説明

画像処理装置、画像形成装置、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、および画像処理方法

【課題】色調の変化を抑制しつつ色ずれを防止することのできる画像処理装置を実現する。
【解決手段】画像形成装置10は、PDLで記述された印刷用データに含まれる描画オブジェクトの色情報をRGB色空間からCMYK色空間へと変換するとともに、描画オブジェクトがラスタ画像オブジェクトでなく、かつ、黒色である場合に、該描画オブジェクトのC,M,Y,K値を255にする色空間変換部55と、上記印刷用データに基づいてビットマップ画像を作成するビットマップ画像生成部59と、作成されたビットマップ画像において、マーキングされた描画オブジェクトを構成する被マーク画素を同定する被マーク画素同定部61と、同定された被マーク画素を注目画素とし、この注目画素のC,M,Y値を隣接画素のC,M,Y値に基づいた値に変更する輪郭処理部63とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関し、例えば複数色による画像形成を行う複写機、プリンタ、または印刷機などの画像形成装置における色ずれを抑制するための画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカラー複写機、カラープリンタ、またはカラー印刷機等においては、カラーの写真や文章などを複数の原色画像に分解した後、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の各色相のビットマップ画像(以下、「プレーン」ともいう)のデータを作成する。そして、作成したこれらのデータに応じて色相別のトナー像を別々の工程で作成し、それらを中間転写ベルトの上または用紙の上に重なるように転写する。このような画像処理装置では、互いに色相が異なる複数のトナー像を重ねることによってカラー画像を形成するため、機械的な位置精度や用紙の送りスピードなどにより転写位置がずれると色ずれが生じてしまう。
【0003】
例えば、有彩色の図形や写真の上に黒文字が描画された画像を形成する場合、シアン・マゼンタ・イエローのプレーンでは、上記図形や写真が描画されるカラー領域のうち、黒文字と重なる部分が中抜きされる。従って、この画像を形成する際に転写ずれが生じると、黒文字と図形や写真との間に白い隙間が生じてしまい、画質が著しく損なわれてしまう。
【0004】
そこで、特許文献1では、ブラックのプレーンにおいて黒領域を同定するとともに、シアン・マゼンタ・イエローのプレーンにおいて、色のずれ幅に相当する大きさだけ、あらかじめカラー領域を上記黒領域側に膨張させておく方法が提案されている。この方法によれば、カラー領域と黒領域との境界領域では、カラートナーとブラックトナーとが重ね合わされるので、たとえ転写ずれが生じたとしても上述した白い隙間が生じるのを防止することができ、画質が向上する。
【0005】
また、特許文献2では、黒オブジェクトについては、ブラックトナーに所定量のシアン・マゼンタ・イエロートナーを追加することにより、色ずれを目立たなくする方法が提案されている。
【特許文献1】特開平7−212608号公報(平成7年8月11日公開)
【特許文献2】特開2000−232590号公報(平成12年8月22日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術には、形成された画像において色調が変化してしまうという問題がある。
【0007】
例えば、上述した特許文献1に記載された技術の場合、黒領域の同定をビットマップ画像において行っているため、黒画素を含む全ての領域に対して上述した膨張処理が行われることになる。それゆえ、例えば、カラーの図形や写真の上に描かれた黒文字だけでなく、カラー写真画像に含まれる黒画素についてもブラックトナーにシアン・マゼンタ・イエロートナーが追加される。その結果、カラー写真画像に含まれる黒画素が本来の黒色とならず、カラー写真画像の色調が変化してしまう。
【0008】
また、上述した特許文献2に記載された技術の場合、黒オブジェクトの全領域にカラートナーを追加するため、黒オブジェクト全体がCMYKコンポジットブラックになり色調が変化してしまう。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、色調の変化を抑制しつつ色ずれを防止することのできる画像処理装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、各画素について有彩色の濃度を示す画素カラー濃度値と無彩色の濃度を示す画素黒濃度値とが示されたビットマップ画像のデータを作成する画像処理装置であって、画像中に描画オブジェクトを配置するよう指示する命令であって、該描画オブジェクトの種類を示す属性情報と該描画オブジェクトの色を示すオブジェクト色情報とを含む命令を取得する命令取得手段と、上記命令取得手段の取得した命令に含まれる属性情報に基づいて、上記描画オブジェクトがラスタ画像であるか否かを判定する属性判定手段と、上記命令取得手段の取得した命令に含まれるオブジェクト色情報に基づいて、上記描画オブジェクトが黒色であるか否かを判定する色判定手段と、上記描画オブジェクトが上記属性判定手段によってラスタ画像でないと判定され、かつ、上記色判定手段によって黒色であると判定された場合に、該描画オブジェクトをマーキングするマーキング手段と、上記命令取得手段の取得した命令に基づいて、上記オブジェクト色情報によって示された色の上記描画オブジェクトが配置されたビットマップ画像のデータを作成する画像作成手段と、上記画像作成手段によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記マーキング手段によってマーキングされた上記描画オブジェクトを構成する画素である被マーク画素を同定する同定手段と、上記画像作成手段によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記同定手段によって同定された被マーク画素のそれぞれを注目画素とし、該注目画素に隣接する画素を少なくとも含む周辺画素が有彩色を有している場合にのみ、該注目画素の画素カラー濃度値を上記周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更する色変更手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本明細書において黒色とは、完全な黒色またはそれに最も近い黒色のみならず、その近傍の一定範囲の色を含む。つまり、黒色とは、無彩色でかつ明度が一定の基準値以下の色をいう。また、別の言い方をすれば、黒色とは、無彩色でかつ黒濃度が一定の基準値以上の色をいう。
【0012】
上記構成によれば、描画オブジェクトがラスタ画像でなく、かつ、黒色である場合に、マーキング手段によって、この描画オブジェクトにマーキングが施される。そして、作成されたビットマップ画像に含まれる画素のうち、マーキングが施された描画オブジェクトを構成する被マーク画素が同定手段によって同定される。そして、同定された被マーク画素の画素カラー濃度値は、この被マーク画素の周辺の周辺画素が有彩色を有している場合にのみ、色変更手段によって、周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更される。
【0013】
従って、例えば、有彩色の背景上に配置された黒いグラフィックスオブジェクトやテキストオブジェクトを構成する画素のうち、オブジェクトのエッジ領域を構成する画素の画素カラー濃度値は、周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値となる。それゆえ、これらの画素では、黒の色材に、有彩色の色材が重ねあわされるので、たとえ色材を重ねあわせるときにずれが生じても、白い隙間が生じる色ずれを防止することができる。
【0014】
さらに、描画オブジェクトがラスタ画像である場合には、描画オブジェクトにマーキングが施されないので、たとえ黒色の画素であっても、画素カラー濃度値は周辺画素の画素カラー濃度値に応じて変更されず、黒の色材に有彩色の色材が重ねあわされることがない。それゆえ、写真画像などの自然画に含まれる黒画素の色調が劣化するのを防止することができる。
【0015】
また、マーキングが施された描画オブジェクトを構成する被マーク画素であっても、周辺画素が有彩色を有していない場合には、被マーク画素の画素カラー濃度値が周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更されない。それゆえ、例えば、描画オブジェクトの内部領域を構成する画素や、白い背景などと隣接する画素については、たとえ黒色の画素であっても、画素カラー濃度値は周辺画素の画素カラー濃度値に応じて変更されないので、黒の色材に有彩色のトナーが重ねあわされることがない。それゆえ、黒画素の色調が劣化するのを防止することができる。
【0016】
以上のように、本発明によれば、色調の変化を抑制しつつ色ずれを防止することができる。
【0017】
また、上記マーキング手段は、黒濃度値、シアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を含み上記描画オブジェクトの色を示すCMYK色情報を上記オブジェクト色情報に基づいて作成するとともに、上記描画オブジェクトが上記属性判定手段によってラスタ画像でないと判定され、かつ、上記色判定手段によって黒色であると判定された場合に、上記CMYK色情報に含まれるシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を最大値に設定し、上記画像作成手段は、描画オブジェクトが画像中に配置され、かつ、各画素の色が上記黒濃度値、シアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値によって示されたビットマップ画像のデータを、上記命令取得手段の取得した命令および上記マーキング手段によって作成されたCMYK色情報に基づいて作成し、上記同定手段は、画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値の全てが最大値であるか否かに基づいて上記被マーク画素を同定し、上記色変更手段は、上記周辺画素が有彩色を有している場合に、上記注目画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を該周辺画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値に基づいた値に変更する一方、上記周辺画素が有彩色を有していない場合に、上記注目画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を最小値に変更するものであってもよい。
【0018】
上記構成によれば、描画オブジェクトへのマーキングは、描画オブジェクトの色を示すCMYK色情報におけるシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を最大値にすることによって行われる。その結果、ビットマップ画像のデータには、マーキング情報が埋め込まれる。それゆえ、被マーク画素の同定を容易に行うことができる。
【0019】
また、上記色変更手段は、上記周辺画素が所定の濃度以上の有彩色を有している場合にのみ、上記注目画素の画素カラー濃度値を上記周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更するものであってもよい。
【0020】
上記構成によれば、周辺画素が有彩色であっても、所定の濃度未満の場合には、注目画素の画素カラー濃度値の変更が行われない。それゆえ、薄い有彩色の背景上に配置された黒い描画オブジェクトについては、黒の色材に有彩色の色材が重ねあわされることがなく、黒画素における色調の劣化を防止することができる。なお、この場合、色材を重ねる際にずれが生じたとしても、有彩色の濃度が低いため、白い隙間ができたとしても、目立たないので問題はない。
【0021】
また、上記周辺画素は複数の隣接画素を含み、上記色変更手段は、上記周辺画素に含まれる複数の隣接画素のうち、2つ以上の隣接画素が有彩色を有している場合に、注目画素の画素カラー濃度値を、有彩色を有する上記隣接画素の画素カラー濃度値の平均値に変更してもよい。なお、上記色変更手段は、より好ましくは、2つ以上の隣接画素が有彩色を有し、かつ、該隣接画素の有する有彩色同士の相違度が所定の範囲内にある場合に、注目画素の画素カラー濃度値を、有彩色を有する上記隣接画素の画素カラー濃度値の平均値に変更してもよい。
【0022】
上記構成によれば、黒の色材に重ねあわされる有彩色の色材が、周辺画素の色を平均した色となるので、転写ずれが生じたとしても周囲の画素の色と調和し、違和感のない画像になる。
【0023】
また、上記周辺画素は複数の隣接画素を含み、上記色変更手段は、上記周辺画素に含まれる複数の隣接画素のうち、2つ以上の隣接画素が有彩色を有している場合に、注目画素の画素カラー濃度値を、有彩色を有する上記隣接画素のうち、最も有彩色の濃度が低い隣接画素の画素カラー濃度値に変更してもよい。なお、上記色変更手段は、より好ましくは、2つ以上の隣接画素が有彩色を有し、かつ、該隣接画素の有する有彩色同士の相違度が所定の範囲を超える場合に、注目画素の画素カラー濃度値を、有彩色を有する上記隣接画素のうち、最も有彩色の濃度が低い隣接画素の画素カラー濃度値に変更してもよい。
【0024】
上記構成によれば、黒の色材に重ねあわされる有彩色の色材が、最も濃度の薄い隣接画素の色となるので、例えば、隣接画素同士の色が極端に異なる場合などに、周囲のいずれの色とも異なる色が表れてしまうのを防止することができる。
【0025】
また、上記色判定手段は、上記オブジェクト色情報が所定の濃度以上の黒色を示す場合に、上記描画オブジェクトが黒色であると判定するものであってもよい。
【0026】
上記構成によれば、描画オブジェクトが完全な黒色でなくても、黒の濃度が一定水準を越えていれば、色判定手段によって黒色と判定される。従って、黒だけでなく、黒に近い画素についても、色ずれを防止することができる。
【0027】
また、上記属性判定手段は、上記命令取得手段の取得した命令に含まれる属性情報に基づいて、上記描画オブジェクトがテキストであるか否かを判定し、上記マーキング手段は、上記描画オブジェクトが上記属性判定手段によってテキストであると判定され、かつ、上記色判定手段によって黒色であると判定された場合に、上記描画オブジェクトをマーキングすることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、描画オブジェクトがテキストである場合に、色ずれ防止を行うことができる。
【0029】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述した画像処理装置と、上記画像処理装置によって作成されたビットマップ画像のデータに応じたトナー画像をシートに形成する画像形成部とを備えていることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、上述した画像処理装置を備えているので、色調の変化を抑制しつつ色ずれを防止した画像を形成する画像形成装置を実現することができる。
【0031】
ところで、上記画像処理装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプログラムは、上記各手段としてコンピュータを動作させるプログラムであり、本発明に係る記録媒体には、当該プログラムが記録されている。
【0032】
これらのプログラムがコンピュータによって実行されると、当該コンピュータは、上記画像処理装置として動作する。したがって、上記画像処理装置と同様に、色調の変化を抑制しつつ色ずれを防止することができる。
【0033】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理方法は、各画素について有彩色の濃度を示す画素カラー濃度値と無彩色の濃度を示す画素黒濃度値とが示されたビットマップ画像のデータを作成する画像処理方法であって、画像中に描画オブジェクトを配置するよう指示する命令であって、該描画オブジェクトの種類を示す属性情報と該描画オブジェクトの色を示すオブジェクト色情報とを含む命令を取得する命令取得工程と、上記命令取得工程によって取得した命令に含まれる属性情報に基づいて、上記描画オブジェクトがラスタ画像であるか否かを判定する属性判定工程と、上記命令取得工程によって取得した命令に含まれるオブジェクト色情報に基づいて、上記描画オブジェクトが黒色であるか否かを判定する色判定工程と、上記描画オブジェクトが上記属性判定工程によってラスタ画像でないと判定され、かつ、上記色判定工程によって黒色であると判定された場合に、該描画オブジェクトをマーキングするマーキング工程と、上記命令取得工程によって取得した命令に基づいて、上記オブジェクト色情報によって示された色の上記描画オブジェクトが配置されたビットマップ画像のデータを作成する画像作成工程と、上記画像作成工程によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記マーキング工程によってマーキングされた上記描画オブジェクトを構成する画素である被マーク画素を同定する同定工程と、上記画像作成工程によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記同定工程によって同定された被マーク画素のそれぞれを注目画素とし、該注目画素に隣接する画素を少なくとも含む周辺画素が有彩色を有している場合にのみ、該注目画素の画素カラー濃度値を上記周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更する色変更工程とを含んでいることを特徴とする。
【0034】
上記構成によれば、色調の変化を抑制しつつ色ずれを防止することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明では、描画オブジェクトがラスタ画像でないと判定され、かつ、黒色であると判定された場合に、該描画オブジェクトをマーキングし、ビットマップ画像において、マーキングされた該描画オブジェクトを構成する被マーク画素を同定し、同定した被マーク画素のそれぞれを注目画素とし、該注目画素に隣接する画素を少なくとも含む周辺画素が有彩色を有している場合にのみ、該注目画素の画素カラー濃度値を上記周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更する構成となっているので、上述したように、色調の変化を抑制しつつ色ずれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の一実施形態について図1から図8に基づいて説明すると以下の通りである。
【0037】
本実施形態では、本発明に係る画像処理装置をレーザプリンタの画像処理部に適用した例について説明するが、本発明はこれに限定されず、デジタル複合機またはデジタル複写機などの他の画像形成装置の画像処理部に適用してもよいし、画像処理のみを行う装置に適用してもよい。
【0038】
図2は、本実施形態の画像形成装置10の概略構造を示す縦断面図である。画像形成装置10は、装置外部から与えられる印刷用データに基づいて、フルカラーまたはモノクロの画像を用紙Pに形成するものである。フルカラー画像を用紙Pに形成する際、画像形成装置10は、ブラック(K)、ならびに減法混色の3原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)からなる4つの色相のビットマップ画像(プレーン)のデータに基づいて、ブラックトナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびイエロートナー像を別々の感光体に形成し、これらを重ねて用紙Pに転写する。そのため、画像形成装置10は、4組の感光体ドラム12a〜12d、現像装置13a〜13d、トナーカートリッジ23a〜23d、帯電ローラおよびクリーニングユニットを備えている。これらの部材のうち、符号aが付くものはブラック画像の形成に使用され、符号bが付くものはシアン画像の形成に使用され、符号cが付くものはマゼンタ画像の形成に使用され、符号dが付くものはイエロー画像の形成に使用される。
【0039】
また、画像形成装置10は、さらに、露光ユニット19、中間転写ベルト11、定着ユニット21、用紙さばきローラ16、給紙トレイ17、および排紙トレイ18を備えている。以下では、上述した部材をまとめて画像形成部40と称することもある。また、図2では、用紙Pの搬送路が一点鎖線で示されており、搬送ローラを含む所定のローラ等によって用紙Pがこの搬送経路を導かれる。
【0040】
帯電ローラは、像の担持体である感光体ドラム12a〜12dの表面を所定の電位になるよう均一に帯電させる接触方式の帯電器である。なお、本実施形態では帯電装置として上記帯電ローラを使用しているが、使用される帯電装置は上記帯電ローラに限定されるものではなく、例えばファーブラシ、磁気ブラシ、コロナワイヤーを使用するものや、ノコ歯状のもの、またはイオン発生装置等、感光体に対して所望の帯電電位を付与するものであれば使用可能である。
【0041】
レーザビーム走査装置である露光ユニット19は、半導体レーザ15、ポリゴンミラーおよび複数の反射ミラー等を含んでおり、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色相の画像データに基づいて変調された4つのレーザビームのそれぞれを、対応する感光体ドラム12a〜12dの表面に照射する。これにより、感光体ドラム12a〜12dの表面には、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの各色相の画像データに基づいた静電潜像が形成される。なお、上記半導体レーザの代わりに、例えばELやLEDなどをアレイ状に配列した周知の書込みヘッドを使用してもよい。
【0042】
トナーカートリッジ23a〜23dは、現像装置13a〜13dの上部近傍に着脱自在に取り付けられており、ブラック、シアン、マゼンタ、またはイエローのトナーを貯留する。
【0043】
現像装置13a〜13dは、静電潜像が形成された感光体ドラム12a〜12dの表面にトナーを供給し、静電潜像を顕像化してトナー像を形成する。具体的には、現像装置13a〜13dは、上部に取り付けられたトナーカートリッジ23a〜23dの図示されない供給口から各色トナーを受け取り、このトナーにより感光体ドラム12a〜12dに形成された各静電潜像をブラック、シアン、マゼンタ、またはイエローの色相に対応したトナー像に顕像化する。また、クリーニングユニットは、現像および画像転写後における感光体ドラム12a〜12dの表面に残留したトナーを除去し回収する。
【0044】
中間転写ベルト11は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムが無端状に形成された構造であって、駆動ローラおよび従動ローラによって張架され、図1に示すようなループ状の移動経路を形成している。この中間転写ベルト11の外周面は、感光体ドラム12a〜12dと対向しており、カラー画像の形成時には、感光体ドラム12d、感光体ドラム12c、感光体ドラム12b、感光体ドラム12aの順番でこれらの感光体ドラムから中間転写ベルトにトナー像が転写される。
【0045】
この中間転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム12a〜12dに対向するそれぞれの位置には、一次転写ローラが配置されている。これらの一次転写ローラは、直径8〜10mmの金属製(例えばステンレス製)の軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDMや発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト11に対して均一に高電圧を印加することができる。なお、ここではローラ形状であるものとしたが、ブラシなどであってもよい。
【0046】
フルカラー画像を形成する場合、感光体ドラム12a〜12dの表面に担持されたトナー像を中間転写ベルト11上に転写するために、一次転写ローラには、トナーの帯電極性(−)と逆極性(+)の定電圧である一次転写バイアスが印加される。またこの一次転写ローラは、中間転写ベルト11の内周面に所定のニップ圧で圧接されている。これにより、感光体ドラム12a〜12dに形成された各色相のトナー像は中間転写ベルト11の外周面に順次重ねられるように転写され、フルカラーのトナー像が形成される。また、モノクロ画像を形成する場合には、ブラックの感光体ドラム12aに対向する位置に配置される一次転写ローラのみが帯電し、その他の感光体ドラム12b〜12dに対向する位置に配置される一次転写ローラは帯電せず、所定の離接機構により中間転写ベルト11から所定距離だけ離される。このことにより、中間転写ベルト11の外周面にはブラックのトナー像のみが形成される。
【0047】
このように中間転写ベルト11の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11の回転によって、二次転写ローラ14と対向する位置に搬送される。二次転写ローラ14は、画像形成時において、内周面が駆動ローラの周面に接触する中間転写ベルト11の外周面に所定のニップ圧で圧接されている。なお、このように圧接する場合、1対のローラの一方は金属等の硬質材料からなり、他方は弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等の弾性材料からなる。
【0048】
用紙Paを収納する給紙カセットから用紙Paを一枚ずつ引き出す用紙さばきローラ16により給紙される用紙は、二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間を通過する際に、トナーの帯電極性とは逆極性の高電圧を二次転写ローラ14によって印加される。これにより、中間転写ベルト11の外周面から用紙の表面にフルカラーまたはモノクロのトナー像が転写される。なお、中間転写ベルト11に付着したトナーのうち用紙上に転写されることなく中間転写ベルト11上に残存したトナーは、混色を防止するため、従動ローラに摺接するよう設けられるクリーニングブレードを含むクリーニングユニットによって回収される。
【0049】
このフルカラーまたはモノクロ画像であるトナー像が転写された用紙は、定着ユニット21に導かれ、定着ユニット21を構成する加熱ローラと加圧ローラとの間を通過して加熱および加圧を受ける。なお、加熱ローラは、制御部が図示しない温度検出器からの信号に基づいて所定の定着温度となるように制御する。この定着ユニット21の動作によって、トナー像は、用紙の表面に堅牢に定着する。トナー像が定着した用紙Pbは、排紙ローラによって排紙トレイ18上に(印刷面を下側に向けて)排出される。
【0050】
以上の画像形成動作は、図示しない電動モータやギヤなどを含む複数の駆動部と、これらの駆動部を制御する制御部とにより行われ、上記制御部の機能は、図示されないセンサや操作入力部などの情報を受け付けるマイクロコンピュータにより実現される。以下、この制御部を含む本画像形成装置の構成について説明する。
【0051】
図3は、本実施形態の画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、外部のコンピュータ端末であるデータ処理装置2等から所定の通信回線を介して与えられる印刷用データを受け取り、受け取った印刷用データに応じた画像を用紙P上に形成する。
【0052】
なお、上記印刷用データは、具体的には画像形成装置10において解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)により記述されるデータを含むファイルである。また、画像形成装置10とデータ処理装置2とは、所定の通信ケーブルやハブなどからなるLAN(Local Area Network)5により相互に通信可能に接続される。なお、このLAN5に代えて、WAN(Wide Area Network)やインターネットなど周知の相互通信網またはUSB(Universal Serial Bus)接続や各種パラレルインターフェイスなどの通信接続手段が使用されてもよい。
【0053】
画像形成装置10は、プリンタコントローラ(基板)100、液晶ディスプレイなどからなる表示装置とタッチパネルやボタンなどからなる入力装置とを含む操作表示部20、ディスク状の磁気記憶媒体を含むハードディスク記憶装置(以下「ハードディスク」または「HDD」と略称する)30、および、用紙に画像を形成して当該用紙を装置外へ排出するための画像形成部40を備えている。
【0054】
画像形成部40は、ビデオコントローラ115を介して印刷のためのビットマップ画像データを受け取り、対応する画像を所定の用紙上に形成する。なお、画像形成部40における画像形成機構の詳細な構成については、図2を参照して説明したとおりである。
【0055】
図1に示されるように、プリンタコントローラ100は、CPU(Central Processing Unit )101、メモリ(半導体メモリ)102、操作表示部20との接続インターフェイスである操作表示部インターフェイス112、ハードディスク30との接続インターフェイスであるハードディスクインターフェイス113、バンドデータを圧縮または伸張する圧縮伸張回路114、画像形成部40との接続インターフェイスであるビデオコントローラ115、LAN5を介してデータ処理装置2との間で通信を行うネットワークインターフェイス116とを備える。
【0056】
なお、上記CPU101と、自由に読み書き可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)および読み出し専用のメモリであるROM(Read Only Memory)からなるメモリ102と、上記各種インターフェイス112・113・115・116とは、それぞれ所定のバス(メモリバス、システムバス、またはペリフェラルバスなど)で接続されている。これらのバスによる接続は一般的なコンピュータにおける周知の構成であるためその詳しい説明は省略する。
【0057】
プリンタコントローラ100は、対象となる文書の画像を光学的に読み取る図示されないスキャナユニットにより読み取られた画像を所定の用紙上に形成して出力するいわゆる複写機能や、外部のデータ処理装置2から受け取った印刷用データ(画像データ)を所定の用紙上に形成して出力するいわゆるプリンタ機能などを実現するために、図示しないスキャナユニットや画像形成部40を制御する役割も有している。
【0058】
図1は、本実施形態の画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像形成装置10は、機能ブロックとして、データ受信部(命令取得手段)51、PDL解析部52、被マーク画素同定部(同定手段)61、輪郭処理部(色変更手段)63、および画像形成制御部65を備えている。これらの各機能ブロックのうち、データ受信部51、PDL解析部52、被マーク画素同定部61、および輪郭処理部63は、画像処理部50を構成する。そして、PDL解析部52は、より詳細には、判定部(属性判定手段・色判定手段)53、色空間変換部(マーキング手段)55、中間コード生成部57、およびビットマップ画像生成部(画像作成部)59を有している。以上の機能ブロックは、図2のCPU101がメモリ102にロードされたプログラムを実行することによって実現される。
【0059】
データ受信部51は、図2のネットワークインターフェイス116を制御して、データ処理装置2からLAN5を介して印刷用データを受信するものである。PDL解析部52は、データ受信部51が受信した印刷用データを解析してビットマップ画像を生成するインタプリタである。
【0060】
印刷用データは、上述したようにPDLによって記述されており、PDLとしては、例えばESC/P(登録商標:Epson Standard Code for Printer)、PS(登録商標:PostScript)、PCL(登録商標:Printer Control Language)などを用いることができる。PDLで記述された印刷用データは、基本的に、オブジェクトの描画を命令するPDLコマンドの集合によって構成され、個々のPDLコマンドには、描画オブジェクトの種類を指定する属性情報、および描画オブジェクトの色を指定する色情報などが含まれる。
【0061】
描画オブジェクトは、概略的に、テキストオブジェクト、グラフィックスオブジェクト、ラスタ画像オブジェクトの3種類に分類される。テキストオブジェクトは、図示しない記憶部に格納されたフォントデータを用いて描画される文字列である。描画オブジェクトがテキストオブジェクトの場合、属性情報には、テキストオブジェクトであることを示す情報やフォントの種類を指定する情報などが含まれる。また、グラフィックスオブジェクトは、直線、円、多角形またはそれらの組み合わせなどの幾何学図形である。描画オブジェクトがグラフィックスオブジェクトの場合、属性情報には、直線、円、または多角形などを指定する情報などが含まれる。ラスタ画像オブジェクトは、例えばデジタルカメラで撮影した写真画像やスキャナで取り込んだ原稿画像などのビットマップ画像である。ただし、本明細書では区別のために、描画オブジェクトとして扱われるビットマップ画像のことをラスタ画像という。描画オブジェクトがラスタ画像オブジェクトの場合、属性情報には、ラスタ画像オブジェクトであることを示す情報やラスタ画像の実データの格納位置を示すポインタ情報などが含まれる。
【0062】
また、PDLコマンドでは、描画オブジェクトの色がRGB色空間によって指定される。RGB色空間によって色を表現する場合、色情報には、R(赤)の輝度値、G(緑)の輝度値、B(青)の輝度値が含まれる。本実施形態では、R,G,Bの各輝度値が0から255までの値を取ることができるものとする。この場合、R=G=B=0は黒を示し、R=G=B=255は白を示す。
【0063】
判定部53は、データ受信部51が受信した印刷用データに含まれる個々のPDLコマンドを解析し、該コマンドに含まれる属性情報に基づいて描画オブジェクトの種類を判定するものである。判定部53はまた、印刷用データに含まれる色情報に基づいて、描画オブジェクトの色を判定するものでもある。
【0064】
色空間変換部55は、RGB色空間によって表現された描画オブジェクトの色情報(RGB色情報)を、CMYK色空間によって表現された色情報(CMYK色情報)に変換する。CMYK色情報には、C(シアン)の濃度値、M(マゼンタ)の濃度値、Y(イエロー)の濃度値、K(ブラック)の濃度値が含まれる。本実施形態では、C,M,Y,Kの各濃度値が0から255までの値を取ることができるものとする。
【0065】
ここで、上記判定部53によって描画オブジェクトがラスタ画像オブジェクトでなく(すなわちテキストオブジェクトまたはグラフィックスオブジェクトであり)、かつ、黒色(R=G=B=0)であると判定された場合には、色空間変換部55は、色空間の変換を行う際に、特別に、該描画オブジェクトの色情報をC=M=Y=K=255(最大値)とする。これは、該描画オブジェクトが後述する輪郭処理の対象となることを示すためのマーキング処理の意味を持つ。
【0066】
これに対して、上記判定部53によって描画オブジェクトがラスタ画像であると判定された場合、あるいは、描画オブジェクトの色情報がR=G=B=0でないと判定された場合には、上記のマーキング処理を行わず、RGB色空間によって表現された色情報を、適切な関数またはテーブルを用いて、CMYK色空間によって表現された色情報に変換する。
【0067】
中間コード生成部57は、データ受信部51が受信した印刷用データに基づいて、中間コードを生成する。ただし、描画オブジェクトの色については、印刷用データに含まれるRGB色空間で表現された色情報ではなく、色空間変換部55によって生成された、CMYK色空間によって表現された色情報に基づいて判断する。
【0068】
ビットマップ画像生成部59は、中間コード生成部57によって生成された中間コードに基づいて、ビットマップ画像のデータを作成する。作成されたビットマップ画像は、印刷用データに含まれていたPDLコマンドに従って各描画オブジェクトが配置された画像となる。このビットマップ画像のデータでは、各画素の色が上述したCMYK色空間によって表現される。よって、このデータは、C,M,Y,Kの4色のプレーンを示すデータであるともいえる。以下では、各部がこれら4つのプレーンを合成したビットマップ画像を扱う構成として記載するが、4つの独立したプレーンを扱う構成であっても実質的に同義である。
【0069】
被マーク画素同定部61は、ビットマップ画像生成部59が生成したビットマップ画像において、色空間変換部55によってマーキングされた描画オブジェクト(被マークオブジェクト)を構成する画素(被マーク画素)を同定するものである。具体的には、被マーク画素同定部61は、C,M,Y,Kの濃度値が最大値(ここでは255)の画素を探索する。
【0070】
輪郭処理部63は、ビットマップ画像生成部59が作成したビットマップ画像において、被マークオブジェクトの輪郭処理を行い、輪郭処理が施されたビットマップ画像のデータを作成するものである。具体的には、輪郭処理部63は、被マークオブジェクトに含まれる被マーク画素のそれぞれを注目画素とし、該注目画素の周辺画素が有彩色を有している場合にのみ、注目画素の画素カラー濃度値を周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更する。なお、周辺画素とは、注目画素と隣接する隣接画素を少なくとも1つ含む画素または画素の集合のことをいう。
【0071】
ところで、ビットマップ画像生成部59によって生成されたビットマップ画像において、注目画素はC,M,Yの濃度値がマーキングのために最大値(ここでは255)になっている。そこで、全ての周辺画素が無彩色である場合、輪郭処理部63は、注目画素のC,M,Yの濃度値を0(最小値)にすることによって、被マーク画素であることを示すマーキングを解除する。
【0072】
画像形成制御部65は、輪郭処理が施されたビットマップ画像のデータに含まれるC,M,YおよびKプレーンのデータに基づいて画像形成部40を制御し、各プレーンのデータに応じたトナー像が重ね合わされたカラー画像を用紙P上に形成する。
【0073】
次に、画像形成装置10の動作について説明する。図4および図5は、本実施形態の画像形成装置10によって行われる印刷処理の工程を示すフロー図である。また、図6は、図5のステップS39の詳細な工程を示すフロー図である。
【0074】
図4に示すように、まず、データ受信部51が、ネットワークインターフェイス116を制御して、PDLにて記述された印刷用データを外部のデータ処理装置2から受信する(S11)。すると、PDL解析部52は、データ受信部51が受信した印刷用データを取得して、先頭から順にPDLコマンドの解析を行う(S13)。
【0075】
このとき、PDL解析部52の判定部53は、PDLコマンドに含まれる属性情報を参照し、描画オブジェクトの種類を判定する(S15)。ここで、描画オブジェクトがラスタ画像オブジェクトである場合(S15にてYes)、色空間変換部55が、PDLコマンドに含まれるRGB色情報をCMYK色情報に変換する(S21)。一方、描画オブジェクトがテキストオブジェクトまたはグラフィックスオブジェクトの場合(S15にてNo)、判定部53は、PDLコマンドに含まれる色情報を参照し、描画オブジェクトが黒(R=G=B=0)であるか否かを判定する(S19)。ここで、描画オブジェクトが黒でない場合(S17にてNo)、上述したステップS21に進み、色空間の変換を行う。一方、描画オブジェクトが黒である場合(S17Yes)、色空間変換部55は、該描画オブジェクトのCMYK色情報をC=M=Y=K=255にセットする(S19)。
【0076】
ステップS19またはS21の後、中間コード生成部57が、PDLコマンドと色空間変換部55によって作成されたCMYK色情報とを参照し、中間コードを生成する。そして、さらにPDLコマンドがある場合は(S25にてYes)ステップS13に戻り、ステップS13からステップS23を繰り返す。そして、全てのPDLコマンドの解析が済むと(S25にてNo)、ビットマップ画像生成部59が、中間コード生成部57によって生成された中間コードからビットマップ画像のデータを作成する(S27)。
【0077】
次に、ビットマップ画像生成部59によって作成されたビットマップ画像の1つの画素を被マーク画素同定部61が選択し、これを注目画素とする(S29)。以下では、注目画素におけるC,M,Y,Kの濃度値をそれぞれPCc,PCm,PCy,PCkとする。まず、被マーク画素同定部61は、PCkの値を参照し(S31)、該値が255であるか否かを判定する(S33)。
【0078】
ここで、PCkの値が255でない場合(S33にてNo)、この注目画素はマーキングされた描画オブジェクトを構成する被マーク画素ではないと判断され、ステップS41に進む。一方、PCkの値が255である場合(S33にてYes)、被マーク画素同定部61は、PCc,PCm,PCyの値を参照し、PCc=PCm=PCy=255であるか否かを判定する(S35)。そして、PCc=PCm=PCy=255でない場合(S35にてNo)、この注目画素は被マーク画素ではないと判断され、ステップS41に進む。一方、PCc=PCm=PCy=255である場合(S35にてYes)、この注目画素は被マーク画素であると判断され、この被マーク画素について輪郭処理部63が後述する輪郭処理を行う(S39)。そして、ステップS41に進む。
【0079】
ステップS41では、現在の注目画素がビットマップ画像における最後の画素であるか否かが判定される(S41)。ここで、現在の注目画素が最後の画素でない場合(S41にてNo)には、注目画素を1つずらして(S43)ステップS31に戻り、上述したステップS31〜S41を繰り返す。そして、ビットマップ画像に含まれる全ての画素についてステップS31〜S41の処理が行われると(S41にてYes)、得られたビットマップ画像に対応するトナー画像を画像形成部40が用紙P上に形成する(S45)。そして、処理が完了する。
【0080】
次に、輪郭処理について詳述する。輪郭処理では、まず図7に示すように、輪郭処理部63が、注目画素と隣接する隣接画素のC,M,Y,Kの濃度値を参照する(S101)。以下では、図7に示すように、注目画素の左隣の隣接画素のC,M,Y,Kの濃度値をそれぞれPLc,PLm,PLy,PLkとし、注目画素の上隣の隣接画素のC,M,Y,Kの濃度値をそれぞれPTc,PTm,PTy,PTkとし、注目画素の右隣の隣接画素のC,M,Y,Kの濃度値をそれぞれPRc,PRm,PRy,PRkとし、注目画素の下隣の隣接画素のC,M,Y,Kの濃度値をそれぞれPBc,PBm,PBy,PBkとする。
【0081】
そして、輪郭処理部63は、4つの隣接画素のうち、いずれか1つでも有彩色を有するものがあるか否かを判定する(S103)。ここでは、隣接画素のC,M,Yの濃度値がいずれか1つでも閾値以上である場合に、隣接画素が有彩色を有していると判定されるものとする。例えば、C,M,Yの濃度値の閾値をそれぞれnThrsC,nThrsM,nThrsYとしたとき、次の条件式(1)
(PLc<nThrsC) and (PLm<nThrsM) and (PLy<nThrsY) …(1)
が真の場合には、この左側の隣接画素は有彩色でないと判定され、この条件式が偽の場合には、この左側の隣接画素が有彩色であると判定される。
【0082】
このように、隣接画素が有彩色であるか否かを判定する際に、閾値を導入することによって、色ずれによる白い隙間が目立たないような薄い濃度については色ずれ防止処理を行わないようにすることが可能になる。
【0083】
ただし、隣接画素のC,M,Y,Kの濃度値がいずれも255の場合、この隣接画素は本来黒いオブジェクトを構成するべき被マーク画素であるため、有彩色でないと判定される。このことは他の工程でも同様である。
【0084】
ステップS103において、いずれの隣接画素も有彩色を有していないと判定された場合、注目画素には色ずれ防止処理が施されず、マーキングを解除するために、輪郭処理部63が注目画素のC,M,Yの濃度値を0に変更する(S111)。その結果、この注目画素はKの濃度値のみを有する黒画素となる。そして、この注目画素に対する輪郭処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS103において、いずれかの隣接画素が有彩色を有していると判定された場合、輪郭処理部63は、有彩色を有する隣接画素が1つか複数かを判定し(S105)、判定結果に応じた処理を行う。ここで、有彩色を有する隣接画素が1つのみの場合、輪郭処理部63は、有彩色を有しない他の3つの隣接画素がいずれも白であるか否かを判定する(S107)。ここでは、上述したS103と同様に、隣接画素のKの濃度値が閾値未満の場合に、隣接画素が白であると判定されるものとする。
【0086】
そして、ステップS107において、有彩色を有しない他の3つの隣接画素がいずれも白であると判定された場合、ステップS111に進み、輪郭処理部63は、注目画素のC,M,Yの濃度値を0に変更し、この注目画素に対する輪郭処理を終了する。
【0087】
一方、ステップS107において、有彩色を有しない他の3つの隣接画素のいずれかが白でないと判定された場合、輪郭処理部63は、有彩色を有する隣接画素のC,M,Yの濃度値を、注目画素のC,M,Yの濃度値にコピーする。その結果、この注目画素では、Kのトナーに、隣接画素と同じ濃度の有彩色のトナーが重ね合わされることになる。
【0088】
また、ステップS105において、複数の隣接画素が有彩色を有している場合、輪郭処理部63は、有彩色を有する隣接画素同士の濃度差を算出する(S113)。例えば、左側の隣接画素と右側の隣接画素とが有彩色を有している場合、この2つの隣接画素の間で、C,M,Yの濃度値の差をそれぞれ算出する。この濃度値の差は、隣接画素同士の有彩色の類似度・相違度を示すものである。Cの濃度値の差をΔC、Mの濃度値の差をΔM、Yの濃度値の差をΔYとすると、ΔC,ΔM,ΔYは、
ΔC=絶対値(PLc−PRc)
ΔM=絶対値(PLm−PRm)
ΔY=絶対値(PLy−PRy)
と表される。
【0089】
そして、輪郭処理部63は、算出したΔC,ΔM,ΔYに基づいて、有彩色を有する隣接画素の有彩色が類似しているか否かを判定する。具体的には、ΔC,ΔM,ΔYを閾値と比較し、ΔC,ΔM,ΔYの全てが閾値以下の場合に、2つの隣接画素の濃度差が閾値以下であり、有彩色が類似していると判定する(S115にてYes)。
【0090】
なお、例えば、左側、上側、右側の隣接画素が有彩色を有している場合、上記の差(ΔC,ΔM,ΔY)を、左側の隣接画素と上側の隣接画素との間、左側の隣接画素と右側の隣接画素との間、および、上側の隣接画素と左側の隣接画素との間で算出し、全ての差が閾値以下である場合に、隣接画素の有彩色が類似していると判定する。
【0091】
また、上下左右全ての隣接画素が有彩色を有している場合、隣接画素の全ての組み合わせについて上記の差を算出し、全ての差が閾値以下である場合に、隣接画素の有彩色が類似していると判定する。
【0092】
有彩色の隣接画素が類似していると判定された場合、輪郭処理部63は、有彩色を有している隣接画素のCの濃度値の平均値、Mの濃度値の平均値、Yの濃度値の平均値をそれぞれ算出する。そして、輪郭処理部63は、注目画素のC,M,Yの濃度値を、算出したC,M,Yの濃度値の平均値に変更する。そして、輪郭処理を終了する。
【0093】
また、ステップS115において、隣接画素同士が類似の有彩色を有していないと判定された場合、輪郭処理部63は、有彩色を有する隣接画素のうち、有彩色の濃度が最も低い(すなわちC,M,Yの濃度値が最も小さい)隣接画素を選択し、注目画素のC,M,Yの濃度値を、選択した隣接画素のC,M,Yの濃度値に変更する。そして、輪郭処理を終了する。
【0094】
以上のように、輪郭処理部63の処理により、黒い描画オブジェクトのエッジ部分を構成する画素のうち、有彩色の背景などと隣接する画素には、背景のC,M,Yの濃度値に基づいた濃度値が与えられるので、最終的に形成されるカラー画像では、Kトナーと、C,Mおよび/またはYトナーとが重ねられる。それゆえ、たとえ転写ずれが生じても、黒オブジェクトと有彩色の背景との間に白い隙間が生じるのを防止することができる。
【0095】
図8は、上記の効果を説明する模式図である。図8は、有彩色の背景上に、黒で塗りつぶされた円を描画した画像を示している。図8において、黒領域はベタで表現され、有彩色領域は斜線で表現されている。
【0096】
色ずれ防止処理を行わない場合、図8の左図に示すように、有彩色のプレーン(C,MおよびYプレーン)では、黒い円オブジェクトに対応する領域が全て白色(C=M=Y=0)となる。従って、転写ずれが少しでも生じると、背景と黒い円オブジェクトの間に隙間が生じてしまう。
【0097】
これに対して、本実施形態の構成によれば、図8の右図に示すように、有彩色のプレーン(C,MおよびYプレーン)のうち、黒い円オブジェクトのエッジ領域に対応する領域が白色とはならず、周辺の有彩色に基づいた色となる。従って、たとえ転写ずれが生じたとしても、背景と黒い円オブジェクトの間に隙間を生じることがない。
【0098】
一方、黒い描画オブジェクトを構成する画素であっても、エッジ領域以外の画素や、有彩色の背景などと隣接しない画素については、C,M,Yの濃度値が0となるので、KトナーとC,Mおよび/またはYトナーとが重ねられることによる色調の劣化を防止することができる。
【0099】
また、描画オブジェクトが写真データなどのラスタ画像の場合には、輪郭処理が行われないので、写真に含まれる黒画素の色調が劣化することもない。
【0100】
さらに、輪郭処理の際に、複数の隣接画素が有彩色を有し、それらの色が類似している場合には、注目画素のC,M,Yの濃度値を隣接画素の平均値にするため、転写ずれが生じたとしても、エッジ領域の画素が周囲の画素の色と調和し、違和感のない画像になる。また、輪郭処理において、複数の隣接画素が有彩色を有し、それらの色が大きく相違している場合には、最も濃度の低い隣接画素のC,M,Y値を注目画素のC,M,Yの濃度値にするため、転写ずれが生じたとしても、エッジ領域の画素が周囲の画素の色と調和し、違和感のない画像になる。
【0101】
なお、上記の実施形態では、色空間変換部55が、ステップS17において、描画オブジェクトの色情報がR=G=B=0である場合にのみ該描画オブジェクトが黒色と判断する構成であったが、本発明はこれに限定されず、描画オブジェクトの色情報が無彩色でかつ所定の濃度以上(所定の明度以下)の黒色を示すものである場合に、この描画オブジェクトを黒色と判断してもよい。このようにすれば、画像中の一定濃度以上の黒色領域に、有彩色のトナーを重ねることができる。
【0102】
この場合、色空間変換部55は、ステップS17において、まず、描画オブジェクトの色情報を、RGB色空間からCMYK色空間に変換する。そして、変換後の色情報において、C,MおよびYの濃度値がいずれも0で、かつ、Kの濃度値が閾値(例えば200など)以上の場合に、この描画オブジェクトを黒色と判断し、この描画オブジェクトの色情報のうち、C,MおよびYの濃度値を最大値(255)に変更する。そして、ステップS33において、被マーク画素同定部61は、注目画素のKの濃度値が上記閾値(上述の例では200)以上であるか否かを判定し、閾値以上の場合にステップS37に進み、閾値未満の場合にステップS41に進む。
【0103】
また、上記の実施形態では、注目画素と隣接する隣接画素が有彩色である場合にのみ、注目画素のC,MおよびYの濃度値を有彩色の隣接画素のC,MおよびYの濃度値に基づいた値にしたが、本発明はこれに限定されず、隣接画素を含む所定領域の画素(周辺画素)が有彩色を有するか否かに応じて、注目画素のC,MおよびYの濃度値を、周辺画素のC,MおよびYの濃度値に基づいた値に変更してもよい。
【0104】
最後に、画像形成装置10の各機能ブロック、特にデータ受信部51、判定部53、色空間変換部55、中間コード生成部57、ビットマップ画像生成部59、被マーク画素同定部61、輪郭処理部63、および画像形成制御部65は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
すなわち、画像形成装置10は、上述したように、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU101と、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)として機能するメモリ102とを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像形成装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0106】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0107】
また、画像形成装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0108】
本発明は上述した実施形態(及び実施例)に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0109】
また、本明細書で示した数値範囲以外であっても、本発明の趣旨に反しない合理的な範囲であれば、本発明に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、例えば、カラーレーザプリンタ、カラー複写機、カラー複合機、カラースキャナなど、カラー画像に対して画像処理を行う画像処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであり、画像形成装置の要部構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すものであり、画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであり、画像形成方法の処理工程の前半を示すフロー図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すものであり、画像形成方法の処理工程の後半を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態を示すものであり、図5のステップS39の詳細な処理工程を示すフロー図である。
【図7】画素値の定義を示す模式図である。
【図8】本発明の効果を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0112】
10 画像形成装置
40 画像形成部
50 画像処理部(画像処理装置)
51 データ受信部(命令取得手段)
53 判定部(属性判定手段・色判定手段)
55 色空間変換部(マーキング手段)
59 ビットマップ画像生成部(ビットマップ画像作成手段)
61 被マーク画素同定部(同定手段)
63 輪郭処理部(色変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素について有彩色の濃度を示す画素カラー濃度値と無彩色の濃度を示す画素黒濃度値とが示されたビットマップ画像のデータを作成する画像処理装置であって、
画像中に描画オブジェクトを配置するよう指示する命令であって、該描画オブジェクトの種類を示す属性情報と該描画オブジェクトの色を示すオブジェクト色情報とを含む命令を取得する命令取得手段と、
上記命令取得手段の取得した命令に含まれる属性情報に基づいて、上記描画オブジェクトがラスタ画像であるか否かを判定する属性判定手段と、
上記命令取得手段の取得した命令に含まれるオブジェクト色情報に基づいて、上記描画オブジェクトが黒色であるか否かを判定する色判定手段と、
上記描画オブジェクトが上記属性判定手段によってラスタ画像でないと判定され、かつ、上記色判定手段によって黒色であると判定された場合に、該描画オブジェクトをマーキングするマーキング手段と、
上記命令取得手段の取得した命令に基づいて、上記オブジェクト色情報によって示された色の上記描画オブジェクトが配置されたビットマップ画像のデータを作成する画像作成手段と、
上記画像作成手段によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記マーキング手段によってマーキングされた上記描画オブジェクトを構成する画素である被マーク画素を同定する同定手段と、
上記画像作成手段によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記同定手段によって同定された被マーク画素のそれぞれを注目画素とし、該注目画素に隣接する画素を少なくとも含む周辺画素が有彩色を有している場合にのみ、該注目画素の画素カラー濃度値を上記周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更する色変更手段とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記マーキング手段は、黒濃度値、シアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を含み上記描画オブジェクトの色を示すCMYK色情報を上記オブジェクト色情報に基づいて作成するとともに、上記描画オブジェクトが上記属性判定手段によってラスタ画像でないと判定され、かつ、上記色判定手段によって黒色であると判定された場合に、上記CMYK色情報に含まれるシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を最大値に設定し、
上記画像作成手段は、描画オブジェクトが画像中に配置され、かつ、各画素の色が上記黒濃度値、シアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値によって示されたビットマップ画像のデータを、上記命令取得手段の取得した命令および上記マーキング手段によって作成されたCMYK色情報に基づいて作成し、
上記同定手段は、画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値の全てが最大値であるか否かに基づいて上記被マーク画素を同定し、
上記色変更手段は、上記周辺画素が有彩色を有している場合に、上記注目画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を該周辺画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値に基づいた値に変更する一方、上記周辺画素が有彩色を有していない場合に、上記注目画素のシアン濃度値、マゼンタ濃度値およびイエロー濃度値を最小値に変更することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記色変更手段は、上記周辺画素が所定の濃度以上の有彩色を有している場合にのみ、上記注目画素の画素カラー濃度値を上記周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記周辺画素は複数の隣接画素を含み、
上記色変更手段は、上記周辺画素に含まれる複数の隣接画素のうち、2つ以上の隣接画素が有彩色を有している場合に、注目画素の画素カラー濃度値を、有彩色を有する上記隣接画素の画素カラー濃度値の平均値に変更することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記周辺画素は複数の隣接画素を含み、
上記色変更手段は、上記周辺画素に含まれる複数の隣接画素のうち、2つ以上の隣接画素が有彩色を有している場合に、注目画素の画素カラー濃度値を、有彩色を有する上記隣接画素のうち、最も有彩色の濃度が低い隣接画素の画素カラー濃度値に変更することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記色判定手段は、上記オブジェクト色情報が所定の濃度以上の黒色を示す場合に、上記描画オブジェクトが黒色であると判定することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記属性判定手段は、上記命令取得手段の取得した命令に含まれる属性情報に基づいて、上記描画オブジェクトがテキストであるか否かを判定し、
上記マーキング手段は、上記描画オブジェクトが上記属性判定手段によってテキストであると判定され、かつ、上記色判定手段によって黒色であると判定された場合に、上記描画オブジェクトをマーキングすることを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像処理装置と、
上記画像処理装置によって作成されたビットマップ画像のデータに応じたトナー画像をシートに形成する画像形成部とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
各画素について有彩色の濃度を示す画素カラー濃度値と無彩色の濃度を示す画素黒濃度値とが示されたビットマップ画像のデータを作成する画像処理方法であって、
画像中に描画オブジェクトを配置するよう指示する命令であって、該描画オブジェクトの種類を示す属性情報と該描画オブジェクトの色を示すオブジェクト色情報とを含む命令を取得する命令取得工程と、
上記命令取得工程によって取得した命令に含まれる属性情報に基づいて、上記描画オブジェクトがラスタ画像であるか否かを判定する属性判定工程と、
上記命令取得工程によって取得した命令に含まれるオブジェクト色情報に基づいて、上記描画オブジェクトが黒色であるか否かを判定する色判定工程と、
上記描画オブジェクトが上記属性判定工程によってラスタ画像でないと判定され、かつ、上記色判定工程によって黒色であると判定された場合に、該描画オブジェクトをマーキングするマーキング工程と、
上記命令取得工程によって取得した命令に基づいて、上記オブジェクト色情報によって示された色の上記描画オブジェクトが配置されたビットマップ画像のデータを作成する画像作成工程と、
上記画像作成工程によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記マーキング工程によってマーキングされた上記描画オブジェクトを構成する画素である被マーク画素を同定する同定工程と、
上記画像作成工程によってデータが作成されたビットマップ画像において、上記同定工程によって同定された被マーク画素のそれぞれを注目画素とし、該注目画素に隣接する画素を少なくとも含む周辺画素が有彩色を有している場合にのみ、該注目画素の画素カラー濃度値を上記周辺画素の画素カラー濃度値に基づいた値に変更する色変更工程とを含んでいることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−131606(P2008−131606A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317763(P2006−317763)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】