画像処理装置及びその方法
【課題】 斜め方向の成分が含まれる文字から太字を生成したとしても、その太字をきれいに表現する。
【解決手段】 情報処理装置30は、外部から入力された描画指令に基づき、文字を太字で表現すると判定し(S110:YES)、かつフォント情報に対応する太字の形状データがないと判定した場合に(S120:NO)太字生成処理を実行する。そして、太字生成処理では、描画指令のサイズ情報に基づいて上下左右方向に対する標準の形状データの基準ずらし量を求め(S310)、標準の形状データから生成したビットマップデータの描画ドット1つに着目して基準ずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、式(1)〜(5)の何れかを使って上下左右方向の基準ずらし量を調整し、その調整したずらし量に基づいて、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S390)。
【解決手段】 情報処理装置30は、外部から入力された描画指令に基づき、文字を太字で表現すると判定し(S110:YES)、かつフォント情報に対応する太字の形状データがないと判定した場合に(S120:NO)太字生成処理を実行する。そして、太字生成処理では、描画指令のサイズ情報に基づいて上下左右方向に対する標準の形状データの基準ずらし量を求め(S310)、標準の形状データから生成したビットマップデータの描画ドット1つに着目して基準ずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、式(1)〜(5)の何れかを使って上下左右方向の基準ずらし量を調整し、その調整したずらし量に基づいて、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S390)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準の文字から太字を生成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、標準の文字を表現するビットマップデータを用い、そのビットマップデータの描画領域を拡大することで太字のビットマップデータを生成する画像処理装置が知られている。
【0003】
即ち、この装置では、標準のビットマップデータの描画領域全体を例えば右方向に1ドットずつ所定量ずらしていき、その都度ずらした範囲内を描画領域に変換し、さらに、その変換したデータの描画領域全体を、例えば下方向に1ドットずつ所定量ずらしていき、その都度ずらした範囲内を描画領域に変換することで、標準の文字から太字を生成するようにされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−198499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置では、太字を生成する際、標準のビットマップデータにおける描画領域の各ドットの移動領域が四角形となるため、上下方向及び左右方向の成分だけで構成される文字(例えば、ゴシック体の「H」)から太字を生成する場合には理想的な結果を得ることができるが、斜め方向の成分が含まれる文字(例えば、ゴシック体の「し」や斜体の文字)から太字を生成する場合には、文字の縁部が不自然に表現されてしまうことがある。
【0005】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたものであり、斜め方向の成分が含まれる文字から太字を生成したとしても、その太字をきれいに表現することが可能な画像処理装置及びその方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、太字データ生成手段は、標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有し、標準の形状データに対してずらし量調整手段により調整された左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0007】
以上のような請求項1に記載の画像処理装置では、外部から入力された描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、フォントのサイズ情報に基づいて標準の形状データに対する左右方向及び上下方向のずらし量を求め、その求めたずらし量に従い、標準の形状データを左右方向及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことで太字の形状データを生成し、その形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する。
【0008】
そして特に、請求項1に記載の画像処理装置では、太字の形状データを生成する際、標準の形状データを構成する1ドットに着目して左右方向及び上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、左右、上下方向のずらし量を調整し、その調整したずらし量に基づいて、標準の形状データから太字の形状データを生成する。
【0009】
以上のような請求項1に記載の画像処理装置によれば、標準の形状データの1ドットに着目した描画結果における各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、標準の形状データにおける左右方向及び上下方向のずらし量を調整するため、斜め方向の成分を含んだ標準の文字を太字にする場合でも良好な結果を得ることができる。
【0010】
また、ずらし量調整手段は、請求項2に記載のように、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、前記フォント情報のフォントの種類に応じた調整パターンを前記複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うようにされていると良い。
【0011】
このようにすれば、フォントの種類に応じて、複数の調整パターンの中から適切なパターンを選択してずらし量の調整を行うことができるため、より良好な結果を得ることができる。
【0012】
また、この場合、ずらし量調整手段は、請求項3に記載のように、複数のパターンのそれぞれに対応した数式を有し、その数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めるようにされていると良い。
【0013】
これによれば、数式を使ってずらし量を求めるだけなので、処理を迅速に行うことができる。
次に、請求項4に記載の発明は、文字の種類を表す文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成し、その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、太字の形状データを生成する際には、標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、左右、上下方向のずらし量を調整し、標準の形状データに対して調整した左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0014】
このような請求項4に記載の画像処理方法によれば、請求項1について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項5に記載の画像処理方法は、請求項4に記載の画像処理方法において、ずらし量の調整では、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、フォント情報のフォント種類に応じた調整パターンを複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うことを特徴としている。
【0015】
このような請求項5に記載の画像処理方法によれば、請求項2について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項6に記載の画像処理方法は、請求項5に記載の画像処理方法において、複数のパターンのそれぞれに対応した数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めることを特徴としている。
【0016】
このような請求項6に記載の画像処理方法によれば、請求項3について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項7に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、太字データ生成手段は、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有し、読み出された標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成すると共に、パターンデータ記憶手段からパターンデータを読み出し、その読み出されたパターンデータに基づき、描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0017】
以上のような請求項7に記載の画像処理装置によれば、少なくとも各角部のドットが削除されたパターンデータを使って、標準の形状データから太字の形状データを生成するので、斜め方向の成分を含んだ標準の文字を太字にする場合でも良好な結果を得ることができる。
【0018】
また、太字データ生成手段は、請求項7に記載のように、パターンデータに基づき、描画データの各描画ドットにパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成するようにされていると良い。
【0019】
このようにすれば、各描画ドットずつ描画領域を拡大していくので、処理を簡単にすることができる。
また、請求項7または8に記載の画像処理装置は、請求項9に記載のように、パターンデータ記憶手段に、形状が互いに異なる複数のパターンデータを記憶し、太字データ生成手段は、フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出すようにされていると良い。
【0020】
このようにすれば、フォントの種類に応じてパターンデータ記憶手段から読み出すパターンデータを変更するため、より良好な結果を得ることができる。
また、請求項7〜9の何れかに記載の画像処理装置は、請求項10に記載のように、描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、太字データ生成手段は、パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小するように構成されていると良い。
【0021】
このようにすれば、フォントのサイズ情報に応じて、パターンデータを拡大縮小するため、より良好な結果を得ることができる。また、文字のサイズ別にパターンデータを記憶しておく必要がないため、パターンデータ記憶手段の容量を小さくすることができる。
【0022】
次に、請求項11に記載の画像処理装置は、請求項7〜10の何れかに記載の画像処理装置において、描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに前記斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、太字データ生成手段は、判定手段により、描画指令に斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、標準の形状データを変形させて斜体用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0023】
以上のような請求項11に記載の画像処理装置によれば、標準の文字から太字で斜体の文字を形成する場合にも適用することができる。
また、斜体の太字も斜め方向の成分を有しているため、請求項7〜10で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0024】
次に、請求項12に記載の画像処理装置は、請求項7〜10の何れかに記載の画像処理装置において、描画指令は、文字の回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに回転情報が含まれているか否かを判定可能であり、太字データ生成手段は、判定手段により、描画指令に回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、回転情報が示す角度に基づいて、標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0025】
以上のような請求項12に記載の画像処理装置によれば、所定角度だけ回転移動させた標準の文字から太字を形成する場合にも適用することができる。
次に、請求項13に記載の発明は、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、記憶手段から標準の形状データを読み出すと、その標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成し、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その読み出したパターンデータに基づき、描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0026】
このような請求項13に記載の画像処理方法によれば、請求項7について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項14に記載の画像処理方法は、請求項13に記載の画像処理方法において、パターンデータに基づき、描画データの各描画ドットにパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0027】
このような請求項14に記載の画像処理方法によれば、請求項8について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項15に記載の画像処理方法は、請求項13または14に記載の画像処理方法において、パターンデータ記憶手段には、形状が互いに異なる複数のパターンデータが記憶されており、当該画像処理方法では、フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出すことを特徴としている。
【0028】
このような請求項15に記載の画像処理方法によれば、請求項9について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項16に記載の画像処理方法は、請求項13〜15の何れかに記載の画像処理方法おいて、前記描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、当該画像処理方法では、パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小することを特徴としている。
【0029】
このような請求項16に記載の画像処理方法によれば、請求項10について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項17に記載の画像処理方法は、請求項13〜16の何れかに記載の画像処理方法において、描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、当該画像処理方法では、さらに斜体情報が含まれているか否かを判定し、斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、標準の形状データを変形させて斜体用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0030】
このような請求項17に記載の画像処理方法によれば、請求項11について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項18に記載の画像処理方法は、請求項13〜16の何れかに記載の画像処理方法において、描画指令には、文字の回転角度を表す回転情報が含まれており、当該画像処理方法では、さらに回転情報が含まれているか否かを判定し、描画指令に回転情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、回転情報が示す角度に基づいて、標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0031】
このような請求項18に記載の画像処理方法によれば、請求項12についての述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項19に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに描画指令に斜体情報が含まれているか否かを判定し、太字データ生成手段は、フォントのサイズ情報と斜体であることに基づいて左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、判定手段により、描画指令に斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、標準の形状データを変形させて斜体用形状データを生成すると共に、ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて斜体用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0032】
以上のような請求項19に記載の画像処理装置では、標準の形状データから斜体で太字の形状データを生成する際、フォントのサイズ情報と斜体であることとに基づいてずらし量を調整し、その調整したずらし量に基づいて、予め定められた斜体の傾斜角度に基づき生成した斜体用形状データの描画を繰り返し行うことで、太字の形状データを生成する。
【0033】
このため、斜体で太字の形状データを生成する場合でも、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
また、請求項19に記載のずらし量調整手段は、請求項20に記載のように、斜体情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めるようにされていると良い。
【0034】
これによれば、請求項3について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項21に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、描画指令は、文字を回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに描画指令に回転情報が含まれているか否かを判定し、太字データ生成手段は、フォントのサイズ情報と、回転角度を有することに基づいて、左右上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、判定手段により、描画指令に回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、回転情報が示す角度に基づいて、標準の形状データを回転させた回転用形状データを生成すると共に、ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて回転用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0035】
以上のような請求項21に記載の画像処理装置によれば、描画指令に回転情報が含まれていた場合には、フォントのサイズ情報と、回転角度を有することに基づいて、左右上下方向のずらし量を調整するため、回転移動させた文字の太字の形状データを生成する場合でも、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0036】
また、請求項21に記載のずらし量調整手段は、請求項22に記載のように、回転情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めるようにされていると良い。
これによれば、請求項3について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、請求項23に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに描画指令に斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、太字データ生成手段は、所定の基準ドットを中心として、マトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有しており、判定手段により描画指令に斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、読み出された標準の形状データを斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、パターンデータ記憶手段に記憶されている斜体用パターンデータを読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0038】
以上のような請求項23に記載の画像処理装置によれば、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを使って、標準の形状データから太字の形状データを生成するので、斜体の文字を太字にする場合でも、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0039】
次に、請求項24に記載の画像処理装置は、請求項22に記載の画像処理装置において、太字データ生成手段は、パターンデータに基づき、描画データの各描画ドットにパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0040】
このような請求項24に記載の画像処理装置によれば、各描画ドットずつ描画領域を拡大していくことで、標準の形状データから太字の形状データを生成するので、処理を簡単にすることができる。
【0041】
次に、請求項25に記載の発明は、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、当該画像処理方法では、描画指令に斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、読み出した標準の形状データを斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0042】
以上のような請求項25に記載の画像処理方法によれば、請求項23について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に、本発明が適用された第1実施形態の画像形成システムについて、図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施形態の画像形成システムの構成を表す説明図である。
【0044】
第1実施形態の画像形成システムは、プリンタ装置10と、このプリンタ装置10と通信可能に接続された情報処理装置30と、を備える。
プリンタ装置10は、周知のプリンタ装置(インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等)と同様の構成にされており、主に、給紙部11と、用紙搬送部15と、画像形成部17と、これらを統括制御する制御部19と、を備える。
【0045】
給紙部11は、A4サイズ等にカットされた長方形状の用紙を積層(堆積)する給紙トレイ13を備え、給紙トレイ13に積層された用紙のうち最上位の用紙を、所定方向に取り出して、用紙搬送部15に送出する。
【0046】
用紙搬送部15は、給紙部11から送出された用紙を、画像形成部17の画像形成地点に搬送する。画像形成部17は、制御部19に制御され、画像形成地点にて、用紙に情報処理装置30から入力された画像形成用データに基づく画像を形成する。
【0047】
なお、プリンタ装置10がインクジェットプリンタである場合、画像形成部17は、用紙の供給方向とは垂直なライン方向に、インクを噴射する記録ヘッド(図示せず)を走査し、ライン方向に沿う画像形成地点にて、所定ライン毎に画像形成用データに基づく画像を用紙に形成する。一方、プリンタ装置10がレーザプリンタである場合、画像形成部17は、トナー像を担持する像担持体と転写体との接点である画像形成地点にて、その地点を通過する用紙に、像担持体が担持するトナー像を静電気力により転写し、用紙に画像を形成する。
【0048】
このようにして、用紙には、供給方向から順に画像が形成される。この用紙は、画像形成後、図示しない排紙トレイに排出される。
以上説明した装置内各部を統括制御する制御部19は、情報処理装置30と通信可能に接続され、情報処理装置30から入力される画像形成用データに基づいて、画像形成部17を制御し、画像形成部17に画像を形成させる。
【0049】
一方、情報処理装置30は、各種処理を行うCPU31と、各種プログラムを記憶するROM33と、CPU31によるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM35と、各種データやアプリケーションを記憶する記憶装置(ハードディスク装置)37と、当該情報処理装置30とプリンタ装置10とを通信可能に接続するインターフェース39と、各種情報を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部41と、キーボードやポインティングデバイス等からなる入力部43と、を備える。
【0050】
記憶装置37には、文字の種類を表す文字コード、及び、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データからなるフォントデータが、フォント毎に記憶されている。フォントデータは、図2に示すように、フォントの種類によって、標準、太字、及び、斜体の形状データを持つものと、太字、及び、斜体の形状データを持たないものとがある。なお、図2は、各フォントデータの構成を説明する説明図である。
【0051】
情報処理装置30は、プリンタ装置10に画像として文字を形成させるための描画指令が、入力部43に入力されると、その描画指令に基づきプリンタ装置10が処理可能な画像形成用データを生成して、その画像形成用データをプリンタ装置10に出力するための文字形成処理を実行する。
【0052】
そして特に、この文字形成処理において、文字を太字で表現する際、その文字のフォントデータに対応する太字の形状データが記憶装置37になかった場合には、太字で表現することが指示されている文字のフォントデータに対応する標準の形状データを用いて、後述する太字生成処理を行う。この処理では、形状が互いに異なる複数の基準パターンデータ50a〜50e(図3参照)のうちの少なくとも1つを使って、標準の形状データから太字の形状データを生成する。
【0053】
また、情報処理装置30は、画像形成用データを生成すると、その画像形成用データをインターフェース39からプリンタ装置10に出力する。
次に、上記の太字生成処理について使用される基準パターンデータ50a〜50eについて、図3を用いて説明する。
【0054】
基準パターンデータ50a〜50eは、記憶装置37に記憶されている。なお、この基準パターンデータ50a〜50eは、上記標準の形状データをそのままのサイズで太字にする場合に適応したサイズで記憶されているものとする。
【0055】
また、基準パターンデータ50a〜50eのうち、基準パターンデータ50a〜50cは、図3(a)〜(c)に示すように、所定の基準ドット(図3における黒塗りの部分)Sを中心として、左右上下方向にマトリクス状に広がる複数のドットからなり、4つの各角部の少なくとも1ドットがそれぞれ削除されている。
【0056】
具体的に説明すると、基準パターンデータ50aは、図3(a)に示すように、基準ドットSを中心として各ドットが略丸状に配列されており、基準パターンデータ50bは、図3(b)に示すように、各角部のドットがそれぞれ削除されており、基準パターンデータ50cは、図3(c)に示すように、基準ドットSを中心として各ドットが略菱形状となるように配列されている。
【0057】
また、基準パターンデータ50dは、図3(d)に示すように、基準ドットSを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなるパターンデータを、基準ドットSを中心として所定角度だけ傾斜するように変形させたものである。所定角度としては、70度前後の角度が一般的に使用されている。
【0058】
また、基準パターンデータ50eは、図3(e)に示すように、基準ドットSを中心として、マトリクス状に広がる複数のドットからなり、使用時には、基準ドットSを中心として所定角度だけ回転移動される。
【0059】
なお、図3(e)では、回転用基準パターンデータ50eが45度回転移動された状態を記載している。また、以下の説明では、基準パターンデータ50dを斜体用基準パターンデータ50dといい、基準パターンデータ50eを回転用基準パターンデータ50eという。
【0060】
次に、情報処理装置30が行う本発明の文字形成処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、描画指令が入力部43に入力されたときに、情報処理装置30のCPU31が行う処理である。
【0061】
図4に示すように、CPU31が文字形成処理を開始すると、まずS110にて、入力された描画指令に基づき、文字を太字で表現するか否かを判定する。
具体的に説明すると、描画指令には、文字コードと、フォントの種類を表すフォント情報と、文字のサイズを表すサイズ情報と、文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報とが含まれており、S110では、描画指令のスタイル情報に基づいて、文字を太字で表現するか否かを判定する。なお、描画指令によっては、文字を斜体で表現するか否かを表す斜体情報や、文字を所定角度だけ回転移動させることを表す回転情報が含まれることがある。
【0062】
そして、S110にて、文字を太字で表現すると判定した場合には、S120へ移行し、逆に、文字を太字で表現しないと判定した場合には、S130へ移行する。
次に、S120では、入力されたフォント情報に基づき、そのフォント情報に対応したフォントデータを記憶装置37から抽出し、そのフォントデータの中に、太字の形状データがあるか否かを判定する。
【0063】
そして、S120にて、太字の形状データがあると判定した場合には、S130へ移行し、逆に、太字の形状データがないと判定した場合には、S140へ移行する。
次に、S130では、描画指令に対応した形状データを記憶装置37から読み出し、その形状データを、画像形成用データに変換する画像形成用データ変換処理を行い、S160に移行する。なお、この画像形成用データ変換処理では、形状データを読み出すと、その形状データを、サイズ情報に対応した文字のサイズに拡大縮小すると共に、描画指令に回転情報が含まれていれば、その回転情報に対応した回転角度だけ回転移動させ、画像形成用データに変換するといった処理を行う。
【0064】
次に、S140の太字生成処理では、フォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを読み出し、図3に示されている基準パターンデータ50a〜50eの少なくとも1つを使って、読み出した標準の形状データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成する太字生成処理を実行する。なお、太字生成処理の詳細については後で説明する。
【0065】
そして、続くS150では、S140にて生成された太字の形状データを画像形成用データに変換する。
次に、S160では、上記S130またはS150において変換された画像形成用データをプリンタ装置10に出力し、当該文字形成処理を終了する。
【0066】
これにより、プリンタ装置10では、情報処理装置30から画像形成用データが入力され、その画像形成用データに基づく画像(文字)が用紙に形成される。
次に、S140で行われる太字生成処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
図5に示すように、CPU31が太字生成処理を開始すると、まずS210にて、描画指令のサイズ情報に基づき、基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率(即ち、標準の形状データをずらす量)を決定する。
【0068】
これは、図3において、例えば、基準データ50bをそのまま用いて太字生成処理を行うと、標準の形状データに対して、上下左右方向にそれぞれ4ドットずつずらし(角部は1ドット削除)、太くなった形状データが得られることになるが、サイズ情報で指定された文字サイズが大きい場合は、上下左右方向に4ドットずつずらして太くしただけでは、標準の文字との区別がつかないことがあるからである。つまりこの場合、標準の文字との区別をつけるためには、4ドットよりも更に大きい値分ずらす必要があることから、本実施形態では、この値を拡大縮小の比率として求めるようにしているのである。
【0069】
次に、S220では、描画指令に回転情報が含まれているか否かを判定する。
そして、S220にて、回転情報が含まれていると判定した場合には、その回転情報に応じた回転角度だけ文字を回転移動させると判断してS230に移行し、逆に、回転情報が含まれていないと判定した場合には、文字を回転移動させないと判断してS240に移行する。
【0070】
次に、S230では、回転用基準パターンデータ50eを記憶装置37から読み出し、回転用基準パターンデータ50eを、回転情報に応じた回転角度だけ基準ドットSを中心に回転移動させ、S240に移行する。
【0071】
そして、S240では、描画指令に斜体情報が含まれているか否かを判定する。
そして、S240にて、斜体情報が含まれていると判定した場合には、文字を斜体で表現すると判断してS250に移行し、逆に、斜体情報が含まれていないと判定した場合には、文字を斜体で表現しないと判断してS260に移行する。
【0072】
次に、S250では、斜体用基準パターンデータ50dを記憶装置37から読み出し、S260に移行する。
そして、S260では、フォント情報に基づき、今回使用する基準パターンデータ50a〜50cを読み出す。なお、本第1実施形態では、フォントが明朝体であった場合に丸状の基準パターンデータ50aを読み出し、ゴシック体であった場合に角状の基準パターンデータ50bを読み出し、Centuryであった場合に菱形状の基準パターンデータ50cを読み出すようにされている。
【0073】
次いで、S270では、読み出した基準パターンデータ50a〜50eの全てを、S210の処理で決定された比率に応じて拡大縮小させ、それらをマッチングさせることで、今回使用するパターンデータを生成する。
【0074】
次に、S280では、フォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを読み出し、その読み出した標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現するビットマップデータを生成する。
【0075】
なお、S280では、読み出した標準の形状データを、サイズ情報に応じて拡大縮小してからビットマップデータに変換する。このとき、描画指令に回転情報が含まれていた場合には(S220:YES)、その回転情報に応じて標準の形状データを回転移動させてビットマップデータを生成し、描画指令に斜体情報が含まれていた場合には(S240:YES)、標準の形状データを所定角度だけ変形させて斜体用のビットマップデータを生成する。
【0076】
次に、S290では、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドットに、S270で生成されたパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して、ビットマップデータの描画領域を拡大することで、太字の形状データを生成し、当該太字生成処理を終了する。
【0077】
次に、上述した図5の太字生成処理により標準の形状データから、太字の形状データや、斜体で太字の形状データや、文字を回転移動させた太字の形状データが生成されるまでの手順について、具体例を挙げて説明する。
【0078】
まず、明朝体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する場合について、図6を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始すると、基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定し(S210)、その後、丸状の基準パターンデータ50aを選択して(S260)、その決定した比率に応じて図6(a)に示す如く縮小させた丸状のパターンデータを生成する(S270)。
【0079】
そして、情報処理装置30は、図6(b)に示すように、標準の形状データから明朝体の「し」を表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図6(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図6(a)に示す丸状のパターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0080】
ここで、図6の具体例で生成される丸状のパターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に1つずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0081】
このため、このようなパターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、その拡大した描画領域の角部が上下左右に同じドット数だけ拡大して、1ドットの拡大領域が正方形となる従来の方式に比べて丸型状にスムージングされることとなり、明朝体の「し」のように湾曲した部分や、明朝体の特徴である「はね」のような斜め方向の成分を有する文字を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。特に「はね」の先端の細い部分についても良好に表現できる。
【0082】
次に、ゴシック体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する場合について、図7を用いて説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始すると、描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eに対する拡大縮小の比率を決定し(S210)、その後、処理対象である文字のフォントがゴシック体であることに基づいて角状の基準パターンデータ50bを読み出して(S260)、決定した比率に応じて図7(a)に示す如く縮小させた角状のパターンデータを生成する(S270)。なお、図7(a)の例では、処理対象の文字が標準サイズよりも小さい場合を示している。
【0083】
そして、情報処理装置30は、図7(b)に示すように、標準の形状データからゴシック体の「し」を表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図7(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図7(a)に示す角状のパターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0084】
ここで、図7の具体例で生成される角状のパターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0085】
このため、このようなパターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べ、パターンデータの各角部を1ドット欠いた分だけスムージングされることとなり、上記と同様に斜め方向の成分を有するゴシック体の「し」を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0086】
次に、Centuryのフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「Z」)から太字の形状データを生成する場合について、図8を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始すると、描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定し(S210)、その後、処理対象である文字のフォントがCenturyであることに基づいて菱形状の基準パターンデータ50cを読み出して(S260)、決定した比率に応じて図8(a)に示す如く縮小させた菱形状のパターンデータを生成する(S270)。
【0087】
そして、情報処理装置30は、図8(b)に示すように、標準の形状データからCenturyの「Z」を表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図8(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図8(a)に示す菱形状のパターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0088】
ここで、図8の具体例で生成される角状のパターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に1つずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0089】
このため、このようなパターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べ、略三角形状にドットが削除された状態でスムージングされることとなり、Centuryの「Z」のように、斜めの直線を有する文字を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。特にCenturyの特徴である文字の先端の鋭角形状の部分についても良好に表現できる。
【0090】
次に、明朝体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から斜体で太字の形状データを生成する場合について、図9を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始して描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定すると(S210)、その後、処理対処である文字のフォントが明朝体であり、かつ、斜体であることに基づいて斜体用基準パターンデータ50dと丸状の基準パターンデータ50aとを読み出して(S250,S260)、決定した比率に応じて縮小させ、それら50a,50dを図9(a)に示す如くマッチングさせた丸状の斜体用パターンデータを生成する(S270)。
【0091】
そして、情報処理装置30は、図9(b)に示すように、標準の形状データから明朝体の「し」を斜体で表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図9(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図9(a)に示す丸状の斜体用パターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0092】
ここで、図9の具体例で生成される角状の斜体用パターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上方向に2ドット進んだドットに対して、左側に配置された1つのドット及び右方向に2つ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から下方向に2ドット進んだドットに対して、左方向に2つ並んで配置されたドット及び右側に配置された1つのドットと、基準ドットSの位置から上方向に3ドット進んだドットに対して、右側に配置された1つのドットと、基準ドットSの位置から下方向に3ドット進んだドットに対して、左側に配置された1つのドットと、から構成される。
【0093】
これにより、図9の具体例において、斜体用パターンデータの領域が、右方向に所定角度(例えば71度)だけ傾斜して各角部のドットが削除された略楕円形状となるため、このような斜体用パターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べて傾斜した丸型状にスムージングされることとなり、明朝体の「し」のように湾曲した部分や「はね」のような斜め方向の成分を有する文字の斜体を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0094】
次に、ゴシック体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から所定角度(本実施形態では、45度)回転移動させた太字の形状データを生成する場合について、図10を用い説明する。
【0095】
情報処理装置30は、太字生成処理を開始して描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定すると(S210)、その後、処理対象である文字のフォントがゴシック体であり、かつ、回転角度を有することに基づいて回転用基準パターンデータ50eと角状の基準パターンデータ50bとを読み出して(S250,S260)、決定した比率に応じて縮小させ、それら50b,50dを図10(a)に示す如くマッチングさせた角状の回転用パターンデータを生成する(S270)。
【0096】
そして、情報処理装置30は、図10(b)に示すように、標準の形状データからゴシック体の「し」を回転情報に応じて45度回転移動させた状態で表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図10(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図10(a)に示す角状の回転用パターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0097】
ここで、図10の具体例で生成される角状の回転用パターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に2ドットずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に1ドットずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0098】
これにより、図10の具体例において、ビットマップデータの描画領域を拡大する際、回転用パターンデータの領域が、各角部のドットが削除された四角形を所定角度(この具体例では、45度)だけ回転移動させた領域となるため、このような斜体用パターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、文字の回転角度に適した方向にドットを増やすことができ、また、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べパターンデータの角部のドットを削除した分だけスムージングされることとなり、45度回転させた「し」のように斜めの直線や湾曲した部分のような斜め方向の成分を有する文字を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0099】
以上説明したように、第1実施形態の情報処理装置30では、外部から入力された描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現すると判定して(S110:YES)、フォント情報に対応する太字の形状データがないと判定した場合に(S120:NO)、太字生成処理を実行する。
【0100】
そして、太字生成処理では、各角部のドットが少なくとも1ドット削除されたパターンデータを生成し(S270)、そのパターンデータに基づき、ビットマップデータの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成する(S290)。
【0101】
このため、斜めの線や湾曲した線(カーブ)といった斜め方向の成分を含んだ文字を太字にする場合でも、図6〜図8の具体例で説明したように、良好な結果を得ることができる。
【0102】
また、本第1実施形態によれば、斜体の文字を太字にする場合や、回転移動させた文字を太字にする場合でも、各角部のドットが少なくとも1ドット削除されたパターンデータを、斜体の傾斜角度や描画指令において指示された回転角度に基づいて変形させ、そのパターンデータを用いて太字の形状データを生成するため、図9及び図10の具体例で説明したように良好な結果を得ることができる。即ち、斜体の傾斜角度に応じて、上下左右方向に対するドットの増加量が調整された斜体用パターンデータを用いて太字の生成が行われるため、ほとんどが斜めの線やカーブからなる斜体の文字についても、見映えの良い太字の形状データを生成することができる。
【0103】
また、描画指令に回転情報が含まれている場合についても、その回転情報の回転角度に応じて、上下左右方向に対するドットの増加量が調整されたパターンデータを用いて太字の生成が行われるため、回転により斜めの成分を多く含むことになった文字についても、見映えの良い太字の形状データを生成することができる。
【0104】
また、本第1実施形態によれば、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドットずつ描画領域を拡大していくので処理を簡単にすることができる。
また、本第1実施形態によれば、フォントの種類に応じて、使用する基準パターンデータ50a〜50cを変更するため、フォントに適した太字生成処理を行うことができ、より良好な結果を得ることができる。
【0105】
また、本第1実施形態によれば、フォントのサイズ情報に応じて、基準パターンデータ50a〜50cを拡大縮小して使用するため、各種の文字サイズに適応することができ、より良好な結果を得ることができる。
【0106】
なお、本第1実施形態では、記憶装置37が記憶手段に相当し、S110,S220,S240の処理が判定手段に相当している。また、S210,S230,S250〜S290の処理が太字データ生成手段に相当し、記憶装置37がパターンデータ記憶手段に相当している。また、S160の処理が出力手段に相当している。
【0107】
次に、第2実施形態の画像形成システムについて、図11〜図16を用い説明する。なお、図11において、図5と同じステップ番号については、同一の符号を付しているため、説明は省略する。
【0108】
第2実施形態の画像形成システムは、第1実施形態の画像形成システムと比較すると、情報処理装置30が図5の太字生成処理に代えて、図11の太字生成処理を実行する点が異なっており、特に、太字生成処理の際には、パターンデータを使わずに、次式(1)〜(5)の中から1つを選択し、その選択した式を使って標準の形状データから太字の形状データを生成するようにされている。
【0109】
【数1】
【0110】
【数2】
【0111】
【数3】
【0112】
【数4】
【0113】
【数5】
【0114】
ここで、各式(1)〜(5)は、上下(Y)方向のずらし量を変数として、1ドット単位で後述の基準ずらし量aだけY方向にずらしたときの左右(X)方向のずらし量を求めるための関数である。
【0115】
そして、式(1)にずらし量aを代入し、「1≦y≦a」の範囲で値xを求める。即ち、Y方向に1ずつずらしていった時に、X方向にそれぞれ何回ずらす必要があるかというxの値が、yを「1≦y≦a」とした範囲内において算出される。ここで、ずらし量とは、第1実施形態における標準の形状データをビットマップデータに変換したものに対して、例えば、Y方向に1ずらした時のX方向のずらし量が4であれば、ビットマップデータの描画領域を1ドットY方向にずらして1回描画を行い、更にX方向に1ドットずつずらしながら4回描画を行うことを示している。これをy=aまで繰り返して、ビットマップデータの描画領域をずらしながら算出された回数分描画を行っていくことで、結果的に、図3(a)の基準パターンデータ50aを用いて太字生成処理を行った時と同様のパターンが得られる。なお、y=0の時は基本的にx=aとなる。また、式(1)には、XY座標における第1象限の式しか記載されていないが、当該式(1)の符号を代えることによって、残りの第2〜第4象限の式を導出することができる。そして、このことは、式(2)〜式(5)についても同様である。また、本第2実施形態では、式(1)により求められた値xの小数点以下を四捨五入するようにされている。
【0116】
また、式(2)を用いて、式(1)と同様に「1≦y≦a」の範囲で値xを求め、標準の形状データをビットマップデータに変換したものをずらしながら描画を繰り返していくことで、結果的に、図3(b)の基準パターンデータ50bを用いて太字生成処理を行った時と同様のパターンを得ることができる。
【0117】
また、同様に、式(3)を用いれば、結果的に図3(c)に示す基準パターンデータ50cを用いて太字生成処理を行った時と同様の結果を得ることができ、式(4)を用いれば、斜体用基準パターンデータ50dを用いて太字生成処理を行った時と同様の結果を得ることができ、式(5)を用いれば、回転用基準パターンデータ50eを用いて太字生成処理を行った時と同様の結果を得ることができる。
【0118】
そして、本第2実施形態の太字生成処理では、式(1)〜(5)の何れかを用いて、標準の形状データから得られるビットマップデータの描画領域をずらすためのずらし量を算出し、そのずらし量に応じてビットマップデータの描画領域全体をずらして描画領域を拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する。
【0119】
なお、本第2実施形態において、フォントが明朝体だった場合には式(1)が選択され、ゴシック体だった場合には式(2)が選択され、Centuryだった場合には式(3)が選択される。また、描画指令に斜体情報が含まれていた場合には、式(4)が選択され、描画指令に回転情報が含まれていた場合には、式(5)が選択される。
【0120】
次に、第2実施形態の情報処理装置30が行う太字生成処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
図11に示すように、CPU31が太字生成処理を開始すると、まずS310にて、描画指令に含まれるサイズ情報に基づき、太字にする時に標準の形状データに基づくビットマップデータの描画領域を左右及び上下方向に最大でどれだけずらす必要があるかを示す基準ずらし量aを決定する。なお、この基準ずらし量aは、処理対象となる文字のサイズに応じて、それぞれ太字にした時に最適となる値が予め設定されている。
【0121】
そして、続くS220にて、回転情報が含まれていると判定した場合には、S350に移行し、式(5)を選択してS280に移行する。
一方、S220にて、回転情報が含まれていないと判定した場合には、S240に移行する。
【0122】
そして、S240にて、斜体情報が含まれていると判定した場合には、S360に移行し、式(4)を選択してS280に移行する。
一方、S240にて、斜体情報が含まれていないと判定した場合には、S370に移行する。
【0123】
そして、S370では、フォント情報に基づき、式(1)〜(3)の何れかを選択し、S280に移行する。
S280では、標準の形状データからビットマップデータを生成する。また、サイズ情報で指定されたサイズとなるように、必要に応じて拡大縮小されたビットマップデータを生成する。
【0124】
そして、S280の処理を終了すると、S390に移行し、S350〜S370の何れかにより選択された式(1)〜(5)の係数aに、S310で決定された基準ずらし量を代入することで、基準ずらし量を調整した実際のずらし量を算出し、その算出したずらし量に応じて、ビットマップデータの描画領域を上下左右方向にずらして描画を行い、その都度ずらした領域に対して描画ドットを配置してビットマップデータの描画領域を拡大することで、太字の形状データを生成し、当該太字生成処理を終了する。
【0125】
以上のような図11の太字生成処理によって、明朝体のフォントデータにおける形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する際には、式(1)を用いてずらし量を算出して、その値に基づいて標準の形状データに対するビットマップデータの描画を繰り返していくことで、上述の図6(c)と同様の結果を得ることができる。
【0126】
即ち、図11の太字生成指令で明朝体のビットマップデータの描画領域を拡大する際に、式(1)によって算出されるずらし量は、描画ドット1つに着目すると、結果的に、第1実施形態の図6(a)に示すパターンデータの各ドットにより形成される領域と同じになるため、第1実施形態の図6の具体例で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0127】
次に、ゴシック体のフォントデータにおける形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する際には、式(2)を用いることで、上述の図7(c)と同様の結果を得ることができる。
【0128】
即ち、図11の太字生成指令でゴシック体のビットマップデータの描画領域を拡大する際に、式(2)によって算出されるずらし量は、描画ドット1つに着目すると、結果的に、第1実施形態の図7(a)に示すパターンデータの各ドットにより形成される領域と同じになるため、第1実施形態の図7の具体例で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0129】
次に、Centuryのフォントデータにおける形状データ(本実施形態では「Z」)から太字の形状データを生成する際には、式(3)を用いることで、上述の図8(c)と同様の結果を得ることができる。
【0130】
即ち、図11の太字生成指令でCenturyのビットマップデータの描画領域を拡大する際に、式(3)によって算出されるずらし量は、描画ドット1つに着目すると、結果的に、第1実施形態の図8(a)に示すパターンデータの各ドットにより形成される領域と同じになるため、第1実施形態の図8の具体例で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0131】
次に、Centuryのフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「L」)から斜体で太字の形状データを生成する場合について、図12を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始して基準ずらし量を決定すると、その後、式(4)を選択し、図12(a)に示すように、標準の形状データからCenturyの「L」を所定角度だけ変形させた斜体用のビットマップデータを生成する。
【0132】
そして、式(4)に基準ずらし量(図12の例ではa=3)を代入することで実際のずらし量xをそれぞれ算出し、図12(b)に示すように、算出したずらし量に応じて描画領域を拡大した太字の形状データを生成する。
【0133】
ここで、図12の具体例において、式(4)によって算出されるずらし量は、第1象限では、y=0の時にx=3,y=1の時にx=2,y=2の時にx=2,y=3の時にx=1となり、これを第2〜第4象限についても求める。そして、求められた値に基づいて左右方向及び上下方向に描画を繰り返していくことで得られる結果は、処理対象のビットマップデータを構成している描画ドットP(図12(c)における黒塗りの部分)1つに着目すると、図12(c)に示すような状態となる。即ち、その描画ドットPの位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされ、さらに描画ドットPの位置からドットを上下方向に1ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に2ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされている。そしてさらに、描画ドットPの位置からドットを上方向に3ドットずらし、その位置からドットを左方向に1ドット、右方向に3ドットずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを下方向に3ドットずらし、その位置からドットを左方向に3ドット、右方向に1ドットずらすようにされている。
【0134】
これにより、図12の具体例において、ビットマップデータの描画領域を拡大する際、1つの描画ドットPに着目すると、その描画ドットPにおける拡大領域は、結果的に右方向に所定角度(本実施形態では71度)だけ傾斜した略平行四辺形となる。
【0135】
よって、斜めの直線やカーブといった斜め方向の成分を多く有する斜体を太字にした場合でも、図12(c)に示されるように斜体であることを考慮した式(4)により、X方向、Y方向のずらし量を調整することができるので、文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0136】
次に、Centuryのフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「L」)から、文字を回転移動させた太字の形状データを生成する場合について、図13を用い説明する。
【0137】
なお、ここでは、説明を分かりやすくするために、基準ずらし量をaとした場合に、yを1からaまで増やしていった時のxの値が「x=a」という、最も簡単な演算式のパターンを例として説明する。図13の例では、a=4の場合を示している。
【0138】
まず、図13(a)に示すように、標準の形状データから回転情報に応じた回転角度(本実施形態では45度)だけ回転移動させた回転用のビットマップデータを生成する。そして、上記演算式から得られるx,yの値をそれぞれx’,y’とし、式(5)に回転角度の数値と共に代入すると、回転角度を考慮した実際のずらし量x,yが算出される。これに基づいて、図13(b)に示すように、算出したずらし量に応じて描画領域を拡大した太字の形状データを生成する。
【0139】
ここで、図13の具体例において、式(5)によって算出されるずらし量は、第1象限では、y=0の時にx=4,y=1の時にx=3,y=2の時にx=2,y=3の時にx=1,y=4の時にx=0となり、これを第2〜第4象限についても求める。そして、求められた値に基づいて左右方向及び上下方向に描画を繰り返していくことで得られる結果は、処理対象のビットマップデータを構成している描画ドットP1つに着目すると、図13(c)に示すような状態となる。即ち、その描画ドットPの位置からドットを左右方向に4ドットずつずらすようにされ、さらに描画ドットPの位置からドットを上下方向に1ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に3ドットずつずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に2ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされている。そしてさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に3ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に1ドットずつずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に4ドットずつずらすようにされている。
【0140】
これにより、図13の具体例において、ビットマップデータの描画領域を拡大する際、1つの描画ドットPに着目すると、その描画ドットPにおける拡大領域は、結果的に、左右方向に伸びる2辺と上下方向に伸びる2辺とから形成される四角形が45度回転移動されたものとなる。
【0141】
よって、回転移動させることにより斜めの直線などの斜め方向の成分を有することになった標準の文字を太字にした場合でも、図13(c)に示されるように、角度を考慮した式(5)によりx,yのずらし量を調整しているので、文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0142】
なお、上記の図13の例では、「x=a」の最も簡単な演算式のパターンで説明したが、回転する文字のフォントの種類や斜体であるかによって、式(1)〜(4)を選択した上で、それらの式からx,yを求め、各値をそれぞれx’,y’として式(5)に代入することで、先に詳述した式(1)〜(4)に基づく太字生成のメリットを生かしつつ、回転角度を有する文字にも対応することが可能となる。
【0143】
以上説明したように第2実施形態の情報処理装置30では、太字生成処理により標準の形状データから太字の形状データを生成する際、描画指令に含まれるサイズ情報に基づいて左右方向及び上下方向に対する標準の形状データの基準ずらし量aを求め(S310)、処理対象の文字のフォントの種類や、斜体であるか、回転角度を有するかの情報に基づいて、式(1)〜(5)の中から適した式を選択し、基準ずらし量aを用いた演算を行うことで、左右及び上下方向の実際のずらし量(調整されたずらし量)を算出する。そして、そのずらし量に基づいて、左右及び上下方向に繰り返し描画を行うことで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S390)。
【0144】
以上のような第2実施形態の情報処理装置30によれば、ビットマップデータの描画ドットPに着目した描画結果における各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、式(1)〜(3)を使って左右方向及び上下方向のずらし量を調整するため、斜めの線や湾曲した部分、文字の始点、終点(はね)といった斜め方向の成分を含んだ標準の文字を太字にする場合でも、上述したように、良好な結果を得ることができる。
【0145】
また、本第2実施形態によれば、描画指令に斜体情報が含まれている場合に、斜体であることを考慮した式(4)を使って上下左右方向のずらし量を調整するため、斜体の文字を太字にする場合でも、上述したように、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0146】
また、本第2実施形態によれば、描画指令に回転情報が含まれている場合に、回転角度を有することを考慮した式(5)を用いて上下左右方向のずらし量を調整するため、回転移動させた文字を太字にする場合でも、上述したように、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0147】
また、本第2実施形態によれば、フォントの種類に応じて、式(1)〜(3)の何れかを用いて、上下左右方向のずらし量の調整を行うことができるため、より良好な結果を得ることができる。
【0148】
またさらに、本第2実施形態によれば、式(1)〜(5)を使って演算によりずらし量(繰り返し描画回数)を求めるだけなので、太字生成処理を迅速に行うことができる。
なお、本第2実施形態では、記憶装置37が記憶手段に相当し、S110,S220,S240の処理が判定手段に相当している。また、S310,S350〜S370,S280,S390の処理が太字データ生成手段に相当し、S350〜S370,S390の処理がずらし量調整手段に相当している。また、S160の処理が出力手段に相当している。
【0149】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、第1実施形態の情報処理装置30では、各描画ドット毎に描画領域を拡大するようにされていたが、これに限らず、描画領域全体を一度に拡大するようにされていても良い。
【0150】
また、第1実施形態の情報処理装置30では、基準パターンデータ50a〜50eが記憶装置37に記憶されていたが、これに限らず、予め設定された数式によって、パターンデータを生成して、その生成したパターンデータを用いて、標準の形状データから太字の形状データを生成するようにされていても良い。
【0151】
さらに、複数の基準パターンデータ50a〜50eの一つとして、上下左右方向に全て同じ量(ドット数)だけ描画領域を拡大させた角のドットが削除されていない正方形状のパターンが含まれていて、処理対象となる文字の形状によっては、この正方形状のパターンが選択肢として使用できても良い。第2実施形態の式(1)〜(5)の場合も同様である。
【0152】
また、本発明は、どのようなオペレーティングシステム(OS)がインストールされた情報処理装置30に適用されていても良いが、特にOSとして、マイクロソフト社のWindows(登録商標)2000若しくはNTがインストールされた情報処理装置に適用されていると良い。
【0153】
即ち、上述のOSでは、標準の形状データから太字の形状データを生成する際、CPU31が、WindowsのGDI(Graphics Device Interface)関数を使ってもあまりよい処理を行わず、太字の形状データをうまく生成できないことがあるため、このOSがインストールされた情報処理装置に本発明を適用すれば、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1実施形態の画像形成システムを表す構成図である。
【図2】各フォントデータの構成を説明する説明図である。
【図3】基準パターンデータの説明をする説明図である。
【図4】第1実施形態のCPUが行う文字形成処理を表すフローチャートである。
【図5】第1実施形態のCPUが行う太字生成処理を表すフローチャートである。
【図6】第1実施形態において、明朝体の標準の形状データから太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図7】第1実施形態において、ゴシック体の標準の形状データから太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図8】第1実施形態において、Centuryの標準の形状データから太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図9】第1実施形態において、標準の形状データから斜体で太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図10】第1実施形態において、標準の形状データから所定角度回転移動させた太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図11】第2実施形態のCPUが行う太字生成処理を表すフローチャートである。
【図12】第2実施形態において、標準の形状データから斜体で太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図13】第2実施形態において、標準の形状データから所定角度回転移動させた太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0155】
10…プリンタ装置、30…情報処理装置、31…CPU、33…ROM、35…RAM、37…記憶装置、39…インターフェース、41…表示部、43…入力部、50a〜50c…基準パターンデータ、50d…斜体用基準パターンデータ、50e…回転用基準パターンデータ、P…描画ドット、S…基準ドット
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準の文字から太字を生成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、標準の文字を表現するビットマップデータを用い、そのビットマップデータの描画領域を拡大することで太字のビットマップデータを生成する画像処理装置が知られている。
【0003】
即ち、この装置では、標準のビットマップデータの描画領域全体を例えば右方向に1ドットずつ所定量ずらしていき、その都度ずらした範囲内を描画領域に変換し、さらに、その変換したデータの描画領域全体を、例えば下方向に1ドットずつ所定量ずらしていき、その都度ずらした範囲内を描画領域に変換することで、標準の文字から太字を生成するようにされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−198499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置では、太字を生成する際、標準のビットマップデータにおける描画領域の各ドットの移動領域が四角形となるため、上下方向及び左右方向の成分だけで構成される文字(例えば、ゴシック体の「H」)から太字を生成する場合には理想的な結果を得ることができるが、斜め方向の成分が含まれる文字(例えば、ゴシック体の「し」や斜体の文字)から太字を生成する場合には、文字の縁部が不自然に表現されてしまうことがある。
【0005】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたものであり、斜め方向の成分が含まれる文字から太字を生成したとしても、その太字をきれいに表現することが可能な画像処理装置及びその方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、太字データ生成手段は、標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有し、標準の形状データに対してずらし量調整手段により調整された左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0007】
以上のような請求項1に記載の画像処理装置では、外部から入力された描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、フォントのサイズ情報に基づいて標準の形状データに対する左右方向及び上下方向のずらし量を求め、その求めたずらし量に従い、標準の形状データを左右方向及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことで太字の形状データを生成し、その形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する。
【0008】
そして特に、請求項1に記載の画像処理装置では、太字の形状データを生成する際、標準の形状データを構成する1ドットに着目して左右方向及び上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、左右、上下方向のずらし量を調整し、その調整したずらし量に基づいて、標準の形状データから太字の形状データを生成する。
【0009】
以上のような請求項1に記載の画像処理装置によれば、標準の形状データの1ドットに着目した描画結果における各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、標準の形状データにおける左右方向及び上下方向のずらし量を調整するため、斜め方向の成分を含んだ標準の文字を太字にする場合でも良好な結果を得ることができる。
【0010】
また、ずらし量調整手段は、請求項2に記載のように、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、前記フォント情報のフォントの種類に応じた調整パターンを前記複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うようにされていると良い。
【0011】
このようにすれば、フォントの種類に応じて、複数の調整パターンの中から適切なパターンを選択してずらし量の調整を行うことができるため、より良好な結果を得ることができる。
【0012】
また、この場合、ずらし量調整手段は、請求項3に記載のように、複数のパターンのそれぞれに対応した数式を有し、その数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めるようにされていると良い。
【0013】
これによれば、数式を使ってずらし量を求めるだけなので、処理を迅速に行うことができる。
次に、請求項4に記載の発明は、文字の種類を表す文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成し、その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、太字の形状データを生成する際には、標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、左右、上下方向のずらし量を調整し、標準の形状データに対して調整した左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0014】
このような請求項4に記載の画像処理方法によれば、請求項1について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項5に記載の画像処理方法は、請求項4に記載の画像処理方法において、ずらし量の調整では、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、フォント情報のフォント種類に応じた調整パターンを複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うことを特徴としている。
【0015】
このような請求項5に記載の画像処理方法によれば、請求項2について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項6に記載の画像処理方法は、請求項5に記載の画像処理方法において、複数のパターンのそれぞれに対応した数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めることを特徴としている。
【0016】
このような請求項6に記載の画像処理方法によれば、請求項3について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項7に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、太字データ生成手段は、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有し、読み出された標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成すると共に、パターンデータ記憶手段からパターンデータを読み出し、その読み出されたパターンデータに基づき、描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0017】
以上のような請求項7に記載の画像処理装置によれば、少なくとも各角部のドットが削除されたパターンデータを使って、標準の形状データから太字の形状データを生成するので、斜め方向の成分を含んだ標準の文字を太字にする場合でも良好な結果を得ることができる。
【0018】
また、太字データ生成手段は、請求項7に記載のように、パターンデータに基づき、描画データの各描画ドットにパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成するようにされていると良い。
【0019】
このようにすれば、各描画ドットずつ描画領域を拡大していくので、処理を簡単にすることができる。
また、請求項7または8に記載の画像処理装置は、請求項9に記載のように、パターンデータ記憶手段に、形状が互いに異なる複数のパターンデータを記憶し、太字データ生成手段は、フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出すようにされていると良い。
【0020】
このようにすれば、フォントの種類に応じてパターンデータ記憶手段から読み出すパターンデータを変更するため、より良好な結果を得ることができる。
また、請求項7〜9の何れかに記載の画像処理装置は、請求項10に記載のように、描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、太字データ生成手段は、パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小するように構成されていると良い。
【0021】
このようにすれば、フォントのサイズ情報に応じて、パターンデータを拡大縮小するため、より良好な結果を得ることができる。また、文字のサイズ別にパターンデータを記憶しておく必要がないため、パターンデータ記憶手段の容量を小さくすることができる。
【0022】
次に、請求項11に記載の画像処理装置は、請求項7〜10の何れかに記載の画像処理装置において、描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに前記斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、太字データ生成手段は、判定手段により、描画指令に斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、標準の形状データを変形させて斜体用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0023】
以上のような請求項11に記載の画像処理装置によれば、標準の文字から太字で斜体の文字を形成する場合にも適用することができる。
また、斜体の太字も斜め方向の成分を有しているため、請求項7〜10で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0024】
次に、請求項12に記載の画像処理装置は、請求項7〜10の何れかに記載の画像処理装置において、描画指令は、文字の回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに回転情報が含まれているか否かを判定可能であり、太字データ生成手段は、判定手段により、描画指令に回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、回転情報が示す角度に基づいて、標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0025】
以上のような請求項12に記載の画像処理装置によれば、所定角度だけ回転移動させた標準の文字から太字を形成する場合にも適用することができる。
次に、請求項13に記載の発明は、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、記憶手段から標準の形状データを読み出すと、その標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成し、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その読み出したパターンデータに基づき、描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0026】
このような請求項13に記載の画像処理方法によれば、請求項7について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項14に記載の画像処理方法は、請求項13に記載の画像処理方法において、パターンデータに基づき、描画データの各描画ドットにパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0027】
このような請求項14に記載の画像処理方法によれば、請求項8について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項15に記載の画像処理方法は、請求項13または14に記載の画像処理方法において、パターンデータ記憶手段には、形状が互いに異なる複数のパターンデータが記憶されており、当該画像処理方法では、フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出すことを特徴としている。
【0028】
このような請求項15に記載の画像処理方法によれば、請求項9について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項16に記載の画像処理方法は、請求項13〜15の何れかに記載の画像処理方法おいて、前記描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、当該画像処理方法では、パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小することを特徴としている。
【0029】
このような請求項16に記載の画像処理方法によれば、請求項10について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項17に記載の画像処理方法は、請求項13〜16の何れかに記載の画像処理方法において、描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、当該画像処理方法では、さらに斜体情報が含まれているか否かを判定し、斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、標準の形状データを変形させて斜体用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0030】
このような請求項17に記載の画像処理方法によれば、請求項11について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項18に記載の画像処理方法は、請求項13〜16の何れかに記載の画像処理方法において、描画指令には、文字の回転角度を表す回転情報が含まれており、当該画像処理方法では、さらに回転情報が含まれているか否かを判定し、描画指令に回転情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、回転情報が示す角度に基づいて、標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、パターンデータをパターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、基準ドットを中心として各ドットの配置を回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0031】
このような請求項18に記載の画像処理方法によれば、請求項12についての述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項19に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに描画指令に斜体情報が含まれているか否かを判定し、太字データ生成手段は、フォントのサイズ情報と斜体であることに基づいて左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、判定手段により、描画指令に斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、標準の形状データを変形させて斜体用形状データを生成すると共に、ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて斜体用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0032】
以上のような請求項19に記載の画像処理装置では、標準の形状データから斜体で太字の形状データを生成する際、フォントのサイズ情報と斜体であることとに基づいてずらし量を調整し、その調整したずらし量に基づいて、予め定められた斜体の傾斜角度に基づき生成した斜体用形状データの描画を繰り返し行うことで、太字の形状データを生成する。
【0033】
このため、斜体で太字の形状データを生成する場合でも、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
また、請求項19に記載のずらし量調整手段は、請求項20に記載のように、斜体情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めるようにされていると良い。
【0034】
これによれば、請求項3について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項21に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出すと共に、フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、描画指令は、文字を回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに描画指令に回転情報が含まれているか否かを判定し、太字データ生成手段は、フォントのサイズ情報と、回転角度を有することに基づいて、左右上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、判定手段により、描画指令に回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、回転情報が示す角度に基づいて、標準の形状データを回転させた回転用形状データを生成すると共に、ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて回転用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0035】
以上のような請求項21に記載の画像処理装置によれば、描画指令に回転情報が含まれていた場合には、フォントのサイズ情報と、回転角度を有することに基づいて、左右上下方向のずらし量を調整するため、回転移動させた文字の太字の形状データを生成する場合でも、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0036】
また、請求項21に記載のずらし量調整手段は、請求項22に記載のように、回転情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めるようにされていると良い。
これによれば、請求項3について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、請求項23に記載の画像処理装置は、文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、判定手段は、さらに描画指令に斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、太字データ生成手段は、所定の基準ドットを中心として、マトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有しており、判定手段により描画指令に斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、読み出された標準の形状データを斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、パターンデータ記憶手段に記憶されている斜体用パターンデータを読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0038】
以上のような請求項23に記載の画像処理装置によれば、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを使って、標準の形状データから太字の形状データを生成するので、斜体の文字を太字にする場合でも、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0039】
次に、請求項24に記載の画像処理装置は、請求項22に記載の画像処理装置において、太字データ生成手段は、パターンデータに基づき、描画データの各描画ドットにパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0040】
このような請求項24に記載の画像処理装置によれば、各描画ドットずつ描画領域を拡大していくことで、標準の形状データから太字の形状データを生成するので、処理を簡単にすることができる。
【0041】
次に、請求項25に記載の発明は、文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、当該画像処理方法では、描画指令に斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、読み出した標準の形状データを斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴としている。
【0042】
以上のような請求項25に記載の画像処理方法によれば、請求項23について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に、本発明が適用された第1実施形態の画像形成システムについて、図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施形態の画像形成システムの構成を表す説明図である。
【0044】
第1実施形態の画像形成システムは、プリンタ装置10と、このプリンタ装置10と通信可能に接続された情報処理装置30と、を備える。
プリンタ装置10は、周知のプリンタ装置(インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等)と同様の構成にされており、主に、給紙部11と、用紙搬送部15と、画像形成部17と、これらを統括制御する制御部19と、を備える。
【0045】
給紙部11は、A4サイズ等にカットされた長方形状の用紙を積層(堆積)する給紙トレイ13を備え、給紙トレイ13に積層された用紙のうち最上位の用紙を、所定方向に取り出して、用紙搬送部15に送出する。
【0046】
用紙搬送部15は、給紙部11から送出された用紙を、画像形成部17の画像形成地点に搬送する。画像形成部17は、制御部19に制御され、画像形成地点にて、用紙に情報処理装置30から入力された画像形成用データに基づく画像を形成する。
【0047】
なお、プリンタ装置10がインクジェットプリンタである場合、画像形成部17は、用紙の供給方向とは垂直なライン方向に、インクを噴射する記録ヘッド(図示せず)を走査し、ライン方向に沿う画像形成地点にて、所定ライン毎に画像形成用データに基づく画像を用紙に形成する。一方、プリンタ装置10がレーザプリンタである場合、画像形成部17は、トナー像を担持する像担持体と転写体との接点である画像形成地点にて、その地点を通過する用紙に、像担持体が担持するトナー像を静電気力により転写し、用紙に画像を形成する。
【0048】
このようにして、用紙には、供給方向から順に画像が形成される。この用紙は、画像形成後、図示しない排紙トレイに排出される。
以上説明した装置内各部を統括制御する制御部19は、情報処理装置30と通信可能に接続され、情報処理装置30から入力される画像形成用データに基づいて、画像形成部17を制御し、画像形成部17に画像を形成させる。
【0049】
一方、情報処理装置30は、各種処理を行うCPU31と、各種プログラムを記憶するROM33と、CPU31によるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM35と、各種データやアプリケーションを記憶する記憶装置(ハードディスク装置)37と、当該情報処理装置30とプリンタ装置10とを通信可能に接続するインターフェース39と、各種情報を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部41と、キーボードやポインティングデバイス等からなる入力部43と、を備える。
【0050】
記憶装置37には、文字の種類を表す文字コード、及び、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データからなるフォントデータが、フォント毎に記憶されている。フォントデータは、図2に示すように、フォントの種類によって、標準、太字、及び、斜体の形状データを持つものと、太字、及び、斜体の形状データを持たないものとがある。なお、図2は、各フォントデータの構成を説明する説明図である。
【0051】
情報処理装置30は、プリンタ装置10に画像として文字を形成させるための描画指令が、入力部43に入力されると、その描画指令に基づきプリンタ装置10が処理可能な画像形成用データを生成して、その画像形成用データをプリンタ装置10に出力するための文字形成処理を実行する。
【0052】
そして特に、この文字形成処理において、文字を太字で表現する際、その文字のフォントデータに対応する太字の形状データが記憶装置37になかった場合には、太字で表現することが指示されている文字のフォントデータに対応する標準の形状データを用いて、後述する太字生成処理を行う。この処理では、形状が互いに異なる複数の基準パターンデータ50a〜50e(図3参照)のうちの少なくとも1つを使って、標準の形状データから太字の形状データを生成する。
【0053】
また、情報処理装置30は、画像形成用データを生成すると、その画像形成用データをインターフェース39からプリンタ装置10に出力する。
次に、上記の太字生成処理について使用される基準パターンデータ50a〜50eについて、図3を用いて説明する。
【0054】
基準パターンデータ50a〜50eは、記憶装置37に記憶されている。なお、この基準パターンデータ50a〜50eは、上記標準の形状データをそのままのサイズで太字にする場合に適応したサイズで記憶されているものとする。
【0055】
また、基準パターンデータ50a〜50eのうち、基準パターンデータ50a〜50cは、図3(a)〜(c)に示すように、所定の基準ドット(図3における黒塗りの部分)Sを中心として、左右上下方向にマトリクス状に広がる複数のドットからなり、4つの各角部の少なくとも1ドットがそれぞれ削除されている。
【0056】
具体的に説明すると、基準パターンデータ50aは、図3(a)に示すように、基準ドットSを中心として各ドットが略丸状に配列されており、基準パターンデータ50bは、図3(b)に示すように、各角部のドットがそれぞれ削除されており、基準パターンデータ50cは、図3(c)に示すように、基準ドットSを中心として各ドットが略菱形状となるように配列されている。
【0057】
また、基準パターンデータ50dは、図3(d)に示すように、基準ドットSを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなるパターンデータを、基準ドットSを中心として所定角度だけ傾斜するように変形させたものである。所定角度としては、70度前後の角度が一般的に使用されている。
【0058】
また、基準パターンデータ50eは、図3(e)に示すように、基準ドットSを中心として、マトリクス状に広がる複数のドットからなり、使用時には、基準ドットSを中心として所定角度だけ回転移動される。
【0059】
なお、図3(e)では、回転用基準パターンデータ50eが45度回転移動された状態を記載している。また、以下の説明では、基準パターンデータ50dを斜体用基準パターンデータ50dといい、基準パターンデータ50eを回転用基準パターンデータ50eという。
【0060】
次に、情報処理装置30が行う本発明の文字形成処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、描画指令が入力部43に入力されたときに、情報処理装置30のCPU31が行う処理である。
【0061】
図4に示すように、CPU31が文字形成処理を開始すると、まずS110にて、入力された描画指令に基づき、文字を太字で表現するか否かを判定する。
具体的に説明すると、描画指令には、文字コードと、フォントの種類を表すフォント情報と、文字のサイズを表すサイズ情報と、文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報とが含まれており、S110では、描画指令のスタイル情報に基づいて、文字を太字で表現するか否かを判定する。なお、描画指令によっては、文字を斜体で表現するか否かを表す斜体情報や、文字を所定角度だけ回転移動させることを表す回転情報が含まれることがある。
【0062】
そして、S110にて、文字を太字で表現すると判定した場合には、S120へ移行し、逆に、文字を太字で表現しないと判定した場合には、S130へ移行する。
次に、S120では、入力されたフォント情報に基づき、そのフォント情報に対応したフォントデータを記憶装置37から抽出し、そのフォントデータの中に、太字の形状データがあるか否かを判定する。
【0063】
そして、S120にて、太字の形状データがあると判定した場合には、S130へ移行し、逆に、太字の形状データがないと判定した場合には、S140へ移行する。
次に、S130では、描画指令に対応した形状データを記憶装置37から読み出し、その形状データを、画像形成用データに変換する画像形成用データ変換処理を行い、S160に移行する。なお、この画像形成用データ変換処理では、形状データを読み出すと、その形状データを、サイズ情報に対応した文字のサイズに拡大縮小すると共に、描画指令に回転情報が含まれていれば、その回転情報に対応した回転角度だけ回転移動させ、画像形成用データに変換するといった処理を行う。
【0064】
次に、S140の太字生成処理では、フォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを読み出し、図3に示されている基準パターンデータ50a〜50eの少なくとも1つを使って、読み出した標準の形状データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成する太字生成処理を実行する。なお、太字生成処理の詳細については後で説明する。
【0065】
そして、続くS150では、S140にて生成された太字の形状データを画像形成用データに変換する。
次に、S160では、上記S130またはS150において変換された画像形成用データをプリンタ装置10に出力し、当該文字形成処理を終了する。
【0066】
これにより、プリンタ装置10では、情報処理装置30から画像形成用データが入力され、その画像形成用データに基づく画像(文字)が用紙に形成される。
次に、S140で行われる太字生成処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
図5に示すように、CPU31が太字生成処理を開始すると、まずS210にて、描画指令のサイズ情報に基づき、基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率(即ち、標準の形状データをずらす量)を決定する。
【0068】
これは、図3において、例えば、基準データ50bをそのまま用いて太字生成処理を行うと、標準の形状データに対して、上下左右方向にそれぞれ4ドットずつずらし(角部は1ドット削除)、太くなった形状データが得られることになるが、サイズ情報で指定された文字サイズが大きい場合は、上下左右方向に4ドットずつずらして太くしただけでは、標準の文字との区別がつかないことがあるからである。つまりこの場合、標準の文字との区別をつけるためには、4ドットよりも更に大きい値分ずらす必要があることから、本実施形態では、この値を拡大縮小の比率として求めるようにしているのである。
【0069】
次に、S220では、描画指令に回転情報が含まれているか否かを判定する。
そして、S220にて、回転情報が含まれていると判定した場合には、その回転情報に応じた回転角度だけ文字を回転移動させると判断してS230に移行し、逆に、回転情報が含まれていないと判定した場合には、文字を回転移動させないと判断してS240に移行する。
【0070】
次に、S230では、回転用基準パターンデータ50eを記憶装置37から読み出し、回転用基準パターンデータ50eを、回転情報に応じた回転角度だけ基準ドットSを中心に回転移動させ、S240に移行する。
【0071】
そして、S240では、描画指令に斜体情報が含まれているか否かを判定する。
そして、S240にて、斜体情報が含まれていると判定した場合には、文字を斜体で表現すると判断してS250に移行し、逆に、斜体情報が含まれていないと判定した場合には、文字を斜体で表現しないと判断してS260に移行する。
【0072】
次に、S250では、斜体用基準パターンデータ50dを記憶装置37から読み出し、S260に移行する。
そして、S260では、フォント情報に基づき、今回使用する基準パターンデータ50a〜50cを読み出す。なお、本第1実施形態では、フォントが明朝体であった場合に丸状の基準パターンデータ50aを読み出し、ゴシック体であった場合に角状の基準パターンデータ50bを読み出し、Centuryであった場合に菱形状の基準パターンデータ50cを読み出すようにされている。
【0073】
次いで、S270では、読み出した基準パターンデータ50a〜50eの全てを、S210の処理で決定された比率に応じて拡大縮小させ、それらをマッチングさせることで、今回使用するパターンデータを生成する。
【0074】
次に、S280では、フォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを読み出し、その読み出した標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現するビットマップデータを生成する。
【0075】
なお、S280では、読み出した標準の形状データを、サイズ情報に応じて拡大縮小してからビットマップデータに変換する。このとき、描画指令に回転情報が含まれていた場合には(S220:YES)、その回転情報に応じて標準の形状データを回転移動させてビットマップデータを生成し、描画指令に斜体情報が含まれていた場合には(S240:YES)、標準の形状データを所定角度だけ変形させて斜体用のビットマップデータを生成する。
【0076】
次に、S290では、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドットに、S270で生成されたパターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して、ビットマップデータの描画領域を拡大することで、太字の形状データを生成し、当該太字生成処理を終了する。
【0077】
次に、上述した図5の太字生成処理により標準の形状データから、太字の形状データや、斜体で太字の形状データや、文字を回転移動させた太字の形状データが生成されるまでの手順について、具体例を挙げて説明する。
【0078】
まず、明朝体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する場合について、図6を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始すると、基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定し(S210)、その後、丸状の基準パターンデータ50aを選択して(S260)、その決定した比率に応じて図6(a)に示す如く縮小させた丸状のパターンデータを生成する(S270)。
【0079】
そして、情報処理装置30は、図6(b)に示すように、標準の形状データから明朝体の「し」を表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図6(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図6(a)に示す丸状のパターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0080】
ここで、図6の具体例で生成される丸状のパターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に1つずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0081】
このため、このようなパターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、その拡大した描画領域の角部が上下左右に同じドット数だけ拡大して、1ドットの拡大領域が正方形となる従来の方式に比べて丸型状にスムージングされることとなり、明朝体の「し」のように湾曲した部分や、明朝体の特徴である「はね」のような斜め方向の成分を有する文字を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。特に「はね」の先端の細い部分についても良好に表現できる。
【0082】
次に、ゴシック体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する場合について、図7を用いて説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始すると、描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eに対する拡大縮小の比率を決定し(S210)、その後、処理対象である文字のフォントがゴシック体であることに基づいて角状の基準パターンデータ50bを読み出して(S260)、決定した比率に応じて図7(a)に示す如く縮小させた角状のパターンデータを生成する(S270)。なお、図7(a)の例では、処理対象の文字が標準サイズよりも小さい場合を示している。
【0083】
そして、情報処理装置30は、図7(b)に示すように、標準の形状データからゴシック体の「し」を表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図7(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図7(a)に示す角状のパターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0084】
ここで、図7の具体例で生成される角状のパターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0085】
このため、このようなパターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べ、パターンデータの各角部を1ドット欠いた分だけスムージングされることとなり、上記と同様に斜め方向の成分を有するゴシック体の「し」を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0086】
次に、Centuryのフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「Z」)から太字の形状データを生成する場合について、図8を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始すると、描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定し(S210)、その後、処理対象である文字のフォントがCenturyであることに基づいて菱形状の基準パターンデータ50cを読み出して(S260)、決定した比率に応じて図8(a)に示す如く縮小させた菱形状のパターンデータを生成する(S270)。
【0087】
そして、情報処理装置30は、図8(b)に示すように、標準の形状データからCenturyの「Z」を表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図8(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図8(a)に示す菱形状のパターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0088】
ここで、図8の具体例で生成される角状のパターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に1つずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0089】
このため、このようなパターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べ、略三角形状にドットが削除された状態でスムージングされることとなり、Centuryの「Z」のように、斜めの直線を有する文字を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。特にCenturyの特徴である文字の先端の鋭角形状の部分についても良好に表現できる。
【0090】
次に、明朝体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から斜体で太字の形状データを生成する場合について、図9を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始して描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定すると(S210)、その後、処理対処である文字のフォントが明朝体であり、かつ、斜体であることに基づいて斜体用基準パターンデータ50dと丸状の基準パターンデータ50aとを読み出して(S250,S260)、決定した比率に応じて縮小させ、それら50a,50dを図9(a)に示す如くマッチングさせた丸状の斜体用パターンデータを生成する(S270)。
【0091】
そして、情報処理装置30は、図9(b)に示すように、標準の形状データから明朝体の「し」を斜体で表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図9(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図9(a)に示す丸状の斜体用パターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0092】
ここで、図9の具体例で生成される角状の斜体用パターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に2つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上方向に2ドット進んだドットに対して、左側に配置された1つのドット及び右方向に2つ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から下方向に2ドット進んだドットに対して、左方向に2つ並んで配置されたドット及び右側に配置された1つのドットと、基準ドットSの位置から上方向に3ドット進んだドットに対して、右側に配置された1つのドットと、基準ドットSの位置から下方向に3ドット進んだドットに対して、左側に配置された1つのドットと、から構成される。
【0093】
これにより、図9の具体例において、斜体用パターンデータの領域が、右方向に所定角度(例えば71度)だけ傾斜して各角部のドットが削除された略楕円形状となるため、このような斜体用パターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べて傾斜した丸型状にスムージングされることとなり、明朝体の「し」のように湾曲した部分や「はね」のような斜め方向の成分を有する文字の斜体を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0094】
次に、ゴシック体のフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「し」)から所定角度(本実施形態では、45度)回転移動させた太字の形状データを生成する場合について、図10を用い説明する。
【0095】
情報処理装置30は、太字生成処理を開始して描画指令のサイズ情報に基づいて基準パターンデータ50a〜50eの拡大縮小の比率を決定すると(S210)、その後、処理対象である文字のフォントがゴシック体であり、かつ、回転角度を有することに基づいて回転用基準パターンデータ50eと角状の基準パターンデータ50bとを読み出して(S250,S260)、決定した比率に応じて縮小させ、それら50b,50dを図10(a)に示す如くマッチングさせた角状の回転用パターンデータを生成する(S270)。
【0096】
そして、情報処理装置30は、図10(b)に示すように、標準の形状データからゴシック体の「し」を回転情報に応じて45度回転移動させた状態で表すビットマップデータを生成する(S280)。このとき、サイズ情報において指定されているサイズとなるように調整を行い、ビットマップデータが生成される。その後、図10(c)に示すように、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドット毎に、図10(a)に示す角状の回転用パターンデータを重ね合わせていき、ドットが存在する部分を描画領域として拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S290)。
【0097】
ここで、図10の具体例で生成される角状の回転用パターンデータは、基準ドットSと、基準ドットSの位置から上下左右の四方に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの上側及び下側に隣接する各ドットから左右方向に3つずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に2ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に2ドットずつ並んで配置されたドットと、基準ドットSの位置から上下方向に3ドットずつ進んだドットに対して、左右方向に1ドットずつ並んで配置されたドットと、から構成される。
【0098】
これにより、図10の具体例において、ビットマップデータの描画領域を拡大する際、回転用パターンデータの領域が、各角部のドットが削除された四角形を所定角度(この具体例では、45度)だけ回転移動させた領域となるため、このような斜体用パターンデータを用いてビットマップデータの描画領域を拡大すると、文字の回転角度に適した方向にドットを増やすことができ、また、拡大した描画領域の角部が従来の方式に比べパターンデータの角部のドットを削除した分だけスムージングされることとなり、45度回転させた「し」のように斜めの直線や湾曲した部分のような斜め方向の成分を有する文字を太字にしても文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0099】
以上説明したように、第1実施形態の情報処理装置30では、外部から入力された描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現すると判定して(S110:YES)、フォント情報に対応する太字の形状データがないと判定した場合に(S120:NO)、太字生成処理を実行する。
【0100】
そして、太字生成処理では、各角部のドットが少なくとも1ドット削除されたパターンデータを生成し(S270)、そのパターンデータに基づき、ビットマップデータの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成する(S290)。
【0101】
このため、斜めの線や湾曲した線(カーブ)といった斜め方向の成分を含んだ文字を太字にする場合でも、図6〜図8の具体例で説明したように、良好な結果を得ることができる。
【0102】
また、本第1実施形態によれば、斜体の文字を太字にする場合や、回転移動させた文字を太字にする場合でも、各角部のドットが少なくとも1ドット削除されたパターンデータを、斜体の傾斜角度や描画指令において指示された回転角度に基づいて変形させ、そのパターンデータを用いて太字の形状データを生成するため、図9及び図10の具体例で説明したように良好な結果を得ることができる。即ち、斜体の傾斜角度に応じて、上下左右方向に対するドットの増加量が調整された斜体用パターンデータを用いて太字の生成が行われるため、ほとんどが斜めの線やカーブからなる斜体の文字についても、見映えの良い太字の形状データを生成することができる。
【0103】
また、描画指令に回転情報が含まれている場合についても、その回転情報の回転角度に応じて、上下左右方向に対するドットの増加量が調整されたパターンデータを用いて太字の生成が行われるため、回転により斜めの成分を多く含むことになった文字についても、見映えの良い太字の形状データを生成することができる。
【0104】
また、本第1実施形態によれば、S280で生成されたビットマップデータの各描画ドットずつ描画領域を拡大していくので処理を簡単にすることができる。
また、本第1実施形態によれば、フォントの種類に応じて、使用する基準パターンデータ50a〜50cを変更するため、フォントに適した太字生成処理を行うことができ、より良好な結果を得ることができる。
【0105】
また、本第1実施形態によれば、フォントのサイズ情報に応じて、基準パターンデータ50a〜50cを拡大縮小して使用するため、各種の文字サイズに適応することができ、より良好な結果を得ることができる。
【0106】
なお、本第1実施形態では、記憶装置37が記憶手段に相当し、S110,S220,S240の処理が判定手段に相当している。また、S210,S230,S250〜S290の処理が太字データ生成手段に相当し、記憶装置37がパターンデータ記憶手段に相当している。また、S160の処理が出力手段に相当している。
【0107】
次に、第2実施形態の画像形成システムについて、図11〜図16を用い説明する。なお、図11において、図5と同じステップ番号については、同一の符号を付しているため、説明は省略する。
【0108】
第2実施形態の画像形成システムは、第1実施形態の画像形成システムと比較すると、情報処理装置30が図5の太字生成処理に代えて、図11の太字生成処理を実行する点が異なっており、特に、太字生成処理の際には、パターンデータを使わずに、次式(1)〜(5)の中から1つを選択し、その選択した式を使って標準の形状データから太字の形状データを生成するようにされている。
【0109】
【数1】
【0110】
【数2】
【0111】
【数3】
【0112】
【数4】
【0113】
【数5】
【0114】
ここで、各式(1)〜(5)は、上下(Y)方向のずらし量を変数として、1ドット単位で後述の基準ずらし量aだけY方向にずらしたときの左右(X)方向のずらし量を求めるための関数である。
【0115】
そして、式(1)にずらし量aを代入し、「1≦y≦a」の範囲で値xを求める。即ち、Y方向に1ずつずらしていった時に、X方向にそれぞれ何回ずらす必要があるかというxの値が、yを「1≦y≦a」とした範囲内において算出される。ここで、ずらし量とは、第1実施形態における標準の形状データをビットマップデータに変換したものに対して、例えば、Y方向に1ずらした時のX方向のずらし量が4であれば、ビットマップデータの描画領域を1ドットY方向にずらして1回描画を行い、更にX方向に1ドットずつずらしながら4回描画を行うことを示している。これをy=aまで繰り返して、ビットマップデータの描画領域をずらしながら算出された回数分描画を行っていくことで、結果的に、図3(a)の基準パターンデータ50aを用いて太字生成処理を行った時と同様のパターンが得られる。なお、y=0の時は基本的にx=aとなる。また、式(1)には、XY座標における第1象限の式しか記載されていないが、当該式(1)の符号を代えることによって、残りの第2〜第4象限の式を導出することができる。そして、このことは、式(2)〜式(5)についても同様である。また、本第2実施形態では、式(1)により求められた値xの小数点以下を四捨五入するようにされている。
【0116】
また、式(2)を用いて、式(1)と同様に「1≦y≦a」の範囲で値xを求め、標準の形状データをビットマップデータに変換したものをずらしながら描画を繰り返していくことで、結果的に、図3(b)の基準パターンデータ50bを用いて太字生成処理を行った時と同様のパターンを得ることができる。
【0117】
また、同様に、式(3)を用いれば、結果的に図3(c)に示す基準パターンデータ50cを用いて太字生成処理を行った時と同様の結果を得ることができ、式(4)を用いれば、斜体用基準パターンデータ50dを用いて太字生成処理を行った時と同様の結果を得ることができ、式(5)を用いれば、回転用基準パターンデータ50eを用いて太字生成処理を行った時と同様の結果を得ることができる。
【0118】
そして、本第2実施形態の太字生成処理では、式(1)〜(5)の何れかを用いて、標準の形状データから得られるビットマップデータの描画領域をずらすためのずらし量を算出し、そのずらし量に応じてビットマップデータの描画領域全体をずらして描画領域を拡大することで、標準の形状データから太字の形状データを生成する。
【0119】
なお、本第2実施形態において、フォントが明朝体だった場合には式(1)が選択され、ゴシック体だった場合には式(2)が選択され、Centuryだった場合には式(3)が選択される。また、描画指令に斜体情報が含まれていた場合には、式(4)が選択され、描画指令に回転情報が含まれていた場合には、式(5)が選択される。
【0120】
次に、第2実施形態の情報処理装置30が行う太字生成処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
図11に示すように、CPU31が太字生成処理を開始すると、まずS310にて、描画指令に含まれるサイズ情報に基づき、太字にする時に標準の形状データに基づくビットマップデータの描画領域を左右及び上下方向に最大でどれだけずらす必要があるかを示す基準ずらし量aを決定する。なお、この基準ずらし量aは、処理対象となる文字のサイズに応じて、それぞれ太字にした時に最適となる値が予め設定されている。
【0121】
そして、続くS220にて、回転情報が含まれていると判定した場合には、S350に移行し、式(5)を選択してS280に移行する。
一方、S220にて、回転情報が含まれていないと判定した場合には、S240に移行する。
【0122】
そして、S240にて、斜体情報が含まれていると判定した場合には、S360に移行し、式(4)を選択してS280に移行する。
一方、S240にて、斜体情報が含まれていないと判定した場合には、S370に移行する。
【0123】
そして、S370では、フォント情報に基づき、式(1)〜(3)の何れかを選択し、S280に移行する。
S280では、標準の形状データからビットマップデータを生成する。また、サイズ情報で指定されたサイズとなるように、必要に応じて拡大縮小されたビットマップデータを生成する。
【0124】
そして、S280の処理を終了すると、S390に移行し、S350〜S370の何れかにより選択された式(1)〜(5)の係数aに、S310で決定された基準ずらし量を代入することで、基準ずらし量を調整した実際のずらし量を算出し、その算出したずらし量に応じて、ビットマップデータの描画領域を上下左右方向にずらして描画を行い、その都度ずらした領域に対して描画ドットを配置してビットマップデータの描画領域を拡大することで、太字の形状データを生成し、当該太字生成処理を終了する。
【0125】
以上のような図11の太字生成処理によって、明朝体のフォントデータにおける形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する際には、式(1)を用いてずらし量を算出して、その値に基づいて標準の形状データに対するビットマップデータの描画を繰り返していくことで、上述の図6(c)と同様の結果を得ることができる。
【0126】
即ち、図11の太字生成指令で明朝体のビットマップデータの描画領域を拡大する際に、式(1)によって算出されるずらし量は、描画ドット1つに着目すると、結果的に、第1実施形態の図6(a)に示すパターンデータの各ドットにより形成される領域と同じになるため、第1実施形態の図6の具体例で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0127】
次に、ゴシック体のフォントデータにおける形状データ(本実施形態では「し」)から太字の形状データを生成する際には、式(2)を用いることで、上述の図7(c)と同様の結果を得ることができる。
【0128】
即ち、図11の太字生成指令でゴシック体のビットマップデータの描画領域を拡大する際に、式(2)によって算出されるずらし量は、描画ドット1つに着目すると、結果的に、第1実施形態の図7(a)に示すパターンデータの各ドットにより形成される領域と同じになるため、第1実施形態の図7の具体例で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0129】
次に、Centuryのフォントデータにおける形状データ(本実施形態では「Z」)から太字の形状データを生成する際には、式(3)を用いることで、上述の図8(c)と同様の結果を得ることができる。
【0130】
即ち、図11の太字生成指令でCenturyのビットマップデータの描画領域を拡大する際に、式(3)によって算出されるずらし量は、描画ドット1つに着目すると、結果的に、第1実施形態の図8(a)に示すパターンデータの各ドットにより形成される領域と同じになるため、第1実施形態の図8の具体例で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0131】
次に、Centuryのフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「L」)から斜体で太字の形状データを生成する場合について、図12を用い説明する。
情報処理装置30は、太字生成処理を開始して基準ずらし量を決定すると、その後、式(4)を選択し、図12(a)に示すように、標準の形状データからCenturyの「L」を所定角度だけ変形させた斜体用のビットマップデータを生成する。
【0132】
そして、式(4)に基準ずらし量(図12の例ではa=3)を代入することで実際のずらし量xをそれぞれ算出し、図12(b)に示すように、算出したずらし量に応じて描画領域を拡大した太字の形状データを生成する。
【0133】
ここで、図12の具体例において、式(4)によって算出されるずらし量は、第1象限では、y=0の時にx=3,y=1の時にx=2,y=2の時にx=2,y=3の時にx=1となり、これを第2〜第4象限についても求める。そして、求められた値に基づいて左右方向及び上下方向に描画を繰り返していくことで得られる結果は、処理対象のビットマップデータを構成している描画ドットP(図12(c)における黒塗りの部分)1つに着目すると、図12(c)に示すような状態となる。即ち、その描画ドットPの位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされ、さらに描画ドットPの位置からドットを上下方向に1ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に2ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされている。そしてさらに、描画ドットPの位置からドットを上方向に3ドットずらし、その位置からドットを左方向に1ドット、右方向に3ドットずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを下方向に3ドットずらし、その位置からドットを左方向に3ドット、右方向に1ドットずらすようにされている。
【0134】
これにより、図12の具体例において、ビットマップデータの描画領域を拡大する際、1つの描画ドットPに着目すると、その描画ドットPにおける拡大領域は、結果的に右方向に所定角度(本実施形態では71度)だけ傾斜した略平行四辺形となる。
【0135】
よって、斜めの直線やカーブといった斜め方向の成分を多く有する斜体を太字にした場合でも、図12(c)に示されるように斜体であることを考慮した式(4)により、X方向、Y方向のずらし量を調整することができるので、文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0136】
次に、Centuryのフォントデータにおける標準の形状データ(本実施形態では「L」)から、文字を回転移動させた太字の形状データを生成する場合について、図13を用い説明する。
【0137】
なお、ここでは、説明を分かりやすくするために、基準ずらし量をaとした場合に、yを1からaまで増やしていった時のxの値が「x=a」という、最も簡単な演算式のパターンを例として説明する。図13の例では、a=4の場合を示している。
【0138】
まず、図13(a)に示すように、標準の形状データから回転情報に応じた回転角度(本実施形態では45度)だけ回転移動させた回転用のビットマップデータを生成する。そして、上記演算式から得られるx,yの値をそれぞれx’,y’とし、式(5)に回転角度の数値と共に代入すると、回転角度を考慮した実際のずらし量x,yが算出される。これに基づいて、図13(b)に示すように、算出したずらし量に応じて描画領域を拡大した太字の形状データを生成する。
【0139】
ここで、図13の具体例において、式(5)によって算出されるずらし量は、第1象限では、y=0の時にx=4,y=1の時にx=3,y=2の時にx=2,y=3の時にx=1,y=4の時にx=0となり、これを第2〜第4象限についても求める。そして、求められた値に基づいて左右方向及び上下方向に描画を繰り返していくことで得られる結果は、処理対象のビットマップデータを構成している描画ドットP1つに着目すると、図13(c)に示すような状態となる。即ち、その描画ドットPの位置からドットを左右方向に4ドットずつずらすようにされ、さらに描画ドットPの位置からドットを上下方向に1ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に3ドットずつずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に2ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に2ドットずつずらすようにされている。そしてさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に3ドットずつずらし、その位置からドットを左右方向に1ドットずつずらすようにされている。またさらに、描画ドットPの位置からドットを上下方向に4ドットずつずらすようにされている。
【0140】
これにより、図13の具体例において、ビットマップデータの描画領域を拡大する際、1つの描画ドットPに着目すると、その描画ドットPにおける拡大領域は、結果的に、左右方向に伸びる2辺と上下方向に伸びる2辺とから形成される四角形が45度回転移動されたものとなる。
【0141】
よって、回転移動させることにより斜めの直線などの斜め方向の成分を有することになった標準の文字を太字にした場合でも、図13(c)に示されるように、角度を考慮した式(5)によりx,yのずらし量を調整しているので、文字の縁部をきれいに表現することができる。
【0142】
なお、上記の図13の例では、「x=a」の最も簡単な演算式のパターンで説明したが、回転する文字のフォントの種類や斜体であるかによって、式(1)〜(4)を選択した上で、それらの式からx,yを求め、各値をそれぞれx’,y’として式(5)に代入することで、先に詳述した式(1)〜(4)に基づく太字生成のメリットを生かしつつ、回転角度を有する文字にも対応することが可能となる。
【0143】
以上説明したように第2実施形態の情報処理装置30では、太字生成処理により標準の形状データから太字の形状データを生成する際、描画指令に含まれるサイズ情報に基づいて左右方向及び上下方向に対する標準の形状データの基準ずらし量aを求め(S310)、処理対象の文字のフォントの種類や、斜体であるか、回転角度を有するかの情報に基づいて、式(1)〜(5)の中から適した式を選択し、基準ずらし量aを用いた演算を行うことで、左右及び上下方向の実際のずらし量(調整されたずらし量)を算出する。そして、そのずらし量に基づいて、左右及び上下方向に繰り返し描画を行うことで、標準の形状データから太字の形状データを生成する(S390)。
【0144】
以上のような第2実施形態の情報処理装置30によれば、ビットマップデータの描画ドットPに着目した描画結果における各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、式(1)〜(3)を使って左右方向及び上下方向のずらし量を調整するため、斜めの線や湾曲した部分、文字の始点、終点(はね)といった斜め方向の成分を含んだ標準の文字を太字にする場合でも、上述したように、良好な結果を得ることができる。
【0145】
また、本第2実施形態によれば、描画指令に斜体情報が含まれている場合に、斜体であることを考慮した式(4)を使って上下左右方向のずらし量を調整するため、斜体の文字を太字にする場合でも、上述したように、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0146】
また、本第2実施形態によれば、描画指令に回転情報が含まれている場合に、回転角度を有することを考慮した式(5)を用いて上下左右方向のずらし量を調整するため、回転移動させた文字を太字にする場合でも、上述したように、斜め方向の部分をきれいに太字として表現することができる。
【0147】
また、本第2実施形態によれば、フォントの種類に応じて、式(1)〜(3)の何れかを用いて、上下左右方向のずらし量の調整を行うことができるため、より良好な結果を得ることができる。
【0148】
またさらに、本第2実施形態によれば、式(1)〜(5)を使って演算によりずらし量(繰り返し描画回数)を求めるだけなので、太字生成処理を迅速に行うことができる。
なお、本第2実施形態では、記憶装置37が記憶手段に相当し、S110,S220,S240の処理が判定手段に相当している。また、S310,S350〜S370,S280,S390の処理が太字データ生成手段に相当し、S350〜S370,S390の処理がずらし量調整手段に相当している。また、S160の処理が出力手段に相当している。
【0149】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、第1実施形態の情報処理装置30では、各描画ドット毎に描画領域を拡大するようにされていたが、これに限らず、描画領域全体を一度に拡大するようにされていても良い。
【0150】
また、第1実施形態の情報処理装置30では、基準パターンデータ50a〜50eが記憶装置37に記憶されていたが、これに限らず、予め設定された数式によって、パターンデータを生成して、その生成したパターンデータを用いて、標準の形状データから太字の形状データを生成するようにされていても良い。
【0151】
さらに、複数の基準パターンデータ50a〜50eの一つとして、上下左右方向に全て同じ量(ドット数)だけ描画領域を拡大させた角のドットが削除されていない正方形状のパターンが含まれていて、処理対象となる文字の形状によっては、この正方形状のパターンが選択肢として使用できても良い。第2実施形態の式(1)〜(5)の場合も同様である。
【0152】
また、本発明は、どのようなオペレーティングシステム(OS)がインストールされた情報処理装置30に適用されていても良いが、特にOSとして、マイクロソフト社のWindows(登録商標)2000若しくはNTがインストールされた情報処理装置に適用されていると良い。
【0153】
即ち、上述のOSでは、標準の形状データから太字の形状データを生成する際、CPU31が、WindowsのGDI(Graphics Device Interface)関数を使ってもあまりよい処理を行わず、太字の形状データをうまく生成できないことがあるため、このOSがインストールされた情報処理装置に本発明を適用すれば、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1実施形態の画像形成システムを表す構成図である。
【図2】各フォントデータの構成を説明する説明図である。
【図3】基準パターンデータの説明をする説明図である。
【図4】第1実施形態のCPUが行う文字形成処理を表すフローチャートである。
【図5】第1実施形態のCPUが行う太字生成処理を表すフローチャートである。
【図6】第1実施形態において、明朝体の標準の形状データから太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図7】第1実施形態において、ゴシック体の標準の形状データから太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図8】第1実施形態において、Centuryの標準の形状データから太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図9】第1実施形態において、標準の形状データから斜体で太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図10】第1実施形態において、標準の形状データから所定角度回転移動させた太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図11】第2実施形態のCPUが行う太字生成処理を表すフローチャートである。
【図12】第2実施形態において、標準の形状データから斜体で太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【図13】第2実施形態において、標準の形状データから所定角度回転移動させた太字の形状データを生成する手順を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0155】
10…プリンタ装置、30…情報処理装置、31…CPU、33…ROM、35…RAM、37…記憶装置、39…インターフェース、41…表示部、43…入力部、50a〜50c…基準パターンデータ、50d…斜体用基準パターンデータ、50e…回転用基準パターンデータ、P…描画ドット、S…基準ドット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記太字データ生成手段は、前記標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、前記左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有し、標準の形状データに対して前記ずらし量調整手段により調整された左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ずらし量調整手段は、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、前記フォント情報のフォントの種類に応じた調整パターンを前記複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ずらし量調整手段は、前記複数のパターンのそれぞれに対応した数式を有し、その数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
文字の種類を表す文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、
文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成し、
その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、
太字の形状データを生成する際には、前記標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、前記左右、上下方向のずらし量を調整し、標準の形状データに対して前記調整した左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
前記ずらし量の調整では、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、
前記フォント情報のフォント種類に応じた調整パターンを前記複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記複数のパターンのそれぞれに対応した数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記太字データ生成手段は、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有し、読み出された前記標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成すると共に、前記パターンデータ記憶手段から前記パターンデータを読み出し、その読み出された前記パターンデータに基づき、前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記太字データ生成手段は、前記パターンデータに基づき、前記描画データの各描画ドットに前記パターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記パターンデータ記憶手段には、形状が互いに異なる複数のパターンデータが記憶されており、
前記太字データ生成手段は、前記フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出すことを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、
前記太字データ生成手段は、前記パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、前記フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、
前記太字データ生成手段は、前記判定手段により、前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、前記予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、前記標準の形状データを変形させて斜体用の前記描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、前記斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記描画指令は、文字の回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記回転情報が含まれているか否かを判定可能であり、
前記太字データ生成手段は、前記判定手段により、前記描画指令に前記回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、前記回転情報が示す角度に基づいて、前記標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、前記回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、
文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、
その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、
前記記憶手段から標準の形状データを読み出すと、その標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成し、
所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その読み出したパターンデータに基づき、前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
前記パターンデータに基づき、前記描画データの各描画ドットに前記パターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする請求項13に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記パターンデータ記憶手段には、形状が互いに異なる複数のパターンデータが記憶されており、
当該画像処理方法では、前記フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出すことを特徴とする請求項13または14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
前記パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、前記フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小することを特徴とする請求項13〜15の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
さらに前記斜体情報が含まれているか否かを判定し、
斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、前記標準の形状データを変形させて斜体用の前記描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、前記斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記描画指令には、文字の回転角度を表す回転情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
さらに前記回転情報が含まれているか否かを判定し、
前記描画指令に前記回転情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、前記回転情報が示す角度に基づいて、前記標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、前記回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項13〜16の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項19】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記描画指令に前記斜体情報が含まれているか否かを判定し、
前記太字データ生成手段は、
前記フォントのサイズ情報と斜体であることに基づいて左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、
前記判定手段により、前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、前記標準の形状データを変形させて斜体用形状データを生成すると共に、前記ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて前記斜体用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項20】
前記ずらし量調整手段は、前記斜体情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めることを特徴とする請求項19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記描画指令は、文字を回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記描画指令に前記回転情報が含まれているか否かを判定し、
前記太字データ生成手段は、
前記フォントのサイズ情報と、回転角度を有することに基づいて、左右上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、
前記判定手段により、前記描画指令に前記回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、前記回転情報が示す角度に基づいて、前記標準の形状データを回転させた回転用形状データを生成すると共に、前記ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて前記回転用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項22】
前記ずらし量調整手段は、前記回転情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めることを特徴とする請求項21に記載の画像処理装置。
【請求項23】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、
前記描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記描画指令に前記斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、
前記太字データ生成手段は、
所定の基準ドットを中心として、マトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有しており、
前記判定手段により前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、読み出された前記標準の形状データを前記斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、前記パターンデータ記憶手段に記憶されている前記斜体用パターンデータを読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、前記傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項24】
前記太字データ生成手段は、前記パターンデータに基づき、前記描画データの各描画ドットに前記パターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする請求項22に記載の画像処理装置。
【請求項25】
文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、
文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された前記記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、
その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、
前記描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、読み出した前記標準の形状データを前記斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、前記傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記太字データ生成手段は、前記標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、前記左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有し、標準の形状データに対して前記ずらし量調整手段により調整された左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ずらし量調整手段は、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、前記フォント情報のフォントの種類に応じた調整パターンを前記複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ずらし量調整手段は、前記複数のパターンのそれぞれに対応した数式を有し、その数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
文字の種類を表す文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、
文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成し、
その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、
太字の形状データを生成する際には、前記標準の形状データを構成する1ドットに着目して、左右、上下方向にずらし量に応じた描画の繰り返しを行った場合の描画結果が、各角部の少なくとも1ドットが削除された状態となるように、前記左右、上下方向のずらし量を調整し、標準の形状データに対して前記調整した左右、上下方向それぞれのずらし量に基づいて描画を繰り返して太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
前記ずらし量の調整では、繰り返しの描画結果における、各角部の削除ドットの位置や数を異ならせた複数の調整パターンで調整可能であり、
前記フォント情報のフォント種類に応じた調整パターンを前記複数のパターンから選択して、ずらし量の調整を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記複数のパターンのそれぞれに対応した数式を用いて各パターンに対応したずらし量を求めることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記太字データ生成手段は、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有し、読み出された前記標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成すると共に、前記パターンデータ記憶手段から前記パターンデータを読み出し、その読み出された前記パターンデータに基づき、前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記太字データ生成手段は、前記パターンデータに基づき、前記描画データの各描画ドットに前記パターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記パターンデータ記憶手段には、形状が互いに異なる複数のパターンデータが記憶されており、
前記太字データ生成手段は、前記フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出すことを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、
前記太字データ生成手段は、前記パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、前記フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、
前記太字データ生成手段は、前記判定手段により、前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、前記予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、前記標準の形状データを変形させて斜体用の前記描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、前記斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記描画指令は、文字の回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記回転情報が含まれているか否かを判定可能であり、
前記太字データ生成手段は、前記判定手段により、前記描画指令に前記回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、前記回転情報が示す角度に基づいて、前記標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、前記回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、
文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、
その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、
前記記憶手段から標準の形状データを読み出すと、その標準の形状データに基づき、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する描画データを生成し、
所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり少なくとも各角部のドットがそれぞれ削除されたパターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その読み出したパターンデータに基づき、前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
前記パターンデータに基づき、前記描画データの各描画ドットに前記パターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする請求項13に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記パターンデータ記憶手段には、形状が互いに異なる複数のパターンデータが記憶されており、
当該画像処理方法では、前記フォント情報のフォントの種類に応じたパターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出すことを特徴とする請求項13または14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記描画指令には、フォントのサイズ情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
前記パターンデータ記憶手段から読み出したパターンデータを、前記フォントのサイズ情報の文字のサイズに応じて拡大又は縮小することを特徴とする請求項13〜15の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
さらに前記斜体情報が含まれているか否かを判定し、
斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、前記標準の形状データを変形させて斜体用の前記描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記傾斜角度に従って変形させた斜体用パターンデータを生成し、前記斜体用描画データと、斜体用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記描画指令には、文字の回転角度を表す回転情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
さらに前記回転情報が含まれているか否かを判定し、
前記描画指令に前記回転情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、前記回転情報が示す角度に基づいて、前記標準の形状データを回転させて回転用の描画データを生成すると共に、前記パターンデータを前記パターンデータ記憶手段から読み出し、そのパターンデータに対して、前記基準ドットを中心として各ドットの配置を前記回転情報に対応する回転角度だけ回転移動させた回転用パターンデータを生成し、前記回転用描画データと、回転用パターンデータとに基づき、太字の形状データを生成することを特徴とする請求項13〜16の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項19】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記描画指令に前記斜体情報が含まれているか否かを判定し、
前記太字データ生成手段は、
前記フォントのサイズ情報と斜体であることに基づいて左右、上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、
前記判定手段により、前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて、前記標準の形状データを変形させて斜体用形状データを生成すると共に、前記ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて前記斜体用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項20】
前記ずらし量調整手段は、前記斜体情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めることを特徴とする請求項19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、フォントのサイズ情報及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記入力されたフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出すと共に、前記フォントのサイズ情報に基づいて左右方向、及び上下方向に対するずらし量を求め、その求められたずらし量に基づいて、前記標準の形状データを左右方向、及び上下方向にずらしながら描画を繰り返すことにより、太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記描画指令は、文字を回転させることを指示する回転情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記描画指令に前記回転情報が含まれているか否かを判定し、
前記太字データ生成手段は、
前記フォントのサイズ情報と、回転角度を有することに基づいて、左右上下方向のずらし量を調整するずらし量調整手段を有しており、
前記判定手段により、前記描画指令に前記回転情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、前記回転情報が示す角度に基づいて、前記標準の形状データを回転させた回転用形状データを生成すると共に、前記ずらし量調整手段により求められたずらし量に基づいて前記回転用形状データの描画を繰り返し、太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項22】
前記ずらし量調整手段は、前記回転情報に対応した数式を有し、その数式を用いてずらし量を求めることを特徴とする請求項21に記載の画像処理装置。
【請求項23】
文字の種類を表す文字コードと、文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータを、少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶した記憶手段と、
前記文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により文字を太字で表現することが指定されていると判定されると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを前記記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成する太字データ生成手段と、
前記太字データ生成手段により生成された形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する出力手段と、を備え、
前記描画指令は、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報を含むことが可能であり、
前記判定手段は、さらに前記描画指令に前記斜体情報が含まれているか否かを判定可能であり、
前記太字データ生成手段は、
所定の基準ドットを中心として、マトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを記憶したパターンデータ記憶手段を有しており、
前記判定手段により前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定され、かつ太字で表現することが指定されていると判定されると、読み出された前記標準の形状データを前記斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、前記パターンデータ記憶手段に記憶されている前記斜体用パターンデータを読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、前記傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項24】
前記太字データ生成手段は、前記パターンデータに基づき、前記描画データの各描画ドットに前記パターンデータの基準ドットを順次合わせて、そのパターンデータの各ドットにより形成されるパターン領域内を全て描画ドットで描画して前記描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする請求項22に記載の画像処理装置。
【請求項25】
文字コード、フォントの種類を表すフォント情報、及び少なくとも文字を標準よりも太字で表現するか否かを表すスタイル情報を含んだ描画指令が外部から入力されると、その描画指令のスタイル情報に基づき、文字を太字で表現することが指定されているか否かを判定し、
文字を太字で表現することが指定されていると判定すると、前記描画指令のフォント情報に対応したフォントデータにおける標準の形状データを、文字の種類を表す文字コードと文字コードにより特定される文字の形状を表す形状データとからなるフォントデータが少なくとも標準の形状データでフォント毎に複数記憶された前記記憶手段から読み出し、その形状データから太字の形状データを生成し、
その生成した形状データを画像形成用データに変換して画像形成装置に出力する画像処理方法であって、
前記描画指令には、文字を斜体で表現することを指示する斜体情報が含まれており、
当該画像処理方法では、
前記描画指令に前記斜体情報が含まれていると判定し、かつ太字で表現することが指定されていると判定すると、読み出した前記標準の形状データを前記斜体の傾斜角度に基づいて変形させた上で、描画を行う描画ドットと描画を行わない非描画ドットとによりその文字を表現する斜体用描画データを生成すると共に、所定の基準ドットを中心としてマトリクス状に広がる複数のドットからなり、予め定められた斜体の傾斜角度に基づいて作成された斜体用パターンデータを、パターンデータ記憶手段から読み出し、その斜体用パターンデータに基づいて、前記傾斜用描画データの描画領域を拡大することで太字の形状データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図11】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図2】
【図4】
【図5】
【図11】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−17785(P2007−17785A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200478(P2005−200478)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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