説明

画像処理方法、画像処理装置、コンピュータが読取り可能な媒体及びコンピュータプログラム

【課題】3次元医療用画像にて、生成される偽陽性結果の数の抑制しながら、高い感度を持って目的の対象物を検出することができる画像処理方法、画像処理装置及びコンピュータプログラム並びに該画像処理方法を実行させる指示を記憶しているコンピュータが読取り可能な媒体の提供。
【解決手段】コンピュータによって実現され、3次元医療用画像にて対象物を検出する方法は3次元医療用画像の少なくとも一部分にある各ボクセルで複数の特徴の値を求めるステップを備える。各特徴は、特定のボクセルにて3次元医療用画像の各特徴を示す。特徴の値、及び、既存の医療情報に基づいて、各特徴の尤度確率分布を計算する。尤度確率分布を組み合わせるベイズ法を用いることによって確率マップを生成し、対象物を検出するために確率マップを解析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の画像化及び医療用画像の解析に関し、特に医療用画像における異常な部分(病巣)を検出する画像処理方法及び画像処理装置に関する。潜在的な病巣を検出するための医療用画像処理、及び/又は、潜在的な病巣が既に検出されている場合の偽陽性結果の排除に本発明を使用することができる。
【背景技術】
【0002】
医療用の画像化は、診断及び患者の治療が改善される鍵として一般に認識されている。医療用の画像化はX線、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、磁気共鳴映像法(MRI)及びポジトロン放出断層撮影法(PET)等の画像診断法によって、最近数年間に渡って爆発的に発展してきた。従来、医療用画像は、病巣等の目的の解剖学的構造を識別するために高度に訓練された医師によって視覚的に検査されている。しかしながら、このような処理は単調で時間がかかり、十分に注意して行われる必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ピー.アール.エス.メンドンカ 他(P. R. S. Mendonca et al.)、「形状及び外観のモデル化を用いたポリープ検出(“Detection of Polyps via Shape and Appearance Modeling”)、医療用画像計算及びコンピュータ支援治療介入2008ワークショップ:仮想結腸内視鏡の新時代におけるコンピュータによる視覚化の挑戦の報告書(Proceedings. MICCAI2008 Workshop: Computational and Visualization Challenges in the New Era of Virtual Colonoscopy)、33−39頁、2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンピュータ断層撮影コロノグラフィ(CTC)は結腸癌の検出及びスクリーニングに使用されている医療用の画像化の一形態である。CTCの目的は、コンピュータ的に処理するCTスキャンによって、結腸壁にあるポリープの位置を発見して検出することである。ポリープは、粘膜の異常成長である。ポリープは良性又は悪性(癌性)の可能性がある。CTCの有効性は、CTCスキャンによって生成された膨大なデータを解明するために費やす時間、専門家間のばらつき及び分類の複雑性によって失われる。典型的な現代のCTCスキャンは、人が仰向け及びうつ伏せになった場合のデータセットに対して約1000枚の軸方向のCT画像(スライス)を生成する。これらの問題に対処するために、CTCを用いてポリープを検出する多くのコンピュータ支援検出(CAD)機構が提案されている。
【0005】
ポリープを検出する従来のCADシステムは2つのステップを備える。「候補生成」として知られる第1ステップでは、初期のポリープ候補を識別するための画像処理技術が用いられる。(ここで「ポリープ候補」はポリープであるかもしれないが、ポリープであるとまだ確認されていない解剖学的構造を説明するために使用される用語である。)通常、多数の偽陽性結果が、第1ステップで生み出され、生み出された偽陽性結果は真陽性結果の数を著しく上回る。「偽陽性(FP)」という用語は実際にはポリープではないポリープ候補を指し、「真陽性(TP)」という用語はポリープであると確認することができるポリープ候補を指す。CADシステムの第2ステップは、好ましくはTPの数を減らすことなく、FPの数を減らす画像処理技術の使用を含む。この第2ステップは「偽陽性削減」として知られている。
【0006】
CTCを用いたCADへの典型的な手法を、「形状に基づく手法」又は「外観に基づく手法」に分類することができる。
形状に基づく手法では、医療用画像において構造の幾何学的形状の特徴が計算されて、病巣に共通して関係する形状を持つ構造を検出する。既知の形状に基づく手法は、通常、(表面法線又は勾配等の)第1次微分幾何学量、又は、(主曲率、平均曲率、ガウス曲率又は形状係数等の)第2次ヘッシアン行列から導出される様々な「形状特徴」に依存する。このような形状に基づく手法は球状の対象物又は局所的な球体要素を持つ対象物を検出するのに役立つ。しかしながら、実際には、(ポリープ等の)病巣は、しばしば様々な形態を示す異常成長である。多くのポリープを、局所的な微分幾何学量を用いて十分に特徴づけることはできない。それゆえ、形状に基づく手法は、十分な信頼性を持って病巣を検出することができない可能性がある。
【0007】
外観に基づく手法は、通常、ウェーブレット特徴等、画像強度から導出される非幾何学的な特徴に依存する。幅広い形状の形態を持つポリープを検出するのに潜在的に役立つが、外観に基づく手法は顔検出の研究が起源であるので、病巣の検出には最適ではない。外観に基づく手法は十分な信頼性を持って病巣を検出することができない可能性がある。
【0008】
従って、医療用画像における病巣、異常部分又は他の異常な構造のコンピュータ支援による検出、特にCTCでの使用を改善する必要がある。
【0009】
非特許文献1は、CTで結腸直腸ポリープを検出するCADシステムに関する。非特許文献1に記載のCADシステムは、結腸及び直腸の構造に係る形状及び外観のモデル化に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像処理方法は、コンピュータによって実施され、3次元医療用画像にて対象物を検出する画像処理方法において、前記3次元医療用画像の少なくとも一部における各ボクセルにて、夫々が前記3次元医療用画像の特徴を示す複数の特徴の値を求めるステップと、前記複数の特徴の値と学習データから導出される一又は複数のパラメータ値を含む既存の医療情報とに基づいて、前記複数の特徴夫々の尤度確率分布を計算するステップと、計算した複数の尤度確率分布を組み合わせるベイズ法を用いることにより、前記3次元医療用画像の少なくとも一部について、各ボクセルが、検出すべき対象物である確率を示す確率マップを生成する生成ステップと、対象物を検出するために、生成した確率マップを解析する解析ステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、3次元医療用画像内の対象物を検出するために、様々な種類の特徴、特に外観特徴及び形状特徴を組み合わせる。ここで開示されるベイズ法の利点は以下の通りである。第1に、統計的手法を用いて最も良く説明することができる、医療用の画像化における検出問題に固有の不確実性が多く存在する。第2に、多くの場合、検出問題の解を制限することができる(病巣密度、大きさ、形状及び位置等の)役立つ医療情報が存在する。この既存の医療情報を簡単にベイズモデルにコード化することができる。最後に、ベイズ法は、しばしば完全に異なる様々な特徴を単一の統計モデルに組み入れるための統一フレームワークを提供する。各特徴項の確率分布は、既存の医療情報に基づいてパラメータ化された関数形式と関数パラメータを学習するための学習ステップとを用いてモデル化されることが好ましい。
【0012】
発明者が知る限り、学習に基づくベイズ法を、CTCを用いたCADシステムで使用するのは今回が初めてである。学習データから(後述する形状特徴、外観特徴及び/又は解剖学的特徴等)の様々な特徴をモデル化するために使用されるパラメータ値を導出することによって、ここで開示されるベイズフレームワークは、強固で一貫性のある性能を提供することができる。特に、ベイズフレームワークは、偽陽性結果を生成することが比較的にまれであると同時に、検出する対象物に対して高い感度を持つことができる。
【0013】
一方で、非特許文献1に開示された方法は学習データに基づいていない。代わりに、非特許文献1に開示された方法では、ポリープを単純な幾何学的な形状としてモデル化している。例えば、ポリープを楕円形状としてモデル化している。このようなモデルでは、実例のデータからの学習を必要としないが、人間の生体構造に見つけられる複雑な実際のポリープをモデル化するのに、機能が限られる。しかしながら、ここで開示される画像処理方法では、実際に見られるポリープ形状の変動をモデル化することができる(後述の第2主曲率流に基づくモデル等の)表現豊かな形状モデルを使用することができる。また、非特許文献1に記載の方法では、事前確率をモデル化する際に医療情報のみを使用する。しかしながら、ここで開示される画像処理方法の好ましい例では、事前確率は空間情報によって制限される。ここで開示される画像処理方法では、各ボクセルが、検出すべき対象物を含む確率を計算する。これにより、空間情報が考慮されるので正確な確率マップを得ることができる。
【0014】
加えて、ここで開示されるベイズフレームワークの柔軟性は、検出すべき種類の病巣の特徴についての既存の医療情報に関して、3次元医療用画像における特定点を特徴づける「解剖学的特徴」を含むことを許容する。例えば、ベイズフレームワークは、結腸ポリープが直腸の末端(即ち、直腸及びS字結腸)で、より頻繁に現れる事実を利用するモデルを組み込むことができる。
【0015】
3次元医療用画像において、全てのボクセルで特徴の値を求めてもよく、又は、より好ましくは、3次元医療用画像の一部分での特徴の値を求めてもよい。特徴の値を求める際に含まれるステップは特徴の性質に依存する。例えば、形状特徴及び解剖学的特徴の値は、通常、ボクセル(場合によっては、ボクセル及び該ボクセルに隣接するボクセル)の強度値に基づいた一又は複数の計算によって求められるのに対し、外観特徴の値を求めるには、単に、3次元医療用画像データから読取られるべき特定のボクセルの強度値があればよい。
【0016】
検出すべき対象物は病巣等の異常な解剖学的構造であることが好ましい。例えば、病巣は結腸ポリープ、肺小結節、マンモグラフィの種瘤、肝臓病巣又は脳病巣であってもよい。
【0017】
学習データは複数の3次元医療用画像を含むことが好ましい。学習データにおける各3次元医療用画像は、検出すべき種類の(病巣等の)対象物を含む一又は複数のボクセルを示すラベルから成ることが好ましい。学習データにおけるラベルは臨床医によって割り当てられていることが好ましい。
【0018】
対象物を学習データに基づいて検出する場合に、一又は複数のパラメータ値を、所定数の偽陽性結果を生成するように最適化することが好ましい。これにより、容認し難い程多くの偽陽性結果を生成させることなく、画像処理方法の感度を高めることができる。
【0019】
複数の特徴は、一又は複数の外観特徴を含むことが好ましい。一又は複数の外観特徴は3次元医療用画像から導出される画像強度情報を含むことが好ましい。一又は複数の外観特徴は、3次元医療用画像から導出されるウェーブレット特徴を含むことが好ましい。一又は複数の外観特徴は、3次元医療用画像から導出されるテクスチャ特徴を含むことが好ましい。
【0020】
複数の特徴は、一又は複数の形状特徴を含むことが好ましい。一又は複数の形状特徴は、3次元医療用画像から導出される第1次形状特徴を含むことが好ましい。第1次形状特徴は第1次微分幾何学量であることが好ましい。第1次形状特徴は表面法線及び/又は濃度勾配に基づくことがより好ましい。一又は複数の形状特徴は、一又は複数の第2次形状特徴を含むことが好ましい。一又は複数の第2次形状特徴の少なくとも1つを、ヘッシアン行列から求めることが好ましい。第2次形状特徴の少なくとも1つを、ヘッシアン行列の固有値から計算することが好ましい。一又は複数の第2次形状特徴の少なくとも1つは、特定のボクセルでの3次元医療用画像の体積形状係数であることが好ましい。一又は複数の第2次形状特徴の少なくとも1つは、特定のボクセルでの3次元医療用画像の第2主曲率流を示すことが好ましい。
【0021】
本発明に係る画像処理方法は、空間的な事前確率を計算するステップを更に備えることが好ましい。生成ステップは、複数の尤度確率分布及び空間的な事前確率を組み合わせるベイズ法を使用するステップを更に含むことが好ましい。空間的な事前確率は空間的な制限を有することが好ましい。空間的な制限はマルコフ確率場及びギブス確率場によって課せられていることが好ましい。
【0022】
一の特徴の尤度確率分布の計算には、特定のボクセルにて、前記一の特徴の確率分布をモデル化するガウス関数の値の計算が含まれることが好ましい。ガウス関数は3次元医療用画像の強度を特徴づける一の特徴の確率分布をモデル化し、(i)ガウス関数の値の計算では、ガウス関数における平均強度は固定値として扱われること、又は、(ii)ガウス関数の値の計算は予め検出された対象物の大きさの関数としてのガウス関数における平均強度の計算を含むことが好ましい。
【0023】
予め検出された対象物の大きさの関数としての平均強度の計算には、3次元医療用画像における部分体積効果の存在に基づく式の計算が含まれることが好ましい。
【0024】
複数の特徴は、一又は複数の解剖学的特徴を含むことが好ましい。解剖学的特徴の値の計算は、結腸中心線の計算を含むことが好ましい。解剖学的特徴の値の計算は、結腸の境界距離変換の計算を含むことが好ましい。
【0025】
解析ステップは、確率マップで閾値処理するステップと、閾値処理された確率マップで領域にラベルを付けるステップとを備えることが好ましい。
【0026】
3次元医療用画像の一部はマスクによって明示されることが好ましい。マスクを使用することによって、3次元医療用画像における全てのボクセルに対して本発明に係る画像処理方法を実行する必要が避けられるので、本発明に係る画像処理方法の計算の要件を減らすことができる。
【0027】
検出された対象物は、探し求められている種類の対象物の強度範囲及び大きさ範囲にある強度及び大きさを持った3次元医療用画像内での領域を包含することが好ましい。
【0028】
本発明に係る画像処理方法を、コンピュータ支援検出アルゴリズムの2つの主なステップ、即ち、候補生成ステップ及び/又は偽陽性削減ステップのいずれか又は両方で使用することができる。本発明に係る画像処理方法を偽陽性削減ステップに使用した場合、解析ステップは、予め検出した対象物が偽陽性であるか否かを決定するステップを含むことが好ましい。予め検出した対象物を、ここで開示した候補生成アルゴリズムとは異なる候補生成アルゴリズムを用いて検出しておいてもよい。実験結果は、本発明に係る画像処理方法の高い検出性能を示しており、本発明に係る画像処理方法では、感度が高く、偽陽性結果をほとんど生成しない。本発明に係る画像処理方法は、具体的には、様々な形態のポリープを検出することができる。
【0029】
本発明に係る画像処理方法は、解析ステップの結果に基づいて3次元医療用画像を領域分割するステップを更に備えることが好ましい。病巣を含む3次元医療用画像の領域を識別するために3次元医療用画像を領域分割することが好ましい。
【0030】
本発明に係る画像処理装置は、前述の画像処理方法を実行することが可能であることを特徴とする。本発明に係る画像処理装置は、3次元医療用画像にて対象物を検出する画像処理装置において、前記3次元医療用画像の少なくとも一部における各ボクセルにて、夫々が前記3次元医療用画像の特徴を示す複数の特徴の値を求める手段と、前記複数の特徴の値と学習データから導出される一又は複数のパラメータ値を含む既存の医療情報とに基づいて、前記複数の特徴夫々の尤度確率分布を計算する手段と、該手段が計算した複数の尤度確率分布を組み合わせるベイズ法を用いることにより、前記3次元医療用画像の少なくとも一部について、各ボクセルが、検出すべき対象物である確率を示す確率マップを生成する手段と、対象物を検出するために、生成した確率マップを解析する手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明に係るコンピュータが読取り可能な媒体は、適切なコンピュータによって実行された場合に該コンピュータに前述の画像処理方法を実行させる指示を記憶していることを特徴とする。
【0032】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、3次元医療用画像にて対象物を検出させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記3次元医療用画像の少なくとも一部における各ボクセルにて、夫々が前記3次元医療用画像の特徴を示す複数の特徴の値を求めさせるステップと、コンピュータに、前記複数の特徴の値と学習データから導出される一又は複数のパラメータ値を含む既存の医療情報とに基づいて、各特徴の尤度確率分布を計算させるステップと、コンピュータに、計算した複数の尤度確率分布を組み合わせるベイズ法を用いることにより、前記3次元医療用画像の少なくとも一部について、各ボクセルが検出すべき対象物である確率を示す確率マップを生成させるステップと、コンピュータに、対象物を検出するために、生成した確率マップを解析させるステップとを備えることを特徴とする。
【0033】
本発明に係る画像処理方法又は画像処理装置は、添付図面を参照しながらここで述べる画像処理方法又は画像処理装置、及び/又は、実質的に添付図面に示されているような画像処理方法又は画像処理装置を提供することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
添付図面を参照しながら、単に一例として本発明の好ましい特徴を説明する。
【図1】結腸ポリープの概略図である。
【図2】結腸ポリープに係る平均強度(μ)と半径(r)との関係を示すグラフである。
【図3】候補生成の方法に係るフローチャートである。
【図4】偽陽性削減の方法に係るフローチャートである。
【図5】医療用画像装置と、医療用画像装置からの3次元医療用画像データを処理する遠隔コンピュータとを示す概略図である。
【図6】図5に示す遠隔コンピュータの詳細図である。
【図7】3次元医療用画像におけるポリープの検出結果の例を示す例示図である。
【図8】3次元医療用画像におけるポリープの検出結果の例を示す例示図である。
【図9】既知のCADアルゴリズム及びここで開示される画像処理方法夫々に関する受信者動作特性曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を、結腸内のポリープを識別する方法に関連して、単に一例として説明する。しかしながら、本発明は結腸ポリープの識別のみに限定されないと理解されるべきである。本発明を、肺小結節、肝臓病巣、マンモグラフィの腫瘤、脳病巣、その他適当な種類の異常組織又は適当な種類の健康組織等の他の解剖学的特徴を識別するためにも用いることができる。
【0036】
本発明を、ベイズフレームワークを用いた3次元医療用画像の処理に向ける。ここで用いられる「ベイズフレームワーク」という用語は、3次元医療画像内の特定のボクセルが特定の対象物を示す確率を求めるために、3次元医療用画像の特徴を示す複数の特徴に関する統計情報を組み合わせるベイズ法の使用を指す。3次元医療画像をコンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって生成することができ、又は、3次元医療画像を磁気共鳴映像(MRI)スキャン、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャン、超音波スキャン又はX線画像から生成することもできる。他の適当な医療用画像撮像法を用いても良いと理解される。
【0037】
例えば、3次元医療用画像がCTスキャンによって生成された場合、3次元(3D)医療用画像データは、人間又は動物の患者の部位をCTスキャンすることによって取得した一連のCT画像スライスから成る。各スライスは、スキャンされた部位におけるX線吸収の2次元ディジタルグレースケール画像である。スライスの特性は、用いられるCTスキャンに依存する。例えば、高解像度のマルチスライス型CTスキャナは、x方向及びy方向(即ち、スライスの面)に0.5から1.0mm/画素の解像度で画像を生成することができる。各画素は16ビットのグレースケールで表される。各画素の強度値をハウンズフィールド単位(HU)で表現することができる。連続するスライスをz方向(即ち、走査分離軸)に沿った一定の間隔、例えば0.5から2.5mmの間隔で分離することができる。従って、複数のスライスによって形成されるスキャン画像は、スキャンされた部位及びスライス数に依存する全体サイズを有する3次元(3D)グレースケール画像であってもよい。各画素は3次元空間でのボクセル(又は体積ピクセル(volumetric pixel))であると考慮してもよい。
【0038】
ベイズフレームワークの要旨
3次元医療用画像データをボクセルの集合X(X={xi ,i=1,...,n})であると考える。Xは3次元医療用画像データ内で各ボクセルxi の空間位置を示す確率変数である。各ボクセルxi を特徴の集合F(F={Fj ,j=1,...,m})に関連付けることができる。各特徴Fj は特定のボクセルでの3次元医療用画像データに係る特定の特徴を示し、各ボクセルを一又は複数の特徴Fj と関連付ける。例えば、一の特徴は、特定のボクセルでの3次元医療用画像の形状(即ち、3次元幾何学的形状)の特徴を示してもよい。一方で、他の特徴は、前記特定のボクセルでの3次元医療用画像の強度の特徴を示してもよい。ここで開示する配列の目的は、3次元医療用画像における個々のボクセルにラベルを割り当てることである。ここで、ラベルは、問題になっているボクセルで画像化された特定の種類の組織を識別する。従って、ラベルの集合Λ(Λ={l0 ,...,lK-1 })が存在すると想定される。例えば、ラベルl0 は、ボクセルが(結腸のひだ等の)通常の粘膜組織を表すことを示すことができ、一方で、l1 はボクセルが(ポリープ等の)異常組織を表すことを示すことができる。後述するように、ラベルの集合Λ内にあるラベルの1つは、ベイズフレームを用いて、確率計算に基づく各ボクセルに割り当てられる。
【0039】
特徴Fj は各3次元ボクセルに対して計算された任意の2次元又は3次元特徴である得る。一般に、病巣検出に使用される特徴を以下の3つの集合に分類することができる。
【0040】
1.外観特徴
「外観特徴」という用語は3次元医療用画像における特定点での画像強度を特徴づける特徴を説明するために用いられる。「強度モデル」の表題で後に詳細に説明される外観特徴の例は、特定のボクセルでの画像強度に直接的に基づいている。外観特徴の他の例は、画像強度に間接的に基づいている。画像強度に間接的に基づく外観特徴の例は、ウェーブレット特徴及びテクスチャ特徴を含む。ウェーブレット特徴の一例は、ハール状(Haar-like)特徴であり、参考文献[2]で説明されている。テクスチャ特徴の一例は、グレイレベル共起行列特徴であり、参考文献[3]で説明されている。本発明は更に他の適当な外観特徴を包含する。なお、後述する形状特徴とは異なり、外観特徴は3次元医療用画像を生成するためにスキャンされた組織の幾何学的形状を特徴付けるのではない。
【0041】
病巣は、周囲の健康的な組織に対して、様々な強度及び/又はテクスチャを示す。外観特徴は、周囲の健康的な組織から病巣を区別する強度及び/又はテクスチャの違いを識別することによって病巣を検出することを目的とする。CTC用いたCADに関して、外観特徴は、ポリープが、通常、周囲の粘膜組織に対して、僅かに高い強度と均質なテクスチャとを示す事実をうまく利用する。
【0042】
2.形状特徴
「形状特徴」という用語は、3次元医療用画像内の特定点での同一強度面の幾何学的形状を特徴づける特徴を説明するために使用される。同一強度面は、3次元医療用画像において、同一強度値を持つ点の軌跡である。例えば、3次元医療用画像がX線撮影によって生成された場合、同一強度面は、同一レベルのX線吸収を持つボクセルの軌跡である。同一強度面の形状は、3次元医療用画像を生成するためにスキャンされた組織の形状を反映する。従って、同一強度面の形状を特徴づけることによって、組織の形状を特徴づけることができる。初めに、(明示的な同一強度面の抽出方法として知られる)同一強度面の解析式を計算し、解析式を用いて形状特徴を計算することができる。同一強度面を明示的に抽出する方法は当業者に知られている。また、明示的に同一強度面を抽出することなしに、3次元医療用画像データから直接的に形状特徴を計算することができる。このような形状特徴は同一強度面の黙示的表現に基づいているということができる。明示的に同一強度面を抽出する必要を避けることによって、形状特徴を計算するために必要な計算量を削減することができる。ここで詳細に説明した形状特徴の例は同一強度面の黙示的表現に基づいて計算されるが、本発明は明示的に抽出された同一強度面から計算される形状特徴もまた包含すると理解される。
【0043】
形状特徴の例は、(表面法線の重複[4]又は勾配密度[5,6]等の)第1次微分幾何学量と、(主曲率[7]、平均曲率[7]、ガウス曲率[7]又は形状係数[6,8]等の)第2次特徴を含む。形状特徴のこれらの特定例を計算する方法は、前文で引用した参考文献に記載されている。なお、これらは形状特徴の単なる例であり、本発明は他の適当な形状特徴を包含する。
【0044】
CTC用いたCADに関して、形状特徴は、ポリープが丸みのある形状又は部分的な球体の形状を有する傾向がある一方で、結腸のひだは細長い形状を有する傾向にある事実をうまく利用している。結腸のひだは、不規則な形状ではあるが、結腸壁内で良性の領域である。結腸のひだをポリープと間違えて、偽陽性結果を生成しないように注意しなければならない。
【0045】
例えば、第1及び第2主曲率(即ち、後述の(11)式及び(12)式で定義されるk1 (xi )及びk2 (xi ))は両方ともポリープについては正の値を示す。対照的に、結腸のひだについては、第1主曲率は正の値を示すが第2主曲率はゼロに近い。従って、第2主曲率の値をポリープの検出に使用することができるが、第1主曲率はポリープとひだとを区別することができない。平均曲率は第1及び第2主曲率の平均値である。このため、平均曲率では、(第1主曲率及び平均曲率は他の種類の解剖学的構造を検出するのに役立つかもしれないが)ポリープとひだとを区別することができない。ガウス曲率は、第1及び第2主曲率の積である。このため、ガウス曲率は、ポリープについては正の値を示し、ひだについてはゼロに近い値を示す。従って、ガウス曲率の値をポリープの検出に用いることができる。
【0046】
3.解剖学的特徴
「解剖学的特徴」という用語は、検出すべき種類の病巣の特徴に係る既存の医療情報に関して、3次元医療用画像内の特定点を特徴づける特徴を説明するために使用される。
【0047】
例えば、臨床観察によって、特定の種類の病巣が生体構造内の特定位置で、より多く発生することが示されるかもしれない。このため、特定のボクセルが特定の種類の病巣を含む確率を、特定の種類の病巣が多く発生する生体構造内の位置からのボクセルの距離に関連して特徴づけることができる。
【0048】
CTCを用いたCADで使用することができる解剖学的特徴の例は以下の特徴を含む。
(i) 直腸までの距離:この特徴は、通常、ポリープが(盲腸に向かって)結腸組織の上側よりもむしろ結腸の末端(即ち、直腸及びS字結腸)に、より多く発生するという既存の医療情報に基づいている。
(ii) 粘膜面からの距離:この特徴は、通常、ポリープが粘膜面(即ち、結腸面)に位置するという既存の医療情報に基づいている。従って、比較的に粘膜面近くに位置するボクセルは、結腸面からより離れているボクセルよりも、ポリープとしてラベルを付される可能性が高い。
【0049】
使用すべき特定の特徴Fj は、検出すべき特定の種類の解剖学的構造の特性に応じて選択される。従って、ここで詳細に述べる特定の形状特徴、外観特徴及び解剖学的特徴は、結腸ポリープを検出するのに特に適している一方で、異なる特徴を、他の種類の病巣を検出するために用いても良い。
【0050】
ベイズ法は、特徴Fj 全てを一の統計モデルに組み込む包括的なフレームワークを提供する。結腸ポリープを検出する方法の好ましい例では、強度特徴I、第2次形状特徴S及び解剖学的特徴Lを用いる。従って、F1 =I、F2 =S及びF3 =Lとなる。この例では、第2次形状特徴F2 は形状係数特徴と(後述する)第2主曲率流の特徴とを備える。
【0051】
結腸ポリープを検出する方法の好ましい例では、2つのラベルを用いる。従って、ラベルの集合はΛ={l0 ,...,lK-1 }(K=2)である。ここで、l0 は非ポリープラベル(即ちl0 はボクセルがポリープを表していないことを示す。)であり、l1 はポリープラベル(即ち、l1 はボクセルがポリープを表すことを示す。)である。
【0052】
確率変数群R(R={R1 ,...,Rn })を定義する。Ri は値ri ∈Λ(ri はボクセルxi のラベルである。)をとる。従って、前述の例では、ri はラベルの集合Λの要素である。このため、ri はl0 又はl1 のいずれかに等しい。これにより、各ボクセルにポリープ又は非ポリープのラベルを付す。記号P(X|F)は、確率変数Ri が確率空間内のxi でri =l1 の値を取る条件付確率を意味する。即ち、P(X|F)=P(ri =l1 |F)である。ベイズ法により、P(X|F)を以下の式で計算することができる。
【0053】
【数1】

【0054】
項P(X|F)及びP(F|X)は、夫々事後確率及び尤度確率と呼ばれる。項P(X)はXの事前確率と呼ばれる。一方で、P(F)はFの事前確率と呼ばれる。本発明の目的は、3次元医療用画像データ及び既存の医療情報に基づいて計算される尤度確率P(F|X)並びに事前確率P(X)及びP(F)の値を用いて、3次元医療用画像内の各ボクセルでの事後確率P(X|F)を計算して病巣を検出することにある。
【0055】
結腸ポリープを検出する方法の好ましい例では、各特徴F1 ,F2 及びF3 が条件的に無関係であると仮定され、(1)式を次式のように書くことができる。
【0056】
【数2】

【0057】
従って、F1 =I、F2 =S及びF3 =Lを考えた場合、次のようになる。
【0058】
【数3】

【0059】
(1)式を用いて、CT結腸体積内の各ボクセルに存在してラベルが付されたポリープの確率をモデル化する。別の言葉で言えば、各ボクセルに対して、(1)式を用いてボクセルがポリープを表す確率を計算する。
【0060】
(1)式における各特徴の確率分布(即ち、P(F1 |X),P(F2 |X)及びP(F3 |X))を、既存の医療情報及び学習ステップに基づくパラメータ化した関数形式を用いてモデル化する。(1)式における各項をモデル化する方法を以下に述べる。
【0061】
尤度項P(F|X)のモデル化
(2)式に基づくベイズフレームワークでは、尤度項P(F|X)はクラスl1 の全ての特徴の結合密度分布を示す。特徴F1 ,F2 及びF3 夫々をモデル化する方法は、夫々「強度モデル」、「形状モデル」及び「解剖学的モデル」の副題で後述される。
【0062】
(i) 強度モデル
強度モデルは、既存の医療情報によって導かれる学習方法に基づく。強度モデルのパラメトリック形式は、ガウス関数によって以下のように与えられる。
【0063】
【数4】

【0064】
ここで、μI 及びδI は夫々病巣の強度の平均偏差及び標準偏差である。
(3)式では、ボクセルxi での3次元医療用画像データにおける強度値Iと所定値μI 及びδI とに基づいて、ボクセルxi が病巣を表す確率を計算する。
【0065】
(3)式の強度モデルを候補生成に用いる場合、μI 及びδI は学習ステップを通じて求められる固定値である。これらの値を求める方法を「学習」の表題で後述する。従って、μI 及びδI の値は既に検出されている病巣の強度に係る既存の医療情報に基づく。
【0066】
(3)式の強度モデルを偽陽性削減に用いる場合、μI をポリープの大きさの関数として定義することができる。更に具体的には、μI を、後述するポリープの半径rの関数として定義することができる。
【0067】
CT画像が、スキャニング解像度における制約によって、部分体積効果(PVE)を示すことは良く知られている。ボクセルが様々な材料の混合物を含む場合(例えば、ボクセルが組織と空気とを両方含む場合)にPVEが発生する。これにより、ボクセルでの強度値は、該ボクセルに含まれる個々の材料の強度値の関数である。空気の近くにあるポリープのような組織に関して、ポリープの境界は、PVEの結果として、ポリープの中央領域よりも暗く現れる可能性がある。PVEはポリープの境界にのみ作用するので、ポリープ全体の大きさから見た割合として、大きいポリープ程、比較的に小さなPVEを示す。逆に、小さいポリープ程、より大きなPVEを示す。この情報を、ポリープの大きさの関数である平均偏差μI を調整することによって、強度モデルに含むことができる。
【0068】
ポリープは、半球状の形状を有し、図1のポリープの概略図に示すように、コア部分(rc )とPVE部分(Δr)との2つの部分を含むと仮定する。ポリープ全体の半径rはr=rc +Δrである。コア部分の平均強度はmc であり、PVE部分の平均強度をmp であるとする。ポリープの平均強度(μI )は、適応的に以下のように求められる。
μI =f・mc +(1−f)・mp ・・・(4)
ここで、fは、ポリープ全体の体積に対するコア部分の体積の割合、即ち、以下のようになる。
【0069】
【数5】

【0070】
(4)式と(5)式とを組み合わせて、fを消去すると、次式が得られる。
【0071】
【数6】

【0072】
なお、ポリープが非常に小さくてコア部分がない、即ちrc =0及びf=0である場合、r=Δrとなる。つまり、非常に小さなポリープはPVE部分のみを含む、これにより平均強度μI はPVE部分の平均強度mp によって支配される。これは、周囲の空気に対する小さなポリープの接触面の大きさが、ポリープ自身の大きさに相当した(又はポリープ自身の大きさよりも大きくなった)結果、PVE部分の平均強度mp がコア部分の平均強度mc と同程度になったために発生する。対照的に、ポリープが非常に大きい(即ちr→∞である)場合、f=1となり、平均強度μI はコア部分mc の平均強度によって支配される。
【0073】
(3)式の強度モデルを偽陽性検出に用いた場合、候補生成の前処理ステップ中に検出された候補領域の半径を計測することによって、ポリープの半径rを求めることができる。コア部分の平均強度mc 、PVE部分の平均強度mp 及びPVE部分の厚さΔrを、「学習」の表題で後述するように、学習データから求める。従って、mc 、mp 及びΔrの値は、既に検出されている病巣に係る既存の医療情報に基づいている。mc 、mp 、r及びΔrのこれらの値を(6)式に代入して、候補生成のステップ中に検出された領域の大きさを有する病巣の平均強度μI を求める。δI の値を、「学習」の表題で後述するように、学習データに基づいて求めることができる。
【0074】
(ii) 形状モデル
大部分のポリープは結腸壁からの突出物である。一般的に、ポリープは、丸みのある形状を有し、又は、局所的な球状の要素を含む。一方で、結腸のひだは細長い形状を有する。ヘッシアン行列から導出される曲率又は構造テンソル等の微分幾何学からの作用素は、3次元医療用画像における丸みのある構造と細長い構造とを区別する能力を示している。
【0075】
結腸ポリープを検出する方法の好ましい例では、2つの第2次形状特徴(F2 =S)、即ち、形状係数(F2SI )と第2主曲率流(F2k2 )とを計算する。これらの特徴は両方ともヘッシアン行例から計算された主曲率に基づく。各形状特徴は、詳細を後述する切り捨てガウス関数によってモデル化される。
【0076】
様々な方法で、形状特徴をベイズフレームワークに組み入れることができる。具体的には下記のようになる。
1)以下のように、形状係数(SI)のみを用いてポリープをモデル化することができる。
P(F2 |X)=P(F2SI |X) ・・・(7)
2)以下のように、第2主曲率流(k2)のみを用いてポリープをモデル化することができる。
P(F2 |X)=P(F2k2 |X) ・・・(8)
3)以下のように、SIとk2とを両方用いてポリープをモデル化することができる。
P(F2 |X)=P(F2SI |X)・P(F2k2 |X)・・・(9)
【0077】
【数7】

【0078】
ここで詳細に説明した形状係数特徴及び/若しくは第2主曲率流の特徴に加えて、又は、代えて、微分幾何学に基づく他の適当な特徴も用いることができる。
【0079】
形状係数及び第2主曲率流を用いてポリープをモデル化する方法を以下に述べる。
【0080】
(a) 形状係数モデル
形状係数は各ボクセルでの局所的な形状特徴を提供する。平面を除く全ての区別可能な形状は固有の形状係数に対応する。形状係数の値は1.0から0.0まで及ぶ。例えば、形状係数1.0は球状キャップ(即ち、結腸ポリープ又は肺小結節等の形状である凸状の半球)に対応し、形状係数0.75は、(結腸のひだ又は血管等の形状である)円筒の形状に対応し、形状係数0.5は鞍状の形状に対応し、形状係数0.0は球状キャップ(即ち凹状の半球)に対応する。体積形状係数は、同一強度面を明示的に抽出することなく、各ボクセル周辺における同一強度面の位相的な形状を直接的に特徴づける。
【0081】
ボクセルxi での体積形状係数は以下のように定義される。
【0082】
【数8】

【0083】
ここでk1 (xi )及びk2 (xi )は、夫々最大主曲率及び最小主曲率であり、以下のように定義される。
1 (xi )=H(xi )+√(H2 (xi )−K(xi )) ・・・(11)
2 (xi )=H(xi )−√(H2 (xi )−K(xi )) ・・・(12)
【0084】
ここで、K(xi )及びH(xi )は夫々ガウス曲率及び平均曲率であり、以下のように定義される。
【0085】
【数9】

【0086】
ここで、以下に示すように、E,F,Gは微分幾何学の第1基本形式から求められ、L,N,Mは微分幾何学の第2基本形式から求められる。
【0087】
【数10】

【0088】
【数11】

【0089】
(Ix ,Iy ,Iz ,Ixx,Ixy等の)第1次及び第2次導関数を、明示的な表面の表現から、又は、3次元医療用画像での強度値の数値微分によって、計算することができる。これらの方法のいずれかによって計算された導関数に本発明を適用することができる。好ましくは、3次元医療用画像の第1及び第2偏導関数を各ボクセルで計算して(10)式から(22)式に代入することで、各ボクセルでの形状係数特徴F2SI を計算する。更に具体的には、以下のようにして(10)式を解く。
ボクセルxi での3次元医療用画像の第1次及び第2次導関数(即ち、Ix ,Iy ,Iz ,Ixx,Ixy等)を計算する。
計算した導関数を(15)式から(22)式に代入してE,F,G,L,M及びNの値を導出する。
E,F,G,L,M及びNの値を(13)式及び(14)式に代入してH及びKの値を導出する。
H及びKの値を(11)式及び(12)式に代入してk1 (xi )及びk2 (xi )の値を導出する。
1 (xi )及びk2 (xi )の値を(10)式に代入してF2SI (xi )の値を導出する。
【0090】
形状係数F2SI は画像強度特徴F1 を補完する優良な情報を提供する。形状係数に関連して特徴を定義する利点は、形状係数が単一の固有の数字で(平面を除く)任意の幾何学形状を特徴づけることができることである。更に、形状係数は、球体である形状に対して、特に反応する(即ち、1.0に近い値を示す)。これにより、形状係数は、球体若しくは部分的に球体の形状を持つ(結腸ポリープ及び肺小結節等の)病巣に特に適している。例えば、通常、ポリープが、半球体として描かれ、又は、局所的に球体の要素を有する一方で、結腸のひだは通常細長いという事実を考えた場合、体積形状係数を結腸面の潜在的なポリープ候補を検出するために使用することができる。
【0091】
(b) 第2主曲率流モデル
ポリープは結腸面から突出物である。このことは、第1及び第2主曲率(即ち、前述の(11)式及び(12)式で定義されるk1 (xi )及びk2 (xi ))が正の値を示すことを意味する。対照的に、結腸のひだは細長い構造をもち、一方向でのみ曲がる。これに応じて、このことは、第1主曲率が正の値を有する一方で、第2主曲率はゼロに近いことを意味する。これにより、第2主曲率(F2k2 )に基づき、正の第2主曲率を持つ点のみに影響し、かつ第2主曲率が減少する点に影響する偏微分方程式(PDE又は「第2主曲率流」)を、ポリープを検出するために策定することができる。画像に第2主曲率流を繰り返し適用することによって、最終的に、第2主曲率が全体の画像にわたってゼロ以下になる画像に変形される。言い換えれば、第2主曲率流は表面の突起を徐々に除去させ、差分画像(即ち、原画像における各ボクセルと、結果として生じた変形した画像において対応するボクセルとの強度差を示す画像)は、(潜在的なポリープ等の)突出物を示す。
【0092】
ボクセルxi での画像強度Iを更新するPDE(偏微分方程式)を以下のように定義することができる。
【0093】
【数12】

【0094】
1 (xi )及びk2 (xi )は夫々第1及び第2主曲率であり、|∇I|は入力画像の強度Iの勾配の大きさであり、g(・)は第2主曲率流を特徴づける曲率依存の関数である。
【0095】
目的は、(ポリープのような)突出物に対して反応が大きく、結腸のひだに対して小さな第2主曲率流を持つことである。これにより、差分画像において、突出物を強調する。従って、突出物を除去する第2主曲率流は以下のように定義される。
∂I/∂t=−k2 (xi )・|∇I| (k2 (xi )>0)
∂I/∂t=0 (k2 (xi )<0) ・・・(24)
【0096】
明示的な表面表現から、又は、3次元医療用画像データ内の強度値の数値微分によって、3次元医療用画像の第1次又は第2次導関数(Ix ,Iy ,Iz ,Ixx,Ixy等)を計算することで、(24)式を解くことができる。計算した導関数を(12)式から(22)式に代入して、各ボクセルについてk2 及び|∇I|を計算する。より具体的には、以下のように(12)式を解くことによってk2 の値を計算する。
ボクセルxi での3次元医療用画像の第1次及び第2次導関数(Ix ,Iy ,Iz ,Ixx,Ixy等)を計算する。
計算した導関数を(15)式から(22)式に代入してE,F,G,L,M及びNの値を導出する。
E,F,G,L,M及びNの値を(13)式及び(14)式に代入して、H及びKの値を導出する。
H及びKの値を(12)式に代入してk2 (xi )の値を導出する。
3次元医療用画像の第1次導関数(即ち、Ix ,Iy 及びIz )を(22)式に代入して|∇I|の値を計算する。
2 (xi )及び|∇I|の値を(24)式に代入して∂I/∂tの値を計算することができる。
【0097】
従って、特定のボクセルについて計算される∂I/∂tの値を、そのボクセルの強度Iに加える。(24)式は∂I/∂tが常時ゼロ以下であることを保証するので、ボクセルの強度に∂I/∂tの値を加えることによって、k2 (xi )>0の場合、強度がゼロに向かって減少し、k2 (xi )<0の場合、強度が変化しないという結果が生じる。この処理は繰り返される(即ち、第1次及び第2次導関数を、更新された強度値を用いて再計算して各ボクセルでの∂I/∂tの新しい値を計算し、∂I/∂tの新しい値を前回の反復作業で計算した強度値に加える)。
【0098】
なお、k2 は結腸のひだにおいてはゼロに近いが、(ポリープ等の)突出物については大きな正の値を示す。従って、(24)式に基づいて、各反復を行っている間、突出物の位置でのみ、画像強度が局部的な第2主曲率k2 に比例した大きさだけ削減される。反復処理は数的な収束が得られるまで実行するか、又は、数的な収束が得られない場合には、反復処理は、予め設定した反復の数だけ行われた後にストップする。反復処理の結果、画像が変形される。変形した画像内の各ボクセルでの強度値から、原画像(入力画像)での各ボクセルでの強度を減算することによって、差分画像Dを計算する。差分画像Dは突起の大きさを示す。ベイズフレームワークでの特徴として、差分画像を用いる、即ち、F2k2 =Dとなる。
【0099】
実際のポリープの形状に関係なく、突起の大きさを計算することによって、結腸のひだからポリープを識別するために、特徴F2k2 =Dを用いることができる。
【0100】
第2主曲率流の特徴に係る利点は、広範囲な大きさの潜在的な病巣を検出することができるという意味で、第2主曲率流が「マルチスケール」の検出アルゴリズムであることである。対照的に、形状係数特徴は、特定の大きさの潜在的な病巣のみを検出することができるという意味で、形状係数を計算するために使用されるパラメータを検出のために最適化する「単一スケール」の検出アルゴリズムである。しかしながら、形状係数特徴は、第2主曲率流の特徴よりも、病巣の形状をより良く記述している。第2主曲率流の特徴を、ここで開示したベイズフレームワークを用いて形状係数特徴と組み合わせた場合、結果として生じる組み合わせは、広範囲な大きさの病巣の形状を検出し特徴づけることができる。
【0101】
(iii) 解剖学的モデル
前述したように、解剖学的モデル特徴(F3 =L)は、人間の生体構造内の様々な領域で現れるポリープの尤度確率をモデル化するのに非常に役立つ。ポリープ検出では、以下に示す2種類の解剖学的構造を用いることができる。
【0102】
(a) 結腸中心線に基づく距離(DC)(F3 =F3C
「DC特徴」と呼ばれるこの特徴は、通常、ポリープが(盲腸に向かって)結腸組織の更に上側よりも結腸の末端(即ち、直腸及びS字結腸)により多く発生するという既存の医療情報に基づいている。
【0103】
DC特徴(F3C)を計算するため、初めに、境界距離変換及び単一点距離変換に基づいて結腸中心線を抽出する。これらの距離変換は参考文献[9]及び[10]で説明されている。結腸中心線における任意の点について、F3Cを、任意の点と結腸の末端との間の結腸中心線に沿った距離として定義する。しかしながら、3次元医療用画像における大部分の点は、結腸中心線に正確に位置しているわけではなく、結腸中心線からずれている。このような点について、問題となっている点に最も近い結腸中心線上の点と、結腸の末端との間の結腸中心線に沿った距離として、F3Cを定義する。
【0104】
DC特徴の切り捨てガウス関数を用いて、ポリープ位置の確率をモデル化する。
【0105】
【数13】

【0106】
μDC及びδDC夫々は、結腸の末端における共通点から学習セットで(結腸中心線に沿って計測される)ポリープの距離に係る平均偏差及び標準偏差である。学習セットからμDC及びδDCの値を求める方法を、「学習」の表題で後述する。従って、μDC及びδDCの値は、既に検出されたポリープの結腸中心線からの距離に係る既存の医療情報に基づく。
【0107】
(b) 結腸粘膜面に基づく距離(DS)(F3 =F3S
「DS特徴」と呼ばれるこの特徴は、通常、ポリープが粘膜面又は粘膜面の近傍に位置するという観察に基づく。結腸粘膜面に近いボクセルは、結腸粘膜面から離れたボクセルと比較して、ポリープのボクセルとしてラベルを付される確率がより高い。
【0108】
DS特徴(F3S)を計算するために、領域分割された結腸(即ち、候補生成ステップ間にラベルが既に各ボクセルに関連付けられている結腸の3次元医療用画像)に境界距離変換を適用する。DC特徴と同様に、DS特徴の切り捨てガウス関数を、ポリープをモデル化するために使用する。
【0109】
【数14】

【0110】
μDS及びδDS夫々は、学習セットでのポリープの結腸粘膜面からの距離に係る平均偏差及び標準偏差である。μDS及びδDSの値を学習セットから求める方法は、「学習」の表題で後述する。従って、μDS及びδDSの値は、既に検出されたポリープの結腸粘膜面からの距離に係る既存の医療情報に基づく。
【0111】
事前確率P(X)のモデル化
事前確率P(X)は(1)式で重要な役割を果たす。事前確率を、マルコフ確率場及びギブス確率場(MRF−GRF)によって課すことができる空間情報によって制限することができる。MRF−GRFの目的は、ベイズフレームワークに、特定のボクセルの隣接ボクセルを考慮に入れさせることにある。「隣接ボクセル」という用語は、問題となっているボクセルの近くの(より具体的には、問題となっているボクセルに隣接する)ボクセルを指す。病巣は、有限のサイズであり、3次元医療用画像データ内で2以上のボクセルによって示される傾向がある。従って、1つのボクセルがポリープであるとしてラベルが付された場合、そのボクセルに隣接するボクセル夫々もまたポリープであるとしてラベルを付される確率が高い。
【0112】
ボクセルxi での事前確率p(xi )は次のように計算される。
【0113】
【数15】

【0114】
ここで、N(i)はボクセルiの隣接ボクセルであり、νc (xi )は小集団cに関連付けられたポテンシャル関数である。νc (xi )は以下のように定義される。
νc (ri =l1 )=−β・p(xi |F) ・・・(28)
νc (ri =l0 )=−β・(1−p(xi |F)) ・・・(29)
係数βはクラスタリングの大きさを制御し、試行錯誤して適切な値を求めることができる。
【0115】
(27)式から、ボクセルiがポリープである事前確率が隣接ボクセルの確率に依存していることが理解できる。ボクセルは、隣接するボクセルがポリープであるとしてラベルを付された場合、ポリープであるとしてラベルを付される確率が高く、隣接するボクセルが非ポリープであるとしてラベルを付された場合、ポリープであるとしてラベルを付される確率が低い。
【0116】
なお、νc (xi )に関する(28)式又は(29)式の定義式を(27)式に代入することによって、事後確率p(xi |F)に関連して定義されている事前確率p(xi )を導出する。しかしながら、事後確率p(xi |F)は未知である。実際には、事前確率及び尤度確率をモデル化する目的は、(1)式(又は(2)式と記された(1)式の書き換え式)を用いてp(xi |F)の値を計算することにある。従って、(2)式によって与えられるp(xi |F)の定義式を(28)式又は(29)式に代入し、今度は、(28)式又は(29)式を(27)式に代入する。結果、p(xi )は自身及び尤度項に関連して定義される。尤度項P(F1 |X)、P(F2 |X)及びP(F3 |X)の値を前述した方法で計算することができる。従って、p(xi )を、(27)式で自身に関連して定義することができる。p(xi )の値を計算するために(27)式を反復的に解く。既知の期待値最大化アルゴリズム又は他の適切なアルゴリズムを用いて、(27)式を反復的に解くことができる。
【0117】
なお、計算される必要がある(2)式における唯一の事前確率はP(X)であり、(2)式における他の事前確率(即ちP(F1 )、P(F2 )及びP(F3 ))を計算する必要はない。既に述べたように、P(X|I,S,L)∝P(I|X)・P(S|X)・P(L|X)・P(X)である。このため、他の事前確率項は、比例定数に影響を与えるだけであり、ボクセルが病巣を示すか否かに関する全体の決定に影響しない。
【0118】
学習
各特徴分布は、既存の医療情報に基づいて(3)式から(27)式でモデル化されている。各モデルに関係するパラメータ値は学習ステップを通じて推定される。
【0119】
学習ステップへの入力は、病巣が臨床医によって認識されてラベルが付されている複数の3次元医療用画像を含む学習セットである。学習セットは、数百枚の結腸の3次元スキャンを含み、数百個のポリープを含んでいることが好ましい。学習セットを用いて、強度モデル、形状モデル及び解剖学的モデルに関するパラメータ値を最適化する。適切なパラメータが用いられていること及びベイズフレームワークが満足に動作していることを確認するために、他に依存しないテストセットも用いてもよい。
【0120】
各モデルはポリープ検出についての一又は複数の確率に関連付けられている。受信者動作特性(ROC)曲線において臨床的に容認可能なカットオフを供給するために、各モデルについてパラメータ値を選択する。値を学習データから導出することができるパラメータとしては、強度モデルに関する強度の平均偏差(μI )並びに標準偏差(δI )と、形状モデルに関する形状の平均偏差(μSI及び/又はμk2)並びに標準偏差(δSI及び/又はδk2)と、解剖学的モデルに関する平均距離(μDC及び/又はμDS)並びに距離に係る標準偏差(δDC及び/又はδDS)とがある。この意味で、ROC曲線は、各3次元医療用画像で検出された偽陽性結果の数に対する感度(即ち、検出された病巣の数)のグラフである。いずれのモデルのパラメータも、モデルの感度が上がるように調整することができる。しかし、感度を上げると、検出される偽陽性結果の数を増加させる。従って、感度と偽陽性結果の数とはトレードオフの関係にある。臨床医は、真陽性結果を見逃さないためにモデルの感度を十分に高くすることを望んでいるが、検出した病巣を手作業で再調査する時間を削減するために偽陽性結果の数を最小にしたいという、相反する願望も持っている。スキャンごとの臨床的に容認可能な数の偽陽性結果を生成するまでモデルのパラメータの値を調整することによって、これらの相反する願望を調和させる。例えば、臨床的に容認可能な感度を、ベイズフレームワークを使用して学習セットで病巣を検出する場合にスキャンごとに平均5つの偽陽性結果が生成するまでパラメータ値を調整することによって得ることができる。試行錯誤によって、又は、ROC曲線に従って領域が最大になるようにパラメータ値を調整するアルゴリズムによって、パラメータの最適値を見つけることができる。
【0121】
学習セットに基づく形状モデル((7)式から(9)式)の最適パラメータの例はμSI=0.9、δSI=1.45、μk2=235.0、δk2=50.0である。
【0122】
強度モデル((6)式)に関する最適な平均強度(μI )を推定するために、学習セットにおける複数のポリープを、大きさに基づいて2つのグループに分ける。異なるグループ内のポリープは、異なる強度モデルを有する。大きなポリープのグループに関する強度モデルは(4)式でmc 項によって与えられる。一方で、小さなポリープのグループに関する強度モデルは、(4)式でmp 項によって与えられる。これらの強度モデルによって、コア部分の平均強度mc とPVE部分の平均強度mp を推定することできる。図2は、学習データから得られる、結腸ポリープに係る平均強度(μ)と半径(r)との関係((6)式)を示す。
【0123】
例えば、発明者の学習データにおける複数のポリープを、ポリープの直径が5ミリメートルを超えるか否かによって2つのグループに分け、Δr=0.25、mc =140、mp =−175の値を学習データから計算した。これらのパラメータは、学習データにおいて、強度モデルから最適な検出性能を提供する。
【0124】
候補生成
ここで開示するベイズフレームワークは様々な特徴(例えば、強度、形状及び解剖学的特徴)を組み合わせて、単一の統計式((2)式参照)にする。単一の統計式はCTC体積内で結腸ポリープを含む病巣を検知するために適用することができる。CADシステムの2つのメインステップ、即ち、初期候補生成及び/又は偽陽性削減のいずれか又は両方でベイズフレームワークを使用することができる。
【0125】
候補生成の方法におけるベイズフレームワークの使用について述べる。この方法では、ポリープであるかもしれない3次元医療用画像内の構造を識別するためにベイズフレームワークを使用する。3次元医療用画像を領域分割するため(即ち、3次元医療用画像を異なる部分に分割するため)及び各セグメントにラベルを付すためにもこの方法を使用することができる。例えば、3次元医療用画像内の異なるボクセルに、ポリープを含む、又は、健康的な組織を含むとして、ラベルを付すことができる。
【0126】
図3は、ベイズフレームワークを用いた候補生成の方法を示すフローチャートである。候補生成の方法への入力は3次元医療用画像302及びマスク304である。候補生成の方法は、3次元医療用画像302及び/又はマスク304を受け取るステップ(図3に図示せず)を含むことができる。マスク304は、特定のボクセルが3次元医療用画像302内の目的の領域部分であるか否か、即ち、特定のボクセルを候補生成の方法によって解析すべきか否かを示すデータを備える。従って、マスク304によって、目的の領域の外にあって候補を含みそうにないボクセルについての不要な計算が避けられる。候補生成の方法では、マスク304は、通常、特定のボクセルが(結腸等の)目的の臓器の部分を示すか否か、又は、ボクセルがその臓器の外部にあるか否かを示すデータを含む。既知のファジー閾値処理アルゴリズム等の適切な方法を用いることによってマスク304を生成することができる。
【0127】
ステップ310では、事前処理アルゴリズムを3次元医療用画像302に適用することが望ましい。事前処理アルゴリズムによって、特徴Fをより正確に計算することができる。事前処理アルゴリズムを3次元医療用画像302全体に適用することが好ましいが、マスク304が目的の領域であると示す3次元医療用画像302の一部にのみ適用することもできる。任意の適切な事前処理アルゴリズムを用いてもよい。例えば、3次元医療用画像におけるノイズを減らすアルゴリズムを用いて、3次元画像データを事前処理してもよい。他の例では、既知の平滑化アルゴリズムを用いることができる。平滑化アルゴリズムの目的は、3次元画像における各ボクセルでの強度値の空間的な導関数を平滑化することにある。導関数が不連続性又は不明確な点を含まない場合、導関数は「平滑化」されているといわれる。
【0128】
好ましい例では、ノイズを除去するために単一スケールガウス平滑化アルゴリズムを用いる。単一スケールガウス平滑化は参考文献[11]で説明されている。ガウス平滑化アルゴリズムは、特に簡単な平滑化アルゴリズムであって計算量をほとんど必要としないため、有益である。他の好ましい例では、等方性拡散アルゴリズム又は異方性拡散アルゴリズムを用いてもよい。異方性拡散アルゴリズムは、高い強度領域と低い強度領域との間の「境界」を保存するため、特に有益である。
【0129】
ステップ320では、各特徴の値を各ボクセルxi について求める。各ボクセルxi は、3次元医療用画像302の、マスク304が目的の領域であると示した部分にある。結腸ポリープを検出するために候補生成の方法を用いる例では、特徴の値を以下の方法で決定する。
【0130】
(i) ステップ320aでは、3次元医療用画像302からボクセルxi の強度値Iを読み出すことによって、強度特徴F1 の値を求める。
(ii) ステップ320bでは、(10)式を解くことによって、形状係数特徴F2SI の値を求める。
(iii)ステップ320cでは、前述の方法で差分画像を生成することによって、第2主曲率流の特徴F2k2 の値を求める。ボクセルxi での第2主曲率流の特徴F2k2 の値は、対応するボクセルでの差分画像の値に等しい。
(iv) ステップ320dでは、結腸粘膜面からのボクセルの距離を計算することによって、DS解剖学的特徴F3Sの値を求める。解剖学的特徴の使用は選択的であり、図3において破線で示されている。
【0131】
ステップ330では、各特徴の尤度確率分布を各ボクセルxi について計算する。ステップ320で計算した特徴の値及び(学習データ等の)既存の医療情報に基づいて、尤度確率分布を計算する。結腸ポリープを検出するために候補生成の方法を用いる例では、特徴の尤度確率分布を以下の方法で求める。
【0132】
(i)ステップ330aでは、(3)式を解くことによって、強度確率分布P(F1 |X)を計算する。(3)式を解く場合、値Iはボクセルxi の強度値であり、δI の値は学習データから導出される。固定した平均強度を使用する。学習データに基づいて、固定した平均強度を計算することが好ましい。例えば、μI がマスク内の各ボクセルにて66.7に等しいと仮定することによって、(3)式を解く。
【0133】
(ii)ステップ330bでは、(7)式を解くことによって、形状係数特徴F2SI のみに基づく形状確率分布P(F2 |X)を計算する。同様に、ステップ330cでは、(8)式を解くことによって、第2主曲率流の特徴F2k2 のみに基づく形状確率分布P(F2 |X)を計算する。また、ステップ330b及びステップ330cを効果的に合成する(9)式を解くことによって、形状係数特徴F2SI 及び第2主曲率流の特徴F2k2 両方に基づく形状確率分布P(F|X)を計算することができる。(7)式、(8)式又は(9)式を解く場合、ステップ320b及びステップ320cで計算したボクセルxi に関する形状係数特徴F2SI 及び/又は第2主曲率流の特徴F2k2 を用いる。(7)式、(8)式及び(9)式を解く場合、学習データから計算されたμSI、δSI、μk2及びδk2の値も用いる。
【0134】
(iii)ステップ330dでは、(26)式を解くことによって、解剖学的確率分布P(F3 |X)を計算する。解剖学的確率分布の使用は選択的であり、図3において破線で示されている。
【0135】
ステップ340では、条件付確率マップを生成する。条件付確率マップは、夫々が3次元医療用画像における個別のボクセルに対応する複数の要素を有する3次元配列である。3次元配列の各要素は、対応するボクセルがポリープを表す確率を示す値を含む。各ボクセルxi に対して、(図3に個別に示されていない)以下のサブステップを実行することによって確率マップを計算する。
【0136】
(i) (27)式を解くことによって事前確率を計算する。
(ii)ステップ330で計算した確率分布を用いて、(1)式を解くことによって、ボクセルxi にl1 のラベルが付される条件付確率を計算する。これにより、(1)式は、確率分布の夫々を組み合わせる(図3において参照番号342によって示された)ベイズ法を用いて、ボクセルxi が、検出すべき(結腸ポリープ等の)対象物を含む確率を示す単一値を生成する。結腸ポリープを検出するために候補生成の方法を用いる例では、(2)式を解く。即ち、結腸ポリープを検出する方法のように、3つの条件付の独立した特徴F1 ,F2 及びF3 がある場合に、(2)式は、単に(1)式を書き直した式であることが思い出される。
【0137】
ステップ350では、3次元医療用画像で(ポリープ候補等の)病巣候補352を識別するために、確率マップを解析する。例では、ステップ350は、図3において個別に示されていない以下のサブステップを備える。
【0138】
(i)確率マップにおいて閾値処理を行うことによって2値画像を取得する。即ち、確率マップにおける各要素での確率を所定の閾値確率と比較する。これにより、確率マップにおいて対応する確率が所定の閾値確率よりも大きい場合、3次元2値画像における各ボクセルに値1を割り当て、他の場合、値ゼロを割り当てる。ROC曲線において臨床的に容認可能なカットオフを与えるために、即ち、学習セットで各スキャンについて、臨床的に容認可能な偽陽性結果の平均数を生成するために、所定の閾値確率の値を選択する。
【0139】
(ii)2値画像において3次元ラベルを付すことによって、3次元領域の集合を生成する。言い換えれば、各ボクセルxi の値が1かゼロかに応じて、2値画像において各ボクセルxi にラベルli を関連付ける。
【0140】
(iii)小さな領域を2値画像から除去する。即ち、所定の閾値よりも連続的なボクセルが少ない3次元領域を放棄する。所定の閾値は、検出すべき対象物の大きさの医療情報に基づいて選択される。例えば、連続的な領域が結腸ポリープの大きさよりも小さい場合、連続的なボクセルがポリープ候補を示しているというよりも、前記連続的な領域は、(例えば、3次元医療画像内のノイズの存在によって)誤ってポリープとしてラベルが付されていると仮定される。
【0141】
小さな領域を除外した後に残る3次元領域は病巣候補352である。ステップ350で、前述したサブステップとは異なるサブステップを用いて、確率マップを解析してもよい。
【0142】
候補生成の方法では、検出した病巣候補に関連するデータを出力する(図3に示していない)更なるステップを備えてもよい。例えば、病巣候補の位置を示すマップを、図で表示してもよく、又は、病巣候補の位置を示すデータを(図4を参照しながら後述する)偽陽性削減の方法に出力してもよい。
【0143】
画像領域分割
ここで記載した候補生成の方法を画像領域分割にも使用することができる。「画像領域分割」という用語は画像を多くの異なる領域に分割する方法を指す。3次元医療用画像を、病巣を含む領域と病巣を含まない領域とに分割できることは有益である。候補生成のステップの間は、病巣を含む各領域内の少しのボクセルだけを検出することを容認できる。しかしながら、画像領域分割の間は、全ての病巣を求めることができるようにするために、実質的に病巣を含む全てのボクセルを検出する必要がある。
【0144】
適切な病巣の分割に優良な情報を提供する事後確率((1)式)において多重特徴の結合統計から潜在的な病巣候補を計算するため、ここで記載した候補生成の方法は画像領域分割に特に適している。「実験結果」の表題で後述する実験結果(図7(g1)及び(g2)並びに図8(g1)及び(g2)に表示)は、候補生成及び病巣分割両方に対して有効性を示す。
【0145】
偽陽性削減
ここで記載したベイズフレームワークを、初期の病巣候補から偽陽性領域を除外するために、偽陽性削減の方法にも使用することができる。(3次元医療用画像において、構造の形状に基づく病巣候補を検出する既知の方法を含む)病巣候補を検出する他の方法からこれらの初期の病巣候補を取得することができ、又は、前述したようにベイズフレームワークそのものを用いて初期の病巣候補を取得することができる。
【0146】
偽陽性削減の方法は、前述した候補生成の方法と類似している。しかしながら、候補生成に関しては、結腸マスク全体の中で確率分布を計算したが、偽陽性削減の方法では、初期の病巣候補を含む3次元医療用画像の各領域Rinii内で確率マップを計算する。ここで、i=1,...,Nであり、Nは初期の病巣候補全体の数である。
【0147】
図4は、ベイズフレームワークを用いた偽陽性削減の方法を示すフローチャートである。偽陽性削減の方法への入力は、3次元医療用画像402及びマスク404である。偽陽性削減の方法は、3次元医療用画像402及び/又はマスク404を受け取るステップ(図4に図示せず)を備える。
【0148】
ステップ410では、3次元医療用画像402に事前処理アルゴリズムを適用することが好ましい。ステップ410は、候補生成の方法のステップ310と本質的に同じであるため、詳細な説明を必要としない。
【0149】
ステップ420では、各ボクセルxi について、各特徴の値を求める。各ボクセルxi は、初期の病巣候補を含む3次元医療用画像402の領域Rinii内にある。領域Riniiはマスク404によって定義される。偽陽性削減の方法を、結腸ポリープを検出するために用いる例では、特徴の値を以下の方法で求める。
【0150】
(i) ステップ420aでは、強度特徴F1 の値を、3次元医療用画像402からボクセルxi の強度値Iを読み出すことによって求める。
(ii) ステップ420bでは、(10)式を解くことによって、形状係数特徴F2SI の値を求める。
(iii)ステップ420cでは、前述の方法で差分画像を生成することによって、第2主曲率流の特徴F2k2 の値を求める。ボクセルxi での第2主曲率流の特徴F2k2 の値は、対応するボクセルでの差分画像の値に等しい。
(iv) ステップ420dでは、結腸中心線に沿ってボクセルの距離を計算することによって、DC解剖学的特徴F3Sの値を求める。解剖学的特徴の使用は選択的であり、図4において破線で示されている。
【0151】
ステップ430では、各ボクセルxi について、各特徴の尤度確率分布を計算する。尤度確率分布は、ステップ420で計算された特徴の値及び(学習データ等の)既存の医療情報に基づいて計算される。偽陽性削減の方法を、結腸ポリープを検出するために使用する例では、特徴の尤度確率分布を以下の方法で求める。
【0152】
(i)ステップ430aでは、(3)式を解くことによって、強度確率分布P(F1 |X)を計算する。(3)式を解く場合、値Iはボクセルxi の強度値であり、平均強度μI は、(6)式を解くことによって、初期の候補領域Riniiの大きさの関数として定義され、δI の値は学習データから導出される。
【0153】
(ii)ステップ430bでは、(7)式を解くことによって、形状係数特徴F2SI のみに基づく形状確率分布P(F2 |X)を計算する。同様に、ステップ430cでは、(8)式を解くことによって、第2主曲率流の特徴F2k2 のみに基づく形状確率分布P(F2 |X)を計算する。また、ステップ430b及びステップ430cを効果的に合成している(9)式を解くことによって、形状係数特徴F2SI 及び第2主曲率流の特徴F2k2 両方に基づく形状確率分布P(F2 |X)を計算することができる。(7)式、(8)式又は(9)式を解く場合、ステップ420b及びステップ420cで計算された、各ボクセルxi に関する形状係数特徴F2SI 及び/又は第2主曲率流の特徴F2k2 の値を用いる。(7)式、(8)式及び(9)式を解く場合、学習データから計算されたμSI、δSI、μk2及びδk2の値も用いる。
【0154】
(iii)ステップ430dでは、(25)式を解くことによって、解剖学的確率分布P(F3 |X)を計算する。(25)式は、ポリープであるとしてラベルが付される確率の高い結腸の末端に、より近い結腸中心線に沿ったボクセルを結果的に生させることが思い出される。解剖学的確率分布の使用は選択的であり、図4では破線で示されている。
【0155】
ステップ440では、領域Rinii内の各ボクセルxi について条件付確率マップを生成する。ステップ440は、候補生成の方法のステップ340と本質的に同じであり、詳細な説明を必要としない。
【0156】
ステップ450では、3次元医療用画像において(ポリープ候補等の)病巣候補452を識別するために確率マップを解析する。例では、ステップ450は、図4で個別に示していない以下のサブステップを備える。
【0157】
(i)確率マップで閾値処理することによって2値画像を取得する。このステップは前述のステップ350に係る対応するサブステップと同じ方法で行われる。
【0158】
(ii)2値画像において3次元ラベルを付すことによって、3次元領域Rprobj の集合を生成する。ここで、j=1,...,Mであり、Mは、確率マップにおいて、より高い確率値を持った領域全体の数である。
【0159】
(iii)初期領域が少なくとも1つの領域Rprobj を含んで領域Rprobj の大きさが予め設定した閾値よりも大きい場合、即ち、Rprobj ⊂Riniiである場合、初期領域Riniiは潜在的な病巣領域として維持される。他の場合、領域は初期候補から取り除かれる。
【0160】
従って、ステップ450では、病巣になる確率が低い病巣候補を放棄することによって、初期病巣候補の集合の中の偽陽性を削減する。ステップ450では、前述のサブステップとは異なるサブステップを用いて確率マップを解析してもよい。
【0161】
偽陽性削減の方法は、偽陽性を放棄した後に残った、検出した病巣に関係するデータを出力する(図4に示していない)更なるステップを備えてもよい。例えば、残りの検出した病巣の場所を示すマップを、図で表示してもよい。
【0162】
前述したように、候補生成の方法でベイズフレームワークを用いた場合、3次元医療用画像の(マスク304によって定義され、通常、臓器全体を含む)比較的大きな部分を処理し、多くのメモリを使用する。一方、ベイズフレームワークを偽陽性削減の方法で用いた場合、3次元医療用画像の比較的に小さい領域のみを処理し、メモリをほとんど必要としない。従って、偽陽性削減の方法にベイズフレームワークを用いた場合、ベイズフレームワークは特に有益である。しかしながら、偽陽性削減にベイズフレームワークを用いる場合、病巣検出の全体感度は初期候補生成の感度に依存する。このため、初期候補生成のステップで見逃された病巣を、偽陽性削減のステップで検出することはできない。即ち、ベイズ法に基づく偽陽性削減の段階では、偽陽性領域を削減することのみができるのに対し、初期候補生成にベイズ法を用いた場合、病巣検出の全体感度は、候補生成に基づくベイズ法に依存する。これは、初期候補生成にベイズフレームワークを用いる1つの利点である。
【0163】
なお、強度モデル及び解剖学的モデルは、候補生成及び偽陽性削減のいずれに用いるかによって、わずかに異なる。候補生成に用いた場合、固定した平均強度μI を(3)式で用い、DS特徴を解剖学的モデル化((26)式)に用いることができる。偽陽性削減に用いる場合、平均強度μI は領域の大きさの関数((6)式)であり、DC特徴を解剖学的モデル化((25)式)に用いることができる。しかしながら、DC特徴及びDS特徴を任意の適当な組合せで用いることができる。更に具体的には、候補生成中にDS特徴を用いることができ、偽陽性削減中にDC特徴を用いることができ、又は、DC特徴及びDS特徴両方を候補生成及び/又は偽陽性削減中に用いることができる。
【0164】
装置
本発明を実施するために用いられる装置の例を、図5及び図6を参照しながら説明する。図5に示すように、スキャナ502からスキャンデータを受け取ってスキャン画像を構築するコンピュータ504によってスキャン画像を生成することができる。スキャン画像は電子ファイル又は一連のファイルとして保存され、固定式又は着脱可能式ディスク等の記憶媒体506に記憶される。スキャン画像はスキャン画像に関連するメタデータを含むことができる。コンピュータ504がスキャン画像を解析しても良く、又は、前述の解析を実行するためにスキャン画像を処理するソフトウェアを実行する他のコンピュータ508にスキャン画像を転送してもよい。着脱可能なディスク若しくは固体記憶装置等のキャリアにソフトウェアを記憶してもよく、又は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、イントラネット若しくはインターネット等のネットワークを介してソフトウェアをダウンロードしてもよい。
【0165】
ここで記載したコンピュータは図6に示すコンピュータシステム600であってもよい。本発明の実施の形態を、コンピュータシステム600によって実行するためのプログラムコードとして実行してもよい。この説明を読めば、他のコンピュータシステム及び/又はコンピュータアーキテクチャを用いて本発明を実施する方法が当業者に明らかになる。
【0166】
コンピュータシステム600は、プロセッサ604等の一又は複数のプロセッサを含む。プロセッサ604は、特殊目的又は汎用目的のディジタルシグナルプロセッサを含むが、これに限定されず、任意のプロセッサでもよい。プロセッサ604は通信基盤606(例えば、バス又はネットワーク)に接続される。コンピュータシステム600は、更に、ランダムアクセスメモリ(RAM)であることが好ましい主記憶装置608を有する。コンピュータシステム600は更に補助記憶装置610を有してもよい。補助記憶装置610は、例えば、ハードディスクドライブ612、及び/又は、フレキシブルディスクドライブ、磁気テープドライブ又は光ディスクドライブをはじめとする着脱可能な記憶ドライブ614を有してもよい。着脱可能な記憶ドライブ614は、よく知られた方法で着脱可能な記憶部618に対して読み書きする。着脱可能な記憶部618とは、フレキシブルディスク、磁気テープ又は光ディスク等のことであり、着脱可能な記憶ドライブ614によって読み書きされる。前述の記載からわかるように、着脱可能な記憶部618は、コンピュータが読取可能な記憶媒体を有する。コンピュータが読取可能な記憶媒体は、自身にコンピュータソフトウェア及び/又はデータを記憶している
【0167】
別の実施の形態では、補助記憶装置610はコンピュータプログラム又は他の指示をコンピュータシステム600にロードさせる他の同様の手段を有してもよい。このような手段は、例えば、着脱可能な記憶部622及びインターフェース620を有してもよい。このような手段の例として、(テレビゲーム装置で既に見られるような)プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェースと、(EPROM、PROM又はフラッシュメモリ等の)着脱可能なメモリチップ及び関連するソケットと、他の着脱可能な記憶部622、及び、着脱可能な記憶部622からコンピュータシステム600にソフトウェア及びデータを転送させるインターフェース620とが考えられる。また、コンピュータシステム600のプロセッサ604を用いて、着脱可能な記憶部622からプログラムの実行及び/又はデータのアクセスを行ってもよい。
【0168】
コンピュータシステム600は、更に通信インターフェース624を有してもよい。通信インターフェース624は、コンピュータシステム600と外部装置との間で、ソフトウェア及びデータを転送させる。コンピュータインターフェース624の例として、モデム、(イーサネットカード(登録商標)等の)ネットワークカード、通信ポート、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(PCMCIA)スロット及びPCMCIAカード等が有り得る。ソフトウェア及びデータは、複数の信号628の形式で通信インターフェース624を介して転送される。複数の信号628は、電子信号、電磁信号、光信号、又は、通信インターフェース624から受信することができる他の信号であってもよい。複数の信号628は通信経路626を介して通信インターフェース624に供給される。通信経路626は複数の信号628を伝搬する。通信経路626は、ワイヤ若しくはケーブル、光ファイバ、電話線、無線リンク、携帯電話リンク、高周波リンク、又は、他の適当な通信チャンネルを用いて実装されてもよい。例えば、チャネルを組み合わせて、通信経路626を実装してもよい。
【0169】
「コンピュータプログラム媒体」及び「コンピュータが読取可能な媒体」という用語は、通常、着脱可能な記憶ドライブ614、ハードディスクドライブ612に設置されたハードディスク及び複数の信号628等の媒体を指すのに用いられる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム600にソフトウェアを提供するための手段である。しかしながら、これらの用語には、更に、ここで開示されたコンピュータプログラムを具現化する(電気信号、光信号又は電磁気信号等の)複数の信号を含んでもよい。
【0170】
(コンピュータ制御ロジックとも呼ばれる)コンピュータプログラムは主記憶装置608及び/又は補助記憶装置610に記憶される。コンピュータプログラムを、通信インターフェース624を介して受け取ってもよい。このようなプログラムは、実行された場合、コンピュータシステム600に、ここで議論したように、本発明を実施させることができる。従って、このようなコンピュータプログラムはコンピュータシステム600の制御部を表す。本発明を、ソフトウェアを用いて実施した場合、ソフトウェアをコンピュータプログラム製品に記憶させて、いくつかの例を挙げると、着脱可能な記憶ドライブ614、ハードディスクドライブ612又は通信インターフェース624を用いて、ソフトウェアをコンピュータシステム600にロードさせてもよい。
【0171】
別の実施の形態では、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェア、ファームウェア若しくはソフトウェアの組み合わせで、本発明を実施することができる。
【0172】
実験結果
ここで開示されたベイズフレームワークをCT結腸画像で評価している。実験を実施して、初期候補生成ステップ及び偽陽性削減ステップ両方に適用されたアルゴリズムの効果を示している。
【0173】
最初の実験では、図3に示すフローチャートに関連して前述したように、前述の初期ポリープ候補検出の方法にベイズ法を用いた。この実験では、形状係数特徴及び第2主曲率流(k2)の特徴の両方(両方ではあるが、これらの特徴の組み合わせではない)を形状モデル化で考慮した。
【0174】
図7は、最初の実験からのポリープ検出の例を示している。図7では、(a1)及び(a2)は2枚の連続したサブスライスでのポリープ700のCT画像を示す。(b1)及び(b2)は各サブスライスに関する強度確率マップを示す。(c1)及び(c2)は各サブスライスに関する形状係数確率マップを示す。(d1)及び(d2)は強度特徴及び形状係数特徴に基づく、各サブスライスに関する結合確率マップを示す。(e1)及び(e2)は、各サブスライスに関する第2主曲率流(k2)の差分画像Dを示す。(f1)及び(f2)は、各サブスライスに関する第2主曲率流(k2)の確率マップを示す。(g1)及び(g2)は、強度特徴及び第2主曲率流(k2)の特徴に基づく、各サブスライスに関する結合確率マップからの閾値処理された画像である。強度マップ((b1)及び(b2))並びに形状係数確率マップ((c1)及び(c2))の両方はポリープ700を目立たせて(強調して)いることを認識することができる。しかしながら、第2主曲率流(k2)の確率マップ((f1)及び(f2))は、形状係数マップ((c1)及び(c2))と比較して、偽陽性領域がほとんどなく、より良い結果を示している。最終的に閾値処理を行った(g1)及び(g2)の画像から、ポリープ700の境界が結腸壁702から適切に領域分割されていることが認識される。即ち、(g1)及び(g2)はポリープ700のみを示し、原画像(a1)及び(a2)内の他の特徴を示していない。従って、(g1)及び(g2)は、ここで開示したベイズフレームワークが3次元医療用画像内の病巣を識別するのに効果的であることを示している。
【0175】
第2の実験では、図4に示すフローチャートに関連して前述したように、前述の偽陽性削減の方法でベイズフレームワークを使用した。この実験では、発明者が以前に考案した(参考文献[1]に記載した)自動CT結腸ポリープ検出に関するアルゴリズムの1つが初期ポリープ候補を生成するために使用された。発明者が以前に考案したアルゴリズムにより、比較的に数の少ない潜在的な病巣の領域を生成することができる。この実験の目的は、偽陽性を除外するために、全ての潜在的な病巣領域に対してベイズ法を使用することであった。
【0176】
図8は、第2の実験からのポリープ検出の例を示している。図8では、(a1)及び(a2)は2枚の連続したサブスライスでのポリープ800のCT画像を示す。(b1)及び(b2)は各サブスライスに関する強度確率マップを示す。(c1)及び(c2)は各サブスライスに関する形状係数確率マップを示す。(d1)及び(d2)は強度特徴及び形状係数特徴に基づく、各サブスライスに関する結合確率マップを示す。(e1)及び(e2)は、各サブスライスに関する第2主曲率流(k2)の差分画像Dを示す。(f1)及び(f2)は、各サブスライスに関する第2主曲率流(k2)の確率マップを示す。(g1)及び(g2)は、強度特徴及び第2主曲率流(k2)の特徴に基づく、各サブスライスに関する結合確率マップからの閾値処理された画像である。
【0177】
図9は、発明者が以前に考案したCADアルゴリズムのみに基づく134枚のCT結腸スキャンに関する受信者動作特性(ROC)曲線(図9の下側の曲線参照)と、ここで開示したベイズ法を用いて更に行った偽陽性削減の結果から求めた改善されたROC曲線(図9の上側の曲線参照)とを示している。ベイズ法を用いたポリープ検出の性能は、発明者が以前に考案したCADアルゴリズムから取得した検出の性能と比較して、感度及び偽陽性結果の両方に関して、非常に改善されていることを認識することができる。
【0178】
別の実施の形態
結腸ポリープに加えて、肺小結節、肝臓病巣、マンモグラフィの腫瘤及び脳病巣を含むがこれに限定されない他種の病巣を検出するためにベイズフレームワークを使用してもよい。詳細に前述した特定の強度特徴、形状特徴及び解剖学的特徴の代わりに、検出すべき種類の病巣に適した特徴を用いることができる。具体的には、特定の領域で肺小結節又は脳病巣が発見される確率に関する既存の医療情報等の、検出すべき種類の病巣に係る既存の医療情報を反映する別の方法によって、解剖学的特徴を置き換えてもよいし、補完してもよい。(直腸又は粘膜下層面からの距離等の)病巣の位置に基づく解剖学的特徴の使用が、結腸ポリープを検出するために適切であるが、病巣の位置に基づかない他種の特徴を用いてもよい。例えば、解剖学的特徴は、検出すべき特定の種類の病巣の大きさ、形状又は密度に基づく特徴を含んでもよい。
【0179】
本発明は単に一例として上記に説明されただけであり、詳細な修正は本発明の特許請求の範囲に含まれると理解される。
【0180】
参考文献
ここで開示したいくつかの例を理解する上で読者の助けとなる以下の刊行物が、ここに参考文献として収められている。
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[2] ピー.ビオラ(P.Viola)及びエム.ジェイ.ジョーンズ(M.J.Jones)著、「強固なリアルタイム顔検出」(“Robust Real-Time Face Detection”)、コンピュータビジョン国際ジャーナル(International Journal of Computer Vision)、57(2)、137−154頁、2004年
[3] アール.エム.ハラリック(R. M. Haralick)、ケイ.シャムガム(K. Shanmugam)及びアイ.ディンステン(I. Dinstein)著、「画像分類用テクスチャ特徴」(“Textural Features for Image Classification”)、システム、人及び人工知能に関する電気電子技術者協会報告書(IEEE Transactions On Systems, Man, and Cybernetics)、3(6)、1973年
[4] ディー.エス.パイク(D. S. Paik)、シー.エフ.バーリー(C. F. Beaulieu)、ジー.ディー.ルビン(G. D. Rubin)、ビー.エイカー(B. Acar)、アール.ビー.ジェフリー(R. B. Jeffrey)、ジェイ.リー(J. Yee)、ジェイ.ディ(J. Dey)及びエス.ナペル(S. Napel)著、「表面法線重複:らせんCTにおける結腸ポリープ及び肺小結節への適用に伴うコンピュータ支援検出アルゴリズム」(“Surface Normal Overlap: A Computer-Aided Detection Algorithm With Application to Colonic Polyps and Lung Nodules in Helical CT”)、医療用の画像化に関する電気電子技術者協会報告書(IEEE Transactions on Medical Imaging)、23(6)、2004年
[5] エイチ.コバタケ(H. Kobatake)及びエム.ムラカミ(M. Murakami)著、「丸い凸状領域を検出するための適応フィルター:アイリスフィルター」(“Adaptive Filter to Detect Rounded Convex Regions: Iris Filter”)、パターン認識に関する国際会議(International Conference on Pattern Recognition)、1996年
[6] エイチ.ヨシダ(H. Yoshida)及びジェイ.ナッピ(J. Nappi)著、「結腸ポリープの検出用の3次元コンピュータ支援診断構想」(“Three-Dimensional Computer-Aided Diagnosis Scheme for Detection of Colonic Polyps”)、医療用の画像化に関する電気電子技術者協会報告書(IEEE Transactions on Medical Imaging)、20(12)、2001年
[7] エム.ピー.ドカルモ(M. P. DoCarmo)著、「曲線及び表面の微分幾何学」(“Differential Geometry of Curves and Surfaces”)、初版、プレンティス・ホール(Prentice Hall)、1976年
[8] ジェイ.ジェイ.コーエンデリンク(J. J. Koenderink)著、「固体形状」(“Solid Shape”)、初版、エムアイティ出版社(MIT Press)、1990年
[9] ジー.ローマン(G. Lohmann)著、「ボリュメトリック画像解析」(“Volumetric Image Analysis”)、ニューヨーク:ウィリ(New York: Wiley)、1998年
[10] ワイ.チョウ(Y. Zhou)及びエイ.ダブリュー.トーガ(A. W. Toga)、「ボリュメトリック対象物の効果的な規模縮小化」(“Efficient skeletonization of volumetric objects”)、視覚化及びコンピュータグラフィックスに関する電気電子技術者協会報告書(IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics)、vol.5、no.3、197−209頁、1999年
[11] ジェイン(Jain)著、「画像処理の基礎」(“Fundamentals of Image Processing”)、初版、プレンティス・ホール(Prentice Hall)、1989年
【符号の説明】
【0181】
504,508 コンピュータ
600 コンピュータシステム
604 プロセッサ
618,622 着脱可能な記憶部
628 複数の信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実施され、3次元医療用画像にて対象物を検出する画像処理方法において、
前記3次元医療用画像の少なくとも一部における各ボクセルにて、夫々が前記3次元医療用画像の特徴を示す複数の特徴の値を求めるステップと、
前記複数の特徴の値と学習データから導出される一又は複数のパラメータ値を含む既存の医療情報とに基づいて、前記複数の特徴夫々の尤度確率分布を計算するステップと、
計算した複数の尤度確率分布を組み合わせるベイズ法を用いることにより、前記3次元医療用画像の少なくとも一部について、各ボクセルが、検出すべき対象物である確率を示す確率マップを生成する生成ステップと、
対象物を検出するために、生成した確率マップを解析する解析ステップと
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
対象物を前記学習データに基づいて検出する場合に、前記一又は複数のパラメータ値を、所定数の偽陽性結果を生成するように最適化すること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記複数の特徴は、一又は複数の外観特徴を含むこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記一又は複数の外観特徴は、前記3次元医療用画像から導出される画像強度情報を含むこと
を特徴とする請求項3に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記一又は複数の外観特徴は、前記3次元医療用画像から導出されるウェーブレット特徴を含むこと
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記一又は複数の外観特徴は、前記3次元医療用画像から導出されるテクスチャ特徴を含むこと
を特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記複数の特徴は、一又は複数の形状特徴を含むこと
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記一又は複数の形状特徴は、前記3次元医療用画像から導出される第1次形状特徴を含むこと
を特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記一又は複数の形状特徴は、一又は複数の第2次形状特徴を含むこと
を特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記一又は複数の第2次形状特徴の少なくとも1つを、ヘッシアン行列から求めること
を特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記一又は複数の第2次形状特徴の少なくとも1つを、前記ヘッシアン行列の固有値から計算すること
を特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記一又は複数の第2次形状特徴の少なくとも1つは、特定のボクセルでの前記3次元医療用画像の体積形状係数であること
を特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記一又は複数の第2次形状特徴の少なくとも1つは、特定のボクセルでの前記3次元医療用画像の第2主曲率流を示すこと
を特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項14】
空間的な事前確率を計算するステップ
を更に備えること
を特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記生成ステップは、前記複数の尤度確率分布及び前記空間的な事前確率を組み合わせるベイズ法を使用するステップを更に含むこと
を特徴とする請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記空間的な事前確率は空間的な制限を有すること
を特徴とする請求項15に記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記空間的な制限はマルコフ確率場及びギブス確率場によって課せられること
を特徴とする請求項16に記載の画像処理方法。
【請求項18】
一の特徴の前記尤度確率分布の計算には、特定のボクセルにて、前記一の特徴の確率分布をモデル化するガウス関数の値の計算が含まれること
を特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項19】
前記ガウス関数は前記3次元医療用画像の強度を特徴づける一の特徴の確率分布をモデル化し、
前記ガウス関数の値の計算では、前記ガウス関数における平均強度は固定値として扱われること
を特徴とする請求項18に記載の画像処理方法。
【請求項20】
前記ガウス関数は、前記3次元医療用画像の強度を特徴づける一の特徴の確率分布をモデル化し、
前記ガウス関数の値の計算は、予め検出された対象物の大きさの関数としてのガウス関数における平均強度の計算を含むこと
を特徴とする請求項18に記載の画像処理方法。
【請求項21】
予め検出された対象物の大きさの関数としての平均強度の計算には、前記3次元医療用画像における部分体積効果の存在に基づく式の計算が含まれること
を特徴とする請求項20に記載の画像処理方法。
【請求項22】
前記複数の特徴は、一又は複数の解剖学的特徴を含むこと
を特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項23】
解剖学的特徴の値の計算は、結腸中心線の計算を含むこと
を特徴とする請求項22に記載の画像処理方法。
【請求項24】
解剖学的特徴の値の計算は、結腸の境界距離変換の計算を含むこと
を特徴とする請求項23に記載の画像処理方法。
【請求項25】
前記解析ステップは、
前記確率マップで閾値処理するステップと、
閾値処理された確率マップで領域にラベルを付けるステップと
を備えること
を特徴とする請求項1から請求項24のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項26】
前記3次元医療用画像の一部はマスクによって明示されること
を特徴とする請求項1から請求項25のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項27】
検出された対象物は、探し求められている種類の対象物の強度範囲及び大きさ範囲にある強度及び大きさを持った前記3次元医療用画像内での領域を包含すること
を特徴とする請求項1から請求項26のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項28】
コンピュータ支援検出アルゴリズムの候補生成ステップで使用されること
を特徴とする請求項1から請求項27のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項29】
前記解析ステップは、予め検出した対象物が偽陽性であるか否かを決定するステップを含むこと
を特徴とする請求項1から請求項28のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項30】
前記解析ステップの結果に基づいて3次元医療用画像を領域分割するステップを備えること
を特徴とする請求項1から請求項29のいずれ1つに記載の画像処理方法。
【請求項31】
請求項1から請求項30のいずれか1つに記載の画像処理方法を実行することが可能であること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項32】
3次元医療用画像にて対象物を検出する画像処理装置において、
前記3次元医療用画像の少なくとも一部における各ボクセルにて、夫々が前記3次元医療用画像の特徴を示す複数の特徴の値を求める手段と、
前記複数の特徴の値と学習データから導出される一又は複数のパラメータ値を含む既存の医療情報とに基づいて、前記複数の特徴夫々の尤度確率分布を計算する手段と、
該手段が計算した複数の尤度確率分布を組み合わせるベイズ法を用いることにより、前記3次元医療用画像の少なくとも一部について、各ボクセルが、検出すべき対象物である確率を示す確率マップを生成する手段と、
対象物を検出するために、生成した確率マップを解析する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項33】
適切なコンピュータによって実行された場合に該コンピュータに請求項1から請求項30のいずれか1つに記載の画像処理方法を実行させる指示を記憶していること
を特徴とするコンピュータが読取り可能な媒体。
【請求項34】
コンピュータに、3次元医療用画像にて対象物を検出させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、前記3次元医療用画像の少なくとも一部における各ボクセルにて、夫々が前記3次元医療用画像の特徴を示す複数の特徴の値を求めさせるステップと、
コンピュータに、前記複数の特徴の値と学習データから導出される一又は複数のパラメータ値を含む既存の医療情報とに基づいて、各特徴の尤度確率分布を計算させるステップと、
コンピュータに、計算した複数の尤度確率分布を組み合わせるベイズ法を用いることにより、前記3次元医療用画像の少なくとも一部について、各ボクセルが検出すべき対象物である確率を示す確率マップを生成させるステップと、
コンピュータに、対象物を検出するために、生成した確率マップを解析させるステップと
を備えることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177517(P2011−177517A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46663(P2011−46663)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(507076322)
【Fターム(参考)】