説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】画像を圧縮する際に圧縮後のデータ量を削減することができる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】カラー画像処理装置2は、圧縮処理部3で、画像中の文字の画素を抽出し、抽出した画素の色をインデックス(識別子)で表した前景レイヤを生成し、画像から文字を省いた背景レイヤを生成し、インデックス毎に2値画像を生成し、2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮することによって圧縮画像データを生成する。前景レイヤを生成する際には、色を示すインデックスを各画素に一旦対応付け、インデックスが同一の画素の内で所定の距離以上離れた画素間には、同一の色を示しながらも互いに異なるインデックスを対応付け直す。インデックスの画素が含まれる矩形領域を2値画像から抽出して圧縮する際には、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を読み取って画像データを生成する画像処理装置に関し、より詳しくは、色強度をインデックス化することにより高効率で画像データを圧縮することができる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙等に記録された画像を光学的に読み取って画像データを生成する画像処理装置は、スキャナ装置、ファクシミリ装置又は複写装置として広く利用されている。画像処理装置が生成した画像データは、ファクシミリ通信若しくは電子メール等を用いて送受信されるか、又はデータベースに蓄積される等して種々の用途に利用される。画像を光学的に読み取って生成した画像データは、一般的にデータサイズが大きくなるので、送受信又は蓄積を効率的に行うためには、画像データの圧縮が必要不可欠となっている。
【0003】
高圧縮率を実現するための圧縮技術の1つにレイヤー分離に基づく圧縮技術がある。レイヤー分離に基づく圧縮技術は、画像を文字・線画を表す前景レイヤーとその他の画像を表す背景レイヤーとに分離し、前景レイヤー及び背景レイヤーを夫々に適した圧縮方法を用いて圧縮し、最終的に圧縮画像を生成する技術である。前景レイヤーは、JBIG(Joint Bi-level Image Experts Group)、MMR(Modified Modified Read)、又はLZW(Lempel Ziv Welch)といった可逆圧縮技術を用いて圧縮されるのが一般的である。
【0004】
一方、背景レイヤーは、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの非可逆圧縮技術を用いて圧縮されるのが一般的である。非可逆圧縮技術は、圧縮率の制御が簡易であるので、用途に応じてデータサイズの縮小又は画質の劣化防止等を行うことができる。
【0005】
特許文献1には、圧縮率を向上させることができる圧縮技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、カラー画像に含まれる各画素の色をインデックスで表し、インデックスで表された色毎の画素数を含むカラー情報、及びそれらを用いて生成した背景色情報から、インデックスの統合を行っている。
【特許文献1】特開2004−229261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、1ページ分の画像内に含まれる同一の色は同一のインデックスで表しており、各インデックス毎に各色の画素の最大・最小座標から矩形領域を切り出して2値化・圧縮を行っている。一のインデックスについて切り出した矩形領域には、このインデックスに無関係な領域も含まれることとなるので、圧縮後のデータには不要なデータが含まれてしまう。従って、圧縮後のデータ量が大きくなり、圧縮効率が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、各インデックスに係る画素が高い割合で含まれる領域を抽出できるようにすることにより、圧縮後のデータ量を削減することができる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、画像を受け付ける受付手段と、該受付手段が受け付けた画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出する手段と、該手段が抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手段と、前記受付手段が受け付けた画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成する背景レイヤ生成手段と、前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成する手段と、該手段が生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮する手段とを備え、画像を圧縮する処理を行う画像処理装置において、前記前景レイヤ生成手段は、各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付ける手段と、同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離する識別子分離手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、前記識別子分離手段は、所定の選択順に従って、画素を順次選択する選択手段と、選択済の画素の内で選択中の画素と同一の識別子を対応付けられた画素と、選択中の画素との間の最小距離を取得する距離取得手段と、該距離取得手段が取得した最小距離が所定の閾値より大きい場合に、選択中の画素、及び未選択の画素の内で前記識別子を対応付けられた画素に、前記識別子と同一の色情報に関連付けられた新たな識別子を対応付け直す手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、前記選択手段は、画像上の一方向を主走査方向とし、前記一方向に直交する方向を副走査方向として、画素を順次選択するように構成してあり、前記距離取得手段が取得する距離として、主走査方向の距離と、副走査方向の距離と、主走査方向及び副走査方向の両方の距離とを切り替える手段を更に備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、前記色情報は、複数の原色の強度を示す情報からなることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、前記色情報は、単色の強度を示す情報からなることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る画像処理装置を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像処理方法は、画像を受け付けるステップと、受け付けた画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出するステップと、抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成ステップと、受け付けた画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成するステップと、前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成するステップと、生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮するステップとを含む画像処理方法において、前記前景レイヤ生成ステップは、各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付けるステップと、同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離するステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコンピュータプログラムは、画像を圧縮する処理を実行するコンピュータに、画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出する手順と、抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手順と、前記画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成する手順と、前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成する手順と、生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮する手順とを含む処理を実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、前記前景レイヤ生成手順は、各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付ける手順と、同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離する手順とを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る記録媒体は、画像を圧縮する処理を実行するコンピュータに、画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出する手順と、抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手順と、前記画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成する手順と、前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成する手順と、生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮する手順とを含む処理を実行させるためのコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、前記前景レイヤ生成手順は、各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付ける手順と、同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離する手順とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明においては、画像処理装置は、画像から文字及び/又は線画に対応する画素を抽出し、抽出した画素の色を識別子で表した前景レイヤを生成し、画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成し、前景レイヤから、各識別子に係る画素と他の画素とを区別した2値画像を生成し、全ての2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮することによって圧縮画像データを生成する。画像処理装置は、前景レイヤを生成する際には、色情報に関連付けた識別子を各画素に一旦対応付け、同一のインデックスを対応付けられた画素の内で所定の距離以上離れた画素間で識別子を分離する。色が同一でありながら異なる識別子が対応付けられた画像は、互いに異なる2値画像に含まれることとなり、個々の2値画像内では、各識別子に係る画素がより狭い領域に集中する。
【0018】
また本発明においては、画像処理装置は、一旦識別子を対応付けられた画素を順に選択し、選択済の画素の内で同一の識別子を対応付けられた画素と選択中の画素との間の最小距離を求め、求めた最小距離が所定の閾値より大きい場合に、選択中の画素に同一の色を示す新たな識別子を対応付け直すことにより、識別子を分離する処理を実行する。
【0019】
また本発明においては、画素間の距離として、主走査方向の距離と、副走査方向の距離と、主走査方向及び副走査方向の両方の距離とを利用可能であり、必要に応じていずれかを切り換えて処理を実行することにより、スキャナで読み取った画像を90°回転させる場合等、状況に応じた識別子の分離を行う。
【0020】
また本発明においては、赤緑青等の複数の原色の強度を示す色情報を識別子に関連付けて画像の圧縮処理を行うことにより、カラー画像の圧縮を可能とする。
【0021】
また本発明においては、単色の強度を示す色情報を識別子に関連付けて画像の圧縮処理を行うことにより、グレースケールのモノクロ画像の圧縮を可能とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明にあっては、個々の2値画像内では各識別子に係る画素がより狭い領域に集中していることにより、圧縮の際に2値画像から抽出した各インデックスに係る画素が含まれる矩形領域には、各インデックスに係る画素の割合がより高くなり、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができる。従って、画像を圧縮した圧縮画像データのデータ量を削減し、画像の圧縮効率を向上させることができるので、画像を圧縮するために必要な処理時間を短縮することが可能となる。また圧縮画像データを送受信する際には、送受信すべきデータ量を削減し、送受信に必要な時間を短縮することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の画像処理装置がカラー画像を形成する画像形成装置の一部をなす形態を示す。図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の内部の機能構成を示すブロック図である。本発明の画像形成装置は、カラー画像を光学的に読み取るカラー画像入力装置11を備えており、カラー画像入力装置11には、読み取ったカラー画像に応じた画像データ及び圧縮画像データを生成する処理を行うカラー画像処理装置2が接続されている。カラー画像処理装置2は、本発明の画像処理装置に対応する。またカラー画像処理装置2には、カラー画像装置2が生成した画像データに基づいてカラー画像を出力するカラー画像出力装置13、及びカラー画像装置2が生成した圧縮画像データを外部へ送信する送信装置14が接続されている。カラー画像入力装置11、カラー画像処理装置2、カラー画像出力装置13及び送信装置14には、使用者からの操作を受け付ける操作パネル12が接続されている。
【0024】
カラー画像入力装置11は、CCD(Charge Coupled Device )光センサを備えたスキャナにて構成されており、紙等の記録担体上に記録されたカラー画像からの反射光像をR(赤)G(緑)B(青)に分解してCCDで読み取り、RGBのアナログ信号に変換してカラー画像処理装置2へ出力する構成となっている。カラー画像処理装置2は、カラー画像入力装置11から入力されたRGBのアナログ信号に対して後述する画像処理を行ってデジタルの画像データを生成する。またカラー画像処理装置2は、デジタルのC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(黒)信号からなる画像データを生成してカラー画像出力装置13へ出力する。またカラー画像処理装置2は、生成したデジタルの画像データを後述する圧縮処理により圧縮した圧縮画像データを生成し、圧縮画像データを送信装置14へ出力する。カラー画像出力装置13は、カラー画像処理装置2から入力された画像データに基づいて、熱転写、電子写真、又はインクジェット等の方式により記録担体上に画像を形成することによって、カラー画像を出力する。送信装置14は、図示しない公衆回線網、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークに接続可能であり、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により通信ネットワークを介して外部へ圧縮画像データを送信する。操作パネル12は、画像形成装置の操作に必要な情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部と、画像形成装置の動作を制御する指示を使用者の操作により受け付けるタッチパネル又はテンキー等の受付部とを含んで構成されている。
【0025】
カラー画像処理装置2は、カラー画像入力装置11から入力されたアナログ信号をA/D変換部20でデジタル信号に変換し、シェーディング補正部21、入力階調補正部22、領域分離処理部23、色補正部24、黒生成下色除去部25、空間フィルタ処理部26、出力階調補正部27、階調再現処理部28の順に送り、デジタルのCMYK信号からなる画像データをカラー画像出力装置13へ出力する構成となっている。またカラー画像処理装置2は、デジタル信号を領域分離処理部23から圧縮処理部3へ送り、圧縮画像データを送信装置14へ出力する構成となっている。
【0026】
A/D変換部20は、カラー画像入力装置11からカラー画像処理装置2へ入力されたRGBのアナログ信号を受け付け、RGBのアナログ信号をデジタルのRGB信号へ変換し、RGB信号をシェーディング補正部21へ出力する。A/D変換部20は、本発明における受付手段に対応する。
【0027】
シェーディング補正部21は、A/D変換部20から入力されたRGB信号に対して、カラー画像入力装置11の照明系、結像系及び撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を行う。シェーディング補正部21は、次に、歪みを取り除いたRGB信号を入力階調補正部22へ出力する。
【0028】
入力階調補正部22は、シェーディング補正部21から入力されたRGB信号に対して、カラーバランスを調整する。更に、シェーディング補正部21から入力階調補正部22へ入力されたRGB信号はRGBの反射率信号であり、入力階調補正部22は、シェーディング補正部21から入力されたRGB信号を、カラー画像処理装置2で処理しやすい濃度信号等の信号へ変換する。入力階調補正部22は、次に、処理を行ったRGB信号を領域分離処理部23へ出力する。
【0029】
領域分離処理部23は、入力階調補正部22から入力されたRGB信号が表す画像中の各画素を、文字領域、網点領域、又は写真領域のいずれかに分離し、分離結果に基づき、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下色除去部25、空間フィルタ処理部26、及び階調再現処理部28へ出力する。領域分離処理部23は、また、入力階調補正部22から入力されたRGB信号を色補正部24及び圧縮処理部3へ出力する。
【0030】
圧縮処理部3は、領域分離処理部23からRGB信号でなる画像データを入力され、後述する本発明の画像処理方法を用いて圧縮画像データを生成する処理を実行する。圧縮処理部3は、生成した圧縮画像データを、ハードディスク等の不揮発性の記憶媒体を用いて構成された記憶部29に記憶させる。また圧縮処理部3は、生成した圧縮画像データを送信装置14へ出力する。
【0031】
色補正部24は、領域分離処理部23から入力されたRGB信号をCMY信号へ変換し、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りをCMY信号から取り除く処理を行う。色補正部24は、次に、色補正を行ったCMY信号を黒生成下色除去部25へ出力する。
【0032】
黒生成下色除去部25は、色補正部24から入力されたCMYの3色信号からK信号を生成する黒生成処理を行い、元のCMY信号から黒生成処理によって得られたK信号を差し引くことによって、CMYの3色信号をCMYKの4色信号へ変換する。黒生成処理の一例としては、スケルトンブラックにより黒生成を行う方法がある。この方法では、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)、変換前のデータをC,M,Y、UCR(Under Color Removal )率をα(0<α<1)とすると、変換後のデータC',M',Y',K'は下記の式で表される。
K'=f(min(C,M,Y))
C'=C−αK'
M'=M−αK'
Y'=Y−αK'
【0033】
ここで、UCR率α(0<α<1)は、CMYが重なっている部分をKに置き換えてCMYをどの程度削減するかを示す。前記第1式は、CMYの各信号強度の内の最も小さい信号強度に応じてK信号が生成されることを示している。黒生成下色除去部25は、次に、CMY信号を変換したCMYK信号を空間フィルタ処理部26へ出力する。
【0034】
空間フィルタ処理部26は、黒生成下色除去部25から入力されたCMYK信号が表す画像に対して、領域分離処理部23から入力された領域識別信号に基づいてデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行うことにより、画像のぼやけ又は粒状性劣化を改善する。例えば、領域分離処理部23にて文字に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部26は、文字の再現性を高めるために、高周波成分の強調量が大きいフィルタを用いて空間フィルタ処理を行う。また領域分離処理部23にて網点に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部26は、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理を行う。空間フィルタ処理部26は、次に、処理後のCMYK信号を出力階調補正部27へ出力する。
【0035】
出力階調補正部27は、空間フィルタ処理部26から入力されたCMYK信号に対して、カラー画像出力装置13の特性に基づく出力階調補正処理を行い、出力階調補正処理後のCMYK信号を階調再現処理部28へ出力する。
【0036】
階調再現処理部28は、出力階調補正部27から入力されたCMYK信号に対して、領域分離処理部23から入力された領域識別信号に基づいて、領域に応じた中間調処理を行う。例えば、領域分離処理部23にて文字に分離された領域に対しては、階調再現処理部28は、高域周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンによる二値化又は多値化の処理を行う。また領域分離処理部23にて網点に分離された領域に対しては、階調再現処理部28は、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化又は多値化の処理を行う。階調再現処理部28は、次に、処理後の画像データをカラー画像出力装置13へ出力する。
【0037】
カラー画像出力装置13は、カラー画像処理装置2から入力されたCMYK信号でなる画像データに基づいて、紙等の記録担体上にCMYKのカラー画像を形成する。画像データに基づいて画像を形成することにより、画像形成装置は、受け付けた画像に基づいた画像を形成する。
【0038】
次に、圧縮処理部3の構成及び圧縮処理部3が行う処理を説明する。図2及び図3は、圧縮処理部3が画像を圧縮する処理の概要を示す模式図である。図2に示す圧縮前の画像は、「TEST画像」及び「これはテスト画像です」という文字と、文字の背景となる絵とを含んでいる。「TEST画像」の文字と「これはテスト画像です」の文字とは異なる色で描かれているとする。図2に示す如く、圧縮処理部3は、入力された画像を文字を表す前景レイヤとその他を表す背景レイヤとに分離する。背景レイヤには、画像から文字を省いたものが含まれる。また前景レイヤには、各文字の色を示す情報が含まれる。更に図3に示す如く、圧縮処理部3は、前景レイヤから各色毎に2値画像を生成する。例えば、図3に示すように、「TEST画像」の文字の画素値を1として他の画素値を0とした2値画像Aと、「これはテスト画像です」の文字の画素値を1として他の画素値を0とした2値画像Bとを生成する。2値画像Aには、「TEST画像」の文字の色を示す色情報が付加されており、また2値画像Bには、「これはテスト画像です」の文字の色を示す色情報が付加されている。圧縮処理部3は、背景レイヤと色情報が付加された各2値画像とを夫々圧縮することにより、圧縮画像データを生成する。
【0039】
図4は、圧縮処理部3の内部構成を示すブロック図である。圧縮処理部3は、領域分離処理部23から入力された画像データから前景マスク生成処理部31で文字の画素を示す前景マスクを生成し、前景色インデックス化処理部32で文字の画素の色をインデックス(識別子)で表した前景レイヤを生成する構成となっている。また圧縮処理部3は、背景レイヤ生成処理部33で背景レイヤを生成し、2値画像生成処理部34で前景レイヤから各色の2値画像を生成し、画像圧縮処理部35で背景レイヤ及び各色の2値画像を圧縮することにより圧縮画像データを生成し、圧縮画像データを出力する構成となっている。
【0040】
前景マスク生成処理部31は、領域分離処理部23から入力された画像データが表す画像に含まれる画素から、文字に対応する画素を抽出し、抽出した画素の位置を示す前景マスクを生成する。具体的には、画素の輝度値に対して画像上の一方向に微分処理を行い、輝度が明るく変化するエッジ部位と、暗く変化するエッジ部位とを検知し、エッジ部位に基づいて文字画像を2値化する。詳細には、画像上の画素を一方向に走査し、正方向の微分値が出現してから負方向の微分値が出現するまでの範囲を文字の画素として抽出し、抽出した画素の画素値を1として他の画素値を0とした2値画像を生成する。生成した2値画像が前景マスクである。前景マスクは、例えば、図2に示す前景レイヤから色情報を省いたものとなる。前景マスク生成処理部31は、生成した前景レイヤのデータ、及び画像データを前景色インデックス化処理部32へ出力する。なお、圧縮処理部3は、領域分離処理部23から領域識別信号を受け付け、前景マスク生成処理部31は、領域識別信号が示す文字領域に含まれる画素を抽出する処理を行う構成であってもよい。
【0041】
図5は、前景色インデックス化処理部32の内部構成を示すブロック図である。前景色インデックス化処理部32は、仮インデックス画像生成処理部321で、前景マスクで文字の画素とされた各画素に色を示すインデックスを対応づけた仮インデックス画像を生成し、インデックス統合処理部322で、仮インデックス画像中の近似した色を示すインデックスを同一の色を示すインデックスに統合する処理を行う構成となっている。また前景色インデックス化処理部32は、インデックス分離処理部323で、同一のインデックスを対応づけた画素の内、画像上で所定の距離以上離れた画素には、同一の色を示す異なるインデックスを対応付け直す処理を行う構成となっている。前景色インデックス化処理部32は、以上の処理により、文字の画素の位置を座標で表し、文字の画素の色をインデックスで表した前景レイヤを生成する。前景色インデックス化処理部32は、本発明における前景レイヤ生成手段に対応する。
【0042】
仮インデックス画像生成処理部321は、前景マスクで文字の画素とされた各画素に色を数値で示すインデックスを対応づけた仮インデックス画像と、各インデックスに特定の色を表す色情報及びインデックスが対応付けられた画素数を関連付けたインデックスカラーテーブルとを生成する。仮インデックス画像生成処理部321が画素に対応づけるインデックスは、後段のインデックス統合処理部322によって変更される可能性があるので、仮インデックスと呼ぶ。
【0043】
仮インデックス画像生成処理部321が仮インデックス画像を生成する処理は、特許文献1に記載された方法を用いることができる。具体的には、仮インデックス画像生成処理部321は、まず、画像データに含まれる各画素の色情報に対し、予め定められた色数への減色処理を行う。例えば、RGB各色の色強度を8ビットで表している色情報のビット数を、2−2−2、3−3−2、又は3−3−3ビット等のビット数に落とす。ビット数の選び方は、色判定をどの程度の精度で行うかによって任意に選択可能である。更に仮インデックス画像生成処理部321は、各画素に色を数値で示すインデックスを対応づけた仮インデックス画像と、特定のインデックスを減色後の特定の色情報に関連付けたインデックスカラーテーブルと、仮インデックス及びインデックスの関係を示すインデックステーブルとを生成する。
【0044】
図6は、仮インデックス画像の例を示す概念図である。図中に示すx座標は、前景色インデックス化処理部32へ入力された画像データが表す画像中の主走査方向の画素の位置に対応し、y座標は、副走査方向の画素の位置に対応する。仮インデックス画像の主走査方向及び副走査方向は、カラー画像入力装置11でカラー画像を読み取る際の主走査方向及び副走査方向に対応する。座標(x、y)は画像上の画素の位置を示し、座標によって各画素を特定することができる。前景マスクで文字の画素とされた各画素に、夫々に特定の色を示す1〜7のインデックスのいずれかが対応付けられている。また仮インデックス画像生成処理部321は、前景マスクで文字の画素とされていない画素に対して、白色等の予め定められた所定の色を示す所定のインデックスを対応付ける処理を行う。図6の例では、文字の画素以外の画素には、インデックス0が対応付けられており、インデックス0は白色を示すとする。仮インデックス画像は、具体的には、各画素の座標を示すデータに何れかのインデックスが対応付けられたテーブル等の形で形成され、図示しないメモリに記憶される。
【0045】
図7は、インデックステーブル及びインデックスカラーテーブルの例を示す図表である。図7(a)はインデックステーブルの例を示し、0〜7のアドレスの夫々に、0〜7のインデックスが関連付けられている。インデックステーブルは、仮インデックスとインデックスの関係を示したものであり、仮インデックスをアドレスとした場合にそのアドレスに関連付けられたインデックスが仮インデックスと対応するインデックスとなるようになっている。仮インデックス画像生成処理部321がインデックステーブルを生成した段階では、互いに関連付けられたアドレスとインデックスの数値は同一となっている。後段のインデックス統合処理部322によってインデックスが仮インデックスから変更された場合は、互いに関連付けられたアドレスとインデックスの数値が互いに異なるようにインデックスの値が変化することがある。インデックステーブルは、仮インデックスとインデックスとの対応関係を保存しておくためのものである。
【0046】
図7(b)はインデックスカラーテーブルの例を示す。0〜7のアドレスの夫々に、RGB各色の色強度からなる色情報、及び画素数が関連付けられている。インデックスカラーテーブルのアドレスは、インデックスに対応している。即ち、インデックスカラーテーブルは、各インデックスを色情報に関連付けたテーブルである。図7(b)の例では、RGBが全て255である色情報がアドレス0に関連付けられており、インデックス0が白色を示すことを表している。また画素数は、関連付けられたインデックス(=アドレス)が対応付けられた画素が仮インデックス画像内に含まれている数を示す。図6に示すように、文字の画素以外の画素には、インデックス0が対応付けられているので、図7(b)の例では、インデックス(=アドレス)0の画素数が最大となっている。
【0047】
インデックス統合処理部322は、仮インデックス画像に含まれる画素の色の内で近似する色を同一の色に統合する処理を行う。即ち、インデックス統合処理部322は、インデックスカラーテーブルで互いに近似する色情報に関連付けられたインデックスを同一のインデックスに統合する。具体的には、インデックス統合処理部322は、インデックスカラーテーブルに記録された色情報から所定の範囲内で近似している色情報を判定し、近似している色情報のインデックスを、近似している色情報の内で画素数が最大であるインデックスに統合する。この処理では、インデックス統合処理部322は、RGBの色強度の平均が所定範囲にある色情報、又はRGB各色の色強度が予め定められた所定範囲にある色情報を、所定の範囲内で近似している色情報であると判定する。また、所定の範囲内で近似している色情報のインデックスの内、画素数が最大であるインデックス以外のインデックスに関連付けられた画素数を全て最大の画素数に加え、画素数が最大であるインデックス以外のインデックスに関連付けられた情報を消去する。更にインデックス統合処理部322は、統合によって空になったインデックスを詰めるように色情報にインデックスを関連付け直す処理を行うことにより、インデックスカラーテーブルを更新し、仮インデックスと統合後のインデックスとを関連付けることにより、インデックステーブルを更新する処理を行う。
【0048】
図8は、インデックス統合後のインデックステーブル及びインデックスカラーテーブルの例を示す図表であり、図8(b)はインデックス統合後のインデックスカラーテーブルを示す。図7(b)に示すインデックスカラーテーブルに記録されたインデックス(=アドレス)1と3がインデックス1に統合され、またインデックス2と7がインデックス2に統合される。この結果、図7(b)でのインデックス1と3に関連付けられた画素数の合計が図8(b)のインデックス1の画素数となり、図7(b)でのインデックス2と7に関連付けられた画素数の合計が図8(b)のインデックス2の画素数となる。またこの結果、図7(b)でのインデックス3及び7が空となるので、図8(b)に示す如く、インデックスを詰めるようにインデックスの値を変更する。これにより、色情報にインデックスが関連付けなおされる。インデックス0〜7の内、最後のインデックス6及び7は空となる。
【0049】
また図8(a)はインデックス統合後のインデックステーブルを示す。仮インデックス(=アドレス)3にインデックス1が関連付けられ、仮インデックス7にインデックス2が関連付けられている。これは、仮インデックス3がインデックス1に統合され、仮インデックス7がインデックス2に統合されたことを示す。また仮インデックス4,5,6にインデックス3,4,5が夫々関連付けられており、仮インデックス4,5,6の夫々がインデックス3,4,5へ変更されたことを示す。
【0050】
図9は、仮インデックス画像中のインデックスを統合した例を示す概念図である。図6の仮インデックス画像に比べ、インデックスの数が減少し、画素に対するインデックスの対応が変更されている。
【0051】
インデックス分離処理部323は、同一のインデックスを対応づけた画素の内、画像上で所定の距離より離れた画素間でインデックスを分離する処理を行う。インデックス分離処理部323は、本発明における識別子分離手段に対応する。図10及び図11は、インデックス分離処理部323が行う処理の手順を示すフローチャートである。インデックス分離処理部323は、まず、インデックス統合処理部322で統合したインデックスと分離後のインデックスとを関連づけたインデックス分離テーブル、及び分離後のインデックスが対応付けられた画素の画像上での座標を記録するための座標テーブルを生成する(S101)。
【0052】
図12は、生成した段階でのインデックス分離テーブル及び座標テーブルの例を示す図表である。図12(a)はインデックス分離テーブルの例を示し、0〜7のアドレスの夫々に、0〜7の関連インデックスが関連付けられている。インデックス分離テーブルは、インデックス統合処理部322で統合したインデックスと分離後のインデックスとの関係を示したものであり、分離前のインデックスをアドレスとした場合に関連インデックスが分離後のインデックスとなり、分離後のインデックスをアドレスとした場合には関連インデックスが分離後のインデックスとなるようになっている。ステップS101の段階では、インデックス分離処理部323は、関連インデックスの値とアドレスと同一の初期値にしている。生成されたインデックス分離テーブルは図示しないメモリに記憶される。
【0053】
図12(b)は座標テーブルの例を示す。アドレスはインデックスに対応しており、0〜7のアドレスの夫々に、各インデックス(=アドレス)が対応付けられた画素の画像上での最小X座標値xmin、最小Y座標値ymin、最大X座標値xmax及び最大Y座標値ymaxが関連付けられている。ステップS101の段階では、インデックス分離処理部323は、座標テーブルの各値を初期値に設定する。最小X座標値及び最小Y座標値の初期値としては、画像上で取り得る座標値の最大値以上の値を設定し、最大X座標値及び最大Y座標値の初期値としては、画像上で取り得る座標値の最小値以下の値を設定する。図12(b)の例では、最小X座標値及び最小Y座標値の初期値を100、最大X座標値及び最大Y座標値の初期値を0としている。
【0054】
インデックス分離処理部323は、次に、内部カウンタ値idxcntを、最大の仮インデックスの値に1を加えた値に初期化する(S102)。idxcntの初期値を、最大の仮インデックスの値に1を加えた値とすることにより、仮インデックスと、インデックスの分離により新たに得られるインデックスとを競合させないようにする。本実施例では、最大の仮インデックスの値は7であるので、idxcntの初期値は8となる。インデックス分離処理部323は、次に、副走査カウンタ値ycntを0に初期化する(S103)。ycntは、副走査方向の画素の位置を示し、ycntの値を定めることにより画素のy座標が選択される。
【0055】
インデックス分離処理部323は、次に、ycntの値が仮インデックス画像に含まれる副走査方向の画素数より小さいか否かを判定する(S104)。ycntが副走査方向の画素数以上である場合は(S104:NO)、副走査方向の画素の選択がすべて終了した場合であり、インデックス分離処理部323は、インデックス分離の処理を終了する。ycntが副走査方向の画素数より小さい場合は(S104:YES)、インデックス分離処理部323は、主走査カウンタ値xcntを0に初期化する(S105)。xcntは、主走査方向の画素の位置を示す。xcnt及びycntの値が定められることにより、画像上の座標(xcnt,ycnt)で位置が指定された画素が選択される。
【0056】
インデックス分離処理部323は、次に、xcntの値が仮インデックス画像に含まれる主走査方向の画素数より小さいか否かを判定する(S106)。xcntが主走査方向の画素数以上である場合は(S106:NO)、主走査方向の画素の選択がすべて終了した場合であり、インデックス分離処理部323は、ycntをインクリメントし(S107)、処理をステップS104へ戻す。
【0057】
xcntが主走査方向の画素数より小さい場合は(S106:YES)、インデックス分離処理部323は、仮インデックス画像から、座標(xcnt,ycnt)で画像上の位置が指定される画素に対応付けられた仮インデックスtmpidxを読み出し、画素のインデックスidxをidx=idxtbl2[idxtbl[tmpidx]]とする(S108)。idxtbl[tmpidx]は、tmpidxをアドレスとしてインデックステーブルから読み出されるインデックスidxtblである。インデックス統合処理によりインデックスの値が仮インデックスから変更されている場合は、idxtbl[tmpidx]は仮インデックスから置き換わった統合後のインデックスとなる。またidxtbl2[統合後のインデックス]は、統合後のインデックスをアドレスとしてインデックス分離テーブルから読み出される関連インデックスidxtbl2である。後述する処理により、インデックスの分離があった場合に関連インデックスの値は元のインデックスから分離後のインデックスに変更される。従って、ステップS108の処理では、インデックスidxの値は、インデックスの分離がない場合は統合後のインデックスの値であり、インデックスの分離があった場合は分離後のインデックスの値となる。
【0058】
インデックス分離処理部323は、次に、インデックスidxをアドレスとして、アドレスidxに関連付けられた座標テーブルの値を読み出す(S109)。即ち、ステップS109では、座標テーブルから、アドレスidxに関連付けられたxmin,ymin,xmax,ymaxを読み出す。インデックス分離処理部323は、次に、読み出したxmin,ymin,xmax,ymaxが全て初期値であるか否かを判定する(S110)。xmin,ymin,xmax,ymaxのいずれかが初期値ではない場合は(S110:NO)、インデックス分離処理部323は、副走査カウンタ値ycntと読み出した最大Y座標値ymax[idx]との差分である副走査距離delta_yを、delta_y=ycnt−ymax[idx]と計算する(S111)。なお、ymax[idx]は、アドレスidxに関連付けられた最大Y座標値である。xmin,ymin,xmax,ymaxが全て初期値である場合は(S110:YES)、インデックス分離処理部323は、副走査距離delta_y=0と設定する(S112)。
【0059】
図13は、選択中の画素とdelta_yとの関係を示す模式図である。選択中の画素は、画像上の座標(xcnt,ycnt)で位置が指定される。図13中にハッチングで示した領域は、選択中の画素と同一のインデックスが対応付けられた画素が占める領域である。この領域に含まれる画素の座標の最小値及び最大値が、xmin,ymin,xmax,ymaxとなる。領域中の画素の内でy座標が最大である画素と選択中の画素とのy座標値の差がdelta_yである。画素は座標(0,0)の位置から順に選択されるので、delta_yは、選択中の画素と、選択済の画素の内で同一のインデックスが対応付けられた画素との間の最小距離となる。
【0060】
ステップS111又はステップS112が終了した後は、インデックス分離処理部323は、得られた副走査距離delta_yの値が予め定められた所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(S113)。delta_yの値が閾値よりも大きい場合は(S113:YES)、座標(xcnt,ycnt)で位置が指定された画素が、同一のインデックスを対応付けられた他の画素から所定の距離より離れている場合であり、インデックス分離処理部323は、画素に新規インデックスidxcntを対応付ける(S114)。具体的には、インデックス分離処理部323は、仮インデックス画像で座標(xcnt,ycnt)の画素に対応付けられているインデックスをidxcntに変更し、画素の座標にインデックスを関連付けたデータを記憶する。インデックス分離処理部323は、次に、新規インデックスの追加に応じて、座標テーブルを更新する(S115)。ステップS115では、新規インデックスに対応する新たなアドレスidxcntを座標テーブルに追加し、アドレスidxcntに関連付けられた最小Y座標値及び最大Y座標値としてycntを記録し、最小X座標値及び最大X座標値としてxcntを記録する。
【0061】
インデックス分離処理部323は、次に、新規インデックスに対応する新たなアドレスidxcntをインデックス分離テーブルに追加し、アドレスidxcntに関連付けて、関連インデックスidxtbl2[idxcnt]=idxtbl2[idx]を記録する(S116)。ステップS116の処理は、新規インデックスに分離前のインデックスを関連付ける処理である。インデックスidxが既に他のインデックスから分離されたインデックスである場合は、idxtbl2[idx]はインデックスidxの分離前のインデックスを指し、ステップS116により、新規インデックスはインデックスidxの分離前のインデックスに関連付けられる。インデックスidxが他のインデックスからまだ分離されていないインデックスの場合は、idxtbl2[idx]はidxに等しく、ステップS116により、新規インデックスは分離前のインデックスidxに関連付けられる。
【0062】
インデックス分離処理部323は、次に、新規インデックスの追加に応じて、インデックスカラーテーブルを更新する(S117)。ステップS117では、新規インデックスに対応する新たなアドレスidxcntをインデックスカラーテーブルに追加し、アドレスidxcntに関連付けられたRGB各色の色強度として、R[idxcnt]=R[idx]、G[idxcnt]=G[idx]及びB[idxcnt]=B[idx]を記録する。即ち、新規インデックスidxcntは、インデックスidxと同じ色情報に関連付けられる。更にステップS117では、インデックス分離処理部323は、アドレスidxcntに関連付けられた画素数として、cnttbl[idxcnt]=1を記録する。
【0063】
インデックス分離処理部323は、次に、インデックス分離テーブルにおいて、分離前のインデックスに関連付けられた関連インデックスを、idxtbl2[idxtbl2[idxcnt]]=idxcntと更新する(S118)。ステップS118の処理は、ステップS108でインデックスに分離後のインデックスを割り当てることができるように、分離前のインデックスに新規インデックスを関連付ける処理である。ステップS116により、idxtbl2[idxcnt]は分離前のインデックスを指しているので、分離前のインデックスに新規インデックスを関連付けることができる。インデックス分離処理部323は、次に、座標テーブルにおいて、分離前のインデックスに関連付けられた画素数を、cnttbl[idxtbl2[idxcnt]]=cnttbl[idxtbl2[idxcnt]]−1と更新する(S119)。ステップS119の処理は、新規インデックスの画素数が記録されたことに伴って、分離前のインデックスの画素数を減少させる処理である。
【0064】
インデックス分離処理部323は、次に、内部カウンタ値idxcntをインクリメントする(S120)。インデックス分離処理部323は、次に、主走査カウンタ値xcntをインクリメントし(S121)、処理をステップS106へ戻す。
【0065】
ステップS113でdelta_yの値が閾値以下である場合は(S113:NO)、インデックス分離処理部323は、座標(xcnt,ycnt)で位置が指定された画素にインデックスidxを対応付ける(S122)。この場合は、座標(xcnt,ycnt)で位置が指定された画素が、インデックスidxを対応付けられた他の画素から所定の距離以内にある場合である。またこの場合は、インデックスidxがまだ一度も分離されていないインデックスである場合と、インデックスidxが分離後のインデックスである場合とが含まれる。ステップS122では、インデックス分離処理部323は、仮インデックス画像で座標(xcnt,ycnt)の画素に対応付けられているインデックスをidxに変更し、画素の座標にインデックスを関連付けたデータを記憶する。ステップS122の処理により、インデックスidxが分離後のインデックスである場合には、分離後のインデックスである新規インデックスが画素に対応付けられることになる。
【0066】
インデックス分離処理部323は、次に、インデックスidxに係る座標テーブルの値を更新する座標テーブル更新処理を行う(S123)。ステップS123では、インデックス分離処理部323は、インデックスidxが対応付けられた画素が画像上で占める領域の範囲を更新すべく、座標テーブルを更新する。
【0067】
図14は、座標テーブル更新処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。インデックス分離処理部323は、インデックスidxをアドレスとして座標テーブルから値を読み出し、xmin[idx]がxcntより大きいか否かを判定する(S21)。xmin[idx]がxcntより大きい場合は(S21:YES)、インデックス分離処理部323は、アドレスidxに関連付けられた最小X座標値をxmin[idx]=xcntと更新する(S22)。ステップS22が終了した場合、又はステップS21でxmin[idx]がxcnt以下である場合(S21:NO)は、インデックス分離処理部323は、座標テーブルに記録されたymin[idx]がycntより大きいか否かを判定する(S23)。ymin[idx]がycntより大きい場合は(S23:YES)、インデックス分離処理部323は、アドレスidxに関連付けられた最小Y座標値をymin[idx]=ycntと更新する(S24)。
【0068】
ステップS24が終了した場合、又はステップS23でymin[idx]がycnt以下である場合(S23:NO)は、インデックス分離処理部323は、座標テーブルに記録されたxmax[idx]がxcntより小さいか否かを判定する(S25)。xmax[idx]がxcntより小さい場合は(S25:YES)、インデックス分離処理部323は、アドレスidxに関連付けられた最大X座標値をxmax[idx]=xcntと更新する(S26)。ステップS26が終了した場合、又はステップS25でxmax[idx]がxcnt以上である場合(S25:NO)は、インデックス分離処理部323は、座標テーブルに記録されたymax[idx]がycntより小さいか否かを判定する(S27)。ymax[idx]がycntより小さい場合は(S27:YES)、インデックス分離処理部323は、アドレスidxに関連付けられた最大Y座標値をymax[idx]=ycntと更新する(S28)。ステップS28が終了した場合、又はステップS27でymax[idx]がycnt以上である場合(S27:NO)は、インデックス分離処理部323は、座標テーブル更新処理のサブルーチンの処理を終了し、処理をメインの処理へ戻す。
【0069】
インデックス分離処理部323は、次に、インデックスidxと、インデックス分離テーブルに記録されたidxtbl2[idx]とが互いに異なるか否かを判定する(S124)。インデックスidxとidxtbl2[idx]とが等しい場合は(S124:NO)、インデックスidxが分離されていないインデックスである場合であり、インデックス分離処理部323は、処理をステップS121へ進める。
【0070】
ステップS124でインデックスidxとidxtbl2[idx]とが互いに異なる場合は(S124:YES)は、インデックス分離処理部323は、座標テーブルにおいて、インデックスidxに関連付けられた画素数を、cnttbl[idx]=cnttbl[idx]+1と更新する(S125)。この場合は、インデックスidxが分離されたインデックスである場合であり、ステップS125の処理は、分離されたインデックスidxが画素に対応付けられたことに伴って、インデックスidxの画素数を増加させる処理である。
【0071】
インデックス分離処理部323は、次に、座標テーブルにおいて、分離前のインデックスに関連付けられた画素数を、cnttbl[idxtbl2[idx]]=cnttbl[idxtbl2[idx]]−1と更新する(S126)。ステップS126の処理は、インデックスidxの画素数が増加したことに伴って、分離前のインデックスの画素数を減少させる処理である。ステップS126が終了した後は、インデックス分離処理部323は、処理をステップS121へ進める。
【0072】
インデックス分離処理部323は、インデックスを分離するための以上の処理を実行することにより、前景マスクで文字の画素とされた各画素に色を示すインデックスを対応づけた画像である前景レイヤを作成する。またこの際に、インデックス分離処理部323は、同一のインデックスを対応づけた画素の内で画像上で所定の距離より離れた画素間にはそれぞれ別のインデックスを対応付け直す処理を行う。前景レイヤは、具体的には、各画素の座標を示すデータに何れかのインデックスが対応付けられたテーブル等の形で形成され、図示しないメモリに記憶される。
【0073】
図15は、前景レイヤの例を示す概念図である。前述のようにidxcntの初期値は8であり、ステップS113の閾値は3であるとする。座標(x,y)=(1,9)の画素を選択した際には、delta_y=9−7=2となり、delta_y<閾値であるので、この画素は1のインデックスが対応付けられた他の画素から所定の距離以内にあると判定され、前景レイヤでこの画素には1のインデックスが対応付けられる。
【0074】
また、座標(x,y)=(10,16)の画素を選択した際には、delta_y=16−7=9となり、delta_y>閾値であるので、この画素は2のインデックスが対応付けられた他の画素から所定の距離より大きく離れていると判定される。従って、図15に示すように、この画素には、インデックス2から分離した新規のインデックス8が対応付けられる。
【0075】
図16は、インデックスを分離する処理が終了した後のインデックステーブル、インデックスカラーテーブル、インデックス分離テーブル及び座標テーブルの例を示す図表である。図16(a)はインデックステーブルを示し、図8(a)に示すインデックス統合後のインデックステーブルと変化がない。図16(b)はインデックスカラーテーブルを示し、図8(a)と比較して、色情報がアドレス2と同じアドレス8が追加され、インデックス(=アドレス)2に関連付けられた画素数が減少している。図16(c)はインデックス分離テーブルを示し、アドレス2には関連インデックス8が関連付けられ、アドレス8には関連インデックス2が関連付けられている。このことは、インデックス2が対応付けられていた画素の一部にインデックス8が対応付け直されたことを示す。図16(d)は、座標テーブルを示し、各インデックス(=アドレス)に関連付けられた座標値により、各インデックスが対応付けられた画素が画像上で示す範囲が示される。なお、インデックステーブル、インデックスカラーテーブル、インデックス分離テーブル及び座標テーブルは夫々別のテーブルであるとしているが、これらのテーブルは一体となっていてもよい。
【0076】
なお、図10及び図11のフローチャートで示した処理では、画素間の距離として副走査方向の距離を用いる処理を示したが、インデックス分離処理部323は、画素間の距離として主走査方向の距離を用いる処理をも実行することができる構成となっている。図17及び図18は、インデックス分離処理部323が行う主走査方向の距離を用いた処理の手順を示すフローチャートである。
【0077】
最初のステップS301〜S310の処理は、前述のステップS101〜S110の処理と同等である。ステップS310でxmin,ymin,xmax,ymaxのいずれかが初期値ではない場合は(S310:NO)、インデックス分離処理部323は、主走査カウンタ値xcntと読み出した最大X座標値xmax[idx]との差分である主走査距離delta_xを、delta_x=xcnt−xmax[idx]と計算する(S311)。ステップS310でxmin,ymin,xmax,ymaxが全て初期値である場合は(S310:YES)、インデックス分離処理部323は、主走査距離delta_x=0と設定する(S312)。ステップS311又はステップS312が終了した後は、インデックス分離処理部323は、得られた主走査距離delta_xの値が予め定められた所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(S313)。delta_xの値が所定の閾値よりも大きい場合は(S313:YES)、インデックス分離処理部323は、ステップS314以降の処理を実行し、delta_xの値が所定の閾値以下である場合は(S313:NO)、インデックス分離処理部323は、ステップS322以降の処理を実行する。ステップS314〜S326の処理は、前述のステップS114〜S126の処理と同等である。
【0078】
以上に示した如き、主走査方向の距離を用いて画素間の距離を判定する処理は、カラー画像入力装置11が読み取った画像を画像処理によって90°回転させる処理を、前景色インデックス化処理部32での処理以降に行う際に有用である。図19は、画像処理によって90°回転させる画像を示す模式図である。図19(a)は回転前の画像を示し、図中にハッチングで示した領域は、選択中の画素と同一のインデックスが対応付けられた画素が占める領域である。領域中の画素の内でx座標が最大である画素と選択中の画素とのx座標値の差がdelta_xである。図19(b)は回転後の画像を示し、主走査方向の距離delta_xは、回転の処理を行わない場合の副走査方向の距離と同等の値となる。画像を90°回転させる処理は、カラー画像入力装置11が読み取った画像の上下を自動で判定した場合、又は使用者が操作パネル12を操作することによって画像を90°回転させる指示を受け付けた場合に行われる。画像を90°回転させる処理を行う回転処理部を前景色インデックス化処理部32の後段に設けた画像形成装置では、インデックス分離処理部323は、画像形成装置が画像を90°回転させる処理を行う場合に、画素間の距離として主走査方向の距離を用いるように処理内容を切り換え、図17及び図18に示す処理を実行する機能を備える。なお、回転処理部を前景色インデックス化処理部32の前段に設けた画像形成装置では、画像を90°回転させる処理を行う場合であっても、前景色インデックス化処理部32が扱う画像は既に90°回転されている画像であるので、前景色インデックス化処理部32は図17及び図18に示す処理を行う必要がない。
【0079】
また、インデックス分離処理部323は、画素間の距離として主走査方向及び副走査方向の両方の距離を用いる処理をも実行することができる構成となっている。図20及び図21は、インデックス分離処理部323が行う主走査方向及び副走査方向の両方の距離を用いた処理の手順を示すフローチャートである。
【0080】
最初のステップS401〜S410の処理は、前述のステップS101〜S110の処理と同等である。ステップS410でxmin,ymin,xmax,ymaxのいずれかが初期値ではない場合は(S410:NO)、インデックス分離処理部323は、副走査距離delta_yをdelta_y=ycnt−ymax[idx]と計算し、主走査距離delta_xをdelta_x=xcnt−xmax[idx]と計算する(S411)。ステップS410でxmin,ymin,xmax,ymaxが全て初期値である場合は(S410:YES)、インデックス分離処理部323は、副走査距離delta_y=0及び主走査距離delta_x=0と設定する(S412)。ステップS411又はステップS412が終了した後は、インデックス分離処理部323は、得られた副走査距離delta_yの値が所定の閾値th_iso_yより大きく、かつ主走査距離delta_xの値が所定の閾値th_iso_xより大きいという条件が満たされるか否かを判定する(S413)。インデックス分離処理部323は、ステップS413の条件が満たされる場合は(S413:YES)、ステップS414以降の処理を実行し、ステップS413の条件が満たされない場合は(S413:NO)、ステップS422以降の処理を実行する。ステップS414〜S426の処理は、前述のステップS114〜S126の処理と同等である。
【0081】
図22は、選択中の画素とdelta_y及びdelta_xとの関係を示す模式図である。選択中の画素は、画像上の座標(xcnt,ycnt)で位置が指定される。図22中にハッチングで示した領域は、選択中の画素と同一のインデックスが対応付けられた画素が占める領域である。領域中の画素の内でy座標が最大である画素とのy座標値の差がdelta_yであり、x座標が最大である画素とのx座標値の差がdelta_xである。処理で用いる閾値th_iso_yと閾値th_iso_xとは、同一の値でも良く、互いに異なる値であってもよい。
【0082】
またインデックス分離処理部323は、ステップS413の判定条件を他の条件とした処理を行う形態であってもよい。図23は、delta_y及びdelta_xを用いて画素間の距離を判定するその他の条件を用いた処理の手順の一部を示すフローチャートである。インデックス分離処理部323は、前述のステップS401〜S412の処理を実行し、ステップS411又はS412の処理が終了した後に、副走査距離delta_yの値が所定の閾値th_iso_yより大きいか否かを判定する(S51)。delta_yがth_iso_yより大きい場合は(S51:YES)、インデックス分離処理部323は、主走査カウンタ値xcntが最小X座標値xminより小さいか否かを判定する(S52)。xcntがxminより小さい場合は(S52:YES)、インデックス分離処理部323は、選択中の画素が同一のインデックスを対応づけた他の画素から所定の距離より離れているとして、処理をステップS414へ進める。xcntがxmin以上である場合は(S52:NO)、インデックス分離処理部323は、xcntが最大X座標値xmaxより大きいか否かを判定する(S53)。xcntがxmaxより大きい場合は(S53:YES)、インデックス分離処理部323は、処理をステップS414へ進める。
【0083】
ステップS51でdelta_yがth_iso_y以下である場合(S51:NO)、又はステップS53でxcntがxmax以下である場合は(S53:NO)、インデックス分離処理部323は、主走査距離delta_xの値が所定の閾値th_iso_xより大きいか否かを判定する(S54)。delta_xがth_iso_xより大きい場合は(S54:YES)、インデックス分離処理部323は、副走査カウンタ値ycntが最小Y座標値yminより小さいか否かを判定する(S55)。ycntがyminより小さい場合は(S55:YES)、インデックス分離処理部323は、処理をステップS414へ進める。ycntがymin以上である場合は(S55:NO)、インデックス分離処理部323は、ycntが最大Y座標値ymaxより大きいか否かを判定する(S56)。ycntがymaxより大きい場合は(S56:YES)、インデックス分離処理部323は、処理をステップS414へ進める。ステップS54でdelta_xがth_iso_x以下である場合(S54:NO)、又はステップS56でycntがymax以下である場合は(S56:NO)、インデックス分離処理部323は、選択中の画素と同一のインデックスを対応づけた他の画素との間の距離が所定の距離以内であるとして、処理をステップS422へ進める。
【0084】
図24は、ステップS51〜S56の処理によってインデックスが分離される画素の範囲を示す模式図である。図24中にハッチングで示した領域は、特定のインデックスが対応付けられた画素が占める領域である。図中に示すA又はBで示す範囲内に領域内の画素と同一のインデックスが対応付けられた画素がある場合に、インデックスが分離され、新たなインデックスが画素に対応付けられる。図中にCで示す範囲内の画素は、領域内の画素よりも先に走査されるので、領域内の画素と同一のインデックスが対応付けられた画素は無い。
【0085】
以上、画素間の距離として主走査方向及び副走査方向の両方の距離を用いる処理を実行することによっても、インデックス分離処理部323は、画像上で所定の距離より離れた画素間には夫々別のインデックスを対応付け直しながら前景レイヤを作成することができる。画素間の距離として主走査方向及び副走査方向の両方の距離を用いる処理は、カラー画像入力装置11が読み取った画像を画像処理によって回転させる処理を行う場合でも、画像を回転させない場合でも、同様の効果を発揮する。インデックス分離処理部323は、使用者からの操作によって切り換えの指示を操作パネル12が受け付けた場合に、画素間の距離として副走査方向の距離を用いる処理と、主走査方向の距離を用いる処理と、主走査方向及び副走査方向の両方の距離を用いる処理とのいずれかを切り換える機能を備える。
【0086】
本実施例では、予め定められた所定の閾値を3とした例を示しているが、実際には、カラー画像入力装置11が読み取った画像に適した閾値を用いればよい。例えば、副走査方向の閾値th_iso_y及び主走査方向の閾値th_iso_xとして、副走査方向及び主走査方向の画素数の30%と設定しておく。カラー画像入力装置11が600dpiでA3サイズの画像を読み込んだ場合は、主走査方向の画素数が7000、副走査方向の画素数が10000となり、閾値は夫々th_iso_y=3000及びth_iso_x=2100となる。またカラー画像入力装置11が600dpiでA4サイズの画像を読み込んだ場合は、主走査方向の画素数が5000、副走査方向の画素数が7000となり、閾値は夫々th_iso_y=2100及びth_iso_x=1500となる。
【0087】
前景色インデックス化処理部32は、インデックス分離処理部323が生成した前景レイヤ、インデックスカラーテーブル、座標テーブル、及び入力された画像データを背景レイヤ生成処理部33へ出力する。
【0088】
背景レイヤ生成処理部33は、入力された画像データ及び前景レイヤから、図2に示す如き背景レイヤを生成する処理を行う。具体的には、画像データに含まれる前景画素の色情報を、前景画素周辺の背景画素の色情報の平均で置き換えることにより、背景レイヤを作成する。ここで、背景画素は前景レイヤ中でインデックス0を対応付けられている画素であり、前景画素はその他のインデックスを対応付けられている画素である。なお、前景マスク生成処理部31が生成した前景マスクを用いて前景画素と背景画素とを区別する処理を行ってもよい。また周辺に背景画素が存在しない前景画素については、背景画素の平均値で色情報が置き換えられた他の前景画素の色情報の値又は平均値で色情報を置き換える処理を行う。背景レイヤ生成処理部33は、生成した背景レイヤ、前景レイヤ、インデックスカラーテーブル及び座標テーブルを2値画像生成処理部34へ出力する。
【0089】
2値画像生成処理部34は、前景レイヤ及び座標テーブルに基づき、前景レイヤに含まれる0以外のインデックスの夫々について2値画像を生成する。具体的には、特定のインデックスが対応付けられた画素の画素値を1とし、他の画素の画素値を0とした2値画像を生成し、0以外の全てのインデックスについて2値画像の生成を繰り返す。図25は、生成した2値画像の例を示す概念図である。図25(a)に示す例は、図15に示す前景レイヤで1のインデックスを対応付けら得た画素の画素値を1とし、他の画素の画素値を0とした2値画像である。また図25(b)に示す例は、図15に示す前景レイヤで2のインデックスを対応付けら得た画素の画素値を1とし、他の画素の画素値を0とした2値画像である。3〜8のインデックスの夫々に付いても、同様に2値画像が生成される。結果として、前景レイヤに含まれる0以外のインデックスの数と同数個の2値画像が生成される。また各2値画像には、各インデックスが関連付けられている。2値画像生成処理部34は、生成した2値画像、背景レイヤ、インデックスカラーテーブル及び座標テーブルを画像圧縮処理部35へ出力する。
【0090】
画像圧縮処理部35は、各2値画像、背景レイヤ、インデックスカラーテーブル及び座標テーブルを圧縮することにより、圧縮画像データを生成する。具体的には、画像圧縮処理部35は、各インデックスについて座標テーブルに記録されている最小X座標値、最小Y座標値、最大X座標値及び最大Y座標値で画素の範囲が限定された矩形領域を各2値画像から抽出し、各2値画像から抽出した矩形領域をMMR等の可逆圧縮技術を用いて夫々に圧縮する。更に画像圧縮処理部35は、背景レイヤをJPEG等の非可逆圧縮技術を用いて圧縮し、圧縮後の各2値画像に、各インデックスが示す色を表す色情報及び各インデックスの画素が画像上で占める座標の範囲を付加し、圧縮後の全てのデータを一つのデータファイルに統合することにより、圧縮画像データを生成する。なお、画像圧縮処理部35は、操作パネル12で受け付けた所定の指示に従って、データの圧縮形式を変更する機能を備えた構成であってもよい。
【0091】
圧縮処理部3は、以上の処理により、カラー画像入力装置11から入力された画像を圧縮した圧縮画像データを生成し、記憶部29又は送信装置14へ出力する。記憶部29は、圧縮画像データを記憶し、操作パネル12で受け付けた所定の指示に従って、記憶している圧縮画像データを読み出して送信装置14へ出力する。送信装置14は、操作パネル12で受け付けた所定の指示に従って、外部へ圧縮画像データを送信する。
【0092】
以上詳述した如く、本発明の画像処理装置は、画像から文字に対応する画素を抽出し、文字に対応する各画素に画素の色を数値で示したインデックスを対応づけた前景レイヤを生成し、画像から文字を省いた背景レイヤを生成し、前景レイヤから、インデックス毎に、各インデックスが対応付けられた画素とその他の画素とを区別した2値画像を生成し、全ての2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮することによって圧縮画像データを生成する。画像処理装置は、前景レイヤを生成する際には、色に応じたインデックスを各画素に一旦対応付け、同一のインデックスを対応付けられた画素の内で所定の距離以上離れた画素間には同一の色を示しながらも数値が互いに異なるインデックスを対応付け直す。背景レイヤから2値画像を生成した際には、色が同一でありながら異なるインデックスが対応付けられた画像は、互いに異なる2値画像に含まれることとなり、個々の2値画像内では、画素値1の画素は、従来技術に比べてより狭い領域に集中することとなる。従って、各2値画像から抽出した各インデックスに係る画素が含まれる矩形領域には、各インデックスを対応付けられた画素の割合が従来技術よりも高くなり、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができる。例えば、画像上で離隔した二つの領域の色が同一である場合、従来技術では、二つの領域を含んだ矩形領域を抽出するので、領域間の画素を含む圧縮データを作成するのに対し、本発明では、二つの領域に互いに別のインデックスを対応付け、各領域を含む矩形領域を個別に抽出して個別に圧縮するので、圧縮データには領域間の画素が含まれない。
【0093】
以上のように、本発明においては、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができるので、カラー画像を圧縮した圧縮画像データのデータ量を削減し、カラー画像の圧縮効率を向上させることができる。従って、カラー画像を圧縮するために必要な処理時間を短縮することが可能となる。また圧縮画像データを送受信する際には、送受信すべきデータ量を削減し、送受信に必要な時間を短縮することが可能となる。
【0094】
(実施の形態2)
実施の形態1では、本発明の画像形成装置がカラー画像を形成する装置である形態を示したが、実施の形態2では、本発明の画像形成装置がモノクロ画像を形成する装置である形態を示す。図26は、実施の形態2に係る画像形成装置の内部の機能構成を示すブロック図である。画像形成装置は、画像をモノクロのグレースケールで光学的に読み取るグレー画像入力装置15を備えており、グレー画像入力装置15には、本発明の画像処理装置であるモノクロ画像処理装置4が接続されている。モノクロ画像処理装置4には、モノクロ画像処理装置4が生成した画像データに基づいてモノクロ画像を出力するモノクロ画像出力装置16、及び送信装置14が接続されている。グレー画像入力装置15、モノクロ画像処理装置4、モノクロ画像出力装置16及び送信装置14には、操作パネル12が接続されている。
【0095】
グレー画像入力装置15は、CCD光センサを備えたスキャナにて構成されており、紙等の記録担体上に記録された画像からの反射光像をCCDで読み取り、グリーン(G)単色でグレースケールのアナログ信号に変換してモノクロ画像処理装置4へ入力する構成となっている。モノクロ画像処理装置4は、グレー画像入力装置15から入力されたG単色のアナログ信号に対して画像処理を行ってデジタルの画像データを生成する。またモノクロ画像処理装置4は、デジタルのK信号からなる画像データを生成してモノクロ画像出力装置16へ出力する。またモノクロ画像処理装置4は、生成したデジタルの画像データを圧縮処理により圧縮した圧縮画像データを生成し、圧縮画像データを送信装置14へ出力する。モノクロ画像出力装置16は、モノクロ画像処理装置4から入力された画像データに基づいて、モノクロ画像を出力する。操作パネル12及び送信装置14の構成は、実施の形態1と同様である。
【0096】
モノクロ画像処理装置4は、グレー画像入力装置15から入力されたアナログ信号をA/D変換部40でデジタル信号に変換し、シェーディング補正部41、入力階調補正部42、領域分離処理部43、空間フィルタ処理部46、出力階調補正部47、階調再現処理部48の順に送り、デジタルのK信号からなる画像データをモノクロ画像出力装置16へ出力する構成となっている。またモノクロ画像処理装置4は、デジタル信号を領域分離処理部43から圧縮処理部45へ送り、圧縮画像データを送信装置14へ出力する構成となっている。
【0097】
A/D変換部40は、グレー画像入力装置15から入力されたアナログ信号を受け付け、アナログのG信号をデジタルのG信号へ変換し、シェーディング補正部41へ出力する。シェーディング補正部41は、A/D変換部40から入力されたG信号に対して、各種の歪みを取り除く処理を行い、歪みを取り除いたG信号を入力階調補正部42へ出力する。入力階調補正部42は、シェーディング補正部41から入力されたG信号の強度のバランスを調整し、更に、G信号をモノクロ画像処理装置4で処理しやすい濃度信号等の信号へ変換し、処理後のG信号を領域分離処理部43へ出力する。
【0098】
領域分離処理部43は、入力階調補正部42から入力されたG信号が表す画像中の各画素を、文字領域、網点領域、又は写真領域のいずれかに分離し、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号を、空間フィルタ処理部46及び階調再現処理部48へ出力し、G信号を空間フィルタ処理部46及び圧縮処理部45へ出力する。圧縮処理部45は、領域分離処理部43からG信号でなる画像データを入力され、本発明の画像処理方法を用いて圧縮画像データを生成する処理を実行し、圧縮画像データを記憶部29に記憶させ、また圧縮画像データを送信装置14へ出力する。
【0099】
空間フィルタ処理部46は、入力されたG信号が表す画像に対して、領域識別信号に基づいて空間フィルタ処理を行い、処理後のG信号を出力階調補正部47へ出力する。出力階調補正部47は、空間フィルタ処理部46から入力されたG信号に対して、モノクロ画像出力装置16の特性に基づく出力階調補正処理を行い、処理後のG信号を階調再現処理部48へ出力する。
【0100】
階調再現処理部48は、出力階調補正部47から入力されたG信号に対して、領域識別信号に基づいて、領域に応じた中間調処理を行い、処理後のG信号を変換したK信号でなる画像データをモノクロ画像出力装置16へ出力する。
【0101】
圧縮処理部45は、領域分離処理部43からG信号でなる画像データを入力され、本発明の画像処理方法を用いて圧縮画像データを生成する処理を実行する。圧縮処理部45が実行する画像処理方法は、色情報がRGB各色の色強度を示す情報ではなくG単色の強度を示す情報であることを除けば、実施の形態1の圧縮処理部3が実行する画像処理方法と同等である。図27は、実施の形態2に係る圧縮処理部45が利用するインデックスカラーテーブルの例を示す図表である。各アドレスには、色情報として、G単色の強度を示す情報が関連付けられている。また背景画素に対応するインデックス(=アドレス)0には、白色を示す強度0の色情報が関連付けられている。圧縮処理部45は、図27に示す如きインデックスカラーテーブルを用いて、実施の形態1の圧縮処理部3が実行する画像処理方法と同様の画像処理方法を実行することにより、圧縮画像データを生成する。
【0102】
以上詳述した如く、本実施の形態に係る画像処理装置は、画素の色情報が単色の強度を示すモノクロ画像に対して、実施の形態1と同様の画像処理を行うことにより、モノクロ画像を圧縮した圧縮画像データを生成する。本実施の形態においても、同一のインデックスを一旦対応付けられた画素の内で所定の距離以上離れた画素間でインデックスを分離することにより、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができる。従って、モノクロ画像を圧縮した圧縮画像データのデータ量を削減し、モノクロ画像の圧縮効率を向上させることが可能となる。
【0103】
(実施の形態3)
実施の形態2では、本発明の画像形成装置がモノクロ画像を受け付けてモノクロ画像を形成する装置である形態を示したが、実施の形態3では、本発明の画像形成装置がカラー画像を受け付けてモノクロ画像を形成する装置である形態を示す。図28は、実施の形態3に係る画像形成装置の内部の機能構成を示すブロック図である。画像形成装置は、カラー画像を光学的に読み取るカラー画像入力装置11を備えており、カラー画像入力装置11には、画像処理装置5が接続されている。画像処理装置5には、モノクロ画像出力装置16、及び送信装置14が接続されている。カラー画像入力装置11、画像処理装置5、モノクロ画像出力装置16及び送信装置14には、操作パネル12が接続されている。
【0104】
カラー画像入力装置11は、実施の形態1と同様の処理を行い、カラー画像を読み取ったRGBのアナログ信号を画像処理装置5へ出力する。画像処理装置5は、カラー画像入力装置11から入力されたRGBのアナログ信号に対して画像処理を行って、デジタルの単色のK信号からなる画像データを生成してモノクロ画像出力装置16へ出力する。また画像処理装置5は、デジタルのRGB信号でなる画像データを圧縮した圧縮画像データを生成し、圧縮画像データを記憶部29に記憶させるか又は送信装置14へ出力する。記憶部29が記憶する圧縮画像データ及び送信装置14が送信する圧縮画像データが表す画像は、カラー画像となる。モノクロ画像出力装置16は、画像処理装置5から入力された画像データに基づいて、モノクロ画像を出力する。操作パネル12及び送信装置14の構成は、実施の形態1と同様である。
【0105】
画像処理装置5は、カラー画像入力装置11から入力されたアナログ信号をA/D変換部20でデジタル信号に変換し、シェーディング補正部21、入力階調補正部22、領域分離処理部53、色補正部54、黒生成下色除去部55、空間フィルタ処理部46、出力階調補正部47、階調再現処理部48の順に送り、デジタルのK信号からなる画像データをモノクロ画像出力装置16へ出力する構成となっている。また画像処理装置5は、デジタル信号を色補正部54から圧縮処理部45へ送り、圧縮画像データを送信装置14へ出力する構成となっている。
【0106】
A/D変換部20、シェーディング補正部21、及び入力階調補正部22の構成は、実施の形態1と同様である。領域分離処理部53は、入力階調補正部22から入力されたRGB信号が表す画像中の各画素を、文字領域、網点領域、又は写真領域のいずれかに分離し、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下色除去部55、空間フィルタ処理部46、及び階調再現処理部48へ出力する。領域分離処理部53は、また、入力階調補正部22から入力されたRGB信号を色補正部54及び圧縮処理部45へ出力する。
【0107】
色補正部54は、領域分離処理部53から入力されたRGB信号からG信号を抽出し、抽出したG信号を黒生成下色除去部55へ出力する。黒生成下色除去部55は、色補正部54からのG信号を空間フィルタ処理部46へ出力する。空間フィルタ処理部46、出力階調補正部47及び階調再現処理部48の構成は、実施の形態2と同様である。
【0108】
圧縮処理部45の構成は実施の形態1と同様であり、圧縮処理部45は、領域分離処理部53からRGB信号でなる画像データを入力され、実施の形態1と同様に本発明の画像処理方法を実行することにより、圧縮画像データを生成する。
【0109】
なお、色補正部54は、RGB信号からG信号を抽出するのではなく、RGB信号から輝度信号を生成する処理を行う形態であってもよい。例えば、色補正部54は、RGB各色の色強度RGBから輝度値Yを、Y=0.30R+0.59G+0.11Bと計算することによって、輝度信号を生成する。この形態の場合は、黒生成下色除去部55、空間フィルタ処理部46、出力階調補正部47及び階調再現処理部48は、輝度信号を色情報とした処理を実行する。
【0110】
以上のように、本実施の形態においては、モノクロ画像の形成とカラーの圧縮画像データの生成とを可能とする。圧縮画像データの生成に際しては、実施の形態1と同様に、同一のインデックスを一旦対応付けられた画素の内で所定の距離以上離れた画素間でインデックスを分離することにより、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができる。従って、カラー画像を圧縮した圧縮画像データのデータ量を削減し、カラー画像の圧縮効率を向上させることが可能となる。
【0111】
(実施の形態4)
実施の形態1〜3では、本発明の画像処理装置が画像形成装置の一部をなす形態を示したが、実施の形態4においては、本発明の画像処理装置がスキャナ装置の一部をなす形態を示す。図29は、実施の形態4に係る画像処理装置を含むスキャナ装置の内部の機能構成を示すブロック図である。スキャナ装置は、カラー画像を光学的に読み取るカラー画像入力装置11を備えており、カラー画像入力装置11には、本発明の画像処理装置6が接続されている。画像処理装置6には、通信ケーブル又は通信ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等の図示しないホスト装置が接続されている。カラー画像入力装置11及び画像処理装置6には、操作パネル12が接続されている。
【0112】
カラー画像入力装置11は、実施の形態1と同様の処理を行い、カラー画像を読み取ったRGBのアナログ信号を画像処理装置6へ出力する。画像処理装置6は、カラー画像入力装置11から入力されたアナログ信号をA/D変換部20でデジタル信号に変換し、シェーディング補正部21、入力階調補正部22、領域分離処理部63、圧縮処理部3の順に送る構成となっている。A/D変換部20、シェーディング補正部21、及び入力階調補正部22の構成は、実施の形態1と同様である。領域分離処理部63は、入力階調補正部22から入力されたRGB信号を圧縮処理部3へ出力する。
【0113】
圧縮処理部3の構成は実施の形態1と同様であり、圧縮処理部3は、領域分離処理部63からRGB信号でなる画像データを入力され、実施の形態1と同様に本発明の画像処理方法を実行することにより、入力された画像を圧縮した圧縮画像データを生成する。また圧縮処理部3は、生成した圧縮画像データを図示しないホスト装置へ出力する。ホスト装置は、画像出力装置6が出力した圧縮画像データを受け付け、圧縮画像データの記憶、圧縮画像データの外部への送信、又は圧縮画像データに基づいた画像出力等の処理を実行する。
【0114】
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態1〜3と同様に、同一のインデックスを一旦対応付けられた画素の内で所定の距離以上離れた画素間でインデックスを分離することにより、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができる。従って、カラー画像又はモノクロ画像を圧縮した圧縮画像データのデータ量を削減し、画像の圧縮効率を向上させることができるようになり、圧縮画像データを送受信する際には、送受信すべきデータ量を削減し、送受信に必要な時間を短縮することが可能となる。
【0115】
(実施の形態5)
実施の形態5では、汎用のコンピュータを用いて本発明の画像処理装置を実現した形態を示す。図30は、実施の形態5に係る本発明の画像処理装置7の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る画像処置装置7は、PC等の汎用コンピュータを用いて構成されており、演算を行うCPU71と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM72と、光ディスク等の本発明の記録媒体8から情報を読み取るCD−ROMドライブ等のドライブ部73と、ハードディスク等の記憶部74とを備えている。CPU71は、本発明の記録媒体8から本発明のコンピュータプログラム81をドライブ部73に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム81を記憶部74に記憶させる。コンピュータプログラム81は必要に応じて記憶部74からRAM72へロードされ、ロードされたコンピュータプログラム81に基づいてCPU71は画像処理装置7に必要な処理を実行する。
【0116】
また画像処理装置7は、使用者が操作することによる各種の処理指示等の情報が入力されるキーボード又はポインティングデバイス等の入力部75と、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部76とを備えている。更に画像処理装置7は、図示しない外部の通信ネットワークに接続可能な送信部77と、画像データを入力するスキャナ装置等の外部の入力装置82に接続された受信部78とを備えている。入力装置82は、画像を光学的に読み取って画像データを生成し、生成した画像データを画像処理装置7へ送信し、受信部78は、入力装置82から送信された画像データを受信する。受信部78は、本発明における受付手段として機能する。また送信部77は、図示しない通信ネットワークを介して、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により外部へデータを送信することができる。
【0117】
CPU71は、本発明のコンピュータプログラム81をRAM72にロードし、ロードしたコンピュータプログラム81に従って、本発明の画像処理方法に係る処理を実行する。即ち、受信部78で入力装置82から画像データが入力された場合に、CPU71は、実施の形態1における前景マスク生成処理部31、前景色インデックス化処理部32、背景レイヤ生成処理部33、2値画像生成処理部34及び画像圧縮処理部35が行う処理と同様の、前景マスク生成処理、前景色インデックス化処理、背景レイヤ生成処理、2値画像生成処理及び画像圧縮処理を実行する。これにより、CPU71は、受け付けた画像データを圧縮した圧縮画像データを生成する処理を行う。CPU71は、生成した圧縮画像データを記憶部74に記憶させる。またCPU71は、ロードしたコンピュータプログラム81に従って、生成した圧縮画像データ、又は記憶部74から読み出した圧縮画像データを送信部77に外部へ送信させる処理を行う。
【0118】
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態1〜4と同様に、同一のインデックスを一旦対応付けられた画素の内で所定の距離以上離れた画素間でインデックスを分離することにより、圧縮後のデータに含まれる不要なデータを削減することができる。従って、カラー画像又はモノクロ画像を圧縮した圧縮画像データのデータ量を削減し、画像の圧縮効率を向上させることが可能となる。
【0119】
なお、本発明のコンピュータプログラム81を記録してある本発明の記録媒体8は、磁気テープ、磁気ディスク、可搬型のハードディスク、CD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスク、又はICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード型記録媒体のいずれの形態であってもよい。また本発明の記録媒体8は、画像処理装置7に装着され、記録媒体8の記録内容をCPU71が読み出すことが可能な半導体メモリ、即ちマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等であってもよい。
【0120】
また、本発明のコンピュータプログラム81は、インターネット又はLAN等の通信ネットワークを介して画像処理装置7に接続された図示しない外部のサーバ装置から画像処理装置7へダウンロードされて記憶部74に記憶される形態であってもよい。この形態の場合は、コンピュータプログラム81をダウンロードするために必要なプログラムは、予め記憶部74に記憶されてあるか、又は所定の記録媒体からドライブ部73を用いて読み出されて記憶部74に記憶され、必要に応じてRAM72にロードされるものであればよい。
【0121】
また以上の実施の形態1〜5においては、前景レイヤに含まれる画素として文字に対応する画素を抽出する処理を行う形態を示したが、これに限るものではなく、本発明は、前景レイヤに含まれる画素として線画に対応する画素を抽出する処理を行う形態であってもよい。また本発明は、前景レイヤに含まれる画素として文字及び線画に対応する画素を抽出する処理を行う形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】実施の形態1に係る画像形成装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図2】圧縮処理部が画像を圧縮する処理の概要を示す模式図である。
【図3】圧縮処理部が画像を圧縮する処理の概要を示す模式図である。
【図4】圧縮処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図5】前景色インデックス化処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】仮インデックス画像の例を示す概念図である。
【図7】インデックステーブル及びインデックスカラーテーブルの例を示す図表である。
【図8】インデックス統合後のインデックステーブル及びインデックスカラーテーブルの例を示す図表である。
【図9】仮インデックス画像中のインデックスを統合した例を示す概念図である。
【図10】インデックス分離処理部が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】インデックス分離処理部が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】生成した段階でのインデックス分離テーブル及び座標テーブルの例を示す図表である。
【図13】選択中の画素とdelta_yとの関係を示す模式図である。
【図14】座標テーブル更新処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】前景レイヤの例を示す概念図である。
【図16】インデックスを分離する処理が終了した後のインデックステーブル、インデックスカラーテーブル、インデックス分離テーブル及び座標テーブルの例を示す図表である。
【図17】インデックス分離処理部が行う主走査方向の距離を用いた処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】インデックス分離処理部が行う主走査方向の距離を用いた処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】画像処理によって90°回転させる画像を示す模式図である。
【図20】インデックス分離処理部が行う主走査方向及び副走査方向の両方の距離を用いた処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】インデックス分離処理部が行う主走査方向及び副走査方向の両方の距離を用いた処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】選択中の画素とdelta_y及びdelta_xとの関係を示す模式図である。
【図23】delta_y及びdelta_xを用いて画素間の距離を判定するその他の条件を用いた処理の手順の一部を示すフローチャートである。
【図24】ステップS51〜S56の処理によってインデックスが分離される画素の範囲を示す模式図である。
【図25】生成した2値画像の例を示す概念図である。
【図26】実施の形態2に係る画像形成装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図27】実施の形態2に係る圧縮処理部が利用するインデックスカラーテーブルの例を示す図表である。
【図28】実施の形態3に係る画像形成装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図29】実施の形態4に係る画像処理装置を含むスキャナ装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図30】実施の形態5に係る本発明の画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0123】
11 カラー画像入力装置
12 操作パネル
13 カラー画像出力装置
14 送信装置
15 グレー画像入力装置
16 モノクロ画像出力装置
2 カラー画像処理装置
20、40 A/D変換部
3、45 圧縮処理部
31 前景マスク生成処理部
32 前景色インデックス化処理部
321 仮インデックス画像生成処理部
322 インデックス統合処理部
323 インデックス分離処理部
33 背景レイヤ生成処理部
34 2値画像生成処理部
35 画像圧縮処理部
4 モノクロ画像処理装置
5、6、7 画像処理装置
71 CPU
8 記録媒体
81 コンピュータプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を受け付ける受付手段と、
該受付手段が受け付けた画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出する手段と、
該手段が抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手段と、
前記受付手段が受け付けた画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成する背景レイヤ生成手段と、
前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成する手段と、
該手段が生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮する手段とを備え、画像を圧縮する処理を行う画像処理装置において、
前記前景レイヤ生成手段は、
各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付ける手段と、
同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離する識別子分離手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記識別子分離手段は、
所定の選択順に従って、画素を順次選択する選択手段と、
選択済の画素の内で選択中の画素と同一の識別子を対応付けられた画素と、選択中の画素との間の最小距離を取得する距離取得手段と、
該距離取得手段が取得した最小距離が所定の閾値より大きい場合に、選択中の画素、及び未選択の画素の内で前記識別子を対応付けられた画素に、前記識別子と同一の色情報に関連付けられた新たな識別子を対応付け直す手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、画像上の一方向を主走査方向とし、前記一方向に直交する方向を副走査方向として、画素を順次選択するように構成してあり、
前記距離取得手段が取得する距離として、主走査方向の距離と、副走査方向の距離と、主走査方向及び副走査方向の両方の距離とを切り替える手段を更に備えること
を特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記色情報は、複数の原色の強度を示す情報からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記色情報は、単色の強度を示す情報からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の画像処理装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像を受け付けるステップと、
受け付けた画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出するステップと、
抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成ステップと、
受け付けた画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成するステップと、
前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成するステップと、
生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮するステップとを含む画像処理方法において、
前記前景レイヤ生成ステップは、
各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付けるステップと、
同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離するステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像を圧縮する処理を実行するコンピュータに、
画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出する手順と、
抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手順と、
前記画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成する手順と、
前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成する手順と、
生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮する手順とを含む処理を実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、
前記前景レイヤ生成手順は、
各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付ける手順と、
同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離する手順と
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
画像を圧縮する処理を実行するコンピュータに、
画像に含まれる文字及び/又は線画に対応する画素を抽出する手順と、
抽出した各画素での色を複数の識別子のいずれかで表した前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手順と、
前記画像から文字及び/又は線画を省いた背景レイヤを生成する手順と、
前景レイヤに含まれる識別子毎に、色が特定の識別子で表される画素とその他の画素とからなる2値画像を生成する手順と、
生成した2値画像及び背景レイヤを夫々に圧縮する手順とを含む処理を実行させるためのコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、
前記前景レイヤ生成手順は、
各画素での色を示す色情報に応じて、特定の色情報に関連付けられた識別子を各画素に対応付ける手順と、
同一の識別子を対応付けられた画素の内、画像上で所定の距離より大きく離れた画素間で識別子を分離する手順と
を含むことを特徴とするコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2010−98611(P2010−98611A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269020(P2008−269020)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】