説明

画像処理装置、画像読取装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】多値の画像データを高解像度の画像データに変換するにあたり、変換後の画像データのドット再現性とともに画質を高めることである。
【解決手段】多値の画像データの注目画素を階調変換する階調変換部141と、注目画素ごとに、階調変換で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な画素ブロックを出力して高解像度の画像データを作成する解像度変換部142と、階調変換前後の階調値の誤差値を注目画素の周辺画素に拡散する処理を行う誤差拡散部143と、を備え、解像度変換部142は、注目画素の階調変換後の階調値が第1の所定値以下である場合に、周辺画素の画素ブロックで使用した黒画素の出力順カテゴリを参照し、注目画素と周辺画素との画素ブロック内の黒画素が集中する出力順カテゴリに対応する黒画素の出力順パターンを選択し、当該選択した出力順パターンに対応する画素ブロックを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを高解像度に変換する画像処理装置と、当該画像処理装置を備えた画像読取装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低解像度で多値の画像データから、所定の画素数で構成される画素ブロックを用いて高解像度の画像データに変換する技術が提案されている。多値とは、出力する画素ブロックで再現できる階調数以上の値である。
【0003】
例えば、階調変換値をディザ閾値マトリクスに従って生成し、低解像度で多値の画像データを階調変換値により階調変換データに変換し、高解像度で2値の画像データに変換する際に、画素集中型のディザ閾値マトリクスを参照することで、粒状性、解像性を保持した高解像度で2値の画像データを高速に生成する画像処理方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、変換後の画像データの黒画素を集中することで、印刷時に再現されない孤立した黒画素を防ぎ、印刷時のドット再現性を高めている。
【特許文献1】特開2002−185785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の構成では、ディザ閾値マトリクスを使用し、画像データに対して全面的に黒画素の集中処理を行うことで固定パターンが発生し、テクスチャノイズが発生しやすかった。
【0005】
本発明の課題は、多値の画像データを高解像度の画像データに変換するにあたり、変換後の画像データのドット再現性とともに画質を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像処理装置は、
多値の画像データにおける注目画素の階調値を、階調値の閾値に基づいて階調数が減少するように変換する階調変換部と、
前記注目画素ごとに、前記階調変換部で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な所定画素数で構成される画素ブロックを出力することにより、前記画像データよりも高解像度の画像データを作成する解像度変換部と、
前記階調変換部による階調変換前と変換後における階調値の誤差値を、拡散係数パターンに基づいて前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行う誤差拡散部と、を備え、
前記解像度変換部は、前記注目画素の階調変換後の階調値が第1の所定値以下である場合に、前記注目画素の周辺画素の画素ブロックで使用した黒画素の出力順カテゴリを参照し、当該注目画素の画素ブロック内の黒画素と当該周辺画素の画素ブロック内の黒画素とが集中する出力順カテゴリに対応する黒画素の出力順パターンを選択し、当該選択した出力順パターンに対応する画素ブロックを出力することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
複数の出力順パターンを記憶する第1の記憶部を備え、
前記解像度変換部は、前記第1の記憶部に記憶された複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンを選択することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、
前記第1の記憶部は、前記各出力順パターンを出力順カテゴリに対応付けて記憶することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、
前記第1の記憶部は、全て白画素の出力順パターンを含む前記複数の出力順パターンを記憶することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
注目画素の周辺画素の出力順カテゴリに対応付けて当該周辺画素の最初に出力される黒画素に当該注目画素の最初に出力される黒画素を集中する当該注目画素の出力順カテゴリを示す画素集中情報を記憶する第2の記憶部を備え、
前記解像度変換部は、前記画素集中情報に基づいて、注目画素の周辺画素の出力順カテゴリから当該注目画素の出力順カテゴリを決定し、当該決定した出力順カテゴリの出力順パターンから当該注目画素の出力順パターンを選択することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理装置において、
前記解像度変換部は、前記画素集中情報に基づいて決定した前記注目画素の出力順カテゴリの出力順パターンから当該注目画素の出力順パターンをランダムに又はユーザ指示に応じて選択することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記解像度変換部は、前記注目画素の階調変換後の階調値が第2の所定値以上である場合に、前記第1の記憶部に記憶された複数の出力順パターンから当該注目画素の出力順パターンをランダムに又はユーザ指示に応じて選択することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記解像度変換部は、出力する注目画素の画素ブロックに孤立する黒画素がある場合に、前記階調変換部の前記閾値のうち白画素の階調値に変換する閾値を、画素ブロックが少なくとも一つ黒画素を有する階調値に変更する閾値に変更することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
第3の記憶部を備え、
前記解像度変換部は、画素ブロックを出力した注目画素の出力順カテゴリを前記第3の記憶部に記憶し、当該第3の記憶部に記憶された出力順カテゴリを周辺画素の出力順カテゴリとして参照することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記階調変換部の閾値の設定の入力を受け付ける第1の操作部を備え、
前記階調変換部は、前記第1の操作部を介する入力により設定された閾値に基づいて前記多値の画像データにおける注目画素の階調値を変換することを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記誤差拡散部の拡散係数パターンの設定の入力を受け付ける第2の操作部を備え、
前記誤差拡散部は、前記第2の操作部を介する入力により設定された拡散係数パターンに基づいて前記誤差値を前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明の画像読取装置は、
請求項1から11のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
原稿を読み取り画像データを取得する画像読取部と、を備え、
前記階調変換部は、前記画像読取部により取得された多値の画像データにおける注目画素の階調値を変換することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明の画像処理方法は、
多値の画像データにおける注目画素の階調値を、階調値の閾値に基づいて階調数が減少するように変換する階調変換工程と、
前記注目画素ごとに、前記階調変換部で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な所定画素数で構成される画素ブロックを出力することにより、前記画像データよりも高解像度の画像データを作成する解像度変換工程と、
前記階調変換工程による階調変換前と変換後における階調値の誤差値を、拡散係数パターンに基づいて前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行う誤差拡散工程と、を含み、
前記解像度変換工程において、前記注目画素の階調変換後の階調値が第1の所定値以下である場合に、前記注目画素の周辺画素の画素ブロックで使用した黒画素の出力順カテゴリを参照し、当該注目画素の画素ブロック内の黒画素と当該周辺画素の画素ブロック内の黒画素とが集中する出力順カテゴリに対応する黒画素の出力順パターンを選択し、当該選択した出力順パターンに対応する画素ブロックを出力することを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明の画像処理プログラムは、
コンピュータを、
多値の画像データにおける注目画素の階調値を、階調値の閾値に基づいて階調数が減少するように変換する階調変換部、
前記注目画素ごとに、前記階調変換部で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な所定画素数で構成される画素ブロックを出力することにより、前記画像データよりも高解像度の画像データを作成する解像度変換部、
前記階調変換部による階調変換前と変換後における階調値の誤差値を、拡散係数パターンに基づいて前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行う誤差拡散部、
として機能させ、
前記解像度変換部は、前記注目画素の階調変換後の階調値が第1の所定値以下である場合に、前記注目画素の周辺画素の画素ブロックで使用した黒画素の出力順カテゴリを参照し、当該注目画素の画素ブロック内の黒画素と当該周辺画素の画素ブロック内の黒画素とが集中する出力順カテゴリに対応する黒画素の出力順パターンを選択し、当該選択した出力順パターンに対応する画素ブロックを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、13、14に記載の発明によれば、多値の画像データを高解像度の画像データに変換するにあたり、変換後の画像データのドット再現性を高めるとともに、テクスチャノイズの発生を防いで画質を高めることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンを選択できる。また、複数の出力順パターンを用いることで、変換後の画像データのテクスチャノイズの発生をより防ぐことができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、出力順カテゴリに対応する出力順パターンを容易に読み出すことができ、注目画素の画素ブロックの黒画素と周辺画素の画素ブロックの黒画素とを集中させる処理を単純化できる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、全て白画素の出力順パターンに対応する出力順カテゴリを周辺画素に用いることができ、全て白画素の周辺画素を把握できる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、画素集中情報を用いて注目画素の画素ブロックの黒画素と周辺画素の画素ブロックの黒画素とを集中させる処理を単純化できる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンを適切に選択でき、変換後の画像データのテクスチャノイズの発生をより防ぐことができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、変換後の画像データの高濃度部におけるドット再現性を高めるとともに画質を高めることができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、変換後の画像データの黒画素の孤立化を容易に回避できる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、第3の記憶部に記憶された出力順カテゴリに基づいて、周辺画素の画素ブロックの黒画素の位置を容易に把握できる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、階調変換の閾値を設定でき、変換後の画像データの画質を調整できる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、拡散係数パターンに基づく誤差拡散方式を設定できる。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、画像読取部で読み取った多値の画像データを高解像度の画像データに変換するにあたり、変換後の画像データのドット再現性を高めるとともに、テクスチャノイズの発生を防いで画質を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0033】
図1を参照して、本実施の形態における構成について説明する。図1に、本実施の形態の画像形成装置1の内部構成を示す。
【0034】
図1に示すように、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、第1、第2の記憶部としてのROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)12と、画像読取部13と、画像処理部14と、メモリ制御部15と、画像メモリ16と、画像形成部17と、搬送部18と、第1、第2の操作部としての操作部19と、通信部20と、により構成され、各部はバス21により相互に接続される。
【0035】
CPU10は、画像形成装置1の各部を中央制御する。CPU10は、ROM11に記憶された各種システムプログラム、アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM12に展開し、当該展開されたプログラムと、CPU10との協働により各種処理が実行される。
【0036】
CPU10は、後述する画像変換プログラムに基づいて、階調変換部141に、画像読取部13等により入力された多値の画像データの注目画素を階調変換させ、解像度変換部142に、階調変換後の注目画素の階調値が1又は2の場合に、その注目画素及び周辺画素の画素ブロックの黒画素が集中するように高解像度の画素ブロックに解像度変換させ、誤差拡散部143に、その注目画素の階調変換前後の階調値の誤差を周辺画素に拡散させることを、全ての注目画素について実行し、高解像度で2値の画像データを取得する。
【0037】
ROM11は、CPU10によって実行される、画像形成装置1の動作に係る各種機能を実現するための各種プログラムと、当該各種プログラムの実行時に使用される各種データを記憶する。特に、ROM11は、画像変換プログラムと、画像処理部14での階調変換処理で使用する閾値のデータと、画素集中LUT(Look Up Table)30(図2参照)と、出力順パターン表40(図4参照)と、誤差拡散処理で使用する拡散係数パターンのデータ(図5参照)を記憶している。
【0038】
RAM12は、CPU10によって実行される各種制御プログラムをプログラム格納エリアに展開し、入力されたデータや、各種制御プログラムの実行時に生じる処理結果等のデータをワークエリアに一時的に記憶する。
【0039】
画像読取部13は、スキャナ等により構成され、スキャナにより原稿の画像情報を読み
取って画像データを生成する。具体的に、画像読取部13は、透明なコンタクトガラスに載置された原稿を、光源からの照明により走査し、その反射光をCCD(Charge Coupled
Device)により結像して光電変換することにより多値の画像データを生成し、画像処理部14に出力する。
【0040】
画像処理部14は、入力された多値の画像データに対し、変倍処理、フィルタ処理、ガンマ変換処理等の各種画像処理を施す。また、画像処理部14は、階調変換部141、解像度変換部142、誤差拡散部143を有し、処理対象の画像データに対し、それぞれ、閾値との比較により階調変換する階調変換、高解像度の画像データに変換する解像度変換、誤差拡散処理を実行する。以下、階調変換部141、解像度変換部142、誤差拡散部143における処理の詳細を説明する。
【0041】
階調変換部141は、画像読取部13から入力された(低解像度で)多値の画像データ(以下、(低解像度で)多値の画像データを多値画像データという)の注目画素の階調値を、階調数が減少するように変換する。具体的に、階調変換部141は、ROM11に記憶された閾値のデータを読み出してユーザに選択された閾値THR0〜THR3を画像処理部14内部の閾値レジスタ(図示略)に保持し、注目画素の階調値を、閾値レジスタに保持された閾値THR0〜THR3との比較によって変換する。本実施の形態では、閾値としてTHR0〜THR3の4つの値を用いるものとするが、この数に限定されるものではない。また、閾値に限らず、ROM11に記憶された階調変換LUTを用いて変換するようにしてもよい。
【0042】
解像度変換部142は、階調変換部141における階調変換で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な画素ブロックを出力することにより、入力された階調変換後の画像データよりも高解像度の画像データを作成する。具体的に、解像度変換部142は、ROM11に記憶された画素集中LUT30、出力順パターン40のデータを読み出して画像処理部14内部の解像度変換レジスタ(図示略)に保持し、解像度変換レジスタに保持された画素集中LUT30、出力順パターン40に基づいて、注目画素の出力順パターンを選択し、その出力順パターンに対応する画素ブロックを出力する。また、解像度変換部142は、画素ブロックを出力した注目画素の出力順カテゴリを画像処理部14内部の第3の記憶部としてのバッファメモリ(図示略)に保持し、次からの注目画素の出力順パターンの選択に利用する。なお、高解像度の画像データを作成するか否かは、操作部19の操作により選択可能とし、高解像度の画像データの作成が選択された場合に、解像度変換部142による処理を行うようにしてもよい。
【0043】
誤差拡散部143は、階調変換部141での階調変換前と変換後における注目画素の階調値の誤差値を画像処理部14内のバッファメモリ(図示略)に保持し、その誤差値を、多値画像データの未処理の周辺画素に拡散して各周辺画素の階調値に加算する誤差拡散処理を行う。具体的に、誤差拡散部143は、ROM11に記憶された拡散係数パターンのデータを読み出して画像処理部14内部の係数パターンレジスタ(図示略)にユーザ選択可能に保持し、バッファメモリに保持された注目画素の誤差値に、係数パターンレジスタに保持されたユーザ選択後の拡散係数パターンに示された各係数を乗算し、その乗算値を各周辺画素の元の階調値に加算する。
【0044】
階調変換部141、解像度変換部142、誤差拡散部143は、CPU,RAM等を備え、RAMに展開したプログラムとCPUとの協働により各種処理を実現するソフトウェア的な構成としてもよく、回路等によりハードウェア的に構成することとしてもよい。
【0045】
メモリ制御部15は、画像データの読み出し及び書き込みの際の画像メモリ16へのアクセスを制御する。画像メモリ16は、揮発性、不揮発性の記録媒体で構成されており、画像処理部14で処理された画像データを記憶する。
【0046】
画像形成部17は、CPU10からの印刷制御信号に従って、所定の印刷方式(例えば、電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式等)で、転写紙に画像を形成する。搬送部18は、複数のローラにより画像形成前及び形成後の転写紙の搬送を行う。
【0047】
操作部19は、数字キーやスタートキー等の各種機能キー、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面と一体に構成されるタッチパネルを備えて構成されており、キー操作に対応する操作信号、タッチパネルでの入力操作に応じた操作信号をCPU10に出力する。
【0048】
通信部20は、NIC(Network Interface Card)等により構成され、PC(Personal Computer)、プリントサーバ等の外部機器と画像データ等の情報の送受信を介する。
【0049】
次に、図2〜図5を参照して、ROM11に記憶される各種データを説明する。
【0050】
ROM11は、多値画像データの注目画素の階調変換に用いる閾値(例えば、4つ以上の値)を記憶する。ROM11から読み出された閾値は、ユーザ操作により閾値THR0〜THR3が選択されて画像処理部14の閾値レジスタに格納されて使われる。これらの値が閾値THR0〜THR3の初期値となる。
【0051】
本実施の形態では、多値画像データを2値で高解像度の画像データに変換し、具体的には、多値画像データの1画素を2×2=4画素(画素ブロック)に変換する。その出力階調値の階調数は、次式(1)により求められる。
出力階調値の階調数
={(高解像度画像データの階調数―1)×画素ブロック数}+1 …(1)
高解像度の画像データの階調数=2、画素ブロック数=4ゆえ、出力階調値の階調数は5となる。
【0052】
閾値THR0〜THR3は、階調数=5の階調変換の下記条件を判別するのに適した値が設定される。
注目画素の階調値<THR0 → 階調値=0(0/8bit)
THR0≦注目画素の階調値<THR1 → 階調値=1(64/8bit)
THR1≦注目画素の階調値<THR2 → 階調値=2(128/8bit)
THR2≦注目画素の階調値<THR3 → 階調値=3(192/8bit)
THR3≦注目画素の階調値 → 階調値=4(255/8bit)
【0053】
図2に、画素集中LUT30の構成を示す。図3に、参照画素a,bと注目画素との位置関係を示す。ROM11は、図2に示す画素集中LUT30を記憶する。画素集中LUT30は、多値画像データの参照画素a,bと、その出力順カテゴリA〜Eに応じた、注目画素の出力順カテゴリA〜Eを有するテーブルである。図3に示すように、多値画像データの注目画素*の上及び左の周辺画素として、参照画素a,bが位置する。
【0054】
注目画素が一番上のライン又は左端の画素である場合には、参照画素a,bに画素がない場合が存在するが、その場合は、その位置の出力順カテゴリを所定の出力順カテゴリ(例えば、出力順カテゴリE)とする。また、各注目画素の出力順カテゴリは、画像処理部14のバッファメモリに一時的に格納され、その出力順カテゴリが後に参照画素の出力順カテゴリとして使われる。このため、バッファメモリには、少なくとも多値画像データ2ライン分の出力順カテゴリが格納可能に構成されている。
【0055】
図4に、出力順パターン表40の構成を示す。ROM11は、図4に示す出力順パターン表40を記憶する。出力順パターン表40は、2×2の画素に対応する複数の出力順パターンを有する。図4に示す出力順パターンは、階調変換後の画像データの各1画素を4画素の高解像度に変換する際の、各画素出力順パターンの各画素に示された数字(0〜3)は黒画素の出力順を示しており、この数字の順番で黒画素が優先して出力される。出力順カテゴリA〜Dは、出力順パターンにおいて最初に出力する黒画素位置により分けられたカテゴリである。
【0056】
出力順パターン表40において、出力順カテゴリA〜Eに基づいて出力順パターンが分類されている。また、図4では、出力順パターン表30において、出力順パターンを3番目まで黒画素とした出力パターンでも分類されているが、この分類は出力順パターン表30を見やすくするためのである。また、出力順カテゴリEの出力順パターンは、全て白色の場合の出力順パターンであり、出力順に意味が無いため、任意の同じ番号「3」で表現したものである。
【0057】
ROM11から読み出された画素集中LUT30及び出力順パターン表40は、画像処理部14の解像度変換レジスタに格納されて使われる。
【0058】
図5に、拡散係数パターンを示す。ROM11には、図5に示すような複数の異なる拡散係数パターン(係数パターン1〜5)のデータが記憶されている。拡散係数パターンは、多値画像データに施す誤差拡散処理に用いるものである。この係数パターン1〜5の一つに基づいて、注目画素*の階調変換前後の階調値の誤差が周辺画素の各拡散係数に乗算されて当該周辺画素の階調値に加算される。
【0059】
ROM11から読み出された係数パターンのデータは、画像処理部14の係数パターンレジスタに格納されて使われ、係数パターンレジスタの係数パターンのデータは、ユーザ操作により選択設定可能である。
【0060】
次に、図6〜図9を参照して、本実施形態における動作について説明する。先ず、図6〜図8を参照して、本実施の形態の画像変換の概要を説明する。図6(a)に、600dpiの画像データを1200dpiの画像データに変換するイメージを示す。図6(b)に、200×200dpiの画像データを200×300dpiの画像データに変換するイメージを示す。
【0061】
多値画像データを高解像度で階調数が少ない画像データに変換する画像処理を考える。入力された多値画像データの1画素を、n×m画素から構成される画素ブロック(n≧1、m≧1の整数)により変換することにより、高解像度の画像データが作成される。画素ブロックは、入力される元の画像データと、作成される高解像度の画像データのサイズから決定される。例えば、600dpiの画像データから1200dpiの画像データを作成する場合、図6(a)に示すように、600dpiの画像データの1画素を、縦×横を2×2とした4画素ブロックに変換することにより、1200dpiの画像データを作成することができる。
【0062】
また、200×200dpiの画像データから、200×300dpiの画像データへ変換するように、整数倍の画素ブロックへ変換することができない場合には、図6(b)に示すように、200×200dpiの画像データの1画素を、縦×横を1×1とした1画素ブロックと、縦×横を1×2とした2画素ブロックとで交互に変換することにより、200×300dpiの画像データを作成することができる。本実施の形態では、図6(a)の600dpiの画像データから1200dpiの画像データを作成する場合を説明するが、この解像度に限定されるものではない。
【0063】
図7を参照して、注目画素として1画素を考えた場合の、本実施の形態の画像変換処理による画素の変化の概略を説明する。図7に、多値の画素から2値の画素の画素ブロックへの変換を示す。
【0064】
図7に示すように、先ず、600dpiの多値画像データの1画素が注目画素として選択され、その注目画素の多値の階調値が、階調変換処理により、5値の階調値(=0〜4)に変換される。そして、注目画素に対応する出力順パターンが選択され、この出力順パターンに基づいて、階調変換後の階調値と同じ階調値を再現する4画素ブロックが出力される。
【0065】
図8に、階調値が異なる2値の4画素ブロックを示す。図8に示すように、4画素ブロックは、黒画素がそれぞれ0,1,2,3,4個の5通りの階調値0,25,50,75,100%をとる。つまり、階調変換後の注目画素の階調値0,1,2,3,4が、順に、階調値0,25,50,75,100%に対応する。図7の例では、階調変換により注目画素の階調値が2に設定され、選択された出力順パターンに基づいて、上2画素が黒画素となる階調値50%の4画素ブロックに変換される。
【0066】
次いで、図9を参照して、画像形成装置1において実行される画像変換処理を説明する。図9に、画像変換処理の流れを示す。画像変換処理は、画像読取部13又は通信部20により入力された多値画像データを高解像度で2値の画像データに変換する処理である。
【0067】
画像形成装置1において、例えば、操作部19を介してユーザから画像変換処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、ROM11から読み出されてRAM12に展開された画像変換プログラムと、CPU10との協働により画像変換処理が実行される。
【0068】
予め、画像読取部13により原稿が読み取られ、あるいは、通信部20を介して外部機器から画像データを受信し、その画像データが、画像変換対象としての多値画像データとして画像メモリ16に格納されているものとする。
【0069】
図9に示すように、先ず、ROM13から階調変換の閾値と、誤差拡散の係数パターン1〜5のデータが読み出され、操作部19を介して、閾値THR0〜THR3の選択入力と、係数パターンの選択入力と、画素集中モードか否かの設定入力と、が受け付けられて設定される(ステップS10)。画素集中モードは、画像データを高解像度に変換する際に黒画素を集中するモードである。また、閾値THR0〜THR3、係数パターンは、ROM13に記憶されているデータから選択する構成に限定されるものではなく、ステップS10で新たに設定入力される構成としてもよい。また、ステップS10で設定された閾値THR0〜THR3は、画像処理部14の閾値レジスタに格納され、同じく設定された係数パターンは、画像処理部14の係数パターンに格納される。
【0070】
そして、階調変換部141により、画像メモリ16から多値画像データが読み出され、多値画像データ内の未選択の一つの画素が注目画素として選択されて読み出される(ステップS11)。注目画素として、最初に多値画像データの左上端の画素が選択され、同じラインの左端の画素から右端の画素へ順に選択されていくとともに、ライン上の全ての画素が選択されると一つ下のラインへ移ることが繰り返され、最終的に右下端の画素が選択される。
【0071】
そして、階調変換部141により、ステップS10で設定された閾値レジスタ内の閾値THR0〜THR3に基づいて、選択中の注目画素の階調値が階調変換されて階調値0〜4が取得される(ステップS12)。また、階調変換部141又は誤差拡散部143により、選択中の注目画素の階調変換前後の階調値の誤差値が画像処理部14のバッファメモリに記憶される。
【0072】
そして、解像度変換部142により、ステップS10の設定結果に基づいて、画素集中モードに設定されているか否かが判別される(ステップS13)。画素集中モードに設定されている場合(ステップS13;YES)、解像度変換部142により、ステップS13で取得された注目画素の階調値が1又は2であるか否かが判別される(ステップS14)。
【0073】
階調値が1又は2である場合(ステップS14;YES)、解像度変換部142により、後述するステップS25で記憶された周辺画素のうちの参照画素a,bに対応する出力順カテゴリが画像処理部14のバッファメモリから読み出される(ステップS15)。そして、解像度変換部142により、ROM11に記憶された画素集中LUT30が参照され、ステップS15で取得された参照画素a,bに対応する出力順カテゴリに基づいて、注目画素の出力順カテゴリが取得され、ROM11に記憶された出力順パターン表40が参照され、取得された注目画素に対応する出力順カテゴリに該当する出力順パターンのうちからランダムに一つの出力順パターンが選択される(ステップS16)。
【0074】
そして、解像度変換部142により、選択中の注目画素が、出力順カテゴリ=D且つ階調値=1であるか否かが判別される(ステップS17)。つまり、画素ブロックの右下のみが黒画素であるか(黒画素が孤立しているか)否かが判別される。
【0075】
出力順カテゴリ=D且つ階調値=1である場合(ステップS17;YES)、RAM12に格納された閾値THR0が0に設定される(ステップS18)。そして、解像度変換部142により、選択中の注目画素の階調値及び出力順パターンに応じて4画素の画素ブロックが出力される(ステップS19)。
【0076】
階調値が1又は2でない場合(ステップS14;NO)、解像度変換部142により、選択中の注目画素の階調値=0であるか否かが判別される(ステップS20)。階調値=0である場合(ステップS20;YES)、解像度変換部142により、ROM11に記憶された出力順パターン表40が参照され、出力順カテゴリEに該当する出力順パターンが選択される(ステップS21)。そして、解像度変換部142により、閾値レジスタに格納された閾値THR0が初期値に戻されるよう設定され(ステップS18)、ステップS19に移行される。ステップS21実行前に、閾値レジスタに格納された閾値THR0が初期値である場合には、閾値THR0がそのままにされる。出力順カテゴリ=D且つ階調値=1でない場合(ステップS17;NO)、ステップS22に移行される。
【0077】
画素集中モードに設定されていない場合(ステップS13;NO)、通常の高解像の画像データへの変換モードであり、解像度変換部142により、ROM11に記憶された出力順パターン表40が参照され、出力順カテゴリE以外の全ての出力順パターンのうちランダムに一つの出力順パターンが選択され(ステップS23)、ステップS22に移行される。階調値=0でない場合(ステップS20;NO)、ステップS23に移行される。
【0078】
ステップS19の実行後、誤差拡散部143により、ステップS10で設定された誤差拡散の係数パターンに基づいて、画像処理部14のバッファメモリに記憶された注目画素のステップS12における階調変換前と変換後との階調値の誤差を注目画素の周辺画素に拡散する誤差拡散処理が実行される(ステップS24)。誤差拡散パターンのデータは、ユーザの操作入力により選択される構成としたが、自動的に(例えばランダムに)選択される構成としてもよい。
【0079】
そして、解像度変換部142により、選択中の注目画素の出力順カテゴリが、画像処理部14のバッファメモリに格納される(ステップS25)。バッファメモリには、少なくとも多値画像データの2ライン分の画素の出力順カテゴリが記憶される。また、ステップS15で参照画素a及びbとして選択済の出力順カテゴリはバッファメモリから消去して、メモリ容量を低減することとしてもよい。そして、解像度変換部142により、多値画像データの全画素が注目画素として選択されたか否かが判別される(ステップS26)。全画素が選択されていない場合(ステップS26;NO)、ステップS11に移行される。全画素が選択された場合(ステップS26;YES)、画像変換処理が終了する。
【0080】
以上、本実施の形態によれば、画像読取部13で読み取られた、又は通信部20を介して受信した多値画像データを高解像度で2値の画像データに変換するにあたり、階調変換後の階調値=1又は2の低濃度部において、注目画素の画素ブロックの黒画素と周辺画素の画素ブロックの黒画素とを集中させるので、変換後の画像データのドット再現性を高めるとともに、テクスチャノイズの発生を防いで画質を高めることができる。
【0081】
また、ROM11に出力順パターン表40を記憶するので、出力順パターン表40の複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンを選択できる。また、複数の出力順パターンを用いることで、変換後の画像データのテクスチャノイズの発生をより防ぐことができる。
【0082】
また、出力順パターン表40において、出力順パターンを出力順カテゴリA〜Eに対応付けるので、出力順カテゴリA〜Eに対応する出力順パターンを容易に読み出すことができ、注目画素の画素ブロックの黒画素と周辺画素の画素ブロックの黒画素とを集中させる処理を単純化できる。
【0083】
また、出力順パターン表40が、全て白画素の出力順パターンに対応する出力順カテゴリEを有するので、出力順カテゴリEを周辺画素に用いることができ、全て白画素の周辺画素を把握できる。
【0084】
また、ROM11に画素集中LUT30を記憶するので、画素集中LUT30を用いて、注目画素の画素ブロックの黒画素と周辺画素の画素ブロックの黒画素とを集中させる処理を単純化できる。
【0085】
また、階調変換後の階調値=1又は2の注目画素において、参照画素a,bの出力順カテゴリA〜Eに対応する、出力順パターン表40の複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンをランダムに選択するので、複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンを適切に選択でき、変換後の画像データのテクスチャノイズの発生をより防ぐことができる。
【0086】
また、階調変換後の階調値=3又は4の注目画素において、出力順パターン表40の複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンをランダムに選択するので、変換後の画像データの高濃度部におけるドット再現性を高めるとともに画質を高めることができる。
【0087】
また、注目画素が階調変換後の階調値=1且つ出力順カテゴリDである場合に、閾値THR0を0とするので、次に選択される注目画素の画素ブロックに黒画素が少なくとも一つ含まれ、変換後の画像データの黒画素の孤立化を容易に回避できる。
【0088】
また、画素ブロックを出力した注目画素の出力順カテゴリを画像処理部14のバッファメモリに記憶していくので、バッファメモリに記憶された出力順カテゴリに基づいて、周辺画素の画素ブロックの黒画素の位置を容易に把握できる。
【0089】
また、操作部19を介するユーザ入力により階調変換の閾値THR0〜THR3を設定するので、階調変換の閾値THR0〜THR3を容易に設定でき、変換後の画像データの画質を調整できる。
【0090】
また、操作部19を介するユーザ入力により誤差拡散の係数パターン1〜5を選択して設定するので、拡散係数パターンに基づく誤差拡散方式を自在に設定できる。
【0091】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適な画像処理装置、画像読取装置、画像処理方法及び画像処理プログラムの一例であり、これに限定されるものではない。また、以上の実施の形態における機密印刷システムを構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0092】
例えば、上記実施の形態においては、画像変換処理のステップS16,S23において、選択対象の出力順パターンからランダムに一つの出力順パターンを選択する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、操作部19を介するユーザ入力により、選択対象の出力順パターン等を設定し、その設定に基づいて出力順パターンを選択する構成としてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態において、出力する画素ブロックの各画素が2値であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、3値以上としてもよい。図10に、多値の画素から4値の画素の画素ブロックへの変換を示す。図10に示すように、例えば、多値(8bit)の600dpiの画像データの画素を注目画素とし、その注目画素を閾値で13値に階調変換し、出力順パターンを用いて、1画素が4値(3bit)で13階調が表現可能な1200dpiの4画素ブロックに変換するような構成としてもよい。その際の出力順の階調は、図10の(1)に示すように出力順が先の画素の階調を黒にしてから次の画素の階調を決定することとしてもよく、(2)に示すように、出力順が先の画素の階調を中間調の状態のまま次の画素の階調を決定することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る実施の形態の画像形成装置1の内部構成を示すブロック図である。
【図2】画素集中LUT30の構成を示す図である。
【図3】参照画素a,bと注目画素との位置関係を示す図である。
【図4】出力順パターン表40の構成を示す図である。
【図5】拡散係数パターンを示す図である。
【図6】(a)は、600dpiの画像データを1200dpiの画像データに変換するイメージを示す図である。(b)は、200×200dpiの画像データを200×300dpiの画像データに変換するイメージを示す図である。
【図7】多値の画素から2値の画素の画素ブロックへの変換を示す図である。
【図8】階調値が異なる2値の4画素ブロックを示す図である。
【図9】画像変換処理を示すフローチャートである。
【図10】多値の画素から4値の画素の画素ブロックへの変換を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 画像読取部
14 画像処理部
141 階調変換部
142 解像度変換部
143 誤差拡散部
15 メモリ制御部
16 画像メモリ
17 画像形成部
18 搬送部
19 操作部
20 通信部
21 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多値の画像データにおける注目画素の階調値を、階調値の閾値に基づいて階調数が減少するように変換する階調変換部と、
前記注目画素ごとに、前記階調変換部で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な所定画素数で構成される画素ブロックを出力することにより、前記画像データよりも高解像度の画像データを作成する解像度変換部と、
前記階調変換部による階調変換前と変換後における階調値の誤差値を、拡散係数パターンに基づいて前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行う誤差拡散部と、を備え、
前記解像度変換部は、前記注目画素の階調変換後の階調値が第1の所定値以下である場合に、前記注目画素の周辺画素の画素ブロックで使用した黒画素の出力順カテゴリを参照し、当該注目画素の画素ブロック内の黒画素と当該周辺画素の画素ブロック内の黒画素とが集中する出力順カテゴリに対応する黒画素の出力順パターンを選択し、当該選択した出力順パターンに対応する画素ブロックを出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複数の出力順パターンを記憶する第1の記憶部を備え、
前記解像度変換部は、前記第1の記憶部に記憶された複数の出力順パターンから注目画素の出力順パターンを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の記憶部は、前記各出力順パターンを出力順カテゴリに対応付けて記憶することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の記憶部は、全て白画素の出力順パターンを含む前記複数の出力順パターンを記憶することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
注目画素の周辺画素の出力順カテゴリに対応付けて当該周辺画素の最初に出力される黒画素に当該注目画素の最初に出力される黒画素を集中する当該注目画素の出力順カテゴリを示す画素集中情報を記憶する第2の記憶部を備え、
前記解像度変換部は、前記画素集中情報に基づいて、注目画素の周辺画素の出力順カテゴリから当該注目画素の出力順カテゴリを決定し、当該決定した出力順カテゴリの出力順パターンから当該注目画素の出力順パターンを選択することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記解像度変換部は、前記画素集中情報に基づいて決定した前記注目画素の出力順カテゴリの出力順パターンから当該注目画素の出力順パターンをランダムに又はユーザ指示に応じて選択することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記解像度変換部は、前記注目画素の階調変換後の階調値が第2の所定値以上である場合に、前記第1の記憶部に記憶された複数の出力順パターンから当該注目画素の出力順パターンをランダムに又はユーザ指示に応じて選択することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記解像度変換部は、出力する注目画素の画素ブロックに孤立する黒画素がある場合に、前記階調変換部の前記閾値のうち白画素の階調値に変換する閾値を、画素ブロックが少なくとも一つ黒画素を有する階調値に変更する閾値に変更することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
第3の記憶部を備え、
前記解像度変換部は、画素ブロックを出力した注目画素の出力順カテゴリを前記第3の記憶部に記憶し、当該第3の記憶部に記憶された出力順カテゴリを周辺画素の出力順カテゴリとして参照することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記階調変換部の閾値の設定の入力を受け付ける第1の操作部を備え、
前記階調変換部は、前記第1の操作部を介する入力により設定された閾値に基づいて前記多値の画像データにおける注目画素の階調値を変換することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記誤差拡散部の拡散係数パターンの設定の入力を受け付ける第2の操作部を備え、
前記誤差拡散部は、前記第2の操作部を介する入力により設定された拡散係数パターンに基づいて前記誤差値を前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
原稿を読み取り画像データを取得する画像読取部と、を備え、
前記階調変換部は、前記画像読取部により取得された多値の画像データにおける注目画素の階調値を変換することを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
多値の画像データにおける注目画素の階調値を、階調値の閾値に基づいて階調数が減少するように変換する階調変換工程と、
前記注目画素ごとに、前記階調変換部で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な所定画素数で構成される画素ブロックを出力することにより、前記画像データよりも高解像度の画像データを作成する解像度変換工程と、
前記階調変換工程による階調変換前と変換後における階調値の誤差値を、拡散係数パターンに基づいて前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行う誤差拡散工程と、を含み、
前記解像度変換工程において、前記注目画素の階調変換後の階調値が第1の所定値以下である場合に、前記注目画素の周辺画素の画素ブロックで使用した黒画素の出力順カテゴリを参照し、当該注目画素の画素ブロック内の黒画素と当該周辺画素の画素ブロック内の黒画素とが集中する出力順カテゴリに対応する黒画素の出力順パターンを選択し、当該選択した出力順パターンに対応する画素ブロックを出力することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、
多値の画像データにおける注目画素の階調値を、階調値の閾値に基づいて階調数が減少するように変換する階調変換部、
前記注目画素ごとに、前記階調変換部で得られた階調値と同一の階調値を再現可能な所定画素数で構成される画素ブロックを出力することにより、前記画像データよりも高解像度の画像データを作成する解像度変換部、
前記階調変換部による階調変換前と変換後における階調値の誤差値を、拡散係数パターンに基づいて前記注目画素の周辺画素に拡散する処理を行う誤差拡散部、
として機能させ、
前記解像度変換部は、前記注目画素の階調変換後の階調値が第1の所定値以下である場合に、前記注目画素の周辺画素の画素ブロックで使用した黒画素の出力順カテゴリを参照し、当該注目画素の画素ブロック内の黒画素と当該周辺画素の画素ブロック内の黒画素とが集中する出力順カテゴリに対応する黒画素の出力順パターンを選択し、当該選択した出力順パターンに対応する画素ブロックを出力することを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−67044(P2008−67044A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242649(P2006−242649)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】