説明

画像処理装置および画像形成装置

【課題】 メモリの容量を小さくし、CPU−ASIC間のバスの転送レートを低くする。
【解決手段】 画像処理装置のハードウェア部分に相当するASICを構成するLSI100では、プレーン処理を行うプレーン処理モジュール104の後段に、色変換処理,階調処理,およびプレーン処理を含む画像処理がなされた画像データであるCMYK毎のプレーンデータを直接入力して圧縮処理を含む符号化処理を実施する圧縮処理モジュール105が配置されることにより、CPU1によってメインメモリ2上に格納された多値の画像データに対する上記画像処理と上記符号化処理とをパイプライン処理できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像データに対して各種処理を行う画像処理装置(カラープリンタやデジタルカラー複写機,デジタルカラー複合機,カラーファクシミリ装置等の画像形成装置に搭載された画像処理装置あるいは単体の画像処理装置)、およびその画像処理装置を搭載した画像形成装置に関し、特に画像データの処理方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプリンタでは、解像度の増加と、高速化の要求から、汎用CPU(以下単に「CPU」ともいう)の性能のみでは、要求を満たすことが困難になってきている。特に、カラープリンタの画像処理装置では、CPUが、PDL(ページ記述言語)を解析して、多値のバンド画像データ(以下「画像データ」を単に『画像』ともいう)をメモリ上に描画・生成し、次にその生成した多値のバンド画像(多値バンド)を色変換し、階調処理を行った後、符号化(圧縮を含む)し、符号を貯めた後に復号化し、プリンタエンジンへ出力して印刷を行わせるようにしている。
そこで、性能向上を図るため、近年、半導体技術の発展から、CPU(ソフトウェア)で行われた処理の1部をハードウェアに行わせることが既に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、汎用CPU−ASIC(Application
Specific Integrated Circuit)間のバスの転送効率を向上させ、メモリ容量を削減するため、CPUによりRGB多値バンドと属性バンドと画像処理パラメータとを生成させ、ハードウェアにより、RGBもしくはCMYの各版のラインメモリと属性のラインメモリおよび画像処理パラメータを格納する記憶装置を制御し、色変換処理と解像度変換処理とハーフトン処理とをパイプライン処理で行わせる構成について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置では、画像データに対してバンド単位にDMA(Direct Memory Access)を行い、単純に圧縮することが可能なため、圧縮をバンド単位で行うために、メインメモリに一旦バンド単位で画像データを並べていた(図6〜図8によって追って詳細に説明する)。そのため、画像データに対する色変換処理や階調処理を含む画像処理と圧縮処理を含む符号化処理とを、パイプライン処理することはなかった。よって、汎用CPU−ASIC間のバスにおいて、高い転送レートおよび大容量のメモリが必要であるといった問題があった。
【0005】
ここで、パイプライン処理とは、高速化技術による処理の一つであり、処理要素を直列に連結し、ある要素の出力が次の要素の入力となるように配置して行う処理に相当する。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、メモリの容量を小さくし、CPU−ASIC間のバスの転送レートを低くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するため、以下に示す画像処理装置および画像形成装置を提供する。
この発明による画像処理装置は、CPUによってメモリ上に格納された多値の画像データに対して、ASIC内で色変換処理,階調処理,およびプレーン処理を含む画像処理と圧縮処理を含む符号化処理とを実施する画像処理装置であって、上記ASIC内で上記プレーン処理を行うプレーン処理部の後段に、上記画像処理がなされた画像データを直接入力して上記符号化処理を実施する圧縮処理部を配置したものである。
【0007】
また、上記圧縮処理部が、各色毎に上記画像処理がなされた各画像データを、その各色毎のラインメモリにそれぞれ格納して、選択的に1つの圧縮部によって上記符号化処理を行うか、上記各色毎の圧縮部によってそれぞれ上記符号化処理を行うとよい。
さらに、上記ASICが、上記圧縮処理部によって上記各色毎に上記画像処理がなされた画像データを上記メモリに格納した後、復号化処理部によって復号化処理を行いながら出力してもよい。
この発明による画像形成装置は、上記の画像処理装置を備え、その画像処理装置から出力される上記復号化処理が行われた画像データに基づいて画像形成処理を行うものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の画像処理装置によれば、ASIC内でプレーン処理を行うプレーン処理部の後段に、色変換処理,階調処理,およびプレーン処理を含む画像処理がなされた画像データを直接入力して圧縮処理を含む符号化処理を実施する圧縮処理部を配置することにより、ASICがCPUによってメモリ上に格納された多値の画像データに対する上記画像処理と上記符号化処理とをパイプライン処理することが可能になるため、メモリの容量を小さくし、汎用CPU−ASIC間のバスの転送レートを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明によるカラープリンタにおける画像処理装置の一部をハードウェアで実施するシステム構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示したLSI100内の色変換処理モジュール102から圧縮処理モジュール105までの画像データの流れについて説明するための説明図である。
【図3】図1の圧縮処理モジュール105の構成例を示すと共にその圧縮処理を説明するためのブロック図である。
【図4】図1の圧縮処理モジュール105の他の構成例を示すと共にその圧縮処理を説明するためのブロック図である。
【0010】
【図5】この発明によるカラープリンタにおける画像処理装置の一部をハードウェアで実施する他のシステム構成例を示すブロック図である。
【図6】従来のカラープリンタにおける画像処理装置の一部をハードウェアで実施するシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図6の色変換処理部12から圧縮処理部15までの画像データの流れについて説明するための説明図である。
【図8】図7のメインメモリ2に格納されたバンド単位の画像データの圧縮処理について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
以下の実施形態は、カラープリンタに備えた画像処理装置(描画システム)の一部をハードウェアで実施するのに際して、以下の特徴を有する。つまり、ASIC内でプレーン処理を行うプレーン処理モジュールの後段に、色変換処理,階調処理,およびプレーン処理を含む画像処理がなされた画像データを直接入力して圧縮処理を含む符号化処理を実施する圧縮処理モジュールを配置することにより、ASICがCPUによってメモリ上に格納された多値の画像データに対する上記画像処理と上記符号化処理とをパイプライン処理できることが特徴になっている。
【0012】
そこで、その特徴について詳細に説明するが、その説明に入る前に、理解の便宜のため、従来の画像処理装置と、その問題点について、図6〜図8を参照して説明する。なお、後述するRGBの「R」はレッドを、「G」はグリーンを、「B」はブルーをそれぞれ示す。また、CMYKの「C」はシアンを、「M」はマゼンタを、「Y」はイエローを、「K」はブラックをそれぞれ示す。更に、「画像データ」を「ピクセル(PIXEL)データ」又は「ピクセル画像データ」とも云う。
【0013】
図6は、従来のカラープリンタにおける画像処理装置の一部をハードウェアで実施するシステム構成の一例を示すブロック図である。
図7は、図6の色変換処理部12から圧縮処理部15までの画像データの流れについて説明するための説明図である。
図8は、図7のメインメモリ2に格納されたバンド単位の画像データの圧縮処理について説明するための説明図である。
【0014】
(1)CPU1は、PDLといったデータを構文解析後、RGB(各色)毎に多値のピクセルデータ(多値ピクセル画像データ)をメインメモリ2に描画・生成する。
(2)画像処理回路10は、画像処理装置のハードウェア部分であり、DMA機能を備え、CPU1からの指示によりDMAを起動して、メインメモリ2からRGB毎の多値のピクセルデータを読み込み、例えば図7に示すように、色変換処理部12による色変換(RGB→CMYK)、階調処理部13による階調処理、プレーン(PLANE)処理部14によるプレーン処理を行い、プレーン処理後の画像データであるCMYK毎のプレーンデータ(ワードデータ)をバンド単位でメインメモリ2に戻す。なお、メインメモリ2とのデータのやりとりは、実際にはアービタ11(調停回路)経由で行う。
【0015】
(3)画像処理回路10は、メインメモリ2にバンド単位に並べられたCMYK毎のプレーンデータ(少値プレーン画像データ)をバンド単位で読み込み、圧縮処理部15で符号化処理(圧縮処理を含む)を行ってメインメモリ2へ戻す。圧縮処理部15では、読み込まれたCMYK毎のプレーンデータを、例えば図8に示すように、マルチプレクサ(MUX)15aでCMYK毎に順次選択し、圧縮器15bで符号化処理を行う。なお、バンド単位にDMAを起動してデータの読み込みを行うことにより、アドレスの管理が容易になる。
【0016】
(4)画像処理回路10は、メインメモリ2にバンド単位に並べられた符号化されたプレーンデータ(少値プレーン符号データ)を読み込み、復号処理部16で復号化処理を行ってメインメモリ2へ戻す。
(5)画像処理回路10は、メインメモリ2にバンド単位に並べられた復号化されたプレーンデータ(少値プレーン生データ)を読み込み、出力処理部17で画像形成手段であるプリンタエンジン3へ出力して用紙等の記録媒体への印刷処理(画像形成処理)を行わせる。
【0017】
このような各種処理を行う画像処理装置では、画像データに対してバンド単位にDMAを行い、単純に圧縮することが可能なため、圧縮をバンド単位で行うために、CPU1によってメインメモリ2に一旦バンド単位で画像データを並べている。そのため、画像データに対する色変換処理や階調処理を含む画像処理と圧縮処理を含む符号化処理とを、パイプライン処理することはなかった。よって、CPU1(汎用CPU)−画像処理回路10(ASICを構成する)間のバスにおいて、高い転送レートおよび大容量のメモリが必要であるといった問題があった。
【0018】
そこで、上述した問題を解消するため、この発明の実施形態を以下に示す。
まず、この発明によるカラープリンタにおける画像処理装置(描画システム)の一部をハードウェアで実施するシステム構成例について説明する。
図1は、そのシステム構成例を示すブロック図であり、図6と対応する部分には同一符号を付している。
【0019】
この実施形態のカラープリンタは、画像処理装置を構成するCPU1、メインメモリ2、およびLSI(Large Scale Integration)100と、プリンタエンジン3とを備え、それらによってシステムを構成している。
LSI100は、画像処理装置のハードウェア部分に相当するASIC(画像処理回路)を構成しており、DMA機能を備え、アービタ101、色変換処理モジュール(色変換処理部)102、階調処理モジュール(階調処理部)103、プレーン処理モジュール(プレーン処理部)104、圧縮処理モジュール(圧縮処理部)105、復号処理モジュール(復号処理部)106、および出力処理モジュール(出力処理部)107を備えている。
【0020】
次に、図1に示したカラープリンタによる描画処理(画像処理装置による画像データに対する処理を含む)の流れについて説明する。
(A1)CPU1は、PDLといったデータ(文字コード等の他のデータでもよい)を構文解析後、RGB(各色)毎に多値のピクセルデータ(多値ピクセル画像データ)をメインメモリ2に描画・生成する。
(A2)LSI100は、CPU1からの指示によりDMAを起動して、メインメモリ2からRGB毎の多値のピクセルデータを読み込み、色変換処理モジュール102による色変換(RGB→CMYK)、階調処理モジュール103による階調処理、プレーン処理モジュール104によるプレーン処理を行い、プレーン処理後の画像データであるCMYK毎のプレーンデータを圧縮処理モジュール105で符号化処理(圧縮処理を含む)して、バンド単位でメインメモリ2に戻し、バンド単位に並べる。なお、メインメモリ2とのデータのやりとりは、実際にはアービタ101経由で行う。
【0021】
(A3)LSI100は、メインメモリ2にバンド単位に並べられた符号化されたプレーンデータ(少値プレーン符号データ)を読み込み、復号処理モジュール106で復号化処理してメインメモリ2へ戻し、バンド単位に並べる。
(A4)LSI100は、メインメモリ2にバンド単位に並べられた復号化されたプレーンデータ(少値プレーン生データ)を読み込み、出力処理モジュール107でプリンタエンジン3へ出力して記録媒体への印刷処理を行わせる。
【0022】
ここで、LSI100では、図1に示したように、プレーン処理を行うプレーン処理モジュール104の後段に、色変換処理,階調処理,およびプレーン処理を含む画像処理がなされた画像データであるCMYK毎のプレーンデータを直接入力して圧縮処理を含む符号化処理を実施する圧縮処理モジュール105を配置したことで、LSI100がCPU1によってメインメモリ2上に格納された多値の画像データに対する上記画像処理と上記符号化処理とをパイプライン処理できる。
そのため、図6の従来例と比較すると、図6の(3)に示した画像データのパスをなくすことができ、且つ図6の(2)に示したメインメモリ2へ書き戻すパスのデータを符号化しているので、CPU1(汎用CPU)−LSI100(ASICを構成する)間のバスの転送レートを低くすることが可能になる。
【0023】
次に、図1に示したLSI100内の色変換処理モジュール102から圧縮処理モジュール105までの画像データの流れについて説明する。
図2は、その画像データの流れについて説明するための説明図である。
図2で説明するシステム構成には、メインメモリ2、色変換処理モジュール102、階調処理モジュール103、プレーン処理モジュール104、および圧縮処理モジュール105が登場する。
【0024】
(B1)LSI100は、メインメモリ2からRGB毎の各8bitの多値ピクセルデータを読み込み、色変換処理モジュール102へ送信する。
(B2)色変換処理モジュール102は、RGB毎の各8bitの多値ピクセルデータを、CMYK毎の各8bitの多値ピクセルデータに色変換し、階調処理モジュール103へ送信する。
【0025】
(B3)階調処理モジュール103は、CMYK毎の各8bitの多値ピクセルデータを、CMYK毎の各1(or2)bitの少値ピクセルデータに階調処理(解像度変換処理)し、プレーン処理モジュール104へ送信する。
(B4)プレーン処理モジュール104は、CMYK毎の各1(or2)bitの少値ピクセルデータをCMYK毎の各1(or2)bitのプレーンデータ(Word単位)に変換し、圧縮処理モジュール105へ送信する。
よって、圧縮処置モジュール105への入力データは、CMYK毎の各1(or2)bitのプレーンデータ(Word単位)になる。
【0026】
次に、図1の圧縮処理モジュール105の構成例およびその圧縮処理について説明する。
図3は、その圧縮処理モジュール105の構成例を示すと共にその圧縮処理を説明するためのブロック図である。
図3で説明するシステム構成には、メインメモリ2、プレーン処理モジュール104、圧縮処理モジュール105、復号処理モジュール106、そして圧縮処理モジュール105内のCMYK4版分の各ラインメモリ51、マルチプレクサ52、および圧縮器(圧縮部)53が登場する。
【0027】
圧縮処理モジュール105は、ワード(Word)単位でCMYK毎のプレーンデータを受けて、ライン単位で符号化し、ライン単位でメインメモリ2に出力する(書き込む)。なお、図6に示したような従来の画像処理装置(例えば特許文献1参照)では、圧縮処理モジュール105に相当する圧縮処理部(符号化装置)が、バンド単位のプレーンデータを受けて、符号化し、メインメモリにバンド単位に出力していた。
【0028】
後段モジュールである復号処理モジュール106がCMYK毎のプレーンデータ(ライン単位のデータ)をバンド単位で扱うため、圧縮処理モジュール105は、ライン単位のデータを並べて、バンド単位のデータを形成する必要がある。そのため、圧縮処理モジュール105は、そのデータ処理を可能とするハードウェア構成となっている。
【0029】
圧縮処理モジュール105では、プレーン処理モジュール104からワード単位で各版(CMYK毎)のプレーンデータを受け、それぞれライン単位で各版のラインメモリ51にそれぞれ格納し、マルチプレクサ52で順次選択して、圧縮器53で符号化処理した後、メインメモリ2に格納する。つまり、各版のラインメモリ51において1ライン分のプレーンデータが揃った版からマルチプレクサ52を通し、ライン単位で圧縮器53で符号化処理した後、符号化したプレーンデータ(以下単に「符号データ」ともいう)をメインメモリ2に格納する。ライン単位の符号データを並べて、バンド単位の符号データを形成することは、圧縮器53が4つの符号データの終端アドレスを記憶しておくことで、可能になる。
【0030】
次に、図1の圧縮処理モジュール105の他の構成およびその圧縮処理について説明する。
図4は、その圧縮処理モジュール105の他の構成例を示すと共にその圧縮処理を説明するためのブロック図であり、図3と同じ部分には同一符号を付している。
図4で説明するシステム構成には、メインメモリ2、プレーン処理モジュール104、圧縮処理モジュール105、復号処理モジュール106、そして圧縮処理モジュール105内のCMYK4版分のラインメモリ51、マルチプレクサ52、およびCMYK4版分の圧縮器54が登場する。
【0031】
この圧縮処理モジュール105において、図6の構成と異なる点は、CMYK4版分の圧縮器54を備えた点である。
この例の場合、プレーン処理モジュール104からワード単位で各版(CMYK毎)のプレーンデータを受け、それぞれライン単位で各版のラインメモリ51にそれぞれ格納し、各版の圧縮器54でそれぞれ符号化処理した後、マルチプレクサ52で順次選択して、メインメモリ2に格納する。つまり、各版のラインメモリ51において1ライン分のプレーンデータが揃った版からライン単位で対応する圧縮器54で符号化処理した後、符号データをマルチプレクサ52を通し、メインメモリ2に格納する。
4個の圧縮器54を使用することで、各版のプレーンデータを同時に圧縮することが可能になるため、圧縮処理を高速に行うことが可能になる。
【0032】
なお、図1の圧縮モジュール105として、図3に示したものを備えている場合には、各版(CMYK)毎にプレーン処理が行われた各プレーンデータを、その各版毎のラインメモリ51にそれぞれ格納して、選択的に1つの圧縮器53によって符号化処理を行う第1の処理モードを、図4に示したものを備えている場合には、各版毎にプレーン処理が行われた各プレーンデータを、その各版毎のラインメモリ51にそれぞれ格納して、その各版毎の圧縮器54によってそれぞれ符号化処理を行う第2の処理モードを、それぞれCPU1からの指示(実際には図示しない操作部上の操作に対応する指示)により選択して実行することができる。あるいは、図1の圧縮モジュール105として、図3,図4に示したものを両方備えている場合にも、上記の第1,第2の処理モードをCPU1からの指示により選択的に実行することができる。
【0033】
次に、この発明によるカラープリンタにおける画像処理装置の一部をハードウェアで実施する他のシステム構成例について説明する。
図5は、その他のシステム構成例を示すブロック図であり、図1と同じ部分には同一符号を付している。
【0034】
この実施形態のカラープリンタは、画像処理装置を構成するCPU1、メインメモリ2、およびLSI200と、プリンタエンジン3とを備え、それらによってオンザフライでデータ出力を行うシステムを構成している。
ここで、オンザフライとは、画像データをプリンタエンジン3へ出力して記録媒体への印刷処理を行わせる際、符号データを一度復号化した(変換した)データイメージ(符号データ)をメインメモリ2上に格納することなく、符号データをリアルタイムに復号データに変換処理(復号化処理)しながらプリンタエンジン3に出力して記録媒体への印刷処理を行わせる方式のことである。
【0035】
LSI200は、画像処理装置のハードウェア部分に相当する画像処理回路であり、DMA機能を備え、アービタ101、色変換処理モジュール102、階調処理モジュール103、プレーン処理モジュール104、圧縮処理モジュール105、および復号処理モジュール106を備えている。
図5に示したカラープリンタの画像処理装置における画像処理の流れは、図1の(A4)の処理がなくなる形になる。
【0036】
この実施形態では、圧縮処理(符号化)したデータをプレーン形式でメインメモリ2に格納するので、復号化する際に、回転等の後処理が発生しなければ、オンザフライで出力可能となる。
よって、図1に示した構成に比べて、メインメモリ2の容量を更に小さくすることができる。また、CPU1(汎用CPU)−LSI100(ASICを構成する)間のバスの転送レートを更に低くすることができる。
【0037】
以上、この発明をカラープリンタに搭載した画像処理装置に適用した実施形態について説明したが、この発明はこれに限らず、デジタルカラー複写機,デジタルカラー複合機,カラーファクシミリ装置等の他の画像形成装置に搭載された画像処理装置には勿論、それらの画像形成装置に外部接続可能な単体の画像処理装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、メインメモリの容量を小さくし、汎用CPU−ASIC間のバスの転送レートを低くすることができる。したがって、メインメモリの容量が小さく、且つ汎用CPU−ASIC間のバスの転送レートが低い画像処理装置および画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:CPU 2:メインメモリ 3:プリンタエンジン 51:ラインメモリ
52:マルチプレクサ 53,54:圧縮器 100,200:LSI
101:アービタ 102:色変換処理モジュール 103:階調処理モジュール
104:プレーン処理モジュール 105:圧縮処理モジュール
106:復号処理モジュール 107:出力処理モジュール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2008−023959号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUによってメモリ上に格納された多値の画像データに対して、ASIC内で色変換処理,階調処理,およびプレーン処理を含む画像処理と圧縮処理を含む符号化処理とを実施する画像処理装置であって、
前記ASIC内で前記プレーン処理を行うプレーン処理部の後段に、前記画像処理がなされた画像データを直接入力して前記符号化処理を実施する圧縮処理部を配置したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記圧縮処理部は、各色毎に前記画像処理がなされた各画像データを、その各色毎のラインメモリにそれぞれ格納して、選択的に1つの圧縮部によって前記符号化処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記圧縮処理部は、各色毎に前記画像処理がなされた各画像データを、その各色毎のラインメモリにそれぞれ格納して、その各色毎の圧縮部によってそれぞれ前記符号化処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記圧縮処理部は、各色毎に前記画像処理がなされた各画像データを、その各色毎のラインメモリにそれぞれ格納して、選択的に1つの圧縮部によって前記符号化処理を行う第1の処理モード、あるいは各色毎に前記画像処理がなされた各画像データを、その各色毎のラインメモリにそれぞれ格納して、その各色毎の圧縮部によってそれぞれ前記符号化処理を行う第2の処理モードを選択的に実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ASICは、前記圧縮処理部によって前記各色毎に前記符号化処理がなされた画像データを前記メモリに格納した後、復号化処理部によって復号化処理を行いながら出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置を備え、該画像処理装置から出力される前記復号化処理が行われた画像データに基づいて画像形成処理を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−169916(P2012−169916A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29923(P2011−29923)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】