犠牲的な膜を成長させ除去することにより材料を平坦化するための方法及び装置
基底材料、例えば、シリコンに平坦化作用を与えるように酸化物を形成するための方法及び装置。特に、非均一な厚みプロフィールをもつ酸化物が基底材料上に成長される。酸化物の非均一な厚みプロフィールは、基底材料の非均一なプロフィールに基づいて選択される。その後に酸化物を除去すると、酸化前の表面に比して、基底材料の平坦化された表面が後に残る。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般に、基板を処理することに係る。より詳細には、本発明の実施形態は、層を酸化し除去することにより層を平坦化することに係る。
【0002】
関連技術の説明
[0002]集積回路及び他の電子デバイスの製造においては、導体、半導体及び誘電体材料の複数の層が基板の表面に堆積され又はそこから除去される。導体、半導体及び誘電体材料のこの層は、多数の堆積技術により堆積することができる。近代的な処理における共通の堆積技術は、スパッタリングとしても知られている物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマエンハンスト化学気相堆積(PECVD)、及び電気化学的メッキ(ECP)を含む。
【0003】
[0003]材料の層が順次に堆積され除去されるときには、基板の最上面がその表面にわたって非平坦となり、平坦化を必要とすることがある。表面を平坦化し、即ち表面を「研磨」することは、基板の表面から材料を除去して一般的に平らな平坦面を形成するプロセスである。平坦化は、望ましからぬ表面トポグラフィー及び表面欠陥、例えば、粗面、材料の集塊、結晶格子のダメージ、スクラッチ、及び層又は材料の汚染を除去するのに有用である。又、平坦化は、特徴部を充填して、金属化及び処理のその後のレベルに対して平らな面を形成するのに使用した余計な堆積材料を除去することにより、基板に特徴部を形成するのにも有用である。更に、平坦化は、ホトリソグラフィー装置の適切な収束を確保するためにも重要である。
【0004】
[0004]ウェハを平坦化するのに使用される従来の研磨技術は、化学的機械的研磨(CMP)、電気化学的機械的研磨(ECMP)、等を含む。CMP及びECMPは、両方とも、流体環境においてウェハを研磨するために研磨パッドを使用する。通常、基板キャリア又は研磨ヘッドがキャリアアッセンブリに実装されて、研磨パッドに接触するように配置される。キャリアアッセンブリは、基板に制御可能な圧力を与え、これにより、研磨パッドに対して基板を押し付ける。パッドは、外部の駆動力により基板に対して移動される。研磨は、化学的活動、電気的及び/又は機械的活動により行われる。
【0005】
[0005]しかしながら、ある場合には、従来の研磨技術では不充分である。その一例は、シリコンウェハ又は基板の場合である。シリコンウェハは、例えば、エピタキシャル(epi)ウェハ及びシリコン・オン・インスレータ(SOI)ウェハを含む。このようなウェハは、通常、CMPのような技術を使用して研磨されるが、他の方法が使用されてもよい。しかしながら、このような従来の研磨技術は、ナノメーターサイズの粗面性を排除するが、他の表面非均一性を導入すると共に、受け入れられない厚み変動を膜に残すことがある。
【0006】
[0006]それ故、材料、特に、シリコンを平坦化するための方法及び装置が要望される。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明は、一般に、犠牲的平坦化膜の形成に関する。
【0008】
[0008]1つの実施形態は、半導体ウェハの上面を形成する材料に犠牲的平坦化層を成長させる方法を提供する。この方法は、材料の非均一厚みプロフィールを決定するステップと、材料を平坦化するためにその非均一厚みプロフィールに基づいて1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップと、非均一プロフィールに従ってウェハの上面に犠牲的平坦化層を湿式酸化で成長させるステップであって、犠牲的平坦化層が材料の一部分を消費してその平坦化を行わせるようなステップとを備えている。
【0009】
[0009]別の実施形態は、非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料を平坦化する方法を提供する。この方法は、チャンバーにウェハを入れるステップと、非均一なトポグラフィープロフィールに基づいてウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために蒸気含有環境を確立するステップと、ウェハを蒸気含有環境に露出させて、ウェハ材料に犠牲的平坦化層を形成するステップと、その犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。この点において、「平坦化消費」とは、ウェハ材料と犠牲的平坦化層との間の界面で行われる平坦化であって、犠牲的平坦化層を除去した際にウェハ材料の相対的により平坦な表面を生じるような平坦化を指す。
【0010】
[0010]非均一なトポグラフィーを有するウェハ材料を平坦化する別の方法は、チャンバーにウェハを入れるステップと、ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために非均一なトポグラフィーに基づいてウェハ材料に犠牲的平坦化層を成長させるステップと、その犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。犠牲的平坦化層を成長させるステップは、(a)ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために選択されたチャンバー圧力において第1の酸素含有環境にウェハを露出させる一方、ウェハにわたって実質的に一定の温度プロフィールを維持する段階と、(b)第2の酸素含有環境にウェハを露出させる一方、ウェハにわたって非均一な温度プロフィールを維持して、ウェハ材料の平坦化消費を生じさせる段階とを含む。
【0011】
[0011]非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料を含むウェハを平坦化するための更に別の方法は、チャンバーにウェハを入れるステップと、チャンバーに酸素含有環境を形成するためにチャンバーに酸素含有流体を流し込むステップと、酸素含有環境にウェハを露出させるステップと、ウェハの温度と、チャンバー圧力及び酸素含有流体の流量の少なくとも一方とを制御して、非均一なトポグラフィープロフィールに基づいてウェハ材料の平坦化消費を生じさせると共に、ウェハ材料に犠牲的平坦化層の形成を生じさせるステップと、犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。
【0012】
[0012]ウェハの上部シリコン含有層を平坦化する更に別の方法は、ウェハのターゲット酸化物プロフィールを決定するステップと、そのターゲット酸化物プロフィールに基づいて、1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップであって、チャンバー圧力及び酸素含有流体流量の少なくとも1つからプロセスパラメータ値を選択するステップと、酸化物成長チャンバーにウェハを入れるステップと、約10SLMから約40SLMの流量でチャンバーに酸素含有流体を流し込んで、約100Torr未満、好ましくは30Torr未満、最も好ましくは約6Torrから約14Torrのチャンバー圧力でチャンバーに酸素含有環境を形成するステップと、酸化物成長のチャンバー圧力及びウェハ温度を約30秒から数分の(好ましくは約90秒以下の)時間周期中維持して、シリコン含有層の一部分の消費を許容し、ターゲット酸化物プロフィールに基づいてシリコン含有層の平坦化消費を生じさせると共に、犠牲的平坦化層の形成を生じさせるステップと、犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。一実施形態では、酸素含有流体は、約10%から約33%のH2を有する。
【0013】
[0013]更に別の実施形態は、酸化物成長チャンバーと、非均一なトポグラフィープロフィールの材料を有するウェハを支持するように適応されたウェハ支持部材と、酸化物成長チャンバーに流体結合された流体配送システムと、ターゲット酸化物プロフィールを入力として受け取ると共に、少なくとも、(i)酸化物成長チャンバーに酸素含有環境を形成するための流体配送システムからの1つ以上の流体の流量と、(ii)チャンバー圧力と、を制御するように構成されたコントローラシステムとを備えたシステムを提供する。流量及びチャンバー圧力の少なくとも1つは、ターゲット酸化物プロフィールに基づいてウェハの材料を消費するように選択され、これにより、犠牲的平坦化層が材料に形成される。
【0014】
[0014]本発明の上述した特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本発明を、添付図面に幾つか示された実施形態を参照して、より特定に説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、それ故、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、他の等しく有効な実施形態も受け入れられることに注意されたい。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0015】
[0036]本発明は、その場で酸化プロセスを実行し、その後に酸化物を除去する方法及び装置を説明する。以下の説明において、本発明の完全な理解を与えるために、装置構成のような多数の特定の細部、並びに時間、圧力、流量及び温度のようなプロセス特有のものについて述べる。例えば、説明上、SOI及びEpiウェハに関して平坦化技術を説明する。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱せずに、別のウェハ形式、構成及びプロセス細部を使用できることが明らかであろう。他の場合には、本発明を不必要に混乱させないために、良く知られている半導体処理装置及び技術は詳細に説明しない。更に、ここに開示するプロセスパラメータ値は、単なる例示に過ぎない。当業者であれば、このような値が特定の環境に基づいて著しく変化することが容易に明らかであろう。従って、本発明の原理が分かると、このような値を決定できるので、考えられる値及び条件の包括的なリストは、実際的でもないし、又、必要でもなかろう。
【0016】
[0037]本発明の実施形態は、一般に、基底材料、例えば、シリコンに平坦化作用を与えるような酸化物の形成を提供する。特に、非均一な厚みプロフィールを有する酸化物が基底材料上に成長される。酸化物の成長は、基底材料の一部分を消費して、その消費された部分に酸化物を置き換えることにより達成される。成長されるべき酸化物の非均一な厚みプロフィールは、基底材料の非均一プロフィールに基づいて選択される。即ち、比例的に、比較的厚い基底材料のエリアには、より多くの酸化物が成長され、比較的薄い基底材料のエリアには、より少ない酸化物が成長される。その後に酸化物を除去すると、酸化前の表面に比して、基底材料の比較的平坦化された表面が後に残される。
【0017】
[0038]ここで使用する「基板」という語は、その上に付加的な材料を形成(例えば、成長又は堆積)できるあるベースワークピースを指すか、或いはそれ自体が別のベースワークピースの一部分又は材料のスタック(例えば、クリービングプロセスによる別の基板又はウェハ等)で作られるものを指す。「ウェハ」という語は、ここでは、基板、及び1つ以上の膜が形成された基板を含む多層ワークピース、或いは一緒に接合された(例えば、クリービングにより)2つ以上の基板を包含するように使用される。「ウェハ材料」とは、(i)ベース基板(例えば、シリコン)、(ii)基板上に形成されるある材料、或いは(iii)基板をベースとして有する材料の複合スタックにおけるある材料を指す。
【0018】
[0039]本発明の態様は、一例として、SOIウェハ及びEpiウェハを参照して説明する。しかしながら、本発明は、特定のウェハ形式に限定されないことを理解されたい。本発明の技術による平坦化を必要とするSOI及びEpiウェハの製造プロセスで均一なシリコン表面をいかに製造できるかについて簡単に説明する。
SOIウェハ
[0040]SOIウェハは、相補的−金属−酸化物−シリコン(CMOS)デバイス製造に対するエンハンストウェハで、絶縁層(酸化シリコン)の利益とシリコン(Si)デバイス層の利益の両方を結び付けるものである。絶縁基板は、寄生的接合キャパシタンスを減少し、ラッチアップを防止し、且つ放射硬度を改善する上で有益である。SOIマイクロチップ処理速度は、今日のCMOSベースのチップより約30%高速であり、且つ電力消費は、80%に減少される。従って、将来の集積シリコンチップ、又はシステム・オン・チップは、CMOS、バイポーラヘテロ構造バイポーラトランジスタ(HBT)、量子デバイス、光学的導波器、光学的変調器、光学的エミッタ及び検出器が全て単一チップ上に一体化されたSOI基板を使用することになろう。
【0019】
[0041]説明上、図19は、3つの代表的なSOIベースのCMOSトランジスタ1900A−Cを示す。より詳細には、図19は、シリコン基板1904と、その上に配置された埋設酸化物層1906と、該埋設酸化物1906上に形成された活性シリコン層1908とを示している。3つのトランジスタ1900A−Cは、各々、部分空乏、完全空乏、及び薄型本体構造の代表である。図20は、Si−SOI厚み及びボックス厚みにより特徴付けられるSOIベースの用途を示す。
【0020】
[0042]SOIウェハを製造するのに使用される現在の方法は、ベアシリコンウェハの表面下の浅い深さに水素をインプランテーションすることを含む。このウェハは、次いで、第2のウェハにボンディングされ、その表面には絶縁膜(例えば、二酸化シリコン、サファイア、窒化シリコン、又はシリコン自体の絶縁形態)が成長される。ボンディングが完了した後に、そのスタックが水素インプランテーション深さでクリーブされ、絶縁膜の頂部に単結晶シリコンの膜を有するウェハが残る。
【0021】
[0043]クリーブプロセスは、デバイスを製造すべき面に著しい粗面を残すという望ましからぬ副作用がある。完全空乏及び薄型本体SOIウェハの場合には、最上部のシリコン厚みが、例えば、50nm−5nmの範囲であり、SOIの効果を得るためには表面が滑らかでなければならない。従って、本発明の方法及び装置は、SOIウェハを平坦化するのに非常に適した技術を提供する。
【0022】
[0044]Epi技術を使用してSOIを製造する場合には、融通性を付加し且つウェハのクオリティを高め、例えば、欠陥を少なくし、最上部Si層の均一性を良好にし、且つクラスターツールの互換性を与えることが示されている。従って、Epiウェハの幾つかの態様について、以下に説明する。
Epiウェハ
[0045]ここで使用する「Epiウェハ」とは、エピタキシャルシリコンの層が形成されたウェハを指す。エピタキシャルシリコンは、例えば、単結晶シリコン、シリコンゲルマニウム及びSOIウェハに形成することができる。特定の実施形態では、エピタキシャルシリコン層がシリコンゲルマニウム基板上に形成されて、歪入りシリコンを形成する。ある実施形態では、エピタキシャルシリコンは、例えば、ボロンでドープされる。しかしながら、非ドープのエピタキシャルシリコンも使用できることが意図される。本発明の態様に基づくエピタキシャル層の形成及び酸化物の形成は、クラスターツール環境で実行されるのが好ましい。例えば、エピタキシャル層の形成は、大気epi堆積チャンバー及び減圧epi堆積チャンバーにおいて実行することができ、これらは、両方とも、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できる。
【0023】
[0046]更に、Epiウェハは、エピタキシャルシリコンを堆積する前に、先ず、清掃できることが意図される。従って、クラスターツールは、清掃チャンバー及び堆積チャンバーと共に構成することができる。1つのこのようなチャンバーが、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるEpiCleanチャンバーである。このEpiCleanチャンバーは、堆積前の清掃プロセスを実行して、780℃未満の温度で自然酸化物層及び他の汚染物を除去する。清掃プロセスは、堆積チャンバーにおける高温ベーキング又は安定化ステップの必要性を排除し、堆積チャンバーの処理時間を相当に短縮して、スループットを高めると共に運転コストを下げる。清掃チャンバー及びepi堆積チャンバーは、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるEpi Centuraシステムに見られるような同じクラスターツールの一部分であるのが好ましい。
酸化物成長装置及びプロセス
[0047]図1は、一体化された製造及び平坦化プロセス100の一実施形態を示す。ステップ102において、ベース材料が形成される。ベース材料は、基板、又は基板上に形成された膜の形態でよい(例えば、SOIウェハのepi層又は最上部シリコン層)。ここで使用する「ベース材料」とは、平坦化されるべき材料を指す。説明上、本発明の実施形態は、シリコンのベース材料を参照して述べる。平坦化プロセスは、ステップ104において、ベースシリコンに酸化物を成長させることにより開始される。酸化物は、ベースシリコン材料の一部分を消費することにより形成される。その結果、酸化物は、例えば、二酸化シリコンでよい。次いで、ステップ106において、酸化物が除去される。基底材料がエッチングストッパーとして働くのを許容するエッチングプロセスを使用して、酸化物を除去するのが好ましい。
【0024】
[0048]上述したプロセス100は、単なる例示に過ぎず、いかなる数の付加的なステップが実行されてもよいことを理解されたい。例えば、図1の点線は、使用することのできる他の処理シーケンスを示す。特に、ベースシリコンのトポグラフィーは、ステップ104で酸化物を形成する前に決定されてもよい(ステップ108)ことが意図される。ステップ108及び104は、同じチャンバーで実行されてもよいし、又は異なるチャンバーで実行されてもよい。一実施形態では、トポグラフィー(即ちウェハマップ)は、サーマウェーブからのオプチプローブ・エリプソメーター/リフレクトメーターツールのような楕円偏光計を使用して決定される。多くのケースでは、ベースシリコンのプロフィールが半径方向に対称的で、トポグラフィーは、所与の半径においていかなる方位角でも同じである。従って、任意の角度でウェハの中心を通る断面は、実質的に同じプロフィールを示す。(例えば、図11における酸化物成長プロセス前のウェハのプロフィールを参照されたい。)他のケースでは、トポグラフィーが半径方向の対称性を示さない。いずれのケースでも、ステップ108においてなされる決定は、酸化物の形成を実行するシステムのための入力データを与えることができ、これにより、システムは、ベースシリコンの各独特のトポグラフィーに基づいて適切なプロセスパラメータを調整することが許容される。しかしながら、ステップ104で処理されているベースシリコンが1つのウェハから次のウェハへと一貫したトポグラフィーを有する場合には、ステップ108においてウェハごとにベースシリコンのプロフィールを決定する必要はないことに注意されたい。
【0025】
[0049]別の実施形態では、従来の研磨がステップ110において実行される。従来の研磨は、例えば、化学的機械的研磨及び乾燥研磨を含む。従来の研磨は、ステップ108においてベースシリコンのプロフィールを決定する前に行われてもよいし又はその後に行われてもよく、或いはステップ108がバイパスされる場合には、ステップ104において酸化物を成長させる前に行われてもよい。特定の実施形態では、従来の研磨(ステップ110)の前及び従来の研磨の後の両方にベースシリコンのプロフィールを決定できる(ステップ108)ことが意図される。
【0026】
[0050]実行することのできる更に別のステップは、例えば、清掃ステップ及びアニールステップを含む。例えば、epi堆積の場合には、堆積の前に、先ず、自然酸化物を除去することができる。更に、酸化物の除去(ステップ108)に続いて表面パッシベーションステップを実行できることが意図される。例えば、種々の不活性又は反応性ガス(例えば、水素)中でウェハをアニールして、不安定な結合部を除去すると共に、表面へのダメージを最小にすることができる。更に、酸化物の除去(ステップ108)に続いてリンス及び乾燥ステップを使用することもできる。
【0027】
[0051]更に、前記ステップのいずれかを任意の回数だけ繰り返してもよい。例えば、研磨ステップ(ステップ110)に続いて、酸化物層を形成し(ステップ104)及び除去する(104)ことができ、次いで、ウェハを再び研磨することができる。それに加えて又はそれとは別に、中間ステップを伴わずに、酸化物形成ステップ(104)を連続的に繰り返すこともできる。それに加えて又はそれとは別に、酸化(ステップ104)及びその後の除去(ステップ108)の複数のサイクルを実行して、希望の度合いの平坦さ、円滑さ又は他の表面特性を得ることができる。更に、プロセス100で表された所与のステップは、種々の技術を代表するものでよい。例えば、酸化(ステップ104)は、流量、圧力、濃度及び/又は温度を含むパラメータが、制御されるべき一次プロセスパラメータであるような湿式酸化解決策に基づいて実行されてもよいし、或いは温度が、制御されるべき一次プロセスパラメータであるような乾式熱酸化解決策に基づいて実行されてもよい。特に、ステップ104については、所与のウェハの酸化が、次々の異なる技術を含んでもよいことが意図される。酸化成長技術の組合せで、個々の技術単独の場合に勝る優れた結果を生じさせることもできる。例えば、ここに開示する湿式酸化プロセスを乾式酸化プロセスと組み合わせて使用して、酸化物の成長を酸素添加環境において熱的に制御することができる。ここに例示する乾式酸化プロセスは、乾式急速熱酸化(RTO)を指してもよい。又、ここに例示する湿式酸化プロセスは、その場での(in situ)蒸気発生プロセス(ISSG)及び外部での(即ちex situ)蒸気発生プロセスを指す。ISSGは、参考としてここにその全体を援用する米国特許第6,037,273号に一般的に説明されている。しかしながら、本発明の態様は、既存のISSG技術とは著しく異なり、このような既存の技術は、ウェハ上に形成されるデバイスの一部分となる酸化物層の形成に向けられる。従って、酸化物と基底材料との界面における均一性、並びに酸化物のその後の除去は、これまで認識されていない。
【0028】
[0052]プロセス100は、個別のチャンバー又は同じチャンバーにおいて実行できるステップを含む。一実施形態では、従来の研磨がREFLEXION(登録商標)プラットホームにおいて実行される一方、プロフィール決定、酸化物形成及び酸化物除去がクラスターツールで実行される。特定の実施形態では、酸化物の形成が、Radiance Centura(登録商標)300mmツール、Radiance及びXE Centra200mmツール、或いはVantage300mmツールで実行される。特定の実施形態では、プロフィールの決定及び酸化物の形成が同じチャンバーで行われる。REFLEXION(登録商標)プラットホーム、Radiance Centura(登録商標)300mm、Radiance及びXE Centra200mmツール、並びにVantage300mmツールは、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できる。
【0029】
[0053]上述したように、本発明の態様は、クラスターツールで実施されてもよい。一般に、クラスターツールは、基板の中心出し及び方向付け、ガス抜き、アニール、堆積及び/又はエッチングを含む種々の機能を遂行する複数のチャンバーを備えたモジュラーシステムである。本発明の実施形態によれば、クラスターツールは、本発明の酸化物成長プロセスを実行するように構成された酸化チャンバーを備えている。クラスターツールの複数のチャンバーは、それらチャンバー間に基板をシャトル移動するように適応されたロボットを収容する中央の移送チャンバーに装着される。この移送チャンバーは、通常、真空状態に維持されて、1つのチャンバーから別のチャンバーへ及び/又はクラスターツールの前端に置かれたロードロックチャンバーへ基板をシャトル移動するための中間ステージをなす。本発明に対して適応できる2つの良く知られたクラスターツールは、カリフォルニア州サンタクララのアプライド・マテリアルズ・インクから入手できるCentura(登録商標)及びEndura(登録商標)である。1つのこのようなステージ型真空基板処理システムの詳細が、参考としてここに援用する1993年2月16日付のテプマン氏等の「Staged-Vacuum Wafer Processing System and Method」と題する米国特許第5,186,718号に開示されている。しかしながら、チャンバーの厳密な構成及び組合せは、当該酸化物成長プロセスを含む製造プロセスの特定のステップを実行する目的で変更することができる。
【0030】
[0054]説明上、特定のクラスターツール180の一実施形態が図18に平面図で示されている。このクラスターツール180は、一般に、複数のチャンバー及びロボットを備え、又、好ましくは、クラスターツール180で行われる種々の処理方法を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサコントローラ181が装備される。前端環境183が、一対のロードロックチャンバー184と選択的に連通する状態に置かれて示されている。前端環境183に配置されたポッドローダー185は、直線及び回転運動(矢印182)を行って、前端環境183に装着された複数のポッド187とロードロック184との間に基板のカセットをシャトル移動することができる。ロードロック184は、前端環境183と移送チャンバー188との間の第1の真空インターフェイスをなす。2つのロードロック184は、移送チャンバー188及び前端環境183と交互に連通することによりスループットを高めるために設けられている。従って、一方のロードロック184が移送チャンバー188と連通する間に、第2のロードロック184が前端環境183と連通する。ロボット189は移送チャンバー188の中央に配置され、ロードロック184から種々の処理チャンバー190及びサービスチャンバー191の1つへ基板を移送する。処理チャンバー190は、物理気相堆積、化学気相堆積、及びエッチングのような多数のプロセスを実行することができ、一方、サービスチャンバー191は、ガス抜き、方向付け、冷却等を行うように適応される。
【0031】
[0055]特定の実施形態では、少なくとも1つの処理チャンバー190Aは、酸化物成長チャンバーとして構成される。この酸化物成長チャンバー190Aは、乾式酸化プロセス、湿式酸化プロセス、又はその組合せを実行するように適応させることができる。一実施形態では、個別のプロセスチャンバー190において2つ以上の酸化プロセスが実行される。
【0032】
[0056]別の1つの処理チャンバー190Bは、酸化物成長チャンバー190Aで酸化された基板から酸化物を除去するように適応されたエッチングチャンバーでよい。従って、酸化物成長チャンバー190Aにおける酸化物成長プロセスに続いて、基板は、ロボット189により酸化物成長チャンバー190Aから取り出してエッチングチャンバー190Bへ移送することができる。エッチングチャンバー190Bは、種々のエッチングプロセスを実行するように構成できる。例えば、エッチングチャンバー190Bは、HFディップ及びリンスを実行するように適応されてもよい。別の実施形態では、エッチングチャンバー190Bは、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるダイエレクトリック・エッチングeMaxシステムのようなプラズマエッチングチャンバーである。当業者であれば、本発明は、酸化物を除去する特定の装置及び技術に限定されないことが明らかであろう。
【0033】
[0057]別の実施形態では、チャンバー190又は191の一方が、基板のトポグラフィーを測定できる検査チャンバーである。例えば、検査チャンバー191Aは、楕円偏光計を含んでもよい。基板は、検査チャンバー191Aに入れられ、光学的に検査されてウェハマップを発生し、次いで、酸化物成長チャンバー190Aへ移送することができる。ウェハマップは、ターゲット/希望酸化物プロフィールを計算するように構成された処理装置への入力として使用することができる。ターゲット/希望酸化物プロフィールは、酸化物成長チャンバー190Aで実行される酸化物成長プロセスのための種々のパラメータ値の設定点を設定するのに使用される。その後、基板を、ロボット189によりエッチングチャンバー190Bへ移送することができる。
【0034】
[0058]既に述べたように、本発明の2つの特定の用途は、Epi基板及びSOI基板に酸化物を成長させることを含む。クラスターツール180は、Epi基板及びSOI基板の両方又はいずれかに酸化物成長プロセスを実行するよう適応させられることが意図される。従って、一実施形態では、処理チャンバー190の1つ以上は、エピタキシャルシリコン層の形成に適応されるEpiチャンバーでよい。例えば、シリコンゲルマニウム又はSOIウェハにepi層を形成することができる。epi層の形成に続いて、本発明の酸化物成長プロセス(1つ又は複数)を実行し、その後、酸化物をエッチングステップにより除去することができる。必要に応じて、クラスターツール180の計測ユニットにおいてepi層を最初に検査して、そのプロフィールを決定することができる。更に、SOIウェハの層のような別のシリコン層にepi層が形成される場合には、基底シリコン層それ自体が、epi層の形成の前に、本発明の態様に基づく酸化により平坦化を受けてもよいことが意図される。
【0035】
[0059]又、最上部シリコン層の成長を制御して、本発明の酸化物成長プロセスによりトポグラフィーを最適に平坦化できるようにすることも意図される。従って、例えば、epi層は、酸化物の成長を最適化するように酸化物成長プロセスの既知の特性に基づいて形成されてもよい。説明上、特定の希望の酸化物成長プロセスが、ウェハの周囲領域に対してウェハの中央領域を相対的に多く一貫して平坦化することが知られていると仮定する。このケースでは、epi層は、相対的に中央が厚くなるように故意に形成し、これにより、酸化物成長及びその後の除去に続いて相当程度の平坦化を確保することができる。従って、シリコン層(例えば、epi)が形成された後であって且つ酸化物の成長の前にウェハを検査して、シリコントポグラフィーを、実行されるべき酸化物成長プロセスに適切に一致させるよう確保できることが意図される。それ故、平坦化されるべきシリコン層のトポグラフィーを、シリコン層の形成中及び酸化物成長プロセス(1つ又は複数)中の両方に制御できることが理解されよう。クラスターツールは、包括的プロセスの一部分として各ステップを実行するための優れた環境を与える。このようにして、高度のプロセス対プロセス制御が達成される。
【0036】
[0060]更に、図18に示すもののようなクラスターツールで通常実行されないステップをSOI及びepiウェハ(並びに他のウェハ)に対して実行することができる。例えば、ウェハは、本発明の酸化物成長及び除去プロセスにより平坦化する前に、個別のスタンドアローンプラットホームにおいて従来の手段(例えば、CMP)により研磨できることも意図される。従来の研磨は、第1の程度の平坦化を得るように働き、一方、酸化物成長/除去が第2の程度の平坦化を得ることができる。例えば、SOIウェハのケースでは、SOIウェハは、従来の方法により、クリービングに続いて第1の程度の平坦さを得るように研磨することができる。その後、SOIウェハは、計測ステーションにおいて検査されて、プロフィールを決定することができる。次いで、SOIウェハは、本発明に基づいて処理されて、従来の研磨技術の欠点を伴うことなく付加的な平坦化を達成することができる。同様に、epiウェハのケースでは、従来の方法による第1の程度の平坦さを、エピタキシャル層の堆積に続いて得ることができる。次いで、ウェハは、付加的な平坦化のために本発明の酸化物成長プロセスを受けることができる。
【0037】
[0061]上述したように、本発明の一実施形態は、酸化物を成長するための蒸気発生プロセス(その場の及び外部の)を含む。本発明によれば、その場の蒸気発生(ISSG)プロセスは、酸化されるべき基板が位置する同じチャンバーに蒸気(H2O)を発生することを含む(即ち基板と共にその場に蒸気を発生する)。これに限定されないがH2及びNH3のような水素含有ガスと、これに限定されないがO2及びN2Oのような酸素含有ガスとを含む反応ガス混合物が、基板が位置する反応チャンバーへ供給される。酸素含有ガス及び水素含有ガスは、反応チャンバーに水分又は蒸気(H2O)を形成するように反応させられる。水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応は、蒸気反応を生じさせるに充分な温度にウェハを加熱することにより点火され又は触媒作用される。加熱されたウェハは、反応の点火ソースとして使用されるので、蒸気発生反応は、ウェハ表面に非常に接近したところで発生する。その場での蒸気発生に適した装置は、図2及び3を参照して以下に説明する。
【0038】
[0062]外部(ex situ)蒸気発生のケースでは、反応チャンバーの外側で蒸気が形成される。即ち、ウェハは、反応の点火ソースとして働かない。むしろ、蒸気を発生するための外部熱装置が設けられ、蒸気は、処理されるべきウェハを収容する反応チャンバーへ配送される。外部蒸気発生に適した装置は、図17を参照して以下に説明する。
【0039】
[0063]各湿式酸化プロセス(その場で及び外部で)において、蒸気が存在してウェハ表面と反応し、ウェハ表面を酸化することに注意されたい。しかしながら、蒸気発生及び酸化を生じさせる特定のメカニズム(1つ又は複数)は、本発明を限定するものではない。例えば、湿式酸化の一部分は、酸素基の形成を含み、これがシリコンの酸化に貢献し得ると考えられる。しかしながら、酸素基が反応中に存在するかどうかは、本発明を限定するものではなく、蒸気発生及び酸化中には、既知及び未知の種々の反応が生じることが意図される。
【0040】
[0064]更に別の実施形態では、酸化物の成長が熱で制御される乾式RTOプロセスに基づいて酸化物が成長される。乾式RTOプロセスでは、ウェハをチャンバーに入れ、次いで、酸素ソースから酸素が流れるのを許容することにより酸素含有環境に露出させる。酸化物の成長は、ウェハを充分な温度に加熱することにより促進される。ウェハを熱的に付勢することは、ランプアッセンブリのような加熱装置を設けることにより達成できる。乾式RTOに適した装置は、図2及び3を参照して以下に説明する。
【0041】
[0065]更に別の実施形態は、リモートプラズマソースを設けることにより酸化物の成長を達成する。リモートプラズマソースにおいて酸素原子を形成し、次いで、ウェハを含む酸化物形成チャンバーへ配送することができる。
【0042】
[0066]従って、本発明は、酸化物を形成するための特定の方法又は装置に限定されない。しかしながら、使用する技術又は装置に関わりなく、酸化物の成長は、ウェハの表面トポグラフィーにより制御される。即ち、酸化物が材料上に形成され、酸化物を除去すると、露出された材料が、酸化の前より平坦になる。特定の技術に基づき、希望の酸化物成長パターンを達成するように種々のパラメータを制御することができる。例えば、蒸気発生のケースでは、流量、濃度、圧力等のパラメータが、希望の酸化物プロフィールを得るように制御される。乾式RTOのケースでは、基板の半径にわたって熱勾配を発生するように加熱装置が制御される。
【0043】
[0067]説明上、酸化物の成長は、主として、蒸気発生技術を参照して説明するが、これに限定されない。
【0044】
[0068]一実施形態では、本発明の態様は、ハニカムソースを伴うアプライド・マテリアルズ・インクのRTP Centuraのような急速熱加熱装置において実行されるが、これに限定されない。別の適当な急速熱加熱装置及びその動作方法は、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第5,155,336号に記載されている。更に、本発明の蒸気発生反応は、急速熱加熱装置で実行されるのが好ましいが、エピタキシャルシリコン、ポリシリコン、酸化物及び窒化物のような高温膜(HTF)を形成するのに使用されるアプライド・マテリアルズによるEpi又はPoly Centura単一ウェハ「冷壁」リアクターのような他の形式の熱リアクターが使用されてもよい。
【0045】
[0069]図2及び3は、本発明のその場での蒸気酸化及び乾式RTOプロセスを実行するのに使用できる急速熱加熱装置200を示す。上述したように、急速熱加熱装置200は、他のプロセスを実行することのできるクラスターツールの一部分であってもよい。一実施形態において、急速熱加熱装置200は、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるラジアンスチャンバーである。急速熱加熱装置200は、図2に示すように、側壁214及び底壁215により包囲された排気プロセスチャンバー213を備えている。チャンバー213の側壁214の上部は、「O」リング216によりウインドウ248へとシールされている。
【0046】
[0070]基板又はウェハ261は、炭化シリコンで通常作られた支持リング262により、その縁でチャンバー213内に支持されている。支持リング262は、回転可能な石英シリンダー263に装着される。この石英シリンダー263を回転することにより、支持リング262及びウェハ261を回転させることができる。付加的な炭化シリコンアダプターリングを使用して、異なる直径のウェハを処理することが許容される(例えば、150mm、200mm及び300mm)。支持リング262の外側縁は、ウェハ261の外径から2インチ未満で延びるのが好ましい。チャンバー213の容積は、300mmシステムの場合に約9リッターである。
【0047】
[0071]急速熱加熱装置200は、チャンバー213へプロセスガスを注入してチャンバー213内で種々の処理ステップを実行するのを許容するために側壁214を通して形成されたガス入口269を備えている。ガス入口269に結合されるのは、プロセス流体のソースを含む流体ソース280である。例えば、一実施形態では、流体ソース280は、O2のような酸素含有ガスのソース282(例えば、タンク)と、H2のような水素含有ガスのソース284(例えば、タンク)とを備えている。ガス入口269の反対側で側壁214に位置しているのは、ガス出口268である。ガス出口268は、ポンプのような真空ソース286に結合され、チャンバー213からプロセスガスを排出すると共に、チャンバー213の圧力を減圧する。真空ソース286は、処理中にチャンバーにプロセスガスが連続的に供給される間に希望の圧力を維持する。
【0048】
[0072]ウインドウ248の上には、放射エネルギーアッセンブリ218が位置される。この放射エネルギーアッセンブリ218は、複数のタングステンハロゲンランプ219、例えば、シルバニアEYTランプを備え、その各々は、ステンレススチール、金、黄銅、アルミニウム又は他の金属である光パイプ221に装着される。ランプ219は、コイルとして巻かれたフィラメントを含み、その軸は、ランプ管の軸に平行である。ほとんどの光は、軸に垂直にその周囲の光パイプ221の壁に向かって放出される。光パイプの長さは、少なくともその関連ランプと同程度であるように選択される。光パイプ221は、ウェハに到達するそのパワーが高い反射性により実質的に減衰されないならば、もっと長くてもよい。ランプ219は、六角形のアレイに位置されるか、又は図3に示すように「蜂の巣形状」に位置される。ランプ219は、ウェハ261及び支持リング262の全表面エリアを充分にカバーするように位置される。ランプ219(数百程度でよい)は、プロセスに基づいて望まれるように、ウェハ261を非常に均一に又は非均一に加熱するために、独立して制御できるゾーンにグループ分けされる。一実施形態では、ランプ219は、図3に示すように、7つの同心ゾーンT1からT7に一般的にグループ分けされる。この7つのゾーンは、それらゾーン間で徐々に熱的に遷移するよう確保するために、より小さなグループに更に細分化することができる。これらゾーンは、対称的に配置される。このように、ウェハの半径を横切って温度を変化させることができる。熱的制御の粒度及び対称性は、特定のプロセスに対して望まれるように、大きくても小さくてもよいことが意図される。従って、ここに示す例では、ランプの対称的な熱的制御可能なゾーンが設けられる。このような実施形態は、対称的なプロフィールをもつウェハであって、加熱素子への対称的な露出を確保するために処理中に回転できるウェハに対して良く適することができる。しかしながら、図1のステップ108について上述したように、ウェハは、対称的なプロフィールを示さないことがある。このようなケースでは、希望の酸化物成長を達成するために、相当の程度の熱的制御が望まれることがある。従って、各ランプが熱的に制御されてもよいし、或いは非対称的なものを含む多数の温度マップを形成するようにゾーンが選択可能であってもよい(即ち予め定義され及び対称的であることに代わって)ことが意図される。従って、ランプは、対称性又は均一性に制限されずに、既に測定されたウェハマップに基づいて制御される。(図1のステップ108を参照されたい。)適当な放射エネルギーアッセンブリ218の態様は、参考としてここにその全体を援用する米国特許第6,350,964号に詳細に説明されている。
【0049】
[0073]この点について、シリコンベースの上面全体に対してウェハマップを発生できることが意図される。このケースでは、ウェハが堆積中に回転されず、従って、酸化物形成の大きな選択性を得ることができる(例えば、ウェハを加熱するように動作される個々に制御可能な熱的素子により)。
【0050】
[0074]複数の光パイプ221及びそれに関連したランプ219で構成される放射エネルギーソース218は、薄い石英ウインドウ248を使用して、排気プロセスチャンバー内で基板を加熱するための光学的ポートを設けるのを許容する。ウインドウ248の主たる目的は、ランプ219が著しく高温になってプロセスガスと反応し得るので、プロセス環境をランプ219から分離することである。光パイプ221は、種々のヒートパイプ間に水のような冷却材を流すことにより冷却することができる。
【0051】
[0075]装置200の底壁215は、ウェハ261の背面へエネルギーを反射するための頂面211を含む。更に、急速熱加熱装置200は、その底面にわたる複数の場所でウェハ261の温度を検出するために、装置200の底壁215を通して位置された複数の光学温度プローブ270を備えている。シリコンウェハ261の背面と、反射面211との間の反射は、ウェハ背面の放射率とは独立して温度測定を果たし、ひいては、正確な温度測定能力を与える黒体空洞を形成する。
【0052】
[0076]一実施形態では、急速熱加熱装置200は、ウェハ261又は基板の温度を5−250℃/秒のレートで上昇できる単一ウェハ反応チャンバーである。急速熱加熱装置200は、酸化プロセス中のウェハの温度がチャンバー側壁214の温度より少なくとも400℃高いので、「冷壁」反応チャンバーと称される。加熱/冷却流体が、側壁214及び/又は底壁215を通して循環されて、これらの壁を希望の温度に維持することができる。本発明の態様に基づくその場での蒸気発生を使用する蒸気酸化プロセスの場合に、チャンバー壁214及び215は、凝縮を防止するために室温(23℃)より高い温度に維持される。
【0053】
[0077]急速熱加熱装置200の態様は、制御システム288により動作される。この制御システム288は、多数のコントローラ、プロセッサ、及び入力/出力装置を含んでもよい。一実施形態では、制御システムは、ウェハを処理する間にプロセスチャンバー213内の種々のパラメータを監視し、次いで、1つ以上の制御信号290を発生して、種々の設定点に基づく必要な調整を行う閉ループフィードバックシステムのコンポーネントである。一般に、監視されるパラメータは、ゾーン温度、チャンバー温度、及びガス流量を含む。これらパラメータの各々は、所定の希望/ターゲット酸化物プロフィールに基づいて処理中に調整及び維持される。
【0054】
[0078]本発明の態様によりウェハを処理する方法が図4の方法300で示されている。この方法300は、図1のステップ104の一実施形態を表している。従って、ウェハマップが既に発生され、ターゲットプロフィールが決定されている(図1のステップ108を参照)ことが意図される。方法300は、図2及び3に示された急速熱加熱装置におけるその場での蒸気発生プロセスに関して説明する。更に、本発明の酸化プロセスは、図5Aに示すシリコンウェハ261のシリコンゲート電極402及びシリコン基板面404の蒸気酸化に関して説明する。しかしながら、ここでも、その場での蒸気発生プロセスは、酸化物を成長させるための一実施形態に過ぎず、他のプロセス(例えば、外部での蒸気発生、リモートプラズマ、等)も意図されることを強調しておく。更に、本発明の酸化プロセスは、ドープされた(例えば、p型又はn型)及び非ドープの形態を含んで、エピタキシャル、アモルファス又は多結晶を含むいかなる形式のシリコンも酸化するのに使用できることが明らかであろう。更に、これらプロセスを使用して、エミッタ及びキャパシタ電極、相互接続部、及びトレンチを含む(が、これらに限定されない)他のデバイス又は回路特徴部を酸化することもできるし、又、これらプロセスを使用して、ゲート誘電体層を形成することもできる。従って、本発明の酸化物成長プロセスは、デバイスの一部分を形成する酸化物の成長に適応されてもよいことが明らかであろう。
【0055】
[0079]ブロック302で示された本発明による第1ステップは、ウェハ261のようなウェハ又は基板を真空チャンバー213へ移動することである。近代的なクラスターツールで通常そうであるように、ウェハ261は、ロボットアームにより、ロードロックから移送チャンバーを通して移送されて、図2に示すように、チャンバー213内に置かれた炭化シリコン支持リング262に、表面を上にして載せることができる。ウェハ261は、一般に、適当な移送圧力(例えば、約20Torr)で窒素(N2)雰囲気を有する真空チャンバー213へ移送される。次いで、チャンバー213がシールされる。
【0056】
[0080]次いで、ブロック304において、ガス出口268を経て窒素(N2)雰囲気を排気することによりチャンバー213の圧力が更に減圧される。チャンバー213は、窒素雰囲気を充分に除去する圧力まで排気される。チャンバー213は、その場での蒸気発生を行うべき圧力より低い前反応圧力までポンプダウンされ、好ましくは、1Torr未満の圧力までポンプダウンされる。
【0057】
[0081]前反応ポンプダウンと同時に、電力がランプ219に印加され、該ランプは、次いで、ウェハ261及び炭化シリコン支持リング262を照射し、これにより、ウェハ261及び支持リング262を安定化温度へ加熱する。ウェハ261の安定化温度は、その場での蒸気発生に使用されるべき水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応を開始するのに必要な温度(反応温度)より低い。一実施形態における安定化温度は、約500℃である。安定化時間は、数分から0秒程度の短い時間まで変化し得る。従って、一実施形態では、より高いスループットを達成するために、安定化ステップが全く回避される。
【0058】
[0082]安定化温度及び前処理圧力に到達すると、チャンバー213は、プロセスガスの希望の混合物で逆充填される。一実施形態では、プロセスガスは、2つの反応ガス、即ち水素含有ガスと酸素含有ガスとを含み、これらは、一緒に反応して、400−1250℃の温度において水蒸気(H2O)を形成することができる。水素含有ガスは、水素ガス(H2)であるのが好ましいが、他の水素含有ガス、例えば、これに限定されないが、アンモニア(NH3)、ジューテリウム(重水素)、及びメタン(CH4)のような炭化水素でもよい。酸素含有ガスは、酸素ガス(O2)であるのが好ましいが、他の形式の酸素含有ガス、例えば、これに限定されないが、亜酸化窒素(N2O)でもよい。もし希望であれば、プロセスガス混合物に、他のガス、例えば、これに限定されないが、窒素(N2)が含まれてもよい。酸素含有ガス及び水素含有ガスは、チャンバー213において一緒に混合されて、反応ガス混合物を形成するのが好ましい。
【0059】
[0083]本発明においては、反応ガス混合物の分圧(即ち、水素含有ガス及び酸素含有ガスの合成分圧)が、安全な反応条件を確保するように制御される。本発明によれば、チャンバー213は、プロセスガスで逆充填され、反応ガス混合物の分圧が、反応ガスの希望の濃度比の全ボリュームの自然発火が所定量の爆発圧力波を発生しない分圧より低くなるようにされる。所定量とは、チャンバー213が失敗せずに確実に取り扱いできる圧力の量である。図6は、950℃の処理温度においてチャンバー213の全ボリューム約2リッターの自然発火に対し、150Torrの分圧におけるO2及びH2の異なる反応ガス混合物についての爆発圧力を示すグラフである。本発明によれば、その場での蒸気発生は、チャンバーの完全性に影響を及ぼすことなく4気圧以上の爆発圧力波を確実に取り扱うことのできる反応チャンバーにおいて実行されるのが好ましい。このようなケースでは、反応ガスの濃度及び動作分圧は、チャンバーの全ボリュームの自然発火に対して2気圧より高い爆発波を与えないのが好ましい。
【0060】
[0084]本発明において反応ガス混合物のチャンバー分圧を制御することにより、H2/O2の比が各々2:1より大きいものを使用する水素に富んだ混合物、及びH2/O2の比が各々0.5:1より小さいものを使用する酸素に富んだ混合物を含めて、水素含有ガス及び酸素含有ガスの任意の濃度比を使用することができる。例えば、図6に示すように、反応ガスのチャンバー分圧が処理温度において150Torr未満に維持される限り、O2及びH2の濃度比を安全に使用することができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスの濃度比を使用できることで、H2/H2Oの希望の濃度比、又はO2/H2Oの希望の濃度比をもつ雰囲気を発生することができる。雰囲気が酸素に富んだ蒸気又は酸素が希薄な蒸気であるか、或いは水素に富んだ蒸気又は水素が希薄な蒸気であるかは、デバイスの電気的特性に著しく影響し得る。本発明は、広範囲な様々な異なる蒸気雰囲気を発生することができ、それ故、広範囲な様々な異なる酸化プロセスを実施することができる。
【0061】
[0085]ある酸化プロセスでは、蒸気濃度が低く、残りがO2であるような雰囲気が望まれることがある。このような雰囲気は、10%H2及び90%O2で構成される反応ガス混合物を使用することにより形成できる。他のプロセスでは、水素に富んだ蒸気(70−80%H2/30−20%H2O)の雰囲気が望まれることがある。水素に富んだ、低蒸気濃度の雰囲気は、O2が5−20%で、残りがH2(95−80%)である反応性ガス混合物を使用することにより発生できる。本発明では、加熱されたウェハが反応を推進するための連続的な点火ソースとなるので、水素含有ガス及び酸素含有ガスのいかなる比を使用してもよいことを理解されたい。
【0062】
[0086]次いで、ブロック308で示されるように、ランプ219への電力を増加して、ウェハ261の温度を処理温度へと上昇させる。ウェハ261は、安定化温度から処理温度へ10−100℃/秒のレートで上昇されるのが好ましいが、75℃/秒が典型的である。本発明の好ましい処理温度は、600−1150℃であり、1100℃が典型的である。処理温度は、少なくとも反応温度でなければならず(即ち、少なくとも、酸素含有ガスと水素含有ガスとの間の反応をウェハ261により開始できる温度でなければならず)、これは、典型的に、少なくとも600℃である。実際の反応温度は、反応ガス混合物の分圧と、反応ガス混合物の濃度比とに依存し、400℃から1250℃であることに注意されたい。
【0063】
[0087]ウェハ261の温度が処理温度に上昇されるときには、反応温度を通過し、水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応を生じさせて、水分又は蒸気(H2O)を形成させる。急速熱加熱装置200は、「冷壁」リアクターであるから、チャンバー213において反応を開始させる唯一充分な高温面は、ウェハ261及び支持リング262である。従って、本発明では、蒸気発生反応がウェハ261の表面付近で発生する。
【0064】
[0088]蒸気発生反応を開始し即ち「オン」にするのはウェハ(及び支持リング)の温度であるから、反応は、ウェハ261(及び支持リング262)の温度により熱的に制御されると言える。更に、本発明の蒸気発生反応は、反応を生じさせるためにウェハの加熱された表面が必要であるが、水蒸気を形成する反応においてそれが消費されないので、「表面触媒作用される」と言える。
【0065】
[0089]次いで、ブロック310で示されるように、希望の処理温度に到達すると、ウェハ261の温度は、水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応により発生される水蒸気でシリコン表面又は膜を酸化させてSiO2を形成できるようにするに充分な時間周期中、処理温度又はそれより高い温度に維持される(一定に保持されるか又は変化されて)。ウェハ261は、通常、10から240秒間、処理温度に保持される。処理時間及び温度は、一般に、希望の酸化物膜の厚み、酸化の目的、並びにプロセスガスの形式及び濃度により指図されるか、又は少なくともそれらに依存する。図5Bは、その場での蒸気発生プロセスにより発生された水蒸気(H2O)によりシリコン表面402及び404を酸化することでウェハ261に形成された酸化物406を示す。処理温度は、発生された水蒸気又は蒸気をシリコン表面と反応させて二酸化シリコンを形成できるに充分でなければならないことが明らかである。
【0066】
[0090]次いで、ブロック312で示すように、ランプ219への電力を減少し又はオフにして、ウェハ261の温度を低下させる。ウェハ261の温度は、それが冷め得るのと同程度の速さで(約50℃/秒で)低下(下降)する。同時に、N2パージガスがチャンバー213へ供給される。蒸気発生反応は、ウェハ261及び支持リング262が反応温度より下がったときに停止となる。この場合も、蒸気反応が「オン」又は「オフ」にされるときを指図するのは、ウェハ(及び支持リング)の温度である。
【0067】
[0091]次いで、ブロック314で示されるように、チャンバー213に酸素含有ガス及び水素含有ガスの残留が存在しないよう確保するために、チャンバー213が好ましくは1Torrより低くポンプダウンされる。次いで、チャンバーは、希望の移送圧力へとN2ガスで逆充填され、ウェハ261がチャンバー213から移送されて、プロセスが完了する。このとき、新たなウェハをチャンバー213へ移送して、図4に示したプロセス300を繰り返すことができる。或いは又、同じウェハに対して同じ又は異なるプロセスパラメータ値でプロセス300を繰り返すことが望まれてもよい。
【0068】
[0092]次いで、ウェハは、酸化物を除去する別の場所へ移送される。一実施形態では、ウェハがHFディップに入れられる。HFディップは、1%HF/99%水から50%HF/50%水でよい。通常、HFディップは、室温で遂行される。エッチング時間は、HF濃度に基づいて広範囲に変化するが、10秒(高いHF濃度)から800秒(1%HF濃度)の時間が典型的である。HFバスは、シリコンがエッチングストッパーとして働くので、ウェハのシリコン下層から酸化物を選択的に除去するためのコスト効率の良い解決策を与える。即ち、HFエッチングメカニズムは、酸化物が除去されて基底のシリコンが露出すると、実質的に低速化され又は終了される。当業者であれば、本発明は、酸化物を除去するための特定の装置及び技術に限定されないことが明らかであろう。酸化物を除去するための様々なシステムが、例えば、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できる。効果的に使用できるアプライド・マテリアルズ・インクからの1つのシステムは、ダイエレクトリック・エッチングeMaxシステムである。
【0069】
[0093]ISSGプロセス中の時間に、水蒸気の濃度が高い(例えば、>40%H2O)雰囲気を発生する水素含有ガス及び酸素含有ガスの濃度比を使用することが望まれてもよい。このような雰囲気は、例えば、40−80%H2/60−20%O2で構成される反応ガス混合物で形成することができる。化学式通りの比に近いガス混合物は、安全な反応条件を確保するために非常の多くの可燃性材料を生成できる。このような状態では、濃度の低いガス混合物(例えば、H2において15%未満のO2)をステップ306中に反応チャンバーに送り込むことができ、ステップ308においてウェハの温度が反応温度まで上がり、低濃度比で反応が開始される。反応が開始され、既存の反応ガスボリュームが欠乏し始めると、濃度比を希望レベルまで高めることができる。このようにして、反応の開始に使用できる燃料の量を小さく保ち、安全な動作条件を確保することができる。
【0070】
[0094]あるケースでは、酸化レートの改善を得るためにその場での蒸気発生に対して比較的低い反応ガス分圧が使用される。水素ガス(H2)及び酸素ガス(O2)に1Torrから50Torrの分圧を与えると、シリコンの酸化物成長レートに改善が得られることが分かった。即ち、所与の1組のプロセス条件(即ち、H2/O2濃度比、温度及び流量)に対して、シリコンの酸化レートは、H2及びO2の低い分圧(1−50Torr)の方が、高い分圧(即ち、50Torrから100Torr)より、実際上高くなる。
【0071】
[0095]図7のグラフは、反応ガスの分圧がシリコンの酸化レートをいかに改善できるかを示す。曲線602は、1050℃で30秒間9%H2と91%O2とを反応させることにより生成された雰囲気に対し、異なる反応ガス分圧に対して形成された異なる酸化物厚みを示す。曲線604は、1050℃で60秒間33%H2と66%O2とを反応させることにより生成された雰囲気に対し、異なる反応ガス分圧に対して形成された異なる酸化物厚みを示す。
【0072】
[0096]図7のグラフから明らかなように、H2及びO2の反応ガス分圧が大気圧から9%H2の場合に約50Torrへ及び33%H2の場合に約30Torrへ増分的に減少されると、シリコンの酸化レートも増分的に減少する。反応ガス分圧の減少に伴うシリコンの酸化レートの減少は、蒸気の発生に使用できるO2及びH2が少ないときには酸化レートが減少することが予想されるという点で、予想できる。しかしながら、9%H2の場合に約50Torr及び33%H2の場合に30Torr以下の反応ガス分圧が得られるときには、反応ガス分圧の増分的減少と共に酸化レートが増加し始める。酸化レートは、最大改善酸化レートが約8−12Torrに到達するまで増加し続け、この点において、反応ガス分圧の増分的減少に対して酸化レートが減少し始める。8−12Torrにおいて最大改善酸化レートに到達した後に酸化レートが減少し始めるが、依然として改善された酸化レートを与え(即ち、約50Torr(9%H2)及び30Torr(33%H2)において生じる酸化レートより高い酸化レートを与え)、やがて、反応ガス分圧が約1−3Torrになると、酸化レートの改善が終わりとなる。
【0073】
[0097]図7にはH2/O2の2つの濃度比の酸化レートしか示されていないが、2%H2/98%O2から66%H2/33%O2の他の濃度比の酸化レートも同様に振舞う。酸化の改善が生じる反応ガス分圧(即ち、所与の1組のプロセスパラメータに対して反応ガス分圧が減少すると、シリコンの酸化レートの増加を生じさせるような反応ガス分圧又はそれ以下)で動作するときには、水素含有ガス及び酸素含有ガスの濃度比によりシリコンの酸化レートが影響を受けることが分かった。例えば、図8は、所与の1組のプロセスパラメータ(即ち、O2流量10SLM、反応ガス分圧10Torr、温度1050℃、及び時間30秒)に対し、H2及びO2の異なる濃度比に対する異なる酸化物厚みを示す。図8に示すように、酸化レートの最大増加は、1−5%H2で生じる一方、33%H2の後に、酸化レートは約150オングストローム/分で安定化する。
【0074】
[0098]図9は、異なるその場での蒸気酸化プロセス(33%H2/66%O2、5%H2/95%O2、2%H2/98%O2、又は10Torr)と、異なる乾式酸化プロセス(10Torrにおいて100%O2及び大気において100%O2)とに対し、酸化物厚みが酸化時間に対していかに変化するかを示す。図9に示すように、減圧蒸気酸化プロセスは、同じ圧力において乾式酸化プロセスに勝る酸化レートの増加を与える。更に、H2濃度が3%より高いその場での蒸気発生酸化プロセスは、大気圧を含む全ての酸化圧力において乾式酸化プロセスより高い酸化レートを与える。
【0075】
[0099]シリコン酸化レートの改善を得る酸化圧力で動作するときには、酸化レートが、酸素含有ガス及び水素含有ガスの合計流量により著しく影響される。例えば、図10は、チャンバーボリュームが約2リッターの急速熱処理装置200において、10Torrの反応ガス分圧及び1050℃の温度で、33%H2/66%O2反応ガス混合物の全流量に対してシリコンの酸化レートがいかに変化するか示している。図10に示すように、酸化レートの改善を得るために低い反応ガス分圧で動作するときには、全流量を増加すると、酸化レートが増加する。図10に示すように、酸化レートは、全流量が10SLM未満であるときには全流量の増加に対して急激に増加し、全流量が10SLMより増加するときは増加するが、あまり急激ではない。
【0076】
[00100]従って、酸化の改善を与える分圧で動作するときには、シリコンの酸化レートは、制限された「大量搬送レート」であるといえる。即ち、酸化レートは、チャンバーへ送り込まれる反応ガスの量により制限される。
【0077】
[00101]酸化物レートに加えて、その場での蒸気発生プロセスの種々のパラメータは、得られる酸化物の厚みプロフィールに影響する。特に、圧力、流量、温度及び酸化混合物の濃度が主として酸化物厚みプロフィールを指図することが決定されている。これらパラメータの各々を制御することにより、希望(又はターゲット)の酸化物プロフィールを得ることができる。希望の酸化物プロフィールとは、酸化物がその後に除去されたときに充分平坦なシリコン表面を形成するように希望量のシリコンを消費するものである。充分平坦なシリコン表面は、特定の用途に基づいて定義される。例えば、あるSOIウェハのケースでは、シリコンウェハは、2乗平均(RMS)粗面性が0.1nm以下でなければならない。
【0078】
[00102]説明上、図11は、酸化前ウェハプロフィール及び希望の酸化物プロフィールを示す。オングストロームでの酸化物厚み(y軸)が、ウェハ上の半径方向位置(x軸)に関して示されている。希望の酸化物プロフィールが、酸化前基板のプロフィールにいかに実質的に合致するかに注意されたい。このような結果は、酸化物が厚いほど、シリコンの消費が大きいことを示すので、基底シリコンを平坦化する目的と一貫したものとなる。一実施形態では、シリコンのある断片的消費を仮定して、希望/ターゲット酸化物厚みが計算される。
【0079】
[00103]酸化を行うときのシリコンの断片的消費は、良く知られた定数で、約43%である。即ち、SiO2が1Å成長するたびに、Siが約0.43Å消費される。従って、実際には、最初に計算されたターゲット酸化物プロフィールは、この値でスタートすることにより実行可能性について評価することができる。ターゲットプロフィールが非均一であって、極端な温度/流量/圧力分布(即ち、チャンバーにとって安全で及び/又はウェハ自体によりダメージを生じずに持続できるものを越えた)を必要とする場合には、より妥当な酸化物ターゲットが決定されるまで43%から値を下げることができる。
【0080】
[00104]図12には、酸化物厚みプロフィールに対するガス流量の作用が示されている。図12に示されたガス流量は、全ガス流量で、H2及びO2のパーセンテージは、各々、33%及び66%である。特に、図12は、(i)40slm及び100秒の浸漬/処理時間(図4のステップ310)で処理されたウェハと、(ii)30slm及び150秒の浸漬/処理時間で処理されたウェハとの酸化物厚みを示している。両ウェハは、同様のU字型プロフィールを示している。しかしながら、高いガス流量(40slm)で処理されたウェハは、より平坦で、より均一なプロフィールをもち、成長レートもより高い。従って、本発明の実施形態は、低い流量で実施されるのが好ましい。一般に、全流量は、約5SLMから40SLMまで変化し得る。流量は、約10SLMから約40SLMであるのが好ましい。浸漬時間は、約30秒から約90秒であるのが好ましい。
【0081】
[00105]図13には、酸化物厚みプロフィールに対する圧力の作用が示されている。説明上、図13は、3つの全圧力11Torr、12Torr及び4.6Torrに対する酸化物厚みを示している。処理温度は、全流量40SLM、33%H2及び66%O2において、1100℃に60秒間保持される。上述した酸化物成長レートの逆転(11Torrにおける酸化物厚みが12Torrにおける酸化物厚みより大きく、一方、4.6Torrにおける酸化物厚みが11Torr及び12Torrの両方における厚みより小さい)を説明するのに加えて、図13は、酸化物厚みプロフィールが圧力と共に変化することを示している。例えば、4.6Torrにおけるプロフィールは、中央がフラットで(又は若干中央が厚く)、縁に向かってテーパーが付けられた特性を示す。これに対して、11及び12Torrにおけるプロフィールは、中央が薄く(U字型で)、縁に向かって増加する厚みを示す。従って、他の全て(即ち、温度/合計ガス量/濃度、等)が等しいとすれば、圧力が高いほど、プロフィールは、縁がより厚くなり(U字型)、一方、圧力を下げると、プロフィールは、中央がより厚くなる。チャンバーの圧力は、約6Torrから約14Torrであるのが好ましい。
【0082】
[00106]上述したように、次々の酸化物成長ステップを、異なるパラメータ値で又は同じプロセスパラメータで実行するのが好都合なことがある。例えば、酸化物の成長は、化学的堆積プロセスではなくて、拡散プロセスであるから、2つの次々の成長ステップを異なる圧力で組み合わせると、2つの独立したプロセスの単純な加算とは異なる結果が得られる。説明上、例えば、図14は、異なる圧力において2つの次々の成長ステップを使用して酸化物が成長された場合の酸化物プロフィールを示している。より詳細には、(i)1つのウェハは、6Torrで60秒間、次いで、11Torrで120秒間処理され、(ii)第2のウェハは、12Torrで100秒間、次いで、4.5Torrで60秒間処理された。比較のために、11Torrで120秒間処理されたウェハを表す第3の曲線も示されている。全てのウェハは、30slmの全流量で処理された。
【0083】
[00107]更に図14を参照すれば、ウェハを先ず高い圧力で、次いで、低い圧力で処理すると(例えば、12Tで100秒間、4.5Tで60秒間)、U字型であるがウェハ縁付近で平らになるプロフィールが生じることが明らかである。先ず低い圧力で、次いで、高い圧力で処理された(例えば、6Tで60秒間、11Tで120秒間)ウェハのプロフィールは、1ステップの高圧力でのプロフィール(即ち、11Tで120秒間処理されたウェハ)と同様であるが、140mmより大きな半径において、厚みが増加する。
【0084】
[00108]温度に関しては、温度を高くすると、乾式RTOプロセス及び湿式RTOプロセス(即ち、上述したその場での及び外部での蒸気発生プロセス)の両方において酸化レートの増加を生じさせると決定された。従って、装置200の熱的に制御可能なゾーンは、最初のシリコンプロフィールが分かると、希望のプロフィールをもつ酸化物層の成長を容易にする。即ち、比較的厚いシリコンのエリアでは、対応ゾーン温度を、比較的薄いシリコンのエリアに対して高くすることができる。熱的制御の使用に対する1つの制限は、基板にスリップが導入される可能性である。スリップは、シリコンの単結晶構造の原子スケールの欠陥で、そこに印刷されるデバイスに悪影響を及ぼし得る。スリップは、多数の仕方で生成され得るが、共通の原因は、基板が高い温度にある間の基板の温度勾配である。従って、熱ゾーンにわたって生じる温度勾配を制御して、スリップの発生を回避しなければならない。一実施形態では、平均処理温度が約600℃から1250℃でよく、好ましくは、約1000℃から約1150℃でよい。しかしながら、希望の結果を得るために使用できる特定の処理温度は、主として、圧力、ウェハ材料(1つ又は複数)、ウェハ内温度勾配等を含む種々のファクタに依存する。
【0085】
[00109]又、ここに述べるISSGプロセスにおける酸化混合物の成分の相対的濃度も、酸化物厚みプロフィールに作用するように操作することができる。一般に、相対的に低い濃度のH2は、より平坦なプロフィールを形成するが、相対的に高い濃度のH2は、縁に向かってテーパー付けされたプロフィールを形成する。酸化混合物の濃度は、約10%から約33%H2であるのが好ましい。
【0086】
[00110]以上の実施形態は、水蒸気がその場で形成され、即ち処理されるべきウェハを収容している処理領域内で形成される蒸気発生プロセスを説明するものである。しかしながら、別の実施形態では、水蒸気は、ウェハを収容している処理領域の外側で形成され、次いで、処理領域へ導入される(このプロセスは、ここでは、外部(ex situ)蒸気発生プロセスと称される)。図17は、このような外部蒸気発生プロセス用に構成されたシステムの一実施形態を示す。簡略化のため、図2を参照して既に述べた同じコンポーネントを同じ番号で示す。従って、これらの既に述べたコンポーネントは、再び詳細に説明しない。図2のチャンバーと図17のシステムとの間の注目すべき相違は、プロセス流体ソース280とプロセスチャンバー213との間に配置されるコンバータ292を設けたことである。一般に、コンバータ292は、該コンバータへ入力された流体(1つ又は複数)を加熱できる熱ユニットである。特定の実施形態では、コンバータ292は、フジキン・インコーポレーテッドから入手できるウオーター・ベーパー・ジェネレータである。ここに示す実施形態では、コンバータ292は、酸化混合物コンポーネントである水素及び酸素を入力として得る。次いで、コンバータ292は、水素及び酸素を加熱し、これらは反応して蒸気を発生する。このため、コンバータ292は、約200℃から約500℃の内部温度で動作することができる。コンバータ292に発生された蒸気は、次いで、チャンバーへ流し込まれ、そこで、ウェハと反応して、ウェハ上に酸化物を形成する。
【0087】
[00111]チャンバーで生じる反応に対するプロセスパラメータ値は、一般に、その場での蒸気発生プロセスについて上述したものと同じでよい。しかしながら、2つの湿式RTOプロセス(その場での及び外部での)間の注目すべき相違は、外部でのプロセスが大気条件で実行できるのに対して、その場での蒸気発生プロセスが大気より低い条件で実行されることである。これは、外部での蒸気発生プロセスのケースでは、反応チャンバー内の爆発が問題でないためである。更に、外部での蒸気発生プロセスの高い動作圧力は、好都合にも、その場での蒸気発生プロセスに対して高速の酸化物成長レートを達成する。その場での蒸気発生プロセスと、外部での蒸気発生プロセスとの間の更に別の相違は、外部での蒸気発生の場合に基板上の酸化物成長プロフィールを制御するために操作される主たるパラメータが温度であることである。しかしながら、外部での蒸気発生プロセスの他の観点、例えば、反応チャンバーにおける混合物濃度も制御できる。例えば、付加的な酸素がチャンバーに個別に導入されて、そこに存在する蒸気との結合が許されてもよい。
【0088】
[00112]蒸気発生プロセス(その場での及び外部での)は、特定の反応種、即ち水の蒸気に関して説明したが、本発明の教示は、反応種の蒸気を形成する他のプロセスにも適用できることが明らかであろう。次いで、反応種の蒸気は、ウェハ又はその上に形成された膜と反応されて、膜成長のようなプロセスを実行することができる。例えば、本発明の蒸気発生プロセスを使用して、二酸化シリコン(SiO2)膜を丈夫なシリコンオキシニトライド膜へ変換することができる。例えば、アンモニア(NH3)及び酸素(O2)で構成される反応ガス混合物をチャンバーへ送り込み、次いで、ガスの反応を開始するに充分な温度にウェハを加熱することにより反応を生じさせて、酸化窒素(NO)を蒸気形態で形成することができる。次いで、酸化窒素の蒸気を、ウェハに形成された酸化物膜と反応させて、シリコンオキシニトライド膜を形成することができる。シリコンオキシニトライド膜は、100オングストローム未満の厚みで丈夫なゲート誘電体層をなすことが分かった。当業者であれば、本発明の蒸気発生プロセスの他の用途が明らかであろう。
【0089】
[00113]ここに詳細に述べる酸化物成長プロセスは、単なる例示に過ぎず、表面トポグラフィーに基づいて制御された仕方で酸化物を形成するいかなる方法又は装置も本発明の範囲内で考えられることを再び強調しておく。更に、本発明の酸化物成長プロセスのいずれも互いに組み合わせて使用できる。例えば、蒸気発生プロセスは、酸化物の成長が熱的に制御される乾式RTOプロセスと組み合わせて使用されてもよい。即ち、ウェハを装置200に入れて、酸素ソース282から酸素を流すのを許容することにより酸素含有環境に露出させる一方、ランプアッセンブリ218を制御して、基板の半径にわたり熱勾配を形成することができる。熱勾配のプロフィールは、シリコン材料のプロフィールに一致させるように選択され、ウェハに二酸化シリコンの成長を生じさせる。特定の実施形態では、酸素が約5SLMから約30SLMのレートでチャンバーに流し込まれる。処理チャンバーは、約760Torrの圧力で安定化させることができる。熱ゾーンT1−T7は、ウェハにわたり温度勾配を確立するように制御される。特定の勾配は、希望のプロフィール、並びに種々の他のパラメータ及び条件、例えば、ウェハの材料に基づいて変化する。更に、ここで使用する「勾配」とは、ウェハの半径に対する温度の直線的な変化である必要はない。むしろ、「勾配」は、半径を横切る非均一な温度を指す。従って、ウェハは、中央領域及び縁が、その中間の暖かい領域に対して冷たくてもよい。基板は、約5秒から約600秒の時間周期中、処理される。その後、同じチャンバー(又は別のチャンバー)において、ここに開示した蒸気発生プロセスによりウェハを処理することができる。或いは又、蒸気発生プロセスが最初に行われてもよく、即ち乾式RTOプロセスが蒸気発生プロセスの後に実行されてもよい。当業者であれば、本発明により及び本発明の範囲内で種々様々な酸化物成長プロセス及びそのようなプロセスの組合せが可能であることが明らかであろう。
【0090】
[00114]上述したように、本発明の酸化物成長プロセスは、例えば、SOIウェハ及びEpiウェハに適用することができる。SOI及びEpiの両ウェハは、乾式酸化ステップ(即ち、温度勾配を伴う乾式RTO)及び蒸気発生ステップ(蒸気発生は、ここで定義したその場でのもの又は外部でのものでよい)を含む多ステップの酸化物成長プロセスに基づいて処理することができる。更に、蒸気発生ステップ中のウェハ温度は、ウェハにわたって半径方向に均一又は非均一な温度を得るように制御することができる。各ステップの順序及び繰り返し数は、希望の結果を得るように変更してもよい。均一なウェハ温度をもつ蒸気発生プロセス、及び非均一なウェハ温度をもつその後の蒸気発生プロセスの一実施例を以下に示す。
温度制御と組み合わされるISSGプロセスの実施例
[00115]全部で6個の300mmSOIウェハが処理された。SOIウェハを処理する前に、13個のPオンP Epi Siウェハが同調及び設定に使用された。その目的は、SOIウェハの非均一シリコン層厚みを補償するように非均一な犠牲的酸化物膜厚みプロフィールの成長を実証するためであった。SOIウェハ上のシリコン層は、ウェハの縁において厚いものであった。従って、その目標は、酸化物層もその縁において厚くし、酸化物を剥離した後にシリコン層をより均一なものにすることであった。ターゲット厚みは、ウェハの中央領域で160Åであり、ウェハの縁で190Åに増加するものであった。Epi同調ウェハを使用して、全ガス流量、圧力及び浸漬時間を変更することにより、希望の非均一な酸化物厚みプロフィールに対してISSGプロセスを同調した。以下のテーブルIに要約されたように、レシピステップ2から7(図4のステップ306から310に対応する)の間に、14Torrにおいて、1100℃で130秒間浸漬し、33%水素及び67%酸素が40slmの全ガス流量の状態で、名目上のISSGプロセスが実行された。従って、30slmの全ガス流量の場合には、水素が9.9slmで、酸素が20.1slmである。
【0091】
【表1】
【0092】
[00116]圧力及び流量をベースとするプロセスのみで特定のプロフィールが得られた。その後、種々のゾーンの温度を調整して、ウェハの中央領域におけるプロフィールをフラットにした。ゾーンT1からT7に対する特定温度調整を選択して、スリップを導入せずに、希望のプロフィールへの最良の適合を与えた。より詳細には、ゾーン温度に対して次の温度調整を行い、スリップのない性能をEpi同調ウェハに与えた。即ち、+2.0℃(T1)、+4.8℃(T2)、−0.5℃(T3)、+1.5℃(T4)、−8.0℃(T5)、−5.0℃(T6)、及び−8.0℃(T7)。それに対応するプロフィールが図15に示されている。
【0093】
[00117]酸化物の形成に続いて、ウェハは、100:1のHFディップに1800秒間入れられ、次いで、リンスして、乾燥された。2つの酸化物層をある程度畳み込みすることのできる3層(SiO2−Si−SiO2−基板)膜スタックの分析を使用してシリコン層厚みの測定を行った。図16に示すように、Epiウェハの厚み範囲は、13.9Åから9.7Åへ減少された。この実施例では、全てのシリコン及び酸化物厚みは、ThermaWave Optiprobe Ellipsometer/Reflectometerツールにより測定された。
【0094】
[00118]以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに、他の及び更に別の実施形態を案出することもでき、それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲により決定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】犠牲的酸化物を成長し除去するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に基づき酸化プロセスを実施することのできる急速熱加熱装置を示す図である。
【図3】図2の急速熱加熱装置における光源の配置を示す図である。
【図4】酸化プロセスを示すフローチャートである。
【図5A】酸化の前の半導体ウェハ又は基板を示す断面図である。
【図5B】酸化プロセスにより図5Aの基板に酸化物を形成したところを示す断面図である。
【図6】150Torrの分圧を有する種々のO2/H2濃度比に対して生じた爆発圧力を示すグラフである。
【図7】異なるH2/O2濃度に対する酸化物厚み対反応ガス分圧を示すグラフである。
【図8】酸化物厚み対H2/O2反応ガス濃度比を示すグラフである。
【図9】種々の濃度比及び反応ガス分圧に対する酸化物厚み対酸化時間を示すグラフである。
【図10】酸化物厚み対プロセスガスの全流量を示すグラフである。
【図11】その場で蒸気発生する(ISSG)プロセスの前のウェハプロフィール対希望の酸化物プロフィールを示すグラフである。
【図12】酸化物厚みに対する全ガス流量の作用を示すグラフである。
【図13】酸化物厚みに対する圧力の作用を示すグラフである。
【図14】酸化物厚みに対する2ステップ圧力変化プロセスの作用を示すグラフである。
【図15】2つのテストウェハに対して希望の酸化物厚みを実験結果と比較するグラフである。
【図16】シリコンプロフィール均一性の改善を示す実験結果のグラフである。
【図17】本発明の実施形態に基づき酸化プロセスを実施できる急速熱加熱装置の一実施形態を示す図である。
【図18】本発明のクラスターツールを例示する平面図である。
【図19】SOIウェハを使用して製造されたトランジスタを示す図である。
【図20】SOIウェハの用途を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
100・・・一体化された製造及び平坦化プロセス、180・・・クラスターツール、183・・・前端環境、184・・・ロードロックチャンバー、185・・・ポッドローダー、187・・・ポッド、188・・・移送チャンバー、189・・・ロボット、190・・・処理チャンバー、191・・・サービスチャンバー、200・・・急速熱加熱装置、213・・・排気プロセスチャンバー、214・・・側壁、215・・・底壁、216・・・「O」リング、218・・・放射エネルギーアッセンブリ、219・・・ランプ、221・・・光パイプ、248・・・ウインドウ、261・・・基板又はウェハ、262・・・支持リング、263・・・回転可能な石英シリンダー、268・・・ガス出口、269・・・ガス入口、270・・・光学温度プローブ、280・・・流体ソース、282・・・酸素含有ガスのソース、284・・・水素含有ガスのソース、286・・・真空ソース、288・・・制御システム、T1−T7・・・同心ゾーン
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般に、基板を処理することに係る。より詳細には、本発明の実施形態は、層を酸化し除去することにより層を平坦化することに係る。
【0002】
関連技術の説明
[0002]集積回路及び他の電子デバイスの製造においては、導体、半導体及び誘電体材料の複数の層が基板の表面に堆積され又はそこから除去される。導体、半導体及び誘電体材料のこの層は、多数の堆積技術により堆積することができる。近代的な処理における共通の堆積技術は、スパッタリングとしても知られている物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマエンハンスト化学気相堆積(PECVD)、及び電気化学的メッキ(ECP)を含む。
【0003】
[0003]材料の層が順次に堆積され除去されるときには、基板の最上面がその表面にわたって非平坦となり、平坦化を必要とすることがある。表面を平坦化し、即ち表面を「研磨」することは、基板の表面から材料を除去して一般的に平らな平坦面を形成するプロセスである。平坦化は、望ましからぬ表面トポグラフィー及び表面欠陥、例えば、粗面、材料の集塊、結晶格子のダメージ、スクラッチ、及び層又は材料の汚染を除去するのに有用である。又、平坦化は、特徴部を充填して、金属化及び処理のその後のレベルに対して平らな面を形成するのに使用した余計な堆積材料を除去することにより、基板に特徴部を形成するのにも有用である。更に、平坦化は、ホトリソグラフィー装置の適切な収束を確保するためにも重要である。
【0004】
[0004]ウェハを平坦化するのに使用される従来の研磨技術は、化学的機械的研磨(CMP)、電気化学的機械的研磨(ECMP)、等を含む。CMP及びECMPは、両方とも、流体環境においてウェハを研磨するために研磨パッドを使用する。通常、基板キャリア又は研磨ヘッドがキャリアアッセンブリに実装されて、研磨パッドに接触するように配置される。キャリアアッセンブリは、基板に制御可能な圧力を与え、これにより、研磨パッドに対して基板を押し付ける。パッドは、外部の駆動力により基板に対して移動される。研磨は、化学的活動、電気的及び/又は機械的活動により行われる。
【0005】
[0005]しかしながら、ある場合には、従来の研磨技術では不充分である。その一例は、シリコンウェハ又は基板の場合である。シリコンウェハは、例えば、エピタキシャル(epi)ウェハ及びシリコン・オン・インスレータ(SOI)ウェハを含む。このようなウェハは、通常、CMPのような技術を使用して研磨されるが、他の方法が使用されてもよい。しかしながら、このような従来の研磨技術は、ナノメーターサイズの粗面性を排除するが、他の表面非均一性を導入すると共に、受け入れられない厚み変動を膜に残すことがある。
【0006】
[0006]それ故、材料、特に、シリコンを平坦化するための方法及び装置が要望される。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明は、一般に、犠牲的平坦化膜の形成に関する。
【0008】
[0008]1つの実施形態は、半導体ウェハの上面を形成する材料に犠牲的平坦化層を成長させる方法を提供する。この方法は、材料の非均一厚みプロフィールを決定するステップと、材料を平坦化するためにその非均一厚みプロフィールに基づいて1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップと、非均一プロフィールに従ってウェハの上面に犠牲的平坦化層を湿式酸化で成長させるステップであって、犠牲的平坦化層が材料の一部分を消費してその平坦化を行わせるようなステップとを備えている。
【0009】
[0009]別の実施形態は、非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料を平坦化する方法を提供する。この方法は、チャンバーにウェハを入れるステップと、非均一なトポグラフィープロフィールに基づいてウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために蒸気含有環境を確立するステップと、ウェハを蒸気含有環境に露出させて、ウェハ材料に犠牲的平坦化層を形成するステップと、その犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。この点において、「平坦化消費」とは、ウェハ材料と犠牲的平坦化層との間の界面で行われる平坦化であって、犠牲的平坦化層を除去した際にウェハ材料の相対的により平坦な表面を生じるような平坦化を指す。
【0010】
[0010]非均一なトポグラフィーを有するウェハ材料を平坦化する別の方法は、チャンバーにウェハを入れるステップと、ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために非均一なトポグラフィーに基づいてウェハ材料に犠牲的平坦化層を成長させるステップと、その犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。犠牲的平坦化層を成長させるステップは、(a)ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために選択されたチャンバー圧力において第1の酸素含有環境にウェハを露出させる一方、ウェハにわたって実質的に一定の温度プロフィールを維持する段階と、(b)第2の酸素含有環境にウェハを露出させる一方、ウェハにわたって非均一な温度プロフィールを維持して、ウェハ材料の平坦化消費を生じさせる段階とを含む。
【0011】
[0011]非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料を含むウェハを平坦化するための更に別の方法は、チャンバーにウェハを入れるステップと、チャンバーに酸素含有環境を形成するためにチャンバーに酸素含有流体を流し込むステップと、酸素含有環境にウェハを露出させるステップと、ウェハの温度と、チャンバー圧力及び酸素含有流体の流量の少なくとも一方とを制御して、非均一なトポグラフィープロフィールに基づいてウェハ材料の平坦化消費を生じさせると共に、ウェハ材料に犠牲的平坦化層の形成を生じさせるステップと、犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。
【0012】
[0012]ウェハの上部シリコン含有層を平坦化する更に別の方法は、ウェハのターゲット酸化物プロフィールを決定するステップと、そのターゲット酸化物プロフィールに基づいて、1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップであって、チャンバー圧力及び酸素含有流体流量の少なくとも1つからプロセスパラメータ値を選択するステップと、酸化物成長チャンバーにウェハを入れるステップと、約10SLMから約40SLMの流量でチャンバーに酸素含有流体を流し込んで、約100Torr未満、好ましくは30Torr未満、最も好ましくは約6Torrから約14Torrのチャンバー圧力でチャンバーに酸素含有環境を形成するステップと、酸化物成長のチャンバー圧力及びウェハ温度を約30秒から数分の(好ましくは約90秒以下の)時間周期中維持して、シリコン含有層の一部分の消費を許容し、ターゲット酸化物プロフィールに基づいてシリコン含有層の平坦化消費を生じさせると共に、犠牲的平坦化層の形成を生じさせるステップと、犠牲的平坦化層を除去するステップとを備えている。一実施形態では、酸素含有流体は、約10%から約33%のH2を有する。
【0013】
[0013]更に別の実施形態は、酸化物成長チャンバーと、非均一なトポグラフィープロフィールの材料を有するウェハを支持するように適応されたウェハ支持部材と、酸化物成長チャンバーに流体結合された流体配送システムと、ターゲット酸化物プロフィールを入力として受け取ると共に、少なくとも、(i)酸化物成長チャンバーに酸素含有環境を形成するための流体配送システムからの1つ以上の流体の流量と、(ii)チャンバー圧力と、を制御するように構成されたコントローラシステムとを備えたシステムを提供する。流量及びチャンバー圧力の少なくとも1つは、ターゲット酸化物プロフィールに基づいてウェハの材料を消費するように選択され、これにより、犠牲的平坦化層が材料に形成される。
【0014】
[0014]本発明の上述した特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本発明を、添付図面に幾つか示された実施形態を参照して、より特定に説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、それ故、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、他の等しく有効な実施形態も受け入れられることに注意されたい。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0015】
[0036]本発明は、その場で酸化プロセスを実行し、その後に酸化物を除去する方法及び装置を説明する。以下の説明において、本発明の完全な理解を与えるために、装置構成のような多数の特定の細部、並びに時間、圧力、流量及び温度のようなプロセス特有のものについて述べる。例えば、説明上、SOI及びEpiウェハに関して平坦化技術を説明する。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱せずに、別のウェハ形式、構成及びプロセス細部を使用できることが明らかであろう。他の場合には、本発明を不必要に混乱させないために、良く知られている半導体処理装置及び技術は詳細に説明しない。更に、ここに開示するプロセスパラメータ値は、単なる例示に過ぎない。当業者であれば、このような値が特定の環境に基づいて著しく変化することが容易に明らかであろう。従って、本発明の原理が分かると、このような値を決定できるので、考えられる値及び条件の包括的なリストは、実際的でもないし、又、必要でもなかろう。
【0016】
[0037]本発明の実施形態は、一般に、基底材料、例えば、シリコンに平坦化作用を与えるような酸化物の形成を提供する。特に、非均一な厚みプロフィールを有する酸化物が基底材料上に成長される。酸化物の成長は、基底材料の一部分を消費して、その消費された部分に酸化物を置き換えることにより達成される。成長されるべき酸化物の非均一な厚みプロフィールは、基底材料の非均一プロフィールに基づいて選択される。即ち、比例的に、比較的厚い基底材料のエリアには、より多くの酸化物が成長され、比較的薄い基底材料のエリアには、より少ない酸化物が成長される。その後に酸化物を除去すると、酸化前の表面に比して、基底材料の比較的平坦化された表面が後に残される。
【0017】
[0038]ここで使用する「基板」という語は、その上に付加的な材料を形成(例えば、成長又は堆積)できるあるベースワークピースを指すか、或いはそれ自体が別のベースワークピースの一部分又は材料のスタック(例えば、クリービングプロセスによる別の基板又はウェハ等)で作られるものを指す。「ウェハ」という語は、ここでは、基板、及び1つ以上の膜が形成された基板を含む多層ワークピース、或いは一緒に接合された(例えば、クリービングにより)2つ以上の基板を包含するように使用される。「ウェハ材料」とは、(i)ベース基板(例えば、シリコン)、(ii)基板上に形成されるある材料、或いは(iii)基板をベースとして有する材料の複合スタックにおけるある材料を指す。
【0018】
[0039]本発明の態様は、一例として、SOIウェハ及びEpiウェハを参照して説明する。しかしながら、本発明は、特定のウェハ形式に限定されないことを理解されたい。本発明の技術による平坦化を必要とするSOI及びEpiウェハの製造プロセスで均一なシリコン表面をいかに製造できるかについて簡単に説明する。
SOIウェハ
[0040]SOIウェハは、相補的−金属−酸化物−シリコン(CMOS)デバイス製造に対するエンハンストウェハで、絶縁層(酸化シリコン)の利益とシリコン(Si)デバイス層の利益の両方を結び付けるものである。絶縁基板は、寄生的接合キャパシタンスを減少し、ラッチアップを防止し、且つ放射硬度を改善する上で有益である。SOIマイクロチップ処理速度は、今日のCMOSベースのチップより約30%高速であり、且つ電力消費は、80%に減少される。従って、将来の集積シリコンチップ、又はシステム・オン・チップは、CMOS、バイポーラヘテロ構造バイポーラトランジスタ(HBT)、量子デバイス、光学的導波器、光学的変調器、光学的エミッタ及び検出器が全て単一チップ上に一体化されたSOI基板を使用することになろう。
【0019】
[0041]説明上、図19は、3つの代表的なSOIベースのCMOSトランジスタ1900A−Cを示す。より詳細には、図19は、シリコン基板1904と、その上に配置された埋設酸化物層1906と、該埋設酸化物1906上に形成された活性シリコン層1908とを示している。3つのトランジスタ1900A−Cは、各々、部分空乏、完全空乏、及び薄型本体構造の代表である。図20は、Si−SOI厚み及びボックス厚みにより特徴付けられるSOIベースの用途を示す。
【0020】
[0042]SOIウェハを製造するのに使用される現在の方法は、ベアシリコンウェハの表面下の浅い深さに水素をインプランテーションすることを含む。このウェハは、次いで、第2のウェハにボンディングされ、その表面には絶縁膜(例えば、二酸化シリコン、サファイア、窒化シリコン、又はシリコン自体の絶縁形態)が成長される。ボンディングが完了した後に、そのスタックが水素インプランテーション深さでクリーブされ、絶縁膜の頂部に単結晶シリコンの膜を有するウェハが残る。
【0021】
[0043]クリーブプロセスは、デバイスを製造すべき面に著しい粗面を残すという望ましからぬ副作用がある。完全空乏及び薄型本体SOIウェハの場合には、最上部のシリコン厚みが、例えば、50nm−5nmの範囲であり、SOIの効果を得るためには表面が滑らかでなければならない。従って、本発明の方法及び装置は、SOIウェハを平坦化するのに非常に適した技術を提供する。
【0022】
[0044]Epi技術を使用してSOIを製造する場合には、融通性を付加し且つウェハのクオリティを高め、例えば、欠陥を少なくし、最上部Si層の均一性を良好にし、且つクラスターツールの互換性を与えることが示されている。従って、Epiウェハの幾つかの態様について、以下に説明する。
Epiウェハ
[0045]ここで使用する「Epiウェハ」とは、エピタキシャルシリコンの層が形成されたウェハを指す。エピタキシャルシリコンは、例えば、単結晶シリコン、シリコンゲルマニウム及びSOIウェハに形成することができる。特定の実施形態では、エピタキシャルシリコン層がシリコンゲルマニウム基板上に形成されて、歪入りシリコンを形成する。ある実施形態では、エピタキシャルシリコンは、例えば、ボロンでドープされる。しかしながら、非ドープのエピタキシャルシリコンも使用できることが意図される。本発明の態様に基づくエピタキシャル層の形成及び酸化物の形成は、クラスターツール環境で実行されるのが好ましい。例えば、エピタキシャル層の形成は、大気epi堆積チャンバー及び減圧epi堆積チャンバーにおいて実行することができ、これらは、両方とも、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できる。
【0023】
[0046]更に、Epiウェハは、エピタキシャルシリコンを堆積する前に、先ず、清掃できることが意図される。従って、クラスターツールは、清掃チャンバー及び堆積チャンバーと共に構成することができる。1つのこのようなチャンバーが、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるEpiCleanチャンバーである。このEpiCleanチャンバーは、堆積前の清掃プロセスを実行して、780℃未満の温度で自然酸化物層及び他の汚染物を除去する。清掃プロセスは、堆積チャンバーにおける高温ベーキング又は安定化ステップの必要性を排除し、堆積チャンバーの処理時間を相当に短縮して、スループットを高めると共に運転コストを下げる。清掃チャンバー及びepi堆積チャンバーは、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるEpi Centuraシステムに見られるような同じクラスターツールの一部分であるのが好ましい。
酸化物成長装置及びプロセス
[0047]図1は、一体化された製造及び平坦化プロセス100の一実施形態を示す。ステップ102において、ベース材料が形成される。ベース材料は、基板、又は基板上に形成された膜の形態でよい(例えば、SOIウェハのepi層又は最上部シリコン層)。ここで使用する「ベース材料」とは、平坦化されるべき材料を指す。説明上、本発明の実施形態は、シリコンのベース材料を参照して述べる。平坦化プロセスは、ステップ104において、ベースシリコンに酸化物を成長させることにより開始される。酸化物は、ベースシリコン材料の一部分を消費することにより形成される。その結果、酸化物は、例えば、二酸化シリコンでよい。次いで、ステップ106において、酸化物が除去される。基底材料がエッチングストッパーとして働くのを許容するエッチングプロセスを使用して、酸化物を除去するのが好ましい。
【0024】
[0048]上述したプロセス100は、単なる例示に過ぎず、いかなる数の付加的なステップが実行されてもよいことを理解されたい。例えば、図1の点線は、使用することのできる他の処理シーケンスを示す。特に、ベースシリコンのトポグラフィーは、ステップ104で酸化物を形成する前に決定されてもよい(ステップ108)ことが意図される。ステップ108及び104は、同じチャンバーで実行されてもよいし、又は異なるチャンバーで実行されてもよい。一実施形態では、トポグラフィー(即ちウェハマップ)は、サーマウェーブからのオプチプローブ・エリプソメーター/リフレクトメーターツールのような楕円偏光計を使用して決定される。多くのケースでは、ベースシリコンのプロフィールが半径方向に対称的で、トポグラフィーは、所与の半径においていかなる方位角でも同じである。従って、任意の角度でウェハの中心を通る断面は、実質的に同じプロフィールを示す。(例えば、図11における酸化物成長プロセス前のウェハのプロフィールを参照されたい。)他のケースでは、トポグラフィーが半径方向の対称性を示さない。いずれのケースでも、ステップ108においてなされる決定は、酸化物の形成を実行するシステムのための入力データを与えることができ、これにより、システムは、ベースシリコンの各独特のトポグラフィーに基づいて適切なプロセスパラメータを調整することが許容される。しかしながら、ステップ104で処理されているベースシリコンが1つのウェハから次のウェハへと一貫したトポグラフィーを有する場合には、ステップ108においてウェハごとにベースシリコンのプロフィールを決定する必要はないことに注意されたい。
【0025】
[0049]別の実施形態では、従来の研磨がステップ110において実行される。従来の研磨は、例えば、化学的機械的研磨及び乾燥研磨を含む。従来の研磨は、ステップ108においてベースシリコンのプロフィールを決定する前に行われてもよいし又はその後に行われてもよく、或いはステップ108がバイパスされる場合には、ステップ104において酸化物を成長させる前に行われてもよい。特定の実施形態では、従来の研磨(ステップ110)の前及び従来の研磨の後の両方にベースシリコンのプロフィールを決定できる(ステップ108)ことが意図される。
【0026】
[0050]実行することのできる更に別のステップは、例えば、清掃ステップ及びアニールステップを含む。例えば、epi堆積の場合には、堆積の前に、先ず、自然酸化物を除去することができる。更に、酸化物の除去(ステップ108)に続いて表面パッシベーションステップを実行できることが意図される。例えば、種々の不活性又は反応性ガス(例えば、水素)中でウェハをアニールして、不安定な結合部を除去すると共に、表面へのダメージを最小にすることができる。更に、酸化物の除去(ステップ108)に続いてリンス及び乾燥ステップを使用することもできる。
【0027】
[0051]更に、前記ステップのいずれかを任意の回数だけ繰り返してもよい。例えば、研磨ステップ(ステップ110)に続いて、酸化物層を形成し(ステップ104)及び除去する(104)ことができ、次いで、ウェハを再び研磨することができる。それに加えて又はそれとは別に、中間ステップを伴わずに、酸化物形成ステップ(104)を連続的に繰り返すこともできる。それに加えて又はそれとは別に、酸化(ステップ104)及びその後の除去(ステップ108)の複数のサイクルを実行して、希望の度合いの平坦さ、円滑さ又は他の表面特性を得ることができる。更に、プロセス100で表された所与のステップは、種々の技術を代表するものでよい。例えば、酸化(ステップ104)は、流量、圧力、濃度及び/又は温度を含むパラメータが、制御されるべき一次プロセスパラメータであるような湿式酸化解決策に基づいて実行されてもよいし、或いは温度が、制御されるべき一次プロセスパラメータであるような乾式熱酸化解決策に基づいて実行されてもよい。特に、ステップ104については、所与のウェハの酸化が、次々の異なる技術を含んでもよいことが意図される。酸化成長技術の組合せで、個々の技術単独の場合に勝る優れた結果を生じさせることもできる。例えば、ここに開示する湿式酸化プロセスを乾式酸化プロセスと組み合わせて使用して、酸化物の成長を酸素添加環境において熱的に制御することができる。ここに例示する乾式酸化プロセスは、乾式急速熱酸化(RTO)を指してもよい。又、ここに例示する湿式酸化プロセスは、その場での(in situ)蒸気発生プロセス(ISSG)及び外部での(即ちex situ)蒸気発生プロセスを指す。ISSGは、参考としてここにその全体を援用する米国特許第6,037,273号に一般的に説明されている。しかしながら、本発明の態様は、既存のISSG技術とは著しく異なり、このような既存の技術は、ウェハ上に形成されるデバイスの一部分となる酸化物層の形成に向けられる。従って、酸化物と基底材料との界面における均一性、並びに酸化物のその後の除去は、これまで認識されていない。
【0028】
[0052]プロセス100は、個別のチャンバー又は同じチャンバーにおいて実行できるステップを含む。一実施形態では、従来の研磨がREFLEXION(登録商標)プラットホームにおいて実行される一方、プロフィール決定、酸化物形成及び酸化物除去がクラスターツールで実行される。特定の実施形態では、酸化物の形成が、Radiance Centura(登録商標)300mmツール、Radiance及びXE Centra200mmツール、或いはVantage300mmツールで実行される。特定の実施形態では、プロフィールの決定及び酸化物の形成が同じチャンバーで行われる。REFLEXION(登録商標)プラットホーム、Radiance Centura(登録商標)300mm、Radiance及びXE Centra200mmツール、並びにVantage300mmツールは、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できる。
【0029】
[0053]上述したように、本発明の態様は、クラスターツールで実施されてもよい。一般に、クラスターツールは、基板の中心出し及び方向付け、ガス抜き、アニール、堆積及び/又はエッチングを含む種々の機能を遂行する複数のチャンバーを備えたモジュラーシステムである。本発明の実施形態によれば、クラスターツールは、本発明の酸化物成長プロセスを実行するように構成された酸化チャンバーを備えている。クラスターツールの複数のチャンバーは、それらチャンバー間に基板をシャトル移動するように適応されたロボットを収容する中央の移送チャンバーに装着される。この移送チャンバーは、通常、真空状態に維持されて、1つのチャンバーから別のチャンバーへ及び/又はクラスターツールの前端に置かれたロードロックチャンバーへ基板をシャトル移動するための中間ステージをなす。本発明に対して適応できる2つの良く知られたクラスターツールは、カリフォルニア州サンタクララのアプライド・マテリアルズ・インクから入手できるCentura(登録商標)及びEndura(登録商標)である。1つのこのようなステージ型真空基板処理システムの詳細が、参考としてここに援用する1993年2月16日付のテプマン氏等の「Staged-Vacuum Wafer Processing System and Method」と題する米国特許第5,186,718号に開示されている。しかしながら、チャンバーの厳密な構成及び組合せは、当該酸化物成長プロセスを含む製造プロセスの特定のステップを実行する目的で変更することができる。
【0030】
[0054]説明上、特定のクラスターツール180の一実施形態が図18に平面図で示されている。このクラスターツール180は、一般に、複数のチャンバー及びロボットを備え、又、好ましくは、クラスターツール180で行われる種々の処理方法を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサコントローラ181が装備される。前端環境183が、一対のロードロックチャンバー184と選択的に連通する状態に置かれて示されている。前端環境183に配置されたポッドローダー185は、直線及び回転運動(矢印182)を行って、前端環境183に装着された複数のポッド187とロードロック184との間に基板のカセットをシャトル移動することができる。ロードロック184は、前端環境183と移送チャンバー188との間の第1の真空インターフェイスをなす。2つのロードロック184は、移送チャンバー188及び前端環境183と交互に連通することによりスループットを高めるために設けられている。従って、一方のロードロック184が移送チャンバー188と連通する間に、第2のロードロック184が前端環境183と連通する。ロボット189は移送チャンバー188の中央に配置され、ロードロック184から種々の処理チャンバー190及びサービスチャンバー191の1つへ基板を移送する。処理チャンバー190は、物理気相堆積、化学気相堆積、及びエッチングのような多数のプロセスを実行することができ、一方、サービスチャンバー191は、ガス抜き、方向付け、冷却等を行うように適応される。
【0031】
[0055]特定の実施形態では、少なくとも1つの処理チャンバー190Aは、酸化物成長チャンバーとして構成される。この酸化物成長チャンバー190Aは、乾式酸化プロセス、湿式酸化プロセス、又はその組合せを実行するように適応させることができる。一実施形態では、個別のプロセスチャンバー190において2つ以上の酸化プロセスが実行される。
【0032】
[0056]別の1つの処理チャンバー190Bは、酸化物成長チャンバー190Aで酸化された基板から酸化物を除去するように適応されたエッチングチャンバーでよい。従って、酸化物成長チャンバー190Aにおける酸化物成長プロセスに続いて、基板は、ロボット189により酸化物成長チャンバー190Aから取り出してエッチングチャンバー190Bへ移送することができる。エッチングチャンバー190Bは、種々のエッチングプロセスを実行するように構成できる。例えば、エッチングチャンバー190Bは、HFディップ及びリンスを実行するように適応されてもよい。別の実施形態では、エッチングチャンバー190Bは、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるダイエレクトリック・エッチングeMaxシステムのようなプラズマエッチングチャンバーである。当業者であれば、本発明は、酸化物を除去する特定の装置及び技術に限定されないことが明らかであろう。
【0033】
[0057]別の実施形態では、チャンバー190又は191の一方が、基板のトポグラフィーを測定できる検査チャンバーである。例えば、検査チャンバー191Aは、楕円偏光計を含んでもよい。基板は、検査チャンバー191Aに入れられ、光学的に検査されてウェハマップを発生し、次いで、酸化物成長チャンバー190Aへ移送することができる。ウェハマップは、ターゲット/希望酸化物プロフィールを計算するように構成された処理装置への入力として使用することができる。ターゲット/希望酸化物プロフィールは、酸化物成長チャンバー190Aで実行される酸化物成長プロセスのための種々のパラメータ値の設定点を設定するのに使用される。その後、基板を、ロボット189によりエッチングチャンバー190Bへ移送することができる。
【0034】
[0058]既に述べたように、本発明の2つの特定の用途は、Epi基板及びSOI基板に酸化物を成長させることを含む。クラスターツール180は、Epi基板及びSOI基板の両方又はいずれかに酸化物成長プロセスを実行するよう適応させられることが意図される。従って、一実施形態では、処理チャンバー190の1つ以上は、エピタキシャルシリコン層の形成に適応されるEpiチャンバーでよい。例えば、シリコンゲルマニウム又はSOIウェハにepi層を形成することができる。epi層の形成に続いて、本発明の酸化物成長プロセス(1つ又は複数)を実行し、その後、酸化物をエッチングステップにより除去することができる。必要に応じて、クラスターツール180の計測ユニットにおいてepi層を最初に検査して、そのプロフィールを決定することができる。更に、SOIウェハの層のような別のシリコン層にepi層が形成される場合には、基底シリコン層それ自体が、epi層の形成の前に、本発明の態様に基づく酸化により平坦化を受けてもよいことが意図される。
【0035】
[0059]又、最上部シリコン層の成長を制御して、本発明の酸化物成長プロセスによりトポグラフィーを最適に平坦化できるようにすることも意図される。従って、例えば、epi層は、酸化物の成長を最適化するように酸化物成長プロセスの既知の特性に基づいて形成されてもよい。説明上、特定の希望の酸化物成長プロセスが、ウェハの周囲領域に対してウェハの中央領域を相対的に多く一貫して平坦化することが知られていると仮定する。このケースでは、epi層は、相対的に中央が厚くなるように故意に形成し、これにより、酸化物成長及びその後の除去に続いて相当程度の平坦化を確保することができる。従って、シリコン層(例えば、epi)が形成された後であって且つ酸化物の成長の前にウェハを検査して、シリコントポグラフィーを、実行されるべき酸化物成長プロセスに適切に一致させるよう確保できることが意図される。それ故、平坦化されるべきシリコン層のトポグラフィーを、シリコン層の形成中及び酸化物成長プロセス(1つ又は複数)中の両方に制御できることが理解されよう。クラスターツールは、包括的プロセスの一部分として各ステップを実行するための優れた環境を与える。このようにして、高度のプロセス対プロセス制御が達成される。
【0036】
[0060]更に、図18に示すもののようなクラスターツールで通常実行されないステップをSOI及びepiウェハ(並びに他のウェハ)に対して実行することができる。例えば、ウェハは、本発明の酸化物成長及び除去プロセスにより平坦化する前に、個別のスタンドアローンプラットホームにおいて従来の手段(例えば、CMP)により研磨できることも意図される。従来の研磨は、第1の程度の平坦化を得るように働き、一方、酸化物成長/除去が第2の程度の平坦化を得ることができる。例えば、SOIウェハのケースでは、SOIウェハは、従来の方法により、クリービングに続いて第1の程度の平坦さを得るように研磨することができる。その後、SOIウェハは、計測ステーションにおいて検査されて、プロフィールを決定することができる。次いで、SOIウェハは、本発明に基づいて処理されて、従来の研磨技術の欠点を伴うことなく付加的な平坦化を達成することができる。同様に、epiウェハのケースでは、従来の方法による第1の程度の平坦さを、エピタキシャル層の堆積に続いて得ることができる。次いで、ウェハは、付加的な平坦化のために本発明の酸化物成長プロセスを受けることができる。
【0037】
[0061]上述したように、本発明の一実施形態は、酸化物を成長するための蒸気発生プロセス(その場の及び外部の)を含む。本発明によれば、その場の蒸気発生(ISSG)プロセスは、酸化されるべき基板が位置する同じチャンバーに蒸気(H2O)を発生することを含む(即ち基板と共にその場に蒸気を発生する)。これに限定されないがH2及びNH3のような水素含有ガスと、これに限定されないがO2及びN2Oのような酸素含有ガスとを含む反応ガス混合物が、基板が位置する反応チャンバーへ供給される。酸素含有ガス及び水素含有ガスは、反応チャンバーに水分又は蒸気(H2O)を形成するように反応させられる。水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応は、蒸気反応を生じさせるに充分な温度にウェハを加熱することにより点火され又は触媒作用される。加熱されたウェハは、反応の点火ソースとして使用されるので、蒸気発生反応は、ウェハ表面に非常に接近したところで発生する。その場での蒸気発生に適した装置は、図2及び3を参照して以下に説明する。
【0038】
[0062]外部(ex situ)蒸気発生のケースでは、反応チャンバーの外側で蒸気が形成される。即ち、ウェハは、反応の点火ソースとして働かない。むしろ、蒸気を発生するための外部熱装置が設けられ、蒸気は、処理されるべきウェハを収容する反応チャンバーへ配送される。外部蒸気発生に適した装置は、図17を参照して以下に説明する。
【0039】
[0063]各湿式酸化プロセス(その場で及び外部で)において、蒸気が存在してウェハ表面と反応し、ウェハ表面を酸化することに注意されたい。しかしながら、蒸気発生及び酸化を生じさせる特定のメカニズム(1つ又は複数)は、本発明を限定するものではない。例えば、湿式酸化の一部分は、酸素基の形成を含み、これがシリコンの酸化に貢献し得ると考えられる。しかしながら、酸素基が反応中に存在するかどうかは、本発明を限定するものではなく、蒸気発生及び酸化中には、既知及び未知の種々の反応が生じることが意図される。
【0040】
[0064]更に別の実施形態では、酸化物の成長が熱で制御される乾式RTOプロセスに基づいて酸化物が成長される。乾式RTOプロセスでは、ウェハをチャンバーに入れ、次いで、酸素ソースから酸素が流れるのを許容することにより酸素含有環境に露出させる。酸化物の成長は、ウェハを充分な温度に加熱することにより促進される。ウェハを熱的に付勢することは、ランプアッセンブリのような加熱装置を設けることにより達成できる。乾式RTOに適した装置は、図2及び3を参照して以下に説明する。
【0041】
[0065]更に別の実施形態は、リモートプラズマソースを設けることにより酸化物の成長を達成する。リモートプラズマソースにおいて酸素原子を形成し、次いで、ウェハを含む酸化物形成チャンバーへ配送することができる。
【0042】
[0066]従って、本発明は、酸化物を形成するための特定の方法又は装置に限定されない。しかしながら、使用する技術又は装置に関わりなく、酸化物の成長は、ウェハの表面トポグラフィーにより制御される。即ち、酸化物が材料上に形成され、酸化物を除去すると、露出された材料が、酸化の前より平坦になる。特定の技術に基づき、希望の酸化物成長パターンを達成するように種々のパラメータを制御することができる。例えば、蒸気発生のケースでは、流量、濃度、圧力等のパラメータが、希望の酸化物プロフィールを得るように制御される。乾式RTOのケースでは、基板の半径にわたって熱勾配を発生するように加熱装置が制御される。
【0043】
[0067]説明上、酸化物の成長は、主として、蒸気発生技術を参照して説明するが、これに限定されない。
【0044】
[0068]一実施形態では、本発明の態様は、ハニカムソースを伴うアプライド・マテリアルズ・インクのRTP Centuraのような急速熱加熱装置において実行されるが、これに限定されない。別の適当な急速熱加熱装置及びその動作方法は、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第5,155,336号に記載されている。更に、本発明の蒸気発生反応は、急速熱加熱装置で実行されるのが好ましいが、エピタキシャルシリコン、ポリシリコン、酸化物及び窒化物のような高温膜(HTF)を形成するのに使用されるアプライド・マテリアルズによるEpi又はPoly Centura単一ウェハ「冷壁」リアクターのような他の形式の熱リアクターが使用されてもよい。
【0045】
[0069]図2及び3は、本発明のその場での蒸気酸化及び乾式RTOプロセスを実行するのに使用できる急速熱加熱装置200を示す。上述したように、急速熱加熱装置200は、他のプロセスを実行することのできるクラスターツールの一部分であってもよい。一実施形態において、急速熱加熱装置200は、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できるラジアンスチャンバーである。急速熱加熱装置200は、図2に示すように、側壁214及び底壁215により包囲された排気プロセスチャンバー213を備えている。チャンバー213の側壁214の上部は、「O」リング216によりウインドウ248へとシールされている。
【0046】
[0070]基板又はウェハ261は、炭化シリコンで通常作られた支持リング262により、その縁でチャンバー213内に支持されている。支持リング262は、回転可能な石英シリンダー263に装着される。この石英シリンダー263を回転することにより、支持リング262及びウェハ261を回転させることができる。付加的な炭化シリコンアダプターリングを使用して、異なる直径のウェハを処理することが許容される(例えば、150mm、200mm及び300mm)。支持リング262の外側縁は、ウェハ261の外径から2インチ未満で延びるのが好ましい。チャンバー213の容積は、300mmシステムの場合に約9リッターである。
【0047】
[0071]急速熱加熱装置200は、チャンバー213へプロセスガスを注入してチャンバー213内で種々の処理ステップを実行するのを許容するために側壁214を通して形成されたガス入口269を備えている。ガス入口269に結合されるのは、プロセス流体のソースを含む流体ソース280である。例えば、一実施形態では、流体ソース280は、O2のような酸素含有ガスのソース282(例えば、タンク)と、H2のような水素含有ガスのソース284(例えば、タンク)とを備えている。ガス入口269の反対側で側壁214に位置しているのは、ガス出口268である。ガス出口268は、ポンプのような真空ソース286に結合され、チャンバー213からプロセスガスを排出すると共に、チャンバー213の圧力を減圧する。真空ソース286は、処理中にチャンバーにプロセスガスが連続的に供給される間に希望の圧力を維持する。
【0048】
[0072]ウインドウ248の上には、放射エネルギーアッセンブリ218が位置される。この放射エネルギーアッセンブリ218は、複数のタングステンハロゲンランプ219、例えば、シルバニアEYTランプを備え、その各々は、ステンレススチール、金、黄銅、アルミニウム又は他の金属である光パイプ221に装着される。ランプ219は、コイルとして巻かれたフィラメントを含み、その軸は、ランプ管の軸に平行である。ほとんどの光は、軸に垂直にその周囲の光パイプ221の壁に向かって放出される。光パイプの長さは、少なくともその関連ランプと同程度であるように選択される。光パイプ221は、ウェハに到達するそのパワーが高い反射性により実質的に減衰されないならば、もっと長くてもよい。ランプ219は、六角形のアレイに位置されるか、又は図3に示すように「蜂の巣形状」に位置される。ランプ219は、ウェハ261及び支持リング262の全表面エリアを充分にカバーするように位置される。ランプ219(数百程度でよい)は、プロセスに基づいて望まれるように、ウェハ261を非常に均一に又は非均一に加熱するために、独立して制御できるゾーンにグループ分けされる。一実施形態では、ランプ219は、図3に示すように、7つの同心ゾーンT1からT7に一般的にグループ分けされる。この7つのゾーンは、それらゾーン間で徐々に熱的に遷移するよう確保するために、より小さなグループに更に細分化することができる。これらゾーンは、対称的に配置される。このように、ウェハの半径を横切って温度を変化させることができる。熱的制御の粒度及び対称性は、特定のプロセスに対して望まれるように、大きくても小さくてもよいことが意図される。従って、ここに示す例では、ランプの対称的な熱的制御可能なゾーンが設けられる。このような実施形態は、対称的なプロフィールをもつウェハであって、加熱素子への対称的な露出を確保するために処理中に回転できるウェハに対して良く適することができる。しかしながら、図1のステップ108について上述したように、ウェハは、対称的なプロフィールを示さないことがある。このようなケースでは、希望の酸化物成長を達成するために、相当の程度の熱的制御が望まれることがある。従って、各ランプが熱的に制御されてもよいし、或いは非対称的なものを含む多数の温度マップを形成するようにゾーンが選択可能であってもよい(即ち予め定義され及び対称的であることに代わって)ことが意図される。従って、ランプは、対称性又は均一性に制限されずに、既に測定されたウェハマップに基づいて制御される。(図1のステップ108を参照されたい。)適当な放射エネルギーアッセンブリ218の態様は、参考としてここにその全体を援用する米国特許第6,350,964号に詳細に説明されている。
【0049】
[0073]この点について、シリコンベースの上面全体に対してウェハマップを発生できることが意図される。このケースでは、ウェハが堆積中に回転されず、従って、酸化物形成の大きな選択性を得ることができる(例えば、ウェハを加熱するように動作される個々に制御可能な熱的素子により)。
【0050】
[0074]複数の光パイプ221及びそれに関連したランプ219で構成される放射エネルギーソース218は、薄い石英ウインドウ248を使用して、排気プロセスチャンバー内で基板を加熱するための光学的ポートを設けるのを許容する。ウインドウ248の主たる目的は、ランプ219が著しく高温になってプロセスガスと反応し得るので、プロセス環境をランプ219から分離することである。光パイプ221は、種々のヒートパイプ間に水のような冷却材を流すことにより冷却することができる。
【0051】
[0075]装置200の底壁215は、ウェハ261の背面へエネルギーを反射するための頂面211を含む。更に、急速熱加熱装置200は、その底面にわたる複数の場所でウェハ261の温度を検出するために、装置200の底壁215を通して位置された複数の光学温度プローブ270を備えている。シリコンウェハ261の背面と、反射面211との間の反射は、ウェハ背面の放射率とは独立して温度測定を果たし、ひいては、正確な温度測定能力を与える黒体空洞を形成する。
【0052】
[0076]一実施形態では、急速熱加熱装置200は、ウェハ261又は基板の温度を5−250℃/秒のレートで上昇できる単一ウェハ反応チャンバーである。急速熱加熱装置200は、酸化プロセス中のウェハの温度がチャンバー側壁214の温度より少なくとも400℃高いので、「冷壁」反応チャンバーと称される。加熱/冷却流体が、側壁214及び/又は底壁215を通して循環されて、これらの壁を希望の温度に維持することができる。本発明の態様に基づくその場での蒸気発生を使用する蒸気酸化プロセスの場合に、チャンバー壁214及び215は、凝縮を防止するために室温(23℃)より高い温度に維持される。
【0053】
[0077]急速熱加熱装置200の態様は、制御システム288により動作される。この制御システム288は、多数のコントローラ、プロセッサ、及び入力/出力装置を含んでもよい。一実施形態では、制御システムは、ウェハを処理する間にプロセスチャンバー213内の種々のパラメータを監視し、次いで、1つ以上の制御信号290を発生して、種々の設定点に基づく必要な調整を行う閉ループフィードバックシステムのコンポーネントである。一般に、監視されるパラメータは、ゾーン温度、チャンバー温度、及びガス流量を含む。これらパラメータの各々は、所定の希望/ターゲット酸化物プロフィールに基づいて処理中に調整及び維持される。
【0054】
[0078]本発明の態様によりウェハを処理する方法が図4の方法300で示されている。この方法300は、図1のステップ104の一実施形態を表している。従って、ウェハマップが既に発生され、ターゲットプロフィールが決定されている(図1のステップ108を参照)ことが意図される。方法300は、図2及び3に示された急速熱加熱装置におけるその場での蒸気発生プロセスに関して説明する。更に、本発明の酸化プロセスは、図5Aに示すシリコンウェハ261のシリコンゲート電極402及びシリコン基板面404の蒸気酸化に関して説明する。しかしながら、ここでも、その場での蒸気発生プロセスは、酸化物を成長させるための一実施形態に過ぎず、他のプロセス(例えば、外部での蒸気発生、リモートプラズマ、等)も意図されることを強調しておく。更に、本発明の酸化プロセスは、ドープされた(例えば、p型又はn型)及び非ドープの形態を含んで、エピタキシャル、アモルファス又は多結晶を含むいかなる形式のシリコンも酸化するのに使用できることが明らかであろう。更に、これらプロセスを使用して、エミッタ及びキャパシタ電極、相互接続部、及びトレンチを含む(が、これらに限定されない)他のデバイス又は回路特徴部を酸化することもできるし、又、これらプロセスを使用して、ゲート誘電体層を形成することもできる。従って、本発明の酸化物成長プロセスは、デバイスの一部分を形成する酸化物の成長に適応されてもよいことが明らかであろう。
【0055】
[0079]ブロック302で示された本発明による第1ステップは、ウェハ261のようなウェハ又は基板を真空チャンバー213へ移動することである。近代的なクラスターツールで通常そうであるように、ウェハ261は、ロボットアームにより、ロードロックから移送チャンバーを通して移送されて、図2に示すように、チャンバー213内に置かれた炭化シリコン支持リング262に、表面を上にして載せることができる。ウェハ261は、一般に、適当な移送圧力(例えば、約20Torr)で窒素(N2)雰囲気を有する真空チャンバー213へ移送される。次いで、チャンバー213がシールされる。
【0056】
[0080]次いで、ブロック304において、ガス出口268を経て窒素(N2)雰囲気を排気することによりチャンバー213の圧力が更に減圧される。チャンバー213は、窒素雰囲気を充分に除去する圧力まで排気される。チャンバー213は、その場での蒸気発生を行うべき圧力より低い前反応圧力までポンプダウンされ、好ましくは、1Torr未満の圧力までポンプダウンされる。
【0057】
[0081]前反応ポンプダウンと同時に、電力がランプ219に印加され、該ランプは、次いで、ウェハ261及び炭化シリコン支持リング262を照射し、これにより、ウェハ261及び支持リング262を安定化温度へ加熱する。ウェハ261の安定化温度は、その場での蒸気発生に使用されるべき水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応を開始するのに必要な温度(反応温度)より低い。一実施形態における安定化温度は、約500℃である。安定化時間は、数分から0秒程度の短い時間まで変化し得る。従って、一実施形態では、より高いスループットを達成するために、安定化ステップが全く回避される。
【0058】
[0082]安定化温度及び前処理圧力に到達すると、チャンバー213は、プロセスガスの希望の混合物で逆充填される。一実施形態では、プロセスガスは、2つの反応ガス、即ち水素含有ガスと酸素含有ガスとを含み、これらは、一緒に反応して、400−1250℃の温度において水蒸気(H2O)を形成することができる。水素含有ガスは、水素ガス(H2)であるのが好ましいが、他の水素含有ガス、例えば、これに限定されないが、アンモニア(NH3)、ジューテリウム(重水素)、及びメタン(CH4)のような炭化水素でもよい。酸素含有ガスは、酸素ガス(O2)であるのが好ましいが、他の形式の酸素含有ガス、例えば、これに限定されないが、亜酸化窒素(N2O)でもよい。もし希望であれば、プロセスガス混合物に、他のガス、例えば、これに限定されないが、窒素(N2)が含まれてもよい。酸素含有ガス及び水素含有ガスは、チャンバー213において一緒に混合されて、反応ガス混合物を形成するのが好ましい。
【0059】
[0083]本発明においては、反応ガス混合物の分圧(即ち、水素含有ガス及び酸素含有ガスの合成分圧)が、安全な反応条件を確保するように制御される。本発明によれば、チャンバー213は、プロセスガスで逆充填され、反応ガス混合物の分圧が、反応ガスの希望の濃度比の全ボリュームの自然発火が所定量の爆発圧力波を発生しない分圧より低くなるようにされる。所定量とは、チャンバー213が失敗せずに確実に取り扱いできる圧力の量である。図6は、950℃の処理温度においてチャンバー213の全ボリューム約2リッターの自然発火に対し、150Torrの分圧におけるO2及びH2の異なる反応ガス混合物についての爆発圧力を示すグラフである。本発明によれば、その場での蒸気発生は、チャンバーの完全性に影響を及ぼすことなく4気圧以上の爆発圧力波を確実に取り扱うことのできる反応チャンバーにおいて実行されるのが好ましい。このようなケースでは、反応ガスの濃度及び動作分圧は、チャンバーの全ボリュームの自然発火に対して2気圧より高い爆発波を与えないのが好ましい。
【0060】
[0084]本発明において反応ガス混合物のチャンバー分圧を制御することにより、H2/O2の比が各々2:1より大きいものを使用する水素に富んだ混合物、及びH2/O2の比が各々0.5:1より小さいものを使用する酸素に富んだ混合物を含めて、水素含有ガス及び酸素含有ガスの任意の濃度比を使用することができる。例えば、図6に示すように、反応ガスのチャンバー分圧が処理温度において150Torr未満に維持される限り、O2及びH2の濃度比を安全に使用することができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスの濃度比を使用できることで、H2/H2Oの希望の濃度比、又はO2/H2Oの希望の濃度比をもつ雰囲気を発生することができる。雰囲気が酸素に富んだ蒸気又は酸素が希薄な蒸気であるか、或いは水素に富んだ蒸気又は水素が希薄な蒸気であるかは、デバイスの電気的特性に著しく影響し得る。本発明は、広範囲な様々な異なる蒸気雰囲気を発生することができ、それ故、広範囲な様々な異なる酸化プロセスを実施することができる。
【0061】
[0085]ある酸化プロセスでは、蒸気濃度が低く、残りがO2であるような雰囲気が望まれることがある。このような雰囲気は、10%H2及び90%O2で構成される反応ガス混合物を使用することにより形成できる。他のプロセスでは、水素に富んだ蒸気(70−80%H2/30−20%H2O)の雰囲気が望まれることがある。水素に富んだ、低蒸気濃度の雰囲気は、O2が5−20%で、残りがH2(95−80%)である反応性ガス混合物を使用することにより発生できる。本発明では、加熱されたウェハが反応を推進するための連続的な点火ソースとなるので、水素含有ガス及び酸素含有ガスのいかなる比を使用してもよいことを理解されたい。
【0062】
[0086]次いで、ブロック308で示されるように、ランプ219への電力を増加して、ウェハ261の温度を処理温度へと上昇させる。ウェハ261は、安定化温度から処理温度へ10−100℃/秒のレートで上昇されるのが好ましいが、75℃/秒が典型的である。本発明の好ましい処理温度は、600−1150℃であり、1100℃が典型的である。処理温度は、少なくとも反応温度でなければならず(即ち、少なくとも、酸素含有ガスと水素含有ガスとの間の反応をウェハ261により開始できる温度でなければならず)、これは、典型的に、少なくとも600℃である。実際の反応温度は、反応ガス混合物の分圧と、反応ガス混合物の濃度比とに依存し、400℃から1250℃であることに注意されたい。
【0063】
[0087]ウェハ261の温度が処理温度に上昇されるときには、反応温度を通過し、水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応を生じさせて、水分又は蒸気(H2O)を形成させる。急速熱加熱装置200は、「冷壁」リアクターであるから、チャンバー213において反応を開始させる唯一充分な高温面は、ウェハ261及び支持リング262である。従って、本発明では、蒸気発生反応がウェハ261の表面付近で発生する。
【0064】
[0088]蒸気発生反応を開始し即ち「オン」にするのはウェハ(及び支持リング)の温度であるから、反応は、ウェハ261(及び支持リング262)の温度により熱的に制御されると言える。更に、本発明の蒸気発生反応は、反応を生じさせるためにウェハの加熱された表面が必要であるが、水蒸気を形成する反応においてそれが消費されないので、「表面触媒作用される」と言える。
【0065】
[0089]次いで、ブロック310で示されるように、希望の処理温度に到達すると、ウェハ261の温度は、水素含有ガス及び酸素含有ガスの反応により発生される水蒸気でシリコン表面又は膜を酸化させてSiO2を形成できるようにするに充分な時間周期中、処理温度又はそれより高い温度に維持される(一定に保持されるか又は変化されて)。ウェハ261は、通常、10から240秒間、処理温度に保持される。処理時間及び温度は、一般に、希望の酸化物膜の厚み、酸化の目的、並びにプロセスガスの形式及び濃度により指図されるか、又は少なくともそれらに依存する。図5Bは、その場での蒸気発生プロセスにより発生された水蒸気(H2O)によりシリコン表面402及び404を酸化することでウェハ261に形成された酸化物406を示す。処理温度は、発生された水蒸気又は蒸気をシリコン表面と反応させて二酸化シリコンを形成できるに充分でなければならないことが明らかである。
【0066】
[0090]次いで、ブロック312で示すように、ランプ219への電力を減少し又はオフにして、ウェハ261の温度を低下させる。ウェハ261の温度は、それが冷め得るのと同程度の速さで(約50℃/秒で)低下(下降)する。同時に、N2パージガスがチャンバー213へ供給される。蒸気発生反応は、ウェハ261及び支持リング262が反応温度より下がったときに停止となる。この場合も、蒸気反応が「オン」又は「オフ」にされるときを指図するのは、ウェハ(及び支持リング)の温度である。
【0067】
[0091]次いで、ブロック314で示されるように、チャンバー213に酸素含有ガス及び水素含有ガスの残留が存在しないよう確保するために、チャンバー213が好ましくは1Torrより低くポンプダウンされる。次いで、チャンバーは、希望の移送圧力へとN2ガスで逆充填され、ウェハ261がチャンバー213から移送されて、プロセスが完了する。このとき、新たなウェハをチャンバー213へ移送して、図4に示したプロセス300を繰り返すことができる。或いは又、同じウェハに対して同じ又は異なるプロセスパラメータ値でプロセス300を繰り返すことが望まれてもよい。
【0068】
[0092]次いで、ウェハは、酸化物を除去する別の場所へ移送される。一実施形態では、ウェハがHFディップに入れられる。HFディップは、1%HF/99%水から50%HF/50%水でよい。通常、HFディップは、室温で遂行される。エッチング時間は、HF濃度に基づいて広範囲に変化するが、10秒(高いHF濃度)から800秒(1%HF濃度)の時間が典型的である。HFバスは、シリコンがエッチングストッパーとして働くので、ウェハのシリコン下層から酸化物を選択的に除去するためのコスト効率の良い解決策を与える。即ち、HFエッチングメカニズムは、酸化物が除去されて基底のシリコンが露出すると、実質的に低速化され又は終了される。当業者であれば、本発明は、酸化物を除去するための特定の装置及び技術に限定されないことが明らかであろう。酸化物を除去するための様々なシステムが、例えば、アプライド・マテリアルズ・インクから入手できる。効果的に使用できるアプライド・マテリアルズ・インクからの1つのシステムは、ダイエレクトリック・エッチングeMaxシステムである。
【0069】
[0093]ISSGプロセス中の時間に、水蒸気の濃度が高い(例えば、>40%H2O)雰囲気を発生する水素含有ガス及び酸素含有ガスの濃度比を使用することが望まれてもよい。このような雰囲気は、例えば、40−80%H2/60−20%O2で構成される反応ガス混合物で形成することができる。化学式通りの比に近いガス混合物は、安全な反応条件を確保するために非常の多くの可燃性材料を生成できる。このような状態では、濃度の低いガス混合物(例えば、H2において15%未満のO2)をステップ306中に反応チャンバーに送り込むことができ、ステップ308においてウェハの温度が反応温度まで上がり、低濃度比で反応が開始される。反応が開始され、既存の反応ガスボリュームが欠乏し始めると、濃度比を希望レベルまで高めることができる。このようにして、反応の開始に使用できる燃料の量を小さく保ち、安全な動作条件を確保することができる。
【0070】
[0094]あるケースでは、酸化レートの改善を得るためにその場での蒸気発生に対して比較的低い反応ガス分圧が使用される。水素ガス(H2)及び酸素ガス(O2)に1Torrから50Torrの分圧を与えると、シリコンの酸化物成長レートに改善が得られることが分かった。即ち、所与の1組のプロセス条件(即ち、H2/O2濃度比、温度及び流量)に対して、シリコンの酸化レートは、H2及びO2の低い分圧(1−50Torr)の方が、高い分圧(即ち、50Torrから100Torr)より、実際上高くなる。
【0071】
[0095]図7のグラフは、反応ガスの分圧がシリコンの酸化レートをいかに改善できるかを示す。曲線602は、1050℃で30秒間9%H2と91%O2とを反応させることにより生成された雰囲気に対し、異なる反応ガス分圧に対して形成された異なる酸化物厚みを示す。曲線604は、1050℃で60秒間33%H2と66%O2とを反応させることにより生成された雰囲気に対し、異なる反応ガス分圧に対して形成された異なる酸化物厚みを示す。
【0072】
[0096]図7のグラフから明らかなように、H2及びO2の反応ガス分圧が大気圧から9%H2の場合に約50Torrへ及び33%H2の場合に約30Torrへ増分的に減少されると、シリコンの酸化レートも増分的に減少する。反応ガス分圧の減少に伴うシリコンの酸化レートの減少は、蒸気の発生に使用できるO2及びH2が少ないときには酸化レートが減少することが予想されるという点で、予想できる。しかしながら、9%H2の場合に約50Torr及び33%H2の場合に30Torr以下の反応ガス分圧が得られるときには、反応ガス分圧の増分的減少と共に酸化レートが増加し始める。酸化レートは、最大改善酸化レートが約8−12Torrに到達するまで増加し続け、この点において、反応ガス分圧の増分的減少に対して酸化レートが減少し始める。8−12Torrにおいて最大改善酸化レートに到達した後に酸化レートが減少し始めるが、依然として改善された酸化レートを与え(即ち、約50Torr(9%H2)及び30Torr(33%H2)において生じる酸化レートより高い酸化レートを与え)、やがて、反応ガス分圧が約1−3Torrになると、酸化レートの改善が終わりとなる。
【0073】
[0097]図7にはH2/O2の2つの濃度比の酸化レートしか示されていないが、2%H2/98%O2から66%H2/33%O2の他の濃度比の酸化レートも同様に振舞う。酸化の改善が生じる反応ガス分圧(即ち、所与の1組のプロセスパラメータに対して反応ガス分圧が減少すると、シリコンの酸化レートの増加を生じさせるような反応ガス分圧又はそれ以下)で動作するときには、水素含有ガス及び酸素含有ガスの濃度比によりシリコンの酸化レートが影響を受けることが分かった。例えば、図8は、所与の1組のプロセスパラメータ(即ち、O2流量10SLM、反応ガス分圧10Torr、温度1050℃、及び時間30秒)に対し、H2及びO2の異なる濃度比に対する異なる酸化物厚みを示す。図8に示すように、酸化レートの最大増加は、1−5%H2で生じる一方、33%H2の後に、酸化レートは約150オングストローム/分で安定化する。
【0074】
[0098]図9は、異なるその場での蒸気酸化プロセス(33%H2/66%O2、5%H2/95%O2、2%H2/98%O2、又は10Torr)と、異なる乾式酸化プロセス(10Torrにおいて100%O2及び大気において100%O2)とに対し、酸化物厚みが酸化時間に対していかに変化するかを示す。図9に示すように、減圧蒸気酸化プロセスは、同じ圧力において乾式酸化プロセスに勝る酸化レートの増加を与える。更に、H2濃度が3%より高いその場での蒸気発生酸化プロセスは、大気圧を含む全ての酸化圧力において乾式酸化プロセスより高い酸化レートを与える。
【0075】
[0099]シリコン酸化レートの改善を得る酸化圧力で動作するときには、酸化レートが、酸素含有ガス及び水素含有ガスの合計流量により著しく影響される。例えば、図10は、チャンバーボリュームが約2リッターの急速熱処理装置200において、10Torrの反応ガス分圧及び1050℃の温度で、33%H2/66%O2反応ガス混合物の全流量に対してシリコンの酸化レートがいかに変化するか示している。図10に示すように、酸化レートの改善を得るために低い反応ガス分圧で動作するときには、全流量を増加すると、酸化レートが増加する。図10に示すように、酸化レートは、全流量が10SLM未満であるときには全流量の増加に対して急激に増加し、全流量が10SLMより増加するときは増加するが、あまり急激ではない。
【0076】
[00100]従って、酸化の改善を与える分圧で動作するときには、シリコンの酸化レートは、制限された「大量搬送レート」であるといえる。即ち、酸化レートは、チャンバーへ送り込まれる反応ガスの量により制限される。
【0077】
[00101]酸化物レートに加えて、その場での蒸気発生プロセスの種々のパラメータは、得られる酸化物の厚みプロフィールに影響する。特に、圧力、流量、温度及び酸化混合物の濃度が主として酸化物厚みプロフィールを指図することが決定されている。これらパラメータの各々を制御することにより、希望(又はターゲット)の酸化物プロフィールを得ることができる。希望の酸化物プロフィールとは、酸化物がその後に除去されたときに充分平坦なシリコン表面を形成するように希望量のシリコンを消費するものである。充分平坦なシリコン表面は、特定の用途に基づいて定義される。例えば、あるSOIウェハのケースでは、シリコンウェハは、2乗平均(RMS)粗面性が0.1nm以下でなければならない。
【0078】
[00102]説明上、図11は、酸化前ウェハプロフィール及び希望の酸化物プロフィールを示す。オングストロームでの酸化物厚み(y軸)が、ウェハ上の半径方向位置(x軸)に関して示されている。希望の酸化物プロフィールが、酸化前基板のプロフィールにいかに実質的に合致するかに注意されたい。このような結果は、酸化物が厚いほど、シリコンの消費が大きいことを示すので、基底シリコンを平坦化する目的と一貫したものとなる。一実施形態では、シリコンのある断片的消費を仮定して、希望/ターゲット酸化物厚みが計算される。
【0079】
[00103]酸化を行うときのシリコンの断片的消費は、良く知られた定数で、約43%である。即ち、SiO2が1Å成長するたびに、Siが約0.43Å消費される。従って、実際には、最初に計算されたターゲット酸化物プロフィールは、この値でスタートすることにより実行可能性について評価することができる。ターゲットプロフィールが非均一であって、極端な温度/流量/圧力分布(即ち、チャンバーにとって安全で及び/又はウェハ自体によりダメージを生じずに持続できるものを越えた)を必要とする場合には、より妥当な酸化物ターゲットが決定されるまで43%から値を下げることができる。
【0080】
[00104]図12には、酸化物厚みプロフィールに対するガス流量の作用が示されている。図12に示されたガス流量は、全ガス流量で、H2及びO2のパーセンテージは、各々、33%及び66%である。特に、図12は、(i)40slm及び100秒の浸漬/処理時間(図4のステップ310)で処理されたウェハと、(ii)30slm及び150秒の浸漬/処理時間で処理されたウェハとの酸化物厚みを示している。両ウェハは、同様のU字型プロフィールを示している。しかしながら、高いガス流量(40slm)で処理されたウェハは、より平坦で、より均一なプロフィールをもち、成長レートもより高い。従って、本発明の実施形態は、低い流量で実施されるのが好ましい。一般に、全流量は、約5SLMから40SLMまで変化し得る。流量は、約10SLMから約40SLMであるのが好ましい。浸漬時間は、約30秒から約90秒であるのが好ましい。
【0081】
[00105]図13には、酸化物厚みプロフィールに対する圧力の作用が示されている。説明上、図13は、3つの全圧力11Torr、12Torr及び4.6Torrに対する酸化物厚みを示している。処理温度は、全流量40SLM、33%H2及び66%O2において、1100℃に60秒間保持される。上述した酸化物成長レートの逆転(11Torrにおける酸化物厚みが12Torrにおける酸化物厚みより大きく、一方、4.6Torrにおける酸化物厚みが11Torr及び12Torrの両方における厚みより小さい)を説明するのに加えて、図13は、酸化物厚みプロフィールが圧力と共に変化することを示している。例えば、4.6Torrにおけるプロフィールは、中央がフラットで(又は若干中央が厚く)、縁に向かってテーパーが付けられた特性を示す。これに対して、11及び12Torrにおけるプロフィールは、中央が薄く(U字型で)、縁に向かって増加する厚みを示す。従って、他の全て(即ち、温度/合計ガス量/濃度、等)が等しいとすれば、圧力が高いほど、プロフィールは、縁がより厚くなり(U字型)、一方、圧力を下げると、プロフィールは、中央がより厚くなる。チャンバーの圧力は、約6Torrから約14Torrであるのが好ましい。
【0082】
[00106]上述したように、次々の酸化物成長ステップを、異なるパラメータ値で又は同じプロセスパラメータで実行するのが好都合なことがある。例えば、酸化物の成長は、化学的堆積プロセスではなくて、拡散プロセスであるから、2つの次々の成長ステップを異なる圧力で組み合わせると、2つの独立したプロセスの単純な加算とは異なる結果が得られる。説明上、例えば、図14は、異なる圧力において2つの次々の成長ステップを使用して酸化物が成長された場合の酸化物プロフィールを示している。より詳細には、(i)1つのウェハは、6Torrで60秒間、次いで、11Torrで120秒間処理され、(ii)第2のウェハは、12Torrで100秒間、次いで、4.5Torrで60秒間処理された。比較のために、11Torrで120秒間処理されたウェハを表す第3の曲線も示されている。全てのウェハは、30slmの全流量で処理された。
【0083】
[00107]更に図14を参照すれば、ウェハを先ず高い圧力で、次いで、低い圧力で処理すると(例えば、12Tで100秒間、4.5Tで60秒間)、U字型であるがウェハ縁付近で平らになるプロフィールが生じることが明らかである。先ず低い圧力で、次いで、高い圧力で処理された(例えば、6Tで60秒間、11Tで120秒間)ウェハのプロフィールは、1ステップの高圧力でのプロフィール(即ち、11Tで120秒間処理されたウェハ)と同様であるが、140mmより大きな半径において、厚みが増加する。
【0084】
[00108]温度に関しては、温度を高くすると、乾式RTOプロセス及び湿式RTOプロセス(即ち、上述したその場での及び外部での蒸気発生プロセス)の両方において酸化レートの増加を生じさせると決定された。従って、装置200の熱的に制御可能なゾーンは、最初のシリコンプロフィールが分かると、希望のプロフィールをもつ酸化物層の成長を容易にする。即ち、比較的厚いシリコンのエリアでは、対応ゾーン温度を、比較的薄いシリコンのエリアに対して高くすることができる。熱的制御の使用に対する1つの制限は、基板にスリップが導入される可能性である。スリップは、シリコンの単結晶構造の原子スケールの欠陥で、そこに印刷されるデバイスに悪影響を及ぼし得る。スリップは、多数の仕方で生成され得るが、共通の原因は、基板が高い温度にある間の基板の温度勾配である。従って、熱ゾーンにわたって生じる温度勾配を制御して、スリップの発生を回避しなければならない。一実施形態では、平均処理温度が約600℃から1250℃でよく、好ましくは、約1000℃から約1150℃でよい。しかしながら、希望の結果を得るために使用できる特定の処理温度は、主として、圧力、ウェハ材料(1つ又は複数)、ウェハ内温度勾配等を含む種々のファクタに依存する。
【0085】
[00109]又、ここに述べるISSGプロセスにおける酸化混合物の成分の相対的濃度も、酸化物厚みプロフィールに作用するように操作することができる。一般に、相対的に低い濃度のH2は、より平坦なプロフィールを形成するが、相対的に高い濃度のH2は、縁に向かってテーパー付けされたプロフィールを形成する。酸化混合物の濃度は、約10%から約33%H2であるのが好ましい。
【0086】
[00110]以上の実施形態は、水蒸気がその場で形成され、即ち処理されるべきウェハを収容している処理領域内で形成される蒸気発生プロセスを説明するものである。しかしながら、別の実施形態では、水蒸気は、ウェハを収容している処理領域の外側で形成され、次いで、処理領域へ導入される(このプロセスは、ここでは、外部(ex situ)蒸気発生プロセスと称される)。図17は、このような外部蒸気発生プロセス用に構成されたシステムの一実施形態を示す。簡略化のため、図2を参照して既に述べた同じコンポーネントを同じ番号で示す。従って、これらの既に述べたコンポーネントは、再び詳細に説明しない。図2のチャンバーと図17のシステムとの間の注目すべき相違は、プロセス流体ソース280とプロセスチャンバー213との間に配置されるコンバータ292を設けたことである。一般に、コンバータ292は、該コンバータへ入力された流体(1つ又は複数)を加熱できる熱ユニットである。特定の実施形態では、コンバータ292は、フジキン・インコーポレーテッドから入手できるウオーター・ベーパー・ジェネレータである。ここに示す実施形態では、コンバータ292は、酸化混合物コンポーネントである水素及び酸素を入力として得る。次いで、コンバータ292は、水素及び酸素を加熱し、これらは反応して蒸気を発生する。このため、コンバータ292は、約200℃から約500℃の内部温度で動作することができる。コンバータ292に発生された蒸気は、次いで、チャンバーへ流し込まれ、そこで、ウェハと反応して、ウェハ上に酸化物を形成する。
【0087】
[00111]チャンバーで生じる反応に対するプロセスパラメータ値は、一般に、その場での蒸気発生プロセスについて上述したものと同じでよい。しかしながら、2つの湿式RTOプロセス(その場での及び外部での)間の注目すべき相違は、外部でのプロセスが大気条件で実行できるのに対して、その場での蒸気発生プロセスが大気より低い条件で実行されることである。これは、外部での蒸気発生プロセスのケースでは、反応チャンバー内の爆発が問題でないためである。更に、外部での蒸気発生プロセスの高い動作圧力は、好都合にも、その場での蒸気発生プロセスに対して高速の酸化物成長レートを達成する。その場での蒸気発生プロセスと、外部での蒸気発生プロセスとの間の更に別の相違は、外部での蒸気発生の場合に基板上の酸化物成長プロフィールを制御するために操作される主たるパラメータが温度であることである。しかしながら、外部での蒸気発生プロセスの他の観点、例えば、反応チャンバーにおける混合物濃度も制御できる。例えば、付加的な酸素がチャンバーに個別に導入されて、そこに存在する蒸気との結合が許されてもよい。
【0088】
[00112]蒸気発生プロセス(その場での及び外部での)は、特定の反応種、即ち水の蒸気に関して説明したが、本発明の教示は、反応種の蒸気を形成する他のプロセスにも適用できることが明らかであろう。次いで、反応種の蒸気は、ウェハ又はその上に形成された膜と反応されて、膜成長のようなプロセスを実行することができる。例えば、本発明の蒸気発生プロセスを使用して、二酸化シリコン(SiO2)膜を丈夫なシリコンオキシニトライド膜へ変換することができる。例えば、アンモニア(NH3)及び酸素(O2)で構成される反応ガス混合物をチャンバーへ送り込み、次いで、ガスの反応を開始するに充分な温度にウェハを加熱することにより反応を生じさせて、酸化窒素(NO)を蒸気形態で形成することができる。次いで、酸化窒素の蒸気を、ウェハに形成された酸化物膜と反応させて、シリコンオキシニトライド膜を形成することができる。シリコンオキシニトライド膜は、100オングストローム未満の厚みで丈夫なゲート誘電体層をなすことが分かった。当業者であれば、本発明の蒸気発生プロセスの他の用途が明らかであろう。
【0089】
[00113]ここに詳細に述べる酸化物成長プロセスは、単なる例示に過ぎず、表面トポグラフィーに基づいて制御された仕方で酸化物を形成するいかなる方法又は装置も本発明の範囲内で考えられることを再び強調しておく。更に、本発明の酸化物成長プロセスのいずれも互いに組み合わせて使用できる。例えば、蒸気発生プロセスは、酸化物の成長が熱的に制御される乾式RTOプロセスと組み合わせて使用されてもよい。即ち、ウェハを装置200に入れて、酸素ソース282から酸素を流すのを許容することにより酸素含有環境に露出させる一方、ランプアッセンブリ218を制御して、基板の半径にわたり熱勾配を形成することができる。熱勾配のプロフィールは、シリコン材料のプロフィールに一致させるように選択され、ウェハに二酸化シリコンの成長を生じさせる。特定の実施形態では、酸素が約5SLMから約30SLMのレートでチャンバーに流し込まれる。処理チャンバーは、約760Torrの圧力で安定化させることができる。熱ゾーンT1−T7は、ウェハにわたり温度勾配を確立するように制御される。特定の勾配は、希望のプロフィール、並びに種々の他のパラメータ及び条件、例えば、ウェハの材料に基づいて変化する。更に、ここで使用する「勾配」とは、ウェハの半径に対する温度の直線的な変化である必要はない。むしろ、「勾配」は、半径を横切る非均一な温度を指す。従って、ウェハは、中央領域及び縁が、その中間の暖かい領域に対して冷たくてもよい。基板は、約5秒から約600秒の時間周期中、処理される。その後、同じチャンバー(又は別のチャンバー)において、ここに開示した蒸気発生プロセスによりウェハを処理することができる。或いは又、蒸気発生プロセスが最初に行われてもよく、即ち乾式RTOプロセスが蒸気発生プロセスの後に実行されてもよい。当業者であれば、本発明により及び本発明の範囲内で種々様々な酸化物成長プロセス及びそのようなプロセスの組合せが可能であることが明らかであろう。
【0090】
[00114]上述したように、本発明の酸化物成長プロセスは、例えば、SOIウェハ及びEpiウェハに適用することができる。SOI及びEpiの両ウェハは、乾式酸化ステップ(即ち、温度勾配を伴う乾式RTO)及び蒸気発生ステップ(蒸気発生は、ここで定義したその場でのもの又は外部でのものでよい)を含む多ステップの酸化物成長プロセスに基づいて処理することができる。更に、蒸気発生ステップ中のウェハ温度は、ウェハにわたって半径方向に均一又は非均一な温度を得るように制御することができる。各ステップの順序及び繰り返し数は、希望の結果を得るように変更してもよい。均一なウェハ温度をもつ蒸気発生プロセス、及び非均一なウェハ温度をもつその後の蒸気発生プロセスの一実施例を以下に示す。
温度制御と組み合わされるISSGプロセスの実施例
[00115]全部で6個の300mmSOIウェハが処理された。SOIウェハを処理する前に、13個のPオンP Epi Siウェハが同調及び設定に使用された。その目的は、SOIウェハの非均一シリコン層厚みを補償するように非均一な犠牲的酸化物膜厚みプロフィールの成長を実証するためであった。SOIウェハ上のシリコン層は、ウェハの縁において厚いものであった。従って、その目標は、酸化物層もその縁において厚くし、酸化物を剥離した後にシリコン層をより均一なものにすることであった。ターゲット厚みは、ウェハの中央領域で160Åであり、ウェハの縁で190Åに増加するものであった。Epi同調ウェハを使用して、全ガス流量、圧力及び浸漬時間を変更することにより、希望の非均一な酸化物厚みプロフィールに対してISSGプロセスを同調した。以下のテーブルIに要約されたように、レシピステップ2から7(図4のステップ306から310に対応する)の間に、14Torrにおいて、1100℃で130秒間浸漬し、33%水素及び67%酸素が40slmの全ガス流量の状態で、名目上のISSGプロセスが実行された。従って、30slmの全ガス流量の場合には、水素が9.9slmで、酸素が20.1slmである。
【0091】
【表1】
【0092】
[00116]圧力及び流量をベースとするプロセスのみで特定のプロフィールが得られた。その後、種々のゾーンの温度を調整して、ウェハの中央領域におけるプロフィールをフラットにした。ゾーンT1からT7に対する特定温度調整を選択して、スリップを導入せずに、希望のプロフィールへの最良の適合を与えた。より詳細には、ゾーン温度に対して次の温度調整を行い、スリップのない性能をEpi同調ウェハに与えた。即ち、+2.0℃(T1)、+4.8℃(T2)、−0.5℃(T3)、+1.5℃(T4)、−8.0℃(T5)、−5.0℃(T6)、及び−8.0℃(T7)。それに対応するプロフィールが図15に示されている。
【0093】
[00117]酸化物の形成に続いて、ウェハは、100:1のHFディップに1800秒間入れられ、次いで、リンスして、乾燥された。2つの酸化物層をある程度畳み込みすることのできる3層(SiO2−Si−SiO2−基板)膜スタックの分析を使用してシリコン層厚みの測定を行った。図16に示すように、Epiウェハの厚み範囲は、13.9Åから9.7Åへ減少された。この実施例では、全てのシリコン及び酸化物厚みは、ThermaWave Optiprobe Ellipsometer/Reflectometerツールにより測定された。
【0094】
[00118]以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに、他の及び更に別の実施形態を案出することもでき、それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲により決定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】犠牲的酸化物を成長し除去するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に基づき酸化プロセスを実施することのできる急速熱加熱装置を示す図である。
【図3】図2の急速熱加熱装置における光源の配置を示す図である。
【図4】酸化プロセスを示すフローチャートである。
【図5A】酸化の前の半導体ウェハ又は基板を示す断面図である。
【図5B】酸化プロセスにより図5Aの基板に酸化物を形成したところを示す断面図である。
【図6】150Torrの分圧を有する種々のO2/H2濃度比に対して生じた爆発圧力を示すグラフである。
【図7】異なるH2/O2濃度に対する酸化物厚み対反応ガス分圧を示すグラフである。
【図8】酸化物厚み対H2/O2反応ガス濃度比を示すグラフである。
【図9】種々の濃度比及び反応ガス分圧に対する酸化物厚み対酸化時間を示すグラフである。
【図10】酸化物厚み対プロセスガスの全流量を示すグラフである。
【図11】その場で蒸気発生する(ISSG)プロセスの前のウェハプロフィール対希望の酸化物プロフィールを示すグラフである。
【図12】酸化物厚みに対する全ガス流量の作用を示すグラフである。
【図13】酸化物厚みに対する圧力の作用を示すグラフである。
【図14】酸化物厚みに対する2ステップ圧力変化プロセスの作用を示すグラフである。
【図15】2つのテストウェハに対して希望の酸化物厚みを実験結果と比較するグラフである。
【図16】シリコンプロフィール均一性の改善を示す実験結果のグラフである。
【図17】本発明の実施形態に基づき酸化プロセスを実施できる急速熱加熱装置の一実施形態を示す図である。
【図18】本発明のクラスターツールを例示する平面図である。
【図19】SOIウェハを使用して製造されたトランジスタを示す図である。
【図20】SOIウェハの用途を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
100・・・一体化された製造及び平坦化プロセス、180・・・クラスターツール、183・・・前端環境、184・・・ロードロックチャンバー、185・・・ポッドローダー、187・・・ポッド、188・・・移送チャンバー、189・・・ロボット、190・・・処理チャンバー、191・・・サービスチャンバー、200・・・急速熱加熱装置、213・・・排気プロセスチャンバー、214・・・側壁、215・・・底壁、216・・・「O」リング、218・・・放射エネルギーアッセンブリ、219・・・ランプ、221・・・光パイプ、248・・・ウインドウ、261・・・基板又はウェハ、262・・・支持リング、263・・・回転可能な石英シリンダー、268・・・ガス出口、269・・・ガス入口、270・・・光学温度プローブ、280・・・流体ソース、282・・・酸素含有ガスのソース、284・・・水素含有ガスのソース、286・・・真空ソース、288・・・制御システム、T1−T7・・・同心ゾーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハの上面を形成する材料上に犠牲的平坦化層を成長させる方法において、
(a)上記材料の非均一厚みプロフィールを決定するステップと、
(b)上記材料を平坦化するために上記非均一厚みプロフィールに基づいて1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップと、
(c)上記非均一プロフィールに従って上記ウェハの上記上面に上記犠牲的平坦化層を湿式酸化で成長させるステップであって、上記犠牲的平坦化層が上記材料の一部分を消費してその平坦化を行わせるようなステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、ウェハ温度値、ガス流量、チャンバー圧力及び処理時間の少なくとも1つを選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、約600℃から約1250℃のウェハ温度値を選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、約2SLMから約50SLMの酸素ガス流量を選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、約1000℃から約1150℃のウェハ温度値、約10SLMから約40SLMの酸化ガス流量、約6Torrから約14Torrのチャンバー圧力、約30秒から約90秒の処理時間、及び約10%から約33%H2を有する酸化混合物濃度を選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記犠牲的平坦化層は酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記材料はシリコンであり、上記犠牲的平坦化層は二酸化シリコンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記ウェハはシリコン・オン・インスレータウェハである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
湿式酸化で成長させる上記ステップは、上記材料を蒸気に露出させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記蒸気は、上記ウェハからの熱エネルギーによりその場で発生される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記蒸気は、外部で発生され、次いで、上記ウェハを含む反応エリアへ配送される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
(d)上記犠牲的平坦化層を除去するステップ、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上記ウェハ上に上記犠牲的平坦化層を繰り返し成長させ除去するステップを更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(a)−(d)を繰り返すステップを更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料を平坦化する方法において、
チャンバーにウェハを入れるステップと、
上記非均一なトポグラフィープロフィールに基づいて上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために蒸気含有環境を確立するステップと、
上記ウェハを上記蒸気含有環境に露出させて、上記ウェハ材料に犠牲的平坦化層を成長させるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項16】
上記犠牲的平坦化層は酸化物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記材料はシリコンであり、上記犠牲的平坦化層は二酸化シリコンである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
上記ウェハはシリコン・オン・インスレータウェハである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
蒸気含有環境を確立する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように選択されたチャンバー圧力に上記チャンバーを加圧する段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
蒸気含有環境を確立する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように選択された流量で上記チャンバーに酸素含有流体を流し込む段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
蒸気含有環境を確立する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように選択された濃度をもつ酸化流体を上記チャンバーに流し込む段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
上記ウェハにわたり温度勾配を作用させるステップを更に備え、上記温度勾配は、上記材料の平坦化消費を少なくとも一部分生じさせるように選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
希望のトポグラフィープロフィールが得られるまで上記ウェハに上記犠牲的平坦化層を繰り返し成長させ除去するステップを更に備えた、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
上記ウェハを上記蒸気含有環境に露出させる前に上記材料の非均一なトポグラフィープロフィールを決定するステップを更に備えた、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
上記蒸気含有環境は、上記材料の平坦化消費を生じさせるために上記材料の上記決定された非均一なトポグラフィープロフィールに基づいて選択されたチャンバー圧力により少なくとも一部分定義される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記蒸気含有環境は、上記材料の平坦化消費を生じさせるために上記材料の上記決定された非均一なトポグラフィープロフィールを使用して選択された流量で上記チャンバーに流し込まれる酸素含有流体により少なくとも一部分定義される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
上記材料の非均一なトポグラフィープロフィールを決定する上記ステップは、上記チャンバーにおいて遂行される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
非均一なトポグラフィーを有するウェハ材料を平坦化する方法において、
上記ウェハ材料を有するウェハをチャンバーに入れるステップと、
上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために上記非均一なトポグラフィーに基づいて上記ウェハ材料に犠牲的平坦化層を成長させるステップであって、
(a)上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために選択されたチャンバー圧力において第1の酸素含有環境に上記ウェハを露出させる一方、上記ウェハにわたって実質的に一定且つ均一の温度プロフィールを維持する段階、及び
(b)第2の酸素含有環境に上記ウェハを露出させる一方、上記ウェハにわたって非均一な温度プロフィールを維持して、上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせる段階、
を含む、犠牲的平坦化層を成長させるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項29】
上記チャンバーに上記ウェハを入れる前に上記非均一なトポグラフィーを決定するステップを更に備えた、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
上記第1及び第2の酸素含有環境は同じものである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
上記第1及び第2の酸素含有環境は異なるものである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
上記第1の酸素含有環境は純粋な酸素を含み、上記第2の酸素含有環境は酸素基を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
上記ウェハに犠牲的平坦化層を成長させ除去する上記ステップを繰り返し実行するステップを更に備えた、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
上記(a)及び(b)は繰り返し及び交互に実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
上記(a)及び(b)は順次に実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
上記(a)及び(b)は同時に実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料で構成されるウェハを平坦化する方法において、
チャンバーに上記ウェハを入れるステップと、
酸素含有流体及び水素含有流体で構成された流体混合物を上記チャンバーに流し込むステップと、
上記チャンバー内の上記流体混合物に上記ウェハを露出させるステップと、
ウェハ温度と、チャンバー圧力及び流体混合物流量の少なくとも一方とを制御して、上記非均一なトポグラフィープロフィールに基づいて上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせると共に、上記ウェハ材料に犠牲的平坦化層の形成を生じさせるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項38】
チャンバー圧力を制御する上記ステップは、上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるように上記チャンバー圧力を選択する段階を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
流体混合物の流量を制御する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように流量を選択する段階を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
上記流体混合物に上記ウェハを露出させる前に上記ウェハ材料の非均一なトポグラフィープロフィールを決定するステップを更に備えた、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
上記ウェハに犠牲的平坦化層を繰り返し形成し除去するステップを更に備えた、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
ウェハ温度を制御する上記ステップは、上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるように上記ウェハにわたり非均一な温度プロフィールを作用させる段階を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
上記非均一な温度プロフィールは、比較的高い温度のエリアでは比較的多くのウェハ材料の消費を生じさせると共に、比較的低い温度のエリアでは比較的少ないウェハ材料の消費を生じさせる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ウェハの上部シリコン含有層を平坦化する方法において、
上記ウェハのターゲット酸化物プロフィールを決定するステップと、
上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて、1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップであって、上記プロセスパラメータ値が、チャンバー圧力と、酸素含有流体及び水素含有流体で構成される酸化流体混合物の流体混合物流体流量との少なくとも一方から選択されるようなステップと、
酸化物成長チャンバーに上記ウェハを入れるステップと、
約6Torrから約14Torrのチャンバー圧力において上記チャンバーへ上記酸化流体混合物を流し込むステップと、
約10℃/秒から約100℃/秒でウェハ温度を上昇させるステップと、
約30秒から約90秒の時間周期中、上記チャンバー圧力及び上記ウェハ温度を酸化物成長状態に維持するステップと、
ウェハ温度と、チャンバー圧力、酸化流体混合物の流量及び酸化流体混合物の濃度の少なくとも1つとを制御して、上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて上記シリコン含有層の平坦化消費を生じさせると共に、上記シリコン含有層に犠牲的平坦化層の成長を生じさせるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項45】
犠牲的平坦化層を除去する上記ステップは、上記ウェハをフッ化水素(HF)ディップに入れる段階を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
上記酸化流体混合物は蒸気を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
上記酸化流体混合物を熱的に活性化して蒸気を形成するステップを更に備えた、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
上記ウェハに犠牲的平坦化層を繰り返し形成し除去するステップを更に備えた、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
酸化物成長チャンバーと、
非均一なトポグラフィープロフィールの材料を有するウェハを支持するように適応されたウェハ支持部材と、
上記酸化物成長チャンバーに流体結合された流体配送システムと、
ターゲット酸化物プロフィールを入力として受け取ると共に、少なくとも、
上記酸化物成長チャンバーに酸素含有環境を形成するための流体配送システムからの1つ以上の流体の流量、及び
チャンバー圧力、
を制御するように構成されたコントローラシステムと、
を備え、上記流量及びチャンバー圧力の少なくとも1つは、上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて上記ウェハの材料を消費するように選択され、これにより、犠牲的平坦化層が上記材料に形成されるようにしたシステム。
【請求項50】
上記犠牲的平坦化層の除去を実行するように適応された犠牲的平坦化層除去チャンバーを更に備えた、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
上記コントローラシステムは、更に、上記チャンバーに配置されたウェハ加熱素子を制御するように構成された、請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
上記加熱素子に供給される電力は、上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて選択される、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
上記加熱素子に供給される電力は、上記ターゲット酸化物プロフィールに対応して上記ウェハにわたり非対称的な温度プロフィールを発生するように選択される、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
上記加熱素子に供給される電力は、上記ターゲット酸化物プロフィールに対応して上記ウェハにわたり非均一な温度プロフィールを発生するように選択される、請求項51に記載のシステム。
【請求項55】
上記非均一な温度プロフィールは、比較的高い温度のエリアに比較的多くの材料の平坦化消費を生じさせるように選択される、請求項54に記載のシステム。
【請求項1】
半導体ウェハの上面を形成する材料上に犠牲的平坦化層を成長させる方法において、
(a)上記材料の非均一厚みプロフィールを決定するステップと、
(b)上記材料を平坦化するために上記非均一厚みプロフィールに基づいて1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップと、
(c)上記非均一プロフィールに従って上記ウェハの上記上面に上記犠牲的平坦化層を湿式酸化で成長させるステップであって、上記犠牲的平坦化層が上記材料の一部分を消費してその平坦化を行わせるようなステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、ウェハ温度値、ガス流量、チャンバー圧力及び処理時間の少なくとも1つを選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、約600℃から約1250℃のウェハ温度値を選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、約2SLMから約50SLMの酸素ガス流量を選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上のプロセスパラメータ値を選択する上記ステップは、約1000℃から約1150℃のウェハ温度値、約10SLMから約40SLMの酸化ガス流量、約6Torrから約14Torrのチャンバー圧力、約30秒から約90秒の処理時間、及び約10%から約33%H2を有する酸化混合物濃度を選択する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記犠牲的平坦化層は酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記材料はシリコンであり、上記犠牲的平坦化層は二酸化シリコンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記ウェハはシリコン・オン・インスレータウェハである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
湿式酸化で成長させる上記ステップは、上記材料を蒸気に露出させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記蒸気は、上記ウェハからの熱エネルギーによりその場で発生される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記蒸気は、外部で発生され、次いで、上記ウェハを含む反応エリアへ配送される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
(d)上記犠牲的平坦化層を除去するステップ、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上記ウェハ上に上記犠牲的平坦化層を繰り返し成長させ除去するステップを更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(a)−(d)を繰り返すステップを更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料を平坦化する方法において、
チャンバーにウェハを入れるステップと、
上記非均一なトポグラフィープロフィールに基づいて上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために蒸気含有環境を確立するステップと、
上記ウェハを上記蒸気含有環境に露出させて、上記ウェハ材料に犠牲的平坦化層を成長させるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項16】
上記犠牲的平坦化層は酸化物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記材料はシリコンであり、上記犠牲的平坦化層は二酸化シリコンである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
上記ウェハはシリコン・オン・インスレータウェハである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
蒸気含有環境を確立する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように選択されたチャンバー圧力に上記チャンバーを加圧する段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
蒸気含有環境を確立する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように選択された流量で上記チャンバーに酸素含有流体を流し込む段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
蒸気含有環境を確立する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように選択された濃度をもつ酸化流体を上記チャンバーに流し込む段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
上記ウェハにわたり温度勾配を作用させるステップを更に備え、上記温度勾配は、上記材料の平坦化消費を少なくとも一部分生じさせるように選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
希望のトポグラフィープロフィールが得られるまで上記ウェハに上記犠牲的平坦化層を繰り返し成長させ除去するステップを更に備えた、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
上記ウェハを上記蒸気含有環境に露出させる前に上記材料の非均一なトポグラフィープロフィールを決定するステップを更に備えた、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
上記蒸気含有環境は、上記材料の平坦化消費を生じさせるために上記材料の上記決定された非均一なトポグラフィープロフィールに基づいて選択されたチャンバー圧力により少なくとも一部分定義される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記蒸気含有環境は、上記材料の平坦化消費を生じさせるために上記材料の上記決定された非均一なトポグラフィープロフィールを使用して選択された流量で上記チャンバーに流し込まれる酸素含有流体により少なくとも一部分定義される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
上記材料の非均一なトポグラフィープロフィールを決定する上記ステップは、上記チャンバーにおいて遂行される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
非均一なトポグラフィーを有するウェハ材料を平坦化する方法において、
上記ウェハ材料を有するウェハをチャンバーに入れるステップと、
上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために上記非均一なトポグラフィーに基づいて上記ウェハ材料に犠牲的平坦化層を成長させるステップであって、
(a)上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるために選択されたチャンバー圧力において第1の酸素含有環境に上記ウェハを露出させる一方、上記ウェハにわたって実質的に一定且つ均一の温度プロフィールを維持する段階、及び
(b)第2の酸素含有環境に上記ウェハを露出させる一方、上記ウェハにわたって非均一な温度プロフィールを維持して、上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせる段階、
を含む、犠牲的平坦化層を成長させるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項29】
上記チャンバーに上記ウェハを入れる前に上記非均一なトポグラフィーを決定するステップを更に備えた、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
上記第1及び第2の酸素含有環境は同じものである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
上記第1及び第2の酸素含有環境は異なるものである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
上記第1の酸素含有環境は純粋な酸素を含み、上記第2の酸素含有環境は酸素基を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
上記ウェハに犠牲的平坦化層を成長させ除去する上記ステップを繰り返し実行するステップを更に備えた、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
上記(a)及び(b)は繰り返し及び交互に実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
上記(a)及び(b)は順次に実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
上記(a)及び(b)は同時に実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
非均一なトポグラフィープロフィールを有するウェハ材料で構成されるウェハを平坦化する方法において、
チャンバーに上記ウェハを入れるステップと、
酸素含有流体及び水素含有流体で構成された流体混合物を上記チャンバーに流し込むステップと、
上記チャンバー内の上記流体混合物に上記ウェハを露出させるステップと、
ウェハ温度と、チャンバー圧力及び流体混合物流量の少なくとも一方とを制御して、上記非均一なトポグラフィープロフィールに基づいて上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせると共に、上記ウェハ材料に犠牲的平坦化層の形成を生じさせるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項38】
チャンバー圧力を制御する上記ステップは、上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるように上記チャンバー圧力を選択する段階を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
流体混合物の流量を制御する上記ステップは、上記材料の平坦化消費を生じさせるように流量を選択する段階を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
上記流体混合物に上記ウェハを露出させる前に上記ウェハ材料の非均一なトポグラフィープロフィールを決定するステップを更に備えた、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
上記ウェハに犠牲的平坦化層を繰り返し形成し除去するステップを更に備えた、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
ウェハ温度を制御する上記ステップは、上記ウェハ材料の平坦化消費を生じさせるように上記ウェハにわたり非均一な温度プロフィールを作用させる段階を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
上記非均一な温度プロフィールは、比較的高い温度のエリアでは比較的多くのウェハ材料の消費を生じさせると共に、比較的低い温度のエリアでは比較的少ないウェハ材料の消費を生じさせる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ウェハの上部シリコン含有層を平坦化する方法において、
上記ウェハのターゲット酸化物プロフィールを決定するステップと、
上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて、1つ以上のプロセスパラメータ値を選択するステップであって、上記プロセスパラメータ値が、チャンバー圧力と、酸素含有流体及び水素含有流体で構成される酸化流体混合物の流体混合物流体流量との少なくとも一方から選択されるようなステップと、
酸化物成長チャンバーに上記ウェハを入れるステップと、
約6Torrから約14Torrのチャンバー圧力において上記チャンバーへ上記酸化流体混合物を流し込むステップと、
約10℃/秒から約100℃/秒でウェハ温度を上昇させるステップと、
約30秒から約90秒の時間周期中、上記チャンバー圧力及び上記ウェハ温度を酸化物成長状態に維持するステップと、
ウェハ温度と、チャンバー圧力、酸化流体混合物の流量及び酸化流体混合物の濃度の少なくとも1つとを制御して、上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて上記シリコン含有層の平坦化消費を生じさせると共に、上記シリコン含有層に犠牲的平坦化層の成長を生じさせるステップと、
上記犠牲的平坦化層を除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項45】
犠牲的平坦化層を除去する上記ステップは、上記ウェハをフッ化水素(HF)ディップに入れる段階を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
上記酸化流体混合物は蒸気を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
上記酸化流体混合物を熱的に活性化して蒸気を形成するステップを更に備えた、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
上記ウェハに犠牲的平坦化層を繰り返し形成し除去するステップを更に備えた、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
酸化物成長チャンバーと、
非均一なトポグラフィープロフィールの材料を有するウェハを支持するように適応されたウェハ支持部材と、
上記酸化物成長チャンバーに流体結合された流体配送システムと、
ターゲット酸化物プロフィールを入力として受け取ると共に、少なくとも、
上記酸化物成長チャンバーに酸素含有環境を形成するための流体配送システムからの1つ以上の流体の流量、及び
チャンバー圧力、
を制御するように構成されたコントローラシステムと、
を備え、上記流量及びチャンバー圧力の少なくとも1つは、上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて上記ウェハの材料を消費するように選択され、これにより、犠牲的平坦化層が上記材料に形成されるようにしたシステム。
【請求項50】
上記犠牲的平坦化層の除去を実行するように適応された犠牲的平坦化層除去チャンバーを更に備えた、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
上記コントローラシステムは、更に、上記チャンバーに配置されたウェハ加熱素子を制御するように構成された、請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
上記加熱素子に供給される電力は、上記ターゲット酸化物プロフィールに基づいて選択される、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
上記加熱素子に供給される電力は、上記ターゲット酸化物プロフィールに対応して上記ウェハにわたり非対称的な温度プロフィールを発生するように選択される、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
上記加熱素子に供給される電力は、上記ターゲット酸化物プロフィールに対応して上記ウェハにわたり非均一な温度プロフィールを発生するように選択される、請求項51に記載のシステム。
【請求項55】
上記非均一な温度プロフィールは、比較的高い温度のエリアに比較的多くの材料の平坦化消費を生じさせるように選択される、請求項54に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2006−511963(P2006−511963A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565330(P2004−565330)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039247
【国際公開番号】WO2004/061932
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039247
【国際公開番号】WO2004/061932
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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