説明

生体情報登録装置

【課題】
生体情報を登録する際に本人以外の生体情報が不正登録されることを防止できる生体情報登録装置を提案する。
【解決手段】
生体情報登録装置に、利用者から生体情報を取得する生体情報取得手段と、取得した生体情報を登録する生体情報登録手段と、前記生体情報として登録する生体部位に関連する関連情報を取得する関連情報取得手段と、前記生体情報の取得が適正に実行されたか否かを前記関連情報に基づいて判定する適否判定手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば指静脈、指紋、手のひら静脈、掌紋、または筆跡などの生体情報を登録するような生体情報登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指静脈、指紋、手のひら静脈、掌紋、筆跡、網膜、虹彩、または顔面といったように、様々な生体情報によって本人認証を行う装置が提案されている。このような本人認証に用いられる生体情報は、係員のいる窓口にて登録されるのが一般的である。
【0003】
この登録の際、窓口担当者は、生体情報を登録する人物に免許証、パスポートまたは外国人登録証等を提出させ、これを確認することで本人であることを確認している。そして、本人であることが確認できれば、窓口担当者は、登録する本人に登録装置を使用させて登録処理を実施させている。
【0004】
しかし、このような窓口業務は、処理の簡略化から減少する傾向が強く、また24時間対応が困難であるという問題点がある。このことから、窓口にて担当者が対応するのではなく、端末機器を使用して無人で登録処理を実現することが望まれている。
【0005】
一方、このような無人での登録処理を実施すると、他人による成りすまし登録が問題となる。この成りすまし登録を排除する方法として、登録前と登録時とで登録者の顔面を撮影し、この2つの撮影画像の人物が同一人物であるか否かを判定することで、他人による成りすまし登録を排除する生体情報登録装置が提案されている。
【0006】
しかし、この同一人物か否かの判定は、単に顔面画像によって判断するものであるため、登録すべき生体情報が本人のものであるか否かを判定するための確実性に欠ける部分があった。詳述すると、例えば指や手等の生体情報を登録する際には、この指や手は、顔面と離れた位置にある。このため、例えば指や手だけ他人のものや模造品を使用して生体登録がなされても、上述した生体情報登録装置は、顔面画像が一致する以上は本人であると判定してしまう問題点があった。
(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−208407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、生体情報を登録する際に本人以外の生体情報が不正登録されることを防止できる生体情報登録装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、利用者から生体情報を取得する生体情報取得手段と、取得した生体情報を登録する生体情報登録手段と、前記生体情報として登録する生体部位に関連する関連情報を取得する関連情報取得手段と、前記生体情報の取得が適正に実行されたか否かを前記関連情報に基づいて判定する適否判定手段とを備えた生体情報登録装置であることを特徴とする。
【0010】
前記関連情報は、生体部位が指または手であれば該指または手から利用者の顔面までを撮影した撮影画像情報で構成する、生体部位が声紋など音声を発する口であれば該音声が発声された方向を示す発声方向情報とこの利用者の口の位置を示す撮影画像情報とで構成する、生体部位が声紋など音声を発する口であれば該音声を発声している利用者の口の動きを示す口動作情報と音声認識による音声認識情報とで構成する、あるいは生体部位の周囲に他人が存在しないか確認するための撮影画像情報で構成するなど、生体部位に関連する情報で構成することができる。
【0011】
前記関連情報取得手段は、撮影を行う撮影装置、利用者の発声方向を取得するマイクロフォンアレー等の発声方向取得装置、発声する利用者の映像を取得してこの利用者の口の動きを取得する口動作取得装置、利用者が発声した音声を認識する音声認識装置、またはこれらの複数の組み合わせで構成することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記生体情報を、指または手に関する生体情報により構成し、前記関連情報取得手段を、前記指または手を含めて利用者を撮影する撮影手段で構成し、前記適否判定手段を、前記撮影手段で取得した撮影画像に不自然な要素がないか判定する不自然判定手段で構成することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記撮影手段を、利用者の指または手を含めて撮影して手元撮影画像を取得する手元撮影手段と、利用者の顔面を含めて撮影して顔面撮影画像を取得する顔面撮影手段とで構成すると共に、前記手元撮影画像と前記顔面撮影画像とが一人の利用者を撮影した撮影画像として連続するように前記手元撮影手段及び前記顔面撮影手段を配設し、前記不自然判定手段を、前記手元撮影画像と前記顔面撮影画像との連続部に不自然な要素がないか判定する構成にすることができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記撮影手段を、利用者の指または手を含めて撮影して手元撮影画像を取得する手元撮影手段と、利用者の顔面を含めて撮影して顔面撮影画像を取得する顔面撮影手段とで構成すると共に、前記手元撮影画像と前記顔面撮影画像とが一人の利用者を撮影した撮影画像として連続するように前記手元撮影手段及び前記顔面撮影手段を配設し、前記不自然判定手段を、前記手元撮影画像の腕の方向と前記顔面撮影画像の腕の方向とが一致するか否かにより判定する構成にすることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記不自然判定手段を、前記撮影画像における利用者の背景に異常があるか否かにより判定する構成にすることができる。
前記異常があるか否かは、利用者以外の他人が写っているか否か、背景となる風景、建造物及びそれらの色あいが前記手元撮影画像と前記顔面撮影画像とで同一か否か、またはこれらの両方等、通常写るべきものが写っているか否かにより判定することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明により、生体情報を登録する際に本人以外の生体情報が不正登録されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、利用者の生体情報を登録する登録端末10の斜視図を示し、図2は、この登録端末10が通信回線2を介して接続されている生体登録管理システム1のブロック図を示す。
【0018】
生体登録管理システム1は、図2に示すように、通信回線2に接続されたホストコンピュータ3、管理端末4、及び登録端末10により構成されている。このホストコンピュータ3、管理端末4、及び登録端末10は、通信回線2を介して相互にデータ通信することができる。
【0019】
前記登録端末10は、図1に示すように、上部前面に液晶モニタ等で構成される表示部11、この表示部11に重ねて設けられるタッチパネル等で構成される入力部12、及びCCDカメラ等で構成される顔面撮影カメラ17と手元撮影カメラ18が設けられている。また、登録端末10が設置された施設の天井に、登録端末10の前方全体を撮影する全体撮影カメラ19が設けられている。
【0020】
ここで、顔面撮影カメラ17は、利用者の顔面から利用者の腹部あたり(特に腕部の肘あたり)までが撮影できるように、普通人の身長程度の高さ位置に、撮影方向を正面より少し斜め下方へ向けて配設されている。
また、手元撮影カメラ18は、利用者の手元から肘あたり(腹部あたり)までが撮影できるように、普通人の腹部から胸の間程度の高さ位置で、撮影方向を正面より少し下方へ向けて配設されている。
そして、全体撮影カメラ19は、利用者の全身とその周囲が撮影できるように、撮影方向を下方へ向けて天井に配設されている。
【0021】
また、登録端末10の中央前面には、ICカードや磁気カードなどのIDカードを処理するカード機構14、及び利用者の生体情報として指静脈を読み取る指静脈リーダ16が設けられている。
登録端末10の内部には、免許証などの書類を読み取る書類リーダ13が設けられている。
【0022】
図2に示すように、登録端末10には、主制御部21が設けられており、この主制御部21に前述した表示部11、入力部12、カード機構14、指静脈リーダ16、顔面撮影カメラ17、手元撮影カメラ18、及び全体撮影カメラ19が電気的に接続されている。
【0023】
主制御部21は、CPU22、メモリ23、記憶部24、及び通信部25により構成されており、CPU22が、メモリ23をワークエリアとして利用して、記憶部24に記憶されたデータ(情報)やプログラムに従って各機構(11〜19)を駆動制御し、通信部25によって、通信回線2を介したデータ通信を実行する。プログラムに従った動作としては、利用者の生体情報の取得と、この生体情報として登録する生体部位に関連する関連情報の取得も実行する。
【0024】
前記表示部11は、液晶モニタやCRTモニタなど、文字や画像を表示できる装置により構成されており、利用者に対しての操作案内などを表示するものである。
【0025】
前記入力部12は、前記表示部11に重ねて設けられたタッチパネルや押下ボタンなど、利用者による操作入力を許容する装置で構成されており、利用者に操作入力された入力信号を主制御部21に送信するものである。
【0026】
前記書類リーダ13は、本人確認書類を読み取るスキャナで構成されている。この本人確認書類としては、例えば免許証などが該当する。免許証のように顔面写真が掲載されている書類に対しては、書類リーダ13が顔面画像をスキャニングする。これにより、主制御部21が、書類リーダ13でスキャニングした顔面画像と、顔面撮影カメラ17で撮影する利用者の顔面とを顔面認証プログラムで比較・認証して、IDカードの所有者本人か否かを判定できるようにしている。
【0027】
前記カード機構14は、ICカードに対しての読み書き処理を行うICカードリーダライタや、磁気カードに対しての読み書き処理を行う磁気カードリーダライタなど、IDカード(ICカードや磁気カードなど)に対する読み書き処理を実行するIDカードリードライト部と、IDカードを新規発行するためのIDカード発行機構とによって構成されている。
【0028】
前記指静脈リーダ16は、利用者の指から指静脈情報を取得し、取得した指静脈情報を主制御部21に送信するものである。なお、本実施の形態では指静脈リーダ16を採用したが、生体情報取得装置であればこれに限られるものではなく、指紋情報を取得する指紋リーダ、手のひら静脈情報を取得する手のひら静脈リーダ、掌紋情報を取得する掌紋リーダ、または、筆跡情報を取得する筆跡リーダなど、手や指に関連する生体情報を取得する装置で構成してもよい。またその他にも、網膜情報を取得する網膜リーダ、虹彩情報を取得する虹彩リーダ、または顔面画像情報を取得する顔面画像リーダなど、手や指以外の生体情報を取得する装置で構成してもよい
前記顔面撮影カメラ17、前記手元撮影カメラ18、及び前記全体撮影カメラ19は、いずれもCCDカメラやCMOSカメラなどの撮影画像を取得できるカメラで構成されており、取得した撮影画像情報を主制御部21に送信するものである。
【0029】
ここで、各カメラ17〜19で撮影する撮影画像について説明する。
図3(A)は、顔面撮影カメラ17で撮影した上半身撮影画像31の画像イメージ図を示しており、この上半身撮影画像31には、利用者Mの顔面部Faと胴部Bの上部と腕部Aの一部(肩から少なくとも肘あたりまで)とが画角内に収まるように写されている。
【0030】
図3(B)は、手元撮影カメラ18で撮影した手元撮影画像33の画像イメージ図を示しており、この手元撮影画像33には、利用者Mの腕部Aの一部(指若しくは手から少なくとも肘あたりまで)と手部Hと指部Fiとが画角内に収まるように写されている。
【0031】
図4(C)は、全体撮影カメラ19で撮影した全体撮影画像35の画像イメージ図を示しており、この全体撮影画像35には、利用者Mの胴部B、腕部A、手部H、及び指部Fiが画角内に収まるように写されている。また、登録端末10の指静脈リーダ16や床面等も写されている。
【0032】
図4(D)は、利用者Mが存在しない状態で事前に全体撮影カメラ19で撮影した全体背景画像37の画像イメージ図を示しており、登録端末10の指静脈リーダ16や床面等が写されている。
【0033】
図2に示した前記ホストコンピュータ3は、事務センタに設置されており、主制御部、記憶部、表示部、及び入力部を有するサーバコンピュータによって構成され、各種情報を総合的に管理するものである。
前記管理端末4は、主制御部や記憶部や表示部や入力部を有するパーソナルコンピュータによって構成され、オペレータによる各種操作を許容するものである。
【0034】
以上の構成により、登録端末10は、利用者の生体情報として指静脈情報を取得することができ、また関連情報として上半身撮影画像31、手元撮影画像33、および全身撮影画像41を取得することができる。そして、生体登録管理システム1によって利用者の管理を行うことができる。
【0035】
次に、登録端末10の主制御部21が実行する生体情報登録処理について説明する。
図5及び図6は、登録端末10の主制御部21の動作を示すフローチャートである。
【0036】
まず、主制御部21は、利用者が来客する前に事前に全体撮影カメラ19による撮影を行い、全体撮影画像35を取得しておく(ステップn1)。
来客があると、主制御部21は、表示部11に図示省略する取引選択画面を表示して、利用者に入力部12で取引種別を選択させる(ステップn2)。
【0037】
主制御部21は、取引種別として生体情報登録が選択されると、表示部11に図示省略するIDカード挿入案内画面を表示して、利用者にIDカードをカード機構14へ挿入するように促す(ステップn3)。
IDカードが挿入されると、主制御部21は、表示部11に図示省略するID番号入力案内画面を表示して、利用者に入力部12でID番号を入力させる(ステップn4)。
【0038】
主制御部21は、入力されたID番号が挿入されたIDカードに記憶されているID番号と一致するか否か認証する(ステップn5)。なお、IDカードに記憶されているID番号に限らず、例えば、IDカードと対応づけられて事務センタ側に記憶されているID番号により認証するなど、他の認証方法を採用してもよい。
認証OKであれば(ステップn5:Yes)、表示部11に図示省略する本人確認書類セット案内画面を表示して、利用者に本人確認書類をセットさせる(ステップn6)。
【0039】
主制御部21は、書類リーダ13によって本人確認書類をスキャニングし、本人確認書類に含まれている顔面画像を取得する(ステップn7)。なお、このとき本人確認書類が本物であるか否かを判定することが好ましい。この判定を行えば、例えば他人の免許証とその他人の実物大顔面写真を用いたような成りすまし登録を防止でき、本人の生体情報を登録させる確実性をより高めることができる。
【0040】
主制御部21は、利用者に生体情報登録する指を選択させ(ステップn8)、指静脈リーダ16にその指をセットさせる(ステップn9)。
【0041】
主制御部21は、図示省略する読取スイッチが利用者に押下された押下信号を受け(ステップn10)、生体情報登録時情報を取得する(ステップn11)。
【0042】
このときの生体情報登録時情報は、指静脈リーダ16により読み取る指静脈情報と、顔面撮影カメラ17で取得する上半身撮影画像31の情報と、手元撮影カメラ18で取得する手元撮影画像33の情報と、全体撮影カメラ19で取得する全体撮影画像35の情報とで構成される。なお、生体情報登録時情報の各情報は、同期を取って全て同時に取得することが好ましいが、それぞれ順番に取得する、もしくはランダムな順番で取得するなど、一連の動作として個々に取得する構成にしてもよい。
【0043】
主制御部21は、ステップn7で取得した本人確認書類の顔面画像と、ステップn11で取得した上半身撮影画像31の顔面画像とを照合する(ステップn12)。この照合は、例えば顔面画像から特徴点を抽出し、この特徴点の差が一定の閾値の範囲内にあるか否か照合し、この範囲内にあれば同一人物と認証する等の方法によって行う。
【0044】
照合結果が同一人物であれば(ステップn13:Yes)、来客前の全身背景画像43と全身撮影画像41との差分から利用者の輪郭を抽出する(ステップn14)。
【0045】
主制御部21は、不自然な要素がないかの判定として、利用者が一人であるか否かの判定を行う(ステップn15)。この判定は、抽出した利用者の輪郭が、生体登録の際に通常の人物が取っているポーズであると認識できる範囲内か否かを、予め用意した通常輪郭画像と画像マッチングすることにより判定する。これにより、複数人で不正登録が行われるような行為を防止している。
【0046】
画像マッチングの結果、利用者が一人であると判定すれば(ステップn15:Yes)、主制御部21は、図7の画像イメージ図に示すように、別々のカメラで同期をとって撮影された上半身撮影画像31と手元撮影画像33とを連結した連結画像40を作成する(ステップn16)。この連結画像40は、上半身撮影画像31と手元撮影画像33とに写っている各腕部Aが、通常に生体情報の登録を行えば繋がるように予めテストによって割り出した位置に、上半身撮影画像31と手元撮影画像33とを配置することで作成する。
【0047】
主制御部21は、不自然な要素がないかの判定として、連結画像40における腕部Aの連結部周囲Xに不連続点がないか判定する(ステップn17)。このときの連結部周囲Xは、生体登録を行う指部Fi側の腕部Aについて、不連続点の有無を判定するために設定されており、生体登録する指部Fiから本人認証を行う顔面部Faまでに不自然な点がなく、一人の利用者が正規に登録を行っていることを確認するためのものである。
【0048】
そして、この不連続点の有無は、腕部Aの輪郭の連結ズレが一定の閾値の範囲内に収まっているか否かと、その連結部周囲Xの上下の色合いが一定の閾値の範囲内に収まっているか否か(つまり服の色が同じであるか否か)とのいずれか一方、または両方によって判定する。
【0049】
なお、この実施形態では、不連続点の有無によって指部Fiから顔面部Faまでの連続性を判定しているが、例えば手元撮影画像33における登録側の腕部Aの方向ベクトルと、上半身撮影画像31における登録側の腕部Aの方向ベクトルとが一定の閾値の範囲内にあるか否かによって判定するなど、他の方法によって連続性を判定してもよい。
【0050】
不連続点なしと判定した場合(ステップn17:Yes)、主制御部21は、指静脈情報の再確認が行われたか否か、つまり、ステップn9〜n18の処理の実行回数が二回目であるか否かを判定する(ステップn18)。
【0051】
再確認がまだ行われていなければ(ステップn18:Yes)、主制御部21は、ステップn3で挿入されたIDカードに前記ステップn11で取得した指静脈情報を記憶させて登録する(ステップn19)。
【0052】
主制御部21は、表示部11に図示省略する再確認案内画面を表示し、「登録データを照合します、指を一度離して、再セットして下さい。」と利用者に案内し(ステップn20)、ステップn9に処理を戻す。このとき、指を一度離させることで、登録時の指の角度や置き位置がたまたま普通に指を置く場合の角度や置き位置と異なった場合に、そのまま登録されることを防止している。
【0053】
前記ステップn18で、すでに再確認が行われていれば(ステップn18:Yes)、主制御部21は、表示部11に図示省略する登録終了案内画面を表示し、「登録終了しました。カードをお受け取りください」と利用者に案内する(ステップn21)。
【0054】
そして、主制御部21は、指静脈情報を記憶させたIDカードを発行し(ステップn22)、処理を終了する。
【0055】
前記ステップn5でID番号の認証がNGであった場合や(ステップn5:No)、前記ステップn13で顔面照合の結果が同一人物でなかった場合(ステップn13:No)、また前記ステップn15で利用者以外の人物などが写っていた場合や(ステップn15:No)、前記ステップn17で不連続点があった場合は(ステップn17:No)、主制御部21はIDカードを返却する(ステップ23)。そして、主制御部21は、表示部11に図示省略する取扱い不可案内画面を表示し、「お取扱いできません」と利用者に案内して(ステップn24)、処理を終了する。
【0056】
以上の動作により、利用者は登録端末10でIDカードに自己の指静脈情報を生体情報として登録することができ、この際に店員による案内を不要として無人接客による生体情報登録を行うことができる。
そして、単に生体情報を登録するのではなく、生体情報として登録する生体部位に関連する関連情報による判定として、利用者が一人であるか否かの判定(ステップn15)、及び、生体情報として登録する指部Fiから本人確認する顔面部Faまでの連続性の判定(ステップn17)を行うため、他人による成りすまし登録などの不正登録を防止することができる。
【0057】
詳述すると、ステップn15では、登録処理をする利用者以外に登録端末10の近くに他人がいないことや不審物がないことを検出することで、例えば二人が協力して顔面と指とを別人のもので登録するような不正登録を防止できる。またステップn17では、連続性を判定することで、本人が他人の指部Fiや模造品を利用して登録することを防止できる。
【0058】
また、顔面画像による本人認証(ステップn13)も実行し、この本人認証に使用する顔面部Faと、生体情報として登録する生体部位である指部Fiとの連続性を、ステップn17で判定しているため、登録対象の生体部位(指部Fi)が本人のものであることを確実に確認することができる。
【0059】
また、一連の生体情報登録の中でステップn9〜n18を二回繰り返して再確認することで、本人の生体情報を間違いなく登録する確実性を高めることができる。
【0060】
なお、指部Fiから顔面部Faまでの連続性は、手元撮影画像33と上半身撮影画像31とを連結することで判定したが、利用者の全身、特に顔面部Faから登録する指部Fiまでを撮影して、この全身画像によって連続性を判定する構成にしてもよい。
【0061】
この場合、手元撮影カメラ18の代わりに、図1、図2に仮想線で示したように、人物撮影カメラ20を備えればよい。この人物撮影カメラ20は、利用者の全身が撮影できるように、広角レンズを設け、普通人の身長より高い高さ位置で、撮影方向を正面斜め下方に向けて配設するとよい。
【0062】
この人物撮影カメラ20による撮影画像は、図8の画像イメージ図に示すように、全身撮影画像41として、利用者Mの顔面部Fa、胴部B、腕部A、手部H、指部Fi、及び足部Lの上部が画角内に収まるように写す構成にすればよい。
【0063】
この場合でも、指部Fiから顔面部Faまでの連続性を判定することができ、登録対象の生体部位(指部Fi)が本人のものであることを確認でき、他人による成りすまし登録などの不正登録を排除することができる。
【0064】
また、ステップn15,n17の二段階で登録対象の生体部位(指部Fi)から本人確認の生体部位(顔面部Fa)までの不連続や他人(第三者)の存在といった不自然な点のないことを確認したが、いずれか一方のみで不自然な点がないことを確認する構成にしてもよい。この場合でも不正登録を防止することができ、またコストダウンを図ることができる。
【0065】
また、登録端末10には様々なタイプの装置を採用することができる。従って、例えば、図9の斜視図に示すように、ATM70に、書類リーダ13、カード機構14、指静脈リーダ16、手元撮影カメラ18、及び人物撮影カメラ20を備えて登録端末にしてもよい。
【0066】
また、各カメラ17〜20の画角内に入らないように荷物置き部を設け、撮影画像に利用者の荷物が写らないようにしてもよい。この場合は、利用者の荷物によって画像処理で取得する利用者の輪郭に変化が現れることを防止でき、正常登録であると認識できる精度を向上できる。
【0067】
また、本実施の形態では静止画によって判別したが、動画を取得してその動作の連続性によって確認する構成にしてもよい。この場合は、例えば、利用者が指で入力部12を操作して指静脈リーダ16に指部Fiを置く一連の動作を取得し、このときの指部Fiの動作に不自然な点がないか、すなわち入力部12を操作していた指部Fiと異なるものが突然指静脈リーダ16に置かれたりしていないかを判定する構成にすればよい。
【0068】
また、IDカードは利用者が所有するものを挿入させる構成にしたが、新規発行する構成にしてもよく、また、新規発行処理とIDカードへの生体情報登録処理の両処理を選択的に実行できる構成にしてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では右手の指(登録生体部位)を登録させているが、登録時の左手の位置を固定するために、図1に仮想線で示すように、登録端末10に左手置き場51を設け、ステップn9の際に左手(登録生体部位と逆側の生体部位)を左手置き場51に置くように案内する構成にしてもよい。これにより、画像処理によって取得できる利用者の輪郭形状を安定させることができ、不正登録防止の精度をより向上できる。
【0070】
また、生体情報として指静脈情報を使用したが、これに限らず指や手に関する他の生体情報を登録する際に、本実施の形態を使用してもよい。この場合は、指紋、手のひら静脈、掌紋、または筆跡などを生体情報として登録する構成にし、関連情報の取得方法としては、上述した実施形態を採用することで実現できる。
【0071】
また、生体情報として指や手以外のものを採用してもよい。例えば音声情報を使用する場合であれば、発声している利用者の口や喉の画像と音声とを同時に取得して、発声する利用者の口の動きやのどの動きを認識し、声が本人から発せられているか否かを判定すればよい。また、複数のマイクロフォンを使用したマイクロフォンアレーを用いて、発声されている方向を認識し、その方向が端末を操作している本人の口の位置と一致するか否かにより判定してもよい。この場合でも、生体情報としての音声と本人情報としての顔面画像との関連性を判定して、不正登録を防止することができる。
【0072】
また、本人確認の方法として、顔面認証以外の認証を採用してもよい。例えば、声紋認証により本人認証を行うことができ、この場合も、音声を発する口から生体登録される指部Fiまでの連続性の確認を行うことができる。従って、登録される生体情報が本人のものであることを確認できる。
【0073】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の生体情報登録装置は、実施形態の登録端末10及びATM70に対応し、
以下同様に、
生体情報登録手段は、カード機構14に対応し、
生体情報取得手段は、指静脈リーダ16、指紋リーダ、手のひら静脈リーダ、掌紋リーダ、筆跡リーダ、網膜リーダ、虹彩リーダ、または顔面画像リーダに対応し、
関連情報取得手段および撮影手段は、顔面撮影カメラ17、手元撮影カメラ18、全体撮影カメラ19、または人物撮影カメラ20、もしくはこれらのカメラの組み合わせに対応し、
関連情報および撮影画像は、上半身撮影画像31、手元撮影画像33、全体撮影画像35、全身撮影画像41、または連結画像40に対応し、
適否判定手段および不自然判定手段は、ステップn15,n17,n18に対応し、
生体部位は、指部Fi、手のひら、手、網膜、虹彩、または顔面に対応し、
生体情報は、指静脈情報、指紋情報、手のひら静脈情報、掌紋情報、筆跡情報、網膜情報、虹彩情報、または顔面画像情報に対応し、
不自然な要素は、腕部Aの輪郭の連結ズレまたは/および連結部周囲Xの上下の色合いに対応するも、
これらに限定されるものではなく、この発明は、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】登録端末の斜視図。
【図2】生体登録管理システムのブロック図。
【図3】上半身撮影画像と手元撮影画像の画像イメージ図。
【図4】全体撮影画像と全体背景画像の画像イメージ図。
【図5】登録端末の主制御部の動作を示すフローチャート。
【図6】登録端末の主制御部の動作を示すフローチャート。
【図7】連結画像の画像イメージ図。
【図8】全身撮影画像の画像イメージ図。
【図9】ATMの斜視図。
【符号の説明】
【0075】
10…登録端末
14…カード機構
16…指静脈リーダ
17…顔面撮影カメラ
18…手元撮影カメラ
19…全体撮影カメラ
20…人物撮影カメラ
31…上半身撮影画像
33…手元撮影画像
35…全体撮影画像
41…全身撮影画像
Fi…指部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から生体情報を取得する生体情報取得手段と、
取得した生体情報を登録する生体情報登録手段と、
前記生体情報として登録する生体部位に関連する関連情報を取得する関連情報取得手段と、
前記生体情報の取得が適正に実行されたか否かを前記関連情報に基づいて判定する適否判定手段とを備えた
生体情報登録装置。
【請求項2】
前記生体情報を、指または手に関する生体情報により構成し、
前記関連情報取得手段を、前記指または手を含めて利用者を撮影する撮影手段で構成し、
前記適否判定手段を、
前記撮影手段で取得した撮影画像に不自然な要素がないか判定する不自然判定手段で構成した
請求項1記載の生体情報登録装置。
【請求項3】
前記撮影手段を、
利用者の指または手を含めて撮影して手元撮影画像を取得する手元撮影手段と、
利用者の顔面を含めて撮影して顔面撮影画像を取得する顔面撮影手段とで構成すると共に、
前記手元撮影画像と前記顔面撮影画像とが一人の利用者を撮影した撮影画像として連続するように前記手元撮影手段及び前記顔面撮影手段を配設し、
前記不自然判定手段を、
前記手元撮影画像と前記顔面撮影画像との連続部に不自然な要素がないか判定する構成にした
請求項2記載の生体情報登録装置。
【請求項4】
前記撮影手段を、
利用者の指または手を含めて撮影して手元撮影画像を取得する手元撮影手段と、
利用者の顔面を含めて撮影して顔面撮影画像を取得する顔面撮影手段とで構成すると共に、
前記手元撮影画像と前記顔面撮影画像とが一人の利用者を撮影した撮影画像として連続するように前記手元撮影手段及び前記顔面撮影手段を配設し、
前記不自然判定手段を、
前記手元撮影画像の腕の方向と前記顔面撮影画像の腕の方向とが一致するか否かにより判定する構成にした
請求項2記載の生体情報登録装置。
【請求項5】
前記不自然判定手段を、
前記撮影画像における利用者の背景に異常があるか否かにより判定する構成にした
請求項2記載の生体情報登録装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−309562(P2006−309562A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132375(P2005−132375)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】