説明

物質処理装置

物質処理装置は主処理室と、上流端に設けられ搬送口と、下流端に設けられた排出口とを備える長尺状のレトルト領域と、前記レトルト部の両端間に延びる長手軸線の側方において上流端から離間するとともに主処理室と連通する濾過室を備える濾過部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物質の処理に係り、より詳細には固体、液体から汚染物質を除去するために使用することが好適な方法及び装置に関する。一例として、本発明の方法及び装置はサルファを含有する物質の処理に使用することが好適であるが、他の物質及び汚染物質の処理に使用することも可能である。
【背景技術】
【0002】
上記した技術は一般的に広汎に知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した装置の更なる改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、物質処理装置は主処理室と、上流端に設けられ搬送口と、下流端に設けられた排出口とを備える長尺状のレトルト領域と、前記レトルト部の両端間に延びる長手軸線の側方において上流端から離間するとともに主処理室と連通する濾過室を備える濾過部とを有する。
【0005】
搬送口は、物質を主処理室内の所望の位置に配向させるように傾斜されたシュートより構成される。
燃焼室はレトルト部を少なくとも部分的に包囲し、同レトルト部の軸線方向にレトルト部の長さの少なくとも一部に沿って延びる。好ましくは、燃焼室はレトルト部と濾過部とを囲むヒートジャケットよりなる。
【0006】
主処理室は断面円形状をなすことが望ましい。レトルト部は断面円筒状をなすことが望ましい。レトルト部の長手軸線は上流側から下流側に向かって下方に傾斜していることが望ましい。
【0007】
物質搬送具は主処理室内に設けられる。レトルト部の長手軸線と同軸上に配置された回転軸に互いに離間するように装着された複数のスウィングアームを有する。好ましくは、シュートは下流側に延びて、最上流側のスウィーパアーム上方に達し、物質搬送具に全物質が接触する。さらには最上流側のスウィーパアームは主処理室に進入する物質を捕獲して物質の堆積を防ぐような角度をなしている。回転軸は電動モータ、油圧モータ等、適宜な手段により駆動される。
【0008】
好ましくは、濾過室は主処理室からガスを受ける吸入領域と、濾過領域とを備える。邪魔板が吸入領域を濾過領域から分離して、搬送路によって両領域を連通させることが好ましい。シリカ又はセラミック物質からなる複数のフィルタが濾過領域内に配置され、濾過されたガスが回収室に送られる。
【0009】
誘導ファンはフィルタを通してガスを回収室へ引き込む。吸入領域には吸入領域の内壁に設けたフィンと、邪魔板とが設けられ、粒子を出口に偏向させる。スウィーパアームと一体回転するパドル部材が設けられる。主処理室から濾過室の吸入領域に進入する箇所に偏向板を設けられる。
【0010】
燃焼室は耐燃焼性の壁面を備えるヒートジャケットと、レトルト部に設けた加熱要素と
を有する。加熱要素はレトルト部の長さに沿って離間して配置され、主処理室の底部から両側上方へと並ぶグループにて構成される。加熱要素はバーナーであり、その炎はレトルト部から離れる方向に向けられ、主処理室の壁部は熱にて損なわれることなく、従来の加熱を行い、さらに熱を放射する
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面を参照すると、図1は本発明の一実施例における物質処理装置を概略的に示す。符号10により示される装置は長尺状のレトルト部14と濾過部16とを有する本体12を含む。レトルト部14は内部に主処理室18と、上流端20と、下流端22とを備える。上流端20には処理される物質を主処理室18に搬送するための搬送口24が設けられている。搬送口24はシュート26の形状をなし、同シュート26は物質を主処理室18内の所望の位置に搬送するように傾斜している。レトルト部14は上流側から下流側に向かって下方へ傾斜して物質が通過し易くなっている。シュート26に物質を搬送するために適切な機構が使用される。この機構は空気の進入を阻止することが望ましく、例えばロックホッパ、ロータリーバルブやモノポンプが使用される。
【0012】
図1及び3に示すように、主処理室18内には物質搬送具30が配置されている。物質搬送具30は中央に位置する回動軸34に装着された複数のスウィープアーム32を備える。同スウィープアーム32は処理される物質を主処理室18に沿って上流端20から下流端22に強制的に送るように構成されている。図示されるように、シュート26は下流方向に延びてスウィープアーム33の上流部の上方に達し、物質搬送具30が全物質に接触することが保証される。スウィープアーム33の上流部は角度をなして延び、その端部には柄杓状のスクープ78が設けられ、主処理室18内に進入しようとする物質をスクープ78が拾い上げ、物質が堆積されることを防止している。スウィープアーム33とスクープとは、スクープがレトルト部14の底部に達するような角度をなし、物質の堆積を防止して、物質がレトルト部14の壁面に達するように物質を前進させる。回転軸34は電気モータ、油圧モータ等の適宜な手段により駆動される。
【0013】
レトルト部14の下流端には排出口36が形成され、同排出口36を介して処理された固形物が主処理室18から排出される。排出口36にはローターバルブ38が配置され、固形物がロータリーバルブ38を経て螺旋状の通路に達し、同通路より適宜に設けられた回収箇所に搬送される。
【0014】
レトルト部14の上方には濾過部16が配置され、同濾過部16内には濾過室46が形成されている。濾過室46は主処理室18からの気体を受ける吸入領域48と、濾過領域50とを有する。吸入領域48と濾過領域50とは邪魔板52によって区画され、搬送路54によって両領域48,50間が連通されている。濾過領域50内にはシリカ、又はセラミック製の複数のフィルタ58が配置され、濾過された気体が回収室60に送られる。誘導ファン61によりフィルタから回収室60に送られた気体は、その後にコンデンサ等に搬送される。吸入領域48は濾過部の内壁に設けられたフィン、即ちプレート62をと、顆粒状の物質を排出口に拡散させる邪魔板52とを有する。これらプレート62は空気流を混乱させ、気体の速度を減少させたり、気体の顆粒物搬送能力を低下させたりする。プレート62は気体に対して最大限に接触するように内壁面に沿って規則的な間隔をおいて配置され、フィルター58の顆粒濾過負荷を低減している。濾過領域50にある粒子物質はパドル部材66(図 1及び4)を経て排出口36に戻される。パドル部材66は回
転軸34に対して一体回動可能に装着され、各アームの先端にはパドル69を有している。パドル69はフィルタボックス内の粒子を回収できるような角度をなす非常に小さなバケツであり、同バケツ69によりレトルト部の壁面の後部に搬送された粒子が回収シュート内に落下する。パドル、即ちバケツは深さ有するものではないが、少量の粒子を回収するには十分であり、粒子を強制的に落下させることによりレトルト部内に一方向への流れ
を発生させ、自由に浮遊している他の粒子もこの流れに追従して流れる。、フィルタボックスから流出する粒子が下方に向かうサイクルにあるパドル内に流入させるため、濾過室から延びる粒子出口シュートは十分に長く、所定の角度をなすように設けられている。主処理室18より下流側で濾過室46の吸入領域40の入り口には主偏向板68が配置されている。偏向板68は粒子を排出すべく主処理室18の下流端に帰還させる。
【0015】
本発明に係る装置は更に圧力センサを備え、粒子によりフィルタを詰まらせれた際に発生する圧力が監視される。圧力センサにて検出される圧力が所定値に達すると、ノズル67から窒素が段階的に搬送され、フィルタに詰まった粒子を濾過室の底部に落下させ、更に落下された粒子はパドルにより排出口に運ばれる。フィルタが配置される領域はガスが生成される領域と同一であることが望ましい。濾過室の頂部にはプレート65が配置されている。このプレート65はガスの流れを濾過室の底部、ひいては排出口に指向させる。プレート65はガスの流れを一定方向に指向させ、粒子を排出口から流出する速度を増加させるダクトとして機能している。さらに、プレート65は粒子がフィルタに直接接触することを制限している。
【0016】
本発明に係る装置10は主処理室18及び濾過部44をほぼ包囲する燃焼室70を有する。燃焼室70はレトルト部14に対応する領域に複数の加熱要素74を備えるヒートジャケットの構成をなす。ヒートジャケットは1000℃の温度に耐えうる鋼により形成されている。加熱要素74はレトルト部14の長さに沿って離間して配置され、長さ方向における加熱要素74は、図2に示すように、主処理室18の底部から両側上方へと並ぶグループにて構成されている。加熱要素はバーナーであり、その炎はレトルト部から離れる方向に向けられる。これにより、主処理室の壁部は熱にて損なわれることなく、従来の加熱を行い、さらに熱を放射する。バーナーを燃焼室の下半分にわたって間隔をおいて配置したことにより、物質が主処理室に沿って確実に流れ、スウィーパアームの動作により物質が撹拌されてレトルト部の加熱した壁面に晒され、温度が必要以上に高くなると減少される。従って、レトルト部から処理される物質への熱伝導が比較的高く、装置自体のスループット率も比較的高いものとなる。排出された燃焼ガスは湿分を多く含んでいる物質の前処理に使用され得る。これにより、物質を入り口に進めるために2つのスクリュー状の物質搬送具を包囲するオイルジャケットを排気ガスが加熱するとき、加熱の速度が速くなる。
【0017】
特別なケースではあるが、物質がサルファを含む場合には、物質がレトルト部に進入する前にソーダ灰又は苛性ソーダが物質に加えられる。これにより、処理中にサルファの除去が促進され、清浄ガスの処理プロセスの効果が大きくなり、粒子が除去され、サルファ汚染が大幅に減少される。レトルト部内における物質搬送具30の動作はバーナーの構成と相まってレトルト部の内壁の熱を上昇させ、ガス流中のサルファの減少を効果的に行い、この結果として生ずるガスや凝縮物等の質を向上させる。
【0018】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない限りにおいて任意の変更、追加は無論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例を示す略体側断面図。
【図2】図1のx−x線における略体断面図。
【図3】本発明に係る装置の部品の一部を示す略体図。
【図4】本発明に係る装置の他の部品を示す略体図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主処理室と、上流端に設けられ搬送口と、下流端に設けられた排出口とを備える長尺状のレトルト領域と、前記レトルト部の両端間に延びる長手軸線の側方において上流端から離間するとともに主処理室と連通する濾過室を備える濾過部とを有する本体を備える物質処理装置。
【請求項2】
前記搬送口は、物質を主処理室内の所望の位置に配向させるように傾斜されたシュートよりなる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レトルト部を少なくとも部分的に包囲し、同レトルト部の軸線方向にレトルト部の長さの少なくとも一部に沿って延び、レトルト部と濾過部とを囲むヒートジャケットよりなる燃焼室を備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記主処理室は断面円形状をなするとともに、レトルト部は断面円筒状をなし、レトルト部の長手軸線は上流側から下流側に向かって下方に傾斜している請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記主処理室内に設けられ、レトルト部の長手軸線と同軸上に配置された回転軸に互いに離間するように装着された複数のスウィングアームを有する物質搬送具を備える請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記シュートは下流側に延びて、最上流側のスウィーパアーム上方に達し、物質搬送具に全物質が接触し、さらには最上流側のスウィーパアームは主処理室に進入する物質を捕獲して物質の堆積を防ぐような角度をなしている請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記濾過室は主処理室からガスを受ける吸入領域と、濾過領域と、吸入領域を濾過領域から分離して、搬送路によって両領域を連通させる邪魔板とを備え、濾過領域内のフィルタが濾過されたガスが回収室に進ませる請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタを通してガスを回収室へ引き込む誘導ファンを備える請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記粒子を出口に偏向させるため、吸入領域の内壁に設けたフィンと、前記邪魔板とを有する請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記スウィーパアームと一体回転するパドル部材を有する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記主処理室から濾過室の吸入領域に進入する箇所に偏向板を設けた請求項10に記
載の装置。
【請求項12】
前記燃焼室は耐燃焼性の壁面を備えるヒートジャケットと、レトルト部に設けた加熱要素とを有し、加熱要素はレトルト部の長さに沿って離間して配置され、主処理室の底部から両側上方へと並ぶグループにて構成され、加熱要素はバーナーであり、その炎はレトルト部から離れる方向に向けられ、主処理室の壁部は熱にて損なわれることなく、従来の加熱を行い、さらに熱を放射する請求項3に記載の装置。
【請求項13】
処理される物質がサルファを含有するとき、物質がレトルト部に進入するに先立ってソーダ灰又は苛性ソーダが物質に加えられる請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−518609(P2009−518609A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542557(P2008−542557)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001804
【国際公開番号】WO2007/065202
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508161654)
【氏名又は名称原語表記】ROBERTSON,Struan Glen
【Fターム(参考)】