説明

現像カートリッジ

【課題】規制板をゆがみ無く規制板ホルダーに固定化した規制部品を用いることにより、多数枚(例えば、5000枚)プリントを行っても、縦スジムラが無く、高濃度のプリント画像が継続して得られる優れた現像カートリッジの提供。
【解決手段】良導電性シャフトの外周に導電性を有する樹脂層を形成してなり、該樹脂層の表面に一成分現像剤を保持し、該一成分現像剤を潜像保持体表面の潜像に付着させ可視化する現像ローラを用いた現像カートリッジにおいて、
前記一成分現像剤の搬送量をコントロールする規制板を規制板ホルダーにレーザスポット溶接し、該レーザスポット溶接の間隔が8mm以下、規制板の板厚が0.04〜0.2mmであることを特徴とする現像カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
現在カラー画像形成装置(例えば、プリンタ、複写機)は装置の小型、軽量、低コストのものが要求されている。そのため、現像プロセスとして一成分現像方式を採用する画像形成装置が主流となってきている。
【0003】
一成分現像方式に用いられる現像カートリッジとしては種々検討されている。
【0004】
例えば、現像ロールと規制板とのニップ部で一成分現像剤の凝集体が形成されることによりプリント画像にスジが発生することを防止する目的で、感光体上の静電潜像を現像する現像ロール上の一成分現像剤の量を、摩耗指数0.03〜0.15の弾性体で規制し、この弾性体の当接圧P(N/cm)を0.098N/cm≦P≦0.588N/cmとする検討がされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
又、現像カートリッジとして図7〜10に示す機構を備えたものが検討されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この現像カートリッジ(現像装置)50において、ハウジング51は感光体(図示せず)との対向部にローラ収容室52、その背後にトナー供給室53を備えており、これらローラ収容室52とトナー供給室53が横長の開口部54によって連通されている。現像ローラ55はローラ収容室52に配置され、両端の支軸(図示せず)をハウジング51側壁の切り欠き56、56に挿入して回動自在に支持されている。規制板57は現像ローラ55の背後に配置され、上部をトナー供給室53の前壁58に固定し、下部自由端を現像ローラ55の外周面に圧接している。
【0007】
弾性シール部材62は4つの部材63、66、66、67で構成されている。すなわち、底部シール64の両端にサイドシール部65を設けた底部シール部材63と、側部シール部材66、66と、上部シール部材67とで構成されている。そして、上記弾性シール部材62は、底部シール64をハウジング51底部と現像ローラ55の底部外周面との間に介在し、又、サイドシール65、65と側部シール部材66、66をハウジング51側壁と現像ローラ55の両端外周面との間に介在し、更に、上部シール部材67を規制板57とハウジング51との間に介在し、ローラ収容室52とトナー供給室53との間をシールしている。
【0008】
シール部材68は、現像ローラ55の軸方向に配設される本体69と、この本体69の両端部を現像ローラ55の外周面に沿って延設したサイドシール70、70とで構成され、上記本体69の端部をハウジング51底部に固定し、この本体69を底部シール64と現像ローラ55との間に介在し、サイドシール70、70をサイドシール65、65、側部シール部材66、66と現像ローラ55との間に介在するとともに、サイドシール70、70の端部が図示しない付勢手段によって矢印方向に引っ張られている。
【0009】
しかしながら、ハウジング51に対して規制板57を直接当接し、これに補強部材である金属板(規制板ホルダー)59、60を被せて複数のネジ61で固定しているので、図9に示すように、ネジ61で固定されている部分の規制板57はハウジング51にしっかりと固定されている。この部分では適正量のトナーが現像ローラ55に保持されるが、ネジ61とネジ61との中間領域では、図10に示すように、規制板57の復帰力によって金属板59、60が押し上げられて規制板57の現像ローラ55に対する圧接力が弱まり、この部分を通過する現像ローラ55には規定量以上のトナーが保持され、その結果画像濃度に斑が生じるという問題点があった。
【0010】
又、ネジの代わりに規制板を規制板ホルダーにTIGスポット溶接する方法も開示されている(例えば、特許文献2の段落24参照。)。
【特許文献1】特開平10−228168号公報
【特許文献2】特開平11−219024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、公知のネジやTIGスポット溶接により規制板を規制板ホルダーに固定する方法では、規制板をゆがみ無く規制板ホルダーに固定した規制部品を作製することは難しかった。
【0012】
又、ネジにより規制板を規制板ホルダーに固定化する方法では規制部品を作製するのに工数がかかりコストの点でも問題であった。
【0013】
本発明は、規制板をゆがみ無く規制板ホルダーに固定化した規制部品を用いることにより、多数枚(例えば、5000枚)プリントを行っても、縦スジムラが無く、高濃度のプリント画像が継続して得られる優れた現像カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、下記構成を採ることにより達成される。
【0015】
1.良導電性シャフトの外周に導電性を有する樹脂層を形成してなり、該樹脂層の表面に一成分現像剤を保持し、該一成分現像剤を潜像保持体表面の潜像に付着させ可視化する現像ローラを用いた現像カートリッジにおいて、
前記一成分現像剤の搬送量をコントロールする規制板を規制板ホルダーにレーザスポット溶接し、該レーザスポット溶接の間隔が8mm以下、規制板の板厚が0.04〜0.2mmであることを特徴とする現像カートリッジ。
【発明の効果】
【0016】
本発明の現像カートリッジは、規制板をゆがみ無く規制板ホルダーに固定化した規制部品を用いることにより、多数枚(例えば、5000枚)プリントを行っても、縦スジムラが無く、高濃度のプリント画像が継続して得られる優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
多数枚(例えば、5000枚)プリントを行っても、縦スジムラが無く、高濃度のプリント画像が継続して得られる現像カートリッジについて検討されきたが、前記目的を満足できる現像カートリッジはいまだ開発されていないのが現状である。
【0018】
本発明者らは、多数枚(例えば、5000枚)プリントを行っても、縦スジムラが無く、高濃度のプリント画像が継続して得られる現像カートリッジについて検討を行った。
【0019】
検討の結果、一成分現像剤の搬送量を規制する規制板にゆがみがあると一成分現像剤を現像部へ均一に搬送できず、縦スジムラが無く高濃度のプリント画像が得られないことが判明した。
【0020】
そこで、規制板を規制板ホルダーにゆがみ無く固定化した規制部品を用いることにより一成分現像剤を現像部へ均一に搬送する検討を行った。
【0021】
検討の結果、板厚0.04〜0.2mmの規制板を規制板ホルダーに、溶接間隔が8mm以下になるようレーザスポット溶接して固定化した規制部品を用いると、一成分現像剤を現像部へ均一に搬送できることを見出した。
【0022】
一成分現像剤を現像部へ均一に搬送できるようになったのは、規制板のゆがみが無くなったことで、規制板の圧力を現像ロール表面へ均一にかけられるようになり達成できたものと推察している。
【0023】
レーザスポット溶接は、高エネルギーのレーザを短時間照射して、溶接する部分のみを選択的に加熱して溶接するため、溶接はレーザスポット部分のみで起こり、その周辺部分へ熱による影響が少なく、溶接を施した後の規制板にゆがみを無くすることができる。
【0024】
その結果、導電性シャフトの外周に導電性を有する樹脂層を形成して作製した現像ローラと、一成分現像剤(以下、一成分トナーともいう)と上記規制部品を有する現像カートリッジを用いてプリントを行うと、縦スジムラが無く、高濃度のプリント画像が継続して得られるようになった。
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0026】
まず、規制部品について説明する。
【0027】
本発明でいう規制部品とは、規制板を規制板ホルダーにレーザスポット溶接により溶接して作製したものをいう。
【0028】
図1は、規制部品の一例を示す模式図である。
【0029】
図において、28は規制板、2は規制板ホルダー、3は規制部品、4はレーザスポット溶接部、5はレーザスポット溶接間隔、6はレーサスポット溶接径を示す。
【0030】
規制板28は、一成分トナーを均一に薄層化すると同時に均一に帯電付与して現像部に搬送する目的で設置されている。
【0031】
規制板の板厚は、0.04〜0.2mm、好ましくは0.08〜0.2mmである。
【0032】
規制板の板厚を上記範囲とすることで、レーザスポット溶接時にゆがみが無く且つ十分な溶接強度が得られ、多数枚プリントしても現像ロール表面の樹脂層を痛めることなく、一成分トナーを均一に薄層化することができる。
【0033】
規制板の材質としては、レーザスポット溶接で規制板ホルダーと溶接が可能で、一成分トナーを均一に薄層化と帯電付与ができ、且つ現像ローラへの当接圧平均を好ましい範囲に制御できるバネ弾性を持つステンレス板、リン青銅板を用いることができる。これらの中ではリン青銅板(JIS H3731相当品)が好ましい。尚、リン青銅板は、ステンレス板より一成分トナーとの帯電序列が+(プラス)なので、より安定した帯電を一成分トナーに付与することができる。
【0034】
規制板ホルダー2は、現像ローラに規制板28を均一な当接圧で当接させるためのサポートの役目と、現像カートリッジ本体への取付ける部品としての役目をする。
【0035】
規制板ホルダーの材質は、レーザスポット溶接で規制板に溶接が可能なものであれば特に限定されず、具体的にはステンレスを挙げることができる。
【0036】
規制板ホルダーの形状は、特に限定されないが、規制板をレーザスポット溶接でき、且つ現像カートリッジ本体に精度良く取付けられる形状のものが好ましい。
【0037】
規制板28が規制板ホルダー2にレーザスポット溶接されるレーザスポット溶接径6は、0.5mm程度が好ましい。溶接間隔5は8mm以下であれば0mm(溶接がつながってされた状態)でも良く、好ましくは3〜7mmである。
【0038】
上記好ましい範囲とすることで、生産性(溶接時間の短縮)が良く、ゆがみ無く規制板を規制板ホルダーに十分な溶接強度で固定することができる。
【0039】
本発明でいうレーザスポット溶接の径とは、実際溶接された溶接部の外径をいう。又、溶接間隔とは、レーザスポット溶接部と隣り合うレーザスポット溶接部の間隔をいう。
【0040】
尚、レーザスポット溶接の径及び溶接間隔は、スケール入りのルーペ或いはノギスを用いて測定することができる。
【0041】
レーザスポット溶接に用いる溶接機としては、特に限定されず、市販の溶接機を用いることができる。具体的には、市販のYAGレーザ溶接機「ミニレーザウエルダ M800」(日本電気社製)を挙げることができる。
【0042】
このレーザスポット溶接機を用いると、小さいスポットにレーザが集中照射されるので、熱が拡散しにくく、溶け込みが縦方向に伝わるため、ゆがみが少なく、且つ溶け込みの深い溶接が可能である。
【0043】
レーザスポット溶接に対し、TIGスポット溶接は、エネルギー密度が低いため、材料を瞬時に溶かすことができず、溶け込みが浅くなる。溶け込みを深くしようと長時間熱を加えると、余分な熱が横方向に広がるため、規制板のゆがみが大きくなり本発明では使用できない。
【0044】
次に、現像カートリッジについて説明する。
【0045】
本発明の現像カートリッジは、現像ローラ、一成分現像剤、及び規制部品を有する。
【0046】
《現像ローラ》
本発明に用いられる現像ローラは、導電性シャフトの外周に導電性の樹脂層を、導電性シャフトと樹脂層の間にシリコーンゴム、ウレタンゴム等からなる弾性層を挟まず直接形成したものである。
【0047】
図2は、本発明に係る現像ローラの一例を示す層構成概略図である。
【0048】
図2において、25は現像ローラ、11は導電性シャフト、12は樹脂層、13は下層、14は上層を示す。
【0049】
図2の(a)は、導電性シャフト11の外周に樹脂層12を形成した現像ローラの概略図を示す。樹脂層の層構成は図2(b)に示すように導電性シャフト11の外周に単層の樹脂層12を設けたもの、図2(c)に示すように導電性シャフト11の外周に下層13を設けその上に上層14を設ける積層型の樹脂層12のものでもよい。
【0050】
本発明に係る樹脂層は導電性を有する。
【0051】
樹脂層の導電性は体積抵抗率で表し、体積抵抗率は1×104〜1×1010Ω・cmのものが好ましい。
【0052】
本発明において、樹脂層の体積抵抗率は、図3に示す装置を用いて測定した値である。
【0053】
図3は、現像ローラの体積抵抗率の測定方法を説明する構成図である。
【0054】
図において、1は対極電極(金属ドラム)、25は現像ローラ、3は直流電源、4は電流計を示す。
【0055】
樹脂層の体積抵抗は、対極電極1の自重と合わせ9.8Nで押圧し、対極電極1と測定する現像ローラ25を矢印の方向に回転させながら、直流電源3から100Vを印加し、その時に流れる電流を電流計4で測定し、計算で算出する。
【0056】
測定器 :図3の測定機
測定条件:対極電極と現像ローラの線速度を1〜5cm/secと等速で回転させる
印加電圧:100V
測定環境:20℃、50RH%
規制板が現像ローラに当接する当接圧平均は、以下のようにして測定して得られた値である。
【0057】
図4は、現像ローラへ当接する規制板の当接圧平均を説明する図である。
【0058】
図4において、25は現像ローラ、28は規制板、D1は当接位置、LAは規制ブレードの自由長、LBは規制ブレードの有効長さを示す。
【0059】
図4(a)に示すように、現像ローラへ当接する規制ブレードの当接圧とは、現像ローラへ当接する規制ブレードの当接位置D1において、当接位置D1と規制ブレードの接合部HC1とを結ぶ線に対して直角方向に、規制ブレードの弾性により発生する規制ブレードの単位長さ(cm)当たりの力(当接圧)P1(N/cm)である。規制ブレードの有効長LBとは、当接位置D1と規制ブレードの接合部HC1との長さである。
【0060】
本発明において、規制ブレードの当接圧平均とは、45(b)に示すように現像ローラの3ヶ所(現像ローラの中央部と規制ブレードの端部に相当する部分)に圧力センサーを取付け、現像ローラを回転して規制ブレードの当接圧を測定し、その測定値の平均値である。
【0061】
本発明において、現像ローラへ当接する規制板の当接圧平均は、10〜50N/mが好ましく、15〜45N/mがより好ましい。
【0062】
当接圧を上記範囲とすることで、現像ローラの樹脂層を痛めることなく、一成分トナーを均一な厚さにして、且つ均一な帯電量を付与することができる
次に、導電性シャフトの外周に、導電性を有する樹脂層として下層と上層を設けた現像ローラを作製するのに用いる材料、作製方法について説明する。
【0063】
本発明で用いられる導電性シャフトは、現像ローラ表面に蓄積される電荷をリークさせる部材も兼ねるため、導電性の金属で構成されるものが好ましい。代表的なものとして、直径5〜30mmのステンレス鋼(例えばSUS303)、鉄、アルミニウム、ニッケル、アルミニウム合金、ニッケル合金等の導電性金属があり、又導電性樹脂で構成されるものでもよい。尚、導電性シャフトとしては、体積抵抗が1×10-4Ω・cm以下のものが好ましく用いられる。
【0064】
樹脂層は、樹脂成分と電子導電剤、必要に応じイオン導電剤、非導電性充填剤(粗さ粒子)、架橋剤等の各種添加剤を適宜配合して得られる塗布液を導電性シャフトの外周面に塗布し、これを乾燥して形成することができる。
【0065】
樹脂層の厚さは、5〜30μmが好ましく、2層構成の場合には下層の膜厚3〜20μm、上層の膜厚2〜10μmが好ましい。
【0066】
次に、下層と上層について説明する。
【0067】
《下層の作製》
樹脂成分を溶解した溶液に、電子導電剤、イオン導電剤、粗さ粒子を溶解・分散して塗布液を調製し、この塗布液を浸漬塗布法やスプレー塗布法等により導電性シャフトの外周に塗布し、乾燥して下層を形成する。
【0068】
《上層の作製》
樹脂成分を溶解した溶液に、電子導電剤、イオン導電剤を溶解・分散して塗布液を調製し、この塗布液を、前記下層の上に浸漬塗布法やスプレー塗布法等により塗布し、乾燥して上層を形成する。
【0069】
〈樹脂層の樹脂成分〉
樹脂層の樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、具体的には、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等の変性アルキッド樹脂、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。この内、自己膜補強性、トナー帯電性等の観点から、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等が好ましく用いられる。中でも、良好な耐摩耗性や弾性が得られる点から、ウレタン樹脂を用いることが特に好ましい。
【0070】
ウレタン樹脂としては、例えばポリヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物を含むウレタン原料を反応させて得たもの、例えば、プレポリマーを架橋反応させる方法で得たものや、ポリオールをワン・ショット法にてポリイソシアネー卜と反応させる方法で得たものなどが挙げられる。
【0071】
〈電子導電剤〉
電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫一酸化アンチモン固溶体、酸化錫一酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被膜された絶縁性物質などの微粉末を用いることができる。この内、カーボンブラックが、比較的容易に入手でき良好な帯電性が得られるので好ましく用いられる。
【0072】
カーボンブラックは、その種類には、特に制限はなく、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等の従来公知の種々のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの配合量は、使用するカーボンブラックの種類によって異なるために特に限定されないが、通常、樹脂成分100質量部に対して5〜50質量部とするのが好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。
【0073】
カーボンブラックの配合量を上記範囲内とすると、現像ローラの導電性及びユニバーサル硬さが適切なものとなり、更に、樹脂層内での分布の均一性が上がるため、導電性の均一性も向上する。
【0074】
〈イオン導電剤〉
イオン導電剤としては、従来から無機イオン塩や有機イオン塩として公知のものが、何れも適宜に選択使用できる。具体的には、Li、LiCl、NaI、NaBr、KI等のアルカリ金属ハライド、LiClO4、KClO4、CuCl2Mg(ClO42等の過塩素酸塩、LiSCN、NaSCN、CsSCN等のチオシアン酸塩等のごとき無機イオン塩や、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加リン酸エステル塩、4級アンモニウム塩、ベタイン等の有機イオン塩を挙げることができる。これらの中で特に好ましいものとして、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。このイオン導電剤は、1種類で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
イオン導電剤の配合量は、特に制限はなく各種状況に応じて適宜選定されるが、樹脂層を形成する樹脂成分100質量部に対し0.001〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましい。
【0076】
これにより、電気抵抗の位置ばらつきが少なく、且つ電気抵抗の電圧依存性が少ない上、温湿度の環境変化に対する電気抵抗の変動が少ない導電性を有する樹脂層が得られる。
【0077】
〈非導電性充填剤(粗さ粒子)〉
非導電性充填剤としては、珪藻土、石英粉末、乾式シリカ、湿式シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム、樹脂粒子等が挙げられる。これらの中では樹脂粒子が好ましく、樹脂粒子としては架橋アクリル樹脂粒子、架橋ウレタン樹脂粒子が特に好ましい。
【0078】
《一成分現像剤》
次に、一成分現像剤について説明する。
【0079】
本発明に係る一成分現像剤は、磁性一成分現像剤でも非磁性一成分現像剤でも良いが、カラー化が可能という点で非磁性一成分現像剤が好ましい。
【0080】
以下、一成分現像剤(一成分トナー)について説明する。
【0081】
一成分トナーの体積基準におけるメディアン径(D50)は、高品質のトナー画像を得るという観点から3.0〜9.0μmのものが好ましい。
【0082】
一成分トナーを構成する樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂を挙げることができる。
【0083】
一成分トナーの製造方法は特に限定されず、公知の重合法や粉砕法により作製することができる。
【0084】
体積基準におけるメディアン径(D50)は、マルチサイザー3(コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
【0085】
体積基準におけるメディアン径(D50)の測定手順としては、一成分トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(一成分トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、一成分トナー分散液を作製する。この一成分トナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを30000個に設定して測定する。尚、コールターマルチサイザーのアパチャー径は50μmのものを使用する。
【0086】
《現像カートリッジ》
次に、現像カートリッジについて説明する。
【0087】
本発明の現像カートリッジは、現像ローラの表面に規制部品により量が規定された一成分トナーを保持して現像部に搬送し、現像部で一成分トナーを感光体表面の静電潜像に付着させるもので、静電潜像を一成分トナーにより可視化する画像形成方法に用いられる。
【0088】
図5は、本発明の現像カートリッジの一例を示す断面概略図である。
【0089】
図5に示す現像カートリッジ20は、現像ローラ25に隣接してバッファ室26を、バッファ室26に隣接してホッパ27等を有する。
【0090】
バッファ室26には規制板28が現像ローラ25に圧接させた状態で配置されている。又、現像ローラ25の回転方向に対して規制板28の下流側に、現像ローラ25上の一成分トナー帯電量を補助するための補助ブレード29を更に設けることも可能である。
【0091】
現像ローラ25には供給ローラ30が押圧されている。供給ローラ30は、図示しないモータにより現像ローラ25と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ30は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層を有する。
【0092】
ホッパ27には一成分トナーTが収容されている。又、ホッパ27には一成分トナーTを攪拌する回転体31が設けられている。回転体31には、フィルム状の搬送羽根が取付けられており、回転体31の矢印方向への回転により一成分トナーTを搬送する。搬送羽根により搬送された一成分トナーTは、ホッパ27とバッファ室26を隔てる隔壁に設けられた通路32を介してバッファ室26に供給される。尚、搬送羽根の形状は、回転体31の回転に伴い羽根の回転方向前方で一成分トナーTを搬送しながら撓むとともに、通路32の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように羽根はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るようにすることで一成分トナーTを通路32に供給している。
【0093】
又、通路32には通路32を閉鎖する弁321が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路32右側面上側に固定され、一成分トナーTがホッパ27から通路32に供給されると、一成分トナーTからの押圧力により右側に押されて通路32を開けるようになっている。その結果、バッファ室26内に一成分トナーTが供給される。
【0094】
現像カートリッジ20では、画像形成時に現像ローラ25が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ30の回転によりバッファ室26の一成分トナーが現像ローラ25上に供給される。現像ローラ25上に供給された一成分トナーTは、規制板28、補助ブレード29により帯電、薄層化された後、像担持体との対向領域(現像部)に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかった一成分トナーは、現像ローラ25の回転に伴って除電ブレード24により除電され、現像ローラと一成分トナーの静電的な付着力を低減させた後、供給ローラ30により現像ローラ25から掻き取られ回収される。
【0095】
次に、本発明の現像カートリッジを用いるフルカラー画像形成装置について説明する。
【0096】
図6は、フルカラー画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【0097】
図6に示すフルカラー画像形成装置においては、回転駆動される感光体ドラム10の周囲に、この感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電ブラシ111等が設けられている。
【0098】
又、帯電ブラシ111によって帯電された感光体ドラム10をレーザビームによって走査露光するレーザ走査光学系20が設けられており、このレーザ走査光学系20はレーザダイオード、ポリゴンミラー、fθ光学素子を内蔵した周知のものであり、その制御部にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック毎の印字データがホストコンピューターから転送されるようになっている。そして、このレーザ走査光学系20は、上記の各色毎の印字データに基づいて、順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光し、これにより感光体ドラム10上に各色毎の静電潜像を順次形成するようになっている。
【0099】
又、このように静電潜像が形成された感光体ドラム10に各色の一成分トナーを供給してフルカラーの現像を行うフルカラー現像カートリッジ30は、支軸33の周囲にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの一成分トナーを収容させた4つの色別の現像カートリッジ31Y、31M、31C、31Bkが設けられており、支軸33を中心として回転し、各現像カートリッジ31Y、31M、31C、31Bkが感光体ドラム10と対向する位置に導かれるようになっている。
【0100】
又、このフルカラー現像カートリッジ30における現像カートリッジ31Y、31M、31C、31Bkにおいては、上記図6に示すように、回転して一成分トナーを搬送する現像剤担持体(現像ローラ)25の外周面にトナー規制部品が圧接されており、このトナー規制部品により、現像ローラ25によって搬送されるトナーの量を規制すると共に、搬送される一成分トナーを帯電させるようになっている。尚、このフルカラー現像カートリッジ30においては、現像ローラによって搬送される一成分トナーの規制と帯電とを適切に行うために、トナー規制部品を2つ設けるようにしてもよい。
【0101】
そして、上記のようにレーザ走査光学系20によって感光体ドラム10上に各色の静電潜像が形成される毎に、上記のように支軸33を中心にして、このフルカラー現像カートリッジ30を回転させ、対応する色彩の一成分トナーが収容された現像カートリッジ31Y、31M、31C、31Bkを感光体ドラム10と対向する位置に順々に導き、各現像カートリッジ31Y、31M、31C、31Bkにおける各現像ローラ25より、上記のように各色の静電潜像が順々に形成された感光体ドラム10上に向けて、帯電された各色の一成分トナーを順々に供給して現像を行うようになっている。
【0102】
又、このフルカラー現像カートリッジ30より感光体ドラム10の回転方向下流側の位置には、中間転写体40として、回転駆動される無端状の中間転写ベルト40が設けられており、この中間転写ベルト40は感光体ドラム10と同期して回転駆動されるようになっている。そして、この中間転写ベルト40は回転可能な1次転写ローラ41により押圧されて感光体ドラム10に接触するようになっており、又この中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42の部分には、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、この2次転写ローラ43によって記録紙等の記録材Sが中間転写ベルト40に押圧されるようになっている。
【0103】
更に、前記のフルカラー現像カートリッジ30とこの中間転写ベルト40との間のスペースには、中間転写ベルト40上に残留した一成分トナーを掻き取るクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
【0104】
又、普通紙等の記録材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、記録材Sを収容させる給紙トレイ61と、この給紙トレイ61に収容された記録材Sを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62と、上記の中間転写ベルト40上に形成された画像と同期して給紙された記録材Sを中間転写ベルト40と上記の2次転写ローラ43との間に送るタイミングローラ63とで構成されており、このようにして中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送られた記録材Sを2次転写ローラ43によって中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40からトナー像を記録材Sへ押圧転写させるようになっている。
【0105】
一方、上記のようにトナー像が押圧転写された記録材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に導かれるようになっており、この定着装置70において転写されたトナー像が記録材S上に定着され、その後、この記録材Sが垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出されるようになっている。
【0106】
次に、このフルカラー画像形成装置を用いてフルカラーの画像形成を行う動作について具体的に説明する。
【0107】
まず、感光体ドラム10と中間転写ベルト40とを同じ周速度でそれぞれの方向に回転駆動させ、感光体ドラム10を帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電させる。
【0108】
そして、このように帯電された感光体ドラム10に対して、上記のレーザ走査光学系20によりイエロー画像の露光を行い、感光体ドラム10上にイエロー画像の静電潜像を形成した後、この感光体ドラム10にイエロー一成分トナーを収容させた現像カートリッジ31Yから前記のようにトナー規制部品によって荷電されたイエロー一成分トナーを供給してイエロー画像を現像し、このようにイエローのトナー像が形成された感光体ドラム10に対して中間転写ベルト40を1次転写ローラ41によって押圧させ、感光体ドラム10に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト40に1次転写させる。
【0109】
このようにしてイエローのトナー像を中間転写ベルト40に転写させた後は、前記のようにフルカラー現像カートリッジ30を支軸33を中心にして回転させ、マゼンタ一成分トナーが収容された現像カートリッジ31Mを感光体ドラム10と対向する位置に導き、上記のイエロー画像の場合と同様に、レーザ走査光学系20により帯電された感光体ドラム10に対してマゼンタ画像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をマゼンタ一成分トナーが収容された現像カートリッジ31Mによって現像し、現像されたマゼンタのトナー像を感光体ドラム10から中間転写ベルト40に1次転写させ、更に同様にして、シアン画像及びブラック画像の露光、現像及び1次転写を順々に行って、中間転写ベルト40上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像を順々に重ねてフルカラーのトナー像を形成する。
【0110】
そして、中間転写ベルト40上に最終のブラックのトナー像が1次転写されると、記録材Sをタイミングローラ63により2次転写ローラ43と中間転写ベルト40との間に送り、2次転写ローラ43により記録材Sを中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラーのトナー像を記録材S上に2次転写させる。
【0111】
そして、このようにフルカラーのトナー像が記録材S上に2次転写されると、この記録材Sを上記の搬送手段66により定着装置70に導き、この定着装置70によって転写されたフルカラーのトナー像を記録材S上に定着させ、その後、この記録材Sを垂直搬送路80を通して装置本体1の上面に排出させるようになっている。
【実施例】
【0112】
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0113】
《現像ローラの作製》
以下のようにして、現像ローラを作製した。
【0114】
《現像ローラの作製》
(下層形成)
メチルエチルケトン500質量部に、熱可塑性エラストマーであるウレタン樹脂「ニッポラン5199(日本ポリウレタン社製)」100質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック「ケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)」20質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド2.0質量部と、体積基準におけるメディアン径(D50)15μmの粗さ粒子「球形架橋アクリル樹脂」20質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、「下層形成用塗布液」を調製した。
【0115】
「下層形成用塗布液」をSUS303の中空筒状の「シャフト」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、膜厚10μmの「下層」を形成した。
【0116】
(上層形成)
メチルエチルケトン500質量部に、ウレタン樹脂「ニッポラン5199(日本ポリウレタン社製)」100質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック「ケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)」20質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド2.0質量部と、数平均一次粒径0.05μmの「四フッ化エチレン樹脂粒子」20質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、「上層形成用塗布液」を調製した。
【0117】
「上層層形成用塗布液」を「下層」の外周面に乾燥後の膜厚が5μmになるようスプレー塗布し、100℃で1時間乾燥を行い「上層」を形成し下層と上層からなる樹脂層を形成し「現像ローラ」を作製した。
【0118】
《一成分現像剤の作製》
以下のようにして、一成分現像剤(一成分トナー)を作製した。
【0119】
(樹脂粒子の調製)
攪拌装置を取付けた容器にて、ワックス(ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル)72.0質量部を、スチレン115.1質量部、n−ブチルアクリレート42.0質量部及びメタクリル酸10.9質量部からなる単量体混合液に添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0120】
一方、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取付けた容器に、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)7.08質量部をイオン交換水2760質量部に溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下に230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。次いで、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記界面活性剤溶液(80℃)中に、前記単量体溶液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)が分散された乳化液を調製した。
【0121】
この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱・攪拌することにより重合反応を行った。得られた反応溶液に、重合開始剤(KPS)7.73質量部をイオン交換水240質量部に溶解させた溶液を添加し、15分後、温度を80℃とした後、スチレン383.6質量部、n−ブチルアクリレート140.0質量部、メタクリル酸36.4質量部及びn−オクチルメルカプタン12質量部からなる混合液を100分間かけて滴下し、この系を80℃で60分間にわたり加熱・攪拌させた後、この系を40℃まで冷却することにより、ワックスを含有する樹脂粒子の分散液(以下、「ラテックス(1)」ともいう。)を調製した。
【0122】
(着色剤分散液(1)の調製)
一方、n−ドデシル硫酸ナトリウム9.2質量部をイオン交換水160質量部に攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、着色剤としてカーボンブラック「モーガルL(キャボット社製)」20質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(1)」という。)を調製した。着色剤分散液(1)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
【0123】
(着色剤分散液(2)の調製)
着色剤分散液(1)において、カーボンブラック20質量部に代えて顔料「C.I.ピグメントイエロー74」20質量部を用いたこと以外は着色剤分散液の調製例1と同様にして着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(2)」という。)を調製した。得られた着色剤分散液(2)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
【0124】
(着色剤分散液(3)の調製)
着色剤分散液(1)において、カーボンブラック20質量部に代えてキナクリドン系マゼンタ顔料「C.I.ピグメントレッド122」20質量部を用いたこと以外は着色剤分散液の調製例1と同様にして着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(3)」という。)を調製した。得られた着色剤分散液(3)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
【0125】
(着色剤分散液(4)の調製)
着色剤分散液(1)において、カーボンブラック20質量部に代えてフタロシアニン系シアン顔料「C.I.ピグメントブルー15:3」20質量部を用いたこと以外は着色剤分散液の調製例1と同様にして着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(4)」という。)を調製した。得られた着色剤分散液(4)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
【0126】
(着色粒子(K1)の調製)
温度センサー、冷却管、攪拌装置(攪拌翼を2枚有し、交差角が20°)、形状モニタリング装置を取付けた反応容器(四つ口フラスコ)に、ラテックス(1)1250質量部(固形分換算)と、イオン交換水2000質量部と、着色剤分散液(1)全量を仕込み、内温を25℃に調製した後、この分散液混合溶液に5mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物52.6質量部をイオン交換水72質量部に溶解した水溶液を、攪拌下、25℃にて10分間かけて添加した。その後、直ちに昇温を開始し、この系を5分間かけて95℃まで昇温(昇温速度14℃/分)した。
【0127】
その状態で「マルチサイザー3」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準メディアン径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム115質量部をイオン交換水700質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に、液温度90℃にて8時間にわたり加熱攪拌(攪拌回転数120rpm)することにより、融着を継続させて熟成処理を行った後、この系を10℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを3.0に調整し、攪拌を停止した。
【0128】
生成した粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄して遠心分離装置によって液中分級処理し、その後、フラッシュジェットドライヤーを用いて乾燥して含水率が1.0%の着色粒子(以下、「着色粒子(K1)」ともいう。)を得た。
【0129】
(着色粒子(Y1)の調製)
着色粒子の調製例K1において、着色剤分散液(1)全量に代えて着色剤分散液(2)全量を用いた他は同様にして同様にして着色粒子(Y1)を得た。
【0130】
(着色粒子(M1)の調製)
着色粒子の調製例K1において、着色剤分散液(1)全量に代えて着色剤分散液(3)全量を用いた他は着色粒子の調製例K1と同様にして着色粒子(M1)を得た。
【0131】
(着色粒子(C1)の調製)
着色粒子の調製例K1において、着色剤分散液(1)全量に代えて着色剤分散液(4)全量を用いた他は着色粒子の調製例K1と同様にして着色粒子(C1)を得た。
【0132】
(着色粒子の外添剤処理)
上記の着色粒子について疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=65)を0.8質量部、疎水性チタニア(数平均一次粒子径=30nm、疎水化度=55)を0.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて混合し、一成分トナーを調製した。これらを「黒一成分トナー」、「イエロー一成分トナー」、「マゼンタ一成分トナー」、「シアン一成分トナー」とする。
【0133】
《規制部品の作製》
以下のようにして、規制部品を作製した。
【0134】
(規制板の準備)
〈規制板1の準備〉
材質:リン青銅板(JIS H3731相当品)
厚さ:0.02mm
形状:図1に記載の規制板28
〈規制板2の準備〉
材質:リン青銅板(JIS H3731相当品)
厚さ:0.08mm
形状:図1に記載の規制板28
〈規制板3の準備〉
材質:リン青銅板(JIS H3731相当品)
厚さ:0.20mm
形状:図1に記載の規制板28
〈規制板4の準備〉
材質:リン青銅板(JIS H3731相当品)
厚さ:0.22mm
形状:図1に記載の規制板28
〈規制板5の準備〉
材質:ステンレス板(SUS304)
厚さ:0.04mm
形状:図1に記載の規制板28
〈規制部品1の作製〉
上記で準備した「規制板2」に「規制板ホルダー」を下記の溶接条件で溶接を行い、「規制部品1」を作製した。
【0135】
レーザスポット溶接装置:YAGレーザ溶接機「ミニレーザウエルダ M800」(日本電気社製)
レーザ出力:20W
レーザ光源と溶接位置の距離:52.7mm
レーザスポット溶接径:0.5mm
溶接間隔:2mm
〈規制部品2〜14の作製〉
規制部品1の作製で用いた規制板と溶接条件を、表1のように変更した以外は同様にして「規制部品2〜14」を作製した。
【0136】
《現像カートリッジの作製》
上記で作製した現像ローラと「規制部品1〜14」とを取付けた「現像カートリッジ1〜14」を作製した。
【0137】
表1に、現像カートリッジの作製に用いた規制部品No.溶接条件(規制板No.溶接方法、溶接間隔)、溶接の状態を示す。
【0138】
【表1】

【0139】
《評価》
現像カートリッジの評価は、カラーレーザプリンタ「Magicolor2430DL」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に、各色一成分トナーを装填した「現像カートリッジ1〜14」を順次装着し、常温常湿(20℃、55%RH)環境でプリントして行った。
【0140】
現像カートリッジ初期の性能評価は、画素率20%(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色5%のフルカラーモード)でA4サイズの原稿をプリントし、そのトナー画像品質(画像濃度、縦スジムラ)で評価した。
【0141】
その後、画像率2%(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色0.5%のフルカラーモード)の原稿を用いて連続5000枚プリントを行った。
【0142】
5000枚プリント後の性能評価は、初期性能評価と同じ画素率20%(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色5%のフルカラーモード)でA4サイズの原稿をプリントし、トナー画像品質(画像濃度、縦スジムラ)で評価した。尚、評価は、◎と○を合格、×を不合格とした。
【0143】
〈画像濃度〉
画像濃度は、初期と5000枚プリント後のべた黒画像部の濃度を反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて12点測定し、その平均値で評価した。
【0144】
評価基準
◎:べた黒画像部の濃度が、1.40以上で優れている
○:べた黒画像部の濃度が、1.20以上、1.40未満で良好である
×:べた黒画像部の濃度が、1.20未満で実用上問題となるレベル。
【0145】
〈縦スジムラ〉
縦スジムラは、5000枚プリント修了後に、べたシアン画像をプリントし、プリント画像を目視観察し評価した。
【0146】
評価基準
◎:プリント画像に、縦スジムラの無い均一な画像
○:プリント画像に、縦スジムラが見られるが実用上問題なし
×:プリント画像に、縦スジムラが数本存在し実用上問題。
【0147】
表2に、評価結果を示す。
【0148】
【表2】

【0149】
表2に示すように、本発明に該当する実施例1〜8の「現像カートリッジ1〜8」は、画像濃度と縦スジムラの評価結果が良好であったのに対し、本発明外の比較例1〜6の「現像カートリッジ9〜14」は評価項目の何れかに問題が見られ、本発明の効果が発現されないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】規制部品の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に係る現像ローラの一例を示す層構成概略図である。
【図3】現像ローラの体積抵抗率の測定方法を説明する構成図である。
【図4】現像ローラへ当接する規制板の当接圧平均を説明する図である。
【図5】本発明の現像カートリッジの一例を示す断面概略図である。
【図6】フルカラー画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図7】従来の現像装置の一部を示す斜視図である。
【図8】従来の現像装置における弾性シール部材、規制板、シール板の関係を示す図である。
【図9】従来の現像装置の部分断面図である。
【図10】規制板の変形状態を示す従来の現像装置の部分断面図である。
【符号の説明】
【0151】
28 規制板
2 規制板ホルダー
3 規制部品
4 レーザスポット溶接
5 レーザスポット溶接間隔
6 レーザスポット溶接径
20 現像カートリッジ
25 現像ローラ
26 バッファ室
27 ホッパ
28 規制板
29 補助ブレード
30 供給ローラ
T 一成分トナー
31 回転体
32 通路
321 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
良導電性シャフトの外周に導電性を有する樹脂層を形成してなり、該樹脂層の表面に一成分現像剤を保持し、該一成分現像剤を潜像保持体表面の潜像に付着させ可視化する現像ローラを用いた現像カートリッジにおいて、
前記一成分現像剤の搬送量をコントロールする規制板を規制板ホルダーにレーザスポット溶接し、該レーザスポット溶接の間隔が8mm以下、規制板の板厚が0.04〜0.2mmであることを特徴とする現像カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−241814(P2008−241814A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78486(P2007−78486)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】