光部20は、探査範囲から到来する反射光を集光する集光レンズ21、集光レンズ21を介して受光した反射光の強度に応じた電圧値を有する電気信号を発生させる複数(本実施形態では4個)の受光素子からなる受光素子群22、受光素子群22を構成する各受光素子の受光信号を個別に増幅するために、受光素子毎に設けられた複数の増幅回路からなる増幅回路群23等で構成されている。
【0044】
なお、受光素子群22を構成する受光素子は、車幅方向(水平方向)に沿って一列に配置され、それぞれが、探査範囲を構成する単位領域Aiのいずれかから到来する反射光を受光するように配置されている。
【0045】
以下では、受光素子,増幅回路からなる組みを受光チャンネルCH1〜CH4と称する。つまり、各受光チャンネルCHi(i=1〜4)から出力される増幅された信号が受信信号Riとなる。
【0046】
<<測距部>>
測距部30は、送信タイミング信号STを発生させる制御回路31と、受信信号R1〜R4毎に設けられ、各受信信号Riおよび送信タイミング信号STに基づいてレーダ波が物標との間を往復するのに要した時間を計測し、その計測結果から求めた物標までの距離と、対応する単位領域Ai(即ち、物標が存在する方位)とを関連付けた測距データを生成する複数の測距回路32a〜32dからなる測距回路群32を備えている。
【0047】
<ナビゲーション装置>
ナビゲーション装置3は、自車位置と地図データとに基づき、自車位置が交差点から所定距離以内にまで接近した場合に接近通知を、その交差点を通過した場合に通過通知を制御装置7に通知するように構成されている。但し、接近通知には、自車両が走行中の道路(走行道路)と、前記交差点で走行道路と交差する道路(交差道路)との交差角度X(図4(a)参照)の情報が含まれている。
【0048】
<センサ群>
センサ群4には、自車両の速度を検出する車速センサを少なくとも備えている。
<表示装置/音響装置>
表示装置5および音響装置6は、後述する側方監視処理での処理結果を、視覚的,聴覚的に車両の乗員(特にドライバ)に報知するものであり、ナビゲーション装置3が有する表示画面やスピーカを兼用してもよい。
【0049】
<制御装置>
制御装置7は、CPU,ROM,RAMを中心に構成され、ナビゲーション装置3から接近通知を受けるとレーダ装置2を起動し、通過通知を受けるとレーダ装置2を停止するレーダ起動停止処理、レーダ装置2の動作中にレーダ装置2が測距データを生成する毎(即ち、探査周期毎)に起動して、測距データに基づいて左右両側方から接近する物標の存在を知らせる側方監視処理を少なくとも実行する。
【0050】
<側方監視処理>
次に、側方監視処理の詳細を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
本処理が起動すると、まず、S100では、レーダ装置2から測距データ(今サイクル測距データ)を取得し、続くS110では、取得した今サイクル測距データから特定される反射点の位置に基づいて、反射点間の距離dが近いもの(予め設定された閾値THより短いもの)同士を、同一物標上の反射点であるものとしてまとめるクラスタリング処理を実行する。
【0051】
このクラスタリング処理では、具体的には、図4(b)に示すように、注目する反射点P1の位置座標を(x,y)、他の反射点Pj(j=2,3,…n;但しn≦m)の位置座標を(xj ,yj )として、(1)式を満たす場合に、両者を同一クラスタにまとめる。
【0052】
【数1】

【0053】
なお、図では、注目反射点P1は、反射点P2と同一クラスタに属するが、反射点P3とは異なるクラスタに属することになる。
続くS120では、センサ群4から取得した自車速の情報に基づき、自車両が停止中であるか否かを判断し、停止中であればS190に進み、停止中ではなく移動中であればS130に進む。
【0054】
S130では、S110で抽出されたクラスタのうち、以下で説明するS140〜S170が未処理のものを一つ選択する。この選択されたクラスタを、以下では、対象クラスタと称する。
【0055】
S140では、対象クラスタが複数の反射点で構成されているか否かを判断し、複数の反射点で構成されている場合には、S150にて壁判定処理を実行する。
壁判定処理は、具体的には、対象クラスタに属する反射点のうち、より車両の進行方向側に位置する単位領域Aiにて検出された二つの反射点に着目し、これら二つの反射点間を結ぶ直線が、車両の進行方向に対して成す角度を反射面角度Yとして、この反射面角度Yが、ナビゲーション装置3から接近通知と共に通知される交差角度Xに基づく(2)式を満たす場合、即ち、許容壁範囲内にある場合に、対象クラスタは、壁(交差道路に沿って設置された壁状の物体)であると判断する。但し、ΔXは、レーダ装置2での検出精度を考慮して設定される固定値(例えば、5°程度)である。
【0056】
【数2】

【0057】
S160では、S150での壁判定処理により、対象クラスタが壁であると判定されたか否かを判断し、対象クラスタは壁ではないと判定された場合、S180に進む。
一方、先のS140にて、対象クラスタが単一の反射点で構成されていると判断されるか、または、S160にて、対象クラスタは壁であると判定された場合は、S170に進み、S110のクラスタリング処理で抽出されたクラスタ群の中から対象クラスタを除去してS180に進む。
【0058】
つまり、自車両が移動中である場合、単一の反射点からなるクラスタは、移動物体か静止物体かを判断できないため、後述する移動物体か停止物体かを判定する処理の対象から除外しているのである。
【0059】
S180では、S110にて抽出された全てのクラスタに対してS130〜S170の処理を実行したか否かを判断し、未処理のクラスタがあれば、S130に戻って、全てのクラスタが処理済みとなるまで、同様の処理を繰り返す。
【0060】
S180にて、全てのクラスタが処理済みであると判断されるか、また、先のS120にて自車両が停止中であると判断された場合は、S190にて、クラスタのそれぞれを追跡物標として、今サイクル(時刻t)で検出された追跡物標と、前サイクル(時刻t−1)で検出された追跡物標との対応付けを行うトラッキング処理を実行する。
【0061】
トラッキング処理は、具体的には、図4(c)に示すように、前サイクルの追跡物標B(t−1)を中心とする予め設定された対応付範囲(例えば、車両の全長程度)内に、今サイクルの追跡物標Bk(t)が存在する場合、両者は同じ物標を表すものとして対応付ける。但し、対応付範囲内に今サイクルの追跡物標が複数存在する場合は、対応付範囲の中心(即ち前サイクル追跡物標)に最も近いものを対応付ける。つまり、図では、対応付け範囲内に存在する今サイクルの追跡物標B1(t),B2(t)のうち、B1(t)が前サイクルの追跡物標B(t−1)と対応付けられることになる。
【0062】
また、トラッキング処理では、前サイクルの追跡物標と対応付けられた今サイクル追跡物標については、前サイクルの追跡物標との位置差や探査周期から、物標の移動方向や移動速度、特に、横方向速度VSを算出する。なお、横方向速度VSは、自車両の進行方向に対して水平面内で直交する方向についての移動速度の成分のことをいう。また、移動速度の符号は、自車両に接近している場合をプラス、自車両から離れていく場合をマイナスとする。
【0063】
トラッキング処理が終了すると、S200では、今サイクルの追跡物標のうち、後述するS210〜S230の処理(移動/停止判定)を行っていないものを対象追跡物標として選択し、続くS210では、S190で算出した対象追跡物標の横方向速度VSが、予め設定された下限速度VL以上かつ予め設定された上限速度VH以下であるか否かを判断する。
【0064】
横方向速度VSがVL≦VS≦VHであれば、S220にて、対象追跡物標は移動物体であると判定し、横方向速度がVS<VL、またはVS>VHであれば、S230にて、対象追跡物標は停止物体であると判定する。
【0065】
但し、下限速度VLおよび上限速度VHは、移動物体の想定速度に基づいて設定される。また、これら下限速度VL,上限速度VHは、自車両の移動速度に応じて、静止物体が持つ見かけ上の移動速度を考慮して可変設定されるようにしてもよい。
【0066】
その後、全ての追跡物標に対して、S210〜S230の処理を実行したか否かを判断し、未処理の追跡物標があれば、S200に戻って、全ての追跡物標が処理済みとなるまで同様の処理を繰り返す。
【0067】
S240にて、全ての追跡物標が処理済みであると判断されると、S250に進み、移動物体であると判定された追跡物標の数や位置、危険度等を、表示装置5や音響装置6を用いて視覚的,聴覚的に車両の乗員(特にドライバ)に報知する報知処理を行って、本処理を終了する。
【0068】
<検出例>
ここで、左探査範囲SLで物標(反射点)が検出される様子を、図5を用いて説明する。
【0069】
なお、図中において、太い点線で示した領域は、自車両M1が一定速度で前進している時における、自車両M1と物標(壁Wや車両M2)との相対的な位置関係を、自車両M1の位置を固定して、時間の経過t,t+1,t+2,…に合わせて示したものである。以下では、単位領域Aiで時刻tに検出される反射点をRi(t)、時刻tに抽出されるクラスタをC(t)で表すものとする。
【0070】
まず、左探査範囲SL内に存在する物標が壁Wである場合、図5(a)に示すように、時刻t,t+1,t+2では、単位領域A1でのみ測距データ(反射点P1)が得られる。但し、反射点P1(t)〜P1(t+2)は、クラスタリング処理によって、それぞれ単一の反射点からなるクラスタとして抽出されるため(S140:NO)、これらのクラスタは、トラッキング処理(S190)ひいては移動/停止判定(S200〜S240)を行う前に除去される(S170)。
【0071】
時刻t+3では、単位領域A1,A2で測距データ(反射点P1,P2)が得られる。これら反射点P1(t+3),P2(t+3)は、クラスタリング処理により、同一クラスタC(t+3)に分類され(S140:YES)、壁判定処理(S150)が実行される。
【0072】
なお、壁は交差道路に沿って設置されるため、クラスタC(t+3)に属する反射点P1(t+3),P2(t+3)同士を結ぶ直線は、交差角度Xとほぼ同じ角度Y(t+3)で、自車両M1の進行方向である基準方向と交差する。
【0073】
このため、壁判定処理の結果、クラスタC(t+3)は、壁であると判定され(S160:YES)、トラッキング処理(S190)や移動/停止判定(S200〜S240)を行う前に除去される(S170)。
【0074】
時刻t+4以降も、時刻t+3の場合と同様の動作となる。
次に、左探査範囲SL内に存在する物標が交差道路を走行し自車両M1に接近してくる車両M2である場合、図5(b)に示すように、時刻t,t+1,t+2では、単位領域A1でのみ測距データが得られる(反射点P1(t),P1(t+1),P1(t+2)参照)。これらの反射点P1(t),P1(t+1),P1(t+2)は、クラスタリング処理によって、それぞれ単一の反射点からなるクラスタとして抽出され、S140で否定判定されることで、S170で除去される。
【0075】
時刻t+3では、単位領域A1,A2で測距データが得られる反射点P1(t+3),P2(t+3)参照)。これら反射点P1(t+3),P2(t+3)は、クラスタリング処理により、同一クラスタC(t+3)に分類され(S140:YES)、壁判定処理(S150)が実行される。
【0076】
この時刻t+3では、単位領域A1で検出される反射点P1は車両の前面に位置し、単位領域A2で検出される反射点P2は車両の側面に位置する。このため、両反射点を結ぶ直線は、交差角度Xとは異なる反射面角度Y(t+3)で基準方向と交差する。
【0077】
そして、クラスタC(t+3)は、反射面角度Y(t+3)と交差角度Xとの差の絶対値|X(t+3)−Y|がΔXより大(許容壁範囲外)であれば、壁ではないと判定され(S160:NO)、トラッキング処理(S190)ひいては移動/停止判定(S200〜S240)の処理対象として残される。
【0078】
時刻t+4では、時刻t+3と同様に、単位領域A1,A2で測距データが得られる。但し、時刻t+3の場合とは異なり、単位領域A2で検出される反射点P2(t+4)は、より車両M2の前面に近い位置となる。このため、反射点P1,P2を結ぶ直線は、交差角度Xとは大きく異なった角度Y(t+4)で基準方向と交差することになり、壁判定処理にて壁ではないと確実に判定される。
【0079】
時刻t+5では、単位領域A1,A2,A3で測距データが得られ、単位領域A1,A2で検出される反射点P1,P2は車両の前面に位置し、単位領域A3で検出される反射点P3は車両の側面に位置する。このうち、壁判定処理では、反射点P1,P2が用いられるため、時刻t+4の場合と同様に、壁ではないと確実に判定されることになる。
【0080】
<効果>
以上説明したように、運転支援システム1では、レーダ装置2による測距データをクラスタリングし、同一クラスタCを構成する二つの反射点間を結ぶ直線の傾き(基準方向と交差する角度)Yが許容壁範囲内(X−ΔX≦Y≦X+ΔX)であれば、そのクラスタCが表す物標は壁であると判定して、そのクラスタCを、トラッキング処理や移動/停止判定の処理対象から除去すると共に、単一の反射点からなるクラスタは、移動/停止判定ができないものとして、トラッキング処理や移動/停止判定の処理対象から除去するようにされている。
【0081】
従って、運転支援システム1によれば、壁を移動物体として誤認識してしまうことを抑制することができると共に、トラッキング処理や移動/停止判定での処理負荷を削減することができる。
【0082】
その結果、壁を移動物体と誤認識することに基づいて報知処理が実行されることにより、ドライバに煩わしさや不信感を与えてしまうことを防止することができる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
【0083】
本実施形態では、制御装置7が実行する側方監視処理の内容が一部異なるだけであるため、この相違する点を中心に説明する。
具体的には、図3に示したフローチャートから、S120〜S180の処理を省略し、代わりに、S210とS220の間に、省略した処理に相当するS211〜S214の処理を挿入している。つまり、壁判定処理やその判定結果に基づく処理を、トラッキング処理前ではなくトラッキング処理後に実行するように構成されている。以下では、図3に示すフローチャートと同じステップ番号が付与されている処理は、同じ処理内容であるため、その詳細についての説明は省略する。
【0084】
<側方監視処理>
本処理が起動すると、図6に示すように、まず、S110にてクラスタリング処理を実行し、続くS190では、クラスタリング処理により抽出されたクラスタのそれぞれを今サイクル追跡物標とするトラッキング処理を実行する。
【0085】
トラッキング処理が終了すると、S200では、今サイクルの追跡物標のうち、後述するS210〜S230の処理(移動/停止判定)を行っていないものを対象追跡物標として選択し、続くS210では、S190で算出した対象追跡物標の横方向速度VSが、予め設定された下限速度VL以上かつ予め設定された上限速度VH以下であるか否かを判断する。
【0086】
横方向速度がVS<VLまたはVS>VHであれば、S230にて、対象追跡物標は停止物体であると判定してS240に進む。
一方、横方向速度VSがVL≦VS≦VHであれば、S211に移行し、センサ群4から取得した自車速の情報に基づき、自車両が停止中であるか否かを判断する(S120と同様)。
【0087】
自車両が停止中であればS220にて、対象追跡物標は移動物体であると判定してS240に進み、自車両が停止中ではなく移動中であればS212に進む。
S212では、対象追跡物標(クラスタ)が複数の反射点で構成されているか否かを判断し(S140と同様)、複数の反射点で構成されている場合には、S213にて壁判定処理(S150と同様)を実行する。
【0088】
続くS214では、S213での壁判定処理により、対象追跡物標が壁であると判定されたか否かを判断し、対象追跡物標は壁ではないと判定された場合、S220にて、対象追跡物標は移動物体であると判定してS240に進む。
【0089】
一方、先のS212にて、対象追跡物標が単一の反射点で構成されていると判断されるか、または、S214にて、対象追跡物標は壁であると判定された場合は、移動物体であるか停止物体であるかの判定を行わないものとして、S240に進む。
【0090】
S240では、全ての追跡物標に対して、S200〜S230の処理を実行したか否かを判断し、未処理の追跡物標があれば、S200に戻って、全ての追跡物標が処理済みとなるまで同様の処理を繰り返す。
【0091】
S240にて、全ての追跡物標が処理済みであると判断されると、S250にて報知処理を行って、本処理を終了する。
<効果>
以上説明したように、本実施形態では、トラッキング処理されたクラスタ(追跡物標)を壁判定処理の処理対象とし、追跡物標が移動物体であるか静止物体であるかを判断する処理と一緒に実行するようにされているため、処理ステップ数を削減することができる。但し、第1実施形態の場合とは異なり、壁からの反射波に基づくクラスタもとランキング処理の対象となるため、壁と判定されるクラスタが少ない状況では、第1実施形態のものより処理時間を短縮することができる。
【0092】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、レーダ装置2aの構成,取付位置、及び側方監視処理の代わりに前方監視処理を実行する点が、第1実施形態のレーダ装置2とは異なるだけであるため、これらの相違点を中心に説明する。
【0093】
<レーダ装置>
レーダ装置2aは、図7に示すように、車両の前端に取り付けられ、その取り付け位置から前方に向けてレーダ波を照射するように構成されている。
【0094】
なお、レーダ波によって形成される探査範囲SFは、レーダ装置2の設置位置からみた正面方向を中心として、左右方向に所定角度(例えば15°)ずつ向いた方向までの範囲をカバーするように設定されている。
【0095】
また、レーダ装置2aは、予め設定された探査周期毎に、レーダ波を送受信することで各探査範囲SFに存在する物標との距離を表す測距データを制御装置7に供給する。但し、探査範囲SFは、水平面内での角度範囲が異なる複数の単位領域A1〜Am(図では、m=8の場合を示す)からなり、測距データは、この単位領域Ai(i=1,2,…,m)毎に求められる。
【0096】
つまり、単位領域Aiの中心を通る方位角と、その単位領域Aiについて検出された測距データとによって、レーダ波を反射した反射点の位置(水平面内での座標)を特定できるように構成されている。
【0097】
そして、レーダ装置2aは、一組の発光部10,受光部20,測距部30により構成されている。また、発光部20及び測距部30は、単位領域と同数のチャンネルCH1〜CHmを有するように構成されている。
【0098】
<前方監視処理>
前方監視処理は、第1及び第2実施形態で設営した側方監視処理と同様の処理であり、処理で使用するパラメータが一部異なっている。
【0099】
具体的には、S190(トラッキング処理)では、横方向速度VSの代わりに進行方向に沿った方向の縦方向速度VSを検出する。但し、縦方向速度VSの符号は、自車両に接近する方向をプラス、自車両から離れる方向をマイナスとする。
【0100】
そして、S210では、この縦方向速度VSを用いて判断する。
<効果>
この場合、車両が側方に存在する壁等に接近するように車光している場合に、壁からの反射波に基づくクラスタは、静止しているにも関わらず、縦方向速度を持ったものとして検出されるが、これを、移動物体と誤検出してしまうことを防止することができる。
【0101】
[他の実施形態]
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様にて実施可能である。
【0102】
例えば、上記実施形態では、壁判定処理によって、壁であると判定したクラスタ/追跡物標を、トラッキング処理の処理対象から除去したり移動物体か停止物体かの判定対象から除外したりしているが、クラスタ/追跡物標が壁又は停止物体を表しているものとして、壁又は停止物体の情報を必要とする制御で利用するように構成してもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、壁判定処理をトラッキング処理前(第1実施形態)やトラッキング処理後(第2実施形態)に実行しているが、トラッキング処理の中で実行するように構成してもよい。
【0104】
上記実施形態では、交差角度Xの情報をナビゲーション装置3から取得して、壁判定処理に使用しているが、交差角度Xの情報を用いず、許容壁範囲を大きめに設定して、壁判定処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…運転支援システム 2,2a…レーダ装置 3…ナビゲーション装置 4…センサ群 5…表示装置 6…音響装置 7…制御装置 10…発光部 11…発光素子 15…制御装置 20…受光部 21…集光レンズ 22…受光素子群 30…測距部 31…制御回路 32…測距回路群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された探査範囲にレーダ波を照射して、その反射波を受信することにより、レーダ波を反射した物標までの距離を表す測距データを、周期的に、かつ前記探査範囲を複数に分割した単位領域毎に、取得するデータ取得手段(7、S100)と、
前記データ取得手段により取得した測距データを、測距データおよび該測距データが取得された単位領域に基づいて特定される反射点の位置に基づいてクラスタリングするクラスタリング手段(7、S110)と、
前記クラスタリング手段により抽出されたクラスタが複数の反射点で構成され、且つ、該反射点を結ぶ直線の自車両の進行方向に対する傾きが、予め設定された許容壁範囲内である場合、該クラスタが表す物標は、道路に沿って設置された壁状の物体であると判定する壁判定手段(7、S150、S213)と、
を備えることを特徴とする物標検出装置。
【請求項2】
前記クラスタリング手段によって抽出されたクラスタが移動物体であるか静止物体であるかを判定する移動判定手段(7、S210、S220、S230)と、
前記壁判定手段により壁状の物体であると判定されたクラスタを、前記移動判定手段の判定対象から除去する第1除去手段(7、S160、S170、S214)と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物標検出装置。
【請求項3】
前記クラスタリング手段によって抽出されたクラスタのそれぞれを追跡物標として、前回の測定サイクルで検出された追跡物標である前サイクル追跡物標と今回の測定サイクルで検出された追跡物標である今サイクル追跡物標とを両者の位置関係に基づいて対応付けるトラッキング手段(7、S190)を備え、
前記移動判定手段は、前記トラッキング手段によって前記前サイクル追跡物標に対応付けられた前記今サイクル追跡物標を判定対象とすることを特徴とする請求項2に記載の物標検出装置。
【請求項4】
前記壁判定手段(7、S150)及び前記第1除去手段(7、S160、S170)は、前記トラッキング手段による処理前のクラスタを処理対象とすることを特徴とする請求項3に記載の物標検出装置。
【請求項5】
前記壁判定手段(7、S213)及び前記第1除去手段(7、S214)は、前記トラッキング手段による処理後のクラスタを処理対象とすることを特徴とする請求項3に記載の物標検出装置。
【請求項6】
前記クラスタリング手段により抽出されたクラスタが単一の反射点で構成されている場合、該クラスタを前記移動判定手段の判定対象から除去する第2除去手段(7、S140、S170、S212)を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の物標検出装置。
【請求項7】
前記移動判定手段により移動物体であると判定された追跡物標が存在する場合、車両の乗員に対して注意を促すための聴覚的または視覚的な報知を実行する報知手段(7、S250)を備えることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の物標検出装置。
【請求項8】
前記探査範囲は、自車両の進行方向に対して側方に向けて設定されており、
前記許容壁範囲は、自車両が走行中の道路を走行道路、該走行道路と交差する道路を交差道路として、前記走行道路と前記交差道路の交差角度を中心とした値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の物標検出装置。
【請求項9】
前記探査範囲は、自車両の進行方向に向けて設定されており、
前記許容壁範囲は、自車両の進行方向を中心とした値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の物標検出装置。
【請求項10】
予め設定された探査範囲にレーダ波を照射して、その反射波を受信することにより、レーダ波を反射した物標までの距離を表す測距データを、周期的に、かつ前記探査範囲を複数に分割した単位領域毎に取得するデータ取得ステップ(7、S100)と、
前記データ取得手段により取得した測距データを、測距データおよび該測距データが取得された単位領域に基づいて特定される反射点の位置に基づいてクラスタリングするクラスタリングステップ(7、S110)と、
前記クラスタリング手段により抽出されたクラスタが複数の反射点で構成されている場合、該反射点を結ぶ直線の自車両の進行方向に対する傾きが、予め設定された許容壁範囲内である場合に、該クラスタが表す物標は、道路に沿って設置された壁状の物体であると判定する壁判定ステップ(7、S150、S213)と、
からなることを特徴とする壁判定方法。

【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−36978(P2013−36978A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101578(P2012−101578)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】