説明

現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】入口シール上へのトナー堆積を防止し、長期にわたって異常画像の発生を防止できる現像装置を提供する。
【解決手段】入口シール57を現像装置5のケースに可動な状態で支持し、入口シール57が感光体ドラム1及び現像ローラ51のどちらにも、移動して択一的に当接可能に設けている。したがって、現像装置5の動作に連動して感光体ドラム1又は現像ローラ51のいずれかを選択し、入口シール57を移動して当接させることを可能にできる。そして、入口シール57を感光体ドラム1に当接させた状態で入口シール57上に溜まった飛散トナーを、入口シール57を現像ローラ51に当接させて現像装置5内に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、FAX、プリンタ等の画像形成装置に用いられるトナー飛散防止構造を有した現像装置、この現像装置を備えたプロセスカートリッジ、及びこれらのいずれかを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、潜像剤担持体上に形成した潜像を現像装置で顕像化する現像装置が知られている。例えば、潜像剤担持体である感光体に形成された潜像を顕像化するために、現像剤としてトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた2成分現像装置がある。この2成分現像装置では、感光体に現像剤担持体である現像ローラの磁気ブラシを接触させてトナーを供給し、感光体の潜像に付着させて可視像化している。そして、現像剤磁気ブラシから供給するトナーの一部が、現像領域内で感光体に付着せずに外部に飛散する現象(以下、トナー飛散という)が発生し、飛散したトナーに起因する機内汚染や、異常画像等の問題が生じることが知られている。
【0003】
そこで、従来から、感光体と現像ローラの間の現像領域近傍の、磁気ブラシの感光体回転方向上流側に、一般に入口シールと呼ばれる可撓性を有するシール部材を配置し、閉塞してトナー飛散を低減させる構造が知られている。例えば、特許文献1には、可撓性を有する入口シールを備えるユニットを移動可能に支持して、入口シールの感光体への突き当たり量を適切な範囲の量に調整可能にする構成が記載されている。入口シールの感光体への突き当たり量を適切な範囲の量とすることで、現像領域の感光体回転方向上流側からのトナーを飛散を防ぐとともに、突き当たり量が適切な範囲を越えて生じる不具合を抑制するというものである。また、特許文献2には、コの字の入口シールを用いた構成で、高い加工精度や設置精度を要することなく、感光体と入口シールとの隙間を無くす構成が記載されている。高い加工精度や設置精度を要することなく、常に入口シールの当接部全体を感光体へ当接させることで、入口シールと感光体との隙間を無くし、現像領域の感光体回転方向上流側からのトナーを飛散を防ぐというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、現像領域内から飛散したトナーは、入口シール上に溜まることとなり、入口シール上に溜ったトナーが増加して堆積することとなる。そして、この入口シール上に堆積したトナーが、感光体の電位により感光体へ吸着されて(現像されて)、地肌汚れやトナー落ち画像のような異常画像を引き起こしてしまうという問題がある。そして、上述した特許文献1、2のいずれも、入口シール上に堆積したトナーに起因する異常画像の問題を解消する構成を備えていない。さらに、近年の、画像形成装置の高速化、高画質化等の要求からのトナーの小粒径化、高耐久性の要求からの長寿命化により、トナー飛散は増加してきており、入口シールへのトナー堆積に起因した異常画像の問題が顕在化してきている。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、入口シール上へのトナー堆積を防止し、長期にわたって異常画像の発生を防止できる現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、現像剤担持体と、潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向する現像領域からの飛散トナーを抑制する可撓性を有したシール部材とを備え、前記潜像担持体上に形成された潜像を、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤で現像する現像装置において、前記シール部材は、前記現像装置のケースに可動な状態で支持されており、前記潜像担持体及び前記現像剤担持体のどちらにも、移動して択一的に当接可能であることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、シール部材は、画像形成時には潜像担持体へ当接し、現像剤担持体の逆転と連動して、前記現像剤担持体に当接することを特徴とするものである。
また、請求項3に記載のプロセスカートリッジの発明は、少なくとも潜像担持体、帯電装置、クリーニング装置のいずれかと、現像装置とを備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、請求項1又は2に記載の現像装置を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の画像形成装置の発明は、現像装置として、請求項1又は2に記載の現像装置を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の画像形成装置の発明は、画像形成部のプロセスカートリッジとして、請求項3に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とするものである。
本発明は、シール部材が潜像担持体及び現像剤担持体のどちらにも、移動して択一的に当接可能なので、現像装置の動作に連動して潜像担持体又は現像剤担持体のいずれかを選択し、シール部材を移動して当接させることが可能である。したがって、シール部材を潜像担持体に当接させた状態でシール部材上に溜まった飛散トナーを、画像形成終了時等の所定のタイミングで、シール部材を現像剤担持体に当接させて現像装置内に回収することも可能である。よって、シール部材上に溜まった飛散トナーを、シール部材を現像剤担持体に当接させて現像装置内に回収することで、シール部材上へのトナー堆積を防止できる。つまり、入口シール上に溜まる飛散トナーを、入口シールを現像剤担持体に当接させて現像装置内に回収することで、入口シール上へのトナー堆積を防止できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、入口シール上に溜まる飛散トナーを、入口シールを現像剤担持体に当接させて現像装置内に回収できる。よって、入口シール上へのトナー堆積を防止し、長期にわたって異常画像の発生を防止できる現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る、画像形成装置の全体構成図。
【図2】本実施形態に係る、画像形成装置の作像部の説明図。
【図3】入口シールが感光体ドラムに当接した状態の説明図。
【図4】入口シールが現像ローラに当接した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を画像形成装置に適用した実施形態の一例として、中間転写方式のタンデム型のフルカラープリンタに適用した例について、図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る、画像形成装置の全体構成図、図2は、本実施形態に係る、画像形成装置の作像部の説明図である。また、図3は、入口シールが感光体ドラムに当接した状態の説明図、図4は、入口シールが感光体ドラムに当接した状態の説明図である。
【0010】
まず、図1を用いてこのプリンタ100の概略について説明する。このプリンタ100は、その本体上部から、画像形成済みの被転写材Pを積載するスタック部30、スタック部30に被転写材Pを排紙する排紙ローラ対29、排紙ローラ対29へ搬送される被転写材Pを定着する定着部20を設けている。この定着部20の図1中左側にはトナー補給装置31が設けられ、定着部20とトナー補給装置31の下方には、中間転写ユニット15が設けられ、この中間転写ユニット15の図1中右側には、2次転写ローラ19が設けられている。中間転写ユニット15の下方には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの作像部6Y,M,C,Kが設けられ、その下方には、各作像部へレーザ光Lを照射する露光部7が設けられている。この露光部7の下方には、被転写材Pを積載収容する2つの給紙部26が設けられ、これら給紙部26の図1中右側から、2次転写ローラ19と定着部20を経由して、排紙ローラ対29に被転写材Pを搬送する搬送経路が設けられている。
【0011】
トナー補給装置31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーカートリッジ(トナー容器)32Y、32M、32C、32Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。このトナー補給装置31におけるトナーカートリッジ以外の部分は、トナーカートリッジから排出される紛状の画像形成剤であるトナーを搬送先である後述の現像装置に搬送するトナー搬送装置である。
【0012】
定着部20は、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、被転写材P表面に転写されたカラー画像を定着する、加熱加圧方式の定着装置からなる。
【0013】
中間転写ユニット15は、中間転写体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14、等で構成されている。そして、中間転写クリーニング部であるベルトクリーニング装置10も備えている。
【0014】
2次転写ローラ19は、上述した中間転写ユニット15の中間転写ベルト8を介して、2次転写バックアップローラ12に対向している。
【0015】
各色に対応した作像部6Y,M,C,Kは、上述した中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように並設されている。ここで、各作像部6Y,M,C,Kは、用いるトナーの色が異なるだけで、その構成・動作は同様であるので、以下の説明では、適宜、符合Y,M,C,Kを省略して説明する。
【0016】
図2に示すように、作像部6は、潜像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電装置4、現像装置5(現像部)、感光体クリーニング装置2、除電部(不図示)等で構成されている。そして、感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上にトナー画像が形成される。
【0017】
感光体ドラム1は、駆動モータ(不図示)によって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4による帯電位置で、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(「帯電工程」)。その後、感光体ドラム1の表面は、露光部7(図1参照)から照射されたレーザ光Lの照射位置に達し、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(「露光工程」)。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動された回転多面鏡であるポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。その後、感光体ドラム1と現像装置5の現像ローラ51とが対向する現像領域に達し、トナーが付着する事で静電潜像が可視像化される(「現像工程」)。
【0018】
その後、感光体ドラム1の表面は、感光体クリーニング装置2との対向位置に達する。この位置で感光体ドラム1に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に掻き取られて回収される(「クリーニング工程」)。最後に、感光体ドラム1の表面は、除電部(不図示)との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上の残存電位が除去される。このようにして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了することとなる。
【0019】
中間転写ベルト8は、3つのローラ12〜14によって張架・支持されるとともに、1つのローラ12の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト8は矢印方向に走行し、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。このようにして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。(「1次転写工程」)。このようにして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0020】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置で、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の被転写材(記録材)P上に転写される(「2次転写工程」)。このとき、中間転写ベルト8には、被転写材Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト8は、ベルトクリーニング装置10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された被転写材Pは、プリンタ100装置本体の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部26には、転写紙等の被転写材Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の被転写材Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28に搬送された被転写材Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対28が回転駆動され、被転写材Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、被転写材P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された被転写材Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。その後、被転写材Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外へ排出された被転写材Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。このようにして、プリンタにおける一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、本実施形態の特徴部である、作像部6における現像装置5、及び現像装置5と感光体ドラム1との現像領域の感光体ドラム1回転方向上流側の入口に設ける、入口シール部材の構成・動作について、さらに詳しく説明する。図2に示すように、現像装置5は、感光体ドラム1に対向する現像剤担持体である現像ローラ51、現像ローラ51に対向するドクターブレード52、現像剤収容部53,54内の2つの搬送部材である搬送スクリュ55を備えている。また、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56、感光体ドラムへ当接される入口シール57等も備えている。
【0025】
現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53,54内には、キャリアとトナーとを含む2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部54は、その上方に形成された開口を介して、トナー補給経路であるトナー搬送パイプ43に連通している。
【0026】
この現像装置5は、次のように動作する。現像ローラ51のスリーブは、図2中の矢印方向である反時計方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転に伴い現像ローラ51上を移動する。ここで、現像装置5内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)をトナー濃度センサ56により検知し、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整されている。詳しくは、現像装置5内のトナー消費に応じて、トナーカートリッジ32に収容されているトナーが、トナー搬送パイプ43を介して現像剤収容部54内に補給される。
【0027】
その後、現像剤収容部54内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55によって、現像剤Gとともに混合・攪拌されながら、2つの現像剤収容部53,54を図2中の紙面に垂直な方向の移動して循環する。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
【0028】
現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1との対向位置である現像領域まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い現像剤収容部53の上方に達し、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0029】
現像領域で現像剤Gは感光体ドラム1へ摺擦されるが、その際にキャリアより離脱したトナーは感光体ドラム1へ吸着されるものと、空間上へ飛散するものとが発生する。現像領域から下方、つまり現像領域から感光体ドラム1回転方向上流側へ飛散したトナーは、現像装置5より突出して設けた感光体ドラム1へ当接している可撓性を有する入口シール57により装置外への飛散を防止している。これは、現像領域から感光体ドラム1回転方向上流側へ繋がる空間を、入口シール57で閉塞することで、飛散したトナーが感光体ドラム1回転方向上流側へ飛散しないようにするものである。また、上方へ飛散したトナーは現像剤収容部53と現像ローラ51上の現像剤Gを摺擦させる事で発生する吸い込み気流等により現像装置5内に吸引される。
【0030】
ところが、現像領域内から飛散したトナーは、入口シール57上に溜まることとなり、入口シール57上に溜ったトナーが増加して堆積することとなる。そして、この入口シール57上に堆積したトナーが、感光体ドラム1の電位により感光体1へ吸着されて(現像されて)、地肌汚れやトナー落ち画像のような異常画像を引き起こしてしまうという問題がある。近年の、画像形成装置の高速化、高画質化等の要求からのトナーの小粒径化、高耐久性の要求からの長寿命化により、トナー飛散は増加してきており、入口シール57へのトナー堆積に起因した異常画像の問題が顕在化してきている。
【0031】
そこで、本実施形態では、次のように現像装置5を構成した。現像装置5に設ける入口シール57を、現像装置5のケースに可動な状態で支持して、潜像担持体である感光体ドラム1及び現像剤担持体である現像ローラ51のどちらにも、移動して択一的に当接可能なように構成した。つまり、入口シール57を可動式で設け、感光体ドラム1及び現像ローラ51のどちらにも、移動して択一的に当接可能なように構成している。このように構成することで、入口シール57を現像装置5の動作に連動して、感光体ドラム1又は現像ローラ51のいずれかを選択し、入口シール57を移動して当接させることが可能になる。
【0032】
このように構成することで、入口シール57を感光体ドラム1に当接させた状態で入口シール57上に溜まった飛散トナーを、入口シール57を現像ローラ51に当接させて現像装置5内に回収することが可能となる。そして、入口シール57上に溜まった飛散トナーを、画像形成終了時等の所定のタイミングで、入口シール57を現像ローラ51に当接させて現像装置5内に回収することで、入口シール57上へのトナー堆積を防止できる。よって、入口シール57上へのトナー堆積を防止し、長期にわたって異常画像の発生を防止できる現像装置5を提供することができる。
【0033】
また、現像装置5の動作に連動して、入口シール57を感光体ドラム1又は現像ローラ51のいずれかに当接させる具体的な構成としては、入口シール57を回動させる専用のソレノイド等を設けて制御することも可能である。しかし、専用のソレノイド等を設ける構成では、コストが掛かったり、現像装置5が大型化してしまったりするため、本実施形態では、現像装置5の現像ローラ51の逆回転駆動に連動させる構成とした。
【0034】
次に、本実施形態の入口シール57を現像ローラ51の逆回転駆動に連動させる具体的な構成の例について、図3、4を用いて説明する。図3に示すように、入口シール57は、略くの字状に形成された入口シールのホルダであるホルダ58により保持されている。そして、このホルダ58は現像装置5に、くの字の折れ点近傍の回転中心Bを支点に回転可能に支持され、回転したいずれの状態でも、くの字の折れ点付近がドクターブレード52の表面に当接した状態が保持されるように構成されている。
【0035】
このホルダ58の一端側である感光体ドラム1回転方向下流側には、入口シール57が接合されて、現像ローラ長手方向全域に突出している。このホルダ58が回転中心Bを支点に回転することで、入口シール57が感光体ドラム1又は現像ローラ51のいずれかに当接されることとなる。また、ホルダ58の他端側である感光体ドラム1回転方向下流側の端部は、入口シール57が現像ローラ51に当接する回転方向である図3中に示す矢印C方向に、バネ(不図示)等により付勢されている。そして、この端部の感光体ドラム1側には、現像ローラ51の長手方向の一端側に設けられた現像駆動ギヤ59にワンウェイクラッチ(不図示)を介して回転軸が接続されたカム60が当接するように構成されている。
【0036】
ここで、このカム60は、その回転軸を対象軸とした略ひょうたん状の形状をしている。そして、カム60の長手方向の面がホルダ58の端部に当接した状態で、ホルダ58の端部の反対側がドクターブレード52に押圧されて当接するとともに、入口シール57が感光体ドラム1に所定の突き当たり量で当接する。また、カム60の短手方向の面がホルダ58の端部に当接した状態で、ホルダ58の端部の反対側がドクターブレード52から離間するとともに、入口シール57が現像ローラ51にに所定の突き当たり量で当接する。また、カム60の回転は、画像形成時とは逆に回転される現像駆動ギヤ59の90°単位の逆回転のみが、ワンウェイクラッチを介して伝達されることで行なわれる。
【0037】
そして、通常の画像形成時には図3に示すように、矢印C方向へのバネ等の付勢力に抗して、カム60の長手方向の面がホルダ58の端部に当接し、入口シール57が感光体ドラム1に所定の突き当たり量で当接している。このように、入口シール57が感光体ドラム1に当接した状態で画像形成動作が行なわれると、現像領域から感光体ドラム1回転方向上流側へのトナーの飛散は防げる。しかし、上述したように、現像領域の感光体ドラム1回転方向上流側の空間Aへ飛散した飛散トナーTが多量に堆積すると感光体ドラム1の電位により飛散トナーTが感光体ドラム1へ移動し異常画像等を引き起こす。
【0038】
本実施形態では、画像形成終了時等の所定のタイミングで、現像駆動ギヤ59を90°逆回転させる逆転動作を行なう。そして、ワンウェイクラッチの連結によりカム60が回転し、ホルダ58はバネの力により回転中心Bを支点として、カム60の短手方向の面に当接するように、図4中の矢印D方向へ移動する。この時、図4に示すように、入口シール57の先端は感光体ドラム1から現像ローラ51へと移動する。この移動の際に、これまで入口シール57で受け止めていた飛散トナーTを現像ローラ51上の現像剤Gへと付着させる事で入口シール57上に堆積していた飛散トナーTが除去される。その後、通常の画像形成時前までに、この状態からさらに90°逆転させ、入口シール57を感光体ドラム1へ当接させることで、図3に示すような、通常の画像形成時の状態に戻し、画像形成動作に備える。また、通常の画像形成時の現像駆動ギヤ59の回転駆動力は、ワンウェイクラッチにより、カム60には伝達されないため、カム60、ホルダ58、及び入口シール57の姿勢は保たれる。
【0039】
また、本実施形態では、カム60の回転軸を接続するギヤを現像駆動ギヤ59としたが、駆動ギヤに限定されるものではなく、駆動ギヤから現像ローラ51のギヤに回転駆動力を伝達するアイドラギヤであっても良い。また、ホルダ58、及びカム60の形状も上述した構成に限定されるものではなく、画像形成時に入口シール57が感光体ドラム1に当接し、現像ローラ51逆転時に入口シール57が回動して現像ローラ51に当接する構成であれば良い。
【0040】
また、本実施形態の現像装置5は、少なくとも感光体ドラム1、帯電装置4、感光体クリーニング装置2のいずれかと、この現像装置5とを備えたプロセスカートリッジとして、プリンタ本体に対し着脱可能な構成として提供できる。
【0041】
以上、本実施形態の現像装置5では、次のような作用・効果を奏することができる。入口シール57が感光体ドラム1及び現像ローラ51のどちらにも、移動して択一的に当接可能なので、現像装置5の動作に連動して感光体ドラム1又は現像ローラ51のいずれかを選択し、入口シール57を移動して当接させることが可能である。そして、入口シール57を感光体ドラム1に当接させた状態で入口シール57上に溜まった飛散トナーを、入口シール57を現像ローラ51に当接させて現像装置5内に回収することも可能である。したがって、入口シール57上に溜まった飛散トナーTを、画像形成終了時等の所定のタイミングで、入口シール57を現像ローラ51に当接させて現像装置5内に回収することで、入口シール57上への飛散トナーTの堆積を防止できる。よって、入口シール57上への飛散トナーTの堆積を防止し、長期にわたって異常画像の発生を防止できる現像装置5を提供することができる。
また、本実施形態の現像装置5では、次のような作用・効果を奏することができる。入口シール57の現像ローラ51への当接を、画像形成終了時等の所定のタイミングで行う現像ローラ51の逆回転駆動に連動させるので、専用のソレノイド等を設けることなく、確実に現像ローラ51へ当接させることができる。このことで、低コストな構成とするとともに、現像装置5が大型化することもなく、入口シール57上への飛散トナーTの堆積を防止し、長期にわたって異常画像の発生を防止できる現像装置5を提供することができる。
また、本実施形態のプロセスカートリッジでは、少なくとも感光体ドラム1、帯電装置4、感光体クリーニング装置2のいずれかと、上述した現像装置5を備えているので、上述した現像装置5と同様な作用・効果を奏することができる。
また、本実施形態の画像形成装置では、上述した現像装置5を備えているので、上述した現像装置5と同様な作用・効果を奏することができる。
また、本実施形態の画像形成装置では、上述したプロセスカートリッジを備えているので、上述したプロセスカートリッジと同様な作用・効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 感光体ドラム
2 感光体クリーニング装置
4 帯電装置
5 現像装置
6 作像部
7 露光部
8 中間転写ベルト
15 中間転写ユニット
20 定着部
26 給紙部
30 スタック部
51 現像ローラ
52 ドクターブレード
57 入口シール
58 ホルダ
59 現像駆動ギヤ
60 カム
100 プリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特許第3492858号公報
【特許文献2】特開平10−307474号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体と、潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向する現像領域からの飛散トナーを抑制する可撓性を有したシール部材とを備え、前記潜像担持体上に形成された潜像を、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤で現像する現像装置において、
前記シール部材は、前記現像装置のケースに可動な状態で支持されており、
前記潜像担持体及び前記現像剤担持体のどちらにも、移動して択一的に当接可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
シール部材は、画像形成時には潜像担持体へ当接し、
現像剤担持体の逆転と連動して、前記現像剤担持体に当接することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
少なくとも潜像担持体、帯電装置、クリーニング装置のいずれかと、現像装置とを備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記現像装置として、請求項1又は2に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
現像装置として、請求項1又は2に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
画像形成部のプロセスカートリッジとして、請求項3に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−118359(P2012−118359A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268927(P2010−268927)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】