現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したときの像担持体上に形成される画像の濃度の変動を抑制できる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。第2電源32は、マイナスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。また、パルス電圧印加手段は、A相パルスを発生するA相パルス発生回路33と、B相パルスを発生するB相パルス発生回路34とからなるパルス電圧発生回路としてのパルス出力発生回路37を有している。そして、湿度検知手段としての湿度センサー40の検知結果に基づいて、制御手段たるクラウドパルス制御回路67によって第1電源31の出力レベルを変更してピークトゥピーク電圧値を調整する。
【解決手段】第1電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。第2電源32は、マイナスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。また、パルス電圧印加手段は、A相パルスを発生するA相パルス発生回路33と、B相パルスを発生するB相パルス発生回路34とからなるパルス電圧発生回路としてのパルス出力発生回路37を有している。そして、湿度検知手段としての湿度センサー40の検知結果に基づいて、制御手段たるクラウドパルス制御回路67によって第1電源31の出力レベルを変更してピークトゥピーク電圧値を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるホッピング現像方式を採用した画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数のホッピング電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。複数のホッピング電極のうち、偶数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相の繰り返しパルス電圧を印加する一方で、奇数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相とは異なるB相の繰り返しパルス電圧を印加する。これにより、互いに隣り合う2つのホッピング電極の間に交番電界を形成して、交番電界によってトナーに対して働く静電気力によりトナーを電極間でホッピングさせる。そして、ホッピングさせたトナーを、像担持体上の潜像に付着させることで現像を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高湿度環境であると、トナーの液架橋力が大きくなってトナーとトナー担持体表面との間で作用する付着力が大きくなったり、トナーの帯電効率が下がるためトナーの帯電量が低下しトナーに対して働く前記交番電界による静電気力が小さくなったりする。そのため、トナー担持体上でトナーがホッピングし難くなり、像担持体上の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなる。
一方、低湿度環境であると、トナーの液架橋力が小さくなってトナーとトナー担持体表面との間で作用する付着力が小さくなったり、トナーの帯電効率が上がるためトナーの帯電量が上昇しトナーに対して働く前記交番電界による静電気力が大きくなったりする。そのため、トナー担持体上でトナーが勢い良く高くホッピングし過ぎて、像担持体上の静電潜像が形成されていない非画像部にトナーが付着し画像に地汚れが生ずる虞がある。
【0004】
このため、高湿環境下のときは、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を大きくし、トナー担持体上でトナーに対して働く静電気力を大きくし、トナーの良好なホッピングを維持して、画像濃度の低下を抑制する。また、低湿環境下では、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を小さくし、トナー担持体上でトナーに対して働く静電気力を小さくし、トナーがホッピングし過ぎるのを抑制し、地汚れを抑制する。
【0005】
しかしながら、本願発明者らが、上述したようなホッピング現像方式を採用した画像形成装置を用いて種々の実験を行った際に、ホッピング電極に印加するパルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させると、像担持体上に形成される画像の濃度に変動が生じた。その結果、湿度に応じて、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させても、良好な画像を得ることができなかった。
【0006】
また、特許文献1に記載の現像装置のようにホッピングによって電極間を往復移動するトナーをトナー担持体の表面移動によって現像領域に搬送するのではなく、トナー担持体の表面上のトナーをホッピングによって一定方向に移動させて現像領域まで搬送する現像装置も知られている。例えば、A相、B相、C相という3つの電極がその順序で繰り返し配設されたトナー担持体を用いる現像装置では、トナー担持体の表面上でトナーをA相電極上からB相電極上へ、B相電極上からC相電極上へ、C相電極上からA相電極上へというように順次ホッピングさせていくことで、トナーを現像領域に向けて搬送する。このような現像装置でも、上述したような問題が生じる。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したときの像担持体上に形成される画像の濃度の変動を抑制できる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、負極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記パルス電圧の最小ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の現像装置において、上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定されている場合、上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの現像装置において、上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最小ピーク値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの現像装置において、上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルのみを変化させ、上記パルス電圧の最小ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、正極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の現像装置において、上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の現像装置において、上記パルス電圧の最大ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8の現像装置において、上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定されている場合、上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項7乃至10いずれかの現像装置において、上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項7乃至11いずれかの現像装置において、上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のプラス直流電源である第2の電源とからなり上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルを変化させ、上記パルス電圧の最大ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、請求項1乃至12いずれかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、請求項1乃至14いずれかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0009】
上記パルス電圧の最大ピーク値は、次のことを言う。すなわち、2つのピーク値の両方が、負極性の場合は、絶対値が小さいピーク値のことであり、2つのピーク値の両方が、正極性の場合は、絶対値が大きいピーク値のことである。また、一方のピーク値が負極性で、他方のピーク値が正極性の場合は、正極性のピーク値のことである。また、上記パルス電圧の最小ピーク値は、次のことを言う。すなわち、2つのピーク値の両方が、負極性の場合は、絶対値が大きいピーク値のことであり、2つのピーク値の両方が、正極性の場合は、絶対値が小さいピーク値のことである。また、一方のピーク値が負極性で、他方のピーク値が正極性の場合は、負極性のピーク値のことである。
【0010】
本発明によれば、画像形成装置に設けられた湿度検出手段の検知結果に応じて、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する。これにより、高湿環境下の場合は、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を大きくして、トナーの液架橋力が大きくなっても、良好なホッピングを維持することができ、画像濃度が低くなるのを抑制できる。また、低湿環境下の場合は、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を小さくして、トナーの液架橋力が小さくなっても、トナー担持体上でトナーが勢いよく高くホッピングするのを抑制することができ、地汚れを抑制することができる。
【0011】
また、請求項1の発明においては、負極性に帯電したトナーを現像に用いる場合において、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する。後述するように、本出願人は、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、ピークトゥピーク電圧を変更した場合の画像濃度変動、パルス電圧の最大ピーク値と最小のピーク値とを変更してピークトゥピーク値を変更した場合の画像濃度変動、パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、ピークトゥピーク値を変更した場合の画像濃度変動について、調べた。調べた結果、パルス電圧の最大ピークのみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したときが、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したときの画像濃度変動を最も抑えることができることを見出した。
パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更することで、画像濃度変動を最も抑えることができたのは、次の理由によると考えられる。すなわち、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合、パルス電圧の最小ピーク値が一定に維持されて、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値が変更される。パルス電圧が最小のピーク値のときに、トナー担持体のトナーが潜像へ飛翔する。このため、最小ピーク値の変動が、最も画像濃度に影響を与える。よって、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更した場合、画像濃度変動が抑制されたと考えられる。
【0012】
また、正極性トナーを用いる場合は、パルス電圧が最大ピーク値のときに、トナー担持体上の正極性トナーが、潜像部へ飛翔する。よって、請求項7の発明によれば、正極性トナーを用いる場合は、パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、パルス電圧の最大ピーク値を一定値に維持して、ピークトゥピーク電圧値を変更することで、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値変更後も、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したことによる画像濃度の変動を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、像担持体上に形成される画像の濃度が変動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図2】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図3】実施形態に係る複写機における感光体と現像装置とを示す概略構成図。
【図4】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図5】A相用電極及びB相用電極にそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示すグラフ。
【図6】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図7】内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフ。
【図8】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図9】図1で示したクラウドパルス発生回路を用いた場合の波形図。
【図10】プラス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図11】各電源からクラウドパルスとバイアス用の電圧が供給されたクラウドパルス発生回路の回路図。
【図12】実施形態の複写機で行われる制御の一例を示したフローチャート。
【図13】潜像電位に対するクラウドパルスの平均電位の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図14】潜像電位に対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図15】潜像電位に対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図16】トナー担持ローラの各電極に印加するパルス電圧の波高値電位と感光体電位の間の電界によって形成される電気力線のシミュレーション評価した結果を示す図。
【図17】各電極へのパルス電圧の位相を図16に示す例と逆位相にしたときの電気力線のシミュレーション評価した結果を示す図。
【図18】外側電極がLow側ピーク値のときの外側電極と潜像部との間の現像電界の強さと、内側電極がLow側ピーク値のときの内側電極と潜像部との間の現像電界の強さとを比較した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機について適用した実施形態について説明する。
図2は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、像担持体としてのドラム状の感光体49は、図中時計回り方向に回転駆動される。操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を装置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、画像処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体49を走査する。この走査に先立って、感光体49は帯電装置50によって一様に帯電され、レーザー光による走査により感光体49の表面に静電潜像が形成される。
【0016】
感光体49の表面に形成された静電潜像には現像装置1の現像処理によってトナーが付着し、これによりトナー像が形成される。このトナー像は、感光体49の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体49上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体49上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
【0017】
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体49表面から分離され、その後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧や加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
【0018】
上述の転写位置を通過した感光体49表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体49表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体49表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
【0019】
また、現像装置1と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45とを、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして一体でユニット化している。これにより、現像装置1などのメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0020】
図3は、実施形態に係る複写機における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。同図において、ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中右側方には、現像剤担持体であるトナー担持ローラ101を有する現像装置1が配設されている。
【0021】
現像装置1は、トナー担持ローラ101の他、トナー供給ローラ18やトナー摩擦ブレード22を有している。表面がスポンジからなるトナー供給ローラ18は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、現像装置1内に収容されているトナーをローラ表面に担持する。同図では、トナー供給ローラ18の回転方向として、トナー担持ローラ101との対向部で表面をトナー担持ローラ101とは逆方向に移動させる方向に設定した例を示した。これとは逆に、前記対向部で表面をトナー担持ローラ101と同じ方向に移動させる方向に設定してもよい。
【0022】
トナー供給ローラ18の金属からなる回転軸部材には、供給バイアス電源24によって供給バイアスが印加される。一方、トナー担持ローラ101には、後述するA相用電極やB相電極が複数形成されており、それら電極にはパルス電圧印加手段30によって繰り返しのパルス電圧が印加される。これらパルス電圧の平均値は、前述した供給バイアスよりも、トナーの帯電極性とは逆極性側に大きな値になっている。これにより、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との間には、トナーを前者から後者に静電移動させる電界が形成される。
【0023】
トナー供給ローラ18の表面に担持されたトナーは、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との当接部において、トナー供給ローラ18からトナー担持ローラ101に供給される。このときの供給量については、供給バイアスの大きさによって調整することが可能である。なお、供給バイアスは、直流電圧であっても、交流電圧であっても、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスであってもよい。
【0024】
トナー担持ローラ101の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の図中反時計回り方向の回転に伴って周回移動する。トナー担持ローラ101の表面において、トナー供給ローラ18との当接部を通過してから、感光体49に対向する現像領域に進入する前の箇所には、片持ち支持されるトナー摩擦ブレード22の自由端側が当接している。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の回転に伴って全体的に図中反時計回り方向に移動するトナーは、トナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との間に進入すると、トナー担持ローラ101の表面やトナー摩擦ブレード22の表面に擦り付けられる。これにより、摩擦帯電が促される。その後、トナー担持ローラ101の回転に伴ってトナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との当接部を抜けると、再びトナー担持ローラ101の表面上でトナーがホッピングしながら、現像領域へと搬送される。
【0025】
トナー担持ローラ101は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ101と感光体49とが対向している位置が、本複写機における現像領域となっている。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ101と感光体49上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ101の回転によってさらに搬送されて、繰り返し利用される。
【0026】
なお、トナー摩擦ブレード22をトナー担持ローラ101の代わりにトナー供給ローラ18に当接させて、トナー供給ローラ18の表面上でトナー摩擦ブレード22によるトナー摩擦帯電を促すようにしてもよい。
【0027】
次に、トナー担持ローラ101の一例について図4を参照して説明する。なお、図4(a)はトナー担持ローラ101を展開した状態で示す模式的平面図であり、図4(b)はトナー担持ローラ101の模式的断面図である。
【0028】
この例は、トナー担持体表面に複数の電極を設け、1本おきの2組を共通にした2相用電極を備え、180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、隣接電極同士で吸引と反発を繰り返す2相電界を形成するトナー担持体の例である。
【0029】
このトナー担持ローラ101は、ローラのベース材である導電性の基材101Aの表面上に絶縁層101Bを形成している。この絶縁層101B上に複数の電極111としてA相用電極111Aと、B相用電極111Bとを設け、その上に表層としての表面保護層101Cを設けたものである。櫛歯状のA相用電極111A,B相用電極111Bは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設け、両サイドには共通のバスライン111Aa,111Baで外部の図示しない2相パルス出力回路にそれぞれ接続されている。
【0030】
A相用電極111A、B相用電極111Bに印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V]〜600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。この2相電界の場合は、隣接するA相用電極111AとB相用電極111Bとの間で生じる電界の電界方向の切り替わりに応じてトナーの反発飛翔と吸引飛翔とを繰り返し、トナーは相互の電極間を往復移動する。
【0031】
次に、A相用電極111A及びB相用電極111Bに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ101上のA相用電極111A及びB相用電極111Bには、パルス電圧印加手段30からA相用電圧及びB相電圧が印加される。パルス電圧印加手段30が印加するA相用電圧及びB相電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極がA相用電極111A及びB相用電極111Bの2相構成であり、各電極111A,111Bには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0032】
図5は、A相用電極111A及びB相用電極111Bにそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示す図である。本複写機において、各電圧は矩形波であり、A相用電極111AとB相用電極111Bにそれぞれ印加されるA相用電圧とB相用電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、A相用電極111AとB相用電極111Bとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層101Cの外側に形成されるクラウド用電界によって表層101C上をトナーがホッピングする。
【0033】
このように、トナー担持ローラ表面のトナーを飛翔させてクラウド化する手段が、トナー担持ローラ表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で配設された複数の電極を有し、各電極に印加する電圧は隣接電極相互の間でトナーを吸引する方向と反発する方向とを交互に繰り返す関係の電圧を印加し、トナー担持ローラ101が回転移動することでトナーの搬送とクラウド化を行う構成とすることで、トナー担持ローラ表面のトナーの搬送に関して、トナーの帯電品質に左右されない安定なトナーの搬送が可能となり、装置全体としても信頼性の高い複写機を実現できる。
【0034】
次に、本実施形態に係る現像装置に用いられるトナー担持ローラ101の他の例について図6を用いて説明する。なお、図6(a)はトナー担持ローラ101を展開した状態で示す模式的平面図、図6(b)はトナー担持ローラ101の模式的断面図である。
【0035】
この例は、トナー担持ローラ表面に複数の電極を設け、表層側の各電極を共通とし、絶縁層を介して下層に設けた導体基材電極との間に180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、表層側電極と下層導体基材電極相互の電界で吸引と反発とを繰り返すトナー担持ローラの例である。
【0036】
図6に示すトナー担持ローラ101は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する第1電極部材としての内側電極3と、最外周側に位置していて内側電極3へ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される第2電極部材としての外側電極4とを備えている。また、内側電極3と外側電極4との間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4の外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、図6に示すトナー担持ローラ101は、内周側から順に、内側電極3、絶縁層5、外側電極4、表層6の4層構造となっている。
【0037】
内側電極3は、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなるトナー担持ローラ101の絶縁性基材としての絶縁ローラ7の表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものである。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。また、トナー担持ローラ101の基体を、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラで構成し、内側電極3として用いてもよい。
【0038】
内側電極3の外周面側は絶縁層5に覆われている。本複写機において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3上に均一な膜厚で形成することができる。
【0039】
絶縁層5の上には外側電極4が形成される。外側電極4は、複数の電極部4aを有しており、これら電極部4aは、トナー搬送方向に等間隔で配置されている。本複写機において、この外側電極4は、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。外側電極4の形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて外側電極4を櫛歯状に形成するという方法も考えられる。
【0040】
外側電極4及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0041】
内側電極3と外側電極4との間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3の外側電極4とは対向していない部分(外側電極4の電極部4aの間に位置する内側電極3の部分)と外側電極4の電極部4aとの間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ101上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ101上のトナーは、内側電極3に絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4の電極部4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0042】
次に、内側電極3及び外側電極4に印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ101上の内側電極3及び外側電極4には、図1に示すパルス電圧印加手段30から内側電圧及び外側電圧が印加される。外側電極4の電極部4aは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設けられており、その両サイドには後述する被給電部が設けられており外部のパルス電圧印加手段30にそれぞれ接続されている。パルス電圧印加手段30が印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極が内側電極3及び外側電極4の2相構成であり、内側電極3と外側電極4とには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0043】
図7は、内側電極3及び外側電極4にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示す図である。
本複写機において、各電圧は矩形波であり、内側電極3と外側電極4にそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3と外側電極4の電極部4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるクラウド用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。図7に示す例では、内側電極3が、先の図4に示したトナー担持ローラのA相用電極111Aとして機能し、外側電極4が、先の図4に示したトナー担持ローラのB相用電極111Bとして機能している。
【0044】
内側電極3,外側電極4に印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V],600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。そして、内側電極3と外側電極4との間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3の外側電極4とは対向していない部分(外側電極4の電極部4aの間に位置する内側電極3の部分)と外側電極4の電極部4aとの間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ101上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ101上のトナーは、内側電極3に絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4の電極部4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。また、トナー担持ローラ101全体は、トナーを搬送する方向に回転移動するものである。
【0045】
図1は、ホッピング電界発生手段としてのパルス電圧印加手段30の構成を示す。第1電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。第2電源32は、マイナスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。また、パルス電圧印加手段は、A相パルスを発生するA相パルス発生回路33と、B相パルスを発生するB相パルス発生回路34とからなるパルス電圧発生回路としてのパルス出力発生回路37を有している。
【0046】
例えば、第1電源31の出力を500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は第2電源32のマイナスHigh側に接続されている。第2電源32は、マイナス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してマイナス電位であるから、ここでは例えば−650[V]とすると、第1電源31のLow側は−650[V]の電位となる。従って、第1電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値−650[V],−150[V]のクラウドパルスを発生することになる(図8参照)。
【0047】
ここで、第2電源32を出力レベル可変のDC電源とし、感光体49上に現像したテストパターンの画像濃度を画像濃度検知手段たる画像濃度検知センサー65で検知して、その濃度基準レベルに対する判定を画像濃度制御回路66で行ない、画像濃度が低い場合は画像濃度制御回路66によって第2電源32のDC出力レベルをマイナス側に高くして潜像電位に対する現像バイアスを強くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。また、画像濃度が基準より高い場合は画像濃度制御回路66によって第2電源32のDC出力レベルをマイナス側よりに低くして潜像電位に対する現像バイアスを弱くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。
【0048】
図9は、プラス帯電トナーを使用する場合のパルス電圧印加手段30の構成を示す。第1電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。第2電源32は、プラスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。
【0049】
ここで、例えば第1電源31の出力が500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は第2電源32のマイナスHigh側に接続されている。第2電源32は、プラス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してプラス電位であるから、ここでは例えば150[V]とすると、電源31のLow側は150[V]の電位となる。従って、第1電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値650[V],150[V]のクラウドパルスを発生することになる。
【0050】
次に、図10は図1における第1電源31を出力レベル可変のDC電源の構成とし、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を制御する例を示したものである。第1電源31の出力を可変して、そのレベルに応じたクラウドパルス出力が可能であるが、第2電源32の出力が固定であればクラウドパルスの最小ピーク値は固定のままピークトゥピーク電圧値のみを可変できる。例えば、環境湿度が高い条件ではトナー担持ローラ101表面でのトナーの付着力が大きくなり、トナーのクラウド量低下によって現像効率が悪くなる。これを第2電源32の出力レベルの可変による現像バイアスのみによって制御すると、現像バイアスと感光体の地肌電位との差が小さくなり地肌汚れが発生したり、地肌汚れの余裕度が低下したりする。したがって、湿度検知手段としての湿度センサー40の検知結果に基づいて環境湿度が高い場合には、制御手段たるクラウドパルス制御回路67によって第1電源31の出力レベルを上げてクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を高くし、トナーのクラウド量低下を補正する制御を行うことで、トナー劣化やトナー帯電量変動などに対する画像濃度制御が容易となり、高画質、高信頼性の現像が可能となる。
【0051】
図11は、パルス電圧印加手段30の具体的な回路例を示す。このパルス電圧印加手段30では、A相パルス発生回路33に対してDC出力の第1電源31端子の間にシリーズに接続した2個のスイッチング素子としてMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect−Transistor)からなるスイッチング素子Q1,Q2および電流規制抵抗R1,R2を設けている。また、B相パルス発生回路34に対して同様に接続した2個のスイッチング素子であるMOSFETからなるスイッチング素子Q3,Q4および電流規制抵抗R3,R4を設けている。トナー担持ローラ101の一方の電極を2個のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間、ここでは電流規制抵抗R1と電流規制抵抗R2との間に接続し、他方の電極を残り2個のスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間、ここでは電流規制抵抗R3と電流規制抵抗R4との間に接続する。これにより、電極負荷(電極負荷容量)36を有するブリッジ構成となる。正相(本実施形態ではA相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、逆相(本実施形態ではB相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q2とスイッチングQ3とをONする構成である。これによって、トナー担持ローラ表面のトナーは2つの電極の間で飛翔を繰り返してクラウド状態となる。
【0052】
なお、本実施形態では、MOSFETを駆動するためのドライブ回路は15[V]の低圧パルスを生成する。また、低圧パルスを生成した後のスイッチング素子Q1のゲート信号はC1,D1,R5からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのHigh側は第1電源31のHighレベルにクランプされる。具体的には、第1電源31が500[V]、第2電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q1のゲート信号は−150[V]〜−135[V]のパルスとなり、Low期間にスイッチング素子Q1はONすることになる。
【0053】
また、スイッチング素子Q2のゲート信号はコンデンサーC2,ダイオードD2,電流規制抵抗R6からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのLow側は電源31のLowレベルにクランプされる。具体的には、第1電源31が500[V]、第2電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q2のゲート信号は−650[V]〜−635[V]のパルスとなり、High期間にスイッチング素子Q2はONすることになる。
【0054】
同様に、逆相であるB相パルス側も180[°]位相が遅れたタイミングで、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とが動作する。
【0055】
ここで、環境湿度が高くなると、トナーの液架橋力が大きくなってトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が大きくなったり、トナーの帯電効率が下がるためトナーの帯電量が低下しトナーに対して働く前記電界による静電気力が小さくなったりする。また、トナーが劣化して外添剤の埋没や離脱によりトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が大きくなる。そのため、トナー担持ローラ上でトナーがホッピングし難くなり、感光体表面の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなる。よって、これらの付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上で良好にホッピングさせるだけの電界をつくり出すために、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を大きくする制御を行う。
【0056】
図12は、本実施形態の複写機で行われる制御の一例を示したフローチャートである。
例えば、現像装置1内に設けられた湿度検知手段としての湿度センサー40(図3を参照)により湿度を検知し(S1)、その検知した湿度が予め設定された標準時の湿度範囲よりも高いと検知された場合(S2でYes)には複写機本体または現像装置1に設けられCPUやメモリーなどからなる制御手段たる制御部(制御部のクラウドパルス制御回路67)で高湿度環境であると判断し(S3)、その制御部からの制御信号によって第1電源31から出力電圧を標準時の500[V]から600[V]へと大きくする(S4)。また、このときの第2電源32のDCバイアス電圧は標準時と同じ−650[V]とする。すると、パルス出力発生回路37から電極に出力される出力パルスのピークトゥピーク電圧値は、600V(標準値:500V)、波高値は−650[V](標準値:−650V),−50[V](標準時:−150V)、平均電位は−350[V](標準時:−400V)となる。このように、標準時よりも湿度が高くなった際に、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を大きくする制御を行ない、トナー担持ローラ101の隣接電極間に発生させる電界の強度を強くすることで、その分、トナーに対して働く電界による静電気力が大きくなる。よって、付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上でホッピングさせるだけの電界がつくり出され、トナー担持ローラ101上でトナーがホッピングし易くなり、感光体表面の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなることを抑制することができる。
【0057】
一方、環境湿度が低くなると、トナーの液架橋力が小さくなってトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が小さくなったり、トナーの帯電効率が上がるためトナーの帯電量が上昇しトナーに対して働く前記電界による静電気力が大きくなったりする。そのため、トナー担持ローラ上でトナーが勢い良く高くホッピングし過ぎて、トナー担持ローラ101の上空に形成されるトナーのクラウド高さが高くなり過ぎ、地汚れ余裕度が小さくなる。つまり、感光体表面上の静電潜像が形成されていない非画像部(地肌領域)にトナーが付着して画像に地汚れが生ずる虞がある。よって、トナーのクラウド高さが高くなり過ぎないようにクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を低くする制御を行う。
【0058】
例えば、現像装置1内に設けられた湿度センサー40により環境湿度が予め設定された標準時の湿度範囲よりも低いと検知された場合(S5でYes)、制御部で低湿度環境であると判断し(S6)、その制御部からの制御信号によって第1電源31から出力される電圧を標準時の500[V]から400[V]へと小さくする(S7)。また、このときの第2電源32のDCバイアス電圧は標準時と同じ−650[V]とする。すると、パルス出力発生回路37から電極に出力される出力パルスのピークトゥピーク電圧値は、400V(標準値:500V)、波高値は−650[V](標準値:−650V),−250[V](標準時:−150V)、平均電位は−450[V](標準時:−400V)となる。このように、標準時よりも湿度が低くなった際に、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を小さくする制御を行ない、トナー担持ローラ101の隣接電極間に発生させる電界の強度を弱くすることで、その分、トナーに対して働く前記電界による静電気力が小さくなる。よって、トナー担持ローラ表面からトナーが高くホッピングし過ぎて、トナーのクラウド高さが高くなり過ぎ、感光体表面上の静電潜像が形成されていない非画像部(地肌領域)にトナーが付着して画像に地汚れが生ずることを抑制することができる。
【0059】
また、現像装置1内に設けられた湿度センサー40により環境湿度が、予め設定された標準時の湿度範囲よりも高くなく(S2でNo)、且つ、標準時の湿度範囲よりも低くない(S5でNo)場合には、制御部により標準湿度環境であると判断し、一連の制御を終了する。
【0060】
本実施形態においては、Low側のピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を変更させることで、ピークトゥピーク電圧値を変更したときの画像濃度変動を抑制することができる。以下、具体的に説明する。
【0061】
図13は、潜像電位に対するクラウドパルスの平均電位の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフである。
データの水準は、電極に印加したクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値であり、Vpp1=400V、Vpp2=440V、Vpp3=480Vの3水準について調べた。像担持体たる感光体49の潜像部電位は−70V、非画像部電位は−600Vに設定した。また、感光体表面の線速は、150mm/sec、トナー担持体表面の線速は220mm/sec、感光体49とトナー担持ローラ101の現像ギャップは、0.3mmという条件である。例えば、横軸0Vのときは、クラウドパルスの平均電位が、−70Vとなるよう調整する。Vpp1=400Vのときのクラウドパルスの波高値は、+130V,−270V(−70V±200V)となる。Vpp2=440Vのときのクラウドパルスの波高値は、+150V,−290V(−70V±220V)となる。Vpp3=480Vのときのクラウドパルスの波高値は、+170V,−310V(−70V±240V)となる。そして、潜像電位−70Vに対してパルスの平均電位が−200Vの電位差、すなわち平均電位が−270Vになるまで50Vステップで第2電源32の出力電圧を強くして行った場合の現像トナー量を評価した。
【0062】
図13に示すように、潜像電位に対するクラウドパルスの平均電位の電位差が同じ値とき、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値によって、画像濃度が変動することがわかる。このことから、クラウドパルスの平均電位を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更すると、画像濃度が変動することがわかる。
【0063】
図14は、潜像電位に対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフである。データの水準、感光体49の潜像部電位、非画像部電位、感光体表面の線速、トナー担持体表面の線速、現像ギャップは、図13と同条件である。例えば、横軸200Vのときは、クラウドパルスのHigh側ピーク値が、130V(200−70=130V)となるよう調整する。Vpp1=400Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−270Vとなる。また、Vpp2=440Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−310Vとなる。Vpp3=480Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−350Vとなる。そして、潜像電位−70Vに対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差を各水準でマイナス側に200V振って第2電源32の出力電圧を強くして行った場合の現像トナー量を評価した。
【0064】
図14に示すように、潜像電位に対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差が同じ値とき、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値によって、画像濃度が変動することがわかる。このことから、クラウドパルスのHigh側ピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更すると、画像濃度が変動することがわかる。また、図13と、図14とを比較するとわかるように、クラウドパルスのHigh側ピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更した場合は、平均電圧を一定に維持した場合に比べて、画像濃度が大きく変動してしまうことがわかる。
【0065】
図15は、潜像電位に対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフである。データの水準、感光体49の潜像部電位、非画像部電位、感光体表面の線速、トナー担持体表面の線速、現像ギャップは、図13と同条件である。例えば、横軸−200Vのときは、クラウドパルスのLow側ピーク値が、−270V(−200−70=−270V)となるよう調整する。Vpp1=400Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−270Vとなる。また、Vpp2=440Vのときのクラウドパルスの波高値は、170V,−270Vとなる。Vpp3=480Vのときのクラウドパルスの波高値は、210V,−270Vとなる。そして、潜像電位−70Vに対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差を各水準でマイナス側に200V振って第2電源32の出力電圧を強くして行った場合の現像トナー量を評価した。
【0066】
図15に示すように、潜像電位に対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差が同じ値とき、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値が異なっていても、画像濃度がほぼ同じ値を示していることがわかる。このことから、クラウドパルスのLow側ピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更すると、画像濃度の変動を抑えることができることがわかる。
【0067】
以上の結果から、クラウド現像方式を採用した画像形成装置において、トナー担持体表面の電極に印加するパルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させる場合、パルス電圧のHigh側ピーク値(最大ピーク値)のみを変更して、パルス電圧のLow側ピーク値(最小ピーク値)が一定となる制御を行うことで、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させても、感光体49上に形成される画像濃度の変動を押さえることができる。
【0068】
この制御は、前述した様に図10において、環境条件の変動、トナーの劣化等によりクラウド特性を維持するためにクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値をクラウドパルス制御回路67によって制御した場合、画像濃度制御回路66によってクラウドパルス波高値のLow側ピーク値を一定にする方向の制御を行うことで、目的が達成できる。
【0069】
一方、正極性トナーを用いる場合は、これとは逆に、トナー担持体表面の電極に印加するパルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させる場合、パルス電圧のLow側ピーク値(最小ピーク値)のみを変更して、パルス電圧のHigh側ピーク値(最大ピーク値)が一定となる制御を行うことで、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させても、感光体49上に形成される画像濃度の変動を押さえることができる。
【0070】
図16は、トナー担持ローラ101の各電極に印加するパルス電圧の波高値電位と感光体電位の間の電界によって形成される電気力線のシミュレーション評価した結果を示す図である。この例は、トナー担持ローラ101として、図6に示したトナー担持ローラ101を用い、トナー担持ローラ表面と感光体表面の間隔である現像ギャップは0.3mmのシミュレーションである。
【0071】
図16(a)に示すシミュレーションは、図下部が感光体49で、潜像部電位で−70V、非画像部電位−600Vである。ピークトゥピーク電圧値Vpp=500V、DCオフセット電圧(クラウドパルスの平均電位)−400Vに設定したので、パルスは−150V〜−650Vの電位に振れる。よって、外側電極が−650V、内側電極が−150Vの状態である。外側電極の−650Vは非画像部電位−600Vよりマイナス側に高い電位の例である。図に示すように、潜像部の電気力線は全て外側電極−650Vとの間に形成されている。従って、現像電界は潜像部電位とクラウドパルスのLoW側ピーク値(外側電極−650V)が支配的となっており、LoW側ピーク値が印加された電極上のトナーが潜像部に向かって飛翔して現像されることを意味している。ゆえに、ピークトゥピーク電圧値を変更してもクラウドパルスのLow側ピーク値を一定にすることで現像電界は変動が少ないことになり、画像濃度の維持ができる。また、何かの要因で画像濃度の変動が発生した場合は、クラウドパルスのLow側ピーク値に着目して制御を行うことが制御性がよい。また、外側電極の−650Vは非画像部電位−600Vよりマイナス側に高い電位の例であるが、図に示すように、感光体の非画像部から伸びる電気力線は、全てプラス電位側の内側電極−150Vとの間に形成されている。よって、クラウドパルスのLow側ピーク値が、非画像部電位よりマイナス側にあっても、感光体49の非画像部にトナーが飛翔して地汚れが発生することはない。図16(a)における外側電極の電極部4aの幅Lは100μm、間隔Sは150μmの例である。
【0072】
図16(b)は、図下部の感光体49の全体が非画像部電位で、−600Vである。また、図上部のトナー担持ローラ101の外側電極の電極部4aの幅Lは200μm、間隔Sは300μmの例である。また、ピークトゥピーク電圧値は、500Vppであるが、DCオフセット電圧−500Vに設定したので、クラウドパルスは−250V〜−750Vの電位に振れる。図16(b)は、外側電極4が−750V、内側電極3が−250Vのときの例である。
図16(b)の例では、図16(a)に示す例に比べて、Low側ピーク値をさらにマイナス側に高い電位にした例であるが、感光体の非画像部から伸びる電気力線は、全てプラス電位側の内側電極−250Vとの間に形成されている。よって、図16(b)に示す例においても、非画像部にトナーが飛翔して地汚れが発生することはない。ここで、もし外側電極の−750Vと非画像部電位−600Vの間に電気力線が形成される場合は、マイナス帯電トナーは外側電極から非画像部に飛翔して地汚れが発生することになる。すなわち、図16(b)に示す構成においては、負極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、感光体49の非画像部領域との間に電気力線が形成されない条件に設定できている。
【0073】
図16(c)は、図下部の感光体49の全体が非画像部で−600V、図上部のトナー担持ローラ101の外側電極の電極部4aの幅Lは200μm、間隔Sは300μmの例である。この例ではピークトゥピーク電圧値:1000Vpp、DCオフセット電圧:−500Vに設定したので、パルス電圧は0V〜−1000Vの電位に振れており、外側電極が−1000V、内側電極が0Vのときの例である。この例においては感光体49の非画像部からマイナス電位側の外側電極−1000Vとの間に一部電気力線が形成されている。その結果、マイナス電位側の外側電極にあるトナーが非画像部に飛翔して地汚れが発生することになる。
【0074】
この様に、マイナス電位側の外側電極にあるトナーが非画像部に飛翔して地汚れが発生しないようにするには、クラウドパルスのLow側のピーク値を、非画像部よりも正極性側にすることが最も好ましい。しかし、クラウドパルスのLow側のピーク値を、非画像部よりも正極性側にすることができない場合でも、電極の幅、間隔、現像ギャップなどの条件により、マイナス側電圧が印加された電極と非画像部の間に電気力線が形成されないようにすることができる。具体的には、電極の幅や間隔は、広くなるに応じて、電気力線が形成されやすくなり、現像ギャップは、狭くなるにつれて、電気力線が形成されやすくなる。よって、設定されるクラウドパルスのLow側のピーク値に基づいて、電極の幅、間隔、現像ギャップを設定すれば、クラウドパルスのLow側のピーク値が、非画像部よりも負極性側であっても、クラウドパルスのLow側のピーク値が印加された電極と非画像部との間に電気力線が形成されるのを抑制することができる。
【0075】
下記表1は、トナー担持ローラ101の外側電極の電極部4aの幅L、間隔Sとピークトゥピーク電圧値Vppを変えた場合の、非画像部とLow側ピーク値印加電極との間の電気力線の有無を調べた結果である。電気力線が形成されていなかった場合は○、電気力線が形成されていた場合は×とした。また、外側電極にパルス電圧のLow側ピーク値を印加した。ここで、非画像部電位は−600V、DCオフセット電圧は−500V一定としている。よって、500VppのときのLow側ピーク値は、−750V、1000VppのときのLow側ピーク値は、−1000V、1500VppのときのLow側ピーク値は、−1250Vである。
【表1】
【0076】
表1に示すように、電極の幅Lが100μmで、間隔Sが150μmのときは、Low側ピーク値が、−1000Vでも、電気力線が形成されなかった。しかし、電極の幅Lを200μmで、間隔Sを300μmに広げた場合は、Low側ピーク値が−1000Vで電気力線が形成された。さらに、電極の幅Lが300μmで、間隔Sが450μmの例においては、Low側ピーク値が−750Vで、電気力線が形成されてしまった。
【0077】
下記表2は、前記表1に対応した条件での印写画像において、非画像部へのトナー付着を評価した結果であり、△は地汚れが目視で確認されるがトナーの付着量は少ない、×は地汚れが大きく発生している。○の条件であれば、地汚れの問題は無い領域である。
【表2】
【0078】
このように、Low側ピーク値が感光体49の非画像部電位よりも負極性側に大きくても、電極の幅や電極の間隔の条件により、非画像部とLow側ピーク値印加電極との間に電気力線が形成されるのを抑制することができ、地汚れを抑制できることがわかる。
【0079】
図17は、図16(a)に示した実施例において、外側電極と内側電極とに印加しているパルス電圧の位相が逆位相になったタイミングの電気力線を示している。すなわち、図17においては、外側電極4が−150V、内側電極3が−650Vの状態である。よって、図に示すように、内側電極3と潜像部の間に現像用の電気力線が形成されている。
【0080】
図18は、外側電極4がLow側ピーク値のときの外側電極4と潜像部との間の現像電界の強さと、内側電極3がLow側ピーク値のときの内側電極と潜像部との間の現像電界の強さとを比較した結果を示す図である。
図に示すように、外側電極4と潜像部との間の現像電界の方が、内側電極3と潜像部との間の現像電界よりも、平均で1.5倍大きいという結果が得られた。この例では電極間の絶縁体層の厚さが16μmの例であるが、この厚さが厚くなるとその差はさらに大きくなる。つまり、図18に示す結果は、トナー担持ローラ101の外側電極4の電界が表面の空間電界に大きく影響することを示している。よって、図6に示した内部と外部に電極を配置したトナー担持ローラ101においては、現像電界、地汚れ電界(非潜像部とLow側ピーク値が印加された電極との間に電気力線が形成されないような電界)の設定は外側電極4と感光体49との関係で設定すればよいことになる。具体的には、外側電極4にクラウドパルスのLow側ピーク値を印加したときの電気力線をシミュレートして、クラウドパルスのLow側ピーク値(第2電源の出力電圧)を決めればよい。また、画像濃度検知手段によりクラウドパルスのLow側ピーク値を変更する装置においては、クラウドパルスのLow側ピーク値のマイナス側の閾値を決めておき、閾値以上クラウドパルスのLow側ピーク値を変更できないようにしておく。そして、クラウドパルスのLow側ピーク値が閾値のときに、外側電極4にクラウドパルスのLow側ピーク値を印加したときの電気力線をシミュレートして、電気力線が形成されないような条件に、外側電極の電極部4aの幅L、間隔S、現像ギャップを設定する。これにより、画像濃度検知手段によりクラウドパルスのLow側ピーク値を変更する装置において、クラウドパルスのLow側ピーク値をマイナス側へ変更した場合でも、地汚れが生じることがない。
【0081】
なお、正極性トナーを現像に用いる場合は、High側のピーク値が印加された電極と、非画像部との間に電気力線が形成されると、正極性トナーが非画像部へ飛翔して、地汚れになる。よって、正極性トナーを用いる場合は、High側のピーク値が印加された電極と、非画像部との間に電気力線が形成されないような条件に、クラウドパルスのHigh側のピーク値、電極の幅L、間隔S、現像ギャップを設定する。
【0082】
以上、本実施形態の現像装置は、複数の電極を有するトナー担持体たるトナー担持ローラ101と、トナー担持ローラの表面にトナーを供給するトナー供給手段たるトナー供給ローラ18と、複数の電極にパルス電圧たるクラウドパルスを印加することによって、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持ローラ101の表面上に発生させるホッピング電界発生手段であるパルス電圧印加手段30とを有している。そして、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーを像担持体たる感光体49と対向する現像領域へ搬送して感光体49上の潜像にトナーを付着させることによって潜像を現像する。また、負極性に帯電したトナーを用いる場合は、湿度検出手段たる湿度センサー40の検知結果に応じて、クラウドパルスの最大ピーク値であるHigh側ピーク値のみを変更して、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更するようパルス電圧印加手段30を制御する制御手段たるクラウドパルス制御回路67を備えた。一方、正極性に帯電したトナーを用いる場合、クラウドパルス制御回路67は、湿度検出手段たる湿度センサー40の検知結果に応じてクラウドパルスの最小ピーク値たるLow側ピーク値を変更して、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更するようパルス電圧印加手段30を制御する。
かかる構成を備えることにより、上述したように、環境条件(湿度条件)が変動しても、良好な画像を維持することができる。また、画像濃度検知手段を設けて、像担持体にテストパターンを形成して、その検知結果に基づいて、クラウドパルスを変更するものに比べて、トナーの消費を抑えることができたり、装置のダウンタイムが生じるのを抑制したりすることができる。
【0083】
また、トナー担持ローラ101は、絶縁性の基材としての絶縁ローラ7と、絶縁ローラ7の表面全体を覆うように形成された第1電極部材としての内側電極3と、内側電極上に絶縁層5を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部4aを有する第2電極部材としての外側電極とを有し、上記パルス電圧印加手段30は、内側電極3と外側電極4との間の電位差が時間的反転するよう各電極にクラウドパルスを印加する。かかる構成とすることで、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーをホッピングさせることができる。
【0084】
また、負極性のトナーを用いる場合は、クラウドパルスのLow側ピーク値を感光体49の非画像部電位よりも正極性側に設定し、正極性トナーを用いる場合は、クラウドパルスのHigh側ピーク値を感光体49の非画像部電位よりも負極性側に設定する。これにより、上述したように、トナー担持ローラ101から感光体49の非画像部へトナーが飛翔するような電気力線が形成されることがなくなり、地汚れを抑制することができる。
【0085】
また、負極性のトナーを用いる場合において、クラウドパルスのLow側ピーク値が、感光体49の非画像部電位よりも負極性側のときや、正極性のトナーを用いる場合において、クラウドパルスのHigh側ピーク値が、感光体49の非画像部電位よりも正極性側のときでも、トナー担持ローラ101から感光体49の非画像部へトナーが飛翔するような電気力線が形成されないよう、外側電極の電極部4aの幅Lや間隔S、感光体49とトナー担持ローラ101とのギャップである現像ギャップを設定することで、地汚れを抑制することができる。
【0086】
また、制御手段たる画像濃度制御回路66は、負極性トナーを用いる場合は、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段たる画像濃度検知センサ65から出力された感光体49上の画像に係る画像濃度信号に応じてクラウドパルスのLow側ピーク値を変更し、正極性トナーを用いる場合は、画像濃度信号に応じて上記クラウドパルスのHigh側ピーク値を変更する。これにより、環境変動(湿度変動)以外の要因による画像濃度の変化を抑制することができる。
【0087】
また、パルス電圧印加手段30は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路たるパルス出力発生回路37と、パルス出力発生回路37にクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源31と、第1の電源31の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源32とからなる。正極性トナーを用いる場合は、第2の電源32は、プラス直流電源である。そして、制御手段たるクラウドパルス制御回路67は、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更する場合は、上記第1の電源31の出力レベルのみを変化させる。これにより、負極性トナーを用いた場合は、Low側のピーク値、正極性トナーを用いた場合は、High側のピーク値を変更させずに、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更することができる。また、第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させれば、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更することなく、負極性トナーを用いた場合は、Low側のピーク値、正極性トナーを用いた場合は、High側のピーク値を変更することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、現像手段と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、本発明の現像装置1を用いることで、上述したような種々の効果が得られるので望ましい。
【0089】
また、本実施形態によれば、感光体49上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより前記潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、本発明の現像装置を用いることで、上述したような種々の効果が得られることで、その結果、良好な画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1:現像装置
3:内側電極
4:外側電極
4a:電極部
5:絶縁層
6:表層
7:絶縁ローラ
18:トナー供給ローラ
30:パルス電圧印加手段
31:第1の電源
32:第2の電源
37:パルス出力発生回路
40:湿度センサー
49:感光体
65:画像濃度検知センサ
66:画像濃度制御回路
101:トナー担持ローラ
101A:基材
101B:絶縁層
101C:表層
111A:A相用電極
111B:B相用電極
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2007−133387号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるホッピング現像方式を採用した画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数のホッピング電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。複数のホッピング電極のうち、偶数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相の繰り返しパルス電圧を印加する一方で、奇数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相とは異なるB相の繰り返しパルス電圧を印加する。これにより、互いに隣り合う2つのホッピング電極の間に交番電界を形成して、交番電界によってトナーに対して働く静電気力によりトナーを電極間でホッピングさせる。そして、ホッピングさせたトナーを、像担持体上の潜像に付着させることで現像を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高湿度環境であると、トナーの液架橋力が大きくなってトナーとトナー担持体表面との間で作用する付着力が大きくなったり、トナーの帯電効率が下がるためトナーの帯電量が低下しトナーに対して働く前記交番電界による静電気力が小さくなったりする。そのため、トナー担持体上でトナーがホッピングし難くなり、像担持体上の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなる。
一方、低湿度環境であると、トナーの液架橋力が小さくなってトナーとトナー担持体表面との間で作用する付着力が小さくなったり、トナーの帯電効率が上がるためトナーの帯電量が上昇しトナーに対して働く前記交番電界による静電気力が大きくなったりする。そのため、トナー担持体上でトナーが勢い良く高くホッピングし過ぎて、像担持体上の静電潜像が形成されていない非画像部にトナーが付着し画像に地汚れが生ずる虞がある。
【0004】
このため、高湿環境下のときは、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を大きくし、トナー担持体上でトナーに対して働く静電気力を大きくし、トナーの良好なホッピングを維持して、画像濃度の低下を抑制する。また、低湿環境下では、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を小さくし、トナー担持体上でトナーに対して働く静電気力を小さくし、トナーがホッピングし過ぎるのを抑制し、地汚れを抑制する。
【0005】
しかしながら、本願発明者らが、上述したようなホッピング現像方式を採用した画像形成装置を用いて種々の実験を行った際に、ホッピング電極に印加するパルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させると、像担持体上に形成される画像の濃度に変動が生じた。その結果、湿度に応じて、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させても、良好な画像を得ることができなかった。
【0006】
また、特許文献1に記載の現像装置のようにホッピングによって電極間を往復移動するトナーをトナー担持体の表面移動によって現像領域に搬送するのではなく、トナー担持体の表面上のトナーをホッピングによって一定方向に移動させて現像領域まで搬送する現像装置も知られている。例えば、A相、B相、C相という3つの電極がその順序で繰り返し配設されたトナー担持体を用いる現像装置では、トナー担持体の表面上でトナーをA相電極上からB相電極上へ、B相電極上からC相電極上へ、C相電極上からA相電極上へというように順次ホッピングさせていくことで、トナーを現像領域に向けて搬送する。このような現像装置でも、上述したような問題が生じる。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したときの像担持体上に形成される画像の濃度の変動を抑制できる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、負極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記パルス電圧の最小ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の現像装置において、上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定されている場合、上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの現像装置において、上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最小ピーク値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの現像装置において、上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルのみを変化させ、上記パルス電圧の最小ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、正極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の現像装置において、上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の現像装置において、上記パルス電圧の最大ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8の現像装置において、上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定されている場合、上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項7乃至10いずれかの現像装置において、上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項7乃至11いずれかの現像装置において、上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のプラス直流電源である第2の電源とからなり上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルを変化させ、上記パルス電圧の最大ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、請求項1乃至12いずれかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、請求項1乃至14いずれかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0009】
上記パルス電圧の最大ピーク値は、次のことを言う。すなわち、2つのピーク値の両方が、負極性の場合は、絶対値が小さいピーク値のことであり、2つのピーク値の両方が、正極性の場合は、絶対値が大きいピーク値のことである。また、一方のピーク値が負極性で、他方のピーク値が正極性の場合は、正極性のピーク値のことである。また、上記パルス電圧の最小ピーク値は、次のことを言う。すなわち、2つのピーク値の両方が、負極性の場合は、絶対値が大きいピーク値のことであり、2つのピーク値の両方が、正極性の場合は、絶対値が小さいピーク値のことである。また、一方のピーク値が負極性で、他方のピーク値が正極性の場合は、負極性のピーク値のことである。
【0010】
本発明によれば、画像形成装置に設けられた湿度検出手段の検知結果に応じて、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する。これにより、高湿環境下の場合は、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を大きくして、トナーの液架橋力が大きくなっても、良好なホッピングを維持することができ、画像濃度が低くなるのを抑制できる。また、低湿環境下の場合は、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を小さくして、トナーの液架橋力が小さくなっても、トナー担持体上でトナーが勢いよく高くホッピングするのを抑制することができ、地汚れを抑制することができる。
【0011】
また、請求項1の発明においては、負極性に帯電したトナーを現像に用いる場合において、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する。後述するように、本出願人は、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、ピークトゥピーク電圧を変更した場合の画像濃度変動、パルス電圧の最大ピーク値と最小のピーク値とを変更してピークトゥピーク値を変更した場合の画像濃度変動、パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、ピークトゥピーク値を変更した場合の画像濃度変動について、調べた。調べた結果、パルス電圧の最大ピークのみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したときが、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したときの画像濃度変動を最も抑えることができることを見出した。
パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更することで、画像濃度変動を最も抑えることができたのは、次の理由によると考えられる。すなわち、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合、パルス電圧の最小ピーク値が一定に維持されて、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値が変更される。パルス電圧が最小のピーク値のときに、トナー担持体のトナーが潜像へ飛翔する。このため、最小ピーク値の変動が、最も画像濃度に影響を与える。よって、パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更した場合、画像濃度変動が抑制されたと考えられる。
【0012】
また、正極性トナーを用いる場合は、パルス電圧が最大ピーク値のときに、トナー担持体上の正極性トナーが、潜像部へ飛翔する。よって、請求項7の発明によれば、正極性トナーを用いる場合は、パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、パルス電圧の最大ピーク値を一定値に維持して、ピークトゥピーク電圧値を変更することで、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値変更後も、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更したことによる画像濃度の変動を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、像担持体上に形成される画像の濃度が変動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図2】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図3】実施形態に係る複写機における感光体と現像装置とを示す概略構成図。
【図4】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図5】A相用電極及びB相用電極にそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示すグラフ。
【図6】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図7】内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフ。
【図8】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図9】図1で示したクラウドパルス発生回路を用いた場合の波形図。
【図10】プラス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図11】各電源からクラウドパルスとバイアス用の電圧が供給されたクラウドパルス発生回路の回路図。
【図12】実施形態の複写機で行われる制御の一例を示したフローチャート。
【図13】潜像電位に対するクラウドパルスの平均電位の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図14】潜像電位に対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図15】潜像電位に対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図16】トナー担持ローラの各電極に印加するパルス電圧の波高値電位と感光体電位の間の電界によって形成される電気力線のシミュレーション評価した結果を示す図。
【図17】各電極へのパルス電圧の位相を図16に示す例と逆位相にしたときの電気力線のシミュレーション評価した結果を示す図。
【図18】外側電極がLow側ピーク値のときの外側電極と潜像部との間の現像電界の強さと、内側電極がLow側ピーク値のときの内側電極と潜像部との間の現像電界の強さとを比較した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機について適用した実施形態について説明する。
図2は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、像担持体としてのドラム状の感光体49は、図中時計回り方向に回転駆動される。操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を装置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、画像処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体49を走査する。この走査に先立って、感光体49は帯電装置50によって一様に帯電され、レーザー光による走査により感光体49の表面に静電潜像が形成される。
【0016】
感光体49の表面に形成された静電潜像には現像装置1の現像処理によってトナーが付着し、これによりトナー像が形成される。このトナー像は、感光体49の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体49上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体49上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
【0017】
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体49表面から分離され、その後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧や加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
【0018】
上述の転写位置を通過した感光体49表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体49表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体49表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
【0019】
また、現像装置1と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45とを、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして一体でユニット化している。これにより、現像装置1などのメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0020】
図3は、実施形態に係る複写機における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。同図において、ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中右側方には、現像剤担持体であるトナー担持ローラ101を有する現像装置1が配設されている。
【0021】
現像装置1は、トナー担持ローラ101の他、トナー供給ローラ18やトナー摩擦ブレード22を有している。表面がスポンジからなるトナー供給ローラ18は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、現像装置1内に収容されているトナーをローラ表面に担持する。同図では、トナー供給ローラ18の回転方向として、トナー担持ローラ101との対向部で表面をトナー担持ローラ101とは逆方向に移動させる方向に設定した例を示した。これとは逆に、前記対向部で表面をトナー担持ローラ101と同じ方向に移動させる方向に設定してもよい。
【0022】
トナー供給ローラ18の金属からなる回転軸部材には、供給バイアス電源24によって供給バイアスが印加される。一方、トナー担持ローラ101には、後述するA相用電極やB相電極が複数形成されており、それら電極にはパルス電圧印加手段30によって繰り返しのパルス電圧が印加される。これらパルス電圧の平均値は、前述した供給バイアスよりも、トナーの帯電極性とは逆極性側に大きな値になっている。これにより、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との間には、トナーを前者から後者に静電移動させる電界が形成される。
【0023】
トナー供給ローラ18の表面に担持されたトナーは、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との当接部において、トナー供給ローラ18からトナー担持ローラ101に供給される。このときの供給量については、供給バイアスの大きさによって調整することが可能である。なお、供給バイアスは、直流電圧であっても、交流電圧であっても、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスであってもよい。
【0024】
トナー担持ローラ101の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の図中反時計回り方向の回転に伴って周回移動する。トナー担持ローラ101の表面において、トナー供給ローラ18との当接部を通過してから、感光体49に対向する現像領域に進入する前の箇所には、片持ち支持されるトナー摩擦ブレード22の自由端側が当接している。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の回転に伴って全体的に図中反時計回り方向に移動するトナーは、トナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との間に進入すると、トナー担持ローラ101の表面やトナー摩擦ブレード22の表面に擦り付けられる。これにより、摩擦帯電が促される。その後、トナー担持ローラ101の回転に伴ってトナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との当接部を抜けると、再びトナー担持ローラ101の表面上でトナーがホッピングしながら、現像領域へと搬送される。
【0025】
トナー担持ローラ101は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ101と感光体49とが対向している位置が、本複写機における現像領域となっている。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ101と感光体49上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ101の回転によってさらに搬送されて、繰り返し利用される。
【0026】
なお、トナー摩擦ブレード22をトナー担持ローラ101の代わりにトナー供給ローラ18に当接させて、トナー供給ローラ18の表面上でトナー摩擦ブレード22によるトナー摩擦帯電を促すようにしてもよい。
【0027】
次に、トナー担持ローラ101の一例について図4を参照して説明する。なお、図4(a)はトナー担持ローラ101を展開した状態で示す模式的平面図であり、図4(b)はトナー担持ローラ101の模式的断面図である。
【0028】
この例は、トナー担持体表面に複数の電極を設け、1本おきの2組を共通にした2相用電極を備え、180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、隣接電極同士で吸引と反発を繰り返す2相電界を形成するトナー担持体の例である。
【0029】
このトナー担持ローラ101は、ローラのベース材である導電性の基材101Aの表面上に絶縁層101Bを形成している。この絶縁層101B上に複数の電極111としてA相用電極111Aと、B相用電極111Bとを設け、その上に表層としての表面保護層101Cを設けたものである。櫛歯状のA相用電極111A,B相用電極111Bは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設け、両サイドには共通のバスライン111Aa,111Baで外部の図示しない2相パルス出力回路にそれぞれ接続されている。
【0030】
A相用電極111A、B相用電極111Bに印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V]〜600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。この2相電界の場合は、隣接するA相用電極111AとB相用電極111Bとの間で生じる電界の電界方向の切り替わりに応じてトナーの反発飛翔と吸引飛翔とを繰り返し、トナーは相互の電極間を往復移動する。
【0031】
次に、A相用電極111A及びB相用電極111Bに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ101上のA相用電極111A及びB相用電極111Bには、パルス電圧印加手段30からA相用電圧及びB相電圧が印加される。パルス電圧印加手段30が印加するA相用電圧及びB相電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極がA相用電極111A及びB相用電極111Bの2相構成であり、各電極111A,111Bには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0032】
図5は、A相用電極111A及びB相用電極111Bにそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示す図である。本複写機において、各電圧は矩形波であり、A相用電極111AとB相用電極111Bにそれぞれ印加されるA相用電圧とB相用電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、A相用電極111AとB相用電極111Bとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層101Cの外側に形成されるクラウド用電界によって表層101C上をトナーがホッピングする。
【0033】
このように、トナー担持ローラ表面のトナーを飛翔させてクラウド化する手段が、トナー担持ローラ表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で配設された複数の電極を有し、各電極に印加する電圧は隣接電極相互の間でトナーを吸引する方向と反発する方向とを交互に繰り返す関係の電圧を印加し、トナー担持ローラ101が回転移動することでトナーの搬送とクラウド化を行う構成とすることで、トナー担持ローラ表面のトナーの搬送に関して、トナーの帯電品質に左右されない安定なトナーの搬送が可能となり、装置全体としても信頼性の高い複写機を実現できる。
【0034】
次に、本実施形態に係る現像装置に用いられるトナー担持ローラ101の他の例について図6を用いて説明する。なお、図6(a)はトナー担持ローラ101を展開した状態で示す模式的平面図、図6(b)はトナー担持ローラ101の模式的断面図である。
【0035】
この例は、トナー担持ローラ表面に複数の電極を設け、表層側の各電極を共通とし、絶縁層を介して下層に設けた導体基材電極との間に180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、表層側電極と下層導体基材電極相互の電界で吸引と反発とを繰り返すトナー担持ローラの例である。
【0036】
図6に示すトナー担持ローラ101は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する第1電極部材としての内側電極3と、最外周側に位置していて内側電極3へ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される第2電極部材としての外側電極4とを備えている。また、内側電極3と外側電極4との間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4の外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、図6に示すトナー担持ローラ101は、内周側から順に、内側電極3、絶縁層5、外側電極4、表層6の4層構造となっている。
【0037】
内側電極3は、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなるトナー担持ローラ101の絶縁性基材としての絶縁ローラ7の表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものである。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。また、トナー担持ローラ101の基体を、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラで構成し、内側電極3として用いてもよい。
【0038】
内側電極3の外周面側は絶縁層5に覆われている。本複写機において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3上に均一な膜厚で形成することができる。
【0039】
絶縁層5の上には外側電極4が形成される。外側電極4は、複数の電極部4aを有しており、これら電極部4aは、トナー搬送方向に等間隔で配置されている。本複写機において、この外側電極4は、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。外側電極4の形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて外側電極4を櫛歯状に形成するという方法も考えられる。
【0040】
外側電極4及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0041】
内側電極3と外側電極4との間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3の外側電極4とは対向していない部分(外側電極4の電極部4aの間に位置する内側電極3の部分)と外側電極4の電極部4aとの間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ101上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ101上のトナーは、内側電極3に絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4の電極部4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0042】
次に、内側電極3及び外側電極4に印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ101上の内側電極3及び外側電極4には、図1に示すパルス電圧印加手段30から内側電圧及び外側電圧が印加される。外側電極4の電極部4aは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設けられており、その両サイドには後述する被給電部が設けられており外部のパルス電圧印加手段30にそれぞれ接続されている。パルス電圧印加手段30が印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極が内側電極3及び外側電極4の2相構成であり、内側電極3と外側電極4とには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0043】
図7は、内側電極3及び外側電極4にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示す図である。
本複写機において、各電圧は矩形波であり、内側電極3と外側電極4にそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3と外側電極4の電極部4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるクラウド用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。図7に示す例では、内側電極3が、先の図4に示したトナー担持ローラのA相用電極111Aとして機能し、外側電極4が、先の図4に示したトナー担持ローラのB相用電極111Bとして機能している。
【0044】
内側電極3,外側電極4に印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V],600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。そして、内側電極3と外側電極4との間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3の外側電極4とは対向していない部分(外側電極4の電極部4aの間に位置する内側電極3の部分)と外側電極4の電極部4aとの間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ101上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ101上のトナーは、内側電極3に絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4の電極部4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。また、トナー担持ローラ101全体は、トナーを搬送する方向に回転移動するものである。
【0045】
図1は、ホッピング電界発生手段としてのパルス電圧印加手段30の構成を示す。第1電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。第2電源32は、マイナスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。また、パルス電圧印加手段は、A相パルスを発生するA相パルス発生回路33と、B相パルスを発生するB相パルス発生回路34とからなるパルス電圧発生回路としてのパルス出力発生回路37を有している。
【0046】
例えば、第1電源31の出力を500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は第2電源32のマイナスHigh側に接続されている。第2電源32は、マイナス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してマイナス電位であるから、ここでは例えば−650[V]とすると、第1電源31のLow側は−650[V]の電位となる。従って、第1電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値−650[V],−150[V]のクラウドパルスを発生することになる(図8参照)。
【0047】
ここで、第2電源32を出力レベル可変のDC電源とし、感光体49上に現像したテストパターンの画像濃度を画像濃度検知手段たる画像濃度検知センサー65で検知して、その濃度基準レベルに対する判定を画像濃度制御回路66で行ない、画像濃度が低い場合は画像濃度制御回路66によって第2電源32のDC出力レベルをマイナス側に高くして潜像電位に対する現像バイアスを強くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。また、画像濃度が基準より高い場合は画像濃度制御回路66によって第2電源32のDC出力レベルをマイナス側よりに低くして潜像電位に対する現像バイアスを弱くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。
【0048】
図9は、プラス帯電トナーを使用する場合のパルス電圧印加手段30の構成を示す。第1電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。第2電源32は、プラスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。
【0049】
ここで、例えば第1電源31の出力が500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は第2電源32のマイナスHigh側に接続されている。第2電源32は、プラス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してプラス電位であるから、ここでは例えば150[V]とすると、電源31のLow側は150[V]の電位となる。従って、第1電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値650[V],150[V]のクラウドパルスを発生することになる。
【0050】
次に、図10は図1における第1電源31を出力レベル可変のDC電源の構成とし、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を制御する例を示したものである。第1電源31の出力を可変して、そのレベルに応じたクラウドパルス出力が可能であるが、第2電源32の出力が固定であればクラウドパルスの最小ピーク値は固定のままピークトゥピーク電圧値のみを可変できる。例えば、環境湿度が高い条件ではトナー担持ローラ101表面でのトナーの付着力が大きくなり、トナーのクラウド量低下によって現像効率が悪くなる。これを第2電源32の出力レベルの可変による現像バイアスのみによって制御すると、現像バイアスと感光体の地肌電位との差が小さくなり地肌汚れが発生したり、地肌汚れの余裕度が低下したりする。したがって、湿度検知手段としての湿度センサー40の検知結果に基づいて環境湿度が高い場合には、制御手段たるクラウドパルス制御回路67によって第1電源31の出力レベルを上げてクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を高くし、トナーのクラウド量低下を補正する制御を行うことで、トナー劣化やトナー帯電量変動などに対する画像濃度制御が容易となり、高画質、高信頼性の現像が可能となる。
【0051】
図11は、パルス電圧印加手段30の具体的な回路例を示す。このパルス電圧印加手段30では、A相パルス発生回路33に対してDC出力の第1電源31端子の間にシリーズに接続した2個のスイッチング素子としてMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect−Transistor)からなるスイッチング素子Q1,Q2および電流規制抵抗R1,R2を設けている。また、B相パルス発生回路34に対して同様に接続した2個のスイッチング素子であるMOSFETからなるスイッチング素子Q3,Q4および電流規制抵抗R3,R4を設けている。トナー担持ローラ101の一方の電極を2個のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間、ここでは電流規制抵抗R1と電流規制抵抗R2との間に接続し、他方の電極を残り2個のスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間、ここでは電流規制抵抗R3と電流規制抵抗R4との間に接続する。これにより、電極負荷(電極負荷容量)36を有するブリッジ構成となる。正相(本実施形態ではA相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、逆相(本実施形態ではB相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q2とスイッチングQ3とをONする構成である。これによって、トナー担持ローラ表面のトナーは2つの電極の間で飛翔を繰り返してクラウド状態となる。
【0052】
なお、本実施形態では、MOSFETを駆動するためのドライブ回路は15[V]の低圧パルスを生成する。また、低圧パルスを生成した後のスイッチング素子Q1のゲート信号はC1,D1,R5からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのHigh側は第1電源31のHighレベルにクランプされる。具体的には、第1電源31が500[V]、第2電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q1のゲート信号は−150[V]〜−135[V]のパルスとなり、Low期間にスイッチング素子Q1はONすることになる。
【0053】
また、スイッチング素子Q2のゲート信号はコンデンサーC2,ダイオードD2,電流規制抵抗R6からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのLow側は電源31のLowレベルにクランプされる。具体的には、第1電源31が500[V]、第2電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q2のゲート信号は−650[V]〜−635[V]のパルスとなり、High期間にスイッチング素子Q2はONすることになる。
【0054】
同様に、逆相であるB相パルス側も180[°]位相が遅れたタイミングで、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とが動作する。
【0055】
ここで、環境湿度が高くなると、トナーの液架橋力が大きくなってトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が大きくなったり、トナーの帯電効率が下がるためトナーの帯電量が低下しトナーに対して働く前記電界による静電気力が小さくなったりする。また、トナーが劣化して外添剤の埋没や離脱によりトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が大きくなる。そのため、トナー担持ローラ上でトナーがホッピングし難くなり、感光体表面の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなる。よって、これらの付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上で良好にホッピングさせるだけの電界をつくり出すために、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を大きくする制御を行う。
【0056】
図12は、本実施形態の複写機で行われる制御の一例を示したフローチャートである。
例えば、現像装置1内に設けられた湿度検知手段としての湿度センサー40(図3を参照)により湿度を検知し(S1)、その検知した湿度が予め設定された標準時の湿度範囲よりも高いと検知された場合(S2でYes)には複写機本体または現像装置1に設けられCPUやメモリーなどからなる制御手段たる制御部(制御部のクラウドパルス制御回路67)で高湿度環境であると判断し(S3)、その制御部からの制御信号によって第1電源31から出力電圧を標準時の500[V]から600[V]へと大きくする(S4)。また、このときの第2電源32のDCバイアス電圧は標準時と同じ−650[V]とする。すると、パルス出力発生回路37から電極に出力される出力パルスのピークトゥピーク電圧値は、600V(標準値:500V)、波高値は−650[V](標準値:−650V),−50[V](標準時:−150V)、平均電位は−350[V](標準時:−400V)となる。このように、標準時よりも湿度が高くなった際に、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を大きくする制御を行ない、トナー担持ローラ101の隣接電極間に発生させる電界の強度を強くすることで、その分、トナーに対して働く電界による静電気力が大きくなる。よって、付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上でホッピングさせるだけの電界がつくり出され、トナー担持ローラ101上でトナーがホッピングし易くなり、感光体表面の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなることを抑制することができる。
【0057】
一方、環境湿度が低くなると、トナーの液架橋力が小さくなってトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が小さくなったり、トナーの帯電効率が上がるためトナーの帯電量が上昇しトナーに対して働く前記電界による静電気力が大きくなったりする。そのため、トナー担持ローラ上でトナーが勢い良く高くホッピングし過ぎて、トナー担持ローラ101の上空に形成されるトナーのクラウド高さが高くなり過ぎ、地汚れ余裕度が小さくなる。つまり、感光体表面上の静電潜像が形成されていない非画像部(地肌領域)にトナーが付着して画像に地汚れが生ずる虞がある。よって、トナーのクラウド高さが高くなり過ぎないようにクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を低くする制御を行う。
【0058】
例えば、現像装置1内に設けられた湿度センサー40により環境湿度が予め設定された標準時の湿度範囲よりも低いと検知された場合(S5でYes)、制御部で低湿度環境であると判断し(S6)、その制御部からの制御信号によって第1電源31から出力される電圧を標準時の500[V]から400[V]へと小さくする(S7)。また、このときの第2電源32のDCバイアス電圧は標準時と同じ−650[V]とする。すると、パルス出力発生回路37から電極に出力される出力パルスのピークトゥピーク電圧値は、400V(標準値:500V)、波高値は−650[V](標準値:−650V),−250[V](標準時:−150V)、平均電位は−450[V](標準時:−400V)となる。このように、標準時よりも湿度が低くなった際に、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を小さくする制御を行ない、トナー担持ローラ101の隣接電極間に発生させる電界の強度を弱くすることで、その分、トナーに対して働く前記電界による静電気力が小さくなる。よって、トナー担持ローラ表面からトナーが高くホッピングし過ぎて、トナーのクラウド高さが高くなり過ぎ、感光体表面上の静電潜像が形成されていない非画像部(地肌領域)にトナーが付着して画像に地汚れが生ずることを抑制することができる。
【0059】
また、現像装置1内に設けられた湿度センサー40により環境湿度が、予め設定された標準時の湿度範囲よりも高くなく(S2でNo)、且つ、標準時の湿度範囲よりも低くない(S5でNo)場合には、制御部により標準湿度環境であると判断し、一連の制御を終了する。
【0060】
本実施形態においては、Low側のピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値を変更させることで、ピークトゥピーク電圧値を変更したときの画像濃度変動を抑制することができる。以下、具体的に説明する。
【0061】
図13は、潜像電位に対するクラウドパルスの平均電位の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフである。
データの水準は、電極に印加したクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値であり、Vpp1=400V、Vpp2=440V、Vpp3=480Vの3水準について調べた。像担持体たる感光体49の潜像部電位は−70V、非画像部電位は−600Vに設定した。また、感光体表面の線速は、150mm/sec、トナー担持体表面の線速は220mm/sec、感光体49とトナー担持ローラ101の現像ギャップは、0.3mmという条件である。例えば、横軸0Vのときは、クラウドパルスの平均電位が、−70Vとなるよう調整する。Vpp1=400Vのときのクラウドパルスの波高値は、+130V,−270V(−70V±200V)となる。Vpp2=440Vのときのクラウドパルスの波高値は、+150V,−290V(−70V±220V)となる。Vpp3=480Vのときのクラウドパルスの波高値は、+170V,−310V(−70V±240V)となる。そして、潜像電位−70Vに対してパルスの平均電位が−200Vの電位差、すなわち平均電位が−270Vになるまで50Vステップで第2電源32の出力電圧を強くして行った場合の現像トナー量を評価した。
【0062】
図13に示すように、潜像電位に対するクラウドパルスの平均電位の電位差が同じ値とき、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値によって、画像濃度が変動することがわかる。このことから、クラウドパルスの平均電位を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更すると、画像濃度が変動することがわかる。
【0063】
図14は、潜像電位に対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフである。データの水準、感光体49の潜像部電位、非画像部電位、感光体表面の線速、トナー担持体表面の線速、現像ギャップは、図13と同条件である。例えば、横軸200Vのときは、クラウドパルスのHigh側ピーク値が、130V(200−70=130V)となるよう調整する。Vpp1=400Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−270Vとなる。また、Vpp2=440Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−310Vとなる。Vpp3=480Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−350Vとなる。そして、潜像電位−70Vに対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差を各水準でマイナス側に200V振って第2電源32の出力電圧を強くして行った場合の現像トナー量を評価した。
【0064】
図14に示すように、潜像電位に対するクラウドパルスのHigh側ピーク値の電位差が同じ値とき、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値によって、画像濃度が変動することがわかる。このことから、クラウドパルスのHigh側ピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更すると、画像濃度が変動することがわかる。また、図13と、図14とを比較するとわかるように、クラウドパルスのHigh側ピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更した場合は、平均電圧を一定に維持した場合に比べて、画像濃度が大きく変動してしまうことがわかる。
【0065】
図15は、潜像電位に対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差と現像トナー量との関係を調べた結果を示すグラフである。データの水準、感光体49の潜像部電位、非画像部電位、感光体表面の線速、トナー担持体表面の線速、現像ギャップは、図13と同条件である。例えば、横軸−200Vのときは、クラウドパルスのLow側ピーク値が、−270V(−200−70=−270V)となるよう調整する。Vpp1=400Vのときのクラウドパルスの波高値は、130V,−270Vとなる。また、Vpp2=440Vのときのクラウドパルスの波高値は、170V,−270Vとなる。Vpp3=480Vのときのクラウドパルスの波高値は、210V,−270Vとなる。そして、潜像電位−70Vに対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差を各水準でマイナス側に200V振って第2電源32の出力電圧を強くして行った場合の現像トナー量を評価した。
【0066】
図15に示すように、潜像電位に対するクラウドパルスのLow側ピーク値の電位差が同じ値とき、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値が異なっていても、画像濃度がほぼ同じ値を示していることがわかる。このことから、クラウドパルスのLow側ピーク値を一定に維持して、クラウドパルスのピークトゥピーク(Vpp)の値を変更すると、画像濃度の変動を抑えることができることがわかる。
【0067】
以上の結果から、クラウド現像方式を採用した画像形成装置において、トナー担持体表面の電極に印加するパルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させる場合、パルス電圧のHigh側ピーク値(最大ピーク値)のみを変更して、パルス電圧のLow側ピーク値(最小ピーク値)が一定となる制御を行うことで、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させても、感光体49上に形成される画像濃度の変動を押さえることができる。
【0068】
この制御は、前述した様に図10において、環境条件の変動、トナーの劣化等によりクラウド特性を維持するためにクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値をクラウドパルス制御回路67によって制御した場合、画像濃度制御回路66によってクラウドパルス波高値のLow側ピーク値を一定にする方向の制御を行うことで、目的が達成できる。
【0069】
一方、正極性トナーを用いる場合は、これとは逆に、トナー担持体表面の電極に印加するパルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させる場合、パルス電圧のLow側ピーク値(最小ピーク値)のみを変更して、パルス電圧のHigh側ピーク値(最大ピーク値)が一定となる制御を行うことで、パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変化させても、感光体49上に形成される画像濃度の変動を押さえることができる。
【0070】
図16は、トナー担持ローラ101の各電極に印加するパルス電圧の波高値電位と感光体電位の間の電界によって形成される電気力線のシミュレーション評価した結果を示す図である。この例は、トナー担持ローラ101として、図6に示したトナー担持ローラ101を用い、トナー担持ローラ表面と感光体表面の間隔である現像ギャップは0.3mmのシミュレーションである。
【0071】
図16(a)に示すシミュレーションは、図下部が感光体49で、潜像部電位で−70V、非画像部電位−600Vである。ピークトゥピーク電圧値Vpp=500V、DCオフセット電圧(クラウドパルスの平均電位)−400Vに設定したので、パルスは−150V〜−650Vの電位に振れる。よって、外側電極が−650V、内側電極が−150Vの状態である。外側電極の−650Vは非画像部電位−600Vよりマイナス側に高い電位の例である。図に示すように、潜像部の電気力線は全て外側電極−650Vとの間に形成されている。従って、現像電界は潜像部電位とクラウドパルスのLoW側ピーク値(外側電極−650V)が支配的となっており、LoW側ピーク値が印加された電極上のトナーが潜像部に向かって飛翔して現像されることを意味している。ゆえに、ピークトゥピーク電圧値を変更してもクラウドパルスのLow側ピーク値を一定にすることで現像電界は変動が少ないことになり、画像濃度の維持ができる。また、何かの要因で画像濃度の変動が発生した場合は、クラウドパルスのLow側ピーク値に着目して制御を行うことが制御性がよい。また、外側電極の−650Vは非画像部電位−600Vよりマイナス側に高い電位の例であるが、図に示すように、感光体の非画像部から伸びる電気力線は、全てプラス電位側の内側電極−150Vとの間に形成されている。よって、クラウドパルスのLow側ピーク値が、非画像部電位よりマイナス側にあっても、感光体49の非画像部にトナーが飛翔して地汚れが発生することはない。図16(a)における外側電極の電極部4aの幅Lは100μm、間隔Sは150μmの例である。
【0072】
図16(b)は、図下部の感光体49の全体が非画像部電位で、−600Vである。また、図上部のトナー担持ローラ101の外側電極の電極部4aの幅Lは200μm、間隔Sは300μmの例である。また、ピークトゥピーク電圧値は、500Vppであるが、DCオフセット電圧−500Vに設定したので、クラウドパルスは−250V〜−750Vの電位に振れる。図16(b)は、外側電極4が−750V、内側電極3が−250Vのときの例である。
図16(b)の例では、図16(a)に示す例に比べて、Low側ピーク値をさらにマイナス側に高い電位にした例であるが、感光体の非画像部から伸びる電気力線は、全てプラス電位側の内側電極−250Vとの間に形成されている。よって、図16(b)に示す例においても、非画像部にトナーが飛翔して地汚れが発生することはない。ここで、もし外側電極の−750Vと非画像部電位−600Vの間に電気力線が形成される場合は、マイナス帯電トナーは外側電極から非画像部に飛翔して地汚れが発生することになる。すなわち、図16(b)に示す構成においては、負極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、感光体49の非画像部領域との間に電気力線が形成されない条件に設定できている。
【0073】
図16(c)は、図下部の感光体49の全体が非画像部で−600V、図上部のトナー担持ローラ101の外側電極の電極部4aの幅Lは200μm、間隔Sは300μmの例である。この例ではピークトゥピーク電圧値:1000Vpp、DCオフセット電圧:−500Vに設定したので、パルス電圧は0V〜−1000Vの電位に振れており、外側電極が−1000V、内側電極が0Vのときの例である。この例においては感光体49の非画像部からマイナス電位側の外側電極−1000Vとの間に一部電気力線が形成されている。その結果、マイナス電位側の外側電極にあるトナーが非画像部に飛翔して地汚れが発生することになる。
【0074】
この様に、マイナス電位側の外側電極にあるトナーが非画像部に飛翔して地汚れが発生しないようにするには、クラウドパルスのLow側のピーク値を、非画像部よりも正極性側にすることが最も好ましい。しかし、クラウドパルスのLow側のピーク値を、非画像部よりも正極性側にすることができない場合でも、電極の幅、間隔、現像ギャップなどの条件により、マイナス側電圧が印加された電極と非画像部の間に電気力線が形成されないようにすることができる。具体的には、電極の幅や間隔は、広くなるに応じて、電気力線が形成されやすくなり、現像ギャップは、狭くなるにつれて、電気力線が形成されやすくなる。よって、設定されるクラウドパルスのLow側のピーク値に基づいて、電極の幅、間隔、現像ギャップを設定すれば、クラウドパルスのLow側のピーク値が、非画像部よりも負極性側であっても、クラウドパルスのLow側のピーク値が印加された電極と非画像部との間に電気力線が形成されるのを抑制することができる。
【0075】
下記表1は、トナー担持ローラ101の外側電極の電極部4aの幅L、間隔Sとピークトゥピーク電圧値Vppを変えた場合の、非画像部とLow側ピーク値印加電極との間の電気力線の有無を調べた結果である。電気力線が形成されていなかった場合は○、電気力線が形成されていた場合は×とした。また、外側電極にパルス電圧のLow側ピーク値を印加した。ここで、非画像部電位は−600V、DCオフセット電圧は−500V一定としている。よって、500VppのときのLow側ピーク値は、−750V、1000VppのときのLow側ピーク値は、−1000V、1500VppのときのLow側ピーク値は、−1250Vである。
【表1】
【0076】
表1に示すように、電極の幅Lが100μmで、間隔Sが150μmのときは、Low側ピーク値が、−1000Vでも、電気力線が形成されなかった。しかし、電極の幅Lを200μmで、間隔Sを300μmに広げた場合は、Low側ピーク値が−1000Vで電気力線が形成された。さらに、電極の幅Lが300μmで、間隔Sが450μmの例においては、Low側ピーク値が−750Vで、電気力線が形成されてしまった。
【0077】
下記表2は、前記表1に対応した条件での印写画像において、非画像部へのトナー付着を評価した結果であり、△は地汚れが目視で確認されるがトナーの付着量は少ない、×は地汚れが大きく発生している。○の条件であれば、地汚れの問題は無い領域である。
【表2】
【0078】
このように、Low側ピーク値が感光体49の非画像部電位よりも負極性側に大きくても、電極の幅や電極の間隔の条件により、非画像部とLow側ピーク値印加電極との間に電気力線が形成されるのを抑制することができ、地汚れを抑制できることがわかる。
【0079】
図17は、図16(a)に示した実施例において、外側電極と内側電極とに印加しているパルス電圧の位相が逆位相になったタイミングの電気力線を示している。すなわち、図17においては、外側電極4が−150V、内側電極3が−650Vの状態である。よって、図に示すように、内側電極3と潜像部の間に現像用の電気力線が形成されている。
【0080】
図18は、外側電極4がLow側ピーク値のときの外側電極4と潜像部との間の現像電界の強さと、内側電極3がLow側ピーク値のときの内側電極と潜像部との間の現像電界の強さとを比較した結果を示す図である。
図に示すように、外側電極4と潜像部との間の現像電界の方が、内側電極3と潜像部との間の現像電界よりも、平均で1.5倍大きいという結果が得られた。この例では電極間の絶縁体層の厚さが16μmの例であるが、この厚さが厚くなるとその差はさらに大きくなる。つまり、図18に示す結果は、トナー担持ローラ101の外側電極4の電界が表面の空間電界に大きく影響することを示している。よって、図6に示した内部と外部に電極を配置したトナー担持ローラ101においては、現像電界、地汚れ電界(非潜像部とLow側ピーク値が印加された電極との間に電気力線が形成されないような電界)の設定は外側電極4と感光体49との関係で設定すればよいことになる。具体的には、外側電極4にクラウドパルスのLow側ピーク値を印加したときの電気力線をシミュレートして、クラウドパルスのLow側ピーク値(第2電源の出力電圧)を決めればよい。また、画像濃度検知手段によりクラウドパルスのLow側ピーク値を変更する装置においては、クラウドパルスのLow側ピーク値のマイナス側の閾値を決めておき、閾値以上クラウドパルスのLow側ピーク値を変更できないようにしておく。そして、クラウドパルスのLow側ピーク値が閾値のときに、外側電極4にクラウドパルスのLow側ピーク値を印加したときの電気力線をシミュレートして、電気力線が形成されないような条件に、外側電極の電極部4aの幅L、間隔S、現像ギャップを設定する。これにより、画像濃度検知手段によりクラウドパルスのLow側ピーク値を変更する装置において、クラウドパルスのLow側ピーク値をマイナス側へ変更した場合でも、地汚れが生じることがない。
【0081】
なお、正極性トナーを現像に用いる場合は、High側のピーク値が印加された電極と、非画像部との間に電気力線が形成されると、正極性トナーが非画像部へ飛翔して、地汚れになる。よって、正極性トナーを用いる場合は、High側のピーク値が印加された電極と、非画像部との間に電気力線が形成されないような条件に、クラウドパルスのHigh側のピーク値、電極の幅L、間隔S、現像ギャップを設定する。
【0082】
以上、本実施形態の現像装置は、複数の電極を有するトナー担持体たるトナー担持ローラ101と、トナー担持ローラの表面にトナーを供給するトナー供給手段たるトナー供給ローラ18と、複数の電極にパルス電圧たるクラウドパルスを印加することによって、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持ローラ101の表面上に発生させるホッピング電界発生手段であるパルス電圧印加手段30とを有している。そして、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーを像担持体たる感光体49と対向する現像領域へ搬送して感光体49上の潜像にトナーを付着させることによって潜像を現像する。また、負極性に帯電したトナーを用いる場合は、湿度検出手段たる湿度センサー40の検知結果に応じて、クラウドパルスの最大ピーク値であるHigh側ピーク値のみを変更して、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更するようパルス電圧印加手段30を制御する制御手段たるクラウドパルス制御回路67を備えた。一方、正極性に帯電したトナーを用いる場合、クラウドパルス制御回路67は、湿度検出手段たる湿度センサー40の検知結果に応じてクラウドパルスの最小ピーク値たるLow側ピーク値を変更して、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更するようパルス電圧印加手段30を制御する。
かかる構成を備えることにより、上述したように、環境条件(湿度条件)が変動しても、良好な画像を維持することができる。また、画像濃度検知手段を設けて、像担持体にテストパターンを形成して、その検知結果に基づいて、クラウドパルスを変更するものに比べて、トナーの消費を抑えることができたり、装置のダウンタイムが生じるのを抑制したりすることができる。
【0083】
また、トナー担持ローラ101は、絶縁性の基材としての絶縁ローラ7と、絶縁ローラ7の表面全体を覆うように形成された第1電極部材としての内側電極3と、内側電極上に絶縁層5を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部4aを有する第2電極部材としての外側電極とを有し、上記パルス電圧印加手段30は、内側電極3と外側電極4との間の電位差が時間的反転するよう各電極にクラウドパルスを印加する。かかる構成とすることで、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーをホッピングさせることができる。
【0084】
また、負極性のトナーを用いる場合は、クラウドパルスのLow側ピーク値を感光体49の非画像部電位よりも正極性側に設定し、正極性トナーを用いる場合は、クラウドパルスのHigh側ピーク値を感光体49の非画像部電位よりも負極性側に設定する。これにより、上述したように、トナー担持ローラ101から感光体49の非画像部へトナーが飛翔するような電気力線が形成されることがなくなり、地汚れを抑制することができる。
【0085】
また、負極性のトナーを用いる場合において、クラウドパルスのLow側ピーク値が、感光体49の非画像部電位よりも負極性側のときや、正極性のトナーを用いる場合において、クラウドパルスのHigh側ピーク値が、感光体49の非画像部電位よりも正極性側のときでも、トナー担持ローラ101から感光体49の非画像部へトナーが飛翔するような電気力線が形成されないよう、外側電極の電極部4aの幅Lや間隔S、感光体49とトナー担持ローラ101とのギャップである現像ギャップを設定することで、地汚れを抑制することができる。
【0086】
また、制御手段たる画像濃度制御回路66は、負極性トナーを用いる場合は、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段たる画像濃度検知センサ65から出力された感光体49上の画像に係る画像濃度信号に応じてクラウドパルスのLow側ピーク値を変更し、正極性トナーを用いる場合は、画像濃度信号に応じて上記クラウドパルスのHigh側ピーク値を変更する。これにより、環境変動(湿度変動)以外の要因による画像濃度の変化を抑制することができる。
【0087】
また、パルス電圧印加手段30は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路たるパルス出力発生回路37と、パルス出力発生回路37にクラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源31と、第1の電源31の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源32とからなる。正極性トナーを用いる場合は、第2の電源32は、プラス直流電源である。そして、制御手段たるクラウドパルス制御回路67は、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更する場合は、上記第1の電源31の出力レベルのみを変化させる。これにより、負極性トナーを用いた場合は、Low側のピーク値、正極性トナーを用いた場合は、High側のピーク値を変更させずに、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更することができる。また、第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させれば、クラウドパルスのピークトゥピーク電圧値(Vpp)を変更することなく、負極性トナーを用いた場合は、Low側のピーク値、正極性トナーを用いた場合は、High側のピーク値を変更することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、現像手段と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、本発明の現像装置1を用いることで、上述したような種々の効果が得られるので望ましい。
【0089】
また、本実施形態によれば、感光体49上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより前記潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、本発明の現像装置を用いることで、上述したような種々の効果が得られることで、その結果、良好な画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1:現像装置
3:内側電極
4:外側電極
4a:電極部
5:絶縁層
6:表層
7:絶縁ローラ
18:トナー供給ローラ
30:パルス電圧印加手段
31:第1の電源
32:第2の電源
37:パルス出力発生回路
40:湿度センサー
49:感光体
65:画像濃度検知センサ
66:画像濃度制御回路
101:トナー担持ローラ
101A:基材
101B:絶縁層
101C:表層
111A:A相用電極
111B:B相用電極
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2007−133387号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
負極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、
湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、
上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
上記パルス電圧の最小ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定したことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2の現像装置において、
上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定されている場合、
上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの現像装置において、
上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最小ピーク値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの現像装置において、
上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、
上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルのみを変化させ、上記パルス電圧の最小ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
正極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、
湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7の現像装置において、
上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、
上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項7または8の現像装置において、
上記パルス電圧の最大ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定したことを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項8の現像装置において、
上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定されている場合、
上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項7乃至10いずれかの現像装置において、
上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項7乃至11いずれかの現像装置において、
上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のプラス直流電源である第2の電源とからなり
上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルを変化させ、上記パルス電圧の最大ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項1乃至12いずれかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記現像手段として、請求項1乃至14いずれかの現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項1】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
負極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、
湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、
上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
上記パルス電圧の最小ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定したことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2の現像装置において、
上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定されている場合、
上記パルス電圧の負極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの現像装置において、
上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最小ピーク値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの現像装置において、
上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、
上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルのみを変化させ、上記パルス電圧の最小ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
正極性に帯電したトナーを上記潜像に付着させて現像を行うものであり、
湿度検出手段の検知結果に応じて、上記パルス電圧の最小ピーク値のみを変更して、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7の現像装置において、
上記トナー担持体は、絶縁性の基材と、該基材の表面全体を覆うように形成された第1電極部材と、第1電極部材上に絶縁層を介して形成され、トナー搬送方向に等間隔に配置された複数の電極部を有する第2電極部材とを有し、
上記ホッピング電界発生手段は、第1電極部材と第2電極部材との間の電位差が時間的反転するよう各電極部材にパルス電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項7または8の現像装置において、
上記パルス電圧の最大ピーク値を、上記像担持体の非画像部電位よりも負極性側に設定したことを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項8の現像装置において、
上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が上記像担持体の非画像部電位よりも正極性側に設定されている場合、
上記パルス電圧の正極性側のピーク電圧値が印加される電極部材と、上記像担持体の非画像部領域との間に電気力線が形成されないよう、上記第2電極部材の電極部の幅、上記第2電極部材の電極部の間隔、上記像担持体と上記トナー像担持体とのギャップが設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項7乃至10いずれかの現像装置において、
上記制御手段は画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて上記パルス電圧の最大ピーク値のみを変更するよう上記ホッピング電界発生手段を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項7乃至11いずれかの現像装置において、
上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のプラス直流電源である第2の電源とからなり
上記制御手段は、上記パルス電圧のピークトゥピーク電圧値を変更する場合は、上記第2の電源の出力レベルを変化させ、上記パルス電圧の最大ピーク値を変更する場合は、上記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項1乃至12いずれかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記現像手段として、請求項1乃至14いずれかの現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−42667(P2012−42667A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183144(P2010−183144)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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