産業用ロボット
【課題】大型化する搬送対象物を搬送する場合であっても、小型化が可能で、かつ、コストを低減することが可能な産業用ロボットを提供すること。
【解決手段】産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが連結されるアームと、アームを支持する支持部材と、支持部材を上下動させる上下駆動機構と、上下駆動機構を制御する制御部80とを備えている。上下駆動機構は、2台の駆動用モータ20を備え、制御部80は、2台の駆動用モータ20を制御するモータ制御部81を備えている。モータ制御部81は、一方の駆動用モータ20と、他方の駆動用モータ20とを個別に制御している。
【解決手段】産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが連結されるアームと、アームを支持する支持部材と、支持部材を上下動させる上下駆動機構と、上下駆動機構を制御する制御部80とを備えている。上下駆動機構は、2台の駆動用モータ20を備え、制御部80は、2台の駆動用モータ20を制御するモータ制御部81を備えている。モータ制御部81は、一方の駆動用モータ20と、他方の駆動用モータ20とを個別に制御している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットが広く利用されている。この種の産業用ロボットとして、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドを保持するアームと、アームを上下動させるボールネジとを備える産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ボールネジに1台のモータが連結されており、ボールネジは1台のモータで駆動されている。
【0003】
また、搬送対象物を搬送する産業用ロボットではないが、ロボットの本体部分を搭載するベースが水平方向に移動可能となっている産業用ロボットも知られている(たとえば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の産業用ロボットは、ベースを水平方向に移動させるためのラックおよびピニオンと、ピニオンを回転駆動するための1台のモータを備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−102886号公報
【特許文献2】特開平6−106487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶ディスプレイ用ガラス基板等のように、産業用ロボットによって搬送される搬送対象物の中には、年々、大型化するものがある。この搬送対象物の大型化に伴って、大型化する搬送対象物を搬送する産業用ロボットは大型化する傾向にある。また、産業用ロボットの大型化に伴って、産業用ロボットのコストが増大する傾向にある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、大型化する搬送対象物を搬送する場合であっても、小型化が可能で、かつ、コストを低減することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが連結されるアームと、アームを支持する支持部材とを備えるとともに、支持部材を上下動させる上下駆動機構および/または支持部材を水平方向に移動させるための水平駆動機構および/または上下方向を軸方向とする所定の中心軸を中心に支持部材を回転させるための回転駆動機構と、上下駆動機構および/または水平駆動機構および/または回転駆動機構を制御する制御部とを備え、上下駆動機構および/または水平駆動機構および/または回転駆動機構は、複数の駆動用モータを備え、制御部は、複数の駆動用モータを制御するモータ制御部を備え、モータ制御部は、複数の駆動用モータのうちの何台かの駆動用モータである第1の駆動用モータと、第1の駆動用モータを除く残りの駆動用モータである第2の駆動用モータとを個別に制御することを特徴とする。
【0008】
搬送対象物の大型化に伴って、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構で要求される駆動用モータの総容量が大きくなる。そのため、1台の駆動用モータで、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構を駆動する場合には、体格の大きなモータを使用する必要があり、産業用ロボットが大型化するおそれがある。
【0009】
本発明の産業用ロボットでは、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構が複数の駆動用モータを備えている。そのため、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構で要求される駆動用モータの総容量が大きい場合であっても、体格の小さな駆動用モータを使用することができる。また、体格の大きな1台の駆動用モータを使用する場合と比較して、体格の小さな複数の駆動用モータを使用する場合には、駆動用モータの配置の自由度が高くなる。したがって、本発明では、大きな搬送対象物を搬送するにもかかわらず、産業用ロボットを小型化することが可能になる。
【0010】
また、駆動用モータの容量が所定の容量を超えると、駆動用モータの価格は急激に高くなるが、本発明では、容量の小さな駆動用モータを使用することができるため、複数の駆動用モータが使用される場合であっても、産業用ロボットのコストを低減することが可能になる。
【0011】
さらに、本発明では、容量の小さな駆動用モータを使用することができるため、1台の駆動用モータから伝達される動力は小さくなる。したがって、駆動用モータの動力を伝達する歯車等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0012】
一方、複数の駆動用モータを使用すると、回転速度の差等の原因で、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となる場合が生じるおそれがある。本発明では、モータ制御部は、複数の駆動用モータのうちの何台かの駆動用モータである第1の駆動用モータと、第1の駆動用モータを除く残りの駆動用モータである第2の駆動用モータとを個別に制御している。そのため、第1の駆動用モータの駆動トルクが第2の駆動用モータの大きな負荷にならないように、また、第2の駆動用モータの駆動トルクが第1の駆動用モータの大きな負荷にならないように、第1の駆動用モータおよび第2の駆動用モータを制御することが可能になる。したがって、本発明では、複数の駆動用モータを使用しても、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、第1の駆動用モータは、1台の駆動用モータであることが好ましい。このように構成すると、1台の駆動用モータを基準にして、残りの駆動用モータを制御することができる。したがって、たとえば、1台の第1の駆動用モータの回転速度を制御するとともに、残りの第2の駆動用モータの回転速度を制御しないようにすることで、第2の駆動用モータを、1台の第1の駆動用モータの回転速度に追従させて回転させることができる。その結果、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となるのを確実に防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第1の駆動用モータを制御し、かつ、トルク制御によって第2の駆動用モータを制御することが好ましい。このように構成すると、第2の駆動用モータの回転速度または回転位置が制御されなくなるため、第2の駆動用モータは、第1の駆動用モータの回転速度または回転位置に追従して回転する。したがって、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することができる。
【0015】
本発明において、産業用ロボットは、第1の駆動用モータとして第1の水平駆動用モータを有するとともに第2の駆動用モータとして第2の水平駆動用モータを有する水平駆動機構を備え、制御部は、モータ制御部として第1の水平駆動用モータおよび第2の水平駆動用モータを制御する水平モータ制御部を備え、水平モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第1の水平駆動用モータを制御し、かつ、第2の水平駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第2の水平駆動用モータを制御するとともに、第2の水平駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって第2の水平駆動用モータを制御することが好ましい。
【0016】
このように構成すると、第2の水平駆動用モータの停止前以外では、第2の水平駆動用モータの回転速度または回転位置が制御されなくなるため、第2の水平駆動用モータは、第1の水平駆動用モータの回転速度または回転位置に追従して回転する。したがって、ある水平駆動用モータの駆動トルクが他の水平駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することができる。また、第2の水平駆動用モータの停止前には、第2の水平駆動用モータの回転速度または回転位置を制御して、第1の水平駆動用モータおよび第2の水平駆動用モータの動力を支持部材に伝達するための動力伝達機構の停止時のバックラッシをなくすことが可能になる。
【0017】
本発明において、産業用ロボットは、第1の駆動用モータとして第1の回転駆動用モータを有するとともに第2の駆動用モータとして第2の回転駆動用モータを有する回転駆動機構を備え、制御部は、モータ制御部として第1の回転駆動用モータおよび第2の回転駆動用モータを制御する回転モータ制御部を備え、回転モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第1の回転駆動用モータを制御し、かつ、第2の回転駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第2の回転駆動用モータを制御するとともに、第2の回転駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって第2の回転駆動用モータを制御することが好ましい。
【0018】
このように構成すると、第2の回転駆動用モータの停止前以外では、第2の回転駆動用モータの回転速度または回転位置が制御されなくなるため、第2の回転駆動用モータは、第1の回転駆動用モータの回転速度または回転位置に追従して回転する。したがって、ある回転駆動用モータの駆動トルクが他の回転駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することができる。また、第2の回転駆動用モータの停止前には、第2の回転駆動用モータの回転速度または回転位置を制御して、第1の回転駆動用モータおよび第2の回転駆動用モータの動力を支持部材に伝達するための動力伝達機構の停止時のバックラッシをなくすことが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明にかかる産業用ロボットでは、大型化する搬送対象物を搬送する場合であっても、産業用ロボットを小型化することおよび産業用ロボットのコストを低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1のE−E方向から産業用ロボット1を示す図である。図3は、図1のF−F方向から産業用ロボット1を示す図である。
【0022】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である液晶ディスプレイ用ガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するためのロボットである。本形態のロボット1は、特に大型の基板2の搬送に適した大型のロボットであり、たとえば、1辺が約3mの略正方形状の基板2を搬送する。なお、搬送対象物は、基板2に限定されず、半導体ウエハ等であっても良い。
【0023】
このロボット1は、図1〜図3に示すように、基板2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース部材6とを備えている。本体部5は、2本のアーム4の基端側を支持するとともに上下動可能な支持部材7と、支持部材7を上下方向に移動可能に支持するための柱状部材8と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース部材6に対して水平移動可能な基台9と、柱状部材8の下端が固定されるとともに基台9に対して旋回可能な旋回部材10とを備えている。
【0024】
上述のように、本形態のロボット1は、大型のロボットである。たとえば、ロボット1の高さは約7mであり、支持部材7の上下方向のストローク(移動量)は約5mである。また、たとえば、ハンド3の水平方向のストロークは約5.5mである。
【0025】
ハンド3は、基板2を搭載するための複数の爪部12を備えている。バンド3の基端は、アーム4の先端に回動可能に連結されている。アーム4は、2個の関節部13を有し、全体として伸縮するように構成されている。また、アーム4の基端は、支持部材7に固定されている。
【0026】
本形態では、2個のハンド3と2本のアーム4とが上下方向に重なるように配置されている。すなわち、本形態のロボット1は、ダブルアームタイプのロボットである。なお、ロボット1は、1個のハンド3と1本のアーム4とを備えるシングルアームタイプのロボットであっても良い。
【0027】
また、ロボット1は、支持部材7を上下動させる上下駆動機構16(図4参照)と、本体部5を水平方向へ移動させる水平駆動機構17(図7参照)と、基台9に対して旋回部材10を旋回させる回転駆動機構18(図7参照)とを備えている。以下、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の構成、および、その周辺部分の構成を説明する。
【0028】
(上下駆動機構およびその周辺部の構成)
図4は、図1のF−F方向から支持部材7および上下駆動機構16を示す図である。図5は、図4のG−G方向から支持部材7、柱状部材8および上下駆動機構16を示す図である。図6は、図4のH−H方向から上下駆動機構16を示す図である。
【0029】
上下駆動機構16は、図5に示すように、柱状部材8の側方(図5における柱状部材8の下方)に配置されている。この上下駆動機構16は、2台の上下駆動用モータ20と、2台の上下駆動用モータ20のそれぞれに連結される2個の減速機21とを備えている。図4に示すように、1台の上下駆動用モータ20、2個の減速機21および1台の上下駆動用モータ20が上からこの順番で移動部材7に固定されている。
【0030】
また、上下駆動機構16は、2個の減速機21のそれぞれの出力軸に固定される上下駆動用ピニオンとしての2個のピニオン(小歯車)22と、2個のピニオン22と噛み合う上下駆動用ラックとしてのラック23とを備えている。この2個のピニオン22とラック23とによって、支持部材7は上下方向に移動する。さらに、上下駆動機構16は、上下駆動機構16を停止させるための(すなわち、支持部材7を停止させるための)2個の上下ブレーキ機構24を備えている。
【0031】
また、ロボット1は、図5に示すように、支持部材7を上下方向に案内するためのガイド部25を備えている。ガイド部25は、ガイドレール26とガイドレール26に係合するガイドブロック27とから構成されている。なお、柱状部材8は、上下方向を長手方向とする細長い略角柱状に形成され、支持部材7は、ブロック状に形成されている。
【0032】
上下駆動用モータ20は、上下駆動用モータ20の回転速度を検出するための速度検出機構(図示省略)を備えている。この速度検出機構は、たとえば、円板状に形成されたスリット板と、スリット板を挟んだ状態で対向配置される発光素子および受光素子とから構成されている。
【0033】
図6に示すように、上下駆動用モータ20の出力軸には、プーリ28が固定されている。また、減速機21の入力軸には、プーリ28よりも径の大きなプーリ29が固定されている。プーリ28、29には、ベルト30が架け渡されており、上下方向で隣接配置される上下駆動用モータ20と減速機21とがこのベルト30によって連結されている。
【0034】
ラック23は、上下方向を長手方向として柱状部材8に固定されている(図5参照)。上述のように、本形態では、支持部材7の上下方向のストロークが長い。すなわち、ラック23の長さは長い。そのため、本形態では、ラック23は、複数のラック片を繋ぎ合わせることで形成されている。なお、1個のラック片の長さは、2個のピニオン22の配置ピッチよりも長くなっている。
【0035】
上下ブレーキ機構24は、図6等に示すように、プーリ29に隣接するように減速機21の入力軸に取り付けられている。すなわち、2個の上下ブレーキ機構24のそれぞれは、プーリ28、29およびベルト30を介して2台の上下駆動用モータ20のそれぞれに連結されている。
【0036】
この上下ブレーキ機構24は、いわゆる無励磁作動型のブレーキであり、コイルが収納されるケース体と、ケース体に固定されるサイドプレートと、ケース体に対して軸方向に移動可能に配置されるアマーチュアと、サイドプレートとアマーチュアとの間に配置されるとともに減速機21の入力軸に固定されるブレーキディスクと、アマーチュアをブレーキディスクに向かって付勢する圧縮コイルバネとを備えている。上下ブレーキ機構24では、コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。また、コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、減速機21に急激にブレーキがかかる。なお、1個の上下ブレーキ機構24は、基板2、ハンド3、アーム4および支持部材7等を含む上下方向に移動する部分を十分に停止させることができる制動力を有している。
【0037】
ガイドレール26は、上下方向を長手方向として柱状部材8に固定されている(図5参照)。本形態では、2本のガイドレール26が柱状部材8に固定されている。具体的には、図5の左右方向に平行な2つの柱状部材8の取付面のそれぞれにガイドレール26が固定されている。また、図5の下側に配置されるガイドレール26は、ラック23に隣接するように固定されている。
【0038】
ガイドブロック27は、支持部材7に固定されている。具体的には、支持部材7の、アーム4の固定面(図5の右端面)に直交する面に、ガイドブロック27が固定されており、ガイドブロック27は、図5の上下方向の外側からガイドレール26に係合している。
【0039】
なお、本形態では、図5に示すように、柱状部材8にカバー部材31が固定されている。このカバー部材31は、図5の上下方向からガイドレール26を覆うように配置されている。
【0040】
(水平駆動機構およびその周辺部の構成)
図7は、図2のJ部の内部構成を説明するための図である。図8は、図3のK−K方向から水平駆動機構17等の構成を説明するための図である。図9は、図8のL−L方向から水平駆動機構17の構成を説明するための図である。
【0041】
水平駆動機構17は、図7に示すように、図7における基台9の左端側に配置されている。この水平駆動機構17は、2台の水平駆動用モータ40を備えている。図8に示すように、2台の水平駆動用モータ40は、図8の左右方向で隣接するように配置されている。また、2台の水平駆動用モータ40のそれぞれは、基台9に固定された2個のブラケット52のそれぞれに固定されている。2個のブラケット52のそれぞれには、図8、図9に示すように、回転軸53が軸受54を介して回転可能に保持されている。2本の回転軸53は、図8の左右方向で隣接するように配置されている。
【0042】
また、水平駆動機構17は、2本の回転軸53のそれぞれの下端に固定される水平駆動用ピニオンとしての2個のピニオン42と、2個のピニオン42と噛み合う水平駆動用ラックとしてのラック43とを備えている。この2個のピニオン42とラック43とによって、基台9は水平方向へ移動する。さらに、水平駆動機構17は、水平駆動機構17を停止させるための(すなわち、基台9を停止させるための)2個の水平ブレーキ機構44を備えている。
【0043】
また、ロボット1は、基台9を水平方向に案内するためのガイド部45を備えている。ガイド部45は、ガイドレール46とガイドレール46に係合するガイドブロック47とから構成されている。また、ベース部材6は、図7、図8に示すように、細長い2本のレール状部材51を備えている。このレール状部材51は、図7の左右方向に所定の間隔をあけた状態で平行に配置されている。
【0044】
水平駆動用モータ40は、水平駆動用モータ40の回転速度を検出するための速度検出機構(図示省略)を備えている。この速度検出機構は、たとえば、円板状に形成されたスリット板と、スリット板を挟んだ状態で対向配置される発光素子および受光素子とから構成されている。
【0045】
図9に示すように、水平駆動用モータ40の出力軸には、プーリ48が固定されている。また、回転軸53の上端側には、プーリ48よりも径の大きなプーリ49が固定されている。プーリ48、49には、ベルト50が架け渡されており、図8の上下方向で隣接配置される水平駆動用モータ40と回転軸53とがこのベルト50によって連結されている。
【0046】
ラック43は、図8に示すように、レール状部材51の上面に固定されている。本形態では、基台9の移動量が大きいため、ラック43の長さは長い。そのため、ラック43は、複数のラック片を繋ぎ合わせることで形成されている。
【0047】
水平ブレーキ機構44は、図9に示すように、プーリ48に隣接するように水平駆動用モータ40の出力軸に取り付けられている。この水平ブレーキ機構44は、上下ブレーキ機構24と同様にいわゆる無励磁作動型のブレーキであり、上下ブレーキ機構24と同様に構成されている。すなわち、水平ブレーキ機構44では、コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。また、コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、水平駆動用モータ40に急激にブレーキがかかる。
【0048】
ガイドレール46は、図8に示すように、レール状部材51の上面に固定されている。本形態では、2本のレール状部材51のそれぞれの上面にガイドレール46が固定されている。また、図8の上側に配置されるガイドレール46は、ラック43に隣接するように固定されている。ガイドブロック47は、図7に示すように、図7の左右方向における基台9の両端部に固定されている。このガイドブロック47は、上側からガイドレール46に係合している。
【0049】
(回転駆動機構およびその周辺部分の構成)
図10は、図1に示す旋回部材10の平面図である。図11は、図10のM−M断面の断面図である。
【0050】
回転駆動機構18は、図10、図11に示すように、旋回部材10の旋回中心となる中心軸CLの周りに配置されている。この回転駆動機構18は、2台の回転駆動用モータ60を備えている。図10に示すように、2台の回転駆動用モータ60は、中心軸CLに対して点対称に配置され、旋回部材10の中心部に固定されている。また、回転駆動機構18は、旋回部材10の中心部に固定される減速機61を備えている。さらに、回転駆動機構18は、回転駆動機構18を停止させるための(すなわち、旋回部材10を停止させるための)1個の回転ブレーキ機構64を備えている。なお、旋回部材10は、細長いブロック状の部材であり、一端側(図10の左端側)に柱状部材8の下端が固定されている。
【0051】
回転駆動用モータ60は、回転駆動用モータ60の回転速度を検出するための速度検出機構(図示省略)を備えている。この速度検出機構は、たとえば、円板状に形成されたスリット板と、スリット板を挟んだ状態で対向配置される発光素子および受光素子とから構成されている。
【0052】
図11に示すように、回転駆動用モータ60の出力軸には、出力歯車68が固定されており、2個の出力歯車68が減速機61の入力歯車69と噛み合っている。この2個の出力歯車68と入力歯車69を含む減速機61とによって、旋回部材10は、基台9に対して旋回する。すなわち、旋回部材10の中心部には減速機61の出力側が固定されており、減速機61を介して伝達される回転駆動用モータ60の動力で、旋回部材10は、基台9に対して旋回する。
【0053】
回転ブレーキ機構64は、図11に示すように、旋回部材10の中心部に軸受74を介して回転可能に保持される回転軸73の上端に固定されている。回転軸73の下端には、減速機61の入力歯車69と噛み合う歯車70が固定されている。また、回転ブレーキ機構64は、図10に示すように、中心軸CLを中心に回転駆動用モータ60を90°回転させた位置に配置されている。
【0054】
この回転ブレーキ機構64は、上下ブレーキ機構24と同様にいわゆる無励磁作動型のブレーキであり、上下ブレーキ機構24と同様に構成されている。すなわち、回転ブレーキ機構64では、コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。また、コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、入力歯車69に急激にブレーキがかかる。
【0055】
(制御部の構成)
図12は、図1に示す産業用ロボット1の制御部80およびその関連部分のブロック図である。なお、図12では、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の制御に関連する制御部80の構成が図示されている。
【0056】
制御部80は、図12に示すように、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の制御に関連する構成として、2台の上下駆動用モータ20を制御する上下モータ制御部81と、2台の水平駆動用モータ40を制御する水平モータ制御部82と、2台の回転駆動用モータ60を制御する回転モータ制御部83と、2個の上下ブレーキ機構24を制御する上下ブレーキ制御部84と、2個の水平ブレーキ機構44を制御する水平ブレーキ制御部85と、1個の回転ブレーキ機構64を制御する回転ブレーキ制御部86とを備えている。また、制御部80には、制御指令部87が接続されている。
【0057】
上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のそれぞれを個別に制御する。具体的には、上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、他方の上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御する。すなわち、上下モータ制御部81は、一方の上下駆動用モータ20に対しては、この上下駆動用モータ20の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御とこの上下駆動用モータ20の電流値を制御するトルク制御とを行い、他方の上下駆動用モータ20に対しては、この上下駆動用モータ20の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行わずにこの上下駆動用モータ20の電流値を制御するトルク制御を行う。
【0058】
本形態では、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20は、第1の駆動用モータである。また、他方の上下駆動用モータ20は、第2の駆動用モータである。
【0059】
水平モータ制御部82は、2台の水平駆動用モータ40のそれぞれを個別に制御する。具体的には、水平モータ制御部82は、2台の水平駆動用モータ40のうちの一方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御する。また、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前には、一方の水平駆動用モータ40と同様に、他方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するが、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御する。
【0060】
すなわち、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40に対して、この水平駆動用モータ40の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行わずにトルク制御を行う。また、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前には、他方の水平駆動用モータ40に対して、この水平駆動用モータ40の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行って、2個のピニオン42とラック43との間のバックラッシがなくなるように、他方の水平駆動用モータ40の回転速度を制御する。
【0061】
ここで、他方の水平駆動用モータ40が停止前であるか否かは、たとえば、一方の水平駆動用モータ40の速度検出機構からの出力に基づいて水平モータ制御部82が判断する。たとえば、水平モータ制御部82は、一方の水平駆動用モータ40の速度検出機構によって検出される、基台9の所定の基準位置から停止予定位置までのパルス数と、実際に速度検出機構で検出されたパルス数との差を算出して、その差が所定の値以下であれば、他方の水平駆動用モータ40が停止前であると判断する。すなわち、停止予定位置から所定距離の範囲内に基台9が入ると、他方の水平駆動用モータ40の停止前となる。
【0062】
本形態では、2台の水平駆動用モータ40のうちの一方の水平駆動用モータ40は、第1の駆動用モータであり、かつ、第1の水平駆動用モータである。また、他方の水平駆動用モータ40は、第2の駆動用モータであり、かつ、第2の水平駆動用モータである。
【0063】
同様に、回転モータ制御部83は、2台の回転駆動用モータ60のそれぞれを個別に制御する。具体的には、回転モータ制御部83は、2台の回転駆動用モータ60のうちの一方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御する。また、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60の停止前には、一方の回転駆動用モータ60と同様に、他方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するが、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御する。
【0064】
すなわち、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60に対して、この回転駆動用モータ60の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行わずにトルク制御を行う。また、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60の停止前には、他方の回転駆動用モータ60に対して、この回転駆動用モータ60の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行って、2個の出力歯車68と入力歯車69との間のバックラッシがなくなるように、他方の回転駆動用モータ60の回転速度を制御する。
【0065】
ここで、他方の回転駆動用モータ60が停止前であるか否かは、たとえば、一方の回転駆動用モータ60の速度検出機構からの出力に基づいて回転モータ制御部83が判断する。たとえば、回転モータ制御部83は、一方の回転駆動用モータ60の速度検出機構によって検出される、旋回部材10の所定の基準位置から停止予定位置までのパルス数と、実際に速度検出機構で検出されたパルス数との差を算出して、その差が所定の値以下であれば、他方の回転駆動用モータ60が停止前であると判断する。すなわち、停止予定位置から所定角度内に旋回部材10が入ると、他方の回転駆動用モータ60の停止前となる。
【0066】
本形態では、2台の回転駆動用モータ60のうちの一方の回転駆動用モータ60は、第1の駆動用モータであり、かつ、第1の回転駆動用モータである。また、他方の回転駆動用モータ60は、第2の駆動用モータであり、かつ、第2の回転駆動用モータである。
【0067】
上下ブレーキ制御部84は、制御指令部87から支持部材7の停止信号が入力されると、2個の上下ブレーキ機構24を段階的に作動させる。すなわち、制御指令部87から支持部材7の停止信号が入力されると、上下ブレーキ制御部84は、一方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングと他方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングとが変わるように(ずれるように)、2個の上下ブレーキ機構24を作動させる。具体的には、上下ブレーキ制御部84は、他方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングが一方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングよりも遅れるように、2個の上下ブレーキ機構24を作動させる。より具体的には、上下ブレーキ制御部84は、他方の上下ブレーキ機構24のコイルへの通電を停止するタイミングが一方の上下ブレーキ機構24のコイルへの通電を停止するタイミングよりも遅れるように、2個の上下ブレーキ機構24のコイルへの通電を停止する。
【0068】
同様に、水平ブレーキ制御部85は、制御指令部87から基台9の停止信号が入力されると、2個の水平ブレーキ機構44を段階的に作動させる。すなわち、制御指令部87から基台9の停止信号が入力されると、水平ブレーキ制御部85は、一方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングと他方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングとがずれるように、2個の水平ブレーキ機構44を作動させる。具体的には、水平ブレーキ制御部85は、他方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングが一方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングよりも遅れるように、2個の水平ブレーキ機構44を作動させる。なお、水平ブレーキ制御部85は、制御指令部87から基台9の停止信号が入力されたときに、2個の水平ブレーキ機構44を同時に作動させても良い。
【0069】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上下駆動機構16は、2台の上下駆動用モータ20を備えている。そのため、大型の基板2を搬送するために、上下駆動機構16で要求される上下駆動用モータ20の総容量が大きくなる場合であっても、比較的体格の小さな上下駆動用モータ20を使用することができる。たとえば、上下駆動機構16で要求される上下駆動用モータ20の総容量が10kWである場合には、体格の大きな10kWの上下駆動用モータを使用するのではなく、比較的体格の小さな5kWの上下駆動用モータ20を使用することができる。また、体格の大きな1台の上下駆動用モータを使用する場合と比較して、体格の小さな2台の上下駆動用モータ20を使用する場合には、上下駆動用モータ20の配置の自由度が高くなる。したがって、本形態では、大きな基板2を搬送するにもかかわらず、ロボット1を小型化することが可能になる。
【0070】
また、上下駆動用モータ20の容量が所定の容量を超えると、上下駆動用モータ20の価格は急激に高くなるが、本形態では、比較的容量の小さな上下駆動用モータ20を使用することができるため、2台の上下駆動用モータ20が使用される場合であっても、ロボット1のコストを低減することが可能になる。
【0071】
さらに、本形態では、比較的容量の小さな上下駆動用モータ20を使用することができるため、1台の上下駆動用モータ20から伝達される動力は小さくなる。したがって、上下駆動用モータ20の動力を伝達する減速機21、ピニオン22およびラック23等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、減速機21、ピニオン22およびラック23等の動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、減速機21、ピニオン22およびラック23等の動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0072】
一方、上下駆動機構16が2台の上下駆動用モータ20を使用しているため、一方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが他方の上下駆動用モータ20の大きな負荷となり、他方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが一方の上下駆動用モータ20の大きな負荷となる場合が生じるおそれがあるが、本形態では、上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、他方の上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御している。すなわち、上下モータ制御部81は、一方の上下駆動用モータ20の回転速度は制御するが、他方の上下駆動用モータ20の回転速度は制御しておらず、他方の上下駆動用モータ20は、一方の上下駆動用モータ20に追従して回転する。そのため、2台の上下駆動用モータ20の間に大きな回転速度の差が生じることがなくなる。したがって、一方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが他方の上下駆動用モータ20の大きな負荷になるのを防止し、他方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが一方の上下駆動用モータ20の大きな負荷になるのを防止することができる。
【0073】
また、他方の上下駆動用モータ20が一方の上下駆動用モータ20に追従して回転するため、減速機21等を介して2台の上下駆動用モータ20のそれぞれに連結されている2個のピニオン22がラック23と噛み合っている場合であっても、2個のピニオン22の歯とラック23の歯とが必要以上の力で噛み合うのを防止することができる。その結果、ピニオン22およびラック23の損傷を抑制して、上下駆動機構16で支持部材7を適切に上下動させることができる。
【0074】
本形態では、水平駆動機構17は、2台の水平駆動用モータ40を備えている。そのため、上下駆動機構16と同様に、水平駆動機構17で要求される水平駆動用モータ40の総容量が大きくなる場合であっても、比較的体格の小さな水平駆動用モータ40を使用することができ、また、水平駆動用モータ40の配置の自由度が高くなる。したがって、本形態では、大きな基板2を搬送するにもかかわらず、ロボット1を小型化することが可能になる。
【0075】
また、本形態では、比較的容量の小さな水平駆動用モータ40を使用することができるため、2台の水平駆動用モータ40が使用される場合であっても、ロボット1のコストを低減することが可能になる。さらに、本形態では、比較的容量の小さな水平駆動用モータ40を使用することができるため、1台の水平駆動用モータ40から伝達される動力は小さくなる。したがって、水平駆動用モータ40の動力を伝達するピニオン42およびラック43等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、水平駆動用モータ40の動力を伝達する動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、水平駆動用モータ40の動力を伝達する動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0076】
一方、水平駆動機構17が2台の水平駆動用モータ40を使用しているため、一方の水平駆動用モータ40(または他方の水平駆動用モータ40)の駆動トルクが他方の水平駆動用モータ40(または一方の水平駆動用モータ40)の大きな負荷となる場合が生じるおそれがあるが、本形態では、水平モータ制御部82は、2台の水平駆動用モータ40のうちの一方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御している。
【0077】
すなわち、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、一方の水平駆動用モータ40の回転速度は制御するが、他方の水平駆動用モータ40の回転速度は制御しておらず、他方の水平駆動用モータ40は、一方の水平駆動用モータ40に追従して回転する。そのため、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、2台の水平駆動用モータ40の間に大きな回転速度の差が生じることがなくなり、一方の水平駆動用モータ40(または他方の水平駆動用モータ40)の駆動トルクが他方の水平駆動用モータ40(または一方の水平駆動用モータ40)の大きな負荷になるのを防止することができる。
【0078】
また、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40が一方の水平駆動用モータ40に追従して回転するため、プーリ48、49およびベルト50を介して2台の水平駆動用モータ40のそれぞれに連結されている2個のピニオン42がラック43と噛み合っている場合であっても、2個のピニオン42の歯とラック43の歯とが必要以上の力で噛み合うのを防止することができる。その結果、ピニオン42およびラック43の損傷を抑制して、水平駆動機構17で本体部5を適切に水平移動させることができる。
【0079】
また、本形態では、他方の水平駆動用モータ40の停止前には、他方の水平駆動用モータ40は速度制御とトルク制御とによって制御されており、2個のピニオン42とラック43との間のバックラッシがなくなるように、他方の水平駆動用モータ40の回転速度が制御されている。そのため、基台9の停止時には、2個のピニオン42とラック43との間のバックラッシをなくすことができる。
【0080】
本形態では、回転駆動機構18は、2台の回転駆動用モータ60を備えている。そのため、上下駆動機構16と同様に、回転駆動機構18で要求される回転駆動用モータ60の総容量が大きくなる場合であっても、比較的体格の小さな回転駆動用モータ60を使用することができ、また、回転駆動用モータ60の配置の自由度が高くなる。したがって、本形態では、大きな基板2を搬送するにもかかわらず、ロボット1を小型化することが可能になる。
【0081】
また、本形態では、比較的容量の小さな回転駆動用モータ60を使用することができるため、2台の回転駆動用モータ60が使用される場合であっても、ロボット1のコストを低減することが可能になる。さらに、本形態では、比較的容量の小さな回転駆動用モータ60を使用することができるため、1台の回転駆動用モータ60から伝達される動力は小さくなる。したがって、回転駆動用モータ60の動力を伝達する出力歯車68や減速機61等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、回転駆動用モータ60の動力を伝達する動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、回転駆動用モータ60の動力を伝達する動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0082】
一方、回転駆動機構18が2台の回転駆動用モータ60を使用しているため、一方の回転駆動用モータ60(または他方の回転駆動用モータ60)の駆動トルクが他方の回転駆動用モータ60(または一方の回転駆動用モータ60)の大きな負荷となる場合が生じるおそれがあるが、本形態では、回転モータ制御部83は、2台の回転駆動用モータ60のうちの一方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御している。
【0083】
すなわち、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、一方の回転駆動用モータ60の回転速度は制御するが、他方の回転駆動用モータ60の回転速度は制御しておらず、他方の回転駆動用モータ60は、一方の回転駆動用モータ60に追従して回転する。そのため、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、2台の回転駆動用モータ60の間に大きな回転速度の差が生じることがなくなり、一方の回転駆動用モータ60(または他方の回転駆動用モータ60)の駆動トルクが他方の回転駆動用モータ60(または一方の回転駆動用モータ60)の大きな負荷になるのを防止することができる。
【0084】
また、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60が一方の回転駆動用モータ60に追従して回転するため、2個の出力歯車68が減速機61の入力歯車69と噛み合っている場合であっても、出力歯車68の歯と入力歯車69の歯とが必要以上の力で噛み合うのを防止することができる。その結果、入力歯車68および出力歯車69の損傷を抑制して、回転駆動機構18で旋回部材10を適切に旋回させることができる。
【0085】
また、本形態では、他方の回転駆動用モータ60の停止前には、他方の回転駆動用モータ60は速度制御とトルク制御とによって制御されており、2個の出力歯車68と入力歯車69とのバックラッシがなくなるように、他方の回転駆動用モータ60の回転速度が制御されている。そのため、旋回部材10の停止時には、2個の出力歯車68と入力歯車69との間のバックラッシをなくすことができる。
【0086】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0087】
上述した形態では、上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御している。この他にもたとえば、上下モータ制御部81は、速度検出機構で検出された回転速度を積分することで算出される上下駆動用モータ20の回転位置に基づく位置制御とトルク制御とによって一方の上下駆動用モータ20を制御しても良い。
【0088】
同様に、上述した形態では、水平モータ制御部82は、一方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、所定の場合に、他方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御しているが、位置制御とトルク制御とによって水平駆動用モータ40を制御しても良い。また、上述した形態では、回転モータ制御部83は、一方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、所定の場合に、他方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御しているが、位置制御とトルク制御とによって回転駆動用モータ60を制御しても良い。
【0089】
上述した形態では、上下駆動機構16は、2台の上下駆動用モータ20を備えている。この他にもたとえば、上下駆動機構16は、3台以上の上下駆動用モータ20を備えていても良い。この場合には、上下モータ制御部81は、3台以上の上下駆動用モータ20のうちの何台かの上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、残りの上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御すれば良い。また、この場合には、ある上下駆動用モータ20の駆動トルクが他の上下駆動用モータ20の大きな負荷となるのを確実に防止するため、上下モータ制御部81は、3台以上の上下駆動用モータ20のうちの1台の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、残りの上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御することが好ましい。
【0090】
また、上述した形態では、水平駆動機構17は、2台の水平駆動用モータ40を備えているが、水平駆動機構17は、3台以上の水平駆動用モータ40を備えていても良い。この場合には、水平モータ制御部82は、3台以上の水平駆動用モータ40のうちの何台かの水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、残りの水平駆動用モータ40の停止前には、残りの水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、残りの水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御すれば良い。また、この場合には、ある水平駆動用モータ40の駆動トルクが他の水平駆動用モータ40の大きな負荷となるのを確実に防止するため、水平モータ制御部82は、3台以上の水平駆動用モータ40のうちの1台の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、残りの水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御することが好ましい。
【0091】
同様に、回転駆動機構18は、3台以上の回転駆動用モータ60を備えていても良い。この場合には、回転モータ制御部83は、3台以上の回転駆動用モータ60のうちの何台かの回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、残りの回転駆動用モータ60の停止前には、残りの回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、残りの回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御すれば良い。また、この場合には、ある回転駆動用モータ60の駆動トルクが他の回転駆動用モータ60の大きな負荷となるのを確実に防止するため、回転モータ制御部83は、3台以上の回転駆動用モータ60のうちの1台の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、残りの回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御することが好ましい。
【0092】
上述した形態では、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前に、他方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御し、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御している。この他にもたとえば、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40を常時、トルク制御で制御しても良い。同様に、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60を常時、トルク制御で制御しても良い。
【0093】
上述した形態では、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18がいずれも2台の駆動用モータ20、40、60を備えているが、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の少なくともいずれか1つの駆動機構が2台の駆動用モータ20、40、60を備えているのであれば、他の駆動機構が備える駆動用モータ20、40、60は、1台であっても良い。
【0094】
上述した形態では、2個のピニオン22とラック23とによって、支持部材7が上下方向に移動する。この他にもたとえば、ボールネジとこのボールネジに螺合する複数のナット部材とによって、支持部材7が上下方向に移動しても良い。同様に、上述した形態では、2個のピニオン42とラック43とによって、基台9が水平方向へ移動するが、ボールネジとこのボールネジに螺合する複数のナット部材とによって、基台9が水平方向に移動しても良い。
【0095】
上述した形態では、ロボット1は、上下駆動機構16と水平駆動機構17と回転駆動機構18とを備えている。この他にもたとえば、ロボット1は、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の中から任意に選択される2個あるいは1個の駆動機構のみを備えていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【図2】図1のE−E方向から産業用ロボットを示す図である。
【図3】図1のF−F方向から産業用ロボットを示す図である。
【図4】図1のF−F方向から支持部材および上下駆動機構を示す図である。
【図5】図4のG−G方向から支持部材、柱状部材および上下駆動機構を示す図である。
【図6】図4のH−H方向から上下駆動機構を示す図である。
【図7】図2のJ部の内部構成を説明するための図である。
【図8】図3のK−K方向から水平駆動機構等の構成を説明するための図である。
【図9】図8のL−L方向から水平駆動機構の構成を説明するための図である。
【図10】図1に示す旋回部材の平面図である。
【図11】図10のM−M断面の断面図である。
【図12】図1に示す産業用ロボットの制御部およびその関連部分のブロック図である。
【符号の説明】
【0097】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 基板(搬送対象物)
3 ハンド
4 アーム
7 支持部材
16 上下駆動機構
17 水平駆動機構
18 回転駆動機構
20 上下駆動用モータ(駆動用モータ、第1の駆動用モータ、第2の駆動用モータ)
40 水平駆動用モータ(駆動用モータ、第1の駆動用モータ、第2の駆動用モータ)
60 回転駆動用モータ(駆動用モータ、第1の駆動用モータ、第2の駆動用モータ)
80 制御部
81 上下モータ制御部(モータ制御部)
82 水平モータ制御部(モータ制御部)
83 回転モータ制御部(モータ制御部)
CL 中心軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットが広く利用されている。この種の産業用ロボットとして、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドを保持するアームと、アームを上下動させるボールネジとを備える産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ボールネジに1台のモータが連結されており、ボールネジは1台のモータで駆動されている。
【0003】
また、搬送対象物を搬送する産業用ロボットではないが、ロボットの本体部分を搭載するベースが水平方向に移動可能となっている産業用ロボットも知られている(たとえば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の産業用ロボットは、ベースを水平方向に移動させるためのラックおよびピニオンと、ピニオンを回転駆動するための1台のモータを備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−102886号公報
【特許文献2】特開平6−106487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶ディスプレイ用ガラス基板等のように、産業用ロボットによって搬送される搬送対象物の中には、年々、大型化するものがある。この搬送対象物の大型化に伴って、大型化する搬送対象物を搬送する産業用ロボットは大型化する傾向にある。また、産業用ロボットの大型化に伴って、産業用ロボットのコストが増大する傾向にある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、大型化する搬送対象物を搬送する場合であっても、小型化が可能で、かつ、コストを低減することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが連結されるアームと、アームを支持する支持部材とを備えるとともに、支持部材を上下動させる上下駆動機構および/または支持部材を水平方向に移動させるための水平駆動機構および/または上下方向を軸方向とする所定の中心軸を中心に支持部材を回転させるための回転駆動機構と、上下駆動機構および/または水平駆動機構および/または回転駆動機構を制御する制御部とを備え、上下駆動機構および/または水平駆動機構および/または回転駆動機構は、複数の駆動用モータを備え、制御部は、複数の駆動用モータを制御するモータ制御部を備え、モータ制御部は、複数の駆動用モータのうちの何台かの駆動用モータである第1の駆動用モータと、第1の駆動用モータを除く残りの駆動用モータである第2の駆動用モータとを個別に制御することを特徴とする。
【0008】
搬送対象物の大型化に伴って、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構で要求される駆動用モータの総容量が大きくなる。そのため、1台の駆動用モータで、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構を駆動する場合には、体格の大きなモータを使用する必要があり、産業用ロボットが大型化するおそれがある。
【0009】
本発明の産業用ロボットでは、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構が複数の駆動用モータを備えている。そのため、上下駆動機構、水平駆動機構および/または回転駆動機構で要求される駆動用モータの総容量が大きい場合であっても、体格の小さな駆動用モータを使用することができる。また、体格の大きな1台の駆動用モータを使用する場合と比較して、体格の小さな複数の駆動用モータを使用する場合には、駆動用モータの配置の自由度が高くなる。したがって、本発明では、大きな搬送対象物を搬送するにもかかわらず、産業用ロボットを小型化することが可能になる。
【0010】
また、駆動用モータの容量が所定の容量を超えると、駆動用モータの価格は急激に高くなるが、本発明では、容量の小さな駆動用モータを使用することができるため、複数の駆動用モータが使用される場合であっても、産業用ロボットのコストを低減することが可能になる。
【0011】
さらに、本発明では、容量の小さな駆動用モータを使用することができるため、1台の駆動用モータから伝達される動力は小さくなる。したがって、駆動用モータの動力を伝達する歯車等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0012】
一方、複数の駆動用モータを使用すると、回転速度の差等の原因で、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となる場合が生じるおそれがある。本発明では、モータ制御部は、複数の駆動用モータのうちの何台かの駆動用モータである第1の駆動用モータと、第1の駆動用モータを除く残りの駆動用モータである第2の駆動用モータとを個別に制御している。そのため、第1の駆動用モータの駆動トルクが第2の駆動用モータの大きな負荷にならないように、また、第2の駆動用モータの駆動トルクが第1の駆動用モータの大きな負荷にならないように、第1の駆動用モータおよび第2の駆動用モータを制御することが可能になる。したがって、本発明では、複数の駆動用モータを使用しても、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、第1の駆動用モータは、1台の駆動用モータであることが好ましい。このように構成すると、1台の駆動用モータを基準にして、残りの駆動用モータを制御することができる。したがって、たとえば、1台の第1の駆動用モータの回転速度を制御するとともに、残りの第2の駆動用モータの回転速度を制御しないようにすることで、第2の駆動用モータを、1台の第1の駆動用モータの回転速度に追従させて回転させることができる。その結果、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となるのを確実に防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第1の駆動用モータを制御し、かつ、トルク制御によって第2の駆動用モータを制御することが好ましい。このように構成すると、第2の駆動用モータの回転速度または回転位置が制御されなくなるため、第2の駆動用モータは、第1の駆動用モータの回転速度または回転位置に追従して回転する。したがって、ある駆動用モータの駆動トルクが他の駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することができる。
【0015】
本発明において、産業用ロボットは、第1の駆動用モータとして第1の水平駆動用モータを有するとともに第2の駆動用モータとして第2の水平駆動用モータを有する水平駆動機構を備え、制御部は、モータ制御部として第1の水平駆動用モータおよび第2の水平駆動用モータを制御する水平モータ制御部を備え、水平モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第1の水平駆動用モータを制御し、かつ、第2の水平駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第2の水平駆動用モータを制御するとともに、第2の水平駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって第2の水平駆動用モータを制御することが好ましい。
【0016】
このように構成すると、第2の水平駆動用モータの停止前以外では、第2の水平駆動用モータの回転速度または回転位置が制御されなくなるため、第2の水平駆動用モータは、第1の水平駆動用モータの回転速度または回転位置に追従して回転する。したがって、ある水平駆動用モータの駆動トルクが他の水平駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することができる。また、第2の水平駆動用モータの停止前には、第2の水平駆動用モータの回転速度または回転位置を制御して、第1の水平駆動用モータおよび第2の水平駆動用モータの動力を支持部材に伝達するための動力伝達機構の停止時のバックラッシをなくすことが可能になる。
【0017】
本発明において、産業用ロボットは、第1の駆動用モータとして第1の回転駆動用モータを有するとともに第2の駆動用モータとして第2の回転駆動用モータを有する回転駆動機構を備え、制御部は、モータ制御部として第1の回転駆動用モータおよび第2の回転駆動用モータを制御する回転モータ制御部を備え、回転モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第1の回転駆動用モータを制御し、かつ、第2の回転駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって第2の回転駆動用モータを制御するとともに、第2の回転駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって第2の回転駆動用モータを制御することが好ましい。
【0018】
このように構成すると、第2の回転駆動用モータの停止前以外では、第2の回転駆動用モータの回転速度または回転位置が制御されなくなるため、第2の回転駆動用モータは、第1の回転駆動用モータの回転速度または回転位置に追従して回転する。したがって、ある回転駆動用モータの駆動トルクが他の回転駆動用モータの大きな負荷となるのを防止することができる。また、第2の回転駆動用モータの停止前には、第2の回転駆動用モータの回転速度または回転位置を制御して、第1の回転駆動用モータおよび第2の回転駆動用モータの動力を支持部材に伝達するための動力伝達機構の停止時のバックラッシをなくすことが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明にかかる産業用ロボットでは、大型化する搬送対象物を搬送する場合であっても、産業用ロボットを小型化することおよび産業用ロボットのコストを低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1のE−E方向から産業用ロボット1を示す図である。図3は、図1のF−F方向から産業用ロボット1を示す図である。
【0022】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である液晶ディスプレイ用ガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するためのロボットである。本形態のロボット1は、特に大型の基板2の搬送に適した大型のロボットであり、たとえば、1辺が約3mの略正方形状の基板2を搬送する。なお、搬送対象物は、基板2に限定されず、半導体ウエハ等であっても良い。
【0023】
このロボット1は、図1〜図3に示すように、基板2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース部材6とを備えている。本体部5は、2本のアーム4の基端側を支持するとともに上下動可能な支持部材7と、支持部材7を上下方向に移動可能に支持するための柱状部材8と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース部材6に対して水平移動可能な基台9と、柱状部材8の下端が固定されるとともに基台9に対して旋回可能な旋回部材10とを備えている。
【0024】
上述のように、本形態のロボット1は、大型のロボットである。たとえば、ロボット1の高さは約7mであり、支持部材7の上下方向のストローク(移動量)は約5mである。また、たとえば、ハンド3の水平方向のストロークは約5.5mである。
【0025】
ハンド3は、基板2を搭載するための複数の爪部12を備えている。バンド3の基端は、アーム4の先端に回動可能に連結されている。アーム4は、2個の関節部13を有し、全体として伸縮するように構成されている。また、アーム4の基端は、支持部材7に固定されている。
【0026】
本形態では、2個のハンド3と2本のアーム4とが上下方向に重なるように配置されている。すなわち、本形態のロボット1は、ダブルアームタイプのロボットである。なお、ロボット1は、1個のハンド3と1本のアーム4とを備えるシングルアームタイプのロボットであっても良い。
【0027】
また、ロボット1は、支持部材7を上下動させる上下駆動機構16(図4参照)と、本体部5を水平方向へ移動させる水平駆動機構17(図7参照)と、基台9に対して旋回部材10を旋回させる回転駆動機構18(図7参照)とを備えている。以下、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の構成、および、その周辺部分の構成を説明する。
【0028】
(上下駆動機構およびその周辺部の構成)
図4は、図1のF−F方向から支持部材7および上下駆動機構16を示す図である。図5は、図4のG−G方向から支持部材7、柱状部材8および上下駆動機構16を示す図である。図6は、図4のH−H方向から上下駆動機構16を示す図である。
【0029】
上下駆動機構16は、図5に示すように、柱状部材8の側方(図5における柱状部材8の下方)に配置されている。この上下駆動機構16は、2台の上下駆動用モータ20と、2台の上下駆動用モータ20のそれぞれに連結される2個の減速機21とを備えている。図4に示すように、1台の上下駆動用モータ20、2個の減速機21および1台の上下駆動用モータ20が上からこの順番で移動部材7に固定されている。
【0030】
また、上下駆動機構16は、2個の減速機21のそれぞれの出力軸に固定される上下駆動用ピニオンとしての2個のピニオン(小歯車)22と、2個のピニオン22と噛み合う上下駆動用ラックとしてのラック23とを備えている。この2個のピニオン22とラック23とによって、支持部材7は上下方向に移動する。さらに、上下駆動機構16は、上下駆動機構16を停止させるための(すなわち、支持部材7を停止させるための)2個の上下ブレーキ機構24を備えている。
【0031】
また、ロボット1は、図5に示すように、支持部材7を上下方向に案内するためのガイド部25を備えている。ガイド部25は、ガイドレール26とガイドレール26に係合するガイドブロック27とから構成されている。なお、柱状部材8は、上下方向を長手方向とする細長い略角柱状に形成され、支持部材7は、ブロック状に形成されている。
【0032】
上下駆動用モータ20は、上下駆動用モータ20の回転速度を検出するための速度検出機構(図示省略)を備えている。この速度検出機構は、たとえば、円板状に形成されたスリット板と、スリット板を挟んだ状態で対向配置される発光素子および受光素子とから構成されている。
【0033】
図6に示すように、上下駆動用モータ20の出力軸には、プーリ28が固定されている。また、減速機21の入力軸には、プーリ28よりも径の大きなプーリ29が固定されている。プーリ28、29には、ベルト30が架け渡されており、上下方向で隣接配置される上下駆動用モータ20と減速機21とがこのベルト30によって連結されている。
【0034】
ラック23は、上下方向を長手方向として柱状部材8に固定されている(図5参照)。上述のように、本形態では、支持部材7の上下方向のストロークが長い。すなわち、ラック23の長さは長い。そのため、本形態では、ラック23は、複数のラック片を繋ぎ合わせることで形成されている。なお、1個のラック片の長さは、2個のピニオン22の配置ピッチよりも長くなっている。
【0035】
上下ブレーキ機構24は、図6等に示すように、プーリ29に隣接するように減速機21の入力軸に取り付けられている。すなわち、2個の上下ブレーキ機構24のそれぞれは、プーリ28、29およびベルト30を介して2台の上下駆動用モータ20のそれぞれに連結されている。
【0036】
この上下ブレーキ機構24は、いわゆる無励磁作動型のブレーキであり、コイルが収納されるケース体と、ケース体に固定されるサイドプレートと、ケース体に対して軸方向に移動可能に配置されるアマーチュアと、サイドプレートとアマーチュアとの間に配置されるとともに減速機21の入力軸に固定されるブレーキディスクと、アマーチュアをブレーキディスクに向かって付勢する圧縮コイルバネとを備えている。上下ブレーキ機構24では、コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。また、コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、減速機21に急激にブレーキがかかる。なお、1個の上下ブレーキ機構24は、基板2、ハンド3、アーム4および支持部材7等を含む上下方向に移動する部分を十分に停止させることができる制動力を有している。
【0037】
ガイドレール26は、上下方向を長手方向として柱状部材8に固定されている(図5参照)。本形態では、2本のガイドレール26が柱状部材8に固定されている。具体的には、図5の左右方向に平行な2つの柱状部材8の取付面のそれぞれにガイドレール26が固定されている。また、図5の下側に配置されるガイドレール26は、ラック23に隣接するように固定されている。
【0038】
ガイドブロック27は、支持部材7に固定されている。具体的には、支持部材7の、アーム4の固定面(図5の右端面)に直交する面に、ガイドブロック27が固定されており、ガイドブロック27は、図5の上下方向の外側からガイドレール26に係合している。
【0039】
なお、本形態では、図5に示すように、柱状部材8にカバー部材31が固定されている。このカバー部材31は、図5の上下方向からガイドレール26を覆うように配置されている。
【0040】
(水平駆動機構およびその周辺部の構成)
図7は、図2のJ部の内部構成を説明するための図である。図8は、図3のK−K方向から水平駆動機構17等の構成を説明するための図である。図9は、図8のL−L方向から水平駆動機構17の構成を説明するための図である。
【0041】
水平駆動機構17は、図7に示すように、図7における基台9の左端側に配置されている。この水平駆動機構17は、2台の水平駆動用モータ40を備えている。図8に示すように、2台の水平駆動用モータ40は、図8の左右方向で隣接するように配置されている。また、2台の水平駆動用モータ40のそれぞれは、基台9に固定された2個のブラケット52のそれぞれに固定されている。2個のブラケット52のそれぞれには、図8、図9に示すように、回転軸53が軸受54を介して回転可能に保持されている。2本の回転軸53は、図8の左右方向で隣接するように配置されている。
【0042】
また、水平駆動機構17は、2本の回転軸53のそれぞれの下端に固定される水平駆動用ピニオンとしての2個のピニオン42と、2個のピニオン42と噛み合う水平駆動用ラックとしてのラック43とを備えている。この2個のピニオン42とラック43とによって、基台9は水平方向へ移動する。さらに、水平駆動機構17は、水平駆動機構17を停止させるための(すなわち、基台9を停止させるための)2個の水平ブレーキ機構44を備えている。
【0043】
また、ロボット1は、基台9を水平方向に案内するためのガイド部45を備えている。ガイド部45は、ガイドレール46とガイドレール46に係合するガイドブロック47とから構成されている。また、ベース部材6は、図7、図8に示すように、細長い2本のレール状部材51を備えている。このレール状部材51は、図7の左右方向に所定の間隔をあけた状態で平行に配置されている。
【0044】
水平駆動用モータ40は、水平駆動用モータ40の回転速度を検出するための速度検出機構(図示省略)を備えている。この速度検出機構は、たとえば、円板状に形成されたスリット板と、スリット板を挟んだ状態で対向配置される発光素子および受光素子とから構成されている。
【0045】
図9に示すように、水平駆動用モータ40の出力軸には、プーリ48が固定されている。また、回転軸53の上端側には、プーリ48よりも径の大きなプーリ49が固定されている。プーリ48、49には、ベルト50が架け渡されており、図8の上下方向で隣接配置される水平駆動用モータ40と回転軸53とがこのベルト50によって連結されている。
【0046】
ラック43は、図8に示すように、レール状部材51の上面に固定されている。本形態では、基台9の移動量が大きいため、ラック43の長さは長い。そのため、ラック43は、複数のラック片を繋ぎ合わせることで形成されている。
【0047】
水平ブレーキ機構44は、図9に示すように、プーリ48に隣接するように水平駆動用モータ40の出力軸に取り付けられている。この水平ブレーキ機構44は、上下ブレーキ機構24と同様にいわゆる無励磁作動型のブレーキであり、上下ブレーキ機構24と同様に構成されている。すなわち、水平ブレーキ機構44では、コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。また、コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、水平駆動用モータ40に急激にブレーキがかかる。
【0048】
ガイドレール46は、図8に示すように、レール状部材51の上面に固定されている。本形態では、2本のレール状部材51のそれぞれの上面にガイドレール46が固定されている。また、図8の上側に配置されるガイドレール46は、ラック43に隣接するように固定されている。ガイドブロック47は、図7に示すように、図7の左右方向における基台9の両端部に固定されている。このガイドブロック47は、上側からガイドレール46に係合している。
【0049】
(回転駆動機構およびその周辺部分の構成)
図10は、図1に示す旋回部材10の平面図である。図11は、図10のM−M断面の断面図である。
【0050】
回転駆動機構18は、図10、図11に示すように、旋回部材10の旋回中心となる中心軸CLの周りに配置されている。この回転駆動機構18は、2台の回転駆動用モータ60を備えている。図10に示すように、2台の回転駆動用モータ60は、中心軸CLに対して点対称に配置され、旋回部材10の中心部に固定されている。また、回転駆動機構18は、旋回部材10の中心部に固定される減速機61を備えている。さらに、回転駆動機構18は、回転駆動機構18を停止させるための(すなわち、旋回部材10を停止させるための)1個の回転ブレーキ機構64を備えている。なお、旋回部材10は、細長いブロック状の部材であり、一端側(図10の左端側)に柱状部材8の下端が固定されている。
【0051】
回転駆動用モータ60は、回転駆動用モータ60の回転速度を検出するための速度検出機構(図示省略)を備えている。この速度検出機構は、たとえば、円板状に形成されたスリット板と、スリット板を挟んだ状態で対向配置される発光素子および受光素子とから構成されている。
【0052】
図11に示すように、回転駆動用モータ60の出力軸には、出力歯車68が固定されており、2個の出力歯車68が減速機61の入力歯車69と噛み合っている。この2個の出力歯車68と入力歯車69を含む減速機61とによって、旋回部材10は、基台9に対して旋回する。すなわち、旋回部材10の中心部には減速機61の出力側が固定されており、減速機61を介して伝達される回転駆動用モータ60の動力で、旋回部材10は、基台9に対して旋回する。
【0053】
回転ブレーキ機構64は、図11に示すように、旋回部材10の中心部に軸受74を介して回転可能に保持される回転軸73の上端に固定されている。回転軸73の下端には、減速機61の入力歯車69と噛み合う歯車70が固定されている。また、回転ブレーキ機構64は、図10に示すように、中心軸CLを中心に回転駆動用モータ60を90°回転させた位置に配置されている。
【0054】
この回転ブレーキ機構64は、上下ブレーキ機構24と同様にいわゆる無励磁作動型のブレーキであり、上下ブレーキ機構24と同様に構成されている。すなわち、回転ブレーキ機構64では、コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。また、コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、入力歯車69に急激にブレーキがかかる。
【0055】
(制御部の構成)
図12は、図1に示す産業用ロボット1の制御部80およびその関連部分のブロック図である。なお、図12では、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の制御に関連する制御部80の構成が図示されている。
【0056】
制御部80は、図12に示すように、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の制御に関連する構成として、2台の上下駆動用モータ20を制御する上下モータ制御部81と、2台の水平駆動用モータ40を制御する水平モータ制御部82と、2台の回転駆動用モータ60を制御する回転モータ制御部83と、2個の上下ブレーキ機構24を制御する上下ブレーキ制御部84と、2個の水平ブレーキ機構44を制御する水平ブレーキ制御部85と、1個の回転ブレーキ機構64を制御する回転ブレーキ制御部86とを備えている。また、制御部80には、制御指令部87が接続されている。
【0057】
上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のそれぞれを個別に制御する。具体的には、上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、他方の上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御する。すなわち、上下モータ制御部81は、一方の上下駆動用モータ20に対しては、この上下駆動用モータ20の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御とこの上下駆動用モータ20の電流値を制御するトルク制御とを行い、他方の上下駆動用モータ20に対しては、この上下駆動用モータ20の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行わずにこの上下駆動用モータ20の電流値を制御するトルク制御を行う。
【0058】
本形態では、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20は、第1の駆動用モータである。また、他方の上下駆動用モータ20は、第2の駆動用モータである。
【0059】
水平モータ制御部82は、2台の水平駆動用モータ40のそれぞれを個別に制御する。具体的には、水平モータ制御部82は、2台の水平駆動用モータ40のうちの一方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御する。また、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前には、一方の水平駆動用モータ40と同様に、他方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するが、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御する。
【0060】
すなわち、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40に対して、この水平駆動用モータ40の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行わずにトルク制御を行う。また、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前には、他方の水平駆動用モータ40に対して、この水平駆動用モータ40の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行って、2個のピニオン42とラック43との間のバックラッシがなくなるように、他方の水平駆動用モータ40の回転速度を制御する。
【0061】
ここで、他方の水平駆動用モータ40が停止前であるか否かは、たとえば、一方の水平駆動用モータ40の速度検出機構からの出力に基づいて水平モータ制御部82が判断する。たとえば、水平モータ制御部82は、一方の水平駆動用モータ40の速度検出機構によって検出される、基台9の所定の基準位置から停止予定位置までのパルス数と、実際に速度検出機構で検出されたパルス数との差を算出して、その差が所定の値以下であれば、他方の水平駆動用モータ40が停止前であると判断する。すなわち、停止予定位置から所定距離の範囲内に基台9が入ると、他方の水平駆動用モータ40の停止前となる。
【0062】
本形態では、2台の水平駆動用モータ40のうちの一方の水平駆動用モータ40は、第1の駆動用モータであり、かつ、第1の水平駆動用モータである。また、他方の水平駆動用モータ40は、第2の駆動用モータであり、かつ、第2の水平駆動用モータである。
【0063】
同様に、回転モータ制御部83は、2台の回転駆動用モータ60のそれぞれを個別に制御する。具体的には、回転モータ制御部83は、2台の回転駆動用モータ60のうちの一方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御する。また、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60の停止前には、一方の回転駆動用モータ60と同様に、他方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するが、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御する。
【0064】
すなわち、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60に対して、この回転駆動用モータ60の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行わずにトルク制御を行う。また、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60の停止前には、他方の回転駆動用モータ60に対して、この回転駆動用モータ60の速度検出機構からの出力に基づくフィードバック制御を行って、2個の出力歯車68と入力歯車69との間のバックラッシがなくなるように、他方の回転駆動用モータ60の回転速度を制御する。
【0065】
ここで、他方の回転駆動用モータ60が停止前であるか否かは、たとえば、一方の回転駆動用モータ60の速度検出機構からの出力に基づいて回転モータ制御部83が判断する。たとえば、回転モータ制御部83は、一方の回転駆動用モータ60の速度検出機構によって検出される、旋回部材10の所定の基準位置から停止予定位置までのパルス数と、実際に速度検出機構で検出されたパルス数との差を算出して、その差が所定の値以下であれば、他方の回転駆動用モータ60が停止前であると判断する。すなわち、停止予定位置から所定角度内に旋回部材10が入ると、他方の回転駆動用モータ60の停止前となる。
【0066】
本形態では、2台の回転駆動用モータ60のうちの一方の回転駆動用モータ60は、第1の駆動用モータであり、かつ、第1の回転駆動用モータである。また、他方の回転駆動用モータ60は、第2の駆動用モータであり、かつ、第2の回転駆動用モータである。
【0067】
上下ブレーキ制御部84は、制御指令部87から支持部材7の停止信号が入力されると、2個の上下ブレーキ機構24を段階的に作動させる。すなわち、制御指令部87から支持部材7の停止信号が入力されると、上下ブレーキ制御部84は、一方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングと他方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングとが変わるように(ずれるように)、2個の上下ブレーキ機構24を作動させる。具体的には、上下ブレーキ制御部84は、他方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングが一方の上下ブレーキ機構24の作動開始タイミングよりも遅れるように、2個の上下ブレーキ機構24を作動させる。より具体的には、上下ブレーキ制御部84は、他方の上下ブレーキ機構24のコイルへの通電を停止するタイミングが一方の上下ブレーキ機構24のコイルへの通電を停止するタイミングよりも遅れるように、2個の上下ブレーキ機構24のコイルへの通電を停止する。
【0068】
同様に、水平ブレーキ制御部85は、制御指令部87から基台9の停止信号が入力されると、2個の水平ブレーキ機構44を段階的に作動させる。すなわち、制御指令部87から基台9の停止信号が入力されると、水平ブレーキ制御部85は、一方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングと他方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングとがずれるように、2個の水平ブレーキ機構44を作動させる。具体的には、水平ブレーキ制御部85は、他方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングが一方の水平ブレーキ機構44の作動開始タイミングよりも遅れるように、2個の水平ブレーキ機構44を作動させる。なお、水平ブレーキ制御部85は、制御指令部87から基台9の停止信号が入力されたときに、2個の水平ブレーキ機構44を同時に作動させても良い。
【0069】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上下駆動機構16は、2台の上下駆動用モータ20を備えている。そのため、大型の基板2を搬送するために、上下駆動機構16で要求される上下駆動用モータ20の総容量が大きくなる場合であっても、比較的体格の小さな上下駆動用モータ20を使用することができる。たとえば、上下駆動機構16で要求される上下駆動用モータ20の総容量が10kWである場合には、体格の大きな10kWの上下駆動用モータを使用するのではなく、比較的体格の小さな5kWの上下駆動用モータ20を使用することができる。また、体格の大きな1台の上下駆動用モータを使用する場合と比較して、体格の小さな2台の上下駆動用モータ20を使用する場合には、上下駆動用モータ20の配置の自由度が高くなる。したがって、本形態では、大きな基板2を搬送するにもかかわらず、ロボット1を小型化することが可能になる。
【0070】
また、上下駆動用モータ20の容量が所定の容量を超えると、上下駆動用モータ20の価格は急激に高くなるが、本形態では、比較的容量の小さな上下駆動用モータ20を使用することができるため、2台の上下駆動用モータ20が使用される場合であっても、ロボット1のコストを低減することが可能になる。
【0071】
さらに、本形態では、比較的容量の小さな上下駆動用モータ20を使用することができるため、1台の上下駆動用モータ20から伝達される動力は小さくなる。したがって、上下駆動用モータ20の動力を伝達する減速機21、ピニオン22およびラック23等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、減速機21、ピニオン22およびラック23等の動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、減速機21、ピニオン22およびラック23等の動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0072】
一方、上下駆動機構16が2台の上下駆動用モータ20を使用しているため、一方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが他方の上下駆動用モータ20の大きな負荷となり、他方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが一方の上下駆動用モータ20の大きな負荷となる場合が生じるおそれがあるが、本形態では、上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、他方の上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御している。すなわち、上下モータ制御部81は、一方の上下駆動用モータ20の回転速度は制御するが、他方の上下駆動用モータ20の回転速度は制御しておらず、他方の上下駆動用モータ20は、一方の上下駆動用モータ20に追従して回転する。そのため、2台の上下駆動用モータ20の間に大きな回転速度の差が生じることがなくなる。したがって、一方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが他方の上下駆動用モータ20の大きな負荷になるのを防止し、他方の上下駆動用モータ20の駆動トルクが一方の上下駆動用モータ20の大きな負荷になるのを防止することができる。
【0073】
また、他方の上下駆動用モータ20が一方の上下駆動用モータ20に追従して回転するため、減速機21等を介して2台の上下駆動用モータ20のそれぞれに連結されている2個のピニオン22がラック23と噛み合っている場合であっても、2個のピニオン22の歯とラック23の歯とが必要以上の力で噛み合うのを防止することができる。その結果、ピニオン22およびラック23の損傷を抑制して、上下駆動機構16で支持部材7を適切に上下動させることができる。
【0074】
本形態では、水平駆動機構17は、2台の水平駆動用モータ40を備えている。そのため、上下駆動機構16と同様に、水平駆動機構17で要求される水平駆動用モータ40の総容量が大きくなる場合であっても、比較的体格の小さな水平駆動用モータ40を使用することができ、また、水平駆動用モータ40の配置の自由度が高くなる。したがって、本形態では、大きな基板2を搬送するにもかかわらず、ロボット1を小型化することが可能になる。
【0075】
また、本形態では、比較的容量の小さな水平駆動用モータ40を使用することができるため、2台の水平駆動用モータ40が使用される場合であっても、ロボット1のコストを低減することが可能になる。さらに、本形態では、比較的容量の小さな水平駆動用モータ40を使用することができるため、1台の水平駆動用モータ40から伝達される動力は小さくなる。したがって、水平駆動用モータ40の動力を伝達するピニオン42およびラック43等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、水平駆動用モータ40の動力を伝達する動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、水平駆動用モータ40の動力を伝達する動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0076】
一方、水平駆動機構17が2台の水平駆動用モータ40を使用しているため、一方の水平駆動用モータ40(または他方の水平駆動用モータ40)の駆動トルクが他方の水平駆動用モータ40(または一方の水平駆動用モータ40)の大きな負荷となる場合が生じるおそれがあるが、本形態では、水平モータ制御部82は、2台の水平駆動用モータ40のうちの一方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御している。
【0077】
すなわち、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、一方の水平駆動用モータ40の回転速度は制御するが、他方の水平駆動用モータ40の回転速度は制御しておらず、他方の水平駆動用モータ40は、一方の水平駆動用モータ40に追従して回転する。そのため、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、2台の水平駆動用モータ40の間に大きな回転速度の差が生じることがなくなり、一方の水平駆動用モータ40(または他方の水平駆動用モータ40)の駆動トルクが他方の水平駆動用モータ40(または一方の水平駆動用モータ40)の大きな負荷になるのを防止することができる。
【0078】
また、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40が一方の水平駆動用モータ40に追従して回転するため、プーリ48、49およびベルト50を介して2台の水平駆動用モータ40のそれぞれに連結されている2個のピニオン42がラック43と噛み合っている場合であっても、2個のピニオン42の歯とラック43の歯とが必要以上の力で噛み合うのを防止することができる。その結果、ピニオン42およびラック43の損傷を抑制して、水平駆動機構17で本体部5を適切に水平移動させることができる。
【0079】
また、本形態では、他方の水平駆動用モータ40の停止前には、他方の水平駆動用モータ40は速度制御とトルク制御とによって制御されており、2個のピニオン42とラック43との間のバックラッシがなくなるように、他方の水平駆動用モータ40の回転速度が制御されている。そのため、基台9の停止時には、2個のピニオン42とラック43との間のバックラッシをなくすことができる。
【0080】
本形態では、回転駆動機構18は、2台の回転駆動用モータ60を備えている。そのため、上下駆動機構16と同様に、回転駆動機構18で要求される回転駆動用モータ60の総容量が大きくなる場合であっても、比較的体格の小さな回転駆動用モータ60を使用することができ、また、回転駆動用モータ60の配置の自由度が高くなる。したがって、本形態では、大きな基板2を搬送するにもかかわらず、ロボット1を小型化することが可能になる。
【0081】
また、本形態では、比較的容量の小さな回転駆動用モータ60を使用することができるため、2台の回転駆動用モータ60が使用される場合であっても、ロボット1のコストを低減することが可能になる。さらに、本形態では、比較的容量の小さな回転駆動用モータ60を使用することができるため、1台の回転駆動用モータ60から伝達される動力は小さくなる。したがって、回転駆動用モータ60の動力を伝達する出力歯車68や減速機61等の動力伝達機構への伝達動力を小さくすることができ、回転駆動用モータ60の動力を伝達する動力伝達機構の構成を簡素化することができる。また、回転駆動用モータ60の動力を伝達する動力伝達機構の損傷を抑制することができる。
【0082】
一方、回転駆動機構18が2台の回転駆動用モータ60を使用しているため、一方の回転駆動用モータ60(または他方の回転駆動用モータ60)の駆動トルクが他方の回転駆動用モータ60(または一方の回転駆動用モータ60)の大きな負荷となる場合が生じるおそれがあるが、本形態では、回転モータ制御部83は、2台の回転駆動用モータ60のうちの一方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御している。
【0083】
すなわち、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、一方の回転駆動用モータ60の回転速度は制御するが、他方の回転駆動用モータ60の回転速度は制御しておらず、他方の回転駆動用モータ60は、一方の回転駆動用モータ60に追従して回転する。そのため、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、2台の回転駆動用モータ60の間に大きな回転速度の差が生じることがなくなり、一方の回転駆動用モータ60(または他方の回転駆動用モータ60)の駆動トルクが他方の回転駆動用モータ60(または一方の回転駆動用モータ60)の大きな負荷になるのを防止することができる。
【0084】
また、他方の回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、他方の回転駆動用モータ60が一方の回転駆動用モータ60に追従して回転するため、2個の出力歯車68が減速機61の入力歯車69と噛み合っている場合であっても、出力歯車68の歯と入力歯車69の歯とが必要以上の力で噛み合うのを防止することができる。その結果、入力歯車68および出力歯車69の損傷を抑制して、回転駆動機構18で旋回部材10を適切に旋回させることができる。
【0085】
また、本形態では、他方の回転駆動用モータ60の停止前には、他方の回転駆動用モータ60は速度制御とトルク制御とによって制御されており、2個の出力歯車68と入力歯車69とのバックラッシがなくなるように、他方の回転駆動用モータ60の回転速度が制御されている。そのため、旋回部材10の停止時には、2個の出力歯車68と入力歯車69との間のバックラッシをなくすことができる。
【0086】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0087】
上述した形態では、上下モータ制御部81は、2台の上下駆動用モータ20のうちの一方の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御している。この他にもたとえば、上下モータ制御部81は、速度検出機構で検出された回転速度を積分することで算出される上下駆動用モータ20の回転位置に基づく位置制御とトルク制御とによって一方の上下駆動用モータ20を制御しても良い。
【0088】
同様に、上述した形態では、水平モータ制御部82は、一方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、所定の場合に、他方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御しているが、位置制御とトルク制御とによって水平駆動用モータ40を制御しても良い。また、上述した形態では、回転モータ制御部83は、一方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、所定の場合に、他方の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御しているが、位置制御とトルク制御とによって回転駆動用モータ60を制御しても良い。
【0089】
上述した形態では、上下駆動機構16は、2台の上下駆動用モータ20を備えている。この他にもたとえば、上下駆動機構16は、3台以上の上下駆動用モータ20を備えていても良い。この場合には、上下モータ制御部81は、3台以上の上下駆動用モータ20のうちの何台かの上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、残りの上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御すれば良い。また、この場合には、ある上下駆動用モータ20の駆動トルクが他の上下駆動用モータ20の大きな負荷となるのを確実に防止するため、上下モータ制御部81は、3台以上の上下駆動用モータ20のうちの1台の上下駆動用モータ20を速度制御とトルク制御とによって制御し、残りの上下駆動用モータ20をトルク制御によって制御することが好ましい。
【0090】
また、上述した形態では、水平駆動機構17は、2台の水平駆動用モータ40を備えているが、水平駆動機構17は、3台以上の水平駆動用モータ40を備えていても良い。この場合には、水平モータ制御部82は、3台以上の水平駆動用モータ40のうちの何台かの水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、残りの水平駆動用モータ40の停止前には、残りの水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、残りの水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御すれば良い。また、この場合には、ある水平駆動用モータ40の駆動トルクが他の水平駆動用モータ40の大きな負荷となるのを確実に防止するため、水平モータ制御部82は、3台以上の水平駆動用モータ40のうちの1台の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、残りの水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御することが好ましい。
【0091】
同様に、回転駆動機構18は、3台以上の回転駆動用モータ60を備えていても良い。この場合には、回転モータ制御部83は、3台以上の回転駆動用モータ60のうちの何台かの回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御し、かつ、残りの回転駆動用モータ60の停止前には、残りの回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、残りの回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御すれば良い。また、この場合には、ある回転駆動用モータ60の駆動トルクが他の回転駆動用モータ60の大きな負荷となるのを確実に防止するため、回転モータ制御部83は、3台以上の回転駆動用モータ60のうちの1台の回転駆動用モータ60を速度制御とトルク制御とによって制御するとともに、残りの回転駆動用モータ60の停止前を除くその他のときには、残りの回転駆動用モータ60をトルク制御によって制御することが好ましい。
【0092】
上述した形態では、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40の停止前に、他方の水平駆動用モータ40を速度制御とトルク制御とによって制御し、他方の水平駆動用モータ40の停止前を除くその他のときには、他方の水平駆動用モータ40をトルク制御によって制御している。この他にもたとえば、水平モータ制御部82は、他方の水平駆動用モータ40を常時、トルク制御で制御しても良い。同様に、回転モータ制御部83は、他方の回転駆動用モータ60を常時、トルク制御で制御しても良い。
【0093】
上述した形態では、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18がいずれも2台の駆動用モータ20、40、60を備えているが、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の少なくともいずれか1つの駆動機構が2台の駆動用モータ20、40、60を備えているのであれば、他の駆動機構が備える駆動用モータ20、40、60は、1台であっても良い。
【0094】
上述した形態では、2個のピニオン22とラック23とによって、支持部材7が上下方向に移動する。この他にもたとえば、ボールネジとこのボールネジに螺合する複数のナット部材とによって、支持部材7が上下方向に移動しても良い。同様に、上述した形態では、2個のピニオン42とラック43とによって、基台9が水平方向へ移動するが、ボールネジとこのボールネジに螺合する複数のナット部材とによって、基台9が水平方向に移動しても良い。
【0095】
上述した形態では、ロボット1は、上下駆動機構16と水平駆動機構17と回転駆動機構18とを備えている。この他にもたとえば、ロボット1は、上下駆動機構16、水平駆動機構17および回転駆動機構18の中から任意に選択される2個あるいは1個の駆動機構のみを備えていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【図2】図1のE−E方向から産業用ロボットを示す図である。
【図3】図1のF−F方向から産業用ロボットを示す図である。
【図4】図1のF−F方向から支持部材および上下駆動機構を示す図である。
【図5】図4のG−G方向から支持部材、柱状部材および上下駆動機構を示す図である。
【図6】図4のH−H方向から上下駆動機構を示す図である。
【図7】図2のJ部の内部構成を説明するための図である。
【図8】図3のK−K方向から水平駆動機構等の構成を説明するための図である。
【図9】図8のL−L方向から水平駆動機構の構成を説明するための図である。
【図10】図1に示す旋回部材の平面図である。
【図11】図10のM−M断面の断面図である。
【図12】図1に示す産業用ロボットの制御部およびその関連部分のブロック図である。
【符号の説明】
【0097】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 基板(搬送対象物)
3 ハンド
4 アーム
7 支持部材
16 上下駆動機構
17 水平駆動機構
18 回転駆動機構
20 上下駆動用モータ(駆動用モータ、第1の駆動用モータ、第2の駆動用モータ)
40 水平駆動用モータ(駆動用モータ、第1の駆動用モータ、第2の駆動用モータ)
60 回転駆動用モータ(駆動用モータ、第1の駆動用モータ、第2の駆動用モータ)
80 制御部
81 上下モータ制御部(モータ制御部)
82 水平モータ制御部(モータ制御部)
83 回転モータ制御部(モータ制御部)
CL 中心軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが連結されるアームと、前記アームを支持する支持部材とを備えるとともに、
前記支持部材を上下動させる上下駆動機構および/または前記支持部材を水平方向に移動させるための水平駆動機構および/または上下方向を軸方向とする所定の中心軸を中心に前記支持部材を回転させるための回転駆動機構と、前記上下駆動機構および/または前記水平駆動機構および/または前記回転駆動機構を制御する制御部とを備え、
前記上下駆動機構および/または前記水平駆動機構および/または前記回転駆動機構は、複数の駆動用モータを備え、
前記制御部は、複数の前記駆動用モータを制御するモータ制御部を備え、
前記モータ制御部は、複数の前記駆動用モータのうちの何台かの前記駆動用モータである第1の駆動用モータと、前記第1の駆動用モータを除く残りの前記駆動用モータである第2の駆動用モータとを個別に制御することを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記第1の駆動用モータは、1台の前記駆動用モータであることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第1の駆動用モータを制御し、かつ、トルク制御によって前記第2の駆動用モータを制御することを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記第1の駆動用モータとして第1の水平駆動用モータを有するとともに前記第2の駆動用モータとして第2の水平駆動用モータを有する前記水平駆動機構を備え、
前記制御部は、前記モータ制御部として前記第1の水平駆動用モータおよび前記第2の水平駆動用モータを制御する水平モータ制御部を備え、
前記水平モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第1の水平駆動用モータを制御し、かつ、前記第2の水平駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第2の水平駆動用モータを制御するとともに、前記第2の水平駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって前記第2の水平駆動用モータを制御することを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記第1の駆動用モータとして第1の回転駆動用モータを有するとともに前記第2の駆動用モータとして第2の回転駆動用モータを有する前記回転駆動機構を備え、
前記制御部は、前記モータ制御部として前記第1の回転駆動用モータおよび前記第2の回転駆動用モータを制御する回転モータ制御部を備え、
前記回転モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第1の回転駆動用モータを制御し、かつ、前記第2の回転駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第2の回転駆動用モータを制御するとともに、前記第2の回転駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって前記第2の回転駆動用モータを制御することを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項1】
搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが連結されるアームと、前記アームを支持する支持部材とを備えるとともに、
前記支持部材を上下動させる上下駆動機構および/または前記支持部材を水平方向に移動させるための水平駆動機構および/または上下方向を軸方向とする所定の中心軸を中心に前記支持部材を回転させるための回転駆動機構と、前記上下駆動機構および/または前記水平駆動機構および/または前記回転駆動機構を制御する制御部とを備え、
前記上下駆動機構および/または前記水平駆動機構および/または前記回転駆動機構は、複数の駆動用モータを備え、
前記制御部は、複数の前記駆動用モータを制御するモータ制御部を備え、
前記モータ制御部は、複数の前記駆動用モータのうちの何台かの前記駆動用モータである第1の駆動用モータと、前記第1の駆動用モータを除く残りの前記駆動用モータである第2の駆動用モータとを個別に制御することを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記第1の駆動用モータは、1台の前記駆動用モータであることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第1の駆動用モータを制御し、かつ、トルク制御によって前記第2の駆動用モータを制御することを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記第1の駆動用モータとして第1の水平駆動用モータを有するとともに前記第2の駆動用モータとして第2の水平駆動用モータを有する前記水平駆動機構を備え、
前記制御部は、前記モータ制御部として前記第1の水平駆動用モータおよび前記第2の水平駆動用モータを制御する水平モータ制御部を備え、
前記水平モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第1の水平駆動用モータを制御し、かつ、前記第2の水平駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第2の水平駆動用モータを制御するとともに、前記第2の水平駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって前記第2の水平駆動用モータを制御することを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記第1の駆動用モータとして第1の回転駆動用モータを有するとともに前記第2の駆動用モータとして第2の回転駆動用モータを有する前記回転駆動機構を備え、
前記制御部は、前記モータ制御部として前記第1の回転駆動用モータおよび前記第2の回転駆動用モータを制御する回転モータ制御部を備え、
前記回転モータ制御部は、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第1の回転駆動用モータを制御し、かつ、前記第2の回転駆動用モータの停止前には、速度制御または位置制御とトルク制御とによって前記第2の回転駆動用モータを制御するとともに、前記第2の回転駆動用モータの停止前を除くその他のときには、トルク制御によって前記第2の回転駆動用モータを制御することを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−52054(P2010−52054A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216542(P2008−216542)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]