説明

画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理システム

【課題】高精度な裏写り除去が行える画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理システムを提供する。
【解決手段】画像処理装置100は、読み取り部115を備える装置であって、両面印刷された印刷物Pの印刷面を読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像Gaと鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像Gbとを取得する印刷面読み取り手段11と、取得された光沢度画像Gbに基づき、印刷面ごとのマスク画像Gcを生成するマスク画像生成手段12と、生成されたマスク画像Gcを用いて、取得された濃度画像Gaに対してマスク処理を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像Gdを生成する裏写り除去手段13と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面印刷における読み取り画像の裏写り除去技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
両面印刷された印刷物は、表面と裏面とをスキャナなどの読み取り装置で読み取ると、表面の読み取り画像に、裏面の印刷情報が含まれてしまう裏写りという現象が発生する場合がある。このような裏面の印刷情報(裏写りした情報)は、不必要な情報であることから、読み取り画像から除去(以下「裏写り除去」という)する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、紙面の透過率に基づき設定した閾値を用いて、裏写り除去する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、閾値の設定によって、読み取り画像から裏写りした情報を除去できない場合があった。
【0005】
除去精度を向上させるためには、適切な閾値を設定する必要がある。しかし、読み取り装置には、読み取り条件や読み取り特性などがあり、これらの条件や特性も考慮した上で、適切な閾値を設定することは困難である。そのため、従来の方法では、精度の高い裏写り除去を行えていなかった。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、高精度な裏写り除去が行える画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、読み取り部を備える画像処理装置であって、両面印刷された印刷物の印刷面を読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像と鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像とを取得する印刷面読み取り手段と、取得された光沢度画像に基づき、印刷面ごとのマスク画像を生成するマスク画像生成手段と、生成されたマスク画像を用いて、取得された濃度画像に対してマスク処理を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像を生成する裏写り除去手段と、を有している。
【0008】
このような構成によって、本発明に係る画像処理装置は、印刷面の形状(印刷されている部分や印刷されていない部分)などの特徴を表す光沢度画像からマスク画像を生成し、生成したマスク画像を用いて、紙面上の色(濃度)などの特徴を表す濃度画像に対してマスク処理を行う。
【0009】
これによって、本発明に係る画像処理装置では、両面印刷の読み取り画像に対して、高精度な裏写り除去が行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷面の形状(印刷されている部分や印刷されていない部分)などの特徴を表す光沢度画像からマスク画像を生成し、生成したマスク画像を用いて、紙面上の色(濃度)などの特徴を表す濃度画像に対してマスク処理を行うことで、高精度な裏写り除去が行える画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るスキャナのハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る両面印刷された印刷面の状態例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像処理機能の機能構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る裏写り除去の処理手順例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る印刷面から読み取られた濃度画像例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る印刷面から読み取られた光沢度画像例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る光沢度画像からマスク画像を生成する動作例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るマスク画像を用いて裏写りを除去する動作例を示す図である。
【図10】画像処理機能が動作する画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【図11】画像処理システムのシステム構成例を示す図である。
【図12】画像処理システムを構成する情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図13】画像処理システムにおける機能構成例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る両面印刷された印刷面の状態例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る画像処理機能の機能構成例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る裏写り除去の処理手順例を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る印刷面から読み取られた濃度画像例を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る印刷面から読み取られた光沢度画像例を示す図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係る光沢度画像からマスク画像を生成する動作例を示す図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る画像処理機能の機能構成例を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施形態に係る印刷品質検査の処理手順例を示すフローチャートである。
【図22】検査システムのシステム構成例を示す図である。
【図23】検査システムにおける機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
<ハードウェア構成>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、コントローラ110及びスキャナ115などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0014】
スキャナ115は、印刷物を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する読み取り装置である。
【0015】
《スキャナの構成》
ここで、本実施形態に係るスキャナ115の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るスキャナ115のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、スキャナ115は、第1の照明装置1151、第2の照明装置1152、ラインセンサカメラ1153、搬送装置1154、及び基準板1155などを備えている。このような構成により、スキャナ115では、次のような読み取り動作が行われる。
【0016】
まず、スキャナ115は、給紙トレイなどに印刷物Pがセットされ、読み取り開始の指示を受け付けると、搬送装置1154が回転駆動し、搬送方向Vに沿って、印刷物Pが基準板1155の上を移動する。その間、スキャナ115では、第1の照明装置1151及び第2の照明装置1152が点灯し、移動中の印刷物Pにおける読み取り領域Aからの反射光を、ラインセンサカメラ1153により受光する。これにより、スキャナ115では、受光結果に基づく読み取り画像が生成される。
【0017】
なお、本実施形態では、2つの照明装置1151,1152を備えており、ラインセンサカメラ1153により、2種類の反射光(鏡面反射光及び拡散反射光)を受光する。
【0018】
まず、第1の照明装置1151は、読み取り領域Rの読み取り面に対して、角度R1で光が入射する位置に設けられている。一方、第2の照明装置1152は、読み取り領域Rの読み取り面に対して、垂直方向の位置に設けられている。また、ラインセンサカメラ1153は、第1の照明装置1151から読み取り領域Rの読み取り面に入射した光の反射光を受光する位置に設置されている。つまり、ラインセンサカメラ1153は、入射角度R1と同一の角度R2で反射した光を受光する位置に設けられている。
【0019】
このような構成により、スキャナ115では、照明装置1151から読み取り領域Rを通過する印刷面に対して入射した光が、ラインセンサカメラ1153により鏡面反射光として受光される。また、スキャナ115では、照明装置1152から読み取り領域Rを通過する印刷面に対して入射した光が、ラインセンサカメラ1153により拡散反射光として受光される。
【0020】
図1の説明に戻る。コントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)111、記憶装置112、ネットワークI/F113、及び外部記憶I/F114などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0021】
記憶装置112は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び/又はHDD(Hard Disk Drive)などを含み、各種プログラムやデータを格納し保持する装置である。CPU111は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行する(読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。よって、上述したスキャナ115が備える各ハードウェアは、CPU111により制御される。
【0022】
ネットワークI/F113は、画像処理装置100をネットワークなどの所定のデータ伝送路に接続するインタフェースである。これにより、画像処理装置100は、ネットワークI/F113を介して、通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。外部記憶I/F114は、外部記憶装置にあたる記録媒体114aとのインタフェースである。記録媒体114aには、例えば、SDメモリカード(SD memory card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。これにより、画像処理装置200は、外部記憶I/F114を介して、記録媒体114aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0023】
以上のように、画像処理装置100では、上記ハードウェア構成により、印刷物Pの印刷面を光学的に読み取るといった各種画像処理サービスを提供することができる。
【0024】
<画像処理機能>
本実施形態に係る画像処理機能について説明する。
本実施形態に係る画像処理装置100では、両面印刷された印刷物Pの印刷面(表面・裏面)を光学的に読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像と鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像とを取得する。画像処理装置100は、取得した光沢度画像に基づき、印刷面ごとのマスク画像を生成する。画像処理装置100は、生成したマスク画像を用いて、取得した濃度画像に対してマスク処理を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像を生成する。本実施形態に係る画像処理装置100は、このような画像処理機能を有している。
【0025】
従来では、紙面の透過率に基づき設定した閾値を用いて、裏写り除去を行っているが、閾値の設定によって、読み取り画像から裏写りした情報を除去できない場合があった。なぜなら、読み取り装置には、読み取り条件や読み取り特性などがあり、これらの条件や特性も考慮した上で、適切な閾値を設定することは困難なためである。そのため、従来の方法では、精度の高い裏写り除去を行えていなかった。
【0026】
そこで、本実施形態に係る画像処理装置100では、印刷面の形状(印刷されている部分や印刷されていない部分)などの特徴を表す光沢度画像からマスク画像を生成し、生成したマスク画像を用いて、紙面上の色(濃度)などの特徴を表す濃度画像に対してマスク処理を行う仕組みとした。
【0027】
上述したように、本実施形態に係る画像処理装置100では、鏡面反射光と拡散反射光を受光する。拡散反射とは、鏡面反射を除いた拡散的な光の反射である(詳細は「JIS Z8741」を参照)。よって、拡散反射光は、物体の色に影響を受ける。このような特性から、通常、読み取り装置では、拡散反射光を受光し、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像を読み取り画像として取得している。しかし、両面印刷された印刷物Pを読み取った場合には、読み取り印刷面(表面)に透過した裏面の印刷情報(裏写りした情報)が拡散反射光に影響し、取得した読み取り画像(濃度画像)に含まれてしまい、裏写り現象が発生する。
【0028】
図3は、本実施形態に係る両面印刷された印刷面の状態例を示す図である。
(A)は、印刷面の表面P1にあたり、(B)は、裏面P2にあたる。(A)に示すように、印刷面の表面P1には、裏面の「う」が透過している(参照符号C1)。一方、(B)に示すように、印刷面の裏面P2には、表面P1の「お」が透過している(参照符号C2)。このように、読み取り印刷面(表面)に透過した裏面P2の印刷情報(裏写りした情報)は、印刷面の表面P2の拡散反射光に影響し、裏写り現象となる。
【0029】
一方、鏡面反射とは、鏡の面で反射したように反射の法則に従った光の反射である(詳細は「JIS Z8741」を参照)。よって、鏡面反射光は、物体表面の形状で変化し、物体の色に影響を受けない。つまり、鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像は、物体の色を正確に表現できないが、読み取り印刷面(表面)に透過した裏面P2の印刷情報(裏写りした情報)が鏡面反射光に影響しないため、取得した読み取り画像(光沢度画像)に含まれず、裏写り現象が発生しない。
【0030】
本実施形態では、上記2つの反射光の特性に着目し、両面印刷における読み取り画像の裏写り除去を行う。すなわち、本実施形態では、鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像と、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像と、の2つの読み取り画像を用いて、印刷面における印刷情報に対応する読み取り画素と、裏写りした情報に対応する読み取り画素と、を判別し、マスク処理により裏写り除去を行う。
【0031】
これにより、本実施形態に係る画像処理装置100では、両面印刷の読み取り画像に対して、高精度な裏写り除去が行える。
【0032】
以下に、本実施形態に係る画像処理機能の構成とその動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る画像処理機能の機能構成例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る画像処理機能は、印刷面読み取り部11、マスク画像生成部12、及び裏写り除去部13などを有している。
【0033】
印刷面読み取り部11は、印刷物Pの印刷面を光学的に読み取り、読み取り画像を取得する機能部である。印刷面読み取り部11は、スキャナ115により、印刷物Pの印刷面を読み取る。その結果、印刷面読み取り部11は、鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像と、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像の2種類の読み取り画像を取得する。なお、印刷面読み取り部11は、印刷面の表面P1と裏面P2との両方を読み取った場合、印刷面ごとに光沢度画像及び濃度画像を取得する(合計4つの画面を取得する)ことになる。
【0034】
マスク画像生成部12は、裏写り除去するためのマスク画像を生成する機能部である。マスク画像生成部12は、印刷面読み取り部11により取得された2種類の読み取り画像のうち、光沢度画像に基づき、マスク画像を生成する。なぜなら、上述したように、光学度画像には、読み取り印刷面(表面)に透過した裏面P2の印刷情報(裏写りした情報)が鏡面反射光に影響しないからである。
【0035】
例えば、印刷面上の印刷された部分(印刷部分)は、トナーが圧着していることから平坦な形状となっている。一方、印刷されていない部分(紙面部分)は、繊維面であることから凹凸のある形状となっている。このような場合、鏡面発射光は、印刷部分の方が紙面部分に比べて高い反射率となる。よって、光沢度画像では、印刷部分にあたる画素が紙面部分にあたる画素より、強い強度を表していることになる。
【0036】
マスク画像生成部12は、このような特性から、光沢度画像の画素領域のうち、強度が強い画素領域を印刷部分として特定し、マスク画像を生成する。生成されるマスク画像は、例えば、特定した印刷部分にあたる画素値を'1'、その他の画素値を'0'とした画像などである。つまり、マスク画像は、マスク処理において、残したい画素と除去したい画素に応じて、各画素値が決定される。なお、マスク画像生成部12は、印刷面読み取り部11により印刷面ごとに読み取り画像が取得された場合、印刷面に対応する各光沢度画像に基づき、印刷面ごとのマスク画像を生成する(合計2つのマスク画像を生成する)ことになる。
【0037】
裏写り除去部13は、印刷面読み取り部11により取得された濃度画像から、裏写りした情報を除去し、裏写り除去画像を生成する機能部である。裏写り除去部13は、マスク画像生成部12により生成されたマスク画像を用いて、濃度画像に対してマスク処理を行い、裏写り除去画像を生成する。なお、裏写り除去部13は、印刷面が対応する濃度画像とマスク画像との組み合わせでマスク処理を行う。また、ここで言う「マスク処理」とは、2つの画像のうち、同じ位置の画素値(又は画素値群)を論理積演算する処理である。つまり、例えば、上記に示したマスク画像を用いて、濃度画像に対してマスク処理を行った場合には、濃度画像に含まれる裏写りした情報にあたる画素値は、マスク画像の画素値'0'と論理積演算されるため除去される。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る画像処理機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る画像処理機能は、画像処理装置100に搭載(インストール)されるプログラム(画像処理機能を実現するソフトウェア)が、演算装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0039】
本実施形態に係る画像処理機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。なお、処理中の使用画像例及び画像処理の動作例を図6〜図9を用いて説明する。
【0040】
《裏写り除去処理の動作》
図5は、本実施形態に係る裏写り除去の処理手順例を示すフローチャートである。
図5に示すように、画像処理装置100は、印刷面読み取り部11により、両面印刷された印刷物Pの印刷面(表面・裏面)を読み取り、印刷面ごとの濃度画像及び光沢度画像を取得する(ステップS101)。
【0041】
図6は、本実施形態に係る印刷面から読み取られた濃度画像例を示す図である。
(A)には、印刷面の表面P1から読み取られた濃度画像Ga1、(B)には、印刷面の裏面P2から読み取られた濃度画像Ga2が示されている。印刷面読み取り部11は、このような印刷面ごとの濃度画像Ga1,Ga2(以下総称する場合「濃度画像Ga」という)を取得する。
【0042】
図7は、本実施形態に係る印刷面から読み取られた光沢度画像例を示す図である。
(A)には、印刷面の表面P1から読み取られた光沢度画像Gb1、(B)には、印刷面の裏面P2から読み取られた光沢度画像Gb2が示されている。印刷面読み取り部11は、このような印刷面ごとの光沢度画像Gb1,Gb2(以下総称する場合「光沢度画像Gb」という)を取得する。
【0043】
図5の説明に戻る。次に、画像処理装置100は、マスク画像生成部12により、印刷面ごとに取得された各光沢度画像Gb1,Gb2に基づき、裏写り除去のマスク処理で用いるマスク画像を生成する(ステップS102)。具体的には、次の通りである。
【0044】
図8は、本実施形態に係る光沢度画像Gb1,Gb2からマスク画像Gc1,Gc2を生成する動作例を示す図である。
(A)には、印刷面の表面P1から読み取られた光沢度画像Gb1から生成したマスク画像Gc1、(B)には、印刷面の裏面P2から読み取られた光沢度画像Gb2から生成したマスク画像Gc2が示されている。図8に示すように、マスク画像生成部12は、印刷面ごとに取得された各光沢度画像Gb1,Gb2の画素のうち、強度が強い画素領域(図中の白文字「お」「う」)を印刷部分として特定し、特定した印刷部分にあたる画素値を'1'、その他の画素値を'0'としたマスク画像Gc1,Gc2を生成する。マスク画像生成部12は、このようにして印刷面ごとのマスク画像Gc1,Gc2(以下総称する場合「マスク画像Gc」という)を生成する。
【0045】
図5の説明に戻る。次に、画像処理装置100は、裏写り除去部13により、印刷面ごとに生成された各マスク画像Gc1,Gc2を用いて、印刷面ごとに取得された各濃度画像Ga1,Ga2に対して、マスク処理を行う(ステップS103)。具体的には、次の通りである。
【0046】
図9は、本実施形態に係るマスク画像Gcを用いて裏写りを除去する動作例を示す図である。
(A)には、印刷面の表面P1に対応するマスク画像Gc1を用いて生成した裏写り除去画像Gd1、(B)には、印刷面の裏面P2に対応するマスク画像Gc2を用いて生成した裏写り画像Gd2が示されている。図9に示すように、裏写り除去部13は、印刷面ごとに取得された各濃度画像Ga1,Ga2の画素値(又は画素値群)に対して、印刷面に対応して生成された各マスク画像Gc1,Gc2の同位置にあたる画素値(又は画素値群)で論理積演算し、裏写り除去画像Gd1,Gd2を生成する。裏写り除去部13は、このようにして印刷面ごとの裏写り除去画像Gd1,Gd2(以下総称する場合「裏写り画像Gd」という)を生成し、読み取り画像から裏写りした情報を除去する。
【0047】
なお、上記に示したマスク画像生成処理及びマスク処理は、印刷面ごとに並列処理を行うようにしてもよい。このようにすることで、画素(又は画素群)単位での画像処理を高速化できる。
【0048】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置100によれば、印刷面読み取り部11により、両面印刷された印刷物Pの印刷面(表面・裏面)を光学的に読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像Gaと鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像Gbとを取得する。画像処理装置100は、マスク画像生成部12により、取得された光沢度画像Gbに基づき、印刷面ごとのマスク画像Gcを生成する。画像処理装置100は、裏写り除去部13により、生成されたマスク画像Gcを用いて、取得された濃度画像Gaに対してマスク処理(論理積演算)を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像Gdを生成する。
【0049】
これによって、本実施形態に係る画像処理装置100では、両面印刷の読み取り画像に対して、高精度な裏写り除去が行える。
【0050】
また、特許第4265421号公報には、裏面P2が印刷された表面P1の読み取り画像(濃度画像)と、裏面P2が印刷されていない表面P1の読み取り画像とを用いて、裏写りを軽減する技術が開示されている。この場合、印刷面の読み取り工程は、まず、表面P1を印刷し表面P1を読み取り、次に、裏面P2を印刷し再び表面P1を読み取ることになる。よって、上記特許文献に開示される技術では、印刷面の読み取り工程において、複数の読み取り装置が必要となり、印刷物Pを複雑な経路で搬送しなければならない。そのため、紙詰まりといった故障が発生しやすい。また、複数の読み取り装置を用いる場合には、キャリブレーションや位置合わせなどの調整処理を装置単位で行う必要がある。そのため、大量の印刷物Pに対して(例えば「商業印刷などの検査現場」では)、裏写り除去処理を行う場合、処理が複雑になる。
【0051】
これに対して、本実施形態の場合には、両面印刷された印刷物Pに対して、表面P1と裏面P2ごとに読み取り工程を実施すればよく、上記特許文献に開示される技術に比べて、簡単な仕組みで実現でき、かつ複雑な処理を行う必要もない。このように、本実施形態では、大量の印刷物Pに対しても、高精度な裏写り除去処理を効率的に行うことができる。
【0052】
<変形例>
ここで、上記実施形態に対する変形例を説明する。
【0053】
《変形例1》
上記実施形態では、画像読み取り機能を有する(スキャナを備えた)画像処理装置100を画像処理機能が動作するハードウェア環境として説明したが、この限りでない。例えば、図10に示すように、画像読み取り機能の他に印刷機能を有する(プロッタを備えた)MFP(Multifunction Peripheral)などの画像形成装置であってもよい。
【0054】
図10は、画像処理機能が動作する画像形成装置200のハードウェア構成を示す図である。
図10に示すように、画像形成装置200は、コントローラ210、操作パネル220、プロッタ230、及びスキャナ115などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0055】
操作パネル220は、入力部や表示部を備えており、機器情報などの各種情報を利用者に提供したり、動作設定や動作指示などの各種利用者操作を受け付けたりする入力・表示装置である。プロッタ230は、画像形成部を備えており、用紙に出力画像を形成する印刷装置である。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。
【0056】
コントローラ210は、CPU211、記憶装置212、ネットワークI/F213、及び外部記憶I/F214などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0057】
記憶装置211は、RAM、ROM、及びHDDなどを含み、各種プログラムやデータを格納及び/又は保持する装置である。CPU212は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行する(記憶装置から読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0058】
ネットワークI/F213は、画像形成装置200をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、画像形成装置200は、ネットワークI/F213を介して、通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。外部記憶I/F214は、外部記憶装置にあたる記録媒体214aとのインタフェースである。記録媒体214aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。これにより、画像形成装置200は、外部記憶I/F214を介して、記録媒体214aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0059】
以上のように、画像形成装置200では、上記ハードウェア構成により、上記実施形態に係る画像処理機能を実現するソフトウェアを演算装置で実行することにより、各種画像処理サービスを提供することができる。
【0060】
《変形例2》
また、上記実施形態に係る画像処理機能は、次のような装置構成のシステムによっても実現可能である。
【0061】
図11は、画像処理システム1010のシステム構成例を示す図である。
図11に示すように、本変形例に係る画像処理システム1010は、スキャナ115と情報処理装置300とが、所定のデータ伝送路N(例えば「ネットワークケーブル」や「シリアル/パラレルケーブル」など)で接続されている。
【0062】
情報処理装置300は、演算機能及び入出力機能などを有する機器であり、例えば、PC(Personal Computer)などである。ハードウェア構成は、次の通りである。
【0063】
図12は、画像処理システム1010を構成する情報処理装置300のハードウェア構成例を示す図である。
図12に示すように、情報処理装置300は、入力装置301、表示装置302、ドライブ装置303、RAM304、ROM305、CPU306、インタフェース装置307、及びHDD(Hard Disk Drive)308などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0064】
入力装置301は、キーボードやマウスなどを含み、情報処理装置300に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置302は、ディスプレイなどを含み、情報処理装置300による処理結果を表示する。
【0065】
インタフェース装置307は、情報処理装置300をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、情報処理装置300は、インタフェース装置307を介して、通信機能を有するスキャナ115とデータ通信を行うことができる。
【0066】
HDD308は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及びシステム上において各種機能(例えば「画像処理機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD308は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0067】
ドライブ装置303は、着脱可能な記録媒体303aとのインタフェースである。これにより、情報処理装置300は、ドライブ装置303を介して、記録媒体303aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体303aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。
【0068】
ROM305は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM305には、情報処理装置300の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM304は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。CPU306は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM(メモリ)上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0069】
よって、本変形例に係る画像処理機能は、上記システム構成及びハードウェア構成から、次のような機能構成となる。
【0070】
図13は、画像処理システム1010における機能構成例を示す図である。
図13に示すように、本変形例に係る画像処理機能では、スキャナ115が印刷面読み取り部11などを有し、情報処理装置300がマスク画像生成部12及び裏写り除去部13などを有している。
【0071】
これにより、本変形例に係る画像処理システム1010では、次のようなデータ処理が行われる。まず、スキャナ115は、印刷面読み取り部11により、印刷物Pの印刷面を読み取り、読み取り画像(濃度画像及び光沢度画像)を取得する。スキャナ115は、取得した読み取り画像を、データ伝送路Nを介して情報処理装置300へと転送する。情報処理装置300は、マスク画像生成部12により、転送された光沢度画像Gbに基づき、印刷面ごとのマスク画像Gcを生成する。情報処理装置300は、裏写り除去部13により、マスク画像Gcを用いて、濃度画像Gaに対してマスク処理を行い、裏写り除去画像Gdを生成する。
【0072】
以上のように、画像処理システム1010では、上記各装置の機能構成により、上記実施形態に係る画像処理機能を実現する。具体的には、スキャナ115及び情報処理装置300において、画像処理機能を実現するソフトウェアを、各装置が備える演算装置で実行することにより実現する。
【0073】
また、本変形例に係る画像処理システム1010では、1台の情報処理装置300に対して、複数台のスキャナ115を接続することで、複数の印刷物Pに対して行う裏写り除去を並列処理することもでき、大量の印刷物Pに対しても、高精度な裏写り除去処理を効率的に行うことができる。
【0074】
なお、上記機能構成では、スキャナ115が印刷面読み取り部11などを有し、情報処理装置300がマスク画像生成部12及び裏写り除去部13などを有する構成について説明を行ったが、この限りでない。例えば、スキャナ115が印刷面読み取り部11及びマスク画像生成部12などを有し、情報処理装置300が裏写り除去部13を有する構成であってもよい。この場合、スキャナ115から情報処理装置300に対して、印刷面ごとの濃度画像Ga及び印刷面に対応して生成されたマスク画像Gcが転送される。
【0075】
[第2の実施形態]
印刷物の印刷面には、例えば、図14に示すような印刷データにない情報が印刷されてしまう場面がある。つまり、印刷汚れが発生することが考えられる。これは、印刷部材(例えば「感光体」や「転写ベルト」など)や搬送部材(例えば「用紙搬送ベルト」)などの汚れにより発生する現象である。
【0076】
図14は、本実施形態に係る両面印刷された印刷面の状態例を示す図である。
(A)は、印刷面の表面P1にあたり、(B)は、裏面P2にあたる。(A)に示すように、印刷面の表面P1には、印刷データにない情報が印刷されている(参照符号D1)。そのため、(B)に示すように、印刷面の裏面P2には、表面P1の印刷データにない情報が透過し、裏写り現象が発生している(参照符号C3)。このような印刷汚れは、印刷品質の低下を招き、商業印刷などの場合には、早い段階でその原因を特定し、クリーニングなどの対応を行う必要がある。
【0077】
そこで、本実施形態では、裏写り除去だけでなく、印刷面上の汚れ(印刷部分における印刷データにはない情報)を特定する技術について提案するものである。
【0078】
なお、以降の説明では、上記実施形態と異なる点についてのみ説明し、同じ点については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
<画像処理機能>
図15は、本実施形態に係る画像処理機能の機能構成例を示す図である。
図4と図15との違いは、原稿画像入力部14を有する点である。
原稿画像入力部14は、印刷した場合に印刷物Pを得る元データの入力を受け付ける機能部である。ここで言う「元データ」とは、例えば、印刷物Pの印刷面に対応する印刷データをリッピングした画像データである。なお、以下の説明では、この元データを原稿画像という。また、原稿画像入力部14は、印刷面の表面P1と裏面P2とのそれぞれに対応する原稿画像の入力を受け付ける(合計2つの画面を取得する)ことになる。
【0080】
また、本実施形態に係るマスク画像生成部12は、領域判別部121、印刷マスク画像生成部122、及び非印刷マスク画像生成部123などを有している。
【0081】
領域判別部121は、印刷物Pの印刷面における印刷部分において、印刷データにある情報が印刷された領域(以下「印刷情報領域」という)と、印刷データにない情報が印刷された領域(以下「非印刷情報領域」という)と、を判別する機能部である。つまり、領域判別部121は、印刷部分における非印刷情報領域を特定する。
【0082】
領域判別部121は、印刷面読み取り部11により取得された印刷面ごとの各光沢度画像Gb1,Gb2と、原稿画像入力部14により受け付けた印刷面ごとの各原稿画像とを、画素(又は画素群)単位で比較し、比較結果に基づき、印刷情報領域と非印刷情報領域とを判別する。具体的には、次の通りである。
【0083】
領域判別部121は、光沢度画像Gbと原稿画像との同じ位置の画素(又は画素群)において、ともに画素値を有する場合、印刷情報領域と判別する。一方、光沢度画像Gbと原稿画像との同じ位置の画素(又は画素群)において、光沢度画像Gbのみ画素値を有する場合には、非印刷情報領域と判別する。
【0084】
これにより、マスク画像生成部12は、領域判別部121の判別結果に基づき、印刷情報領域のマスク画像(以下「印刷マスク画像」という)と、非印刷情報領域のマスク画像(以下「非印刷マスク画像」という)とを生成する。
【0085】
印刷マスク画像生成部122は、上記印刷マスク画像を生成する機能部である。また、非印刷マスク画像生成部123は、上記非印刷マスク画像を生成する機能部である。
【0086】
印刷マスク画像生成部122は、領域判別部121の判別結果に基づき、光沢度画像Gbの印刷部分における印刷情報領域を特定し、印刷マスク画像を生成する。生成される印刷マスク画像は、例えば、特定した印刷情報領域の画素値を'1'、その他の画素値を'0'とした画像などである。つまり、印刷マスク画像は、マスク処理において、非印刷情報領域が除去され、印刷情報領域のみを抽出する画像となる。
【0087】
一方、非印刷マスク画像生成部123は、領域判別部121の判別結果に基づき、光沢度画像Gbの印刷部分における非印刷情報領域を特定し、非印刷マスク画像を生成する。生成される非印刷マスク画像は、例えば、特定した非印刷情報領域の画素値を'1'、その他の画素値を'0'とした画像などである。つまり、非印刷マスク画像は、マスク処理において、印刷情報領域が除去され、非印刷情報領域のみを抽出する画像となる。
【0088】
なお、マスク画像生成部12は、印刷面読み取り部11により印刷面ごとに読み取り画像が取得された場合、印刷面に対応する各光沢度画像Gb1,Gb2に基づき、印刷面ごとに印刷マスク画像及び/又は非印刷マスク画像を生成することになる。また、非印刷マスク画像は、領域判別部121が非印刷情報領域を判別した場合にのみ生成されることから、マスク画像生成部12では、印刷マスク画像のみ生成される場合がある。よって、生成されるマスク画像Gcは、最大4つとなる。
【0089】
裏写り除去部13は、このようにして生成されたマスク画像Gcを用いて、印刷面読み取り部11により取得された印刷面ごとの各濃度画像Ga1,Ga2に対して、マスク処理を行う。これにより、本実施形態に係る裏写り除去部13では、印刷マスク画像を用いて印刷面ごとの印刷情報領域の抽出画像(以下「印刷情報領域画像」という)が生成され、非印刷マスク画像を用いて印刷面ごとの非印刷情報領域の抽出画像(以下「非印刷情報領域画像」という)が生成される。つまり、印刷マスク画像を用いて印刷面ごとの裏写り除去が行われ、非印刷マスク画像を用いて読み取り画像内の非印刷情報領域が抽出される。
【0090】
以上のように、本実施形態に係る画像処理機能は、上記各機能部が他の機能部と連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る画像処理機能も、第1の実施形態と同様に、画像処理装置100に搭載されるプログラムが、演算装置により、記憶装置からメモリ上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0091】
本実施形態に係る画像処理機能の詳細な動作について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。なお、処理中の使用画像例及び画像処理の動作例を図17〜図19を用いて説明する。
【0092】
《裏写り除去処理の動作》
図16は、本実施形態に係る裏写り除去の処理手順例を示すフローチャートである。
図16に示すように、画像処理装置100は、原稿画像入力部14により、印刷物Pの原稿画像の入力を受け付ける(ステップS201)。
【0093】
次に、画像処理装置100は、印刷面読み取り部11により、両面印刷された印刷物Pの印刷面を読み取り、印刷面ごとの濃度画像Ga及び光沢度画像Gbを取得する(ステップS202)。
【0094】
図17は、本実施形態に係る印刷面から読み取られた濃度画像例を示す図である。
(A)には、印刷面の表面P1から読み取られた濃度画像Ga1、(B)には、印刷面の裏面P2から読み取られた濃度画像Ga2が示されている。印刷面読み取り部11は、このような印刷面ごとの濃度画像Ga1,Ga2を取得する。また、表面P1の濃度画像Ga1には、印刷データにない情報が含まれており、裏面P2の濃度画像Ga2には、拡散反射光の特性から、裏写りした情報が含まれている。
【0095】
図18は、本実施形態に係る印刷面から読み取られた光沢度画像例を示す図である。
(A)には、印刷面の表面P1から読み取られた光沢度画像Gb1、(B)には、印刷面の裏面P2から読み取られた光沢度画像Gb2が示されている。印刷面読み取り部11は、このような印刷面ごとの光沢度画像Gb1,Gb2を取得する。また、表面P1の光沢度画像Gb1には、印刷データにない情報が含まれており、裏面P2の光沢度画像Gb2には、鏡面反射光の特性から、裏写りした情報が含まれない。
【0096】
図16の説明に戻る。次に、画像処理装置100は、マスク画像生成部12の領域判別部121により、印刷面ごとに取得された各光沢度画像Gb1,Gb2と、印刷面ごとに受け付けた各原稿画像と、に基づき、印刷物Pの印刷面における印刷部分において、印刷情報領域と非印刷情報領域とを判別する(ステップS203)。このとき、領域判別部121は、各光沢度画像Gb1,Gb2と各原稿画像とを画素(又は画素群)単位で比較し、比較結果に基づき、印刷情報領域と非印刷情報領域とを判別する。
【0097】
次に、画像処理装置100は、マスク画像生成部12の印刷マスク画像生成部122及び/又は非印刷マスク画像生成部123により、印刷面ごとに取得された各光沢度画像Gb1,Gb2と、印刷面ごとに受け付けた各原稿画像と、に基づき、次処理のマスク処理で用いる印刷マスク画像及び/又は非印刷マスク画像を生成する(ステップS203)。具体的には、次の通りである。
【0098】
図19は、本実施形態に係る光沢度画像Gb1,Gb2からマスク画像Gc11,Gc12,Gc21を生成する動作例を示す図である。
(A)には、印刷面の表面P1から読み取られた光沢度画像Gb1及び印刷面の表面P1に対応する原稿画像Ge1から生成した印刷マスク画像Gc11及び非印刷マスク画像Gc12が示されている。また、(B)には、印刷面の裏面P2から読み取られた光沢度画像Gb2及び印刷面の裏面P2に対応する原稿画像Ge2から生成した印刷マスク画像Gc21が示されている。
【0099】
(A)に示すように、表面P1の場合には、領域判別部121により、光沢度画像Gb1と原稿画像Ge1とが画素(又は画素群)単位で比較され、比較結果から、表面P1の印刷部分における印刷情報領域と非印刷情報領域とが判別される。これを受けて、マスク画像生成部12では、印刷マスク画像生成部122及び非印刷マスク画像生成部123が機能する。よって、印刷マスク画像生成部122では、光沢度画像Gb1の印刷部分における印刷情報領域を特定し、特定した印刷情報領域の画素値を'1'、その他の画素値を'0'とした印刷マスク画像Gc11を生成する。また、非印刷マスク画像生成部123では、光沢度画像Gb1の印刷部分における非印刷情報領域を特定し、特定した非印刷情報領域の画素値を'1'、その他の画素値を'0'とした非印刷マスク画像Gc12を生成する。
【0100】
一方、(B)に示すように、裏面P2の場合には、領域判別部121により、光沢度画像Gb2と原稿画像Ge2とが画素(又は画素群)単位で比較され、比較結果から、裏面P2の印刷部分における印刷情報領域のみが判別される。これを受けて、マスク画像生成部12では、印刷マスク画像生成部122のみが機能する。よって、印刷マスク画像生成部122では、光沢度画像Gb2の印刷部分における印刷情報領域を特定し、特定した印刷情報領域の画素値を'1'、その他の画素値を'0'とした印刷マスク画像Gc21を生成する。マスク画像生成部12は、このようにして印刷面ごとのマスク画像Gc11,Gc12,Gc21を生成する。
【0101】
図16の説明に戻る。次に、画像処理装置100は、裏写り除去部13により、印刷面ごとに生成された各マスク画像Gc11,Gc12,Gc21を用いて、印刷面ごとに取得された各濃度画像Ga1,Ga2に対して、マスク処理(画素値又は画素値群の論理積演算)を行う(ステップS205)。これにより、画像処理装置100では、印刷面ごとの裏写り除去画像Gd(印刷情報領域画像)及び/又は非印刷情報領域画像が生成される。具体的には、次の通りである。
【0102】
例えば、上記処理では、印刷面の表面P1に対して、印刷マスク画像Gc11及び非印刷マスク画像Gc12の2つのマスク画像が生成されている。よって、裏写り除去部13では、印刷マスク画像Gc11を用いたマスク処理の実行により、表面P1の裏写り除去画像Gd1が生成される。また、非印刷マスク画像Gc12を用いたマスク処理により、表面P1の非印刷情報領域画像が生成される。
【0103】
一方、印刷面の裏面P2に対して、印刷マスク画像Gc21の1つのマスク画像が生成されている。よって、裏写り除去部13では、印刷マスク画像Gc21を用いたマスク処理の実行により、裏面P2の裏写り除去画像Gd2のみが生成される。
【0104】
このように、本実施形態に係る画像処理装置100では、読み取り画像から裏写りした情報を除去し、読み取り画像に含まれる印刷データにない情報が特定される。
【0105】
なお、上記に示した領域判別処理、マスク画像生成処理、及びマスク処理は、印刷面ごとに並列処理を行うようにしてもよい。さらに、マスク画像生成処理、及びマスク処理は、判別された領域ごとに並列処理を行うようにしてもよい。このようにすることで、画素(又は画素群)単位での画像処理を高速化できる。
【0106】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置100によれば、印刷面読み取り部11により、両面印刷された印刷物Pの印刷面(表面・裏面)を光学的に読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像Gaと鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像Gbとを取得する。また、画像処理装置100は、原稿画像入力部14により、両面印刷された印刷物Pの元データである原稿画像Ge(印刷データをリッピングした画像データ)の入力を受け付ける。
【0107】
画像処理装置100は、マスク画像生成部12により、取得された光沢度画像Gbと受け付けた原稿画像Geとの比較結果に基づき、印刷部分における印刷情報領域(印刷データにある情報が印刷された領域)と非印刷情報領域(印刷データにない情報が印刷された領域)とを判別する。画像処理装置100は、マスク画像生成部12により、取得された光沢度画像Gbと判別結果とに基づき、印刷面ごとのマスク画像(印刷情報領域の印刷マスク画像及び/又は非印刷情報領域の非印刷マスク画像)Gcを生成する。
【0108】
画像処理装置100は、裏写り除去部13により、生成されたマスク画像Gcを用いて、取得された濃度画像Gaに対してマスク処理(論理積演算)を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像Gd(印刷情報領域画像)及び/又は非印刷情報領域画像を生成する。
【0109】
これによって、本実施形態に係る画像処理装置100では、裏写り除去だけでなく、印刷面上の汚れ(印刷部分における印刷データにはない情報)を特定できる。
【0110】
また、本実施形態では、印刷汚れの特定結果を印刷機にフィードバックすることで、原因解析やクリーニングといった対応を迅速に促すことができる。
【0111】
[第3の実施形態]
商業印刷では、品質管理が厳しく行われる。例えば、印刷物が意図した通りに印刷(高品質に印刷)されたか否かの確認作業が行われ、その工程で厳しく検査される。確認作業では、作業員の目視による検査が行われるが、商業印刷の場合、大量に印刷されることが考えられ、人による作業は非効率であり、かつ検査結果が一定でない(ムラが発生してしまう)点が懸念される。
【0112】
そこで、本実施形態では、裏写り除去及び印刷汚れ特定後に、これらの画像処理結果に基づき、印刷物を自動検査する技術について提案するものである。
【0113】
なお、以降の説明では、上記実施形態と異なる点についてのみ説明し、同じ点については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0114】
<画像処理後の検査機能>
図20は、本実施形態に係る画像処理機能の機能構成例を示す図である。
図15と図20との違いは、検査部15を有する点である。
検査部15は、裏写り除去画像Gd(印刷情報領域画像)と非印刷情報領域画像(非印刷情報領域の抽出画像)とに基づき、印刷物Pの品質検査を行う機能部である。具体的には、次の通りである。
【0115】
検査部15は、印刷物Pの印刷面における印刷部分の印刷情報領域に対して、品質検査を行う。検査部15は、裏写り除去部13により生成された印刷面ごとの各裏写り除去画像Gd1,Gd2(印刷情報領域画像)と、原稿画像入力部14により受け付けた印刷面ごとの各原稿画像Ge1,Ge2と、の画像特徴を比較し、比較結果が、予め設定しておいた品質基準の範囲内か否かを判定する。ここで言う「画像特徴」とは、例えば、色や濃度などであり、この場合の比較結果は、同じ位置の画素(又は画素群)の色差や濃度差などである。また、この場合の品質基準の範囲は、色差や濃度差の範囲となる。よって、検査部15は、色差や濃度差(画像特徴の差異)などが、設定される範囲内の値であれば、品質基準を満たしていると判定し、範囲外の値であれば、品質基準を満たしていないと判定する。
【0116】
また、検査部15は、裏写り除去部13により、印刷面に対応する非印刷情報領域画像が生成された場合、非印刷情報領域に対して、次のような品質検査を行う。検査部15は、非印刷情報領域画像(非印刷情報領域の抽出画像)に基づき、印刷面上の印刷汚れが、品質基準を満たす(クリアする)許容範囲の汚れか否かを判定する。この場合の品質基準は、非印刷情報領域の大きさ、非印刷情報にあたる画素(又は画素群)と近傍画素との色差や濃度差の範囲であり、許容範囲の上限を示す閾値が品質基準値となる。よって、検査部15は、非印刷情報領域の大きさ、色差、及び濃度差などが、設定される閾値以下であれば、品質基準をクリアできる汚れと判定し、閾値より大きければ、品質基準をクリアできない汚れと判定する。
【0117】
なお、上記品質基準の値には、スキャナ115の読み取り条件や読み取り特性などを考慮した値を設定することが望ましい。
【0118】
以上のように、本実施形態に係る検査機能は、上記機能部が画像処理機能の機能部と連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る検査機能は、画像処理装置100に搭載されるプログラム(検査機能を実現するソフトウェア)が、演算装置により、記憶装置からメモリ上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0119】
本実施形態に係る検査機能の詳細な動作について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下の処理手順では、スキャナ115により読み取られた印刷物Pを所定のトレイに仕分け可能な(仕分け機構搭載の)画像処理装置上で、上記検査機能が動作した場合を例に説明する。
【0120】
《印刷品質検査処理の動作》
図21は、本実施形態に係る印刷品質検査の処理手順例を示すフローチャートである。図21には、画像処理機能により、裏写り除去及び非印刷情報領域特定が行われた後の品質検査に係る処理手順例が示されている。
【0121】
図21に示すように、画像処理装置100は、検査部15により、印刷物Pの印刷面における印刷部分の印刷情報領域に対して、品質検査を行う(ステップS301)。このとき、検査部15は、裏写り除去部13により生成された印刷面ごとの各裏写り除去画像Gd1,Gd2と、原稿画像入力部14により受け付けた印刷面ごとの各原稿画像Ge1,Ge2と、の画像特徴の比較結果(差異)が、予め設定しておいた品質基準の範囲内か否かを判定する。その結果、検査部15では、品質基準の範囲内であれば、印刷物Pが品質基準を満たしていると判定し、範囲外であれば、印刷物Pが品質基準を満たしていないと判定する。
【0122】
次に、画像処理装置100は、裏写り除去部13により、印刷面に対応する非印刷情報領域画像が生成された場合、検査部15により、非印刷情報領域に対して、品質検査を行う(ステップS302)。このとき、検査部15は、非印刷情報領域画像に基づき、非印刷情報領域の大きさ、非印刷情報にあたる画素(又は画素群)と近傍画素との色差、及び濃度差などが、予め設定しておいた品質基準値(閾値)以下か否かを判定する。その結果、検査部15では、閾値以下であれば、品質基準をクリアできる汚れと判定し、閾値より大きければ、品質基準をクリアできない汚れと判定する。
【0123】
これにより、画像処理装置100では、印刷物Pを、上記検査結果(判定結果)に従って、異なるトレイへ排紙する(ステップS303)。例えば、本実施形態では、上記検査結果から、印刷物Pを、印刷情報領域が品質基準を満たしている物/満たしていない物/非印刷情報領域が品質基準の許容範囲内の物/許容範囲外の物の4つの品質に区分できる。よって、画像処理装置100では、該当した印刷物Pを、上記品質ごとに割り当てられた各トレイに仕分けする。
【0124】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置100によれば、検査部15により、裏写り除去後に得られた裏写り除去画像Gd(印刷情報領域画像)と、受け付けた原稿画像Geとの比較結果に基づき、印刷物Pの印刷面における印刷情報領域の品質検査を行う。また、画像処理装置100は、検査部15により、印刷汚れ特定後に得られた非印刷情報領域画像に基づき、印刷物Pの印刷面における非印刷情報領域の品質検査を行う。画像処理装置100は、上記検査結果に基づき、印刷物Pを品質ごとに仕分けする。
【0125】
これによって、本実施形態に係る画像処理装置100では、印刷物Pを一定の基準に従って、効率的に品質検査できる。
【0126】
<変形例>
ここで、上記実施形態に対する変形例を説明する。
上記実施形態に係る画像処理機能及び検査機能は、次のような装置構成のシステムによっても実現可能である。
【0127】
図22は、検査システム1020のシステム構成例を示す図である。
図22に示すように、本変形例に係る検査システム1020は、印刷物Pの仕分け機構を備えた画像処理装置100と検査装置400とが、所定のデータ伝送路N(例えば「ネットワークケーブル」や「シリアル/パラレルケーブル」など)で接続されている。
【0128】
検査装置400は、演算機能及び入出力機能などを有する機器であり、例えば、PCなどの情報処理装置である。
【0129】
よって、本変形例に係る画像処理機能及び検査機能は、上記システム構成から、次のような機能構成となる。
【0130】
図23は、検査システム1020における機能構成例を示す図である。
図23に示すように、本変形例に係る画像処理機能及び検査機能では、画像処理装置100が印刷面読み取り部11などを有し、検査装置400がマスク画像生成部12、裏写り除去部13、原稿画像入力部14、及び検査部15などを有している。
【0131】
これにより、本変形例に係る検査システム1020では、次のようなデータ処理が行われる。まず、画像処理装置100は、印刷面読み取り部11により、印刷物Pの印刷面を読み取り、読み取り画像(濃度画像及び光沢度画像)を取得する。画像処理装置100は、取得した読み取り画像を、データ伝送路Nを介して検査装置400へと転送する。
【0132】
検査装置400は、マスク画像生成部12により、転送された光沢度画像Gbと、原稿画像入力部14により受け付けた原稿画像Geと、に基づき、印刷面の印刷部分における印刷情報領域と非印刷情報領域とを判別し、判別結果から、印刷面ごとのマスク画像Gc(印刷マスク画像及び/又は非印刷マスク画像)を生成する。検査装置400は、裏写り除去部13により、マスク画像Gcを用いて、濃度画像Gaに対してマスク処理を行い、裏写り除去画像Gd(印刷情報領域画像)及び/又は非印刷情報領域画像(非印刷情報領域の抽出画像)を生成する。検査装置400は、検査部15により、生成された裏写り除去画像Gd及び/又は非印刷情報領域画像に基づき、印刷面の印刷部分における印刷情報領域及び/又は非印刷情報領域に対して品質検査を行う。検査装置400は、検査結果を、データ伝送路Nを介して画像処理装置100へと転送する。
【0133】
その結果、画像処理装置100は、転送された検査結果に従って、印刷物Pを品質ごとに仕分けする。
【0134】
以上のように、検査システム1020では、上記各装置の機能構成により、上記実施形態に係る画像処理機能及び検査機能を実現する。具体的には、画像処理装置100及び検査装置400において、画像処理機能及び検査機能を実現するソフトウェアを、各装置が備える演算装置で実行することにより実現する。
【0135】
また、本変形例に係る検査システム1020では、1台の検査装置400に対して、複数台の画像処理装置100を接続することで、複数の印刷物Pに対して行う品質検査を並列処理することもでき、大量の印刷物Pに対しても、一定の基準に従った品質検査処理を効率的に行うことができる。
【0136】
また、上記検査システム1020の変形例には、印刷面読み取り部11、マスク画像生成部12、裏写り除去部13、原稿画像入力部14、及び検査部15などを有する画像形成装置300などがある。
【0137】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「画像処理機能」や「検査機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、画像処理装置100、画像形成装置200、情報処理装置300などが備える演算装置により実行されることで実現される。
【0138】
例えば、画像処理装置100の場合、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体114aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、外部記憶I/F114を介して、画像処理装置100にインストールすることができる。また、画像処理装置100は、インタフェースI/F116を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0139】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0140】
11 印刷面読み取り部
12 マスク画像生成部
121 領域判別部
122 印刷マスク画像生成部
123 非印刷マスク画像生成部
13 裏写り除去部
14 原稿画像入力部
15 検査部
100 画像処理装置
110 コントローラ(制御基板)
111,211,306 CPU(演算装置)
112,212 記憶装置
113,213 ネットワークI/F
114,214 外部記憶I/F(a:記録媒体)
115 スキャナ
200 画像形成装置
210 コントローラ
212 記憶装置
220 操作パネル
230 プロッタ
300 情報処理装置
301 入力装置
302 表示装置
303 ドライブ装置(a:記録媒体)
304 RAM(揮発性の半導体メモリ)
305 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
307 インタフェース装置
308 HDD(不揮発性の記憶装置)
400 検査装置(情報処理装置)
1010 画像処理システム
1020 検査システム
B バス
G 画像(a:濃度画像,b:光沢度画像,c:マスク画像,d:裏写り除去画像,e:原稿画像)
N データ伝送路
P 印刷物(1:表面,2:裏面)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0141】
【特許文献1】特許第3643028号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り部を備える画像処理装置であって、
両面印刷された印刷物の印刷面を読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像と鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像とを取得する印刷面読み取り手段と、
取得された光沢度画像に基づき、印刷面ごとのマスク画像を生成するマスク画像生成手段と、
生成されたマスク画像を用いて、取得された濃度画像に対してマスク処理を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像を生成する裏写り除去手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
印刷データをリッピングした原稿画像の入力を受け付ける原稿画像入力手段を有し、
前記マスク画像生成手段は、
取得された光沢度画像と受け付けた原稿画像とに基づき、印刷面の印刷部分において、前記印刷データにある情報が印刷された領域の印刷情報領域と前記印刷データにない情報が印刷された領域の非印刷情報領域とを判別し、
判別結果に基づき、前記印刷情報領域に対応する印刷マスク画像及び/又は前記非印刷情報領域に対応する非印刷マスク画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記マスク画像生成手段は、
取得された光沢度画像と受け付けた原稿画像との同じ位置の画素又は画素群を比較し、比較結果に基づき、印刷面の印刷部分における前記印刷情報領域と前記非印刷情報領域とを判別することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記裏写り除去手段は、
生成された印刷マスク画像を用いて、取得された濃度画像に対してマスク処理を行い、印刷情報領域の抽出画像を裏写り除去画像として生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記裏写り除去手段は、
前記マスク画像生成手段により前記非印刷情報領域が判別された場合に、
生成された非印刷マスク画像を用いて、取得された濃度画像に対してマスク処理を行い、非印刷情報領域の抽出画像を生成することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記印刷物の品質検査を行う検査手段を有し、
前記検査手段は、
生成された裏写り除去画像と受け付けた原稿画像とに基づき、印刷面の印刷部分における前記印刷情報領域が、予め設定しておいた品質基準を満たしているか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記検査手段は、
生成された裏写り除去画像と受け付けた原稿画像との画像特徴を比較し、比較結果が、設定された品質基準の範囲内であれば、前記印刷情報領域が品質基準を満たしていると判定することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記検査手段は、
前記マスク画像生成手段により前記非印刷情報領域の抽出画像が生成された場合に、
生成された非印刷情報領域の抽出画像に基づき、印刷面の印刷部分における前記非印刷情報領域が、予め設定しておいた品質基準を満たす許容範囲内か否かを判定することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
読み取り部及び画像形成部を備える画像形成装置であって、
両面印刷された印刷物の印刷面を読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像と鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像とを取得する印刷面読み取り手段と、
取得された光沢度画像に基づき、印刷面ごとのマスク画像を生成するマスク画像生成手段と、
生成されたマスク画像を用いて、取得された濃度画像に対してマスク処理を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像を生成する裏写り除去手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
両面印刷された印刷物の読み取り画像から裏写りした情報を除去するサービスを提供する画像処理システムであって、
両面印刷された印刷物の印刷面を読み取り、印刷面ごとに、拡散反射光の強度分布を表す濃度画像と鏡面反射光の強度分布を表す光沢度画像とを取得する印刷面読み取り手段と、
取得された光沢度画像に基づき、印刷面ごとのマスク画像を生成するマスク画像生成手段と、
生成されたマスク画像を用いて、取得された濃度画像に対してマスク処理を行い、印刷面ごとの裏写り除去画像を生成する裏写り除去手段と、を有することを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図3】
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【図6】
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【図9】
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【図14】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−104923(P2012−104923A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249833(P2010−249833)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】