説明

現在位置測位方法、プログラム、記憶媒体、測位装置及び電子機器

【課題】1回の測位において複数の衛星組それぞれについて測位演算を行う場合に、測位位置の算出に要する演算量を短縮すること。
【解決手段】各衛星組について推定現在位置を算出する推定演算を2回行い、2回目の推定演算による推定現在位置を当該衛星組についての現在位置候補とする。このとき、1つ目の衛星組については、1回目の推定演算では、算出した各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離をキャッシュに保存し、2回目の推定演算では、各GPS衛星の衛星位置をキャッシュから読み出して取得する。2つ目以降の衛星組については、1回目の推定演算では、各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離をキャッシュから読み出して取得し、キャッシュに保存されていないGPS衛星については、算出して取得するとともにキャッシュに保存し、2回目の推定演算では、各GPS衛星の衛星位置をキャッシュから読み出して取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在位置測位方法、プログラム、記憶媒体、測位装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星を利用した測位システムとして、GPS(Global Positioning System)が広く知られており、カーナビゲーション装置等で利用されている。GPSでは、地球周回軌道を周回する複数のGPS衛星それぞれからGPS衛星信号が送出され、GPS受信機では、受信したGPS衛星信号を基に現在位置を算出(測位)する。
【0003】
GPS受信機の位置の算出は、一般的に、次のように行われる。即ち、捕捉されたGPS衛星信号から4個以上のGPS衛星の組合せである衛星組を生成し、この衛星組それぞれについて測位演算を行って現在位置を算出する。そして、算出した衛星組それぞれの現在位置のうち、例えばPDOP(Position Dilution of Precision)といった指標を基に最も精度が高いと思われるものを選択し、今回の測位結果とする。
【0004】
また、このように複数の衛星組それぞれについて現在位置を算出する場合に、測位の前段階において、衛星組それぞれについて「測位精度予測低下率」を算出し、この測位精度予測低下率を基に、測位精度が最も良いと思われる(即ち、低下率が最も小さい)衛星組を最初に捕捉して測位を行う方法が提案されている。「測位精度予測低下率」は、GPS衛星の上空における幾何学的配置によって規定される指標であり、配置の広がりが大きいほど、低下率が小さくなるように定められている。これは、GPS衛星の配置の広がりが大きいほど、測位精度が向上する傾向があるためである。この方法は、特に、前回の測位から時間が経過している場合に、精度良く測位を行うための方法として有効とされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−90839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数のGPS衛星の衛星組それぞれについて測位演算を行って現在位置を算出する方法では、測位に時間を要するという問題があった。例えば、単純には、衛星組の数に比例して測位に要する時間が長くなる。また、近年では、携帯型電話機や腕時計といった携帯型の電子機器にもGPS機能が備えられるようになり、携帯型のGPS受信機の場合、通常は移動しながら利用されるため、例えば1秒間隔といったように、定められた制限時間内に現在位置の測位を行う必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、1回の測位において複数の衛星組それぞれについて測位演算を行う場合に、測位位置の算出に要する演算量を短縮することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、測位用の衛星から送出される衛星信号を受信し、該受信した衛星信号に基づく現在位置の測位演算を繰り返し実行する際の現在位置測位方法であって、受信した衛星信号に基づいて今回の測位演算に用いる衛星の組合せである衛星組を選出する衛星組選出ステップと、前記選出された衛星組それぞれについて、当該衛星組に含まれる各衛星の衛星信号を用いて現在位置候補を算出する衛星組別現在位置算出ステップと、前記算出された各衛星組それぞれの現在位置候補の中から択一的に現在位置候補を選択し、今回の測位位置として決定する今回現在位置決定ステップとを含み、前記衛星組別現在位置算出ステップは、仮の現在位置を設定する仮現在位置設定ステップと、前記各衛星それぞれの位置を記憶する衛星位置記憶部から、当該衛星組の各衛星の位置を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については受信した当該衛星の衛星信号に基づいて当該衛星の位置を算出して取得し、前記衛星位置記憶部に格納する衛星位置取得ステップと、前記設定された仮の現在位置と前記各衛星それぞれとの間の擬似距離である推定擬似距離を取得する推定擬似距離取得ステップとを含み、前記設定された仮の現在位置と、当該衛星組の各衛星の前記取得された位置及び前記取得された推定擬似距離とを初期値として用いた所定の推定演算を繰り返し実行することで当該衛星組による現在位置候補を算出するステップである現在位置測位方法である。
【0008】
また、第6の発明は、測位用の衛星から送出される衛星信号を受信し、該受信した衛星信号に基づく現在位置の測位演算を繰り返し実行する測位装置であって、受信した衛星信号に基づいて今回の測位演算に用いる衛星の組合せである衛星組を選出する衛星組選出部と、前記選出された衛星組それぞれについて、当該衛星組に含まれる各衛星の衛星信号を用いて現在位置候補を算出する衛星組別現在位置算出部と、前記算出された各衛星組それぞれの現在位置候補の中から択一的に現在位置候補を選択し、今回の測位位置として決定する今回現在位置決定部とを備え、前記衛星組別現在位置算出部は、仮の現在位置を設定する仮現在位置設定部と、前記各衛星それぞれの位置を記憶する衛星位置記憶部から、当該衛星組の各衛星の位置を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については受信した当該衛星の衛星信号に基づいて当該衛星の位置を算出して取得し、前記衛星位置記憶部に格納する衛星位置取得部と、前記設定された仮の現在位置と前記各衛星それぞれとの間の擬似距離である推定擬似距離を取得する推定擬似距離取得部とを有し、前記設定された仮の現在位置と、当該衛星組の各衛星の前記取得された位置及び前記取得された推定擬似距離とを初期値として用いた所定の推定演算を繰り返し実行することで当該衛星組による現在位置候補を算出する測位装置である。
【0009】
この第1又は第6の発明によれば、受信した衛星信号に基づいて選出した衛星組それぞれについての現在位置候補は、仮の現在位置と、当該衛星組の各衛星の位置及び推定擬似距離とを初期値として用いた所定の推定演算を繰り返し実行することで算出される。このとき、各衛星の位置は、各衛星それぞれの位置を記憶する衛星位置記憶部から読み出して取得され、記憶されていない衛星については、受信した当該衛星の衛星信号に基づいて算出して取得されるとともに、算出した位置が衛星位置記憶部に格納される。ところで、異なる衛星組に同一の衛星が含まれる場合があるが、衛星それぞれの位置は、当該衛星が含まれる衛星組によって異なるといったことは無い。このため、算出した各衛星の位置を衛星位置記憶部に記憶しておくことで、既に位置の算出が行われた衛星については当該衛星の位置を算出せずに衛星位置記憶部から読み出して取得することができ、これにより、同一の演算を複数回行うといったことを無くし、測位位置の算出に要する演算量を削減することができる。
【0010】
なお、他の発明として、衛星の組合せである衛星組を複数選出するステップと、前記衛星組それぞれについて、当該衛星組に含まれる各衛星の衛星信号を用いて現在位置候補を算出するステップと、前記衛星組それぞれの前記現在位置候補の中から択一的に現在位置候補を選択して今回の測位位置として決定するステップと、を含み、更に、前記衛星組それぞれの現在位置候補を算出するステップは、前記各衛星それぞれの位置を記憶する衛星位置記憶部から当該衛星組の各衛星の位置を読み出して取得し、記憶されていない衛星については当該衛星の衛星信号に基づいて当該衛星の位置を算出して前記衛星位置記憶部に格納することと、仮の現在位置と当該衛星組の前記各衛星それぞれとの間の擬似距離である推定擬似距離を取得することと、を含み、前記仮の現在位置と、当該衛星組の各衛星の位置及び前記推定擬似距離とを初期値として用いて当該衛星組による現在位置候補を算出するステップである、現在位置測位方法を構成することとしてもよい。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の現在位置測位方法であって、前記仮現在位置設定ステップは、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうち初回の推定演算の際には、前回の測位位置を仮の現在位置として設定し、2回目以降の推定演算の際には、前回の推定演算で算出された推定現在位置を仮の現在位置として設定するステップであり、前記推定擬似距離取得ステップは、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの初回の推定演算の際に、前記各衛星それぞれに係る推定擬似距離を記憶する推定擬似距離記憶部から、当該衛星組の各衛星に係る推定擬似距離を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については前記取得された当該衛星の位置と前記設定された仮の現在位置とから推定擬似距離を算出して取得し、前記推定擬似距離記憶部に格納する初回用ステップと、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの2回目以降の推定演算の際に、前記設定された仮の現在位置と前記取得された当該衛星組の各衛星の位置とから当該各衛星に係る推定擬似距離を算出して取得する2回目以降用ステップとを有するステップである現在位置測位方法である。
【0012】
また、第7の発明は、第6の発明の測位装置であって、前記仮現在位置設定部は、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうち初回の推定演算の際には、前回の測位位置を仮の現在位置として設定し、2回目以降の推定演算の際には、前回の推定演算で算出された推定現在位置を仮の現在位置として設定し、前記推定擬似距離取得部は、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの初回の推定演算の際に、前記各衛星それぞれに係る推定擬似距離を記憶する推定擬似距離記憶部から、当該衛星組の各衛星に係る推定擬似距離を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については前記取得された当該衛星の位置と前記設定された仮の現在位置とから推定擬似距離を算出して取得して前記推定擬似距離記憶部に格納する初回用取得部と、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの2回目以降の推定演算の際に、前記設定された仮の現在位置と前記取得された当該衛星組の各衛星の位置とから当該各衛星に係る推定擬似距離を算出して取得する2回目以降用取得部とを有する測位装置である。
【0013】
この第2又は第7の発明によれば、各衛星組に対する所定の推定演算のうち、初回の推定演算では、前回の測位位置が仮の現在位置として設定されるとともに、各衛星の推定擬似距離は、各衛星それぞれに係る推定擬似距離を記憶する推定擬似距離記憶部から読み出して取得され、記憶されていない衛星については、当該衛星の位置と仮の現在位置とから算出して取得されるとともに、算出した推定擬似距離が推定擬似距離記憶部に記憶される。そして、2回目以降の推定演算では、前回の推定演算で算出された推定現在位置が仮の現在位置として設定されるとともに、各衛星に係る推定擬似距離は、当該衛星の位置と仮の現在位置とから算出して取得される。ところで、各衛星の推定擬似距離は、当該衛星の位置及び仮の現在位置が同じならば、当該衛星が含まれる衛星組によって異なるといったことは無い。つまり、何れの衛星組についても仮の現在位置が同じ(前回の測位位置)である初回の推定演算では、各衛星の推定擬似距離は、当該衛星が含まれる衛星組に関わらず同じである。このため、初回の推定演算については、算出した各衛星の推定擬似距離を記憶しておくことで、既に推定擬似距離の算出が行われた衛星については、当該衛星の推定擬似距離を算出せずに推定擬似距離記憶部から読み出して取得することができ、これにより、同一の演算を複数回行うといったことを無くし、測位位置の算出に要する演算量を更に削減することができる。
【0014】
また、第4の発明として、測位用の衛星から送出される衛星信号を受信し、該受信した衛星信号に基づき現在位置を測位する測位装置に内蔵されたコンピュータに、上述した現在位置測位方法を実行させるためのプログラムを構成することとしてもよい。
【0015】
また、第5の発明として、第4の発明のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体を構成することとしてもよい。
【0016】
ここで、記憶媒体とは、記憶されている情報をコンピュータが読み取り可能な、例えばハードディスクやCD−ROM、DVD、メモリカード、ICメモリ等の記憶媒体である。従って、この第5の発明によれば、記憶媒体に記憶されている情報をコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第4の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0017】
また、第8の発明として、上述した測位装置を備えた電子機器を構成することとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。尚、以下では、本発明の測位装置を備えた電子機器を携帯電話機に適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態の携帯電話機1の内部構成を示すブロック図である。図1によれば、携帯電話機1は、GPSアンテナ10と、測位装置であるGPS受信部20と、ホストCPU(Central Processing Unit)40と、操作部41と、表示部42と、ROM(Read Only Memory)43と、RAM(Random Access Memory)44と、携帯電話用アンテナ50と、携帯電話用無線通信回路部60とを備えて構成される。
【0020】
GPSアンテナ10は、GPS衛星から送信されたGPS衛星信号を含むRF信号を受信するアンテナであり、受信したRF信号を出力する。
【0021】
GPS受信部20は、GPSアンテナ10で受信されたRF信号からGPS衛星信号を捕捉・抽出し、GPS衛星信号から取り出した航法メッセージ等に基づく測位演算を行って現在位置を算出する。このGPS受信部20は、RF(Radio Frequency)受信回路部21と、TCXO(Temperature Controlled Oscillators)22と、ベースバンド処理回路部30とを有している。尚、RF受信回路部21とベースバンド処理回路部30とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0022】
TCXO22は、温度補償型水晶発振器であり、所定の発振周波数を有する発振信号を生成して出力する。
【0023】
RF受信回路部21は、TCXO22から入力される発振信号を分周或いは逓倍した信号を、GPSアンテナ10から入力されたRF信号に乗算することで、該RF信号を中間周波数の信号(以下、「IF(Intermediate Frequency)信号」という)にダウンコンバートし、このIF信号を増幅等した後、A/D変換器でデジタル信号に変換して出力する。
【0024】
ベースバンド処理回路部30は、RF受信回路部21から入力されるIF信号の中からGPS衛星信号を捕捉・追尾し、データを復号して取り出した航法メッセージや時刻情報等に基づいて、擬似距離の算出演算や測位演算等を行う回路部である。
【0025】
具体的には、先ず、入力されたIF信号に基づくGPS衛星信号の捕捉を行う。GPS衛星信号の捕捉は、IF信号からGPS衛星信号を抽出する処理であり、IF信号に対する相関処理を行う。具体的には、IF信号と擬似的に発生させたレプリカC/Aコード(コードレプリカ)との相関を、FFT演算を用いて算出するコヒーレント処理を行い、このコヒーレント処理の結果である相関値を積算して相関積算値を算出するインコヒーレント処理を行う。これにより、GPS衛星信号に含まれるC/Aコード及び搬送波周波数の位相が得られる。
【0026】
GPS衛星信号を捕捉したならば、次いで、捕捉したGPS衛星信号を追尾する。GPS信号の追尾は、捕捉した複数のGPS衛星信号の同期保持を並列的に行う処理であり、例えば遅延ロックループ(DLL)で実現されてC/Aコードの位相を追尾するコールドループと、例えば位相ロックループ(PLL)で実現されて搬送波周波数の位相を追尾するキャリアループとを行う。そして、追尾した各GPS衛星信号のデータを復号して航法メッセージを取り出し、擬似距離の演算や測位演算等を行って、現在位置を測位する処理を行う。
【0027】
また、このベースバンド処理回路部30は、CPU31と、ROM32と、RAM33とを有するとともに、レプリカC/Aコードの発生回路や、相関演算を行う回路、データの復号回路等の各種回路を含む。
【0028】
CPU31は、ベースバンド処理回路部30の各部や、RF受信回路部21の各部を統括的に制御するとともに、後述のベースバンド処理を含む各種演算処理を行う。
【0029】
ベースバンド処理では、CPU31は、捕捉・追尾したGPS衛星信号から復号した航法メッセージに含まれる各GPS衛星の軌道情報や時刻情報を基に、捕捉した各GPS衛星との擬似距離を算出し、算出した擬似距離に基づく測位演算を行って現在位置を算出する。
【0030】
図2は、CPU31による現在位置の算出(測位)の概要を説明する図である。CPU31は、先ず、捕捉されたGPS衛星信号から、4個以上のGPS衛星の組合せである「衛星組」を生成する。例えば、8個のGPS衛星信号が捕捉された場合、163個(=)の衛星組が生成される。次いで、生成した衛星組それぞれについて、最小二乗法を用いた測位演算を行うことで、自機の現在位置候補Pを算出する。
【0031】
そして、これら衛星組それぞれの現在位置候補のうちから、例えば所定の評価基準に従って1つを選択し、今回の測位位置として決定する。ここで、評価基準としては、例えば、該当する衛星組のGPS衛星の幾何学配置に基づく位置精度劣化指数PDOP(Position Dilution of Precision)や、各GPS衛星信号の信号強度に基づく方法といった公知の手法により実現される。決定された測位位置は、後段のホストCPU40に出力される。
【0032】
図3は、CPU31による測位位置の算出を詳細に説明する図であり、1回の測位について示している。本実施形態では、各衛星組それぞれについて、最小二乗法を用いて自機の現在位置(推定現在位置)を算出する推定演算を、2回行う。そして、2回目の推定演算により算出された推定現在位置を、該当する衛星組についての現在位置候補とする。また、各衛星組の現在位置候補Pの算出方法は、1つ目の衛星組と2つ目以降の衛星組とで異なる。
【0033】
先ず、1つ目の衛星組について説明する。ここで、1つ目の衛星組を、4個のGPS衛星♯1〜♯4から成る衛星組「A」とする。1回目の推定演算では、前回の測位位置或いは所定の初期位置を、自機の仮現在位置とする。また、対象の衛星組のGPS衛星それぞれについて、当該GPS衛星のGPS衛星信号を基に当該GPS衛星の位置(衛星位置)を算出して取得するとともに、算出した各GPS衛星の衛星位置を衛星位置キャッシュに保存する。即ち、GPS衛星♯1〜♯4それぞれの衛星位置P1〜P4が算出されるとともに、衛星位置キャッシュに保存される。次いで、対象の衛星組のGPS衛星それぞれについて、自機の仮現在位置との間の擬似距離(推定擬似距離)を算出するとともに、算出した各GPS衛星の推定擬似距離を推定擬似距離キャッシュに保存する。即ち、GPS衛星♯1〜♯4それぞれの推定擬似距離L1〜L4が算出されるとともに、推定擬似距離キャッシュに保存される。そして、これらの仮現在位置と、対象の衛星組の各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離とを初期値とした最小二乗法を用いた推定演算を行うことにより、自機の現在位置(推定現在位置)を算出する。
【0034】
続いて、2回目の推定演算を行う。2回目の推定演算では、直前に行った1回目の推定演算で算出した推定現在位置を、自機の仮現在位置とする。また、対象の衛星組の各GPS衛星の衛星位置を、衛星位置キャッシュから読み出して取得する。即ち、GPS衛星♯1〜♯4それぞれの衛星位置P1〜P4が、衛星位置キャッシュから読み出して取得される。次いで、対象の衛星組の各GPS衛星それぞれについて、推定擬似距離を算出して取得する。即ち、GPS衛星♯1〜♯4それぞれの推定擬似距離が算出される。2回目の推定演算での仮現在位置は1回目の推定演算での仮現在位置と異なるため、推定擬似距離は全て算出して取得される。続いて、これらの仮現在位置と、各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離を初期値とした最小二乗法を用いた、自機の推定現在位置を算出する推定演算を行う。そして、この2回目の推定演算により算出した推定現在位置を、対象の衛星組(1つ目の衛星組「A」)についての現在位置候補とする。
【0035】
次に、2つ目の衛星組について説明する。ここで、2つ目の衛星組を、4個のGPS衛星♯1〜♯3,♯5から成る衛星組「B」とする。1回目の測位演算では、1つ目の衛星組と同様に、前回の測位位置或いは所定の初期位置を、自機の仮現在位置とする。また、対象の衛星組の各GPS衛星の衛星位置を取得する。具体的には、各GPS衛星のうち、衛星位置が衛星位置キャッシュに保存されているGPS衛星については、衛星位置を衛星位置キャッシュから取得し、保存されていないGPS衛星については、当該GPS衛星のGPS衛星信号を基に衛星位置を算出して取得するとともに、算出した衛星位置を衛星位置キャッシュに保存する。即ち、衛星♯1〜♯3それぞれの衛星位置P1〜P3が衛星位置キャッシュから読み出されて取得されるとともに、GPS衛星♯5の衛星位置P5が算出されて衛星位置キャッシュに保存される。つまり、衛星位置キャッシュには、衛星♯1〜♯5それぞれの衛星位置P1〜P5が保存された状態となる。
【0036】
また、対象の衛星組の各GPS衛星の推定擬似距離を取得する。具体的には、各GPS衛星のうち、推定擬似距離が推定擬似距離キャッシュに保存されているGPS衛星については、推定擬似距離を推定擬似距離キャッシュから取得し、保存されていないGPS衛星については、推定擬似距離を算出して取得するとともに、算出した推定擬似距離を推定擬似距離キャッシュに保存する。即ち、GPS衛星♯1〜♯3それぞれの推定擬似距離L1〜L3が推定擬似距離キャッシュから読み出されて取得されるとともに、GPS衛星♯5の推定擬似距離が算出されて推定擬似距離が推定擬似距離キャッシュに保存される。つまり、推定擬似距離キャッシュには、GPS衛星♯1〜♯5それぞれの推定擬似距離L1〜L5が保存された状態となる。そして、これらの仮現在位置、各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離を初期値とした最小二乗法を用いた推定演算により、自機の推定現在位置を算出する。
【0037】
続いて、2回目の推定演算では、直前に行った1回目の推定演算で算出した推定現在位置を自機の仮現在位置とする。また、対象の各GPS衛星の衛星位置を、衛星位置キャッシュから取得する。即ち、GPS衛星♯1〜♯3,♯5それぞれの衛星位置P1〜P3,P4が、衛星位置キャッシュから読み出されて取得される。また、対象の各GPS衛星の推定擬似距離を算出して取得する。即ち、GPS衛星♯1〜♯3,♯5それぞれの推定擬似距離L1〜L3,L5が算出されて取得される。そして、これらの仮現在位置、各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離を初期値とした最小二乗法を用いた推定演算により、自機の推定現在位置を算出する。
【0038】
また、3つ目以降の各衛星組についても、2つ目の衛星組と同様に現在候補位置が算出される。このように、本実施形態では、各推定演算において、キャッシュに記憶されている各GPS衛星の位置(衛星位置)や擬似距離(推定擬似距離)を読み出して取得することで、同一演算を複数回行わないようにし、演算量を削減している。
【0039】
図1に戻り、ROM32は、CPU31がベースバンド処理回路部30及びRF受信回路部21の各部を制御するためのシステムプログラムや、ベースバンド処理を含む各種処理を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。図4に、ROM32の構成の一例を示す。図4によれば、ROM32には、ベースバンド処理プログラム321が記憶されている。
【0040】
RAM33は、CPU31の作業領域として用いられ、ROM32から読み出されたプログラムやデータ、CPU31が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。図5に、RAM33の構成の一例を示す。図5によれば、RAM33には、衛星組データ331と、最小二乗法初期値データ332とが記憶されるとともに、データ格納領域である衛星位置キャッシュ333と、推定擬似距離キャッシュ334とが形成される。
【0041】
衛星組データ331は、捕捉されたGPS衛星信号から生成される衛星組についてのデータである。図6に、衛星組データ331のデータ構成の一例を示す。図6によれば、衛星組データ331は、生成された衛星組331aそれぞれについて、当該衛星組に含まれるGPS衛星331bと、現在位置候補331cと、評価点331dとを対応付けて格納している。
【0042】
最小二乗法初期値データ332は、最小二乗法を用いた推定演算で用いられる初期値のデータである。図7に、最小二乗法初期値データ332のデータ構成の一例を示す。図7によれば、最小二乗法初期値データ332は、自機の仮現在位置332aと、対象の衛星組332bとを格納しているとともに、この対象の衛星組に含まれる各GPS衛星について、衛星ID332cと、衛星位置332dと、推定擬似距離332eとを対応付けて格納している。
【0043】
衛星位置キャッシュ333は、各GPS衛星の衛星位置を保存するためのデータ格納領域(衛星位置記憶部)である。図8に、衛星位置キャッシュ333のデータ構成の一例を示す。図8によれば、衛星位置キャッシュ333には、現在運用(実運用)されている32個のGPS衛星それぞれについて、衛星位置を格納する領域(データエリア)が形成されている。
【0044】
推定擬似距離キャッシュ334は、各GPS衛星の推定擬似距離を保存するためのデータ格納領域(推定擬似距離記憶部)である。図9に、推定擬似距離キャッシュ334のデータ構成の一例を示す。図9によれば、推定擬似距離キャッシュ334には、現在運用されている32個のGPS衛星それぞれについて、推定擬似距離を格納する領域(データエリア)が形成されている。
【0045】
ホストCPU40は、ROM43に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って携帯電話機1の各部を統括的に制御する。具体的には、主に、電話機としての通話機能を実現するとともに、ベースバンド処理回路部30から入力された携帯電話機1の現在位置を地図上にプロットしたナビゲーション画面を表示部42に表示させるといったナビゲーション機能を含む各種機能を実現するための処理を行う。
【0046】
操作部41は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、利用者による操作に応じた操作信号をホストCPU40に出力する。この操作部41の操作により、測位の開始/終了指示等の各種指示が入力される。表示部42は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、ホストCPU40から入力される表示信号に基づく表示画面(例えば、ナビゲーション画面や時刻情報等)を表示する。
【0047】
ROM43は、ホストCPU40が携帯電話機1を制御するためのシステムプログラムや、ナビゲーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。RAM44は、ホストCPU40の作業領域として用いられ、ROM43から読み出されたプログラムやデータ、操作部41から入力されたデータ、ホストCPU40が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
【0048】
携帯電話用アンテナ50は、携帯電話機1の通信サービス事業者が設置した無線基地局との間で携帯電話用無線信号の送受信を行うアンテナである。携帯電話用無線通信回路部60は、RF変換回路やベースバンド処理回路等によって構成される携帯電話用の通信回路部であり、ホストCPU40の制御に従って無線信号の送受信を行う。
【0049】
[処理の流れ]
図10は、ベースバンド処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、CPU31がベースバンド処理プログラム321を実行することで実現される。尚、ベースバンド処理に先立ち、GPSアンテナ10によるRF信号の受信やRF受信回路部21によるIF信号へのダウンコンバートを経てデジタル化されたIF信号が、ベースバンド処理回路部30に随時入力される状態にあるものとする。
【0050】
図10によれば、CPU31は、先ず、衛星位置キャッシュ333及び推定擬似距離キャッシュ334をクリアする(ステップA1)。次いで、捕捉された衛星信号を基に、4個以上のGPS衛星から成る衛星組を生成し(ステップA3)、生成した衛星組それぞれを対象としたループAの処理を行う。
【0051】
ループAでは、先ず、所定の初期位置或いは前回の測位位置を自機の仮現在位置とする(ステップA5)。そして、対象の衛星組のGPS衛星それぞれを対象としたループBの処理を行う。
【0052】
ループBでは、対象のGPS衛星の衛星位置が衛星位置キャッシュ333に保存されているか否かを判断し、保存されているならば(ステップA7:YES)、当該GPS衛星の位置情報を衛星位置キャッシュ333から取得する(ステップA9)。一方、保存されていないならば(ステップA7:NO)、対象のGPS衛星のGPS衛星信号を基に当該GPS衛星の衛星位置を算出して取得するとともに、算出した衛星位置を当該GPS衛星と対応付けて衛星位置キャッシュ333に保存する(ステップA11)。
【0053】
次いで、CPU31は、対象のGPS衛星の推定擬似距離が推定擬似距離キャッシュ334に保存されているか否かを判断し、保存されているならば(ステップA13:YES)、当該GPS衛星の推定擬似距離を推定擬似距離キャッシュ334から取得する(ステップA15)。一方、保存されていないならば(ステップA13:NO)、当該GPS衛星の推定擬似距離を算出して取得するとともに、算出した推定擬似距離を当該GPS衛星と対応付けて推定擬似距離キャッシュ334に保存する(ステップA17)。ループBは、このように行われる。このループBにより、対象の衛星組の各GPS衛星それぞれの衛星位置及び推定擬似距離が取得される。
【0054】
対象の衛星組の全てのGPS衛星を対象としたループBを終了すると、CPU31は、自機の仮現在位置と、算出した各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離とを初期位置とした最小二乗法により、対象の衛星組についての自機の推定現在位置を算出する位置推定演算を行う(ステップA19)。ここまでが1回目の位置推定演算である。
【0055】
続いて、2回目の位置推定演算を行う。即ち、先ず、直前の1回目の位置推定演算において算出した現在位置候補を、自機の仮現在位置とする(ステップA21)。次いで、対象の衛星組のGPS衛星それぞれを対象としたループCの処理を行う。ループCでは、対象のGPS衛星の衛星位置を衛星位置キャッシュ333から取得するとともに(ステップA23)、取得した衛星位置と決定した仮現在位置とから当該GPS衛星の推定擬似距離を算出して取得する(ステップA25)。ループCは、このように行われる。ループCにより、対象の衛星組の各GPS衛星にそれぞれの衛星位置及び推定擬似距離情報が取得される。
【0056】
対象の衛星組の全てのGPS衛星を対象としたループCの処理を終了すると、CPU31は、自機の仮現在位置と、算出した各GPS衛星の衛星位置及び推定擬似距離とを初期値とした最小二乗法により、対象の衛星組についての自機の推定現在位置を算出する推定演算を行う(ステップA27)。ここまでが、2回目の推定演算である。
【0057】
続いて、算出した推定現在位置を、当該衛星組の現在位置候補とする(ステップA29)。次いで、対象の衛星組について、算出した現在位置候補の評価点を、PDOP等を用いて決定する評価処理を行う(ステップA31)。そして、対象の衛星組に、算出した現在位置候補及び評価点を対応付けて記憶する(ステップA33)。ループAは、このように行われる。
【0058】
全ての衛星組を対象としたループAの処理が終了すると、全ての衛星組のうち、評価点が最高の衛星組に対応する現在位置候補を今回の測位位置として決定する(ステップA35)。その後、測位を終了するか否かを判断し、終了しないならば(ステップA37:NO)、ステップA1に移行して次回の測位を行う。終了するならば(ステップA37:YES)、ベースバンド処理を終了する。
【0059】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、各衛星組それぞれについて、推定現在位置を算出する推定演算を2回行い、2回目の推定演算による推定現在位置が当該衛星組についての現在位置候補とされる。このとき、1つ目の衛星組については、1回目の推定演算では、算出した各GPS衛星の衛星位置が衛星位置キャッシュ333に、推定擬似距離が推定擬似距離キャッシュ334に、それぞれ保存される。そして、2回目の推定演算では、各GPS衛星の衛星位置が、衛星位置キャッシュ333から読み出して取得される。また、2つ目以降の衛星組については、1回目の推定演算では、各GPS衛星の衛星位置が衛星位置キャッシュ333から、推定擬似距離が推定擬似距離キャッシュ334から、それぞれ読み出して取得され、保存されていないGPS衛星については、衛星位置及び推定擬似距離が算出して取得されるとともに、算出した衛星位置が衛星位置キャッシュ333に、推定擬似距離が推定擬似距離キャッシュ334に保存される。そして、2回目の推定演算では、1つ目の衛星組の場合と同様に、各GPS衛星の衛星位置が衛星位置キャッシュ333から読み出して取得される。
【0060】
ところで、異なる衛星組に同一のGPS衛星が含まれる場合があるが、GPS衛星それぞれの位置は、当該GPS衛星が含まれる衛星組によって異なるといったことは無い。このため、算出した各GPS衛星の位置を衛星位置キャッシュ333に保存しておくことで、既に衛星位置の算出が行われたGPS衛星については、衛星位置を算出せずに衛星位置キャッシュ333から読み出して取得することができる。また、GPS衛星の推定擬似距離は、当該GPS衛星の位置及び仮現在位置が同じならば、当該GPS衛星が含まれる衛星組によって異なるといったことは無い。つまり、衛星組それぞれでの1回目の推定演算では、仮現在位置は何れも前回測位位置であるので、各GPS衛星の推定擬似距離は、当該GPS衛星が含まれる衛星組に関わらず同じである。このため、初回の推定演算については、算出した各GPS衛星の推定擬似距離を推定擬似距離キャッシュ334に保存しておくことで、既に推定擬似距離の算出が行われたGPS衛星については、推定擬似距離を算出せずに推定擬似距離キャッシュ334から読み出して取得することができる。これらのことにより、同一の演算を複数回行うといったことを無くし、測位位置の算出に要する演算量を削減することができる。
【0061】
[変形例]
尚、本発明の適用は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0062】
(A)ホストCPU
例えば、ベースバンド処理回路部30のCPU31が行う処理の一部又は全部を、ホストCPU40がソフトウェア的に行うことにしても良い。
【0063】
(B)GPS測位装置
上述の実施形態では、GPS測位装置を携帯電話機に適用した場合を説明したが、例えば携帯型のナビゲーション装置や車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistants)、腕時計といった他の電子機器についても同様に適用することが可能である。
【0064】
(C)衛星測位システム
また、上述の実施形態では、GPSを利用した場合を説明したが、例えばGLONASS(GLObal Navigation Satellite System)といった他の衛星測位システムにも同様に適用可能なのは勿論である。
【0065】
(D)記録媒体
また、ベースバンド処理プログラム321をCD−ROM等の記録媒体に記録して、携帯電話機等の電子機器にインストールする構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】携帯電話機の内部構成図。
【図2】測位位置の決定の概要図。
【図3】各衛星組についての現在位置候補の算出の説明図。
【図4】ROMの構成図。
【図5】RAMの構成図。
【図6】衛星組データのデータ構成例。
【図7】最小二乗法初期値データのデータ構成例。
【図8】衛星位置キャッシュの構成例。
【図9】推定擬似距離キャッシュの構成例。
【図10】ベースバンド処理の流れ図。
【符号の説明】
【0067】
1 携帯電話機、20 GPS受信部、21 RF受信回路部、22 TCXO、30 ベースバンド処理回路部、31 CPU、32 ROM、33 RAM、321 ベースバンド処理プログラム、331 衛星組データ、332 最小二乗法初期値データ、333 衛星位置キャッシュ、334 推定擬似距離キャッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位用の衛星から送出される衛星信号を受信し、該受信した衛星信号に基づく現在位置の測位演算を繰り返し実行する際の現在位置測位方法であって、
受信した衛星信号に基づいて今回の測位演算に用いる衛星の組合せである衛星組を選出する衛星組選出ステップと、
前記選出された衛星組それぞれについて、当該衛星組に含まれる各衛星の衛星信号を用いて現在位置候補を算出する衛星組別現在位置算出ステップと、
前記算出された各衛星組それぞれの現在位置候補の中から択一的に現在位置候補を選択し、今回の測位位置として決定する今回現在位置決定ステップと、
を含み、
前記衛星組別現在位置算出ステップは、
仮の現在位置を設定する仮現在位置設定ステップと、
前記各衛星それぞれの位置を記憶する衛星位置記憶部から、当該衛星組の各衛星の位置を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については受信した当該衛星の衛星信号に基づいて当該衛星の位置を算出して取得し、前記衛星位置記憶部に格納する衛星位置取得ステップと、
前記設定された仮の現在位置と前記各衛星それぞれとの間の擬似距離である推定擬似距離を取得する推定擬似距離取得ステップと、
を含み、前記設定された仮の現在位置と、当該衛星組の各衛星の前記取得された位置及び前記取得された推定擬似距離とを初期値として用いた所定の推定演算を繰り返し実行することで当該衛星組による現在位置候補を算出するステップである、
現在位置測位方法。
【請求項2】
請求項1に記載の現在位置測位方法であって、
前記仮現在位置設定ステップは、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうち初回の推定演算の際には、前回の測位位置を仮の現在位置として設定し、2回目以降の推定演算の際には、前回の推定演算で算出された推定現在位置を仮の現在位置として設定するステップであり、
前記推定擬似距離取得ステップは、
当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの初回の推定演算の際に、前記各衛星それぞれに係る推定擬似距離を記憶する推定擬似距離記憶部から、当該衛星組の各衛星に係る推定擬似距離を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については前記取得された当該衛星の位置と前記設定された仮の現在位置とから推定擬似距離を算出して取得し、前記推定擬似距離記憶部に格納する初回用ステップと、
当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの2回目以降の推定演算の際に、前記設定された仮の現在位置と前記取得された当該衛星組の各衛星の位置とから当該各衛星に係る推定擬似距離を算出して取得する2回目以降用ステップと、
を有するステップである、
現在位置測位方法。
【請求項3】
衛星の組合せである衛星組を複数選出するステップと、
前記衛星組それぞれについて、当該衛星組に含まれる各衛星の衛星信号を用いて現在位置候補を算出するステップと、
前記衛星組それぞれの前記現在位置候補の中から択一的に現在位置候補を選択して今回の測位位置として決定するステップと、
を含み、更に、
前記衛星組それぞれの現在位置候補を算出するステップは、
前記各衛星それぞれの位置を記憶する衛星位置記憶部から当該衛星組の各衛星の位置を読み出して取得し、記憶されていない衛星については当該衛星の衛星信号に基づいて当該衛星の位置を算出して前記衛星位置記憶部に格納することと、
仮の現在位置と当該衛星組の前記各衛星それぞれとの間の擬似距離である推定擬似距離を取得することと、
を含み、前記仮の現在位置と、当該衛星組の各衛星の位置及び前記推定擬似距離とを初期値として用いて当該衛星組による現在位置候補を算出するステップである、
現在位置測位方法。
【請求項4】
測位用の衛星から送出される衛星信号を受信し、該受信した衛星信号に基づき現在位置を測位する測位装置に内蔵されたコンピュータに、請求項1〜3の何れか一項に記載の現在位置測位方法を実行させるためのプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項6】
測位用の衛星から送出される衛星信号を受信し、該受信した衛星信号に基づく現在位置の測位演算を繰り返し実行する測位装置であって、
受信した衛星信号に基づいて今回の測位演算に用いる衛星の組合せである衛星組を選出する衛星組選出部と、
前記選出された衛星組それぞれについて、当該衛星組に含まれる各衛星の衛星信号を用いて現在位置候補を算出する衛星組別現在位置算出部と、
前記算出された各衛星組それぞれの現在位置候補の中から択一的に現在位置候補を選択し、今回の測位位置として決定する今回現在位置決定部と、
を備え、
前記衛星組別現在位置算出部は、
仮の現在位置を設定する仮現在位置設定部と、
前記各衛星それぞれの位置を記憶する衛星位置記憶部から、当該衛星組の各衛星の位置を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については受信した当該衛星の衛星信号に基づいて当該衛星の位置を算出して取得し、前記衛星位置記憶部に格納する衛星位置取得部と、
前記設定された仮の現在位置と前記各衛星それぞれとの間の擬似距離である推定擬似距離を取得する推定擬似距離取得部と、
を有し、前記設定された仮の現在位置と、当該衛星組の各衛星の前記取得された位置及び前記取得された推定擬似距離とを初期値として用いた所定の推定演算を繰り返し実行することで当該衛星組による現在位置候補を算出する、
測位装置。
【請求項7】
請求項6に記載の測位装置であって、
前記仮現在位置設定部は、当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうち初回の推定演算の際には、前回の測位位置を仮の現在位置として設定し、2回目以降の推定演算の際には、前回の推定演算で算出された推定現在位置を仮の現在位置として設定し、
前記推定擬似距離取得部は、
当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの初回の推定演算の際に、前記各衛星それぞれに係る推定擬似距離を記憶する推定擬似距離記憶部から、当該衛星組の各衛星に係る推定擬似距離を読み出して取得するとともに、記憶されていない衛星については前記取得された当該衛星の位置と前記設定された仮の現在位置とから推定擬似距離を算出して取得して前記推定擬似距離記憶部に格納する初回用取得部と、
当該衛星組に対する前記所定の推定演算のうちの2回目以降の推定演算の際に、前記設定された仮の現在位置と前記取得された当該衛星組の各衛星の位置とから当該各衛星に係る推定擬似距離を算出して取得する2回目以降用取得部と、
を有する、
測位装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の測位装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−281551(P2008−281551A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37114(P2008−37114)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】