説明

特典提供システム、情報提供装置、特典提供装置、情報提供プログラム、特典提供プログラム、情報提供方法、および、特典提供方法

【課題】次に停車する施設を推奨し、それによってインセンティブを与える。
【解決手段】特典提供システム100は、駐車場を有する複数の施設110のうち異なる施設にそれぞれ設けられた、情報提供装置122と、特典提供装置124とを含み、情報提供装置122は、搭乗者の目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部と、取得された目的地情報が示す目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する施設決定部と、決定された施設識別情報と特典情報とを紙媒体に記録する媒体記録部と、を有し、特典提供装置124は、紙媒体に記録された特典情報を取得する特典情報取得部と、当特典提供装置が施設に設けられたものであった場合、特典情報に示される特典を提供する特典提供部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特典提供システム、情報提供装置、特典提供装置、情報提供プログラム、特典提供プログラム、情報提供方法、および、特典提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や自動二輪車等で長距離の運転を行う場合、適当な距離や時間毎に途中のPA(パーキングエリア)やSA(サービスエリア)等の施設で休憩することが望まれる。しかし、搭乗者が少しでも早く目的地に到着しようとして休憩せずに連続運転を行い、疲労により集中力や判断力が低下してしまう場合があった。
【0003】
そこで、車両に搭載される運転診断装置であって、車両の走行時間と休憩時間とを測定し、休憩時間の割合に応じ、運転者に対して所定のポイントを付与する運転診断装置が提案されている(例えば、特許文献1)。同様に車両に搭載される運転診断装置であって、登録した搭乗者毎に運転の状態を診断し、走行距離が閾値以上の場合に限り、運転診断に基づくポイントを付与する技術も公開されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−38641号公報
【特許文献2】特開2010−39639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、搭乗者(運転者)を適切にPAやSA等の施設に立ち寄らせる技術がなく、あったとしてもその施設に立ち寄ったことのインセンティブがなかった。
【0006】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、次に停車する施設を推奨し、それによってインセンティブを与えることが可能な、特典提供システム、情報提供装置、特典提供装置、情報提供プログラム、特典提供プログラム、情報提供方法、および、特典提供方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の特典提供システムは、駐車場を有する複数の施設のうち異なる施設にそれぞれ設けられた、情報提供装置と、特典提供装置とを含む特典提供システムであって、情報提供装置は、搭乗者の目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部と、取得された目的地情報が示す目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する施設決定部と、決定された施設識別情報と特典情報とを媒体に記録する媒体記録部とを有し、特典提供装置は、媒体に記録された施設識別情報と特典情報とを取得する特典情報取得部と、当該特典提供装置が施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、特典情報に示される特典を提供する特典提供部とを有する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の情報提供装置は、搭乗者の目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部と、取得された目的地情報が示し目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する施設決定部と、決定された施設識別情報と特典情報とを媒体に記録する媒体記録部とを有する。
【0009】
他の施設の混雑状況を示す施設混雑情報を取得する施設混雑取得部をさらに有し、施設決定部は、施設混雑情報にも基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定してもよい。
【0010】
他の施設に移動するために要する移動時間を導出するための移動時間情報を取得する移動取得部をさらに有し、施設決定部は、移動時間情報にも基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定してもよい。
【0011】
施設識別情報と、施設識別情報で示される施設で受けられる1または複数のサービスを示すサービス情報とを互いに関連付けて記録する情報記録部をさらに有し、媒体記録部は、施設決定部によって決定された次の停車候補となる施設に関連付けられたサービス情報も媒体に記録してもよい。
【0012】
媒体記録部は、現在時刻と、施設のサービスの有効時間とに基づいて、サービス情報を媒体に記録するか否か判断してもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の情報提供プログラムは、コンピュータを、目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部と、取得された目的地情報が示す目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する施設決定部と、決定された施設識別情報と特典情報とを媒体に記録する媒体記録部として機能させる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の情報提供方法は、目的地を示す目的地情報を取得し、取得した目的地情報に示された目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定し、決定した施設識別情報と特典情報とを媒体に記録する。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の特典提供装置は、媒体に記録された、施設を示す施設識別情報と施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを取得する特典情報取得部と、当該特典提供装置が施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、特典情報に示される特典を提供する特典提供部とを有する。
【0016】
特典情報取得部は、蓄積された特典を示す蓄積特典情報も取得し、特典提供部は、当該特典提供装置が施設に設けられたものであった場合、特典情報に示される特典を蓄積特典に示される特典に加えて提供してもよい。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の特典提供プログラムは、コンピュータを、媒体に記録された、施設を示す施設識別情報と施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを取得する特典情報取得部と、当該特典提供装置が施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、特典情報に示される特典を提供する特典提供部として機能させる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の特典提供方法は、媒体に記録された、施設を示す施設識別情報と施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを取得し、当該特典提供装置が施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、特典情報に示される特典を提供する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明は、次に停車する施設を推奨し、それによってインセンティブを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】特典提供システムの概略的な配置関係を示した説明図である。
【図2】統合装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図3】施設管理テーブルを説明するための説明図である。
【図4】クーポン管理テーブルを説明するための説明図である。
【図5】表示部における印刷画面を説明するための説明図である。
【図6】印刷された紙媒体の一例を示す説明図である。
【図7】情報提供方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図8】特典提供方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0022】
運転者(搭乗者)が休憩を挟むことなく無理な連続運転を行い、疲労により集中力や判断力が低下することがあった。そこで、車両に運転診断装置を搭載させ、休憩時間の割合を判定する等の運転診断に基づいてポイントを付与する提案がなされている。しかし、かかる提案は、運転診断装置といった特別な装置の搭載を強いられ、また、交通状態や休憩可能な施設の情報が欠落しているので、適切な施設において適切に休憩できない場合があった。
【0023】
以下に述べる特典提供システムでは、次に停車する施設を推奨し、それによってインセンティブを与えることで、搭乗者に適切な休憩を促すことができる。
【0024】
(特典提供システム100)
図1は、特典提供システム100の概略的な配置関係を示した説明図である。特典提供システム100は、有料道路や高速道路といった、運転者(搭乗者)が休憩可能な駐車場を有する施設110が、ある程度限定された交通網に設けられ、そのような道路102に隣接する複数の施設110(図1中、110A、110B、110C)それぞれに設けられた複数の統合装置120(図1中、120A、120B、120C)を含んで構成される。また、統合装置120は、情報提供装置として機能する情報提供機能部122と特典提供装置として機能する特典提供機能部124とを含んでなる。
【0025】
本実施形態にかかる特典提供システム100では、搭乗者は、駐車場を有する複数の施設110のうち異なる施設110にそれぞれ設けられた統合装置120の情報提供機能部122を通じて、次の停車候補となる施設110に関する情報を取得することができ、また、その停車候補となる施設110に停車すると、統合装置120の特典提供機能部124から特典を得ることができる。このような特典提供システム100によれば、停車候補として提示された施設110へ停車すると特典があるというインセンティブによって搭乗者に休憩を促すことが可能となる。以下、統合装置120の詳細な構成を述べる。
【0026】
(統合装置120)
図2は、統合装置120の構成を示した機能ブロック図である。統合装置120は、表示部150と、操作部152と、読取部154と、情報記録部156と、印刷部158と、中央制御部160とを含んで構成される。当該統合装置120の説明の中で、特に他の統合装置120との連携動作を説明する場合には、図1の特典提供システム100における施設110Aに設けられた統合装置120Aを挙げて説明する。
【0027】
表示部150は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、印刷画面等を表示する。かかる印刷画面については、後に詳述する。操作部152は、表示部150の表示面上に設置されたタッチパネル、操作キーが複数設けられたキーボード、マウス等のポインティングデバイス、十字キー、ジョイスティック等で構成される。
【0028】
読取部154は、バーコードリーダ等で構成され、紙の媒体である紙媒体162に、例えば二次元コードに変換され記録された施設識別情報、特典情報、エントリ情報、および蓄積特典情報を読み取る。本実施形態においては、媒体を紙媒体162とし、読取部154は、バーコードリーダとしたが、かかる場合に限定されず、媒体をICチップとして読取部154をICチップリーダとしたり、媒体を近距離無線通信カードや近距離無線通信機能を有する携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)等として読取部154を近距離無線通信回路としたりしてもよい。ここで、施設識別情報は、当該統合装置120によって推奨される次の停車候補となる施設110を示し、特典情報は、その施設識別情報に示される施設110に停車した場合に受けられる特典を示し、エントリ情報は、搭乗者の目的地等の搭乗者に関する事項を示し、蓄積特典情報は、過去に提供された特典のうち現在までに蓄積された特典を示す。
【0029】
情報記録部156は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、不揮発性RAM等で構成され、施設識別情報と、施設識別情報で示される施設110で受けられる1または複数のサービスを示すサービス情報とが互いに関連付けられた施設管理テーブルやクーポンに関する情報を含むクーポン管理テーブル等が予め記録されている。施設管理テーブルとクーポン管理テーブルについては、後に詳述する。
【0030】
印刷部158は、プリンタ等で構成され、後述する媒体記録部の制御信号に従って、施設識別情報と特典情報とエントリ情報と蓄積特典情報とを、媒体、例えば紙媒体162に記録(印刷)する。また、印刷部158の代わりに書込部を設け、ICチップや近距離無線通信カードに書き込んだり、送信部を設け、インターネット等の通信網を通じて、メールで搭乗者の携帯電話やPHSのメールアドレス等に送信したりしてもよい。
【0031】
中央制御部160は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、統合装置120全体を制御する。また、中央制御部160は、情報提供機能部122の、目的地取得部170と、施設決定部172と、施設混雑取得部174と、移動取得部176と、媒体記録部178と、特典提供機能部124の、特典情報取得部190と、特典提供部192としても機能する。
【0032】
(情報提供機能部122)
目的地取得部170は、搭乗者の目的地を示す目的地情報を取得する。初回の登録(エントリ)時に、目的地取得部170は、表示部150に目的地の入力画面を表示し、搭乗者は、操作部152を通じて目的地を入力する。また、統合装置120の利用が2回目以降であり、すでに媒体記録部178で目的地情報を含むエントリ情報が記録された紙媒体162を搭乗者が保有している場合、目的地取得部170は、その紙媒体162を読取部154に翳すよう搭乗者に促し、紙媒体162からエントリ情報を取得する。
【0033】
本実施形態において、目的地は、最終的に到達を予定している住所でもよいし、有料道路を降りる予定のインター名でもよい。目的地取得部170は、初回の登録時、入力された目的地に基づいてエントリ情報を生成する。
【0034】
エントリ情報には、具体的に、当該エントリ情報を識別するためのエントリ識別情報、目的地情報、停車履歴情報が含まれる。ここで、停車履歴情報は、当該有料道路の走行における過去に停車した施設110の履歴を示す。また、初回の登録時に、目的地取得部170は、停車履歴情報に何ら記載を行わず、蓄積特典情報における特典、例えば、蓄積されたポイントの累計である累計ポイントを0ポイントに初期化する。
【0035】
施設決定部172は、取得された目的地情報が示す目的地に基づいて、施設管理テーブルを参照し、休憩するのに適した時間後に立ち寄ることが可能な1または複数の施設110を次の停車候補とする。そして、施設決定部172は、施設識別情報と、その施設識別情報に示される施設110の特典情報とを決定する。本実施形態において、特典は、商品の割引や現金への換金ができるポイントを取得することとするが、かかる場合に限定されず、景品、割引券、無料券等、様々な待遇が含まれる。
【0036】
図3は、施設管理テーブル220を説明するための説明図である。施設管理テーブル220には、施設識別情報220aと、位置情報220bと、当該施設110からの距離情報220cと、サービス情報220dとが含まれる。施設識別情報220aは、施設110を識別するため情報であり、位置情報220bは、施設110の位置を示す情報であり、距離情報220cは、当該施設110からその施設110までの距離を示す情報であり、サービス情報220dは、その施設110で提供されているサービスに関する情報である。施設決定部172は、目的地取得部170が取得した目的地によって、搭乗者の進行方向を把握し、休憩するのに適した時間から距離を算出し、その距離に近い施設110を施設管理テーブル220から抽出して次の停車候補とする。
【0037】
また、搭乗者が休憩すべき時間はおおよそ共通しているので、施設決定部172は、さらに簡易なテーブルを用いて目的地情報から一意に次の停車候補である施設110を導出することもできる。例えば、目的地情報と、施設識別情報220aと、特典情報とが、互いに関連付けられて情報記録部156に予め記録されている場合、施設決定部172は、目的地取得部170が取得した目的地情報と関連付けて記録された施設識別情報220aおよび特典情報を、情報記録部156から取得する。
【0038】
ここで、特典情報は、施設識別情報220a毎に異なる内容とする。例えば、休憩するために、より適した時間で立ち寄ることが可能な施設110は、他の施設110に比べて、停車した場合に取得できる特典が優遇されるように、例えば、特典としてのポイントが高くなるように特典情報が設定されている。
【0039】
また、施設決定部172は、停車履歴情報に基づいて、搭乗者が過去の停車候補に従って施設110に停車しているか否か、およびその連続性を判断し、その停車候補に従って停車している連続回数が多い程、新たに決定された停車候補の施設110に停車した場合において取得できるポイントが高くなるように特典情報を設定する。かかる構成により、停車候補に従って施設110に停車した場合のインセンティブを高め、搭乗者を適切な時間に休憩させるよう施設110に誘導することができる。
【0040】
施設混雑取得部174は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)を通じて、他の施設110の駐車場の混雑状況を示す施設混雑情報を取得する。施設決定部172は、施設混雑情報にも基づき、混雑している施設110の優先順位を下げて次の停車候補となる施設110を決定する。また、施設混雑取得部174は、混雑している施設110に停車した場合に受けられる特典の優遇性を下げる。こうして、あまり混雑していない施設110に搭乗者を誘導することができ、ひいては施設110の混雑状態を緩和することが可能となる。
【0041】
移動取得部176は、例えば、VICSを通じて、他の施設110に移動するために要する移動時間を導出するための移動時間情報を取得する。施設決定部172は、移動時間情報にも基づいて、休憩するのに適した時間後に立ち寄ることが可能な施設110を導出し、その施設110を示す施設識別情報と、特典情報とを決定する。移動時間情報には、例えば、有料道路の渋滞具合を示す渋滞情報、有料道路内で事故が生じていることを示す事故情報、および現在の天気を示す天気情報等が含まれる。かかる構成により、統合装置120は、実際の運転状況に則した、適切な施設110を停車候補として提示でき、搭乗者に、休憩に適切なタイミングで到着する施設110での停車を促すことができる。
【0042】
また、エントリ情報に含まれる停車履歴情報には停車した施設110とその停車時刻(紙媒体162への記録時刻)を含めることができ、移動取得部176は、この停車履歴情報に基づいて、当該搭乗者の運転する自動車の平均速度を導出し、その平均速度から、次の停車候補となる施設110を示す施設識別情報を決定してもよい。かかる構成により、搭乗者それぞれの運転ペースに適した時間で休憩させるよう施設110に誘導することができる。
【0043】
媒体記録部178は、施設決定部172により決定された施設識別情報および特典情報と共に、エントリ情報と蓄積特典情報とを、媒体に記録する。本実施形態においては、印刷部158を通じて紙媒体162に施設識別情報、特典情報、エントリ情報、蓄積特典情報等を印刷(記録)し、それを搭乗者に配布している。また、上述したように、印刷部158の代わりに書込部を設け、媒体記録部178は、その書込部を通じて搭乗者が所持しているICチップに施設識別情報、特典情報、エントリ情報、蓄積特典情報を書き込ませるとしてもよい。
【0044】
このように、本実施形態の統合装置120は、紙媒体162に次の停車候補となる施設110を記録し、搭乗者がその施設110に停車すると特典を付与する。搭乗者は、特典を獲得しようとして停車候補の施設110に立ち寄る可能性が高いため、搭乗者に適切な休憩を取得させることができ、無理な連続運転を行い疲労により集中力や判断力が低下してしまう事態を回避することが可能となる。
【0045】
また、目的地に到達するまでに複数の施設110で休憩を取る場合であっても、搭乗者はそのすべて休憩の停車候補の施設110を一度に確認する必要はなく、単に、次の停車候補の施設110のみ、紙媒体162を通じて把握すればよいので、搭乗者にとっては把握すべき情報が少なく容易に停車候補での休憩を実行することが可能となる。また、統合装置120にとっては、目的地に到達するまでのすべての停車候補となる施設110を導出せずともよく、処理負荷を低減できる。
【0046】
さらに、上述したように、施設管理テーブル220には、施設110を示す施設識別情報220aと、その施設110で受けられる1または複数のサービスを示すサービス情報220dとが互いに関連付けて記録されており、媒体記録部178は、施設決定部172によって決定された次の停車候補となる施設110に関連付けられたサービス情報も紙媒体162に記録する。ここで、次の停車候補となる施設110に関連付けられたサービスは、例えば、ガソリンスタンド、飲食、トイレ、および銭湯等である。搭乗者は、紙媒体162に記録された、施設110に関連付けられたサービスを視認することで、その施設110で受けられるサービスを容易かつ確実に把握することができる。したがって、次の停車候補となる施設110が複数記載されている場合、搭乗者は、所望するサービスが含まれる施設110を選択して停車することができる。
【0047】
また、施設管理テーブル220のサービス情報には、各サービスの有効時間が関連付けて記録されており、媒体記録部178は、現在時刻と、施設110のサービスの有効時間とに基づいて、サービス情報を紙媒体162に記録するか判断する。ここで、サービスの有効時間は、例えば、施設110に設置されたガソリンスタンド、レストラン、銭湯等の営業時間のことであり、媒体記録部178は、現在時刻から、停車候補の施設110への到着時刻を予測し、到着時刻が上記サービスの有効時間の範囲外の場合、そのサービス情報を紙媒体162に記録しないこととする。こうして、搭乗者が、紙媒体162に記録されたサービス情報、例えば、ガソリンスタンドを見て、次の停車候補の施設110で給油をしようとしたが、到着時刻が営業時間外となり給油を受けられないといった事態を回避することができる。さらに、例えば、飲食等の時間帯限定の割引サービスについても、有効時間に基づいて、到着時刻がその割引サービスの時間帯である場合のみサービス情報を紙媒体162に記録することとしてもよい。
【0048】
図4は、クーポン管理テーブル230を説明するための説明図である。クーポン管理テーブル230は、クーポン識別情報230a、施設識別情報230b、クーポンの内容情報230cが含まれる。クーポン識別情報230aは、クーポンを識別するための情報であり、施設識別情報230bは、そのクーポンを利用できる施設110を識別するための情報であり、クーポンの内容情報230cは、そのクーポンを利用できる対象店舗、商品名、およびクーポンで受けられる割引等の内容を示す情報である。
【0049】
媒体記録部178は、次の停車候補の施設110について、クーポン管理テーブル230を参照し、その施設110に関連付けられたクーポン(対象店舗、商品名、およびクーポンで受けられる割引等の内容)も紙媒体162に記録する。特に、クーポンの内容については、搭乗者が紙媒体162を通じて視認できる態様で記録されている。かかる構成により、搭乗者は、停車候補の施設110に停車する場合、ポイント以外にも、クーポンによる割引等のサービスも受けることができ、停車候補の施設110に停車することによるインセンティブを高めることができる。
【0050】
また、搭乗者は、一度運転を開始してしまうと、途中で休憩することはあっても、目的地までの経路における名産や土産等の情報を知る機会に乏しく、施設110で販売されている名産や土産等の存在を知ることなく施設110を通過してしまいがちである。紙媒体162にクーポンとしてその施設110で購入できる名産や土産等を記録する構成により、施設110側にとっても、広告効果によって売上拡大を期待することができる。
【0051】
図5は、表示部150における印刷画面240を説明するための説明図であり、図6は、印刷された紙媒体162の一例を説明するための説明図である。媒体記録部178は、紙媒体162に記録する情報が決定されると、表示部150に、図5に示すような、目的地240a(目的地情報)、累計ポイント240b(蓄積特典情報)、施設名240c(施設識別情報)、その施設110までの距離240d、施設のサービスの内容240e(サービス情報)、クーポンの内容240f、その施設110に停車した場合に取得できるポイント240g(特典情報)が示された印刷画面240を表示させる。
【0052】
搭乗者が操作部152を通じて印刷ボタン244を選択し印刷を指示すると、媒体記録部178は、印刷部158を通じて、図6に示すように、紙媒体162に累計ポイント162a(蓄積特典情報)、停車候補となる施設名162b(施設識別情報)、その施設110までの距離162c、その施設110のサービスの内容162d(サービス情報)、クーポンの内容162e、その施設110に停車した場合に取得できるポイント162f(特典情報)を印刷する。また、媒体記録部178は、施設識別情報、特典情報、エントリ情報、および蓄積特典情報を二次元コード162gに変換して印刷する。
【0053】
紙媒体162は、施設識別情報、特典情報、エントリ情報、および蓄積特典情報を記録する構成が、ICチップや近距離無線通信カード等に比べ簡易かつ安価であり、さらに、目的地や停車候補となる施設名等を表示する構成も、ICチップや近距離無線通信カードに表示部等を設けることに比べ簡易かつ安価である。したがって、不特定多数の搭乗者に対して当該紙媒体162を乱発行しても、運用コストを著しく削減することが可能となる。
【0054】
さらに、クーポン、累計ポイント、停車候補の施設名等を搭乗者が容易に視認できるように印刷する一方で、エントリ情報や蓄積特典情報等を暗号化し、さらに二次元コード162gに変換して印刷することでプライバシやセキュリティも保護することができる。
【0055】
また、本実施形態では、施設識別情報、特典情報、および蓄積特典情報を二次元コード162gに変換して紙媒体162に記録したが、かかる場合に限定されず、施設識別情報、特典情報、および蓄積特典情報の一部、または全部を、インターネット、専用回線等の通信網に接続されたサーバに記録し、通信網を介して必要に応じて取得、更新してもよい。
【0056】
上述したように、例えば、搭乗者が、図1に示す施設110Aの統合装置120Aで、このような紙媒体162を発行した場合に、紙媒体162において施設110Bが示されていれば、次に施設110Bに停車し、その施設110Bの統合装置120Bに当該紙媒体162を読み取らせることで、紙媒体162において施設110Bに関連付けられた特典を得ることが可能となる。以下に、印刷された紙媒体162によって特典を得る構成を説明する。
【0057】
(特典提供機能部124)
ここで、搭乗者が、事前に図1に示す施設110Cに停車し、統合装置120Cにおいて紙媒体162を取得し、さらに、その紙媒体162に印刷されている施設110Aに立ち寄ったと仮定する。そして、その施設110Aにおける統合装置120Aで以下の処理を行う。
【0058】
特典情報取得部190は、紙媒体162に記録された、施設識別情報、特典情報、エントリ情報、蓄積特典情報のうち、施設識別情報、特典情報、蓄積特典情報を取得する。本実施形態において、蓄積特典情報は累計ポイントであるものとする。
【0059】
特典提供部192は、当該統合装置120Aが紙媒体162の施設識別情報に示される施設110Aに設けられたものであった場合、特典情報に示される特典、本実施形態においては、ポイントを利用できる形態で提供する。特典提供部192は、例えば、割引チケットや商品券を印刷部158を通じて発行したり、現金を払い出したり、電子マネーとして記録媒体に付加したりする等、搭乗者の選択に応じて、様々な形態でポイントを提供する。
【0060】
この場合、さらに、搭乗者が施設110Cにおいてすでに特典を得ていると、すなわち、紙媒体162の蓄積特典情報にすでに累積ポイントが蓄積されていると、特典提供部192は、特典情報に示される特典を蓄積特典情報に示される特典に加えて提供する。ここでは、蓄積特典情報に示される累計ポイントに、特典情報に示されるポイントを加算する。搭乗者は、ポイントが加算された累計ポイントをすぐに利用してもよいし貯めておいてもよい。かかる蓄積特典情報を用いる構成により、搭乗者は、停車候補となる施設110での休憩を何度も行って蓄積特典(ポイント)を増やそうとするため、統合装置120は、1回限りではなく、継続的に、搭乗者に適切な休憩を促すことが可能となる。
【0061】
また、搭乗者が目的地に到達し、提供された特典をその場で消費せず、配布された紙媒体162を保持し、次の運転の際に、任意の施設110の統合装置120でその紙媒体162を読み取らせ、新たに目的地を登録することで、累計ポイントを引き継いで利用することができる。さらに、目的地は任意の統合装置120で変更でき、目的地を新規の目的地に変更して、累計ポイントを引き継いで用いることができる。
【0062】
以上、説明した統合装置120によって、次に停車する施設を推奨し、それによってインセンティブを与えることができるので、搭乗者に適切な時間間隔で休憩を促すことが可能となる。また、施設110の混雑情報、道路102の渋滞情報、施設110のサービス状況等を勘案して搭乗者を適切に施設110に誘導できるので、サービス提供者側にも道路の渋滞や施設の混雑を緩和する等のメリットがある。
【0063】
さらに、コンピュータを統合装置120として機能させる情報提供プログラムおよび特典提供プログラムや、その情報提供プログラムおよび特典提供プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc)等の記録媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0064】
また、この情報提供プログラムおよび特典提供プログラムは、統合装置120に通信網を介して接続された任意のアプリケーションプログラムサーバに記録されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることもできる。
【0065】
(情報提供方法および特典提供方法)
次に、上述した統合装置120を用いて、次の停車候補の施設を提示する情報提供方法および特典を提供する特典提供方法を説明する。図7は、情報提供方法の全体的な流れを示したフローチャートであり、図8は、特典提供方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【0066】
図7に示すように、目的地取得部170が、読取部154を通じて紙媒体162から、または搭乗者の操作入力によって、目的地情報を取得すると(S300のYES)、施設決定部172は、目的地取得部170が取得した目的地情報が示す目的地に基づいて、次の停車候補となる施設110を示す施設識別情報と、その施設110に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定し(S302)、施設決定部172に決定された施設識別情報と特典情報とエントリ情報と蓄積特典情報とを紙媒体162に記録する(S304)。
【0067】
図8に示すように、特典情報取得部190が、読取部154を通じて紙媒体162に記録された、施設識別情報と特典情報とエントリ情報と蓄積特典情報とを取得すると(S350のYES)、特典提供部192は、統合装置120が施設識別情報に示される施設110に設けられたものであるか否かを判定し(S352)、統合装置120が施設識別情報に示される施設110に設けられたものであった場合(S352のYES)、特典情報に示される特典を、エントリ情報に含まれる蓄積特典情報で示される蓄積特典に追加して提供する(S354)。統合装置120が施設識別情報に示される施設110に設けられたものでなかった場合(S352のNO)、または特典提供ステップ(S354)の後、情報取得ステップ(S350)に戻る。ここでは、情報提供方法および特典提供方法を分けて説明しているが、一体的な統合装置120で実現される場合、搭乗者の入力に応じていずれの方法かが選択的に実行される。
【0068】
このような情報提供方法および特典提供方法によっても、次に停車する施設を推奨し、それによってインセンティブを与えることが可能となる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
例えば、上述した実施形態では、情報提供装置と特典提供装置とが情報提供機能部と特典提供機能部として一体的に設けられる例を挙げているが、かかる場合に限られず、当然、両者を別体に形成することができる。そして、特典提供システム100では、任意の施設110における情報提供装置で次の停車候補となる施設110に関する情報を取得し、その停車候補となる施設110に停車すると、他の施設110における特典提供装置で特典を得ることができる。
【0071】
なお、本明細書の情報提供方法および特典提供方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、特典提供システム、情報提供装置、特典提供装置、情報提供プログラム、特典提供プログラム、情報提供方法、および、特典提供方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
100 …特典提供システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場を有する複数の施設のうち異なる施設にそれぞれ設けられた、情報提供装置と、特典提供装置とを含む特典提供システムであって、
前記情報提供装置は、
搭乗者の目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部と、
取得された前記目的地情報が示す目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する施設決定部と、
決定された前記施設識別情報と前記特典情報とを媒体に記録する媒体記録部と
を有し、
前記特典提供装置は、
前記媒体に記録された前記施設識別情報と前記特典情報とを取得する特典情報取得部と、
当該特典提供装置が前記施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、前記特典情報に示される特典を提供する特典提供部と
を有する特典提供システム。
【請求項2】
搭乗者の目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部と、
取得された前記目的地情報に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する施設決定部と、
決定された前記施設識別情報と前記特典情報とを媒体に記録する媒体記録部と
を有する情報提供装置。
【請求項3】
他の施設の混雑状況を示す施設混雑情報を取得する施設混雑取得部
をさらに有し、
前記施設決定部は、前記目的地情報と、前記施設混雑情報とに基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
他の施設に移動するために要する移動時間を導出するための移動時間情報を取得する移動取得部
をさらに有し、
前記施設決定部は、前記目的地情報と、前記施設混雑情報と、前記移動時間情報とに基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記施設識別情報と、前記施設識別情報で示される施設で受けられる1または複数のサービスを示すサービス情報とを互いに関連付けて記録する情報記録部
をさらに有し、
前記媒体記録部は、さらに、前記施設決定部によって決定された次の停車候補となる施設に関連付けられた前記サービス情報を、前記施設識別情報に関連付けた態様で前記媒体に記録する
請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記媒体記録部は、現在時刻と、前記施設のサービスの有効時間とに基づいて、前記サービス情報を媒体に記録するか否か判断する
請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
コンピュータを、
目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部と、
取得された前記目的地情報が示す目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定する施設決定部と、
決定された前記施設識別情報と前記特典情報とを媒体に記録する媒体記録部と
して機能させる情報提供プログラム。
【請求項8】
目的地を示す目的地情報を取得するステップと、
取得した前記目的地情報に示された目的地に基づいて、次の停車候補となる施設を示す施設識別情報と、該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを決定するステップと、
決定した前記施設識別情報と前記特典情報とを媒体に記録するステップと
を有する情報提供方法。
【請求項9】
媒体に記録された、施設を示す施設識別情報と該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを取得する特典情報取得部と、
当該特典提供装置が前記施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、前記特典情報に示される特典を提供する特典提供部と
を有する特典提供装置。
【請求項10】
前記特典情報取得部は、前記媒体から、蓄積された特典を示す蓄積特典情報も取得し、
前記特典提供部は、当該特典提供装置が前記施設に設けられたものであった場合、前記特典情報に示される特典を前記蓄積特典に示される特典に加えて提供する
請求項9に記載の特典提供装置。
【請求項11】
コンピュータを、
媒体に記録された、施設を示す施設識別情報と該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを取得する特典情報取得部と、
当該特典提供装置が前記施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、前記特典情報に示される特典を提供する特典提供部と
して機能させる特典提供プログラム。
【請求項12】
媒体に記録された、施設を示す施設識別情報と該施設に停車した場合に受けられる特典を示す特典情報とを取得するステップと、
当該特典提供装置が前記施設識別情報に示される施設に設けられたものであった場合、前記特典情報に示される特典を提供するステップと
を有する特典提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−198159(P2011−198159A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65321(P2010−65321)
【出願日】平成22年3月20日(2010.3.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】