説明

物質乾燥装置および物質乾燥方法

【課題】プラズマ還元処理済みの食品廃棄物などの乾燥対象物質を比較的短時間のうちに比較的大量にかつ比較的効率良く乾燥処理することができる乾燥処理装置11を提供する。
【解決手段】乾燥対象物質を攪拌しつつ移送することができる物質攪拌機構25の長手状外筒26が、加熱槽13の内部空間に収容されている。攪拌バー群29、30が、長手状外筒26の内部空間に設けられている。攪拌バー群29、30を構成している多数本の攪拌バー31の軸心方向に延在する中心線を順次つないだ包絡面が、ほぼスパイラル形状になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥すべき物質(以下、「乾燥対象物質」という。)を攪拌することができる物質攪拌機構と、上記物質攪拌機構によって攪拌される乾燥対象物質を加熱することができる加熱手段とを備えている物質乾燥装置に関するものである。また、本発明は、このような物質乾燥装置を用いて乾燥対象物質を乾燥処理するように構成した物質乾燥方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、特願2010−164152号でもって、プラズマ還元方式による物質処理装置およびプラズマ還元方式による物質処理方法を先に提案した。そして、上記物質処理の装置および方法によれば、食品生産現場や食品加工過程においてそれぞれ発生した野菜、穀物、海藻、魚貝類、肉類などの食品廃棄物をプラズマ還元処理することができる。また、このプラズマ還元処理後の食品廃棄物は、水分が比較的多いので、そのままの状態でもって豚の餌などにすることができる。しかし、上述のプラズマ還元処理後の食品廃棄物は、水分が比較的多いために、そのままの状態でもって牛の餌などにすることはできない。
【0003】
一方、特許文献1には、食品工場で廃棄される賞味期限切れの牛乳、豆腐などの不良品の汚泥などの攪拌乾燥処理を行うための物質乾燥装置が開示されている。そして、特許文献1の物質乾燥装置は、横型筒状のドラムと、このドラムに横向きに支持されている回転軸と、この回転軸に設けられている多数個の支持アームとを備えている。そして、上記横型筒状のドラムの上部中央付近には、食品汚泥を投入するための汚泥投入口が設けられている。また、上記横型筒状のドラムの下部中央付近には、攪拌乾燥された乾燥物を取り出すための取り出し口が設けられている。したがって、特許文献1の物質乾燥装置は、食品汚泥などの乾燥処理物質をバッチ処理するように構成されている。さらに、上記多数個の支持アームのそれぞれの先端部には、内側攪拌羽根または外側攪拌羽根が設けられている。そして、上記横型筒状のドラム内には、熱風が直接に供給されるので、乾燥対象物質はこの熱風によって直接に加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−172580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている物質乾燥装置および物質乾燥方法においては、乾燥対象物質をバッチ処理するようにしている。このために、乾燥対象物質の乾燥処理を流れ作業的に連続処理することができないので、乾燥対象物質を短時間のうちに大量に乾燥処理することができない。
【0006】
また、特許文献1の装置および方法においては、横型筒状のドラム内に熱風が直接に供給される。このために、乾燥対象物質が熱風によって直接に加熱されるので、横型筒状のドラム内の乾燥対象物質の温度管理を正確に行うのが難しい。
【0007】
また、特許文献1の装置および方法においては、乾燥対象物質を攪拌するための攪拌手段が、回転軸に設けられている多数個の支持アームのそれぞれの先端部にそれぞれ設けられている内側または外側の攪拌羽根によって構成されている。このために、攪拌手段は、乾燥対象物質を単に攪拌する機能を備えているにしかすぎず、また、攪拌羽根に比較的大きな負荷が加わったときに、攪拌羽根が破損しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その第1の観点においては、乾燥対象物質を攪拌しつつ移送することができる物質攪拌機構と、上記物質攪拌機構によって攪拌されつつ移送される乾燥対象物質を加熱することができる加熱槽とを備え、上記物質攪拌機構が、長さ方向の一端部側に物質供給口を有するとともに長さ方向の他端側に物質排出口を有する長手状の外筒と、この長手状外筒の長さ方向に延在するようにこの長手状外筒の内部空間に回転可能に配されている少なくとも1つの回転軸と、この少なくとも1つの回転軸に設けられている少なくとも1つの攪拌バー群とを備え、上記長手状外筒のうちの少なくとも中間部分が、上記加熱槽の内部空間に収容され、上記攪拌バー群が、上記回転軸の軸心方向に沿って上記回転軸に間欠的に配設されている多数本の棒状攪拌バーによって構成され、上記多数本の棒状攪拌バーの軸心方向にそれぞれ延在する多数本の中心線を順次つないだ包絡面がほぼスパイラル形状になっていることを特徴とする物質乾燥装置に係るものである。この場合、上記長手状外筒の上流側の端部および下流側の端部のうちの少なくとも一方が、上記加熱槽から外部に向かって突設されていてもよい。
【0009】
そして、本発明の上記第1の観点の第1の態様においては、上記長手状外筒の全体が上記加熱槽の上記内部空間に収容されているのが好ましい。また、本発明の上記第1の観点の第2の態様においては、上記少なくとも1つの回転軸が、1本の支持軸を構成するように直接または間接的に互いに連結されている第1および第2の回転軸を備え、上記少なくとも1つの攪拌バー群が、これら第1および第2の回転軸にそれぞれ設けられている第1および第2の攪拌バー群を備えているのが好ましい。この場合、回転軸および攪拌バー群のそれぞれが3つまたはそれよりも多くてもよい。
【0010】
そして、本発明の上記第1の観点の第3の態様においては、上記第1の回転軸を回転駆動させることができる第1の回転駆動手段と、上記第2の回転軸を回転駆動させることができる第2の回転駆動手段とを備え、上記第1および第2の回転駆動手段のうちの少なくとも一方が、上記第1および第2の回転軸のうちの少なくとも一方を正回転駆動および逆回転駆動させることができるように構成されているのが好ましい。この場合、上記第1および第2の回転駆動手段は、モータなどの駆動源は互いに共通であって、このモータなどの駆動源から第1および第2の回転軸に至る駆動力伝達手段のうちの一部または全部が互いに相違していてもよい。また、回転駆動手段および回転軸のそれぞれが3つまたはそれよりも多くてもよい。
【0011】
そして、本発明の上記第1の観点の第4の態様においては、上記回転軸の軸心方向にほぼ沿って長手状に延在している上記軸心方向から見てほぼリング状の加熱用空間が、上記加熱槽と上記長手状外筒との間に設けられ、上記リング状加熱用空間に熱風を吹き込むことができる複数個の加熱手段が、上記加熱用空間の上流側から下流側にかけて順次配設され、上記複数個の加熱手段のそれぞれの熱風吹き込み方向が、下流側から上流側を見たときに、上記リング状加熱用空間を同方向に旋回するガスの流れを生じさせる方向であるのが好ましい。この場合、上記加熱槽が、上記リング状加熱用空間の上流側および下流側のうちのいずれか一方の側のガスを吸い込むことができる吸い込み口を有するガス循環機構を備え、上記ガス循環機構が、上記吸い込んだガスを上記リング状加熱用空間の下流側および上流側のうちの他方に送り出すことができる送り出し口をさらに有し、上記ガス吸い込みの方向と上記ガス送り出しの方向とのそれぞれが、上記旋回ガスの上記流れを助長する方向であるのがさらに好ましい。
【0012】
そして、本発明の上記第1の観点の第5の態様においては、上記物質排出口から排出される上記乾燥対象物質が供給されることができるリードスクリュー式のコンベア機構が、上記加熱槽に付属されて、この加熱槽と直接または間接的に一体的に設けられ、上記物質排出口から排出される上記乾燥対象物質が、上記コンベア機構によって、このコンベア機構の物質取り出し口まで移送されるように構成されているのが好ましい。
【0013】
さらに、本発明においては、その第2の観点においては、上記第1の観点における物質乾燥装置を用いて乾燥対象物質を乾燥処理するように構成したことを特徴とする物質乾燥方法に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、食品廃棄物をプラズマ還元処理することによって得られるプラズマ還元処理済みの食品廃棄物などの乾燥対象物質を、流れ作業的に連続処理することができるので、乾燥対象物質を比較的短時間のうちに比較的大量に乾燥処理することができる。
【0015】
また、本発明によれば、乾燥対象物質を長手状外筒を介して間接的に加熱するようにしたので、外筒の内部空間の乾燥対象物質の温度管理を比較的正確に行うことができ、また、外筒の内部空間の乾燥対象物質を多数本の棒状攪拌バーによって攪拌しつつ上流側から下流側に移送することができるので、乾燥対象物質を比較的効率良く乾燥処理することができる。そして、多数本の攪拌バーは、それぞれ棒状であるので、乾燥対象物質の攪拌および移送を比較的良好に行うことができるにもかかわらず、攪拌バーが破損するおそれが比較的少ない。
【0016】
また、請求項3に係る発明によれば、第1および第2の回転軸のそれぞれの回転数を互いに変更させることができるので、乾燥対象物の攪拌状態および移送状態にそれぞれ対応させて、乾燥対象物質の攪拌および移送をさらに良好に行うことが可能である。さらに、請求項4に係る発明によれば、第1および第2の回転軸のうちの少なくとも一方を一時的に逆転させることなどによって、乾燥対象物質の攪拌および移送をきわめて良好に行うことが可能である。
【0017】
また、請求項5に係る発明によれば、外筒内の乾燥対象物質の高温での温度管理を効率良く行うことができる。さらに、請求項6に係る発明によれば、上述のような温度管理をさらに効率良く行うことができる。
【0018】
また、請求項7に係る発明によれば、乾燥対象物質を加圧状態で移送しつつ取り出すことができるので、この移送時に乾燥対象物質を多少ともプラズマ還元処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例によるプラズマ還元方式の物質乾燥装置の概略的な正面図である。(実施例1)
【図2】図1に示す物質乾燥装置の概略的な斜視図である。(実施例1)
【図3】図1に示す物質攪拌機構の攪拌バー機構の概略的な斜視図である。(実施例1)
【図4】図1の1−1線に沿った拡大断面図である。(実施例1)
【図5】図1の2−2線に沿った拡大断面図である。(実施例1)
【図6】図1の3−3線に沿った拡大断面図である。(実施例1)
【図7】図1の4−4線に沿った拡大断面図である。(実施例1)
【図8】図1の5−5線に沿った拡大断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明の一実施例によるプラズマ還元方式の物質乾燥装置と、この物質乾燥装置を用いたプラズマ還元方式の物質乾燥方法とを、「1、物質乾燥装置の構成」、「2、物質乾燥装置の各部の寸法、寸法比などの数値」および「3、物質乾燥方法の構成」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
1、物質乾燥装置の構成
図1〜図8に示すプラズマ還元方式の物質乾燥装置11は、主要な構成要素として、つぎの(ア)項〜(ケ)項に記載のものを備えている。
(ア)他の構成要素が直接または間接的に支持されている筐体支持手段としての基枠12、
(イ)基枠12に支持されている加熱槽またはケーシングとしての筐体13を備えている乾燥装置本体10、
(ウ)筐体13の上方に設けられているホッパ14、
(エ)筐体13の上方に設けられているガス循環機構15、
(オ)筐体13の上方に設けられている排気機構16、
(カ)基枠12および筐体13の上流側Aの端部付近に設けられている第1の攪拌バー駆動機構17、
(キ)基枠12および筐体13の下流側Bの端部付近に設けられている第2の攪拌バー駆動機構18、
(ク)筐体13の下方に上流側Aから下流側Bに向かって順次設けられているそれぞれ加熱手段としての第1、第2および第3の加熱用バーナ機構21、22、23、および
(ケ)筐体13の下流側Bの端部付近の下方に設けられているリードスクリュー式の物質排出用コンベア機構24。
【0022】
図1〜図8に示す筐体13は、上流側Aから下流側Bに向かう方向にほぼ沿って長手状のほぼ直方体形状などに構成されていてよい。そして、乾燥装置本体10は、主要な構成要素として、上記筐体13と物質攪拌機構25とを備えている。また、この物質攪拌機構25は、主要な構成要素として、つぎの(コ)項〜(ス)項に記載のものを備えている。
(コ)基枠12に取り付け支持されているほぼ円筒形状などのほぼ筒形状で長手状の外筒26、
(サ)外筒26の上流側Aから下流側Bに向かって外筒26の両端部を貫通しかつこの外筒26に対してほぼ同心状に延在している支持軸27、
(シ)支持軸27に取り付け支持されている多数本の攪拌バー31、および
(ス)支持軸27に上流側Aから下流側Bに向かって順次連結されているそれぞれ位置決め手段としての第1、第2および第3の位置決め部材32、33、34。
【0023】
図1および図3に示すように、支持軸27は、上流側Aを延在している第1のバー取り付け軸としての第1の回転軸27aと、下流側Bを延在している第2のバー取り付け軸としての第2の回転軸27bと、第1の回転軸27aと第2の回転軸27bとを連結している連結手段としての連結軸27cとを備えている。なお、連結軸27cは、それ自体は、回転可能であってもよいし、回転不能であってもよい。そして、連結軸27cは、第1の回転軸27aと第2の回転軸27bとが個別に回転可能なように、第1の回転軸27aの下流側Bの端部と第2の回転軸27bの上流側Aの端部とにそれぞれ連結されていればよい。したがって、連結軸27cは、第1の回転軸27aの下流側Bの端部に対して軸受け手段として機能するとともに、第2の回転軸27bの上流側Aの端部に対しても軸受け手段として機能する。
【0024】
図1および図3に示すように、第1、第2および第3の位置決め部材32〜34のそれぞれは、ほぼX字形状などの任意の形状であってよく、好ましくは複数本の腕部を備えている。そして、これらの腕部の先端部は、外筒26にねじ止めなどによって取り付け固定されている。また、図4〜図8に示すように、外筒26の外周面には、H型鋼などから成る長手状補強部材37が好ましくは複数本取り付けられている。なお、これらの長手状補強部材37は、支持軸27に対してほぼ平行に延在しているのが好ましい。また、これらの補強部材37には、支持軸27に対してほぼ平行に延在しているアース線38がそれぞれ取り付けられている。そして、これらのアース線38の取り付けおよび絶縁は、これらのアース線38のそれぞれに対して複数個の絶縁用ガイシ41によって行われる。
【0025】
図1および図4〜図8に示すように、外筒26は、上流側Aを延在している第1の外筒部材26aと、下流側Bを延在している第2の外筒部材26bとを備えていてよい。そして、これら第1および第2の外筒部材26a、26bの両端部には、外向きのフランジ部がそれぞれ設けられていてよい。また、第1の外筒部材26aの下流側Bの端部に設けられている上記フランジ部と、第2の外筒部材26bの上流側Aの端部に設けられている上記フランジ部とは、互いに結合されている。さらに、第1の外筒部材26aの上流側Aの端部に設けられている上記フランジ部には、上流側Aの端板35が取り付け固定されている。また、第2の外筒部材26bの下流側Bの端部に設けられている上記フランジ部には、下流側Bの端板36が取り付け固定されている。
【0026】
図1、図3および図4〜図8に示すように、多数本の攪拌バー31は、支持軸27に上流側Aから下流側Bに向かって好ましくはほぼ等間隔でもって取り付け固定されている。図示の実施例においては、第1の回転軸27aおよび第2の回転軸27bのそれぞれには、ステンレスなどの金属材料からそれぞれ構成されているのが好ましい34本の攪拌バー31が取り付けられている。そして、第1および第2の回転軸27a、27bのうちの、第1の位置決め部材32および第3の位置決め部材34がそれぞれ取り付けられている箇所では、本来取り付けられていてよい1本の攪拌バー31の取り付けがそれぞれ省略されている。また、第2の位置決め部材33が取り付けられている連結軸27cにおいては、本来取り付けられていてよい3本の攪拌バー31の取り付けがそれぞれ省略されている。そして、第1および第2の回転軸27a、27bのそれぞれには、図示の実施例においては、34本の攪拌バー31がそれぞれ取り付けられている。
【0027】
図5〜図8に示すように、攪拌バー31のそれぞれは、第1および第2の回転軸27a、27bの軸心に対してほぼ垂直に延在しているのが好ましい。そして、図示の実施例においては、第1の回転軸27aおよび第2の回転軸27bのそれぞれにおいて互いに隣接している一対の攪拌バー31が成す角度(ただし、回転軸27a、27bの軸心方向から見たときの角度)は、大部分では、約3°である。また、第1の回転軸27aおよび第2の回転軸27bのそれぞれにおいて互いに隣接している一対の攪拌バー31のピッチ(ただし、回転軸27a、27bの軸心方向におけるピッチ)は、大部分では、約80mmである。ただし、第1の位置決め部材32および第2の位置決め部材34のそれぞれを挟んで互いに隣接している一対の攪拌バー31のそれぞれがなす角度は、上記角度の約2倍(すなわち、約6°)であり、上記互いに隣接している一対の攪拌バー31のそれぞれのピッチは、上記ピッチの約2倍(すなわち、約160mm)である。
【0028】
図5〜図8に示すように、攪拌バー31の軸心またはその延長線は、第1および第2の回転軸27a、27bのほぼ軸心を通っているのが好ましい。そして、攪拌バー31のそれぞれは、ほぼ直線的などに延在する棒状体(例えば、単なる棒状体)であってよく、全体としてほぼ円柱形状であるのが好ましく、その先端部は、上記円柱形状の直径とほぼ同一の直径を有しているほぼ半球形状であるのが好ましい。また、攪拌バー31の先端部は、外筒26の内周面との間に、実質的に間隙を有していないか、あるいは、間隙をほとんど有していないのが好ましい。なお、第1の回転軸27aにそれぞれ取り付けられている多数本(換言すれば、34本)の攪拌バー31によって、第1の攪拌バー群29が構成されている。そして、この第1の攪拌バー群29の多数本の攪拌バー31の中心線(具体的には、各攪拌バー31の長さ方向または軸心方向に延在する中心線)を順次つないだ包絡面は、ほぼ1/4回転のみのゆるやかなスパイラル形状になっている。また、第2の回転軸27bにそれぞれ取り付けられている多数本(換言すれば、34本)の攪拌バー31によって、第2の攪拌バー群30が構成されている。そして、この第2の攪拌バー群30の多数本の攪拌バー31の中心線(具体的には、各攪拌バー31の長さ方向または軸心方向に延在する中心線)を順次つないだ包絡面は、ほぼ1/4回転のみのゆるやかなスパイラル形状になっている。
【0029】
図1、図2および図4にそれぞれ示す第1の攪拌バー駆動機構17と第2の攪拌バー駆動機構18とは、基枠12および筐体13に対してほぼ対称的に配設されている。したがって、以下において、第1の攪拌バー駆動機構17について詳細に説明し、第2の攪拌バー駆動機構18についての詳細な説明は省略する。すなわち、第1の攪拌バー駆動機構17は、主要な構成要素として、つぎの(セ)項〜(チ)項に記載のものを備えている。
(セ)基枠12に設けられている変速ギヤ付き駆動モータ42、
(ソ)この駆動モータ42の出力軸43に設けられている駆動側のスプロケット44、
(タ)外筒26に支持されている支持軸27の上流側Aの端部に設けられている従動側のスプロケット45、および
(チ)駆動側スプロケット44と従動側スプロケット45との間に掛け渡されている駆動用チェーン46。
【0030】
図4に示すように、ホッパ14の下端部は、外筒26の開口部に連結されている。そして、このホッパ14には、このホッパ14を開閉することができかつ任意の開口量に調整することもできるシャッタ47a、47bが設けられている。さらに、図1、図2および図5〜図7に示すように、ガス循環機構15は、主要な構成要素として、つぎの(ツ)項〜(ト)項に記載のものを備えている。
(ツ)送風機48、
(テ)筐体13の内部空間(具体的には、筐体13の内周面と外筒26の外周面との間の空間)51のガスを吸い込んで送風機48に送り込むための吸い込み側のダクト52、および
(ト)送風機48によって送り出されるガスを筐体13の内部空間51に送り込むための送り出し側のダクト53。
【0031】
図1、図2および図6〜図8に示すように、排気機構16は、主要な構成要素として、つぎの(ナ)項〜(ネ)項に記載のものを備えている。
(ナ)送風機54、
(ニ)外筒26の内部空間55の水蒸気、粉塵などを含むガスを吸い込んで送風機54に送り込むための吸い込み側のダクト56、
(ヌ)送風機54によって送り出されるガスをサイクロン(図示せず)に送り込むための送り出し側のダクト(図示せず)、および
(ネ)上記送り出し側のダクトを通して供給されるガス中の水蒸気、粉塵などを除去するための上記サイクロン。
【0032】
図1および図7に示すように、第1、第2および第3の加熱用バーナ機構21〜23のそれぞれは、気体燃料、液体燃料などを燃焼させるように構成されたバーナ57と、このバーナ57から送り出される高温ガスを筐体13の内部空間51に送り込むためのダクト58とを備えている。なお、第1〜第3の加熱用バーナ機構21〜23のそれぞれのダクト58のガス排出口は、下流側Bから上流側Aを見たときの外筒26の右側にそれぞれ位置するとともに、ほぼ上方を向いて内部空間51の下方にそれぞれ位置している。そして、第1の加熱用バーナ機構21のダクト58のガス排出口は、筐体13の内部空間51のほぼ上流側Aの部分に位置している。また、第2の加熱用バーナ機構22のダクト58のガス排出口は、筐体13の内部空間51の上流側Aの部分と下流側Bの部分とのほぼ中間に位置している。さらに、第3の加熱用バーナ機構23のダクト58のガス排出口は、筐体13の内部空間51のほぼ下流側Bの部分に位置している。したがって、筐体13の内部空間51(換言すれば、外筒26の外周囲付近)には、上流側Aの部分から下流側Bの部分のほぼ全体にわたって、下流側Bから上流側Aを見たときの反時計方向に旋回するガスの流れが生じる。
【0033】
図示の実施例においては、図4〜図8に示すように、筐体13の内部空間51の長さ方向(換言すれば、上流側Aから下流側Bに向かう方向)に対して直交する方向における断面は、ほぼ正方形状である。そして、外筒26の内部空間55の長さ方向に対して直交する方向における断面は、ほぼ円形状である。また、上記ほぼ正方形状の中心は、上記ほぼ円形状の中心とほぼ一致している。しかし、内部空間51の上記断面は、ほぼ正方形である必要は必ずしもなく、ほぼ長方形状、ほぼ円形状などの別の形状であってもよい。また、内部空間55の上記断面も、ほぼ円形状である必要は必ずしもなく、ほぼ楕円形状、ほぼ正方形状などの別の形状であってもよい。
【0034】
ガス循環機構15の吸い込み側のダクト52の吸い込み口は、図1、図2および図5に示すように、筐体13の内部空間51を下流側Bから上流側Aに向かって見たときに、上記内部空間51の右側に位置している。そして、吸い込み側のダクト52の上記吸い込み口は、第1の加熱用バーナ21の少し下流側Bでかつ内部空間51の上端付近において下方に向かって開口している。また、ガス循環機構15の送り出し側のダクト53の送り出し口は、図1、図2および図7に示すように、筐体13の内部空間51を下流側Bから上流側Aに向かって見たときに、上記内部空間51の左側に位置している。そして、送り出し側のダクト53の上記送り出し口は、第3の加熱用バーナ23の少し下流側Bでかつ内部空間51の上端付近において下方に向かって開口している。したがって、第1〜第3の加熱用バーナ機構21〜23によって生じる上述の旋回ガスの流れは、ガス循環機構15によってさらに助長される。また、筐体13の内部空間51において上流側Aに存在しているガスを下流側Bに移動させることができるので、本来比較的低い上流側Aのガスの温度と本来比較的高い下流側Bのガスの温度との差を比較的小さくすることができる。
【0035】
図1、図2および図8に示すように、外筒26の下流側Bの端部付近には、下方に向かって筐体13の下方まで延在している物質排出用のパイプ61が設けられている。そして、このパイプ61の下端には、物質排出用コンベア機構24の外筒63が連結されている。なお、この外筒63は、筐体13の下方を背面側Dから正面側Cに向かって延在して筐体13の前方に突出している。そして、この外筒63には、多数回巻回された状態のスパイラル形状であるスクリュー64が設けられている回転軸65が、取り付け支持されている。また、回転軸65には、駆動用モータ66が連結されている。なお、物質攪拌機構25の物質排出用パイプ61の取り出し口は、物質排出用コンベア機構24の外筒63の一方の端部付近に連結されている。そして、外筒63の他方の端部付近には、物質排出用コンベア機構24の物質取り出し用パイプ67が、下向きに開口した状態で設けられている。そして、この物質取り出し用パイプ67には、このパイプ67を開閉することができかつ任意の開口量に調整することもできるシャッタ68a、68bが設けられている。
【0036】
2、物質乾燥装置の各部の寸法、寸法比などの数値
図1〜図8に示す物質乾燥装置11における各部の寸法、寸法比などの数値は、つぎの(a)項〜(n)項に記載のとおりである。
(a)第1の回転軸27aおよび第2の回転軸27bのそれぞれにおいて互いに隣接している一対の攪拌バー31が成す角度(ただし、回転軸27a、27bの軸心方向から見たときの角度)は、攪拌バー31が省略されている箇所を除いて、約3°であること、
(b)第1の回転軸27aおよび第2の回転軸27bのそれぞれにおいて互いに隣接している一対の攪拌バー31のピッチ(ただし、回転軸27a、27bの軸心方向におけるピッチ)は、攪拌バー31が省略されている箇所を除いて、約80mmであること、
(c)それぞれの攪拌バー31の、第1および第2の回転軸27a、27bからの突出長さは、約500mmであること、
(d)それぞれの攪拌バー31の最大太さ(換言すれば、直径、長径、長さ方向とは直交する方向における断面の最大長さなど)は、約25mmであること、
(e)上記(d)項に記載の最大太さに対する上記(c)項に記載の突出長さの比は、約20であること、
(f)第1および第2の攪拌バー群29、30のそれぞれのスパイラル形状の傾斜の度合い(換言すれば、各攪拌バー群29、30の多数本の攪拌バー31の中心線を順次つないだ包絡面のスパイラル形状の傾斜の度合い)は、約105°であること、
(g)第1および第2の攪拌バー群29、30のそれぞれの攪拌バー31の本数は、34本であること、
(h)支持軸27に取り付け支持されている攪拌バー31の本数は、68本であること、
(i)外筒26の内部空間55の、上流側Aから下流側Bに向かう方向の長さは、約600cmであること、
(j)外筒26の内部空間55の、上流側Aから下流側Bに向かう方向とは直交する方向に断面したときの面積は、約9,500cmであること、
(k)筐体13の内部空間51の、上流側Aから下流側Bに向かう方向の長さは、約650cmであること、
(l)筐体13の内部空間51の、上流側Aから下流側Bに向かう方向とは直交する方向に断面したときの面積は、約32,400cmであること、
(m)上記(i)項に記載の長さに対する上記(k)項に記載の長さの比は、約1.1であること、および
(n)上記(j)項に記載の面積に対する上記(l)項に記載の面積の比は、約0.29であること。
【0037】
上述のプラズマ還元方式の物質乾燥装置11の各部の寸法、寸法比などの数値についての好ましい数値範囲を列挙すれば、実用性の観点から見て一般的に、つぎの(A)項〜(N)項に記載のとおりである。そして、本発明が適用される物質乾燥装置11には、これらの(A)項〜(N)項に記載の構成のうちのいずれか1つの構成またはいずれか複数の構成もしくは全部の構成を備えているのが好ましい。なお、つぎの(A)項〜(N)項におけるカッコ内に記載の数値範囲は、さらに好ましい数値範囲である。また、つぎの(A)項〜(N)項の記載のそれぞれは、上記(a)項〜(n)項の記載のそれぞれと順次対応している。
(A)第1の回転軸27aおよび第2の回転軸27bのそれぞれにおいて互いに隣接している一対の攪拌バー31が成す角度(ただし、回転軸27a、27bの軸心方向から見たときの角度)は、攪拌バー31が省略されている箇所を除いて、2°〜4°(2.5°〜3.5°)の範囲であること、
(B)第1の回転軸27aおよび第2の回転軸27bのそれぞれにおいて互いに隣接している一対の攪拌バー31のピッチ(ただし、回転軸27a、27bの軸心方向におけるピッチ)は、攪拌バー31が省略されている箇所を除いて、55〜105mm(65〜95mm)の範囲であること、
(C)それぞれの攪拌バー31の、第1および第2の回転軸27a、27bからの突出長さは、350〜650mm(400〜600mm)の範囲であること、
(D)それぞれの攪拌バー31の最大太さ(換言すれば、直径、長径、長さ方向とは直交する方向における断面の最大長さなど)は、15〜35mm(20〜30mm)の範囲であること、
(E)上記(D)項に記載の最大太さに対する上記(C)項に記載の突出長さの比は、12〜28(16〜24)の範囲であること、
(F)第1および第2の攪拌バー群29、30ならびにもし有ればその他の攪拌バー群のそれぞれのスパイラル形状の傾斜の度合い(換言すれば、各攪拌バー群29、30の多数本の攪拌バー31の中心線を順次つないだ包絡面のスパイラル形状の傾斜の度合い)は、70°〜140°(85°〜125°)の範囲であること、
(G)第1および第2の攪拌バー群29、30ならびにもし有ればその他の攪拌バー群のそれぞれの攪拌バー31の本数は、22〜46本(28〜40本)の範囲であること、
(H)支持軸27に取り付け支持されている攪拌バー31の本数は、46〜90本(54〜68本)の範囲であること、
(I)外筒26の内部空間55の、上流側Aから下流側Bに向かう方向の長さは、400〜800cm(480〜720cm)の範囲であること、
(J)外筒26の内部空間55の、上流側Aから下流側Bに向かう方向とは直交する方向に断面したときの面積は、4,500〜15,000cm(7,000〜12,000cm)の範囲であること、
(K)筐体13の内部空間51の、上流側Aから下流側Bに向かう方向の長さは、420〜880cm(520〜780cm)の範囲であること、
(L)筐体13の内部空間51の、上流側Aから下流側Bに向かう方向とは直交する方向に断面したときの面積は、16,000〜48,000cm(24,000〜40,000cm)の範囲であること、
(M)上記(I)項に記載の長さに対する上記(K)項に記載の長さの比は、0.7〜1.5(0.9〜1.3)の範囲であること、および
(N)上記(J)項に記載の面積に対する上記(L)項に記載の面積の比は、0.15〜0.45(0.22〜0.36)の範囲であること。
【0038】
3、物質乾燥方法の構成
図1〜図8に示すプラズマ還元方式の物質乾燥装置11を用いたプラズマ還元方式の物質乾燥方法について、つぎに説明する。
【0039】
上記物質乾燥方法によって処理される乾燥対象物質は、例えば、本発明者らによって前記特願2010−164152号でもって提案された前述のプラズマ還元方式の物質処理方法によるプラズマ還元処理後の食品廃棄物であってよい。なお、上記物質処理方法によってプラズマ処理される前の食品廃棄物は、従来は廃棄処分されていた食品廃棄物であってよい。このような食品廃棄物は、具体的には、食品生産現場や食品の加工過程においてそれぞれ発生した野菜、穀物、海藻、魚貝類、肉類などであってよい。
【0040】
まず、物質乾燥装置11を順次運転状態にするとともに、その前後に、乾燥対象物質をホッパ14内に投入する。なお、このように運転状態にすると、駆動モータ42が回転駆動されるので、これらの駆動モータ42のそれぞれ回転が、出力軸43、駆動側スプロケット44、駆動用チェーン46および従動側スプロケット45をそれぞれ介して物質攪拌機構25の第1および第2の回転軸27a、27bにそれぞれ伝達されて、これら第1および第2の回転軸27a、27bが回転する。そして、上述のように投入された乾燥対象物質は、ホッパ14から外筒26の上流側Aの端部付近に送り込まれる。この送り込まれた乾燥対象物質は、第1および第2の攪拌バー群29、30によって十分に攪拌されながら、第1および第2の外筒部材26a、26b内を上流側Aから下流側Bに向かって順次ゆっくりと移動する。この場合、第1および第2の回転軸27a、27bの回転数は、通常の状態においては、例えば約15r.p.m.であってよく、実用性の観点から見て一般的に、8〜24r.p.m.の範囲であるのが好ましく、12〜18r.p.m.の範囲であるのがさらに好ましい。
【0041】
一方、乾燥装置本体10の筐体13の内部空間51には、図1および図4〜図7に示す第1〜第3の加熱用バーナ機構21〜23からの熱風が導入されるので、この内部空間51は、例えば約400℃に保持される。このために、外筒26の内部空間55は、外筒26を介して加熱されるので、例えば約200℃に保持される。そして、内部空間51が約400℃になると、光電効果によって、外筒26の外周面に塗布されている耐熱塗料から遠赤外線が放射される。なお、筐体13の内部空間51の温度は、実用性の観点から見て一般的に、300℃〜500℃の範囲であるのが好ましく、340℃〜460℃の範囲であるのがさらに好ましい。また、外筒26の内部空間55の温度は、実用性の観点から見て一般的に、150℃〜250℃の範囲であるのが好ましく、170℃〜230℃の範囲であるのがさらに好ましい。
【0042】
上述のとおりであるから、外筒26の内部空間55において十分に攪拌されながらこの内部空間55を上流側Aから下流側Bに向かってゆっくりと移動する乾燥対象物質からは、水分が水蒸気として多量に蒸発する。そして、粉塵を含むこの水蒸気は、図2および図6に示す排気機構16の吸い込み側のダクト56および送風機54を通してサイクロン(図示せず)に送り込まれてから、このサイクロンによって集塵される。なお、乾燥対象物質が外筒26の内部空間55において十分な乾燥や十分な攪拌が行われていないことが出口付近の検査などで判明した場合には、第2の攪拌バー群30および第1の攪拌バー群29のうちの一方または両方の回転方向を一時的に逆転させることによって、乾燥対象物質を一時的に逆送りすることができる。そして、この逆送りのときの第1および第2の回転軸27a、27bの回転数は、前述の順送りの場合と実質的に同一であってよい。このようにすれば、乾燥対象物質の乾燥状態や攪拌状態を改良することができる。なお、外筒26の長手状補強部材37に取り付けられているアース線38は、筐体13の内部空間51に存在している熱風などの高温気体がプラス電荷などによって帯電するのを防止するようにしている。
【0043】
外筒26の内部空間55の乾燥対象物質は、ついには、物質排出用パイプ61を介して物質排出用コンベア機構24の外筒63の内部空間71に送り込まれる。そして、この内部空間71に送り込まれた乾燥対象物質は、この内部空間71を背面側Dから正面側Cに向かって移送される。したがって、この内部空間71の乾燥対象物質の密度は、物質取り出し用パイプ67付近ではかなり増大するとともに、この乾燥対象物質の温度は、70℃〜80℃程度に低下している。なお、乾燥対象物質の密度をさらに増大させたい場合には、物質取り出し用パイプ67の開口の大きさをシャッタ68a、68bによって小さくすればよい。
【0044】
図示の実施例に示されている物質乾燥装置11によれば、物質排出用コンベア機構24の物質取り出し用パイプ67から取り出される乾燥対象物質の量は、例えば、1時間当たり1.5トンであった。また、ホッパ14から投入された乾燥対象物質が物質排出用パイプ67から取り出されるまでの平均時間は、通常の場合には、20〜30分間であった。さらに、ホッパ14に投入される乾燥処理前の乾燥対象物質の含水量が約50重量%の場合には、物質排出用パイプ67から取り出される乾燥処理後の乾燥対象物質の含水量は、通常の場合には、約13〜約15重量%であった。なお、物質排出用パイプ67から取り出された乾燥処理後の乾燥対象物質は、そのままの状態でもって牛の餌(換言すれば、飼料)にすることができる。
【0045】
上述のように乾燥対象物質が物質排出用コンベア機構24によって密度を高められるとともに温度低下していることによって、この乾燥対象物質には摩擦が生じるので、プラズマがこの乾燥対象物質に発生する。このために、乾燥対象物質には上記プラズマによってエネルギが与えられるので、この乾燥対象物質に含まれているアミノ酸がアミノ基とカルボキシル基とに分離するとともに、このように分離したアミノ基およびカルボキシル基によって別のアミノ酸が合成される。同様に、タンパク質についても、アミノ酸Aとアミノ酸Bとが結合して、A−Bという構造の別のタンパク質が形成される。
【0046】
この場合に発生するプラズマは、非熱平衡プラズマとも呼称されるものである。この非熱平衡プラズマは、その電子温度が数万度程度でかつそのガス温度が常温である反応性プラズマの一種であって、電子とイオンと気体分子との間に熱平衡が成立していない状態のプラズマである。そして、この非熱平衡プラズマは、反応温度や圧力とは無関係に化学反応を引き起こさせるために、従来の熱化学的な方法では不可能な化学反応を実現させることができるものである。また、上記プラズマは、
【数1】

の状態にあって、気体温度が室温とあまり変わらない低温であるから、低温プラズマとも呼ばれる。
【0047】
物質排出用コンベア機構24において行われる上述のようなプラズマ還元は、外筒26の内部空間55においても、大なり小なり行われる。この場合には、前述のように、外筒26の外周面に塗布されている耐熱塗料から放射される遠赤外線も、プラズマ還元が行われることに寄与することができる。
【0048】
以上において、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0049】
11 プラズマ還元方式の物質乾燥装置
13 筐体(加熱槽、ケーシング)
15 ガス循環機構
17 第1の攪拌バー駆動機構(第1の回転駆動手段)
18 第2の攪拌バー駆動機構(第2の回転駆動手段)
21 第1の加熱用バーナ機構(加熱手段)
22 第2の加熱用バーナ機構(加熱手段)
23 第3の加熱用バーナ機構(加熱手段)
24 リードスクリュー式の物質排出用コンベア機構
25 物質攪拌機構
26 長手状外筒
27 支持軸
27a 第1の回転軸(第1のバー取り付け軸)
27b 第2の回転軸(第2のバー取り付け軸)
29 第1の攪拌バー群
30 第2の攪拌バー群
31 棒状攪拌バー
51 内部空間(ほぼリング状の加熱用空間)
52 吸い込み側のダクト(吸い込み口)
53 送り出し側のダクト(送り出し口)
61 物質排出用のパイプ(物質排出口)
67 物質取り出し用パイプ(物質取り出し口)
A 上流側
B 下流側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物質を攪拌しつつ移送することができる物質攪拌機構と、
上記物質攪拌機構によって攪拌されつつ移送される乾燥対象物質を加熱することができる加熱槽とを備え、
上記物質攪拌機構が、長さ方向の一端部側に物質供給口を有するとともに長さ方向の他端側に物質排出口を有する長手状の外筒と、この長手状外筒の長さ方向に延在するようにこの長手状外筒の内部空間に回転可能に配されている少なくとも1つの回転軸と、この少なくとも1つの回転軸に設けられている少なくとも1つの攪拌バー群とを備え、
上記長手状外筒のうちの少なくとも中間部分が、上記加熱槽の内部空間に収容され、
上記攪拌バー群が、上記回転軸の軸心方向に沿って上記回転軸に間欠的に配設されている多数本の棒状攪拌バーによって構成され、
上記多数本の棒状攪拌バーの軸心方向にそれぞれ延在する多数本の中心線を順次つないだ包絡面がほぼスパイラル形状になっていることを特徴とする物質乾燥装置。
【請求項2】
上記長手状外筒の全体が上記加熱槽の上記内部空間に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の物質乾燥装置。
【請求項3】
上記少なくとも1つの回転軸が、1本の支持軸を構成するように直接または間接的に互いに連結されている第1および第2の回転軸を備え、
上記少なくとも1つの攪拌バー群が、これら第1および第2の回転軸にそれぞれ設けられている第1および第2の攪拌バー群を備えていることを特徴とする請求項1および2に記載の物質乾燥装置。
【請求項4】
上記第1の回転軸を回転駆動させることができる第1の回転駆動手段と、上記第2の回転軸を回転駆動させることができる第2の回転駆動手段とを備え、
上記第1および第2の回転駆動手段のうちの少なくとも一方が、上記第1および第2の回転軸のうちの少なくとも一方を正回転駆動および逆回転駆動させることができるように構成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の物質乾燥装置。
【請求項5】
上記回転軸の軸心方向にほぼ沿って長手状に延在している上記軸心方向から見てほぼリング状の加熱用空間が、上記加熱槽と上記長手状外筒との間に設けられ、
上記リング状加熱用空間に熱風を吹き込むことができる複数個の加熱手段が、上記加熱用空間の上流側から下流側にかけて順次配設され、
上記複数個の加熱手段のそれぞれの熱風吹き込み方向が、下流側から上流側を見たときに、上記リング状加熱用空間を同方向に旋回するガスの流れを生じさせる方向であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の物質乾燥装置。
【請求項6】
上記加熱槽が、上記リング状加熱用空間の上流側および下流側のうちのいずれか一方の側のガスを吸い込むことができる吸い込み口を有するガス循環機構を備え、
上記ガス循環機構が、上記吸い込んだガスを上記リング状加熱用空間の上流側および下流側のうちの他方に送り出すことができる送り出し口をさらに有し、
上記ガス吸い込みの方向と上記ガス送り出しの方向とのそれぞれが、上記旋回ガスの上記流れを助長する方向であることを特徴とする請求項5に記載の物質乾燥装置。
【請求項7】
上記物質排出口から排出される上記乾燥対象物質が供給されることができるリードスクリュー式のコンベア機構が、上記加熱槽に付属されて、この加熱槽と直接または間接的に一体的に設けられ、
上記物質排出口から排出される上記乾燥対象物質が、上記コンベア機構によって、このコンベア機構の物質取り出し口まで移送されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の物質乾燥装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の物質乾燥装置を用いて乾燥対象物質を乾燥処理するように構成したことを特徴とする物質乾燥方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−47369(P2012−47369A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188178(P2010−188178)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(502254970)
【出願人】(503145143)
【Fターム(参考)】