説明

特殊効果動画生成方法および特殊効果動画生成装置

【課題】演算時間を短縮できるとともに、映像との合成に関して合成映像の品位を向上させることができる特殊効果動画生成装置を提供する。
【解決手段】メモリ13は、映像における各々の座標についての演算パラメータを記憶する。演算器3は、ランダムな座標のパーティクルを発生する。比較器11は、映像信号入力部10に記憶されている映像のディジタル信号であって演算器3が発生したパーティクルの座標に相当する位置のディジタル信号に対して、パーティクルの座標に対応する演算パラメータを用いた演算を行ってパーティクルのパラメータを決定する。決定されたパラメータは、メモリ9に記憶される。演算器14は、メモリ9に記憶されているパラメータにもとづいて特殊画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティクルシミュレーションによって動画を生成する特殊効果動画生成方法および特殊効果動画生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
時間的に変化する自然現象等を動画像で再現する手法として、パーティクルシミュレーションがある。パーティクルシミュレーションでは、例えば、煙や水滴の動きを、粒子(パーティクル)の集合で表現する(例えば、特許文献1参照。)。パーティクルシミュレーションによって、自然現象等を再現する画像を生成することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−216155号公報(段落0004−0006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、パーティクルシミュレーションでは、図7に示すように、パーティクル71、パーティクル71を発生するオブジェクト(パーティクル発生オブジェクト)72、パーティクル71に影響を与えるオブジェクト73、およびパーティクル71には関係しない一般オブジェクト74の4種類のオブジェクトが用いられる。
【0005】
そして、同一空間上に配置された各オブジェクトからパーティクルのパラメータ演算が行われる。すなわち、パーティクル71自身の空間座標、パーティクル71と空間に配置されたオブジェクトとの間の距離、パーティクル71と他のパーティクルとの間の距離等からパーティクル71の各パラメータを演算する。そのために、パーティクル71のパラメータに影響を与えるオブジェクト等をあらかじめ2次元空間または3次元空間に配置しておく必要がある。図7には、3次元空間に配置された例が示されている。
【0006】
以上のように、空間に配置されたオブジェクトの情報にもとづいてパラメータ演算を行って特殊効果画像を生成しているので、生成された特殊効果画像そのものを対象にしてディジタル映像を合成することしかできない。
【0007】
また、パーティクルシミュレーションによって生成される動画像と他のディジタル映像とを合成する場合には、生成された動画像と他のディジタル映像とをキー信号(KEY信号)によって合成することが一般的である。すると、パーティクルシミュレーションによって生成された動画像の上にディジタル映像を合成すると、キー信号で縁取りされた合成映像になってしまう。
【0008】
また、オブジェクトの位置情報にもとづいてパーティクルのパラメータ演算を行っているので、オブジェクトに対して複雑な変形を施すと、膨大な演算時間が必要になってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、演算時間を短縮できるとともに、映像との合成に関して合成映像の品位を向上させることができる特殊効果動画生成方法および特殊効果動画生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による特殊効果動画生成装置は、映像における各々の座標についての演算パラメータを入力して記憶する記憶手段(例えば、メモリ13)と、映像内の座標に対応付けられたパーティクルを発生するパーティクル発生手段(例えば、演算器3)と、入力された映像のディジタル信号を記憶する映像信号入力手段(例えば、映像信号入力部10)と、映像信号入力手段に記憶されている映像のディジタル信号であってパーティクル発生手段が発生したパーティクルの座標に相当する位置のディジタル信号に対して、パーティクルの座標に対応する記憶手段に記憶されている演算パラメータを用いた演算(比較処理を含む。)を行って、パーティクルのパラメータを決定するパラメータ決定手段(例えば、演算器8および比較器11で実現される。)と、パラメータ決定手段が決定したパラメータを用いて特殊画像を生成する特殊画像生成手段(例えば、演算器14)とを備えたことを特徴とする。
【0011】
記憶手段が、パーティクルの可視/不可視を決めるための可視範囲テーブルを記憶し、パラメータ決定手段が、映像信号入力手段に記憶されている映像のディジタル信号と可視範囲テーブルにおける演算パラメータとを比較して、パーティクルの各々の座標の可視/不可視を示すパラメータを決定するように構成されていてもよい。
【0012】
パラメータ決定手段が決定したパラメータにもとづいて、特殊画像生成手段が生成する特殊画像と他の映像とを合成する際に使用されるキー信号を生成する画像作成手段(例えば、演算器14B)を備えていてもよい。
【0013】
記憶手段が、映像信号の輝度信号および色差信号に対する演算を示す演算パラメータ(例えば、輝度信号Yに対する演算パラメータ、色差信号Pbに対する演算パラメータ、および色差信号Prに対する演算パラメータ)を記憶し、パラメータ決定手段が、映像のディジタル信号に対して演算パラメータが示す演算を行ってパラメータを決定するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パーティクルが配された空間上に配置された各オブジェクトを参照してパラメータ演算を行う場合に比べて、特殊画像を生成する際の演算量を軽減でき、回路規模を小さくすることができる。また、パラメータ決定手段が映像のディジタル信号と可視範囲テーブルにおける演算パラメータとを比較してパーティクルの各々の座標の可視/不可視を示すパラメータを決定するように構成されている場合には、可視/不可視の判定を行う前に、あらかじめ決められている総パーティクル数までの数のパーティクルを生成するので、生成されるパーティクルの数を一定に保つことができる。また、パラメータ決定手段が決定したパラメータにもとづいて、特殊画像生成手段が生成する特殊画像と他の映像とを合成する際に使用されるキー信号を生成する画像作成手段をさらに備えている場合には、特殊画像が生成される前に決定されたパラメータにもとづいてキー信号が生成され、合成画像がキー信号で縁取りされた合成映像になってしまうようなことが防止され、合成映像の品位を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明によるパーティクルシミュレーションによって特殊効果画像(以下、特殊画像という。)を生成する特殊効果画像生成装置の第1の実施の形態(実施の形態1)を示すブロック図である。図1に示す特殊効果画像生成装置は、制御用CPU(図示せず)等から出力されるパラメータ等を入力するパラメータ入力部1,12、パーティクルの初期値を生成する処理等を行う演算器3、総パーティクル数とパーティクル数とを比較して新規パーティクル生成の判断を行う比較器4、各パーティクルのパラメータを決めるための演算を行う演算器6、演算器6が出力するパーティクルの座標を2次元座標に変換する演算器8、シリアル−パラレル変換器やフレームメモリ等で構成されディジタル映像信号(映像のディジタル信号)が入力される映像信号入力部10、映像信号入力部10に入力された映像信号と可視範囲テーブルの設定値とを比較して可視パラメータを設定する比較器11、メモリ9に配置されているパーティクルのパラメータから特殊画像を生成する処理を行う演算器14、およびパラレル−シリアル変換等の処理を行って特殊画像を出力する映像出力部15を含む。
【0017】
また、特殊効果画像生成装置は、パラメータ入力部1に入力されたパラメータを保持するメモリ2、パラメータ入力部12に入力されたパラメータを保持するメモリ13、演算器3が出力するパラメータ配列(各パーティクルのパラメータの並び)を記憶するメモリ5、演算器3が出力するパーティクルの数を保持するメモリ7、および特殊画像生成時のパラメータを記憶するメモリ9を含む。
【0018】
メモリ2は、パーティクル発生時の座標の範囲が設定された座標初期値テーブル2Aと、ライフサイクル初期値が設定されたライフサイクル初期値テーブル2Bと、演算対象となるパーティクル数の上限値が設定された総パーティクル数2Cとを保持する。
【0019】
メモリ9は、パーティクルから特殊画像を生成するときのパラメータとなる座標9Aと、ライフサイクル9Bと、可視パラメータ9Cとのデータを、各パーティクル配列として記憶する。
【0020】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1に示す特殊効果画像生成装置の動作を説明する。
【0021】
まず、パーティクルの初期値が設定される(ステップA1)。具体的には、パラメータ入力部1に、パーティクル発生時の座標の範囲(映像内の座標の範囲)を設定する座標初期値テーブル2Aと、ライフサイクル初期値を設定するライフサイクル初期値テーブル2Bと、演算対象となるパーティクル数の上限値を設定する総パーティクル数2Cとが、パラメータとして入力される。入力されたそれらは、メモリ2に記憶される。座標初期値テーブル2Aとライフサイクル初期値テーブル2Bとは、パーティクル生成時に与えられる初期値の範囲を定めたテーブルに相当する。また、総パーティクル数2Cは、特殊効果画像生成装置で演算されるパーティクルの数の最大値を示す。
【0022】
以下、ステップA2〜A14の処理が実行されるが、ステップA2〜A14の処理がフィールド毎の処理であり、ステップA5〜A12はパーティクル毎の処理である。
【0023】
パーティクルシミュレーション機能が起動されると、パラメータ入力部12に入力される可視範囲テーブルがメモリ13に記憶される。可視範囲テーブルは、例えば1画面の各々の画素位置における映像信号に対応する可視パラメータの対応付けを示すテーブルである。すなわち、各々の位置の画素について、可視パラメータを「1」にする輝度(彩度や明度などであってもよい)の範囲または「0」にする輝度の範囲が可視範囲テーブルに設定されている。換言すれば、可視パラメータを「1」にするための閾値が設定されている。映像信号の例えば輝度が閾値以上であれば、可視パラメータが「1」に設定される。
【0024】
比較器4は、メモリ7に記憶されているパーティクル数とメモリ2に記憶されている総パーティクル数と比較し、パーティクル数が総パーティクル数未満であれば、演算器3を動作させて新規パーティクルの生成を行う(ステップA3,A4)。なお、比較器4は、総パーティクル数までの数のパーティクルを一時に生成するのではなく、任意の時期に、逐次パーティクルを生成してもよい。また、生成されたパーティクルの数が総パーティクル数に達する前に新規パーティクルの生成を止めてもよい。
【0025】
例えば、メモリ2における座標初期値テーブル2Aには、x座標:0〜1920、y座標:0〜1080、z座標:0が設定されている。すなわち、この実施の形態では、2次元空間にパーティクルが配置される場合を例にする。ライフサイクル初期値テーブル2Bには、30〜60が設定されている。総パーティクル数2Cとして100が設定されている。また、メモリ13における可視範囲テーブルには、128〜255が設定されている。
【0026】
演算器3は、ステップA3の処理で、座標初期値テーブル2Aおよびライフサイクル初期値テーブル2Bに設定されている値の範囲で、ランダムな値を、新規に生成するパーティクルのパラメータとする。そして、生成したパーティクルの通し番号とともにパラメータをメモリ5に記憶させる。なお、演算器3が決定するパーティクルの座標は、2次元空間においてパーティクルが存在する位置を特定できるデータであれば、その形式を問わない。一例として、パーティクルの中心座標(重心の座標)であってもよいし、パーティクルの外縁の座標であってもよいし、他の表現形式であってもよい。
【0027】
ステップA5〜A12のパーティクル毎の処理において、演算器6は、各々のパーティクルのパラメータについて演算を行う(ステップA5)。例えば、ライフサイクルのパラメータを1減少させる。なお、演算器6は、ライフサイクルが0または負値になったパーティクルを削除する(ステップA6,A7)。演算器6は、ライフサイクルが正値であるパーティクルのパラメータをメモリ9および演算器8に出力する。メモリ9において、演算器6から出力されたパラメータが、パーティクルの通し番号とともに座標9Aおよびライフサイクル9Bとして記憶される。
【0028】
演算器8は、演算器6が出力したパーティクルの座標を2次元座標に変換し、2次元座標を比較器11に出力する(ステップA8)。なお、この実施の形態では、パーティクルは2次元空間に配置されているので、演算器8は、演算器6が出力したパーティクルの座標をそのまま比較器11に出力する。
【0029】
比較器11は、パーティクルの座標(例えば、中心座標)に相当する画素位置の映像信号を映像信号入力部10から入力する(ステップA9)。そして、その画素位置に対応する可視範囲テーブルの設定値をメモリ13から入力し、映像信号入力部10から入力した映像信号のレベルとメモリ13から入力した可視範囲テーブルの設定値とを比較する(ステップA10)。可視範囲テーブルの設定値が輝度である場合には、比較器11は、映像信号における輝度信号を可視範囲テーブルの設定値と比較する。
【0030】
映像信号のレベルが閾値以上であれば、比較器11は、メモリ9に、可視パラメータとして「1」を出力し(ステップA11)、閾値未満であれば可視パラメータとして「0」を出力する(ステップA12)。なお、可視範囲テーブルに128〜255が設定されている場合には、閾値は128である。また、メモリ9において、比較器11が出力した値は、そのパーティクルの座標9Aおよびライフサイクル9Bに対応させて可視パラメータ9Cとして記憶される。
【0031】
演算器14は、可視パラメータ9Cとして「1」が設定されているパーティクルの座標9Aおよびライフサイクル9Bを用いて、特殊画像を生成する(ステップA13)。そして、生成した特殊画像を映像信号として映像出力部15に出力する(ステップA14)。
【0032】
以上のように、この実施の形態では、生成されたパーティクルのパラメータ(この例では、可視/不可視)が、映像信号(例えば、映像信号における輝度信号)を用いて定められている。すなわち、パーティクルが配された空間上に配置された各オブジェクト以外の信号を用いてパーティクルシミュレーションによる特殊画像を生成することができる。よって、パーティクルが配された空間上に配置された各オブジェクトを参照してパラメータ演算を行う場合に比べて、特殊画像を生成する際の演算量を軽減でき、回路規模を小さくすることができる。また、可視/不可視の判定を行う前に、あらかじめ決められている総パーティクル数までの数のパーティクルを生成するので、生成されるパーティクルの数を一定に保つことができる。よって、例えば、ある時期に急激にパーティクルの生成のための演算量が増加するということはない。また、演算器14Aが、映像信号入力部10に入力されて記憶されている映像信号のレベルにもとづいて可視/不可視の設定がなされたパーティクルから特殊画像を生成するので、演算器14Aが生成した特殊画像に対して、映像信号入力部10に入力された映像信号を合成する場合に、不自然な合成画像になってしまう可能性が低減する。
【0033】
実施の形態2.
第1の実施の形態では、演算器14が生成した特殊画像の映像信号は、一つの映像出力部15に出力されていたが、第2の実施の形態(実施の形態2)では、特殊効果動画生成装置は、複数の特殊画像の映像信号を出力できるように構成される。
【0034】
図3は、第2の実施の形態の特殊効果画像生成装置を示すブロック図である。図3に示す特殊効果画像生成装置では、図1に示された演算器14に代えて、複数(図3に示す例では二つ)の演算器14A,14Bが設けられ、映像出力部15に代えて、映像出力部15A,15Bが設けられている。その他の構成は、図1に示された特殊効果画像生成装置の構成と同じである。
【0035】
次に、図4のフローチャートを参照して、図3に示された特殊効果画像生成装置の動作を説明する。ステップA1〜A12までの処理は、図2に示された第1の実施の形態の動作と同じである。この実施の形態では、例えば、演算器14Aが、第1の実施の形態における演算器14と同様に、可視パラメータ9Cとして「1」が設定されているパーティクルの座標9Aおよびライフサイクル9Bを用いて、特殊画像を生成する(ステップA13)。そして、生成した特殊画像を映像信号として1フィールド毎に映像出力部15Aに出力する(ステップA14)。
【0036】
演算器14Bは、演算器14Aとは異なる演算によって画像を生成し、生成した画像を映像信号として映像出力部15Bに出力する(ステップB13,B14)。例えば、演算器14Bは、演算器14Aが生成した特殊画像に対するキー信号としての画像を生成する。
【0037】
この実施の形態では、演算器14Bは、映像信号入力部10に入力された映像信号のレベル(例えば、輝度信号の値)にもとづいて可視/不可視の設定がなされたパーティクルのパラメータにもとづいて例えばキー信号を生成する。演算器14Bが、パーティクルのパラメータにもとづいてキー信号を生成する場合、可視とされたパーティクルの領域を含まないようにキー信号を生成することができる。よって、例えば、演算器14Aが生成した特殊画像に対して映像信号入力部10に入力された映像信号を合成する場合に、合成画像においてパーティクルが欠けてしまうことが防止される。すなわち、キー信号で縁取りされた合成映像になってしまうことが防止される。
【0038】
実施の形態3.
図5は、第3の実施の形態(実施の形態3)の特殊効果画像生成装置を示すブロック図である。図5に示す特殊効果画像生成装置では、図1に示された映像信号入力部10に代えて、複数(図5に示す例では二つ)の映像信号入力部10A,10Bが設けられている。その他の構成は、図1に示された特殊効果画像生成装置の構成と同じである。ただし、パラメータ入力部12を介して、メモリ13には、可視範囲テーブルに加えて、映像信号入力部10Bに入力された映像信号における輝度信号Yに対する演算パラメータ、色差信号Pbに対する演算パラメータ、および色差信号Prに対する演算パラメータも入力され、メモリ13は、それらの演算パラメータを記憶する。メモリ13に記憶されるパラメータの集まりをパラメータ演算テーブルという。
【0039】
また、メモリ9には、パーティクルから特殊画像を生成するときのパラメータとなる座標9Aと、ライフサイクル9Bと、可視パラメータ9Cとのデータに加えて、比較器11が出力するパラメータY(9D)、パラメータPb(9E)およびパラメータPr(9F)も記憶される。
【0040】
次に、図6のフローチャートを参照して、図5に示された特殊効果画像生成装置の動作を説明する。ステップA1〜A12の処理は第1の実施の形態における処理と同じである。ただし、パーティクルシミュレーション機能が起動されると、パラメータ入力部12に入力されるパラメータ演算テーブルがメモリ13に記憶される。また、この実施の形態では、比較器11は、パーティクルの座標に相当する画素位置に対応する映像信号を映像信号入力部10Aから入力する(ステップA9)。また、その画素位置に対応する可視範囲テーブルの設定値をメモリ13から入力し、映像信号入力部10Aから入力した映像信号のレベルとメモリ13から入力した可視範囲テーブルの設定値とを比較する(ステップA10)。そして、比較器11は、比較結果に応じて、可視パラメータ9Cとして「1」または「0」をメモリ9に出力する。
【0041】
また、比較器11は、演算器8から出力されたパーティクルの座標に相当する画素位置に対応する映像信号を映像信号入力部10Bから入力する。そして、その画素位置に対応するパラメータ定義テーブル(可視範囲テーブルの設定値を除く。)の設定値をメモリ13から入力し、映像信号入力部10Bから入力した映像信号(Y、PbおよびPr)の値に対して、メモリ13から入力したパラメータ定義テーブルにおける演算パラメータにもとづく演算を行う(ステップB10)。そして、演算結果を、パラメータY(9D)、パラメータPb(9E)およびパラメータPr(9F)としてメモリ9に出力する(ステップB11)。メモリ9は、それらのパラメータを記憶する。
【0042】
なお、パラメータ定義テーブルにおける演算パラメータは、映像信号入力部10Bから入力した映像信号(Y、PbおよびPr)にもとづいて、パーティクルのパラメータ(Y、PbおよびPr)をどのようにするのかを決めるための演算を示すパラメータであるが、例えば、所定値(3つのパラメータの一部については1でもよい。)の乗算を示す。
【0043】
この実施の形態では、演算器14は、可視パラメータ9Cとして「1」が設定されているパーティクルの座標9A、ライフサイクル9B、パラメータY(9D)、パラメータPb(9E)およびパラメータPr(9F)を用いて、特殊画像を生成する(ステップA13)。そして、生成した特殊画像を映像信号として映像出力部15に1フィールド毎に出力する(ステップA14)。なお、ステップA13において、演算器14は、パーティクルの各々の座標9Aについて、パラメータY(9D)、パラメータPb(9E)およびパラメータPr(9F)をそのままパーティクルのパラメータとしてもよい。
【0044】
また、映像信号入力部10Aに入力される映像信号と映像信号入力部10Bに入力される映像信号とは同じものであってもよい。また、映像信号入力部は3個以上設けられていてもよい。
【0045】
この実施の形態では、演算器14は、映像信号入力部10Aに入力された映像信号のレベルにもとづいてパーティクルの可視/不可視を定めるとともに、映像信号入力部10Bにに入力された映像信号の値にもとづいてパーティクルのパラメータを決定する。すなわち、特殊画像を生成するための演算が、外部から入力される映像信号にもとづいて実行されている。
【0046】
なお、上記の各実施の形態において、演算器3,6,8,14を独立したものとして説明したが、それらを一つの演算装置にまとめてもよい。さらに、比較器4,11も演算装置にまとめてもよい。また、メモリ2,5,7,9,13を独立したものとして説明したが、それらを一つの記憶装置にまとめてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明を、放送機器や映像機器に適用することができる。すなわち、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で生成されたパーティクルシミュレーションを用いたCG画像と放送機器や映像機器による映像とを合成したり、映像入力装置を有する情報処理装置や編集機において、動画編集時の合成、トランジション効果、特殊効果のために適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施の形態の特殊効果画像生成装置を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の特殊効果画像生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態の特殊効果画像生成装置を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態の特殊効果画像生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施の形態の特殊効果画像生成装置を示すブロック図である。
【図6】第3の実施の形態の特殊効果画像生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】一般的なパーティクルシミュレーションを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 パラメータ入力部
2 メモリ
3 演算器
4 比較器
5 メモリ
6 演算器
7 メモリ
8 演算器
9 メモリ
10 映像信号入力部
11 比較器
12 パラメータ入力部
13 メモリ
14 演算器
15 映像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティクルシミュレーションによって動画を生成する特殊効果動画生成方法において、
映像における各々の座標についての演算パラメータを入力して記憶する演算パラメータ記憶処理と、
映像内の座標に対応付けられたパーティクルを発生するパーティクル発生処理と、
入力された映像のディジタル信号における前記パーティクルの座標に相当する位置のディジタル信号に対して、当該パーティクルの座標に相当する座標についての演算パラメータを用いた演算を行って、パーティクルのパラメータを決定するパラメータ決定処理と、
前記パラメータ決定処理で決定されたパラメータを用いて特殊画像を生成する画像生成処理と
を含むことを特徴とする特殊効果動画生成方法。
【請求項2】
演算パラメータ記憶処理で、パーティクルの可視/不可視を決めるための可視範囲テーブルを記憶し、
パラメータ決定処理で、映像のディジタル信号と前記可視範囲テーブルにおける演算パラメータとを比較して、パーティクルの各々の座標の可視/不可視を示すパラメータを決定する
請求項1記載の特殊効果動画生成方法。
【請求項3】
パラメータ決定処理で決定されたパラメータにもとづいて、画像生成処理で生成された特殊画像と他の映像とを合成する際に使用されるキー信号を生成するキー信号作成処理を含む
請求項1または請求項2記載の特殊効果動画生成方法。
【請求項4】
演算パラメータ記憶処理で、映像信号の輝度信号および色差信号に対する演算を示す演算パラメータを記憶し、
パラメータ決定処理で、映像のディジタル信号に対して前記演算パラメータが示す演算を行ってパラメータを決定する
請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載の特殊効果動画生成方法。
【請求項5】
パーティクルシミュレーションによって動画を生成する特殊効果動画生成装置において、
映像における各々の座標についての演算パラメータを入力して記憶する記憶手段と、
映像内の座標に対応付けられたパーティクルを発生するパーティクル発生手段と、
入力された映像のディジタル信号を記憶する映像信号入力手段と、
前記映像信号入力手段に記憶されている映像のディジタル信号であって前記パーティクル発生手段が発生したパーティクルの座標に相当する位置のディジタル信号に対して、当該パーティクルの座標に対応する前記記憶手段に記憶されている演算パラメータを用いた演算を行って、パーティクルのパラメータを決定するパラメータ決定手段と、
前記パラメータ決定手段が決定したパラメータを用いて特殊画像を生成する特殊画像生成手段と
を備えたことを特徴とする特殊効果動画生成装置。
【請求項6】
記憶手段は、パーティクルの可視/不可視を決めるための可視範囲テーブルを記憶し、
パラメータ決定手段は、映像信号入力手段に記憶されている映像のディジタル信号と前記可視範囲テーブルにおける演算パラメータとを比較して、パーティクルの各々の座標の可視/不可視を示すパラメータを決定する
請求項5記載の特殊効果動画生成装置。
【請求項7】
パラメータ決定手段が決定したパラメータにもとづいて、特殊画像生成手段が生成する特殊画像と他の映像とを合成する際に使用されるキー信号を生成する画像作成手段を備えた
請求項5または請求項6記載の特殊効果動画生成装置。
【請求項8】
記憶手段は、映像信号の輝度信号および色差信号に対する演算を示す演算パラメータを記憶し、
パラメータ決定手段は、映像のディジタル信号に対して前記演算パラメータが示す演算を行ってパラメータを決定する
請求項5から請求項7のうちのいずれかに記載の特殊効果動画生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−243120(P2008−243120A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86423(P2007−86423)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】