説明

現像媒体リムーバ(分離手段)を有する熱現像のための方法および装置

【課題】熱現像後の軟化したエレメント部材の転写を欠陥なく行う。
【解決手段】熱現像時に、エレメント内の組成物層の部分が液化、軟化、あるいは融解するのに十分な温度まで感光性エレメントを過熱する工程、過熱された感光性エレメントを現像媒体に接触させ、接触位置で液化部分を吸収させる工程、および当該接触位置から離れた位置にあるリムーバによって現像媒体を感光性エレメントから分離する工程の内その分離手段の剥離角度を規定条件にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性エレメントの熱現像装置および方法に関し、特に、現像媒体が感光性エレメントに接触している位置において、現像媒体を感光性エレメントから分離する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばボール紙、プラスチックフィルム、アルミフォイル等の包装材のように、柔軟で変形し易いものから比較的硬質のものまでを含む面の印刷に、フレキソ印刷版を用いることがよく知られている。フレキソ印刷版は、特許文献1および特許文献2に記載されたもののように、光重合性の組成物(photopolymerizable compositions)を含む感光性エレメントから作成される。光重合性組成物は概して、エラストマー系バインダー、少なくとも1つのモノマーおよび光開始剤(photoinitiator)を含んでいる。感光性エレメントは概して、支持体とカバーシートすなわち多層カバーエレメントとの間に介挿された光重合層を有している。像を化学線に暴露することで、暴露領域において光重合層の光重合が生じ、当該層の暴露領域の硬化および不溶化が生じる。従来、エレメントは、例えば溶剤などの適切な溶液ないしは塩基性水溶液のウォッシュアウトにより処理され、光重合層の非暴露領域を除去してフレキソ印刷に用いることが出来るように印刷用凸部を残す。しかしながら、溶液を用いてエレメントを処理する現像システムは、吸収した現像液を除去するための乾燥に長い期間(0.5時間〜24時間)を要することから、時間のかかるものであった。
【0003】
溶液による現像を行う代わりに、「乾式」の熱現像プロセスを用い、非暴露領域を除去した後に続く時間のかかる乾燥工程を排除することができる。熱現像プロセスでは、化学線に暴露された像を有する感光層が所定温度で吸収材に接触する。所定温度とは、感光層の非暴露部分の組成物が軟化ないしは溶融して、吸収材に流入するに十分な温度である。特許文献3(Burg et al.)、特許文献4(Cohen et al.)、特許文献5(Martens)、特許文献6(Martens)、特許文献7(Martens)および特許文献8(Peterson et al.)を参照されたい。感光層の暴露部分は、非暴露部分の軟化温度では硬いままであって、軟化ないしは溶融することはない。吸収材は軟化した非照射材を回収し、感光層から分離/除去される。感光層の加熱および接触サイクルは数回の繰り返しを要し得る。非照射領域から流動性を有する組成物を十分に除去して、印刷に適した凸版構造を形成するためである。かかるプロセスの後には、照射を受けて硬化した被照射像を表す構成が、隆起凸版(凸版)構造となって残る。
【0004】
フレキソ印刷用エレメントの熱現像用のプロセッサが知られている。特許文献8には、被照射印刷エレメントを取り扱うとともに、加熱および加圧を繰り返し行って当該エレメントから非照射組成物を除去するような自動化されたプロセスおよび装置が記載されている。特許文献9にもまた、感光性エレメントを熱処理する方法および装置が開示されている。いずれの熱処理装置においても、吸収材は連続シート状のウェブ(通常、不織のもの)であり、これが供給ロールから引っ張られてウェブを加熱する熱ロール上を通過する。熱ロールは感光性エレメントを搬送するドラムに向けて付勢され、それゆえ、感光性エレメントの外表面に対し過熱されたウェブを押し当てる。熱ロールからは、接触に応じ伝導によって吸収ウェブを介して感光性エレメントに熱が伝達される。これにより、組成物層は、その非照射部分が溶け、吸収ウェブに吸収されるに十分な温度に上昇する。ドラムおよび熱ロールが接触してともに回転するので、ウェブは感光性エレメントに対して押圧されて溶けた非照射組成物を吸収し、エレメントから分離される。これにより、吸収された組成物は感光性エレメントから分離される。
【0005】
特許文献9では感光性エレメントの熱変換特性が原因で、吸収後直ちにエレメントからウェブを分離する必要があることを指摘している。これは、ウェブが熱ロールの周囲を包んでいる状態において、エレメントの進行方向に対し90度方向のニップとなった直後に、エレメントからウェブを引き抜くことによって達成される。ウェブは熱ロールから移送され、巻き取りロールに巻き取られる。熱ロールを通過する感光性エレメントの数回の移送サイクルによって、非照射組成物がエレメントから少しずつ離脱されるのが繰り返される。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,323,637号明細書
【特許文献2】米国特許第4,427,759号明細書
【特許文献3】米国特許第3,060,023号明細書
【特許文献4】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献5】米国特許第5,015,556号明細書
【特許文献6】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献7】米国特許第5,215,859号明細書
【特許文献8】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献9】国際公開第2001/18604号公報
【特許文献10】国際公開第98/13730号公報
【特許文献11】米国特許第4,323,636号明細書
【特許文献12】米国特許第4,753,865号明細書
【特許文献13】米国特許第4,726,877号明細書
【特許文献14】米国特許第4,460,675号明細書
【特許文献15】米国特許第5,262,275号明細書
【特許文献16】米国特許第5,719,009号明細書
【特許文献17】米国特許第5,607,814号明細書
【特許文献18】米国特許第5,506,086号明細書
【特許文献19】米国特許第5,766,819号明細書
【特許文献20】米国特許第5,840,463号明細書
【特許文献21】欧州特許出願公開第0741330号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような熱現像プロセッサには、まだ暖かい感光性エレメントから吸収性のあるウェブを除去すると形成されたレリーフエレメントに欠陥を生じさせるという、問題がある。上述したような熱プロセッサの実際の操作時には、ニップ後の実質的な三角領域内の如何なる位置でも、ウェブは感光性エレメントから分離する。
【0008】
この実質的な三角領域とは、熱ロールとドラム近傍に位置し、ニップ後の第1の頂点から、ドラムの表面に沿って感光性エレメントがドラム上の最低位値となる第2の頂点に延び、更に熱ロールの巻き取り面に沿って熱ロールの下方でこれを超えた空間内におよぶ第3の頂点まで延びる。この実施的な三角領域は、断面において、およそ(10インチ)対(3〜6インチ)対(6〜10インチ)((25.4cm)対(7.6〜15.2cm)対(15.2〜25.4cm))である。ウェブがエレメントから分離する位置は説明した三角領域内で且つエレメントの幅に沿っている。しかしこの位置は、例えば、形成されたレリーフ画、版の厚み、圧力・温度・サイクル・ウェブの速度・ニップ形状および熱変動を含む熱現像状態、などのようないくつかの要因に応じて、制御不能に変動する。ウェブの分離は市販の熱プロセッサの速度制御のもとで行われ、エレメントが想定以上の速度でニップを通り抜ける、すなわちニップを滑り抜けるような状況にもなりかねない。このような場合、感光性エレメントはドラムあるいはサグ(sug)から浮き上がり、ニップ後のドラム表面から分離して、ウェブが感光性エレメントから引離されていると説明した領域にまで入り込んでしまう。ドラムは、版をドラムに保持するための粘着表面を備えているが、この粘着度は、時折、エレメントがニップ内を滑りぬけるのを防ぐほどに充分ではない。制御されないウェブの分離および、エレメントがまだ暖かいままの感光性エレメントの上昇および降下は、エレメントを屈曲させ、形成されたレリーフエレメント内に波と呼ばれる欠陥を招致するようなエレメント構造の損傷を招く。支持材がガラス耐熱温度を超える温度にある状態で、エレメント内に付与された不均一な損傷は、エレメントが冷却あるいは室温に戻った後にも残るような変形の原因になる。この変形は、感光性エレメントの非平滑な地形を生み出すような、局所的な変形の波である。従来技術の熱現像においては、ウェブ分離の制御不能な性質によって、個々のエレメントプロセスにおいて異なった位置に変形波が形成される恐れがある。
【0009】
波を有するレリーフ印刷フォームは、印刷性能を低下させる。多色印刷においては、1以上のレリーフ印刷フォームに波があると、印刷画像のレジストレーションが劣化する。単色印刷であっても、レリーフ印刷フォームに波があると、例えば直線が曲がって印刷されてしまうことにより、原画を正確に複製したものではない画像(忠実でない画像)が印刷される。更に、波のあるレリーフ印刷フォームは、印刷フォームのインク面と印刷される基体との断続的な接触に起因して、画像印刷を不完全なものにしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外側表面を有し、部分的に液化することが可能な組成物層を備えた感光性エレメントからレリーフパターンを形成する装置を提供する。本装置は、組成物層が部分的に液化するのに充分な温度まで前記外側表面を加熱する手段と、前記外側表面を現像媒体に接触させる手段と、前記外側表面から離れて設置され前記現像媒体に張力を与える手段と、前記外側表面に近接して設置され前記現像媒体を前記外側表面から離脱する手段とを備え、前記離脱手段は前記接触手段から離れた位置に設置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の別の態様によれば、外側表面を有し部分的に液化する組成物層を備えた感光性エレメントからレリーフパターンを形成するための方法が提供される。本方法は、前記層が部分的に液化するに充分な温度まで前記外側表面を過熱する工程と、前記外側表面を現像媒体に接触させる工程と、前記外側表面から離れた前記現像媒体に張力を与える工程と、前記外側表面と近接した部分において前記現像媒体を前記外側表面から離脱する工程とを有し、前記離脱工程は前記接触工程と離れた位置で行われることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の詳細な説明を通じ、すべての図において同様の要素に対しては同様の参照符号を付してある。
【0013】
本発明は、好ましくはフレキソ印刷版を形成するための感光性エレメントの熱現像を行う装置およびプロセスである。本発明は、部分的に液状化可能な組成物の層を有する感光性エレメントを所定温度に加熱可能な装置に係る。所定温度とは、いかなる目的のためにも、相の少なくとも一部を溶融、軟化または液状化するに十分な温度である。特に本発明は、熱現像中の感光性エレメントから現像媒体を分離するための装置およびプロセスに関する。
【0014】
熱現像によって感光性エレメント16が現像温度に加熱されると、組成物層の非硬化部分の液状化すなわち溶融、軟化または流動が生じ、現像媒体14との接触によって取り除かれる。ここで現像媒体14は、現像材、吸収材、吸収ウェブ、および単にウェブとしても参照される。感光層の硬化部分は、非硬化部分よりも高い融点すなわち軟化または液状化温度を有しており、現像温度では溶融、軟化ないしは流動しない。フレキソ印刷版を形成するための感光性エレメントの熱現像は特許文献5、特許文献6、特許文献7および特許文献10に記載されている。感光性エレメントは基体と、この基体上に設けられた少なくとも1つの組成物層とを含んでいる。組成物層は部分的に液状化可能である。
【0015】
「溶融」という用語は、温度上昇を受けて組成物層の非照射部分が軟化し、粘度が減少して吸収材により吸収可能となる作用を記述するために用いられる。通常、組成物層の溶融可能な部分の材質は粘弾性材であり、固体および液体間に急な遷移をもたない。これにより、本プロセスは、吸収に関するいくつかのスレッショルドを超えていれば、いかなる温度であっても、熱された組成物層を現像媒体に吸収させるよう機能する。よって、組成物層の非照射部分は温度の上昇を受けて軟化または液状化する。しかしながら、本明細書を通じ、「溶融」、「軟化」および「液状化」という用語は、組成物が固体状態および液体状態間に急な遷移温度を持ち得るか持ち得ないかに拘りなく、加熱された組成物層の非照射部分の挙動を記述するために用いられる。本発明の目的に対し組成物層を「溶融」させるために、広い温度範囲が利用される。本プロセスの適切な操作を通じ、吸収を低温下で緩慢にし、高温にすることで迅速化することができる。
【0016】
感光性エレメントの熱現像を行うのに適した装置が特許文献8に開示され、特許文献9(Johnson et al.)にも開示されている。すべての実施形態における感光性エレメントはプレート状である。しかしながら、当業者であれば開示された装置を変形して、円筒すなわちスリーブの形態であっても、感光性エレメントの取り付けに適応できることを理解すべきである。
【0017】
本発明において、熱現像は、感光性エレメント16の組成物層の外側表面17を、層の一部の液状化が生じるに十分な温度Trに加熱する加熱工程を含む。少なくとも1つの感光層(および、存在する場合には付加的な1以上の層)は、熱伝導、熱伝達、熱輻射その他の加熱方法により加熱され、非硬化部分の溶融に十分な効果があり、かつ層の硬化部分の歪みに影響を与えるほどには高くない温度に達せられる。組成物層の上に1以上の付加的な層があれば、これも軟化、溶融または流動して、同様に現像媒体により吸収される。現像媒体14は、組成物層の非硬化部分を吸収する材料である。感光性エレメント16は、組成物層の非硬化部分の溶融ないし流動が効果的に行われるようにする目的で、表面温度が40℃以上、好ましくは約40℃から約230℃(華氏104度〜446度)となるように加熱される。感光性エレメント16の加熱工程と、エレメントの最外側表面を現像媒体14に接触させる工程との熱処理ステップを同時に実行することが可能である。また、感光重合層の非硬化部分が現像媒体との接触時にはまだ軟化もしくは溶融中の状態であれば、順次に行うことも可能である。
【0018】
図1および図2は、熱プロセッサに使用するための本発明の実施形態を示す。感光性エレメント16を現像媒体14に接触させる手段20は、感光性エレメント16を支持する手段22および、現像媒体を感光性エレメントの外側表面まで移送する手段24を備えている。支持手段22は限定されるものではなく、例えばドラム、多数のローラ、および支持板を備えることが出来る。図に示す本実施形態において、感光性エレメント16を支持する手段22は、感光性エレメント16を支持するための外表面27を有し基板部材として機能するドラム26を備えている。ドラム26は、プロセッサのフレーム上で回転するように設置されており、反時計回りに回転する。基板部材は、非柔軟あるいは実質的に非柔軟感光性エレメント16のための支持体であり、熱現象処理中に変形することはない。基板部材の外表面は、弾力性、粘着性、防御性などのような付加機能を外表面に提供するような1つ以上の層を備えている。弾力層としての付加層は、30〜75の間のショアA硬度を提供するに適したいかなる材料から構成されていても良く、天然ゴム、エラストマ材、合成ゴム、およびゴムやシリコンゴムを含んだエラストマ材、および圧縮形態が挙げられる。特に好ましいのはシリコンゴムおよびゴムである。層の硬度は重要ではあるが、本発明に不可欠ではない。弾力層によって提供される弾力表面は、熱ロール30の加圧による表面偏向を受けて長期間のニップゾーンを生じさせる。ゴムの弾性力は、ドラム26と熱ロールの間の僅かなずれにも対応する。弾力層は、アルミニウム粒子のような金属粒子を含むことによって、基板部材の熱変換特性を向上させることができる。
【0019】
移送手段24は、現像媒体14の連続ウェブ32を感光性エレメント16まで移送させるための熱ロール30を備えている。熱ロール30は、感光性エレメント16を運ぶドラム26に近接して設置されている。接触手段20が現像媒体14を移送して感光性エレメント16の外側表面17と接触させると、熱ロール30とドラム26との間にニップが形成される。熱ロール30は、エラストマ材料の層に接触可能な外側表面を有する金属であることが好ましい。熱ロール30は、回転可能にプロセッサのフレームに設置されている。一実施形態において、熱ロール30は、その外側表面と熱ロールに接触している吸収ウェブ32の間に生じる摩擦によって駆動する。吸収ウェブ32は、供給ロール36から供給される。その後、ウェブ32は熱ローラ30へと案内され、感光性エレメント16からウェブを分離する手段40を抜け、収容ロール44に巻き取られる。
【0020】
ウェブ32は、供給ロール36から熱ロール30の間に更に1つ以上の付加ロールを通過しても良く、また、熱ロール30から収容ロール44の間に更に1つ以上の付加ロールを通過しても良い。熱ロール30、供給ロール36、収容ロール44および1つ以上の付加ロールは、回転可能なようにプロセッサのフレームあるいは移動可能なキャリッジに取り付けられており、修理の際はプロセッサのフレームから転がり出るようになっている。1つ以上の付加ロールは、案内し、空回転し、および/またはプロッセサ内のウェブ32に対する駆動力となっていてもよい。
【0021】
ウェブ32は、現像媒体14に対する張架手段46によって制御されている。張架手段46は、エレメント16の外側表面17から離れ、分離手段40よりも下流側の位置に配置されている。図に示した実施形態において、分離手段40から収容ロール44までの経路上にあるウェブ32は、ウェブのすべりを防止するためざらつきのある外表面を有した駆動ロール48の周囲を移送する。トルクモータ48aが一定のトルクを駆動ロール48に供給し、少なくともウェブ32を感光性エレメント16から分離する際において、一定のあるいは実質的に一定の張力を現像媒体ウェブ32に与える。ウェブ32は、駆動ローラ48のざらついた外表面に接し、1つ以上のアイドラー・ロール49を巡り回ることにより、熱ローラ30を通過後のウェブには実質的に均一な張力がかかる。感光性エレメント16からウェブ32を分離するために必要な張力は、与えられた感光性エレメントの分離に関わる個々のサイクルあるいは後続するサイクルによって変動する。そのために、トルクモータ48aのためのコントローラ(不図示)が、ウェブ32の張力が適切に変更されるようにトルクの調整を行うことが出来る。一実施形態において、特別なエレメントのためのウェブ分離では、トルクモータ48aは、より遅れたサイクルに対しエレメント16からウェブ32を分離するために要される張力を増加するように調整する。分離手段40の後のウェブ張力を一定のあるいは実質的に一定にするような他の実施形態は、同業者によって熟慮され得る。一実施形態における張架手段46のためのウェブ32に与えられる張力の適切な範囲は約0.3〜2lbs/in(0.5〜3.5N/cm)であり、別の一実施形態においては0.5〜1.0lbs/in(0.875〜1.75N/cm)である。
【0022】
必要であれば、その経路全般にわたってウェブ32に張力を維持させるような付加手段が備えられていてもよい。図に示した実施形態によれば、張架手段46の下流においてウェブ32はブレーキング機構51を含む1つ以上の付加ロールに巻きついている。これはは、張架手段46から収容ロール44までのウェブ経路において、ウェブテンションを維持するための付加張架手段50である。供給側においても同様に、1つ以上の付加ロール49はブレーキング機構51を含み、供給ロールからニップ34までの移送経路において、ウェブの張力を維持している。ブレーキ機構51は供給ロール36に対する抵抗(すなわち張力)を提供し、処理中にウェブ32が過剰に処理されるのを防止する。別の実施形態として、ブレーキ機構、および/または他の付加張架機構50は、供給ロール36および/または収容ロール44に備えられていてもよい。供給ロール36からニップ34の間および張架手段46から収容ロール44までの間の、ウェブに張力を与える他の実施例は、当業者によって熟慮され得るであろう。
【0023】
経路中のウェブ32の張力は、張架手段46および付加張架手段50によって維持されるそれぞれの領域において、同じであっても異なっていてもよい。具体的には、供給ロール36からニップ34の間のウェブ32の張力すなわち供給張力は、分離手段40の後に張架手段46によってウェブ32に維持されている張力すなわち分離張力と異なっている。一実施形態において、現像媒体14とエレメント16がニップ34で接触するとき、ウェブ32の供給張力は分離張力よりも大きく、好ましくは供給張力は分離張力の1.5倍よりも大きく、さらに供給張力は分離張力の2倍であることが最も好ましい。
【0024】
プロセッサには、ドラム26と熱ロール30との間に相対運動手段(relative motion)を備え、感光性エレメント16および現像媒体14のウェブ32が互いに接触するようにする。相対運動手段は、例えばフレーム上に支持されたブラケット53上に熱ロール30(および/またはドラム26)を設置し、更にブラケット53を熱ロール30が感光性エレメント16へと移動するように動作させることによって、完成される。熱ロール30がドラム26へと移動するとき、感光性エレメント16(支持部材に支持されている)と熱ロール30の間に、エレメントと熱ロールの間の現像媒体14と共に、ニップ34が形成される。ニップ34とは、熱ロール30がドラム26に対して係合される位置である。ウェブ32を移送する熱ロール30は、圧接のもと、感光性エレメントに係合される。このような相対運動手段を備えることは、特許文献8 (Peterson et al.)に開示されている。処理において、エレメント16の幅方向に均一な、または実質的に均一な圧力がかけられることが好ましい。この均一な圧力は、ニップを横切る像が一様であることを前提とする。当業者であれば、ニップを通過する像によって加わる圧力が局所的に変化し得ることがわかるであろう。付加圧力は、吸収ウェブを感光性エレメント16に密に接触させる。ニップ領域において約0.7kg/cm〜約24kg/cmの圧力、好ましくは約2kg/cm〜約12kg/cmの圧力であれば、感光性エレメントの組成物を変形すること無く、エレメント表面から吸収ウェブへの吸収力を強化するのに適当である。
【0025】
ウェブ32を感光性エレメント16に接触させる手段20と、ウェブを感光性エレメントから分離する手段40は、離れて設置される。この様にすると、ウェブ32は、ニップ34を越えた後でも感光性エレメント16の外側表面17に接触したままで、更に、ウェブが熱ロール30の周囲への巻きつきを継続し得る点を越えても、感光性エレメントに接触したままである(もし、分離手段が存在していなければ)。ウェブ32と感光性エレメント16はニップ34の後、ウェブ分離手段40に到達するまでは、どこまでも接触したままである。現像媒体との接触によって溶融高分子が冷却する作用を低減するためには、ウェブ32がエレメント16から分離する点をニップ34の近くに設けることが望ましい。もし、ウェブ32と接触中の溶融高分子があまりにも冷却してしまうと、ウェブをエレメントから分離し難くなり、ウェブが破損してしまう場合さえある。しかしながら、分離手段40をニップ34に近づける設置には、ニップ後のスペースに収まることの出来る分離構成あるいは部材、および屈曲やねじれに抵抗し得る材料によって制限を受ける。一実施形態によれば、ニップ34は2つのロール(すなわち、熱ロールとドラム)の間に形成され、ニップにおける接触手段20から、ウェブ32がエレメント16から分離される分離手段40までの距離は、一般に0.5インチ(1.27cm)よりも大きい。別の実施形態では、ニップ34における接触手段20から、ウェブ32がエレメント16から分離される分離手段までの距離は、2〜4インチ(5.1〜10.2cm)であり、約3インチ(7.6cm)であることが好ましい。分離手段40は接触手段20に近接し、且つ感光性エレメント16の外側表面17に近接した位置に設置される。分離手段40は接触手段20に対し、離れた位置に設置されつつその一部であっても、あるいは分離されていてもよい。図1および図2においては、分離手段40は接触手段20から分離されている。分離手段40は、感光性エレメントを横切る方向(すなわち幅方向)の全域あるいは実質的に全域に渡って、ウェブ32を感光性エレメント16から分離あるいは剥離する。
【0026】
図1および図2において、分離手段40は、ウェブ32がエレメントから分離する箇所において、感光性エレメント16の外側表面17近くに、堅実な設置を実現している。分離手段40は、ウェブ分離において感光性エレメント16がドラム表面27にくっついたままでいるように作用し、従来技術の熱プロセッサの感光性エレメントによって悩まされたような凹凸を除去、削減、もしくは少なくとも制御するように作用することが出来る。そのような動作において、ウェブ32を分離することによって感光性エレメント16には張りが与えられる一方、余熱は下がり実質的に消滅する。しかしながら、分離手段40が外側表面17より更に離れて設置されると、ウェブ32がエレメント16から分離する位置はニップ34に近くなるように移動し、ウェブは同位置で定常的に分離され難くなる。ウェブ32がエレメント16から分離する位置の不一致は場合によっては許容でき、これでもまだ、従来技術のプロセッサよりは改良されている。
【0027】
分離手段40は、ざらつきのある表面あるいはエッジ54を備えた形状であれば、どの様な形状をしていてもよい。エッジ54とは、ウェブ32が感光性エレメントと接触して進行する第1方向55aから、ウェブが最終的に収容ロール44の方向に戻る第2方向55bに、進行方向を変更する位置となる。分離手段40の形状は、制限はないが、ブレード、ローラ、1つ以上の支持ローラに支持されたローラ、楕円形状の部材、ウェッジ、およびこれらの組み合わせを備えている。分離手段40は、使用に適する如何なる材料からも形成可能であり、制限はないが、金属薄板、鋳物、機械加工金属、合金、高分子複合材料、熱可塑性プラスチック材料、熱硬化性材料、およびこれらの組み合わせを含む。分離手段40のために選択された材料は、熱処理に関わる温度において熱変動に耐性があり、位置ずれ、すなわち処理中の張架(ウェブに対する)における屈曲やねじれに抵抗可能でなければならない。図1および図2に示された実施形態において、分離手段40は金属薄板から形成されたブレード56である。分離手段40は、個々の端部をプロセッサのフレームに設置することによって位置決めされている。別の方法として、分離手段40は、個々の端部がプロセッサのフレームに固定されている支持ブラケット58上に設置されていてもよい。一実施形態において、分離手段40は、ドラム26の外表面27に対する固定位置に押さえつけられている。上述した実施形態のいずれも、1つの厚みあるいは狭いレンジの厚みを有する感光性エレメントを現像する熱プロセッサにおいて、大いに有効である。他の実施形態によれば、分離手段40(あるいはブラケット58)は、ウェブ32が感光性エレメント16から剥離されるに際に、分離手段が回転軸60の回りを回転可能なように取り付けられている。この実施形態によれば、分離手段40は、熱プロセッサ内で現像され得る異なる厚みの感光性エレメントにも自動的に適合することが出来る。図1および2で示した実施形態において、回転軸60は、収容ロール44に向かって移動するウェブ32の経路の下方に設置されている。この場合、ウェブ32の張力によって、ブラケット58はブレード56上の剥離エッジ54を感光性エレメント16の外側表面17まで時計回りに回転させる。ブレード56の回転動作は、剥離エッジ54を位置決めするのに充分であり、この位置により剥離エッジはウェブ32を感光性エレメント16の外側表面17に接する様に方向付ける。外側表面17に接する剥離エッジ54(間にウェブを挟んだ状態で)は、ウェブ32が引き離される際でも、基板部材上に感光性エレメント16を保持するように援助する。加えて、分離手段40の剥離エッジ54は、エレメント16に形成されるにレリーフ画によって変化する表面17の地形図(topography)に適応するように、浮き上がったり移動したり出来る。
【0028】
別の(不図示の)実施形態において、分離手段40の回転軸は、ウェブ32が収容ロール44に戻る際の経路の上方に設置されている。この場合、ウェブ32の張力によって、分離手段40は分離手段上の剥離エッジ54を反時計回りに回転させ、感光性エレメント16の外側表面17から引き離す。この実施形態は、プロセッサ内の空間に制約がある場合に有効である。反時計回りの回転は、剥離エッジ54を感光性エレメント16の外側表面17の方へ引き返し案内するように作動するための手段によって押しとどめられる。
【0029】
回転軸60の周りの回転方向に関わらず、分離手段40をエレメントの外側表面17に関連して動作させるための手段、および/あるいは分離手段の位置を制御する手段、および/あるいは剥離エッジ54を備えることは有効である。図示された実施形態において、ばね61は分離手段を動作させるための手段である。ばね61は、支持ブラケット58に取り付けられ、プロセッサのフレームに設置されている。ばね61は、ブレード56をエレメント16に向けて回転させるのに役立ち、表面地形に適応するための移動中において、エレメント16上のウェブ32に対する剥離エッジの加圧を維持する。動作手段に適応するデバイスおよび機構の他の例では、ねじれ素子およびモータを備えている。制御手段に適応するデバイスおよび機構の他の例では、位置センサ、機械的停止機構およびコントローラを備えている。当業者であれば、適切なデバイスを選択し組み入れ、熱プロセッサ内で分離手段40を動作させる手段と同様に制御する手段を完成させるのも充分可能である。剥離エッジの位置を制御する手段は、それぞれが異なる厚みの組成物層を有する様々な感光性エレメントの熱処理に適応するのに特に有効である。
【0030】
分離手段40は、エレメントがベース部材(すなわちドラム26)上を移送する最中に、ウェブが感光性エレメント16から除去すなわち剥離すなわち分離するように、その位置においてウェブ32が向きを変えるような剥離エッジ54を備える。そのようであれば、分離手段40は剥離角Aで現像媒体14を除去あるいは剥離する。剥離角Aは、分離点において、処理方向にある感光性エレメントの外側表面の接線64に対して90度以上である。分離点とは、すなわち剥離エッジ54がウェブ32および感光性エレメント16に接する点、あるいはウェブがエレメントから分離すると予測される点である。
【0031】
分離手段40は、感光性エレメント16に関係するビーム強度を活用し、エレメントからウェブ32を分離する力によるエレメントの変形を抑制する。ビーム強度とは、摂動力およびモーメントの活用下でも形状変化に耐えるための、特別な組成および幾何学形状の物体が有する能力である。感光性エレメント16の外側表面上に存在するウェブ32と接する剥離エッジ54を、分離手段40が備えているような本実施形態においては、特に、分離手段40はウェブ32分離中のドラム表面27にエレメントを付着させておくのに役立ち、ドラムから浮き上がってたわみとなるエレメントの長さを実質的に短くする。それゆえ、ウェブの分離位置においてエレメントのビーム強度は増加する。この様な構成により、感光性エレメント16は現像媒体ウェブの引き出し力に対抗するために必要なビーム強度を有し、余熱のある状態の屈曲を著しく削減あるいは除去し、エレメント内に変形が起こらないようにする。
【0032】
剥離エッジ54は、分離の際に第1方向55aから第2方向55bに変換するために、その周りにウェブ32が巻きつく湾曲区域66(radius of curvature)を有している。現像媒体ウェブ32は、剥離時において、剥離エッジ54の湾曲区域66に一致あるいは実質的に一致可能であるべきである。接触手段20から離れた位置に分離手段40を設置することの利点は、分離手段が、その周りでウェブ32がエレメントから剥離する湾曲区域66を、熱ロールの円周外表面(すなわち、湾曲区域)で、ウェブがエレメントに接触するのと同位置となってしまう湾曲区域とは異ならせて提供できることである。剥離エッジ54の小さな湾曲区域は、通常、エレメントの進行方向に沿った剥離点の位置(円弧に対する)を提供し、エレメントから剥離するときのウェブ32の鋭角な方向転換を伴う。分離手段の個々の実施形態に適応する湾曲区域66は限定されるものではないが、組成物層の厚み、エレメントの幅、ウェブが剥離するときの温度における感光性エレメントの弾性率、およびエレメントからウェブを分離するのに要される力、を含む幾つかの要因によって決まり、非変形性あるいは実質的に非変形性の分離部材を前提とする。剥離エッジ54の湾曲区域は熱ロール30に関連する湾曲区域よりも小さい、すなわち約1.5インチ(3.75cm)より小さくあるべきことは理解されたい。しかしながら、本発明の利点をより十分に実現するためには、剥離エッジ54の湾曲区域は0.5インチ程度以下であるべきである。分離手段40がローラである場合には、ローラの径が十分小さくあるべきで、これによりローラの円周表面が、本質的に、0.5インチ(1.3mm)以下の湾曲区域を有する剥離エッジ54として作用することができる。分離手段40の別の実施形態として、剥離エッジ54の湾曲区域66を0.25インチ(0.64cm)より小さくすることも出来る。図示した実施形態において、ブレード56は、約0.05インチ(1.3cm)の湾曲区域の剥離エッジ54を有している。
【0033】
分離手段40は、コートあるいはテクスチャー加工可能な1つ以上の表面あるいはエッジ54を有する、あるいは分離手段40がテクスチャーコーティングされている。これにより、分離手段40は、現像媒体14のウェブ32の移動に伴う抵抗を除去あるいは極めて少なくなることができる。一実施形態によれば、剥離エッジはテフロン(登録商標)フッ素重合体に値するような焦げ付かない材料によってコートされている。
【0034】
感光性エレメント32から現像媒体14を分離する手段40が、現像媒体がエレメントに接触させられる位置から離れて設置される本発明では、エレメントからの現像媒体の剥離を制御し、均一にあるいは実質的に均一に剥離を行うことが出来る。分離手段40は、エレメントが自身をウェブから分離する位置であるエレメント16の外側表面17に近接した安定位置に、設立することが出来る。分離手段40は、外側表面に接し、現像媒体14がエレメント16から分離する最中の、まだ熱のある感光性エレメント16が所定位置に保持されるのを助ける。感光性エレメント16は、現像媒体14がエレメントから分離するのに伴ってエレメントが屈曲したり浮き上がったりしないように、外側表面上に保持されている。別方として、感光性エレメント16が外側表面27から安定した方法によって僅かに持ち上げられ、現像媒体14がエレメントから剥離するところの剥離表面に接しているように、分離手段40は設置されていてもよい。結果、感光性エレメント16は、不均一な張架を受けないあるいはほんの僅かに受けるのみであるので、工程内のこの部分の圧力はエレメント内に十分に誘導されない。本発明の熱現像工程による記録素子は、ゆがんだ形状を持たないか、あるいは削減されている。すなわち、レリーフ構造の記録領域には非平面地形がない、あるいは実質的に存在しない。本発明による記録素子は、接触手段から離れて設置されエレメントから現像媒体を剥離する手段を備えていないプロセッサ内で熱現像された記録素子に比べて、このように、改善された記録性能を有している。
【0035】
本発明は、熱現像プロセスによって生成される蒸気の量を削減できるという更なる利点を有している。感光性の組成物は、エレメントが所定温度あるいは熱現像を生じさせるのに必要な温度まで過熱された際に蒸発あるいは揮発可能な1つ以上の成分を有している。蒸発あるいは揮発可能な成分は、一般に、モノマーを含有し、低い分子量となっている。蒸気は、装置内で液化し装置の別領域において制御不能に滴下し、散乱する。現像媒体が感光性エレメントに接触したニップの後において、現像媒体は感光性エレメントからの部分的な液化部分を含有する。ニップを過ぎた後においても現像媒体の熱ロール30への接触を継続していると、現像媒体内に運び込まれた液化部分が加熱され、蒸気を発生する。分離手段40が接触手段20から離れて設置されている本実施形態においては、現像媒体が分離手段を横切ることにより、ニップ34の後の現像媒体14と熱ロール30の接触が妨げられる、あるいは削減される。現像媒体14は、ニップ後に加熱されないので、熱現像によって生成される蒸気は(縮合物と同様に)削減される。
【0036】
ベース部材すなわちドラム26はヒータ(不図示)を備えており、当該ヒータは、感光性エレメント16を、環境温度に左右されない安定した開始温度に保っている。ヒータの入力が、ドラム18の外表面22上の選択された表面温度を極めて一定に維持するのに十分であれば、ベース部材を加熱する手段はどのようなものであっても良い。選択された表面温度とは、約50〜150゜F(10〜65.6℃)、好ましくは70〜95゜F(21.1〜35℃)である。ドラム26を加熱する手段は、エレメント16の外側表面17を温度T3に加熱することができる温度までドラムを過熱することが出来る。ヒータは、巻き線型のブランケットのような電気式の発熱ブランケットであればよい。通常の操作環境を一定温度になるように制御できる場合には、ヒータは装置から取り外すあるいは欠落させることが出来る。特許文献9に開示されているように、感光性エレメント16の表面17およびドラムにおいて空気の流れを方向付ける送風機のような冷却手段によって、またドラムの表面下に冷却液を巡回させてエレメントの支持サイドを冷却することによって、ドラム26を冷却することは可能である。
【0037】
プロセッサは、ドラムに近接した位置に別の加熱手段(不図示)を備えていても良い。第1の加熱手段は、集光性の放射型ヒータであっても良く、ドラム26上の感光性エレメント16の外側表面に向けられて表面を加熱し、表面温度を温度T1まで上昇させる。
一実施形態において、放射型ヒータは、外側表面17の温度を、組成物層の非照射部分が溶融するに十分な温度まで上昇させ、組成物層の部分を液化させる。ヒータは、1つ以上のチューブ状の赤外線加熱バルブを、当該バルブと電気的に接続される端面支持体に備えていても良い。ヒータはまた、バルブに近接した位置に反射体を備えていても良く、この反射体は赤外線放射を集めて感光性エレメントシートの外側表面に向けて誘導するように働く。
【0038】
プロセッサは、熱ロール30を加熱する手段(不図示)を備えている。熱ロール30は、エレメント16の外側表面17の温度を維持するあるいは更に上昇させ、温度T2を維持する。ワットロー・エレクトリック・カンパニー(セント・ルイス、MO)から入手可能なカートリッジヒータのようなコアヒータによって熱ロール30への熱は供給される。電気式のコア過熱に加えて、蒸気、油、温風、および、他の加熱源であっても、現像媒体14を介した組成物層の部分が融解するに十分な熱ロールの外側表面温度を提供可能であれば、いかなる方法によっても熱ロールは加熱可能である。熱ロール30は感光性エレメント16の外側表面を過熱する。熱ロールが裏付けされた現像媒体が感光性エレメント16に接触することにより、エレメントの組成物層の非硬化部分は溶融、軟化、あるいは流動して、現像媒体14によって吸収あるいは収容される。プロセッサを通しての温度センサが設置され、ドラム26、熱ロール30、および付属的な放射型ヒータ内の加熱素子を制御する目的で温度をモニタしてもよい。
【0039】
第1加熱手段として動作する放射型ヒータ、第2加熱手段として動作する熱ロール30、および第3の加熱手段として動作するドラムヒータは、独立してあるいはいかなる組み合わせによっても、感光性エレメントの外側表面17を十分な温度まで加熱し、組成物層の部分すなわち非照射部を融点にて液化する。第1加熱手段、第2加熱手段および第3加熱手段は、独立してあるいはいずれかを組み合わせによって、加熱ステーションを構成する。好適なステーションは、第1の加熱手段と第2の加熱手段を備えている。
【0040】
感光性エレメントを熱現像するための処理操作は、感光性エレメント16をドラム26上に配置することによって開始する。ドラムヒータあるいは放射型ヒータは、ドラム26を予熱するために利用される。熱ロールのためのカートリッジヒータは熱ロールを予熱する。ドラム26は回転を開始し、ドラムとともにエレメントを移送する。放射型ヒータは、エレメント16がヒータに達する以前にバルブを予熱する。その後、エレメント16の組成物層が融解する所望の温度T1に達するような設定操作に切り替える。熱ロール30によって移送されてきたウェブ32がドラム26に接する位置に、エレメント16の先端部が到達すると、熱ロール30は移動してエレメント16に対して吸収ウェブ32を与える。感光性エレメント組成物層は、現像媒体14との接触中に、40〜130℃(104〜392゜F)に加熱される。現像媒体14は加熱された感光性エレメント16の外側表面17に接触し、組成物層の非照射部分からエラストマ高分子の液化部分を吸収する。吸収材料14とエレメント16の外側表面との間の密接な接触が多かれ少なかれ持続されると、組織層の非硬化部分が溶融、軟化、あるいは流動化し、また、組織層上の付加的に設けられた層が組織層の熱現像温度において融解、軟化、あるいは流動化して、吸収材料14へ移動する。現像媒体14と外側表面17および感光性層の密接な接触は、ニップ34における層および現像媒体を共に加圧することによって維持される。エレメント16とウェブ32は、接触ニップ34から離れ、分離手段40のブレード56が現像媒体14を挟み込んだ状態で外側表面17に対向するように設置されている位置に到達するまで、接触したままである。ウェブに張力を与えることにより、ブラケット58はブレード56の剥離エッジ54を回転軸60の周りに時計方向に回転させ、エレメント16の外側表面に到達させる。剥離エッジ54は表面17に接触し、所定位置(ドラム26に接していてもいなくても良い)にある感光性エレメントを維持するように作用し、ドラム26上を回転し続けるエレメントからウェブ32が剥離する。現像媒体ウェブ32は、剥離エッジ54を旋回し、エレメント16を伴った移動から収容ロール44への戻りへと、その方向を鋭角に変換し、エレメントの外側表面17から現像媒体14を除去、分離すなわち剥離する。レリーフ構造は、現像媒体ウェブ32より分離したエレメントとしてエレメント16内に形成される。エレメント16の後端部が熱ロール/ドラムとの接点、すなわちニップ34を通過すると、放射型ヒータは冷却あるいは停止し、熱ロール30はニップ34より退避する。後端部がブレード54を通過するとウェブ32は停止する。ドラム26はエレメント16の先端部をスタート位置に戻し、エレメント16の次の加熱サイクルを開始して、ウェブ32をエレメントに接触させ、ウェブをエレメントから分離する。エレメント16を加熱し、層を現像媒体14に接触させ、さらに現像媒体14を分離する工程の1サイクルは、必要なだけ何度も繰り返すことが出来、非硬化性の材料を組成物層から適切に取り出して充分なレリーフ深度を形成する。しかしながら、適切なシステム動作のためにはサイクルの数は最低限にすることが望まれる。そして、レリーフパターンあるいは記録に適する表面を有するフレキソ印刷形状を形成するためには、光重合性素子は5〜15サイクル熱処理されるのが一般である。
【0041】
感光性エレメント
本発明は、熱処理されるエレメントの種類には限定されない。一実施形態では、感光性エレメント16は可撓性の基体と、その上に取り付けられた組成物層とを含んでいる。組成物層は基体上の少なくとも1つの層であり、部分的に液状化可能なものである。好ましくは、感光性エレメント16は、フレキソ印刷フォームとして用いて好適なエラストマー系(elastomeric)印刷エレメントである。基体上の少なくとも1層は好ましくは感光層(photosensitive layer)であり、最も好ましくはエラストマー系組成物の光重合性層(photopolymerizable layer)であって、感光層は化学線(actinic radiation)によって選択的な硬化が可能なものである。ここで用いられている「光重合性」という用語は、光重合性、光架橋性(photocrosslinkable)またはその双方であるシステムを包含する。組成物層が可撓性基体上に2以上の感光層を具える場合には、各感光層の組成を同じものとしてもよいし、他の感光層のいずれとも異なるものとしてもよい。
【0042】
感光性組成物の層は、熱処理時に部分的に液状化可能なものである。すなわち、熱現像を通じて、妥当な処理または現像の温度で軟化または溶融すべきものである。組成物層の少なくとも1つの外側面は、層の一部の液状化、軟化または溶融が生じるに十分な温度Trに加熱される。
【0043】
感光層は少なくとも1つのモノマーおよび光開始剤(photoinitiator)を含み、付随的にバインダーを含む。少なくとも1つのモノマーは、少なくとも1つの末端エチレン基(terminal ethylenic group)をもつ付加重合可能なエチレン性不飽和化合物である。感光層において使用可能なモノマーは技術分野においてよく知られており、一官能性のアクリレートおよびメタクリレート、多官能性のアクリレートおよびメタクリレート、および ポリアクリロール・オリゴマー類などがある。さらなる例としては、特許文献11、特許文献12および特許文献13に見られるものがある。モノマーの混合物が用いられてもよい。
【0044】
光開始剤は化学線に曝露されたときに遊離基を発生する成分である。公知のクラスの光開始剤のいずれを用いることができ、特に遊離基光開始剤を用いることができる。あるいは、光開始剤は複数の成分の混合物であってもよく、その成分の1つが、照射により活性化する増感剤(sensitizer)によってそれが行われたときに遊離基を提供する。
【0045】
付加可能なバインダーは予め形成されたポリマーであり、曝露に先立ってモノマーおよび光開始剤のマトリックスとして働くとともに、曝露の前後における光重合の物理的性質に対して寄与するものである。一実施形態では、付加的なバインダーはエラストマー系である。エラストマー系のバインダーの例としては、これに限定されるものではないがA−B−A型のブロック共重合体が挙げられる。ここで、Aは非エラストマー系ブロック、好ましくはビニル共重合体を表し、Bはエラストマー系ブロック、好ましくはポリブタジエンあるいはポリイソプレンを表す。使用できる他の好適な感光性エラストマーには、特許文献5および特許文献6に記載されたようなポリウレタンエラストマーが含まれる。モノマーまたは複数モノマーの混合物は、清澄な曇りのない感光層が生成される範囲で、バインダーと適合性のある(compatible)するものでなければならない。
【0046】
感光層に対する付加的な添加物としては、色材、処理補助剤(processing aids)、酸化防止剤およびオゾン劣化防止剤などがある。処理補助剤は、エラストマー系ブロック共重合体と適合する低分子量のポリマーなどであってもよい。オゾン劣化防止剤には炭化水素ワックス、norbornenes、植物油が含まれる。好適な酸化防止剤としては、アルキル化フェノール(alkylated phenols)、アルキル化ビスフェノール(alkylated bisphenols)、重合トリメチルヒドロキノン(polymerized trimethyldihydroquinone)およびジラウリル・チオプロピオン酸塩(dilauryl thiopropinoate)が挙げられる。
【0047】
感光性エレメントは、基体に対向する感光層の側に1以上の付加層を含むことができる。付加層の例としては、リリース層、キャッピング層、エラストマー層、レーザ光感受性層(laser radiation-sensitive layer)、化学線不透過層(actinic radiation opaque layer)、バリア層およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られるものでもない。1以上の付加層は、好ましくは、用いられる感光性エレメントにとって受容可能な現像温度の範囲で現像媒体と接触することにより、全部または一部が除去可能なものである。1以上の付加的な他の層によって、感光性組成物層が全体的または部分的に覆われるようにすることもできる。感光性組成物層を部分的にのみ覆う付加層の例としては、画像形成型の方式(imagewise application)、例えばインクジェット方式により形成された、化学線ブロック材またはインクでなるマスキング層が挙げられる。
【0048】
リリース層は組成物層の表面を保護するとともに、感光性エレメントの上記画像露出部分について用いられるマスクを容易に除去することができるようにするものである。リリース層として好適な材料は技術分野においてよく知られている。キャッピング層について好適な組成物およびエレメント上にこの層を形成するための方法は、特許文献2および特許文献14(Gruetzmacherらによる)に記載された多層カバーエレメントにおいてエラストマー系組成物として開示されている。エラストマー系のキャッピング層は感光層と同等であり、画像露出後には、用いられる感光性エレメントにとって受容可能な現像温度の範囲で吸収材と接触することにより、エラストマー系キャッピング層の少なくとも一部が除去される。
【0049】
一実施形態では、レーザ光感受性層は赤外線のレーザ放射に対して感受性があり、よって赤外線感受性層としても認識され得る。レーザ光感受性層は感光層上にあるものでもよいし、感光層上にバリア層がある場合にはその上に配置されるものでもよい。また、感光性エレメントともに組立体(assemblage)をなす一時的支持体(temporary support)上に配置されるものでもよい。赤外線感受性層および化学線不透過層は技術分野においてよく知られている。赤外線感受性層は、赤外線レーザ照射に曝されることによって、可撓性基体と対向する側にある感光層からアブレート(すなわち気化または除去)可能である。あるいは、感光層が赤外線感受性層を支持する支持体とともに組立体をなしている場合には、赤外線感受性層は、赤外線レーザ照射に曝されることによって、一時的支持体から感光層の外側面(可撓性基体とは反対側の側)に移送可能である。赤外線感受性層を単独で用いてもよいし、他の層、例えばイジェクション層や加熱層などとともに用いてもよい。
【0050】
赤外線感受性層は赤外線吸収材、放射線不透過材および付随的なバインダーを具える。黒い無機顔料、例えばカーボンブラックやグラファイトなどが、赤外線吸収材および放射線不透過材として一般に機能する。赤外線感受性層の厚みは、化学線に対する感受性および不透過性の双方を最適化する範囲とすべきである(例えば2.5以上の光学濃度をもつものとする)。かかる赤外線感受性の光除去可能(photoablative)または光移送可能(phototransferable)は、ディジタルのプレートダイレクト(direct-to-plate)画像技術が適用可能であり、これは、レーザ照射に曝すことで赤外線感受性層が除去または移送され、感光性エレメント上に存在するマスクを形成する。好適な赤外線感受性組成物、エレメントおよびそれらの調製については、特許文献15〜特許文献21に開示されている。赤外線感受性層は、好ましくは、用いられる感光性エレメントにとって受容可能な現像温度の範囲で吸収体と接触することにより除去可能なものである。
【0051】
本発明の感光性エレメントはさらに、その最上層の上部に設けられる一時的カバーシートを含むことができる。カバーシートの目的の1つは、保管および取り扱い時に感光性エレメントの最上層を保護することである。最終的な使用時に、像形成に先立ちカバーシートを除去してもよいし、除去しなくてもよい。しかし現像の前には除去される。カバーシートの好適な材料は技術分野においてよく知られている。
【0052】
基体は引き裂き抵抗があるものが選択され、かつ、かなりの高融点、例えば基体上に形成される組成物層の液化温度より高い融点をもつものでなければならない。基体の材料は高分子のフィルム、フォーム、繊維、および、アルミニウムや鋼などの金属から選択可能である。しかしこれらに限られるものでもない。基体は殆どどのような高分子材であってもよく、すべての処理条件に対して反応せず、かつ安定しているフィルムを形成するものであればよい。好適なフィルム支持体としては、ポリオレフィン、ポリカーボネートおよびポリエステルなどの熱可塑性材料やセルロースフィルムなどが挙げられる。
【0053】
感光性エレメントの基体は約0.01mm〜約0.38mmの厚みを有する。放射線硬化型組成物層の厚みは約0.35mm〜約7.6mmであり、好ましい厚みは約0.5mm〜約3.9mm(20〜155mil)である。
【0054】
感光性エレメント16は、熱現像を行うために、エレメント16を化学線に暴露する像形成(imagewise)によって調製される。像形成用曝露の後、感光性エレメント16は、放射線硬化型組成物層の曝露領域における硬化部分と、放射線硬化型組成物層の非曝露領域における非硬化部分とを含むものとなる。像形成用曝露は、像生成マスク(image-bearing mask)を通して感光性エレメントを曝露することにより行われる。像生成マスクは、印刷すべき内容を含む白黒の透過物または陰画、組成物層上のレーザ光感受性層に形成された既存マスク(in-situ mask)、またはその他の、技術分野において知られたものとすることができる。像形成用曝露は真空フレーム内で行われるものでもよいし、大気中の酸素が存在する状態で行われるものでもよい。曝露時には、マスクの透過領域により、重合または架橋が生じるようになる一方、化学線不透過領域は未架橋のままとなる。曝露は、曝露領域の支持体または背部層(フロア)に対する架橋が生じるのに十分な期間行われる。像形成用曝露時間は通常バックフラッシュ時間よりかなり長く、2、3分から10分の範囲である。
【0055】
特許文献15〜特許文献21に開示されたようなプレートダイレクトの画像形成に対しては、赤外線レーザ曝露用エンジンを用いて、レーザ光感受性層に存在する画像生成マスクが形成される。像形成用のレーザ曝露は、750〜20000nmの範囲、好ましくは780〜2000nmの範囲の光を出射する種々のタイプの赤外線レーザを用いて行うことができる。ダイオードレーザを用いることもできるが、1060nmの光を出射するNd:YAGレーザが好ましい。
【0056】
化学線源は紫外線領域、可視光領域および赤外線領域のものを含む。特別な化学線源としての適合性は、感光性エレメントからフレキソ印刷版調製するのに用いられる少なくとも1つのモノマーおよび開始剤の感光性によって決定される。最も一般的なフレキソ印刷版の好ましい感光性は、室内灯に対して良好な安定性を呈することから、紫外線および深可視光領域のスペクトルである。照射に曝される組成物層の部分は、化学的に架橋し、硬化する。照射されない(曝露されない)組成物層の部分は硬化せず、硬化した被照射部分よりも低い融点または液化温度を有する。像形成用曝露された感光性エレメント16は、レリーフパターンを形成するために吸収材を用いる熱現像の準備が整ったものとなっている。
【0057】
像形成用曝露の前または後に全体的な背部曝露(所謂バックフラッシュ曝露)を行い、支持体に隣接する感光層を所定の厚みに重合させることができる。感光層の重合部分はフロアと称される。フロアの厚みは曝露時間や曝露源などによって変化する。この曝露は拡散または直接的に行われる。像形成用曝露に好適な照射源を用いることができる。曝露は一般的に10秒〜30分行われる。
【0058】
マスクを介した全体的な紫外線曝露の後に、感光性印刷エレメントには上述した熱現像が施され、光重合層内の非重合領域が除去されて、レリーフ像が形成される。熱現像ステップは、光重合層の少なくとも化学線に曝されなかった領域、すなわち非曝露領域を除去する。エラストマー系キャッピング層を除き、光重合層上に存在し得る付加層が、光重合層の重合領域から除去または実質的に除去される。
【0059】
現像媒体は、放射線硬化型組成物の非照射すなわち非硬化部分の融点、または軟化もしくは液化温度より高い融点を有し、かつ同じ作動温度で良好な引き裂き抵抗を有するものが選択される。好ましくは、選択材料は、加熱を通じて感光性エレメントを処理するプロセスに必要な温度に耐えるものである。吸収材は、不織材、用紙、繊維性の織材、開放発泡材(open-celled foam materials)、多孔質材など、空洞容積を多少ともその容量に含んでいるものから選択できる。吸収材はウェブ状のものでも、シート状のものでもよい。吸収材はまた、溶融するエラストマー系組成物に対する高い吸収性を有しているべきであり、吸収量は、吸収材の平方mmあたりに吸収可能なエラストマーの重量(グラム)によって測定される。吸収材にファイバを接着し、現像工程を通じファイバがプレート内に付着しないようにすることが望ましい。ナイロンウェブの不織材が好ましい。
熱現像後には、後続のシーケンスにおいて、フレキソ印刷フォームを後曝露(post exposed)および/または化学的もしくは物理的に後処理し、フレキソ印刷フォームの表面の粘着性を除去(detackify)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態において、感光性エレメントに現像媒体を接触させるための手段から離れて設置された、観光性エレメントから現像媒体を分離するための手段を示す側面図である。
【図2】図1で示された現像媒体を分離する手段の側面詳細図である。
【符号の説明】
【0061】
14 現像媒体
16 感光性エレメント
17 外側表面
20 接触手段
22 支持部材
24 移送手段
26 ドラム
27 外表面
30 熱ローラ
32 ウェブ
34 ニップ
36 供給ロール
40 分離手段
44 収容ロール
46 張架手段
48 駆動ロール
48a トルクモータ
49 アイドラー・ロール(付加ロール)
50 付加張架手段
51 ブレーキング機構
53 ブランケット
54 剥離エッジ
55a 第1方向
55b 第2方向
56 ブレード
58 支持ブラケット
60 回転軸
61 ばね
64 接線
66 湾曲区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面を有し部分的に液化可能な組織物層を含む感光性エレメントから、レリーフパターンを形成する装置であって、
前記層の部分を液化可能な温度まで前記外側表面を過熱する手段と、
前記外側表面を現像媒体に接触させる手段と、
前記外側表面から離して設置された、前記現像媒体を張架する手段と、
前記外側表面に近接して設置された、前記現像媒体を前記外側表面から分離する手段
とを具備し、前記分離手段は前記接触手段から離れて設置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記分離手段は、前記接触手段から分離されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記分離手段と前記接触手段は単一構造であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記分離手段は、前記接触手段から0.5インチよりも大きく離れて設置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接触手段はニップを形成し、前記現像媒体は前記ニップを超えて前記外側表面に接触したままであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記接触手段は、ベース部材上で前記感光性エレメントを支持する手段、および前記外側表面に前記現像媒体を配送する手段を、更に具備していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記分離手段は、前記現像媒体を、前記感光性エレメントの前記外側表面の接線に対し、90度以上の剥離角度で分離することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記張架手段は、前記現像媒体を、約0.3〜2ポンド/インチで張架することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記分離手段は、ブレード、ローラ、1つ以上の支持ローラに支持されたローラ、楕円形状の部材、ウェッジ、およびこれらの組み合わせから構成される群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記分離手段は、金属薄板、鋳物、機械加工金属、合金、高分子複合材料、熱可塑性プラスチック材料、熱硬化性材料、およびこれらの組み合わせから構成される群より選択された材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記分離手段は焦げ付かない表面を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記分離手段は、コーティング、テクスチャー加工、あるいはテクスチャー加工とコーティングの組み合わせによって処理された表面を更に具備していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記分離手段は、前記感光性エレメントの前記外側表面に対して固定された位置にあることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記分離手段は、前記感光性エレメントの前記外側表面に対し、移動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記分離手段を移動する手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記分離手段は、回転軸の回りを回転することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記分離手段は、前記感光性エレメントの前記外側表面に向けて回転することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記分離手段は、前記感光性エレメントの前記外側表面から離れる様に回転することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記分離手段の回転に対向するための作動手段を更に具備していることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記分離手段は剥離エッジを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記外側表面は地形図を有し、前記剥離エッジが前記外側表面の前記地形図に接触するように分離手段を作動する手段を更に具備することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記外側表面は地形図を有し、前記外側表面の前記地形図に追従するように前記剥離エッジを加圧する手段を更に備えていることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記剥離エッジを位置決めするための手段を更に具備することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記剥離エッジの位置を前記装置内の固定位置に制御するための手段を更に具備していることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記剥離エッジは0.5インチより小さい湾曲区域を有していることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記剥離エッジは0.25インチより小さい湾曲区域を有していることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項27】
前記剥離エッジは0.05インチより小さい湾曲区域を有していることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項28】
前記現像媒体に一定の張力を維持する手段を更に具備ずることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記現像媒体を張架する手段は、前記感光性エレメントから前記現像媒体の第1の分離のために第1張力を発生させ、前記装置は、前記感光性エレメントから前記現像媒体の第2の分離のための第2の張力に、前記現像媒体の張力を変更するための手段を更に具備していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記張架手段は前記分離手段の下流にあることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記張架手段は、現像媒体の供給ロールと前記接触手段の間にある前記現像媒体に供給張力を与える張架構成、および前記分離手段の下流で前記現像媒体に分離張力を与える張架構成を含み、前記供給張力および前記分離張力は同値であっても異なっていてもよいことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記供給張力は前記分離張力よりも大きいことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記分離手段は、0.05インチよりも小さい湾曲区域を有する剥離エッジを備えたブレードを具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記分離手段は回転軸および剥離エッジを有するブレードを更に具備し、前記張架手段は前記分離手段より後の前記現像媒体に一定の張力を維持することにより、前記ブレードを前記回転軸の回りに回転させ、前記剥離エッジを前記外側表面に接する前記現像媒体に位置付けることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記接触手段は、前記組成物層の液化した材料の少なくとも一部を前記現像媒体によって吸収することを許容することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項36】
前記接触手段は、前記組織物層の液化した材料の少なくとも一部が前記現像媒体に吸収されるに充分な圧力で、前記感光性エレメントと前記現像媒体を接触させる加圧構成(pressing)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記感光性エレメントは、光重合性の記録素子であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記加熱手段は、
前記現像媒体が前記層に接触する位置に近接し、前記組織層の外側表面を加熱する第1の加熱手段であり、前記第1の加熱は前記層の外側表面を加熱するのに適用される、第1の加熱手段と、
前記現像媒体が前記層の前記外側表面に接触している間に、前記組成物層の外側表面を加熱可能な温度まで前記配送手段を加熱する第2の加熱手段と、
前記組成物層の前記外側表面を加熱可能な温度まで前記支持手段を加熱する第3の加熱手段と、
前記第1の加熱手段および前記第2の加熱手段の組み合わせと、
前記第1の加熱手段および前記第3の加熱手段の組み合わせと、
前記第2の加熱手段および前記第3の加熱手段の組み合わせと、
前記第1の加熱手段、前記第2の加熱手段および前記第3の加熱手段の組み合わせと、
から構成される群より選択され、
前記第1の加熱手段、前記第2の加熱手段および前記第3の加熱手段は、個別にあるいは前記組み合わせによって、前記層の部分が液化するに充分なほどに、前記組成物層の前記外側表面を加熱可能であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項39】
外側表面を有し部分的に液化可能な組織物層を含む感光性エレメントから、レリーフパターンを形成する方法であって、
前記層の部分を液化可能な温度まで前記外側表面を過熱する工程と、
接触位置において、前記外側表面を現像媒体に接触させる工程と、
前記外側表面から離れて前記現像媒体を張架する工程と、
前記接触位置から離れた位置で、前記現像媒体を前記外側表面から分離する工程
とを有することを特徴とする方法。
【請求項40】
前記分離工程は前記接触工程から分離されていることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記接触工程はニップ形成工程を有し、前記方法は前記現像媒体が前記ニップを超えても前記外側表面との接触を維持する工程を更に有することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記感光性エレメントをベース部材に支持する工程と、前記現像媒体を前記外側表面に配送する工程を、更に有することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記分離工程は、前記現像媒体が前記感光性エレメントから分離する分離点において、前記感光性エレメントの前記外側表面の接線に対して90度以上の剥離角で前記現像媒体を剥離することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記張架力は約0.3〜2ポンド/インチであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記分離工程は、ブレード、ローラ、1つ以上の支持ローラに支持されたローラ、楕円形状の部材、ウェッジ、およびこれらの組み合わせから構成される群より選択される分離部材によって成されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記分離部材は、金属薄板、鋳物、機械加工金属、合金、高分子複合材料、熱可塑性プラスチック材料、熱硬化性材料、およびこれらの組み合わせから形成されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記分離部材は焦げ付かない表面を備えていることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記分離部材は、コーティング、テクスチャー加工、あるいはテクスチャー加工とコーティングの組み合わせによって処理された表面を更に具備していることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記感光性エレメントの前記外側表面に対し、前記分離部材を移動する工程を更に有していることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記感光性エレメントの前記外側表面に対し、前記分離部材の位置を固定する工程を更に有していることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記分離部材を回転軸の回りに回転させる工程を更に有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記分離部材は前記感光性エレメントの前記外側部材まで回転することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記分離部材は、前記感光性エレメントの前記外側表面から離れるように回転することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記外側表面から離れる回転に対抗するように前記分離部材を作動する工程を更に有することを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記分離部材は剥離エッジを具備していることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記外側表面の地形図に適応するように、前記分離部材の前記剥離エッジを作動する工程を更に有することを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記外側表面の地形図に追従するように前記剥離エッジを加圧する工程を更に有することを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記剥離エッジを位置決めする工程を更に有することを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項59】
固定位置に対し前記剥離エッジの位置を制御する工程を更に有することを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記剥離エッジは0.5インチより小さい湾曲区域を備えることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記湾曲区域は0.25インチより小さいことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記湾曲区域は0.05インチより小さいことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項63】
前記分離工程において、前記現像媒体に一定の張力を維持する工程を更に有することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項64】
前記現像媒体を回収する工程と、前記分離工程における前記一定の張力とは異なる巻き取り張力を維持する工程とを、更に有することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記現像媒体は第1の張架下にあり、
前記方法は、加熱、接触、適合、および分離のステップを繰り返す工程を更に有し、
前記現像媒体は、前記第1の張架とは異なる第2の張架下にあることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項66】
前記張架工程は、前記現像媒体の供給ステップと接触ステップとの間にある前記現像媒体に供給張力を張架する工程と、分離ステップの後の前記現像媒体に分離張力を張架する工程を有し、前記供給張力と前記分離張力は同値であっても異なっていてもよいことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項67】
前記供給張力は前記分離張力よりも大きいことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
0.25インチよりも小さい湾曲区域を有する剥離エッジを備えたブレード型の分離部材を用いて前記分離工程を行う工程を有することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項69】
前記分離工程は、剥離エッジおよび回転軸を有する分離部材を用いて前記現像媒体を分離する工程と、前記回転軸の回りに前記分離部材を回転し、前記感光性エレメントの前記外側表面に接している前記現像媒体上に前記剥離エッジを配置する工程とを有していることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項70】
前記接触工程は、前記組成物層の液化した材料の少なくとも一部を前記現像媒体によって吸収する工程を更に有することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項71】
前記接触工程は、前記組成物層の液化した材料の少なくとも一部が前記現像媒体によって吸収されるのに充分な圧力の下で、前記感光性エレメントおよび前記現像媒体を接触させる加圧工程を有することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項72】
前記感光性エレメントは光重合性の記録素子であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項73】
前記加熱工程は、
前記現像媒体が前記層に接触する位置に近接し、前記組織層の外側表面を加熱する第1の加熱工程であり、該第1の加熱工程は前記層の外側表面を加熱するのに適用される、第1の加熱工程と、
前記現像媒体が前記層の前記外側表面に接触している間に、前記組成物層の外側表面を加熱可能な温度まで配送ロールを加熱する第2の加熱工程と、
前記組成物層の前記外側表面を加熱可能な温度まで支持部材を加熱する第3の加熱工程と、
前記第1の加熱工程および前記第2の加熱工程の組み合わせと、
前記第1の加熱工程および前記第3の加熱工程の組み合わせと、
前記第2の加熱工程および前記第3の加熱工程の組み合わせと、
前記第1の加熱工程、前記第2の加熱工程および前記第3の加熱肯定の組み合わせと、
から構成される群より選択され、
前記第1の加熱工程、前記第2の加熱工程および前記第3の加熱工程は、個別にあるいは前記組み合わせによって、前記層の部分が液化するに充分なほどに、前記組成物層の前記外側表面を加熱可能であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項74】
前記感光性エレメントを科学線に暴露する工程を更に有することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項75】
前記暴露工程は既存マスクを介した、光ツールを介した、またはレーザによる、像形成を行うことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
請求項75の方法によって作成されたフレキソ印刷フォーム。
【請求項77】
前記分離手段は、前記感光性エレメントを支持する手段の外表面に対して固定された位置にあることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項78】
前記分離手段は、前記現像媒体が前記外側表面から分離する際の、安定した位置を確率することを特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−85157(P2006−85157A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−226002(P2005−226002)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】