説明

生物活性グレリンに特異的に結合する核酸

本発明は、生物活性グレリン、より好ましくはn−オクタノイルグレリンに特異的に結合する核酸、ならびにグレリンに媒介される疾患および障害の診断のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物活性グレリンに結合する核酸、ならびに生物活性グレリンの結合および検出のためのそのような核酸の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
グレリンは、成長ホルモン分泌促進物質受容体1a(GHSR1a)の天然リガンドとして同定された。該受容体は、下垂体においてそして脳の視床下部の部分において最も豊富であるが、他の組織においても低濃度で検出されることができる。70年代後期から、分泌促進物質と名付けられた、合成ペプチドおよび他の化合物は、成長ホルモンの放出を刺激することが示されていた。しかしながら、成長ホルモンの放出に関与する天然リガンドは、1999年におけるグレリンの発見まで不明のままであった。グレリンは、そのN末端の3番目のアミノ酸(セリン3)でオクタノイル酸側鎖を有する非常に塩基性の28アミノ酸のペプチドホルモンである。この特異な修飾は、GHS受容体での相互作用およびその活性に必要とされる。しかしながら、生体サンプルには、生物活性グレリンの形態であるオクタノイルグレリンおよび修飾されていない、すなわちデス−オクタノイルグレリン(des−octanoyl ghrelin)の両方の混合物が存在する。精製されたラットグレリンのアミノ酸配列は、GSSFLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号19)であるとタンパク質シーケンサーにより決定された。対応するヒト配列は2つの位置においてのみ逸脱し、アミノ酸位置セリン3で同じn−オクタノイル側鎖を保有する(GSSFLSPEHQRVQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号16))。
【0003】
天然に存在するn−オクタノイル残基に加えて、グレリンの位置3で導入される不飽和のもしくは分枝したオクタノイル基、およびより長い脂肪族鎖は、同様に受容体認識を媒介する。受容体相互作用ドメインは、グレリンの非常にN末端に位置し;欠失研究により、グレリン(1−10)[GSSFLSPEHQ、配列番号17]およびアミノ酸1−5の最小モチーフ(グレリン(1−5)[GSSFL、配列番号18]でさえ、GHSR1aの刺激に十分であるが、両方の場合において、n−オクタノイル残基でのペプチド修飾の強い必要条件が認められることが示される。
【0004】
グレリンは、アナボリック状態に関連する生理的機能を媒介することが示されている。それは下垂体からの成長ホルモン(GH)の放出を直接刺激するが、視床下部ニューロンに作用することによりGHに依存しない方法で摂食行動を誘導することもまた、げっ歯類における実験によりグレリンに示された。興味深いことに、グレリン生産の主要部位は胃の胃酸分泌腺においてであり、それが胃、下垂体および視床下部の間のホルモンリンク(hormonal link)として働くことを示唆する。ラットにおけるグレリン投与は、エネルギー摂取および/もしくは食糧利用の変化の結果として体重増加をもたらしたという結果は、そのような役割を裏付ける。さらに、ヒトにおける全身グレリン投与は、試験被験体において空腹感を引き起こし、そして過食を誘導する。これらの結果に基づいて、グレリンは食欲および体重の調節において重要な役割を有し、栄養不良状態の急性ならびに慢性シグナルとして働くと考えられる。この仮説のさらなる裏付けは、グレリンレベルならびに食欲が胃バイパス後の個体において低下され、体重減少をもたらすことにおける該処置の効率に少なくとも部分的に寄与するという結果からもたらされる。プラダーウィリ症候群にかかっている患者からの臨床データもまた、該疾患と関連する過食症および肥満症が著しい高グレリン血症の結果であることを示唆する。さらに、グレリンは高血糖およびインシュリン放出の阻害を誘導することが見出され、グルコース代謝への関与を示唆する。エネルギー代謝におけるこれらの機能に加えて、グレリンはまた多数の他のプ
ロセスにも関係があるとされている。それは多数の神経内分泌腫瘍において発現されること、および下垂体からのGH放出に加えて、ACTH、PRLおよびコルチゾールの放出を刺激することが見出された。健常人へのグレリンの単回注射は、心拍出量を増加しそして血圧を減少することが見出された。従って、グレリンの作用は、様々な異なる仕事に関与しているように思われる。背景となる情報は、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10から取り出すことができる。
【非特許文献1】M.Kojima,H.Hosoda,Y.Date,M.Nakazato,H.Matsu,K.Kangawa,“Ghrelin is a growth−hormone−releasing acylated peptide from stomach”,Nature 402:656−60,1999
【非特許文献2】M.Tschoep,D.L.Smiley,M.L.Heiman,“Ghrelin induces adiposity in rodents”,Nature 407:908−13,2000
【非特許文献3】A.M.Wren et al.,“Ghrelin enhances appetite and increases food intake in humans”,Journal of Clinical Endocrinology Metabolism 86:5992−6,2001
【非特許文献4】M.Nakazato et al.,“A role for ghrelin in the central regulation of feeding”,Nature 409:194−8,2001
【非特許文献5】N.Nagaya,et al.,Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol.2001 May;280(5):R1483−7;Hemodynamic and hormonal effects of human ghrelin in healthy volunteers.
【非特許文献6】Volante M,et al.,J.Clin Endocrinol Metab.2002 Mar;87(3):1300−8.Expression of ghrelin and of the GH secretagogue receptor by pancreatic islet cells and related endocrine tumors.
【非特許文献7】Jeffery PL,et al.,J Endocrinol.2002 Mar;172(3):R7−11 Expression and action of the growth hormone releasing peptide ghrelin and its receptor in prostate cancer cell lines.
【非特許文献8】Egido EM,et al.,Eur J Endocrinol.2002 Feb;146(2):241−4 Inhibitory effect of ghrelin on insulin and pancreatic somatostatin secretion.
【非特許文献9】Broglio F,et al.,J Clin Endocrinol Metab.2001 Oct;86(10):5083−6,Ghrelin,a natural GH secretagogue produced by the stomach,induces hyperglycemia and reduces insulin secretion in humans.
【非特許文献10】Bednarek MA,et al.,J.Med Chem.2000 Oct.;43:4370−6 Structure−function studies on the new growth hormone−releasing peptide,ghrelin:minimal sequence of ghrelin necessary for activation of growth hormone secretagogue receptor 1a.
【発明の開示】
【0005】
本発明の根底にある問題は、生物活性グレリンの結合の手段を提供すること、そしてさらに特に生物活性グレリンにより媒介される疾患および障害の処置の方法ならびに生物活性グレリンの特異的検出の方法を提供することである。
【0006】
本発明によれば、この問題は本明細書に添付する独立請求項の主題により解決される。好ましい態様は、従属請求項によりもたらされる。
【0007】
ヒトグレリンは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有する塩基性ペプチドであり、そして脂肪酸側鎖で修飾される。異なる種間の高度のペプチド配列相同性を考慮して、グレリンという用語は、本明細書において用いる場合、哺乳類グレリンが包含されるがこれに限定されるものではない任意のグレリンをさす。好ましくは、哺乳類グレリンは、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターおよびヒトグレリンを含んでなる群から選択される。最も好ましくは、グレリンはヒトグレリンである。
【0008】
グレリンの計算されたpIは、11.09である。グレリンのこの非常に塩基性の全体的なpIにもかかわらず、受容体結合モチーフGSSFL[グレリン(1−5)]は、5.5の計算されたpIを有する、むしろ酸性のドメインである。本発明は、酸性の受容体結合ドメインを特異的に認識するが、ペプチドの塩基性の中央およびカルボキシ末端ドメインを認識しない、核酸を全長グレリンで選択することができるという驚くべき結果に基づく。これは、標的分子、すなわちグレリンの電荷および核酸の電荷の両方の静電効果の点において驚くべきことである。標的分子の塩基性ドメインへの負に荷電した核酸の結合は、標的分子の酸性ドメインへの核酸の結合と比較してはるかに有利であるはずである。従って、グレリンの塩基性部分に結合していないが標的分子の酸性ドメインに結合している核酸リガンドを選択することの成功の妥当な予想は、当業者にはなかったことが指摘されなければならない。
【0009】
アミノ末端の受容体結合モチーフに加えて、本明細書において生物活性グレリンとも呼ばれる生物学的に活性のグレリンは、アミノ酸セリン3でのn−オクタノイル基でのそのアシル化を特徴とする。本明細書に開示されるアミノ末端モチーフGSSFLの核酸リガンドは、グレリンの生物不活性もしくは非生物活性型からの生物活性型の識別を可能にする。結合は2つの部分、オクタノイル基およびペプチドの存在に厳密に依存し:オクタノイル−グレリンへの核酸の結合は、1000倍過剰のデスオクタノイル−グレリンの存在下で、より好ましくは100倍過剰のデスオクタノイル−グレリンの存在下で、そして最も好ましくは10倍過剰のデスオクタノイル−グレリンの存在下で特異的であるので、これは驚くべきことである。さらに、鏡像異性体のオクタノイル−グレリンは該核酸により認識されず;オクタノイル基は結合に十分ではないということを考えると、結合特性はまたペプチドにも特異的である。
【0010】
本明細書において好ましい態様として用いる場合、生物活性グレリンは、好ましい態様として天然に存在するグレリンの特性の本質的に全てを示すグレリンである。特に、生物活性グレリンは、好ましい態様として本明細書において用いる場合、より好ましくはGHS受容体との相互作用を介して、成長ホルモンの放出に関与するかもしくはそれを引き起こすことができる任意のグレリンおよびグレリン誘導体である。これと対照的に、好ましい態様として、非生物活性グレリンは生物活性グレリンと異なる、より好ましくはGHS受容体との相互作用を介して、より好ましくは成長ホルモンの放出を引き起こさないグレリンである。
【0011】
本明細書に記述されるような本発明の核酸の特徴は、単独でもしくは任意の組み合わせ
のいずれかで、核酸が用いられる本発明の任意の態様において実現されることができる。
【0012】
本発明の核酸はまた、本明細書に開示される特定の配列に本質的に相同である核酸も含んでなる。実質的に相同なという用語は、相同性が少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%であり、そして最も好ましくは95%、96%、97%、98%もしくは99%より大きいように理解されるものとする。
【0013】
本発明の核酸はまた、1つの態様として本明細書に開示される特定の配列に由来する核酸も含んでなる。「由来する」という用語は、配列番号1に基づくように理解されるものとする。図1Aに示す挿入部位Ins1〜Ins4は、最大30ヌクレオチドの長さの任意の配列により、好ましくは最大20ヌクレオチドの任意の配列により、より好ましくは最大10ヌクレオチドの任意の配列により、そして最も好ましくはIns1では0〜3ヌクレオチド、Ins2では0〜14ヌクレオチド、Ins3では1〜3ヌクレオチドそしてIns4では0〜2ヌクレオチドの任意の配列により表されることができる。Ins2により表される内部ループIL Iaは、改変の最も重要な部位であると考えられる。
【0014】
本発明の核酸はまた、好ましい態様として以下の一般式
CGUGYGN(0〜3)AGGYAN(0〜14)AAAACN(1〜3)UAARWCCGAAGGUAACCAWUCCUACN(0〜2)ACG(配列番号1)
(式中、YはUもしくはCを表し、RはAもしくはGを表し、WはUもしくはAを表す。それと関連して、添え字のいずれも、特定される最初の数字から出発して特定される最後の数字までの任意の整数およびその間の任意の整数を表すことに注意すべきである。従って、例えば0〜3は0、1、2および3を表す。)
により表されることもできる。
【0015】
従って、共通配列の配列番号1は、可変長の挿入が様々な態様において認められる、4つの領域を含有する。これらの領域は挿入部位と呼ばれ、そしてIns1〜Ins4と名付けられる。図1Aにおいて配列番号2として記載するL−NOX−B11によれば、Ins1はヌクレオチド6と7の間に位置し、Ins2はヌクレオチド13と14の間に位置し、Ins3はヌクレオチド18と20の間に位置し、そしてIns4はヌクレオチド44と45の間に位置する。表されるクローンにおいて認められる、それぞれの挿入部位の長さは、配列番号1および上記の特定の一般式において示される。
【0016】
本発明の核酸はまた、1つの態様として、好ましくは当該部分がオクタノイル−グレリンに結合することおよびデスオクタノイルグレリンを識別することに関与する限りにおいて、本明細書に開示される特定の配列に構造的に相同である核酸も含んでなる。構造的相同性は、本発明の好ましい態様と関連して用いられる場合、配列が図1Bに表されるような基底ステム(basal stem)および内部ループおよび末端ステムループを含んでなる特徴的な二次構造モデルにフォールディングし、好ましくはステム領域に代償的塩基交換が存在する該構造にフォールディングし、そして好ましくは一本鎖の範囲に置換、欠失および/もしくは挿入が存在する該構造にフォールディングし、そして最も好ましくはサイズが図1Bにそして配列が配列番号1に対応する該構造にフォールディングするように理解されるものとする。
【0017】
本発明の核酸(inventive nucleic acid)もしくは本発明の核酸(nucleic acid according to the present invention)という用語はまた、好ましくは当該部分がグレリンへの結合および非生物活性グレリンから生物活性グレリンを、すなわち、特にデスオクタノイル−グレリンからオクタノイル−グレリンを識別することに関与する限りにおいて、本明細書に開示される核酸配列の一部を含んでなる核酸も含んでなるものとする。そのような核酸は、例
えばトランケーションにより、本明細書に開示されるものから得ることができる。トランケーションは、本明細書に開示されるような核酸の末端のいずれかもしくは両方に関係していることができる。また、トランケーションは、ヌクレオチドの内部配列に関係していることもでき、すなわち、それは、それぞれ、5’および3’末端ヌクレオチドの間のヌクレオチド(1つもしくは複数)に関係していることができる。さらに、トランケーションは、本明細書に開示される核酸の配列からのわずか1個のヌクレオチドほどの欠失を含んでなるものとする。トランケーションはまた、本発明の核酸(1つもしくは複数)の1つより多い範囲に関係していることもでき、ここで、該範囲は、わずか1個のヌクレオチドほどの長さであることができる。
【0018】
本発明の核酸は、D−核酸もしくはL−核酸のいずれかであることができる。好ましくは、本発明の核酸はL−核酸である。さらに、核酸の1つもしくはいくつかの部分はD−核酸として存在し、または核酸の少なくとも1つもしくはいくつかの部分はL−核酸であることが可能である。核酸の「部分」という用語は、わずか1個のヌクレオチドほどを意味するものとする。そのような核酸は、それぞれ、D−およびL−核酸と本明細書において一般的に呼ばれる。
【0019】
本発明の核酸もしくは本発明の核酸という用語はまた、好ましくは当該部分もしくは核酸がオクタノイル−グレリンへの結合およびデスオクタノイル−グレリンを識別することに関与する限りにおいて、本明細書に開示される核酸配列およびそれに結合している他の配列を含んでなる核酸も含んでなるものとする。伸長、すなわち、本明細書に開示される特定の核酸配列に結合している追加配列は、該配列が5’末端もしくは3’末端または両方のいずれかで伸長されるようにであることができ、そしてそれはどちらの側にも100ヌクレオチド程度、好ましくはどちらの側にも50ヌクレオチド程度、より好ましくはどちらの側にも20ヌクレオチド程度、そして最も好ましくは配列番号20として本明細書に開示される完全なもしくは部分的5’−隣接配列および/または配列番号21として本明細書に開示される完全なもしくは部分的3’−隣接配列を含んでなることができる。本明細書において用いる場合、部分的という用語は、本発明の好ましい態様としてそれぞれの配列の単一ヌクレオチドまたはそれが関連する配列、さらに特に配列番号20および21のいずれかに記載の隣接配列において相互に隣接するそのような配列の2個もしくはそれ以上のヌクレオチドの配列を意味する。
【0020】
本発明の核酸はさらに長い核酸の一部であり、ここで、このさらに長い核酸はいくつかの部分を含んでなり、ここで、少なくとも1つの部分は本発明の核酸もしくはその一部であることもまた本発明の範囲内である。これらのさらに長い核酸の他の部分は、D−核酸もしくはL−核酸のいずれかであることができる。任意の組み合わせを本発明に関連して用いることができる。さらに長い核酸のこれらの他の部分(1つもしくは複数)は、結合することと異なる機能を示すことができる。1つの可能な機能は、例えば、固定化、架橋、検出もしくは増幅のためのような他の分子との相互作用を可能にすることである。
【0021】
L−核酸は、本明細書において用いる場合、L−ヌクレオチドからなる、好ましくはL−ヌクレオチドから完全になる核酸である。
【0022】
D核酸は、本明細書において用いる場合、D−ヌクレオチドからなる、好ましくはD−ヌクレオチドから完全になる核酸である。
【0023】
本発明の核酸がD−ヌクレオチド、L−ヌクレオチドもしくは両方の組み合わせ(該組み合わせは、例えば、少なくとも1個のL−ヌクレオチドおよび少なくとも1個のD−核酸からなる範囲のランダムな組み合わせもしくは定義された配列である)からなるかどうかにかかわらず、該核酸はデオキシリボヌクレオチド(1個もしくは複数)、リボヌクレ
オチド(1個もしくは複数)もしくはその組み合わせからなることができる。
【0024】
本発明の核酸をL−核酸として設計することは、いくつかの理由で有利である。L−核酸は、天然に存在する核酸の鏡像異性体である。D−核酸は、しかしながら、ヌクレアーゼの広範囲に及ぶ存在のために水溶液においてそして特に生体系もしくは生体サンプルにおいてあまり安定ではない。天然に存在するヌクレアーゼ、特に動物細胞からのヌクレアーゼは、L−核酸を分解することができない。このために、L−核酸の生物学的半減期は、動物および人体を包含する、そのような系において著しく増加される。L−核酸の分解性を欠くことのために、いかなるヌクレアーゼ分解産物も生成されず、従って、それに起因するいかなる副作用も認められない。この特徴は、グレリンの存在を伴う疾患および/もしくは障害の治療において用いられる事実上全ての他の化合物からL−核酸を画する。
【0025】
本発明の核酸は、それらがD−核酸、L−核酸もしくはD,L−核酸として存在するかどうかまたはそれらがDNAもしくはRNAであるかどうかにかかわらず、一本鎖もしくは二本鎖核酸として存在し得ることもまた本発明の範囲内である。典型的に、本発明の核酸は、一次配列に起因する特定の二次構造を示し、従って3次構造を形成することもできる一本鎖核酸である。しかしながら、本発明の核酸はまた、相互に相補的である2本の鎖が相互にハイブリダイズしているという意味において二本鎖であることもできる。これは核酸に安定性を与え、それは、核酸がL型よりむしろ天然に存在するD型で存在する場合に有利である。
【0026】
本発明の核酸は、改変することができる。そのような改変は、核酸の単一のヌクレオチドに関係していることができ、そして当該技術分野において周知である。そのような改変の例は、とりわけ、Kusser,W.(2000)J Biotechnol,74:27−38;Aurup,H.et al.(1994)Nucleic Acids Res,22,20−4;Cummins,L.L.et al,(1995)Nucleic Acids Res,23,2019−24;Eaton,B.E.et al.(1995)Chem Biol,2,633−8;Green,L.S.et al.,(1995)Chem Biol,2,683−95;Kawasaki,A.M.et al.,(1993)J Med Chem,36,831−41;Lesnik,E.A.et al.,(1993)Biochemistry,32:7832−8;Miller,L.E.et al.,(1993)J Physiol,469,213−43に記述されている。
【0027】
本発明の核酸は、多くの部分に分かれた核酸であることができる。多くの部分に分かれた核酸は、本明細書において用いる場合、少なくとも2本の核酸鎖からなる核酸である。これらの少なくとも2本の核酸鎖は機能単位を形成し、ここで、該機能単位は標的分子に対するリガンドである。少なくとも2本の核酸鎖は、2本の鎖を生成するように核酸を切断することによりもしくは本発明の、すなわち全部の核酸の第1の部分に対応する1つの核酸および全部の核酸の第2の部分に対応するもう1つの核酸を合成することにより本発明の核酸のいずれかから得ることができる。切断および合成の両方とも、上記に例示するような2本より多い鎖がある多くの部分に分かれた核酸を作製するために適用することができると認識されるべきである。言い換えれば、少なくとも2本の核酸鎖は、様々な核酸部分の間である程度の相補性は存在し得るが、相補的でありそして相互にハイブリダイズする2本の鎖と典型的に異なる。
【0028】
結合定数を決定する可能性は、いわゆるビアコア装置の使用であり、それもまた当業者に既知である。親和性もまた、本明細書において用いる場合、実施例5に記述されるような「ビーズアッセイ」の使用により測定された。本発明の場合にはグレリンである標的による核酸との間の結合の強さを表すために適切な尺度は、いわゆるKd値であり、それは
そのようなものとしてその決定の方法と同様に当業者に周知である。
【0029】
本発明の核酸は、ある種のKd値を特徴とする。好ましくは、本発明の核酸により示されるKd値は1μM未満である。約1μMのKd値は、標的への核酸の非特異的な結合に特徴的であると言われる。当業者により認識されるように、本発明の核酸のような一群の化合物のKd値は、ある範囲内である。約1μMの上記のKdは、Kd値の好ましい上限値である。標的に結合する核酸のKdの好ましい下限値は、約10ピコモル以上であることができる。非生物活性グレリンから生物活性グレリンを、すなわち、好ましくはデスオクタノイル−グレリンからオクタノイル−グレリンを識別する個々の核酸のKd値は、10pM〜1μMのこの範囲内、より好ましくは100pM〜500nMの範囲内、そして最も好ましくは1nM〜100nMの範囲内であることは、本発明の範囲内である。
【0030】
本発明の核酸分子は、それらが標的分子に結合し、そして非生物活性グレリンから生物活性グレリンを、すなわち、好ましくはデスオクタノイル−グレリンからオクタノイル−グレリンを識別することが依然としてできるならば任意の長さを有することができる。本発明の核酸の好ましい長さがあることは、当該技術分野において認識される。典型的に、該長さは15〜120ヌクレオチドの間である。15〜120の間の任意の整数は本発明の核酸の可能な長さであることは、当業者により認識される。本発明の核酸の長さのさらに好ましい範囲は、約20〜100ヌクレオチド、約20〜80ヌクレオチド、約20〜60ヌクレオチド、約20〜50ヌクレオチドおよび約30〜50ヌクレオチドの長さである。
【0031】
本発明の生物活性および生物不活性グレリンの識別のためのアッセイは、当業者が既知であるような標準的技術を用いて行われることができる。好ましい態様として、該アッセイは96ウェルプレートにおいて行われることができ、ここで、成分は請求項に従って開示されるような反応容器に固定される。場合により、複合体は複合体形成後に反応容器から取り除かれることができる。
【0032】
1つの態様として、本発明の核酸分子は第二の検出手段により分析され、ここで、該検出手段は分子ビーコンである。分子ビーコンの方法論は、当業者に既知である。簡潔に言えば、分子ビーコンとも呼ばれる核酸プローブは、検出される核酸サンプルの逆相補物であり、そしてこのために、検出される核酸サンプルの一部にハイブリダイズする。核酸サンプルに結合すると、分子ビーコンのフルオロフォア基は分離され、それは蛍光シグナルの変化、好ましくは強度の変化をもたらす。この変化は、存在する核酸サンプルの量と相関性がある。
【0033】
本明細書において本発明の核酸とも呼ばれる本発明の核酸、および/もしくは本発明のアンタゴニストは、薬剤の作製もしくは製造に用いることができる。そのような薬剤は、場合により追加の製薬学的に活性の化合物と一緒に、本発明の核酸の少なくとも1つを含有し、ここで、本発明の核酸は、好ましくは、製薬学的に活性の化合物自体として作用する。そのような薬剤は、好ましい態様として少なくとも1つの製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。そのような担体は、例えば、水、バッファー、澱粉、糖、ゼラチンもしくは任意の他の許容しうる担体物質であることができる。そのような担体は、当業者に一般的に既知である。そのような薬剤をその処置および/もしくは予防に用いることができる疾患および/もしくは障害および/もしくは病的症状には、肥満症、エネルギーバランス、食欲および体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍、血圧ならびに心臓血管疾患が包含されるが、これらに限定されるものではない。当業者により認識されるように、本発明の核酸は、グレリンに対するアンタゴニストをそのようなアンタゴニストを必要とする患者に投与することができそしてそのようなアンタゴニストが疾患もしくは障害の原因を取り除くためにまたは少なくとも疾患もしくは障害からの影響を減らすために
適当である任意の疾患において事実上用いることができる。そのような影響には、肥満症、エネルギーバランス、食欲および体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍処置、血圧ならびに心臓血管疾患が包含されるが、これらに限定されるものではない。本発明の目的のために、エネルギーバランスの調節は疾患と見なされる。さらに特に、該使用は、エネルギーバランスの調節がグレリンにより直接的にもしくは間接的に影響を受け、そしてグレリンの生物学的利用能の減少が所望される任意の疾患の処置のためである。同じことが糖代謝、血圧ならびに食欲および体重に当てはまる。場合により全身もしくは局所使用で、本発明の核酸を用いて処置することができるさらなる疾患は、下垂体腫瘍、先端巨大症、中心性(central)クッシング症候群、副腎性クッシング症候群、腫瘍随伴性クッシング症候群、異所性クッシング症候群、副腎腫瘍、ストレス、副腎皮質機能亢進症、心不全、心筋梗塞、卒中、副腎皮質不全、低血圧症、大動脈弁狭窄症、肺緊張亢進(pulmonal hypertonia)、収縮性心内膜炎、感染症、感染性中毒性低血圧症、血液量減少および低ナトリウム血症を含んでなる群から選択することができるものである。
【0034】
本発明の核酸ならびにアンタゴニストは、薬剤としてもしくは薬剤の製造のためにだけでなく、美容目的のために、特に肥満症におけるグレリンの関与に関しても使用することができると理解されるべきである。同じ目的で、本発明の核酸ならびにアンタゴニストは、食品添加剤、体重管理の手段および/もしくは食欲制御の手段として用いることができる。本発明の核酸ならびにアンタゴニストを含んでなる組成物は、上記の目的のいずれかのために用いることができる。
【0035】
本発明の核酸はさらに、薬剤設計の出発材料として用いることができる。基本的に、2つの可能な方法がある。1つの方法は化合物ライブラリーのスクリーニングであり、一方、そのような化合物ライブラリーは、好ましくは低分子量化合物ライブラリーである。そのようなライブラリーは、当業者に既知である。あるいはまた、本発明の核酸は、薬剤の合理的設計に用いることができる。
【0036】
薬剤の合理的設計は、本発明の核酸のいずれかから開始することができ、そして本発明の核酸の構造と同様であるかもしくは本発明の核酸の構造の結合媒介部分と同一である構造、好ましくは3次元構造を含む。いずれの場合でもそのような構造は、本発明の核酸と同じもしくは同様の結合特性を依然として示す。薬剤の合理的設計におけるさらなる段階においてもしくは代替段階として、神経伝達物質に結合する核酸の部分の好ましくは3次元構造は、ヌクレオチドおよび核酸と異なる化学基で模倣される。この模倣により核酸と異なる化合物を設計することができる。そのような化合物は、好ましくは小分子もしくはペプチドである。
【0037】
当業者に既知である競合アッセイを用いることによるような、化合物ライブラリーのスクリーニングの場合、適切なグレリンアナログ、グレリンアゴニストもしくはグレリンアンタゴニストを見出すことができる。そのような競合アッセイは、下記のように設定することができる。本発明の核酸、好ましくは標的に結合するL−核酸であるシュピーゲルマー(spiegelmer)を固相に連結する。グレリンアナログを同定するために、標識したグレリンをアッセイに加えることができる。潜在的アナログは、シュピーゲルマーに結合するグレリン分子と競合し、それはそれぞれの標識により得られるシグナルの減少に同調する。アゴニストもしくはアンタゴニストのスクリーニングは、当業者に既知であるような細胞培養アッセイの使用を含むことができる。
【0038】
本発明のキットは、本発明の核酸の少なくとも1つもしくはいくつかを含んでなることができる。さらに、該キットは、少なくとも1つもしくはいくつかの陽性もしくは陰性コントロールを含んでなることができる。陽性コントロールは、例えばグレリン、好ましく
は液状で、特にそれに対して本発明の核酸が選択されるかもしくはそれに結合するものであることができる。陰性コントロールは、例えば、グレリンと同様の生物物理学的性質に関して定義されるが、本発明の核酸により認識されないペプチドであることができる。さらに、該キットは、1つもしくはいくつかのバッファーを含んでなることができる。様々な成分は、乾燥もしくは凍結乾燥形態でキットに含有されるかまたは液体に溶解されることができる。キットは1つもしくはいくつかの容器を含んでなることができ、それらはまたキットの1つもしくはいくつかの成分を含有することができる。
【0039】
それぞれ、実施例および図面に開示される配列のいずれも、そのようなものとして開示され、そして任意のそのような配列を本発明の任意の態様および実施形態において使用することができると理解されるべきである。
【0040】
本発明は、図面、実施例および配列表によりさらに説明され、それらからさらなる特徴、実施形態および利点を理解することができる。
【0041】
以下の表は、配列番号を本明細書に記述される様々なクローンおよび識別名にそれぞれ結び付ける。逆の形で示されない場合、核酸配列は(+)鎖として表され、そして2’OH−リボヌクイレオチドにより構築される。
【0042】
【表1】

【実施例】
【0043】
実施例1 グレリンに結合する核酸リガンド
欧州特許出願EP 020 23 627.8および国際特許出願PCT/EP03/08542にグレリンに結合する核酸リガンドの作製は記述されている。選択プロセスにおいて得られる、そのような核酸リガンドの1つの群を図1Aに示す。クローンL−NOX−B11は、この群における最も豊富な配列であり、そして該群の他のメンバー全てのように、長いバージョンおよび欠失バージョン(L−NOX−B11[86]およびL−NOX−B11[47])において機能性である。欠失クローンの伸長のために、示すコア配列に5’−隣接配列および3’−隣接配列を付加することができる。
5’−隣接 5’−GGAGCUCAGACUUCACU−3’ 配列番号20
3’−隣接 5’−UACCACUGUCGGUUCCAC−3’ 配列番号21
図1Aに欠失バージョンのみを要約し、そして本特許出願では、これらの欠失クローンに関する結果を提示するだけである。しかしながら、本明細書に開示されるL−NOX−B11[47]の特性はまた、全ての欠失配列の全ての伸長バージョンにも関する。
【0044】
L−NOX−B11群における個々のクローンは非常に保存されており、そして長い範囲の配列同一性を示す。以下の共通配列は、図1Aに示すクローンから得られることができる:
CGUGYGN(0〜3)AGGYAN(0〜14)AAAACN(1〜3)UAARWCCGAAGGUAACCAWUCCUACN(0〜2)ACG(配列番号1)
(式中、YはUもしくはCを表し、RはAもしくはGを表し、WはUもしくはAを表す)。
【0045】
示すように、ヌクレオチド置換は数箇所においてのみ見られる。さらに、配列挿入が存在する、4つの特定の領域があり;これらの挿入部位はIns1〜Ins4と呼ばれ、そして配列番号1における文字「N(x〜y)」に対応する。これらの位置で任意の数の、好ましくは配列番号1の括弧中に示す数の任意のヌクレオチドが挿入されることができる。挿入部位2において、挿入される好ましいヌクレオチドはアデノシン残基である。
【0046】
L−NOX−B11の配列は、基底ステム、内部ループおよび末端ステムループ構造を含んでなる、図1Bに示す特徴的な二次構造にフォールディングする。該群内の全ての配列の詳細な分析により、配列の挿入部位は主に内部ループ(Ins2)の領域に該当することが示される。末端ステムループならびに基底ステムはいつも同一であり、そしてグレリンに結合する分子のこのファミリーおよびそれらの特定の特性に非常に特徴的であるように思われる。図1Bに示す二次構造を破壊しないかもしくはほんのわずかしか破壊しない、当業者に明らかな、いくつかの配列置換は、核酸の特定の機能、すなわち、生物活性グレリンを生物不活性のものから識別することの損失なしに、実施できることを記載する必要がある。欧州特許出願EP 020 23 627.8および国際特許出願PCT/EP03/08542に開示されるいくつかの選択において、これらの種類の改変配列は見出された。L−NOX−B11に記述されている特徴は、配列および構造に関して十分に保存されている配列に移しかえることができる。
【0047】
実施例2 グレリンに誘発されるカルシウム放出を分析する方法
グレリンに結合するシュピーゲルマーの機能的特性化は、グレリンとヒト成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS−R)との相互作用をモニターする細胞アッセイ系において行われる。受容体−リガンド相互作用に起因する細胞内カルシウム放出は、蛍光カルシウム指示薬を用いて視覚化される。
【0048】
ヒトグレリン受容体(GHS−R1a)を発現する安定なトランスフェクションされたCHO細胞(Euroscreen,Gosselies,Belgiumから入手)を透明な底を有するブラック96ウェルプレート(Greiner)にウェル当たり5〜7x10個の細胞で接種し、そして100ユニット/mlのペニシリン、100μg/m
lのストレプトマイシン、400μg/mlのジェネティシンおよび2.5μg/mlのファンギゾンをさらに含有するUltraCHO培地(Cambrex)において37℃および5% COで一晩培養する。
【0049】
カルシウム指示薬色素fluo−4を負荷する前に、細胞を200μlのCHO−U+(UltraCHO培地中5mMのプロベネシド、20mMのHEPES)で1回洗浄する。次に、50μlの指示薬色素溶液(CHO−U+中10μMのfluo−4(Molecular Probes)、0.08%のpluronic 127(Molecular Probes))を加え、そして細胞を37℃で60分間インキュベーションする。その後で細胞を180μlのCHO−U+で3回洗浄する。最後にウェル当たり90μlのCHO−U+を加える。
【0050】
刺激アッセイにおいて、オクタノイル型もしくはデスオクタノイル型のいずれかの、ヒトもしくはラットL−グレリンの全長もしくは欠失バージョンを示すように用いる[L−グレリンおよびデスオクタノイル−L−グレリンは、Bachem(Basel,Switzerland)から入手し、そしてL−グレリン(1−5)、L−グレリン(1−10)およびデスオクタノイル−L−グレリン(1−5)は、Phoenix Pharmaceruticals(Belmont,CA)からであった]。
【0051】
それぞれのペプチドを0.2mlの薄型96チューブプレートにおいて室温で15〜60分間CHO−U+中でインキュベーションする。これらの刺激溶液において、ペプチドはアッセイと比較して10倍濃縮される。カルシウム放出の検出のために、刺激溶液を細胞に加え(10μl/ウェル)、そして蛍光シグナルの変化をモニターする。蛍光シグナルの測定は、Fluostar Optimaマルチディテクションプレートリーダー(BMG)において485nmの励起波長および520nmの発光波長で行われる。
【0052】
いくつかのサンプルの平行測定では、96ウェルプレートの1(垂直)列のウェルを一緒に記録する。4秒の時間差を有する最初の3回の読み取りは、ベースラインの決定のために行われる。次に記録を中断し、そしてプレートを装置から取り出す。マルチチャンネルピペットを用いて、10μlの刺激溶液をウェルに加え、次にプレートを再び装置に入れ、そして測定を続ける。4秒の時間間隔で全部で20回の記録を行う。
【0053】
各ウェルについて最大蛍光とベースライン値との差(Fmax−Fmin)を決定し、そしてグレリン濃度に対してプロットする。図2に、ヒトオクタノイル−およびデスオクタノイル−グレリン(全長および欠失ペプチド)の用量反応曲線を示す。全長および欠失オクタノイル−グレリンは、両方とも、しかしながら異なる程度に、カルシウム放出を誘発し:全長オクタノイル−グレリンは30nMの濃度で最大活性を示し、一方、オクタノイル−グレリン1−5のみはさらに高いペプチド濃度で刺激し、そして観察される濃度範囲で最大シグナル強度に到達しないことが判明する。両方のペプチドのデスオクタノイル型は、アッセイにおいて分析するあらゆる濃度でヒトグレリン受容体を刺激しない。この実験は、グレリンの5個のN末端アミノ酸がヒトグレリン受容体の刺激に十分であること、およびオクタノイル基がグレリンの生物活性に必須であることを裏付ける。
【0054】
実施例3 グレリンに結合するシュピーゲルマーによるグレリン誘発性カルシウム放出の阻害
グレリンに誘発されるカルシウム放出の阻害を実施例2に記述する細胞アッセイを用いて測定した。方法の改変として、阻害アッセイにおける刺激溶液に様々な量のシュピーゲルマーL−NOX−B11を補足した。コントロールとして、ペプチドのみを有するサンプル(最大カルシウム放出)およびペプチドなしのサンプル(最小カルシウム放出)を分析した。室温で15〜60分間のインキュベーション後に、10μlの刺激溶液を細胞に
加え、5nMのペプチド最終濃度をもたらした。通常、0.1nM、1nM、3nM、10nM、30nMおよび100nMのシュピーゲルマー最終濃度を選択した。
【0055】
各ウェルについて最大蛍光とベースライン値との差(Fmax−Fmin)を決定する。100%の活性(阻害なし)および0%の活性(完全な阻害)の値は、コントロールサンプル(「ペプチドのみ」および「ペプチドなし」のサンプル)から得ることができる。全ての他のサンプルでは、対応する活性を「パーセント」単位で計算し、そしてシュピーゲルマー濃度に対してプロットし(阻害曲線)、最大の半分の(half−maximal)阻害定数(IC50)の決定を可能にする。
【0056】
図3は、オクタノイル−グレリンの全長および欠失型でL−NOX−B11の阻害活性を分析する、実験から得られる阻害曲線を示す。シュピーゲルマーは、試験するオクタノイル−グレリンの全ての型:全長ペプチド、グレリン1−10およびグレリン1−5の活性を阻害することが判明する。IC50値は、全ての3種のペプチドで有意な偏差を示さない(全長グレリン:7nM、グレリン1−10:9nM、グレリン1−5:5nM)。シュピーゲルマーの結合領域は、アミノ酸1〜5を含んでなる、グレリンのN末端に位置すると結論付けることができる。この最小モチーフへのL−NOX−B11の結合は、細胞アッセイにおけるグレリン生物活性の効率のよい阻害をもたらす。
【0057】
実施例4 グレリンに結合するシュピーゲルマーによるオクタノイル−グレリンおよびデスオクタノイル−グレリンの識別
グレリンへのシュピーゲルマーL−NOX−B11の結合の特性を実施例3に記述する方法に基づいて競合アッセイにおいてさらに分析した。これらのアッセイでは、シュピーゲルマーを細胞の刺激の前に刺激溶液においてグレリンペプチドの異なる組み合わせとインキュベーションした。
【0058】
ペプチドの組み合わせのスキームおよび全長グレリンでの実験の結果を図4に要約する(棒は左から右に番号が付けられる):グレリンなしに、もしくは300nMの最終濃度のデスオクタノイル−グレリンで、細胞の刺激を検出することはできず(棒1および2)、一方、10nMの濃度のオクタノイル−グレリンはすでにカルシウム放出を媒介するのに十分であり(棒3);300nMのデスオクタノイル−グレリンのさらなる添加(棒4)は細胞刺激を妨げず、生物学的に不活性のデスオクタノイル−グレリンは受容体アンタゴニストではないことを示す。10nMのオクタノイル−グレリンにより媒介されるカルシウム放出は、3倍過剰のL−NOX−B11により阻害することができ(棒5)、そしてオクタノイル−グレリンより30倍過剰(300nM)のデスオクタノイル−グレリンの存在でさえ阻害に競合しない(棒6)。対照的に、300nMのオクタノイル−グレリンおよび30nMのシュピーゲルマーのアッセイ濃度は、増加したカルシウム放出を示し(棒7)、アッセイ条件下でオクタノイル−グレリンでの刺激増強を達成できるという証拠を与える。この実験は、L−NOX−B11が、オクタノイル型およびデスオクタノイル型のグレリンを特異的に識別することを示す。
【0059】
実験を全長ペプチドの代わりにグレリン1−5で繰り返し、同じ結果が示された(図5)。しかしながら、グレリン1−5のより弱い刺激活性に応じて、シグナルは比較上低い。
【0060】
実施例5 オクタノイル−グレリンへのL−NOX−B11の結合の必要条件
オクタノイル−グレリン上のL−NOX−B11の結合部位は、ペプチドのN末端に位置し(実施例3を比較)、そしてオクタノイル基を含む(実施例4を比較)。結合事象のための両方の成分、ペプチドおよび脂肪酸基の重要性および関与を以下の実験において示す。
【0061】
この実験の論理的根拠は、シュピーゲルマーがエナンチオ特異的にそれらの標的ペプチドに結合し、そしてオクタノイル基自体がアキラル基であることである。グレリンの脂肪酸部分だけでシュピーゲルマーを結合するのに十分である場合、結合事象はペプチド部分に関してエナンチオ選択的ではなく;その場合、D−NOX−B11およびL−NOX−B11は、同様にD−オクタノイル−グレリンに結合するはずである。
【0062】
NOX−B11をL−およびD−RNAとして化学的に合成し、そしてT4−ポリヌクレオチドキナーゼ(Invitrogen,Karlsruhe)を用いてγ−32[P]−ATP(Hartmann Analytic,Braunschweig)で放射性標識した。RNAを10%変性ポリアクリルアミドゲル上で精製し、そして0.5〜5pmolのRNAを5μMのビオチニル化D−グレリンと結合バッファー[20mM Tris/HCl、pH7.4;150mM NaCl;5mM KCl;1mM MgCl;1mM CaCl;0.1% Tween−20]において37℃で2hインキュベーションした。弱いシュピーゲルマー相互作用でもモニタリングを可能にするために比較的高いペプチド濃度を選択した。次に、一定量のストレプトアビジン結合UltraLinkマトリックスを加えた。マトリックスに結合したグレリン−RNA複合体を結合バッファーで洗浄し、シンチレーションカウンター(Beckman LS6500)において計数し、そしてD−グレリンへの全結合のパーセンテージとしてプロットした。各実験群を三重反復で分析した。実験の結果を図6に示す。
【0063】
D−NOX−B11はD−オクタノイル−グレリンに特異的に結合し(棒1および2)、一方、対応するL−鏡像異性体は機能しない(棒3および4)ことが判明した。この結果は、オクタノイル残基が主に疎水性基として働き、シュピーゲルマーL−NOX−B11が効率よく結合する構造でL−オクタノイル−グレリンのN末端のGSSFLモチーフを提示することを示す。L−オクタノイル−グレリンのペプチドおよびオクタノイル部分は、両方とも、L−NOX−B11を結合するために必要である。
【0064】
本明細書、請求項および/もしくは図面に開示される本発明の特徴は、別個にそしてその任意の組み合わせの両方で本発明をその様々な形態で実現するための材料であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1A】5’−隣接 5’−GGAGCUCAGACUUCACU−3’(配列番号20)および3’−隣接 5’−UACCACUGUCGGUUCCAC−3’(配列番号21)によりあるいは伸長されることができる、L−NOX−B11群のメンバー、それらの名称、それらが選択された頻度およびそれらの欠失配列を示し、そして挿入部位Ins1〜Ins4を示す。
【図1B】欠失クローンL−NOX−B11の二次構造モデルを示し、そして基底ステム、内部ループの5’−および3’−部分(IL Ia、IL Ib)、ならびに末端ステムループの領域を示す。
【図2】ヒトグレリン受容体を発現するCHO細胞を用いる細胞アッセイにおける全長もしくは欠失型のオクタノイル−もしくはデスオクタノイル−グレリンにより媒介される用量依存的カルシウム放出を示す(用量反応滴定)。
【図3】シュピーゲルマーL−NOX−B11による全長および欠失オクタノイル−グレリンにより媒介されるカルシウム放出の阻害を示す(阻害曲線)。
【図4】棒の下に要約する成分の組み合わせおよび濃度を有する、オクタノイル−グレリン、デスオクタノイル−グレリンおよびL−NOX−B11での細胞競合アッセイの結果を示す。
【図5】棒の下に要約する成分の組み合わせおよび濃度を有する、オクタノイル−グレリン(1−5)、デスオクタノイル−グレリン(1−5)およびL−NOX−B11での細胞競合アッセイの結果を示す。
【図6】ビオチニル化したD−オクタノイル−グレリンへの放射性標識したD−NOX−B11およびL−NOX−B11の結合を分析する、インビトロ結合アッセイの結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性グレリンに結合する核酸。
【請求項2】
生物活性グレリンに特異的に結合する核酸。
【請求項3】
核酸が生物活性グレリンに特異的に結合しない請求項1に記載の核酸。
【請求項4】
特異的結合がKd値として表され、核酸のKdが10pM〜1μM、より好ましくは100pM〜500nM、そして最も好ましくは1nM〜100nMである請求項2もしくは3に記載の核酸。
【請求項5】
生物活性グレリンがn−オクタノイルグレリンである請求項1〜4のいずれかに記載の核酸
【請求項6】
n−オクタノイルグレリンのn−オクタノイル部分が、グレリンの位置3のSerにエステル結合を介して結合している請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
核酸がL−核酸、好ましくはシュピーゲルマー(spiegelmer)である請求項1〜6のいずれかに記載の核酸。
【請求項8】
核酸がデオキシリボ核酸、リボ核酸およびその混合物を含んでなる群から選択される請求項1〜7のいずれかに記載の核酸。
【請求項9】
核酸が図1Bに示す二次構造を有する請求項1〜8のいずれかに記載の核酸。
【請求項10】
核酸が図1Bに示す二次構造の内部ループ構造において可変である請求項1〜9のいずれかに記載の核酸。
【請求項11】
核酸が配列番号1に記載の配列を含んでなり、好ましくはそれからなる請求項1〜10のいずれかに記載の核酸。
【請求項12】
核酸が配列番号2〜配列番号15に記載の配列を含んでなり、好ましくはそれからなる請求項1〜11のいずれかに記載の核酸。
【請求項13】
生物活性グレリンの結合のための前記請求項のいずれかに記載の核酸の使用。
【請求項14】
結合が、10pM〜1μM、より好ましくは100pM〜500nM、そして最も好ましくは1nM〜100nMの範囲内の核酸のKdで生物活性グレリンに選択的である請求項13に記載の使用。
【請求項15】
結合が、生物活性グレリンより1000倍過剰の生物不活性グレリンの存在下で、より好ましくは生物活性グレリンより100倍過剰の生物不活性グレリンの存在下で、そして最も好ましくは生物活性グレリンより10倍過剰の生物不活性グレリンの存在下で生物活性グレリンと異なるグレリンの結合を除く請求項13もしくは14に記載の使用。
【請求項16】
生物活性グレリンがn−オクタノイルグレリンである請求項13〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
結合がインビボもしくはインビトロ結合である請求項13〜16のいずれかに記載の使
用。
【請求項18】
生物活性グレリンの検出のための請求項1〜12のいずれかに記載の核酸の使用。
【請求項19】
生物活性グレリンが特異的に検出される請求項18に記載の使用。
【請求項20】
非生物活性グレリンが核酸により検出されず、好ましくは核酸により特異的に検出されない請求項18もしくは19に記載の使用。
【請求項21】
生物活性グレリンおよび/もしくは非生物活性グレリンがインビボおよび/もしくはインビトロで検出される請求項18〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
生物活性グレリンの阻害のための請求項1〜12のいずれかに記載の核酸の使用。
【請求項23】
生物活性グレリンが特異的に阻害される請求項22に記載の使用。
【請求項24】
非生物活性グレリンが核酸により阻害されず、好ましくは核酸により特異的に阻害されない請求項23に記載の使用。
【請求項25】
生物活性グレリンがn−オクタノイルグレリンである請求項22〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
阻害がインビトロおよび/もしくはインビボ阻害である請求項22〜25のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
薬剤の製造のための請求項1〜12のいずれかに記載の核酸の使用。
【請求項28】
薬剤が疾患および/もしくは障害の処置および/もしくは予防のためのものである請求項27に記載の使用。
【請求項29】
疾患および/もしくは障害が肥満症、エネルギーバランス、食欲、体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍、血圧および心臓血管疾患を含んでなる群から選択される請求項28に記載の使用。
【請求項30】
疾患および/もしくは障害が生物活性グレリンにより仲介される請求項28もしくは29に記載の使用。
【請求項31】
以下の段階:
(a)生物活性グレリンの存在について試験されるべきサンプルを準備する段階、
(b)請求項1〜12のいずれかに記載の核酸を準備する段階、
(c)サンプルを核酸と反応させる段階
ここで、段階(a)は段階(b)の前に行うことができ、または段階(b)は段階(a)の前に行うことができる、
を含んでなる生物活性グレリンの検出方法。
【請求項32】
さらなる段階(d):
(d)核酸とサンプルとの反応を検出する段階
が設けられる請求項31に記載の方法。
【請求項33】
段階(b)の核酸が表面に固定される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
核酸が表面と核酸との間の共有化学結合によって表面に固定される請求項33に記載の方法。
【請求項35】
核酸が核酸の相互作用パートナーにより表面に固定される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
相互作用パートナーが核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体を含んでなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
相互作用パートナーが抗体、好ましくはモノクローナル抗体であり、ここで、抗体が請求項1〜12のいずれかに記載の核酸に結合している請求項36に記載の方法。
【請求項38】
相互作用パートナーが核酸、好ましくは機能性核酸である請求項36に記載の方法。
【請求項39】
機能性核酸がアプタマー、シュピーゲルマー、および核酸に少なくとも部分的に相補的である核酸を含んでなる群から選択される請求項38に記載の方法。
【請求項40】
核酸が1対の相互作用パートナーの第一のメンバーを含んでなり、そして表面が相互作用パートナーの対の第二のメンバーを含んでなる請求項33に記載の方法。
【請求項41】
相互作用パートナーの対がビオチンとアビジン、ビオチンとストレプトアビジン、およびビオチンとニュートラアビジンを含んでなる相互作用パートナーの群から選択される請求項40に記載の方法。
【請求項42】
相互作用パートナーの対の第一のメンバーがビオチンである請求項41に記載の方法。
【請求項43】
生物活性グレリンおよび核酸の固定化複合体が形成される請求項33〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
該複合体が検出される請求項43に記載の方法。
【請求項45】
生物活性グレリンが検出される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
生物活性グレリンが、生物活性グレリンに特異的である検出手段により検出される請求項45に記載の方法。
【請求項47】
生物活性グレリンが、生物活性グレリンおよび非生物活性グレリンの両方を検出する検出手段により検出される請求項46に記載の方法。
【請求項48】
検出手段が核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体を含んでなる群から選択される請求項44〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
複合体形成後にサンプルが反応容器から取り除かれる請求項44〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
生物活性および/もしくは非生物活性グレリンの相互作用パートナーが表面上に固定される請求項32に記載の方法。
【請求項51】
相互作用パートナーが核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体を含んでなる群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項52】
相互作用パートナーが生物活性グレリンおよび/もしくは非生物活性グレリンに結合することができる請求項51に記載の方法。
【請求項53】
相互作用パートナーが抗体、好ましくはモノクローナル抗体である請求項51もしくは52に記載の方法。
【請求項54】
相互作用パートナーが機能性核酸である請求項51もしくは52に記載の方法。
【請求項55】
機能性核酸がアプタマーおよびシュピーゲルマーを含んでなる群から選択される請求項54に記載の方法。
【請求項56】
相互作用パートナーが生物活性および/もしくは非生物活性グレリンと複合体を形成する請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
生物活性グレリンが検出手段により検出される請求項50〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
検出手段が請求項1〜12のいずれかに記載の核酸である請求項57に記載の方法。
【請求項59】
核酸が第二の検出手段を用いて検出される請求項58に記載の方法。
【請求項60】
第二の検出手段が核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体を含んでなる群から選択される請求項59に記載の方法。
【請求項61】
第二の検出手段が抗体であり、ここで、好ましくは抗体が核酸に特異的である請求項60に記載の方法。
【請求項62】
第二の検出手段が核酸、好ましくは分子ビーコンである請求項60に記載の方法。
【請求項63】
核酸が検出標識を含んでなる請求項60に記載の方法。
【請求項64】
検出標識がビオチン、ブロモ−デソキシウリジン標識、ジゴキシゲニン標識、蛍光標識、UV標識、放射性標識およびキレート剤分子を含んでなる群から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項65】
第二の検出手段が検出標識と相互作用する請求項63に記載の方法。
【請求項66】
検出標識がビオチンであり、そして第二の検出手段がビオチンに対する抗体であるか、または
検出標識がビオチンであり、そして第二の検出手段がアビジンもしくはアビジン保有分子であるか、または
検出標識がビオチンであり、そして第二の検出手段がストレプトアビジンもしくはストレプトアビジン保有分子であるか、または
検出標識がビオチンであり、そして第二の検出手段がニュートラアビジンもしくはニュートラアビジン保有分子であるか、または
検出標識がブロモ−デソキシウリジンであり、そして第二の検出手段がブロモ−デソキシウリジンに対する抗体であるか、または
検出標識がジゴキシゲニンであり、そして第二の検出手段がジゴキシゲニンに対する抗体であるか、または
検出標識がキレート剤であり、そして第二の検出手段が放射性核種である
請求項65に記載の方法。
【請求項67】
第二の検出手段が第三の検出手段を用いて検出され、好ましくは第三の検出手段が酵素であり、より好ましくは第二の検出手段の検出の際に酵素反応を示し、または第三の検出手段が放射線、より好ましくは放射性核種により発せられる放射線を検出する手段である請求項50〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
複合体形成後にサンプルが容器から、より好ましくは段階(c)および/もしくは段階(d)が行われる反応容器から取り除かれる請求項56〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
請求項1〜12のいずれかに記載の核酸が蛍光部分を含んでなり、そしてここで、蛍光部分の蛍光が、核酸と生物活性グレリンおよび遊離の生物活性グレリンとの間の複合体形成の際に異なる請求項32に記載の方法。
【請求項70】
核酸が請求項1〜12のいずれかに記載の核酸の誘導体であり、ここで、核酸の誘導体がアデノシンを置換するアデノシンの少なくとも1つの蛍光性誘導体を含んでなる請求項32および69に記載の方法。
【請求項71】
アデノシンの蛍光性誘導体がエテノアデノシンである請求項70に記載の方法。
【請求項72】
請求項1〜12のいずれかに記載の核酸の誘導体および生物活性グレリンからなる複合体が蛍光を用いて検出される請求項69〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
生物活性グレリンがn−オクタノイルグレリンである請求項31〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
非生物活性グレリンが、n−オクタノイルグレリンと異なるグレリンである請求項31〜73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
シグナルが段階(c)もしくは段階(d)において作り出され、そして好ましくはシグナルがサンプル中の生物活性グレリンの濃度と相関性がある請求項31〜74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
サンプルが血液、血漿、血清、液体および組織を含んでなる群から選択される請求項31〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
方法が診断方法もしくは予測方法である請求項31〜76のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
方法が疾患および/もしくは障害を診断すること、病期分類すること、および/もしくは予測することのためであり、ここで好ましくは該疾患および/もしくは障害が肥満症、エネルギーバランス、食欲、体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍、血圧および心臓血管疾患を含んでなる群から選択される請求項77に記載の方法。

【図1A】
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【図4】
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【図5】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−513608(P2007−513608A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538786(P2006−538786)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012739
【国際公開番号】WO2005/049828
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504411214)ノクソン・フアルマ・アクチエンゲゼルシヤフト (8)
【Fターム(参考)】