説明

画像データに基づく医療画像の選択

【課題】画像データに基づく医療画像の一時的選択を実行するシステムを提供する。
【解決手段】心血管系の一部における画像を選択することによって心拍周期信号を導くシステムおよび方法は、ある期間で記録された複数の画像であって、スキャナから複数の画像を受信するステップを包含する。これらの画像は、心血管系の範囲に従う一つ以上の位置を表す。これらの画像は、次いで、外部信号を参照することなく、これらの複数の画像から判定された一般的な基準に基づいて選択される。この一般的な基準は、大動脈断面の大きさの変化、心臓体積の変化、心臓断面領域の変化を含む。さらに、この基準は、隣接する画像間の平均ピクセル差を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療画像に関し、より詳細には、本発明は、画像データに基づく医療画像の一時的選択を実行するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許文献の開示の一部は、著作権保護の下にある資料を含む。著作権所有者は、本特許文献の開示の一部が特許商標庁の書類または記録に掲載される場合、本特許文献または本特許の開示における任意の人物が複製することに異論を持たない。そうではない場合、著作権所有者は、どんなものであれ全ての著作権を所有している。次の通告は、以下に記載された、および、本明細書の図面に記載されたようなソフトウェアおよびデータに適用する。
【数1】

【0003】
(背景)
心疾患は、広く健康上の重大な問題である。従って、医療において、人の心臓の断面画像および体積測定画像を得ることは、非常に価値がある。狭窄症を検出するための冠血管の血管造影、血管壁の切開のための胸動脈の検査、および、アテローム硬化型プラーク用のマーカーのような冠動脈におけるカルシウム沈着の定量化に応用されている。
【0004】
より高価であまり普及していない電子ビームCTスキャナに対して、従来の高速ヘリカルCT(コンピュータトモグラフィ)スキャナを用いて検査が実行され得ることが発見されたために、近年、この応用に非常に興味が集まりつつある。しかし、ヘリカルCTスキャナは、あまりにも遅く、心臓の動きを「フリーズ(freeze)」させることが出来ない。その結果、いくつかの断面画像は、あいまいになり、収縮(収縮期)および弛緩(弛緩期)といった心臓の周期が異なる心拍時相で撮像された他の画像とは見当違いである。
【0005】
結果として、心電図(EKG)を記録すると同時にこの信号を画像のシーケンスと同期させることによって、軸方向のCT画像の心臓周期心拍時相を判定する方法がいくつか導入されている。EKGの高振幅「r波」は信頼性があり、心室の収縮開始をかなり短時間に示すので、心臓の動きが最も激しい付近にあるときを示すものとしてr波のピークを用いることは容易である。従って、これらのときに画像取得を中断するか、これらのときに得られた画像を遡及的に取り除くかのいずれかが可能である。この方法は、EKGゲーティングと呼ばれる。
【0006】
EKGゲーティングの不利な点は、電極を患者に配線する必要がある等のために検査時間が非常に長いことである。また、EKGゲーティングは、CTスキャナの設計において、および、得られた画像を後処理するために用いられるソフトウェアにおいてさらなる複雑さを導入する。さらに、EKGゲーティングは、画像の選択を手動で検証する必要があり、異なる患者からのEKGの痕跡(trace)および画像を誤って適合させる可能性を導入する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
結果として、EKGモニタのような外部モニタリングデバイスを必要とせずに、患者の画像スキャン中に得られた画像をフィルタリングすることが可能なシステムおよび方法に関する技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
上記の欠点、不利な点および問題が本発明によって扱われる。これらは、以下の明細書を読むおよび検討することによって理解される。
【0009】
本発明の一実施形態において、心血管系の一部の画像を選択する方法は、ある期間に記録されたスキャナからの複数の画像を受信するステップを包含する。この画像は、心血管系の範囲に従う一つ以上の位置を表す。次いで、画像は、外部信号を参照することなく、複数の画像から判定された一般的な基準に基づいて選択される。
【0010】
いくつかの実施形態において、一般的な基準は、大動脈断面の大きさにおける変化を含む。別の実施形態において、一般的な基準は、心臓の体積における変化を含む。さらなる実施形態において、一般的な基準は、心臓の断面領域における変化を含む。さらに別の実施形態において、一般的な基準は、隣接した画像間の平均ピクセル差を含む。
【0011】
本発明は、その範囲が変化するシステム、クライアント、サーバ、方法、および、コンピュータ読み出し可能媒体を説明する。この要旨で説明された本発明の局面および利点に加えて、図面を参照することによって、および、以下の詳細 な説明を読むことによって、本発明のさらなる局面および利点が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の異なる実施形態が行われ得る、ハードウェアおよび動作環境のブロック図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態のシステムレベルの概観を示す図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従う、医療画像データの遡及的ゲーティングを実行する方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、画像をフィルタリングするために用いられる信号を判定する際にさらなる詳細を提供するフローチャートである。
【図5】図5は、画像に基づく遡及的ゲーティングを従来技術のEKGゲーティングと比較したグラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本発明の例示的な実施形態である以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照される。添付の図面において、本発明が実行され得る特定の例示的な実施形態を示すことを目的として参照が示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施可能であるように十分に詳細に説明されている。これらの他の実施形態が利用され得ること、ならびに、論理的な、機械的な、電気的なおよび他の改変が本発明の範囲を逸脱することなく行われ得ることは理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、制限の意味に解釈されるべきではない。
【0014】
図において、複数の図に記載される同一のコンポーネントを説明するために全体において同じ参照番号が用いられる。信号および接続は、同じ参照番号またはラベルによって説明され得る。実際の意味は、説明の文脈においてその使用から明らかである。
【0015】
詳細な説明は、複数の節に分けられる。第一の節では、本発明の異なる実施形態におけるハードウェアおよび動作環境が説明される。第二の節では、本発明の変化する実施形態のソフトウェア環境が説明される。第三の節では、本発明の様々な実施形態の方法が説明される。最後の節では、結論が述べられる。
【0016】
(ハードウェアおよび動作環境)
図1は、ハードウェアおよび動作環境の図である。この環境と連動して、本発明の実施形態が実施され得る。図1の説明は、適切なコンピュータハードウェアおよび適切な計算環境の簡単で、一般的な説明を提供することを目的としている。本発明は、この環境と連動して実施され得る。本発明は、要求されなければ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、または、サーバコンピュータ等のコンピュータによって実行される、プログラムモジュール等のコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で説明される。概して、プログラムモジュールとは、特定のタスクを実施する、または、特定の抽象的なデータタイプをインプリメントするルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。
【0017】
さらに、当業者は、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのまたはプログラム可能な消費者電子工学、ネットワークパーソナルコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む他のコンピュータシステム構成で本発明が実施され得ることを認識する。また、本発明は、タスクが通信ネットワークを通してリンクされた遠隔処理デバイスによって実施される分散型計算環境で実施され得る。分散型計算環境において、プログラムモジュールは、ローカルメモリ格納デバイスと遠隔メモリ格納デバイスとの両方に位置され得る。
【0018】
図1に示されるように、計算システム100は、プロセッサを含む。本発明は、Intel Corporationによって製造されたマイクロプロセッサであるPENTIUM(登録商標)群、Silicon Graphics CorporationによるマイクロプロセッサであるMIPS(登録商標)群、Motorola CorporationとIBM Corporationとの両社によるマクロプロセッサであるPOWERPC(登録商標)群、Hewlett−Packard CompanyによるマイクロプロセッサであるPRECISION ARCHITECTURE(登録商標)群、Sun Microsystems CorporationによるマイクロプロセッサであるSPARC(登録商標)群、またはCompaq Computer CorporationによるマイクロプロセッサであるALPHA(登録商標)群等のマイクロプロセッサに基づくコンピュータで実施され得る。計算システム200は、任意のパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバコンピュータ、さらには、ハンドヘルドパーソナルコンピュータとして公知の電池式、ポケットサイズ、携帯式コンピュータを表す。
【0019】
計算システム100は、(読み出し専用メモリ(ROM)114およびランダムアクセスメモリ(RAM)115を含む)システムメモリ113を含む。このシステムメモリ113は、システムデータ/アドレスバス116によってプロセッサ112に接続される。ROM114は、電子的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ等を含む任意のデバイスであって、主に読み出し専用である任意のデバイスを示す。RAM115は、同期式動的ランダムアクセスメモリ(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等の任意のランダムアクセスメモリを表す。
【0020】
計算システム100内において、入力/出力バス118は、バスコントローラ119を介してデータ/アドレスバス116に接続される。一実施形態において、入力/出力バス118は、標準的な周辺コンピュータ相互接続(PCI)バスとして実施される。バスコントローラ119は、プロセッサ112からの全ての信号を検査して、その信号を適切なバスにルーティングする。プロセッサ112とシステムメモリ113との間の信号は、バスコントローラ119を通って単に通される。しかし、システムメモリ113以外のデバイスとして意図されるプロセッサ112からの信号は、入力/出力バス118へとルーティングされる。
【0021】
様々なデバイスは、ハードディスクドライブ120、フロッピ(登録商標)ディスク151を読み出すために用いられるフロッピ(登録商標)ドライブ121、および、光ディスク152を読み出すために用いられるCD−ROMドライブ等の光ドライブ122を含む入力/出力バス118へと接続される。ビデオディスプレイ124または他の種類のディスプレイデバイスは、ビデオアダプタ125を介して入力/出力バス118に接続される。
【0022】
ユーザは、入力/出力ポート128を介してバス118に接続される、キーボード40ならびに/あるいはマウス42等のポインティング(pointing)デバイスを用いて、コマンドおよび情報を計算システム100にエンタ(enter)する。他の種類のポインティングデバイス(図1に示されず)は、トラックパッド(pad)、トラック(track)ボール、ジョイスティック(joy stick)、データグローブ(glove)、ヘッドトラッカ(head tracker)、および、ビデオディスプレイ124上のカーソルを指定するために適した他のデバイスを含む。
【0023】
図1に示されるように、計算システム100は、また、モデム129を含む。計算システム100に対して外部にあるように図1に図示されているが、当業者は、モデム129が同様に計算システム100に対して内部にあり得ることを素早く認識する。モデム129は、グローバルインターネット等のワイドエリアネットワーク(図示せず)を通って通信するために典型的に用いられる。計算システムは、また、ネットワークを通って通信するために、当該技術で公知のネットワークインタフェースカード53を含み得る。
【0024】
ソフトアプリケーション136およびデータは、ハードディスク120、フロッピ(登録商標)ディスク151、CD−ROM152を含み得るメモリ格納デバイスであって、実行のためにRAM115に複製され得るメモリ格納デバイスのうちの一つを介して典型的に格納される。しかし、一実施形態において、ソフトウェアアプリケーション136は、ROM114に格納されて、実行のためにRAM115に複製されるか、または、ROM114から直接実行される。
【0025】
一般的に、オペレーティングシステム135は、ソフトウェアアプリケーション136を実行し、ユーザによって出された命令を行う。例えば、ユーザがソフトウェアアプリケーション136をロードすることを望むとき、オペレーティングシステム135は、命令を解釈して、プロセッサ112に対して、ハードディスク120か光ディスク152かのいずれかからRAM115内にソフトウェアアプリケーション136をロードさせる。一度ソフトウェアアプリケーション136がRAM115内にロードされると、ソフトウェアアプリケーション136は、プロセッサ112によって用いられ得る。大きなソフトウェアアプリケーション136の場合、プロセッサ112は、プログラムモジュールの様々な部分を必要に応じてRAM115内にロードする。
【0026】
計算システム100のための基本的入/出力システム(BIOS)117は、ROM114に格納されて、ブート(booting)する際にRAM115内にロードされる。当業者は、BIOS117が従来、計算システム100内の計算リソース間で情報を伝送することを助ける実行可能な基本的なルーチンのセットであることを理解している。これらの低レベルサービスルーチンは、オペレーティングシステム135、または、他のソフトウェアアプリケーション136によって用いられる。
【0027】
一実施形態において、計算システム100は、計算システム100のための構成情報を保持するシステムデータベースであるレジストリ(図示せず)を含む。例えば、MicrosoftによるWindows(登録商標)95、Windows(登録商標)98、Windows(登録商標)NTおよびWindows(登録商標)2000は、内部ディスク等の永久格納デバイス上に置かれた、USER.DATおよびSYSTEM.DATと呼ばれる二つの隠しファイル中にレジストリを維持している。
【0028】
(ソフトウェア環境)
本発明の実施形態は、医療画像の遡及的(retrospective)ゲーティングを提供するシステムおよび方法のソフトウェア環境を説明する。図2は、このようなシステムの主なコンポーネントを説明するブロック図である。示されるように、システムは、画像スキャナ202および画像処理システム206を含む。
【0029】
本発明の一実施形態における画像スキャナ202は、CTスキャナである。このスキャナは、高速ヘリカルCTスキャナであり得、または、電子ビームCTスキャナであり得る。しかし、本発明がCTスキャナに制限されず、ある期間に記録された画像のシーケンスを提供し得る任意のスキャナは、本発明の範囲内である。例えば、スキャナ202は、磁気共鳴画像(MRI)または超音波スキャナであり得る。
【0030】
スキャナ202は、人体の二次元画像のシーケンスを含む画像データ204を製造する。この画像データは、次いで、処理のために画像処理システム206に送られる。本発明の一実施形態において、画像処理システム206は、Vital Images,Inc.によるImageGateシステムである。この画像データは、テープ媒体、CD−ROM、フロッピ(登録商標)ディスク、移動可能ハードドライブ、および、ネットワーク手段(インターネットを含む)を含む任意のデータ伝送手段を用いてスキャナ202から画像処理システム206に伝送され得る。
【0031】
画像処理システム206は、図1で示されたコンピュータ等の適切に構成されたコンピュータであり、画像データの遡及的ゲーティングを実行する以下で説明された方法を用いる。システム206の出力は、心拍周期信号208およびフィルタリングされた画像データ210を含む。フィルタリングされた画像データ210は、心拍周期信号208における所望の点で得られた画像に対応する画像データを含む。
【0032】
この節は、心臓画像の遡及的ゲーティングに基づいて画像を実行するシステムにおいて、様々なシステムコンポーネントを説明する。当業者が認識するように、ソフトウェアは、C/C++、Visual Basic、Smalltalk、Pascal、Adaおよび類似のプログラミング言語(これらに限定されない)を含む当該技術で公知である多くのプログラミング言語のうちの任意で書かれ得る。本発明は、インプリメンテーションのために、任意の特定のプログラミング言語に限定されない。
【0033】
(本発明の例示的な実施形態の方法)
前節では、本発明の例示的な実施形態の動作に関してシステムレベルの概要が説明された。この節では、例示的な実施形態を実行する動作環境によって実施される本発明の様々な実施形態における特定の方法が、図3および4で示されるフローチャートを参照して説明される。この動作環境によって実行されるべき方法は、コンピュータ実行可能命令からなるコンピュータプログラムを構成する。フローチャートを参照して方法を説明することによって、当業者は、適切なコンピュータ(コンピュータ読み出し可能媒体からの命令を実行するコンピュータに含まれるプロセッサ)でこの方法を行うこのような命令を含むこのようなプログラムを開発することが可能である。図3および4で図示された方法は、本発明の例示的な実施形態を実行する動作環境によってなされるために必要とされる活動を含んでいる。
【0034】
以下で示される本発明の様々な実施形態の方法は、画像データのみに基づく(つまり、EKGのような任意の外部信号を参照することなく)複数の画像からの画像のサブセットにおける時間カテゴリ化および選択を実行するように動作する。本発明のいくつかの実施形態において、複数の画像は、CTスキャニングシステムから受信された一連の画像を含む。このCTスキャニングシステムにおいて、複数の画像は、体の単一空間のときに、複数の画像が異なる点において撮影される。他の実施形態において、複数の画像は、体のスペースにおける一画像が時間の単一の点で撮影される画像のシーケンスを含み得る。
【0035】
スキャンされた医療画像データの画像に基づく遡及的ゲーティングを実施する本発明の実施形態に従う、画像をカテゴリ化して選択する方法が、図3に示される。方法を実行するシステムは、スキャンされた画像データを受信する(ブロック302)ことによって開始する。本発明の実施形態において、スキャンされた画像データは、スキャナ202(図1)等のCTスキャナから受信される。しかし、本発明は、スキャンされた画像データを得る任意の特定の方法に限定されない。当業者に認識されるように、画像の体積測定のシーケンスを製造することが可能な任意のシステムは本発明の範囲内である。画像が大量に重なった胸の軸方向画像であることが望ましい。軸方向の重なりは、心臓が最も安静したときに得られた画像のサブセットをシステムが選択する能力を提供する。さらに、軸方向の重なりは、完全な解剖学の範囲でシステムが心臓を十分にサンプリングする能力を提供する。
【0036】
本発明の一実施形態において、画像のカテゴリ化および選択は、あいまいさが最小である画像を選択するように動作する。心画像データの場合、あいまいさが最小の画像は、心臓が拍動間で安静であるとき、心拍周期に合わせた点を示す。本発明のいくつかの実施形態において、フーリエ変換が画像の「あいまいさ」を判定するために用いられる。
【0037】
別の実施形態において、ある画像と次の隣接した画像との間の平均ピクセル差(Mean Pixel Difference)(MPD)が判定される。最低のMPDを有する画像は、最もあいまいではない画像として選択される。MPDにおいて、第1の軸方向画像上の各ピクセルは、次の隣接した軸方向画像上の対応するピクセルから差し引かれる。画像に対するピクセル差の絶対値は、合計され、画像におけるピクセル数によって割られる。各画像に対するこの単一の数がMPDである。別の画像よりもより低いMPDを有する画像がよりあいまいではないとされ得る。
【0038】
次に、最小のあいまいさを有する画像(または、画像のあいまいさが特定の許容範囲内にある画像)は、画像のセットに含むために選択される。体積解析等のさらなる解析が、画像のセットに対して実行される。
【0039】
画像処理システムは、心拍周期信号を画像データから導く(ブロック304)。心拍周期の様々な心拍時相は、画像データにおいて、心臓の異なる部分、および/または、心臓の動きによって影響を受ける血管等の体の他の部分における対応する動きまたは変化を検出することによって画像データから導かれ得る。時間の関数としてこの動きを計測することによって、画像データ収集間の任意の時間に対して心拍数および心拍周期心拍時相を判定するために用いられ得る周期的な信号が導かれ得る。
【0040】
最後に、画像データは、得られた場所において心臓が最も安静であるときブロック304において判定された心拍周期信号に従ってフィルタリングされる(ブロック306)。フィルタリングされた画像は、次いで、心臓の正確な体積測定画像を与えるために用いられ得る。
【0041】
様々な方法が上記のブロック304における心拍周期を判定するために用いられ得る。この方法は、概して、画像に対して共通の基準に基づく周期を判定する。本発明の実施形態に従う一つのこのような方法は、大動脈断面における変化を検出する。この方法は、図4に示される。方法は、大動脈の場所を推定することによって開始する(ブロック402)。大動脈の場所を検出するために、様々な手段が用いられ得る。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、当業者に公知である適合フィルタは、大動脈を検出するために用いられる。別の実施形態において、活動外観モデル(Active Appearance Model)が位置を検出するために用いられる。さらなる別の実施形態において、活動的形状モデル(Active Shape Model)が用いられる。
【0042】
本発明のさらなる実施形態において、ハフ(Hough)変換と呼ばれるアルゴリズムが近似的な大動脈の場所を発見するために用いられる。当業者に公知であるように、ハフ変換は、一般化されたテンプレート適合法と見なされ得、典型的に、画像からのエッジまたは曲線を抽出するために用いられる。ハフ変換は、円およびさらに一般化された(おそらく、非対称の)エッジを抽出するために用いられ得る。ハフ変換が回転および転換に対して不変であるので、ハフ変換を使用することは望ましい。ハフ変換に対するさらなる詳細は、米国特許第3,069,654号で見つけられ得る。これは、本明細書中で参照として援用される。ハフ変換の目的として、大動脈が8〜25mmの範囲の半径を有する円として説明され得る。
【0043】
本発明の一実施形態において、大動脈の場所は、第1の画像においてのみ判定される。以下の画像のために、以前の画像をセグメント化した結果が用いられる。この結果が方法を実行するために必要とされる時間を減少させるので、このことは望ましい。(z+1)画像における近似の大動脈境界は、半径Rresの円として規定される。ここで、Rresは、画像zにおけるハフ変換によって発見された円の半径である。円は、z画像の(以前に発見された大動脈の中心である)場所(Xc(z),Yc(z))を中心とする。各画像を処理することは、連続したプロセスであるので、誤り伝播に対して影響を受けやすい。本発明の一実施形態において、可能な誤り伝播の可能性は、同じ円の同半径を用いて、大動脈のセグメント化を始めることによって、および、次の画像における場所を更新することによってのみ減少される。
【0044】
本発明の別の実施形態において、大動脈を検出するために投票メカニズムが用いられる。ハフ変換は、五つの継続した画像のシーケンスに対して適用される。大動脈の中心が少なくとも四つの画像において類似した位置に発見される場合、結果が認められる。このような適合が発見されなければ、別の五つの画像が調査される。
【0045】
ハフ変換において、フィット(fit)値は、画像におけるピクセル毎に対して判定される。フィット値は、点が大動脈の境界に所属する可能性を示す。フィット値の計算は、CT画像における大動脈の性質の先験的な知識に基づく。
【0046】
画像におけるピクセル(x,y)毎に対して、フィット値は、
【数2】

【0047】
として計算される。ここで、I(x,y)は、ハウンスフィールドユニット[HU]
【数3】

【0048】
は、画像の勾配
【数4】

【0049】
は、勾配の予測された方向、である。
【0050】
本発明の一実施形態において、5×5ガウスマスクに基づいた方向勾配検出器が用いられる。ハフ変換において、予測された方向は未知である。従って、本発明の一実施形態は、
【数5】

【0051】
を設定するために以下の公式を用いる。
【数6】

【0052】
公式(1)における関数f(.)は、考慮された勾配の最大値を制限する変換関数である。本発明の一実施形態における変換関数f(.)は、
【数7】

【0053】
である。ここで、aMAXは、体積100HUのステップエッジに応答する勾配である。
【0054】
大動脈の場所を推定した後、次いで、この方法は、シーケンスの各2D画像における大動脈をセグメント化(すなわち、検出)する(ブロック404)。本発明のいくつかの実施形態において、当該技術で公知のエッジに基づく動的プログラミングは、大動脈をセグメント化するために、画像に適用される。別の実施形態において、活動的な概形(Active Contour)(「蛇」と呼ばれる)は、大動脈を検出するために用いられる。本発明のさらなる実施形態において、領域成長アルゴリズムは、大動脈を検出するために用いられる。このようなアルゴリズムは、当該技術において公知である。
【0055】
本発明の一つの特定の実施形態において、大動脈は、境界検出アルゴリズムに基づく動的プログラミングを用いてセグメント化される。このような境界検出アルゴリズムの詳細は、M.Sonka,V.Hlavac,R.Boyle,Image Processing,Analysis,and Machine Vision; PWS出版、第2版,1998,pp.158−163に記載されており、本明細書中で参照として援用される。ブロック402において判定された近似的な大動脈の位置は、関心領域(ROI)を生成するために用いられる。この関心領域内において、大動脈の境界が探索される。大動脈を求めて画像を探す目的で、ROIは、矩形の図内にマッピングされる。この図において、それぞれのノード(x,y)は、一つの画像ピクセルに対応する。これは、以下の公式で表される。
【数8】

【0056】
ここで、
【数9】

【0057】
は、中心線に沿ったx番目の点における円の中心線への単位垂直ベクトルである。widthは、ROIの幅である。
【0058】
矩形の図におけるそれぞれのノードは、ノードに関連するコスト(cost)を有する。このコストは、公式
【数10】

【0059】
によって与えられる。
【0060】
ここで、fitは、公式1において、nexpected=nとして定義される。
【0061】
この方法は、矩形図において、第一の列における任意のノードと最後の列における任意のノードとの間の最小コストの経路を発見する。発見された境界が閉じた概形であることを保証するために、最小コスト経路の最初の点および最後の点を強制することによって、検索が制限される。矩形図において同じY軸を有している必要がある。
【0062】
コストを図形ノード毎に割り当てることに加えて、コストは、図形ノード間のリンク毎に割り当てられる。二つの連続した列のみがリンクによって接続される。コストは、以下の式に従って割り当てられる。
【数11】

【0063】
このようなコスト割り当ては、多くても1だけy軸が異なるノードのみを効果的に接続する。このことは、結果として生じた境界の接続性を保障する。コストを割り当てる式6における中間のルールは、探索された境界は円であるという知識を反映している。従って、ROIの中央線(円)に平行な境界は、ROIの中心線の方向から離れる方向を越えて好ましい方向であると考えられる。次いで、最小コスト経路は、元の画像内にマッピングされて、大動脈の境界を示している。
【0064】
大動脈の場所を判定した後、次いで、この方法は、画像の大動脈断面の領域を計算する(ブロック406)。画像の断面領域は、次いで、画像を得た時点において、大動脈の近似的な体積を計算するために用いられる。この領域は、ブロック404において大動脈のセグメント化によって発見された大動脈の境界に囲まれた領域として計算される。本発明の一実施形態において、イメージ毎に、発見された境界は、大動脈の方向に垂直な平面に投影される。これにより、画像獲得平面が大動脈の方向に垂直ではない場合に、大動脈の実際の断面領域をより良く近似する。
【0065】
所与の画像に対する大動脈の方向は、大動脈の境界の重心を接続する線に対する接線によって近似され得る。本発明のいくつかの実施形態において、この線は、当該技術で公知のアルゴリズムを用いて滑らかにされる。
【0066】
全ての境界点(x,y,z)は、以下のような点(x,y,z)に投影される。
【数12】

【0067】
ここで、
【数13】

【0068】
は、大動脈の方向を表す単位ベクトル。
【数14】

【0069】
は、所与の画像における大動脈中心を有する境界点(x,y,z)を接続するベクトル。
【0070】
大動脈中心は、大動脈の境界点から計算され得、以下のようにベクトル
【数15】

【0071】
を計算することによって得られる。
【0072】
ここで、(x,y,z)は、大動脈の境界点である。Nは、境界点の総数である。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態において、大動脈の計算は、新しい座標系(w,w,w)において投影された境界を表すことによって単純化される。この新しい座標系において、全ての境界点におけるw座標は、ゼロである。新しい座標系は、以下のように決定される。
【数16】

【0074】
従って、座標変換は、次のように計算され得る。
【数17】

【0075】
ここで、
【数18】

【0076】
変換された境界における全ての点に対してz’=0であるために、いくつかの実施形態において、大動脈断面の領域は、シンプソンの公式を離散的に実施することによって計算される。このようなアルゴリズムは、当該技術において公知である。
【0077】
大動脈断面領域を表す値のシーケンスは、心拍数を計算するために用いられ得る時間内に規則的にサンプリングされた信号、および、シーケンスにおける全ての画像に対する心臓のサンプルの心拍時相を表す。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態において、判定された信号は、フィルタリングされて、ノイズを取り除き、心臓の心拍時相判定を単純化する(ブロック408)。本発明のいくつかの実施形態において、フィルタリングは、バターワース(Butterworth)フィルタによって実施される。フィルタは、多くとも通過帯域において3dBの減衰、および、拒絶帯において少なくとも40dBの減衰であるように設計されることが望ましい。フィルタの通過帯域を決定するために、大動脈領域信号は、時間的ではなく空間的に大動脈の大きさの変化に対応し得る低い周波数、および、DCコンポーネントを取り除くために、第一のハイパスフィルタ(HPF)を通される。いくつかの実施形態において、HPF信号(SHPF)は、バターワースフィルタに基づくデジタルハイパスフィルタを用いて計算される。
【0079】
次に、心拍が判定される。いくつかの実施形態において、心拍は、領域信号における主な周波数コンポーネントを判定することによって推定される。ラスター化を避け、安定性を保証することが望ましい。従って、いくつかの実施形態は、元の信号からではなく、信号の自己相関からの主な周波数を判定する。
【数19】

【0080】
ここで、*は、相関操作を示す。
【0081】
生の大動脈領域信号は、次いで、<0.7f,1.3f>の通過帯域を有するバターワースフィルタでフィルタリングされる。スキャニング手順の間に単一の患者に対する心拍の推定された変動量を示す。フィルタリング結果を改善するために、いくつかの実施形態は、fおよびfの新しい値を計算する上記のフィルタリングを用いて得られた信号を用いる。各期間の開始は、正に傾斜した信号のゼロとの交差点によって決定される。新しく得られた制限は、以下の公式に従う信号を最終的にフィルタリングするために用いられる。
【数20】

【0082】
ここで、sは、生の大動脈領域信号を示す。<f,f>は、通過帯域の周波数領域である。(13)
別の実施形態において、信号フィルタリングは、時間的ではなく空間的に大動脈の大きさの変化に対応し得る低い周波数、および、DCコンポーネントを取り除くために、再び、別のHPFを大動脈信号に適用することによって実施される。これらの実施形態において、HPFは、以下に従って、元の信号から移動平均を差し引くことによって、近似され得る。
【数21】

【0083】
ここで、sは、生の大動脈領域信号を示す。
【0084】
次に、信号からノイズを取り除き、次いで、大動脈の弁の開口に対応する最大正勾配の点の判定を単純化するために、信号が滑らかにされる。
【0085】
本発明の別な実施形態において、スムージングが周波数領域におけるバンドパスフィルタリング(BPF)を用いることによって実施される。移動ウィンドウフーリエ変換は、短いセグメントにおいて分離して信号を滑らかにするために用いられ得る。ウィンドウ幅は、ウィンドウ幅が約三心拍周期に対応して、(高速フーリエ変換アルゴリズムの使用を単純化するために)2の累乗であるように選択される。BPFの幅は、信号の所与のセグメントで起こる唯一の基本周波数を考慮して、一つであるように選択されている。BPF周波数は、スペクトルにおける最高周波数として選択される(ゼロ周波数−信号オフセットを考慮していない)。フーリエ変換に対するウィンドウは、常に、一つのサンプルによって移動され、滑らかにされた信号は、時間領域において平均化される。フィルタリングは、以下の式において示される。
【数22】

【0086】
ここで、フィルタは、通過周波数
【数23】

【0087】
を有するBPFである。
【0088】
ウィンドウ幅wは、2の累乗である。
【0089】
従って、最終的なフィルタ信号は、
【数24】

【0090】
ここで、Nは、大動脈領域信号におけるサンプル数である。
【0091】
信号がフィルタリングされた後、この方法は、心臓の心拍時相を判定する(ブロック410)。スキャンされている人の心拍、および、画像獲得速度に依存して、6〜12の画像が、典型的に心拍周期毎に得られ得る。大動脈の弁の開口は、大動脈断面領域の増加における最大勾配に反映される大動脈圧力の最大変化率(最大勾配)の後である場合が一般的である。このことは、心室分極の開始後、約0.1秒起きる。心拍周期に対する大動脈領域信号に適合するために、この方法は、概して大動脈弁の開口の瞬間に対応する最大正勾配点を探索する。
【0092】
フィルタリングされた信号は、心拍周期間の大動脈断面領域(体積)の時間変化を近似する。従って、信号の一つの期間は、一心拍周期に対応する。信号がサイン波によって近似され得るので、信号の最大正微分が判定され得、正に傾いてゼロと交差した点として用いられ得る。線形補間を用いることによって、この方法は、
【数25】

【0093】
となるように、信号点(x,y)と(x+1,y)との間のゼロとの交点xを決定し得る。
【0094】
従って、時間(x)のセットは、大動脈弁の開口に対応する瞬間を表す。大動脈バルブの開口から、心臓が最も安静な場所において、心拍周期信号の点が判定され得る。
【0095】
信号フィルタリングにおける可能な誤りを取り除くために、本発明のいくつかの実施形態は、信号に対して後処理を実施する。導かれた心拍の統計(平均および標準偏差)に基づいて、短すぎる心拍を示すアウトライア−が取り除かれ得、および/または、計測された心拍が長すぎる場合、心拍周期が加えられ得る。
【0096】
上記の信号フィルタリング技術は、ヘリカルスキャニングシステムとマルチスライススキャニングシステムとの両方に対して用いられ得る。マルチスライススキャニングシステムの場合、スキャニングプロトコルは、概して、「ステップおよびシュート(step and shoot)」手順である。この手順によって、任意のデータを必要とすることなく、1〜2心拍周期のセグメントで組み合わせられて短く計測されたピース(1〜2周期)からなる信号を結果として生じる。このようなシステムでは、典型的に、セグメント毎に一点以上で計測される。一般的には、4つのセグメントが存在して、セグメントは、同期される。上掲のような同じフィルタリングスキームを用いるために、存在する信号は、一つの信号を得るために平均化され、結果としてより高いS/N比を生じている。従って、信号における欠けたセグメントが再構成される。デジタル信号における失われたサンプルを回復させる方法は、Raymond Veldhuis:Restoration of Lost Samples in Digital Signals.Prentice Hall International Series in Acoustics,Speech and Signal Processing,1990 Prentice Hall International(UK) Ltd.,ISBN−0−13−775198−2、Chapter 3 Autoregressive processes,pp.28−56において詳細に説明される。いくつかの実施形態において、このアルゴリズムは、欠けたデータを満たすために用いられる。しかし、本発明は、Veldhuisにおいて説明されたアルゴリズムに制限されず、失われたサンプルを回復させる能力を有する任意のアルゴリズムが用いられ得る。信号が完全な長さで再構成されるとき、上記されたものと同じフィルタリングスキームが用いられ得る。
【0097】
図4で示された心拍周期を判定する方法は、いくつかの理由で望ましい。第一に、信頼可能なセグメント化アルゴリズムが存在するので正確に計測することが容易である。第2に、大動脈断面を計測することは、心臓が脈打つ時に起きるずれ、および、ねじれに対して鈍感である。最後に、大動脈の断面を計測することは、空間領域における心臓の幾何学的変化(得られたある画像から得られた別の画像への変化)とは独立している。しかし、本発明は、大動脈の断面領域における変化に基づく心拍周期信号を導くことに限定されない。例えば、大動脈以外の他の血管の断面領域における変化が検出され得、信号を導くために用いられ得る。さらに、本発明は、大動脈のような血管の領域における変化を検出することに限定されない。本発明の別の実施形態において、血管壁の動きが判定され、信号を導くために用いられる。
【0098】
図5は、上記された方法を用いて得られた信号のサンプルを示す。グラフ502は、心室収縮に対する、EKGによって導かれた信号と画像によって導かれた信号との間の差を示す。図504は、EKGによって導かれた心拍と画像によって導かれた心拍との間の差を示す。図506は、フィルタリング前の信号を示す生信号508、および、上記のフィルタリングが適用された後の信号を示すフィルタリングされた信号510の二つの信号を示す。
【0099】
本発明の別の実施形態において、心信号は、得られた画像間の「平均ピクセル差(Mean Pixel Difference)(MPD)」を用いて導かれ得る。上で記されたように、MPDにおいて、第一の軸方向画像における各ピクセルは、隣接した次の軸方向画像に対応するピクセルから差し引かれる。画像の対するピクセル差の絶対値は、合計され、画像におけるピクセル数で割られる。各画像に対してこの単一の数がMPDである。
【0100】
従って、MPDは、二つの画像スライス間のデータにおける変化の直接的な指標を示す。MPD値のシーケンスは、従って、心拍周期信号を導くために用いられ得る。MPDを用いることは、心臓の動き以外の他の要因がMPDの計算に影響を与えるので、大動脈断面の領域における変化を用いること程は望ましくない。例えば、この差は、時間領域と空間領域との両方においてスキャンが進展する際に、心臓の動きのみによって引き起こされるのではなく、心臓の幾何の変化によって引き起こされることが多い。
【0101】
本発明のさらなる別の実施形態において、心臓の信号は、収縮と弛緩との間で心臓体積が周期的に増加および減少する事実を用いて導かれ得る。画像のシーケンスを通して心臓体積(または、心臓断面の領域)のこれらの変化を計測することによって、心拍周期が計算され得る。心臓断面領域の信頼できる計測は、各画像における心臓の正確なセグメント化を必要とする。次いで、断面領域は、図4を参照して上記されたものと同様の様態で、心拍周期信号を判定するために用いられ得る。
【0102】
本発明のさらなる実施形態において、心臓の境界の動きは、心サイクル信号を導くために用いられ得る。ここで、心臓の境界の動きは、心臓の壁(例えば、心房と心室との境界)の動きを検出することによって計測される。これにより、心臓断面領域の計測と同じ情報が提供され得る。この実施形態において、心臓における簡単にセグメント化可能なパートが計測されて、心拍周期信号を導くために用いられる計測における変化が用いられる。
【0103】
(結論)
心拍周期信号等の信号を導くために画像データを用いるシステムおよび方法が開示されている。本発明の実施形態は、以前のシステム以上の利点を提供する。例えば、EKGのために患者にワイヤを取り付ける必要がない。このことは、画像法手順に関して患者の不安および緊張を減少し得る。さらに、画像データから心拍周期を導くことによって、EKG周期データがEKGデータを誤って扱うことが原因で画像データに適合しない可能性が排除される。なぜなら、EKGデータが必要とされないからである。さらに、EKGデータは、心臓によって生成された電気信号の計測における変化量が原因で、あまり正確ではない心拍周期を提供し得る。画像データは、EKGとは違い、直接心臓の動きを捕らえる。
【0104】
本明細書中において、特定の実施形態が示され、かつ、説明されているが、同じ目的を達成するために計算される任意の配列が示される特定の実施形態と交換され得ることは、当業者に認識されている。本出願は、本発明の任意の適応または改変を覆うように意図されている。
【0105】
本出願において用いられた技術用語は、これらの実施形態の全てを含むことを意味している。上の説明が説明することを意図しており、制限するためではないことは、理解されるべきである。上の説明を考察する際に、多くの他の実施形態が当業者に明らかである。従って、本発明が以下の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ制限されることは、明白に意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心血管系の一部における画像を選択する方法であって、
ある期間で記録された複数の画像を画像スキャナから受信するステップであって、該画像は、該心血管系の範囲に従う一つ以上の位置を表す、ステップと、
外部信号を参照することなく、該複数の画像から判定された一般的な基準に基づいて画像の少なくとも一つのサブセットを選択するステップと
を包含する方法。
【請求項2】
前記心血管系の一部は、心臓である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像スキャナは、CT(コンピュータトモグラフィ)スキャナである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記画像スキャナは、MRI(磁気共鳴画像)スキャナである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記画像スキャナは、超音波スキャナである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記画像のサブセットを選択するステップは、各画像のあいまいさを判定することに起因する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画像のあいまいさは、前記画像に適用されるフーリエ変換によって判定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記画像のあいまいさは、前記画像と隣接する画像との間の平均ピクセル差によって判定される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記画像のサブセットを選択するステップは、各画像の少なくとも一つの血管エッジにおける相対的な場所の変化を判定することに起因する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
心血管系の一部における複数の画像を順序付ける方法であって、
ある期間で記録された複数の画像を画像スキャナから受信するステップであって、該画像は、該心血管系の範囲に従う一つ以上の位置を表す、ステップと、
該スキャンされた複数の画像から心拍周期信号を導くステップと、
該心拍周期における心拍時相をスキャンされた各画像に割り当てるステップと
を包含する方法。
【請求項11】
前記心血管系の一部は、心臓である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記画像スキャナは、CT(コンピュータトモグラフィ)スキャナである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記画像スキャナは、MRI(磁気共鳴画像)スキャナである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記画像スキャナは、超音波スキャナである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記心信号を導くステップは、
各画像における血管を表すデータのセットをセグメント化するステップと、
該血管に対する変化値を計算するステップと、
各画像に対する該変化値のシーケンスに基づいて該心拍周期信号を判定するステップと
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記変化値は、前記血管の断面領域における変化である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記変化値は、前記血管の壁の一部における変化である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記心拍周期信号を導くステップは、
各画像における大動脈断面を表すデータのセットをセグメント化するステップと、
該断面領域を表す領域値を計算するステップと、
各画像に対する領域値のシーケンスに基づいて該心拍周期信号を判定するステップと
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記データのセットをセグメント化するステップの前に、前記画像データ内の前記大動脈がある位置を推定するステップをさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記大動脈の位置を推定するステップは、ハフ変換を利用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記大動脈断面をセグメント化するステップは、動的プログラミングを利用する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記心拍周期信号をフィルタリングして、滑らかな心拍周期信号を作るステップをさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記心拍周期信号を導くステップは、
隣接した次の画像を選択するステップと、
該画像と該次の画像との間の平均ピクセル差を計算するステップと、
該画像の平均ピクセル差に基づいて該心拍周期信号を判定するステップと
からなるタスクを前記複数の画像における各画像に対して実行するステップを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記心拍周期信号を導くステップは、
各画像における心臓の断面を表すデータのセットをセグメント化するステップと、
該断面の領域を表す領域値を計算するステップと、
各画像に対する該領域値のシーケンスに基づいて該心拍周期信号を判定するステップと
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
前記心拍周期信号を導くステップは、
前記画像における心臓の第一の境界を判定するステップと、
隣接した次の画像における該心臓の第二の境界を判定するステップと、
該第一の境界と該第二の境界との間の差を判定するステップと、
該差のシーケンスに基づいて該心拍周期を判定するステップと
からなるタスクを前記複数の画像における各画像に対して実行するステップを包含する、前記請求項10に記載の方法。
【請求項26】
前記順序付けられた画像のセットは、さらにフィルタリングされて、画像のサブセットを作り、該画像のサブセットは、前記心拍周期信号における所望の点で得られた画像を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項27】
前記導かれた心拍周期信号は、前記心拍周期における特定の心拍時相で、スキャンされた元の画像または関連する他のデータから新規の画像を補間する、または、再構成するために用いられる、請求項10に記載の方法。
【請求項28】
心血管系の一部の画像を選択する方法を実行するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読み出し可能媒体であって、該方法は、
ある期間で記録された複数の画像を画像スキャナから受信するステップであって、該画像は、該心血管系の範囲に従う一つ以上の位置を表す、ステップと、
外部信号を参照することなく、該複数の画像から判定された一般的な基準に基づいた画像の少なくとも一つのサブセットを選択するステップと
を包含する、コンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項29】
前記心血管系の一部は、心臓である、請求項28に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項30】
前記画像スキャナは、CT(コンピュータトモグラフィ)スキャナである、請求項28に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項31】
前記画像スキャナは、MRI(磁気共鳴画像)スキャナである、請求項28に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項32】
前記画像スキャナは、超音波スキャナである、請求項28に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項33】
前記画像のサブセットを選択するステップは、各画像のあいまいさを判定することに起因する、請求項28に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項34】
前記画像のあいまいさは、前記画像に適用されるフーリエ変換によって判定される、請求項33に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項35】
前記画像のあいまいさは、前記画像と隣接する画像との間の平均ピクセル差によって判定される、請求項33に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項36】
前記画像のサブセットを選択するステップは、各画像の少なくとも一つの血管エッジにおける相対的な場所の変化を判定することに起因する、請求項28に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項37】
心血管系の一部における複数の画像を順序付ける方法を実行するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読み出し可能媒体であって該方法は、
ある期間で記録された複数の画像を画像スキャナから受信するステップであって、該画像は、該心血管系の範囲に従う一つ以上の位置を表す、ステップと、
該スキャンされた複数の画像から心拍周期信号を導くステップと、
該心拍周期における心拍時相をスキャンされた各画像に割り当てるステップと
を包含する、コンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項38】
前記心血管系の一部は、心臓である、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項39】
前記画像スキャナは、CT(コンピュータトモグラフィ)スキャナである、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項40】
前記画像スキャナは、MRI(磁気共鳴画像)スキャナである、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項41】
前記画像スキャナは、超音波スキャナである、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項42】
前記心信号を導くステップは、
各画像における血管を表すデータのセットをセグメント化するステップと、
該血管に対する変化値を計算するステップと、
各画像に対する該変化値のシーケンスに基づいて該心拍周期信号を判定するステップと
を包含する、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項43】
前記変化値は、前記血管の断面領域における変化である、請求項42に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項44】
前記変化値は、前記血管の壁の位置における変化である、請求項42に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項45】
前記心拍周期信号を導くステップは、
各画像における大動脈断面を表すデータのセットをセグメント化するステップと、
該断面領域を表す領域値を計算するステップと、
各画像に対する領域値のシーケンスに基づいて該心拍周期信号を判定するステップと
を包含する、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項46】
前記データのセットをセグメント化するステップの前に、前記画像データ内の前記大動脈がある場所を推定するステップをさらに包含する、請求項45に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項47】
前記大動脈の位置を推定するステップは、ハフ変換を利用する、請求項46に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項48】
前記大動脈断面のセグメント化は、動的プログラミングを利用する、請求項45に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項49】
前記心拍周期信号をフィルタリングして、滑らかな心拍周期信号を作るステップをさらに包含する、請求項45に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項50】
前記心拍周期信号を導くステップは、
隣接した次の画像を選択するステップと、
該画像と該次の画像との間の平均ピクセル差を計算するステップと、
該画像の平均ピクセル差に基づいて該心拍周期信号を判定するステップと
からなるタスクを前記複数の画像における各画像に対して実行するステップを包含する、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項51】
前記心拍周期信号を導くステップは、
各画像における心臓の断面を表すデータのセットをセグメント化するステップと、
該断面の領域を表す領域値を計算するステップと、
各画像に対する該領域値のシーケンスに基づく該心拍周期信号を判定するステップと
を包含する、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項52】
前記心拍周期信号を導くステップは、
前記画像における心臓の第一の境界を判定するステップと、
隣接した次の画像における該心臓の第二の境界を判定するステップと、
該第一の境界と該第二の境界との間の差を判定するステップと、
該差のシーケンスに基づいて該心拍周期を判定するステップと
からなるタスクを前記複数の画像における各画像に対して実行するステップを包含する、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項53】
前記順序付けられた画像のセットは、さらにフィルタリングされて、画像のサブセットを作り、該画像のサブセットは、前記心拍周期信号における所望の点で得られた画像を含む、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項54】
前記導かれた心拍周期信号は、前記心拍周期における特定の心拍時相で、スキャンされた元の画像または関連する他のデータから新規の画像を補間する、または、再構成するために用いられる、請求項37に記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項55】
複数の医療画像を格納するための動作可能なデータ格納サブシステムと、
外部信号を参照することなく、該複数の医療画像から判定された一般的な基準に基づいて該複数の医療画像の少なくとも一つのサブセットを選択するための動作可能な画像処理サブシステムと
を包含するコンピュータ化された画像処理システム。
【請求項56】
前記画像処理サブシステムは、心拍周期信号を導き、前記医療画像の選択は、該心拍周期信号に基づく、請求項55に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−228520(P2012−228520A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135501(P2012−135501)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2002−529958(P2002−529958)の分割
【原出願日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願人】(500242328)バイタル イメージズ,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】