説明

現像装置、及び画像形成装置

【課題】温度上昇を抑制することが可能な現像装置を提供すること
【解決手段】感光体ドラム4の表面に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム4に現像剤を供給する現像ローラ11と、現像ローラ11に現像剤を供給するために、表面に磁気ブラシが形成される磁気ローラ12と、現像ローラ11から現像剤を回収する回収ローラ20と、回収ローラ20の内部を冷却することによって現像剤を冷却する冷却手段とを備え、冷却手段は、回収ローラ20内に形成された、空気又は冷媒が流通する中空部24と、中空部24に空気又は冷媒を流すためのファン22とを有する現像装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びインターネットファクシミリ等の画像形成装置に用いる現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置では、感光体ドラムの周辺に帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、及びクリーニング装置等が設けられている。この帯電装置によって感光体ドラムの表面が一様に帯電された後、露光装置によって露光が行われて感光体ドラムの表面に静電潜像が形成され、現像装置によって現像される。その後、現像されたトナー画像は転写装置によって記録媒体上に転写され、定着装置によって定着された後、装置外へと排出される。一方、転写の際に、感光体ドラムに残留したトナーは、クリーニング装置によって除去される。
【0003】
上記現像装置における現像方式としては、キャリア及びトナーの2成分の現像剤を用いた2成分現像方式と、トナーのみの1成分の現像剤を用いた1成分現像方式が知られている。
【0004】
ところが、2成分現像方式では、感光体ドラムに対向する現像ローラ上にキャリアも搬送されるため、キャリアが感光体ドラム上に付着して転写不良を生じたり、定着装置を傷つける場合がある。一方、1成分現像方式では、トナーの帯電が、層の厚さを規制する穂切り板との摩擦によって行われるが、十分な帯電量を得にくく、更にトナー同士の相互帯電が生じると逆極性に帯電する逆極性トナーが発生し、用紙上にかぶりが発生する場合がある。
【0005】
このような問題を解決するために、1成分現像方式の利点と2成分現像方式の利点を組み合わせたハイブリッド現像方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
図6は、ハイブリッド現像方式を用いた現像装置の構成図である。図6に示すように、特許文献1に記載の現像装置は、感光体ドラム1011に対向配置されている現像ローラ1023と、現像ローラ1023に対向配置されているトナー供給ローラ1024と、トナー供給ローラ1024の下方で、現像ローラ1023に対向配置されているトナー回収ローラ1025とを備えている。更に、トナーとキャリアから成る2成分現像剤を撹拌しながら、トナー供給ローラ1024に供給するスクリュー1028、1029が設けられている。
【0007】
ハイブリッド現像方式では、トナー供給ローラ1024に供給された2成分現像剤が、トリマ1024aによって所定の層の厚さに規制される。そして、トナー供給ローラ1024上で磁気ブラシが形成され、トナーが現像ローラ1023に移動し、トナーは静電力によって感光体ドラム1011に飛翔し、現像が行われる。
【0008】
このようなハイブリッド現像方式では、2成分現像剤の撹拌によってトナーが帯電されるため、十分な帯電量を得ることが出来る。又、現像ローラ1023にはトナーのみが供給されるため、キャリアの感光体ドラム1011への付着も防止することが出来る。
【特許文献1】特開2000−81788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記構成の現像装置において、スクリュー1028、1029による搬送や撹拌による摩擦によってもトナーは発熱するが、層の厚さを規制するために形成された、トリマ1024aとトナー供給ローラ1024の間の微少空間を2成分現像剤が通過する時、圧縮力や摺擦力によってトナーの発熱量は最も多くなる。
【0010】
一方、上述したような1成分現像方式及び2成分現像方式では、トリマ1024aに相当する穂切り板は、図6に示す現像ローラ1023に配置されることになり、現像ローラ1023は現像装置外に露出しているため、穂切り板で生じた熱の放熱が行われやすい。
【0011】
しかしながら、ハイブリッド現像装置では、発熱量が最も多くなるトナー供給ローラ1024が、現像装置の内部に配置されているので、放熱が行われ難く、トナーの温度が上昇し易い。
【0012】
トナーの温度が上昇すると、使用されるトナーの融点が低い場合、トナー樹脂が軟化してトナーの表面に付着している流動化剤がトナー内部に埋没することによりトナーの流動性が低下し、画像濃度の低下や濃度ムラが発生することがある。このように流動性が低下したトナーは、トリマ1024aやトナー供給ローラ1024に融着する場合もある。又、帯電能力が低下し、トナー飛散やかぶり等が発生する場合もある。
【0013】
加えて、近年のトナーは、定着温度を下げて省電力化を図るために、低融点化されている種類が多く、トナーの温度が上昇し易いハイブリッド現像装置に用いることが可能なトナーの種類が著しく制約されることになる。
【0014】
本発明は、従来の現像装置の課題を考慮して、現像剤の温度上昇を抑制することが可能な現像装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
像担持体の表面に形成された静電潜像を現像するために、前記像担持体に現像剤を供給する現像ローラと、
前記現像ローラに前記現像剤を供給するために、表面に磁気ブラシが形成される磁気ローラと、
前記現像ローラから前記現像剤を回収する回収ローラと、
前記回収ローラの内部を冷却することによって、前記現像剤を冷却する冷却手段とを備えた、現像装置である。
【0016】
又、第2の本発明は、
前記冷却手段は、
前記回収ローラの内部に形成された、空気又は冷媒が流通する中空部と、
前記中空部に前記空気又は冷媒を流すための供給器とを有する、第1の本発明の現像装置である。
【0017】
又、第3の本発明は、
前記冷却手段は、凝縮部及び蒸発部を有するヒートパイプであり、
前記蒸発部は、前記回収ローラの内部に配置され、
前記凝縮部は、前記現像装置の外部に配置されている、第1の本発明の現像装置である。
【0018】
又、第4の本発明は、
前記回収ローラは、高熱伝導部材によって形成されている、第1の本発明の現像装置である。
【0019】
又、第5の本発明は、
像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電器と、前記帯電された像担持体上に静電潜像を形成する露光器と、前記静電潜像を現像するための第1から4のいずれかの本発明の現像装置とを有する画像形成ユニットと、
前記現像された画像を記録媒体に転写するための転写ユニットと、
前記記録媒体に前記転写された画像を定着するための定着ユニットとを備えた、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、現像剤の温度上昇を抑制することが可能な現像装置、及び画像形成装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明にかかる画像形成装置の一例である複写機について図面を参照しながら説明するとともに、本発明の現像装置についても同時に述べる。
【0022】
(実施の形態1)
はじめに、本発明にかかる実施の形態1の複写機の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態における複写機100は、その上部に、露光ランプ、レンズ、ミラー等により原稿の画像を読み取る原稿読み取りユニット110を備えている。又、複写機100は、その底部に、画像形成される用紙を収納するための4つの給紙カセット120を備えている。また、給紙カセット120の上部には、手差しトレイ130が設けられている。
【0024】
これら給紙カセット120又は手差しトレイ130から供給された用紙にトナー画像を形成するための画像形成ユニット140が設けられている。この画像形成ユニット140の感光体ドラム4上に形成されたトナー画像を用紙に転写するための転写ローラ150が、感光体ドラム4に対向して配置されている。又、転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着ユニット160と、トナー画像が定着された用紙を排出するための排出ユニット170が設けられている。
【0025】
画像形成ユニット140は、感光体ドラム4と、感光体ドラム4の表面を一様に帯電する帯電器3と、帯電された感光体ドラム4の表面の一部を除電することにより静電潜像を形成する露光器2と、静電潜像にトナーを供給して現像するための現像器1と、転写ローラ150を通過した後に残留したトナーを取り除くためのクリーニング装置5とを有している。尚、図1に示されている点線の矢印は光路を示しており、矢印が接している部分で感光体ドラム4に静電潜像が形成される。又、実線矢印は紙の搬送路を示しており、給紙カセット120から画像形成ユニット140へと用紙を供給するための、給送ローラ121が給紙カセット120の上部に配置されている。
【0026】
次に、本発明の現像装置の一例である、本実施の形態1の現像器1について説明する。
【0027】
図2は、本実施の形態1の現像器1の構成図である。図2に示すように、本実施の形態1の現像器1は、ハイブリッド現像器であり、感光体ドラム4にトナーを供給するために対向配置された現像ローラ11と、磁気ブラシを形成し2成分現像剤のうちトナーのみを現像ローラ11に供給する磁気ローラ12と、現像ローラ11からトナーを取り除くための回収ローラ20とを備えている。これら現像ローラ11、磁気ローラ12、及び回収ローラ20は、ハウジング10内に配置されており、このハウジング10の上部には、現像剤が貯蔵されている現像剤コンテナ17が設けられている。
【0028】
このハイブリッド現像器では、現像剤30としてキャリア30a及びトナー30bを有する2成分現像剤が用いられる。又、現像ローラ11の表面は、例えばアルミニウム、ステンレス、若しくは導電性樹脂等で形成されている。尚、現像ローラ11に交流バイアスと直流バイアスを重畳して印加するための直流バイアス電源32と交流バイアス電源31が設けられている。又、磁気ローラ12は、非磁性金属材料で円筒形状に形成されたスリーブと、その内部に磁気ブラシを形成するための複数の固定磁石とを有し、固定磁石の周囲をスリーブが回転可能になるように構成されている。尚、磁気ローラ12に直流バイアスと交流バイアスを重畳して印加するための、直流バイアス電源34及び交流バイアス電源33が設けられている。
【0029】
更に、磁気ローラ12の表面の2成分現像剤の層の厚さを規制するために、磁気ローラ12の表面と所定の距離を空けて穂切り板36が設けられている。又、穂切り板36と現像剤30との摩擦による発熱を抑えるために、穂切り板36を冷却する穂切り板冷却用風路38が設けられている。この穂切り板冷却用風路38には、ファンなどの空気供給器(図示せず)によって空気が流される。
【0030】
又、ハウジング10内の現像ローラ11の反対側には、紙面垂直方向に2成分現像剤を撹拌しながら搬送する搬送スクリュー14、15が並行に設けられている。この搬送スクリュー14、15の間には、長手方向両端に連通口を有するように隔壁16が形成されており、搬送スクリュー14から搬送スクリュー15へと2成分現像剤が搬送される。例えば、搬送スクリュー15が紙面垂直奥行き方向に2成分現像剤を搬送する場合、搬送スクリュー14は、紙面垂直手前方向に2成分現像剤を搬送するようにスクリューの羽根の向き及び回転が構成されている。
【0031】
次に、回収ローラ20の近傍の構造について説明する。
【0032】
回収ローラ20の表面から回収されたトナー30bを取り除くために、回収ローラ20の表面に当接して配置されたスクレーパ37が設けられている。
【0033】
回収ローラ20は、回収ローラ20と現像ローラ11の間の放電を抑制するとともに、現像ローラ11からトナー30bを回収する能力を確保するために、例えば、アルマイト処理したアルミニウム(電気抵抗率が10Ωm〜1012Ωm)で形成されている。又、回収ローラ20に直流バイアスを印加するための直流バイアス電源35が設けられている。
【0034】
尚、スクレーパ37によって回収ローラから取り除かれたトナー30bは、搬送スクリュー15に供給され、キャリア37aと混ぜられ、再び磁気ローラ12へと供給される。
【0035】
尚、本発明の高熱伝導部材の一例は、アルミニウムに相当するが、銅、銀、タングステン等であってもよい。
【0036】
図3は、回収ローラ20の側面構成図である。図3に示すように、回収ローラ20の内部は中空に形成されており、その中空部24の長手方向の両端部24a、24bにダクト21が接続されている。このダクト21には、ファン22が接続されており、ファン22によって回収ローラ20内の中空部24及びダクト21内を矢印A方向に空気が流通する。尚、回収ローラ20を回転可能とするため、ダクト21の接続部分の直径は、両端部24a、24bの内径よりも若干小さくなるように形成されている。
【0037】
尚、本発明の像担持体の一例は、本実施の形態の感光体ドラム4に相当し、本発明の転写ユニットの一例は、本実施の形態の転写ローラ150に相当する。又、本発明の冷却手段の一例は、本実施の形態の中空部24、ダクト21、ファン22に相当し、本発明の供給器の一例は本実施の形態のファン22に相当する。
【0038】
次に、本実施の形態の複写機の動作について説明する。
【0039】
原稿読み取りユニット180(図1参照)によって原稿の画像データが読み取られるとともに、給紙カセット120から用紙が給紙される。帯電器3によって一様に帯電した感光体ドラム4の表面が、読み取られた画像データに基づいて露光器2によって除電され、静電潜像が形成される。
【0040】
次に、現像器1から感光体ドラム4上にトナー30bが供給され、静電潜像の現像が行われる。ここで、現像剤コンテナ17から供給される2成分現像剤は、搬送スクリュー14、15を経由して搬送され、磁気ローラ12へと供給される(図2参照)。磁気ローラ12へと供給された2成分現像剤は磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシは、磁気ローラ12の回転とともに移動し、穂切り板36によって高さが規制される。尚、穂切り板冷却用風路38には空気が供給され、穂切り板36は冷却されているため、穂切り板36との摩擦により発熱したトナーは、(実施例)にて後述するように、十分ではないものの冷却される。
【0041】
そして、磁気ローラ12と現像ローラ11の間に形成される電界により、磁気ブラシを介して、トナー30bのみが現像ローラ11の表面に移動する。この現像ローラ11上のトナー30bが、静電力によって感光体ドラム4に移動し、静電潜像がトナー30bによって現像される。
【0042】
感光体ドラム4上のトナー画像は、転写ローラ150と感光体ドラム4の間を通過する用紙に転写され、定着ユニット160によって用紙に定着される(図1参照)。そして、画像が定着された用紙は、排出ユニット170によって装置外へ排出される。
【0043】
一方、現像装置が駆動されると同時に、回収ローラ20内に直流バイアスが印加され、ファン22(図3参照)が動作される。図2に示すように、感光体ドラム4へと移動せずに現像ローラ11上に残留したトナー30bは、回収ローラ20と現像ローラ11の間に生じる電界によって回収ローラ20へと移動する。一方、ファン22の動作により回収ローラ20内には空気が供給され、回収ローラ20の表面は冷却されている。そのため、回収ローラ20の表面に付着したトナーは、その回収ローラ20の表面から直接的に熱を奪われて冷却される。
【0044】
このように、回収ローラ20を用いてトナーを冷却することによって、穂切り板36によるトナーの温度上昇を効果的に抑制することが出来る。
【0045】
尚、本実施の形態では、中空部24にダクト21が接続されているが、ダクト21でなく、図4(a)に示すようにチューブ26でファン22と中空部24を接続しても良い。尚、その場合、回収ローラ20が回転するため、チューブ26は、回収ローラ20の両端と回転ジョイント23を介して接続される。
【0046】
又、本実施の形態では空気を流しているが、その他の冷媒、例えば水等を流しても良い。水等の液体を流す場合、ファン22の代わりにポンプを用い、更に回転ジョイント23としてシール性を有するものを用いる必要がある。
【0047】
又、回収ローラ20の内部を中空とし、そこに水や空気を流しているが、図4(b)に示すように、パイプ25を貫通させた上で、ポンプ27をパイプ25上に備え、水を流通させるように構成してもよい。尚、図4(b)に示すようにパイプ25を設けた場合には、シールを兼ねた回転ジョイント23を設ける必要がない。
【0048】
又、図4(c)に示すように、本発明の冷却手段の一例としてヒートパイプ50を用いても良い。このヒートパイプ50は、内部の作動液(冷媒)が外部から熱を奪って気化する蒸発部51と、外部に放熱して液化する凝縮部52とを有しており、蒸発部51は回収ローラ20の内部に設けられており、凝縮部52は現像器1外に配置されている。この凝縮部52には、放熱フィン53が設けられている。
【0049】
尚、冷媒を循環させた方が冷却効果は大きいが、循環させるためにパイプ、シール、及びポンプ等が必要となるため、コスト、消費電力、スペース、メンテナンスなどの観点からは、実施の形態で説明したような空冷の方が好ましい。
【0050】
次に、実施例において回収ローラ20への空気及び水の供給の効果について具体的に説明する。
【実施例】
【0051】
本実施例では、2成分現像剤として体積平均粒径が約7.5μmのトナーと、体積平均粒径が約50μmのキャリアが用いられた。
【0052】
又、現像ローラ11としては、直径がφ25mmのアルミニウム製のものを用い、感光体ドラム4との間隔が250μmとなるように配置されている。又、現像ローラ11は、交流バイアス電源31によって、1.6kV(pp)、周波数2.7kHz、デューティ比27%で印加され、直流バイアス電源32によって200Vで印加されている。
【0053】
又、磁気ローラ12としては、直径がφ22mmであり、アルミニウム製のものが用いられた。又、磁気ローラ12は、交流バイアス電源33によって、300V(pp)、周波数2.7kHz、デューティ比27%で印加され、直流バイアス電源32によって400Vで印加されている。
【0054】
又、回収ローラ20としては、上述したようなアルマイト処理したアルミ(電気抵抗率が10Ωm〜1012Ωm)で形成されており、直径がφ20mm、肉厚が1mmの図3に示すようなものが用いられた。尚、回収ローラ20には、直流バイアス電源35によって100Vが印加されている。又、下記の実験は、周囲温度32.5℃で行われた。
【0055】
(実施例1)
上記の条件で、回収ローラ20の中空部24に流速1000mm/secで空気を流通させた場合に、印字率8%、A4横通し、連続印字枚数60枚/分の条件で60分間の連続印字(合計3.6k枚)を行った際の、穂切り板36の上流側に滞留する現像剤の温度変化が計測された。尚、穂切り板冷却風路38には、空気は供給されていない。
【0056】
(実施例2)
実施例2では、回収ローラ20の中空部24に水を流通させた以外は、実施例1と同様の条件で、温度変化が計測された。
【0057】
(比較例1)
比較例1では、回収ローラ20に中空部24を形成せず、中実の回収ローラを用いた以外は、実施例1と同様の条件で、温度変化が計測された。
【0058】
(比較例2)
比較例2では、回収ローラ20に中空部24を形成せず、中実の回収ローラを用い、穂切り板冷却風路38に2000mm/secの風速で空気を流通させた以外は、実施例1と同様の条件で温度変化が計測された。
【0059】
以上の計測結果が(表1)に示されている。又、図5は、表1の結果をグラフに示した図である。
【0060】
【表1】

(表1)及び(図5)より、比較例1のデータでは、9分後には現像剤の温度が42℃を超えることがわかり、この時点で濃度低下が始まった。概ね現像剤の温度が42℃を超えると、様々な不具合が生じることが経験的に知られている。
【0061】
一方、中空部24に空気を流した場合は、60分後でも現像剤の温度は38℃までしか上昇せず、一般的なオフィス環境では不具合が発生する42℃までは上昇しないと思われる。
【0062】
又、中空部24に水を流通させた場合には、冷却効果が大きく温度上昇は2.3degであった。
【0063】
尚、穂切り板36のみを冷却した比較例2の場合、冷却効果はあるものの、30分後には現像剤の温度が42℃を超えており、冷却が不十分であることが分かる。この理由としては、穂切り板36によって十分に冷却されなかったトナー30bは、回収ローラ20によって回収され、再び、穂切り板36を通過するときに冷却されることになるが、ハウジング10内のトナーと混ざり熱交換を行った後、すなわち蓄熱した後に冷却することになるため、冷却効率が悪いことが考えられる。又、例えば、搬送スクリュー14、15の近傍にダクトを設けることも考えられるが、この場合も、ハウジング10内のトナーと混ざり合った後に冷却されることになるため、冷却効率が悪いと考えられる。
【0064】
対して、本実施の形態の現像装置は、発熱したトナーを、現像器1内の現像剤と混ざり合う前の、回収ローラ20に移動した時点で冷却するため、冷却効率が良い。
【0065】
尚、本実施の形態では、回収ローラ20に中空部24を設けて空気を流通させているが、現像ローラ11内にも中空部を設けて空気を流通させる構成としても良い。
【0066】
又、上記実施の形態及び実施例では、回収ローラ20に常に電圧を印可して現像ローラ11上のトナーを回収しているが、例えば、所定時間毎や低印字状態が続いた場合(印字率5%未満の画像を連続50枚印刷した場合等)に行うようにしてもよい。この場合、トナーは回収ローラ20に引き寄せられないが、回収ローラ20の内部に空気や水を流通させ、回収ローラ20自体を冷却することにより、雰囲気温度が低下する。この雰囲気温度の低下により間接的に現像剤を冷却することが出来、その温度上昇を抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の現像装置によれば、現像剤の温度上昇を抑制することが可能な効果を有し、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びインターネットファクシミリ等の画像形成装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における複写機を模式的に示した正面構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における現像器1の構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における回収ローラの側面構成図
【図4(a)】本発明にかかる実施の形態1の変形例における回収ローラの側面構成図
【図4(b)】本発明にかかる実施の形態1の変形例における回収ローラの側面構成図
【図4(c)】本発明にかかる実施の形態1の変形例における回収ローラの側面構成図
【図5】本発明にかかる実施例の温度上昇のグラフを示す図
【図6】従来の現像器の構成図
【符号の説明】
【0069】
1 現像器
2 露光器
3 帯電器
4 感光体ドラム
5 クリーニング装置
10 ハウジング
11 現像ローラ
12 磁気ローラ
14、15 搬送スクリュー
16 隔壁
17 現像剤コンテナ
20 回収ローラ
21 ダクト
22 ファン
23 回転ジョイント
24 中空部
25 パイプ
26 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に形成された静電潜像を現像するために、前記像担持体に現像剤を供給する現像ローラと、
前記現像ローラに前記現像剤を供給するために、表面に磁気ブラシが形成される磁気ローラと、
前記現像ローラから前記現像剤を回収する回収ローラと、
前記回収ローラの内部を冷却することによって、前記現像剤を冷却する冷却手段とを備えた、現像装置。
【請求項2】
前記冷却手段は、
前記回収ローラの内部に形成された、空気又は冷媒が流通する中空部と、
前記中空部に前記空気又は冷媒を流すための供給器とを有する、請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、凝縮部及び蒸発部を有するヒートパイプであり、
前記蒸発部は、前記回収ローラの内部に配置され、
前記凝縮部は、前記現像装置の外部に配置されている、請求項1記載の現像装置。
【請求項4】
前記回収ローラは、高熱伝導部材によって形成されている、請求項1記載の現像装置。
【請求項5】
像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電器と、前記帯電された像担持体上に静電潜像を形成する露光器と、前記静電潜像を現像するための請求項1から4のいずれかに記載の現像装置とを有する画像形成ユニットと、
前記現像された画像を記録媒体に転写するための転写ユニットと、
前記記録媒体に前記転写された画像を定着するための定着ユニットとを備えた、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−25393(P2009−25393A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186005(P2007−186005)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】