説明

画像データ生成方法および装置

【課題】印刷物の画質を低下させることなく、通紙不良などを抑制し、良好な印刷物を取得する。
【解決手段】画像データに対し、その画像データの端部領域の濃度が低くなるように濃度変換処理を施して処理済画像データを生成することによって、剥離不良の発生しやすい通紙方向先端部などを集中して濃度を落とす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの入力を受け付け、画像データに対して濃度変換処理を施す画像データ生成方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナなどにより原稿を読み取った画像データに基づいてサーマルヘッドなどを駆動し、孔版原紙を溶融穿孔することにより製版処理を施して版を作成し、この作成された版を印刷ドラムに巻着して印刷ドラムの内側よりインクを供給し、ローラなどによりインキを印刷用紙に転移することにより印刷を行う孔版印刷装置が種々提案されている。
【0003】
ここで、上記のような孔版印刷装置においては、たとえば、図15(a)に示すように、印刷用紙の通紙方向の先端部に黒ベタ領域が広範囲に存在する場合、インクの粘着力により印刷ドラムから印刷済みの印刷用紙を剥離するのが困難になる場合がある。そのため、印刷用紙の印刷ドラムからの剥離に失敗したり、印刷用紙が印刷ドラムに連れまわされて舞い上がったり(図16参照)、剥取爪に接触して印刷用紙が汚れたり、印刷用紙の印刷ドラムからの剥離が遅れたために印刷用紙にインクが過剰に転移して濃度ムラが発生したりする問題が発生する。なお、図17は、印刷用紙の通紙方向の先端部、通紙方向の後端部および幅方向(通紙方向に直交する方向)の端部の一例を模式的に示した図である。
【0004】
また、図15(b)に示すように、特に腰の弱い薄紙の通紙方向先端部の左右に黒ベタ領域が集中した場合、印刷用紙の耳折れが発生しやすい問題がある。なお、耳折れとは、印刷用紙の通紙方向先端の角部が、インクの粘着力によって印刷ドラムから剥がれにくくなり、これにより印刷面側に折れ曲ってしまうことをいう。
【0005】
また、図15(c)に示すように、印刷用紙の幅方向(通紙方向に直交する方向)の両端部のうちの片側の端部領域に黒ベタ領域が集中して存在するような場合、印刷用紙と孔版原紙との間に働くインク粘着力が一方の側の端部領域と他方の側の端部領域とで異なるため、印刷用紙の剥離に両サイド同士でずれが生じ、印刷用紙が斜行して通紙が正常に行われなかったり、孔版原紙に対して両サイドで異なる張力が働くため、多数枚の印刷を行っている間に孔版原紙にシワが生じ、良好な印刷結果が得られなかったりする問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−315288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、このような問題を解決する方法として、プレス圧を落とす、または原稿の濃度を薄くすることによって回避することが考えられるが、印刷物の全体の濃度が薄くなって細字などがかすれて画質の劣化を招くことになる。
【0008】
また、特許文献1においては、製版する画像の小領域の画像特徴量に合わせて製版エネルギーやドット密度などの製版条件を制御することによって最適なインク転移量に抑える方法が提案されているが、特許文献1に記載の方法では、画像特徴量のみによって製版条件を制御しているので、印刷用紙の端部領域のインク転移量の抑制が不十分である場合があり、また、濃度が大きい部分を一律に濃度が小さくなるようにすると、画像領域におけるベタ画像の濃度まで薄くなっていまい画質の劣化を招く恐れがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、印刷物の画質を低下させることなく、通紙不良などを抑制し、良好な印刷物を取得することができる画像データ生成方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像データ生成方法は、画像データの入力を受け付け、その受け付けた画像データに対し、その画像データの端部領域の濃度が低くなるように濃度変換処理を施して処理済画像データを生成することを特徴とする。
【0011】
ここで、上記「端部領域の濃度が低くなるように」とは、端部領域全体の濃度が低くなるようにする場合に限らず、端部領域の一部の領域のみの濃度が低くなるようにすることも含むものとする。
【0012】
本発明の画像データ生成装置は、画像データの入力を受け付ける画像データ受付部と、画像データ受付部により受け付けられた画像データに対し、その画像データの端部領域の濃度が低くなるように濃度変換処理を施して処理済画像データを生成する濃度変換処理部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記本発明の画像データ生成装置においては、画像データとして、画像データを構成する画素が互いに直交する2つの方向について2次元状に配列されたものを用い、濃度変換処理部を、上記2つの方向のうちの一方の端部領域の濃度低下の割合よりも他方の端部領域の濃度低下の割合の方が大きくなるように画像データに濃度変換処理を施すものとすることができる。
【0014】
また、濃度変換処理部を、上記他方の方向の2つの端部領域のうちの一方の端部領域の濃度低下の割合の方が他方の端部領域の濃度低下の割合よりも大きくなるように画像データに濃度変換処理を施すものとすることができる。
【0015】
また、画像データの一部の参照領域内の濃度の情報を取得する濃度情報取得部をさらに設け、濃度変換処理部を、濃度情報取得部により取得された参照領域内の濃度の情報と参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、参照領域内の画像データに対して濃度変換処理を施すものとすることができる。
【0016】
ここで、上記「濃度情報取得部により取得された参照領域内の濃度の情報と参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、参照領域内の画像データに対して濃度変換処理を施す」とは、画像データの一部の領域である所定の参照領域内の濃度の情報とその所定の参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、上記所定の参照領域と同じ参照領域内の画像データに対して濃度変換処理を施すことを意味する。
【0017】
また、参照領域内の濃度の情報をその濃度の情報の大きさに応じて変換して変換済濃度情報を取得する濃度情報変換部をさらに設け、濃度変換処理部を、濃度情報変換部により取得された変換済濃度情報と参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、参照領域内の画像データに対して濃度変換処理を施すものとすることができる。
【0018】
ここで、上記「濃度情報変換部により取得された変換済濃度情報と参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、参照領域内の画像データに対して濃度変換処理を施す」とは、画像データの一部の領域である所定の参照領域内の濃度の情報を変換した変換済濃度情報とその所定の参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、上記所定の参照領域と同じ参照領域内の画像データに対して濃度変換処理を施すことを意味する。
【0019】
本発明の画像データ生成装置は、画像データの入力を受け付ける画像データ受付部と、画像データの一部の参照領域内の濃度の情報を取得する濃度情報取得部と、濃度情報取得部より取得された参照領域内の濃度の情報をその濃度の情報の大きさに応じて変換して変換済濃度情報を取得する濃度情報変換部と、画像データを参照領域よりも広いブロック領域に分割し、ブロック領域毎の濃度の情報を取得するブロック濃度情報取得部と、濃度情報変換部により取得された変換済濃度情報とブロック濃度情報取得部により取得された濃度の情報とに基づいて、画像データに濃度変換処理を施して処理済画像データを生成する濃度変換処理部とを備えたこと特徴とする。
【0020】
また、上記本発明の画像データ生成装置においては、濃度情報変換部を、変換済濃度情報として間引き率を取得するものとすることができる。
【0021】
また、濃度情報変換部を、濃度変換曲線が予め設定されたものとし、その濃度変換曲線として、参照領域内の濃度の情報が高いほど参照領域内の濃度の情報をより低い濃度情報に変換するものを用いることができる。
【0022】
また、濃度変換曲線として、参照領域内の濃度の情報の増加に対する変換後の濃度情報の減少の割合が、参照領域内の濃度の情報の増加につれて次第に大きくなった後、次第に小さくなる特性を有するものを用いることができる。
【0023】
また、濃度情報取得部を、参照領域内の濃度の情報として参照領域内の画素密度の情報を取得するものとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像データ生成方法および装置によれば、画像データに対し、その画像データの端部領域の濃度が低くなるように濃度変換処理を施して処理済画像データを生成するようにしたので、たとえば、剥離不良の発生しやすい給紙方向先端部を集中して濃度を落とすことで、印刷物の画質を低下させることなく、通紙不良などを抑制し、良好な印刷物を取得することができる。
【0025】
また、通紙方向先端部の左右の画像の濃度をさらに落とすことによって腰の弱い薄紙の耳折れを無くし正常な通紙を行うことができる。
【0026】
また、インクの粘着力の左右のバランスの崩れによって生じる印刷用紙の斜行を防止し、多枚数印刷による孔版原紙のシワの発生を防止することができる。
【0027】
また、画像データの一部の参照領域内の濃度の情報を取得し、その参照領域内の濃度の情報と参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、濃度変換処理を施すようにした場合には、原稿画像の局所的な特徴に関わらず、印刷用紙へのインク転移量を最適にすることができるので、たとえば、両面印刷における裏抜け、裏移り、インク再転移などによる印刷物のかすれや汚れなどの画像劣化を抑制することができる。
【0028】
また、参照領域内の濃度の情報をその濃度の情報の大きさに応じて変換して変換済濃度情報を取得する際、濃度変換曲線を予め設定するようにした場合には、環境条件やユーザの好みに合わせて濃度変換曲線を設定することによってインク転移量を最適にすることができる。
【0029】
本発明の画像データ生成方法および装置によれば、画像データの一部の参照領域内の濃度の情報を取得し、その参照領域内の濃度の情報をその濃度の情報の大きさに応じて変換して変換済濃度情報を取得し、さらに、画像データを参照領域よりも広いブロック領域に分割し、ブロック領域毎の濃度の情報を取得し、上記変換済濃度情報と上記ブロック領域毎の濃度の情報とに基づいて、画像データに濃度変換処理を施して処理済画像データを生成するようにしたので、原稿画像の局所的な特徴だけでなく、大局的な特徴も考慮して濃度変換処理を施すことができ、より最適なインク転移量に抑制することができる。
【0030】
また、部分的に濃度の高いブロック領域を集中して画像の濃度を落とすことによって、インクの粘着力のバランスの崩れによって生じる印刷用紙の斜行を防止し、多枚数印刷による孔版原紙のシワの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の孔版印刷装置の第1の実施形態の全体概略構成図
【図2】本発明の孔版印刷装置の第1の実施形態の画像データ生成部の構成を示すブロック図
【図3】本発明の孔版印刷装置の第1の実施形態の作用を説明するためのフローチャート
【図4】画像データ、参照領域および注目画素の一例を示す図
【図5】濃度変換曲線の一例を示す図
【図6A】副走査方向の補正量の一例を示す図
【図6B】主走査方向の補正量の一例を示す図
【図7】各画素の補正の一例を示す図
【図8】閾値マトリクスの一例を示す図
【図9】間引き処理の施された局所的な処理済画像データの一例を示す図
【図10】間引き処理の施された大局的な処理済画像データの一例を示す図
【図11】本発明の孔版印刷装置の第2の実施形態の画像データ生成部の構成を示すブロック図
【図12】本発明の孔版印刷装置の第2の実施形態の作用を説明するためのフローチャート
【図13】ブロック領域の平均濃度と補正量との関係の一例を示す図
【図14】間引き処理前の2値画像データ、間引き処理前の2値画像データのブロック領域の平均濃度値と、および間引き処理を行った処理済画像データの一例の模式図
【図15】端部領域にベタ画像が存在する画像データの一例を示す図
【図16】舞い上がりの作用を説明するための図
【図17】印刷用紙の通紙方向の先端部、通紙方向の後端部および幅方向の端部の一例の模式図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の画像データ生成装置を用いた孔版印刷装置の第1の実施形態について詳細に説明する。本実施形態の孔版印刷装置は画像データの生成方法に特徴を有するものであるが、まずは、その概略構成について説明する。図1は、本実施形態の孔版印刷装置の概略構成図である。
【0033】
本実施形態の孔版印刷装置1は、図1に示すように、原稿の画像を読み取って画像データを出力する画像読取部10、画像読取部10で読み取られた画像データに基づいて孔版原紙Mに製版処理を施す第1および第2の製版部30,35、第1および第2の製版部30,35において製版された孔版原紙Mを用いて印刷用紙P1に印刷を施す第1および第2の印刷部40,50、第1の印刷部40に印刷用紙P1を給紙する給紙部20、第1の印刷部40において片面印刷された印刷用紙P2を一旦ストックし、その後、所定のタイミングで第2の印刷部50に給紙する中間ストック部46と、第2の印刷部50によって両面印刷された印刷用紙P3が排出される排紙部70とを備えている。
【0034】
画像読取部10は、原稿の画像情報を光電的に読み取るラインイメージセンサを有し、ラインイメージセンサで原稿を走査することによって原稿を読み取り、画像データを出力するものである。
【0035】
第1の製版部30は、複数個の発熱体が一列に配列されてなるサーマルヘッド31を有し、孔版原紙ロールから繰り出された孔版原紙Mに対し、サーマルヘッド31を用いて製版処理を行うものである。なお、第1の製版部30は、後述する画像データ生成部60から出力された処理済画像データに基づいて製版処理を行うものである。
【0036】
第2の製版部35も、第1の製版部30と同様に、サーマルヘッド36を有し、孔版原紙ロールから繰り出された孔版原紙Mに対し、サーマルヘッド36を用いて製版処理を行うものである。なお、第2の製版部35も、後述する画像データ生成部60から出力された処理済画像データに基づいて製版処理を行うものである。
【0037】
第1の印刷部40は、多孔金属板、メッシュ構造体などのインク通過性の円筒状の第1の印刷ドラム41と、印刷用紙P1を所定のプレス圧で第1の印刷ドラム41に圧接させる第1のプレスローラ42と、第1の印刷ドラム41から片面印刷済印刷用紙P2を剥ぎ取る第1の剥取爪43とを備えている。第1の印刷ドラム41の外周には第1の製版部30において穿孔された製版済孔版原紙Mが巻き付けられて装着されるようになっている。また、第1のプレスローラ42は、第1の印刷ドラム41の円筒の中心軸が延びる方向(図1の紙面厚さ方向)に沿って延設されている。
【0038】
第2の印刷部50は、第1の印刷部40と同様に、円筒状の第2の印刷ドラム51と、印刷用紙P2を所定のプレス圧で第2の印刷ドラム51に圧接させる第2のプレスローラ52と、第2の印刷ドラム51から両面印刷済印刷用紙P3を剥ぎ取る第2の剥取爪53とを備えている。第2の印刷ドラム51の外周には第2の製版部35において穿孔された製版済孔版原紙Mが巻き付けられて装着されるようになっている。また、第2のプレスローラ52は、第2の印刷ドラム51の円筒の中心軸が延びる方向(図1の紙面厚さ方向)に沿って延設されている。
【0039】
給紙部20は、印刷用紙P1が載置される給紙台21と、給紙台21より印刷用紙P1を一枚ずつ取り出して2次給紙ローラ23に向けて送り出す1次給紙ローラ22と、1次給紙ローラ22の搬送方向下流側に配置され、1次給紙ローラ22により搬送された印刷用紙P1の先端を一旦停止させ、所定のタイミングで印刷用紙P1を第1の印刷ドラム41と第1のプレスローラ42との間に送り出す2次給紙ローラ23とを備えている。
【0040】
排紙部70は、両面印刷済印刷用紙P3を排紙台71まで搬送する排紙送りベルト部72と、排紙送りベルト部72により搬送された両面印刷済印刷用紙P3が積載される排紙台71とを備えている。
【0041】
また、第1の印刷部40と中間ストック部46との間には、湾曲搬送部44が設置されている。湾曲搬送部44は、図1に示すように、搬送経路に沿った湾曲表面を有するガイド板を備えている。ガイド板の湾曲表面には、第1の印刷部40から送り出された印刷用紙P1を吸引する吸引口が設けられた搬送ベルトが設置されている。そして、この搬送ベルトを循環移動させるプーリー45が設けられている。湾曲搬送部44は、搬送ベルトの吸引口によって片面印刷済印刷用紙P2を吸引するとともに、プーリー45を回転させることによって搬送ベルトにより片面印刷済印刷用紙P2をガイド板の湾曲表面に沿って搬送するものである。
【0042】
また、中間ストック部46と第2の印刷部50との間には、中間ストック部46から搬出された片面印刷済印刷用紙P2をピックアップするピックアップローラ47と、ピックアップローラ47によってピックアップされた片面印刷済印刷用紙P2を順次所定のタイミングで第2の印刷ドラム51と第2のプレスローラ52との間に送り出すタイミングローラ48とを備えている。
【0043】
また、本実施形態の孔版印刷装置1は、画像読取部10から出力された画像データに対して、所定の濃度変換処理を施して第1および第2の製版部30,35にそれぞれ出力する画像データ生成部60を備えている。
【0044】
画像データ生成部60は、具体的には、図2に示すように、画像読取部10から出力された画像データの入力を受け付ける画像データ受付部61と、画像データ受付部61によって受け付けられた画像データに対して2値化処理を施す2値化処理部62と、2値化処理部62によって2値化処理の施された2値画像データの一部の参照領域内の画素密度を取得する画素密度取得部63と、画素密度取得部63によって取得された画素密度に基づいて、参照領域内の2値画像データの間引き率を取得する濃度情報変換部64と、濃度情報変換部64により取得された間引き率に対し2値化画像データの各画素の座標情報に基づいて補正を施して補正間引き率を取得し、その補正間引き率に基づいて参照領域内の2値画像データに間引き処理を施して処理済画像データを生成する間引き処理部65とを備えている。なお、上記各部の作用については、後で詳述する。
【0045】
次に、本発明の第1の実施形態の孔版印刷装置1の作用について説明する。最初に、画像データ生成部60の作用について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0046】
まず、画像読取部10の原稿台に原稿が設置され、押圧板により押圧された状態でラインイメージセンサによりスキャンされて画像データが読み取られる(S10)。そして、原稿に記録された画像を表す多値画像データがライン毎に順次取得され、画像読取部10から画像データ生成部60の画像データ受付部61に受け付けられる。
【0047】
画像データ受付部61は、受け付けた多値画像データを2値化処理部62に出力し、2値化処理部62は、入力されたライン毎の多値画像データに対し2値化処理を施して2値画像データに変換する(S12)。なお、2値化処理としては、単純2値化処理、誤差拡散法、網点2値化法などの公知の2値化処理を用いることができる。
【0048】
そして、2値化処理部62において変換された2値画像データは、画素密度取得部63と間引き処理部65とに出力される。
【0049】
画素密度取得部63は、入力された2値画像データに基づいて、その濃度情報として画素密度を取得する(S14)。具体的には、図4に示すように、2値画像データの全体のうちの一部の領域を参照領域として設定し、その参照領域内の黒画素数をカウントし、参照領域内の総画素数に対する黒画素数の割合を画素密度として取得する。そして、その取得した画素密度を参照領域の中心画素である注目画素に割り当てる。なお、図4は、5画素×5画素を参照領域として設定した場合の参照領域の範囲と注目画素の位置とを示している。図4に示すように参照領域内の全画素数25画素のうちの20画素が黒画素である場合、画素密度は、20画素/25画素=0.8となる。
【0050】
そして、参照領域が、図4に示す主走査方向(幅方向)に1画素ずつシフトされ、それぞれの参照領域内で画素密度が取得されてその画素密度が注目画素に割り当てられることによってライン毎の2値画像データの全画素にそれぞれ画素密度が割り当てられる。なお、主走査方向とは、印刷用紙の幅方向に対応する2値画像データの座標系上の方向である。
【0051】
なお、設定される参照領域が大きい場合には黒画素数のカウントにかかる時間が長くなり、処理速度が遅くなってしまう。そこで、参照領域を1画素シフトするたびに、前回の参照領域と現在の参照領域の差分領域の黒画素数の増減のみをカウントして黒画素数を計算するようにしてもよい。
【0052】
また、2値画像データを記憶するメモリとして、上記のような画素密度の計算に必要な参照領域に相当するライン分のラインバッファメモリ(図4参照)を使用するようにしてもよく、これによりメモリの容量を抑制することができ、コストの削減を図ることができる。
【0053】
そして、画素密度取得部63において各画素に割り当てられた画素密度の情報は、濃度情報変換部64に出力され、濃度情報変換部64は、入力された各画素の画素密度の情報に基づいて、その画素密度の大きさに応じた各画素の間引き率を取得する(S16)。具体的には、濃度情報変換部64には、図5に示すような画素密度と間引き率とを対応付けた濃度変換曲線が設定されている。
【0054】
ここで、濃度変換曲線は、図5に示すように、画素に割り当てられた画素密度が大きいほどより高い間引き率に変換するものである。そして、さらに画素密度の増加に対する間引き率の増加の割合(傾き)が、画素密度の増加につれて次第に大きくなった後、次第に小さくなるような特性を有するものである。なお、上記割合(傾き)は、インク転移量が増大する画素密度0.5までは一定もしくは緩やかに増加させ、画素密度0.5からは急激に増加させた後、再度一定もしくは緩やかに増加させることが望ましい。なお、濃度変換曲線の特性については、気温などの環境条件に応じて自動的に変更できるようにしてもよいし、操作者によって好みに応じて変更できるようにしてもよい。
【0055】
ここで、画素密度に対する間引き率を、図5に示すような特性とした理由について以下に説明する。
【0056】
まず、本実施形態では、上述したように参照領域の注目画素に対し、その参照領域の画素密度に対応する間引き率を割り当てるようにしており、参照領域内の各黒画素に対して間引き率を割り当てているわけではない。
【0057】
このように構成しているのは、たとえば、参照領域内の各黒画素に対して間引き率を割り当てるようにしたのでは、参照領域内の実際に間引きされた後の黒画素数をカウントし、その黒画素を特定する必要があり、その分実装コストが高くなってしまうからである。また、参照領域を左から右、上から下にシフトする場合、参照領域の右下半分の部分は間引き処理が施されていない状態なので、その間引き結果を予想する必要があるため、予測アルゴリズムを用意する必要があるからである。
【0058】
これに対し、本実施形態の方法を採用すれば構成をシンプルにすることができる。
【0059】
しかしながら、本実施形態の方法を採用した場合、白画素もその周囲の濃度によっては間引き対象の画素となってしまう。
【0060】
したがって、黒画素に対して間引き率を割り当てる場合よりも少し間引き率を上乗せして算出する必要がある。
【0061】
よって、中濃度である画素密度0.5からは急激に間引き率を増加させるようにし、高濃度の画素密度においては白画素が間引き対象画素として判別される可能性が低いため、間引き率を特に上乗せすることなく、緩やかに間引き率を増加させるようにしている。
【0062】
また、低濃度の画素密度に対しては、そもそもインクの再転移が発生しないので間引く必要がないが、間引き処理後の濃度の連続性を考慮して若干間引き率を割り当てるようにしている。
【0063】
そして、濃度情報変換部64は、濃度変換曲線と各画素の画素密度とに基づいて、各画素の間引き率を算出する。たとえば、間引き率の算出対象の画素が図4に示す注目画素である場合には、画素密度が0.8であるので、間引き率として0.5が取得される。このようにしてライン毎の全画素について間引き率が割り当てられる。
【0064】
そして、濃度情報変換部64において各画素に割り当てられた間引き率は間引き処理部65に出力される。
【0065】
間引き処理部65は、まず、入力された各画素の間引き率に対して、補正を施して補正間引き率を取得する(S18)。
【0066】
ここで、間引き処理部65は、2値画像データの端部領域の濃度が低くなるように各画素の間引き率に対して補正を施すものである。より具体的には、たとえば、図6Aおよび図6Bのグラフに示すような補正量が設定されており、この補正量と間引き率とが掛け合わされて補正間引き率が算出される。補正量としては、たとえば、図6Aに示すように、2値画像データの副走査方向の先端側と後端側の端部領域の補正量が、中心部分の領域の補正量よりも大きくなるように設定されている。なお、この副走査方向とは、印刷用紙の通紙方向に対応する2値画像データの座標系上の方向であり、2値画像データの副走査方向の先端側とは印刷用紙の通紙方向の前方側(下流側)に対応し、副走査方向の後端側とは印刷用紙の通紙方向の後方側(上流側)に対応する。
【0067】
また、端部領域としては、たとえば、印刷時に印刷用紙の先端が剥離爪43,53の先端に到達したときの、その印刷用紙の先端から印刷用紙とプレスローラ42,52との接触位置までの用紙長に相当する領域とすることが望ましい。
【0068】
また、2値画像データの主走査方向については、図6Bに示すように、2値画像データの主走査方向の右側と左側の端部領域の補正量が、中心部分の領域の補正量よりも大きくなるように設定されている。なお、この主走査方向とは、上述したとおり、印刷用紙の通紙方向に直交する方向に対応する2値画像データの座標系上の方向である。
【0069】
そして、2値画像データの主走査方向(幅方向)の端部領域の濃度低下の割合よりも副走査方向(通紙方向)の端部領域の濃度低下の割合の方が大きくなるようにすることが望ましく、すなわち、図6Aおよび図6Bに示すように、2値画像データの副走査方向の先端側と後端側の端部領域の補正量の方が、主走査方向の右側と左側の端部領域の補正量よりも大きくなるように設定することが望ましい。
【0070】
さらに、2値画像データの副走査方向の2つの端部領域のうちの先端側の端部領域の濃度低下の割合の方が後端側の端部領域の濃度低下の割合よりも大きくなるようにすることが望ましく、すなわち、図6Aに示すように、2値画像データの副走査方向の先端側の端部領域の補正量の方が、副走査方向の後端の端部領域の補正量よりも大きくなるように設定することが望ましい。
【0071】
なお、補正量については、孔版印刷装置1の特性に合わせて、図6Aに示すような副走査方向の各画素の座標に応じた補正量のみを設定するようにしてもよいし、図6Bに示すような主走査方向の各画素の座標に応じた補正量のみを設定するようにしてもよい。また、図7に示すように、副走査方向の座標と主走査方向の座標との両方に対応した補正量を各画素に設定するようにしてもよい。
【0072】
たとえば通紙方向の補正のみを行う場合、間引き率の補正の対象の画素が、図4に示す注目画素であり、この画素の座標が副走査方向の最先端である場合には、この注目画素の間引き率は、上述したように0.5であり、補正量は、図6Aに示すように1.5であるので、0.5×1.5=0.75が計算され、補正間引き率として0.75が取得される。一方、間引き率の補正の対象の画素が、図4に示す注目画素であり、この画素の座標が中心部分の領域である場合には、この注目画素の間引き率は0.5であり、補正量は、図6Aに示すように1であるので、0.5×1=0.5が計算され、補正間引き率として0.5がそのまま取得される。
【0073】
上記のようにして、ライン毎の2値画像データの全画素について補正間引き率が割り当てられる。
【0074】
そして、次に、間引き処理部65は、入力された2値画像データと各画素に割り当てられた補正間引き率とに基づいて、2値画像データに間引き処理を施す(S20)。具体的には、たとえば、乱数に基づいて確率的に間引き処理を行う場合には、0から1まで間の乱数により決定される値が、各画素に割り当てられた補正間引き率よりも小さい場合に黒画素を白画素の変換するようにすればよい。たとえば、補正間引き率が0.75である場合には、75%の確率で白画素に変換されることになる。
【0075】
また、上記のような乱数を用いた方法ではなく、確率テーブルを、図8に示すような閾値マトリクスとして保持し、各画素の座標に対応する閾値マトリクスの値が注目画素に割り当てられた補正間引き率よりも小さい場合に、黒画素を白画素に変換するようにしてもよい。
【0076】
各画素に対応する閾値マトリクスの値T(X,Y)を取得する方法としては、以下の方法を採用すればよい。たとえば、図7に示す閾値マトリクスの右方向に0〜3までのX座標を割り当て、上方向に0〜3までにY座標を割り当てた場合、所定の画素(x,y)に割り当てられる閾値マトリクスの値の座標は、X=x%4、Y=y%4となる。なお、%は、xまたはyを4で割った余りを返す演算子である。
【0077】
図4に示す2値画像データに対して上記のような間引き処理を行った処理済画像データの一例を図9に示す。図9に示すように、局所的にみると、エッジから離れた右側の領域の画素ほど画素密度が高いため間引かれた画素が多くなっている。
【0078】
また、間引き処理を行った処理済画像データを大局的にみた場合の一例を図10に示す。たとえば、図6Aに示す補正量にしたがって間引き補正率を取得した場合、図10に示すように、通紙方向先端側および後端ほど大きく間引かれ、中央側になるにつれ徐々に間引き率が下がっているのがわかる。また、通紙方向先端側の方が後端よりも間引き率が高いのがわかる。
【0079】
そして、間引き処理部65において生成されたライン毎の処理済画像データは、第1の製版部30に順次出力され、ライン毎の処理済画像データに基づいて第1の製版部30のサーマルヘッド31を用いて孔版原紙Mに対して穿孔が施されてライン毎の製版処理が順次行われる(S22)。
【0080】
そして、全てのラインのスキャンが終了していない場合には、参照領域を図4に示す副走査方向に1画素シフトし、再びS10に戻り、S10からS22までの処理が繰り返される(S24)。
【0081】
上述したS10からS24までの処理が、両面印刷される原稿のそれぞれ画像について行われ、一方の画像に対応する処理済画像データは、上述したように第1の製版部30に入力されて製版処理が行われ、他方の画像に対応する処理済画像データは、第2の製版部35に入力されて製版処理が行われる。
【0082】
そして、第1の製版部30において製版処理の施された版は、第1の印刷ドラム41に巻着され、第2の製版部35において製版処理の施された版は、第2の印刷ドラム51に巻着され、印刷動作が実行される(S26)。
【0083】
具体的には、インク供給ポンプ(図示省略)により第1および第2の印刷ドラム41,51の内側にインクが供給され、第1および第2の印刷ドラム41,51が回転駆動される。そして、第1および第2の印刷ドラム41,51の回転に同期して所定のタイミングにて印刷用紙P1が1次給紙ローラ22によって給紙台21から繰り出され、一旦2次給紙ローラ23に当接してたるみを形成した後、所定のタイミングで2次給紙ローラ23により図1における左から右へ搬送され、第1の印刷ドラム41と第1のプレスローラ42との間に供給される。そして、第1の印刷ドラム41の外周面に巻き付けられている製版済孔版原紙Mに対し、印刷用紙P1が第1のプレスローラ42によって圧接されることにより印刷用紙P1に対して片面の孔版印刷が行われる。
【0084】
そして、第1の印刷ドラム41が所定の角度だけ回転して印刷用紙P1への片面の孔版印刷が終了すると、その片面印刷済印刷用紙P2は剥取爪43により第1の印刷ドラム41から剥ぎ取られ、その剥ぎ取られた片面印刷済印刷用紙P2は、湾曲搬送部44によって中間ストック部46に搬送される。
【0085】
片面印刷済印刷用紙P2は、中間ストック部46に一旦ストックされた後、印刷面が下側に向けられた状態(印刷されていない面が上側)で中間ストック部46から排出され、ピックアップローラ47によってピックアップされ、一旦タイミングローラ48に当接してたるみを形成した後、所定のタイミングでタイミングローラ48によって第2の印刷ドラム51と第2のプレスローラ52との間に供給される。
【0086】
そして、第2の印刷ドラム51の外周面に巻き付けられている製版済孔版原紙Mに対し、片面印刷済印刷用紙P2の未印刷面が第2のプレスローラ52によって圧接されることにより片面印刷済印刷用紙P2の未印刷面に対して孔版印刷が行われる。
【0087】
そして、第2の印刷ドラム51が所定の角度だけ回転して片面印刷処理済印刷用紙P2の未印刷面への孔版印刷が終了すると、その両面印刷済印刷用紙P3は剥取爪53により第2の印刷ドラム51から剥ぎ取られ、その剥ぎ取られた両面印刷済印刷用紙P3は、排紙送りベルト部72により排紙台71まで搬送され、排紙台71に積載される。
【0088】
そして、再び給紙台21から印刷用紙P1が繰り出され、上記と同様にして印刷用紙P1に対して両面孔版印刷が行われる。
【0089】
次に、本発明の画像データ生成装置を用いた孔版印刷装置の第2の実施形態について詳細に説明する。第2の実施形態の孔版印刷装置は、上述した第1の実施形態の孔版印刷装置1と画像データ生成部の構成が異なるものである。その他の構成については第1の実施形態の孔版印刷装置1と同様であるので、画像データ生成部の構成および作用についてのみ以下に説明する。
【0090】
第2の実施形態の孔版印刷装置の画像データ生成部80は、具体的には、図11に示すように、画像読取部10から出力された画像データの入力を受け付ける画像データ受付部81と、画像データ受付部81によって受け付けられた画像データに対して2値化処理を施す2値化処理部82と、2値化処理部82によって2値化処理の施された2値画像データの一部の参照領域内の画素密度を取得する画素密度取得部83と、画素密度取得部83によって取得された画素密度に基づいて、参照領域内の2値画像データの間引き率を取得する濃度情報変換部84と、濃度情報変換部84により取得された間引き率に対し、後述するブロック平均濃度に基づいて補正を施して補正間引き率を取得し、その補正間引き率に基づいて参照領域内の2値画像データに間引き処理を施して処理済画像データを生成する間引き処理部85と、画像データ受付部81によって受け付けられた画像データを上記参照領域よりも広いブロック領域に分割し、そのブロック領域毎の濃度の情報を取得する濃度分布計算部86とを備えている。
【0091】
なお、画像データ受付部81、2値化処理部82、画素密度取得部83、および濃度情報変換部84については、上記第1の実施形態の孔版印刷装置と同様である。
【0092】
次に、本発明の第2の実施形態の孔版印刷装置の画像データ生成部80の作用について、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0093】
まず、画像読取部10の原稿台に原稿が設置され、押圧板により押圧された状態でラインイメージセンサによりプリスキャンされて多値画像データが読み取られる(S30)。なお、プリスキャンにおいては、後述する本スキャンのときよりも低い解像度の多値画像データが読み取られる。そして、プリスキャン画像データがライン毎に順次取得され、画像読取部10から画像データ生成部80の画像データ受付部81に受け付けられる。
【0094】
画像データ受付部81は、受け付けたプリスキャン画像データを濃度分布計算部86に出力する。そして、濃度分布計算部86は、入力されたプリスキャン画像データを複数のブロック領域に分割し、その分割したブロック領域毎の平均濃度値を算出する。そして、そのブロック領域毎の平均濃度値は、そのブロック領域内の各画素に割り当てられ、各画素の平均濃度値をメモリに記憶する。なお、ブロック領域の大きさは、後述する参照領域の大きさよりも大きい領域であり、たとえば、10cm角の大きさとすることができる。
【0095】
次に、引き続いて、画像読取部10により原稿が読み取られて本スキャンが行われ、プリスキャン画像データよりも高い解像度の多値画像データが読み取られる(S32)。そして、本スキャンによって多値画像データがライン毎に順次取得され、画像読取部10から画像データ生成部80の画像データ受付部81に受け付けられる。
【0096】
画像データ受付部81は、受け付けた多値画像データを2値化処理部82に出力し、2値化処理部82は、入力されたライン毎の多値画像データに対し2値化処理を施して2値画像データに変換する(S34)。
【0097】
そして、2値化処理部82において変換された2値画像データは、画素密度取得部83と間引き処理部85とに出力される。
【0098】
画素密度取得部83は、入力された2値画像データに基づいて、その濃度情報として画素密度を取得する(S36)なお、画素密度の取得方法については、上記第1の実施形態の孔版印刷装置1と同様である。
【0099】
そして、画素密度取得部83において各画素に割り当てられた画素密度の情報は、濃度情報変換部84に出力され、濃度情報変換部84は、入力された各画素の画素密度の情報に基づいて、その画素密度の大きさに応じた各画素の間引き率を取得する(S38)。なお、間引き率の取得方法については、上記第1の実施形態の孔版印刷装置1と同様である。
【0100】
そして、濃度情報変換部84において各画素に割り当てられた間引き率は間引き処理部85に出力される。
【0101】
間引き処理部85は、まず、入力された各画素の間引き率に対して、補正を施して補正間引き率を取得する(S40)。
【0102】
ここで、間引き処理部65は、濃度分布計算部86のメモリに記憶された各画素の平均濃度値に基づいて、各画素の間引き率に補正を施すものである。より具体的には、たとえば、図13のグラフに示すような補正量が設定されており、この補正量と間引き率とが掛け合わされて補正間引き率が算出される。補正量は、たとえば、図13に示すように、平均濃度値が大きいほど大きい値となるように設定される。なお、隣接するブロック領域間で平均濃度値に大きな差がある場合には、補正間引き率に不連続性が生じて画質に影響を及ぼす可能性がある。そこで、隣接するブロック領域について平均濃度値を算出した後、その平均濃度値を線形補間することによってブロック平均濃度値をブロック領域毎に算出し、そのブロック平均濃度値をブロック領域内の各画素に割り当て、このブロック平均濃度値に基づいて補正量を取得するようにしてもよい。
【0103】
上記のようにして、ライン毎の2値画像データの全画素について補正間引き率が割り当てられる。
【0104】
そして、次に、間引き処理部85は、入力された2値画像データと各画素に割り当てられた補正間引き率とに基づいて、2値画像データに間引き処理を施す(S42)。なお、間引き処理の方法については、上記第1の実施形態の孔版印刷装置1と同様である。
【0105】
図14に、間引き処理前の2値画像データの一例を示す図と、間引き処理前の2値画像データのブロック領域の平均濃度値を模式に表した図と、間引き処理を行った処理済画像データの一例を図14に示す。図14に示すように、ベタ領域が存在する左下のブロック領域は、平均濃度値が大きいのでより大きな補正量で補正された間引き率で間引かれ、文字領域が存在する右上のブロック領域は、平均濃度値が小さいので、補正前の局所的な濃度に応じた間引き率によってのみ間引かれる。
【0106】
そして、間引き処理部85において生成されたライン毎の処理済画像データは、第1の製版部30に順次出力され、ライン毎の処理済画像データに基づいて第1の製版部30のサーマルヘッド31を用いて孔版原紙Mに対して穿孔が施されてライン毎の製版処理が順次行われる(S44)。
【0107】
そして、全てのラインのスキャンが終了していない場合には、参照領域を図4に示す副走査方向に1画素シフトし、再びS32に戻り、S32からS42までの処理が繰り返される(S46)。
【0108】
上述したS32からS44までの処理が、両面印刷される原稿のそれぞれ画像について行われ、一方の画像に対応する処理済画像データは、上述したように第1の製版部30に入力されて製版処理が行われ、他方の画像に対応する処理済画像データは、第2の製版部35に入力されて製版処理が行われる。
【0109】
そして、第1の製版部30において製版処理の施された版は、第1の印刷ドラム41に巻着され、第2の製版部35において製版処理の施された版は、第2の印刷ドラム51に巻着され、印刷動作が実行される(S48)。なお、印刷動作については、上記第1の実施形態の孔版印刷装置1と同様である。
【0110】
また、上記第1および第2の実施形態においては、画像データ全体をそれぞれ参照領域で走査し、その参照領域内の画素密度に基づいて、間引き処理を行うようにしたが、必ずしも画像データ全体について参照領域を走査する必要はなく、画像データの中の一部の特定領域についてのみ参照領域で走査するようにしてもよい。
【0111】
具体的には、画像データの画像領域のうち、画素値が閾値以上の範囲内のみについて参照領域を走査するようにしてもよい。
【0112】
また、上記第1および第2の実施形態においては、参照領域を5画素×5画素の大きさとしたが、これに限らず、その他の大きさとしてもよい。そして、参照領域の大きさに対して、濃度変換の対象の画像領域が小さい場合には、必ずしも上記実施形態のように参照領域を走査する必要はなく、互いに対応する参照領域内の濃度情報に基づいて、その参照領域内の濃度変換を行うようにしてもよい。
【0113】
なお、上記第1および第2の実施形態は、画像データ生成部を孔版印刷装置に設けたものであるが、画像データ生成部を設ける装置はこれに限らず、たとえば、孔版印刷装置にプリンタジョブなどの制御信号を出力するプリンタコントローラに設けるようにしてもよい。
【0114】
また、上記第1および第2の実施形態の孔版印刷装置は、画像読取部10から出力された画像データを受け付けるものであるが、これに限らず、パソコンなどのコンピュータにおいて編集、生成された画像データを受け付けるものとしてもよい。また、コンピュータに画像データ生成部を設けるようにしてもよい。
【0115】
また、上記第1および第2の実施形態の孔版印刷装置は、両面印刷を行う2つの印刷ドラムを備えたものであるが、これに限らず、本発明の画像データ生成装置は、2色印刷を行う2つの印刷ドラムを備えた孔版印刷装置や、1つの印刷ドラムを着脱可能な孔版印刷装置であって、印刷用紙を印刷部に2回通すことによって両面または2色印刷可能な孔版印刷装置や、片面印刷を行う1つの印刷ドラムを備えた孔版印刷装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 孔版印刷装置
10 画像読取部
20 給紙部
30 第1の製版部
31 サーマルヘッド
35 第2の製版部
36 サーマルヘッド
40 第1の印刷部
41 第1の印刷ドラム
42 第1のプレスローラ
46 中間ストック部
50 第2の印刷部
51 第2の印刷ドラム
52 第2のプレスローラ
60,80 画像データ生成部
61,81 画像データ受付部
62,82 2値化処理部
63,83 画素密度取得部
64,84 濃度情報変換部
65,85 間引き処理部
70 排紙部
86 濃度分布計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの入力を受け付け、
該受け付けた画像データに対し、該画像データの端部領域の濃度が低くなるように濃度変換処理を施して処理済画像データを生成することを特徴とする画像データ生成方法。
【請求項2】
画像データの入力を受け付ける画像データ受付部と、
該画像データ受付部により受け付けられた画像データに対し、該画像データの端部領域の濃度が低くなるように濃度変換処理を施して処理済画像データを生成する濃度変換処理部とを備えたことを特徴とする画像データ生成装置。
【請求項3】
前記画像データが、該画像データを構成する画素が互いに直交する2つの方向について2次元状に配列されたものであり、
前記濃度変換処理部が、前記2つの方向のうちの一方の端部領域の濃度低下の割合よりも他方の端部領域の濃度低下の割合の方が大きくなるように前記画像データに濃度変換処理を施すものであることを特徴とする請求項2記載の画像データ生成装置。
【請求項4】
前記濃度変換処理部が、前記他方の方向の2つの端部領域のうちの一方の端部領域の濃度低下の割合の方が他方の端部領域の濃度低下の割合よりも大きくなるように前記画像データに濃度変換処理を施すものであることを特徴とする請求項3記載の画像データ生成装置。
【請求項5】
前記画像データの一部の参照領域内の濃度の情報を取得する濃度情報取得部をさらに備え、
前記濃度変換処理部が、前記濃度情報取得部により取得された前記参照領域内の濃度の情報と前記参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、前記参照領域内の画像データに対して前記濃度変換処理を施すものであることを特徴とする請求項2から4いずれか1項記載の画像データ生成装置。
【請求項6】
前記参照領域内の濃度の情報を該濃度の情報の大きさに応じて変換して変換済濃度情報を取得する濃度情報変換部をさらに備え、
前記濃度変換処理部が、前記濃度情報変換部により取得された変換済濃度情報と前記参照領域内の画素の位置情報とに基づいて、前記参照領域内の画像データに対して前記濃度変換処理を施すものであることを特徴とする請求項5記載の画像データ生成装置。
【請求項7】
画像データの入力を受け付ける画像データ受付部と、
前記画像データの一部の参照領域内の濃度の情報を取得する濃度情報取得部と、
前記濃度情報取得部より取得された前記参照領域内の濃度の情報を該濃度の情報の大きさに応じて変換して変換済濃度情報を取得する濃度情報変換部と、
前記画像データを前記参照領域よりも広いブロック領域に分割し、該ブロック領域毎の濃度の情報を取得するブロック濃度情報取得部と、
前記濃度情報変換部により取得された変換済濃度情報と前記ブロック濃度情報取得部により取得された濃度の情報とに基づいて、前記画像データに濃度変換処理を施して処理済画像データを生成する濃度変換処理部とを備えたこと特徴とする画像データ生成装置。
【請求項8】
前記濃度情報変換部が、前記変換済濃度情報として間引き率を取得するものであることを特徴とする請求項6または7記載の画像データ生成装置。
【請求項9】
前記濃度情報変換部が、濃度変換曲線が予め設定されたものであり、
該濃度変換曲線が、前記参照領域内の濃度の情報が高いほど該参照領域内の濃度の情報をより低い濃度情報に変換するものであることを特徴とする請求項6から8いずれか1項記載の画像データ生成装置。
【請求項10】
前記濃度変換曲線が、前記参照領域内の濃度の情報の増加に対する前記変換後の濃度情報の減少の割合が、前記参照領域内の濃度の情報の増加につれて次第に大きくなった後、次第に小さくなる特性を有するものであることを特徴とする請求項9記載の画像データ生成装置。
【請求項11】
前記濃度情報取得部が、前記参照領域内の濃度の情報として前記参照領域内の画素密度の情報を取得するものであることを特徴とする請求項5から10いずれか1項記載の画像データ生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−37203(P2011−37203A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188527(P2009−188527)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【復代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
【Fターム(参考)】