説明

現像装置

【課題】非磁性一成分ジャンピング現像システムにおいて、カブリや掃き寄せの発生が無く、リークによる白抜け等の画像欠陥が無い、高品質な画像を得ることが出来る現像装置を提供する。
【解決手段】現像剤を収容する現像剤容器及び静電潜像担持体と対向して配置された現像剤担持体を有する現像装置において、該現像剤担持体と該静電潜像担持体との最近接距離が100μm〜250μmであり、且つ該現像剤担持体と該静電潜像担持体との間の最大電界強度が5.0×106V/m〜1.0×107V/mであり、該現像剤担持体が、少なくとも、導電性基体、導電性樹脂層、及び、該導電性樹脂層上に形成された少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層を有していることを特徴とする現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体又は静電記録誘導体等の静電潜像担持体上に形成された潜像を現像して可視像化するために用いられる現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られている。一般的な電子写真法においては、まず光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(感光体ドラム)上に電気的潜像を形成する。次いで現像領域に現像バイアスを作用させ、該静電潜像を現像剤(トナー)にて現像して可視像化し、必要に応じて紙などの転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物を得る。
【0003】
これらの電子写真法による画像形成は、文書複写としては一応満足できるレベルに達しているものの、コンピュータの発達、高解像度デジタルカメラの普及等により求められるフルカラー画像の出力画像に対しては、更なる高画質化、高品位化が望まれている。特にカラー画像は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを適宜重ねて現像することにより形成されるため、各色トナーには単色のときよりも高い現像特性が求められる。
【0004】
電子写真法における現像方式は主として一成分現像方式と二成分現像方式に分けられる。
従来、これらのフルカラー画像を出力するには、二成分系現像剤が用いられてきた。しかし近年では、電子写真装置の軽量・小型化等を目的として、一成分現像方式を用いた現像装置を使用する場合も多くなってきている。
【0005】
一成分現像方式には、トナー中に磁性体を含有しない非磁性トナーと磁性体を含有する磁性トナーを用いる場合があるが、フルカラー画像に用いる場合には色再現性の点から磁性体を含まない非磁性一成分現像剤が用いられることが多い。
【0006】
一成分現像方式を用いた現像装置としては、次に示すステップを有するジャンピング現像方式の現像装置が知られている。
(1)静電潜像担持体としての感光体ドラム表面に静電潜像を形成するステップ
(2)現像剤担持体(現像スリーブ)とトナーとの摩擦、及び/又は現像スリーブ上のトナーコート量を規制するための現像剤層厚規制部材との摩擦により、トナーに正又は負の電荷を与えるステップ
(3)そのトナーを現像スリーブ上に薄層として形成して、その現像スリーブを感光体ドラムに極めて近接して対向した現像領域に搬送し、現像領域において現像バイアスを印加して、トナーを感光体ドラム表面の静電潜像に飛翔・付着させて現像するステップ
(4)静電潜像をトナー像として可視像化するステップ
【0007】
これらの現像装置における現像バイアスとしては、矩形波バイアス、デューティバイアス等の交流バイアスが用いられているが、現像スリーブと感光体ドラムの間に交流バイアスを印加すると、トナーの往復運動による様々な画質への問題点が発生しやすくなる。
【0008】
そのひとつとして挙げられるのが、ベタ黒画像の次にベタ白画像が続く画像を出力した場合、ベタ黒後端部の画像が他の部分よりも著しく濃くなる、所謂掃き寄せ現象である。この現象が起こると、均一な画像を得ることが難しく、カラー画像のように各色のトナー像を重ね合わせる場合には、高画質な画像を得ることが更に困難になる。
【0009】
次に挙げられるのは、感光体ドラム上の非画像領域にトナーが飛翔して紙上に転写されてしまう、所謂カブリ現象である。これは現像スリーブ上のトナーの帯電量分布が不均一になっていることが主原因であり、チャージアップし過ぎたトナーが存在しても、著しく帯電量の少ないトナーが存在しても発生してしまう。
【0010】
この様な画質への問題を解決する方法として、感光体ドラムと現像スリーブとの間に電極部材からなる板状部材を設けた現像装置が特許文献1に開示されている。しかしながら、非磁性一成分現像剤を用いた現像装置においては、画質改善の効果が不十分である。
【0011】
特許文献2には、次に示す事項を特徴とする現像装置が開示されている。
(1)現像電界の、交流成分の1周期で、現像スリーブ方向のトナー付勢過程(A)から感光体ドラム方向のトナー付勢過程(B)への間の立下り過程(C)の時間T12と、過程(B)の時間T11とが下記関係を満たすこと
10.0≦T11/(T11+T12)×100≦90.0
(2)大気圧の変化に応じて(B)の電位(Vmax)及び/又は(B)の電位(Vmin)の値が気圧変動に応じて可変であること
上記のような現像バイアスを用いることで、感光体ドラムと現像スリーブとの間の最近接(S−D)部の間でのトナー往復運動が抑制され掃き寄せの発生がなく、画像濃度が高い高品質画像を得ることができる。しかも大気圧の低い高地においても現像スリーブと感光体ドラムとの間での現像バイアスのリークに起因する白抜けの発生がなく、画像形成装置の画質の安定性を高めることができる。しかしながら、上記の現像バイアスを用いた画像形成装置は、波形発生装置が複雑になると共に気圧センサー等が必要となるためコストが高くなる場合がある。また、使用される温湿度の環境条件の変化や繰り返し複写により、現像スリーブ上のトナーの帯電性が不均一になると、掃き寄せの悪化や画像濃度低下、カブリ等を発生する場合がある。
【0012】
一方、現像スリーブの改良方法としては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボン等の導電性微粉末を分散させてなる被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブを現像装置に用いる方法が、特許文献3、4に開示されている。この方法を用いることにより、上記したチャージアップ現象は大幅に軽減されることが認められるが、非磁性トナーを用いた時の掃き寄せに関しては、いまだ不十分で高画質カラー画像に求められるほどのレベルには至っていない。
【0013】
更に、上記粉末を多量に添加した場合には被覆層が脆性化して削れやすくなると共に表面形状が不均一となり、耐久的な使用を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーの帯電性の不均一化が起こりやすくなる虞がある。
【0014】
また、特許文献5においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボン等の導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。この現像スリーブでは、被覆層の耐摩耗性が向上するとともに、被覆層表面の形状も均一化し、耐久的な使用による表面粗さの変化も比較的少なくなることから、現像スリーブ上のトナーコーティングが安定化してトナーの帯電をある程度均一化することができる。また、チャージアップによる画像濃度低下や画像濃度ムラ等の問題が軽減し、画質が安定化する傾向にある。しかしながら、この現像スリーブにおいても非磁性トナーを用いた時の掃き寄せに関しては、いまだ不十分である。更に非磁性トナーが球状であると低温低湿環境や高温高湿環境下での画質の安定化にも不十分となる虞があり、現像バイアスで十分な現像性を確保しようとするとリークによる白抜けを発生しやすくなることがある。
【0015】
特に近年の微粒子化・球形化したトナーを用いる場合において、現像スリーブ上のトナー層の形成は環境状態特性、トナーの物性、現像スリーブ表面の状態等に依存し、制御しにくくなってきている。また、次世代の超高画質化に向けた現像システムにおいては、S−D部の間でのトナーの往復運動を抑制するべく更に厳密な帯電量制御が必要とされ、トナーコート層の均一帯電化やS−D部の間での耐リーク性の向上が切望されている。
【0016】
以上述べてきたように、種々の改良が試みられているものの、これらの問題点をすべて解決するような現像方法は存在しないのが実状である。
【0017】
以上説明したように、前記従来例では掃き寄せ対策として、ある程度効果は見られる。しかしながら、非磁性一成分ジャンピング現像方式においては、いかなる環境下においても掃き寄せが良好で、画像濃度低下、カブリ、画像濃度ムラ等の発生が少なく、低コストで安定して良好な現像性を満足できるような技術は見出されていない。更にトナーとして、粒子が微粒子化や球形化されたもの、或いは低温定着が可能な材料構成とされたものを用いた場合、トナーのチャージアップやトナーによる現像スリーブ汚染がより発生しやすくなる。また、掃き寄せを発生させずに耐リーク性を維持しつつ、且つ画像濃度低下やカブリ、画像濃度ムラのない良好な現像性を達成するのが難しくなっている。
【0018】
【特許文献1】特開平08−022185号公報
【特許文献2】特開平07−134480号公報
【特許文献3】特開平02−105181号公報
【特許文献4】特開平03−036570号公報
【特許文献5】特開平03−200986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記従来技術の状況に鑑みなされたものである。
本発明は、掃き寄せが抑制され、画像濃度低下、画像濃度ムラ、カブリ、リークによる白抜け等の如き問題が発生せず、均一に画像濃度が高い高品位の画像を安定して低コストで得ることのできる現像装置を提供することを目的とする。また、本発明は、非磁性一成分ジャンピング現像システムにおいて、電界強度が高い現像装置においても、カブリや掃き寄せの発生がなく、リークによる白抜けなどのような画像欠陥のない高品位な画像を得ることができる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決した本発明は、現像剤を収容する現像剤容器及び静電潜像担持体と間隙をもって対向して配置されて該静電潜像担持体との最近接部で現像領域を形成し、前記現像剤容器内に収容されている前記現像剤を層状に担持して前記現像領域へ搬送し、少なくとも交番電圧の印加の下で前記搬送した現像剤で前記静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像して可視化する現像剤担持体を有する現像装置において、前記現像領域における前記現像剤担持体と前記静電潜像担持体との最近接距離が100μm以上250μm以下であり、且つ前記現像剤担持体と前記静電潜像担持体との間の最大電界強度が5.0×106V/m以上1.0×107V/m以下であり、前記現像剤担持体が、少なくとも、導電性基体、前記導電性基体上に形成された導電性樹脂層、及び前記導電性樹脂層上に形成された少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層を有していることを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現像剤担持体の表面に少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層を設けることで、耐リーク性を向上することが可能となる。また、感光体ドラムと現像剤担持体間の電界強度が大きいジャンピング現像システムにおいても、現像剤担持体上にコートされたトナーの帯電量分布を均一かつ高帯電量に維持することが可能となる。これにより、カブリや掃き寄せのない高画質の画像を得ることが可能な現像装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明について詳述する。
本発明の現像装置は、現像剤を収容する現像剤容器及び現像剤担持体を有する現像装置である。この現像剤担持体は、静電潜像担持体と間隙をもって対向して配置されて該静電潜像担持体との最近接部で現像領域を形成し、前記現像剤容器内に収容されている前記現像剤を層状に担持して前記現像領域へ搬送する。そして、少なくとも交番電圧の印加の下で前記搬送した現像剤で前記静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像して可視化する。このような本発明の現像装置は、以下の特徴を有する。
(1)前記現像領域における前記現像剤担持体と前記静電潜像担持体との最近接距離が100μm以上250μm以下であること
(2)前記現像剤担持体と前記静電潜像担持体との間の最大電界強度は5.0×106V/m以上1.0×107V/m以下であること
(3)前記現像剤担持体が、少なくとも、導電性基体、前記導電性基体上に形成された導電性樹脂層、及び前記導電性樹脂層上に形成された少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層を有していること
【0023】
まず、本発明の現像装置に用いられる現像剤担持体について説明する。
(現像剤担持体)
本発明における現像剤担持体は、少なくとも導電性基体、前記導電性基体上に形成された導電性樹脂層、及び、前記導電性樹脂層上に形成された少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層とを有する。
【0024】
本発明における現像剤担持体の表層は、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有していることが特徴である。オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを表層に設けることで画像濃度低下、画像濃度ムラ、カブリなどの画像欠陥を発生させずに耐リーク性が向上する。これにより、静電潜像担持体である感光体ドラムと現像剤担持体との間の最近接距離(S-D間距離)を狭めてもリークによる白抜けの発生を防止すると共に、掃き寄せの発生が抑制された高画質を達成することが可能となる。また、ポリシロキサン中にフッ化アルキル基が存在すると、更にトナーへの均一な帯電付与性を向上させる効果があり、掃き寄せのレベルを向上させることが可能となる。更に、アルキル基及び/又はアリール基が存在すると、より耐リーク性を向上させる効果がある。
【0025】
オキシアルキレン基とは、−O−R−(R:アルキレン基)で示される構造を有する2価の基(「アルキレンエーテル基」と呼ばれることもある。)である。このR(アルキレン基)としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
【0026】
フッ化アルキル基としては、例えば、直鎖型又は分岐型のアルキル基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものが挙げられる。その中でも、炭素数6〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0027】
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、更にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、ヘキシル基、デシル基がより好ましい。また、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0028】
上記構成のポリシロキサンを有することで、現像剤担持体の電気的特性や表面物性が良好であり、且つ、表層形成時における処理均一性が良好となり、耐リーク性が向上する。
また、シロキサンと結合しているオキシアルキレン基、フッ化アルキル基、アルキル基、アリール基は、無置換であっても、また、本発明を逸脱しない範囲で置換されていてもよい。
【0029】
上記ポリシロキサンは、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解によって縮合させ加水分解性縮合物を得、次いで、前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、前記加水分解性縮合物を架橋させることによって得ることが出来る。
【0030】
上記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物が好適である。
【0031】
【化1】

【0032】
(式中、R11は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基を示す。R12は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z11は、2価の有機基を示す。Rc11は、カチオン重合可能な基を示す。aは0〜2の整数であり、bは1〜3の整数であり、a+b=3である。)
【0033】
上記式(1)中のRc11で示されるカチオン重合可能な基とは、開裂によってオキシアルキレン基を生成するカチオン重合可能な有機基を意味し、例えば、エポキシ基やオキセタン基などの環状エーテル基、及び、ビニルエーテル基などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性及び反応制御の容易性の観点から、エポキシ基が好ましい。
【0034】
上記式(1)中のR11及びR12で示される飽和又は不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
【0035】
上記式(1)中のZ11で示される2価の有機基としては、例えば、アルキレン基及びアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
【0036】
上記式(1)中のbは3であることが好ましい。
【0037】
上記式(1)中のaが2の場合、2個のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、上記式(1)中のbが2又は3の場合、2個又は3個のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0038】
上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0039】
これらより、上記式(1)で示される化合物の中で好ましい官能基を有する化合物を用いることにより、更に本発明の効果を向上することが可能となる。
【0040】
本発明における現像剤担持体の表層に用いられるポリシロキサンは、上述の通り、次の工程を有する製造方法により得ることができる。
(1)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解によって縮合させ加水分解性縮合物を得る工程
(2)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、前記加水分解性縮合物を架橋させる工程
【0041】
現像剤担持体の耐リーク性向上の観点から、加水分解性縮合物を得る際には、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物に加えて、さらに、下記式(2)及び(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用することが好ましい。これにより、さらに均一且つ密着性に優れた表層を形成することができる。
【0042】
【化2】

【0043】
(式(2)中、R21は、アリール基置換のアルキル基若しくは無置換のアルキル基、又は、アルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示す。R22は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基を示す。dは0〜3の整数であり、eは1〜4の整数であり、d+e=4である。)
【0044】
【化3】

【0045】
(式(3)中、R31は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基を示す。R32は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z31は、2価の有機基を示す。Rh31は、炭素数1〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基を示す。fは0〜2の整数であり、gは1〜3の整数であり、f+g=3である。)
【0046】
上記式(2)中のR21で示されるアリール基置換のアルキル基又は無置換のアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基が好ましい。また、上記式(2)中のR21で示されるアルキル基置換のアリール基又は無置換のアリール基のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0047】
上記式(2)中のdは1〜3の整数であることが好ましく、特には1であることがより好ましい。また、上記式(2)中のeは1〜3の整数であることが好ましく、特には3であることがより好ましい。
【0048】
上記式(2)中のR22で示される飽和又は不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。
【0049】
上記式(2)中のdが2又は3の場合、2個又は3個のR21は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、上記式(2)中のeが2、3又は4の場合、2個、3個又は4個のR22は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0050】
上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0051】
これらより、上記式(2)で示される化合物の中から好ましい官能基を有する化合物を用いることにより、更に本発明の効果を向上することが可能となる。
【0052】
上記式(3)中のR31及びR32で示される飽和又は不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
【0053】
上記式(3)中のZ31で示される2価の有機基としては、例えば、アルキレン基及びアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
【0054】
上記式(3)中のRh31で示される炭素数1〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基としては、処理性の観点から、特に炭素数6〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0055】
上記式(3)中のgは3であることが好ましい。
【0056】
上記式(3)中のfが2の場合、2個のR31は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、上記式(3)中のgが2又は3の場合、2個又は3個のR32は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0057】
上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体的例として、以下に示す、式(4−1)〜(4−6)で表されるものが挙げられるが、勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0058】
(4−1) CF3−(CH22−Si−(OR)3
(4−2) F(CF22−(CH22−Si−(OR)3
(4−3) F(CF24−(CH22−Si−(OR)3
(4−4) F(CF26−(CH22−Si−(OR)3
(4−5) F(CF28−(CH22−Si−(OR)3
(4−6) F(CF210−(CH22−Si−(OR)3
【0059】
(式(4−1)〜(4−6)中のRはメチル基又はエチル基を示す。)
【0060】
これらより、上記式(4−1)〜(4−6)で示される化合物中から好ましい化合物を用いることにより、更に本発明の効果を向上することが可能となる。
【0061】
上記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物及び上記加水分解性シラン化合物は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
【0062】
以下、本発明における現像剤担持体の表層の形成方法について説明する。
まず、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物、及び、必要に応じて上記の他の加水分解性シラン化合物を水の存在下で加水分解反応させることによって加水分解性縮合物を得る。加水分解反応の際、温度やpHなどを制御することで、所望の縮合度の加水分解性縮合物を得ることができる。
【0063】
また、加水分解反応の際、加水分解反応の触媒として金属アルコキシドなどを利用し、縮合度を制御してもよい。金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド及びジルコニアアルコキシドなど、並びに、これらの錯体(アセチルアセトン錯体など)が挙げられる。
【0064】
次に、得られた加水分解性縮合物を含む表層用塗工液を調製し、導電性基体上に形成した導電性樹脂層の上に、調製した表層用塗工液を塗工する。
【0065】
表層用塗工液の調製は、まず、加水分解性シラン化合物を水及び溶剤と混合した後、溶液のpHを5程度として室温で撹拌し、その後、24時間程度加熱還流(80℃〜130℃)を行うことによって、加水分解性縮合物が得られる。得られた加水分解性縮合物を含む溶液を溶剤で希釈し所定の濃度にする。
【0066】
また、表層用塗工液を調製する際に用いる溶剤としては、例えば、エタノール、2−ブタノールなどのアルコールや、酢酸エチルなどのエステルや、メチルエチルケトンなどのケトン、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。また、表層用塗工液を導電性樹脂層上に塗工する方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、リング法などを採用することができる。また、塗工方法により一回の塗工で、均一で十分な膜厚が得られない際は、複数回の塗工を行うことも可能である。
【0067】
次に、導電性樹脂層上に塗工された表層用塗工液に活性エネルギー線を照射する。すると、表層用塗工液に含まれる加水分解性縮合物中のカチオン重合可能な基は開裂し、これによって前記加水分解性縮合物を架橋させることができる。加水分解性縮合物は架橋によって硬化する。
【0068】
上記活性エネルギー線照射時に発生した熱により、導電性樹脂層が膨張し、その後冷却によって収縮した際、表層がこの膨張・収縮に十分に追従しないと、密着性の低下や表層のひび割れを発生することがある。上記活性エネルギー線として紫外線を用いた場合、短時間(15分以内)に加水分解性縮合物を架橋することができる上、熱の発生も少なく、好ましい。
【0069】
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、エキシマUVランプなどを用いることができる。これらのうち、紫外線の波長が150〜480nmの光を豊富に含む紫外線源を用いることが好ましい。
【0070】
なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm2]=紫外線強度[mW/cm2]×照射時間[s]
【0071】
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離などを調整することにより行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−A(商品名)やUVD−S254(商品名)を用いて測定することができる。また、エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−A(商品名)やVUV−S172(商品名)を用いて測定することができる。
【0072】
また、架橋反応の際、架橋効率向上の観点から、カチオン重合触媒(重合開始剤)を共存させておくことが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示すことから、上記のカチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合触媒としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
【0073】
その他のカチオン重合触媒としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物などが挙げられる。各種カチオン重合触媒の中でも、感度、安定性及び反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩、例えば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩が好ましい。また、下記式(5)で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、旭電化工業(株)製)や、下記式(6)で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)などが挙げられる。
【0074】
【化4】

【0075】
【化5】

【0076】
カチオン重合触媒の使用量は、加水分解性縮合物に対して1質量%〜3質量%であることが好ましい。
【0077】
導電性樹脂層上に形成された表層の膜厚は、0.3μm〜1.5μmであることが好ましい。表層の膜厚が0.3μm以上であると、本発明の現像装置に用いた場合、有効な耐リーク性を示す。また、表層の膜厚を1.5μm以下とすると、チャージアップの発生を抑制することが出来る為、トナーの帯電を均一にすることが出来、カブリ、掃き寄せやベタ画像の濃度薄などの問題を抑制することが出来る。
【0078】
また、表層は、静電潜像担持体(感光体ドラム)と対向している現像剤担持体表面の全領域に被覆されていることが好ましい。図1は、現像剤担持体と現像剤担持体と対向する感光体ドラムを示す模式図である。図1(a)において、感光体ドラム2と対向している現像剤担持体表面の全領域とは、導電性基体1の外周面全領域のことである。この外周面全領域に表層4が被覆されることで、導電性である導電性基体1及び導電性樹脂層3が露出しなくなり、耐リーク性を向上させることが出来る。また、図1(b)のように感光体ドラム2と対向している導電性基体1の端部が細くなっている場合は、図中の距離Eが略最小値となる外周面領域だけ表層が被覆されていていれば耐リーク性を向上させる効果はほとんど損なわれない。但し、現像剤担持体の端部と感光体ドラムとの間隙E’が400μm以下である場合は、導電性基体1の端部からリークする可能性が高いため、前記端部外周面にも表層が被覆されていることが好ましい。
【0079】
本発明における導電性樹脂層は、結着樹脂中に少なくとも導電性粒子を含有していることが好ましい。前記導電性樹脂層は、現像剤担持体上のトナーの帯電性を均一に制御する効果と共に、表層の現像剤担持体表面への結着性を高める効果も有している。結着樹脂としては、従来から現像剤担持体の導電性樹脂層に一般に用いられている公知の樹脂を使用することが可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱あるいは光硬化性樹脂等を使用することが出来る。中でもシリコーン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0080】
結着樹脂中に含有される導電性粒子は、体積抵抗値を低減する為に使用する。導電性粒子としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物粒子等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属粒子、グラファイト等の黒鉛化粒子、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。中でもグラファイト等の黒鉛化粒子が好ましい。グラファイト等の黒鉛化粒子を導電性粒子として用いると、バラつきがなく且つ良好な導電性を有する導電性樹脂層を得ることが出来、更には、現像剤担持体の表面粗さをある程度得ることも出来るため、現像剤担持体上のトナーの帯電性を均一に制御し易い。
【0081】
グラファイトは、大別すれば天然グラファイトと人造グラファイトに分けられる。天然グラファイトは、永い間の天然の地熱と地下の高圧によって完全に黒鉛化したものが地中より産出するものである。人造グラファイトは、例えば、ピッチコークスをタールピッチ等により固めて1000℃〜1300℃位で一次焼成し炭化させてから種々のピッチを含浸させて黒鉛化炉に入れ、2500℃〜3000℃位の高温で二次焼成して得られるものである。二次焼成により、炭素の結晶を成長させグラファイトに変化させたものを、粉砕・分級することで所望の粒径のグラファイト粒子が得られる。
【0082】
また、本発明に使用することのできるより好ましい黒鉛化粒子として、メソカーボンマイクロビーズ粒子又はバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子がある。メソカーボンマイクロビーズ粒子又はバルクメソフェーズピッチ粒子を原材料として用いた黒鉛化粒子は、前記のピッチコークスをタールピッチ等により固めたものを原料として用いたものとは、原材料及び製造工程が異なる。黒鉛化度は若干低いものの、高い導電性や潤滑性を有しており、更に粒子の形状が結晶性グラファイトの燐片状あるいは針状とは異なり、ほぼ球状であり、しかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。従って、上記のような特性を有する前記黒鉛化粒子は結着樹脂中で均一に分散しやすくなるため、均一な表面粗度と機械的強度を導電性樹脂層に与えることができる。更に本発明における現像剤担持体の導電性樹脂層に用いると、表面形状が均一に制御しやすくなり耐リーク性の効果を高めることが可能となる。また、表層の結着性も高まる効果もある。
【0083】
前記のバルクメソフェーズピッチ粒子を用い黒鉛化粒子を調製する場合は、加熱下で軟化溶融するものを用いることが球状で黒鉛化度の高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。
【0084】
前記のバルクメソフェーズピッチを得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行うことによってメソフェーズピッチを得る方法である。また、前記重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼン又はトルエン等により溶剤可溶分を除去してメソフェーズピッチを得る方法を上げることができる。このバルクメソフェーズピッチはキノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。キノリン可溶分が95質量%以上のものを用いると、粒子内部が液相炭化しやすく、球状のものが得られやすい。
【0085】
次に前記のメソフェーズピッチ粒子を用いて黒鉛化する方法としては、まず、前記のバルクメソフェーズピッチを2μm〜25μmに微粉砕してメソフェーズピッチ粒子を調製する。これを空気中で約200℃〜350℃の熱処理することにより、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチ粒子は表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化熱処理時の溶融や融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチ粒子は酸素含有量が5質量%〜15質量%であることが好ましい。酸素含有量が5質量%以上であると熱処理時の粒子同士の融着がなく好ましい。一方、酸素含有量が15質量%以下であると粒子内部まで酸化されにくく、形状が球状のものが得られる。
【0086】
次に上記の酸化処理したバルクメソフェーズピッチ粒子を窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下にて、約800℃〜1,200℃で一次焼成することにより炭化し、続いて約2,000℃〜3,500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0087】
また、黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として代表的なものとして次に示す方法を挙げることができる。すなわち、まず石炭系重質油又は石油系重質油を300℃〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成する。そして、反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離等の処理に供することにより、メソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、更に乾燥する方法である。
【0088】
前記のメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化する方法としては、まず、乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズを破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0089】
この一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200℃〜1,500℃の温度で一次加熱処理され、炭化される。一次加熱処理を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが、黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。そして、二次分散処理を終えた炭化物を、不活性雰囲気下において約2,000℃〜3,500℃で二次加熱処理することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0090】
前記のいずれの原材料から得られた黒鉛化粒子も、製法にかかわらず、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、導電性樹脂層の表面形状を均一にするために好ましい。また、黒鉛化粒子の焼成温度は、上述した原料及び製造方法によらず、2,000℃〜3,500℃とすることが好ましく、2,300℃〜3,200℃とすることがより好ましい。
【0091】
焼成温度が2,000℃以上であると、黒鉛化粒子の黒鉛化度が良好となり、導電性や潤滑性が向上してトナーのチャージアップの発生を防止する効果が高まる。焼成温度が3,500℃以下であると黒鉛化粒子の硬度を高めに制御しやすく、導電性樹脂層の機械的強度を高める効果に優れている。
【0092】
グラファイト及び黒鉛化粒子としては、個数平均粒径が0.5μm〜15μmであるものが好ましく、1μm〜10μmであるものがより好ましい。グラファイト及び黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm以上であると現像剤担持体表面に均一な粗さを付与する効果とチャージアップの防止を高める効果が大きく、現像剤への均一な帯電が可能となる。
【0093】
一方、個数平均粒径が15μm以内であると、現像剤担持体表面の粗さを適切に調整可能となり、トナーの帯電が均一に行えると共に、耐リーク性を向上しやすくなる。
【0094】
導電性粒子の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜100質量部の範囲とすることが好ましい。導電性粒子の添加量が1質量部以上である場合は、導電性樹脂層の体積抵抗が低くなる為、チャージアップによる現像性の劣化が発生しなくなり、導電性粒子の添加量が100質量部以下である場合は、導電性樹脂層の機械的強度が高く好ましい。また、体積抵抗を制御する為に、2種以上の導電性粒子を分散し、含有させてもよい。
【0095】
また、本発明における導電性樹脂層に凹凸付与粒子を含有させてもよい。凹凸付与粒子は現像剤担持体の表層に適度な表面粗さを保持させて現像剤(トナー)の搬送性を向上し、トナーと現像剤担持体との接触機会を増やす。また、現像剤層厚規制部材としての弾性規制ブレードから粒子に加わる圧力を和らげてトナー融着を発生しにくくする効果がある。尚、導電性樹脂層の表面に凹凸が形成されると、前述した表層を形成したときに、略同形状の凹凸が表層に形成される。すなわち、導電性樹脂層の表面粗さを制御することにより、現像剤担持体の表層の表面粗さを制御することが出来る。
【0096】
凹凸付与粒子は、体積平均粒径が1μm〜15μmであることが好ましく、2μm〜10μmであることがより好ましい。体積平均粒径を1μm以上にすると、導電性樹脂層表面に均一な凹凸を形成しやすく、トナーの搬送性が向上する。体積平均粒径を25μm以下にすると、導電性樹脂層の表面粗さが均一となるとともに粗さが適度なものとなり、トナーの帯電が十分に行われ、カブリや濃度薄、掃き寄せ等の画質悪化を防止することが出来る。
【0097】
凹凸付与粒子の真密度は、3g/cm3以下であることが好ましく、2.7g/cm3以下であることがより好ましく、0.9g/cm3〜2.3g/cm3であることがさらに好ましい。凹凸付与粒子の真密度を3g/cm3以下とすると、導電性樹脂層中での凹凸付与粒子の分散が均一となる為、導電性樹脂表面に均一な粗さを付与することができる。これにより、トナーの均一な帯電化及び導電性樹脂層の強度を保持することができる。また、凹凸付与粒子の真密度が0.9g/cm3以上である場合にも、導電性樹脂層中での凹凸付与粒子の分散が均一となり好ましい。
【0098】
凹凸付与粒子の形状は、球状であることが好ましい。球状とは、粒子投影像における粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度の物を意味し、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用することが好ましい。凹凸付与粒子の長径/短径の比が1.5以下である場合には、導電性樹脂層中への分散性が低下したり、導電性樹脂層の表面粗さが不均一化したりすることを防ぐことができる。
【0099】
凹凸付与粒子としては、公知のものが使用可能であり、特に限定されないが、例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子などを挙げることができる。
【0100】
球状の樹脂粒子としては、例えば懸濁重合、分散重合法等により得られるものを用いることができる。球状の樹脂粒子は、より少ない添加量で好適な表面粗さを導電性樹脂層に付与することができ、更に前記導電性樹脂層の表面形状を均一にしやすいため、上記各球状粒子の中でも好適に用いることができる。この様な球状の樹脂粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子等が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的にあるいは物理的に球形化処理を行ってから用いてもよい。
【0101】
また、上記球状粒子の表面に無機物を付着させたり、固着させたりして用いてもよい。この様な無機物としては、SiO2、SrTiO3、CeO2、CrO、Ai23、ZnO、MgO等の酸化物、Si34等の窒化物;SiC等の炭化物;CaSO4、BaSO4、CaCO3等の炭化物又は炭酸塩等が挙げられる。このような無機物は、カップリング剤により処理して用いても良い。
【0102】
カップリング剤により処理された無機物は、特に球状粒子と結着樹脂との密着性を向上させる目的、あるいは球状粒子に疎水性を与える等の目的で好ましく用いることが可能である。このようなカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、例えばシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び、1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0103】
このように球状樹脂粒子表面に無機物を付着又は固着させて処理することにより、導電性樹脂層中への分散性、導電性樹脂層表面の均一性、導電性樹脂層の耐汚染性、トナーへの帯電付与性等を向上させることができる。
【0104】
本発明における導電性樹脂層は、例えば、各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、前記導電性基体上に塗工することにより形成することが可能である。各成分の分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。また塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等公知の方法が適用可能である。
【0105】
導電性基体上に形成された導電性樹脂層の膜厚は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは4〜20μmであると均一な膜厚を得ることが出来、また、適度な導電性を有するために好ましい。
【0106】
導電性基体としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等があるが、ドラムに非接触の本発明の現像装置においては、金属のような剛体の円筒管もしくは中実棒が好ましく用いられる。このような基体はアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の非磁性の金属又は合金を円筒状あるいは円柱状に成型し、研磨、研削等を施したものが好適に用いられる。これらの導電性基体は画像の均一性を良くするために、高精度に成型あるいは加工されて用いられる。例えば長手方向の真直度は30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下のものが好適に用いられる。現像剤担持体と感光体ドラムとの間隙の振れ、例えば、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、現像剤担持体を回転させた場合の垂直面との間隙の振れも30μm以下もしくは20μm以下、さらには10μm以下であることが好ましい。材料コストや加工のしやすさからアルミニウムが好ましく用いられる。
【0107】
これら導電性基体の表面は、更にブラスト、ヤスリ又は切削で所定の表面粗さになるように処理されていてもよく、電解メッキ又は無電解メッキで処理されていてもよい。
【0108】
上記のように作製した現像剤担持体の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.2μm〜2.0μmであることが好ましい。現像剤担持体表面の算術平均粗さが0.2μm以上であると、現像剤担持体に担持される現像剤の量が多くなり、ベタ画像の濃度薄などの問題が発生することを防止することができる。現像剤担持体の表面の算術平均粗さ(Ra)を2.0μm以下とすると、現像剤担持体表面の凹凸の突起部分からリークし、ベタ画像等で白抜けが発生することを防止することができる。
【0109】
(現像装置)
次に本発明の現像装置について説明する。
図2は、本発明の現像装置の構成の一例を示す模式図である。図2で、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する静電潜像担持体としての感光体ドラム2は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ5は、金属製円筒管(導電性基体)1とその上に形成される導電性樹脂層3と更にその上に形成される表層4から構成されている。導電性基体1として金属製円筒管の代わりに円柱状部材を用いることもできる。現像剤容器であるホッパー6中には非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)7を撹拌するための撹拌翼8が設けられている。
【0110】
現像剤担持体5に非磁性トナー7を供給し、かつ現像後の現像剤担持体5の表面に存在する現像剤7を剥ぎ取るための現像剤供給・剥ぎ取り部材(供給・剥ぎ取りローラ)9が現像剤担持体5に当接している。現像剤供給・剥ぎ取り部材である現像剤供給・剥ぎ取りローラ9が現像剤担持体5と同じ方向(矢印C方向)に回転することにより、現像剤供給・剥ぎ取りローラ9の表面は現像剤担持体5の表面とカウンター方向に移動することになる。これにより、ホッパー6から供給された非磁性トナー7が現像剤担持体5に供給される。現像剤担持体5が非磁性トナー7を担持して矢印A方向に回転すると、感光体ドラム2と現像剤担持体5とが対向する領域である現像領域Dに非磁性トナー7が搬送される。現像剤担持体5に担持された非磁性トナー7は、現像剤担持体5の表面に現像剤層を介して圧接する現像剤層厚規制部材10により現像剤層厚が規定される。非磁性トナー7は現像剤担持体5との摩擦により、感光体ドラム2上の静電潜像を現像可能な摩擦帯電電荷を得る。
【0111】
現像剤担持体5上に形成される非磁性トナー7の薄層の厚みは、現像部における現像剤担持体5と感光体ドラム2との間の現像領域Dにおける最近接距離(S−D間距離)よりも更に薄いことが好ましい。現像剤担持体5には、これに担持された非磁性トナー7を飛翔させるために、現像バイアス電源11により現像バイアス電圧が印加される。本発明においては、現像画像の濃度を高めるため或いは階調性を向上するために、現像剤担持体5に交番電圧を印加して、現像部に向きが交互に反転する振動電界を形成している。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像剤担持体5に印加することが好ましい。
【0112】
交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交流電圧としては周期的にその電圧値が変化するような交番電圧が使用できる。
【0113】
現像装置の現像部における現像剤担持体5と感光体ドラム2との間の最近接距離であるS−D間距離は100μm〜250μmであることが好ましく、更に好ましくは120μm〜180μmであることが良い。最近接距離(S−D間距離)とは、図1中では、現像剤担持体の表面に形成している表層と感光体ドラムとの距離が、概略最小値となる距離Fのことである。
【0114】
S−D間距離が100μm未満の場合には、現像バイアスのリークによる白抜け画像が発生しやすくなる。また、S−D間距離が250μmを超える場合には、現像バイアスによる非磁性トナー7の往復運動が多くなるため掃き寄せ画像が発生しやすい。更に、感光体ドラム2上の静電潜像に対する非磁性トナー7の追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招いてしまう。また、S−D間距離が120μm〜180μmであると、上記の問題の発生がより抑制される為効果的である。
【0115】
S−D間距離をこの範囲内に制御することにより、現像バイアスのリークを抑制し、感光体ドラム2上の静電潜像に対する非磁性トナー7の追従性を向上させ、高画質を得ることができる。
【0116】
更に本発明の現像装置は、現像剤担持体5と静電潜像担持体2との間の最大電界強度が5.0×106V/m〜1.0×107V/mであることが特徴である。最大電界強度が5.0×106V/m未満である場合には、非磁性トナー7の往復運動が低下し、飛散・カブリが悪化する。更に、現像力が小さいために画像濃度の低い画像となり易い。また、最大電界強度が1.0×107V/mを超える場合には、現像力が大き過ぎることによるカブリの増大や現像バイアスのリークによる白抜け等の画像欠陥を生じ易くなる。
【0117】
現像剤供給・剥ぎ取り部材9としては、樹脂、ゴム、スポンジ等の現像剤供給・剥ぎ取りローラであることが好ましい。現像剤供給・剥ぎ取り部材9としては、現像剤供給・剥ぎ取りローラに代えてベルト部材又はブラシ部材を用いることもできる。感光体ドラム2に移行されなかった現像剤を現像剤供給・剥ぎ取り部材9により、一旦現像剤担持体表面から剥ぎ取ることにより、現像剤担持体上における不動の現像剤の発生を阻止し、現像剤の帯電を均一化する。
【0118】
現像剤供給・剥ぎ取り部材として弾性層を有する現像剤供給・剥ぎ取りローラ9を用いる場合には、その周速を次のようにすることが好ましい。すなわち、現像剤供給・剥ぎ取りローラ9表面が現像剤担持体5に対してカウンター方向(矢印C方向)に回転する場合、現像剤担持体5の周速100%に対して、20%〜120%とすることが好ましく、30%〜100%とすることがより好ましい。
【0119】
現像剤供給・剥ぎ取りローラ9の周速を20%以上とすると、現像剤の供給が増加し、ベタ画像の追従性が向上しゴースト画像の発生を抑えることができる。また、周速を120%以下とすると、現像剤の供給量の規制が好適になされ現像剤層厚の規制が適切になされ帯電量不足によるカブリやトナーに対するダメージを抑えることができる。また、トナーの融着を防止することができる。
【0120】
現像剤供給・剥ぎ取りローラ9表面が現像剤担持体5に対して同(順)方向に回転する場合、トナー供給量の点から供給・剥ぎ取りローラの周速を、現像剤担持体の周速に対して100%〜300%とすることが好ましい。さらに、101%〜200%とすることがより好ましい。現像剤供給・剥ぎ取りローラ9表面の回転方向は、現像剤担持体表面の回転方向とカウンター方向に回転することが、剥ぎ取り性及び供給性の点でより好ましい。
【0121】
現像剤担持体5に対する現像剤供給・剥ぎ取り部材9の侵入量は、0.5mm〜2.5mmであることが、現像剤の供給及び剥ぎ取り性の点で好ましい。現像剤供給・剥ぎ取り部材9の侵入量が0.5mm以上である場合には、剥ぎ取りが十分に行われる。これによりゴーストの発生を抑えることができる。また、侵入量が2.5mm以下である場合には、トナーのダメージが少なく、トナー劣化による融着やカブリの発生を抑えることができるとなり。
【0122】
図2に示した現像装置は、現像剤担持体5上の非磁性一成分現像剤7の層厚を規制する現像剤層厚規制部材10として、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料の弾性規制ブレードを使用することができる。またこの弾性規制ブレードは、リン青銅、ステンレス銅の如き金属弾性を有する材料の弾性規制ブレード10であってもよい。
【0123】
弾性規制ブレード10を現像剤担持体5の回転方向と逆の姿勢で該現像剤担持体5に圧接させることにより、現像剤担持体5上に更に薄い現像剤層を形成することができる。この弾性規制ブレード10としては、特に安定した規制力とトナーへの安定した(負)帯電付与性のために、安定した加圧力の得られるリン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた構造のものを用いることが好ましい。ポリアミドエラストマー(PAE)としては、例えばポリアミドとポリエーテルの共重合体が挙げられる。
【0124】
現像剤担持体5に対する現像剤層厚規制部材10の当接圧力は、線圧0.049N/cm〜0.49N/cmであることが、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適に調整することができる点で好ましい。
【0125】
現像剤層厚規制部材10の当接圧力が線圧0.049N/cm以上である場合には、現像剤の規制が十分となり、カブリやトナーもれを防ぐことができる。、また、当接圧力が線圧0.49N/cm以下である場合にはトナーへのダメージが小さくなり、トナー劣化や現像剤担持体及びブレードへの融着を防止することができる。
【0126】
次に、本発明の現像装置で用いられる現像剤(トナー)について説明する。本発明の現像装置で用いられるトナーは、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.935〜0.995である非磁性現像剤であることが好ましい。本発明において用いる円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0127】
フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.935以上のトナーは転写性に非常に優れている。これはトナーと感光体ドラムとの接触面積が小さく、鏡像力やファンデルワールス力等に起因するトナーの感光体ドラムへの付着力が低下するためと考えられる。従って、このようなトナーを用いれば転写効率が高く、トナー消費量の低減に寄与する。一方、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.995以下のトナーは、円形度が適度であるために、長期の現像性が向上する。
【0128】
また、本発明におけるトナーの重量平均粒径は、3μm〜10μmであることが好ましく、4μm〜8μmであることがより好ましい。重量平均粒径を3μm以上とすると、転写効率が向上し感光体ドラム上の転写残トナーが減少する。さらに、トナー全体の表面積が減少することに加え、粉体としての流動性及び攪拌性が向上し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが容易となり、カブリや転写性が良好となり、画像のムラが改善される。また、トナーの重量平均粒径を10μm以下とすると、文字やライン画像に飛び散りが生じにくくなり、高解像度の画像が得られる。さらに高解像度の現像装置において1ドットの再現性が良好となる。
【0129】
本発明において用いられるトナーとしては、主として結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、着色剤等を溶融混練し、固化した後粉砕し、しかる後分級等を行い粒度分布をそろえて製造する粉砕トナー製法で製造したトナーが好ましい。また、重合トナー製法により製造した重合トナー等を好ましく用いることができる。
【0130】
粉砕トナー製法で製造したトナーに用いられる結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。
【0131】
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルぺン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス等が単独で或いは混合して使用できる。
【0132】
また、トナーは着色剤として顔料を含有することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエローG、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、インドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、パラニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バイオレッドBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメントブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、ザボン・ファーストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセットYG、ザボン・ファーストオレンジRR、オイル・スカーレット、オラゾール・ブラウンB、ザボン・ファーストスカーレットCG、オイルピンクOP等が適用できる。
【0133】
トナーを磁性トナーとして用いるために、トナーの中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられる。例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末、又はマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー質量に対して15質量%〜70質量%が良い。
【0134】
トナーの定着時の離型性向上、定着性向上の目的で、トナーにワックス類を含有させることもできる。そのようなワックス類としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体等が挙げられる。誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタム等も利用できる。
【0135】
必要に応じて、トナーに荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤には、負荷電制御剤と正荷電制御剤とがある。本発明に用いることのできるトナーを負荷電性に制御する負荷電制御剤として下記物質がある。
【0136】
例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
【0137】
また、本発明に用いることのできるトナーを正帯電させるための正荷電制御剤としては下記のようなものがある。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
【0138】
トナーは必要に応じて、流動性改善等の目的で無機微粉体等の微粉体を外添して用いられる。このような微粉体としては、シリカ微粉体、アルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;及び窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム等の窒化物等の無機微粉体が用いられる。
【0139】
これらの微粉体は、有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤等で有機処理して用いることが可能である。例えば、有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0140】
また、未処理の微粉体を窒素含有のシランカップリング剤で処理したものを用いることも、特にポジトナーの場合好ましい。そのような処理剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール、等がある。
【0141】
上記シランカップリング剤により微粉体を処理する方法としては、例えば、スプレー法、有機溶媒法、水溶液法等がある。
【0142】
一般に、スプレー法による処理とは、微粉体を撹拌しここにカップリング剤の水溶液或いは溶媒液をスプレーし、この後水或いは溶媒を120℃〜130℃程度で除去乾燥する方法である。また、有機溶媒法による処理とは、少量の水とともに加水分解用触媒を含む有機溶媒(アルコール、ベンゼン、ハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し、これに微粉体を浸漬して処理する方法である。通常、浸漬した後、濾過或いは圧搾により固液分離を行い120℃〜130℃程度で乾燥させる。水溶液法とは0.5%程度のカップリング剤を、一定pHの水或いは水−溶媒中で加水分解させ、ここに微粉体を浸漬した後、同様に固液分離を行い乾燥するものである。
【0143】
他の有機処理としてシリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとして、25℃における粘度がおよそ0.5mm2/sec〜10000mm2/sec、好ましくは1mm2/sec〜1000mm2/secのものが用いられる。例えば、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0144】
また、側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いて上記微粉体を処理することも、特にポジトナーの場合は好ましい。シリコーンオイルによる処理は、例えば、次のようにして行うことができる。必要に応じて加熱しながら無機微粉体を激しく撹拌して、これに上記シリコーンオイル或いはその溶液をスプレー若しくは気化して吹き付けて処理する。又は、無機微粉体をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下することによって容易に処理できる。これらのシリコーンオイルは1種或いは2種以上の混合物或いは併用や多重処理して用いられる。また、シランカップリング剤による処理と併用しても構わない。
【0145】
上記したような本発明で用いられるトナーは、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、攪拌羽根又はブレード等、及びライナー又はケーシング等を有する装置を用い、例えば、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法が挙げられる。また、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法や、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等もある。
【0146】
また、本発明で用いることのできるトナーを作る方法としては、水中にトナー結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナーを製造する重合トナー製法がある。一般的な重合トナー製法としては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤を均一に溶解又は分散させて単量体組成物とした後、これを重合して所望の粒径を有する現像剤を得る方法がある。この方法においては、通常、単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば、水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒径に分散して重合を行う。
【0147】
本発明で用いる重合トナーは、公知の方法により製造することができる。着色剤、荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤としては、上記粉砕トナー製法で用いたものを用いることができる。これらを重合トナー製法に使用する場合、上記単量体組成物の重合を阻害するものは予め重合阻害作用を示さないよう前処理して用いることが好ましい。また、流動性改善等の目的で重合トナーに無機微粉体等の微粉体を外添して用いてもよい。この場合、上記粉砕トナー製法で用いられるものの中から適したものを選択し用いればよい。
【0148】
以下に、本発明に関わる物性の測定方法について説明する。
(1)現像剤担持体表面の算術平均粗さRaの測定
JIS B0601(2001)に基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3500(商品名)を用いて測定した。測定条件としてはカットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sにて、軸方向3点×周方向3点=9点について各々測定し、その平均値をとった。
【0149】
(2)凹凸付与粒子及びトナー粒子の粒径測定
測定装置としては、コールターカウンターTA−II型、コールターマルチサイザーII又
はコールターマルチサイザーIII(いずれもべックマン・コールター社製;商品名)を用いた。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて調製した約1%NaCl水溶液、又はISOTON−II(べックマン・コールター社製;商品名)を使用できる。前記電解水溶液100ml〜150ml中に分散剤として、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を、0.1ml〜5ml加え、さらに測定試料を2mg〜20mg加え試料を懸濁する。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャー或いは30μmアパーチャーを用いて、測定試料の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。この結果より、トナー粒子については体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径を求め、また凹凸付与粒子については個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径を求めた。
【0150】
(3)1μm以上の導電性粒子の粒径測定
黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径はレーザー回折型粒度分布計のコールターLS−130型粒度分布計(コールター社製;商品名)を用いて測定する。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行する。次に純水10ml中に界面活性剤3〜4滴を加え、更に測定試料を5〜25mg加える。試料を懸濁した水溶液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行って試料液を得る。前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から個数平均粒径を求める。
【0151】
(4)1μm未満の導電性粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、導電性粒子の粒径を測定する。撮影倍率は6万倍とするが、難しい場合は低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントする。写真上で1次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0152】
(5)現像剤担持体の表層の組成分析方法
10〜1000倍の光学顕微鏡下、光学顕微鏡に設置した3次元粗微動マイクロマニピュレーター((株)ナリシゲ製)を用い、現像剤担持体の表層から1mg程度の試料を採取した。採取した試料の組成を、TG−MS法(TG装置にMS装置を直結)により分析した。試料加熱時に発生する気体の質量数ごとの濃度変化を、重量変化と同時に、温度の関数として追跡した。測定の条件を表1に示す。
【0153】
【表1】

【0154】
上記条件で測定して得られたTG−DTG(Derivative thrmogravimetry)曲線には、室温付近から重量減少が認められ、また、400℃〜500℃付近及び500℃〜650℃付近に、2段階の顕著な重量減少が認められた。
ここで、400℃〜500℃で発生する気体について、質量分析計(MS)により質量数(m/z)31、43、58、59のオキシアルキレン基が確認でき、その質量数ごとの濃度変化と重量減少率から、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量を測定する。また、質量数(m/z)78(ベンゼン)、91(トルエン)などのアリール基も確認でき、その質量数ごとの濃度変化と重量減少率から、ポリシロキサン中のアリール基の含有量を測定する。更に、質量数(m/z)16、41などのアルキル基も確認でき、その質量数ごとの濃度変化と重量減少率から、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量を測定する。また、500℃〜600℃で発生する気体について、質量数(m/z)51、69、119、131のフッ化アルキル基が確認でき、その質量数ごとの濃度変化と重量減少率から、ポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量を測定する。
【0155】
残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分(-Si-O-Si-O-・・・で示される構造を有する部分)であると考えられ、残渣の質量からポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量を測定することが出来る。
【0156】
(6)表層及び導電性樹脂層の膜厚測定
導電性樹脂層の膜厚は、KEYENCE社製レーザー寸法測定器を用いて測定した。コントローラLS−5500(商品名)及びセンサーヘッドLS−5040T(商品名)を用い、現像剤担持体固定治具及び現像剤担持体送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、現像剤担持体の外径寸法を測定する。現像剤担持体長手方向に対し30分割して30箇所測定し、更に現像剤担持体を周方向に90°回転させた後更に30箇所、計60箇所の測定を行い、その平均値を外径寸法とした。導電性樹脂層塗布前の導電性基体の外径を予め測定しておき、導電性樹脂層形成後の外径を測定し、その差分を導電性樹脂層の膜厚とした。
【0157】
表層の膜厚の測定としても、上記の方法が用いられるが、1μm以下の膜厚に関してはバラツキを拾ってしまう為、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた透過像観察により、測定した。具体的には、紫外線硬化アクリル樹脂に現像剤担持体の切片を包埋させた後硬化させ、ダイヤモンドナイフを備えたミクロトームを用い超薄切片を切り出し、その超薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて透過像観察を行った。観察倍率は10000倍とし、その画像から表層の膜厚を測定した。
【0158】
(7)トナーの平均円形度の測定
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像測定装置FPIA−2100(商品名)を用いて23℃、60%RHの環境下で測定を行う。円相当径0.60μm〜400μmの範囲内のトナー粒子を測定し、そこで測定されたトナー粒子の円形度を下記式により求め、更に円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子において、円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
円形度a=L0/L
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子投影像の周囲長を示す。〕
【0159】
なお、本発明で用いる測定装置である「FPIA−2100」(商品名)は、各トナー粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出にあたって、得られた円形度によって、トナー粒子を、円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分ける。そして、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う。この算出法で算出される平均円形度の値と、各トナー粒子の円形度の総和を用いる算出式によって算出される平均円形度の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度である。本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、各トナー粒子の円形度の総和を用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。本発明で用いる測定装置である「FPIA−2100」(商品名)は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」(商品名)と比較して、シースフローが薄層化(7μm→4μmに)され処理粒子画像の倍率が高い。さらに取り込んだ画像の処理解像度の向上(256×256→512×512)によりトナー粒子の形状測定の精度が上がっており、それによりトナー微粒子のより確実な捕捉を達成している装置である。従って、より正確に形状及び粒度分布を測定する必要がある場合には、より正確に形状及び粒度分布に関する情報が得られる「FPIA−2100」(商品名)の方が有用である。
【0160】
(8)黒鉛化粒子の黒鉛化度の測定
黒鉛化度P(002)は、マックサイエンス社製の強力型全自動X線回折装置“MXP18”システム(商品名)により、黒鉛のX線回折スペクトルから得られる格子間隔d(002)を測定し、下記式を用いて求めた。
d(002)=3.440−0.086(1−P(002)2
【0161】
尚、格子間隔d(002)は、CuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去している。標準物質に高純度シリコンを使用し、C(002)及びSi(111)回折パターンのピーク位置から算出した。主な測定条件は以下のとおりである。
X線発生装置:18kw
ゴニオメータ:横型ゴニオメータ
モノクロメータ:使用
管電圧:30.0kV
管電流:10.0mA
測定法:連続法
スキャン軸:2θ/θ
サンプリング間隔:0.020deg
スキャン速度:6.000deg/min
発散スリット:0.50deg
散乱スリット:0.50deg
受光スリット:0.30mm
【実施例】
【0162】
以下実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の配合における部、%は、特にことわらない限り、それぞれ質量部、質量%である。
【0163】
(1)現像剤担持体の製造
<現像剤担持体1の製造>
下記原材料を準備した。
・レゾール型フェノール樹脂:300部
(J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)、メタノール40%含有;固形分180部)
・黒鉛化粒子 :54部
(石炭系重質量油を熱処理することで得られたメソカーボンマイクロビーズを、洗浄・乾燥した後に、アトマイザーミルで機械的に分散を行い、窒素雰囲気下において800℃で一次加熱処理を行い炭化させた。次いで、アドマイザーミルで二次分散を行った後、窒素雰囲気下において2800℃で熱処理し、更に分級して作製した。得られた黒鉛化粒子の体積平均粒径4.5μm、黒鉛化度P(002)0.28)
・カーボンブラック :6部
(トーカブラック#5500(東海カーボン株式会社製;商品名)、1次粒子径25nm)
・メタノール :240部
【0164】
まず、レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール40%含有)100部に黒鉛化粒子を54部、カーボンブラックを6部、及びメタノールを80部添加した。さらに、直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加えて横型サンドミルにて分散して塗料中間体を得た。この塗料中間体に、残りのレゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール40%含有)200部とメタノール160部を加え、直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加えて縦型サンドミルにて分散して導電性樹脂層形成用塗工液(樹脂層塗工液)を得た。
【0165】
前記樹脂層塗工液を用いてエアースプレー法により、外径16mmφに研削加工したアルミニウム製基体に導電性樹脂層を形成した。このときの塗工領域は少なくとも現像領域に導電性樹脂層が形成されるように行った。続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して導電性樹脂層を硬化させて現像剤担持体中間体1を作製した。このとき作製した現像剤担持体中間体1の導電性樹脂層表面の算術平均粗さ(Ra)は0.49μmであり、導電性樹脂層の層厚は8.2μmであった。
【0166】
次に、下記原材料を準備した。
・グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)
:64.03g(0.23mol)
・トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(FTS、パーフルオルアルキル基の炭素数6) :20.40g(0.04mol)
・フェニルトリエトキシシラン(PhTES):55.29g(0.23mol)
・水 :40.00g
・エタノール :99.08g
【0167】
これらの原材料を混合した後、室温で撹拌し、次いで24時間加熱還流(110℃)を行うことによって、加水分解性の縮合物1を得た。この縮合物をエタノールで希釈して固形分7.5質量%の縮合物含有アルコール溶液1を調整した。さらに、この縮合物含有アルコール溶液100gに対して0.35gの光カチオン重合開始剤[芳香族スルホニウム塩(商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業株式会社製)]を添加した。これを、エタノールで希釈することによって固形分3質量%の表層形成用塗工液1(表層塗工液1)を調整した。
【0168】
表層塗工液1を用いてエアースプレー法により、現像剤担持体中間体1に表層を形成した。そのとき、感光体ドラムと対向している現像剤担持体表面の全領域に被覆するように塗工を行った。現像剤担持体中間体1に塗工した表層塗工液1に254nmの波長の紫外線を積算光量が8500mJ/cm2になるように照射することによって、表層塗工液を硬化(架橋反応による硬化)させた。この硬化したものを数秒間(2〜3秒間)放置して乾燥させることによって表層を形成し、現像剤担持体1を作製した。紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング株式会社製の低圧水銀ランプを用いた。
【0169】
<現像剤担持体2〜5の製造>
加水分解性シラン化合物の縮合物を得る際の原材料(加水分解性化合物の種類及び量[mol]ならびに水及びエタノールの量[g])を表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体2〜5を作製した。尚、表2中のHeTMSはヘキシルトリメトキシシランを示し、MTESはメチルトリエトキシシランを示す。
【0170】
【表2】

【0171】
<現像剤担持体6〜8の製造>
表層の膜厚を調整する為に、表層塗工液を調整するときのエタノールでの希釈条件(表層塗工液の固形分)を表3に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体6〜8を作製した。
【0172】
【表3】

【0173】
<現像剤担持体9の製造>
現像担持体中間体の製造方法を下記のとおりとしたこと以外は現像剤担持体製造例1と同様にして現像剤担持体9を製造した。
下記原材料を準備した。
・レゾール型フェノール樹脂 :300部
(J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)、メタノール40%含有;固形分180部)
・凹凸付与粒子 :5部
(SBX−6(積水化成品工業;商品名、体積平均粒径6.3μm、長径/短径の比率1.10)
・カーボンブラック :60部
(トーカブラック#5500(東海カーボン株式会社製;商品名)、1次粒子径25nm)
・メタノール :240部
【0174】
まず、レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール40%含有)100部にカーボンブラックを60部、及びメタノールを80部添加した。さらに、直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加えて横型サンドミルにて分散して塗料中間体を得た。この塗料中間体に、残りのレゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール40%含有)200部とメタノール160部、凹凸付与粒子5部を加えた。さらに、これに直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加えて縦型サンドミルにて分散して導電性樹脂層形成用塗工液(樹脂層塗工液)を得た。
【0175】
前記樹脂層塗工液を用いてエアースプレー法により、外径16mmφに研削加工したアルミニウム製基体に導電性樹脂層を形成した。このときの塗工領域は少なくとも現像領域に導電性樹脂層が形成されるように行った。続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して導電性樹脂層を硬化させて現像剤担持体中間体を作製した。このとき作製した現像剤担持体中間体の導電性樹脂層表面の算術平均粗さ(Ra)は0.52μmであり、導電性樹脂層の層厚は8.6μmであった。
【0176】
<現像剤担持体10の製造>
現像剤担持体1を作製する過程で作製された現像剤担持体中間体1を現像剤担持体10とした。
【0177】
(2)現像剤の製造
下記の手順によって重合法によりトナーを作製した。
60℃のイオン交換水900gに、リン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。また、下記処方をホモジナイザー(日本精機社製)に投入し、60℃に加温した後、9000rpmにて攪拌し、溶解・分散した。
・スチレン :150部
・n−ブチルアクリレート :50部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :20部
・サリチル酸アルミニウム化合物 :2部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ポリエステル樹脂 :15部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10000、Mn=6000)
・ステアリン酸ステアリルワックス :32部
(DSCのメインピーク60℃)
・ジビニルベンゼン :0.6部
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0178】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下で、TK式ホモミキサーを用いて8000rpmで攪拌し、造粒した。その後、プロペラ式攪拌装置に移して攪拌しつつ、2時間かけて70℃に昇温し、更に4時間後、昇温速度40℃/hで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行い、重合体粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してシアントナーの母体粒子(重量平均粒径6.7μm、平均円形度0.983)を得た。
【0179】
このシアントナーの母体粒子100部に対し、次に示す微粉体を混合した。
・ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体 :1.0部
(平均一次粒径7nm)
・ルチル型酸化チタン微粉体 :0.15部
(平均一次粒径45nm)
・ルチル型酸化チタン微粉体 :0.5部
(平均一次粒径200nm)
これをヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、本発明に用いる非磁性一成分現像剤としてのトナーとした。
【0180】
(3)実施例
<実施例1〜9、比較例1>
カラーレーザープリンタLBP−2510(キヤノン社製;商品名)を以下のように改造し以下に示す評価を行った。
シアンカートリッジEP−85(キヤノン社製;商品名)から現像剤担持体上に装着されている帯電補助ローラを外し、前記現像剤担持体の製造例にて作製した現像剤担持体を組み込み、前記現像剤製造例にて作製したトナーを充填した。このとき、現像剤担持体の左右についているコロの直径を大きいものに変更し、現像剤担持体と感光体ドラムとの間のS−D間距離を150μmとした。次に改造したシアンカートリッジEP−85(キヤノン社製;商品名)をカラーレーザープリンタLBP−2510(キヤノン社製;商品名)のシアンステーションに装着し、その他のステーションにはダミーカートリッジを装着して、評価機とした。これを用いて単色評価を実施した。評価は、常温常湿(23℃/60%RH)環境で行った。
【0181】
上記評価機の感光体ドラムの非画像部の暗部電位(VD)は−500V、静電潜像が形成された画像の明電位(VL)は−100Vに設定した。更に、現像剤担持体には現像バイアスとして−250Vの直流バイアス(VDC)と、ピーク間の電圧(VPP)1.8kV、周波数3kHzの矩形波からなる交流バイアスを重畳したものを印加し、ジャンピング現像を行った。この時最大電界強度Fは下記式で算出される。下記式にて求めた実施例1〜9及び比較例1の評価機における最大電界強度は、7.7×106V/mであった。この条件で、下記の画質評価(画像濃度、カブリ、掃き寄せ)を行い、更にVPPを変動させて下記の耐リーク性評価を行った。
【0182】
≪画質及び耐リーク性の評価≫
〔1〕画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)を転写材として用い、画出し試験においてベタ画像を出力し、その濃度を測定することにより画像濃度を評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。得られた結果に基づき下記基準により画像濃度を評価した。
A: 1.40以上
B: 1.35以上〜1.40未満
C: 1.00以上〜1.35未満
D: 1.00未満
【0183】
〔2〕カブリ
「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製;商品名)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、下記基準により画像カブリを評価した。フィルターは、アンバーライトフィルターを用いた。
A: 0.5%未満
B: 0.5%以上〜1.0%未満
C: 1.0%以上〜1.5%未満
D: 1.5%以上
【0184】
〔3〕掃き寄せ
縦×横が30mm×20mmのベタ画像の次にベタ白画像が続く画像を出力して、以下の方法で掃き寄せ部分を数値化して評価した。
【0185】
図3は上記画像パターンを出力した一例である。図3のように出力した画像を画像スキャナシステムでPC内に取り込み、画像濃度を0〜255の数値データに変換する。図4は画像スキャナシステムで取り込んだサンプル画像のY軸に対する濃度分布の一例を示す。図4において、Ya、Yb及びYcを次のようにして定める。すなわち、ベタ画像部の中心部分(Y軸の10mm〜20mmの範囲)の濃度の最大値と最小値を一定濃度部のバラツキ巾とし、そのバラツキ巾の範囲内に濃度が最初に入る位置をYaとする。また、前記ベタ画像部の中心部分(Y軸の10mm〜20mmの範囲)における濃度の平均値を求め、この濃度を示す点を通るY座標軸に平行な直線を引き、べタ画像部の中心部分(Y軸の10mm〜20mmの範囲)の濃度よりも濃度が大きい領域である掃き寄せ領域の濃度を示す曲線と交わる位置をそれぞれYb、Ycとし、これらを結ぶ線分(Yb〜Yc)を掃き寄せ領域の底辺(ベースライン)とする。図4中の斜線部分が掃き寄せ濃度の積分値を求める掃き寄せ領域であり、1ミリメートルあたりの濃度変化を掃き寄せ値として用いた。図4で示した掃き寄せデータの場合、掃き寄せ領域Yb〜Ycの巾が4(mm)、掃き寄せ濃度の積分値(図中斜線部分)が160(dig)である。したがって、掃き寄せ値は160/4=40(dig/mm)となる。得られた掃き寄せ値に基づき下記基準により掃き寄せを評価した。
A: 10未満
B: 10以上〜15未満
C: 15以上〜20未満
D: 20以上
【0186】
〔4〕耐リーク性
耐リーク性の評価は、交流バイアスのピーク間の電圧(VPP)の変量(アップ)を行う以外は前記画質評価と同様の条件にして行った。すなわち、大気圧101kPa、23℃/60%RHの常温/常湿環境(N/N)下にて、交流バイアスのピーク間の電圧(VPP)をアップしながら画出しを行い、画像に乱れを生じた時のVPPの値をVmとし、耐リーク性の尺度として求めた。Vmの値が大きいほど良好な耐リーク性を示し、例えばS−D間距離が150μmの条件の時にはVmの値が2500V以上であれば、大気圧が70kPaと低い高地においてもリークを発生しにくく、耐リーク性が良好である。以上の画質(画像濃度、カブリ、掃き寄せ)と現像装置の耐リーク性の評価結果を表4に示す。表4に示されているようにオキシアルキレン基を有する表層を形成することで、耐リーク性が増加している。また、同じ配合比の表層で比較すると、表層の膜厚が厚い現像剤担持体の方が、耐リーク性が増加しているが、膜厚が厚くなると、画質が若干低下する傾向がみられる。表層の膜厚が薄くなると、耐リーク性増加の効果が少なくなる傾向がみられ、画質向上効果も少なくなる傾向がみられる。表層の原材料で比較すると、フッ化アルキル基を有するFTSを配合している表層を有する現像剤担持体が、耐リーク性・画質への効果が大きくなっている。
【0187】
【表4】

【0188】
<実施例10〜13、比較例2〜5>
現像装置構成の改造として、現像剤担持体の左右についているコロの直径を変更し、S−D間距離を表5に示す値としたこと及び最大電界強度を表5に示す値としたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
評価方法は、上記条件に変更した以外は、実施例1〜9及び比較例1と同様にして画質評価を行った。
以上の画質(画像濃度、カブリ、掃き寄せ)の評価結果を表5に示す。表5に示されているようにS−D間距離が近くなると、カブリが悪化する傾向にあり、離れると掃き寄せや画像濃度が悪化する傾向にある。最大電界強度が弱いと画像濃度が悪化し、強いとカブリが悪化し、更に強すぎると画像濃度が低下する。本発明の現像装置はS−D間100〜250μm、最大電界強度5.0×106V/m〜1.0×107V/mの条件の時、高画質を得る為の掃き寄せ、画像濃度、カブリのバランスが良好となり画像欠陥のない高品位な画像を得ることができる。
【0189】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】現像剤担持体と感光体ドラムとの対向する面、及び現像剤担持体と感光体ドラムとの最近接距離(S−D間距離)を説明するための模式図である。
【図2】非磁性一成分現像剤を用いた場合の、本発明の現像装置の一実施形態を示す模式図である。
【図3】掃き寄せ画像出力の一例を示す図である。
【図4】掃き寄せ画像のY軸に対する濃度分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0191】
1 金属円筒管(導電性基体)
2 感光体ドラム(静電潜像担持体)
3 導電性樹脂層
4 表層
5 現像スリーブ(現像剤担持体)
6 ホッパー(現像剤容器)
7 非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)
8 撹拌翼
9 現像剤供給・剥ぎ取りローラ(現像剤供給・剥ぎ取り部材)
10 弾性規制ブレード(現像剤層厚規制部材)
11 現像バイアス電源(バイアス手段)
A 現像剤担持体の回転方向
B 感光体ドラムの回転方向
C 現像剤供給・剥ぎ取り部材の回転方向の一例
D 現像領域
E 現像剤担持体と静電潜像担持体との対向する面の間の距離
(導電性基体と静電潜像担持体との対向面間の距離)
F 現像剤担持体と静電潜像担持体との最近接距離(S−D間距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤容器及び静電潜像担持体と間隙をもって対向して配置されて該静電潜像担持体との最近接部で現像領域を形成し、前記現像剤容器内に収容されている前記現像剤を層状に担持して前記現像領域へ搬送し、少なくとも交番電圧の印加の下で前記搬送した現像剤で前記静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像して可視化する現像剤担持体を有する現像装置において、前記現像領域における前記現像剤担持体と前記静電潜像担持体との最近接距離が100μm以上250μm以下であり、且つ前記現像剤担持体と前記静電潜像担持体との間の最大電界強度が5.0×106V/m以上1.0×107V/m以下であり、前記現像剤担持体が、少なくとも、導電性基体、前記導電性基体上に形成された導電性樹脂層、及び前記導電性樹脂層上に形成された少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層を有していることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記表層が、少なくともフッ化アルキル基を有するポリシロキサンを含有することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記表層が、少なくともアルキル基及び/又はアリール基を有するポリシロキサンを含有することを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記表層の膜厚が0.3μm以上1.5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤担持体と静電潜像担持体との最近接距離が、120μm以上180μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−233199(P2007−233199A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56863(P2006−56863)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】