説明

生産管理システムおよび生産管理方法

【課題】大量生産される中間製品を入れる容器および中間製品が容器に入れられて大量生産される最終製品を、容器ごとに個別管理できる生産管理システムおよび生産管理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】缶容器を生産する容器準備工程P1と、中間製品を缶容器に入れて最終製品を生産する最終製品生産工程P3と、を含み、容器準備工程P1では、個体識別情報を缶容器に付与するとともに、個体識別情報を示す識別情報記号を缶容器に印字し、さらに、缶容器の生産に関する容器生産情報に個体識別情報をリンクした容器個別管理情報を作成する。そして、最終製品生産工程P3では、缶容器を検査して作成する最終製品検査情報に個体識別情報をリンクした最終製品個別管理情報を作成して、容器個別管理情報と最終製品個別管理情報を一元管理する生産管理システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間製品を容器に封入して最終製品を生産する生産管理システムおよび生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や化粧品など、液体や気体の中間製品が缶容器等に封入された最終製品や、菓子や錠剤など、小型固形物の中間製品が袋容器等に封入された最終製品が商品として販売される場合、容器に製造ロット番号が印字されていれば、製造ロットを単位として当該最終製品の生産管理、在庫管理、トレーサビリティをすることができる。
さらに、例えば容器の個体を識別するための情報(個体識別情報)を容器ごとに付与することで、最終製品を容器ごとに個別管理できる。
また、容器に付与される個体識別情報によって容器自体を個別管理することも可能となる。容器や最終製品を個別管理すると、最終製品が消費者に販売された後であっても必要に応じて容器や最終製品の生産状態や検査結果をトレーサビリティ可能であり、例えば、消費者からの苦情に速やかに対応できるなど、様々な利点がある。
【0003】
しかしながら、容器に固体識別情報を付与し、容器の生産時から最終製品の生産時まで、容器の個体識別情報を用いて容器ごとに個別管理することは行われていない。
例えば特許文献1には、容器(金属罐)に収容される中間製品(飲料液等)のロット追跡のためのコードマークを容器の底部(罐底)などの所定の印字面に透明インクで印字し、さらに、最終製品自体の製造年月日とコードマークを同じ底部に印字する技術が開示されている。コードマークを容器に印字することで、中間製品が容器に収容された製品(最終製品)をロット単位で追跡できる。さらに、コードマークの印字に透明インクを用いることで外観に影響を与えることなくコードマークを印字できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−187288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術は、中間製品(飲料液等)が容器(金属罐)に収容されてなる製品(最終製品)自体のコードマークとは別に、容器自体をロット単位で追跡するためのコードマークを透明インクで容器の底部に印字し、容器の出所や製造履歴をロット単位で区別するための技術であって、容器自体および最終製品を容器ごとに個別管理することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、大量生産される中間製品を入れる容器および中間製品が容器に入れられて大量生産される最終製品を、容器ごとに個別管理できる生産管理システムおよび生産管理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、準備された容器に、生産単位ごとに統一された中間製品管理情報が付与される中間製品を入れて最終製品とする生産システムにおける生産管理システムとする。そして、前記容器を準備する容器準備工程において、前記容器の個体を識別する個体識別情報を、準備された前記容器に付与するとともに、前記個体識別情報を示す識別情報記号を当該容器の所定の印字面に印字し、さらに、前記容器の生産に関する容器生産情報に前記個体識別情報をリンクした容器個別管理情報を作成する容器管理装置と、前記容器に前記中間製品を入れて最終製品を生産する最終製品生産工程において、前記容器に前記中間製品が入った前記最終製品を個別検査して最終製品検査情報を作成する最終製品検査装置と、前記最終製品から前記識別情報記号を読み取って前記個体識別情報を抽出する読取装置と、前記最終製品検査情報に前記個体識別情報をリンクした最終製品個別管理情報を作成して前記容器個別管理情報と前記最終製品個別管理情報を管理する個別情報管理装置とを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、大量生産される中間製品を入れる容器および中間製品が容器に入れられて大量生産される最終製品を、容器ごとに個別管理できる生産管理システムおよび生産管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る生産管理システムの一構成例を示す図である。
【図2】容器準備工程を示す図である。
【図3】容器生産管理マップの一例を示す図である。
【図4】最終製品生産工程を示す図である。
【図5】検査画像収集システムと生産設備管理システムとデータセンタの一構成例を示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、缶容器の缶底に印字される中間製品管理情報と識別情報記号を示す図である。
【図7】個体管理部を備えるバルブ入味検査装置の一構成例を示す図である。
【図8】(a)は、バルブ入味検査画像の一例を示す図、(b)は、バルブ入味検査実績データの一例を示す図、(c)は、バルブ入味検査画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、飲料を缶容器に充填封入する生産管理システムを例に、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1は、中間製品である飲料を、大量生産される缶容器に充填封入し、最終製品としての「缶入飲料」を大量生産する生産管理システムを示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る生産管理システム1は、主に、容器(缶容器)を準備する容器準備工程P1、中間製品(飲料)を生産する中間製品生産工程P2、飲料を缶容器に充填封入して最終製品(缶入飲料)を生産する最終製品生産工程P3、および、生産された缶入飲料を倉庫等で保管する保管工程P4を含んで構成される缶入飲料の生産システムにおける生産管理システム1である。そして、このような生産システムで生産された缶入飲料は、保管工程P4で倉庫等に保管された後、複数の販売店(図1では、販売店A12a、販売店B12bを例示)や図示しない自動販売機等を介して消費者13に販売される。
【0011】
図1の符号M10,M11は、容器準備工程P1で缶容器を準備する第1事業者、符号M20は、中間製品生産工程P2、最終製品生産工程P3および保管工程P4で最終製品である缶入飲料を生産する第2事業者(飲料メーカ等)を示す。
なお、本実施形態では、缶容器を準備する第1事業者M10,M11として、缶容器を生産する製缶メーカを例示している。そして、図1には、一例として2つの第1事業者(M10,M11)が記載されているが、この数は限定するものではなく、1つの第1事業者を有する構成であってもよいし、3つ以上の第1事業者を有する構成であってもよい。
また、図1に示す第1事業者M10,M11および第2事業者M20の構成は限定されるものではない。例えば、全ての工程(P1〜P4)が1つの事業者で実行される構成であってもよいし、全ての工程(P1〜P4)がそれぞれ別の事業者で実行される構成であってもよい。つまり、各工程(P1〜P4)を実行する事業者の組合せは限定されない。
【0012】
本実施形態において、容器準備工程P1で缶容器を生産(準備)する第1事業者M10,M11は、生産した缶容器の個体を識別するために、缶容器ごとに、ユニークな個体識別情報を付与して缶容器を個別管理可能な容器管理装置91を備え、この容器管理装置91は、インターネットINETなどを介してデータ通信可能に、第2事業者M20と接続されることが好ましい。
【0013】
図2に示すように、容器準備工程P1は缶容器2を生産する工程であって、板金80aなどの素材から略円筒形の容器である缶容器2を成形する容器成形工程80と、成形された缶容器2を検査する容器検査工程85と、缶容器2に個体識別情報(製造番号、個体番号等)を付与し、さらに付与した個体識別情報に基づいて缶容器2を個別管理する容器管理工程90と、生産された缶容器2を出荷する容器出荷工程95と、を有してなる。
【0014】
容器成形工程80では、容器成形装置81が、素材となる板金80aから缶容器2を成形し、さらに、予め指定される文字、模様、記号、必要情報等を外周に印字する。そして、成形された缶容器2は容器検査工程85に進められ、容器検査装置86によって異常の有無が検査される。容器検査装置86によって異常が発見された缶容器2は容器検査工程85で容器準備工程P1から排斥され、異常が発見されない缶容器2は容器管理工程90に進められる。
容器検査工程85における缶容器2の検査は、小穴の有無の検査や外観(印刷状態)の検査など一般的な検査であり、容器検査装置86も広く知られた検査装置とすることができる。
【0015】
また、本実施形態においては、容器管理工程90で缶容器2に個体識別情報が付与される。具体的に、容器管理工程90では、例えばパーソナルコンピュータなどで構成される容器管理装置91が、缶容器2に付与する個体識別情報を作成し、さらに、作成した個体識別情報を二次元コード等に記号化した識別情報記号2dを作成する。そして、容器管理装置91は、作成した識別情報記号2dをインクジェットプリンタなどの印字装置91aで缶容器2の例えば底部(缶底)に印字する。
このとき、可視光に対して透明で、消費者13(図1参照)等が可視光下で視認不可能な不可視インク(ステルスインク)が使用される構成が好ましい。
このようなステルスインクとして、例えば、紫外線が照射されたときにルミネッセンス現象で可視光を発光して可視化し、可視光下では消費者13等が視認することができない性質のインクを利用できる。
【0016】
また、個体識別情報は、缶容器2の製造番号など、1つの缶容器2にユニークに1つ付与され、缶容器2を個別に識別可能な情報であることが好ましい。さらに、2つ以上の第1事業者M10,M11(図1参照)が備わる場合は、個体識別情報に各事業者を示す情報が含まれることが好ましい。例えば、第1事業者M10が生産した缶容器2には「10」で始まる個体識別情報が付与され、第1事業者M11が生産した缶容器2には「11」で始まる個体識別情報が付与される、などの構成とすればよい。
【0017】
その後、容器出荷工程95では、所定数の缶容器2が1つの出荷単位(出荷ロット等)にまとめられて、例えば第1事業者M10,M11(図1参照)が所有する倉庫(容器保管倉庫96)等で一時保管され、その容器保管倉庫96から必要に応じて第2事業者M20(図1参照)に納品される。
【0018】
このような容器準備工程P1で缶容器2を生産する第1事業者M10,M11(図1参照)は、図3に一例を示すように、缶容器2の容器生産情報(生産年月日や時刻、当該缶容器2の素材となる板金80aのロット番号等、缶容器2の生産に関する情報)に、当該缶容器2に付与された個体識別情報をリンクしたマップ(容器生産管理マップ)を容器個別管理情報として容器管理装置91が作成し、保存する構成が好ましい。
さらに、第1事業者M10,M11(図1参照)が、缶容器2(図2参照)を一時保管する容器保管倉庫96(図2参照)を複数有する場合、当該缶容器2が一時保管される容器保管倉庫96を示す情報(倉庫番号等)が容器生産管理マップに含まれる構成としてもよい。
図2に示す容器管理装置91は、缶容器2を出荷ロットにまとめる場合、缶容器2の個体識別情報に、当該缶容器2が含まれる出荷ロットをリンクして管理可能である。したがって、当該出荷ロットを一時保管する容器保管倉庫96を示す情報(倉庫番号等)を出荷ロットにリンクして管理することによって、缶容器2の個体識別情報と容器保管倉庫96を示す情報(倉庫番号等)をリンクして管理可能となる。
なお、図3の容器生産管理マップは、容器管理装置91が缶容器2に「A」、「B」、「C」という個体識別情報を付与(印字)した場合の一例を示している。
【0019】
また容器管理装置91は、インターネットINETとの接続インタフェース(図示せず)を有し、図2に示すように、インターネットINETに接続される構成が好ましい。この構成によって、容器管理装置91は、作成した容器生産管理マップを、例えば第2事業者M20(図1参照)の要求に応じてインターネットINETに送出でき、第2事業者M20は、必要に応じて第1事業者M10,M11が作成した容器生産管理マップを取得(または参照)できる。
そして第2事業者M20は、容器生産管理マップに基づいて、第1事業者M10,M11が生産した缶容器2の生産年月日、生産時刻、素材となった板金80aのロット番号、当該缶容器2が一時保管された容器保管倉庫96など、容器生産管理マップに含まれる容器生産情報を取得できる。
【0020】
第2事業者M20(図1参照)における最終製品生産工程P3は、例えば、図4に示すように、空缶搬送工程10、充填工程20、滅菌工程30、検査工程40、梱包・出荷工程50および倉入工程60からなり、中間製品生産工程P2(図1参照)で生産される飲料を缶容器2に充填封入して最終製品200(缶入飲料)を生産する工程である。以下、空缶搬送工程10の側を上流、倉入工程60の側を下流とする。そして、缶容器2に充填される飲料を生産する中間製品生産工程P2は、充填工程20より上流の工程である。
【0021】
飲料が充填封入される缶容器2は、第1事業者M10,M11(図1参照)から納品された後、空缶搬送工程10から充填工程20まで缶容器2を搬送するように敷設されるコンベア装置1aで搬送される。さらに、缶容器2は充填工程20で飲料が充填されて最終製品200になった後、検査工程40まで最終製品200を搬送するように敷設されるコンベア装置1aによって上流から下流に向かって搬送されて各工程が実行される。そして、梱包・出荷工程50と倉入工程60では、最終製品200が箱詰めされた梱包箱2bを運搬する運搬装置(図示せず)によって、当該梱包箱2bが運搬される。
【0022】
第1事業者M10,M11(図1参照)から納品された缶容器2は、空缶搬送工程10において搬送装置11で洗浄されると充填工程20に進む。充填工程20では充填装置21で缶容器2に飲料が充填され、蓋部2aが取り付けられ(巻き締められ)て最終製品200になった後、入味検査される。
充填装置21には、例えば1つまたは複数のフィラーバルブ22aが備わり、中間製品生産工程P2(図1参照)で生産された飲料がフィラーバルブ22aから缶容器2に充填される。このように、複数のフィラーバルブ22aを備えることによって、複数の缶容器2に同時に飲料を充填できる。なお、図4には図の簡略化のため1つのフィラーバルブ22aのみを図示している。
【0023】
また、充填装置21は、例えば、X線検査部23aで、最終製品200にX線を照射して入味検査(バルブ入味検査)する。バルブ入味検査は、最終製品200に充填封入された飲料の充填量を充填装置21のフィラーバルブ22aごとに検査する工程である。
【0024】
次に最終製品200は滅菌工程30に進められ、滅菌装置31で、例えば加熱によって滅菌されて検査工程40に進められる。
検査工程40では、生産検査装置41による内圧検査、入味検査(製品入味検査)、外観検査が終了したのち、最終製品200の例えば缶底など所定の印字面に必要な情報が印字される。
【0025】
生産検査装置41は、例えばX線検査部42aで最終製品200にX線を照射し、X線画像によって飲料の充填量を検査する。また、生産検査装置41は、最終製品200の外観を、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどの撮像装置43aで撮像し、撮像した画像(光学画像)と予め登録してある基準の印字情報とのマッチングによって、主に外観の汚れ、印刷ずれ、ラベルの貼り付け位置ずれなど、外観の異常の有無を検査する。
【0026】
また、生産検査装置41は、例えばインクジェットプリンタなどの印字装置で、最終製品200の缶底の表面に、製造ロット番号、製造工場、製造年月日、賞味期限(消費期限)など、必要な情報を文字情報として印字する。以下、これらの情報をまとめて中間製品管理情報2cと称する。
中間製品管理情報2cは、生産単位(例えば、製造ロット)ごとに統一されて中間製品である飲料に付与される情報であり、最終製品生産工程P3の運用管理者や消費者13(図1参照)等が直接視認できることが好ましい情報である。したがって、中間製品管理情報2cの印字には、熱硬化インク、紫外線硬化インクなど、可視光で視認可能なインク(可視インク)が使用される。
【0027】
そして、生産検査装置41は、最終製品200に印字された中間製品管理情報2cの印字状態を検査する。生産検査装置41は、印字した中間製品管理情報2cを光学画像として撮像装置45aで撮像し、撮像した文字情報(印字パターン)と予め登録されている基準の印字情報とのマッチングによって、印字位置のずれ、文字のかすれや印字漏れなどの印字不良等を検査する。
【0028】
梱包・出荷工程50では、飲料が充填封入された最終製品200が梱包装置51によって梱包箱2bに箱詰めされる。その後、梱包箱2bは封印されて重量検査される。ここでは、規格外の重量の梱包箱2bが不良品と判定されて最終製品生産工程P3から排斥され、良品と判定された梱包箱2bには必要な製品情報が文字情報として印字される。ここでいう製品情報は、検査工程40で最終製品200の缶底に印字される中間製品管理情報2cと同じであってもよいが、最終製品200に印字される中間製品管理情報2cと異なった情報を含んでいてもよい。
例えば、梱包箱2bを個別に識別する梱包箱識別符号2e1が付加されていてもよい。
【0029】
その後、梱包装置51は、梱包箱2bに印字された文字情報の状態を検査する。梱包装置51は、例えば、梱包箱2bに印字された印字情報などを光学画像として撮像装置54aで撮像し、撮像された印字パターンと予め登録されている基準の印字情報とのマッチングによって、印字位置のずれ、文字のかすれや印字漏れなどの印字不良等を検査する。なお、撮像装置54aは、前記したように、CCDカメラやCMOSカメラを利用することができる。
【0030】
なお、例えば梱包装置51がインターネットINET(図1参照)に接続され、缶容器2に付与された個体識別情報を、第1事業者M10,M11の容器管理装置91(図1参照)から取得可能な構成であれば、梱包装置51は、缶容器2の個体識別情報と、梱包箱識別符号2e1をリンクして管理できる。例えば、梱包箱2bに箱詰めされる缶容器2を個別に管理できる。そして、例えば最終製品200の出荷後には、梱包箱2bを追跡することによって、缶容器2を個別に追跡するトレーサビリティが可能となる。
このように、缶容器2の個体識別情報と梱包箱識別符号2e1をリンクして梱包装置51が管理する構成としない場合であっても、缶容器2の個体識別情報を追跡することによって、缶容器2のトレーサビリティは可能である。
【0031】
さらにその後、最終製品200は倉入工程60に進められ、最終製品200が箱詰めされた梱包箱2bは倉入装置61によってパレット単位2eにまとめられ、所定の倉庫等に搬送される。
【0032】
また、例えば、倉入装置61でパレット単位2eごとにパレット識別符号2e2が付与される構成であってもよい。この場合、パレット識別符号2e2は、梱包箱2bに印字される必要はないが、梱包箱2bに印字される構成であってもよい。このようなパレット識別符号2e2は、パレット単位2eを識別するための符号であってパレット単位2eごとに個別に付与されることが好適である。
【0033】
そして、例えば、倉入装置61は梱包装置51で梱包箱2bに印字された梱包箱識別符号2e1を読み取るとともに、パレット単位2eに付与するパレット識別符号2e2と梱包箱識別符号2e1とをリンクしたパレット管理情報を作成して管理する構成とすれば、任意のパレット単位2eに含まれる梱包箱2bを管理することができる。
【0034】
また、前記したように、例えば梱包装置51で、缶容器2の個体識別情報と梱包箱2bの梱包箱識別符号2e1をリンクして管理する構成とすれば、生産管理システム1(図1参照)は、パレット識別符号2e2と梱包箱識別符号2e1と缶容器2の個体識別情報を全てリンクして管理できる。例えば、パレット単位2eに含まれる缶容器2を個別に管理できる。そして、例えば最終製品200の出荷後には、パレット単位2eを追跡することによって梱包箱2bを追跡することができ、さらに、缶容器2を個別に追跡するトレーサビリティが可能となる。
このように、梱包箱識別符号2e1とパレット識別符号2e2をリンクして生産管理システム1が管理する構成としない場合であっても、缶容器2の個体識別情報を追跡することによって、缶容器2のトレーサビリティは可能である。
なお、一例として、梱包装置51では、梱包箱識別符号2e1をバーコードで梱包箱2bに印字し、倉入装置61にバーコードリーダを備える構成にすれば、パレット管理情報を作成する倉入装置61を簡単な構成にすることができる。
【0035】
最終製品生産工程P3の各工程を実行する生産装置(搬送装置11、充填装置21、滅菌装置31、生産検査装置41、梱包装置51、および倉入装置61をまとめて生産装置と称する)は、例えばイーサネット(登録商標)規格の生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4と接続され、各工程における生産状態を示す情報(最終製品生産情報)や検査結果を含んだ情報(最終製品検査情報)を作成して送信可能に構成される。
例えば、倉入装置61が作成するパレット管理情報を生産設備管理システム4に送信する構成とすれば、パレット管理情報を生産設備管理システム4で管理できる。
【0036】
また、最終製品生産工程P3で最終製品200を検査する検査装置は、例えばイーサネット規格の画像収集ネットワークNE1を介して、各検査装置が最終製品検査情報として撮像する(作成する)検査画像を収集する検査画像収集システム3と接続され、最終製品200の検査時の画像を送信可能に構成される。このため、検査装置はそれぞれ、最終製品200の検査状態を検査画像として撮像するための撮像装置が備わることが好ましい。
ここでいう検査装置は、生産装置のうち、最終製品200や梱包箱2bを検査する機能を有する装置を示し、本実施形態においては、充填装置21、生産検査装置41、および梱包装置51を示すものとする。
【0037】
図5に示すように、生産設備管理システム4は、生産装置から送信される情報を受信するシステムサーバ40aと、検査装置が作成する、最終製品200(図4参照)や最終製品200が箱詰めされた梱包箱2b(図4参照)の検査結果を含んだ情報を、最終製品検査情報としてデータベース化して保存する生産情報保存装置(生産検査情報DBサーバ40b)と、最終製品生産工程P3(図4参照)の運用管理者等が最終製品生産工程P3の状態を監視するとともに必要に応じて遠隔操作するための監視卓40c、監視用モニタ40dを含んで構成される。
なお、ここでいう検査結果に基づく情報は、具体的には、後記する、缶容器2の個体識別情報を検査結果にリンクした情報を示す。
【0038】
また、検査画像収集システム3は、全画像収集ネットワークレコーダ30a、検査画像保存DBサーバ30b、検査実績保存DBサーバ30c、画像トレース編集サーバ30d、およびネットワークサーバ30eを含んで構成される。
【0039】
全画像収集ネットワークレコーダ30aは、最終製品生産工程P3(図4参照)の検査装置から最終製品検査情報として送られる検査画像を静止画像として保存(蓄積)する画像保存装置であって、例えば、最終製品生産工程P3における検査装置から送信される検査画像を「JPEG」などの画像データに変換して蓄積する記録装置である。
検査画像保存DBサーバ30bは、全画像収集ネットワークレコーダ30aが蓄積する検査画像に基づく情報をデータベース化して保存(管理)する画像管理装置(サーバ)である。
なお、ここでいう、検査画像に基づく情報は、具体的には、後記する、検査画像を示す情報に缶容器2の個体識別情報をリンクした情報を示す。
検査実績保存DBサーバ30cは、生産設備管理システム4の生産検査情報DBサーバ40bがデータベース化して保存する検査結果に基づく情報を取得して保存する検査実績管理装置(サーバ)である。
画像トレース編集サーバ30dは、運用管理者等の操作によって、検査画像保存DBサーバ30bが保存する検査画像および検査実績保存DBサーバ30cが保存する検査結果を含んだ情報を、最終製品検査情報として検索して表示するサーバである。
検査画像保存DBサーバ30b、検査実績保存DBサーバ30cの詳細は後記する。
【0040】
本実施形態において、検査画像収集システム3の、全画像収集ネットワークレコーダ30a、検査画像保存DBサーバ30b、検査実績保存DBサーバ30c、画像トレース編集サーバ30d、およびネットワークサーバ30eは、例えばイーサネット規格の検査情報活用ネットワークNE3で接続され、さらに、検査情報活用ネットワークNE3は、ネットワークサーバ30eを介し、インターネットINETに接続されている。
また、生産設備管理システム4のシステムサーバ40a、生産検査情報DBサーバ40b、監視卓40c、および監視用モニタ40dは、例えばイーサネット規格の生産設備情報ネットワークNE4で接続される。そして、検査情報活用ネットワークNE3と生産設備情報ネットワークNE4が接続される。
この構成によって、検査画像収集システム3と生産設備管理システム4の間で、情報の送受信が可能になる。
【0041】
本実施形態においては、画像収集ネットワークNE1、生産設備ネットワークNE2、検査情報活用ネットワークNE3、および生産設備情報ネットワークNE4を独立したネットワークで構築したが、これは各ネットワークの負荷を分散して、特定のネットワークに過大な負荷がかかることを防ぐことを目的とする。したがって、例えば負荷の軽いネットワークを適宜統合してもよい。
【0042】
そして、本実施形態に係る最終製品生産工程P3(図4参照)は、最終製品200(図4参照)ごと、つまり、缶容器2(図4参照)の単体ごとに個別管理可能に構成される。例えば、前記した検査装置のうち、最終製品200を個別検査する機能を有する検査装置は、最終製品200に検査結果をリンクして検査実績データを作成するように構成される。
なお、ここでいう、最終製品200を個別検査する機能を有する検査装置には、最終製品200を単体で検査する充填装置21(図4参照)、生産検査装置41(図4参照)が含まれ、以下、これらの検査装置(最終製品200を個別検査する機能を有する検査装置)をまとめて最終製品検査装置と称する。
【0043】
具体的に、図4に示す最終製品生産工程P3における最終製品検査装置は、検査対象となる最終製品200を、当該最終製品200に使用される缶容器2の個体識別情報によって個別に識別し、さらに、当該最終製品200に対する検査結果に缶容器2の個体識別情報をリンクした検査実績データを、最終製品200の最終製品個別管理情報として作成する。
そして本実施形態に係る生産管理システム1(図1参照)は、最終製品生産工程P3における最終製品検査装置で検査実績データ(最終製品個別管理情報)を作成することによって、最終製品200ごとに個別管理可能にする。
【0044】
このため、本実施形態に係る生産管理システム1(図1参照)は、前記したように、容器準備工程P1(図1参照)で、缶容器2(図2参照)の個体を識別するための個体識別情報が缶容器2に個別に付与され、さらに、付与された個体識別情報が識別情報記号2dに記号化されて缶容器2に印字されるように構成される。
【0045】
そして識別情報記号2dは、缶容器2の缶底を所定の印字面として印字される構成が好ましい。
缶容器2は略円筒形であり、最終製品生産工程P3(図4参照)で、飲料が充填された缶容器2(最終製品200)は、コンベア装置1a(図4参照)で搬送されるときに転がる場合がある。例えば、識別情報記号2dを読み取る読取装置が缶容器2の側面と対面するように配置される場合、缶容器2が識別情報記号2dの読取装置の位置にあるとき、缶容器2の側面の任意の位置が読取装置に対面する。したがって、識別情報記号2dが缶容器2の側面に印字されている場合、識別情報記号2dの読取装置に識別情報記号2dを対面させる必要があり、そのための装置が必要になる。
または、識別情報記号2dの読取装置が、缶容器2の側面から識別情報記号2dを抽出する機能を備える必要がある。いずれにしても、最終製品生産工程P3で識別情報記号2dを読み取るための読取装置の構成が複雑になる。
【0046】
これに対し、最終製品生産工程P3(図4参照)において缶容器2(最終製品200)の缶底を所定の方向に向けることは容易であり、識別情報記号2dの読取装置に缶底を対面させることは容易である。したがって、缶容器2の缶底に印字された識別情報記号2dと読取装置を容易に対面させることができ、最終製品生産工程P3で識別情報記号2dを読み取るための読取装置を簡単な構成とすることができる。
【0047】
また、缶容器2(最終製品200)は最終製品生産工程P3(図4参照)まで搬送されるときに、円形の缶底が周方向に回転する場合がある。したがって、識別情報記号2dが缶底の中心部からずれた周縁部に印字されていると、識別情報記号2dの読取装置は、識別情報記号2dを抽出するための処理が必要になる。
これに対し、図6の(a)に示すように缶容器2の缶底の略中心部に識別情報記号2dが印字されていると、識別情報記号2dを読み取る読取装置は、常に缶底の中心部から識別情報記号2dを読み取ることができ、識別情報記号2dの印字位置を判定するための処理を省くことができる。このことによって、読取装置が実行する画像処理を軽減することができる。
以上の理由によって識別情報記号2dは、図6の(a)に示すように、所定の印字面を缶容器2の缶底とし、缶底の略中心部に印字されることが好ましい。
【0048】
また、図4に示す検査工程40では、缶容器2(最終製品200)の缶底に中間製品管理情報2cが印字される。このとき、中間製品管理情報2cは、図6の(b)に示すように、識別情報記号2dと互いに重なる部分を有するように上書きされる。検査工程40で中間製品管理情報2cの印字に使用されるインクは、前記したように、熱硬化インク、紫外線硬化インクなどの可視インクであり、消費者13(図1参照)等が中間製品管理情報2cを視認可能に構成される。
【0049】
したがって、識別情報記号2dが可視インクで印字されると、図6の(b)に示すように中間製品管理情報2cと識別情報記号2dが重る部分は、消費者13(図1参照)等が中間製品管理情報2cを識別することが困難になる。また、可視光下で読取装置が識別情報記号2dを識別することが困難になり、読み取りのエラー発生率が高くなることが予測される。
【0050】
これに対し、識別情報記号2dがステルスインクで印字されると、可視光下で消費者13(図1参照)等は識別情報記号2dを視認することができず、図6の(c)に示すように、中間製品管理情報2cのみ視認することができる。したがって、消費者13等は、賞味期限等を含む中間製品管理情報2cを容易に読み取ることができる。
また、例えば紫外線の照射で発光するステルスインクとすると、可視光を遮光した環境で紫外線を照射することで識別情報記号2dのみ発光させることができ、読取装置が識別情報記号2dを容易に識別することが可能で、読み取りのエラー発生率を低く抑えることができる。
以上の理由によって、識別情報記号2dはステルスインクで印字されることが好ましい。
【0051】
つまり、本実施形態に係る生産管理システム1(図1参照)においては、容器準備工程P1(図1参照)での缶容器2の生産時に、缶容器2ごとにユニークな個体識別情報を付与するとともに、図6の(a)に示すように、個体識別情報を記号化した識別情報記号2d(個体識別情報を示す識別情報記号2d)を、缶底にステルスインクで印字する構成が好ましい。
また、第2事業者M20(図1参照)は、最終製品生産工程P3で、識別情報記号2dが印字された缶容器2に、中間製品生産工程P2(図1参照)で生産された飲料を充填封入して最終製品200(缶入飲料)を生産し、最終製品生産工程P3における最終製品検査装置は、最終製品200(缶容器2)に印字された識別情報記号2dを読み取り可能に構成されることが好ましい。
なお、例えば中間製品管理情報2cが缶底以外の箇所(側面、蓋部2a(図4参照)等)に印字される場合、識別情報記号2dがステルスインクではない可視インクで印字される構成であってもよい。
【0052】
例えば、充填装置21(図4参照)には、最終製品200(図4参照)をバルブ入味検査するため、図7に示すように構成されるバルブ入味検査装置23が備わる。そして、バルブ入味検査装置23は、識別情報記号2d(図6の(a)参照)の読取装置として、図7に示すように構成される個体管理部100を備える。
バルブ入味検査装置23の個体管理部100は、最終製品200の缶底に向かって紫外線を照射する紫外線照射手段(照明装置101)と、照明装置101から照射される紫外線で発光する二次元コードを読み取るバーコードリーダ(高速BCR102)と、を含んで構成され、ステルス印字読取部104によって制御される。
【0053】
照明装置101は、例えば、可視光が遮光された暗室の内部で紫外線を照射するように構成され、高速BCR102は、暗室の内部で紫外線の照射によって発光する識別情報記号2d(図6の(a)参照)を読み取るように構成される。さらに、最終製品200はコンベア装置1aによって暗室の内部に搬送されるように構成される。
【0054】
また、個体管理部100は、最終製品200が照明装置101に到達したことを検出する着荷センサ103を備え、着荷センサ103が最終製品200を検出すると、バルブ入味検査装置23を制御する制御部105は、着荷センサ103が最終製品200を検出したことをステルス印字読取部104に通知する。
ステルス印字読取部104は、照明装置101を駆動して紫外線を照射し、高速BCR102は、紫外線によって発光する識別情報記号2d(図6の(a)参照)を読み取ってステルス印字読取部104に通知する。なお、照明装置101はバルブ入味検査装置23の作動時は常時紫外線を照射するように構成されていてもよい。
また、充填装置21に備わる個体管理部100は、缶容器2に飲料を充填するフィラーなどの装置(図示せず)より上流に備わり、缶容器2に印字された識別情報記号2dを、飲料が充填される前に読み取る構成であってもよい。
【0055】
ステルス印字読取部104は、高速BCR102から通知された識別情報記号2d(図6の(a)参照)を解析して最終製品200に使用されている缶容器2の個体識別情報を抽出し、制御部105に通知する。
この構成によって、制御部105はバルブ入味検査装置23で検査される最終製品200に使用されている缶容器2の個体識別情報を取得できる。つまり、最終製品200の個体を識別できる。
【0056】
高速BCR102が識別情報記号2d(図6の(a)参照)を読み取った後、最終製品200はX線検査部23aに搬送される。X線検査部23aに備わる着荷センサ232が最終製品200を検出すると、制御部105はX線検査部23aを制御するバルブ入味検査部231に、着荷センサ232が最終製品200を検出したことを通知する。
バルブ入味検査部231は、X線検査部23aに備わるX線照射装置230を駆動して最終製品200にX線を照射し、最終製品200における飲料の充填量を検査する。そして、飲料の充填量が規定の範囲内にあるときは良品(GOOD)と判定し、飲料の充填量が規定の範囲内にない場合は不良品(NG)と判定する。
【0057】
そして、バルブ入味検査部231は、判定結果(検査結果)を制御部105に通知する。制御部105は、バルブ入味検査部231が最終製品200を不良品(NG)と判定した場合は、そのことを、着荷センサ108が最終製品200を検出したときに排斥制御部106に通知する。排斥制御部106は排斥装置107を駆動して最終製品200を排斥ライン1bに導いてコンベア装置1aから排斥する。この構成によって、飲料の充填量が規定の範囲内にない最終製品200を排斥できる。
【0058】
一方、バルブ入味検査部231で良品(GOOD)と判定された最終製品200は、コンベア装置1aによって滅菌装置31(図4参照)に導入されて滅菌工程30(図4参照)が実行される。
【0059】
なお、バルブ入味検査装置23は、最終製品200の飲料の充填量と予め設定される基準充填量との誤差を計測し、その計測結果を検査結果として取得する構成であってもよい。この場合、バルブ入味検査部231は、飲料の充填量が基準充填量より少ない最終製品200(すなわち、マイナス誤差の最終製品200)を不良品と判定する。さらに、基準充填量との誤差の計測結果を検査結果として制御部105に通知する。
【0060】
また、例えばX線検査部23aは、X線照射装置230が最終製品200にX線を照射したときに得られるX線画像(検査画像)を例えばJPEGなどの画像データに変換し、判定結果などの検査結果とともに制御部105に送信するように構成される。
X線検査部23aが撮像する検査画像は、例えば、図8の(a)に示すように、最終製品200に充填されている飲料(斜線で示す)の状態を撮像した画像(バルブ入味検査画像230a)であり、例えば、基準充填量「0」に対する誤差を示す構成が好ましい。さらに、制御部105(図7参照)では、バルブ入味検査画像230aを示す情報として、個別に画像番号230bを付与することが好ましい。
【0061】
制御部105(図7参照)は、バルブ入味検査部231(図7参照)から通知された判定結果や誤差の計測結果(検査結果)にステルス印字読取部104(図7参照)から通知された個体識別情報をリンクし、最終製品個別管理情報として検査実績データ(バルブ入味検査実績データ)を作成する。
バルブ入味検査実績データは、図8の(b)に示すように、例えば「A」、「B」、「C」という個体識別情報が付与された缶容器2を使用した最終製品200(図7参照)の判定結果(「GOOD」または「NG」)や誤差の計測結果を示すマップ、つまり、最終製品200の検査結果を含む情報に缶容器2の個体識別情報をリンクするマップである。
【0062】
そして、制御部105(図7参照)は、作成したバルブ入味検査実績データを、生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図7参照)に送信する。
生産設備管理システム4は、送信されたバルブ入味検査実績データを生産検査情報DBサーバ40b(図5参照)で保存する。
この構成によって、生産管理システム1(図1参照)の最終製品生産工程P3(図4参照)では、バルブ入味検査装置23(図7参照)が作成する、最終製品200のバルブ入味検査実績データを生産設備管理システム4で保存(管理)できる。
【0063】
また、図7に示す検査画像出力部111は、例えば制御部105から、最終製品200に使用される缶容器2の個体識別情報を取得するとともに、X線検査部23aが撮像したバルブ入味検査画像230aの画像番号230b(図8の(a)参照)に、取得した個体識別情報をリンクし、最終製品個別管理情報として検査画像データ(バルブ入味検査画像データ)を作成して、バルブ入味検査画像230aとともに画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3に送信する。
バルブ入味検査画像データは、図8の(c)に示すように、例えば「A」、「B」、「C」という個体識別情報が付与された缶容器2を使用した最終製品200(図7参照)を撮像したバルブ入味検査画像230aの画像番号230b(図8の(a)参照)を示すマップ、つまり、検査画像の画像番号に、最終製品200に使用される缶容器2の個体識別情報をリンクするマップである。
【0064】
検査画像収集システム3の全画像収集ネットワークレコーダ30a(図5参照)は、検査画像出力部111から送信されたバルブ入味検査画像230a(図8の(a)参照)を蓄積して保存し、検査画像保存DBサーバ30b(図5参照)は、図8の(c)に示すバルブ入味検査画像データをデータベース化して保存(管理)する。
【0065】
また、検査実績保存DBサーバ30c(図5参照)は、生産設備管理システム4の生産検査情報DBサーバ40b(図5参照)に送信されたバルブ入味検査実績データ(図8の(b)参照)を取得してデータベース化して保存(管理)する。
この構成によって、生産管理システム1(図1参照)は、最終製品生産工程P3(図4参照)で生成されるバルブ入味検査実績データとバルブ入味検査画像データ(図8の(c)参照)を最終製品個別管理情報として検査画像収集システム3で保存(管理)できる。
【0066】
なお、図7の符号109は、排斥確認センサであり、不良品と判定された最終製品200が排斥ライン1bを通過したことを検出するセンサである。また、符号110はタッチパネルであり、例えば、最終製品生産工程P3(図4参照)の運用管理者が、必要な情報を制御部105に入力するためのインタフェースである。
【0067】
また、第2事業者M20(図1参照)は、例えば、図5に示す検査画像収集システム3に備わるネットワークサーバ30eを介してインターネットINET(図1参照)に接続される構成が好ましい。そして、ネットワークサーバ30eがインターネットINETを介して、第1事業者M10,M11(図1参照)の容器管理装置91(図1参照)から、図3に示す容器生産管理マップを取得可能に構成されることが好ましい。さらに、検査実績保存DBサーバ30cが、検査情報活用ネットワークNE3を介して、ネットワークサーバ30eから容器生産管理マップを取得および保存可能に構成されることが好ましい。このような構成によって、検査実績保存DBサーバ30cは、第1事業者M10,M11が作成する容器生産管理マップも取得(管理)できる。
つまり、検査画像収集システム3は、容器個別管理情報(容器生産管理マップ)と、最終製品個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)を一元管理できる。
【0068】
この構成によると、最終製品生産工程P3(図4参照)の運用管理者等は、缶容器2(図2参照)の個体識別情報をキーとして、検査実績保存DBサーバ30c(図5参照)に保存されるバルブ入味検査実績データ(図8の(b)参照)と容器生産管理マップ(図3参照)を検索して取り出すことができる。また、缶容器2の個体識別情報をキーとして、検査画像保存DBサーバ30b(図5参照)に保存されるバルブ入味検査画像データ(図8の(c)参照)を検索して取り出すことができる。
【0069】
つまり、最終製品生産工程P3(図4参照)の運用管理者は必要に応じて任意の最終製品200のバルブ入味検査実績データとバルブ入味検査画像データと容器生産管理マップを検索して、例えば、画像トレース編集サーバ30d(図5参照)で確認できる。
【0070】
なお、最終製品生産工程P3(図4参照)ではバルブ入味検査実績データ(図8の(b)参照)のみを作成し、缶容器2(図4参照)の個体識別情報に判定結果や誤差の計測結果をリンクして管理する構成であってもよい。
また最終製品生産工程P3では、バルブ入味検査画像データ(図8の(c)参照)のみを作成し、缶容器2の個体識別情報にバルブ入味検査画像230a(図8の(a)参照)のみをリンクして管理する構成であってもよい。
【0071】
また、生産検査装置41(図4参照)に備わり、X線検査部42a(図4参照)を有して製品入味検査する製品入味検査装置(図示せず)を、図7に示すバルブ入味検査装置23と同等に構成することができる。すなわち、判定結果や誤差の測定結果を含む検査結果に缶容器2(図2参照)の個体識別情報をリンクした検査実績データ(製品入味検査実績データ)を作成して生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図5参照)に送信するとともに、検査画像を示す情報(画像番号)に個体識別情報をリンクした検査画像データ(製品入味検査画像データ)を作成して画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3に送信する構成とすればよい。
【0072】
さらに、検査画像収集システム3の検査実績保存DBサーバ30c(図5参照)は、生産設備管理システム4の生産検査情報DBサーバ40b(図5参照)から製品入味検査実績データを取得して保存する。製品入味検査実績データは、例えば、図8の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果や誤差の測定結果(検査結果)に缶容器2(図2参照)の個体識別情報をリンクするマップとすればよい。また、製品入味検査画像データは、例えば、図8の(c)に示すバルブ入味検査画像データと同様に、製品入味検査装置(図示せず)が撮像したX線画像(製品入味画像)の画像番号に缶容器2の個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
【0073】
また、生産検査装置41(図4参照)に備わり、撮像装置43a(図4参照)を有して最終製品200(図4参照)の外観を検査する外観検査装置(図示せず)は、例えば、外観検査の判定結果(「GOOD」または「NG」)に、当該最終製品200に使用される缶容器2(図2参照)の個体識別情報をリンクして検査実績データ(外観検査実績データ)を作成して生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図5参照)に送信する。さらに、外観検査のときに撮像装置43aが撮像した光学画像(外観検査画像)に個別の画像番号を付し、この画像番号に、当該最終製品200に使用される缶容器2の個体識別情報をリンクして検査画像データ(外観検査画像データ)を作成し、画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3(図5参照)に送信する構成とする。
さらに、検査画像収集システム3(図5参照)は、生産設備管理システム4から外観検査実績データを取得して保存する。
【0074】
外観検査実績データは、例えば、図8の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果(検査結果)に缶容器2(図2参照)の個体識別情報をリンクするマップとすればよい。なお、外観検査実績データには、誤差の項目はなくてもよい。また、外観検査画像データは、例えば、図8の(c)に示すバルブ入味検査画像データと同様に、撮像装置43a(図4参照)が撮像した外観検査画像の画像番号に缶容器2の個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
【0075】
また、生産検査装置41(図4参照)に備わり、撮像装置45a(図4参照)を有して最終製品200(図4参照)に印字された中間製品管理情報2c(図6の(b)参照)の印字状態を検査する印字検査装置(図示せず)は、例えば、印字検査の判定結果(「GOOD」または「NG」)に、当該最終製品200に使用される缶容器2(図2参照)の個体識別情報をリンクして検査実績データ(缶印字検査実績データ)を作成して生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図5参照)に送信する。さらに、印字検査のときに撮像装置45aが撮像した光学画像(缶印字検査画像)に個別の画像番号を付し、この画像番号に、当該最終製品200に使用される缶容器2の個体識別情報をリンクして検査画像データ(缶印字検査画像データ)を作成し、画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3(図5参照)に送信する構成とする。
さらに、検査画像収集システム3は、生産設備管理システム4から缶印字検査実績データを取得して保存する。
【0076】
缶印字検査実績データは、例えば、図8の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果(検査結果)に缶容器2(図2参照)の個体識別情報をリンクするマップとすればよい。なお、缶印字検査実績データには、誤差の項目はなくてもよい。また、缶印字検査画像データは、例えば、図8の(c)に示すバルブ入味検査画像データと同様に、撮像装置45a(図4参照)が撮像した缶印字検査画像の画像番号に缶容器2の個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
【0077】
また、生産検査装置41(図4参照)に備わって、最終製品200の内圧を検査する内圧検査装置(図示せず)は、例えば、超音波を最終製品200に当てて内圧を検査する装置で、最終製品200の内圧が所定の範囲内にあるか否かによって良品および不良品を判定する。また、内圧の基準値からの誤差を計測する構成であってもよい。
そして、本実施形態に係る内圧検査装置は、内圧検査の判定結果(「GOOD」または「NG」)および誤差の計測結果に、当該最終製品200に使用される缶容器2(図2参照)の個体識別情報をリンクして検査実績データ(内圧検査実績データ)を作成し、生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図5参照)に送信する。
さらに、検査画像収集システム3(図5参照)は、生産設備管理システム4から内圧検査実績データを取得して保存する。
内圧検査実績データは、例えば、図8の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果や誤差の計測結果(検査結果)に、当該最終製品200に使用される缶容器2の個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
内圧検査装置は検査画像を作成せず、検査実績データ(内圧検査実績データ)のみを作成する最終製品検査装置となる。
【0078】
そこで、検査結果に、缶容器2に付与される個体識別情報をリンクした最終製品個別管理情報(検査実績データ)を作成する最終製品検査装置と、検査実績データおよび容器生産管理マップ(図3参照)を保存する検査実績保存DBサーバ30c(図5参照)と、検査画像に、缶容器2に付与される個体識別情報をリンクした最終製品個別管理情報(検査画像データ)を作成して保存する検査画像保存DBサーバ30b(図5参照)と、を含んで個別情報管理装置と称すると、本実施形態に係る生産管理システム1は、最終製品個別管理情報を作成して保存する個別情報管理装置を備えることになる。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る生産管理システム1(図1参照)は、第1事業者M10,M11(図1参照)における容器準備工程P1(図1参照)で、缶容器2(図2参照)を個別に識別可能な個体識別情報を缶容器2に付与するとともに、個体識別情報を示す識別情報記号2d(図2参照)を缶底にステルスインクで印字できる。
さらに、容器準備工程P1では、缶容器2の容器生産情報(生産年月日や時刻、素材となる板金80a(図2参照)のロット番号等)に缶容器2の個体識別情報をリンクした容器生産管理マップ(図3参照)を、容器個別管理情報として作成して容器管理装置91(図2参照)に保存できる。
【0080】
また、第2事業者M20(図1参照)における最終製品生産工程P3(図4参照)では、第1事業者M10,M11(図1参照)で缶容器2(図4参照)に付与された個体識別情報に基づいて、最終製品200(缶入飲料)を缶容器2ごとに個別に生産管理できる。具体的に、最終製品生産工程P3では、缶容器2に付与された個体識別情報と、当該缶容器2を使用した最終製品200の検査結果がリンクした最終製品個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)を作成して、検査画像収集システム3(図5参照)で保存(管理)できる。さらに、検査画像収集システム3の検査実績保存DBサーバ30cは、容器管理装置91から容器生産管理マップを取得(または参照)可能であり、検査画像収集システム3は、容器個別管理情報(容器生産管理マップ)と、最終製品個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)を一元管理できる。つまり、個別情報管理装置で容器個別管理情報と最終製品個別管理情報を一元管理できる。
【0081】
このように、本実施形態に係る生産管理システム1(図1参照)では、容器準備工程P1(図1参照)で缶容器2(図2参照)を生産する第1事業者M10,M11(図1参照)が缶容器2に付与する個体識別情報を、第2事業者M20(図1参照)の最終製品生産工程P3(図4参照)で利用できる。つまり、生産管理システム1は、1つの最終製品200(図2参照)について、缶容器2の生産から最終製品200の生産まで、1つの個体識別情報で管理できる。
このことによって、例えば、最終製品生産工程P3の運用管理者は、缶容器2の個体識別情報に基づいて最終製品生産工程P3で作成される検査実績データ(図8の(b)参照)および検査画像データ(図8の(b)参照)に加え、容器準備工程P1で生産される容器生産管理マップ(図3参照)を参照でき、缶容器2の生産に関する情報と、当該缶容器2を使用した最終製品200(最終製品)の検査結果を含んだ情報を取得できる。
さらに、第1事業者M10,M11と第2事業者M20が全て異なる事業者(事業体)であっても、図1に示すように、インターネットINETで互いにデータ通信可能に接続される構成によって、1つの缶入飲料について缶容器2の生産から最終製品200の生産まで、1つの個体識別情報で管理できる。
【0082】
例えば、消費者13(図1参照)が販売店A12a(図1参照)から購入した缶入飲料(最終製品200(図4参照))に不具合を感じ、第2事業者M20の担当者に缶入飲料を返送した場合、第2事業者M20の担当者は、返送された最終製品200の缶容器2(図2参照)に印刷された識別情報記号2dから当該缶容器2の個体識別情報を取得できる。さらに、当該担当者は、取得した個体識別情報がリンクしている最終製品個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)を検査画像収集システム3(図5参照)から取り出して検査結果を確認できる。
そして、当該担当者は確認した検査結果に基づいて、例えば最終製品生産工程P3(図1参照)における不具合の原因の有無を判定でき、最終製品生産工程P3に不具合の原因がある場合は、その原因を取り除くことで缶入飲料の不具合を解消できる。
【0083】
また、当該担当者は、検査画像収集システム3(図5参照)を介し、取得した個体識別情報がリンクしている容器個別管理情報(容器生産管理マップ(図3参照))によって缶容器2(図2参照)の容器生産情報を確認できる。したがって、当該担当者は、最終製品生産工程P3(図1参照)に不具合の原因がない場合であっても、例えば、特定の日時や時間帯に生産された缶容器2を使用した缶入飲料に不具合が集中しているなど、缶容器2に不具合の原因があると判断したときには、缶容器2を生産した第1事業者M10,M11(図1参照)に通知することができる。
【0084】
また、この場合、缶容器2(図2参照)を生産する第1事業者M10,M11(図1参照)の担当者は、例えば、特定された日時や時間帯に生産された缶容器2のみについて回収などの対応をすればよく、当該缶容器2を含むロットの全数回収などの対応が必要ない。したがって、缶容器2の回収規模を小さくすることができ、第1事業者M10,M11に生じる、回収のための費用を低減できる。また、異常の無い缶容器2を回収することによる資源の無駄も小さくできる。
【0085】
このように、本実施形態における生産管理システム1(図1参照)は、缶容器2(図2参照)を生産する第1事業者M10,M11(図1参照)と、最終製品200(缶入飲料)を生産する第2事業者M20が異なる事業者であっても、第2事業者M20の担当者が、第1事業者M10,M11における容器準備工程P1(図2参照)まで遡って、最終製品200の不具合の原因を追究できる。
【0086】
また、缶容器2(図2参照)には、ステルスインクを使用して個体識別情報を示す識別情報記号2d(図6の(a)参照)を印字することができ、識別情報記号2dと中間製品管理情報2c(図6の(b)参照)を重ねて印字しても、消費者は識別情報記号2dを視認することなく、必要な中間製品管理情報2cを容易に読み取ることができる。
そして、最終製品生産工程P3(図4参照)では、必要に応じて識別情報記号2dを読み込んで缶容器2の個体識別情報を抽出でき、さらに、当該缶容器2が使用された最終製品200を識別できる。
また、ステルスインクを使用して缶底に識別情報記号2dを印字することによって、従来の外観(印刷図柄)に影響を与えることなく、つまり、外観を損なうことなく、識別情報記号2dを印字できる。
【0087】
なお、ステルスインクは紫外線が照射されるとルミネッセンス現象によって発光して読取装置で読み取り可能になる性質を有するもののほか、赤外線が照射されると読取装置で読み取り可能になる性質を有するステルスインクを使用することも可能である。このようなステルスインクとして、例えば赤外光を吸収する性質のものが知られている。
例えば、バルブ入味検査装置23の個体管理部100(図7参照)は、赤外線を照射する照明装置101(図7参照)と、反射した赤外光を読み取る装置(赤外線カメラ等)と、を備える構成とすればよい。識別情報記号2d(図6の(a)参照)の印字部分は赤外光が吸収されて反射されない。したがって、個体管理部100は、赤外線カメラが赤外光を検出しない部分を識別情報記号2dとして読み取る構成とすれば、ステルスインクで印字された識別情報記号2dを読み取ることができる。
【0088】
また、本実施形態は、缶容器2(図2参照)に飲料が充填封入された缶入飲料(最終製品200)に限定されず、例えば、殺虫液や化粧液など、液体や気体の中間製品を缶容器や樹脂製容器に充填封入して最終製品を生産する生産管理システムにも適用できる。
【0089】
なお、図1に示す生産管理システム1の各生産工程の内容および配置順、各生産工程に備わる生産装置の種類や配置順は、図1に示す構成に限定されるものではなく、生産管理システム1が生産する最終製品の種類に応じて適宜変更可能である。
【0090】
また、図1には第1事業者M10,M11と第2事業者M20をインターネットINETで接続する構成が記載されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、インターネットINETに替わる専用回線で、第1事業者M10,M11と、第2事業者M20がデータ通信可能に接続される構成であってもよい。
また、第2事業者M20の検査画像収集システム3のネットワークサーバ30e(図5参照)と、第1事業者M10,M11に備わる容器管理装置91(図1参照)のコンピュータ(図示せず)とで、クラウドコンピューティングのシステムを構築し、第1事業者M10,M11と、第2事業者M20と、の間でデータを送受信する構成であってもよい。
また、第1事業者M10,M11と第2事業者M20が同一の事業者の場合は、容器管理装置91とネットワークサーバ30eを、VPN(Virtual Private Network)などのネットワークで接続する構成であってもよい。
【0091】
また、第1事業者M10,M11(図1参照)は、缶容器2を生産する製缶メーカに限定されない。例えば、ビール(中間製品)など繰り返し利用される容器(ビン)に入れられる最終製品を生産する生産システムにおける生産管理システムの場合、第1事業者M10,M11はビンを洗浄、消毒して容器を準備する容器準備工程P1を備える事業者であってもよい。
この場合は、例えば、洗浄前に当該ビンに印字された識別情報記号2d(図2参照)を容器準備工程P1で消去し、洗浄、消毒したビンに新たに個体識別情報を付与するとともに、その個体識別情報を示す識別情報記号2dをステルスインクでビンの底部に印字する構成とすればよい。さらに、新たに付与した個体識別情報に、当該ビンが生産されたときの生産情報(容器生産情報)をリンクして管理する構成とすれば、当該ビンの容器生産情報に、新たに付与した個体識別情報をリンクした容器個別管理情報を作成できる。
このような構成であってもビンを個別管理可能であり、前記した缶容器2の場合と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0092】
1 生産管理システム
2 缶容器(容器)
3 検査画像収集システム
4 生産設備管理システム
21 充填装置(最終製品検査装置、個別情報管理装置)
30a 全画像収集ネットワークレコーダ(画像保存装置、個別情報管理装置)
30b 検査画像保存DBサーバ(画像管理装置、個別情報管理装置)
30c 検査実績保存DBサーバ(検査実績管理装置、個別情報管理装置)
41 生産検査装置(最終製品検査装置、個別情報管理装置)
91 容器管理装置
100 個体管理部(読取装置)
200 最終製品
M10,M11 第1事業者
M20 第2事業者
P1 容器準備工程
P2 中間製品生産工程
P3 最終製品生産工程
P4 保管工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
準備された容器に、生産単位ごとに統一された中間製品管理情報が付与される中間製品を入れて最終製品とする生産システムにおける生産管理システムであって、
前記容器を準備する容器準備工程において、前記容器の個体を識別する個体識別情報を、準備された前記容器に付与するとともに、前記個体識別情報を示す識別情報記号を当該容器の所定の印字面に印字し、さらに、前記容器の生産に関する容器生産情報に前記個体識別情報をリンクした容器個別管理情報を作成する容器管理装置と、
前記容器に前記中間製品を入れて最終製品を生産する最終製品生産工程において、前記容器に前記中間製品が入った前記最終製品を個別検査して最終製品検査情報を作成する最終製品検査装置と、
前記最終製品から前記識別情報記号を読み取って前記個体識別情報を抽出する読取装置と、
前記最終製品検査情報に前記個体識別情報をリンクした最終製品個別管理情報を作成して前記容器個別管理情報と前記最終製品個別管理情報を管理する個別情報管理装置とを備える、ことを特徴とする生産管理システム。
【請求項2】
前記容器管理装置は、可視光に対して透明で紫外線または赤外線が照射されたときに前記読取装置に読み取られる不可視インクで、前記識別情報記号を前記容器に印字することを特徴とする請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記識別情報記号は、前記個体識別情報を二次元コードにコード化した記号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記容器準備工程で前記容器を準備する第1事業者と、
前記最終製品生産工程で前記最終製品を生産する第2事業者と、が異なる事業者であって互いにデータ通信可能に接続され、
前記第2事業者は、前記第1事業者から前記容器個別管理情報を取得可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記中間製品は飲料で、前記容器は略円筒状の缶容器で、前記印字面は前記缶容器の底部で、前記識別情報記号と前記中間製品管理情報は互いに重なる部分を有して前記印字面に印字されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の生産管理システム。
【請求項6】
前記最終製品検査情報は、前記最終製品検査装置が前記最終製品を検査するときに撮像する検査画像を含み、
前記個別情報管理装置は、
前記検査画像を保存する画像保存装置と、
前記検査画像を示す情報に前記個体識別情報をリンクして作成される検査画像データを前記最終製品個別管理情報として保存する画像管理装置と、を含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の生産管理システム。
【請求項7】
前記最終製品検査情報は、前記最終製品検査装置が前記最終製品を検査した検査結果を含み、
前記個別情報管理装置は、
前記検査結果に前記個体識別情報をリンクして作成される検査実績データを前記最終製品個別管理情報として保存する検査実績管理装置を含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の生産管理システム。
【請求項8】
前記生産単位は、前記中間製品の製造ロットであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の生産管理システム。
【請求項9】
準備された容器に、生産単位ごとに統一された中間製品管理情報が付与される中間製品を入れて最終製品とする生産管理システムにおける生産管理方法であって、
前記容器を準備する容器準備工程と、
前記容器に前記中間製品を入れて最終製品を生産する最終製品生産工程と、を含み、
前記容器準備工程は、容器管理装置が、前記容器の個体を識別する個体識別情報を準備された前記容器に付与するとともに、前記個体識別情報を示す識別情報記号を当該容器の所定の印字面に印字する工程と、
前記容器管理装置が、前記容器の生産に関する容器生産情報に前記個体識別情報をリンクした容器個別管理情報を作成する工程を含み、
前記最終製品生産工程は、前記容器に前記中間製品が入った前記最終製品を個別検査する最終製品検査装置が、前記最終製品を検査して最終製品検査情報を作成する工程と、
読取装置が、前記識別情報記号を読み取って前記個体識別情報を抽出する工程と、
個別情報管理装置が、前記最終製品検査情報に前記個体識別情報をリンクした最終製品個別管理情報を作成して前記容器個別管理情報と前記最終製品個別管理情報を管理する工程と、を含んでいることを特徴とする生産管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−221356(P2012−221356A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88243(P2011−88243)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【特許番号】特許第4759099号(P4759099)
【特許公報発行日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】