説明

現像ユニット

【課題】取り扱い性の向上を図ることができる現像ユニットを提供すること。
【解決手段】トナーシール92に比べてトナーの捕獲力が強く、内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動するときにトナーシール92に摺接するフレームシール58を設ける。これにより、内側筐体81の移動中において、トナーシール92に付着したトナーがフレームシール58によって捕獲される。そのため、内側筐体81が第1閉位置に到達するまでに、トナーシール92に付着したトナーが外側筐体82に付着することなく除去されるので、その後、トナーカートリッジ31をプロセスフレーム22から離脱させるために外側筐体82にアクセスしても、ユーザがトナーで手を汚すことを防止できる。この結果、取り扱い性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に装備される現像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、現像ユニットとして、特許文献1に記載の現像装置は、現像ローラを備える現像部が設けられたフレームに対して、トナーを収容するトナーカートリッジが着脱可能に装着される。この現像装置では、トナーカートリッジの一側部に形成された孔と現像装置のフレームに形成された孔とよってトナー供給口が形成されるとともに、トナーカートリッジの他側部に形成された孔とフレームに形成された孔とよってトナー吸入口が形成されている。
【0003】
トナーカートリッジ内のトナーは、トナー供給口を介してフレーム内の現像部に供給されるものの、一部がトナー吸入口からトナーカートリッジへ戻される。これにより、現像部とトナーカートリッジとの間でトナーが循環される。
【特許文献1】特開平9−319202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の現像装置では、トナーカートリッジに、外側フレームと、外側フレームに対して移動可能であってトナーを収容する内側フレームとを設けることが考えられる。そして、この内側フレームに、トナー供給口およびトナー吸入口を構成する孔をそれぞれ形成し、これらの孔を取り囲むようにシールを設けることが考えられる。内側フレームは、これらの孔が開放される開位置と、これらの孔が外側フレームにより閉鎖される閉位置との間を、シールとともに移動し得る。内側フレームが開位置にあるときには、シールは、これらの孔とともに外部へ露出される。内側フレームが閉位置にあるときには、シールは、内側フレームと外側フレームとの間に配置されて、これらの孔から内側フレームと外側フレームとの間にトナーが漏れることを防止する。
【0005】
この場合、トナーカートリッジが現像装置のフレームに装着されて内側フレームが開位置にある状態において、シールは、現像装置のフレームにおいてトナー供給口およびトナー吸入口を構成する孔も取り囲み、トナー供給口およびトナー吸入口の周辺における、現像装置のフレームとトナーカートリッジ(内側フレーム)との間の隙間を塞ぐ。これにより、トナーは、トナー供給口およびトナー吸入口においてシールに取り囲まれた各空間を通過することによって、漏れることなく、現像部とトナーカートリッジ(内側フレーム)との間を移動する。
【0006】
ここで、例えば、トナーカートリッジを現像装置のフレームから離脱させるために内側フレームを開位置から閉位置へ移動させる場合に、シールが現像装置のフレーム側の孔を横切り、フレーム側の孔にあるトナーがシールに付着するおそれがある。そして、内側フレームが開位置から閉位置へ移動するのに伴ってシールが外側フレームに接触したときに、シールに付着したトナーが外側フレームに付着し得る。この状態でトナーカートリッジを現像装置のフレームから離脱させるためにユーザが外側フレームにアクセスすると、外側フレームに付着したトナーでユーザが手を汚すおそれがあり、取り扱いに不便を生じる。
【0007】
本発明は、取り扱い性の向上を図ることができる現像ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、現像ユニットであって、外側フレームと、第1開口が形成され、前記第1開口が開放される第1開位置と前記外側フレームにより前記第1開口が閉鎖される第1閉位置との間を移動可能な内側フレームとを含む現像剤カートリッジと、前記内側フレームに設けられ、前記第1開口の周りに配置された第1シールと、前記現像剤カートリッジを着脱可能に保持するためのカートリッジ保持部が形成されており、現像剤担持体を保持する筐体と、前記カートリッジ保持部に設けられ、前記第1シールに比べて現像剤の捕獲力が強く、前記内側フレームが前記第1開位置から前記第1閉位置へ移動するときに前記第1シールに摺接する捕獲部材とを備えていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、十点平均粗さを基準として、前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位の表面粗さは、前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位の表面粗さに比べて大きいことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位と、前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位とには、これらの接触部位が発泡体で形成されることによって、凹部が露出するように形成されており、前記捕獲部材の接触部位で露出された凹部の開口面積の平均は、前記第1シールの接触部位で露出された凹部の開口面積の平均より大きいことを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記捕獲部材の接触部位で露出された凹部の深さの平均は、前記第1シールの接触部位で露出された凹部の深さの平均よりも大きいことを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記第1シールの接触部位で露出された凹部の開口面積の平均Sと、現像剤の平均粒径Lとが下記の関係を満たすことを特徴としている。
【0011】
2(S/π)0.5<L
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明において、前記第1シールは、前記捕獲部材と接触する第1部位と、前記第1部位が前記捕獲部材に接触した状態で前記第1部位に対して前記捕獲部材の反対側に配置され、前記第1部位より弾性率が小さい第2部位とを含んでいることを特徴としている。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の発明において、前記第1シールおよび前記捕獲部材は、同じ材料で形成されており、前記捕獲部材の密度は、前記第1シールの密度より低いことを特徴としている。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位は、発泡体で形成されており、前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位は、非発泡体で形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の発明において、現像剤は第1の極性へ帯電され、帯電列において、前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位は、前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位を構成する材料よりも、前記第1の極性側の反対側である第2の極性側にある材料で構成されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の発明において、前記筐体には、前記カートリッジ保持部に臨み、前記内側フレームが前記第1開位置にあるときに前記第1開口に対向する第2開口が形成され、前記第2開口の周りに配置され、前記第1シールに接触することによって前記第1開口と前記第2開口との間での現像剤の漏れを防止するための第2シールを備え、前記第2シールは、前記捕獲部材を含むことを特徴としている。
【0015】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記第1シールにおいて、前記内側フレームの前記第1開位置から前記第1閉位置への第1移動方向における前記第1開口より上流側部分は、前記内側フレームが前記第1開位置から前記第1閉位置へ移動するときに、前記第2開口に露出されてから、前記捕獲部材において前記第1移動方向における前記第2開口より下流側部分に摺接するように構成されたことを特徴としている。
【0016】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記第1移動方向は、上向きとなるように構成されたことを特徴としている。
また、請求項13に記載の発明は、請求項10ないし12のいずれかに記載の発明において、前記筐体において、前記第2開口に対して前記捕獲部材よりも前記第1開口側に設けられ、前記第2開口を開放する第2開位置と、前記第2開口を閉鎖する第2閉位置との間を移動可能なシャッタを備え、前記内側フレームが前記第1開位置にあり、前記シャッタが前記第2開位置にあるとき、前記第1シールは、前記捕獲部材に接触するように構成されたことを特徴としている。
【0017】
また、請求項14に記載の発明は、請求項10ないし12のいずれかに記載の発明において、前記筐体において、前記第2開口に対して前記捕獲部材よりも前記第1開口側に設けられ、前記第2開口を開放する第2開位置と、前記第2開口を閉鎖する第2閉位置との間を移動可能なシャッタと、前記シャッタに設けられ、前記第1開口側の端縁が前記第2開口側の端縁よりも、前記シャッタの前記第2開位置から前記第2閉位置への第2移動方向における下流側に突出した突出部とを備えていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の発明において、前記捕獲部材において、前記第2開口より、前記シャッタの前記第2開位置から前記第2閉位置への第2移動方向における下流側の部分には、前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動する前記シャッタの縁に接触する接触面が形成されており、前記接触面は、前記第2開口へ向かって延びており、前記シャッタの縁に対する前記接触面の接触圧は、前記シャッタが前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動するに従って大きくなっており、前記筐体において、前記捕獲部材において前記接触面に相当する部分を支持する部分は、前記第2移動方向における上流側へ向かうに従って前記第2開口へ向かって傾斜していることを特徴としている。
【0019】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1ないし15のいずれかに記載の発明において、前記内側フレームにおいて前記第1開口の周縁に設けられ、前記内側フレームから外側へ向けて突出し、前記第1シールを前記捕獲部材へ向けて押圧する突起を備えていることを特徴としている。
また、請求項17に記載の発明は、請求項1ないし16のいずれかに記載の発明において、前記内側フレームが前記第1開位置から前記第1閉位置へ移動しているときに、前記第1シールが前記第1開口よりも外側へ突出していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、この現像剤カートリッジをカートリッジ保持部に保持させて内側フレームを第1開位置に配置すると第1開口が開放される。これにより、現像剤カートリッジに収容された現像剤を、開放された第1開口を介して、筐体の現像剤担持体に供給することができる。一方、内側フレームを第1閉位置に配置すると第1開口が閉鎖されるので、現像剤カートリッジに収容された現像剤が第1開口から漏れ出すことなく、現像剤カートリッジを筐体から離脱させることができる。
【0021】
ここで、内側フレームにおいて、第1開口の周りに第1シールが配置されているので、内側筐体が第1開位置にあるときに、現像剤カートリッジに収容された現像剤が現像剤担持体に供給されずに第1開口の周りへ漏れ出すことを防止できる。
このような第1シールには現像剤が付着し易いが、第1シールに比べて現像剤の捕獲力が強い捕獲部材が、内側フレームが第1開位置から第1閉位置へ移動するときに第1シールに摺接する。これにより、内側フレームの移動中において、第1シールに付着した現像剤が捕獲部材によって捕獲される。そのため、内側フレームが第1閉位置に到達するまでに、第1シールに付着した現像剤が外側フレームに付着することなく除去されるので、その後、現像剤カートリッジを筐体から離脱させるために外側フレームにアクセスしても、ユーザが現像剤で手を汚すことを防止できる。
【0022】
この結果、取り扱い性の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、十点平均粗さを基準として、第1シールに対する捕獲部材の接触部位の表面粗さを、捕獲部材に対する第1シールの接触部位の表面粗さに比べて大きくすると、捕獲部材が第1シールに摺接するときに、第1シールの接触部位に付着した現像剤が捕獲部材の接触部位へ移り易くなる。つまり、捕獲部材による現像剤の捕獲力を、第1シールによる現像剤の捕獲力に比べて強くすることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、第1シールに対する捕獲部材の接触部位と、捕獲部材に対する第1シールの接触部位とを発泡体で形成すると、これらの接触部位には、凹部が露出するように形成される。そして、捕獲部材の接触部位で露出された凹部の開口面積の平均を、第1シールの接触部位で露出された凹部の開口面積の平均より大きくすると、捕獲部材が第1シールに摺接するときに、第1シールの接触部位の凹部に付着した現像剤が捕獲部材の接触部位の凹部へ移り易くなる。つまり、捕獲部材による現像剤の捕獲力を、第1シールによる現像剤の捕獲力に比べて強くすることができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、捕獲部材の接触部位で露出された凹部の深さの平均が、第1シールの接触部位で露出された凹部の深さの平均よりも大きいので、捕獲部材が第1シールに摺接するときに、第1シールの接触部位の凹部に付着した現像剤が捕獲部材の接触部位の凹部へ一層移り易くなる。つまり、捕獲部材による現像剤の捕獲力を、第1シールによる現像剤の捕獲力に比べて一層強くすることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、現像剤が第1シールの接触部位の凹部に付着すること自体を防止することができる。そのため、内側フレームが第1閉位置に到達するまでに、第1シールから外側フレームに現像剤が移ることを一層防止することができる。
請求項6に記載の発明によれば、第1シールにおいて、第1部位が捕獲部材に接触した状態で第1部位に対して捕獲部材の反対側に配置される第2部位は、第1部位より弾性率が小さい(弾性変形しやすい)。これにより、弾性変形した第2部位の復元力によって第1部位が捕獲部材へ押圧されるので、第1部位を捕獲部材に確実に接触させることができる。そのため、内側フレームが第1開位置から第1閉位置へ移動するときに、捕獲部材は、第1シールに確実に摺接して、第1シールに付着した現像剤を捕獲することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、第1シールおよび捕獲部材が同じ材料で形成されている場合に捕獲部材の密度を第1シールの密度より低くすると、捕獲部材では、現像剤を捕獲するためのスペースを、第1シールよりも多く確保することができる。例えば、第1シールおよび捕獲部材のそれぞれの接触部位を同じ発泡体で形成した場合には、捕獲部材の接触部位には第1シールの接触部位の場合よりも大きな凹部が形成される。これにより、捕獲部材が第1シールに摺接するときに、第1シールの接触部位(凹部)に付着した現像剤が捕獲部材の接触部位(凹部)へ移り易くなる。つまり、捕獲部材による現像剤の捕獲力を、第1シールによる現像剤の捕獲力に比べて強くすることができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、第1シールに対する捕獲部材の接触部位を発泡体で形成する一方で、捕獲部材に対する第1シールの接触部位を非発泡体で形成することによって、捕獲部材が第1シールに摺接するときに、第1シールの接触部位に付着した現像剤が捕獲部材の接触部位(発泡体で形成された接触部位における凹部)へ移り易くなる。つまり、捕獲部材による現像剤の捕獲力を、第1シールによる現像剤の捕獲力に比べて強くすることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、第1シールに対する捕獲部材の接触部位は、捕獲部材に対する第1シールの接触部位を構成する材料よりも、帯電列において、現像剤の帯電極性である第1の極性側とは反対側の第2の極性側にある材料で構成されている。これにより、捕獲部材が第1シールに摺接すると捕獲部材の接触部位が第2の極性側に帯電するので、第1の極性に帯電した現像剤が、第1シールの接触部位から捕獲部材の接触部位へ移り易くなる。つまり、捕獲部材による現像剤の捕獲力を、第1シールによる現像剤の捕獲力に比べて強くすることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれは、内側フレームが第1開位置にあるときに筐体の第2開口が第1開口に対向することによって第1開口と第2開口とが連通するので、現像剤カートリッジに収容された現像剤を、第1開口および第2開口を介して、筐体の現像剤担持体に供給することができる。
そして、第2開口の周りに配置された第2シールが第1シールに接触することによって第1開口と第2開口との間での現像剤の漏れを防止することができる。そして、第2シールが捕獲部材を含むので、第2シールと捕獲部材とを別々に設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、第1シールにおいて、内側フレームの第1開位置から第1閉位置への第1移動方向における第1開口より上流側部分は、内側フレームが第1開位置から第1閉位置へ移動するときに第2開口に露出されるので、第2開口にある現像剤が、この上流側部分に付着し易い。しかし、この第1シールの上流側部分は、第2開口に露出されてから、捕獲部材において第1移動方向における第2開口より下流側部分に摺接するので、第1シールの上流側部分が第2開口に露出されたときに付着した現像剤は、捕獲部材の下流側部分によって確実に捕獲される。そのため、内側フレームが第1閉位置へ到達するまでに、第1シールの上流側部分に付着した現像剤が外側フレームに付着することがなく除去されるので、その後、現像剤カートリッジを筐体から離脱させるために外側フレームにアクセスしても、ユーザが現像剤で手を汚すことを防止できる。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、内側フレームの第1開位置から第1閉位置への第1移動方向が上向きであるので、第1シールにおいて第1移動方向における第1開口より上流側部分には、現像剤が付着し易い。しかし、この第1シールの上流側部分は、第2開口に露出されてから、捕獲部材において第1移動方向における第2開口より下流側部分に摺接するので、第1シールの上流側部分に付着した現像剤は、捕獲部材の下流側部分に確実に捕獲される。
【0032】
請求項13に記載の発明によれば、シャッタが第2開位置と第2閉位置との間を移動することによって、第2開口を開閉することができる。そして、このようなシャッタを設けたのにもかかわらず、内側フレームが第1開位置にあり、シャッタが第2開位置にあるときには、第1シールが捕獲部材に接触する。そのため、内側フレームが第1開位置から第1閉位置へ移動するときに、捕獲部材は、第1シールに確実に摺接して、第1シールに付着した現像剤を捕獲することができる。
【0033】
請求項14に記載の発明によれは、シャッタが第2開位置と第2閉位置との間を移動することによって、第2開口を開閉することができる。ここで、シャッタは、第2開口に対して捕獲部材よりも第1開口側に設けられ、また、シャッタには突出部が設けられている。突出部では、第1開口側(カートリッジ保持部に近い側)の端縁が第2開口側(第1開口側よりもカートリッジ保持部から遠い側)の端縁よりも、シャッタの第2開位置から第2閉位置への第2移動方向における下流側に突出している。そのため、捕獲部材が第1シールから捕獲した現像剤が、シャッタに付着しても、この現像剤が突出部によって第1開口側から堰き止められるので、この現像剤がカートリッジ保持部にこぼれて飛散することを防止することができる。
【0034】
請求項15に記載の発明によれば、捕獲部材において、第2開口より、シャッタの第2開位置から第2閉位置への第2移動方向における下流側の部分に形成された接触面は、第2開位置から第2閉位置へ移動するシャッタの縁に接触する。ここで、シャッタの縁に対する接触面の接触圧は、シャッタが第2開位置から第2閉位置へ移動するに従って次第に大きくなっていく。そのため、シャッタが第2開位置から第2閉位置へ移動するときに、接触面がシャッタの縁にいきなり接触し、捕獲部材が第1シールから捕獲した現像剤がこの接触面から飛散することを防止することができる。
【0035】
また、筐体において、捕獲部材において接触面に相当する部分を支持する部分を、第2移動方向における上流側へ向かうに従って第2開口へ向かって傾斜させることによって、シャッタの縁に対する接触面の接触圧を、シャッタが第2開位置から第2閉位置へ移動するに従って大きくすることができる。
請求項16に記載の発明によれば、内側フレームにおいて第1開口の周縁に設けられた突起は、内側フレームから外側へ向けて突出し、第1シールを捕獲部材へ向けて押圧するので、内側フレームが第1開位置から第1閉位置へ移動するときに、捕獲部材は、第1シールに確実に摺接して、第1シールに付着した現像剤を捕獲することができる。
【0036】
請求項17に記載の発明によれば、内側フレームが第1開位置から第1閉位置へ移動しているときに、第1シールが第1開口よりも外側へ突出しているので、捕獲部材は、第1シールに確実に摺接して、第1シールに付着した現像剤を捕獲することができる。そして、第1シールは、第1開口よりも外側へ突出することによって、内側フレームと外側フレームとの間を塞ぐことができるので、第1開口から内側フレームと外側フレームとの間に現像剤が漏れることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
1.レーザプリンタの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの左側断面図である。図2(a)は、図1に示すレーザプリンタのプロセスカートリッジ(トナーカートリッジが装着され、揺動アームが押圧位置にある状態)の左側断面図であり、図2(b)は、図2(a)の要部拡大図である。
【0038】
このレーザプリンタ1は、図1に示すように、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するための給紙部4と、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5と、画像が形成された用紙3を排紙する排紙部6と、を備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、ボックス形状に形成されており、その一方側の側壁には、開放口が形成され、その開放口を開閉するフロントカバー7が設けられている。そのフロントカバー7を開くことにより、現像ユニットの一例としてのプロセスカートリッジ17(後述する)を、本体ケーシング2に対して、図示太線矢印方向に沿って着脱させることができる。
【0039】
なお、以下の説明では、フロントカバー7が設けられる側を前側(正面側)とし、その反対側を後側(背面側)とする。また、図1における紙厚方向手前側を左側とし、図1における紙厚方向奥側を右側とする。左右方向と幅方向とは同義である。略水平方向には前後方向および左右方向が含まれ、略垂直方向には上下方向が含まれる。また、後述するプロセスカートリッジ17、および、現像剤カートリッジの一例としてのトナーカートリッジ31の説明においては、第2開口の一例としてのフレーム側通過口34(後述する)とカートリッジ側通過口47(後述する)とが略水平方向(前後方向)に沿って対向している状態を基準とする。
(2)給紙部
給紙部4は、給紙トレイ9と、給紙ローラ10と、給紙パッド11と、紙粉取ローラ12および13と、レジストローラ14と、用紙押圧板15とを備えている。用紙押圧板15の最上位にある用紙3は、給紙ローラ10と給紙パッド11とで1枚毎に送り出されて各種ローラ12〜14を通った後、画像形成部5の転写位置(後述する)に搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスカートリッジ17および定着部18を備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず)、回転駆動されるポリゴンミラー19、複数のレンズ20および複数の反射鏡21を備えている。画像データに基づいてレーザ発光部から発光されるレーザビームは、1点鎖線で示すように、ポリゴンミラー19で反射され、複数のレンズ20および複数の反射鏡21を通過または反射して、プロセスカートリッジ17の感光ドラム25(後述する)の表面へ走査される。
(3−2)プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ17は、本体ケーシング2内においてスキャナユニット16の下方の空間に収容され、本体ケーシング2に対して着脱可能に装着される。
【0040】
プロセスカートリッジ17は、図2に示すように、用紙3の通過を許容する転写パス29が形成された中空のプロセスフレーム22と、プロセスフレーム22のカートリッジ保持部33(後述する)に着脱可能に装着されるトナーカートリッジ31とを備えている。プロセスフレーム22は、筐体の一例として機能する。
プロセスフレーム22において、その前後方向における略中央位置には、上下方向に延びる仕切壁23が設けられている。プロセスフレーム22の内側空間において、仕切壁23の後側部分は現像部32とされ、仕切壁23の前側部分は、上述したカートリッジ保持部33とされている。仕切壁23には、フレーム側通過口34が形成されている。フレーム側通過口34によって、現像部32とカートリッジ保持部33とが連通している。
【0041】
現像部32によって、感光ドラム25、スコロトロン型帯電器26、転写ローラ28、供給ローラ36、現像ローラ37、層厚規制ブレード38およびオーガ39が保持されている。ここで、感光ドラム25、転写ローラ28、供給ローラ36、現像ローラ37およびオーガ39は、プロセスフレーム22に回転自在に支持されている。現像ローラ37は、現像剤担持体の一例として機能する。
【0042】
スコロトロン型帯電器26は、感光ドラム25の上方において、感光ドラム25と間隔を隔てて、プロセスフレーム22に支持されている。転写ローラ28は、感光ドラム25に対して下側から対向配置されている。現像ローラ37は、感光ドラム25に対して前側から対向配置されている。供給ローラ36は、現像ローラ37に対して前側から対向配置されている。層厚規制ブレード38は、上端がプロセスフレーム22に固定される薄板形状の板バネ部材45と、板バネ部材45の下端部に設けられ、板バネ部材45の弾性力によって現像ローラ37の表面を押圧する圧接ゴム46とを備えている。オーガ39は、幅方向に沿って延びる軸と、その軸の外表面に形成された螺旋状の翼とを備えており、供給ローラ36の上方かつ、フレーム側通過口34の後方に隣接配置されている。
【0043】
トナーカートリッジ31は、プロセスフレーム22に対して着脱自在に装着され、装着時には、カートリッジ保持部33に保持されている。トナーカートリッジ31は、略円筒形状に形成されている。トナーカートリッジ31には、内側と外側とを連通させるためのカートリッジ側通過口47が形成されている。
トナーカートリッジ31内には、アジテータ93が回転自在に設けられている。また、トナーカートリッジ31内には、現像剤の一例としての、非磁性一成分の正帯電性トナーが収容されている。トナーの平均粒径(直径)は、約6〜10μmである。
【0044】
トナーカートリッジ31内のトナーは、アジテータ93の回転により攪拌され、カートリッジ側通過口47からフレーム側通過口34に受け入れられて、現像部32内へ放出される。放出されたトナーは、回転するオーガ39の翼によって幅方向へ搬送され、その途中で落下し、供給ローラ36に供給される。
供給ローラ36に供給されたトナーは、供給ローラ36の回転により、現像ローラ37に供給される。このとき、このトナーは、供給ローラ36と現像ローラ37との間で正極性に摩擦帯電される。続いて、現像ローラ37に供給されたトナーは、現像ローラ37の回転に伴って、圧接ゴム46と現像ローラ37との間に進入し、それらの間で層厚が規制されながら、現像ローラ37の表面に薄層として担持される。なお、トナーは、圧接ゴム46と現像ローラ37との間に進入するときにおいても正極性に摩擦帯電される。
【0045】
そして、感光ドラム25の表面は、感光ドラム25の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器26により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームによって露光される。これにより、感光ドラム25の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ37の回転により、現像ローラ37の表面に担持されているトナーが、感光ドラム25に対向して接触するときに、感光ドラム25の表面に形成されている静電潜像に供給される。これによって、静電潜像は現像(可視像化)されて、感光ドラム25の表面にトナー像が担持される。このトナー像は、転写パス29において感光ドラム25と転写ローラ28との間(転写位置)に搬送された用紙3上に転写される。
(3−3)定着部
定着部18は、図1に示すように、プロセスカートリッジ17の後側に設けられている。定着部18は、加熱ローラ48と、加熱ローラ48に対して下側から圧接される加圧ローラ49と、それらの後側に配置される1対の搬送ローラ50とを備えている。
【0046】
定着部18では、転写位置において用紙3に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ48と加圧ローラ49との間を通過する間に熱定着させる。その後、この用紙3は、1対の搬送ローラ50によって、排紙部6に搬送される。
(4)排紙部
排紙部6は、排紙パス51、排紙ローラ52および排紙トレイ53を備えている。定着部18から排紙部6に搬送された用紙3は、排紙パス51から排紙ローラ52に搬送され、排紙ローラ52によって排紙トレイ53上に排紙される。
2.プロセスカートリッジの詳細
図3(a)は、図1に示すレーザプリンタのプロセスカートリッジ(トナーカートリッジが離脱され、揺動アームが押圧解除位置にある状態)の左側断面図であり、図3(b)は、図3(a)の要部拡大図である。図4は、図2に示すプロセスカートリッジを斜め右前側から見た斜視図である。図5は、プロセスカートリッジを斜め右前側から見た分解斜視図である。図6は、図4において、プロセスカートリッジを省略した図である。
(1)プロセスフレーム
プロセスフレーム22には、図3に示すように、上記した現像部32およびカートリッジ保持部33が形成されている。
(1−1)現像部
現像部32は、図3および図4に示すように、上壁54、底壁55、両側壁56、および、上述した仕切壁23で区画された空間である。両側壁56は、前後方向に沿って延び、幅方向において互いに間隔を隔てて対向配置されている。
【0047】
図2に示すように、仕切壁23の上下方向途中には、湾曲部分57が形成されている。湾曲部分57の前側面は、トナーカートリッジ31の外周面に沿うように後側へ滑らかに窪んでいる。湾曲部分57には、上記したフレーム側通過口34が形成されている。図6に示すように、フレーム側通過口34は、具体的には、幅方向に間隔を隔てて3つ形成されている。各フレーム側通過口34は、幅方向に細長い略矩形状に形成されており、カートリッジ保持部33に臨んでいる。
【0048】
図3に示すように、湾曲部分57の前側面には、フレーム側通過口34からカートリッジ保持部33へのトナーの漏れを防止するためのフレームシール58が貼着されている。
フレームシール58は、捕獲部材および第2シールの一例として機能する。フレームシール58は、弾性を有する発泡体(商品名:SM−55、(株)イノアックコーポレーション製)から、幅方向に延びる帯状に形成されており、各フレーム側通過口34に対応して、3つの切欠部分59が幅方向に間隔を隔てて形成されている。各切欠部分59は、対応するフレーム側通過口34とほぼ同じ大きさの貫通穴であり、対応するフレーム側通過口34に対して前側から対向し、連通している。この状態において、フレームシール58は、各切欠部分59が対応するフレーム側通過口34を取り囲んで配置されるように、フレーム側通過口34の周りに配置され、カートリッジ保持部33内に向かって突出している。フレームシール58については、後で詳説する。
(1−2)カートリッジ保持部
カートリッジ保持部33は、図5に示すように、両側板63、底板64および仕切壁23で区画された空間である。両側板63は、現像部32において対応する両側壁56と連続し、底板64は、現像部32の底壁55と連続している。
【0049】
両側板63の幅方向内側面には、シャッタ支持部65がそれぞれ設けられている。シャッタ支持部65は、幅方向から見て略円弧の断面形状を有する直方体形状であり、側板63の幅方向内側面から内側に膨出している。
シャッタ支持部65の幅方向内側面には、シャッタガイド部78が設けられている。シャッタガイド部78は、シャッタ支持部65の幅方向内側面から内側に膨出する凸条をなし、仕切壁23の湾曲部分57と前後方向にわずかな間隔を隔てて対向配置されている。シャッタガイド部78は、湾曲部分57とほぼ同じ曲率の湾曲形状に形成されている。
【0050】
両側板63の幅方向内側面には、上側固定部66がそれぞれ設けられている。上側固定部66は、幅方向から見て斜め後側下方へ窪む略U字形状であり、側板63の幅方向内側面から内側に膨出している。底板64の前端縁の幅方向中央には、前側にわずかに突出する下側固定部67が形成されている(図3(a)参照)。
カートリッジ保持部33には、フレーム側通過口34を開閉するシャッタ68が設けられている。
【0051】
シャッタ68は、幅方向に延びる略矩形板状をなし、仕切壁23の湾曲部分57とほぼ同じ曲率の湾曲形状に形成されている。シャッタ68は、幅方向において各シャッタガイド部78の間に延び、上下方向において各シャッタガイド部78より長く延びるように、形成されている。シャッタ68には、各フレーム側通過口34に対応して、それらに対向できる3つのシャッタ開口部69が幅方向に間隔を隔てて形成されている。
【0052】
シャッタ68は、図3に示すように、フレームシール58が貼着された湾曲部分57に対して前側から対向配置され、その幅方向両端部が、湾曲部分57と各シャッタガイド部78との間でスライド自在に挟持されている。
これによって、シャッタ68は、各シャッタガイド部78に沿って、フレーム側通過口34を開放する開位置(図2参照)と、フレーム側通過口34を閉鎖する閉位置(図3および図5参照)との間を上下方向に揺動自在に、支持される。ここで、説明の便宜上、シャッタ68において、開位置を第2開位置といい、閉位置を第2閉位置という。
【0053】
第2開位置にあるシャッタ68を上方ヘ所定距離移動させたときのシャッタ68の位置が第2閉位置である。ここで、シャッタ68の第2開位置から第2閉位置への上向きの移動方向を、説明の便宜上、第2移動方向という。具体的には、上下方向において、上側が、第2移動方向における下流側であり、下側が、第2移動方向における上流側である。
シャッタ68が第2開位置にあるとき、図2に示すように、各フレーム側通過口34および切欠部分59は、対応するシャッタ開口部69と対向および連通し、外側(前側)に開放される。このとき、図2(b)に示すように、フレームシール58において切欠部分59を区画する内側周縁部61が、対応するシャッタ開口部69から前側に露出される。特に、内側周縁部61において、切欠部分59より下側の内側周縁部(フレームシール58において第2移動方向におけるフレーム側通過口34より上流側部分であり、下側周縁部61Aという。)は、その前側面がシャッタ68の前側面とほぼ面一となるように、前側へ突出している。一方、内側周縁部61において切欠部分59より上側の部分(フレームシール58において第2移動方向におけるフレーム側通過口34より下流側部分であり、上側周縁部61Bという。)は、僅かにシャッタ開口部69から露出されるものの、そのほとんどがシャッタ68(シャッタ68におけるシャッタ開口部69より上側の部分)に圧接される。また、フレームシール58において内側周縁部61以外の部分(内側周縁部61よりも切欠部分59から遠い部分)は、フレーム側通過口34とシャッタ開口部69との間を取り囲むように、仕切壁23の湾曲部分57とシャッタ68との間で圧縮されている。これにより、連通状態にあるフレーム側通過口34およびシャッタ開口部69から、湾曲部分57とシャッタ68との間へのトナー漏れが防止されている。
【0054】
シャッタ68が第2閉位置にあるとき、図3に示すように、各フレーム側通過口34および切欠部分59は、シャッタ68においてシャッタ開口部69よりも下側の部分によって、前側から閉鎖される。
ここで、図5に示すように、シャッタ68の前側面には、シート40が設けられている。シート40は、可撓性を有する部材(たとえばPETフィルム、ゴム、または極薄の金属板)で形成された幅方向に細長い矩形状のシートである。シート40の幅方向寸法は、左端のシャッタ開口部69の左端縁と右端のシャッタ開口部69の右端縁との間の距離よりも長い。
【0055】
シート40は、シャッタ68において、全てのシャッタ開口部69の下端部に連続して設けられており、シート40の上端部の一部(堰止部41という。)が、各シャッタ開口部69内へ上向きに突設されている。詳しくは、シート40の各堰止部41は、対応するシャッタ開口部69と幅方向において等しい位置にあり、図2(b)に示すように、対応するシャッタ開口部69の下端部60を前側(カートリッジ保持部33側)から被覆している。ここで、下端部60は、第2移動方向におけるシャッタ開口部69の上流側端部である。そして、シート40における堰止部41より下側の部分の後側面(貼着面42という。)が、シャッタ68におけるシャッタ開口部69より下側の部分の前側面に貼着されている。
【0056】
このように、シート40は、堰止部41が対応するシャッタ開口部69内に下側からはみ出るように、貼着面42においてシャッタ68の前側面に貼着されている。ここで、シャッタ開口部69内への堰止部41の突出量(はみ出し量)は、たとえば0.5mm(最大でも1.0mm)に設定されている。そのため、堰止部41は、シャッタ68においてシャッタ開口部69の下端部60を区画する部分(下側周縁部68Aという。)より上側に突出している。つまり、堰止部41およびシャッタ68の下側周縁部68Aをまとめて突出部76というと、突出部76は、シャッタ68において、シャッタ開口部69の下端部60に設けられている。そして、突出部76では、前側の端縁(堰止部41)が後側の端縁(下側周縁部68A)よりも上側(第2移動方向における下流側)に突出している。なお、図3に示すようにシャッタ68が第2閉位置にあるときに堰止部41の突出方向と水平面とがなす角度は、たとえば、上向きに40°である。
【0057】
また、図5に示すように、カートリッジ保持部33には、揺動アーム70が設けられている。揺動アーム70は、平面視略U字状に形成されている。揺動アーム70は、幅方向に延びる把持杆71と、その把持杆71の幅方向両端部から後側に延びるアーム側板72とを一体的に備えている。
各アーム側板72の後端部には、幅方向外方に突出するボス73が設けられている。各ボス73は、対応する側板63に形成されている丸穴74に回動自在に支持されている。
【0058】
また、各アーム側板72の後端部の上側縁には、下側へ窪むように切り欠かれる受入凹部75が形成されている。
揺動アーム70は、各アーム側板72のボス73を支点として、各アーム側板72の下端縁が底板64の前端縁に接触する押圧解除位置(図3および図5参照)と、トナーカートリッジ31がカートリッジ保持部33に保持されたときに、トナーカートリッジ31を前側から押圧する押圧位置(図2、図4および図6参照)と、の間を揺動する。
(2)トナーカートリッジ
図7(a)は、トナーカートリッジの内側筐体(トナーシールが貼着される前の状態)を斜め左後側から見た斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示す内側筐体の、内側通過口における要部側断面図である。図8(a)は、図7(a)において、トナーシールが貼着された状態を示す。図8(b)は、図7(b)において、トナーシールが貼着された状態を示す。図9(a)は、トナーカートリッジ(内側筐体が第1開位置にある状態)を斜め左後側から見た斜視図である。図9(b)は、図9(a)に示すトナーカートリッジの、カートリッジ側通過口における要部側断面図である。図10(a)は、図2(a)において、揺動アームが押圧位置と押圧解除位置との間にある状態を示し、図10(b)は、図10(a)の要部拡大図である。図11(a)は、図2(a)において、揺動アームが押圧解除位置にある状態を示し、図11(b)は、図11(a)の要部拡大図である。
【0059】
トナーカートリッジ31は、図7ないし図11に示すように、トナーを収容する内側フレームの一例としての内側筐体81と、内側筐体81を収容する外側フレームの一例としての外側筐体82とを備えている。
(2−1)内側筐体
内側筐体81は、図7(a)に示すように、幅方向に延びる円筒形状の内側周壁83と、内側周壁83の幅方向両端部を閉鎖する円板形状の1対の内側側壁84とを一体的に備えている。以下では、特に言及しない限り、後述する第1開口の一例としての内側通過口89が後方に向いている状態を基準として説明する。
【0060】
内側側壁84の周縁部には、その周上1箇所(図7(a)における上端部)に、スライド突起86が設けられている。スライド突起86は、内側側壁84の外周面に沿う側面視円弧形状に形成されており、内側側壁84から幅方向外側へ突出するように設けられている。
内側側壁84には、その後側部分において、周端面から径方向に突出する1対の挟持突起87が設けられている。1対の挟持突起87は、内側側壁84の周端面において、互いに周方向に間隔(シャッタ68の周方向長さに相当する間隔)を隔てて、配置されている。
【0061】
内側周壁83には、幅方向両側に配置される1対の挟持突起87(4つの挟持突起87)に囲まれる囲繞部分88において、カートリッジ側通過口47の一部をなす内側通過口89が形成されている。
内側通過口89は、幅方向に細長い背面視略矩形状であり、具体的には、3つのフレーム側通過口34(図6参照)に対応して、幅方向に間隔を隔てて3つ形成されている。画像形成時には、各内側通過口89は、幅方向において対応する位置にあるフレーム側通過口34(図6参照)およびシャッタ68のシャッタ開口部69(図6参照)に対向する。
【0062】
図8に示すように、囲繞部分88には、各内側通過口89に対応して、内側通過口89からのトナーの漏れを防止するためのトナーシール92が3つ貼着されている。トナーシール92は、第1シールの一例として機能する。トナーシール92は、弾性を有する発泡体(商品名:ポロン SR−S−24P、(株)ロジャースイノアック製)から、背面視において幅方向に長手の矩形状かつ、前後方向にほぼ均一な長さ(厚さ)を有する帯状に形成されている。トナーシール92については、後で詳説する。
【0063】
トナーシール92において、背面視における中央位置からやや上側に偏った位置には、各内側通過口89に対応して、トナーシール92を前後方向に貫通する切欠部分96が形成されている。切欠部分96は、対応する内側通過口89とほぼ等しい大きさの背面視略矩形状に形成されており、対応する内側通過口89に対向している。このように、トナーシール92は、切欠部分96が対応する内側通過口89を取り囲んで配置されるように、内側通過口89の周りに配置され、径方向外側へ突設されている。
【0064】
図2(a)に示すように、内側筐体81内には、アジテータ93が設けられている。アジテータ93は、幅方向に延びるアジテータ軸94と、そのアジテータ軸94から径方向外側に延びる攪拌羽根95とを備えている。アジテータ軸94は、両内側側壁84に回転自在に支持されており、画像形成時において、モータ(図示せず)からの駆動力により回転する。
(2−2)外側筐体
外側筐体82は、内側筐体81を回動自在に収容すべく、内側筐体81より幅方向および径方向においてやや大きく形成されている。外側筐体82は、図9(a)に示すように、幅方向に延びる略円筒形状の外側周壁97と、外側周壁97の幅方向両端部を閉鎖する略円板形状の1対の外側側壁98とを一体的に備えている。以下では、特に言及しない限り、後述する外側通過口102が後方に向いている状態を基準として説明する。
【0065】
なお、外側周壁97は、その上側および前側の上側部分の外周面の一部が、平坦形状に形成されているが、外側周壁97の内周面は、断面円形状に形成されている(図2参照)。
外側側壁98には、その上側部分において、スライド突起86が挿通されるスライド穴99が形成されている。スライド穴99は、幅方向においてスライド突起86と対向するように配置されている。スライド穴99は、スライド突起86よりも長い側面視円弧形状に形成されている。外側側壁98の上端部には、幅方向外側に突出するボス100が設けられている。外側周壁97には、幅方向両端部において、1対の挟持突起87(4つの挟持突起87)がそれぞれ挿通される4つの長孔101が形成されている。各長孔101は、径方向において各挟持突起87と対向するように配置されている。長孔101は、背面視おいて上下方向に延びる略矩形状をなし、シャッタ68の第2開位置と第2閉位置との間の揺動範囲に相当する長さで、形成されている。
【0066】
外側周壁97には、4つの長孔101の間(上側の2つの長孔101と下側の2つの長孔101との間)において、カートリッジ側通過口47の一部をなす外側通過口102が形成されている。
外側通過口102は、具体的には、3つの内側通過口89およびフレーム側通過口34(図6参照)に対応して、幅方向に間隔を隔てて3つ形成されている。各外側通過口102は、対応する内側通過口89よりも大きい背面視略矩形状に形成されている。画像形成時には、各外側通過口102は、幅方向において対応する位置にある内側通過口89、トナーシール92の切欠部分96、フレーム側通過口34(図6参照)、フレームシール58の切欠部分59(図6参照)およびシャッタ68のシャッタ開口部69(図6参照)に対向する。
【0067】
外側周壁97の前側には、把持部103が設けられている。図2(a)に示すように、把持部103は、外側周壁97の上端部から前側へ突出する上把持板104と、上把持板104の下方において下側に延びる側面視略J字形状の係止アーム105とを備えている。係止アーム105の上端部は、上把持板104の下方に設けられる支持軸(図示せず)に揺動自在に支持されている。係止アーム105の下端部には、下側固定部67に係止する係止爪106が設けられている。係止アーム105の上端部近傍には、前側へ突出する下把持板107が一体的に設けられている。下把持板107は、上把持板104と間隔を隔てて略平行に延びるように配置されており、上把持板104と下把持板107との間には、それらを離間する方向に付勢する圧縮ばね(図示せず)が介在されている。
(2−3)内側筐体と外側筐体との相対配置
内側筐体81は、外側筐体82内に回動自在に収容されている。
【0068】
具体的には、内側周壁83の外周面は、外側周壁97の内周面に対して、周方向に摺動自在に内嵌されている。詳しくは、内側周壁83の外周面に設けられたトナーシール92が外側周壁97の内周面に接触しており、このトナーシール92が、主として、外側周壁97の内周面に対して摺動する。また、図9(a)に示すように、スライド穴99には、対応するスライド突起86が挿通されている。長孔101には、対応する挟持突起87が挿通され、挟持突起87は、長孔101から径方向外側へ突出している。
【0069】
内側筐体81は、内側通過口89およびトナーシール92の切欠部分96が外側通過口102と対向しない閉位置(図5および図11参照)と、内側通過口89および切欠部分96が外側通過口102と対向する開位置(図2および図9参照)との間において、外側筐体82に対する相対回動が許容されている。ここで、説明の便宜上、内側筐体81において、開位置を第1開位置といい、閉位置を第1閉位置という。
【0070】
内側筐体81が第1閉位置にあるときには、図5に示すように、各スライド突起86は各スライド穴99の前端部に配置され、各挟持突起87が各長孔101の上端部に配置される。そして、図9(a)において点線で示すように、また、図11に示すように、内側通過口89が外側通過口102より上側に配置され、外側通過口102が、内側周壁83において内側通過口89(図9(a)では点線表示部分)より下側の部分によって径方向内側から閉鎖されている。逆に、内側通過口89が、外側周壁97において外側通過口102より上側の部分によって外側から閉鎖されている。
【0071】
ここで、トナーシール92は、図11に示すように、内側周壁83と外側周壁97と間で圧縮されている。
内側通過口89が外側通過口102に向かう方向(下側)へ向けて、外側筐体82に対して内側筐体81を相対回動させ、内側通過口89および切欠部分96が外側通過口102と対向すると、内側筐体81は、第1開位置に配置される。
【0072】
内側筐体81が第1開位置に配置されると、図9(a)に示すように、各スライド突起86は各スライド穴99の後端部に配置され、各挟持突起87が各長孔101の下端部に配置される。また、内側通過口89および切欠部分96が対応する外側通過口102と対向し、これらが連通して開放される。
また、内側筐体81が第1開位置に配置された状態では、各トナーシール92において切欠部分96を区画する内側周縁部110が、対応する外側通過口102から露出されている。詳しくは、図9(b)に示すように、内側周縁部110は、その径方向外側面が外側周壁97の外表面とほぼ面一となるように、径方向外側へ突出している。また、各トナーシール92において内側周縁部110以外の部分(内側周縁部110よりも切欠部分96から遠い部分であり、外側周縁部111という。)は、対応する内側通過口89を取り囲むように、外側周壁97と内側周壁83との間で圧縮されている。これにより、連通状態にある内側通過口89および外側通過口102から、外側周壁97と内側周壁83との間へのトナー漏れが防止されている。
【0073】
また、内側筐体81は、第1開位置から第1閉位置へ上向きに移動し、この移動方向を、説明の便宜上、第1移動方向という。第1移動方向は、上述したシャッタ68の第2移動方向(上向き)とほぼ一致している。
(3)プロセスフレームに対するトナーカートリッジの着脱
(3−1)プロセスフレームに対するトナーカートリッジの装着
トナーカートリッジ31をプロセスフレーム22へ装着するには、図5に示すように、上把持板104および下把持板107を、圧縮ばね(図示せず)の付勢力に抗して、それらが近接する方向に挟持する。そして、トナーカートリッジ31(内側筐体81が第1閉位置に配置されているトナーカートリッジ31)を、カートリッジ保持部33(シャッタ68が第2閉位置に配置されており、揺動アーム70が押圧解除位置に配置されているカートリッジ保持部33)へ装着する。
【0074】
これにより、トナーカートリッジ31が底板64上に載置される。このとき、各ボス100が各上側固定部66に受け入れられ、各スライド突起86が各受入凹部75に嵌合され、図2(a)に示すように、幅方向両側の1対の挟持突起87が、シャッタ68の幅方向両端部の上端縁および下端縁をそれぞれ挟持する。これにより、スライド突起86および挟持突起87を有する内側筐体81が、揺動アーム70およびシャッタ68のそれぞれと係合する。
【0075】
その後、上把持板104および下把持板107の挟持を解除すると、圧縮ばねの付勢力によって係止アーム105が揺動して、係止爪106が下側固定部67に係止され、トナーカートリッジ31がカートリッジ保持部33に収容され、カートリッジ保持部33によって保持される。
外側筐体82は、上側固定部66にボス100が受け入れられ、かつ、下側固定部67に係止爪106が係止されていることから、カートリッジ保持部33で固定される。このとき、図11に示すように、フレーム側通過口34と、対応するカートリッジ側通過口47(詳しくは外側通過口102)とは、第2閉位置にあるシャッタ68を挟んで前後方向に対向している。つまり、シャッタ68において、前側がカートリッジ側通過口47(カートリッジ保持部33)に近い側であり、後側がフレーム側通過口34に近い側(前側に比べてカートリッジ保持部33から遠い側)である。そして、シャッタ68は、フレーム側通過口34に対してフレームシール58よりもカートリッジ側通過口47(内側通過口89)側に位置している。また、第2閉位置にあるシャッタ68のシャッタ開口部69は、フレーム側通過口34とカートリッジ側通過口47(内側通過口89および外側通過口102)との間から上方に離間している。
【0076】
そして、揺動アーム70を、押圧解除位置から押圧位置へ揺動させる。これにより、各受入凹部75(図5参照)に嵌合されている各スライド突起86が、各アーム側板72の揺動に伴って、各スライド穴99を後側へスライドして、各スライド穴99の後端部に配置される(図9(a)参照)。それに伴って、幅方向両側の1対の挟持突起87が、シャッタ68を挟持したまま、各長孔101を下側へスライドして、各長孔101の下端部に配置される(図9(a)参照)。
【0077】
これによって、内側筐体81が第1開位置に配置され、図2(a)および図9に示すように、各内側通過口89およびトナーシール92の切欠部分96が、対応する各外側通過口102と、略水平方向に対向して、これらが連通される。また、内側筐体81と係合するシャッタ68が、内側筐体81と一体的に移動して第2開位置に配置され、フレーム側通過口34およびフレームシール58の切欠部分59が、対応するシャッタ開口部69およびカートリッジ側通過口47(連通状態にある内側通過口89、切欠部分96および外側通過口102が含まれる。)と、略水平方向に対向して、これらが連通される。ここで、第2開位置にあるシャッタ68のシャッタ開口部69は、フレーム側通過口34とカートリッジ側通過口47との間に配置されている。
【0078】
また、図2(b)に示すように、内側筐体81およびシャッタ68がともに開位置にあるときに、外側周壁97の径方向外側まで突出する各トナーシール92の内側周縁部110が、対応するシャッタ開口部69を取り囲むように、後側へ突出している。詳しくは、内側周縁部110において切欠部分96より下側の内側周縁部(トナーシール92において第1移動方向おける内側通過口89より上流側部分であり、下側周縁部110Aという。)は、フレームシール58において切欠部分59より下側の下側周縁部61Aに圧接されている。そして、トナーシール92の内側周縁部110において切欠部分96より上側の内側周縁部(トナーシール92において第1移動方向おける内側通過口89より下流側部分であり、上側周縁部110Bという。)は、シャッタ68(シャッタ68におけるシャッタ開口部69より上側の部分)に圧接される。ここで、シャッタ68におけるシャッタ開口部69より上側の部分は、フレームシール58において切欠部分59より上側の部分(上側周縁部61B)と、トナーシール92において切欠部分96より上側の部分(上側周縁部110B)との間に配置される。また、フレームシール58において、トナーシール92と接触する側の面(前側面)を、フレームシール接触面58Aといい、上述したトナーシール92の下側周縁部110Aにおいて、フレームシール58(下側周縁部61A)と接触する面を、トナーシール接触面92Aという。すなわち、フレームシール接触面58Aは、トナーシール92に対するフレームシール58の接触部位であり、トナーシール接触面92Aは、フレームシール58に対するトナーシール92の接触部位である。下側周縁部110Aが下側周縁部61Aに圧接されている状態では、トナーシール接触面92Aが、下側周縁部61Aにおけるフレームシール接触面58Aに接触している。
【0079】
このように、内側通過口89とフレーム側通過口34との間が、フレームシール58、トナーシール92およびシャッタ68によって、隙間なく取り囲まれるので、内側通過口89とフレーム側通過口34との間でのトナー漏れが防止される。
また、内側通過口89の下側周縁とフレーム側通過口34の下側周縁との間には、フレームシール58の下側周縁部61Aとトナーシール92の下側周縁部110Aとによって、略水平方向に沿う平坦面77が連続して形成される。ここで、上述した突出部76(シャッタ68の下側周縁部68Aおよびシート40の堰止部41)は、平坦面77(内側通過口89の下端縁およびフレーム側通過口34の下端縁)よりも下側に配置されている。つまり、シート40の上端縁40A(堰止部41の上端縁でもある。)と、シャッタ68の下側周縁部68Aの上端縁68B(シャッタ68のシャッタ開口部69における下側端縁)とは、フレームシール58の切欠部分59およびトナーシール92の切欠部分96のいずれにも露出されておらず、これらの切欠部分の下端縁よりも下側に配置されている。
【0080】
そして、画像形成時には、アジテータ93の攪拌により、内側筐体81内のトナーが、図示太線矢印で示すように、内側通過口89、トナーシール92の切欠部分96、外側通過口102、シャッタ開口部69、フレームシール58の切欠部分59およびフレーム側通過口34を、略水平方向に沿って通過して、現像部32内へ供給される。このとき、トナーは、上述した平坦面77上を移動する。なお、トナーを、現像部32とトナーカートリッジ31との間で循環してもよい。その場合、幅方向中央のカートリッジ側通過口47(図9(a)参照)およびフレーム側通過口34(図6参照)を介して、トナーカートリッジ31のトナーが現像部32内に供給され、オーガ39によって幅方向両側に搬送されながら供給ローラ36に供給される。その一方で、一部のトナーは、幅方向両側のフレーム側通過口34およびカートリッジ側通過口47を介して、トナーカートリッジ31内へ戻される。ここで、トナーカートリッジ31内へ戻されたトナーには、上述したように正極性に摩擦帯電されたトナーも含まれるので、トナーカートリッジ31内において、トナーカートリッジ31内へ戻された以外のトナーも、ある程度正極性に帯電している。
(3−2)プロセスフレームに対するトナーカートリッジの離脱
プロセスフレーム22からトナーカートリッジ31を離脱させるには、まず、揺動アーム70を、押圧位置から押圧解除位置(図3(a)参照)へ揺動させる。
【0081】
揺動アーム70を押圧位置から押圧解除位置へ揺動させると、図5を参照して、各受入凹部75に嵌合されている各スライド突起86が、各アーム側板72の揺動に伴なって、各スライド穴99を前側へスライドし始める。これに応じて、内側筐体81が、第1開位置から第1閉位置へ向けて(第1移動方向へ)移動し始め、図2に示す幅方向両側の1対の挟持突起87が、シャッタ68を挟持したまま、各長孔101を上側へスライドし始める。このとき、内側筐体81が第1開位置にあったときに下側周縁部61Aにおけるフレームシール接触面58Aに接触していたトナーシール接触面92Aが、内側筐体81の移動に伴って、このフレームシール接触面58Aに摺接する。ここで、フレームシール接触面58Aを基準とすると、フレームシール接触面58Aがトナーシール接触面92Aに摺接する。トナーシール接触面92Aは、下側周縁部61Aにおけるフレームシール接触面58Aに摺接し終えた後に、切欠部分59を横切り(ここでフレーム側通過口34に露出される。)、図10(b)に示すように、上側周縁部61Bにおけるフレームシール接触面58Aに摺接する。
【0082】
内側筐体81が第1閉位置へ向ってさらに移動すると、トナーシール92の下側周縁部110Aが、外側周壁97において外側通過口102の上側周縁をなす部分(接触部分118という。)に接触して内側周壁83側に圧縮されながら、外側周壁97と内側周壁83との間に潜り込んでいく(図11(b)参照)。このとき、トナーシール接触面92Aは、接触部分118に摺接する。
【0083】
また、内側筐体81が第1閉位置へ向って移動すると、図5を参照して、各スライド突起86が各スライド穴99の前端部に配置され、幅方向両側の1対の挟持突起87が、シャッタ68を挟持したまま、各長孔101を上側へスライドして、各長孔101の上端部に配置される。
これによって、図11に示すように、トナーカートリッジ31では、内側筐体81が第1閉位置に配置され、外側通過口102および内側通過口89が、上述したように、ともに閉鎖される。また、内側筐体81と係合するシャッタ68が、内側筐体81と一体的に移動して第2閉位置に配置され、フレーム側通過口34およびフレームシール58の切欠部分59が、シャッタ68と対向して閉鎖される(図3参照)。
【0084】
そして、上把持板104および下把持板107を、それらが近接する方向に挟持すると、係止爪106の下側固定部67に対する係止が解除される。そのため、図5に示すように、そのままトナーカートリッジ31をカートリッジ保持部33から前側へ引き出せば、スライド突起86が受入凹部75から外れ、挟持突起87がシャッタ68から外れる。これにより、内側筐体81の、揺動アーム70およびシャッタ68のそれぞれに対する係合が解除され、トナーカートリッジ31は、プロセスフレーム22から脱離される。
(4)フレームシールおよびトナーシール
図12(a)は、フレームシールの一部を、フレームシール接触面と対向する側から見た図であり、図12(b)は、トナーシールの一部を、トナーシール接触面と対向する側から見た図である。図13(a)は、図12(a)のA−A矢視断面図であり、図13(b)は、図12(b)のB−B矢視断面図である。図14は、トナーシールとフレームシールとが互いに接触している様子を示す図である。
【0085】
上述したように、フレームシール58およびトナーシール92は、発泡体で形成されているので、図12に示すように、フレームシール接触面58Aおよびトナーシール接触面92Aのそれぞれには、凹部が露出するように形成されている。ここで、フレームシール接触面58Aで露出された凹部を、フレームシール凹部58Bといい、トナーシール接触面92Aで露出された凹部を、トナーシール凹部92Bという。
【0086】
ここで、各凹部について、対応する接触面における凹部の開口の大きさを開口面積といい、対応する接触面から凹部の底までの距離を、凹部の深さという。すなわち、1つのフレームシール凹部58Bの開口面積58Cは、図12(a)において斜線で示した領域である(図13(a)も参照)。そして、1つのフレームシール凹部58Bの深さ58Dは、図13(a)における左端のフレームシール凹部58Bにおいて示されている寸法である。また、1つのトナーシール凹部92Bの開口面積92Cは、図12(b)において斜線で示した領域である(図13(b)も参照)。そして、1つのトナーシール凹部92Bの深さ92Dは、図13(b)における左端のトナーシール凹部92Bにおいて示されている寸法である。
【0087】
図12に示すように、フレームシール凹部58Bは、ある所定の面積において(フレームシール接触面58Aおよびトナーシール接触面92Aを等しい大きさにした場合)、トナーシール凹部92Bよりも多く形成されている。詳しくは、フレームシール凹部58Bは、フレームシール接触面58Aの全てに亘ってほぼ均一に分散するように形成されている。特に、フレームシール凹部58Bは、上述した第1移動方向に沿う方向(フレームシール接触面58Aがトナーシール接触面92Aに摺接する方向であり、図12(a)の太線矢印参照。)と直交する方向(図12(a)では左右方向)において少なくとも均一に分散するように形成されている。ここで、フレームシール58(少なくともフレームシール接触面58A)は、独立気泡フォームのみならず連続気泡フォームによって形成されてもよく、隣り合うフレームシール凹部58Bが連なることもある(図12(a)においてドットで示した部分を参照)。このようなフレームシール凹部58Bに対して、トナーシール凹部92Bの数は、極力少ないことが望ましい。
【0088】
ここで、1つのフレームシール凹部58Bの開口面積58Cは、1つのトナーシール凹部92Bの開口面積92Cより大きく設定されている。そのため、全てのフレームシール凹部58Bを対象とする開口面積58Cの平均は、全てのトナーシール凹部92Bを対象とする開口面積92Cの平均より大きい。
また、図13に示すように、1つのフレームシール凹部58Bの深さ58Dは、1つのトナーシール凹部92Bの深さ92Dより大きく設定されている。そのため、全てのフレームシール凹部58Bを対象とする深さ58Dの平均は、全てのトナーシール凹部92Bを対象とする深さ92Dの平均より大きい。
【0089】
このようなフレームシール凹部58Bを有するフレームシール58は、トナーシール92に比べて、フレームシール凹部58Bにおいて多くのトナーを捕獲することができるので、トナーの捕獲力が強い。
また、本実施形態で用いているトナーシール92は、上述したポロン((株)ロジャースイノアック製)で形成されており、図14に示すように、第1部位92E(斜線部分)と第2部位92Fとを含む2層構造である。第1部位92Eが、いわゆるスキン層として、フレームシール58に接触するので、第1部位92Eのフレームシール58に対する接触面が、上述したトナーシール接触面92Aある。また、第1部位92Eがフレームシール58に接触した状態で、第2部位92Fは、第1部位92Eに対してフレームシール58の反対側に配置されている。つまり、第2部位92Fがトナーシール92の基部(内側筐体81に貼着される部分)として、第1部位92Eを支持する。ここで、第2部位92Fは、第1部位92Eより弾性率が小さく設定されている。
【0090】
さらに、フレームシール58(少なくともフレームシール接触面58A)は、トナーシール92(少なくともトナーシール接触面92A)を構成する材料よりも、帯電列において負極性側(トナーの帯電極性である正極性側の反対側)にある材料で構成されていることが望ましい。ここで、帯電列とは、2種類の材料を互いに擦り合わせた時に正極性側に帯電しやすい材料を上位に配置して、負極性側に帯電しやすい材料を下位に配置した配列である。
【0091】
具体的には、トナーシール92やフレームシール58の材料には、帯電列において正極性側から順に、ナイロン、ポリエステル、ウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、シリコンが挙げられる。トナーシール92の材料としては、正極性側の材料を使い、フレームシール58の材料としては、帯電列においてトナーシール92の材料よりも負極性側の材料を使う。たとえば、トナーシール92にウレタンを使用した場合、フレームシール58にはシリコンを使用し、トナーシール92にナイロンを使用した場合、フレームシール58には、ウレタンを使用する。
3.作用効果
このプロセスカートリッジ17では、図2に示すように、トナーカートリッジ31をカートリッジ保持部33に保持させて内側筐体81を第1開位置に配置すると内側通過口89が開放される。これにより、トナーカートリッジ31(詳しくは内側筐体81)に収容されたトナーを、開放された内側通過口89を介して、プロセスフレーム22の現像ローラ37に供給することができる。一方、内側筐体81を第1閉位置に配置すると内側通過口89が閉鎖されるので(図11参照)、内側筐体81に収容されたトナーが内側通過口89から漏れ出すことなく、トナーカートリッジ31をプロセスフレーム22から離脱させることができる。
【0092】
ここで、内側筐体81において、内側通過口89の周りにトナーシール92が配置されているので(図8参照)、内側筐体81が第1開位置にあるときに、内側筐体81に収容されたトナーが現像ローラ37に供給されずに内側通過口89の周りへ漏れ出すことを防止できる。
このようなトナーシール92にはトナーが付着し易い。トナーシール92にトナーが付着した状態で内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動し、図10(b)に示すように、トナーシール92の下側周縁部110Aが、外側周壁97の外側通過口102における接触部分118に接触すると、下側周縁部110Aに付着したトナーが接触部分118から外側筐体82に付着し得る。
【0093】
しかし、このプロセスカートリッジ17では、トナーシール92に比べてトナーの捕獲力が強いフレームシール58が、内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動するときにトナーシール92に摺接する。これにより、内側筐体81の移動中において、トナーシール92に付着したトナーがフレームシール58によって捕獲される。そのため、内側筐体81が第1閉位置に到達するまでに、トナーシール92に付着したトナーが外側筐体82に付着することなく除去されるので、その後、トナーカートリッジ31をプロセスフレーム22から離脱させるために外側筐体82にアクセスしても、ユーザがトナーで手を汚すことを防止できる。
【0094】
この結果、取り扱い性の向上を図ることができる。
上述したようにフレームシール58とトナーシール92とを発泡体で形成すると、フレームシール接触面58Aおよびトナーシール接触面92Aには、図12および図13に示すように、凹部(フレームシール凹部58Bおよびトナーシール凹部92B)が露出するように形成される。そして、フレームシール凹部58Bの開口面積58Cの平均を、トナーシール凹部92Bの開口面積92Cの平均より大きくすると、フレームシール58がトナーシール92に摺接するときに、トナーシール接触面92A(詳しくはトナーシール凹部92B)に付着したトナーがフレームシール凹部58Bへ移り易くなる。つまり、フレームシール58によるトナーの捕獲力を、トナーシール92によるトナーの捕獲力に比べて強くすることができる。特に、フレームシール凹部58Bは、上述したように、フレームシール接触面58Aの全てに亘ってほぼ均一に分散するように形成されているので、フレームシール58(フレームシール接触面58A)は、トナーシール接触面92Aに摺接したときに、トナーシール接触面92Aに付着したトナーを、トナーシール接触面92Aにおいて偏ることなく、捕獲することができる。
【0095】
また、フレームシール凹部58Bの深さの平均が、トナーシール凹部92Bの深さの平均よりも大きいので(図13の深さ58Dおよび深さ92Dを参照)、フレームシール58がトナーシール92に摺接するときに、トナーシール凹部92Bに付着したトナーがフレームシール凹部58Bへ一層移り易くなる。つまり、フレームシール58によるトナーの捕獲力を、トナーシール92によるトナーの捕獲力に比べて一層強くすることができる。
【0096】
上述したように、図14に示すトナーシール92において、第1部位92Eがフレームシール58に接触した状態で第1部位92Eに対してフレームシール58の反対側に配置される第2部位92Fは、第1部位92Eより弾性率が小さい(弾性変形しやすい)。これにより、弾性変形した第2部位92Fの復元力によって第1部位92Eがフレームシール58へ押圧されるので、第1部位92Eをフレームシール58に確実に接触させることができる。そのため、内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動するときに、フレームシール58は、トナーシール92に確実に摺接して、トナーシール92に付着したトナーを捕獲することができる。
【0097】
また、上述したように、フレームシール接触面58Aは、トナーシール接触面92Aを構成する材料よりも、帯電列において、トナーの帯電極性である第1の極性(正極性)側とは反対側の第2の極性(負極性)側にある材料で構成されていると望ましい。これにより、フレームシール58がトナーシール92に摺接すると、フレームシール接触面58Aがトナーシール接触面92Aよりも負極性側に帯電するので、正極性に帯電したトナーが、トナーシール接触面92Aからフレームシール接触面58Aへ移り易くなる。つまり、フレームシール58によるトナーの捕獲力を、トナーシール92によるトナーの捕獲力に比べて強くすることができる。
【0098】
そして、このプロセスカートリッジ17では、図2に示すように、内側筐体81が第1開位置にあるときにプロセスフレーム22のフレーム側通過口34が内側通過口89に対向することによって内側通過口89とフレーム側通過口34とが連通する。これにより、内側筐体81に収容されたトナーを、内側通過口89およびフレーム側通過口34を介して、プロセスフレーム22の現像ローラ37に供給することができる。
【0099】
そして、フレーム側通過口34の周りに配置されたフレームシール58がトナーシール92に接触することによって内側通過口89とフレーム側通過口34との間でのトナーの漏れを防止することができる。そして、フレームシール58が、トナー漏れを防止する機能と、トナーシール92からトナーを捕獲する機能とを兼ねるので、それぞれの機能に応じて別々の部品を設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0100】
また、図10(b)を参照して、トナーシール92における下側周縁部110Aは、内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動するときにフレーム側通過口34に露出されるので、フレーム側通過口34にあるトナーが、下側周縁部110A(特にトナーシール接触面92A)に付着し易い。しかし、この下側周縁部110Aは、フレーム側通過口34に露出されてから、フレームシール58における上側周縁部61Bに摺接するので、トナーシール92の下側周縁部110Aがフレーム側通過口34に露出されたときに付着したトナーは、フレームシール58の上側周縁部61B(フレームシール接触面58A)によって確実に捕獲される。そのため、内側筐体81が第1閉位置へ到達するまでに、トナーシール92の下側周縁部110Aに付着したトナーが外側筐体82に付着することがなく除去されるので、その後、トナーカートリッジ31をプロセスフレーム22から離脱させるために外側筐体82にアクセスしても、ユーザがトナーで手を汚すことを防止できる。
【0101】
そして、内側筐体81の第1開位置から第1閉位置への第1移動方向が上向きであるので、トナーシール92における下側周縁部110Aには、トナーが付着し易い。しかし、この下側周縁部110Aは、フレーム側通過口34に露出されてから、フレームシール58における上側周縁部61Bに摺接するので、トナーシール92の下側周縁部110Aに付着したトナーは、フレームシール58の上側周縁部61Bに確実に捕獲される。
【0102】
また、シャッタ68が第2開位置と第2閉位置との間を移動することによって、フレーム側通過口34を開閉することができる。そして、このようなシャッタ68を設けたのにもかかわらず、内側筐体81が第1開位置にあり、シャッタ68が第2開位置にあるときには、図2に示すように、トナーシール92がフレームシール58に接触する。そのため、内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動するときに、フレームシール58は、トナーシール92に確実に摺接して、トナーシール92に付着したトナーを捕獲することができる。
【0103】
ここで、シャッタ68は、フレーム側通過口34に対してフレームシール58よりも内側通過口89側に設けられ、また、シャッタ68には突出部76が設けられている。突出部76では、図2(b)に示すように、内側通過口89側(カートリッジ保持部33に近い側)の端縁(シート40の堰止部41)がフレーム側通過口34側(内側通過口89側よりもカートリッジ保持部33から遠い側)の端縁(下側周縁部68A)よりも上側に突出している。そのため、フレームシール58がトナーシール92から捕獲したトナーが、シャッタ68(詳しくは下側周縁部68A)に付着しても、このトナーが突出部76によって内側通過口89側から堰き止められるので、このトナーがカートリッジ保持部33にこぼれて飛散することを防止することができる。
【0104】
なお、この実施形態では、シャッタ68のシャッタ開口部69における周縁(詳しくは下側周縁部68A)に突出部76を設けているが、シャッタ開口部69を有しない単なる板状のシャッタ68も考えられる。その場合には、シャッタ68の外周縁において、フレームシール58が捕獲したトナーが付着し易い箇所に突出部76を適宜設ければよい。
4.変形例
(1)変形例1
上記した実施形態では、図1に示すように、プロセスカートリッジ17は感光ドラム25と現像ローラ37とを一体的に備えており、そのプロセスカートリッジ17を本体ケーシング2に着脱自在に装着させている。これに加えて、たとえば、プロセスカートリッジ17を、感光ドラム25を備えない現像カートリッジとする一方で、感光ドラム25を備える別のユニット(ドラムカートリッジ)を設け、このドラムカートリッジに対して現像カートリッジを着脱自在に装着してもよい。また、プロセスカートリッジ17を本体ケーシング2に装着したまま、トナーカートリッジ31のみを着脱自在に構成してもよい。
【0105】
さらに、本体ケーシング2に、感光ドラム25、スコロトロン型帯電器26および転写ローラ28を設けて、その本体ケーシング2に、現像カートリッジを着脱自在に装着することもできる。ここで、現像カートリッジに対してトナーカートリッジ31が着脱され、現像カートリッジにシャッタ68が設けられる。
(2)変形例2
上記した実施形態では、モノクロのレーザプリンタ1を例示したが、たとえば、本発明の画像形成装置は、カラーレーザプリンタ(タンデムタイプ、中間転写タイプを含む。)として構成することもできる。
(3)変形例3
図12および図13を参照して、全てのトナーシール凹部92Bを対象とする開口面積92Cの平均S(ここでは開口面積92Cを円の面積とする。)と、トナーの平均粒径L(約6〜10μm)とが下記の関係を満たしていることが望ましい。
【0106】
2(S/π)0.5<L
これにより、トナーシール凹部92Bのトナーシール接触面92Aにおける開口の平均直径がトナーの平均粒径Lより小さいので、トナーがトナーシール凹部92Bに付着すること自体を防止することができる。そのため、内側筐体81が第1閉位置に到達するまでに、トナーシール92から外側筐体82にトナーが移ることを一層防止することができる。
【0107】
一方、全てのフレームシール凹部58Bを対象とする開口面積58Cの平均R(ここでは開口面積58Cを円の面積とする。)と、トナーの平均粒径Lとが下記の関係を満たしていることが望ましい。これにより、フレームシール凹部58Bのフレームシール接触面58Aにおける開口の平均直径がトナーの平均粒径Lより大きいので、トナーがフレームシール凹部58Bへ確実に移る。
【0108】
2(R/π)0.5>L
(4)変形例4
また、上記した実施形態では、フレームシール58およびトナーシール92を発泡体で形成している。しかしながら、これらのシールを発泡体で形成するか否かを問わず、たとえば十点平均粗さ(Rz)を基準として、フレームシール接触面58Aの表面粗さを、トナーシール接触面92Aの表面粗さより大きくしてもよい。そうすれば、必然的に、フレームシール接触面58Aには、トナーシール凹部92Bより大きい(開口面積が大きく深い)フレームシール凹部58Bが形成される(図12および図13参照)。
【0109】
これにより、フレームシール58がトナーシール92に摺接するときに、トナーシール接触面92Aに付着したトナーがフレームシール接触面58Aへ移り易くなる。つまり、フレームシール58によるトナーの捕獲力を、トナーシール92によるトナーの捕獲力に比べて強くすることができる。
(5)変形例5
また、フレームシール58およびトナーシール92を同じ材料で形成しておきながら、フレームシール58の密度をトナーシール92の密度より低くしてもよい。
【0110】
これにより、フレームシール58では、トナーを捕獲するためのスペースを、トナーシール92よりも多く確保することができる。例えば、トナーシール92およびフレームシール58のそれぞれの接触面を同じ発泡体で形成した場合には、図12に示すフレームシール接触面58Aには、トナーシール凹部92Bよりも大きいフレームシール凹部58Bが形成される。これにより、フレームシール58がトナーシール92に摺接するときに、トナーシール凹部92Bに付着したトナーがフレームシール凹部58Bへ移り易くなる。つまり、フレームシール58によるトナーの捕獲力を、トナーシール92によるトナーの捕獲力に比べて強くすることができる。
(6)変形例6
上記した実施形態では、フレームシール58(フレームシール接触面58A)およびトナーシール92(トナーシール接触面92A)をともに発泡体で形成している。これに代え、フレームシール接触面58Aを、上述した発泡体で形成する一方で、トナーシール接触面92Aを非発泡体(上述したトナーシール凹部92Bがない滑らかなフィルムなど)で形成してもよい。
【0111】
これにより、フレームシール58がトナーシール92に摺接するときに、トナーシール接触面92Aに付着したトナーがフレームシール接触面58A(発泡体で形成されたフレームシール接触面58Aにおけるフレームシール凹部58B)へ移り易くなる。つまり、フレームシール58によるトナーの捕獲力を、トナーシール92によるトナーの捕獲力に比べて強くすることができる。
(7)変形例7
図15は、図3に変形例7を適用した図である。図15では、説明の便宜上、図3で示されたシート40およびシャッタガイド部78を省略している。
【0112】
変形例7では、図15(b)に示すように、フレームシール58全体において切欠部分59より上側の部分(フレーム側通過口34より第2移動方向における下流側の部分であり、上側部分62という。)に、接触面の一例としての傾斜面62Aが形成されている。傾斜面62Aは、上側部分62の下側の前側面をなし、斜め後側下方(つまりフレーム側通過口34)へ向って傾斜して延びている。
【0113】
ここで、傾斜面62Aは、シャッタ68が第2開位置にあるときには、シャッタ68のシャッタ開口部69における下側端縁である上端縁68Bに上側から臨んでいる。そのため、シャッタ68が第2開位置から第2閉位置へ向けて上向きに移動すると、傾斜面62Aは、上端縁68Bに接触する。傾斜面62Aは、斜め後側下方へ向って傾斜して延びているので、換言すれば、斜め前側上方にも延びている。そのため、上端縁68Bに対する傾斜面62Aの接触圧は、シャッタ68が第2開位置から第2閉位置へ向けて上向きに移動するに従って次第に大きくなっていく。
【0114】
そのため、シャッタ68が第2開位置から第2閉位置へ移動するときに、傾斜面62Aがシャッタ68の上端縁68Bにいきなり接触し、フレームシール58がトナーシール92から捕獲したトナーがこの傾斜面62Aから飛散することを防止することができる。
ここで、仕切壁23の湾曲部分57において、フレームシール58において傾斜面62Aに相当する部分を支持する部分を支持部57Aとする。支持部57A自体が、下側へ向かうに従ってフレーム側通過口34(現像部32)へ向かって(つまり斜め後側下方に沿って)傾斜しているので、フレームシール58において支持部57Aに支持される部分には、必然的に傾斜面62Aが形成される。これによって、上端縁68Bに対する傾斜面62Aの接触圧を、シャッタ68が第2開位置から第2閉位置へ移動するに従って大きくすることができる。
【0115】
なお、ここでは、シャッタ68のシャッタ開口部69における上端縁68Bが傾斜面62Aに接触しているが、これに限らず、シャッタ68における上端縁68B以外の縁が傾斜面62Aに接触してもよい。その場合においても、この縁に対するに対する傾斜面62Aの接触圧は、シャッタ68が第2開位置から第2閉位置へ向けて上向きに移動するに従って次第に大きくなっていく。
(8)変形例8
図16(a)は、図8(a)に変形例8を適用した図である。図16(b)は、図8(b)に変形例8を適用した図である。図17(a)は、変形例8に係るトナーカートリッジ(内側筐体が第1開位置にある状態)を斜め左後側から見た斜視図である。図17(b)は、図17(a)に示すトナーカートリッジの、カートリッジ側通過口における要部側断面図である。なお、図17(b)では、説明の便宜上、トナーシールを塗り潰して示している。また、図16および図17の内側筐体81およびトナーカートリッジ31は、図8および図9に示す内側筐体81およびトナーカートリッジ31に対して、変形例8の特徴部分以外においても、若干異なる。
【0116】
変形例8に係るトナーカートリッジ31では、図16に示すように、内側筐体81における内側周壁83の外周面に、各内側通過口89の周縁において、突起122が設けられている。突起122は、内側通過口89の周縁の全周に亘って設けられ、内側筐体81から外側(内側周壁83の径方向外側であり、図16では後方)へ向かって突出するように、形成されている(図16(b)参照)。詳しくは、各突起122は、背面視において(径方向外側から見て)、対応する内側通過口89を縁取る略矩形状である。そして、突起122の突出方向下流側端面(図16では後端面)は、略平坦面である。
【0117】
上述したトナーシール92は、切欠部分96の縁が突起122に一致するように内側周壁83に貼着される。つまり、トナーシール92において切欠部分96を形成する略矩形状の縁部(上述した内側周縁部110)は、突起122上に配置されている。詳しくは、各トナーシール92において、内側周縁部110以外の部分(上述した外側周縁部111)は、内側周壁83の外周面に沿って貼着される。その一方で、内側周縁部110は、突起122上に配置されることで、外側周縁部111に比べて径方向外側(図16では後方)へ一段突出している(図16(b)参照)。
【0118】
そのため、図17に示すように、内側筐体81が開放位置に配置されると、各トナーシール92の内側周縁部110の全てが、対応する外側通過口102から露出され、外側周壁97よりも径方向外側へ突出する(図17(b)参照)。このように突起122を設けたトナーカートリッジ31をプロセスフレーム22に装着し、内側筐体81を第1開位置に配置すると、突起122がない場合(図2参照)よりも高い圧力で、トナーシール92の内側周縁部110(詳しくは下側周縁部110A)が、突起122によってフレームシール58(詳しくは下側周縁部61A)へ向けて押圧される。
【0119】
そのため、内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動するときに、フレームシール58は、トナーシール92に確実に摺接して、トナーシール92に付着したトナーを捕獲することができる。
なお、このような突起122を用いる場合に限らず、内側筐体81が第1開位置から第1閉位置へ移動しているときに、トナーシール92を内側通過口89よりも外側へ突出させておけば、フレームシール58は、トナーシール92に確実に摺接して、トナーシール92に付着したトナーを捕獲することができる。そして、トナーシール92は、内側通過口89よりも外側へ突出することによって、内側筐体81と外側筐体82との間を塞ぐことができるので、内側通過口89から内側筐体81と外側筐体82との間にトナーが漏れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの左側断面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示すレーザプリンタのプロセスカートリッジ(トナーカートリッジが装着され、揺動アームが押圧位置にある状態)の左側断面図であり、図2(b)は、図2(a)の要部拡大図である。
【図3】図3(a)は、図1に示すレーザプリンタのプロセスカートリッジ(トナーカートリッジが離脱され、揺動アームが押圧解除位置にある状態)の左側断面図であり、図3(b)は、図3(a)の要部拡大図である。
【図4】図2に示すプロセスカートリッジを斜め右前側から見た斜視図である。
【図5】プロセスカートリッジを斜め右前側から見た分解斜視図である。
【図6】図4において、プロセスカートリッジを省略した図である。
【図7】図7(a)は、トナーカートリッジの内側筐体(トナーシールが貼着される前の状態)を斜め左後側から見た斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示す内側筐体の、内側通過口における要部側断面図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)において、トナーシールが貼着された状態を示す。図8(b)は、図7(b)において、トナーシールが貼着された状態を示す。
【図9】図9(a)は、トナーカートリッジ(内側筐体が第1開位置にある状態)を斜め左後側から見た斜視図である。図9(b)は、図9(a)に示すトナーカートリッジの、カートリッジ側通過口における要部側断面図である。
【図10】図10(a)は、図2(a)において、揺動アームが押圧位置と押圧解除位置との間にある状態を示し、図10(b)は、図10(a)の要部拡大図である。
【図11】図11(a)は、図2(a)において、揺動アームが押圧解除位置にある状態を示し、図11(b)は、図11(a)の要部拡大図である。
【図12】図12(a)は、フレームシールの一部を、フレームシール接触面と対向する側から見た図であり、図12(b)は、トナーシールの一部を、トナーシール接触面と対向する側から見た図である。
【図13】図13(a)は、図12(a)のA−A矢視断面図であり、図13(b)は、図12(b)のB−B矢視断面図である。
【図14】トナーシールとフレームシールとが互いに接触している様子を示す図である。
【図15】図3に変形例7を適用した図である。
【図16】図16(a)は、図8(a)に変形例8を適用した図である。図16(b)は、図8(b)に変形例8を適用した図である。
【図17】図17(a)は、変形例8に係るトナーカートリッジ(内側筐体が第1開位置にある状態)を斜め左後側から見た斜視図である。図17(b)は、図17(a)に示すトナーカートリッジの、カートリッジ側通過口における要部側断面図である。
【符号の説明】
【0121】
17 プロセスカートリッジ
22 プロセスフレーム
31 トナーカートリッジ
33 カートリッジ保持部
34 フレーム側通過口
37 現像ローラ
57A 支持部
58 フレームシール
58A フレームシール接触面
58B フレームシール凹部
58C 開口面積
61B 上側周縁部
62 上側部分
62A 傾斜面
68 シャッタ
68B 上端縁
76 突出部
81 内側筐体
82 外側筐体
89 内側通過口
92 トナーシール
92A トナーシール接触面
92B トナーシール凹部
92C 開口面積
92E 第1部位
92F 第2部位
110A 下側周縁部
122 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側フレームと、第1開口が形成され、前記第1開口が開放される第1開位置と前記外側フレームにより前記第1開口が閉鎖される第1閉位置との間を移動可能な内側フレームとを含む現像剤カートリッジと、
前記内側フレームに設けられ、前記第1開口の周りに配置された第1シールと、
前記現像剤カートリッジを着脱可能に保持するためのカートリッジ保持部が形成されており、現像剤担持体を保持する筐体と、
前記カートリッジ保持部に設けられ、前記第1シールに比べて現像剤の捕獲力が強く、前記内側フレームが前記第1開位置から前記第1閉位置へ移動するときに前記第1シールに摺接する捕獲部材とを備えていることを特徴とする、現像ユニット。
【請求項2】
十点平均粗さを基準として、前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位の表面粗さは、前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位の表面粗さに比べて大きいことを特徴とする、請求項1に記載の現像ユニット。
【請求項3】
前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位と、前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位とには、これらの接触部位が発泡体で形成されることによって、凹部が露出するように形成されており、
前記捕獲部材の接触部位で露出された凹部の開口面積の平均は、前記第1シールの接触部位で露出された凹部の開口面積の平均より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の現像ユニット。
【請求項4】
前記捕獲部材の接触部位で露出された凹部の深さの平均は、前記第1シールの接触部位で露出された凹部の深さの平均よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載の現像ユニット。
【請求項5】
前記第1シールの接触部位で露出された凹部の開口面積の平均Sと、現像剤の平均粒径Lとが下記の関係を満たすことを特徴とする、請求項3または4に記載の現像ユニット。
2(S/π)0.5<L
【請求項6】
前記第1シールは、
前記捕獲部材と接触する第1部位と、
前記第1部位が前記捕獲部材に接触した状態で前記第1部位に対して前記捕獲部材の反対側に配置され、前記第1部位より弾性率が小さい第2部位とを含んでいることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の現像ユニット。
【請求項7】
前記第1シールおよび前記捕獲部材は、同じ材料で形成されており、
前記捕獲部材の密度は、前記第1シールの密度より低いことを特徴とする、請求項3ないし5のいずれかに記載の現像ユニット。
【請求項8】
前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位は、発泡体で形成されており、
前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位は、非発泡体で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の現像ユニット。
【請求項9】
現像剤は第1の極性へ帯電され、
帯電列において、前記第1シールに対する前記捕獲部材の接触部位は、前記捕獲部材に対する前記第1シールの接触部位を構成する材料よりも、前記第1の極性側の反対側である第2の極性側にある材料で構成されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の現像ユニット。
【請求項10】
前記筐体には、前記カートリッジ保持部に臨み、前記内側フレームが前記第1開位置にあるときに前記第1開口に対向する第2開口が形成され、
前記第2開口の周りに配置され、前記第1シールに接触することによって前記第1開口と前記第2開口との間での現像剤の漏れを防止するための第2シールを備え、
前記第2シールは、前記捕獲部材を含むことを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の現像ユニット。
【請求項11】
前記第1シールにおいて、前記内側フレームの前記第1開位置から前記第1閉位置への第1移動方向における前記第1開口より上流側部分は、前記内側フレームが前記第1開位置から前記第1閉位置へ移動するときに、前記第2開口に露出されてから、前記捕獲部材において前記第1移動方向における前記第2開口より下流側部分に摺接するように構成されたことを特徴とする、請求項10に記載の現像ユニット。
【請求項12】
前記第1移動方向は、上向きとなるように構成されたことを特徴とする、請求項11に記載の現像ユニット。
【請求項13】
前記筐体において、前記第2開口に対して前記捕獲部材よりも前記第1開口側に設けられ、前記第2開口を開放する第2開位置と、前記第2開口を閉鎖する第2閉位置との間を移動可能なシャッタを備え、
前記内側フレームが前記第1開位置にあり、前記シャッタが前記第2開位置にあるとき、前記第1シールは、前記捕獲部材に接触するように構成されたことを特徴とする、請求項10ないし12のいずれかに記載の現像ユニット。
【請求項14】
前記筐体において、前記第2開口に対して前記捕獲部材よりも前記第1開口側に設けられ、前記第2開口を開放する第2開位置と、前記第2開口を閉鎖する第2閉位置との間を移動可能なシャッタと、
前記シャッタに設けられ、前記第1開口側の端縁が前記第2開口側の端縁よりも、前記シャッタの前記第2開位置から前記第2閉位置への第2移動方向における下流側に突出した突出部とを備えていることを特徴とする、請求項10ないし12のいずれかに記載の現像ユニット。
【請求項15】
前記捕獲部材において、前記第2開口より、前記シャッタの前記第2開位置から前記第2閉位置への第2移動方向における下流側の部分には、前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動する前記シャッタの縁に接触する接触面が形成されており、
前記接触面は、前記第2開口へ向かって延びており、
前記シャッタの縁に対する前記接触面の接触圧は、前記シャッタが前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動するに従って大きくなっており、
前記筐体において、前記捕獲部材において前記接触面に相当する部分を支持する部分は、前記第2移動方向における上流側へ向かうに従って前記第2開口へ向かって傾斜していることを特徴とする、請求項13または14に記載の現像ユニット。
【請求項16】
前記内側フレームにおいて前記第1開口の周縁に設けられ、前記内側フレームから外側へ向けて突出し、前記第1シールを前記捕獲部材へ向けて押圧する突起を備えていることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれかに記載の現像ユニット。
【請求項17】
前記内側フレームが前記第1開位置から前記第1閉位置へ移動しているときに、前記第1シールが前記第1開口よりも外側へ突出していることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれかに記載の現像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−116094(P2009−116094A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289756(P2007−289756)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】