説明

現像装置及び画像形成装置、トナー及びキャリア

【課題】 供給搬送路、攪拌搬送路及び回収搬送路とを備えた現像装置を有し、現像剤の長寿命化を図ることができ、安定した画像濃度の画像形成を行うことができる現像装置、並びにこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 現像装置4において、攪拌スクリュ11の回転軸である攪拌回転軸11aの中心位置と供給スクリュ8の回転軸である供給回転軸8aの中心位置とが略同じ高さとなるように配置し、回収スクリュ6の回転軸である回収回転軸6aの中心位置は、攪拌回転軸11a及び供給回転軸8aの中心位置よりも高い位置で、かつ、現像ローラ5の回転軸である現像回転軸5aの回転中心位置よりも低い位置となるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置に係り、詳しくは、トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を用いる現像装置及びこれを用いた画像形成装置、並びにこれらに用いられるトナー及びキャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いる現像装置として、図19に示す構造ものが知られている。図19に示す現像装置4は、現像剤担持体である現像ローラ5は内部に備えた複数の磁極により磁性キャリアとトナーとからなる現像剤を表面上に担持し、感光体との対向部まで搬送するものである。また、現像ローラ5に現像剤を供給する搬送路と現像剤を攪拌する搬送路とを分けて設けており、2つの搬送路で現像剤を逆方向に搬送することにより現像剤を循環させている。
図19に示す現像装置4では、現像ローラ5に現像剤を供給する搬送路と、現像ローラに供給され現像領域を通過した現像剤を回収する搬送路とが共通である。よって、現像ローラ5に供給する搬送路の搬送方向下流側ほど現像ローラ5に供給する現像剤のトナー濃度が低下するという問題があった。現像ローラ5に供給するトナー濃度が低下すると、現像時の画像濃度も低下となる。
【0003】
このような問題は、特許文献1及び特許文献2に記載された現像装置4のように現像ローラ5への現像剤の供給用のスクリュと現像済みの現像剤の回収用のスクリュとを異なる現像剤搬送路に設けることで解消することができる。以下、特許文献1及び特許文献2に記載された現像装置の構成について説明する。
【0004】
特許文献1に記載の現像装置を図20に示す。
図20に示す現像装置4は、現像ローラ5に現像剤を供給する供給搬送路9と現像領域を通過した現像剤を回収する回収搬送路7とを分けて設けている。さらに、供給搬送路9の最下流側まで搬送された現像剤と回収搬送路7の最下流側まで搬送された回収現像剤とを攪拌しながら供給搬送路9とは逆方向に現像剤を搬送する攪拌搬送路10を備えている。
このような現像装置4では、現像済みの現像剤は回収搬送路7に送られるため、供給搬送路9に混入することがない。これにより、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が変化することなく、現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度も一定となる。さらに、回収現像剤をすぐに供給搬送路9に供給するのではなく、攪拌搬送路10で攪拌した後で供給搬送路9に現像剤を供給するため、十分に攪拌された状態の現像剤を供給搬送路に供給することができる。これにより、攪拌搬送路10を有さず回収搬送路7に送られた現像剤をすぐに供給搬送路9に供給する現像装置で生じ易い、攪拌不足に起因する現像時の画像濃度の不均一や画像濃度の低下を防止することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1では供給搬送路9が攪拌搬送路10の垂直上方に配置されている。攪拌搬送路10から垂直上方の供給搬送路9へ現像剤を受け渡すためには、攪拌搬送路10の下流部では現像剤を滞留させ、過剰の現像剤を供給し、攪拌スクリュ11で押し込むことにより現像剤を盛り上がらせる必要がある。現像剤を押し込んで垂直上方に供給すると、現像剤には過剰なストレスがかかることになり、現像剤の寿命を低下させることになる。
【0006】
特許文献2に記載の現像装置を図21に示す。
図21に示す現像装置4は、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを設け、現像剤の回収と攪拌とを回収搬送路7と攪拌搬送路10とに分けて行っている。これにより、特許文献1と同様に、攪拌が不十分な現像剤が供給搬送路9に供給されることに起因する、現像剤全体のトナー濃度の低下や、トナー濃度が不均一になるという問題を防止することができる。さらに、供給搬送路9と攪拌搬送路10とをほぼ同じ高さに配置し、回収搬送路7を供給搬送路9及び攪拌搬送路10よりも上方に配置している。回収搬送路7は、回収仕切り壁46によって供給搬送路9と仕切られ、回収搬送路7の搬送方向下流端の回収仕切り壁46に開口部が設けられ、回収搬送路7の搬送方向下流端と供給搬送路9の搬送方向上流端とが連通している。上方にある回収搬送路7に供給される現像剤は現像ローラ5に担持され上方に持ち上げられた現像剤である。回収搬送路7内の現像剤を搬送する現像剤回収搬送部材である回収スクリュ6によって回収搬送路7の下流部に到達した現像剤は、回収仕切り壁46の開口部から落下することで攪拌搬送路10の上流部に供給される。一方、攪拌搬送路10及び供給搬送路9の下流部に到達した現像剤は同じ高さにある他方の上流部にそれぞれ供給される。このように、現像剤搬送路内の現像剤の循環系で現像剤を上方に供給することがなく、現像剤を上方に供給するときの現像剤に係るストレスに起因する、現像剤の寿命を低下させることを抑制できる。
【0007】
【特許文献1】特開平11−167260号公報(第1図)
【特許文献2】特開2001−290369号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2では、回収スクリュ6の回転軸である回収回転軸6aの中心位置が現像ローラ5の回転軸である現像回転軸5aの中心位置よりも高い位置となるように配置されている。回収回転軸6aの中心位置が現像回転軸5aの中心位置よりも高い位置となると、現像ローラ5に対する回収スクリュ6及び回収搬送路7の配置も高い位置となる。そのため、現像ローラ5上の現像剤を回収し、回収搬送路7に供給するローラ上現像剤回収部7aの現像ローラ5に対する位置も高い位置となり、ローラ上現像剤回収部7aにおける現像ローラ5の表面の接線の傾きは小さくなる。ローラ上現像剤回収部7aにおける現像ローラ5の表面の接線の水平面に対する傾きが小さいと、現像ローラ5上の現像剤の回収に重力が寄与しにくくなる。そして、ローラ上現像剤回収部7aにおける磁力による担持力を弱めるだけでは現像済み現像剤の1部が現像ローラ5の表面上に乗ったままとなる。現像済み現像剤が現像ローラ5の表面上に乗ったままだと、現像ローラ5のつれ回りにより、ローラ上現像剤回収部7aでの回収仕切り壁46と現像ローラ5表面との隙間を、現像済み現像剤の一部がすり抜けやすくなる。回収仕切り壁46と現像ローラ5表面との隙間をすり抜けた現像剤は、回収搬送路9の下方にある供給搬送路9に入ってしまう。現像済みの現像剤が供給搬送路9に入ってしまう状態は、図19で示した現像装置4の問題を十分に解消するものではなく、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が部分的に低下してしまうおそれがあった。供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が部分的に低下すると、現像ローラ5上の現像剤にトナー濃度ムラが生じ、画像濃度が不均一になるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、供給搬送路、攪拌搬送路及び回収搬送路とを備えた現像装置を有し、現像剤の長寿命化を図ることができ、安定した画像濃度の画像形成を行うことができる現像装置、並びにこれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、内部に備えた複数の磁極により磁性キャリアとトナーとからなる現像剤を表面上に担持し、その表面が回転して潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給する現像剤担持体と、該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材と、該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材と、現像剤担持体に供給されずに該現像剤供給搬送部材の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送部材の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送し、該現像剤を該現像剤供給搬送部材の搬送方向最上流側に供給する現像剤攪拌搬送部材とを有し、該現像剤回収搬送部材、該現像剤供給搬送部材及び該現像剤攪拌搬送部材の3つの現像剤搬送部材を配置する各空間はケーシングによって仕切られて3つの現像剤搬送路を形成し、該3つの現像剤搬送路は、該現像剤回収搬送部材を配置する現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送部材を配置する現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送部材を配置する現像剤攪拌搬送路から成り、該現像剤供給搬送路と該現像剤回収搬送路との搬送方向下流側端部は該現像剤攪拌搬送路の搬送方向上流側端部と連通し、該現像剤攪拌搬送路の下流側端部は該現像剤供給搬送路の搬送方向上流側端部と連通して、該3つの現像剤搬送部材はそれぞれ回転軸を中心に回転することにより該回転軸の軸方向に現像剤を搬送するものであり、該現像剤回収搬送部材の回転軸中心位置が該現像剤攪拌搬送部材の回転中心位置及び該現像剤供給搬送部材の回転軸中心位置よりも高い位置である現像装置において、該現像剤回収搬送部材の回転軸中心位置が該現像剤担持体の回転軸中心位置よりも低い位置であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記現像剤回収搬送路を形成するケーシングとして上記現像剤担持体と上記現像剤回収搬送部材との間を仕切る回収仕切り壁を備え、該回収仕切り壁は該回収搬送路を形成する上部のケーシングと非接触であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の現像装置において、上記回収仕切り壁の上端は上記現像剤回収搬送部材の回転軸中心位置よりも高い位置であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2または3の現像装置において、上記回収仕切り壁の上端は上記現像剤担持体の回転軸中心位置よりも低い位置であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2、3または4の現像装置において、上記回収仕切り壁の上端部の上記現像剤回収搬送部材側の面の水平面に対する角度が60[°]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2、3、4または5の現像装置において、上記回収仕切り壁の上端と対向する上記現像剤担持体表面上の法線方向の磁束密度が10[mT]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の現像装置において、上記現像剤攪拌搬送部材の回転軸中心位置と上記現像剤供給搬送部材の回転軸中心位置とを略同じ高さに配置していることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置において、上記現像剤回収搬送部材は回転軸に螺旋状の羽部を備えるスクリュ形状であり、回転軸に対して上記現像剤担持体側の該羽部が上方から下方に移動し、回転軸に対して該現像剤担持体とは反対側の該羽部が下方から上方に移動するように回転することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の現像装置において、上記現像剤回収搬送部材の外径は、上記現像剤供給搬送部材及び上記現像剤攪拌搬送部材の外形よりも大きいことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の現像装置において、上記回収搬送路において、該回収搬送路を形成するケーシングに回収現像剤が前記攪拌搬送路へと受け渡される開口部を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の現像装置において、少なくとも未使用のトナーを含有する未使用現像剤を上記現像剤搬送路に供給する現像剤供給手段を備え、上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との連通部よりも上記現像剤回収搬送部材の搬送方向上流側の該現像剤回収搬送路内に、該現像剤供給手段によって該未使用現像剤が供給されることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の現像装置において、少なくとも未使用のトナーを含有する未使用現像剤を上記現像剤搬送路に供給する現像剤供給手段を備え、上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との連通部の上方に、該現像剤供給手段によって該未使用現像剤が供給されることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の現像装置において、上記現像剤供給搬送部材は回転軸に螺旋状の羽部を備えるスクリュ形状であり、該現像剤供給搬送部材の搬送方向上流側に比べて該現像剤供給搬送部材の搬送方向下流側の方が該羽部のピッチ幅が短いことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の現像装置において、上記現像剤供給搬送部材、上記現像剤攪拌搬送部材および上記現像剤回収搬送部材の回転数は、上記現像剤担持体の回転数の1.5倍以内であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の現像装置において、上記回収仕切り壁の上端と上記現像剤担持体の表面とは所定の間隔の空隙を備えることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、少なくとも潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、該現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項16の画像形成装置において、上記現像装置として使用するトナーの色が互いに異なる複数の現像装置を備えることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用される磁性キャリアにおいて、該磁性キャリアの体積平均粒径が20[μm]以上、60[μm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用されるトナーにおいて、該トナーは体積平均粒径が3[μm]以上、8[μm]以下であり、該体積平均粒径をD1、個数平均粒径をD2とすると、1.00≦D1/D2≦1.40の関係を満たすことを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用されるトナーにおいて、形状係数SF−1が、100以上、150以下の範囲であり、形状係数SF−2が、100以上、150以下の範囲であることを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用されるトナーにおいて、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50[nm]以上、500[nm]以下、嵩密度が0.3[g/cm]以上である微粒子を外添加して得られたトナーであることを特徴とするものである。
【0011】
上記請求項1乃至21の現像装置においては、現像剤回収搬送路を現像剤供給搬送路と現像剤攪拌搬送路よりも上方に設けている。これにより、現像剤搬送路内で現像剤を循環搬送するときに現像剤を上方に持ち上げる必要がなく、現像剤に過剰なストレスがかかることを防止でき、現像剤の劣化を抑制することができる。
さらに、現像剤回収搬送部材の回転軸の中心位置が現像剤担持体の回転軸の中心位置よりも低い位置となるように配置することにより、現像剤回収搬送部材の回転軸の中心位置が現像剤担持体の回転軸の中心位置よりも高い位置とした従来の現像装置よりも現像剤回収搬送部材及び現像剤回収搬送路の現像剤担持体に対する位置を低くすることができる。よって、現像剤担持体上の現像剤を回収し現像剤回収搬送路に供給する担持体上現像剤回収部を従来の現像装置に比べて現像剤担持体表面の低い位置に設定することができる。そのため、担持体上現像剤回収部における現像剤担持体の表面の接線の水平面に対する傾きを従来の現像装置よりも大きくすることができる。これにより、担持体上現像剤回収部で現像剤に働く重力の現像剤担持体の回転軸に向かって働く成分が従来よりも小さくなり、現像剤担持体表面から現像剤が離間しやすくなる。よって、現像剤が現像剤担持体表面に担持されたまま担持体上現像剤回収部をすり抜けることを抑制し、現像剤回収搬送路に回収されることを促進することで現像剤担持体の表面上の現像剤の回収率を向上することができる。現像剤が現像剤担持体表面に担持されたまま担持体上現像剤回収部をすり抜けることを抑制ことにより、現像済みの現像剤が現像剤担持体と連れ回り、供給位置に達することによるトナー濃度の部分的な低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1乃至21の発明によれば、現像剤担持体に供給される現像剤のトナー濃度の部分的な低下を抑制することができるので、安定した画像濃度の画像形成を行うことができる。さらに、装置内で現像剤を循環搬送するときの現像剤の劣化を抑制することで、現像剤の長寿命化を図ることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、画像形成装置としてのプリンタ100に適用した一実施形態について説明する。本実施形態は、いわゆる中間転写方式のタンデム型画像形成装置を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100を示す概略構成図である。
プリンタ100はイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット90(Y,M,C,K)を備えている。画像形成ユニット90(Y,M,C,K)の下方には、記録体である転写紙Pを収納する用紙収納部200を備える。また、画像形成ユニット90(Y,M,C,K)の上方には、各色のトナー像を重ね合わせて搬送する中間転写ベルト60と中間転写ベルト60上のトナー像を転写紙Pに転写する二次転写ローラ62とを備えた中間転写部16を備える。
中間転写ベルト60と二次転写ローラ62とが対向する二次転写部の上方に転写紙P上の未定着トナーを転写紙Pに定着させるベルトなどを用いた加熱手段を備えた定着装置28を備えている。中間転写ベルト60の図中右側には用紙収納部200から二次転写部及び定着装置28を通って排紙トレイ70まで搬送する用紙搬送路300を形成している。
また、中間転写部16の上方には、未使用の各色トナーを収納するトナー収納容器であるトナーボトル52(Y,M,C,K)を備え、中間転写部16と用紙収納部200との間には露光装置30を備えている。さらに、プリンタ100は、図示しない画像処理部等を備えている。
【0014】
次に、画像形成ユニット90の構成について説明する。4つの画像形成ユニット90は用いるトナーの色が異なる点でのみ相違し、他の構成は共通するので各画像形成ユニット90で用いるトナーの色を示すY,M,C,Kは省略して説明する。
図2は、4つの画像形成ユニット90の一つの拡大説明図である。
図2に示すように、画像形成ユニット90は、潜像担持体である感光体1と、帯電ローラなどの帯電装置2と、現像手段である現像装置4と、転写後の転写残トナーなどを感光体1から除去するブレードなどを用いたクリーニング装置17などから主に構成される。
【0015】
次にプリンタ100動作について説明する。
図示しないPCやスキャナなどの入力装置から画像出力命令がプリンタ100へ送られると、画像信号は画像処理部にて画像処理され、Y,M,C,K各色の信号に分解された後に露光装置30へ送られる。露光装置30は例えばレーザ光源とポリゴンミラー等を用いたレーザスキャン方式の露光方式などが用いられる。
各色の画像形成ユニット90では感光体1が駆動し、帯電装置2により感光体1が一様帯電される。その後露光装置30より画像信号に応じたレーザ光3が照射されて、感光体1上に静電潜像が形成される。感光体1表面上の静電潜像は感光体1と現像装置4との対向部である現像部において現像されることでトナー像として顕像化される。感光体1表面上のトナー像は一次転写ローラ61へのバイアス印加により中間転写ベルト60へと一次転写される。一次転写後に感光体1上に残った転写残トナーはクリーニング装置17のブレードにより除去されて感光体1表面が清掃された後、次の画像形成のための帯電が行われるというサイクルで動作がなされる。現像により消費されたトナーはトナーボトル52から各現像装置4へトナー補給手段であるトナー補給装置50を用いて補給される。
【0016】
一方、中間転写ベルト60へのトナー像の転写は各色の画像形成ユニット90(Y,M,C,K)から順次行われていき、中間転写ベルト60上にて各色のトナー像が重ね合わせられる。転写紙Pは用紙収納部200より用紙搬送路300を通り、中間転写ベルト60と二次転写ローラ62との対向部である二次転写部において、トナー像を転写される。未定着のトナー像をのせた転写紙Pが定着装置28に進入することで、熱と圧力によりトナーが転写紙Pに融着し定着される。そして画像形成装置外の排紙トレイ70上へと出力されて画像形成が終了する。
【0017】
次に本発明の特徴的な構成を備えた現像装置4について説明する。
図3は、本発明の現像装置4の概略構成図である。図3に示すように、現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ5、現像装置4内で現像剤を循環させる現像剤搬送部材、現像剤層厚規制部材としてのドクタ18、トナー濃度センサ27等を備えている。現像剤搬送部材は回転軸に螺旋状の羽部を備えるスクリュ形状であり、回転軸を中心に回転することにより回転軸軸方向に現像剤を搬送するものであり、以下の3つのものを備えている。
一つ目の現像剤搬送部材は、図3中の現像ローラ5の左下方に配置し、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、現像ローラ5に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材としての供給スクリュ8である。二つの現像剤搬送部材は、図3中の現像ローラ5の左側に配置している。感光体1と対向する箇所を通過後の現像ローラ5表面上から回収された現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って、且つ、供給スクリュ8と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材としての回収スクリュ6である。また、三つ目の現像剤搬送部材は、図3中の供給スクリュ8の左側に配置している。現像ローラ5に供給されずに供給スクリュ8の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、現像ローラ5から回収され回収スクリュ6の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受ける。そして、現像ローラ5の軸線方向に沿って、且つ、余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向に搬送し、現像剤を供給スクリュ8の搬送方向最上流側に供給する現像剤攪拌搬送部材としての攪拌スクリュ11である。
【0018】
三つの現像剤搬送部材を配置する各空間はケーシングによって仕切られている。回収スクリュ6を備える空間は、回収仕切り壁46によって供給スクリュ8や攪拌スクリュ11を備える空間と仕切られ、現像剤回収搬送路である回収搬送路7を形成する。供給スクリュ8を備える空間と攪拌スクリュ11を備える空間とは攪拌供給仕切り壁48によって仕切られ、現像剤供給搬送路である供給搬送路9と現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路10を形成する。
攪拌供給仕切り壁48は供給スクリュ8と攪拌スクリュ11との軸方向の両端に開口部を備え、供給搬送路9と攪拌搬送路10とを連通しており、現像剤が循環するようになっている。開口部以外では攪拌供給仕切り壁48によって仕切られており、供給搬送路9と攪拌搬送路10との間での現像剤の移動はない。また、回収スクリュ6の現像剤搬送方向下流端部の回収仕切り壁46の下面に開口部を備え、回収搬送路7の下流端まで搬送された現像剤が攪拌搬送路10の上流端に供給されるようになっている。攪拌供給仕切り壁48と同様に、回収仕切り壁46の開口部以外では回収搬送路7から他の二つの現像剤搬送路への現像剤の移動はない。
また、図3に示すように回収仕切り壁46は、回収スクリュ6の上部の現像装置4のケーシングと非接触であり、回収仕切り壁46の上端とケーシングとの間で回収搬送路7と現像ローラ5を配置した空間とを連通する開口部を形成している。現像ローラ5上の現像領域を通過した現像剤は回収仕切り壁46の上方の開口部から回収搬送路7に移動する。また、回収仕切り壁46の現像ローラ5側の上端には仕切り壁上端部材47を備えている。現像領域を通過した現像ローラ5上の回収現像剤は回収仕切り壁46の上端部の仕切り壁上端部材47の上方から回収搬送路7内に移動する。
【0019】
図3に示すように、攪拌スクリュ11の回転軸である攪拌回転軸11aの中心位置と供給スクリュ8の回転軸である供給回転軸8aの中心位置とが略同じ高さとなるように配置されている。すなわち、攪拌スクリュ11及び攪拌搬送路10と、供給スクリュ8及び供給搬送路9とが略同じ高さとなっている。また、回収スクリュ6の回転軸である回収回転軸6aの中心位置は、攪拌回転軸11a及び供給回転軸8aの中心位置よりも高い位置となるように配置されている。これにより、現像剤搬送路内で現像剤を循環搬送するときに現像剤を上方に持ち上げる必要がなく、現像剤に過剰なストレスがかかることを防止でき、現像剤へのストレスを軽減することができる。
【0020】
また、回収回転軸6aの中心位置は、現像ローラ5の回転軸である現像回転軸5aの中心位置よりも低い位置となるように配置されている。これにより、回収スクリュ6及び回収搬送路7の現像ローラ5に対する位置を低くすることができる。そのため、仕切り壁上端部材47の先端が現像ローラ5と対向し、現像ローラ5上の現像剤を回収し回収搬送路7に供給すローラ上現像剤回収部7aを現像ローラ5表面の低い位置に設定することができる。そして、ローラ上現像剤回収部7aにおける現像ローラ5の表面の接線の水平面に対する傾き大きくすることができる。これにより、ローラ上現像剤回収部7aで現像剤に働く重力の現像ローラ5の現像回転軸5aに向かって働く成分が従来よりも小さくなり、現像ローラ5表面から現像剤が離間しやすくなる。よって、現像剤が現像ローラ5表面に担持されたままローラ上現像剤回収部7aをすり抜けることを抑制し、回収搬送路7に回収されることを促進することで現像ローラ5の表面上の現像剤の回収率を向上することができる。現像剤が現像剤ローラ5表面に担持されたままローラ上現像剤回収部7aをすり抜けることを抑制することにより、現像済みの現像剤が現像ローラ5と連れ回り、供給位置に達することによるトナー濃度の部分的な低下を防止することができる。
【0021】
なお、回収搬送路7を供給搬送路9及び攪拌搬送路10の上方に設けた現像装置4で、現像ローラ5の表面上の現像剤の回収率を高める構成として、特開2003−263025に記載の現像装置がある。特開2003−263025に記載の現像装置を図22に示す。図22に示す構成の現像装置4では、磁石ローラ405等の部材が増えることにより現像装置が大きくなってしまい、特にカラー画像形成装置に適用する際には設計レイアウトの自由度が減り、結果として装置の大型化をまねいてしまう。一方、図3に示す本実施形態の現像装置4であれば、新たな部材を追加することなく、現像ローラ5の表面上の現像剤の回収率を高めることができる。
【0022】
また、回収仕切り壁46の上端部に設けた仕切り壁上端部材47の先端は、現像ローラ5の現像回転軸5aの中心位置よりも下方に設定することを好ましい。これにより、ローラ上現像剤回収部7aにおける現像ローラ5の表面の接線の傾きは90[°]よりも大きくなり、現像ローラ5表面が現像剤の下方から支持しない状態となる。これにより、現像ローラ5表面から現像剤が離間することに重力がさらに寄与しやすくなり、現像ローラ5表面上の現像剤の回収率をさらに向上することができる。
【0023】
本実施形態の現像ローラ5の外径は、18[mm]、現像剤搬送部材である各スクリュの外径は、15[mm]、軸径は5[mm]とした。また、各スクリュのピッチ幅は、25[mm]とした。なお、これらの値は発明を限定するものではない。
【0024】
また、現像装置4では、略同じ高さの供給搬送路9と攪拌搬送路10とを仕切る攪拌供給仕切り壁48の鉛直上方に回収搬送路7を設け、回収搬送路7が供給搬送路9と攪拌搬送路10とを合わせた幅内に収まっている。これにより、現像装置4の省スペース化を図ることができる。
【0025】
次に、現像ローラ5の磁極配置について説明する。
図4は、現像ローラ5の磁極配置の概略説明図である。図4に示すように、現像ローラ5は、内部に固定された磁界発生手段である複数の磁極からなるマグネットローラ5mと、その外側を回転可能な現像スリーブ5sとから主に構成されている。内部に固定されたマグネットローラ5mの各磁極(N1、S2、N2、N3、S1)により現像スリーブ5sまわりには磁界が発生するが、図4では現像スリーブ5s表面における磁束密度の法線成分を図示してある。
【0026】
供給搬送路9から現像ローラ5へ現像ローラ5内の磁極N3により汲み上げられた現像剤は、ドクタ18により薄層化され、感光体1と近接する現像領域(現像磁極N1の位置)に搬送されて現像が行われる。現像領域を通過した回収現像剤は反発磁極N2及びN3により現像ローラ5の表面から離れ、回収搬送路7に落下する。
図4において、仕切り壁上端部材47と現像ローラ5とが対向するローラ上現像剤回収部7aの近傍の位置(点線部)における現像スリーブ5s表面の磁束密度の法線成分の値は10[mT]以下としている。10[mT]を超えると一度現像ローラ5の表面より離れた現像剤が再び現像ローラ5に付着し供給搬送路9へと進入してしまうおそれがある。
ローラ上現像剤回収部7aの近傍の現像ローラ5表面上の法線磁力が10[mT]以下であることにより、現像ローラ5において回収搬送路7への剤離れを確実にすることができる。さらに、供給部へ磁力により回収剤を引き戻すこともなくなり、画像濃度の安定性を保つことが可能となる。
なお、ローラ上現像剤回収部7aの近傍の現像スリーブ5s表面の磁束密度の法線成分の値を10[mT]以下とする構成としては、マグネットローラ5mの磁極配置によって調節を行う。また、磁力を伝達しないシールド部材をローラ上現像剤回収部7aの近傍に設けてもよい。
【0027】
図5は、図3で示した現像装置4の上部Aの概略説明図である。
図5に示すように、仕切り壁上端部材47の上端が、回収スクリュ6の回収回転軸6aの中心位置よりもhだけ、高い位置となるように配置がなされている。
回収搬送路7では、搬送方向全域にわたって現像ローラ5から回収現像剤の供給を受けながら現像剤を搬送するため、軸方向の所定の長さあたりで収容する現像剤の量は搬送方向下流側ほど多くなる。そして、回収搬送路7の下流端においても、現像剤が仕切り壁上端部材47の上端よりも下方となるように、収容する現像剤の量、回収スクリュ6の大きさ、回収スクリュ6の回転速度などを設定する。収容する現像剤の量が少ないほど現像剤はあふれにくくなる。また、回収スクリュ6の回転速度が速いほど、現像剤が回収搬送路7内にある時間が短くなり、他の現像剤搬送路内の現像剤の収容量が増加し、回収搬送路7内の現像剤の収容量が現象するため溢れにくくなる。しかし、回収スクリュ6の回転速度が速いほど現像剤に係るストレスが大きくなり現像剤の劣化につながり好ましくない。また、回収スクリュ6の径が大きいほどそれを収容する回収搬送路7の容積が大きくなり回収スクリュ6に対して仕切り壁上端部材47の上端の位置が低い位置であっても現像剤があふれることを防止することができる。回収搬送路7で搬送する現像剤があふれることを防止する構成であっても、回収搬送路7の下流端での現像剤の嵩が回収スクリュ6の回収回転軸6aの中心位置よりも下方であると、現像装置4内での無駄なスペースが多い状態となる。詳しくは、回収スクリュ6の幅方向(図5中の矢印C方向)の長さは、回収回転軸6aの中心位置で最大となる。幅方向の長さが最大となる回収回転軸6aの中心位置よりも下方までしか現像剤の嵩が到達しない状態は、回収搬送路7の幅方向にも高さ方向にもスペースの無駄が多い状態となる。回収搬送路7の幅を有効に使用するには、回収搬送路7の最下流では現像剤の嵩の高さが少なくとも回収回転軸6aの中心位置よりも上方となるように設定することが望ましい。そして、回収搬送路7の最下流で現像剤の嵩の高さが回収回転軸6aの中心位置よりも上方となる構成であれば、現像剤が回収搬送路7からあふれることを防止するために、仕切り壁上端部材47の上端が、回収スクリュ6の回収回転軸6aの中心位置よりも高い位置となる必要がある。また、図5中のhが大きいほど、回収搬送路7から現像剤があふれにくくなる。これにより現像ローラ5表面から剤離れして回収搬送部下流で増加した現像剤を供給部に戻すことなくある程度溜めることが可能となる。よって現像剤の特性変化により搬送効率が悪化した場合でも供給部への戻り防止の余裕度を上げることが可能となる。
【0028】
また、回収仕切り壁46の現像ローラ5側の上端部に備える仕切り壁上端部材47の回収スクリュ6と対向する面の水平面に対する角度θは、60[°]以上に設定する。
図6は、仕切り壁上端部材47の回収スクリュ6と対向する面の水平面に対する角度θが60[°]よりも小さい状態の説明図である。図6に示しように、θの値が小さいと、図6中の斜線で示す空間に回収現像剤が溜まり、回収搬送路7へ現像剤が落下しづらくなるとともに、仕切り壁上端部材47の先端側から落下して下方の供給搬送路9へ戻りやすくなる。供給搬送路9への現像剤のもどりが生じると、画像濃度の低下を招くことになり、好ましくない。
一方、図5に示すように、角度θが60[°]以上であることにより、現像ローラ5から剤離れした回収現像剤の回収搬送路7への落下を速やかにする。これにより、回収スクリュ6に送られずに回収ケーシングである回収仕切り壁46上に溜まる回収現像剤を減らすことができる。それにより回収現像剤の回収効率が高められて供給搬送路への剤戻りを防止でき、長期的な画像濃度の安定性を保つことが可能となる。
【0029】
また、回収仕切り壁46の現像ローラ5側の上端部に備える仕切り壁上端部材47の先端と、現像ローラ5の表面とは当接することなく、所定の間隙を保って設置することが望ましい。本実施形態の現像装置4では、仕切り壁上端部材47は薄いリン青銅板を回収仕切り壁46の現像ローラ5側の上端部に貼り付けてあり、現像ローラ5とのギヤップが1[mm]となるように取り付けてある。現像ローラ5と仕切り壁上端部材47とのギヤップは、0.5〜1.5[mm]程度が望ましい。
なお、仕切り壁上端部材47をマイラ等の部材を用いて現像ローラ5に当接させて設置した場合、供給搬送路9への回収剤戻りは初期的には防止できる。しかし、連続運転時にはマイラと現像ローラ5との間での摩擦が生じているところにトナーが入り込んで融着し、現像スリーブ5s表面へのトナー固着や現像剤の凝集などの不具合を生じてしまう。一方、仕切り壁上端部材47の先端と、現像ローラ5の表面とは当接することなく、所定の間隙を保つことにより、現像スリーブ5s表面へのトナー固着や現像剤の凝集などの不具合を防止することができる。
【0030】
次に、回収スクリュ6の回転方向について説明する。図7は、回収スクリュ6の回転方向と回収搬送路7内の現像剤の偏りについての説明図である。回収スクリュ6は、回収回転軸6aに螺旋状の羽部である回収羽部6bを供えた形状である。
図7に示すように、回収回転軸6aに対して現像ローラ5側(図7中の右側)の回収羽部6bが上方から下方に移動し、回収回転軸6aに対して現像ローラ5とは反対側(図7中の左側)の羽部が下方から上方に移動するように回転する。すなわち、図7中矢印E方向に回転することが望ましい。
これにより図9に示すように回収搬送路7内の現像剤Dが現像ローラ5とは逆の方向に寄りながら搬送されるため、回収現像剤は供給搬送路9へ戻りにくい構成となる。これにより、回収スクリュ6の回転方向が逆の構成に比べて、回収搬送路7内に収容する現像剤の量が多い状態でも現像剤があふれることを防止でき、画像濃度の安定性を保つことが可能となる。また、回収スクリュ6が低回転数である方が現像剤に対するストレスを軽減できるが、低回転数であると搬送速度が遅くなり、回収搬送路7内の現像剤の量が多くなる。これに対して、回収スクリュ6が図9に示すような回転方向で回転することにより、回収スクリュ6が低回転数で回収搬送路7内の現像剤の量が多い状態であっても、現像剤があふれることを防止することができる。
【0031】
また、回収スクリュ6の外径を、攪拌スクリュ11及び供給スクリュ8の外径よりも大きくすることにより、回収現像剤が供給搬送路9に戻ることをより効果的に防止することができる。
図8は、回収スクリュ6の外径を攪拌スクリュ11及び供給スクリュ8の外径よりも大きく設定した現像装置4の概略構成図である。図8に示すように、現像装置4の上部の比較的空いたスペースを回収搬送路7に用いることができるため、回収スクリュ6として外径の大きいスクリュを設置することができる。これにより、回収搬送路7における搬送効率を上げることで、回収搬送路7の搬送方向下流部での現像剤の滞留が減り、供給搬送路9へ現像剤が戻ることの防止に寄与する。また回収スクリュ6の回転数の低減にも寄与する。よって、長期的な画像濃度の安定性を保つことが可能となる。
本実施形態の現像装置4では、例えば、現像ローラ5の外径を18[mm]に対し、回収スクリュ6の外径を16[mm]、攪拌スクリュ11及び供給スクリュ8の外径を14[mm]としている。
【0032】
次に、現像装置4内での現像剤の循環について説明する。
図9は、現像装置4の上部カバーを外した状態の斜視図であり、図10は、現像装置4内の現像剤の流れの一例目を示す模式図である。
図9及び図10では、現像装置4内での現像剤の流れを矢印にて示しており、図10では現像装置4の上部をA、下部をBとして模式化している。
回収搬送路7における回収現像剤は下流にて量を増やしながら回収スクリュ6により搬送されていくが、その途中にてトナー補給装置50により未使用トナー50aが補給される。その後補給された未使用トナー50aと回収現像剤とは攪拌されつつ搬送され、回収搬送路7を形成するケーシングである回収仕切り壁46の下方に設けられた回収下流開口部7bから下部の攪拌搬送路10に落下する。
【0033】
回収搬送路7で搬送する回収現像剤を攪拌搬送路10へ受け渡すことにより、回収現像剤の供給搬送路9への進入による画像濃度低下の影響を防止することができる。また、回収搬送路7の下流端から供給搬送路9の下流端への受渡しであると回収現像剤の供給搬送路9への戻りによる画像濃度低下が発生する。さらには供給搬送路9の下流を画像領域外へ延長することにより現像装置4が大型化してしまうという不具合も出るため、これらを解消することが可能となる。
また、補給される未使用トナー50aが供給搬送路9の最上流に十分に分散されない状態で供給されると、次のような問題が生じる。現像ローラ5上のトナー濃度の均一性が保てずに画像濃度に偏差が生じる不具合や、現像ローラ5上でトナー飛散や地肌汚れなどの不具合が発生する。図10を用いて説明した現像装置4では、回収搬送路7の途中にてトナー補給を行うことで、補給されたトナーの搬送される距離を長くすることが出来、拡散性を高めることができる。さらには回収搬送路7から攪拌搬送路10、攪拌搬送路10から供給搬送路9の二回の受渡し部を通過することでより確実に補給トナーが分散するため、画像濃度安定性を保つことが可能となる。
【0034】
また、未使用トナーを補給する位置としては、回収搬送路7の途中で補給するものに限るものではない。図11は、現像装置4内の現像剤の流れの二例目を示す模式図である。
図11に示す現像装置4は、回収現像剤を回収搬送路7から攪拌搬送路10に受け渡す回収下流開口部7bの上方に未使用トナー50aを補給する構成である。回収下流開口部7bの上方に未使用トナー50aを補給することにより、回収現像剤の落下時に混ざりながらトナー補給がなされるため攪拌性がよくなる。さらに、回収搬送路7の下流側端部にトナー補給装置50を設置可能なため、さらなるコンパクト化が図れる。
このように、回収搬送路7内の現像剤が下部へ落下する回収下流開口部7bの上部よりトナー補給を行うことで、補給されたトナーが剤と混ざりつつ落下するために拡散性が高まる。そのため、少ない搬送距離で効率的に補給された未使用トナー50aが分散するため、画像濃度安定性を保つことが可能となる。またトナー補給装置50を端部に配置できるため、プリンタ100の省スペース化を図ることが可能となる。
【0035】
次にトナー補給手段であるトナー補給装置50について説明する。
トナー補給装置50がトナーボトル52から現像装置4まで未使用トナーを搬送するトナー搬送手段として、モーノポンプを用いることができる。図12は、トナー搬送手段としてのモーノポンプを用いたトナー搬送ポンプ51の説明図であり、図12(a)はトナー搬送ポンプ51の斜視透過図、図12(b)トナー搬送ポンプ51の概略断面図である。
本実施形態のプリンタ100では、トナーボトル52内の未使用トナーは、連結されたトナー補給搬送チューブ53を介してトナー搬送ポンプ51へと送りこまれる。
図12に示すように、トナー搬送ポンプ51は、金属または樹脂などの剛性部材を用いて偏心させたスクリュ形状のローラ56とゴム材料により内側が二条のスクリュ形状とされたステータ57とこれら両部材を内包するホルダ58からなる。トナー搬送ポンプ51の一端にはチューブからなるトナー補給搬送路であるトナー補給搬送チューブ53が取り付けられて、トナーボトル52とつながっている。駆動モータ59によりローラ56が回転するとトナー搬送ポンプ51内に吸引圧力が発生し、トナー補給搬送チューブ53内を吸引負圧化する。これにより、トナーボトル52内のトナーを吸引力により移送し、トナー補給口55より現像装置4内へ供給することが可能となる。また駆動モータ59につながれた補給クラッチ54によってローラ56への回転動作(時間)が制御されることでトナーの補給量を細かく設定することが出来る。トナー補給動作は、現像装置4内の現像剤のトナー濃度が一定化されるように主にトナー濃度センサ27の出力値から必要トナー量が算出されて行われる。
【0036】
現像装置4では、攪拌搬送路10には回収搬送路7からの回収現像剤と、供給搬送路9からの余剰現像剤とが流入する。これらの現像剤を攪拌しつつ搬送してトナー濃度を均一化させて、供給搬送路9の最上流部へ現像剤を供給する。また、供給搬送路9は現像ローラ5へ現像剤を供給しつつ、その量を減らしながら下流へ現像剤を搬送する。ここで、供給スクリュ8の搬送方向下流側で、現像ローラ5に供給することにより供給搬送路9内の単位時間当りの現像剤の搬送量が少なくなった状態であっても供給搬送路9内の現像剤の嵩の高さを維持する必要がある。供給搬送路9内の現像剤の嵩の高さが維持できなくなると、供給搬送路9から現像ローラ5への現像剤の供給量が不安定になり、画像濃度も不安定となる。
単位時間当りの現像剤の搬送量が減少する供給搬送路9内の下流側でも現像剤の嵩の高さを維持するために、供給搬送路9全体で収容する現像剤の量を多くすることが考えられる。しかし、図3に示すような供給搬送路9の上方に回収搬送路7のある構成では、供給搬送路9の上流側に溜めることができる現像剤の量に限度がある。そして、供給搬送路9での搬送性が悪化すると供給搬送路9の下流側にて現像剤の嵩が低下し、現像ローラ5への汲み上げ不良が発生して十分な現像能力が得られず、画像濃度の低下が生じるという問題がある。
このような問題に対して、本実施形態の現像装置4の供給スクリュ8は、搬送方向上流側に比べて搬送方向下流側の方が羽部のピッチ幅が短い構成となっている。以下、供給スクリュ8の詳細について説明する。
【0037】
図13は、供給スクリュ8の側面図である。供給スクリュ8は、供給回転軸8aに螺旋状の羽部である供給羽部8bを供えた形状である。図3中の矢印Fが現像剤の搬送方向である。図13に示すように、供給スクリュ8の中央部8cの搬送方向上流側の供給羽部8bのピッチ幅p1よりも、中央部8cの搬送方向下流側の供給羽部8bのピッチ幅p2の方が短い構成となっている。このように、供給スクリュ8の供給羽部8bのピッチ幅は現像剤の搬送方向下流側ほど短くなる形状となっている。
【0038】
図14は、供給スクリュ8の供給羽部8bのピッチ幅が固定のものと、搬送方向下流側ほどピッチ幅短いものとの現像剤搬送方向の位置に対する現像剤量の変化を示すグラフである。図14のグラフでは供給搬送路9の現像剤の搬送方向である長手方向位置を横軸とし、その場所における現像剤量を縦軸としている。図14中の実線が供給羽部8bのピッチ幅が固定の供給スクリュ8を用いた場合の現像剤搬送方向の位置における現像剤量の変化を示すグラフである。また、図14中の破線が供給羽部8bのピッチ幅が現像剤搬送方向下流側ほど短い形状の供給スクリュ8を用いた場合の現像剤搬送方向の位置における現像剤量の変化を示すグラフである。図14に示すように、ピッチ幅が固定である形状よりもピッチ幅が下流側ほど短い形状の供給スクリュ8を用いたほうが、搬送方向下流側での現像剤量の減少が少なく、全体にわたり均一な現像剤量を得ることができる。そのため現像ローラに対して安定した現像剤供給を行うことができる。
【0039】
図13に示すような、中央部8cから下流にかけてのピッチ幅が上流部のピッチ幅よりも短い形状とすることにより、中央部8cから下流にかけての現像剤の搬送速度を低下させて停滞させることでその部分における現像剤量をふやすことが出来る。そのため、結果として供給スクリュ8の搬送方向下流側での現像ローラ5の汲み上げの余裕度をあげることができる。これにより画像濃度安定性を得ることが可能となる。
【0040】
次に、現像装置4の駆動について説明する。図15は現像装置4の斜視外観図である。また、図16は図15に示す現像装置4を奥側(図15中の矢印G方向)から見た現像装置4の外観側面図である。
図16に示すように、現像装置4の奥側の側面には、供給回転軸8aを中心に回転可能な供給ギヤ43と、現像回転軸5aを中心に回転可能な現像ギヤ41とを備えている。供給ギヤ43及び現像ギヤ41は不図示の駆動源からの駆動を伝達するアイドラギヤ42と連結されている。この現像装置4での駆動はプリンタ100本体が備える不図示の駆動源からアイドラギヤ42へ入力され、供給ギヤ43及び現像ギヤ41へと分配される。これにより、供給スクリュ8及び現像ローラ5が回転する。
【0041】
図15に示すように、現像装置4の手前側の側面には、供給回転軸8aを中心に回転可能な供給駆動伝達ギヤ44と、攪拌回転軸11aを中心に回転可能な攪拌ギヤ45及び回収回転軸6aを中心に回転可能な回収ギヤ49とを備える。攪拌ギヤ45と回収ギヤ49とは供給駆動伝達ギヤ44と連結と連結されている。供給スクリュ8が回転することにより、供給回転軸8aを介して供給駆動伝達ギヤ44に駆動が伝達され、攪拌ギヤ45及び回収ギヤ49へと駆動が分配される。これにより、回収スクリュ6及び攪拌スクリュ11が回転する。
【0042】
ここで、供給スクリュ8、回収スクリュ6及び攪拌スクリュ11の回転数は、現像ローラ5(実際に回転するのは現像スリーブ5s)の回転数の1.5倍以下であることが好ましい。
本実施形態の現像装置4は、供給スクリュ8、回収スクリュ6及び攪拌スクリュ11と三つの現像剤搬送スクリュを備え、従来の現像剤搬送スクリュが二つの構成に比べて駆動が複雑化し、レイアウトが大型化するおそれがある。供給スクリュ8、回収スクリュ6及び攪拌スクリュ11の回転数が現像ローラ5の回転数の1.5倍以内とすることで、現像ローラ5に駆動を伝達するアイドラギヤ42からのギヤ連結で各現像剤搬送スクリュに駆動を伝達することができる。アイドラギヤ42から駆動の伝達を受けることができるので各現像剤搬送スクリュを回転させる省スペースのレイアウトをとることが可能となる。なお望ましくは1.3倍以下が良い。一方1.5倍よりも回転数が大きくなると、さらにアイドラを設置したり、現像剤搬送スクリュ用の駆動源を別に設けたりする必要があり、装置が大型化、複雑化してしまう。
また、各現像剤搬送スクリュの回転数が現像スリーブ5sの回転数の1.5倍よりも高くなると、トルクの上昇による駆動部への負荷が大きくなるとともに、現像ギヤ41の大径化をまねくため装置が大型化してしまう。できるだけ現像スリーブ5sと各現像剤搬送スクリュの回転数比を小さくすることで、現像装置4のコンパクト化を図ることが可能となる。本実施形態の現像装置4では、現像スリーブ5sの回転数は425[rpm]、各現像剤搬送スクリュの回転数は480[rpm]とした。なお、各回転数はこの値に限定するものではない。
【0043】
プリンタ100は、現像手段として本実施形態の現像装置4を備えることにより、画像パターンによらず長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高い画像形成装置を提供することができる。また、画像濃度の安定性が高いため、4色のトナーを用いるカラーの画像形成装置であるプリンタ100は、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る。
【0044】
次に、本実施形態の現像装置4に用いられる現像剤の特性について説明する。
現像剤中の磁性キャリアについては、体積平均粒径が20〜60[μm]の範囲が好ましい。平均粒径が60[μm]以下の小粒径のキャリアを用いることで、現像能力を低下させることなく、汲み上げ量を低減することができ、現像装置内で循環する現像剤量を低減することができる。特にストレスのかかる現像剤規制部材を通過する現像剤量が少なくなることから、長寿命化に寄与する。さらには現像領域における磁気ブラシがより緻密になるためにさらなる高画質化や画質の安定性が達成される。なおキャリアの平均粒径が60[μm]より大きいと現像剤循環部でオーバーフローがおきやすくなり、安定な剤循環が行えない。また20[μm]より小さいと感光体にキャリアが付着したり、現像器からキャリアが飛散したりするという不具合が発生する。
キャリアの平均粒径測定については、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7[μm]以上、125[μm]以下のレンジ設定で行うことができる。
【0045】
次に、本実施形態の現像装置4に用いられる現像剤のトナーの特性について説明する。
粒径については、トナーの体積平均粒径は3〜8[μm]が好ましい。粒径が小さくかつ粒径分布のシャープなトナーを用いることで、トナー粒子間の間隙が小さくなるため、色再現性を損なうことなくトナーの必要付着量を低減することができる。よって現像における濃度変動を小さくすることができる。また600[dpi]以上の微小なドット画像の安定再現性が向上し、長期間安定した高画質を得ることができる。一方、トナーの体積平均粒径(D4)が3[μm]未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。トナーの体積平均粒径(D4)が8[μm]を超えると、現像剤の流動性が悪化するとともに、画像のパイルハイトが大きくなり、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しく、長期間画質を安定に維持することが困難となる。また、同時に重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。
(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0046】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。
以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1[%]NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
【0047】
トナーの形状係数SF−1は100〜150、形状係数SF−2は100〜150の範囲にあることが好ましい。図17、図18は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0048】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナー間の接触状態が点接触となるためにトナー同士の吸着力は弱まりしたがって流動性が高くなる。ゆえに剤の循環性が向上するため、ストレスが小さくなり、長期的に安定した一方向循環を行うことが可能となり、画像濃度の安定化を図ることができる。また、トナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなり高画質化に寄与する。一方、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが150を超えると、流動性が悪化し、剤循環性が悪いために好ましくない。また転写率が低下するため好ましくない。
【0049】
本実施形態の現像装置4で用いるトナーは、トナーの粒子表面に平均一次粒径が50〜500[nm]で、嵩密度が0.3[mg/cm]以上の微粒子(以下、単に微粒子という)を付着させたものである。なお、通常の流動性向上剤にシリカ等がよく用いられるが、例えば、このシリカの平均一次粒径は通常10〜30[nm]、嵩密度が0.1〜0.2[mg/cm]である。
現像装置4では、トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。また、微粒子は、トナー粒子、感光体、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。また現像剤の流動性が高まるためストレスの低減効果があり、長寿命化にも寄与する。さらに、コロの役割を果たすため、感光体を摩耗または損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体との高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。これらの特性は、トナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギー定着)のためトナーに含有されている低レオロジー成分によるトナー自身のフィルミングの低減効果を発揮する。しかも、微粒子として、平均一次粒径が50〜500[μm]の範囲のものを用いると、十分にその優れたクリーニング性能を活かすことができる上、極めて小粒径であるため、トナーの粉体流動性を低下させることがない。さらに、詳細は明らかでないが、表面処理された微粒子はトナーに外部添加されても、仮にキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合が少ない。よって経時的にトナーの流動性および帯電性の変化が少ないため、長期的に現像剤の循環を安定に行うことができる。また画質の安定性も高くなる。
【0050】
微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500[nm]のものが用いられ、特に100〜400[nm]のものが好ましい。50[nm]未満であると、微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割を低下する場合が生じる。一方、500[μm]よりも大きいと、微粒子がブレードと感光体表面の間に位置した場合、トナー自身の接触面積と同レベルのオーダーとなり、クリーニングされるべきトナー粒子を通過させる、即ちクリーニング不良を発生させやすくなる。
嵩密度が0.3[mg/cm]未満では、流動性向上への寄与はあるものの、トナー及び微粒子の飛散性および付着性が高くなるために、トナーとコロとしての効果や、クリーニング部で蓄積して、トナーのクリーニング不良を防止するいわゆるダム効果といった働きが低下してしまう。
【0051】
現像装置4で用いる現像剤の微粒子において、無機化合物としては、
SiO、TiO、Al、MgO、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO、SrTiO等を例示することができる。好ましくは、SiO、TiO、Alがあげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
【0052】
また、有機化合物の微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
なお、微粒子の嵩密度は下記の方法により測定した。100[ml]のメスシリンダーを用いて、微粒子を徐々に加え100[ml]にした。なお、その際に振動は与えなかった。このメスシリンダーの微粒子を入れる前後の重量差により嵩密度を測定した。
嵩密度(g/cm)=微粒子量(g/100ml)÷100
【0053】
現像装置4で用いる現像剤の微粒子を、トナー表面に外添加し付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子を各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法がある。また、液相中でトナー母体粒子と微粒子を界面活性剤などで均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法などがある。
【0054】
以上、本実施形態によれば、攪拌スクリュ11の回転軸である攪拌回転軸11aの中心位置と供給スクリュ8の回転軸である供給回転軸8aの中心位置とが略同じ高さとなるように配置され、回収スクリュ6の回転軸である回収回転軸6aの中心位置は、攪拌回転軸11a及び供給回転軸8aの中心位置よりも高い位置となるように配置されている。すなわち、攪拌スクリュ11及び攪拌搬送路10と、供給スクリュ8及び供給搬送路9とが略同じ高さとなり、回収搬送路7は他の二つの現像剤搬送路よりも高い位置となっている。これにより、現像剤搬送路内で現像剤を循環搬送するときに現像剤を上方に持ち上げる必要がなく、現像剤に過剰なストレスがかかることを防止でき、現像剤へのストレスを軽減することができる。さらに、回収スクリュ6の回転軸である回収回転軸6aの回転中心位置を現像ローラ5の回転軸である現像回転軸5aの回転中心位置よりも低い位置とし、回収スクリュ6及び回収搬送路7の現像ローラ5に対する位置を低くしている。よって、現像ローラ5上の現像剤を回収し回収搬送路7に供給するローラ上現像剤回収部7aを現像ローラ5の低い位置に設定することができ、ローラ上現像剤回収部7aにおける現像ローラ5の表面の接線の水平面に対する傾き大きくすることができる。これにより、ローラ上現像剤回収部7aで現像剤に働く重力の現像ローラ5の現像回転軸5aに向かって働く成分が従来よりも小さくなり、現像ローラ5表面から現像剤が離間しやすくなる。よって、現像剤が現像ローラ5表面に担持されたままローラ上現像剤回収部7aをすり抜けることを抑制し、回収搬送路7に回収されることを促進することで現像ローラ5の表面上の現像剤の回収率を向上することができる。現像剤が現像剤ローラ5表面に担持されたままローラ上現像剤回収部7aをすり抜けることを抑制することにより、現像済みの現像剤が現像ローラ5の表面と連れ回り、供給搬送路9に達することによるトナー濃度の部分的な低下を防止することができる。これにより、安定した画像濃度の画像形成を行うことができる。
また、回収搬送路7を形成するケーシングは、現像ローラ5と回収スクリュ6との間を仕切る回収仕切り壁46を備え、回収仕切り壁46の上方に回収搬送路7と現像ローラ5を配置した空間とを連通する開口部を形成することにより、回収仕切り壁46の上方より回収現像剤を回収搬送路7へ移動させることができる。
また、回収仕切り壁46の上端部に備えた仕切り壁上端部材47の上端が、回収スクリュ6の回収回転軸6aの中心位置よりもhだけ、高い位置となるように配置がなされている。これにより現像ローラ5表面から剤離れして回収搬送部下流で増加した現像剤を供給部に戻すことなくある程度溜めることが可能となる。
また、回収仕切り壁46の上端は現像ローラ5の現像回転軸5a中心位置よりも低い位置であることにより、現像ローラ5表面から現像剤が離間することに重力がさらに寄与しやすくなり、回収現像剤の回収率の向上を図ることができる。
また、回収仕切り壁46の現像ローラ5側の上端部に備える仕切り壁上端部材47の回収スクリュ6と対向する面の水平面に対する角度θは、60[°]以上に設定している。これにより、現像ローラ5から剤離れした回収現像剤の回収搬送路7への落下を速やかにする。そのため、回収スクリュ6に送られずに回収ケーシングである回収仕切り壁46上に溜まる回収現像剤を減らすことができる。
また、仕切り壁上端部材47と現像ローラ5とが対向するローラ上現像剤回収部7aの近傍の位置(点線部)における現像スリーブ5s表面の磁束密度の法線成分の値は10[mT]以下としている。これにより、現像ローラ5において回収搬送路7への剤離れを確実にすることができる。さらに、供給部へ磁力により回収剤を引き戻すこともなくなり、画像濃度の安定性を保つことが可能となる。
また、攪拌スクリュ11と供給スクリュ8とを略同じ高さに配置することにより、攪拌搬送路10と供給搬送路9との中での現像剤の循環で現像剤を上方に持ち上げる必要がないため、現像剤のストレスを軽減することができる。
また、回収スクリュ6は、回収回転軸6aに対して現像ローラ5側(図7中の右側)の回収羽部6bが上方から下方に移動し、回収回転軸6aに対して現像ローラ5とは反対側(図7中の左側)の羽部が下方から上方に移動するように回転する。これにより、回収搬送路7内の現像剤が現像ローラ5とは逆の方向に寄りながら搬送されるため、回収現像剤は供給搬送路9へ戻りにくくなる。
また、回収スクリュ6の外径を、攪拌スクリュ11及び供給スクリュ8の外径よりも大きくすることにより、回収現像剤が供給搬送路9に戻ることをより効果的に防止することができる。
また、回収搬送路7の途中にてトナー補給を行うことで、補給されたトナーの搬送される距離を長くすることが出来、拡散性を高めることができる。さらには回収搬送路7から攪拌搬送路10、攪拌搬送路10から供給搬送路9の二回の受渡し部を通過することでより確実に補給トナーが分散するため、画像濃度安定性を保つことが可能となる。
また、回収搬送路7で搬送する回収現像剤を攪拌搬送路10へ受け渡すことにより、回収現像剤の供給搬送路9への進入による画像濃度低下の影響を防止することができる。また、回収搬送路7の下流端から供給搬送路9の下流端への受渡しであると回収現像剤の供給搬送路9への戻りによる画像濃度低下が発生する。さらには供給搬送路9の下流を画像領域外へ延長することにより現像装置4が大型化してしまうという不具合も出るため、これらを解消することが可能となる。
また、回収搬送路7内の現像剤が下部へ落下する回収下流開口部7bの上部よりトナー補給を行うことで、補給されたトナーが剤と混ざりつつ落下するために拡散性が高まる。そのため、少ない搬送距離で効率的に補給された未使用トナー50aが分散するため、画像濃度安定性を保つことが可能となる。
また、供給スクリュ8の供給羽部8bのピッチ幅は現像剤の搬送方向下流側ほど短くなる形状であるので、供給搬送路9の全体にわたり均一な現像剤量を得ることができる。そのため現像ローラに対して安定した現像剤供給を行うことができる。
また、各現像剤搬送スクリュの回転数を現像スリーブ5sの回転数の1.5倍以下とすることで、現像装置4のコンパクト化を図ることが可能となる。
また、回収仕切り壁46の現像ローラ5側の上端部に備える仕切り壁上端部材47の先端と、現像ローラ5の表面とは当接することなく、所定の間隙を保つことにより、現像スリーブ5s表面へのトナー固着や現像剤の凝集などの不具合を防止することができる。
また、画像形成装置であるプリンタ100は、現像手段として本実施形態の現像装置4を備えることにより、画像パターンによらず長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができる。これにより、画像濃度の安定性が高い画像形成装置を提供することができる。
また、画像濃度の安定性が高いため、4色のトナーを用いるカラーの画像形成装置であるプリンタ100は、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る。
また、小粒径なキャリアを用いることで、現像能力を低下させることなく、くみあげ量を低減することができ、現像剤の流動性が変化した場合においても現像剤量の増減が少なくなる。これにより、供給搬送路9では現像剤が枯渇することなく安定して汲み上げ可能になるような現像剤量を供給することができ、また回収搬送路7では現像剤がオーバーフローすることなく安定に剤搬送することが可能となる。よって環境および経時変化に際して変動が少なくなるため、長期間において安定した現像剤循環が行え、画像濃度の安定性に優れた画像を得ることが可能となる。さらに、キャリアの小粒径化に伴い現像領域における磁気ブラシがより緻密化され、現像においては潜像ドットへのトナーの供給効率が増し、ドット再現性に優れた画像を得ることが出来る。ゆえに長期間において画質の安定性も向上する。
また、トナーの粒径が小さいことで現像剤のかさ密度を高めることができるため、現像するのに必要な現像剤の体積を小さくすることができるため、現像剤の流動性などの特性が変化した場合においても現像剤の体積の増減を小さくすることができる。また粒径分布がシャープであることから、現像剤の流動性が良くなる。よって供給搬送路9では現像剤が枯渇することなく安定して汲み上げ可能になるような現像剤量を供給することができ、また回収搬送路7では現像剤がオーバーフローすることなく安定に剤搬送することが可能となる。よって環境および経時変化に際して変動が少なくなるため、長期間において安定した現像剤循環が行え、画像濃度の安定性に優れた画像を得ることが可能となる。さらに、トナーが小粒径化することにより、潜像に対してより細かいトナー像を形成することが可能となり、ドット再現性に優れた画像を得ることが出来る。ゆえに長期間において画質の安定性も向上する。
また、トナーが球形に近くなることにより現像剤の嵩密度を低減することが出来、流動性などの現像剤の特性が変化した場合においても搬送される現像剤の体積の増減が小さくなる。よって供給搬送路9では現像剤が枯渇することなく安定して汲み上げ可能になるような現像剤量を供給することができ、また回収搬送路7では現像剤がオーバーフローすることなく安定に剤搬送することが可能となる。よって環境および経時変化に際して変動が少なくなるため、長期間において安定した現像剤循環が行え、画像濃度の安定性に優れた画像を得ることが可能となる。さらに、トナーと感光体1との接触がより点接触に近くなって転写効率の向上が図れるためドット再現性が向上し、長期間において画質の安定性も向上する。
また、トナーをトナー母体粒子表面に平均一次粒径が50[nm]以上、500[nm]以下、嵩密度が0.3[g/cm]以上である微粒子を外添加して得られたトナーにすれば外添剤の埋没が少なく、経時にて現像剤の流動性などの特性の変化が小さくなる。よって供給搬送路9では現像剤が枯渇することなく安定して汲み上げ可能になるような現像剤量を供給することができ、また回収搬送路7では現像剤がオーバーフローすることなく安定に剤搬送することが可能となる。よって環境および経時変化に際して変動が少なくなるため、長期間において安定した現像剤循環が行え、画像濃度の安定性に優れた画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】画像形成ユニットの説明図。
【図3】現像装置の概略構成図。
【図4】現像ローラの磁極配置の概略説明図。
【図5】現像装置の上部の概略説明図。
【図6】仕切り壁上端部材の回収スクリュと対向する面の水平面に対する角度が小さい状態の説明図。
【図7】回収スクリュの回転方向と回収搬送路内の現像剤の偏りについての説明図。
【図8】回収スクリュの外径を他の二つのスクリュの外径よりも大きく設定した現像装置の概略構成図。
【図9】現像装置の上部カバーを外した状態の斜視図。
【図10】現像装置内の現像剤の流れの一例目を示す模式図。
【図11】現像装置内の現像剤の流れの二例目を示す模式図。
【図12】トナー搬送手段としてのモーノポンプを用いたトナー搬送ポンプの説明図、(a)はトナー搬送ポンプの斜視透過図、(b)はトナー搬送ポンプの概略断面図。
【図13】供給スクリュの側面図。
【図14】供給羽部のピッチ幅が固定のものと、搬送方向下流側ほどピッチ幅短いものとの現像剤搬送方向の位置に対する現像剤量の変化を示すグラフ。
【図15】現像装置の斜視外観図。
【図16】現像装置の奥側の外観側面図。
【図17】形状係数SF−1を説明するための模式図。
【図18】形状係数SF−2を説明するための模式図。
【図19】従来から知られている現像装置の概略構成図。
【図20】特許文献1に記載の現像装置の概略構成図。
【図21】特許文献2に記載の現像装置の概略構成図。
【図22】磁石ローラを設けて現像ローラ表面上の現像剤の回収率を高めた現像装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0056】
1 感光体
2 帯電装置
3 レーザ光
4 現像装置
5 現像ローラ
5a 現像回転軸
5m マグネットローラ
5s 現像スリーブ
6 回収スクリュ
6a 回収回転軸
7 回収搬送路
7a ローラ上現像剤回収部
8 供給スクリュ
8a 供給回転軸
9 供給搬送路
10 攪拌搬送路
11 攪拌スクリュ
11a 攪拌回転軸
16 中間転写部
17 クリーニング装置
18 ドクタ
27 トナー濃度センサ
28 定着装置
30 露光装置
41 現像ギヤ
42 アイドラギヤ
43 供給ギヤ
44 供給駆動伝達ギヤ
45 攪拌ギヤ
46 回収仕切り壁
47 仕切り壁上端部材
48 攪拌供給仕切り壁
49 回収ギヤ
50 トナー補給装置
50a 未使用トナー
51 トナー搬送ポンプ
52 トナーボトル
53 トナー補給搬送チューブ
54 補給クラッチ
55 トナー補給口
56 ローラ
57 ステータ
58 ホルダ
59 駆動モータ
60 中間転写ベルト
61 一次転写ローラ
62 二次転写ローラ
70 排紙トレイ
90 画像形成ユニット
100 プリンタ
200 用紙収納部
300 用紙搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に備えた複数の磁極により磁性キャリアとトナーとからなる現像剤を表面上に担持し、その表面が回転して潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材と、
現像剤担持体に供給されずに該現像剤供給搬送部材の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送部材の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送し、該現像剤を該現像剤供給搬送部材の搬送方向最上流側に供給する現像剤攪拌搬送部材とを有し、
該現像剤回収搬送部材、該現像剤供給搬送部材及び該現像剤攪拌搬送部材の3つの現像剤搬送部材を配置する各空間はケーシングによって仕切られて3つの現像剤搬送路を形成し、該3つの現像剤搬送路は、該現像剤回収搬送部材を配置する現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送部材を配置する現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送部材を配置する現像剤攪拌搬送路から成り、
該現像剤供給搬送路と該現像剤回収搬送路との搬送方向下流側端部は該現像剤攪拌搬送路の搬送方向上流側端部と連通し、該現像剤攪拌搬送路の下流側端部は該現像剤供給搬送路の搬送方向上流側端部と連通して、
該3つの現像剤搬送部材はそれぞれ回転軸を中心に回転することにより該回転軸の軸方向に現像剤を搬送するものであり、
該現像剤回収搬送部材の回転軸中心位置が該現像剤攪拌搬送部材の回転中心位置及び該現像剤供給搬送部材の回転軸中心位置よりも高い位置である現像装置において、
該現像剤回収搬送部材の回転軸中心位置が該現像剤担持体の回転軸中心位置よりも低い位置であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記現像剤回収搬送路を形成するケーシングとして上記現像剤担持体と上記現像剤回収搬送部材との間を仕切る回収仕切り壁を備え、該回収仕切り壁は該回収搬送路を形成する上部のケーシングと非接触であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記回収仕切り壁の上端は上記現像剤回収搬送部材の回転軸中心位置よりも高い位置であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2または3の現像装置において、
上記回収仕切り壁の上端は上記現像剤担持体の回転軸中心位置よりも低い位置であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項2、3または4の現像装置において、
上記回収仕切り壁の上端部の上記現像剤回収搬送部材側の面の水平面に対する角度が60[°]以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項2、3、4または5の現像装置において、
上記回収仕切り壁の上端と対向する上記現像剤担持体表面上の法線方向の磁束密度が10[mT]以下であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の現像装置において、
上記現像剤攪拌搬送部材の回転軸中心位置と上記現像剤供給搬送部材の回転軸中心位置とを略同じ高さに配置していることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置において、
上記現像剤回収搬送部材は回転軸に螺旋状の羽部を備えるスクリュ形状であり、回転軸に対して上記現像剤担持体側の該羽部が上方から下方に移動し、回転軸に対して該現像剤担持体とは反対側の該羽部が下方から上方に移動するように回転することを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の現像装置において、
上記現像剤回収搬送部材の外径は、上記現像剤供給搬送部材及び上記現像剤攪拌搬送部材の外形よりも大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の現像装置において、
上記回収搬送路において、該回収搬送路を形成するケーシングに回収現像剤が前記攪拌搬送路へと受け渡される開口部を設けたことを特徴とする請求項1乃至6に記載の現像装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の現像装置において、
少なくとも未使用のトナーを含有する未使用現像剤を上記現像剤搬送路に供給する現像剤供給手段を備え、
上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との連通部よりも上記現像剤回収搬送部材の搬送方向上流側の該現像剤回収搬送路内に、該現像剤供給手段によって該未使用現像剤が供給されることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の現像装置において、
少なくとも未使用のトナーを含有する未使用現像剤を上記現像剤搬送路に供給する現像剤供給手段を備え、
上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との連通部の上方に、該現像剤供給手段によって該未使用現像剤が供給されることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の現像装置において、
上記現像剤供給搬送部材は回転軸に螺旋状の羽部を備えるスクリュ形状であり、
該現像剤供給搬送部材の搬送方向上流側に比べて該現像剤供給搬送部材の搬送方向下流側の方が該羽部のピッチ幅が短いことを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の現像装置において、
上記現像剤供給搬送部材、上記現像剤攪拌搬送部材および上記現像剤回収搬送部材の回転数は、上記現像剤担持体の回転数の1.5倍以内であることを特徴とする現像装置。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の現像装置において、
上記回収仕切り壁の上端と上記現像剤担持体の表面とは所定の間隔の空隙を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項16】
少なくとも潜像担持体と、
該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、
該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、
該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、
該現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項16の画像形成装置において、
上記現像装置として使用するトナーの色が互いに異なる複数の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用される磁性キャリアにおいて、
該磁性キャリアの体積平均粒径が20[μm]以上、60[μm]以下であることを特徴とする磁性キャリア。
【請求項19】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用されるトナーにおいて、
該トナーは体積平均粒径が3[μm]以上、8[μm]以下であり、
該体積平均粒径をD1、個数平均粒径をD2とすると、
1.00≦D1/D2≦1.40
の関係を満たすことを特徴とするトナー。
【請求項20】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用されるトナーにおいて、
形状係数SF−1が、100以上、150以下の範囲であり、
形状係数SF−2が、100以上、150以下の範囲であることを特徴とするトナー。
【請求項21】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の現像装置、または請求項16または17に記載の画像形成装置で使用されるトナーにおいて、
トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50[nm]以上、500[nm]以下、嵩密度が0.3[g/cm]以上である微粒子を外添加して得られたトナーであることを特徴とするトナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−26408(P2008−26408A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196036(P2006−196036)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】