説明

現像装置および画像形成装置

【課題】二成分現像剤を用いたトリクル方式の現像装置に対して、トナー濃度及び現像剤の量に応じて適切な量の現像剤を補給することによって、長期にわたって良好な画像形成を行うことのできる現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像槽内現像剤を搬送・攪拌する攪拌部材と、現像剤担持体と、を備える現像装置であって、現像剤補給タンクと、トナー濃度検出センサと、トリクル式の排出機構と、現像剤量推定センサと、トナー濃度が予め定められた基準トナー濃度よりも低いとき、補給用のトナー及びキャリアを現像槽へ補給する補給動作を制御する制御手段と、を備えてなり、制御手段は、算出されたトナー濃度と推定された現像剤量とに基づいて、補給すべきトナー及びキャリアの量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像装置、及び当該現像装置を用いた画像形成装置に関する。本発明は、特に、新規現像剤を少しずつ供給するとともに劣化現像剤を少しずつ排出するというトリクル方式の現像装置、及び当該現像装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像方式として、現像剤の主成分としてトナーを用いる一成分現像方式と、現像剤の主成分としてトナー及びキャリアを用いる二成分現像方式と、が知られている。
【0003】
トナー及びキャリアを用いた二成分現像方式は、トナーとキャリアとを摩擦接触させることによって両者を所定の極性に荷電させるため、一成分現像剤を用いた一成分現像方式よりも、トナーの受けるストレスが少ないという特徴を有している。キャリアの表面積はトナーよりも大きいことから、トナーがキャリア表面に付着することによってキャリアが汚れることも少ない。しかし、長期間の使用により、キャリア表面に付着した汚れ(スペント)が増加し、そのためにトナーを帯電する能力が次第に低下する。その結果、かぶりやトナー飛散の問題が発生する。二成分現像装置の長寿命化を図るために、現像装置に収容するキャリアの量を増やすことも考えられるが、これは現像装置の大型化を招くために望ましくない。
【0004】
二成分現像剤に係る上記問題を解消するため、特許文献1には、新規の現像剤を少しずつ現像装置内に補給するとともに、帯電性能の劣化した現像剤を少しずつ現像装置から排出することによって、劣化キャリアの増加を抑制するといういわゆるトリクル方式の現像装置が開示されている。この現像装置は、現像剤の嵩変動を利用して、余剰となった劣化現像剤を排出して現像装置内の現像剤の嵩レベルを大略一定に保つ構成である。このトリクル方式の現像装置によれば、現像装置内の劣化キャリアが少しずつ新規キャリアに置換され、現像装置内のキャリアの帯電性能を大略一定に保つことが可能となる。
【0005】
トリクル方式の現像装置では、現像装置内の現像剤を排出しながら現像剤を補給することを行っているから、現像装置内に存在する現像剤の量が変動して、現像装置内に存在する現像剤の量が常に一定にはなっていない。したがって、トリクル方式の現像装置は、同じトナー濃度であっても、現像装置内の現像剤量の違いにより、トナー濃度の検出誤差を生じてしまうという問題を有している。
【0006】
トナー及びキャリアを用いた二成分現像方式においてトナー濃度を検出する方法は、主として、現像剤に照射された光の反射量を検出して単位面積当たりのトナーの含有率を検出する光学式のものと、磁性キャリアの透磁率を検出して単位体積当たりのキャリアの含有率を検出する磁気式のものとがある。センサ自身のコストや現像剤によるセンサの汚染性の観点から、磁気式検出方法が一般的に使用されている。
【0007】
磁気式検出方法は、その検出原理上、トナー濃度の変化だけでなく嵩密度の変化によっても検出領域での透磁率が変化するために、トナー濃度の検出において誤差を生じてしまうという問題を有している。
【0008】
そこで、特許文献2には、トナー濃度検出の誤差発生を防止するために、光学式センサや磁気式センサのように異なった検出原理のセンサを用いて、現像剤のトナー濃度変化及び密度変化を検出し、光学式センサによって得られたトナー濃度に対して密度変化に対応する補正量を加えてトナー濃度を補正することが提案されている。
【特許文献1】特開昭59−100471号公報
【特許文献2】特開平05−341654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示された技術は、検出原理の異なった複数のセンサを配置することから、現像装置の小型化が困難である、制御方法が複雑になる、コストが高い等の問題を有している。さらに、特許文献2に開示された技術は、密度変化に対応する補正量を用いて、光学式センサによって得られたトナー濃度を適正なトナー濃度に補正することを開示するものであり、現像装置内の現像剤量を推定又は検出するものではない。
【0010】
また、現像装置内に存在する現像剤の量が変動するトリクル方式の現像装置においては、トナー濃度を正確に検出したとしても、ある一定量の補給動作を継続すると、現像装置内でのトナー濃度が適正な基準トナー濃度からずれてしまうという問題がある。すなわち、現像装置内に存在する現像剤の量が少ない場合、ある一定量の補給動作を継続すると、トナーの補給量が過多になるために、現像装置内のトナー濃度が基準トナー濃度よりも高めに推移することになる。逆に、現像装置内に存在する現像剤の量が多い場合、ある一定量の補給動作を継続すると、トナーの補給量が過少になるために、現像装置内のトナー濃度が基準トナー濃度よりも低めに推移することになる。したがって、いずれの場合においても、現像装置内でのトナー濃度が適正な基準トナー濃度からずれてしまう。
【0011】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、二成分現像剤を用いたトリクル方式の現像装置に対して、トナー濃度及び現像剤の量に応じて適切な量の現像剤を補給することによって、長期にわたって良好な画像形成を行うことのできる現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および作用・効果】
【0012】
前記技術的課題を解決するために、本発明によれば、
トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、該攪拌部材に隣接配置され攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、を備える現像装置であって、
トナー及びキャリアを現像槽へ補給する現像剤補給タンクと、
前記現像槽内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサと、
前記現像槽内に存在する現像槽内現像剤の量を推定する現像剤量推定センサと、
前記現像槽に設けられ、現像槽内の現像槽内現像剤の量が所定量を上回ったときに、上回った現像槽内現像剤を現像槽外に排出する排出機構と、
トナー濃度検出センサによって検出されたトナー濃度が予め定められた基準トナー濃度よりも低いとき、現像剤補給タンクから補給用のトナー及びキャリアを現像槽へ補給する補給動作を制御する制御手段と、を備えてなり、
前記制御手段は、検出されたトナー濃度と推定された現像剤量とに基づいて、補給すべきトナー及びキャリアの量を決定することを特徴とする現像装置が提供される。
【0013】
上記現像装置によれば、トナー濃度検出センサから出力された値に基づいて、真のトナー濃度に近似した、いわば近似トナー濃度が算出される。現像剤量推定センサから出力された値に基づいて、現像槽内に存在する現像剤の量が推定される。
【0014】
算出されたトナー濃度及び推定された現像剤量と、補給すべき補給量との関係を実験的に求めた算出式又はテーブルに基づいて、所望とするトナー濃度とするために必要な補給量が決定され、当該補給量が現像槽へ補給される。したがって、二成分現像剤を用いたトリクル方式の現像装置に対して、現像装置内のトナー濃度及び現像剤量に応じて適切な量の現像剤が補給されるので、長期にわたって良好な画像形成を行うことができる。
【0015】
現像剤が滞留しやすい場所は、現像剤の充填度合いの高い密状態であるので、現像槽内のトナー濃度をより正確に反映している。したがって、トナー濃度検出センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの高い場所に設置される。また、現像剤が滞留しにくい場所は、現像剤の充填度合いの低い疎状態であるので、現像槽内の現像剤量を反映していると考えられる。したがって、現像剤量推定センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの低い場所に設置される。
【0016】
上記のように、トナー濃度検出センサは現像剤の充填度合いの高い場所に設置され、現像剤量推定センサは現像剤の充填度合いの低い場所に設置されることが好適である。各センサの具体的な設置場所として、トナー濃度検出センサの設置場所は、静電潜像担持体から遠方側に位置する第一搬送路の最下流位置の周辺であり、現像剤量推定センサの設置場所は、前記第一搬送路の最下流位置よりも上流側である。
【0017】
また、各センサの具体的な他の設置場所として、トナー濃度検出センサの設置場所は、第一搬送路の側面視、現像剤量推定センサの設置場所よりも下方に位置している。
【0018】
上述した現像装置は、周面に静電潜像を担持する回転可能な静電潜像担持体と、トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、該攪拌部材に隣接配置され攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、を備える画像形成装置に組み込んで使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置1及び現像装置34では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0020】
図1乃至6を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る画像形成装置1及び当該装置に使用される現像装置34について説明する。
【0021】
〔画像形成装置〕
図1は、本発明に係る電子写真式画像形成装置1の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電装置26、露光装置28、現像装置34、転写装置36、およびクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。
【0022】
帯電装置26は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28は、帯電された感光体12の外周面に向けて、画像光30を出射する。露光装置28を通過した感光体12の外周面には、画像光30が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分とからなる静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像装置34は、後述する現像槽内現像剤3を用いて静電潜像を可視像化する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写装置36は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどの用紙38に転写する。図1に示した実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして図示されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニング装置40は、転写装置36で用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして図示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
【0023】
このような構成を備えた画像形成装置1が画像を形成するとき、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて例えば反時計周り方向に回転する。このとき、帯電装置26を通過する感光体12の外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体12の外周部分は、露光装置28で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像装置34のところまで搬送され、現像装置34によって可視像化される。可視像化されたトナー像は、感光体12の回転と共に転写装置36のところまで搬送され、転写装置36により用紙38に転写される。トナー像が転写された用紙38は定着装置20のところまで搬送され、用紙38にトナー像が固定される。転写装置36を通過した感光体12の外周部分はクリーニング装置40のところまで搬送され、用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残存するトナーが感光体12から掻き取られる。
【0024】
〔現像装置〕
現像装置34は、非磁性トナー(以下、単にトナーという。)及び磁性キャリア(以下、単にキャリアという。)を含む2成分現像剤と、種々の部材を収容する現像槽66と、を備えている。現像槽66は感光体12に向けて開放された開口部を備えており、この開口部の近傍に形成された空間に現像ローラ48が設けられている。現像剤担持体としての現像ローラ48は、円筒状の部材であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップを介して、回転可能に枢支されている。
【0025】
現像ローラ48は、回転不能に固定された磁石体48aと、磁石体48aの周囲を回転可能に支持された円筒状のスリーブ48b(第一の回転円筒体)と、を有するいわゆるマグネットローラである。現像ローラ48のスリーブ48bの上方には、現像槽66に固定され、現像ローラ48のスリーブ48bの中心軸と平行に延在する規制板62が、所定の規制ギャップを介して対向配置されている。現像ローラ48の内側にある磁石体48aは、スリーブ48bの回転方向に沿って、N1、S2、N3、N2、S1という5個の磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、感光体12と対向するように配置されている。スリーブ48bの上の現像剤を剥離させるための反発磁界を発生させる同極のN2及びN3は、現像槽66の内部に対向配置されている。現像ローラ48のスリーブ48bは、感光体1の回転方向と逆向きに(カウンター方向に)回転する。
【0026】
図2は、現像装置34を上から見た模式的断面図である。図2に示すように、現像ローラ48の背後には、現像剤攪拌搬送室67が形成されている。現像剤攪拌搬送室67は、現像ローラ48の近傍に形成された第二搬送路70と現像ローラ48から離れた第一搬送路68と、第一搬送路68及び第二搬送路70を間仕切る隔壁76と、を有する。第一搬送路68の搬送方向の上流側の上方には、現像剤補給タンク80が配設されていて、現像剤補給タンク80が補給口82を介して第一搬送路68と連通している。現像剤補給タンク80には、トナーを主成分としてキャリアを含有する補給用現像剤2が充填されている。補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは5乃至40重量%であり、より好ましくは10乃至30重量%である。また、第二搬送路70の搬送方向の下流側の下方には、現像剤回収タンク90が配設されていて、現像剤回収タンク90が回収口92を介して第二搬送路70と連通している。
【0027】
現像剤補給タンク80の底部には、制御部100によって駆動制御される現像剤補給ローラが配置されている。補給用モータの回転駆動により現像剤補給ローラが回転することによって、その駆動時間に応じた量の新規の補給用現像剤2が、流下して現像槽66の第一搬送路68に供給される。
【0028】
第一搬送路68には、現像槽内現像剤3を攪拌しながら搬送する攪拌部材である第一スクリュー72が回転可能に枢支されている。第二搬送路70には、第一搬送路68からの現像槽内現像剤3を攪拌しながら現像ローラ48に搬送する第二スクリュー74が回転可能に枢支されている。第一スクリュー72及び第二スクリュー74は、それぞれ、シャフトに所定のピッチで螺旋状の羽根が固定された通常のスパイラルスクリューである。この場合、第一搬送路68と第二搬送路70との両端部に位置する隔壁76の上部が切り欠かれることによって連絡通路が形成されている。第一搬送路68の搬送方向の下流側端部に到達した現像槽内現像剤3が連絡通路を介して第二搬送路70へ送り込まれ、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部に到達した現像槽内現像剤3が連絡通路を介して第一搬送路68に送り込まれる。その結果、図2の矢印方向にしたがって、現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室内を循環する。
【0029】
第一スクリュー72及び第二スクリュー74は、シャフトに所定のピッチで螺旋状の羽根が固定されたスパイラルスクリューである。図2の右端部に示すように、第二スクリュー74は、図中の右側に延在して、回収口92の上まで延在している。第二スクリュー74は、第二搬送路70から第一搬送路68に向かう連絡通路及び第二搬送路70の下流側側端部に対応する位置において、スパイラルスクリューの螺旋の向きが他の部分とは逆向きに構成されている逆羽根部を有する。第二スクリュー74の羽根のピッチは、搬送方向の下流側端部(図2の右端部)において他の部分に比べて小さくなっている。その結果、第二スクリュー74が回転すると、第二スクリュー74の搬送方向の下流側端部(右端部)での現像槽内現像剤3の高さが他の部分に比べて高くなる。すなわち、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)において、現像槽内現像剤3の盛り上がりが形成される。
【0030】
ここで、現像装置34は、いわゆるトリクル方式を採用したものであるから、余剰の現像槽内現像剤3を流出させるための流出口75を有している。すなわち、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に位置する側壁の上部が部分的に切り欠かれた切欠75を設けることによって、流出口75が形成されている。第二スクリュー74によって搬送される現像剤は、通常の状態では逆羽根部によってせき止められることにより、図2の実線矢印のように、第二搬送路70から第一搬送路68へと搬送される。現像槽内における現像槽内現像剤3が増えて現像槽内の液面が上昇すると、逆羽根部のせき止め作用に抗して側壁の上部に設けられた流出口75を現像槽内現像剤3が乗り越えて、隣接する回収室に溢出する。回収室に溢出した余剰の現像槽内現像剤3は、回収口92まで搬送され、回収口92を介して現像剤回収タンク90に回収(廃棄)される。
【0031】
図2に示すように、現像剤攪拌搬送室67の底面には、現像剤攪拌搬送室67内でのトナー濃度を検出する磁気式のトナー濃度検出センサ78が設けられている。磁気式のトナー濃度検出センサ78は、例えば、コイルのインダクタンスの変化から、現像槽内現像剤3に含まれる磁性キャリアの透磁率変化を検出して透磁率変化に対応した値を出力する。トナー濃度検出センサ78から出力された出力値に基づいて、現像槽内現像剤3に対するトナーの比率が求められる。例えば、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が少ない場合は、トナー比率が高いと検出される。一方、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が多い場合は、トナー比率が低いと検出される。
【0032】
現像槽内現像剤3が滞留しやすい場所は、現像槽内現像剤3の充填度合いが高い密状態になっているので、現像槽66内のトナー濃度をより正確に反映している。したがって、トナー濃度検出センサ78は、現像槽内現像剤3が滞留しやすい場所に設置されるが、例えば、図2に示すように、第一搬送路68の最下流位置であって第二搬送路70に向けて屈曲する連絡通路よりも手前の領域、いわゆるベンド領域の周辺に設置される。
【0033】
また、図2に示すように、現像剤攪拌搬送室67の底面には、現像剤攪拌搬送室67内に存在する現像槽内現像剤3の量を推定するための磁気式の現像剤量推定センサ65が設けられている。現像剤量推定センサ65は、現像槽内現像剤3が滞留しにくい場所すなわち、現像槽内現像剤3の充填度合いが低い疎な場所に設置されるが、例えば、図2に示すように、第一搬送路68の大略中間に位置する中間領域に設置される。磁気式の現像剤量推定センサ65は、上記磁気式のトナー濃度検出センサ78と同様に、例えば、コイルのインダクタンスの変化から、現像槽内現像剤3に含まれる磁性キャリアの透磁率変化を検出して透磁率変化に対応した値を出力する。後述するように、トナー濃度検出センサ78により正確に検出されたトナー濃度と、磁気式の現像剤量推定センサ65からの出力値とに基づいて、現像槽内現像剤3の量が推定される。
【0034】
そして、トナー濃度検出センサ78及び現像剤量推定センサ65から出力された各電圧信号は、制御部100に入力され、これらの電圧信号に基づいて、必要な補給量が算出されるとともに、現像剤補給タンク80の現像剤補給ローラが駆動され、所定量の補給用現像剤2が現像槽66内に補給される。
【0035】
現像装置34において、印字動作により、循環している現像槽内現像剤3のトナー濃度が低下すると、トナーと少量のキャリアとを含有する補給用現像剤2が現像剤補給タンク80から補給される。補給用現像剤2は、トナーとキャリアとが一体的な形態で、あるいはトナーとキャリアとが別々の形態で供給される。補給された新規の補給用現像剤2は、すでに存在する現像槽内現像剤3と混合・攪拌されながら、上記現像剤攪拌搬送室67の第一搬送路68及び第二搬送路70に沿って搬送される。基本的には、トナーは感光体12で消費されるのに対して、キャリアは現像装置34内に蓄積されるが、印刷枚数の増加に伴ってキャリアの帯電性能は次第に低下する。補給用現像剤2にはトナーよりも嵩高いキャリアが少量含まれているので、補給用現像剤2の補給動作に伴って、現像装置34内での現像槽内現像剤3の量が徐々に増加する。そして、嵩の増えた現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室67を循環する。現像剤攪拌搬送室67を循環しきれない余剰の現像槽内現像剤3は、逆羽根部を乗り越えて、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に設けられた流出口75から流出して、回収口92を介して現像剤回収タンク90に回収される。
【0036】
なお、現像剤攪拌搬送室67を構成する第一搬送路68及び第二搬送路70は、図1のように同じ高さに配置されたり、異なった高さに配置(不図示)されたりして、様々な構成をとることができる。
【0037】
補給用現像剤2の補給量は、トナー濃度検出センサ78によって検出された現像槽内現像剤3のトナー濃度と、画像形成時の画像情報(ドットカウンタ)と、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比と、に基づいて決定される。現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比は、現像装置34内でのキャリアの劣化を抑制するとともに、コストアップを招かない程度に調整される。トナーの補給動作に伴って、キャリアが少しずつ供給される。
【0038】
図3は、画像形成装置1の現像装置34に係る制御ブロック図を示している。
【0039】
制御手段としての制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)106等から構成される。ROM104内に格納されている各種処理プログラムやテーブルに従って、CPU102は画像形成装置1での各種動作を集中的に制御する。ROM104には、例えば、トナー濃度検出センサ78から出力された出力電圧値に基づいて現像槽内現像剤3のトナー濃度に変換・算出するためのトナー濃度算出テーブルや、トナー濃度検出センサ78によって得られたトナー濃度と現像剤量推定センサ65からの出力値とに基づいて現像槽内現像剤3の量を推定する現像剤量推定用テーブル又は算出式や、算出されたトナー濃度と推定された現像槽内現像剤3の量とに基づいて補給用現像剤2の量を算出するための現像剤補給用テーブル又は算出式が格納されている。RAM106は、制御部100により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成している。
【0040】
CPU102には、現像装置34や現像剤補給タンク80やカウンタ108が接続されている。現像装置34を構成する攪拌部材72,74やトナー濃度検出センサ78や現像剤量推定センサ65や現像ローラ48の動作が、制御部100のCPU102によって制御される。制御部100のCPU102は、攪拌部材72,74の回転数を制御する攪拌部材回転制御手段として用いられている。さらにまた、CPU102は、現像剤量推定センサ65の出力に応じて、現像剤補給タンクから補給される前記予め定められた量を調整する調整手段として用いられている。そして、トナー濃度検出センサ78から出力された出力電圧値や、算出されたトナー濃度や、現像剤量推定センサ65から出力された出力電圧値や、推定された現像槽内現像剤3の量や、画像形成時の画像情報や、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比等は、RAM106に一時的に記憶されている。
【0041】
〔現像剤〕
2成分現像剤は、トナーと、トナーを帯電させるためのキャリアと、を含んでいる。本発明においては、画像形成装置1において従来から一般的に使用されている公知のトナーが使用可能である。トナーの粒径は、例えば約3乃至15μmである。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナーや、荷電制御剤や離型剤を含有するトナーや、表面に添加剤を保持するトナーも使用可能である。
【0042】
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造される。
【0043】
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80乃至160℃の範囲であり、ガラス転移点が約50乃至75℃の範囲であることが好ましい。
【0044】
着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2乃至20重量部であることが好ましい。
【0045】
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0046】
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0047】
さらに、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコンオイル等で疎水化した材料を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1乃至5重量部の割合で添加することが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は、9乃至100nmであることが好ましい。
【0048】
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15乃至100μmであることが好ましい。
【0049】
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、表面に正極性または負極性に帯電する微粒子又はコーティング層を有するものが使用できる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御できる。
【0050】
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
【0051】
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。キャリアの形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50乃至90重量%の量で添加することが適切である。
【0052】
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂をキャリア表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、キャリアの電荷付与能力を向上できる。
【0053】
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与えることにより微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むことで行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部が磁性樹脂キャリア表面から突出するように固定される。帯電性微粒子には、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的に、有機系の絶縁性材料としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子がある。電荷付与能力および帯電極性は、帯電性微粒子の素材、重合触媒、表面処理等に調整できる。無機系の絶縁性材料としては、シリカ、二酸化チタン等の負極性に帯電する無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正極性に帯電する無機微粒子が用いられる。
【0054】
コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子を樹脂で被覆したキャリアであり、バインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正極性または負極性に帯電する帯電性微粒子を固着することができる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の選択により調整できる。コーティング樹脂は、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
【0055】
現像槽内現像剤3のトナー及びキャリアの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるように調整される。現像槽内現像剤3のトナー比は、トナー及びキャリアの合計量に対して、好ましくは3乃至20重量%であり、より好ましくは4乃至15重量%である。また、現像剤補給タンク80に充填されている補給用現像剤2は、トナー及び少量のキャリアを含有したものであり、補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは1乃至50重量%であり、より好ましくは5乃至30重量%である。
【0056】
このように構成された現像装置34の動作を説明する。
【0057】
画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48のスリーブ48bは矢印方向(反時計回り)に回転する。第一スクリュー72の回転及び第二スクリュー74の回転により、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3は、第一搬送路68と第二搬送路70とを循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアとが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。本発明に用いるトナー及びキャリアの帯電性は、このような組み合わせに限定されるものでない。キャリアの外形寸法は、トナーに比べて相当大きい。そのため、正極性に帯電したキャリアの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
【0058】
帯電された現像槽内現像剤3は、第二スクリュー74によって第二搬送路70に搬送される過程で現像ローラ48に供給される。この現像剤は、現像ローラ48内部の磁石体48aの磁力によってスリーブ48bの表面側に保持され、スリーブ48bと共に反時計周り方向に回転移動して、現像ローラ48に対向して設けられた規制板62で通過量を規制された後、感光体12と対向する現像領域へと搬送される。そして、現像領域において、磁石体48aの主磁極N1の磁力によって穂立ち(磁気ブラシ)が形成される。現像領域では、感光体12上の静電潜像と現像バイアスの印加された現像ローラ48との間に形成された電界(直流に交流が重畳された電界)がトナーに与える力により、トナーが感光体12上の静電潜像側へと移動して、この静電潜像が顕像へと現像される。現像領域でトナーを消費した現像剤は、現像槽66に向けて搬送され、現像槽66の第二搬送路70に対向して設けられた磁石体48aのN3,N2の反発磁界によって現像ローラ48上から剥離され、現像槽66内へと回収される。回収された現像剤は、第二搬送路70を搬送されている現像槽内現像剤3と混合される。
【0059】
このような画像形成によって現像槽内現像剤3の中からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像槽66へ補給されることが好ましい。そのために、現像装置34は、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3に対するトナーの比を測定するトナー濃度検出センサ78を備えている。また、第一搬送路68の上方には現像剤補給タンク80が設けてある。
【0060】
次に、本発明の一実施形態に係る現像装置34の動作を、図4乃至6を参照しながら説明する。
【0061】
図4は、現像剤量推定センサ65の出力電圧値Pと推定された現像槽内現像剤3の量Gとの関係を示すグラフである。図5は、推定された現像槽内現像剤3の量Gと補給すべき現像剤の量Sとの関係を示すグラフである。図6は、図示しない全体制御(メインルーチン)のうちの現像剤補給制御のサブルーチンに関するフローチャートである。
【0062】
トナー濃度検出センサ78によって得られたあるトナー濃度Tcに対して、現像剤量推定センサ65の出力電圧値をPとし、推定された現像剤の量をGとすると、両者の関係を実験的に求めると、例えば、以下のような二次の現像剤量推定用算出式(1)に近似される。
G=−33.333×P+(−33.335×Tc+490)×P+(128.34×Tc−1116) (1)
【0063】
図4は、一例として、トナー濃度Tcがそれぞれ6、7、8重量%である場合を示している。上記の二次の現像剤量推定用算出式(1)がROM104に格納されていて、トナー濃度Tcと現像剤量推定センサ65の出力電圧値Pとが得られると、現像槽内現像剤3の量Gを推定することができる。例えば、検出されたトナー濃度Tcが7重量%であり、現像剤量推定センサ65の出力電圧値Pが2.6Vであるとき、現像槽内現像剤3の量Gは約224gと推定される。
【0064】
上記算出式(1)により現像槽内現像剤3の量Gが推定されると、トナー濃度検出センサ78によって得られたあるトナー濃度Tcに対して、補給すべき補給用現像剤2の量Sが以下のような線形の算出式(2)によって算出される。なお、補給用現像剤2のキャリア比が20重量%であり、基準トナー濃度が7重量%であるという条件で補給量Sの算出式(2)を得られている。
S=(−1.37×(Tc/100)+0.0959)×G (2)
【0065】
図5は、一例として、7重量%という目標に対してトナー濃度Tcが4、5、6重量%の場合を示している。上記の線形の補給量算出式(2)がROM104に格納されていて、検出されたトナー濃度Tcと推定された現像槽内現像剤3の量Gとにより、補給すべき補給用現像剤2の量Sを求めることができる。例えば、検出されたトナー濃度Tcが6重量%であり、推定された現像槽内現像剤3の量Gが230gであるとき、補給すべき補給用現像剤2の量Sは3.15gとなる。
【0066】
現像装置34内の現像剤量Gが少ないと推定された場合、多量の補給用現像剤2の補給を継続的に行うと相対的に補給過多になってしまい、現像装置34内でのトナー濃度Tcが高めに推移してしまう。そこで、現像装置34内の現像剤量Gが少ないと推定された場合、少量の補給用現像剤2の補給が行われる。また、現像装置34内の現像剤量Gが多いと推定された場合、少量の補給用現像剤2の補給を継続的に行うと相対的に補給過少になってしまい、現像装置34内でのトナー濃度Tcが低めに推移してしまう。そこで、現像装置34内の現像剤量が多いと推定された場合、多量の補給用現像剤2の補給が行われる。
【0067】
補給用現像剤2の補給量の調整は、現像剤補給ローラの駆動時間を調整することによって行われる。補給量に対応した現像剤補給ローラの駆動時間が実験的に予め求められていて、例えば、上記補給量算出式(2)によって具体的な補給量が決定されると、補給量に対応した現像剤補給ローラの駆動時間が決定される。現像剤補給ローラの駆動時間に応じた補給用現像剤2が、流下して現像槽66の第一搬送路68に供給される。
【0068】
図6を参照しながら、本願発明の特徴部分である現像剤補給制御方法について説明する。
【0069】
ステップS102において、トナー濃度検出センサ78から出力された出力電圧値が測定される。そして、ステップS104において、ステップS102で得られた出力電圧値に基づいて、現像槽66内での現像槽内現像剤3のトナー濃度Tcが算出される。
【0070】
ステップS106において、現像剤量推定センサ65から出力された出力電圧値Pが測定される。ステップS108において、ステップS104で算出されたトナー濃度Tcと、ステップS104で得られた出力電圧値Pとに基づいて、現像槽66内での現像槽内現像剤3の量Gが推定される。
【0071】
ステップS110において、算出されたトナー濃度Tcと、推定された現像槽内現像剤3の量Gとに基づいて、トナーの補給量すなわち補給用現像剤2の補給量Sが算出される。
【0072】
ステップS112において、現像剤補給用のテーブル又は算出式を参照することにより、補給用現像剤2の補給量Sに対応した現像剤補給ローラの駆動時間が算出される。ステップS114において、算出された駆動時間にわたって現像剤補給ローラが駆動される。その結果、ステップS116において、現像剤補給ローラの駆動時間に応じた補給用現像剤2が、流下して現像槽66の第一搬送路68に供給される。
【0073】
上記実施形態によれば、算出されたトナー濃度Tcと推定された現像剤量Gとから、所望とするトナー濃度Tcとするために必要な補給量Sが算出され、当該補給量Sが現像槽66へ補給される。したがって、二成分現像剤を用いたトリクル方式の現像装置34に対して、現像装置34内のトナー濃度Tc及び現像剤量Gに応じて適切な量の補給用現像剤2が補給されることにより、長期にわたって良好な画像形成を行うことができる。
【0074】
次に、第二実施形態に係る現像装置34を、図7及び8を参照しながら説明する。なお、第二実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第一実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
【0075】
図7は、本発明の第二実施形態に係る現像装置34の概略構成を示す図である。図8は、図7に示した現像装置34を上から見た模式的断面図である。
【0076】
図7及び8に示す第二実施形態に係る現像装置34は、上記第一実施形態の変形例であって、トナー濃度検出センサ78が、第一搬送路68の側面視、現像剤量推定センサ65よりも下方に設置されていることを特徴としている。
【0077】
上述したように、トナー濃度検出センサ78は現像槽66内における現像槽内現像剤3の充填度合いの高い場所に設置され、現像剤量推定センサ65は、現像槽66内における現像槽内現像剤3の充填度合いの低い場所に設置される。トナー濃度検出センサ78と現像剤量推定センサ65とが第一搬送路68の下流側の大略同じ断面上に存在する場合、トナー濃度検出センサ78及び現像剤量推定センサ65は、それぞれ、以下のような場所に設置される。
【0078】
図7及び8に示すように、トナー濃度検出センサ78が現像槽66の第一搬送路68の底面部分に設置され、現像剤量推定センサ65が現像槽66の側面部分に設置される。あるいは、不図示ではあるが、トナー濃度検出センサ78及び現像剤量推定センサ65の両方が現像槽66の第一搬送路68の側面部分に設置され、且つ、トナー濃度検出センサ78が、現像剤量推定センサ65よりも下方に設置された形態であってもよい。
【0079】
いずれの実施形態においても、算出されたトナー濃度Tcと推定された現像剤量Gとから、所望とするトナー濃度とするために必要な補給量Sが算出され、当該補給量Sが現像槽66へ補給される。したがって、二成分現像剤を用いたトリクル方式の現像装置34に対して、現像装置34内のトナー濃度Tc及び現像剤量Gに応じて適切な量の補給用現像剤2が補給されることにより、長期にわたって良好な画像形成を行うことができる。
【0080】
なお、上記実施形態においては、具体的な数値を用いながら説明したが、当該数値によって本願発明が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等物によって画定される範囲を逸脱しない範囲で本願発明を様々に変形させることができる。
【0081】
上記実施形態においては、トナー濃度検出センサ78及び現像剤量推定センサ65の両方ともが、像槽内現像剤3に含まれる磁性キャリアの透磁率変化を検出する磁気式のセンサを用いているが、検出原理の異なった他のセンサを用いることができる。例えば、現像剤から反射光の光量を検知する光学式のセンサが使用可能である。トナー濃度検出センサ78及び現像剤量推定センサ65の両方ともが、光学式のセンサを用いることができる。あるいは、いずれか一方に磁気式のセンサを用い、他方に光学式のセンサを用いることができる。なお、カーボンブラックを色材としてブラックトナーとキャリアとからなる黒色の現像剤に対しては、光学式のセンサを用いることはできない。
【0082】
さらに、現像槽66内における現像槽内現像剤3の量に応じて単位面積当たりの圧力も変化することから、現像剤量推定センサ65として、薄ゲージ式、半導体ストレインゲージ式、圧電式あるいは光ファイバー式等の圧力センサを用いることもできる。したがって、圧力センサをトナー濃度検出センサ78として現像槽66の第一搬送路68の底面部分に設置する形態であってもよい。
【0083】
前述の実施形態では、現像槽内現像剤3の量Gと、トナー濃度検出センサ78によって得られたトナー濃度Tcと、に基づいて補給量Sを算出しているが、このような方法に限定されるものではなく、ROM104内に現像剤量推定用テーブルを予め用意しておくことにより、現像剤量推定センサ65とトナー濃度検出センサ78との出力値から補給量Sを求めるようにしてもよい。
【0084】
また、トナー濃度検出センサ78の出力に応じて補給量S1を仮決定するとともに、現像剤量推定センサ65の出力に基づいて算出された現像剤量Gに応じて、補給量S1を所定の比率で増減するようにしてもよい。具体的には、例えば現像剤量Gが230gよりも多い場合には補給量がより多くなるように、あるいは現像剤量Gが230gよりも少ない場合には補給量がより少なくなるように、比率をそれぞれ設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の現像装置を上から見た模式的断面図である。
【図3】図2に示した画像形成装置の現像装置に係るブロック図である。
【図4】現像剤量推定センサの出力電圧値と推定された現像剤の量との関係を示すグラフである。
【図5】推定された現像剤の量と補給すべき現像剤の量との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第一実施形態に係る現像装置の現像剤補給制御のサブルーチンに関するフローチャートである。
【図7】本発明の第二実施形態に係る現像装置の概略構成を示す図である。
【図8】図7に示した現像装置を上から見た模式的断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1:画像形成装置
2:補給用現像剤
3:現像槽内現像剤
12:感光体
20:定着装置
22:定着ローラ
26:帯電装置
28:露光装置
30:画像光
34:現像装置
36:転写装置
38:用紙
40:クリーニング装置
48:現像ローラ(現像剤担持体)
48a:磁石体
48b:スリーブ
56:搬送状態切替手段
62:規制板
65:現像剤量推定センサ
66:現像槽
67:現像剤攪拌搬送室
68:第一搬送路
70:第二搬送路
72:第一スクリュー(攪拌部材)
74:第二スクリュー(攪拌部材)
75:切欠(流出口)
76:隔壁
78:トナー濃度検出センサ
80:現像剤補給タンク
82:補給口
90:現像剤回収タンク
92:回収口
100:制御部
102:中央演算処理装置(CPU)
104:読み出し専用メモリ(ROM)
106:読み書き可能メモリ(RAM)
108:カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、該攪拌部材に隣接配置され攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、を備える現像装置であって、
トナー及びキャリアを現像槽へ補給する現像剤補給タンクと、
前記現像槽内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサと、
前記現像槽内に存在する現像槽内現像剤の量を推定する現像剤量推定センサと、
前記現像槽に設けられ、現像槽内の現像槽内現像剤の量が所定量を上回ったときに、上回った現像槽内現像剤を現像槽外に排出する排出機構と、
トナー濃度検出センサによって検出されたトナー濃度が予め定められた基準トナー濃度よりも低いとき、現像剤補給タンクから補給用のトナー及びキャリアを現像槽へ補給する補給動作を制御する制御手段と、を備えてなり、
前記制御手段は、検出されたトナー濃度と推定された現像剤量とに基づいて、補給すべきトナー及びキャリアの量を決定することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記トナー濃度検出センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの高い場所に設置され、前記現像剤量推定センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの低い場所に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記トナー濃度検出センサの設置場所は、静電潜像担持体から遠方側に位置する第一搬送路の最下流位置の周辺であり、現像剤量推定センサの設置場所は、前記第一搬送路の最下流位置よりも上流側であることを特徴とする、請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記トナー濃度検出センサの設置場所は、第一搬送路の側面視、現像剤量推定センサの設置場所よりも下方に位置していることを特徴とする、請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
周面に静電潜像を担持する回転可能な静電潜像担持体と、トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、該攪拌部材に隣接配置され攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、を備える画像形成装置であって、
トナー及びキャリアを現像槽へ補給する現像剤補給タンクと、
前記現像槽内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサと、
前記現像槽内に存在する現像槽内現像剤の量を推定する現像剤量推定センサと、
前記現像槽に設けられ、現像槽内の現像槽内現像剤の量が所定量を上回ったときに、上回った現像槽内現像剤を現像槽外に排出する排出機構と、
トナー濃度検出センサによって検出されたトナー濃度が予め定められた基準トナー濃度よりも低いとき、現像剤補給タンクから補給用のトナー及びキャリアを現像槽へ補給する補給動作を制御する制御手段と、を備えてなり、
前記制御手段は、検出されたトナー濃度と推定された現像剤量とに基づいて、補給すべきトナー及びキャリアの量を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー濃度検出センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの高い場所に設置され、前記現像剤量推定センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの低い場所に設置されることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー濃度検出センサの設置場所は、静電潜像担持体から遠方側に位置する第一搬送路の最下流位置の周辺であり、現像剤量推定センサの設置場所は、前記第一搬送路の最下流位置よりも上流側であることを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トナー濃度検出センサの設置場所は、第一搬送路の側面視、現像剤量推定センサの設置場所よりも下方に位置していることを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、該攪拌部材に隣接配置され攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、トナー及びキャリアを現像槽へ補給する現像剤補給タンクと、前記現像槽内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサと、前記現像槽内に存在する現像槽内現像剤の量を推定する現像剤量推定センサと、現像槽に設けられ、現像槽内の現像槽内現像剤の量が所定量を上回ったときに、上回った現像槽内現像剤を現像槽外に排出する排出機構と、トナー濃度検出センサによって検出されたトナー濃度が予め定められた基準トナー濃度よりも低いとき、現像剤補給タンクから補給用のトナー及びキャリアを現像槽へ補給する補給動作を制御する制御手段と、を備える現像装置に適用される現像方法であって、
トナー濃度検出センサによりトナー濃度を算出するトナー濃度算出工程と、
現像剤量推定センサにより現像槽内現像剤の量を推定する現像剤量推定工程と、
算出されたトナー濃度と推定された現像剤量とに基づいて、補給すべきトナー及びキャリアの量を決定する補給量決定工程と、
補給量決定工程により決定されたトナー及びキャリアの量を現像剤補給タンクから現像槽へ補給する補給工程と、
を備えることを特徴とする現像方法。
【請求項10】
前記トナー濃度検出センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの高い場所に設置され、前記現像剤量推定センサは、現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの低い場所に設置されることを特徴とする、請求項9に記載の現像方法。
【請求項11】
前記トナー濃度検出センサの設置場所は、静電潜像担持体から遠方側に位置する第一搬送路の最下流位置の周辺であり、現像剤量推定センサの設置場所は、前記第一搬送路の最下流位置よりも上流側であることを特徴とする、請求項10に記載の現像方法。
【請求項12】
前記トナー濃度検出センサの設置場所は、第一搬送路の側面視、現像剤量推定センサの設置場所よりも下方に位置していることを特徴とする、請求項10に記載の現像方法。
【請求項13】
トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を収容する現像槽と、
該現像槽内の現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、
現像槽内において現像剤担持体に隣接して配置され、現像槽内現像剤を現像槽内で循環・搬送しながら攪拌する攪拌部材と、
トナー及びキャリアを現像槽へ補給する現像剤補給タンクと、
現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの高い場所に設置された第一トナー濃度検出センサと、
該第一トナー濃度検出センサの出力に応じて予め定められた量のトナー及びキャリアを現像剤補給タンクから現像槽へ補給する補給手段と、
前記現像槽に設けられ、現像槽内の現像槽内現像剤の量が所定量を上回ったときに、上回った現像槽内現像剤を現像槽外に排出する排出機構と、
現像槽内における現像槽内現像剤の充填度合いの低い場所に設置された第二トナー濃度検出センサと、
該第二トナー濃度検出センサの出力に応じて、現像剤補給タンクから補給される前記予め定められた量を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項14】
前記調整手段は、第二トナー濃度検出センサからの出力に基づいて現像槽内現像剤の量を推定するとともに、現像槽内における現像槽内現像剤の量が所定量よりも少ないとき、トナー及びキャリアの補給量を前記予め定められた量よりも少なくすることを特徴とする、請求項13に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−300645(P2009−300645A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153885(P2008−153885)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】