画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および、画像処理プログラム
【課題】画像データを印刷する際に、補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理装置を提供すること。
【解決手段】画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段(タッチパネル30b)と、指定受付手段によって指定された領域に含まれている画素データを取得する取得手段(制御部20c)と、取得手段によって取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段(制御部20c)と、特定手段によって特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す補正手段(画像処理部20e)と、を有する。
【解決手段】画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段(タッチパネル30b)と、指定受付手段によって指定された領域に含まれている画素データを取得する取得手段(制御部20c)と、取得手段によって取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段(制御部20c)と、特定手段によって特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す補正手段(画像処理部20e)と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多機能プリンタにて印刷用インデックスシートを印刷し、所定の画像を印刷用インデックスシートで指定してスキャナで読み込むことにより、所望の画像を簡易に印刷または削除することが可能な技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−255729号公報(要約書、請求項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示される技術では、画像の印刷および削除については簡易に実行できるが、画像を印刷する際に補正処理を実行する際には、ユーザが別途マニュアル操作によって指定する必要があるため、操作が煩雑であるという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および、画像処理プログラムを提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の画像処理装置は、画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段と、指定受付手段によって指定された領域に含まれている画素データを取得する取得手段と、取得手段によって取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段と、特定手段によって特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す補正手段と、を有する。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0007】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、補正手段により、画像データに補正を施した画像を表示部に表示する表示手段と、表示部に表示された画像データを参照しながら、印刷するか否かを選択できる印刷選択手段と、をさらに有する。これにより、補正が終了した画像を参照し、必要であれば印刷を行うことができる。
【0008】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、指定受付手段は表示部を有し、表示部に接触することにより、処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付けるようにしている。このため、表示された画像を参照しながら、表示部に接触することにより、あたかも直接指示するように画像の領域の一部を指定することが可能になる。
【0009】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、指定受付手段が、印刷用紙に印刷され、処理対象を指定する印が付された画像を光学的に読み込んで、印を検出することにより、処理対象となる画像の一部の領域の指定を受けるようにしている。このため、処理対象となる画像の領域の一部を確実に指定することが可能になる。
【0010】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、特定手段が、取得手段によって取得された画素データの属する色域に基づいて、指定された領域の画像の種類または補正の種類を判定し、補正手段が、特定手段によって特定された指定された領域の画像の種類または補正の種類に応じた記憶色補正を実行する、ようにしている。このため、画像処理装置が画像の種類または補正の種類を自動的に判定するので、ユーザの操作を簡便化することが可能になる。
【0011】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、指定された領域の画像の種類または補正の種類の指示を受け付ける指示受付手段をさらに有し、特定手段が、指示受付手段による指示内容に応じて、指定された領域の画像の種類または補正の種類を特定するようにしている。このため、画像の種類または補正の種類をユーザに直接指示させるので、意図せぬ補正処理が実行されることを確実に防止できる。
【0012】
また、本発明の印刷装置は、前述した画像処理装置を有している。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な印刷装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明の画像処理方法は、画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付け、指定された領域の画像に含まれている画素データを取得し、取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定し、特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す、ようにしている。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理方法を提供することができる。
【0014】
また、本発明の画像処理プログラムは、コンピュータを、画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段、指定受付手段によって指定された領域の画像に含まれている画素データを取得する取得手段、取得手段によって取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段、特定手段によって特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す補正手段、として機能させる。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置を有する印刷装置10の構成例を示す外観図である。この図1に示すように、印刷装置10は、スキャナ装置、印刷装置、および、コピー装置が一体となったいわゆる複合型の印刷装置である。ここで、印刷装置10は、装置全体を覆うケース11と、印刷用紙を供給する給紙装置(不図示)と、原稿が載置される透明なコンタクトガラス13およびキャリッジ14等を有するスキャナ装置と、印刷用紙に対して印刷を行う印刷部(不図示)とを備える。なお、本発明の画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および、画像処理プログラムについては印刷装置10の動作として説明する。
【0017】
ケース11は、略四角形状の箱体であり、その上部には開閉自在の蓋12が設けられている。蓋12を開けると、原稿が載置されるコンタクトガラス13が現れる。コンタクトガラス13の内側には、後述するイメージセンサが設けられたキャリッジ14が存在する。キャリッジ14を副走査方向(図中矢印で示す方向)に移動させることにより、原稿に印刷されている情報を画像データとして読み取る。なお、スキャナ装置は、イメージセンサが副走査方向に移動しながら固定された原稿を読み取る、いわゆるフラットベットタイプ(原稿固定型)のスキャナである。
【0018】
ケース11の前面中央部には、LCD(Liquid Crystal Display)40aが配置され、その上に重畳するようにタッチパネル30bが配置されている。また、その周辺には各種操作ボタン30aが配置されている。LCD40aには、印刷装置10のメニュー、動作内容、動作状況、エラー内容などが表示され、操作ボタン16は、印刷装置10のメニュー選択等を行う時に押されるようになっている。
【0019】
ケース11は、前面下部に、排出口17を備え、印刷された印刷用紙が排出されるようになっている。また、ケース11の前面右側中央部には、カードスロット18が設けられており、例えば、図示せぬディジタルカメラなどによって撮影された画像データを記録するメモリカード70が、取り外し自在に収納されるようになっている。なお、この例では、カードスロット18には蓋部18aが設けられており、メモリカード70を挿入する場合には、当該蓋部18aを開閉する。メモリカード70には、例えば、非可逆圧縮方式としてのJPEG形式または可逆圧縮方式としてのTIFF形式によって圧縮された画像データが格納されている。
【0020】
図示せぬ給紙装置は、ケース11の背面側に設けられており、印刷用紙をストックするとともに、必要に応じて印刷装置10の内部に一枚ずつ供給する。
【0021】
図2は、印刷装置10の電気的な構成例を示すブロック図である。この図に示すように、印刷装置10は、メイン制御部20、情報入力部30、情報出力部40、プリント機構50、および、スキャン機構60を主要な構成要素としている。
【0022】
ここで、メイン制御部20は、入出力制御部20a、カードI/F(Interface)20b、制御部20c、メモリ20d、画像処理部20e、プリンタ制御部20f、バッファ20g、および、スキャナ制御部20hを主要な構成要素としており、情報入力部30から入力された情報に基づいて、情報出力部40、プリント機構50、および、スキャン機構60等を制御する。
【0023】
なお、入出力制御部20aは、情報入力部30および情報出力部40との間で情報を授受する際にデータの表現形式を適宜変換するインタフェースである。カードI/F20bは、メモリカード70が挿入された場合には、メモリカード70から画像データを読み出したり、画像データを書き込んだりする処理を実行する。
【0024】
取得手段、特定手段、および、印刷選択手段としての制御部20cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、メモリ20dに記憶されているプログラム20d1に基づいて装置の各部を制御する。補正手段としての画像処理部20eは、制御部20cから供給された画像データに対して、補正処理を施す。プリンタ制御部20fは、プリント機構50を制御し、例えば、画像データを印刷用紙に印刷する。バッファ20gは、画像処理部20eによって画像処理が施された画像データを一時的に格納するとともに、スキャナ制御部20hから入力された画像データを一時的に格納する。スキャナ制御部20hは、スキャン機構60を制御し、印刷用紙に印刷された画像データを読み込む処理を実行する。
【0025】
情報入力部30は、操作ボタン30aおよびタッチパネル30bを主要な構成要素とし、ユーザの操作に基づく情報を生成して出力する。ここで、操作ボタン30aは、操作パネル等に配置されたボタンであり、ユーザの操作に応じた情報を生成して出力する。指定受付手段および指示受付手段としてのタッチパネル30bは、LCD40aに重畳するように配置され、LCD40aに表示された情報に基づいて、タッチパネル30bを操作することにより、操作された位置に対応する位置情報が出力される。
【0026】
情報出力部40は、LCD40aおよびランプ40bを主要な構成要素とし、ユーザに提示する情報を出力する。ここで、表示手段としてのLCD40aは、前述したようにタッチパネル30bと重畳されており、制御部20cから供給された画像データを表示する。ランプ40bは、操作パネル等に配置されており、制御部20cの制御に応じて点灯/消灯することにより、所定の情報をユーザに示す。
【0027】
プリント機構50は、記録ヘッド50a、走査部50b、および、用紙搬送部50cを主要な構成要素としており、制御部20cから供給された画像データを、印刷用紙に印刷する。ここで、記録ヘッド50aは、例えば、CMYKに対応する各色のインクを複数のノズルから適宜吐出し、印刷用紙に対応する画像を印刷する。走査部50bは、記録ヘッド50aを主走査方向に移動させる。用紙搬送部50cは、印刷用紙を副走査方向に移動させる。
【0028】
スキャン機構60は、光源60a、受光部60b、および、走査部60cを主要な構成要素としており、印刷用紙に印刷された画像を光学的に読み取って、対応する画像データを生成して出力する。ここで、光源60aは、例えば、冷陰極管によって構成され、印刷用紙の読み取ろうとする領域に対して白色光を照射する。受光部60bは、光源60aによって照射され、印刷用紙によって反射された光を受光して対応する電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)等によって構成される。走査部60cは、受光部60bを副走査方向に移動させる。
【0029】
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。図3は、図2に示す実施の形態において、例えば、メモリカード70に格納されている所定の画像データを印刷する際に実行される処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、印刷装置10のカードI/F20bに、例えば、図示せぬディジタルカメラによって撮影された画像データが格納されたメモリカード70が挿入され、操作ボタン30aまたはタッチパネル30bを操作することにより所定の画像データが選択されると、以下のステップが実行される。なお、以下の処理は、図2に示すメモリ20dに格納されているプログラム20d1が実行されることにより、ソフトウエアとしてのプログラム20d1と制御部20cを始めとするハードウエアとが協働することにより実現される。
【0030】
ステップS10:制御部20cは、例えば、操作ボタン30aが操作されて指定された所定の画像データをオリジナル(未加工)の画像データとして、メモリ20dに記憶する。なお、このオリジナル画像データは、後述する補正処理をキャンセルしてもとの画像に復元する際に使用される。
【0031】
ステップS11:制御部20cは、メモリ20dに記憶されているUI(User Interface)を表示するための描画データを取得し、入出力制御部20aを介してLCD40aに表示させる。すなわち、入出力制御部20aは、制御部20cから供給された描画データに基づいて描画処理を実行し、得られた画像を映像信号に変換してLCD40aに供給する。なお、ユーザインタフェースの詳細については図4を参照して後述する。
【0032】
ステップS12:制御部20cは、ユーザによって指定された画像データをメモリ20dから取得し、復号処理を施した後、LCD40aのサイズ(例えば、QVGA等)に応じて間引き処理を実行し、入出力制御部20aを介してLCD40aに表示させる。より具体的には、制御部20cは、例えば、JPEG圧縮が施されている画像データをメモリ20dから取得し、ハフマン解凍、逆量子化処理、逆DCT(Discrete Cosine Transform)処理、および、色変換(YCCからRGB/HSBへの変換)処理を施して復号する。そして、LCD40aの表示サイズに応じて、画像データの間引き処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換した後、入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。この結果、図4(A)に示すような情報がLCD40aに表示される。
【0033】
図4(A)に示す表示例では、LCD40aの表示部80内の上部には、画像によって構成されるボタン82〜90が表示された操作ボタン領域81が表示されている。また、その下には、処理の対象となる画像データに対応する画像91が表示されている。ここで、ボタン82は、人物の肌色を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン83は、例えば、空の青または海の青色を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン84は、例えば、植物または樹木の緑色を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン85は、人物をストロボを用いて撮影した際に生じる「赤目」を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン86は、直前で実行された補正処理をキャンセルして元の画像に戻す際に操作されるボタンである。ボタン87は、補正処理の終了した画像を印刷する際に(画像91として表示されている画像を印刷する際に)操作されるボタンである。ボタン88は、画像の明度を調整する場合に操作されるボタンである。ボタン89は、画像の彩度を調整する場合に操作されるボタンである。ボタン90は、オリジナル画像データ(ステップS10において記憶された画像データ)に戻って処理を実行する場合に操作されるボタンである。
【0034】
なお、LCD40aの表示面上にはタッチパネル30bが重畳して配置されている。このため、LCD40aに表示されたこれらのボタン82〜90を、例えば、タッチペンまたは指によって操作すると、タッチパネル30bは、操作された位置を示す情報を出力する。制御部20cは、この位置情報と、LCD40aに表示されている内容を示す情報とを比較することにより、ユーザによって指定された内容(例えば、ボタン82〜90の種類)を知ることができる。
【0035】
ステップS13:制御部20cは、図4(A)に示すボタン82〜90のいずれかが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS14に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。例えば、図4(B)に示すように、タッチペン100(またはユーザの指)によって、肌色を指定するボタン82が選択されたとすると、制御部20cは、操作がされたと判定してステップS14に進む。
【0036】
ステップS14:制御部20cは、ステップS13において操作されたと判定したボタンの種類を、例えば、メモリ20dに記憶する。いまの例では、ボタン82が操作されたので、ボタン82が操作されたことをメモリ20dに記憶する。
【0037】
ステップS15:制御部20cは、タッチペン100(またはユーザの指)によって、補正の対象が指定されたか否かを判定し、指定された場合にはステップS16に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。例えば、図4(B)に示すように、ユーザが、画像中の人物の肌色に対する補正を実行することを目的として、タッチペン100のペン先(またはユーザの指)により、画像91に存在する人物の顔の一部が押圧された場合、画像が指定されたと判定してステップS16に進む。
【0038】
ステップS16:制御部20cは、ステップS17に示す補正処理を実行する前の画像データをメモリ20dに記憶する。これは、ボタン86(戻す)が操作された場合に、直前の補正処理をキャンセルして元の画像に戻る際に使用するためである。
【0039】
ステップS17:画像処理部20eは、ステップS13で検出されたボタンの種類と、ステップS15で検出された補正対象とに応じた補正処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図5を参照して後述する。
【0040】
ステップS18:制御部20cは、ステップS17の処理によって補正処理が施された画像データを、LCD40aに表示する。具体的には、ステップS17において補正処理が施された画像データを、LCD40aのサイズに応じて間引き処理をし、得られた画像データを入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。その結果、図4に示す画像91が補正後の画像データに置換される。いまの例では、ボタン82が操作された後に、画像91の人物の顔の一部が指定されているので、人物の顔が肌色の記憶色に基づいて補正され、より人物の肌の色らしい色に補正がなされて表示されることになる。
【0041】
ステップS19:制御部20cは、補正をキャンセルして元に戻すためのボタン86が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS20に進み、それ以外の場合にはステップS21に進む。例えば、補正処理の結果をユーザが参照し、補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン86を操作するので、その場合にはステップS20に進む。
【0042】
ステップS20:制御部20cは、ステップS16において記憶された補正前画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図4に示す画像91が補正前画像に置換される。
【0043】
ステップS21:制御部20cは、オリジナルの画像に戻すためのボタン90が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS22に進み、それ以外の場合にはステップS23に進む。例えば、補正処理を何度か施したが、これらの補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン90を操作するので、その場合にはステップS22に進む。
【0044】
ステップS22:制御部20cは、ステップS10において記憶されたオリジナル画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図4に示す画像91がオリジナル画像に置換される。
【0045】
ステップS23:制御部20cは、補正処理が施された画像データの印刷を指示するためのボタン87が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS24に進み、それ以外の場合にはステップS13に戻って同様の処理を繰り返す。例えば、補正処理を施した後の画像をユーザが参照し、印刷を希望する場合には、ボタン87をタッチペン100またはユーザの指にて操作するので、その場合にはステップS24に進む。
【0046】
ステップS24:制御部20cは、補正処理が施された画像データを、メモリ20dから取得し、印刷処理を実行させる。具体的には、制御部20cは、補正処理が施された画像データをメモリ20dから取得し、画像処理部20eを介してバッファ20gに供給する。バッファ20gに供給された画像データは、プリンタ制御部20fに逐次読み出され、プリント機構50に逐次供給される。プリント機構50では、1走査ライン分の画像データをプリンタ制御部20fから取得し、記録ヘッドによって該当する色のインクを吐出して印刷用紙に記録する。この際、走査部50bが記録ヘッド50aを主走査方向に移動させるとともに、用紙搬送部50cが印刷用紙を副走査方向に移動させる。このような動作を繰り返すことにより、補正が施された画像データが印刷用紙に印刷される。
【0047】
つぎに、図5を参照して、図3のステップS17に示す画像補正処理の詳細について説明する。図5のフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0048】
ステップS30:制御部20cは、図3のステップS15において指定された補正対象となる領域の画素データをサンプリングする。すなわち、タッチペン100またはユーザの指によって指定された座標を中心とする所定の範囲に存在する画素データ(例えば、20画素分の画素データ)をサンプリングする。いまの例では、図4(B)において、人物の顔の一部が指定されているので、当該指定された位置を中心とした、例えば、20画素分の画素データがサンプリングされることになる。なお、これ以外の画素数であってもよいことはもちろんである。
【0049】
ステップS31:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が肌色に対応するボタン82を示すか否かを判定し、ボタン82が操作されたと判定した場合にはステップS32に進み、それ以外の場合にはステップS33に進む。
【0050】
ステップS32:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)肌色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、肌色が理想的な画像になる。
【0051】
より具体的には、画像処理部20eは、ステップS30のサンプリングによって得られた画素(肌色の画素(以下、「肌色画素」と称する))を用いて、HSB色空間における肌色画素の平均彩度Saと、肌色画素の平均色相Haとを算出する。
【0052】
つぎに、画像処理部20eは、算出された肌色画素の平均彩度Saと、平均色相Haと、予め設定されている補正基準明度Brとを用いて、補正基準明度Brにおける肌色画素のRGBそれぞれの平均色成分値Ra,Ga,Baを算出する。
【0053】
つぎに、画像処理部20eは、補正の目標値となる肌色画素目標値である肌色画素目標色相Ht、肌色画素目標彩度St、および、先述した補正基準明度Brを、RGB空間に変換し、RGBそれぞれの目標色成分値Rt,Gt,Btを求める。ここで、肌色画素目標色相Htおよび肌色画素目標彩度Stは、補正基準明度Brにおける目標値であり、画像サンプルの解析等によって経験的に求められた、いわば、人物の肌の色として好ましい肌色である。
【0054】
つづいて、画像処理部20eは、先に求めた、平均色成分値Ra,Ga,Baと、目標色成分値Rt,Gt,Btとの差分を求め、それぞれの色における補正量ΔR,ΔG,ΔBを以下の式から求める。
【0055】
ΔR=(Rt−Ra) ・・・(1a)
ΔG=(Gt−Ga) ・・・(1b)
ΔB=(Bt−Ba) ・・・(1c)
【0056】
そして、画像処理部20eは、式1a〜1cによって求められた補正量に基づいて、補正処理を実行する。具体的には、例えば、RGBのそれぞれのトーンカーブを、平均色成分値Ra,Ga,Baにおいて、ΔR,ΔG,ΔBだけ上側または下側にそれぞれ膨らむように調整し、これらのトーンカーブを用いて色の調整を行うようにすればよい。
【0057】
ステップS33:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が青色に対応するボタン83を示すか否かを判定し、ボタン83が操作されたと判定した場合にはステップS34に進み、それ以外の場合にはステップS35に進む。
【0058】
ステップS34:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)青色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、海または空の青色が理想的な色になるように補正される。なお、補正処理の方法は、前述した肌色の場合と略同じであり、肌色の記憶色の代わりに、青色の記憶色を利用して処理を行う。
【0059】
ステップS35:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が緑色に対応するボタン84であるか否かを判定し、ボタン84が操作されたと判定した場合にはステップS36に進み、それ以外の場合にはステップS37に進む。
【0060】
ステップS36:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)緑色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、植物または樹木の緑色が理想的な色になるように補正される。なお、補正処理の方法は、前述した肌色の場合と略同じであり、肌色の記憶色の代わりに、青色の記憶色を利用して処理を行う。
【0061】
ステップS37:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が赤目に対応するボタン85であるか否かを判定し、ボタン85が操作されたと判定した場合にはステップS38に進み、それ以外の場合にはステップS39に進む。
【0062】
ステップS38:画像処理部20eは、赤目に対する補正処理を実行する。具体的には、画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データと同一の色域に属する画素データの範囲を画像データから特定し、当該色の範囲が赤目の範囲であると判定する。すなわち、赤目の周辺にはもとの瞳の色(黒色)の範囲が存在するので、これらの色の境界を検出することにより、赤目の範囲を特定することができる。また、赤目を指定する際には、ボタン85が操作された後に、赤目の領域が2の整数倍だけ(1人分の赤目の整数倍だけ)指定されるので、指定されたそれぞれの領域に対して赤目補正処理を実行する。そして、赤目領域が特定されると、当該範囲に属する画素データを、通常の目の色(黒色)に変更する処理を実行する。
【0063】
ステップS39:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が「明度補正」に対応するボタン88であるか否かを判定し、ボタン88が操作されたと判定した場合にはステップS40に進み、それ以外の場合にはステップS41に進む。
【0064】
ステップS40:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データの明度が適切な範囲に収まるように、画像データ全体に対して明度の補正処理を施す。これにより、画像の明度が適切となるように補正される。具体的には、明度が低い場合には、サンプリングされた画像の明度に対応して原点側が上方に膨らんだガンマ曲線(低い階調値を高める曲線)によって明るさを増す補正を実行する。また、明度が高い場合には、逆に原点側が下方に膨らんだガンマ曲線によって明るさを減らす補正を行う。
【0065】
ステップS41:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が「彩度補正」に対応するボタン89であるか否かを判定し、ボタン89が操作されたと判定した場合にはステップS42に進み、それ以外の場合には元の処理に復帰(リターン)する。
【0066】
ステップS42:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データの彩度が適切な範囲に収まるように、画像データ全体に対して彩度の補正処理を施す。これにより、画像の彩度が適切となるように補正される。具体的には、彩度が低い場合には、画像全体の彩度を上げる補正を実行する。すなわち、HSB表色系において、S(彩度)を増加させる補正を行った後、RGB表色系に画像データを変換する。また、彩度が高い場合には、HSB表色系において、S(彩度)を減少させる補正を行った後、RGB表色系に画像データを変換する。
【0067】
ステップS43:制御部20cは、画像処理部20eによって補正処理が施された画像データをメモリ20dに格納する。そして、元の処理に復帰する。
【0068】
以上の処理によれば、補正対象と、被写体の種類または補正の種類を、LCD40aに表示された画像を参照しながらタッチパネル30bを操作することにより指定するようにしたので、補正処理を自動で実行する場合に比較して、処理を迅速に実行することができる。例えば、人物の肌色を補正する場合、従来は、顔認識処理によって人物の顔を画像データから特定し、特定された人物の肌の色に基づいて肌色の補正処理を実行していた。また、赤目処理では、赤目に対応する赤色の領域を画像データ全体の中から検索するとともに、当該赤色の領域の周辺に黒い色(瞳の通常の色)が存在するか否かを判定することにより、赤目であるか否かを判定し、赤目である場合には補正処理を実行していた。このため、処理時間を要するこれらの処理を省略することにより、画像データの印刷が指示されてから実際に印刷が実行されるまでの時間を短縮することができる。また、顔認識処理および赤目検出処理は、誤検出が発生する場合があるが、本実施の形態によれば、領域を指定するとともに、被写体の種類(または補正の種類)を指定することにより、誤検出を排除してユーザの意図する補正を実行することが可能になる。
【0069】
つぎに、図6を参照して、図2に示す実施の形態において実行される他の処理について説明する。図3の処理では、ボタン82〜85を設けて補正対象を指示するようにしたが、図6の処理では、これらのボタン82〜85は設けずに、制御部20cが自動的に補正内容を特定する処理を実行する。
【0070】
印刷装置10のカードI/F20bに、例えば、図示せぬディジタルカメラによって撮影された画像データが格納されたメモリカード70が挿入され、操作ボタン30aまたはタッチパネル30bを操作することにより所定の画像データが選択されると、以下のステップが実行される。なお、以下の処理は、図2に示すメモリ20dに格納されているプログラム20d1が実行されることにより、ソフトウエアとしてのプログラム20d1と制御部20cを始めとするハードウエアとが協働することにより実現される。
【0071】
ステップS50:制御部20cは、オリジナル画像データをメモリ20dに格納する。なお、オリジナル画像データを格納するのは、前述のように、補正処理をキャンセルしてオリジナルの(元の)画像に復元するためである。
【0072】
ステップS51:制御部20cは、ユーザインタフェース(UI)を表示するための描画データをメモリ20dから取得し、入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。
【0073】
ステップS52:制御部20cは、ユーザによって指定された画像データをメモリ20dから取得し、復号処理を施した後、LCD40aのサイズに応じて間引き処理を実行し、入出力制御部20aを介してLCD40aに表示させる。この結果、図7(A)に示すような情報がLCD40aに表示される。
【0074】
図7(A)に示す表示例では、LCD40aの表示部110内の上部には、画像によって構成されるボタン112〜116が表示された操作ボタン領域111が表示されている。また、その下には、処理の対象となる画像データに対応する画像117が表示されている。ここで、ボタン112は、画像全体の明るさを増加させる場合に操作されるボタンである。ボタン113は、画像全体の彩度を増加させる場合に操作されるボタンである。ボタン114は、直前で実行された補正処理をキャンセルして元の画像に戻す際に操作されるボタンである。ボタン115は、オリジナル画像データ(ステップS50において記憶された画像データ)に戻って処理を実行する場合に操作されるボタンである。ボタン116は、補正処理の終了した画像を印刷する際に(画像117として表示されている画像を印刷する際に)操作されるボタンである。
【0075】
なお、LCD40aの表示面上にはタッチパネル30bが重畳して配置され、LCD40aに表示されたこれらのボタン112〜115を操作することにより、タッチパネル30bから位置を示す情報が出力され、制御部20cが位置情報から操作されたボタンの種類を特定するのは前述した場合と同様である。
【0076】
ステップS53:制御部20cは、「もっと明るく」に対応するボタン112をユーザが操作したか否かを判定し、操作したと判定した場合にはステップS54に進み、それ以外の場合にはステップS55に進む。
【0077】
ステップS54:画像処理部20eは、前述した図5のステップS40と同様に、画像データの明るさを増加する処理を実行する。
【0078】
ステップS55:制御部20cは、「もっと鮮やか」に対応するボタン113をユーザが操作したか否かを判定し、操作したと判定した場合にはステップS56に進み、それ以外の場合にはステップS57に進む。
【0079】
ステップS56:画像処理部20eは、前述した図5のステップS42と同様に、画像データの彩度を増加する処理を実行する。
【0080】
ステップS57:制御部20cは、タッチペン100(またはユーザの指)によって、補正の対象が指定されたか否かを判定し、指定された場合にはステップS58に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。例えば、図7(B)に示すように、タッチペン100(またはユーザの指)によって、画像117に存在する樹木の一部が指定された場合には、補正対象が指定されたと判定してステップS58に進む。
【0081】
ステップS58:制御部20cは、ステップS59に示す補正処理を実行する前の画像データをメモリ20dに記憶する。これは、ボタン114(戻す)が操作された場合に、直前の補正処理をキャンセルしてもとの画像に戻る際に使用するためである。
【0082】
ステップS59:画像処理部20eは、ステップS57で検出された補正対象に応じた補正処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図8を参照して後述する。
【0083】
ステップS60:制御部20cは、ステップS59の処理によって補正処理が施された画像データを、LCD40aに表示する。具体的には、ステップS59において補正処理が施された画像データを、LCD40aのサイズに応じて間引き処理をし、得られた画像データを入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。その結果、図7(B)に示す画像117が補正後の画像データに置換される。いまの例では、画像117の樹木の一部が指定されているので、樹木の緑色が記憶色に基づいて補正され、より樹木の緑色らしい色に補正がなされて表示されることになる。
【0084】
ステップS61:制御部20cは、補正をキャンセルして元に戻すためのボタン114が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS62に進み、それ以外の場合にはステップS63に進む。例えば、補正処理の結果をユーザが閲覧し、補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン114を操作するので、その場合にはステップS62に進む。
【0085】
ステップS62:制御部20cは、ステップS58において記憶された補正前画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図7に示す画像117が補正前画像に置換される。
【0086】
ステップS63:制御部20cは、オリジナルの画像に戻すためのボタン115が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS64に進み、それ以外の場合にはステップS65に進む。例えば、補正処理を何度か施したが、これらの補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン115を操作するので、その場合にはステップS64に進む。
【0087】
ステップS64:制御部20cは、ステップS50において記憶されたオリジナル画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図7に示す画像117がオリジナル画像に置換される。
【0088】
ステップS65:制御部20cは、補正処理が施された画像データの印刷を指示するためのボタン116が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS66に進み、それ以外の場合にはステップS53に戻って同様の処理を繰り返す。例えば、補正処理を施した後の画像をユーザが参照し、印刷を希望する場合には、ボタン116をタッチペン100またはユーザの指にて操作するので、その場合にはステップS66に進む。
【0089】
ステップS66:制御部20cは、補正処理が施された画像データを、メモリ20dから取得し、印刷処理を実行させる。なお、印刷処理の詳細は、図3のステップS24の場合と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0090】
つぎに、図8を参照して、図6のステップS59に示す画像補正処理の詳細について説明する。図8に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0091】
ステップS70:制御部20cは、図6のステップS57において指定された補正対象となる領域の画素データをサンプリングする。すなわち、タッチペン100またはユーザの指によって指定された座標を中心とする所定の範囲に存在する画素データ(例えば、20画素分の画素データ)をサンプリングする。いまの例では、図7(B)において、樹木の一部が指定されているので、当該指定された位置を中心とした、例えば、20画素分の画素データがサンプリングされることになる。
【0092】
ステップS71:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が人間の肌の色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS72に進み、それ以外の場合にはステップS73に進む。
【0093】
ステップS72:画像処理部20eは、ステップS70においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)肌色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、肌色が理想的な画像になる。なお、処理の詳細は、図5のステップS32と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0094】
ステップS73:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、海または空の青色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS74に進み、それ以外の場合にはステップS75に進む。
【0095】
ステップS74:画像処理部20eは、ステップS70においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)青色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、海または空の青色が理想的な色になるように補正される。
【0096】
ステップS75:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、植物または樹木の緑色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS76に進み、それ以外の場合にはステップS77に進む。
【0097】
ステップS76:画像処理部20eは、ステップS70においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)緑色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、植物または樹木の緑色が理想的な色になるように補正される。
【0098】
ステップS77:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、赤目特有の色域に属するか否かを判定する。その結果、赤目の色域に属すると判定した場合には、ステップS78に進み、それ以外の場合には元の処理に復帰(リターン)する。
【0099】
ステップS78:制御部20cは、ステップS77で赤目の色域に属すると判定された画素の周囲に存在する画素が黒色(瞳の通常の色)であるか否かを判定する。すなわち、赤目現象が生じた場合であっても赤目の周辺の瞳の色は変化しない(黒色である)ため、赤目の色域に属する画素の周囲に黒色の画素が存在することをチェックすることで、赤目であることを確認できるからである。
【0100】
ステップS79:画像処理部20eは、赤目の色域に属する画素を黒色に変換する処理を実行する。これにより、赤目現象を軽減することができる。
【0101】
ステップS80:制御部20cは、補正処理が完了した画像データを画像処理部20eから取得し、メモリ20dに格納する。そして、もとの処理に復帰する。
【0102】
以上の処理によれば、LCD40aに表示された画像を参照しながら、タッチパネル30bにおいて補正対象を指示するようにしたので、従来のように補正対象を自動的に検出する場合に比較して、誤検出の発生を防止することができる。また、タッチパネル30bによって補正箇所を指示することにより、補正対象を簡易に指定することができる。さらに、タッチパネル30bにおいて指定された部分の画素データから被写体の種類(または、補正の種類)を制御部20cが自動的に特定するようにしたので、図3に示す処理に比較して、ユーザの操作を簡易化することができる。
【0103】
なお、以上の処理では、「もっと明るく」に対応するボタン112または「もっと鮮やか」に対応するボタン113が操作された場合には、画像全体の明度または彩度が増加するように補正するようにした。しかしながら、例えば、これらのボタンが操作された後に、画像の所定の領域が指定された場合には、指定された領域の画素データをサンプリングし、サンプリング結果に基づいて画像データの明度または彩度が適切になるようにしてもよい。
【0104】
つぎに、図9を参照して、図2に示す実施の形態において実行される更に他の処理について説明する。図3および図6の処理では、タッチパネル30bを操作して補正対象または補正内容を指示するようにしたが、図9の処理では、補正対象となる画像を含むオーダシートをプリント機構50によって印刷し、当該オーダシート上において補正対象を指定することにより、補正対象を特定して、補正処理を実行する。なお、図9に示す実施の形態では、印刷装置10がタッチパネル30bは必ずしも具備している必要はない。
【0105】
印刷装置10のカードI/F20bに、例えば、図示せぬディジタルカメラによって撮影された画像データが格納されたメモリカード70が挿入され、操作ボタン30aを操作することにより所定の画像データが選択されると、以下のステップが実行される。なお、以下の処理は、図2に示すメモリ20dに格納されているプログラム20d1が実行されることにより、ソフトウエアとしてのプログラム20d1と制御部20cを始めとするハードウエアとが協働することにより実現される。
【0106】
ステップS90:制御部20cは、オリジナル画像データをメモリ20dに格納する。なお、オリジナル画像データを格納するのは、前述のように、補正処理をキャンセルしてオリジナルの(元の)画像に復元するためである。
【0107】
ステップS91:制御部20cは、オーダシートを印刷するための情報をメモリ20dから取得し、指定された画像データを合成して、画像処理部20eおよびバッファ20gを介して、プリンタ制御部20fに供給する。なお、画像データは、ユーザによって指示されたマーカの位置が明確になるように、例えば、青色の薄い濃淡画像に変換する。プリンタ制御部20fは、オーダシートを印刷するための画像と青色の薄い濃淡画像とが合成された画像をプリント機構50を制御して印刷する。その結果、例えば、図10(A)に示すようなオーダシートが得られる。
【0108】
図10(A)の例では、オーダシート120には、チェックボックス122,123が印刷されたチェックボックス領域121が印刷されている。また、その下には、処理の対象となる画像データに対応する薄い青色の濃淡画像124が表示されている。ここで、チェックボックス122は、画像全体の明るさを増加させる場合にチェックされる。チェックボックス123は、画像全体の彩度を増加させる場合にチェックされる。
【0109】
ユーザは、図10(A)のオーダシート120に対して、筆記具(例えば、鉛筆、ボールペン、サインペン等)によって、所望のチェックボックスをチェックするとともに、補正対象となる被写体に印をつける。具体的には、図10(B)に示すように、「もっと明るく」に対応するチェックボックス122にチェックするとともに、補正対象となる被写体である樹木に印130をつける。その結果、画像データ全体を明るくする補正が行われるとともに、樹木の緑色に対する記憶色補正がなされる。
【0110】
ステップS92:ユーザが、図10(B)に示すオーダシート120を、スキャン機構60にセットし、操作ボタン30aを操作すると、制御部20cは、スキャナ制御部20hに指令を送り、オーダシート120を読み込む。すなわち、制御部20cからの指令を受けたスキャナ制御部20hは、光源60aを点灯する。光源60aから射出された光はオーダシート120に照射され、オーダシート120に印刷または記入された情報に応じて反射されて受光部60bに入射される。受光部60bは、入射された光をその強弱に応じた電気信号に変換して出力する。なお、このとき、走査部60cは、受光部60bを副走査方向(走査部60cの長手方向に直交する方向)に移動させる。そして、受光部60bから出力された画像信号は、A/D(Analog to Digital)変換され、画像データとして制御部20cに供給される。
【0111】
ステップS93:制御部20cは、ステップS91で読み込んだ画像データと、オーダシート120の各項目の配置状況を示す情報とを比較し、「もっと明るく」に対応するチェックボックス122がチェックされているか否かを判定する。具体的には、読み込んだ画像データ中において、チェックボックス122に該当する領域に、色の濃淡が存在するか否か(印が記入されているか否か)を判定する。その結果、色の濃淡が存在している場合には、チェックがされていると判定してステップS94に進む。なお、それ以外の場合にはステップS95に進む。
【0112】
ステップS94:画像処理部20eは、画像データ全体の明度を上げる補正を行う。なお、この処理は、図5のステップS40の場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0113】
ステップS95:制御部20cは、ステップS92で読み込んだ画像データと、オーダシート120の各項目の配置状況を示す情報とを比較し、「もっと鮮やか」に対応するチェックボックス123がチェックされているか否かを判定する。なお、具体的な判定方法は、ステップS93の場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0114】
ステップS96:画像処理部20eは、画像データ全体の彩度を上げる補正を行う。なお、この処理は、図5のステップS42の場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0115】
ステップS97:制御部20cは、ステップS92で読み込んだオーダシート120に含まれている画像データ中に、ユーザが記した印が記入されているか否かを判定し、印が記入されている場合にはステップS98に進み、それ以外の場合にはステップS90に戻って同様の処理を繰り返す。具体的には、図10に示す画像124は、青色の薄い濃淡画像として印刷されている。受光部60bの青色に対する感度は、他の色に比較して低く、また、薄い濃淡画像として印刷されていることから、画像124自体は受光部60bには画像としては検出されにくい。このため、ユーザが記入した印130がスキャンされた画像中に際立って現出する。したがって、制御部20cは、画像データから印130を容易に検出することができる。なお、画像124は青色であるので、画像データから青色(B)の成分を除くことにより、印130を容易に検出することができる。
【0116】
ステップS98:制御部20cは、ステップS99に示す補正処理を実行する前の画像データをメモリ20dに記憶する。これは、所定の操作ボタン30aが操作されて、元の画像に戻すことが指示された場合に、直前の補正処理をキャンセルして元の画像に戻る際に使用するためである。
【0117】
ステップS99:画像処理部20eは、ステップS97で検出された補正対象に応じた補正処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図11を参照して後述する。
【0118】
ステップS100:制御部20cは、ステップS99の処理によって補正処理が施された画像データを、LCD40aに表示する。具体的には、ステップS99において補正処理が施された画像データを、LCD40aのサイズに応じて間引き処理をし、得られた画像データを入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。いまの例では、画像124の樹木の一部が指定されているので、樹木の緑色が記憶色に基づいて補正され、より樹木の緑色らしい色に補正がなされて表示されることになる。
【0119】
ステップS101:制御部20cは、補正をキャンセルして元に戻すための所定の操作ボタン30aが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS102に進み、それ以外の場合にはステップS103に進む。例えば、補正処理の結果をユーザが閲覧し、補正が好ましくないと判定した場合には、所定の操作ボタン30aを操作するので、その場合にはステップS102に進む。
【0120】
ステップS102:制御部20cは、ステップS98において記憶された補正前画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。
【0121】
ステップS103:制御部20cは、オリジナルの画像に戻すための所定の操作ボタン30aが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS104に進み、それ以外の場合にはステップS105に進む。例えば、補正処理を何度か施したが、これらの補正が好ましくないと判定した場合には、所定の操作ボタン30aを操作するので、その場合にはステップS104に進む。
【0122】
ステップS104:制御部20cは、ステップS90において記憶されたオリジナル画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。
【0123】
ステップS105:制御部20cは、補正処理が施された画像データの印刷を指示するための所定の操作ボタン30aが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS106に進み、それ以外の場合にはステップS90に戻って同様の処理を繰り返す。例えば、補正処理を施した後の画像をユーザが参照し、印刷を希望する場合には、所定の操作ボタン30aを操作するので、その場合にはステップS106に進む。
【0124】
ステップS106:制御部20cは、補正処理が施された画像データを、メモリ20dから取得し、印刷処理を実行させる。なお、印刷処理の詳細は、図3のステップS24の場合と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0125】
つぎに、図11を参照して、図9のステップS99に示す画像補正処理の詳細について説明する。図11に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0126】
ステップS120:制御部20cは、図9のステップS97において検出された、補正対象となる領域の画素データをサンプリングする。すなわち、オーダシート120において、ユーザが印130を付けた座標を中心とする所定の範囲に存在する画素データ(例えば、20画素分の画素データ)をサンプリングする。いまの例では、図10(B)において、樹木の一部に印130が付けられているので、当該指定された位置を中心とした、例えば、20画素分の画素データがサンプリングされることになる。
【0127】
ステップS121:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が人間の肌の色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS122に進み、それ以外の場合にはステップS123に進む。
【0128】
ステップS122:画像処理部20eは、ステップS120においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)肌色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、肌色が理想的な画像になる。
【0129】
ステップS123:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、海または空の青色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS124に進み、それ以外の場合にはステップS125に進む。
【0130】
ステップS124:画像処理部20eは、ステップS120においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)青色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、海または空の青色が理想的な色になるように補正される。
【0131】
ステップS125:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、植物または樹木の緑色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS126に進み、それ以外の場合にはステップS127に進む。
【0132】
ステップS126:画像処理部20eは、ステップS120においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)緑色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、植物または樹木の緑色が理想的な色になるように補正される。
【0133】
ステップS127:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、赤目特有の色域に属するか否かを判定する。その結果、赤目の色域に属すると判定した場合には、ステップS128に進み、それ以外の場合には元の処理に復帰(リターン)する。
【0134】
ステップS128:制御部20cは、ステップS127で赤目の色域に属すると判定された画素の周囲に存在する画素が黒色(瞳の通常の色)であるか否かを判定する。すなわち、赤目現象が生じた場合であっても赤目の周辺の瞳の色は変化しない(黒色である)ため、赤目の色域に属する画素の周囲に黒色の画素が存在することをチェックすることで、赤目であることを確認できるからである。
【0135】
ステップS129:画像処理部20eは、赤目の色域に属する画素を黒色に変換する処理を実行する。これにより、赤目現象を軽減することができる。
【0136】
ステップS130:制御部20cは、補正処理が完了した画像データを画像処理部20eから取得し、メモリ20dに格納する。そして、もとの処理に復帰する。
【0137】
以上の処理によれば、オーダシート120に印刷された画像を参照し、筆記具等により補正対象を指示するようにしたので、補正対象を自動的に検出する場合に比較して、誤検出の発生を防止することができる。また、オーダシート120によって補正箇所を指示することにより、補正対象を簡易に指定することができる。さらに、オーダシート120において指定された部分の画素データから被写体の種類(または、補正の種類)を制御部20cが自動的に特定するようにしたので、ユーザの操作を簡易化することができる。
【0138】
なお、以上の実施の形態では、「もっと明るく」に対応するチェックボックス122、または、「もっと鮮やか」に対応するチェックボックス123がチェックされた場合には、画像全体の明度または彩度を増加するように補正した。しかしながら、これらのチェックボックスをチェックするとともに、画像データに印が付けられた場合には、当該印の領域から画素データをサンプリングし、サンプリングした画素データが適切な明度または彩度となるように補正処理を実行するようにしてもよい。なお、その場合には、印とチェックボックスとの対応付けが必要になるが、例えば、1度にチェックできるチェックボックスと印は1つとするようにすればよい。これにより2つのチェックボックスが同時にチェックされ、印が2つ付加された場合に、どちらの印に基づいてどの補正(明度または彩度)を行うかが判然としないという事態を回避できる。なお、これ以外にも、例えば、チェックボックス122,123を設けずに、印刷装置10に記号または図形の認識手段を設け、丸の印は明度を示し、三角の印は彩度を示すこととし、認識手段が丸の印を検出した場合には当該領域をサンプリングしてその画素データに基づいて明度を補正し、丸の印を検出した場合には同様にして彩度を補正するようにしてもよい。
【0139】
なお、以上の実施の形態は、一例であって、これ以外にも種々の変形実施態様が存在する。例えば、以上の実施の形態では、メモリカード70をカードI/F20bに挿入して画像データを読み出すようにしたが、例えば、図示せぬディジタルカメラを、同じく図示せぬケーブルによって入出力制御部20aに接続し、当該ケーブルを介して画像データを読み出すようにしてもよい。
【0140】
また、以上の実施の形態では、複合型の印刷装置を例に挙げて説明を行ったが通常の印刷装置(パーソナルコンピュータと接続して使用するタイプの印刷装置)に対して本発明を適用することができる。また、複合型ではない通常のスタンドアロン型の印刷装置に対して本発明を適用することも可能である。
【0141】
また、以上の実施の形態では、図3,4,5,7,8,10に示す処理を、印刷装置10において実行するようにしたが、例えば、印刷装置10に接続されているホストコンピュータにおいて実行することも可能である。
【0142】
また、図4および図10に示す実施の形態では、赤目または人物の顔が指定された場合には、赤目処理または肌色補正処理を単独で実行するようにしたが、例えば、赤目が指定された場合には、赤目補正処理のみならず肌色補正処理も併せて実行するようにしてもよい。逆に、顔が指定された場合には、肌色補正処理のみならず、赤目補正処理も併せて実行するようにしてもよい。このような方法によれば、ユーザの操作性を向上することができる。
【0143】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、画像処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disk ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0144】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0145】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の外観の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成例を示す図である。
【図3】図2に示す印刷装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】図2に示す印刷装置のLCDに表示される情報の一例である。
【図5】図3に示す画像補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図2に示す印刷装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】図2に示す印刷装置のLCDに表示される情報の一例である。
【図8】図6に示す画像補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図2に示す印刷装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】図2に示す印刷装置によって印刷されるオーダシートの一例である。
【図11】図9に示す画像補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
10 印刷装置、20c 制御部(取得手段、特定手段、印刷選択手段)、20e 画像処理部(補正手段)、30b タッチパネル(指定受付手段、指示受付手段)、40a LCD(表示手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多機能プリンタにて印刷用インデックスシートを印刷し、所定の画像を印刷用インデックスシートで指定してスキャナで読み込むことにより、所望の画像を簡易に印刷または削除することが可能な技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−255729号公報(要約書、請求項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示される技術では、画像の印刷および削除については簡易に実行できるが、画像を印刷する際に補正処理を実行する際には、ユーザが別途マニュアル操作によって指定する必要があるため、操作が煩雑であるという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および、画像処理プログラムを提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の画像処理装置は、画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段と、指定受付手段によって指定された領域に含まれている画素データを取得する取得手段と、取得手段によって取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段と、特定手段によって特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す補正手段と、を有する。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0007】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、補正手段により、画像データに補正を施した画像を表示部に表示する表示手段と、表示部に表示された画像データを参照しながら、印刷するか否かを選択できる印刷選択手段と、をさらに有する。これにより、補正が終了した画像を参照し、必要であれば印刷を行うことができる。
【0008】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、指定受付手段は表示部を有し、表示部に接触することにより、処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付けるようにしている。このため、表示された画像を参照しながら、表示部に接触することにより、あたかも直接指示するように画像の領域の一部を指定することが可能になる。
【0009】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、指定受付手段が、印刷用紙に印刷され、処理対象を指定する印が付された画像を光学的に読み込んで、印を検出することにより、処理対象となる画像の一部の領域の指定を受けるようにしている。このため、処理対象となる画像の領域の一部を確実に指定することが可能になる。
【0010】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、特定手段が、取得手段によって取得された画素データの属する色域に基づいて、指定された領域の画像の種類または補正の種類を判定し、補正手段が、特定手段によって特定された指定された領域の画像の種類または補正の種類に応じた記憶色補正を実行する、ようにしている。このため、画像処理装置が画像の種類または補正の種類を自動的に判定するので、ユーザの操作を簡便化することが可能になる。
【0011】
また、他の発明の画像処理装置は、上述の発明に加えて、指定された領域の画像の種類または補正の種類の指示を受け付ける指示受付手段をさらに有し、特定手段が、指示受付手段による指示内容に応じて、指定された領域の画像の種類または補正の種類を特定するようにしている。このため、画像の種類または補正の種類をユーザに直接指示させるので、意図せぬ補正処理が実行されることを確実に防止できる。
【0012】
また、本発明の印刷装置は、前述した画像処理装置を有している。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な印刷装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明の画像処理方法は、画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付け、指定された領域の画像に含まれている画素データを取得し、取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定し、特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す、ようにしている。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理方法を提供することができる。
【0014】
また、本発明の画像処理プログラムは、コンピュータを、画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段、指定受付手段によって指定された領域の画像に含まれている画素データを取得する取得手段、取得手段によって取得された画素データを参照し、指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段、特定手段によって特定された領域の画像の種類または補正の種類に応じて、画像データに対して補正処理を施す補正手段、として機能させる。このため、画像データを印刷する際に補正対象および補正内容を簡易に指定することが可能な画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置を有する印刷装置10の構成例を示す外観図である。この図1に示すように、印刷装置10は、スキャナ装置、印刷装置、および、コピー装置が一体となったいわゆる複合型の印刷装置である。ここで、印刷装置10は、装置全体を覆うケース11と、印刷用紙を供給する給紙装置(不図示)と、原稿が載置される透明なコンタクトガラス13およびキャリッジ14等を有するスキャナ装置と、印刷用紙に対して印刷を行う印刷部(不図示)とを備える。なお、本発明の画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および、画像処理プログラムについては印刷装置10の動作として説明する。
【0017】
ケース11は、略四角形状の箱体であり、その上部には開閉自在の蓋12が設けられている。蓋12を開けると、原稿が載置されるコンタクトガラス13が現れる。コンタクトガラス13の内側には、後述するイメージセンサが設けられたキャリッジ14が存在する。キャリッジ14を副走査方向(図中矢印で示す方向)に移動させることにより、原稿に印刷されている情報を画像データとして読み取る。なお、スキャナ装置は、イメージセンサが副走査方向に移動しながら固定された原稿を読み取る、いわゆるフラットベットタイプ(原稿固定型)のスキャナである。
【0018】
ケース11の前面中央部には、LCD(Liquid Crystal Display)40aが配置され、その上に重畳するようにタッチパネル30bが配置されている。また、その周辺には各種操作ボタン30aが配置されている。LCD40aには、印刷装置10のメニュー、動作内容、動作状況、エラー内容などが表示され、操作ボタン16は、印刷装置10のメニュー選択等を行う時に押されるようになっている。
【0019】
ケース11は、前面下部に、排出口17を備え、印刷された印刷用紙が排出されるようになっている。また、ケース11の前面右側中央部には、カードスロット18が設けられており、例えば、図示せぬディジタルカメラなどによって撮影された画像データを記録するメモリカード70が、取り外し自在に収納されるようになっている。なお、この例では、カードスロット18には蓋部18aが設けられており、メモリカード70を挿入する場合には、当該蓋部18aを開閉する。メモリカード70には、例えば、非可逆圧縮方式としてのJPEG形式または可逆圧縮方式としてのTIFF形式によって圧縮された画像データが格納されている。
【0020】
図示せぬ給紙装置は、ケース11の背面側に設けられており、印刷用紙をストックするとともに、必要に応じて印刷装置10の内部に一枚ずつ供給する。
【0021】
図2は、印刷装置10の電気的な構成例を示すブロック図である。この図に示すように、印刷装置10は、メイン制御部20、情報入力部30、情報出力部40、プリント機構50、および、スキャン機構60を主要な構成要素としている。
【0022】
ここで、メイン制御部20は、入出力制御部20a、カードI/F(Interface)20b、制御部20c、メモリ20d、画像処理部20e、プリンタ制御部20f、バッファ20g、および、スキャナ制御部20hを主要な構成要素としており、情報入力部30から入力された情報に基づいて、情報出力部40、プリント機構50、および、スキャン機構60等を制御する。
【0023】
なお、入出力制御部20aは、情報入力部30および情報出力部40との間で情報を授受する際にデータの表現形式を適宜変換するインタフェースである。カードI/F20bは、メモリカード70が挿入された場合には、メモリカード70から画像データを読み出したり、画像データを書き込んだりする処理を実行する。
【0024】
取得手段、特定手段、および、印刷選択手段としての制御部20cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、メモリ20dに記憶されているプログラム20d1に基づいて装置の各部を制御する。補正手段としての画像処理部20eは、制御部20cから供給された画像データに対して、補正処理を施す。プリンタ制御部20fは、プリント機構50を制御し、例えば、画像データを印刷用紙に印刷する。バッファ20gは、画像処理部20eによって画像処理が施された画像データを一時的に格納するとともに、スキャナ制御部20hから入力された画像データを一時的に格納する。スキャナ制御部20hは、スキャン機構60を制御し、印刷用紙に印刷された画像データを読み込む処理を実行する。
【0025】
情報入力部30は、操作ボタン30aおよびタッチパネル30bを主要な構成要素とし、ユーザの操作に基づく情報を生成して出力する。ここで、操作ボタン30aは、操作パネル等に配置されたボタンであり、ユーザの操作に応じた情報を生成して出力する。指定受付手段および指示受付手段としてのタッチパネル30bは、LCD40aに重畳するように配置され、LCD40aに表示された情報に基づいて、タッチパネル30bを操作することにより、操作された位置に対応する位置情報が出力される。
【0026】
情報出力部40は、LCD40aおよびランプ40bを主要な構成要素とし、ユーザに提示する情報を出力する。ここで、表示手段としてのLCD40aは、前述したようにタッチパネル30bと重畳されており、制御部20cから供給された画像データを表示する。ランプ40bは、操作パネル等に配置されており、制御部20cの制御に応じて点灯/消灯することにより、所定の情報をユーザに示す。
【0027】
プリント機構50は、記録ヘッド50a、走査部50b、および、用紙搬送部50cを主要な構成要素としており、制御部20cから供給された画像データを、印刷用紙に印刷する。ここで、記録ヘッド50aは、例えば、CMYKに対応する各色のインクを複数のノズルから適宜吐出し、印刷用紙に対応する画像を印刷する。走査部50bは、記録ヘッド50aを主走査方向に移動させる。用紙搬送部50cは、印刷用紙を副走査方向に移動させる。
【0028】
スキャン機構60は、光源60a、受光部60b、および、走査部60cを主要な構成要素としており、印刷用紙に印刷された画像を光学的に読み取って、対応する画像データを生成して出力する。ここで、光源60aは、例えば、冷陰極管によって構成され、印刷用紙の読み取ろうとする領域に対して白色光を照射する。受光部60bは、光源60aによって照射され、印刷用紙によって反射された光を受光して対応する電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)等によって構成される。走査部60cは、受光部60bを副走査方向に移動させる。
【0029】
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。図3は、図2に示す実施の形態において、例えば、メモリカード70に格納されている所定の画像データを印刷する際に実行される処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、印刷装置10のカードI/F20bに、例えば、図示せぬディジタルカメラによって撮影された画像データが格納されたメモリカード70が挿入され、操作ボタン30aまたはタッチパネル30bを操作することにより所定の画像データが選択されると、以下のステップが実行される。なお、以下の処理は、図2に示すメモリ20dに格納されているプログラム20d1が実行されることにより、ソフトウエアとしてのプログラム20d1と制御部20cを始めとするハードウエアとが協働することにより実現される。
【0030】
ステップS10:制御部20cは、例えば、操作ボタン30aが操作されて指定された所定の画像データをオリジナル(未加工)の画像データとして、メモリ20dに記憶する。なお、このオリジナル画像データは、後述する補正処理をキャンセルしてもとの画像に復元する際に使用される。
【0031】
ステップS11:制御部20cは、メモリ20dに記憶されているUI(User Interface)を表示するための描画データを取得し、入出力制御部20aを介してLCD40aに表示させる。すなわち、入出力制御部20aは、制御部20cから供給された描画データに基づいて描画処理を実行し、得られた画像を映像信号に変換してLCD40aに供給する。なお、ユーザインタフェースの詳細については図4を参照して後述する。
【0032】
ステップS12:制御部20cは、ユーザによって指定された画像データをメモリ20dから取得し、復号処理を施した後、LCD40aのサイズ(例えば、QVGA等)に応じて間引き処理を実行し、入出力制御部20aを介してLCD40aに表示させる。より具体的には、制御部20cは、例えば、JPEG圧縮が施されている画像データをメモリ20dから取得し、ハフマン解凍、逆量子化処理、逆DCT(Discrete Cosine Transform)処理、および、色変換(YCCからRGB/HSBへの変換)処理を施して復号する。そして、LCD40aの表示サイズに応じて、画像データの間引き処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換した後、入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。この結果、図4(A)に示すような情報がLCD40aに表示される。
【0033】
図4(A)に示す表示例では、LCD40aの表示部80内の上部には、画像によって構成されるボタン82〜90が表示された操作ボタン領域81が表示されている。また、その下には、処理の対象となる画像データに対応する画像91が表示されている。ここで、ボタン82は、人物の肌色を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン83は、例えば、空の青または海の青色を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン84は、例えば、植物または樹木の緑色を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン85は、人物をストロボを用いて撮影した際に生じる「赤目」を補正の対象とする際に操作されるボタンである。ボタン86は、直前で実行された補正処理をキャンセルして元の画像に戻す際に操作されるボタンである。ボタン87は、補正処理の終了した画像を印刷する際に(画像91として表示されている画像を印刷する際に)操作されるボタンである。ボタン88は、画像の明度を調整する場合に操作されるボタンである。ボタン89は、画像の彩度を調整する場合に操作されるボタンである。ボタン90は、オリジナル画像データ(ステップS10において記憶された画像データ)に戻って処理を実行する場合に操作されるボタンである。
【0034】
なお、LCD40aの表示面上にはタッチパネル30bが重畳して配置されている。このため、LCD40aに表示されたこれらのボタン82〜90を、例えば、タッチペンまたは指によって操作すると、タッチパネル30bは、操作された位置を示す情報を出力する。制御部20cは、この位置情報と、LCD40aに表示されている内容を示す情報とを比較することにより、ユーザによって指定された内容(例えば、ボタン82〜90の種類)を知ることができる。
【0035】
ステップS13:制御部20cは、図4(A)に示すボタン82〜90のいずれかが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS14に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。例えば、図4(B)に示すように、タッチペン100(またはユーザの指)によって、肌色を指定するボタン82が選択されたとすると、制御部20cは、操作がされたと判定してステップS14に進む。
【0036】
ステップS14:制御部20cは、ステップS13において操作されたと判定したボタンの種類を、例えば、メモリ20dに記憶する。いまの例では、ボタン82が操作されたので、ボタン82が操作されたことをメモリ20dに記憶する。
【0037】
ステップS15:制御部20cは、タッチペン100(またはユーザの指)によって、補正の対象が指定されたか否かを判定し、指定された場合にはステップS16に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。例えば、図4(B)に示すように、ユーザが、画像中の人物の肌色に対する補正を実行することを目的として、タッチペン100のペン先(またはユーザの指)により、画像91に存在する人物の顔の一部が押圧された場合、画像が指定されたと判定してステップS16に進む。
【0038】
ステップS16:制御部20cは、ステップS17に示す補正処理を実行する前の画像データをメモリ20dに記憶する。これは、ボタン86(戻す)が操作された場合に、直前の補正処理をキャンセルして元の画像に戻る際に使用するためである。
【0039】
ステップS17:画像処理部20eは、ステップS13で検出されたボタンの種類と、ステップS15で検出された補正対象とに応じた補正処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図5を参照して後述する。
【0040】
ステップS18:制御部20cは、ステップS17の処理によって補正処理が施された画像データを、LCD40aに表示する。具体的には、ステップS17において補正処理が施された画像データを、LCD40aのサイズに応じて間引き処理をし、得られた画像データを入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。その結果、図4に示す画像91が補正後の画像データに置換される。いまの例では、ボタン82が操作された後に、画像91の人物の顔の一部が指定されているので、人物の顔が肌色の記憶色に基づいて補正され、より人物の肌の色らしい色に補正がなされて表示されることになる。
【0041】
ステップS19:制御部20cは、補正をキャンセルして元に戻すためのボタン86が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS20に進み、それ以外の場合にはステップS21に進む。例えば、補正処理の結果をユーザが参照し、補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン86を操作するので、その場合にはステップS20に進む。
【0042】
ステップS20:制御部20cは、ステップS16において記憶された補正前画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図4に示す画像91が補正前画像に置換される。
【0043】
ステップS21:制御部20cは、オリジナルの画像に戻すためのボタン90が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS22に進み、それ以外の場合にはステップS23に進む。例えば、補正処理を何度か施したが、これらの補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン90を操作するので、その場合にはステップS22に進む。
【0044】
ステップS22:制御部20cは、ステップS10において記憶されたオリジナル画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図4に示す画像91がオリジナル画像に置換される。
【0045】
ステップS23:制御部20cは、補正処理が施された画像データの印刷を指示するためのボタン87が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS24に進み、それ以外の場合にはステップS13に戻って同様の処理を繰り返す。例えば、補正処理を施した後の画像をユーザが参照し、印刷を希望する場合には、ボタン87をタッチペン100またはユーザの指にて操作するので、その場合にはステップS24に進む。
【0046】
ステップS24:制御部20cは、補正処理が施された画像データを、メモリ20dから取得し、印刷処理を実行させる。具体的には、制御部20cは、補正処理が施された画像データをメモリ20dから取得し、画像処理部20eを介してバッファ20gに供給する。バッファ20gに供給された画像データは、プリンタ制御部20fに逐次読み出され、プリント機構50に逐次供給される。プリント機構50では、1走査ライン分の画像データをプリンタ制御部20fから取得し、記録ヘッドによって該当する色のインクを吐出して印刷用紙に記録する。この際、走査部50bが記録ヘッド50aを主走査方向に移動させるとともに、用紙搬送部50cが印刷用紙を副走査方向に移動させる。このような動作を繰り返すことにより、補正が施された画像データが印刷用紙に印刷される。
【0047】
つぎに、図5を参照して、図3のステップS17に示す画像補正処理の詳細について説明する。図5のフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0048】
ステップS30:制御部20cは、図3のステップS15において指定された補正対象となる領域の画素データをサンプリングする。すなわち、タッチペン100またはユーザの指によって指定された座標を中心とする所定の範囲に存在する画素データ(例えば、20画素分の画素データ)をサンプリングする。いまの例では、図4(B)において、人物の顔の一部が指定されているので、当該指定された位置を中心とした、例えば、20画素分の画素データがサンプリングされることになる。なお、これ以外の画素数であってもよいことはもちろんである。
【0049】
ステップS31:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が肌色に対応するボタン82を示すか否かを判定し、ボタン82が操作されたと判定した場合にはステップS32に進み、それ以外の場合にはステップS33に進む。
【0050】
ステップS32:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)肌色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、肌色が理想的な画像になる。
【0051】
より具体的には、画像処理部20eは、ステップS30のサンプリングによって得られた画素(肌色の画素(以下、「肌色画素」と称する))を用いて、HSB色空間における肌色画素の平均彩度Saと、肌色画素の平均色相Haとを算出する。
【0052】
つぎに、画像処理部20eは、算出された肌色画素の平均彩度Saと、平均色相Haと、予め設定されている補正基準明度Brとを用いて、補正基準明度Brにおける肌色画素のRGBそれぞれの平均色成分値Ra,Ga,Baを算出する。
【0053】
つぎに、画像処理部20eは、補正の目標値となる肌色画素目標値である肌色画素目標色相Ht、肌色画素目標彩度St、および、先述した補正基準明度Brを、RGB空間に変換し、RGBそれぞれの目標色成分値Rt,Gt,Btを求める。ここで、肌色画素目標色相Htおよび肌色画素目標彩度Stは、補正基準明度Brにおける目標値であり、画像サンプルの解析等によって経験的に求められた、いわば、人物の肌の色として好ましい肌色である。
【0054】
つづいて、画像処理部20eは、先に求めた、平均色成分値Ra,Ga,Baと、目標色成分値Rt,Gt,Btとの差分を求め、それぞれの色における補正量ΔR,ΔG,ΔBを以下の式から求める。
【0055】
ΔR=(Rt−Ra) ・・・(1a)
ΔG=(Gt−Ga) ・・・(1b)
ΔB=(Bt−Ba) ・・・(1c)
【0056】
そして、画像処理部20eは、式1a〜1cによって求められた補正量に基づいて、補正処理を実行する。具体的には、例えば、RGBのそれぞれのトーンカーブを、平均色成分値Ra,Ga,Baにおいて、ΔR,ΔG,ΔBだけ上側または下側にそれぞれ膨らむように調整し、これらのトーンカーブを用いて色の調整を行うようにすればよい。
【0057】
ステップS33:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が青色に対応するボタン83を示すか否かを判定し、ボタン83が操作されたと判定した場合にはステップS34に進み、それ以外の場合にはステップS35に進む。
【0058】
ステップS34:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)青色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、海または空の青色が理想的な色になるように補正される。なお、補正処理の方法は、前述した肌色の場合と略同じであり、肌色の記憶色の代わりに、青色の記憶色を利用して処理を行う。
【0059】
ステップS35:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が緑色に対応するボタン84であるか否かを判定し、ボタン84が操作されたと判定した場合にはステップS36に進み、それ以外の場合にはステップS37に進む。
【0060】
ステップS36:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)緑色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、植物または樹木の緑色が理想的な色になるように補正される。なお、補正処理の方法は、前述した肌色の場合と略同じであり、肌色の記憶色の代わりに、青色の記憶色を利用して処理を行う。
【0061】
ステップS37:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が赤目に対応するボタン85であるか否かを判定し、ボタン85が操作されたと判定した場合にはステップS38に進み、それ以外の場合にはステップS39に進む。
【0062】
ステップS38:画像処理部20eは、赤目に対する補正処理を実行する。具体的には、画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データと同一の色域に属する画素データの範囲を画像データから特定し、当該色の範囲が赤目の範囲であると判定する。すなわち、赤目の周辺にはもとの瞳の色(黒色)の範囲が存在するので、これらの色の境界を検出することにより、赤目の範囲を特定することができる。また、赤目を指定する際には、ボタン85が操作された後に、赤目の領域が2の整数倍だけ(1人分の赤目の整数倍だけ)指定されるので、指定されたそれぞれの領域に対して赤目補正処理を実行する。そして、赤目領域が特定されると、当該範囲に属する画素データを、通常の目の色(黒色)に変更する処理を実行する。
【0063】
ステップS39:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が「明度補正」に対応するボタン88であるか否かを判定し、ボタン88が操作されたと判定した場合にはステップS40に進み、それ以外の場合にはステップS41に進む。
【0064】
ステップS40:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データの明度が適切な範囲に収まるように、画像データ全体に対して明度の補正処理を施す。これにより、画像の明度が適切となるように補正される。具体的には、明度が低い場合には、サンプリングされた画像の明度に対応して原点側が上方に膨らんだガンマ曲線(低い階調値を高める曲線)によって明るさを増す補正を実行する。また、明度が高い場合には、逆に原点側が下方に膨らんだガンマ曲線によって明るさを減らす補正を行う。
【0065】
ステップS41:制御部20cは、ステップS14において記憶されたボタンの種類を示す情報をメモリ20dから読み出し、当該情報が「彩度補正」に対応するボタン89であるか否かを判定し、ボタン89が操作されたと判定した場合にはステップS42に進み、それ以外の場合には元の処理に復帰(リターン)する。
【0066】
ステップS42:画像処理部20eは、ステップS30においてサンプリングされた画素データの彩度が適切な範囲に収まるように、画像データ全体に対して彩度の補正処理を施す。これにより、画像の彩度が適切となるように補正される。具体的には、彩度が低い場合には、画像全体の彩度を上げる補正を実行する。すなわち、HSB表色系において、S(彩度)を増加させる補正を行った後、RGB表色系に画像データを変換する。また、彩度が高い場合には、HSB表色系において、S(彩度)を減少させる補正を行った後、RGB表色系に画像データを変換する。
【0067】
ステップS43:制御部20cは、画像処理部20eによって補正処理が施された画像データをメモリ20dに格納する。そして、元の処理に復帰する。
【0068】
以上の処理によれば、補正対象と、被写体の種類または補正の種類を、LCD40aに表示された画像を参照しながらタッチパネル30bを操作することにより指定するようにしたので、補正処理を自動で実行する場合に比較して、処理を迅速に実行することができる。例えば、人物の肌色を補正する場合、従来は、顔認識処理によって人物の顔を画像データから特定し、特定された人物の肌の色に基づいて肌色の補正処理を実行していた。また、赤目処理では、赤目に対応する赤色の領域を画像データ全体の中から検索するとともに、当該赤色の領域の周辺に黒い色(瞳の通常の色)が存在するか否かを判定することにより、赤目であるか否かを判定し、赤目である場合には補正処理を実行していた。このため、処理時間を要するこれらの処理を省略することにより、画像データの印刷が指示されてから実際に印刷が実行されるまでの時間を短縮することができる。また、顔認識処理および赤目検出処理は、誤検出が発生する場合があるが、本実施の形態によれば、領域を指定するとともに、被写体の種類(または補正の種類)を指定することにより、誤検出を排除してユーザの意図する補正を実行することが可能になる。
【0069】
つぎに、図6を参照して、図2に示す実施の形態において実行される他の処理について説明する。図3の処理では、ボタン82〜85を設けて補正対象を指示するようにしたが、図6の処理では、これらのボタン82〜85は設けずに、制御部20cが自動的に補正内容を特定する処理を実行する。
【0070】
印刷装置10のカードI/F20bに、例えば、図示せぬディジタルカメラによって撮影された画像データが格納されたメモリカード70が挿入され、操作ボタン30aまたはタッチパネル30bを操作することにより所定の画像データが選択されると、以下のステップが実行される。なお、以下の処理は、図2に示すメモリ20dに格納されているプログラム20d1が実行されることにより、ソフトウエアとしてのプログラム20d1と制御部20cを始めとするハードウエアとが協働することにより実現される。
【0071】
ステップS50:制御部20cは、オリジナル画像データをメモリ20dに格納する。なお、オリジナル画像データを格納するのは、前述のように、補正処理をキャンセルしてオリジナルの(元の)画像に復元するためである。
【0072】
ステップS51:制御部20cは、ユーザインタフェース(UI)を表示するための描画データをメモリ20dから取得し、入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。
【0073】
ステップS52:制御部20cは、ユーザによって指定された画像データをメモリ20dから取得し、復号処理を施した後、LCD40aのサイズに応じて間引き処理を実行し、入出力制御部20aを介してLCD40aに表示させる。この結果、図7(A)に示すような情報がLCD40aに表示される。
【0074】
図7(A)に示す表示例では、LCD40aの表示部110内の上部には、画像によって構成されるボタン112〜116が表示された操作ボタン領域111が表示されている。また、その下には、処理の対象となる画像データに対応する画像117が表示されている。ここで、ボタン112は、画像全体の明るさを増加させる場合に操作されるボタンである。ボタン113は、画像全体の彩度を増加させる場合に操作されるボタンである。ボタン114は、直前で実行された補正処理をキャンセルして元の画像に戻す際に操作されるボタンである。ボタン115は、オリジナル画像データ(ステップS50において記憶された画像データ)に戻って処理を実行する場合に操作されるボタンである。ボタン116は、補正処理の終了した画像を印刷する際に(画像117として表示されている画像を印刷する際に)操作されるボタンである。
【0075】
なお、LCD40aの表示面上にはタッチパネル30bが重畳して配置され、LCD40aに表示されたこれらのボタン112〜115を操作することにより、タッチパネル30bから位置を示す情報が出力され、制御部20cが位置情報から操作されたボタンの種類を特定するのは前述した場合と同様である。
【0076】
ステップS53:制御部20cは、「もっと明るく」に対応するボタン112をユーザが操作したか否かを判定し、操作したと判定した場合にはステップS54に進み、それ以外の場合にはステップS55に進む。
【0077】
ステップS54:画像処理部20eは、前述した図5のステップS40と同様に、画像データの明るさを増加する処理を実行する。
【0078】
ステップS55:制御部20cは、「もっと鮮やか」に対応するボタン113をユーザが操作したか否かを判定し、操作したと判定した場合にはステップS56に進み、それ以外の場合にはステップS57に進む。
【0079】
ステップS56:画像処理部20eは、前述した図5のステップS42と同様に、画像データの彩度を増加する処理を実行する。
【0080】
ステップS57:制御部20cは、タッチペン100(またはユーザの指)によって、補正の対象が指定されたか否かを判定し、指定された場合にはステップS58に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。例えば、図7(B)に示すように、タッチペン100(またはユーザの指)によって、画像117に存在する樹木の一部が指定された場合には、補正対象が指定されたと判定してステップS58に進む。
【0081】
ステップS58:制御部20cは、ステップS59に示す補正処理を実行する前の画像データをメモリ20dに記憶する。これは、ボタン114(戻す)が操作された場合に、直前の補正処理をキャンセルしてもとの画像に戻る際に使用するためである。
【0082】
ステップS59:画像処理部20eは、ステップS57で検出された補正対象に応じた補正処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図8を参照して後述する。
【0083】
ステップS60:制御部20cは、ステップS59の処理によって補正処理が施された画像データを、LCD40aに表示する。具体的には、ステップS59において補正処理が施された画像データを、LCD40aのサイズに応じて間引き処理をし、得られた画像データを入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。その結果、図7(B)に示す画像117が補正後の画像データに置換される。いまの例では、画像117の樹木の一部が指定されているので、樹木の緑色が記憶色に基づいて補正され、より樹木の緑色らしい色に補正がなされて表示されることになる。
【0084】
ステップS61:制御部20cは、補正をキャンセルして元に戻すためのボタン114が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS62に進み、それ以外の場合にはステップS63に進む。例えば、補正処理の結果をユーザが閲覧し、補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン114を操作するので、その場合にはステップS62に進む。
【0085】
ステップS62:制御部20cは、ステップS58において記憶された補正前画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図7に示す画像117が補正前画像に置換される。
【0086】
ステップS63:制御部20cは、オリジナルの画像に戻すためのボタン115が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS64に進み、それ以外の場合にはステップS65に進む。例えば、補正処理を何度か施したが、これらの補正が好ましくないと判定した場合には、ボタン115を操作するので、その場合にはステップS64に進む。
【0087】
ステップS64:制御部20cは、ステップS50において記憶されたオリジナル画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。これにより、図7に示す画像117がオリジナル画像に置換される。
【0088】
ステップS65:制御部20cは、補正処理が施された画像データの印刷を指示するためのボタン116が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS66に進み、それ以外の場合にはステップS53に戻って同様の処理を繰り返す。例えば、補正処理を施した後の画像をユーザが参照し、印刷を希望する場合には、ボタン116をタッチペン100またはユーザの指にて操作するので、その場合にはステップS66に進む。
【0089】
ステップS66:制御部20cは、補正処理が施された画像データを、メモリ20dから取得し、印刷処理を実行させる。なお、印刷処理の詳細は、図3のステップS24の場合と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0090】
つぎに、図8を参照して、図6のステップS59に示す画像補正処理の詳細について説明する。図8に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0091】
ステップS70:制御部20cは、図6のステップS57において指定された補正対象となる領域の画素データをサンプリングする。すなわち、タッチペン100またはユーザの指によって指定された座標を中心とする所定の範囲に存在する画素データ(例えば、20画素分の画素データ)をサンプリングする。いまの例では、図7(B)において、樹木の一部が指定されているので、当該指定された位置を中心とした、例えば、20画素分の画素データがサンプリングされることになる。
【0092】
ステップS71:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が人間の肌の色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS72に進み、それ以外の場合にはステップS73に進む。
【0093】
ステップS72:画像処理部20eは、ステップS70においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)肌色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、肌色が理想的な画像になる。なお、処理の詳細は、図5のステップS32と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0094】
ステップS73:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、海または空の青色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS74に進み、それ以外の場合にはステップS75に進む。
【0095】
ステップS74:画像処理部20eは、ステップS70においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)青色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、海または空の青色が理想的な色になるように補正される。
【0096】
ステップS75:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、植物または樹木の緑色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS76に進み、それ以外の場合にはステップS77に進む。
【0097】
ステップS76:画像処理部20eは、ステップS70においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)緑色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、植物または樹木の緑色が理想的な色になるように補正される。
【0098】
ステップS77:制御部20cは、ステップS70においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、赤目特有の色域に属するか否かを判定する。その結果、赤目の色域に属すると判定した場合には、ステップS78に進み、それ以外の場合には元の処理に復帰(リターン)する。
【0099】
ステップS78:制御部20cは、ステップS77で赤目の色域に属すると判定された画素の周囲に存在する画素が黒色(瞳の通常の色)であるか否かを判定する。すなわち、赤目現象が生じた場合であっても赤目の周辺の瞳の色は変化しない(黒色である)ため、赤目の色域に属する画素の周囲に黒色の画素が存在することをチェックすることで、赤目であることを確認できるからである。
【0100】
ステップS79:画像処理部20eは、赤目の色域に属する画素を黒色に変換する処理を実行する。これにより、赤目現象を軽減することができる。
【0101】
ステップS80:制御部20cは、補正処理が完了した画像データを画像処理部20eから取得し、メモリ20dに格納する。そして、もとの処理に復帰する。
【0102】
以上の処理によれば、LCD40aに表示された画像を参照しながら、タッチパネル30bにおいて補正対象を指示するようにしたので、従来のように補正対象を自動的に検出する場合に比較して、誤検出の発生を防止することができる。また、タッチパネル30bによって補正箇所を指示することにより、補正対象を簡易に指定することができる。さらに、タッチパネル30bにおいて指定された部分の画素データから被写体の種類(または、補正の種類)を制御部20cが自動的に特定するようにしたので、図3に示す処理に比較して、ユーザの操作を簡易化することができる。
【0103】
なお、以上の処理では、「もっと明るく」に対応するボタン112または「もっと鮮やか」に対応するボタン113が操作された場合には、画像全体の明度または彩度が増加するように補正するようにした。しかしながら、例えば、これらのボタンが操作された後に、画像の所定の領域が指定された場合には、指定された領域の画素データをサンプリングし、サンプリング結果に基づいて画像データの明度または彩度が適切になるようにしてもよい。
【0104】
つぎに、図9を参照して、図2に示す実施の形態において実行される更に他の処理について説明する。図3および図6の処理では、タッチパネル30bを操作して補正対象または補正内容を指示するようにしたが、図9の処理では、補正対象となる画像を含むオーダシートをプリント機構50によって印刷し、当該オーダシート上において補正対象を指定することにより、補正対象を特定して、補正処理を実行する。なお、図9に示す実施の形態では、印刷装置10がタッチパネル30bは必ずしも具備している必要はない。
【0105】
印刷装置10のカードI/F20bに、例えば、図示せぬディジタルカメラによって撮影された画像データが格納されたメモリカード70が挿入され、操作ボタン30aを操作することにより所定の画像データが選択されると、以下のステップが実行される。なお、以下の処理は、図2に示すメモリ20dに格納されているプログラム20d1が実行されることにより、ソフトウエアとしてのプログラム20d1と制御部20cを始めとするハードウエアとが協働することにより実現される。
【0106】
ステップS90:制御部20cは、オリジナル画像データをメモリ20dに格納する。なお、オリジナル画像データを格納するのは、前述のように、補正処理をキャンセルしてオリジナルの(元の)画像に復元するためである。
【0107】
ステップS91:制御部20cは、オーダシートを印刷するための情報をメモリ20dから取得し、指定された画像データを合成して、画像処理部20eおよびバッファ20gを介して、プリンタ制御部20fに供給する。なお、画像データは、ユーザによって指示されたマーカの位置が明確になるように、例えば、青色の薄い濃淡画像に変換する。プリンタ制御部20fは、オーダシートを印刷するための画像と青色の薄い濃淡画像とが合成された画像をプリント機構50を制御して印刷する。その結果、例えば、図10(A)に示すようなオーダシートが得られる。
【0108】
図10(A)の例では、オーダシート120には、チェックボックス122,123が印刷されたチェックボックス領域121が印刷されている。また、その下には、処理の対象となる画像データに対応する薄い青色の濃淡画像124が表示されている。ここで、チェックボックス122は、画像全体の明るさを増加させる場合にチェックされる。チェックボックス123は、画像全体の彩度を増加させる場合にチェックされる。
【0109】
ユーザは、図10(A)のオーダシート120に対して、筆記具(例えば、鉛筆、ボールペン、サインペン等)によって、所望のチェックボックスをチェックするとともに、補正対象となる被写体に印をつける。具体的には、図10(B)に示すように、「もっと明るく」に対応するチェックボックス122にチェックするとともに、補正対象となる被写体である樹木に印130をつける。その結果、画像データ全体を明るくする補正が行われるとともに、樹木の緑色に対する記憶色補正がなされる。
【0110】
ステップS92:ユーザが、図10(B)に示すオーダシート120を、スキャン機構60にセットし、操作ボタン30aを操作すると、制御部20cは、スキャナ制御部20hに指令を送り、オーダシート120を読み込む。すなわち、制御部20cからの指令を受けたスキャナ制御部20hは、光源60aを点灯する。光源60aから射出された光はオーダシート120に照射され、オーダシート120に印刷または記入された情報に応じて反射されて受光部60bに入射される。受光部60bは、入射された光をその強弱に応じた電気信号に変換して出力する。なお、このとき、走査部60cは、受光部60bを副走査方向(走査部60cの長手方向に直交する方向)に移動させる。そして、受光部60bから出力された画像信号は、A/D(Analog to Digital)変換され、画像データとして制御部20cに供給される。
【0111】
ステップS93:制御部20cは、ステップS91で読み込んだ画像データと、オーダシート120の各項目の配置状況を示す情報とを比較し、「もっと明るく」に対応するチェックボックス122がチェックされているか否かを判定する。具体的には、読み込んだ画像データ中において、チェックボックス122に該当する領域に、色の濃淡が存在するか否か(印が記入されているか否か)を判定する。その結果、色の濃淡が存在している場合には、チェックがされていると判定してステップS94に進む。なお、それ以外の場合にはステップS95に進む。
【0112】
ステップS94:画像処理部20eは、画像データ全体の明度を上げる補正を行う。なお、この処理は、図5のステップS40の場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0113】
ステップS95:制御部20cは、ステップS92で読み込んだ画像データと、オーダシート120の各項目の配置状況を示す情報とを比較し、「もっと鮮やか」に対応するチェックボックス123がチェックされているか否かを判定する。なお、具体的な判定方法は、ステップS93の場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0114】
ステップS96:画像処理部20eは、画像データ全体の彩度を上げる補正を行う。なお、この処理は、図5のステップS42の場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0115】
ステップS97:制御部20cは、ステップS92で読み込んだオーダシート120に含まれている画像データ中に、ユーザが記した印が記入されているか否かを判定し、印が記入されている場合にはステップS98に進み、それ以外の場合にはステップS90に戻って同様の処理を繰り返す。具体的には、図10に示す画像124は、青色の薄い濃淡画像として印刷されている。受光部60bの青色に対する感度は、他の色に比較して低く、また、薄い濃淡画像として印刷されていることから、画像124自体は受光部60bには画像としては検出されにくい。このため、ユーザが記入した印130がスキャンされた画像中に際立って現出する。したがって、制御部20cは、画像データから印130を容易に検出することができる。なお、画像124は青色であるので、画像データから青色(B)の成分を除くことにより、印130を容易に検出することができる。
【0116】
ステップS98:制御部20cは、ステップS99に示す補正処理を実行する前の画像データをメモリ20dに記憶する。これは、所定の操作ボタン30aが操作されて、元の画像に戻すことが指示された場合に、直前の補正処理をキャンセルして元の画像に戻る際に使用するためである。
【0117】
ステップS99:画像処理部20eは、ステップS97で検出された補正対象に応じた補正処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図11を参照して後述する。
【0118】
ステップS100:制御部20cは、ステップS99の処理によって補正処理が施された画像データを、LCD40aに表示する。具体的には、ステップS99において補正処理が施された画像データを、LCD40aのサイズに応じて間引き処理をし、得られた画像データを入出力制御部20aを介してLCD40aに供給して表示させる。いまの例では、画像124の樹木の一部が指定されているので、樹木の緑色が記憶色に基づいて補正され、より樹木の緑色らしい色に補正がなされて表示されることになる。
【0119】
ステップS101:制御部20cは、補正をキャンセルして元に戻すための所定の操作ボタン30aが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS102に進み、それ以外の場合にはステップS103に進む。例えば、補正処理の結果をユーザが閲覧し、補正が好ましくないと判定した場合には、所定の操作ボタン30aを操作するので、その場合にはステップS102に進む。
【0120】
ステップS102:制御部20cは、ステップS98において記憶された補正前画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。
【0121】
ステップS103:制御部20cは、オリジナルの画像に戻すための所定の操作ボタン30aが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS104に進み、それ以外の場合にはステップS105に進む。例えば、補正処理を何度か施したが、これらの補正が好ましくないと判定した場合には、所定の操作ボタン30aを操作するので、その場合にはステップS104に進む。
【0122】
ステップS104:制御部20cは、ステップS90において記憶されたオリジナル画像データをメモリ20dから取得し、LCD40aに供給して表示させる。
【0123】
ステップS105:制御部20cは、補正処理が施された画像データの印刷を指示するための所定の操作ボタン30aが操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS106に進み、それ以外の場合にはステップS90に戻って同様の処理を繰り返す。例えば、補正処理を施した後の画像をユーザが参照し、印刷を希望する場合には、所定の操作ボタン30aを操作するので、その場合にはステップS106に進む。
【0124】
ステップS106:制御部20cは、補正処理が施された画像データを、メモリ20dから取得し、印刷処理を実行させる。なお、印刷処理の詳細は、図3のステップS24の場合と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0125】
つぎに、図11を参照して、図9のステップS99に示す画像補正処理の詳細について説明する。図11に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0126】
ステップS120:制御部20cは、図9のステップS97において検出された、補正対象となる領域の画素データをサンプリングする。すなわち、オーダシート120において、ユーザが印130を付けた座標を中心とする所定の範囲に存在する画素データ(例えば、20画素分の画素データ)をサンプリングする。いまの例では、図10(B)において、樹木の一部に印130が付けられているので、当該指定された位置を中心とした、例えば、20画素分の画素データがサンプリングされることになる。
【0127】
ステップS121:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が人間の肌の色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS122に進み、それ以外の場合にはステップS123に進む。
【0128】
ステップS122:画像処理部20eは、ステップS120においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)肌色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、肌色が理想的な画像になる。
【0129】
ステップS123:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、海または空の青色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS124に進み、それ以外の場合にはステップS125に進む。
【0130】
ステップS124:画像処理部20eは、ステップS120においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)青色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、海または空の青色が理想的な色になるように補正される。
【0131】
ステップS125:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、植物または樹木の緑色を示す色域に属しているか否かを判定し、当該色域に属していると判定した場合にはステップS126に進み、それ以外の場合にはステップS127に進む。
【0132】
ステップS126:画像処理部20eは、ステップS120においてサンプリングされた画素データが、人間が記憶している標準的な(または理想的な)緑色になるように、画像データ全体に対して補正処理を施す。これにより、植物または樹木の緑色が理想的な色になるように補正される。
【0133】
ステップS127:制御部20cは、ステップS120においてサンプリングされた画素データのR,G,Bのそれぞれの値が、赤目特有の色域に属するか否かを判定する。その結果、赤目の色域に属すると判定した場合には、ステップS128に進み、それ以外の場合には元の処理に復帰(リターン)する。
【0134】
ステップS128:制御部20cは、ステップS127で赤目の色域に属すると判定された画素の周囲に存在する画素が黒色(瞳の通常の色)であるか否かを判定する。すなわち、赤目現象が生じた場合であっても赤目の周辺の瞳の色は変化しない(黒色である)ため、赤目の色域に属する画素の周囲に黒色の画素が存在することをチェックすることで、赤目であることを確認できるからである。
【0135】
ステップS129:画像処理部20eは、赤目の色域に属する画素を黒色に変換する処理を実行する。これにより、赤目現象を軽減することができる。
【0136】
ステップS130:制御部20cは、補正処理が完了した画像データを画像処理部20eから取得し、メモリ20dに格納する。そして、もとの処理に復帰する。
【0137】
以上の処理によれば、オーダシート120に印刷された画像を参照し、筆記具等により補正対象を指示するようにしたので、補正対象を自動的に検出する場合に比較して、誤検出の発生を防止することができる。また、オーダシート120によって補正箇所を指示することにより、補正対象を簡易に指定することができる。さらに、オーダシート120において指定された部分の画素データから被写体の種類(または、補正の種類)を制御部20cが自動的に特定するようにしたので、ユーザの操作を簡易化することができる。
【0138】
なお、以上の実施の形態では、「もっと明るく」に対応するチェックボックス122、または、「もっと鮮やか」に対応するチェックボックス123がチェックされた場合には、画像全体の明度または彩度を増加するように補正した。しかしながら、これらのチェックボックスをチェックするとともに、画像データに印が付けられた場合には、当該印の領域から画素データをサンプリングし、サンプリングした画素データが適切な明度または彩度となるように補正処理を実行するようにしてもよい。なお、その場合には、印とチェックボックスとの対応付けが必要になるが、例えば、1度にチェックできるチェックボックスと印は1つとするようにすればよい。これにより2つのチェックボックスが同時にチェックされ、印が2つ付加された場合に、どちらの印に基づいてどの補正(明度または彩度)を行うかが判然としないという事態を回避できる。なお、これ以外にも、例えば、チェックボックス122,123を設けずに、印刷装置10に記号または図形の認識手段を設け、丸の印は明度を示し、三角の印は彩度を示すこととし、認識手段が丸の印を検出した場合には当該領域をサンプリングしてその画素データに基づいて明度を補正し、丸の印を検出した場合には同様にして彩度を補正するようにしてもよい。
【0139】
なお、以上の実施の形態は、一例であって、これ以外にも種々の変形実施態様が存在する。例えば、以上の実施の形態では、メモリカード70をカードI/F20bに挿入して画像データを読み出すようにしたが、例えば、図示せぬディジタルカメラを、同じく図示せぬケーブルによって入出力制御部20aに接続し、当該ケーブルを介して画像データを読み出すようにしてもよい。
【0140】
また、以上の実施の形態では、複合型の印刷装置を例に挙げて説明を行ったが通常の印刷装置(パーソナルコンピュータと接続して使用するタイプの印刷装置)に対して本発明を適用することができる。また、複合型ではない通常のスタンドアロン型の印刷装置に対して本発明を適用することも可能である。
【0141】
また、以上の実施の形態では、図3,4,5,7,8,10に示す処理を、印刷装置10において実行するようにしたが、例えば、印刷装置10に接続されているホストコンピュータにおいて実行することも可能である。
【0142】
また、図4および図10に示す実施の形態では、赤目または人物の顔が指定された場合には、赤目処理または肌色補正処理を単独で実行するようにしたが、例えば、赤目が指定された場合には、赤目補正処理のみならず肌色補正処理も併せて実行するようにしてもよい。逆に、顔が指定された場合には、肌色補正処理のみならず、赤目補正処理も併せて実行するようにしてもよい。このような方法によれば、ユーザの操作性を向上することができる。
【0143】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、画像処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disk ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0144】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0145】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の外観の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成例を示す図である。
【図3】図2に示す印刷装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】図2に示す印刷装置のLCDに表示される情報の一例である。
【図5】図3に示す画像補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図2に示す印刷装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】図2に示す印刷装置のLCDに表示される情報の一例である。
【図8】図6に示す画像補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図2に示す印刷装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】図2に示す印刷装置によって印刷されるオーダシートの一例である。
【図11】図9に示す画像補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
10 印刷装置、20c 制御部(取得手段、特定手段、印刷選択手段)、20e 画像処理部(補正手段)、30b タッチパネル(指定受付手段、指示受付手段)、40a LCD(表示手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段と、
上記指定受付手段によって指定された上記領域に含まれている画素データを取得する取得手段と、
上記取得手段によって取得された画素データを参照し、上記指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段と、
上記特定手段によって特定された上記領域の画像の種類または補正の種類に応じて、上記画像データに対して補正処理を施す補正手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記補正手段により、前記画像データに補正を施した画像を表示部に表示する表示手段と、
上記表示部に表示された画像データを参照しながら、印刷するか否かを選択できる印刷選択手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記指定受付手段は表示部を有し、上記表示部に接触することにより、前記処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付けることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記指定受付手段は、印刷用紙に印刷され、処理対象を指定する印が付された画像を光学的に読み込んで、上記印を検出することにより、処理対象となる画像の一部の領域の指定を受けることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記取得手段によって取得された画素データの属する色域に基づいて、前記指定された領域の画像の種類または補正の種類を判定し、
前記補正手段は、前記特定手段によって特定された前記領域の画像の種類または補正の種類に応じた記憶色補正を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記指定された領域の画像の種類または補正の種類の指示を受け付ける指示受付手段をさらに有し、
前記特定手段は、上記指示受付手段による指示内容に応じて、前記指定された領域の画像の種類または補正の種類を特定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置を有する印刷装置。
【請求項8】
画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付け、
指定された領域の画像に含まれている画素データを取得し、
取得された画素データを参照し、上記指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定し、
特定された上記領域の画像の種類または補正の種類に応じて、上記画像データに対して補正処理を施す、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段、
上記指定受付手段によって指定された領域の画像に含まれている画素データを取得する取得手段、
上記取得手段によって取得された画素データを参照し、上記指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段、
上記特定手段によって特定された上記領域の画像の種類または補正の種類に応じて、上記画像データに対して補正処理を施す補正手段、
として機能させるコンピュータ読み取り可能な画像処理プログラム。
【請求項1】
画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段と、
上記指定受付手段によって指定された上記領域に含まれている画素データを取得する取得手段と、
上記取得手段によって取得された画素データを参照し、上記指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段と、
上記特定手段によって特定された上記領域の画像の種類または補正の種類に応じて、上記画像データに対して補正処理を施す補正手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記補正手段により、前記画像データに補正を施した画像を表示部に表示する表示手段と、
上記表示部に表示された画像データを参照しながら、印刷するか否かを選択できる印刷選択手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記指定受付手段は表示部を有し、上記表示部に接触することにより、前記処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付けることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記指定受付手段は、印刷用紙に印刷され、処理対象を指定する印が付された画像を光学的に読み込んで、上記印を検出することにより、処理対象となる画像の一部の領域の指定を受けることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記取得手段によって取得された画素データの属する色域に基づいて、前記指定された領域の画像の種類または補正の種類を判定し、
前記補正手段は、前記特定手段によって特定された前記領域の画像の種類または補正の種類に応じた記憶色補正を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記指定された領域の画像の種類または補正の種類の指示を受け付ける指示受付手段をさらに有し、
前記特定手段は、上記指示受付手段による指示内容に応じて、前記指定された領域の画像の種類または補正の種類を特定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置を有する印刷装置。
【請求項8】
画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付け、
指定された領域の画像に含まれている画素データを取得し、
取得された画素データを参照し、上記指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定し、
特定された上記領域の画像の種類または補正の種類に応じて、上記画像データに対して補正処理を施す、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
画像データにおいて処理対象となる画像の一部の領域の指定を受け付ける指定受付手段、
上記指定受付手段によって指定された領域の画像に含まれている画素データを取得する取得手段、
上記取得手段によって取得された画素データを参照し、上記指定された領域の画像の種類または所望される補正の種類を特定する特定手段、
上記特定手段によって特定された上記領域の画像の種類または補正の種類に応じて、上記画像データに対して補正処理を施す補正手段、
として機能させるコンピュータ読み取り可能な画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−67134(P2008−67134A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243757(P2006−243757)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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