説明

生産工場内における物品位置検出システム

【課題】 生産工場内に散在する中間製品等が保管されている場所を迅速に検索することができる生産工場内における物品位置検出システムを提供すること。
【解決手段】 物品を搭載した各搬送体Cには、搭載物を表示したリストアップシート5をそれぞれ配備し、かつ、このリストアップシート5には、搭載物のリストデータをメモリするとともに、このリストデータを電波により発信可能なタグ1を装着する一方、
室内の所定位置には、通信装置2を固定し、装置座標Pを付与する一方、回転角センサ23がなす基準軸との位相を回転水平角度φとし、かつ、当該通信装置2と床面との直線距離を基準距離dとして、これら装置座標P、回転水平角度φおよび基準距離dに基づいて検索物品Aの位置座標Qを演算手段3により算出するとともに、
この位置座標Qに該当する位置を、検索物品Aの存在位置として表示手段4にマップ表示可能にするという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工場内における物品管理技術の改良、更に詳しくは、生産工場内に散在する中間製品等が保管されている場所を迅速に検索することができる生産工場内における物品位置検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、生産工場における生産形態、例えば、繊維産業における染色や整理業においては、工程間で中間製品を一時保管し、適宜加工機の加工条件を変更して、該当する中間製品を投入・加工しており、異なる加工工程にも対応可能な大型設備を多用し、10数工程にもわたる加工が必要な場合も多い。
【0003】
また、小ロット多品種化の傾向に伴い、加工単位も、20m〜1000mと広範囲にわたる。このような状況のもと、染色工場の現場では、中間製品を台車に一旦搭載し、次工程の加工設備の周辺エリアに保管する運用方法が一般的である。
【0004】
そして、作業員は各工程の加工計画に基づき、該当する設備を使用する加工順待ちの中間製品を保管エリアから探し出し、順次加工していく。しかし、保管エリアの制約と小ロット化により1台の台車に複数の中間製品が搭載されていたり、他のエリアに保管されていたりするケースも発生する。
【0005】
したがって、該当する中間製品を探し出すために多くの時間を要したり、場合によっては探し出せず、加工を後回しにせざるを得ないケースが発生し、結果的に納期遅れや不要な滞溜時間に起因する品質不良を引き起こすという問題があった。
【0006】
従来、台車の位置検出の手法としては、台車に識別可能なバーコードやICタグを取り付け、保管エリア出入り口に読み取り機器(ゲート)を設置し、そこを通過した時点で当該台車のバーコードやICタグを読み取ることにより、当該エリアへの入庫および出庫を認識させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、かかる場合にあっては、作業員は台車を必ず所定のゲートに通過させなければならず、工場内での運搬作業に制約を強いることになる。また、保管範囲の絞り込みを細かくするためには、許容範囲単位にゲートを設置する必要があり、設備費の増大を招くという不満がある。
【0008】
また、衛星を用いるGPS(Global-Positioning-System)に代表されるように、電波発信機能を有する機器を各台車に具備し、信号伝搬遅延差を利用して位置を特定する手法も考えられるが、工場内では伝搬遅延差がごく僅かであることおよび多重反射波の存在により、高精度な位置特定は困難である。更に、各台車に機器を具備して工場内で使用するには設備費およびランニングコストの増大を招き、現実的でない。
【0009】
なお、上記いずれの場合であっても、台車単位に固有の個体番号を付与した場合には、染色工場などのように、各工程の前後で台車の積み替えが発生すると、その都度、該当台車を搭載製品との対応づけ(台車の個体番号に対して搭載されている製品のコードの登録)が必要不可欠となって運用が煩雑となり、誤って登録ミスや登録忘れが発生した場合には位置検出が不可能となるという問題がある。
【特許文献1】特開2003−312855号公報(第4−5頁、図1−6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の生産工場における物品位置の管理手法に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、生産工場内に散在する中間製品等が保管されている場所を迅速に検索することができる生産工場内における物品位置検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0012】
即ち、本発明は、生産工場等の室内に存在する物品の位置を検出するためのシステムであって、
物品を搭載した各搬送体Cには、搭載物を表示したリストアップシート5がそれぞれ配備され、かつ、このリストアップシート5には、搭載物のリストデータがメモリされているとともに、このリストデータを電波により発信可能なタグ1が装着されている一方、
室内の所定位置には、通信装置2が固定されており、この通信装置2には、所定範囲の指向特性を有し、前記タグ1から発信された電波を受信可能なアンテナ21と、このアンテナ21を回転せしめる回転駆動機構22と、回転角度を検出可能な回転角センサ23とが具備されており、
前記通信装置2の固定位置には、装置座標Pが付与されている一方、
検索物品Aを搭載した搬送体Cに配備されたリストアップシート5に装着された前記タグ1の存在を前記通信装置2のアンテナ21が検知したときにおける、回転角センサ23がなす基準軸との位相を回転水平角度φとし、かつ、当該通信装置2と床面との直線距離を基準距離dとして、
前記装置座標P、回転水平角度φおよび基準距離dに基づいて検索物品Aの位置座標Qを演算手段3により算出するとともに、
この位置座標Qに該当する位置を、検索物品Aの存在位置として表示手段4にマップ表示可能であるように構成するという技術的手段を採用したことによって、生産工場内における物品位置検出システムを完成させた。
【0013】
また、本発明は、物品を搭載した各搬送体Cには、搭載物を表示したリストアップシート5がそれぞれ配備され、かつ、このリストアップシート5には、搭載物のリストデータがメモリされているとともに、このリストデータを電波により発信可能なタグ1が装着されている一方、
室内の所定位置には、複数の通信装置2・2…が固定されており、これら各通信装置2には、所定範囲の指向特性を有し、前記タグ1から発信された電波を受信可能なアンテナ21と、このアンテナ21を回転せしめる回転駆動機構22と、回転角度を検出可能な回転角センサ23とが具備されており、
これらの通信装置2・2…の固定位置には、それぞれ装置座標P・P…が付与されている一方、
検索物品Aを搭載した搬送体Cに配備されたリストアップシート5に装着された前記タグ1の存在を前記通信装置2・2…の各アンテナ21が検知したときにおける、各回転角センサ23がなす基準軸との位相をそれぞれ回転水平角度φ・φ…とし、かつ、当該通信装置2・2…の装置間距離を基準距離d′として、
前記装置座標P・P…、回転水平角度φ・φ…および基準距離d′に基づいて検索物品Aの位置座標Qを演算手段3により算出するとともに、
この位置座標Qに該当する位置を、検索物品Aの存在位置として表示手段4にマップ表示可能であるように構成するという技術的手段を採用したことによっても、生産工場内における物品位置検出システムを完成させることができる。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、タグ1を通信装置2のアンテナ21から発信される電波により起電し、個体認識番号を発信可能なパッシブ型にするという技術的手段を採用することができる。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、タグ1を、印字可能なリストアップシート5と一体化し、このリストアップシート5に印字された特定のコードと前記タグ1の個体認識番号とが一義的に対応し、当該リストアップシート5に印字された特定のコードを指定することにより、タグ1の個体認識番号に自動的に変換する機能を持たせるという技術的手段を採用することもできる。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、リストアップシート5をタグ1と一体化して、かつ、リライタブルに印字可能なものにするという技術的手段を採用することができる。
【0017】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、通信装置2のアンテナ21が、回転駆動機構22により上下方向に移動可能であって、俯角および仰角を測定可能なものにするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物品を搭載した各搬送体には、搭載物を表示したリストアップシートがそれぞれ配備し、かつ、このリストアップシートには、搭載物のリストデータをメモリするとともに、このリストデータを電波により発信可能なタグを装着する一方、室内の所定位置には、通信装置を固定し、装置座標、回転水平角度および基準距離に基づいて検索物品の位置座標を演算手段により算出することにより、この位置座標に該当する位置を、検索物品の存在位置として表示手段にマップ表示することができる。
【0019】
したがって、本発明のシステムを運用することにより、生産工場内に散在する中間製品等が保管されている場所を迅速に検索することができ、台車を探す所要時間を短縮することができる。
【0020】
また、台車を発見できずに加工が見送られることにより発生する品質不良や納期遅れを回避することもできることから、実用的利用価値は頗る高いものがあると云える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0022】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図3に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはタグであり、このタグ1は、データを電波(例えば、UHF帯電波)により発信可能であり、本実施形態では、後述の通信装置2のアンテナ21から発信される電波によって起電し、個体認識番号を発信可能なパッシブ型のRFタグ(交信最大距離約5m)を採用する。
【0023】
また、符号2で指示するものは通信装置であり、この通信装置2には、所定範囲の指向特性を有し、前記タグ1から発信された電波を受信可能なアンテナ21と、このアンテナ21を回転せしめる回転駆動機構22と、回転角度を検出可能な回転角センサ23とが具備されている。本実施形態では、アンテナ21から検索信号を発信することも可能であり、また、前記回転駆動機構22により、水平方向にも回転可能であるものを採用する。
【0024】
更にまた、符号3で指示するものは演算手段であり、符号4で指示するものは表示手段であり、それぞれ公知のコンピュータおよびモニタを使用する。
【0025】
しかして、本発明は、生産工場等の室内に存在する物品の位置を検出するためのシステムであって、具体的構成を以下に説明する。
【0026】
まず、図1に示すように、物品を搭載した各搬送体Cには、搭載物を表示したリストアップシート5がそれぞれ配備され、かつ、このリストアップシート5には、搭載物のリストデータがメモリされているとともに、このリストデータを電波により発信可能な前記タグ1を装着する。
【0027】
そして、室内の所定位置(天井等の壁面や支柱上など)には、通信装置2を固定する。本実施形態では、室内の天井に当該通信装置2を固定することによって、室内全体を効果的にカバーすることができる。
【0028】
次に、本システムの具体的運用について以下に説明する。まず、前記通信装置2の固定位置には、装置座標Pを付与する。本実施形態では、この装置座標Pを(x,y)とする。
【0029】
また、検索物品Aを搭載した搬送体Cに配備されたリストアップシート5に装着した前記タグ1の存在を前記通信装置2のアンテナ21が検知したときにおける、回転角センサ23がなす基準軸との位相を回転水平角度φとする(図2参照)。なお、この検知方法は、例えば、通信装置2のアンテナ21から検索物品Aの個体番号についての検索信号を発信し、その信号に応答するタグ1の存在を判断するものである。
【0030】
そして、当該通信装置2と床面との鉛直方向の直線距離を基準距離dとする。即ち、この基準距離dは、天井から床面までの略一定距離となる。
【0031】
したがって、図3に示すように、回転角センサ23の回転水平角度φおよび基準距離dに基づいて、三角形の三平方の定理を用いることができる。なお、この際、アンテナ21の鉛直角度ψ(プサイ)は一定としても良いが、通信装置2のアンテナ21が、回転駆動機構22により上下方向にも移動可能であって、俯角および仰角を測定可能にしたものを採用し、かかる変動する鉛直角度ψの数値をも考慮すれば、より正確な位置を算出することができる。
【0032】
以上のように定めたこれらの数値、即ち、装置座標P、回転水平角度φおよび基準距離dに基づいて、三角形の三平方の定理を用いることにより、検索物品Aの位置座標Q(x,y)を演算手段3により算出することが可能である。
【0033】
このようにして求めた位置座標Q(x,y)に該当する位置を、検索物品Aの存在位置として表示手段4にマップ表示が可能であり、作業員は迅速に保管場所を知ることができる。
【0034】
また、本実施形態では、タグ1を、印字可能なリストアップシート5と一体化し、このリストアップシート5に印字された特定のコードと前記タグ1の個体認識番号とを一義的に対応させ、当該リストアップシート5に印字された特定のコードを指定することによって、タグ1の個体認識番号に自動的に変換する機能を持たせることができ、特定のコードによって管理することができるので、非常に便利である。
【0035】
更にまた、本実施形態では、リストアップシート5をタグ1と一体化し、かつ、リライタブルに印字可能であるものにすることができる。具体的には、ロイコ系染料、顕色剤などによるリライタブルペーパーを採用することができる。
【0036】
このように構成することにより、リライタブルペーパーは比較的高価なものではあるけれども、不要になったリストアップシート5に装着したタグ1は毎回廃棄されていたが、その必要がなくなり、かつ、耐用度を考慮すれば、長期的には、コスト削減を図ることができ、しかも、環境にも優しい。
【0037】
『第2実施形態』
本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明する。本実施形態では、複数の通信装置2を使用して検出できるようなシステムを構成した。なお、本実施形態に用いるタグ1、通信装置2などの仕様等の基本的構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0038】
第1実施形態と同様、室内の所定位置(天井等の壁面や支柱上など)に、複数の通信装置2・2…を固定する。ここで、本実施形態では、二つの通信装置2・2間においてタグ1を検索する場合について説明する。
【0039】
まず、これらの通信装置2・2の固定位置には、それぞれ装置座標P・Pを付与する。また、これら通信装置2・2の回転水平角度をそれぞれφ・φとし、かつ、当該通信装置2・2の装置間距離を基準距離d′とする。
【0040】
したがって、前記装置座標P・P、一定距離である基準距離d′の両端の回転水平角度φ・φに基づいて検索物品Aの位置座標Qを演算手段3により算出することができるのである。そして、第1実施形態と同様にして、この位置座標Qに該当する位置を、検索物品Aの存在位置として表示手段4にマップ表示が可能である。
【実施例】
【0041】
本発明のシステムを染色工場において運用した場合の実施例を以下に説明する。まず、製品加工単位(以下、「バッチ」という。)に管理コードとしてバッチ番号を有する「加工指示書」と称するフローシート(上記「リストアップシート」に相当)を発行する。ここで、加工指示書には、固有の個体認識番号を有するRFタグが貼付されており、加工指示書の印刷時にバッチナンバーとRFタグの個体認識番号を1対1に対応づけて社内サーバー機(以下、「進捗管理用コンピュータ」という。)に登録する。
【0042】
加工対象生地は、加工指示書とセットで台車に搭載して、各工程に送付され、順次加工される。各工程では、加工の終了もしくは開始、または両方の段階で、加工指示書に貼付されたRFタグもしくは加工指示書上に印字されているバッチナンバーと関連づけられたバーコードを読み込むことにより、工程の進捗を進捗管理用コンピュータに登録する。
【0043】
各工程では、加工計画に従い、該当するバッチが搭載されている台車を保管エリアから探し出し、加工機まで運搬する。ここで、加工対象生地は乾燥機、仕上機、染色機などの加工機の入り口において、前工程で搭載された台車から直接加工機に投入されるケースが大半であり、加工後は加工機の出口で別の台車に搭載される。そして加工後は加工対象生地と、これに該当する加工指示書を台車に搭載し、次工程用に別の保管エリアに移動させる。
【0044】
上記操作は最終検査工程まで順次繰り返され、最終検査が終了した時点で加工指示書は回収され、記録して保管される。ただし、加工指示書印刷情報および関連する進捗履歴情報を進捗管理用コンピュータ上で管理し、印刷物として保管する必要のない場合は、RFタグ付リライタブル可能な用紙を活用することにより、他のバッチ用加工指示書として再利用することもできる。
【0045】
この場合、回収されたリライタブル可能な用紙は表面印刷文字を消字装置で消去すると同時に、進捗管理用コンピュータ上のRFタグの個体認識番号と前回使用時に対応させたバッチナンバーとの関連づけを解除する。
【0046】
〔台車の検索手順〕
各加工に際し、保管エリアから該当加工対象生地を搭載した台車の検索は以下の手順で実施する。
(1)進捗管理用コンピュータにLANで接続されているパソコンから該当するバッチナンバーを入力する。
(2)進捗管理用コンピュータにおいてバッチナンバーと1対1に対応づけられた加工指示書に貼付されているRFタグの個体認識番号を自動判定する。
(3)進捗管理用コンピュータの指示に従い、各保管エリアに設置されたリーダライタ装置が1つ以上のアンテナを通して該当加工指示書に貼付されたRFタグの個体認識番号からの応答の有無を計測する。
(4)応答が検知されるまで、各保管場所に設置された1つ以上のアンテナの位置を上下・左右に変化させる。
(5)何れかのリーダが応答を検知した時点で、該当のアンテナのみを上下・左右(水平方向:360度、垂直方向:90度の回転)に変化させ、応答検知できる範囲(上下・左右の角度情報)を記録する。
(6)アンテナの指向特性と応答検知できる範囲(上下・左右の角度情報)とアンテナの設置位置から該当するRFタグの保管エリア内の位置を計算し、その位置をコンピュータの画面上に表示する。
(7)何れの保管場所においても、該当するRFタグの個体認識番号が検知されなかった場合は、その旨をコンピュータ画面上に表示する。
【0047】
〔位置検出の計算方法〕
図4に示すように、2つの通信装置によるx−y平面上での例をもとに説明する。各通信装置は、共に半径r、角度2θの扇型特性を有するものとする。ここで、通信装置2Aはx−y平面上で座標(x,y)、通信装置2Bは座標(x,y)に設置されており、回転初期値はともに0度とする。ここで、ターゲットのRFタグの位置座標を(x,y)とする。
【0048】
いま、通信装置2Aがターゲットを最初に認識したときの回転角をφ(反時計回りをプラス)、通信装置2Bがターゲットを最初に認識したときの回転角を−φとすると、ターゲットは各直線f,f上にあり、その位置はf,fの交点となる。
【0049】
したがって、
:y−y=tan(θ+φ)×(x−x
:y−y=−tan(θ+φ)×(x−x
となり、x,yはそれぞれ以下のようになる。
【0050】
x={tan(θ+φ)×x+tan(θ+φ)×x}/{tan(θ+φ)+tan(θ+φ)}−(y−y)/{tan(θ+φ)+tan(θ+φ)}
【0051】
y=tan(θ+φ)×{tan(θ+φ)×x+tan(θ+φ)×x}/{tan(θ+φ)+tan(θ+φ)}+{−tan(θ+φ)×y+tan(θ+φ)×y}/{tan(θ+φ)+tan(θ+φ)}
【0052】
ここで、さらに精度を向上させるためには、さらに各通信装置を移動させ、認識できなくなった時点での通信装置2Aと通信装置2Bとの移動角から、同様な方法で(x′,y′)を算出し、両者の平均値をとることも可能である。
【0053】
なお、説明上、通信装置をタグリーダとアンテナとが一体化したものを例示したが、タグリーダとアンテナが分離しているものを採用し、アンテナのみを回転させるように構成させることも可能である。
【0054】
また、ここでは、x−y平面としたが、x−y−zの三次元空間に拡張しても、前記同様に容易に算出することができる。また、アンテナの指向特性が扇形でない場合でも、指向特性が既知であれば、適用することができる。さらにまた、アンテナの数量を増加させることにより、検索範囲の拡大および位置精度の向上を実現することができる。
【0055】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、タグ1の種類や仕様をパッシブ型からアクティブ型(タグ自身に電池等を備えた電波発信機能を有し、個体情報を発信するもの)に変更したり、リライタブルなタイプに変更することもできる。
【0056】
また、通信装置2の形状や仕様、数量なども必要に応じて変更することができ、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態のシステムを表わす概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態を表わす説明上面図である。
【図3】本発明の第1実施形態を表わす説明側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を表わす説明上面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 タグ
2 通信装置
21 アンテナ
22 回転駆動機構
23 回転角センサ
3 演算手段
4 表示手段
5 リストアップシート
A 検索物品
C 搬送体
φ(φ・φ) 回転水平角度
d(d′) 基準距離
ψ 鉛直角度
P(P・P) 装置座標
Q 位置座標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産工場等の室内に存在する物品の位置を検出するためのシステムであって、
物品を搭載した各搬送体Cには、搭載物を表示したリストアップシート5がそれぞれ配備され、かつ、このリストアップシート5には、搭載物のリストデータがメモリされているとともに、このリストデータを電波により発信可能なタグ1が装着されている一方、
室内の所定位置には、通信装置2が固定されており、この通信装置2には、所定範囲の指向特性を有し、前記タグ1から発信された電波を受信可能なアンテナ21と、このアンテナ21を回転せしめる回転駆動機構22と、回転角度を検出可能な回転角センサ23とが具備されており、
前記通信装置2の固定位置には、装置座標Pが付与されている一方、
検索物品Aを搭載した搬送体Cに配備されたリストアップシート5に装着された前記タグ1の存在を前記通信装置2のアンテナ21が検知したときにおける、回転角センサ23がなす基準軸との位相を回転水平角度φとし、かつ、当該通信装置2と床面との直線距離を基準距離dとして、
前記装置座標P、回転水平角度φおよび基準距離dに基づいて検索物品Aの位置座標Qを演算手段3により算出するとともに、
この位置座標Qに該当する位置を、検索物品Aの存在位置として表示手段4にマップ表示可能であることを特徴とする生産工場内における物品位置検出システム。
【請求項2】
生産工場等の室内に存在する物品の位置を検出するためのシステムであって、
物品を搭載した各搬送体Cには、搭載物を表示したリストアップシート5がそれぞれ配備され、かつ、このリストアップシート5には、搭載物のリストデータがメモリされているとともに、このリストデータを電波により発信可能なタグ1が装着されている一方、
室内の所定位置には、複数の通信装置2・2…が固定されており、これら各通信装置2には、所定範囲の指向特性を有し、前記タグ1から発信された電波を受信可能なアンテナ21と、このアンテナ21を回転せしめる回転駆動機構22と、回転角度を検出可能な回転角センサ23とが具備されており、
これらの通信装置2・2…の固定位置には、それぞれ装置座標P・P…が付与されている一方、
検索物品Aを搭載した搬送体Cに配備されたリストアップシート5に装着された前記タグ1の存在を前記通信装置2・2…の各アンテナ21が検知したときにおける、各回転角センサ23がなす基準軸との位相をそれぞれ回転水平角度φ・φ…とし、かつ、当該通信装置2・2…の装置間距離を基準距離d′として、
前記装置座標P・P…、回転水平角度φ・φ…および基準距離d′に基づいて検索物品Aの位置座標Qを演算手段3により算出するとともに、
この位置座標Qに該当する位置を、検索物品Aの存在位置として表示手段4にマップ表示可能であることを特徴とする生産工場内における物品位置検出システム。
【請求項3】
タグ1が、通信装置2のアンテナ21から発信される電波により起電し、個体認識番号を発信可能なパッシブ型であることを特徴とする請求項1または2記載の生産工場内における物品位置検出システム。
【請求項4】
タグ1が、印字可能なリストアップシート5と一体化されており、このリストアップシート5に印字された特定のコードと前記タグ1の個体認識番号とが一義的に対応し、当該リストアップシート5に印字された特定のコードを指定することにより、タグ1の個体認識番号に自動的に変換する機能を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の生産工場内における物品位置検出システム。
【請求項5】
リストアップシート5がタグ1と一体化され、かつ、リライタブルに印字可能であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の生産工場内における物品位置検出システム。
【請求項6】
通信装置2のアンテナ21が、回転駆動機構22により上下方向に移動可能であって、俯角および仰角を測定可能であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の生産工場内における物品位置検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−193614(P2007−193614A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11691(P2006−11691)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(393000168)株式会社サカイエルコム (1)
【Fターム(参考)】