説明

現像剤収容器、現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤収容室からの現像剤の漏れを防止できる現像剤収容器、現像装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】トナーカートリッジ2は、側壁23を有する現像剤収容室20と、側壁23において回転可能に支持される攪拌バー3とを備える。側壁23は、攪拌バー3の軸部36を覆う円筒部(中空部材)26を有し、円筒部26と攪拌バー3との間に、環状のシール部材4が装着されている。シール部材4の外周面と円筒部26との接触圧は、シール部材4の内周面と攪拌バー23の軸部36との接触圧よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像剤を収容する現像剤収容器、並びにこれを用いた現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、現像器に着脱可能なトナーカートリッジは、トナーを収容するトナー収容室を内側に有するアウターカートリッジを備えている。アウターカートリッジの内側には、トナー収容室のトナーを攪拌するための回転可能な攪拌部材が設けられている。この攪拌部材は、アウターカートリッジの側壁に設けられた軸受部によって回転可能に支持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−243466号公報(第4頁、図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成では、輸送中の振動によってトナー収容室のトナーがアウターカートリッジの側壁の軸受部と攪拌部材との隙間を通り抜け、トナー収容室の外部に漏れる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされてものであり、現像剤収容室からの現像剤の漏れを防止できる現像剤収容器、現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、側壁を有し、内部に現像剤を収容する現像剤収容室と、前記側壁において回転可能に支持される軸部を有する攪拌部材とを備え、前記側壁は、前記攪拌部材の前記軸部の周囲を囲む中空部材を有し、前記中空部材と前記軸部との間に、環状のシール部材が装着され、前記シール部材の外周面と前記中空部材との接触圧が、前記シール部材の内周面と前記攪拌部材の前記軸部との接触圧よりも大きいことを特徴とする現像剤収容器を提供する。
【0007】
本発明は、また、側壁を有し、内部に現像剤を収容する現像剤収容室と、前記側壁において回転可能に支持される軸部を有する攪拌部材とを備え、前記側壁は、前記攪拌部材の前記軸部の周囲を囲む中空部材を有し、前記中空部材と前記軸部との間に、環状のシール部材が装着され、前記攪拌部材は、前記シール部材に隣接して、前記シール部材の内径より大きい外径を有する側面接触部を有し、前記シール部材の外周面が前記側壁の前記中空部材と接触し、前記シール部材の側面が前記攪拌部材の前記側面接触部と接触していることを特徴とする現像剤収容器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シール部材の外周面と中空部材との接触(又は、さらにシール部材の側面と攪拌部材の側面接触部との接触)により、現像剤収容室からの現像剤の漏れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の実施の形態.
図1は、この発明の第1の実施の形態における画像形成装置の全体構成を示す断面図である。ここでは、画像形成装置の一例として、カラー画像の印刷が可能な画像形成装置(例えばカラープリンタ)について説明する。
【0010】
図1において、画像形成装置1は、ロアカバー1aとアッパーカバー1bとからなる本体を有している。画像形成装置1の本体内には、K(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンダ)及びC(シアン)の4色のトナー画像を形成する画像形成ユニット10a,10b,10c,10dが、後述する媒体の搬送路に沿って(ここでは図中右から左に)一列に配置されている。
【0011】
画像形成装置1の本体下部には、媒体を収納する媒体トレイ11が装着されている。媒体トレイ11の図中右側には、媒体を一枚ずつ分離して給紙する給紙ローラ12が配置されている。この給紙ローラ12の図中上側には、媒体を画像形成ユニット10a〜10dまで搬送する2組の搬送ローラ対13a,13bが配置されている。さらに、搬送ローラ対13a,13bにより搬送された媒体を、画像形成ユニット10a〜10dを通過するように搬送して媒体上に各色のトナー像を転写する転写ベルト14が配置されている。
【0012】
各画像形成ユニット10a〜10dは、像担持体としての感光体ドラム60を有している。各画像形成ユニット10a〜10dの構成については、後述する。
【0013】
画像形成ユニット10a〜10dの各感光体ドラム60に対向するように、4つの転写ローラ15が配置されている。転写ローラ15は、対向する感光体ドラム60との間で、上述した搬送ベルト14を挟み込むように配置されている。転写ローラ15の配列方向の両側には、搬送ベルト14が張架された駆動ローラ16a及び従動ローラ16bが配置されており、駆動ローラ16aの回転により搬送ベルト14が移動する。転写ローラ15には、各感光体ドラム60の表面に形成されたトナー像を、搬送ベルト14上の媒体に転写するためのバイアス電圧が印加されている。
【0014】
各画像形成ユニット10a〜10dの搬送方向下流側(図中左側)には、媒体に転写されたトナー像を、熱及び圧力により媒体に定着させるための定着ユニット17が配置されている。また、定着ユニット17のさらに搬送方向下流側には、定着が完了した媒体を、アッパーカバー1b上に設けられたスタッカ部18に排出するための2組の排出ローラ対19a,19bが配置されている。
【0015】
図2は、各画像形成ユニット10a〜10dの共通の内部構造を示す断面図である。各画像形成ユニット10a〜10dは、使用するトナーの種類が異なることを除き共通の内部構造を有しているため、ここでは「画像形成ユニット10」として説明する。
【0016】
画像形成ユニット10は、現像剤収容器であるトナーカートリッジ2と、このトナーカートリッジ2が着脱可能に取り付けられるイメージドラムユニット6とを有している。トナーカートリッジ2は、一方向(感光体ドラム60の軸方向と平行な方向)に長い筺体としてのアウターカートリッジ21を有し、その内側に、トナー(現像剤)を収容するトナー収容室20(現像剤収容室)を有している。アウターカートリッジ21の底部には、トナー収容室20内のトナーをイメージドラムユニット6に供給するためのトナー供給口22が形成されている。
【0017】
アウターカートリッジ21の内部には、トナー供給口22を開閉するためのシャッタ7が設けられている。シャッタ7は、アウターカートリッジ21の長手方向と平行な軸線を中心とする略円筒形状を有しており、上側の領域7aは広く開放されている。また、シャッタ7の下方には、トナー供給口22に対応する形状の開口7bが形成されている。シャッタ7は、アウターカートリッジ21内で回転可能に支持されており、開口7bとトナー供給口22とが重なり合ったときに、トナー収容室20内のトナーがイメージドラムユニット6に供給可能となる。
【0018】
イメージドラムユニット6は、一方向(図2では時計回り)に回転する上述した感光体ドラム60を有している。感光体ドラム60の回転方向に沿って、感光体ドラム60の表面を一様に帯電させる帯電ローラ61と、感光体ドラム60の表面を露光して静電潜像を形成する(アッパーカバー1bに備えられた)露光装置としてのLEDヘッド62と、感光体ドラム60の表面の静電潜像を現像する現像ローラ63と、感光体ドラム60の表面のトナー像を媒体に転写する(ロアカバー1aに備えられた)上記の転写ローラ15と、感光体ドラム60の表面に残ったトナーを除去するクリーニングブレード65とが配置されている。現像ローラ63に接するように、現像ローラ63にトナーを供給する供給ローラ64と、現像ローラ63の表面のトナー層の厚さを規定する現像ブレード66とが配置されている。現像ローラ63及び供給ローラ64は、上述したトナーカートリッジ2のトナー供給口22の下方に配置されている。
【0019】
このように構成された画像形成装置の動作は、次の通りである。
すなわち、まず、給紙ローラ12が、媒体トレイ11から媒体を一枚ずつ分離して繰り出し、その媒体を、搬送ローラ対13a,13bが搬送ベルト14まで搬送する。搬送ベルト14は、媒体を、画像形成ユニット10a,10b,10c,10dを通過するように搬送する。各画像形成ユニットでは、LEDヘッド62が感光体ドラム60の表面を画像情報に応じて露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像ローラ63が各色のトナーで現像する。各画像形成ユニットの感光体ドラム60上のトナー像は、転写ベルト14により搬送される媒体に順時転写される。トナー像が転写された媒体は、定着ユニット17に搬送され、加熱及び加圧によりトナー像が媒体に定着される。定着が完了した媒体は、排出ローラ対19a〜19dによりスタッカ部18に排出される。
【0020】
次に、トナーカートリッジ2の構成について、詳細に説明する。図3は、トナーカートリッジ2の長手方向断面図である。図4は、トナーカートリッジ2の内部に設けられた攪拌バー3の概略形状を示す斜視図である。
【0021】
図3に示すように、トナーカートリッジ2は、その長手方向に、トナー収容室20と、廃トナー収容室25とを有しており、両者は側壁23(仕切壁)によって隔てられている。
【0022】
トナー収容室20の内部には、トナーを攪拌するための攪拌バー3(攪拌部材)が設けられている。攪拌バー3は、アウターカートリッジ21の長手方向に延在し、略T字断面を有する軸部31と、この軸部31に取り付けられたシート状又は薄板状の羽根部32とを有しており、側壁23に設けられた軸受部(軸受穴)24により回転可能に支持されている。攪拌バー3の回転により、トナー収容室20内のトナーが、トナー供給口22を介してイメージドラムユニット6に供給される。
【0023】
図4に示すように、攪拌バー3の略T字断面の軸部31の軸方向一端には、大径部100が同軸に形成されており、さらに、円形断面を有する軸部36が同軸に形成されている。軸部36は、廃トナー収容室25(図3)内においてアウターカートリッジ21の長手方向に延在している。軸部36の周囲には螺旋部37が形成されている。この軸部36及び螺旋部37により、廃トナーを搬送するためのスクリューコンベア部35が形成されている。スクリューコンベア部35の回転により、廃トナー収容室25(図3)の図中左側端部の廃トナー受入口(図示せず)から受け入れた廃トナーが、廃トナー収容室25の内部に搬送される。
【0024】
図3に示すように、軸部31の大径部100と反対側の端部31aは、アウターカートリッジ2の長手方向一端(図中右端)に設けられた蓋体2aに形成された孔部2bに回転可能に係合している。また、軸部36の大径部100と反対側の端部36aの近傍は、アウターカートリッジ2の長手方向他端(図中左端)の壁に形成された孔部2cに回転可能に係合している。さらに、当該端部36aには、図示しない外部の駆動源からの動力が伝達されるギア38が固定されている。
【0025】
軸部36に取り付けられたギア38の回転により、攪拌バー3が回転する。攪拌バー3は、その羽根部32によりトナー収容室20内のトナーを攪拌し、トナー供給口22からイメージドラムユニット6に供給する。また、廃トナー収容室25内では、図示しない廃トナー受入口から送り込まれたトナーが、攪拌バー3のスクリューコンベア部35上に落下し、螺旋部37の運動により少しずつ側壁23に向かって分散しながら運ばれる。
【0026】
なお、廃トナー収容室25には、イメージドラムユニット6のクリーニングブレード65(図2)によって掻き落とされたトナーが、図示しない廃トナー回収部によって回収され、さらに廃トナー搬送部によって搬送されて送り込まれるようになっているが、詳細説明は省略する。
【0027】
攪拌バー3は、ある程度の機械的強度を必要とするため、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂により形成することが好ましい。また、ガラス繊維で強化した高剛性のABS樹脂であれば、なお好ましい。また、攪拌バー3のスクリューコンベア部35の螺旋部37は、ここでは、廃トナー収容室25の図中左側の端部から廃トナー収容室25の約半分に亘る領域と、側壁23の近傍の領域に形成されている。
【0028】
トナーカートリッジ2の側壁23には、上述した軸受部24と同軸の、中空部材としての円筒部(筒部)26が、廃トナー収容室25内に突出するように形成されている。円筒部26は、攪拌バー3の大径部100の外径よりも大きい内径を有し、大径部100を周囲から囲んでいる。この円筒部26の内側には、攪拌バー3の軸部36を囲むように、環状のウレタンフォームで構成されたシールスポンジ4(シール部材)が装着されている。なお、シールスポンジ4は、軸部36に形成された螺旋部37によって軸方向位置が規制されていることが好ましい。
【0029】
図5(a)及び(b)は、トナーカートリッジ2の組み立て前及び組み立て後のそれぞれにおける、攪拌バー3と側壁23との関係を示す部分拡大図である。
【0030】
シールスポンジ4の外径は、側壁23に形成された円筒部26の内径よりも大きい。これにより、シールスポンジ4を円筒部26内に挿入すると、シールスポンジ4が弾性的に圧縮された状態で、シールスポンジ4の外周面が円筒部26の内周面に押し当てられる。一方、シールスポンジ4の内径D1は、軸部36の外径D2よりも大きい(D1>D2)。特に、D1≧D2+0.8(mm)の関係が成立することが好ましい。
【0031】
大径部100は、側壁23側から廃トナー収容室25側(図中右から左)にかけて、軸受部24に係合する第1部分101と、この第1部分101よりも外径が大きい第2部分102と、この第2部分102よりも更に外径が大きい第3部分103とを同軸に有している。なお、第3部分103の外径は円筒部26の内径よりも小さい。
【0032】
大径部100の第1部分101の外周面の挿入側の端部(右端)には、テーパ面104が形成されている。このテーパ面104と第1部分101の外周面との境界には、テーパ104をさらに延長する方向に所定量突出した爪部105(係合部)が形成されている。なお、図4の概略斜視図では、爪部105は省略されている。
【0033】
大径部100を軸受部24に挿入する際、図5(b)に示すように、爪部105が軸受部24の内周面に突出形成された環状の凸部28を乗り越えて軸受部24の図中右側(トナー収容室20側)に係合する。これにより大径部100と軸受部24とが係合し、攪拌バー3が軸受部24により回転可能に支持される。
【0034】
このとき、シールスポンジ4も円筒部26内に挿入される。シールスポンジ4を円筒部26に挿入することにより、シールスポンジ4が弾性的に圧縮され、シールスポンジ4の外周面が円筒部26の内周面に押し当てられる。これにより、シールスポンジ4と円筒部26との間が封止される。また、シールスポンジ4が外側から圧縮されることにより、シールスポンジ4の内周面が軸部36の外周面に押し当てられ、これによりシールスポンジ4と軸部36との間が封止される。なお、シールスポンジ4の軸部36への押し当てによる圧縮量は、シールスポンジ4の円筒部26への押し当てによる圧縮量よりも小さい。言い換えると、シールスポンジ4の軸部36に対する接触圧は、シールスポンジ4の円筒部26に対する接触圧よりも小さい。
【0035】
このように構成されたトナーカートリッジ2では、輸送中に様々な振動が加わった際に、トナー収容室20のトナーが軸受部24と大径部100との間をすり抜けたとしても、シールスポンジ4の外周面が円筒部26の内周面に押し当てられ、またシールスポンジ4の内周面が攪拌バー3の軸部36に押し当てられているため、トナーの移動が阻止され、これによりトナー収容室20からのトナーの漏れが防止される。
【0036】
また、印刷動作においては、イメージドラムユニット6にトナーを供給するために攪拌バー3が回動するが、この際、上述したようにシールスポンジ4の軸部36に対する接触圧が、シールスポンジ4の円筒部26に対する接触圧よりも小さいため、シールスポンジ4は円筒部26に対して相対的に回転せず、シールスポンジ4に対して軸部36が回転する(すなわち、シールスポンジ4は軸部36の回転に追従しない)。そのため、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面とが互いに摺動することがない。従って、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面との間からのトナーの漏れが、より確実に防止される。
【0037】
また、大径部100が、シールスポンジ4に近づくほど外径が大きくなる形状を有しているため、仮にトナーが軸受部24と大径部100との間をすり抜けたとしても、そのトナーは、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面との接触部(より大きな接触圧で接触している部分)で移動が阻止されるため、トナーの漏れが更に確実に防止される。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面とが接触し、シールスポンジ4の内周面と攪拌バー3の軸部36とが接触するため、これらの接触部においてトナーの移動を阻止することができ、これによりトナー収容室20内からのトナーの漏れを防止することができる。
【0039】
特に、シールスポンジ4の軸部36に対する接触圧が、シールスポンジ4の円筒部26に対する接触圧よりも小さいため、シールスポンジ4は円筒部26に対して相対的に回転せず、シールスポンジ4に対して軸部36が回転する。そのため、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面とが互いに摺動することがなく、その接触部(シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面との接触部)からのトナーの漏れを防止することができる。
【0040】
なお、ここでは、円筒部26及びシールスポンジ4を、トナー収容室20と廃トナー収容室25との間の側壁23(仕切壁)に設けたが、側壁23に限らず、例えば、アウターカートリッジ21の長手方向端部を規定する壁部に設けてもよい。
【0041】
第2の実施の形態.
図6は、本発明の第2の実施の形態におけるトナーカートリッジの断面図である。第1の実施の形態と同一の構成要素には、同一の参照符号を付す。
【0042】
第2の実施の形態では、攪拌バー3の軸部36に、大径部100との間でシールスポンジ4を軸方向に挟み込むようにカラー部8(側面接触部)が設けられている。カラー部8は、軸部36に同軸に設けられた(より好ましくは、一体に形成された)環状の部材である。カラー部8の外径は、シールスポンジ4の内径よりも大きく、円筒部26の内径よりも小さい。
【0043】
図7(a)及び(b)は、トナーカートリッジ2の組み立て前及び組み立て後のそれぞれにおける、攪拌バー3と側壁23との関係を示す部分拡大図である。
【0044】
シールスポンジ4は、攪拌バー3の軸部36に、カラー部8と大径部100とに両側から挟まれるように取り付けられる。取り付け前のシールスポンジ4の厚さは、カラー部8と大径部100との隙間よりも厚く設定されている。従って、シールスポンジ4をカラー部8と大径部100との間に取り付けると、シールスポンジ4が圧縮された状態で、シールスポンジ4の両側面がカラー部8及び大径部100にそれぞれ押し当てられる。取り付け前のシールスポンジ4の外径は、第1の実施の形態と同様、円筒部26の内径よりも大きい。一方、取り付け前のシールスポンジ4の内径は、軸部36の外径よりも大きく、さらに第1の実施の形態のシールスポンジ4の内径よりも大きい。
【0045】
第1の実施の形態と同様、大径部100を側壁23の軸受部24に挿入する際には、爪部105が軸受部24の内周面に突出形成された環状の凸部28を乗り越え、軸受部24の図中右側(トナー収容室20側)に係合する。これにより大径部100と軸受部24とが係合し、攪拌バー3が軸受部24により回転可能に支持される。
【0046】
このとき、シールスポンジ4も円筒部26内に挿入される。シールスポンジ4を円筒部26に挿入することにより、シールスポンジ4の外周面が円筒部26の内周面に押し当てられる。これにより、シールスポンジ4と円筒部26との間が封止される。なお、第1の実施の形態と異なり、シールスポンジ4と軸部36との間には、隙間が生じている。
【0047】
このように構成されたトナーカートリッジ2では、輸送中に様々な振動が加わった際に、トナー収容室20のトナーが軸受部24と大径部100との間をすり抜けたとしても、シールスポンジ4の外周面が円筒部26の内周面に押し当てられ、またシールスポンジ4の両側面がカラー部8及び大径部100に押し当てられているため、トナーの移動が阻止され、これによりトナー収容室20からのトナーの漏れが防止される。
【0048】
また、印刷動作においては、イメージドラムユニット6にトナーを供給するために攪拌バー3が回動するが、この際、上述したようにシールスポンジ4と軸部36との間には隙間が生じているため、シールスポンジ4は円筒部26に対して相対的に回転せず、シールスポンジ4に対して軸部36が回転する。そのため、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面とが互いに摺動することがない。従って、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面との間からのトナーの漏れが、より確実に防止される。
【0049】
また、大径部100が、シールスポンジ4に近づくほど外径が大きくなる形状を有しているため、仮にトナーが軸受部24と大径部100との間をすり抜けたとしても、そのトナーは、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面との接触部(より大きな接触圧で接触している部分)で移動が阻止されるため、トナーの漏れが更に確実に防止される。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面とが接触し、シールスポンジ4の両側面とカラー部8及び大径部100とが接触するため、これらの接触部においてトナーの移動を阻止することができ、これによりトナー収容室20内からのトナーの漏れを防止することができる。
【0051】
また、シールスポンジ4と軸部36との間に隙間が生じているため、軸部36が回転してもシールスポンジ4は回転せず、シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面とが互いに摺動することがなく、その接触部(シールスポンジ4の外周面と円筒部26の内周面との接触部)からのトナーの漏れを防止することができる。
【0052】
なお、ここでは、シールスポンジ4と軸部36との間に隙間が生じているものとしたが、第1の実施の形態で説明したようにシールスポンジ4と軸部36とが比較的小さい接触圧で接触している場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、ここでは、円筒部26及びシールスポンジ4を、トナー収容室20と廃トナー収容室25との間の側壁23(仕切壁)に設けたが、側壁23に限らず、例えば、アウターカートリッジ21の長手方向端部を規定する壁部に設けてもよい。
【0054】
なお、上述した各実施の形態では、中空部材として円筒部26を用いたが、例えば中空の多角柱状又は(頂点部を除く)中空の錐体状としてもよい。
【0055】
上述した各実施の形態では、本発明を画像形成装置としてのプリンタに適用した例について説明したが、他の画像形成装置、例えば、複写機、ファックス機、MFP(Multi−Function Peripherals)等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの共通の内部構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるトナーカートリッジの長手方向断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるトナーカートリッジの内部に設けられた攪拌バーの概略形状を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるトナーカートリッジの組み立て前及び組み立て後のそれぞれにおける、攪拌バーと側壁との関係を示す部分拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるトナーカートリッジの断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるトナーカートリッジの組み立て前及び組み立て後のそれぞれにおける、攪拌バーと側壁との関係を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置、 10a,10b,10c,10d 画像形成ユニット、 2 トナーカートリッジ、 20 トナー収容室、 21 アウターカートリッジ、 22 トナー供給口、 23 側壁、 24 軸受部、 25 廃トナー収容室、 26 円筒部、 28 凸部、 3 攪拌バー、 31 軸部、 32 羽根部、 35 スクリューコンベア部、 36 軸部、 37 螺旋部、 4 シールスポンジ、 6 イメージドラムユニット、 60 感光体ドラム、 61 帯電ローラ、 62 LEDヘッド、 63 現像ローラ、 65 クリーニングブレード、 8 カラー部、 100 大径部、 105 爪部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁を有し、内部に現像剤を収容する現像剤収容室と、
前記側壁において回転可能に支持される軸部を有する攪拌部材と
を備え、
前記側壁は、前記攪拌部材の前記軸部の周囲を囲む中空部材を有し、
前記中空部材と前記軸部との間に、環状のシール部材が装着され、
前記シール部材の外周面と前記中空部材との接触圧が、前記シール部材の内周面と前記攪拌部材の前記軸部との接触圧よりも大きいことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項2】
前記側壁には、軸受部が設けられ、
前記攪拌部材の前記軸部には、前記軸受部に係合する大径部が設けられ、
前記大径部は、前記中空部材の内側で、なお且つ前記軸部の軸方向において前記シール部材と前記側壁との間に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の現像剤収容器。
【請求項3】
前記攪拌部材の前記大径部は、前記側壁から前記シール部材にかけて外径が大きくなる形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の現像剤収容器。
【請求項4】
前記現像剤収容室は、前記側壁により隔てられた第1及び第2の収容室を有し、
前記攪拌部材は、前記第1の収容室内の現像剤を攪拌する攪拌部と、前記第2の収容室内の現像剤を搬送する搬送部とを互いに同軸に有し、前記攪拌部と前記搬送部との間に前記大径部が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の現像剤収容器。
【請求項5】
側壁を有し、内部に現像剤を収容する現像剤収容室と、
前記側壁において回転可能に支持される軸部を有する攪拌部材と
を備え、
前記側壁は、前記攪拌部材の前記軸部の周囲を囲む中空部材を有し、
前記中空部材と前記軸部との間に、環状のシール部材が装着され、
前記攪拌部材は、前記シール部材に隣接して、前記シール部材の内径より大きい外径を有する側面接触部を有し、
前記シール部材の外周面が前記側壁の前記中空部材と接触し、前記シール部材の側面が前記攪拌部材の前記側面接触部と接触することを特徴とする現像剤収容器。
【請求項6】
前記シール部材の内周面と前記攪拌部材の前記軸部との間に、隙間が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の現像剤収容器。
【請求項7】
前記側壁には、軸受部が設けられ、
前記攪拌部材の前記軸部には、前記軸受部に係合する大径部が設けられ、
前記大径部は、前記中空部材の内側で、なお且つ前記軸部の軸方向において前記シール部材と前記側壁との間に配置されていること
を特徴とする請求項5又は6に記載の現像剤収容器。
【請求項8】
前記攪拌部材の前記大径部は、前記側壁から前記シール部材にかけて外径が大きくなる形状を有していることを特徴とする請求項7に記載の現像剤収容器。
【請求項9】
前記現像剤収容室は、前記側壁により隔てられた第1及び第2の収容室を有し、
前記攪拌部材は、前記第1の収容室内の現像剤を攪拌する攪拌部と、前記第2の収容室内の現像剤を搬送する搬送部とを互いに同軸に有し、前記攪拌部と前記搬送部との間に前記大径部が設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の現像剤収容器。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の現像剤収容器を備えた現像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の現像装置を備えた画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−112988(P2010−112988A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282973(P2008−282973)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】